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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】撮影方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/00 20060101AFI20230510BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20230510BHJP
   B64C 19/02 20060101ALI20230510BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20230510BHJP
   B64C 13/20 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G05D1/10
B64C19/02
B64C39/02
B64C13/20 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019015572
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020123218
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520036042
【氏名又は名称】株式会社RedDotDroneJapan
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】平川 彰
(72)【発明者】
【氏名】三浦 望
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0220037(US,A1)
【文献】特開2015-191254(JP,A)
【文献】特開2018-173960(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057157(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0054737(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G05D 1/00 - 1/12
B64B 1/00 - 1/70
B64C 1/00 - 99/00
B64D 1/00 - 47/08
B64F 1/00 - 5/60
B64G 1/00 - 99/00
B64U 10/00 - 80/86
G01C 21/00 - 21/36
B60W 10/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影部を備える複数の飛行体によって撮影対象物を撮影する撮影方法であって、
前記飛行体の夫々に所定の順位付けを設定する順位付けステップと、
前記順位付けに基づいた制御を行う制御ステップと、
前記制御に応じて前記飛行体を移動させると共に前記撮影部によって前記対象物を撮影する撮影ステップと
前記飛行体の前記撮影部の撮影範囲の情報を取得するステップと、を含み、
前記撮影ステップは、一の前記飛行体の前記撮影部の撮影範囲に他の飛行体が入らないように、他の前記飛行体の飛行が制御され、一の前記飛行体の前記撮影部の撮影範囲に他の飛行体が入らないように、前記撮影範囲の手前で他の前記飛行体の移動を停止させる、撮影方法。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影方法であって、
一の前記飛行体の前記撮影部の撮影範囲に他の飛行体が入らないように、他の前記飛行体を前記撮影範囲の範囲外に移動させる、撮影方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の撮影方法であって、
前記順位付けステップは、
複数の前記飛行体から、親機と、少なくとも一以上の子機とを設定するステップを更に備えており、
前記子機は、前記親機の飛行状態に応じて、飛行が制御される、
撮影方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の撮影方法であって、
前記順位付けステップは、
複数の前記飛行体から、複数の親機と、一の前記親機に対応する少なくとも一以上の子機とを設定するステップを更に備えており、
前記子機は、前記親機の飛行状態に応じて、飛行が制御される、
撮影方法。
【請求項5】
請求項1又は2のいずれかに記載の撮影方法であって、
前記順位付けステップは、
複数の前記飛行体に同等の順位を設定するステップを更に備えており、
前記飛行体の夫々は、互いの飛行状態に応じて、飛行が制御される、
撮影方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の撮影方法であって、
前記順位付けステップは、
前記飛行体の順位付けを第1状態に設定する第1順位付けステップと、
前記飛行体の順位付けを前記第1状態とは異なる第2状態に設定する第2順位付けステップとを備える、
撮影方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の撮影方法であって、
複数の前記飛行体のうち、少なくとも一以上の飛行体に対する操作を受け付けるステップと、
前記操作に基づいて前記飛行体が制御されるステップと、を備える、
撮影方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の撮影方法であって、
前記撮影ステップは、複数の前記飛行体の相対位置に基づいて移動が制御される、
撮影方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の撮影方法であって、
前記撮影ステップは、複数の前記飛行体の移動経路に基づいて移動が制御される、
撮影方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の撮影方法であって、
前記撮影ステップは、一の前記飛行体の前記撮影部の向きに応じて、他の前記飛行体の飛行が制御される、
撮影方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の撮影方法であって、
前記撮影ステップは、一の前記飛行体の前記撮影部の起動状態に応じて、他の前記飛行体の飛行が制御される、
撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影方法に関し、特に、複数の飛行体を利用した撮影対象物の撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な用途に利用されるドローン(Drone)に代表される無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)などの飛行体及び回転翼機(以下、単に「飛行体」と総称する)を利用した様々なサービスが提供されている。
【0003】
一方、特許文献1には、複数の飛行体を連携させて特定の目的(ガス検知)を果たすシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-200700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の飛行装置は、複数の飛行体のセンサによって、特定領域のガス漏れを検知する技術である。
【0006】
本発明は、複数の飛行体を連携させて為し得る新たな機能を発揮するシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、 撮影部を備える複数の飛行体によって撮影対象物を撮影する撮影方法であって、
前記飛行体の夫々に所定の順位付けを設定する順位付けステップと、
前記順位付けに基づいた制御を行う制御ステップと、
前記制御に応じて前記飛行体を移動させると共に前記撮影部によって前記対象物を撮影する撮影ステップとを含む、
撮影方法。
が得られる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の飛行体を連携させて為し得る新たな空撮方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による撮影システムの構成図である。
図2図1の管理端末の構成を表す機能ブロック図である。
図3図1の飛行体の構成を表す機能ブロック図である。
図4】本発明による撮影システムの他の構成図である。
図5図4の構成における情報の移動を示す図である。
図6図1のシステムを利用した各飛行体の制御を示す図である。
図7図1のシステムを利用した各飛行体の制御を示す他の図である。
図8図1のシステムを利用した各飛行体の制御を示す更に他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による撮影方法は、以下のような構成を備える。
[項目1]
撮影部を備える複数の飛行体によって撮影対象物を撮影する撮影方法であって、
前記飛行体の夫々に所定の順位付けを設定する順位付けステップと、
前記順位付けに基づいた制御を行う制御ステップと、
前記制御に応じて前記飛行体を移動させると共に前記撮影部によって前記対象物を撮影する撮影ステップとを含む、
撮影方法。
[項目2]
項目1に記載の撮影方法であって、
前記順位付けステップは、
複数の前記飛行体から、親機と、少なくとも一以上の子機とを設定するステップを更に備えており、
前記子機は、前記親機の飛行状態に応じて、飛行が制御される、
撮影方法。
[項目3]
項目1に記載の撮影方法であって、
前記順位付けステップは、
複数の前記飛行体から、複数の親機と、一の前記親機に対応する少なくとも一以上の子機とを設定するステップを更に備えており、
前記子機は、前記親機の飛行状態に応じて、飛行が制御される、
撮影方法。
[項目4]
項目1に記載の撮影方法であって、
前記順位付けステップは、
複数の前記飛行体に同等の順位を設定するステップを更に備えており、
前記飛行体の夫々は、互いの飛行状態に応じて、飛行が制御される、
撮影方法。
[項目5]
項目2乃至項目4のいずれかに記載の撮影方法であって、
前記順位付けステップは、
前記飛行体の順位付けを第1状態に設定する第1順位付けステップと、
前記飛行体の順位付けを前記第1状態とは異なる第2状態に設定する第2順位付けステップとを備える、
撮影方法。
[項目6]
項目1乃至項目5のいずれかに記載の撮影方法であって、
複数の前記飛行体のうち、少なくとも一以上の飛行体に対する操作を受け付けるステップと、
前記操作に基づいて前記飛行体が制御されるステップと、を備える、
撮影方法。
[項目7]
項目1乃至項目6のいずれかに記載の撮影方法であって、
前記撮影ステップは、複数の前記飛行体の相対位置に基づいて移動が制御される、
撮影方法。
[項目8]
項目1乃至項目7のいずれかに記載の撮影方法であって、
前記撮影ステップは、複数の前記飛行体の移動経路に基づいて移動が制御される、
撮影方法。
[項目9]
項目1乃至項目8のいずれかに記載の撮影方法であって、
前記撮影ステップは、一の前記飛行体の前記撮影部の向きに応じて、他の前記飛行体の飛行が制御される、
撮影方法。
[項目10]
項目1乃至項目9のいずれかに記載の撮影方法であって、
前記撮影ステップは、一の前記飛行体の前記撮影部の起動状態に応じて、他の前記飛行体の飛行が制御される、
撮影方法。
[項目11]
項目10のいずれかに記載の撮影方法であって、
前記撮影ステップは、一の前記飛行体の前記撮影部の撮影範囲に応じて、他の前記飛行体の飛行が制御される、
撮影方法。
[項目12]
項目1乃至項目11のいずれかに記載の撮影方法であって、
前記撮影ステップは、一の前記飛行体の前記撮影部の撮影範囲に応じて、他の前記飛行体の飛行が制御される、
撮影方法。
【0011】
<本発明による実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による撮影方法について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は、一例を表すにすぎず、その用途、目的又は規模等に応じて、他の既知の要素や代替手段を採用できる。
【0012】
<本発明の構成>
図1に示されるように、本発明による撮影方法を具体化した撮影システムは、管理端末10と、中継機20と、飛行体30m、飛行体30s(飛行体30m及び飛行体30sとを含めて「飛行体30」と呼ぶ場合がある)とを有している。図示される飛行体は、説明を容易にするために3台ではあるが、台数に限定はない。
【0013】
各飛行体30m、飛行体30sの飛行情報(後述する)は、中継機20を介して管理端末10に送信される。なお、本実施の形態においては、中継機20を介して飛行体30と管理端末10とを接続することとしていたが、飛行情報は、飛行体30から直接に管理端末10に送信することとしてもよい。また、一の飛行体が所謂ハブの役割を果たすなどして、他の全ての飛行体の飛行情報を一括して管理端末10に送信することとしてもよい。
【0014】
<ハードウェア構成:管理端末>
図2は、管理端末10のハードウェア構成を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。
【0015】
図示されるように、管理端末10は、データベース3と接続されシステムの一部を構成する。管理端末10は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0016】
管理端末10は、少なくとも、プロセッサ10、メモリ11、ストレージ12、送受信部13、入出力部14等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。
【0017】
プロセッサ10は、管理端末10全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行及び認証処理に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えばプロセッサ10はCPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0018】
メモリ11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ11は、プロセッサ10のワークエリア等として使用され、また、管理端末10の起動時に実行されるBIOS(Basic Input / Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0019】
ストレージ12は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベースがストレージ12に構築されていてもよい。
【0020】
送受信部13は、管理端末10をネットワークに接続することとしてもよい。なお、送受信部13は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インタフェースを備えていてもよい。
【0021】
入出力部14は、キーボード・マウス類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0022】
バス15は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0023】
<ハードウェア構成:飛行体>
本実施の形態における飛行体30は、ドローン(Drone)、マルチコプター(Multi Copter)、無人飛行体(Unmanned aerial vehicle:UAV)、RPAS(remote piloted aircraft systems)、又はUAS(Unmanned Aircraft Systems)等と称呼されることがある。
【0024】
飛行体30は、図3に示される機能ブロックを有している。なお、図2の機能ブロックは最低限の参考構成である。
【0025】
フライトコントローラは、所謂処理ユニットである。処理ユニットは、プログラマブルプロセッサ(例えば、中央処理ユニット(CPU))などの1つ以上のプロセッサを有することができる。処理ユニットは、メモリ22を有しており、当該メモリにアクセス可能である。メモリ22は、1つ以上のステップを行うために処理ユニットが実行可能であるロジック、コード、および/またはプログラム命令を記憶している。メモリは、例えば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。カメラやセンサ類27から取得したデータは、メモリ22に直接に伝達されかつ記憶されてもよい。例えば、カメラ等で撮影した静止画・動画データが内蔵メモリ又は外部メモリに記録される。
【0026】
処理ユニットは、飛行体の状態を制御するように構成された制御モジュールを含んでいる。例えば、制御モジュールは、6自由度(並進運動x、y及びz、並びに回転運動θ、θ及びθ)を有する飛行体の空間的配置、速度、および/または加速度を調整するために飛行体の推進機構(モータ等)を制御する。制御モジュールは、搭載部、センサ類の状態のうちの1つ以上を制御することができる。
【0027】
処理ユニットは、1つ以上の外部のデバイス(例えば、端末、表示装置、または他の遠隔の制御器)からのデータを送信および/または受け取るように構成された送受信部と通信可能である。送受信機は、有線通信または無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができる。例えば、送受信部は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信などのうちの1つ以上を利用することができる。送受信部は、センサ類で取得したデータ、処理ユニットが生成した処理結果、所定の制御データ、端末または遠隔の制御器からのユーザコマンドなどのうちの1つ以上を送信および/または受け取ることができる。
【0028】
本実施の形態によるセンサ類は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)、またはビジョン/イメージセンサ(例えば、カメラ)を含み得る。
【0029】
<ハードウェア構成:中継機>
本実施の形態においては、飛行体30と管理端末10との間に中継機20を設置することとしていた。即ち、各飛行体30から管理端末10にインプットされる飛行状態を示す信号や、各飛行体30に管理端末10からアウトプットされる制御信号し全て中継機20を介して伝達されることとなる。しかしながら、本実施の形態による構成はこれに限られない。例えば、(一部又は全部の)飛行体30と管理端末10とが直接に通信を行うこととしてもよい。また、通信手段についても、IPベースのコンピュータネットワークに限らず、携帯電話機やスマートフォン等に対するキャリアネットワーク(4G-LTE、5G等の通信手段等を利用することができる)や、LPWAネットワーク(SIGFOX、LoRa(LoRa WAN)、Wi-Fi HaLow、Wi-SUN、RPMA、Flexnet、IM920、Cat.M1、Cat.NB1などの規格)の帯域を(それのみで、又は併用して)適用することも可能である。
【0030】
<データ:飛行情報>
本実施の形態において、飛行体から得られるデータとしては、位置情報、高度情報、速度情報、バッテリー残量、信号強度、カメラの画像情報、カメラの方向、ズームイン/ズームアウト、等飛行体30が備えているセンサから取得できるあらゆるデータがあり得る。
【0031】
また、各飛行体30は、自己の順位(主従)に関する情報を有している。順位の低い飛行体30は、より順位の高い飛行体30に従って飛行し、従たる飛行体30は、主たる飛行体30に従って飛行する。なお、順位は使用者によって設定される。また、当初から固定されていてもよいし、何らかのきっかけによって又は使用者の手動により変更されることとしてもよい。
【0032】
<制御例1>
以下、図4及び図5を参照して、本実施の形態による飛行の制御例1を説明する。本制御例においては、図4に示されるように、飛行体30mを親機として、2つの飛行体30sは子機として順位付けがなされている。
【0033】
また、図示される例においては、飛行体30mはユーザによってプロポ等を利用して手動で飛行する。飛行体30sは、飛行体30sに従って等距離を保つように制御される。換言すれば、飛行体30m、飛行体30sは、初期の三次元的な相対的位置関係を維持したまま群として飛行する。以下、説明の際には「飛行体30m」を「親機30m」と、「飛行体30s」を「子機30s」と呼ぶ。
【0034】
より詳しくは、図5に示されるように、ユーザは、親機30mを手元のプロポにより制御を行う。かかる制御により、プロポから親機30mには制御信号が送信されるとともに(SQ01)、移動に関する座標情報が中継機20を介して端末10に入力される(SQ02、SQ03)。管理端末10は、子機30s_1と、子機30s_2とに対して送信するための信号を生成し、飛行指示(SQ04)として中継器20を介して(更には、子機30s_1及び子機30s_2のプロポを介して)制御信号を夫々の子機30s_1及び子機30s_2に送信する(SQ05_1及びSQ05-2)。
【0035】
なお、本実施の形態による飛行体30の制御においては、親機30mにされた移動制御と同じ制御が子機30sにも適用されていた。しかしながら、子機30sの移動量は必ずしも親機30mと完全同一でなくてもよい。例えば、親機30mの移動量に所定のパラメータを付加して制御することにより、子機の移動量の増加/減少、親機の移動量に応じた所定の移動パターンの適用等、親機の移動量や位置情報に基づいて何らかの基準を読み出し・算出することによって子機の移動制御を行うこととしてもよい。
【0036】
上述した制御信号により、図6に示されるように、親機30mは、初期位置P00からP01に移動操作される。この時、親機30mの初期位置P00における空間座標を(X,Y,Z)と表した場合、ユーザによる移動後の位置座標はP01(X,Y,Z)と表すことができる。なお、初期位置P00から移動先P01までの座標の変化量は(+a,+b,+c)とした。
【0037】
親機30mがこのように移動した際、制御信号を受信した子機30s_1は、初期位置P10(Xα,Yβ,Zγ)からP11(Xα+a,Yβ+b,Zγ+c)に移動する。また、子機30s_2は、初期位置P20(X,Y,Z)からP21(Xp+a,Yq+b,Zr+c)に移動する。
【0038】
かかる構成によれば、ユーザは、親機のみを制御するだけで初期状態における親機及び子機との相対的な位置関係を維持したまま、撮影を行うことができる。なお、本実施の形態による子機の制御方法の考え方としては、親機の制御と同様の制御を子機にもルーティングするというものである。また、子機30s_1と子機30s_2は、親機30mにほぼ遅延なく同じタイミングで移動制御をするものであったが、所定の時間差を設けたり、飛行速度を変更することとしてもよい。
【0039】
<制御2>
続いて、図7を参照して他の制御例を説明する。上記した例と同様に、本制御例においても、親機30mは、手動制御によるものである。図示されるように、親機30mは、スキーヤーの左側をその移動に合わせて後方(P00)から前方(P01)に移動するような移動を行う。
【0040】
子機30sは、これに対応して、スキーヤーの右側をその移動に合わせて後方(P00)から前方(P01)に親機30mと対称的に移動する。
【0041】
<制御3>
上記制御2の制御例の場合、親機30m及び子機30sの高度や、カメラの向きによっては相手型の機体が映ってしまう、ということが起こり得る。そこで例えば、親機30mを移動させた際に移動先における撮影範囲内に子機が含まれてしまう場合には、当該子機を当該撮影範囲外に移動させる制御を行う。
【0042】
具体的には、図8に示されるように、A及びBのスキーヤーを飛行体30m及び飛行体30sとで撮影している場合を例に説明する。本制御例においては、夫々の飛行体30は、別々のユーザが手動で制御している。このように複数のユーザが飛行体を操作している場合には、各ユーザは、他の飛行体30を考慮しながら撮影を行うことは難易度が高い。
【0043】
図示されるように、スキーヤーAを撮影している飛行体30mをP01からP02に移動させようとした際に、スキーヤーbを撮影している飛行体30sもP10からP11に移動させようとすると、飛行体30mの移動後のP02の位置においては当該飛行体30mの撮影範囲V内に、P11に位置する飛行体30sが映ってしまう可能性がある。
【0044】
管理端末10は(図5参照)、このような場合に、各飛行体の撮影範囲に関する情報を取得して、各飛行体の撮影範囲内に他の飛行体が進入する可能性がある場合には、当該飛行体が撮影範囲に入らないように制御する。図示される例においても、飛行体30sは、P11の手前のP12の位置で停止させ、飛行体30sが撮影範囲V内に入らないようにする。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態によれば、飛行体同士を群として制御することにより、一つの被写体であっても様々な角度から同時に撮影することが可能となる。
【0046】
なお、例えば、親機及び子機の関係は所定の条件に応じて(例えば、被写体競技順位や、注目度等)、適宜変更することとしてもよい。
【0047】
このほか、特に子機30sの自動飛行制御の例としては、互いの飛行経路やカメラの向き録画中か否か、撮影範囲等に応じて行われることとしてもよい。
【0048】
なお、少なくとも親機又は子機のいずれかが、自動飛行制御とされていてもよい。この場合、管理端末10に予め経路(飛行ルート)の情報を入力しておくこととすればよい。
【0049】
また、管理端末10の機能の一部又は全部をいずれかの飛行体30が(単独で又は分散して)担うこととしてもよく、各飛行体30同士で通信が行われることとしてもよい。
【0050】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
10 管理端末
20 中継機
30、30m、30s 飛行体

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8