(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
A63F7/02 316B
A63F7/02 334
(21)【出願番号】P 2019058939
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000241234
【氏名又は名称】豊丸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】森本 陽児
(72)【発明者】
【氏名】若林 貴之
【審査官】佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-070457(JP,A)
【文献】特開2006-043059(JP,A)
【文献】実開平01-147872(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向を軸として回動することにより閉姿勢と開姿勢とで姿勢を変更するとともに、前記開姿勢側へ付勢する付勢手段、及び後方へ突出する保持突起が設けられた左右一対の羽根手段と、
前記羽根手段の後側で左右方向を軸として前後に傾動することにより、保持部が左右の前記保持突起間に位置して前記羽根手段を前記閉姿勢で保持する起立姿勢と、前記保持部が前記保持突起よりも後側に位置して前記羽根手段の前記開姿勢への姿勢変更を許容する傾倒姿勢とに姿勢を変更可能な保持手段と、
前記保持手段の後側に設けられているとともに遊技球が通過する通過部を有し、遊技球の前記通過部の通過に応じて前記保持手段を後側へ引っ張ることにより、前記保持手段の姿勢を前記起立姿勢から前記傾倒姿勢へ変更させる作動手段と、
前記羽根手段、前記保持手段、及び前記作動手段が取り付けられる本体ケースとを有する非電動役物が備えられた遊技機であって、
前記本体ケース内に当接部が設けられているとともに、コイルバネが、一端を前記当接部に、他端を前記保持手段若しくは前記作動手段に夫々当接させた状態で取り付けられており、
前記コイルバネによって、前記保持手段が直接若しくは間接的に前記起立姿勢側へ付勢されて
おり、
前記羽根手段が前記開姿勢にある前記非電動役物へ遊技球が入賞すると、当該遊技球により前記羽根手段が前記閉姿勢に復帰するととともに、当該羽根手段の前記閉姿勢への復帰に伴い、前記コイルバネによって付勢されている前記保持手段の前記保持部が左右の前記保持突起間に位置して、前記保持手段が前記起立姿勢に復帰することを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばパチンコ機等といった遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一例であるパチンコ機には、開閉動作する左右一対の羽根手段を有する役物として、遊技領域内へ打ち込まれた遊技球が作用することで羽根手段が開閉動作する非電動役物が設けられることがある(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような非電動役物では、遊技者が遊技機本体に衝撃を加える等した際に、不用意に羽根手段が開動作するおそれがあるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、たとえ遊技機本体に衝撃が加えられる等したとしても、羽根手段が不用意に開動作しにくい非電動役物を備えた遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、前後方向を軸として回動することにより閉姿勢と開姿勢とで姿勢を変更するとともに、前記開姿勢側へ付勢する付勢手段、及び後方へ突出する保持突起が設けられた左右一対の羽根手段と、前記羽根手段の後側で左右方向を軸として前後に傾動することにより、保持部が左右の前記保持突起間に位置して前記羽根手段を前記閉姿勢で保持する起立姿勢と、前記保持部が前記保持突起よりも後側に位置して前記羽根手段の前記開姿勢への姿勢変更を許容する傾倒姿勢とに姿勢を変更可能な保持手段と、前記保持手段の後側に設けられているとともに遊技球が通過する通過部を有し、遊技球の前記通過部の通過に応じて前記保持手段を後側へ引っ張ることにより、前記保持手段の姿勢を前記起立姿勢から前記傾倒姿勢へ変更させる作動手段と、前記羽根手段、前記保持手段、及び前記作動手段が取り付けられる本体ケースとを有する非電動役物が備えられた遊技機であって、前記本体ケース内に当接部が設けられているとともに、コイルバネが、一端を前記当接部に、他端を前記保持手段若しくは前記作動手段に夫々当接させた状態で取り付けられており、前記コイルバネによって、前記保持手段が直接若しくは間接的に前記起立姿勢側へ付勢されており、前記羽根手段が前記開姿勢にある前記非電動役物へ遊技球が入賞すると、当該遊技球により前記羽根手段が前記閉姿勢に復帰するととともに、当該羽根手段の前記閉姿勢への復帰に伴い、前記コイルバネによって付勢されている前記保持手段の前記保持部が左右の前記保持突起間に位置して、前記保持手段が前記起立姿勢に復帰することを特徴とする。
【0007】
なお、上記発明において、前記保持手段に、左右外側へ突出する傾動軸が設けられているとともに、前記傾動軸の下側に左右外側へ突出するガイド部が設けられている一方、前記本体ケースに、前記傾動軸を軸支する軸孔として、上下方向に長い長孔状の軸孔が設けられているとともに、前記軸孔の下側に、前記ガイド部が係合可能で、前記保持手段の傾動を案内する円弧状で、且つ、前端に下方へ延びるロック部を有するガイド孔が設けられており、前記保持手段は、前記起立姿勢にあると、前記傾動軸が前記軸孔の下端に、前記ガイド部が前記ロック部の下端に夫々位置した状態にある一方、前記起立姿勢から前記傾倒姿勢へと姿勢を変更するに際して、一旦上方へスライドした後で左右方向を軸として傾動するという構成を採用することも考えられる。
そして、そのような構成を採用することにより、羽根手段の回動とは独立して保持手段を一旦上方へスライドさせなければ、羽根手段は開動作しなくなる。したがって、羽根手段に針金等の不正部材を引っかける等して開動作させようとしても羽根手段が開動作することはなく、防犯性の高い遊技機とすることができるという効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本体ケース内に当接部が設けられているとともに、コイルバネが、一端を当接部に、他端を保持手段若しくは作動手段に夫々当接させた状態で取り付けられており、コイルバネによって、保持手段が直接若しくは間接的に起立姿勢側へ付勢されているようにした。したがって、従来よりも羽根手段を閉姿勢のままで保持する力が強く、たとえ遊技者により遊技機本体に衝撃が加えられる等したとしても、羽根手段が不用意に開動作してしまう事態を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】パチンコ機を前面側から示した説明図である。
【
図3】パチンコ機を後面側から示した説明図である。
【
図4】閉状態にある非電動役物を前側から示した斜視説明図である。
【
図5】閉状態にある非電動役物を後側から示した斜視説明図である。
【
図6】開状態にある非電動役物を前側から示した斜視説明図である。
【
図7】開状態にある非電動役物を後側から示した斜視説明図である。
【
図8】閉状態にある非電動役物の開閉機構部を前側から示した斜視説明図である。
【
図9】閉状態にある非電動役物の開閉機構部を後側から示した斜視説明図である。
【
図10】開状態にある非電動役物の開閉機構部を前側から示した斜視説明図である。
【
図11】開状態にある非電動役物の開閉機構部を後側から示した斜視説明図である。
【
図12】閉状態にある非電動役物の本体ケース内部(右ケース側)を示した斜視説明図である。
【
図13】開状態にある非電動役物の本体ケース内部(右ケース側)を示した斜視説明図である。
【
図14】閉状態にある非電動役物へ遊技球が入賞する様子を示した断面説明図である。
【
図15】開状態にある非電動役物へ遊技球が入賞する様子を示した断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態となるパチンコ機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0011】
(パチンコ機の全体的な説明)
図1は、パチンコ機1を前面側から示した説明図である。
図2は、遊技盤2を前面側から示した説明図である。
図3は、パチンコ機1を後面側から示した説明図である。
パチンコ機1は、遊技盤2の前面に形成された遊技領域16内へ遊技球を打ち込み、遊技領域16内を流下させて遊技するものであって、遊技盤2は、支持体として機能する機枠3の前面上部に、金属製のフレーム部材であるミドル枠5を介して設置されている。また、遊技盤2の前方には、ガラス板を支持してなる前扉4が、左端縁を軸として片開き可能に機枠3に蝶着されており、該前扉4によって閉塞される遊技盤2の前方空間が遊技領域16とされている。
【0012】
当該遊技領域16は、遊技盤2の前面に円弧状に配設された外レール23及び内レール24等によって囲まれており、遊技領域16に左部における両レール23、24間が遊技球を遊技領域16内へ打ち込むための発射通路13とされている。また、遊技領域16の中央稍上寄りとなる位置には、「0」~「9」の数字からなる装飾図柄やキャラクター等を表示するための演出用表示部6、演出用表示部6の下辺に沿って左右方向に延設されており、上面を遊技球が左右に転動可能な転動面81、及び遊技領域16内を流下する遊技球を転動面81上へ導くためのワープ通路82等を有する表示部材80が設置されている。さらに、表示部材80の下方で遊技領域16の中央部から下部にかけて、遊技球が進入可能な進入口31、進入口31から左右に分岐しつつ下方へ延びる遊技球流路32、遊技球流路32の分岐部等に配される種々の電動役物、遊技球流路32を流下する遊技球が最終的に到達するステージ79、遊技球が入賞可能な非電動役物40、ステージ79上に開設されており、遊技球の進入が非電動役物40を開動作させる契機となる作動口(図示せず)、及び非電動役物40の左右両側に設けられ、非電動役物40に入賞しなかった遊技球等を再び遊技領域16内へ排出する排出口(図示せず)等を備えたセンター部材26が設置されている。
【0013】
また、表示部材80及びセンター部材26の左方には、遊技球が流下可能で、遊技球が入賞可能な入賞部材84、84が設置された左打ち用スペースSLが形成されており、この左打ち用スペースSLを流下させることで、ワープ通路82への進入(すなわち、転動面81上への誘導)や進入口31への進入(すなわち、センター部材26への進入)を効率良く狙えるようになっている。一方、表示部材80及びセンター部材26の右方にも遊技球が流下可能な右打ち用スペースSRが形成されている。この右打ち用スペースSRには、遊技球が通過可能なゲート部材20、一対の可動片を有するチューリップ式電動役物17、所謂大当たり状態において交互に開閉する2つの可動入賞装置18A、18Bが設置されている。そして、遊技球を左打ち用スペースSLではなく右打ち用スペースSRを流下させることで、ゲート部材20を通過させたり、開動作しているチューリップ式電動役物17へ入賞させたり、開成している可動入賞装置18A、18Bへ入賞させたりすることができるようになっている。
【0014】
なお、左打ち用スペースSLや右打ち用スペースSRには、多数の遊技釘が植設されている。また、遊技領域16外となる遊技盤2の右下部には、第1特別図柄及び第2特別図柄を夫々別個に表示可能とした特別図柄表示部83が設けられている。さらに、遊技領域16の下端位置には、遊技領域16内へ打ち込まれた遊技球のうち、入賞部材へ入賞等することなく流下してきた遊技球を回収するためのアウト口33が設けられている。
【0015】
また、機枠3の前面側であって上記遊技盤2の下方には、発射装置10へ供給する遊技球を貯留するための供給皿7、及び供給皿7から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿8が取り付けられており、供給皿7は前扉4の開放に伴い、貯留皿8はミドル枠5の開放に伴い夫々機枠3に対して片開き可能となっている。さらに、貯留皿8の右側には、発射装置10を作動させ、遊技球の遊技領域16への打ち込み強度を調整するためのハンドル9が回動操作可能に設置されている。加えて、供給皿7の前方には、遊技者が任意に押し込み操作可能な遊技ボタン25が設けられている。
さらに、前扉4の上部には、効果音や各種メッセージ等を報音する夫々一対のスピーカ14、14が設けられている。加えて、前扉4の左右両側部には、パチンコ機1の遊技状態等に応じて点灯・点滅する複数のLEDを内蔵したランプ部材15、15・・が設けられている。
【0016】
一方、機枠3の後面側には、供給皿7へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11、当該貯留タンク11と連結された払出装置12、払出装置12における払い出し動作を制御する払出制御装置28、及び各制御基板や装置・部材に電源電圧を供給するための電源装置29等が設置されている。また、21は、合成樹脂製のカバー状に形成されたセンターカバーであって、当該センターカバー21の内部には、遊技に係る主たる制御(たとえば、所謂大当たり抽選等)を実行するためのメイン制御装置(図示せず)、演出用表示部6における表示動作等を制御する表示制御装置(図示せず)、ランプ部材15の点灯/点滅動作等を制御する発光制御装置(図示せず)、スピーカ14からの報音動作を制御する音制御装置(図示せず)、及び表示制御装置や音制御装置等の動作を統合的に制御するサブ制御装置(図示せず)等が設置されている。尚、22は、パチンコ機1をトランスに接続するためのプラグであり、27は、アースである。
【0017】
以上のようなパチンコ機1では、遊技者はハンドル9を回動操作して発射装置10を作動させ、発射通路13を介して遊技球を遊技領域16内へ打ち込み、まずは左打ち用スペースSLを流下させ(所謂左打ちを行い)、センター部材26への遊技球の進入、すなわち進入口31への進入を狙う。また、進入口31からセンター部材26内へ進入した遊技球は、遊技球流路32により種々のルートに振り分けられながらも最終的にはステージ79上に到達する。さらに、ステージ79上に到達した遊技球が非電動役物40へ入賞すると、所謂大当たり抽選が実行されるとともに、演出用表示部6において装飾図柄が、特別図柄表示部83において第1特別図柄が夫々変動開始となる。そして、大当たり抽選の結果が「大当たり」であると、演出用表示部6及び特別図柄表示部83に夫々所定の「大当たり図柄」が確定表示される(たとえば、演出用表示部6に「7、7」と確定表示される)。また、「大当たり図柄」が確定表示されると、可動入賞装置18A、18Bを夫々1回ずつ開成させるといった所謂「大当たり状態」が生起する。そこで、遊技者は、遊技球を右打ち用スペースSRへ打ち込んで流下させる所謂右打ちを行い、開成する可動入賞装置18A、18Bへの遊技球の入賞を狙う。なお、遊技球が非電動役物40へ入賞したものの、大当たり抽選の結果が「はずれ」であると、演出用表示部6及び特別図柄表示部83に夫々所定の「はずれ図柄」が確定表示され、大当たり状態が生起することはない。
【0018】
また、大当たり状態が終了すると、ゲート部材20への遊技球の通過検知に起因して実行される所謂当たり抽選の結果が「当たり」となりやすく、チューリップ式電動役物17が頻繁に開状態となって遊技球の入賞が可能となるとともに、チューリップ式電動役物17への入賞検知に起因して実行される大当たり抽選の結果が「大当たり」となりやすい所謂確変状態が生起する。そこで、遊技者は右打ちを継続し、ゲート部材20への遊技球の通過、及び頻繁に開状態となるチューリップ式電動役物17への遊技球の入賞を狙う。また、チューリップ式電動役物17への遊技球の入賞に応じて実行された大当たり抽選の結果が「大当たり」になると、特別図柄表示部83及び演出用表示部6に「大当たり図柄」が確定表示され、可動入賞装置18A、18Bを夫々1回ずつ開成させる「大当たり状態」が再び生起する。なお、チューリップ式電動役物17へ遊技球が入賞した場合、特別図柄表示部83では第2特別図柄を変動/確定表示させる。
【0019】
そして、最初の確変状態から繰り返される「大当たり図柄」での確定表示回数が所定回数(たとえば10回)に達し、当該所定回数目の「大当たり図柄」の確定表示に伴い生起した「大当たり状態」が終了すると、確変状態を生起させることなく、ゲート部材20への遊技球の通過検知に起因して実行される当たり抽選の結果が「当たり」となりにくく(或いは「当たり」とならず)、チューリップ式電動役物17がほぼ開状態とならない(或いは開状態になることがない)上、大当たり抽選の結果が「大当たり」となりにくい遊技開始当初の通常状態へ復帰する。そのため、遊技者は、右打ちを止めて左打ちを行う上記遊技へと戻る。
【0020】
(非電動役物の説明)
ここで、本発明の要部となる非電動役物40について、
図4~
図15にもとづき詳細に説明する。
図4及び
図5は、閉状態にある非電動役物40を示した斜視説明図であり、
図4は前側から、
図5は後側から夫々示している。
図6及び
図7は、開状態にある非電動役物40を示した斜視説明図であり、
図6は前側から、
図7は後側から夫々示している。
図8及び
図9は、閉状態にある非電動役物40の開閉機構部を示した斜視説明図であり、
図8は前側から、
図9は後側から夫々示している。
図10及び
図11は、開状態にある非電動役物40の開閉機構部を示した斜視説明図であり、
図10は前側から、
図11は後側から夫々示している。
図12及び
図13は、非電動役物40の本体ケース42内部(右ケース58側)を示した斜視説明図であり、
図12は閉状態を、
図13は開状態を夫々示している。
図14は、閉状態にある非電動役物40へ遊技球が入賞する様子を示した断面説明図であり、
図15は、開状態にある非電動役物40へ遊技球が入賞する様子を示した断面説明図である。
【0021】
非電動役物40は、チューリップ式電動役物17同様に前後方向を軸とした回動によって開閉動作する左右一対の羽根部材41、41を有するものの、その開閉動作に関して、ソレノイド等ではなく遊技領域16へ打ち込まれた遊技球を利用するものであって、羽根部材41、41の他に、羽根部材41、41を回動可能に保持する本体ケース42、本体ケース42内に内蔵されている開閉機構部、及び本体ケース42に取り付けられ、羽根部材41、41の開閉状態を検知する検知センサ(フォトセンサ)43を備えてなる。
【0022】
各羽根部材41は、一般的なチューリップ式電動役物に設けられる周知の羽根部材と似た羽根部41aと、羽根部41aから下方へ徐々に左右方向で内側に湾曲するように延設された球受け部41bとを有する。該羽根部41aの基端部には、羽根部41aを前後方向で回動可能に軸支するための軸部材89(
図12、13に示す)を挿入可能な軸孔41cが穿設されている。また、羽根部41aにおける軸孔41cの左右方向で外側となる位置には、羽根部41aを後述する開姿勢側へ付勢する錘(遊技球1個の重さよりも軽い)44が内蔵されている。さらに、球受け部41bの後面には、後方へ突出する保持突起45が突設されている。そして、左右一対の羽根部材41、41は、本体ケース42の前側において、以下に記載する閉姿勢と開姿勢との間を、前後方向を軸として回動可能に取り付けられる。閉姿勢とは、羽根部41a、41aの先端が上方に位置し、左右の羽根部41a、41a間及び左右の球受け部41b、41b間が遊技球1個程度の間隔しか離れていない姿勢となる。また、開姿勢とは、羽根部41a、41aの先端が左右外方に倒れた位置にあり、左右の羽根部41a、41aの先端同士が遊技球3個程度離れているとともに、左右の球受け部41b、41bの先端同士が当接する姿勢となる。
【0023】
一方、開閉機構部は、左右方向を軸として前後に傾動する保持部材46、遊技球の通過に応じ左右方向を軸として上下に揺動する流路部材48、保持部材46を後述する起立姿勢側へ付勢するとともに流路部材48を後述する通常姿勢側へ付勢する錘部材47、及び錘部材47を後述する第1姿勢側へ付勢するコイルバネ90を有する。保持部材46は、左右方向が厚み方向となる板状に成形された左右一対の腕部同士を、上下方向での略中央部で連結してなる正面視H字状の部材であって、各腕部の上端外面には、前後への傾動に係る軸となる傾動軸49が左右外方へ突設されている。また、自身の傾動をガイドするためのガイド軸50が、両腕部を連結するように左右方向に沿って配されており、該ガイド軸50の両端は、両腕部の傾動軸49、49の下側から左右外方へ突出している。さらに、各腕部の下端部は、左右外側へ湾曲しながら突出しており、当該突出部は、保持突起45に当接することで羽根部材41を閉姿勢で保持するための保持部51として機能するようになっている。そして、保持部材46は、略垂直に起立する起立姿勢と、保持部51、51側が後方へ傾倒する傾倒姿勢との間を、傾動軸49を軸として前後に傾動可能となっている。
【0024】
また、錘部材47は、錘部(遊技球1個の重さよりも軽い)47aを中心として、該錘部47aの前側にガイド軸50の腕部間にある箇所を軸支する軸支部52が、後側に後述する流路部材48の揺動軸54に固定される固定部53が夫々設けられてなる。そして、錘部材47は、後述するような第1姿勢と第2姿勢との間で姿勢を変更するものの、常に保持部材46を前側へ付勢するよう、保持部材46と流路部材48との間に設けられており、保持部材46の傾動については独立して許容する一方、流路部材48の揺動については流路部材48と共に連動するようになっている。なお、第1姿勢とは、保持部材46が起立姿勢にあり、且つ、流路部材48が後述する通常姿勢にある際の姿勢である。また、第2姿勢とは、保持部材46が傾倒姿勢にあり、且つ、流路部材48が後述する検知姿勢にある際の姿勢である。
【0025】
さらに、コイルバネ90は、前後方向が軸方向とされており、錘部47aから上方へ突設された当接片47bの後面に前端が、本体ケース42の右ケース58の内面に突設された当接壁91の前面に後端が夫々当接するような状態で取り付けられ、錘部材47を第1姿勢側へ、ひいては保持部材46を起立姿勢側へ付勢している。なお、当接片47bの後面には、取付突起47cが後方へ突設されている一方、当接壁91の前面には、取付突起91aが前方へ突設されており、コイルバネ90は、各取付突起47c、91aを巻回する格好で取り付けられている。
【0026】
加えて、流路部材48は、上下方向が厚み方向となる板状の本体55と、本体55の前端に設けられた揺動軸54と、本体55の後部から下方へ突設された検知部56とを備えてなる。本体55は、前後方向へ延びる前部と、左側へ屈曲して延びる後部とを有する上面視鉤状に成形されており、流路部材48が検知姿勢をとった際に、当該後部が遊技球を排出するための排出流路71(
図14、15に示す)の一部を構成するようになっている。そして、流路部材48は、前部が当接壁91の下方に位置し、後部が当接壁91の後方に突出するように設けられており、後部が上昇している通常姿勢と、遊技球の重さにより後部が下降する検知姿勢との間を揺動軸54を軸として上下に揺動可能となっている。
【0027】
一方、本体ケース42は、左ケース57と右ケース58とを組み付けてなるもので、前面は開口しており、内蔵する開閉機構部の保持部材46を露出可能となっている。また、各ケース57、58の前端部には、傾動軸49を軸支する軸孔59と、ガイド軸50の端部が係合可能で、保持部材46の傾動をガイドするガイド孔60とが設けられている。軸孔59は、上下方向へ長い長孔として成形されており、後述するような保持部材46の傾動時における上下方向へのスライドを許容するようになっている。また、ガイド孔60は、軸孔59の下側に設けられており、軸孔59の所定位置を中心とした円弧状に形成されている。そして、ガイド孔60の前端には、ガイド孔60の円弧部の前端から下方へ延びるロック部60aが設けられている。
【0028】
加えて、本体ケース42の後側の上部には、流路部材48の後部を露出させるための凹部61が設けられている。凹部61の左右両側面は、切り欠かれていたり開口が開設されていたりして、本体ケース42の右側からの遊技球の流れ込み、及び流路部材48の本体55後部上を通過した遊技球の本体ケース42の左側への排出を可能としている。また、本体ケース42の後側で、且つ、凹部61の下側には、検知センサ43を取り付けるための切り欠き部63が設けられている。さらに、本体ケース42の左右両側面の略中央部には、揺動軸54を軸支するための軸受部64が設けられている。なお、当接壁91は、凹部61の前面側を一部閉塞するように設けられている。
【0029】
そして、上記非電動役物40は、羽根部材41、41がセンター部材26内に設けられているステージ79の前縁(更には左右方向で中央)に隣接し、且つ、本体ケース42がステージ79の下部に内蔵された状態で設置される(
図14、15に示す)。また、ステージ79の所定位置には作動口が開設されており、ステージ79の下方には、作動口へ進入した遊技球を遊技盤2の後面側へ排出するための排出流路71が延びている。そして、排出流路71の途中に、上記設置状態にある非電動役物40の凹部61が位置して、流路部材48の後部がその一部を担うようになっている。
【0030】
なお、ステージ79は、センター部材26に進入した遊技球が最終的に到達する場所であって、その上面は前方へむかって下降傾斜する傾斜面とされている。そして、ステージ79に到達した遊技球は、作動口へ進入するか、前方へ転動して非電動役物40に入賞するか、それとも非電動役物40の左右両側にある排出口からセンター部材26外へ排出されるかするようになっている。
【0031】
上述したように設置されている非電動役物40では、羽根部材41、41が閉姿勢にある閉状態が通常状態となる。この閉状態では、保持部材46が起立姿勢にあって、羽根部材41、41の保持突起45、45間に保持部材46が入り込んでおり、保持部51、51が保持突起45、45を左右方向で内側から保持する格好で、羽根部材41、41を閉姿勢のまま保持している。また、このとき傾動軸49は軸孔59の下端位置にあり、ガイド軸50の端部はガイド孔60におけるロック部60aの下端位置にある。さらに、流路部材48は、上記通常姿勢にある。
【0032】
当該閉状態にある際に、排出流路71を流下してきた遊技球が流路部材48上に到達すと、その遊技球の重さにより、流路部材48が、錘部材47及びコイルバネ90の付勢力に抗して通常姿勢から検知姿勢へと姿勢を変更する。すると、保持部材46は、流路部材48と共に移動する錘部材47に後側へ引っ張られて、起立姿勢から傾倒姿勢へと姿勢を変更する。すなわち、羽根部材41、41の保持突起45、45間にあった保持部51、51が、保持突起45、45よりも後側まで引っ張られた格好となる。したがって、錘44、44の付勢力により、羽根部材41、41が左右外方へ倒れて開姿勢へと姿勢を変更する。つまり、非電動役物40が、羽根部材41、41が開姿勢にある開状態となる。
【0033】
なお、起立姿勢から傾倒姿勢への姿勢変更の過程において、保持部材46はガイド孔60の形状に沿って移動するため、ロック部60aに沿って一旦上方へスライドした後で前傾姿勢(すなわち傾倒姿勢)側へと傾動することになる。そして、この保持部材46の上方へのスライドは、羽根部材41、41の回動とは独立しており、保持部材46が傾動して初めて羽根部材41、41は開姿勢側への回動を開始することになる。また、遊技球が通過してしまうと、流路部材48は、錘部材47及びコイルバネ90の付勢力により通常姿勢側へ復帰しようとする。しかしながら、保持部材46の前面(具体的には保持部51、51の前面)が保持突起45、45の後端に当接し、保持部材46の起立姿勢側への移動が規制されるため、流路部材48も検知姿勢のまま保持されることになる。さらに、流路部材48の姿勢変更に伴って検知部56が検知センサ43に達し、検知センサ43による検知部56の検知状態が検知となる。該検知センサ43による検知部56の検知/非検知に係る判断はメイン制御装置で行われる。したがって、メイン制御装置は、該検知結果にもとづいて非電動役物40が閉状態にあるか開状態にあるかを把握することができる。
【0034】
また、上記開状態にある非電動役物40に対し、ステージ70上を転動してきた遊技球が入賞すると、その遊技球の重さにより、羽根部材41、41が閉姿勢へ復帰する。すると、羽根部材41、41の閉姿勢への復帰に応じて、起立姿勢側へ付勢されている保持部材46が再び保持突起45、45間へ自動的に入り込み(すなわち起立姿勢に復帰し)、非電動役物40は、羽根部材41、41が閉姿勢で保持された上記閉状態に復帰する。このとき、流路部材48も上昇位置へ復帰するため、検知センサ43による検知部56の検知状態は非検知となる。なお、非電動役物40へ入賞した遊技球は、非電動役物40の下側から延設されている排出流路を通って、遊技盤2の後面側へ排出される。また、閉状態にある非電動役物40に対しても遊技球は入賞可能であるものの、閉状態にある非電動役物40に入賞した場合には、羽根部材41、41等に作用することなく排出される(すなわち、非電動役物40の状態は閉状態から変化しない)。
【0035】
(本実施形態のパチンコ機による効果)
以上のような構成を有するパチンコ機1によれば、保持部材46を起立姿勢側へ付勢する錘部材47に当接片47bを設ける一方、当接片47bよりも後側に突出する当接壁91を本体ケース42内に設け、当接壁91の前面に一端を、当接片47bの後面に他端を夫々当接させようにしてコイルバネ90を取り付け、当該コイルバネ90により保持部材46が起立姿勢である際の姿勢である第1姿勢側へ錘部材47を付勢するようにした。言い換えるなら、コイルバネ90によって保持部材46を間接的に起立姿勢側へ付勢するようにした。したがって、従来よりも羽根部材41、41を閉姿勢のままで保持する力が強く、たとえ遊技者によりパチンコ機1に衝撃が加えられる等したとしても、羽根部材41、41が不用意に開動作してしまう事態を効果的に防止することができる。
【0036】
また、非電動役物40において、羽根部材41、41の開閉動作を規制/許容する保持部材46に、左右外側へ突出する傾動軸49、49を設けるとともに、傾動軸49、49の下側に、両端が左右外側へ突出するガイド軸50を設ける一方、本体ケース42に、傾動軸49を軸支する軸孔59として、上下方向に長い長孔状の軸孔59を設けるとともに、軸孔59の下側に、ガイド軸50の端部が係合可能で、保持部材46の傾動を案内する円弧状で、且つ、前端に下方へ延びるロック部60aを有するガイド孔60を設けている。そして、保持部材46を、起立姿勢にあっては、傾動軸49が軸孔59の下端に、ガイド軸50の端部がロック部60aの下端に夫々位置させた状態とする一方、遊技球の通過に伴う流路部材48の姿勢変更に引っ張られることにより、起立姿勢から傾倒姿勢へ姿勢を変更するに際しては、一旦上方へスライドした後で左右方向を軸として傾動するようにした。すなわち、羽根部材41、41の回動とは独立して保持部材46を一旦上方へスライドさせなければ、羽根部材41、41は開動作しないようになっている。したがって、羽根部材41に針金等の不正部材を引っかける等して開動作させようとしても羽根部材41が開動作することはなく、防犯性の高い遊技機とすることができる。
【0037】
(本発明の変更例について)
なお、本発明の遊技機に係る構成は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、遊技機全体の構成は勿論、非電動役物に係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更可能である。
【0038】
たとえば、上記実施形態では、コイルバネの他端を作動手段に当接させることで、コイルバネが保持手段を起立姿勢側へ間接的に付勢するように構成しているが、作動手段ではなく保持手段の後面に当接させ、コイルバネが保持手段を起立姿勢側へ直接付勢するように構成することも可能である。
【0039】
また、上記実施形態では、ガイド軸の左右両端部をガイド部として保持部材の側面から左右外方へ突出させているが、どちらか一方の端部のみをガイド部として突設するように構成することも可能である。
さらに、上記実施形態では、センター部材の内部に非電動役物を設けているが、遊技領域内であればセンター部材外に非電動役物を設けても何ら問題はなく、非電動役物の設置位置は適宜設計変更可能である。さらにまた、上記実施形態のように非電動役物を所謂図柄始動手段として設けるのではなく、大入賞装置等の特別入賞手段として設けることも可能である。またさらに、複数の非電動役物を設けることも当然可能であるが、複数の非電動役物のうち少なくとも1つの非電動役物について上記コイルバネが取り付けられる等していれば本発明に係る権利範囲に含まれていると言える。
【0040】
また、非電動役物が閉状態にあるか開状態にあるかの検知結果にもとづいて、たとえば開状態が正常な開状態であるか否かを判断し(本実施形態であれば、図柄始動口への入賞から所定時間内に開状態を検知すると正常であると判断し、図柄始動口への入賞を検出していない状況で開状態を検知したり、入賞検出から所定時間を超えて開状態を検知したりすると異常であると判断する等)、正常な開状態でない場合には遊技機外へ不正信号を出力したり、警告音を報知したりするように構成することも可能である。
【0041】
加えて、上記実施形態では、遊技機の一例であるパチンコ機について説明しているが、本発明は、たとえば封入式パチンコ機等といった他の遊技機に対しても当然適用可能である。
なお、特許請求の範囲、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、付勢手段、保持突起、羽根手段、保持部、保持手段、本体ケース、非電動役物、当接部、コイルバネ等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、特許請求の範囲や明細書等で使用している要素名(要素につけた名称)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。すなわち、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。さらには、前記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、敢えて特許請求の範囲等において特定していない限り、何れも当業者であれば極めて容易に考えられる事項であるため、あえて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、本発明に係る権利範囲に含まれることは勿論である。したがって、その程度の範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、本実施例に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
【符号の説明】
【0042】
1・・パチンコ機(遊技機)、26・・センター部材、40・・非電動役物、41・・羽根部材(羽根手段)、42・・本体ケース、43・・検知センサ(検知手段)、44・・錘(付勢手段)、45・・保持突起、46・・保持部材(保持手段)、47・・錘部材(作動手段)、47b・・当接片、48・・流路部材(作動手段)、49・・傾動軸、50・・ガイド軸(ガイド部)、51・・保持部、56・・検知部、59・・軸孔、60・・ガイド孔、60a・・ロック部、90・・コイルバネ、91・・当接壁(当接部)。