(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2018193209
(22)【出願日】2018-10-12
【審査請求日】2021-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】橋本 貴晶
【審査官】渡辺 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-115620(JP,A)
【文献】特開2016-168284(JP,A)
【文献】特開2005-348897(JP,A)
【文献】特開2013-85846(JP,A)
【文献】特開2011-78515(JP,A)
【文献】特開2004-321240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常遊技状態か前記通常遊技状態よりも大当たり遊技に移行しやすい特殊遊技状態かを報知する遊技機であって、
前記特殊遊技状態には、第1遊技状態と、前記第1遊技状態よりも前記大当たり遊技に移行しやすい第2遊技状態とが含まれ、
前記通常遊技状態から前記特殊遊技状態に移行することに起因して実行され、その特殊遊技状態が前記第1遊技状態と前記第2遊技状態とのいずれの遊技状態であるかを報知する遊技状態報知演出と、
前記遊技状態報知演出の実行前に行われ、前記遊技状態報知演出のタイミング
の変化の度合いを示す複数種類のタイミング変化量の中から1のタイミング変化量が抽選され、前記タイミングを変化させるタイミング変化演出を有する遊技機。
【請求項2】
前記タイミング変化演出
は、前記タイミング変化量を示した後で前記タイミングを変化させ、かつ、操作部の操作に起因した抽選によって、前記遊技状態報知演出が実行されるタイミングを変化させる演出とが含まれる請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、遊技者が利益や特典を獲得する過程や獲得したか否かの結果の報知を演出して楽しませるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-132975号公報(段落[0111])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の演出に慣れてしまった遊技者のために斬新な演出を提供する遊技機の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、通常遊技状態か前記通常遊技状態よりも大当たり遊技に移行しやすい特殊遊技状態かを報知する遊技機であって、前記特殊遊技状態には、第1遊技状態と、前記第1遊技状態よりも前記大当たり遊技に移行しやすい第2遊技状態とが含まれ、前記通常遊技状態から前記特殊遊技状態に移行することに起因して実行され、その特殊遊技状態が前記第1遊技状態と前記第2遊技状態とのいずれの遊技状態であるかを報知する遊技状態報知演出と、前記遊技状態報知演出の実行前に行われ、前記遊技状態報知演出のタイミングの変化の度合いを示す複数種類のタイミング変化量の中から1のタイミング変化量が抽選され、前記タイミングを変化させるタイミング変化演出を有する遊技機である。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、斬新な演出を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】演出が実行されるタイミングを示すタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、本実施形態の遊技機10はパチンコ遊技機であって、前側が前面枠10Zにて覆われており、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技盤11の遊技領域R1が視認可能になっている。なお、以下の説明において、特記しない限り「右」及び「左」とは、遊技機10を前方から見た場合の「右」及び「左」を指すものとする。
【0009】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26と下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側に
は操作ハンドル28が設けられている。操作ハンドル28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。
【0010】
上皿26の上部には、遊技者が押し下げ可能な操作ボタン29が備えられている。また、図示はしないが、操作ボタン29の側方には、上下左右に操作可能な十字キーが設けられている。
【0011】
図2に示されるように、遊技領域R1は、遊技盤11の前面から突出したガイドレール12に四方を囲まれることで形成されている。遊技領域R1の中央には、遊技盤表示窓11Hが貫通形成されており、その遊技盤表示窓11Hに遊技盤11の裏面側から表示装置13が対向している。表示装置13は、例えば、液晶モジュールで構成され、その前面が遊技に関する演出を行う表示画面13Gとなっている。表示画面13Gには、後述する特別図柄当否判定の判定結果、その判定結果を示唆する演出等が表示される。
【0012】
遊技盤11の前面中央には、表示画面13Gを囲むように表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技盤11の前面側から遊技盤表示窓11Hに嵌め込まれて、遊技盤表示窓11Hの内側に張り出すと共に、遊技盤11の前面から突出している。そして、遊技領域R1を流下する遊技球が、表示装飾枠23の前側を通過して表示装飾枠23の内側に進入しないように構成されている。
【0013】
表示装飾枠23の下側には、第1と第2の始動入賞口14A,14Bが上下に並べて設けられ、それら始動入賞口14A,14Bの左側には、ガイドレール12に沿って一般入賞口20が複数設けられている。表示装飾枠23の右側には、始動ゲート18が備えられている。また、表示装飾枠23の右下側、即ち、第1と第2の始動入賞口14A,14Bの右側には、大入賞口15が設けられ、この大入賞口15のさらに右側にサイド入賞口21が備えられている。排出口16は、遊技領域R1の下端部には前方に開口した排出口16が備えられている。そして、上述した各入賞口14A,14B,15,20,21の何れにも入賞しなかった遊技球は、排出口16に全て取り込まれ、図示しない球回収装置に回収される。
【0014】
次に所要の各部位についてさらに詳説する。一般入賞口20及びサイド入賞口21は、所謂、ポケット構造をなし、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさに開口している。一般入賞口20又はサイド入賞口21へ遊技球が入球(入賞)すると、その遊技球は遊技盤11の裏側に取り込まれ、例えば、1個の入球につき15個の賞球が上皿26に払い出される。
【0015】
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなしている。始動ゲート18を遊技球が通過すると、普通図柄当否判定が行われる。
【0016】
第1の始動入賞口14Aは、一般入賞口20やサイド入賞口21と同様に、ポケット構造になっていて、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで上方に開口している。第2の始動入賞口14Bは、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで前方に開口し、通常は、開閉扉14Tにて前方が閉塞されることで、遊技球の入球(入賞)が規制されている。開閉扉14Tは、上述した普通図柄当否判定の結果が当りとなったときに、下端部を中心に回動して所定時間だけ前側に倒される。
【0017】
始動入賞口14A,14Bに遊技球が入球(入賞)すると、所定個数の賞球が上皿26に払い出されると共に、特別図柄当否判定が行われる。その判定結果は、表示装置13の表示画面13Gにて表示される。そして、特別図柄当否判定の結果が大当りであると、大当り遊技が実行される。
【0018】
各始動入賞口14A,14Bに遊技球が入球すると、所定数の遊技球が賞球として上皿26に払い出されると共に、特別図柄当否判定が行われる。即ち、本実施形態では、各始動入賞口14A,14Bに遊技球が入球することで、特別図柄当否判定の判定権利が発生する。特別図柄当否判定の判定結果は、判定権利の使用に伴って、表示画面13Gで報知される。詳細には、判定権利が用いられると、表示画面13Gでは、判定結果の報知に先立って、判定結果に関連した判定演出が行われる。そして、判定結果が大当りの場合には、判定演出の終了後、大当り遊技状態となって大当り遊技が実行される。判定結果が外れの場合には、大当り遊技状態ではない通常の遊技状態が続く。
【0019】
大入賞口15は、横長矩形に形成されて、通常の遊技状態では、可動扉15Tにて閉塞されている。大当り遊技状態となって大当り遊技が行われると、可動扉15Tが所定期間に亘って前側に倒されて大入賞口15が開放し、可動扉15Tを案内に
して、大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能となる。大入賞口15に遊技球が入球すると、所定数の遊技球が賞球として上皿26に払い出される。大当り遊技では、予め設定された回数だけ大入賞口15が開放されるラウンド遊技が、実行される大当り遊技に応じた回数だけ実行される。1回のラウンド遊技は、予め定められた上限数の遊技球が大入賞口15に入球するか又は予め設定されたラウンド遊技時間が経過すると、終了する。
【0020】
表示画面13Gには、上述したように、特別図柄当否判定に関連した判定演出が表示される。具体的には、表示画面13Gの中央部には、3つの特別図柄13A,13B,13Cが横並びに停止表示されている。これら各特別図柄13A~13Cは、例えば、数字や文字等を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄13A~13Cごと、所定の種類のものが停止表示されている。そして、始動入賞口14A,14Bに遊技球が入球すると、これら3つの特別図柄13A~13Cが、変動表示(例えば、上下方向にスクロール表示)され、所定時間経過後に、例えば、左、右、中の順に停止表示される。そして、停止した特別図柄13A~13Cの組合せにより、特別図柄当否判定の判定結果を報知するようになっている、具体的には、特別図柄13A~13Cが全て同じ図柄(ゾロ目)の場合に、大当りであることを示し、特別図柄13A~13Cがゾロ目以外の組合せの場合に、外れであることを示すようになっている。
【0021】
遊技機10では、大当たり遊技の後に、普通図柄の当否判定が当たりとなる確率が高くなる「時短遊技」または、普通図柄の当否判定が当たりとなる確率が高く、かつ、通常遊技及び時短遊技よりも特別図柄当否判定で当りとなる確率が高い「確変遊技」に移行する場合がある。「時短遊技」及び「確変遊技」は、特別図柄当否判定の当たりとなる確率が異なるという内部的な遊技条件の違いのみで、遊技者が「時短遊技」であるか、「確変遊技」であるかを判断することが難しい。
【0022】
本実施形態の遊技機10は、大当たり遊技の後に、「時短遊技」であるか「確変遊技」であるかを示唆する「遊技状態報知演出」が実行することで、遊技者に現在の遊技状態を認識させる構成になっている。
【0023】
具体的には、
図3(A)に示されるように、大当たり遊技の後に、時短遊技又は確変遊技に移行する。通常の遊技機10は、大当たり遊技の終了後、特別図柄当否判定が所定回数消化されると「遊技状態報知演出」が実行される。例えば、本実施形態の遊技機10は、大当たり遊技の終了後、特別図柄当否判定が100回消化されると遊技状態報知演出が実行される構成になっている。
【0024】
本実施形態の遊技機10は、
図3(B)及び
図3(C)に示されるように、「遊技状態報知演出」が実行される前に、「遊技状態報知演出」が実行されるタイミングを変化させる契機となる「タイミング変化演出」が実行される構成になっている。
【0025】
図3(B)における遊技状態報知演出が実行されるタイミングは、
図3(A)の「タイミング報知演出」が実行されない場合と比べて早まっている。また、
図3(C)における遊技状態報知演出が実行されるタイミングは、
図3(A)の「タイミング報知演出」が実行されない場合と比べて遅くなっている。
【0026】
図4には、タイミング変化演出のシーンの流れが示されている。シーンS1では、確変遊技である可能性を示唆するメッセージが表示される。そして、シーンS2では、確変遊技であるか時短遊技であるかを報知する遊技状態報知演出が実行されるまでに必要な残り特別図柄当否判定の回数(以下、残回数という)が表示される。ついで、シーンS3では、遊技状態報知演出が実行されるまでの残回数を30回減少することを示す減少パネル35と、遊技状態報知演出が実行されるまでの残回数が10回増加されることを示す増加パネル36とが表示され、減少パネル35と増加パネル36とが交互に選択される。そして、操作ボタン29を押すと、減少パネル35又は増加パネル36の何れかが選択される。
【0027】
そして、その選択されたパネルに応じて残回数が変化する。具体的には、減少パネル35が選択されると、シーンS4に移行し、遊技状態報知演出が実行されるタイミングが100回後から30回減少した70回後に変化する。一方、増加パネル36が選択されると、シーンS5に移行し、遊技状態報知演出が実行されるタイミングが100回後から10回増加された110回後に変化する。なお、変化後の残回数は表示する構成であってもよいし、変化後の残回数は表示しない構成であってもよい。
【0028】
ついで、変化後の残回数を消化した後に、遊技状態報知演出が実行される。
図5(A)に示されるように、遊技状態報知演出では、バトルが実行される。確変遊技である場合、
図5(B)に示されるように、バトルに勝利し、Winというメッセージとともに「確変遊技」という、現在実行されている遊技状態が報知される。一方、時短遊技である場合、
図5(C)に示されるように、バトルに敗北し、Loseというメッセージとともに「時短遊技」という、現在実行されている遊技状態が報知される。なお、上記実施形態の遊技状態報知演出では「確変遊技」、「時短遊技」のみについて報知する演出であったが、「時短遊技」を伴わない「通常遊技」又は「高確遊技」を報知する構成であってもよい。
【0029】
以上説明した本実施形態の遊技機10によれば、以下の効果を奏することが可能となる。本実施形態の遊技機10は、遊技状態報知演出が実行されることを示唆するタイミング変化演出が実行される。これにより、遊技状態報知演出が実行されることを遊技者が前もって把握する事が可能となり、遊技状態報知演出が実行さ
れるまでの間、遊技者に更なるワクワク感を持たせることが可能となる。
【0030】
また、タイミング変化演出における遊技者の操作を機に、その遊技状態報知演出が実行されるタイミングを変化する。これにより、遊技者が遊技に参加することができ、さらなる趣向性の向上を図ることができる。
【0031】
また、本実施形態のタイミング変化演出は、減少パネル35と増加パネル36とを有しているため、緊張感をもって遊技者が操作することができ、更なる趣向性の向上を図ることができる。
【0032】
さらに、タイミング変化演出前後の変化度合いが表示される構成であるので、遊技者がタイミング変化演出による変化を認識しやすい。
【0033】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0034】
(1)上記実施形態では、大当たり遊技後、特別図柄当否判定を所定回数消化した後に遊技状態報知演出が実行される構成であったが、大当たり遊技後所定秒数後に遊技状態報知演出が実行される構成であってもよい。
【0035】
(2)上記実施形態では、タイミング変化演出では、減少パネル35又は増加パネル36の何れかが選択される構成であったが、いずれか一方のみが表示される構成であってもよい。このとき、操作ボタン29による操作をすることなく遊技状態報知演出の行われるタイミングを変化させる構成であってもよい。また、操作ボタン29の操作回数や操作タイミングによって変化する回数を異ならせる構成であってもよい。
【0036】
(3)上記実施形態では、遊技状態報知演出が実行されるまでの残回数が表示される構成であったが、遊技状態報知演出が実行されることだけを報知する構成であってもよい。このとき、タイミング変化演出では、遊技状態報知演出が実行されるタイミングが早まったのか遅くなったのかのみを報知する構成であってもよいし、タイミングの変化度合いを示すバロメータを表示する構成であってもよい。
【0037】
(4)上記実施形態では、タイミング変化演出が一度のみ行われる構成であったが複数回行われる構成であってもよい。
【0038】
(5)上記実施形態では、タイミング変化演出の後に実行される「遊技状態報知演出」のタイミングが変化する構成であったが、「遊技状態報知演出」が実行されるタイミングは変化せず、タイミング変化演出の後に「確変遊技アイコン」又は「時短遊技アイコン」を表示するなど、「遊技状態報知演出」が実行される前に、遊技状態を告知する手段を有する構成であってもよい。なお、この演出は、タイミング変化演出の後にすぐに実行される構成であってもよいし、一定期間おいて実行される構成であってもよい。また、「高確遊技」である場合にのみ実行される演出であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 遊技機
10W ガラス窓
10Z 前面枠
11 遊技板
13G 表示画面
29 操作ボタン
35 減少パネル
36 増加パネル