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特許7274737流体通流装置及びそれに用いられる配管部材
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  • 特許-流体通流装置及びそれに用いられる配管部材 図1
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  • 特許-流体通流装置及びそれに用いられる配管部材 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】流体通流装置及びそれに用いられる配管部材
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/22 20060101AFI20230510BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
F28F9/22
F28D9/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019103929
(22)【出願日】2019-06-03
(65)【公開番号】P2020197348
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】594185097
【氏名又は名称】伸和コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】守屋 亮
(72)【発明者】
【氏名】三塚 賓也
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-180876(JP,A)
【文献】実開昭54-070156(JP,U)
【文献】特開2013-139949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/22
F28D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器で熱交換が行われたブライン又は水を通流させる流路を備え、
前記流路は、前記熱交換器の下流側に、前記ブライン又は前記水を流出させる前記熱交換器の出口部の流路断面積よりも大きい流路断面積を有する拡大管を含む配管部材を備え
前記拡大管は円筒状であり、前記熱交換器の出口部と同軸状に前記熱交換器の出口部と接続され、
前記拡大管における前記熱交換器の出口部に接続される端部とは反対の端部は閉塞されており、
前記配管部材は、前記拡大管の中心軸線に交差する方向に延びる流出管をさらに含み、
前記流出管の流路断面積は、前記拡大管の流路断面積よりも小さく、
前記ブライン又は前記水は、前記拡大管から前記流出管へ流れる、流体通流装置。
【請求項2】
前記熱交換器の出口部は円筒状又は円形の穴であり
前記拡大管の直径は、前記熱交換器の出口部の直径の1.1倍以上である、請求項1に記載の流体通流装置。
【請求項3】
前記拡大管の直径は、前記熱交換器の出口部の直径の1.4倍以上2.2倍以下である、請求項1に記載の流体通流装置。
【請求項4】
前記流出管は、前記拡大管の中心軸線に対して90度の角度をなす、請求項1乃至3のいずれかに記載の流体通流装置。
【請求項5】
前記流出管は、U字状に形成されている、請求項1乃至4のいずれかに記載の流体通流装置。
【請求項6】
前記配管部材は、それぞれの上流側端部が前記拡大管の外周面に接続される複数の前記流出管を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の流体通流装置。
【請求項7】
前記配管部材は、前記拡大管の中心軸線の方向に並ぶように接続される2つの前記流出管を含むとともに、前記拡大管の内部の温度を検出する温度センサを含み、
前記温度センサは、前記拡大管の中心軸線の方向における2つの前記流出管の間の中位置に設けられ、前記拡大管の内部の温度を検出する、請求項1乃至6のいずれかに記載の流体通流装置。
【請求項8】
前記配管部材は、前記流出管として、2つの前記流出管のみを含む、請求項7に記載の流体通流装置。
【請求項9】
前記配管部材は、前記熱交換器の出口部と前記拡大管とを接続する入口管をさらに含む、
請求項1乃至のいずれかに記載の流体通流装置。
【請求項10】
前記配管部材は、前記拡大管の中心軸線が水平方向と平行になるように配置される、請求項1乃至のいずれかに記載の流体通流装置。
【請求項11】
前記熱交換器に前記ブライン又は前記水を流入させる前記熱交換器の入口部は、前記熱交換器の出口部よりも上方に位置する、請求項10に記載の流体通流装置。
【請求項12】
前記熱交換器は、プレート式熱交換器である、請求項1乃至11のいずれかに記載の流体通流装置。
【請求項13】
請求項7又は8に記載の流体通流装置と、
前記温度センサが検出する温度に応じて、前記熱交換器に接続される温調媒体通流装置の流量調整弁の開度を制御する温度制御部と、を備える、温調システム。
【請求項14】
熱交換器で熱交換が行われたブライン又は水を通流させる流路の一部を構成する配管部材であって、
前記ブライン又は前記水を流出させる前記熱交換器の出口部の流路断面積よりも大きい流路断面積を有する拡大管を備え、
前記拡大管は円筒状であり、前記熱交換器の出口部と同軸状に前記熱交換器の出口部と接続され、
前記拡大管における前記熱交換器の出口部に接続される端部とは反対の端部は閉塞されており、
前記配管部材は、前記拡大管の中心軸線に交差する方向に延びる流出管をさらに含み、
前記流出管の流路断面積は、前記拡大管の流路断面積よりも小さく、
前記ブライン又は前記水は、前記拡大管から前記流出管へ流れる、配管部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器で温調した流体を温調対象側に通流させる流体通流装置及びそれに用いられる配管部材に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器で温調した流体により温調対象を温調する装置が従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示される装置では、ポンプで通流させたブラインを熱交換器に通し、その後、複数の温調対象側に送るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-190905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような装置では、通流させる流体の流量が大きい場合に、熱交換後の流体の温度にバラツキが生じ易くなる。このような温度のバラツキは、温調対象に対する温調精度の低下を招き得る。なお、熱交換後の流体をさらにヒータ等により目標の温度に制御し温調精度の低下を抑制してもよいが、この場合には、装置の複雑化や製造コストの増加が生じる場合がある。
【0005】
本発明は上記実情を考慮してなされたものであり、熱交換器から流出して温調対象側に流れる流体の温度のバラツキを簡易的に抑制することができる流体通流装置及びそれに用いられる配管部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる流体通流装置は、熱交換器で熱交換が行われた流体を通流させる流路を備え、前記流路は、前記熱交換器の下流側に、前記流体を流出させる前記熱交換器の出口部の流路断面積よりも大きい流路断面積を有する拡大管を含む配管部材を備える。
【0007】
前記熱交換器の出口部は円筒状又は円形の穴であり、前記拡大管は円筒状であり、前記拡大管の直径は、前記熱交換器の出口部の直径の1.1倍以上でもよい。
【0008】
前記拡大管の直径は、前記熱交換器の出口部の直径の1.4倍以上2.2倍以下でもよい。
【0009】
前記配管部材は、前記拡大管の中心軸線に交差する方向に延びる流出管をさらに含み、前記流体は、前記拡大管から前記流出管へ流れてもよい。
【0010】
前記流出管の流路断面積は、前記拡大管の流路断面積よりも小さくてもよい。
【0011】
前記流出管は、前記拡大管の中心軸線に対して90度の角度をなしてもよい。
【0012】
前記流出管は、U字状に形成されてもよい。
【0013】
前記配管部材は、複数の前記流出管を含んでもよい。
【0014】
前記配管部材は、前記拡大管の中心軸線の方向に並ぶように接続される2つの前記流出管を含むとともに、前記拡大管の内部の温度を検出する温度センサを含み、前記温度センサは、前記拡大管の中心軸線の方向における2つの前記流出管の間の中心位置上で、前記拡大管の内部の温度を検出してもよい。
【0015】
前記配管部材は、前記熱交換器の出口部と前記拡大管とを接続する入口管をさらに含んでもよい。
【0016】
前記配管部材は、前記拡大管の中心軸線が水平方向と平行になるように配置されてもよい。
【0017】
前記熱交換器は、プレート式熱交換器であってもよい。
【0018】
また、本発明にかかる配管部材は、熱交換器で熱交換が行われた流体を通流させる流路の一部を構成する配管部材であって、前記流体を流出させる前記熱交換器の出口部の流路断面積よりも大きい流路断面積を有する拡大管を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、熱交換器から流出して温調対象側に流れる流体の温度のバラツキを簡易的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態にかかる流体通流装置を備える温調システムの概略図である。
図2図1に示す流体通流装置が備える熱交換器と配管部材(下流側主配管部材)との接続状態を示す図である。
図3図2の矢印IIIの方向に熱交換器と配管部材(下流側主配管部材)を見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、添付の図面を参照して本発明の一実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態にかかる流体通流装置1を備える温調システムSの概略図である。温調システムSは、流体を通流させる流体通流装置1と、流体通流装置1が通流させる流体を温調するための媒体を通流させる温調媒体通流装置2と、温調媒体通流装置2を制御する温調制御部3と、を備えている。
【0023】
流体通流装置1は、流体を通流させる流路10と、流路10が通流させる流体と温調媒体通流装置2が通流させる媒体とを熱交換させる熱交換器20と、を備え、熱交換器20によって温調された流体により温調対象T1,T2を温調するようになっている。本実施の形態では、流路10が熱交換器20の下流側で二又に分岐しており、流体は第1温調対象T1と第2温調対象T2とに別々に送られる。
【0024】
流体通流装置1が流路10で通流させる流体は、本実施の形態では液体であり、より具体的にはブラインである。ただし、流路10で通流させる流体は、水等であってもよい。
【0025】
流路10は、流体の流れ方向に見て、熱交換器20の上流側に配置される上流側流路10Uと、熱交換器20の下流側に配置される下流側流路10Dと、を有する。
【0026】
上流側流路10Uの下流端は、熱交換器20の流体入口部20Aに接続され、上流側流路10Uの上流端は、第1温調対象T1に対する温調を完了した流体を受け入れる第1上流端と、第2温調対象T2に対する温調を完了した流体を受け入れる第2上流端と、を含む。
【0027】
下流側流路10Dの上流端は、熱交換器20の流体出口部20Bに接続され、下流側流路10Dの下流端は、熱交換器20で温調された流体を第1温調対象T1側に供給する第1下流端と、熱交換器20で温調された流体を第2温調対象T2側に供給する第2下流端と、を含む。
【0028】
上流側流路10Uは、本実施の形態において、タンク11と、タンク11と熱交換器20との間に配置される上流側主配管部材12と、タンク11と第1温調対象T1との間に配置される第1戻し配管部材13と、タンク11と第2温調対象T2との間に配置される第2戻し配管部材14と、を有する。
【0029】
タンク11は流体通流装置1で通流させる流体を貯留可能である。上流側主配管部材12上には、流体を通流させるための駆動力を発生されるポンプ15が設けられている。なお、ポンプ15の設置位置は特に限られるものではなく、例えば下流側流路10D側に設けられてもよい。
【0030】
下流側流路10Dは、熱交換器20の流体出口部20Bに接続される下流側主配管部材16と、下流側主配管部材16と第1温調対象T1との間に配置される第1供給配管部材17と、下流側主配管部材16と第2温調対象T2との間に配置される第2供給配管部材18と、を有する。ここで、本発明でいう配管部材は、下流側主配管部材16に対応するものである。
【0031】
熱交換器20は、上述したように上流側流路10Uの下流端が接続される流体入口部20A及び下流側流路10Dの上流端が接続される流体出口部20Bを有する。さらに熱交換器20は、温調媒体通流装置2が通流させる媒体を受け入れる媒体入口部20C及び流体通流装置1側の流体との熱交換を完了した媒体を流出させる媒体出口部20Dを有している。
【0032】
本実施の形態において、熱交換器20は液冷のプレート式熱交換器として構成されているが、熱交換器20はシェルアンドチューブ式熱交換器でもよいし、空冷の熱交換器であってもよい。
【0033】
温調媒体通流装置2は、熱交換器20の媒体入口部20Cに接続される上流側流路31と、熱交換器20の媒体出口部20Dに接続される下流側流路32と、上流側流路31に設けられた流量調整弁33と、を有している。流量調整弁33の形式は特に限られるものではないが、本実施の形態ではモータバルブが採用されている。
【0034】
温調媒体通流装置2が通流させる媒体は液体であり、具体的には水であるが、特に限られるものではなく、ブラインであってもよい。なお、温調媒体通流装置2が通流させる媒体は気体、例えば空気であってもよく、この場合、熱交換器20は空冷の熱交換器であってもよい。
【0035】
温調制御部3は、温調媒体通流装置2の流量調整弁33に電気的に接続されるとともに、下流側主配管部材16に設けられた温度センサ19に電気的に接続されている。温調制御部3は、温度センサ19が検出する下流側主配管部材16内の流体の温度に応じて流量調整弁33の開度を制御し、温度センサ19が検出する温度が目標の温度となるように温調媒体通流装置2から熱交換器20に供給する媒体の流量を調整する。
【0036】
温調制御部3は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えるコンピュータで構成され、記憶されたプログラムに従い、温度センサ19からの温度情報に基づいて流量調整弁33の開度を制御してもよい。
【0037】
次に、下流側主配管部材16について詳しく説明する。図2は流体通流装置1が備える熱交換器20と下流側主配管部材16との接続状態を示す図であり、図3図2の矢印IIIの方向に熱交換器20と下流側主配管部材16を見た図である。
【0038】
図2及び図3に示すように、本実施の形態にかかる下流側主配管部材16は、熱交換器20の流体出口部20Bの流路断面積よりも大きい流路断面積を有する拡大管161と、流体出口部20Bと拡大管161とを接続する入口管162と、拡大管161の中心軸線Cに交差する方向に延びる第1流出管163及び第2流出管164と、を備えている。
【0039】
熱交換器20は、一対の長方形状のカバー21の間に積層される複数の長方形状のプレート22を備え、複数のプレート22は、自身の中の隣り合うプレート22によって流体通流装置1が通流させる流体の流路又は温調媒体通流装置2が通流させる媒体の流路を形成し、積層方向に、流体通流装置1が通流させる流体の流路と温調媒体通流装置2が通流させる媒体の流路とを交互に形成している。
【0040】
図2に示すように、流体入口部20A及び流体出口部20Bは、筒状、具体的に円筒状であり、一対のカバー21のうちの一方のカバー21から突出するように設けられている。流体入口部20Aに流入した流体は、複数のプレート22中における対応する複数の流路を通過して、流体出口部20Bから流出する。なお、図2においては、媒体入口部20C及び媒体出口部20Dが視認できない状態になっているが、これら媒体入口部20C及び媒体出口部20Dも上記一方のカバー21から突出するように設けられる。本実施の形態では、熱交換器20が向流型であり、流体入口部20Aと媒体出口部20Dが同じ側に配置され、流体出口部20Bと媒体入口部20Cが同じ側に配置されるが、熱交換器20は並流型でもよい。
【0041】
流体出口部20Bの流路断面積は、筒状の流体出口部20Bの中心軸線に直交する面における流体出口部20Bの断面積を意味する。また、拡大管161は、筒状、具体的に円筒状であり、拡大管161の流路断面積は、拡大管161の中心軸線に直交する面における拡大管161の断面積を意味する。なお、流体出口部20Bは、例えば円形の穴で形成されてもよい。
【0042】
本実施の形態では、流体出口部20Bと、入口管162と、拡大管161とが同軸状に接続されており、入口管162は拡大管161の軸方向における一端部に接続され、拡大管161の他端部は閉塞されている。したがって、流体出口部20Bから流出した流体は、拡大管161の中心軸線Cに沿って拡大管161まで流れ、その後、中心軸線Cに対して向きを変えて第1流出管163及び第2流出管164へ流れることになる。
【0043】
図2において、符号D1は流体出口部20Bの直径を示し、符号D2は拡大管161の直径を示している。拡大管161の直径D2は、流体出口部20Bの直径D1の1.1倍以上であることが好ましく、1.4倍以上2.2倍以下であることがより好ましい。本実施の形態では、一例として、直径D1が42.7mmであり、直径D2が76.3mmであるが、それぞれの寸法は特に限られるものではない。
【0044】
拡大管161は流体出口部20Bから流出した流体の流速を低下させるために設けられている。直径D2が直径D1の1.1倍以上であると、流体の流速を大きく低下させることができ、1.4倍以上であると、流体の流速を確実に大きく低下させることができる。一方で、直径D2が直径D1よりも過剰に大きいと、過剰に流速が低下して流体が下流側に流れ難くなったり、拡大管161が大きくなって周辺の部材にスペースの制約を与えたりする。そのため、直径D2は直径D1よりも過剰に大きいことは望ましくなく、直径D1の2.2倍以下程度であることが望ましい。
【0045】
また本実施の形態では、拡大管161の中心軸線Cが水平方向と平行になるように下流側主配管部材16が配置されている。これに対し、熱交換器20は、プレート22の長手方向が上下方向に沿うように配置され、流体入口部20A及び流体出口部20Bが上下方向に並ぶ。流体入口部20Aは流体出口部20Bよりも上方に位置している。なお、下流側主配管部材16及び熱交換器20の配置構成は、実施の形態の態様に限られるものではない。
【0046】
一方で、第1流出管163及び第2流出管164は、拡大管161の外周面に接続され、当該外周面から突出するように設けられている。
【0047】
詳しくは、第1流出管163及び第2流出管164はそれぞれ、拡大管161の中心軸線Cに対して90度の角度をなす。なお、第1流出管163及び第2流出管164が拡大管161の中心軸線Cに対して傾斜する角度は特に限られるものではない。また、第1流出管163及び第2流出管164は拡大管161の外周面に接続される態様に限られるものではなく、入口管162が接続される拡大管161の軸方向における一端部とは反対側の他端部に接続されてもよい。この場合、第1流出管163及び第2流出管164は、拡大管161の中心軸線Cの方向と同じ方向に延びてもいてもよい。
【0048】
また図3に示すように、本実施の形態における第1流出管163及び第2流出管164はそれぞれの上流側端部を拡大管161の外周面に水平方向に沿って接続している。第1流出管163及び第2流出管164はU字状であることで、拡大管161の外周面から下方に湾曲して延び、それぞれの下流側端部を水平方向に沿って開放させている。なお、このような第1流出管163及び第2流出管164の形状も特に限られるものではなく、例えばストレート形状でもよい。
【0049】
また本実施の形態では、第1流出管163の流路断面積及び第2流出管164の流路断面積がともに、拡大管161の流路断面積よりも小さい。しかしながら、このような関係も実施の形態の態様に限られるものでない。
【0050】
また図2及び図3において、符号165は拡大管161に設けられた温度センサ19のセンサ取付用孔を示している。センサ取付用孔165は、拡大管161の中心軸線Cの方向における第1流出管163と第2流出管164との間の中間位置に設けられ、中心軸線Cに対する径方向に拡大管161から開口している。
【0051】
温度センサ19はセンサ取付用孔165に挿入された後、センサ取付用孔165内で保持される。これにより、温度センサ19は拡大管161の中心軸線Cの方向における2つの第1流出管163と第2流出管164と間の中心位置上で、拡大管161の内部、つまり拡大管161の内部の流体の温度を検出するようになっている。
【0052】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0053】
温調システムSによって第1温調対象T1及び第2温調対象T2を温調する際には、流体通流装置1のポンプ15が駆動され、流体が流路10において通流される。また、温調媒体通流装置2においても媒体が通流され、媒体は熱交換器20に供給される。そして、熱交換器20において、流体通流装置1が通流させる流体と温調媒体通流装置2が通流させる媒体との熱交換が行われる。
【0054】
このとき、流体通流装置1では、熱交換器20の流体出口部20Bから流出した流体が拡大管161に流入した際に流体の流速が低下するとともに流れ方向が変化することで、拡大管161内に時間差をもって流入した流体が混合される。これにより、熱交換後の流体の温度が部分的に或いは一過的に所望の温度と相違するような状況が生じた場合であっても、拡大管161内の流体の温度は所望の値に近づくようになる。
【0055】
以上により本実施の形態にかかる流体通流装置1によれば、熱交換器20から流出して温調対象(T1,T2)側に流れる流体の温度のバラツキを簡易的に抑制することができる。
【0056】
また、下流側主配管部材16は拡大管161の中心軸線Cに交差する方向に延びる流出管(163,164)をさらに含み、流体が拡大管161から流出管(163,164)へ流れる。この場合、拡大管161内における流体の滞留時間を長くすることが可能となるため、拡大管161内に時間差をもって流入した流体を十分に混合させることができる。これにより、温調対象(T1,T2)側に流れる流体の温度のバラツキを効果的に抑制することができるようになる。
【0057】
また、流出管(163,164)の流路断面積は拡大管161の流路断面積よりも小さい。この場合、拡大管161の流路断面積と流出管(163,164)の流路断面積とが同じ場合よりも、拡大管161内における流体の滞留時間が長くなり得るため、拡大管161内に時間差をもって流入した流体をより十分に混合させることが可能となる。これによっても、温調対象(T1,T2)側に流れる流体の温度のバラツキをより効果的に抑制することができるようになる。
【0058】
また、流出管(163,164)は拡大管161の中心軸線Cに対して90度の角度をなす。この場合、拡大管161内で流体が受ける圧損の過度の上昇を抑えつつ、拡大管161内における流体の滞留時間を長くすることができる。
【0059】
また、流出管(163,164)はU字状に形成されている。この場合も、拡大管161内における流体の滞留時間が長くなり得るため、拡大管161内に時間差をもって流入した流体をより十分に混合させることが可能となる。したがって、温調対象(T1,T2)側に流れる流体の温度のバラツキをより効果的に抑制することができるようになる。
【0060】
また、下流側主配管部材16は複数、具体的に2つの第1流出管163及び第2流出管164を含んでいる。この場合も、拡大管161内における流体の滞留時間が長くなり得るため、拡大管161内に時間差をもって流入した流体をより十分に混合させることが可能となる。また、温度のバラツキが抑制された流体を複数の温調対象に供給できる。
【0061】
また、下流側主配管部材16は拡大管161の中心軸線Cの方向に並ぶように接続される2つの第1流出管163及び第2流出管164を含むとともに、拡大管161の内部の温度を検出する温度センサ19を含む。そして、温度センサ19は、拡大管161の中心軸線Cの方向における2つの流出管163,164の間の中心位置上で、拡大管161の内部の温度を検出するようになっている。
【0062】
この場合、拡大管161によって温度のバラツキの影響が抑制された流体の温度を温度センサ19により検出できる。そして、温度センサ19で検出した温度に応じて熱交換器20の制御を行うことで、熱交換器20における流体の温調精度が向上し、温調対象T1,T2に所望の温度の流体を安定的に供給することができるようになる。
【0063】
また、下流側主配管部材16は拡大管161の中心軸線Cが水平方向と平行になるように配置される。この場合、拡大管161内で流体が受ける圧損の抑制と、拡大管161内での流体の好適な混合とのバランスが良好となる。
【0064】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、上述の実施の形態には種々の変更が加えられてもよい。
【符号の説明】
【0065】
S…温調システム、1…流体通流装置、2…温調媒体通流装置、3…温調制御部、10…流路、10U…上流側流路、10D…下流側流路、11…タンク、12…上流側主配管部材、13…第1戻し配管部材、14…第2戻し配管部材、15…ポンプ、16…下流側主配管部材、161…拡大管、162…入口管、163…第1流出管、164…第2流出管、17…第1供給配管部材、18…第2供給配管部材、19…温度センサ、20…熱交換器、20A…流体入口部、20B…流体出口部、20C…媒体入口部、20D…媒体出口部、21…カバー、22…プレート、3…温調制御部、31…上流側流路、32…下流側流路、33…流量調整弁、T1…第1温調対象、T2…第2温調対象、C…拡大管の中心軸線
図1
図2
図3