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特許7274751液体用フィルタ及びこの液体用フィルタを用いた液体濾過装置
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  • 特許-液体用フィルタ及びこの液体用フィルタを用いた液体濾過装置 図1
  • 特許-液体用フィルタ及びこの液体用フィルタを用いた液体濾過装置 図2
  • 特許-液体用フィルタ及びこの液体用フィルタを用いた液体濾過装置 図3
  • 特許-液体用フィルタ及びこの液体用フィルタを用いた液体濾過装置 図4
  • 特許-液体用フィルタ及びこの液体用フィルタを用いた液体濾過装置 図5
  • 特許-液体用フィルタ及びこの液体用フィルタを用いた液体濾過装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】液体用フィルタ及びこの液体用フィルタを用いた液体濾過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/07 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
B01D29/06 510A
B01D29/06 510D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020061956
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021159819
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】593208751
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(74)【代理人】
【識別番号】100094156
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 民安
(72)【発明者】
【氏名】永井 規夫
(72)【発明者】
【氏名】八神 祐介
(72)【発明者】
【氏名】牧 征幸
【審査官】谷本 怜美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-063743(JP,A)
【文献】実開昭63-073114(JP,U)
【文献】実開昭62-079520(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第102006047030(DE,A1)
【文献】特開2017-202451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-35/05
B01D 35/10-37/04
B01D 39/00-39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側面から外側面に亘って液体を通過させる濾紙からなるフィルタ本体と、このフィルタ本体に固定された複数のスペーサとを備えてなる液体用フィルタであって、
上記フィルタ本体には、
平面形状は略方形状に成形され、中央には濾過される液体が流入するとともに略方形状に成形された液体流入空間と、
正面及び背面並びに左側面及び右側面の外側に露出し、それぞれ高さ方向と直交する方向に長さを有するとともに高さ方向にそれぞれ並列してなる山折り部と、
上記それぞれの山折り部と山折り部との間に形成され、一部は上記液体流入空間を形成するとともに、該山折り部の長さと同じか又は短い長さとされた谷折り部と、
上記液体流入空間の角部から外側方向に形成され、該液体流入空間の中央を中心に放射方向に長さを有する傾斜折り部と、
これらの傾斜折り部の何れかを一辺としてなりそれぞれ平面視において三角形状とされたポケット部と、を備え、
上記スペーサは、上記濾紙の内側面で且つ上記傾斜折り部の近傍であって上記それぞれのポケット部の内部にそれぞれ固定されてなることを特徴とする液体用フィルタ。
【請求項2】
前記スペーサは、それぞれ前記傾斜折り部の長さ方向に平行とされた状態で複数配置されてなるとともに、同一平面上に固定されたスペーサとスペーサとの間には、液体が通過する通過空間が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の液体用フィルタ。
【請求項3】
前記左側面又は右側面に露出した山折り部と山折り部との間に形成され前記液体流入空間側に面したそれぞれの谷折り部(以下、これらの谷折り部を「一方の各谷折り部と言う。)の左右両端と、前記正面又は背面に露出した山折り部と山折り部との間に形成され前記液体流入空間側に面したそれぞれの谷折り部及び前記背面に露出した山折り部と山折り部との間に形成され前記液体流入空間側に面したそれぞれの谷折り部(以下、これらの谷折り部を「他方の各谷折り部」と言う。)とは、前記液体用フィルタの平面視において各々互いに離間してなるとともに、
これら離間した上記一方の各谷折り部の左右両端には、濾過される液体が前記ポケット部方向に流入する流入口が形成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の何れかの液体用フィルタ。
【請求項4】
方形状に成形された底板と、この底板の各辺からそれぞれ起立してなり液体が外側に流出する複数の開口が形成された側板と、中央に液体が流入する管体が固定され上記底板に対向した状態で固定される天板と、を備えたフィルタケースと、このフィルタケース内に収容された前記請求項1ないし3記載の何れかの液体用フィルタと、を備えてなることを特徴とする液体濾過装置。
【請求項5】
前記天板の下面には板状のパッキンが配置されてなり、
前記それぞれのスペーサの配置位置は、前記液体用フィルタの平面視においてそれぞれ同一の位置とされてなるとともに、該スペーサは弾力性を有する素材からなることを特徴とする請求項4記載の液体濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、オイル等の液体に含まれたスラッジ等の異物を濾過するためにフィルタケース内に収容されて使用される液体用フィルタ及びこの液体用フィルタを用いた液体濾過装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記液体用フィルタとしては、これまで多種多様なものが提案されているが、例えば、実開平2-44802号公報(特許文献1)に開示された液体用フィルタは、略方形状に成形された濾紙を、山折り部と谷折り部とが交互に縦方向に連続してなるように折曲してなるものであり、中央には濾過される前の液体が流入する空間を備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平2-44802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された液体用フィルタでは、内側に形成された谷折り部の上下方向から外側に形成された山折り部の内側まで液体が十分行き渡らない場合が多い。特に、上記山折り部や谷居り部が多数形成されている場合には、該液体用フィルタの中途部よりも下側においては、谷折り部側から山折り部側までの間が極めて狭い間隔となってしまい、該液体用フィルタ全体で均一に濾過されない事態が発生する。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来の液体用フィルタやこの液体用フィルタを用いた液体濾過装置が有する課題を解決するために提案されたものであって、液体用フィルタ全体で濾過される部位が中途部より上方に偏ることなく全体で均一に濾過することができる新規な液体用フィルタ及びこの液体用フィルタを用いた液体濾過装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、内側面から外側面に亘って液体を通過させる濾紙からなるフィルタ本体と、このフィルタ本体に固定された複数のスペーサとを備えてなる液体用フィルタであって、上記フィルタ本体には、平面形状は略方形状に成形され、中央には濾過される液体が流入するとともに略方形状に成形された液体流入空間と、正面及び背面並びに左側面及び右側面の外側に露出し、それぞれ高さ方向と直交する方向に長さを有するとともに高さ方向にそれぞれ並列してなる山折り部と、上記それぞれの山折り部と山折り部との間に形成され、一部は上記液体流入空間を形成するとともに、該山折り部の長さと同じか又は短い長さとされた谷折り部と、上記液体流入空間の角部から外側方向に形成され、該液体流入空間の中央を中心に放射方向に長さを有する傾斜折り部と、これらの傾斜折り部の何れかを一辺としてなりそれぞれ平面視において三角形状とされたポケット部と、を備え、上記スペーサは、上記濾紙の内側面で且つ上記傾斜折り部の近傍であって上記それぞれのポケット部の内部にそれぞれ固定されてなる特徴とするものである。
【0007】
この第1の発明に係る液体用フィルタでは、上記液体流入空間内に濾過される液体が流入すると、谷折り部側から山折り部側に濾過される液体が移動するとともに濾紙を通過して外部に流出され、液体に含まれた異物は濾紙の内側で補足される。この際、この第1の発明に係る液体用フィルタでは、上記濾紙の内側面であって、上記傾斜折り部の近傍であって上記それぞれのポケット部の内部にスペーサがそれぞれ固定されていることから、上記液体は、それぞれのスペーサにより互いに離間した濾紙と濾紙との間を通過して上記各ポケット内に効果的に流入する。したがって、この第1の発明に係る液体用フィルタによれば、高さ方向に強く圧縮された場合であっても、上記ポケット内に液体が流入せず濾過されない事態を有効に解消し、濾紙全体において均一に濾過することが可能となる。特に、長尺な濾紙を材料として使用し、高さ方向に多数の山折り部や谷折り部が形成され該濾紙の自重又は液体の内圧等によって、上下に対向する濾紙が部分的に圧接された場合であっても、上記スペーサにより必ず濾紙同士の空間(上記ポケット部内の空間)を保持することができ、濾紙全体で効果的且つ均一な濾過を実現することができる。換言すれば、こうした構成に係る液体用フィルタによれば、濾過する液体の性質やこの液体用フィルタが収容された液体濾過装置が設置される環境に応じて、高さ方向に並列した状態で形成される山折り部や谷折り部の数は自由に決定することができる。
【0008】
なお、上記スペーサは、少なくとも上記濾紙の内側面で且つ上記傾斜折り部の近傍であって上記それぞれのポケット部の内部にそれぞれ固定されているという条件を満たす限り、その材料や形状、或いはその長さ、配置される数、配置されたスペーサの方向等は特に限定されるものではない。例えば、上記スペーサは、上記条件を満たす限りにおいて、円盤状に形成されたり、長方形状に成形されたりしたものであっても良く、また、特定の傾斜折り部の近傍であって同一平面上に複数のスペーサを固定する場合には、それぞれのスペーサは該傾斜折り部の長さ方向に沿って固定されたものであっても良い。また、それぞれのスペーサは、上記傾斜折り部の長さ方向に平行に固定する必要性はなく、該傾斜折り部の長さ方向とは傾斜した状態で固定し、それぞれのスペーサにより液体がポケット部内にガイドされるようにしたものであっても良い。なお、上記スペーサの肉厚(高さ)は、互いに対向する濾紙と濾紙との間(上記ポケット部の入り口近傍)から液体が流入し得る程度のものであれば良く、したがって濾紙の肉厚以上であれば良く、逆に該スペーサの肉厚(高さ)が厚い(高い)場合には、山折り部や谷折り部の数を不必要に減少させた液体用フィルタを所定のフィルタケースに収容しなければならず、長期間に亘って使用することが阻害される結果となることから、これらを総合的に検討して決定されることが望ましい。またさらに、上記スペーサの配置位置は、平面視においてそれぞれ同一の位置としても良い(請求項3記載の発明参照)が、特定の位置に固定された特定のスペーサに対して、上方又は下方では該特定のスペーサの固定位置をずらせて他のスペーサを固定したものであっても良い。例えば、特定のスペーサの下方に固定される他のスペーサは、当該特定のスペーサとは固定位置を変えて他のスペーサを固定し、この他のスペーサの更に下方に固定されるスペーサの固定位置を上記特定のスペーサの固定位置とするように、上下においてそれぞれのスペーサの固定位置を変更した場合には、この液体用フィルタ全体を圧縮した場合における全長を短くすることが可能となる。
【0009】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記スペーサは、それぞれ前記傾斜折り部の長さ方向に平行とされた状態で複数配置されてなるとともに、同一平面上に固定されたスペーサとスペーサとの間には、液体が通過する通過空間が形成されてなることを特徴とするものである。
【0010】
この第2の発明に係る液体用フィルタでは、上記複数のスペーサにより互いに対向する濾紙と濾紙との間の空間(上記ポケット部の入り口近傍)が所定距離に亘って保持されるばかりではなく、このポケット部の入り口近傍に至った液体は、上記スペーサとスペーサとの間の上記通過空間を通過し、上記ポケット部内に流入する。したがって、この第2の発明に係る液体用フィルタによる場合であっても、上記スペーサにより必ず濾紙同士の空間(上記ポケット内の空間)を保持することができ、濾紙全体で効果的且つ均一な濾過を実現することができる。
【0011】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかにおいて、前記左側面又は右側面に露出した山折り部と山折り部との間に形成され前記液体流入空間側に面したそれぞれの谷折り部(以下、これらの谷折り部を「一方の各谷折り部と言う。)の左右両端と、前記正面又は背面に露出した山折り部と山折り部との間に形成され前記液体流入空間側に面したそれぞれの谷折り部及び前記背面に露出した山折り部と山折り部との間に形成され前記液体流入空間側に面したそれぞれの谷折り部(以下、これらの谷折り部を「他方の各谷折り部」と言う。)とは、前記液体用フィルタの平面視において各々互いに離間してなるとともに、これら離間した上記一方の各谷折り部の左右両端には、濾過される液体が前記ポケット部方向に流入する流入口が形成されてなることを特徴とするものである。
【0012】
この第3の発明に係る液体用フィルタでは、先ず、上記一方の各谷折り部の左右両端と、上記他方の各谷折り部とは、前記液体用フィルタの平面視において互いに離間している。そして、これら離間した上記一方の各谷折り部の左右両端には、濾過される液体が前記ポケット部方向に流入する流入口が形成されている。なお、上記一方の各谷折り部と他方の各谷折り部は、このフィルタ本体の平面視において上記液体流入空間を形成する部位であることから、上記それぞれの流入口は、上記液体流入空間に面した部位に形成されている。したがって、この第3の発明に係る液体用フィルタによれば、上記スペーサによりポケット部を構成する濾紙と濾紙との間隔が所定間隔保持されるばかりではなく、上記流入口が液体流入空間の一部されていることからより、該液体用フィルタが強く圧縮された場合であっても、より一層上記各ポケット部内への液体の流入を促進することができ、極めて効果的な濾過効率を実現することができる。
【0013】
また、第4の発明は、液体濾過装置に係るものであって、方形状に成形された底板と、この底板の各辺からそれぞれ起立してなり液体が外側に流出する複数の開口が形成された側板と、中央に液体が流入する管体が固定され上記底板に対向した状態で固定される天板と、を備えたフィルタケースと、このフィルタケース内に収容された上記第1ないし第3の発明に係る何れかの液体用フィルタと、を備えてなることを特徴とする
ものである。
【0014】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第4の発明において、前記天板の下面には板状のパッキンが配置されてなり、前記それぞれのスペーサの配置位置は、前記液体用フィルタの平面視においてそれぞれ同一の位置とされてなるとともに、該スペーサは弾力性を有する素材からなることを特徴とするものである。
【0015】
この第5の発明に係る液体濾過装置では、前記それぞれのスペーサの配置位置は、前記液体用フィルタの平面視においてそれぞれ同一の位置とされてなることから、該液体用フィルタを前記底板上に収容し、前記蓋体を上方から下方に押圧することにより上記底板に対向した状態で固定されると、それぞれのスペーサは圧縮されるとともに上記液体用フィルタの上面は、上記天板の下面に配置された板状のパッキンに圧接される。したがって、この第5の発明に係る液体濾過装置によれば、上記フィルタケース内に流入した液体が液体用フィルタにより濾過されずに該フィルタケースを構成する側板の開口から外部に流出することを有効に防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
上記第1の発明(請求項1記載の発明)に係る液体用フィルタや第4の発明(請求項4記載の発明)に係る液体濾過装置によれば、上記ポケット内に液体が流入せず濾過されない事態を有効に解消し、濾紙全体において均一に濾過することが可能となる。特に、長尺な濾紙を材料として使用し、高さ方向に多数の山折り部や谷折り部が形成され該濾紙の自重又は液体の内圧等によって、上下に対向する濾紙が部分的に圧接された場合であっても、上記スペーサにより必ず濾紙同士の空間(上記ポケット内の空間)を保持することができ、濾紙全体で効果的且つ均一な濾過を実現することができる。
【0017】
また、上記第2の発明(請求項2記載の発明)に係る液体用フィルタや第5の発明(請求項5記載の発明)に係る液体濾過装置によれば、上記スペーサにより必ず濾紙同士の空間(上記ポケット内の空間)を保持することができ、濾紙全体で効果的且つ均一な濾過を実現することができる。
【0018】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)に係る液体用フィルタや第4の発明(請求項4記載の発明)に係る液体濾過装置によれば、上記スペーサによりポケット部を構成する濾紙と濾紙との間隔が所定間隔保持されるばかりではなく、上記流入口が形成されていることからより、一層上記各ポケット部内への液体の流入を促進することができ極めて効果的な濾過効率を実現することができる。
【0019】
また、上記第5の発明(請求項5記載の発明)に係る液体濾過装置では、それぞれのスペーサの弾性力により上記液体用フィルタの上面は、上記天板の下面に配置された板状のパッキンに圧接されることから、上記フィルタケース内に流入した液体が液体用フィルタにより濾過されずに該フィルタケースを構成する側板の開口から外部に流出することを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】液体濾過装置を示す分解斜視図である。
図2】フィルタ本体を構成する一方及び他方のフィルタ半体の展開図である。
図3】フィルタ本体を伸長させて状態を示す正面図である。
図4】フィルタ本体を伸長させて状態を示す側面図である。
図5】液体用フィルタの示す平面図である。
図6】流入口と三角形状のポケット部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係る液体濾過装置を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
この実施の形態に係る液体濾過装置1は、図1に示すように、フィルタケース(符号は省略する。)2と、このフィルタケース2内に収容された液体用フィルタ3と、この液体用フィルタ3の内側に配置された支柱部材4とを備えている。そこで、先ず、上記フィルタケース2に関して説明し、その後に上記液体用フィルタ3に関して詳細に説明する。
【0023】
上記フィルタケース2は、図1に示すように、底板5、4つの側板6及び蓋体7を備えてなるものであり、内部は上記液体用フィルタ3が収容される収容空間とされている。そして、上記底板5は、平面形状が略正方形状に成形されてなるものであり、上記それぞれの側板6は、この底板5の上面の端部からそれぞれ上方に起立してなるものである。なお、上記それぞれの側板6には、液体用フィルタ3により濾過された後の液体が排出される複数の排出用開口6aが形成されている。また、上記蓋体7は、正方形状に成形された平板部7aと、この平板部7aの各端部から垂下してなる4つの垂下板部7bを備えているとともに、上記上側平板部7aの中央には、図示しない円形状の開口が形成され、この開口には、液体流入管8が固定されている。この液体流入管8の上端側は、上記平板部7aの上面よりも上方に突出している。なお、この液体流入管8の上端側は、濾過される液体をこの液体濾過装置1内に供給する図示しないチューブ等の管体の先端が接続される部位である。また、上記蓋体7を構成する平板部7aの裏面には、正方形状に成形されたゴム製又は可撓性を有する樹脂からなり、中央に開口9aが形成されたパッキン9が接着されている。
【0024】
次に、上述した構成に係るフィルタケース1内に収容された液体用フィルタ3について説明する。本実施の形態では、この液体用フィルタ3は、フィルタ本体31(濾紙)と、このフィルタ本体31に固定された複数のスペーサ32とから構成されている。上記フィルタ本体31は、アクリル繊維やポリエステル繊維等の合成繊維等からなる濾紙(不織布)であって、通水性・透水性を有するとともに液体に含まれた異物を捕捉するものであり、図1に示すように、概略的な全体形状は略直方体状に成形されてなるものである。また、このフィルタ本体31は、図5に示すように、平面視における外形形状は、略正方形状に成形されている。そして、このフィルタ本体31は、図2の(A)と(B)にそれぞれ示す長方形状の濾紙を、後述する山折り部、谷折り部、傾斜折り部等が形成されるようにそれぞれ折曲し、次いで、これら折曲された一方及び他方のフィルタ半体3A,3Bの端部同士を互いに溶着することにより、図1に示す形状としたものである。なお、図2にそれぞれ示す一方及び他方のフィルタ半体3A,3Bは、それぞれ該一方及び他方のフィルタ半体3A,3Bの内側面を示すものである。すなわち、図2の(A)は、上記一方のフィルタ半体3Aとなる濾紙の展開図であり、(B)は、上記他方のフィルタ半体3Bとなる濾紙の展開図である。これらの展開図において、上記一方のフィルタ半体3Aの長さ方向の左右両側には、それぞれ溶着代部3Aa,3Abが形成され、上記他方のフィルタ半体3Bの長さ方向の左側には、上記溶着代3Abに溶着される溶着部3Baが形成され、該他方のフィルタ半体3Bの長さ方向の右側には、上記溶着代3Aaに溶着される溶着部3Bbが形成されている。
【0025】
また、図2に示す上記一方及び他方のフィルタ半体3A,3Bにおいて、それぞれ符号3aとして示す部位は、左側面側又は右側面側に露出する長尺山折り部であり、これら符号3aと3aとの間に形成されそれぞれ符号3bとして示す部位は、短尺谷折り部であって、図5である液体用フィルタ3の平面図に示すように、この液体用フィルタ3の内側に互いに対向した状態で位置する部位である。なお、上記各短尺谷折り部3bは、本発明を構成する一方の各谷折り部である。また、それぞれ符号3cとして示す部位は傾斜折り部であり、図5に示すように、液体用フィルタ3の中央を中心として放射状に形成された部位である。すなわち、上記各傾斜折り部3cは、図1に示すように、後述する液体流入空間Sの角部から外側方向に形成され、該液体流入空間Sの中央を中心に放射方向に長さを有するものである。また、図2に示す上記一方及び他方のフィルタ半体3A,3Bにおいて、それぞれの符号3d,3eは、上記短尺谷折り部3bよりも長尺な長尺谷折り部であり、これらの長尺谷折り部3d,3eの上方及び下方には、図1又は図3に示すようにこの液体用フィルタ3の正面又は背面に露出する長尺山折り部3f,3gとされている。なお、上記それぞれ長尺谷折り部3d,3eの一部は、図5に示すように、この液体用フィルタ3の平面視において、該液体用フィルタ3の中央に形成された液体流入空間S内側に露出した状態で位置する部位であり、該長尺谷折り部3d,3eのそれぞれは、本発明を構成する他方の各谷折り部である。
【0026】
また、上記それぞれの短尺谷折り部3bと上記長尺谷折り部3d,3eとの間には、図2に示す上記一方及び他方のフィルタ半体3A,3Bにおいて、該短尺谷折り部3bと上記長尺谷折り部3d,3eとは反対方向に折られる短尺山折り部3h,3iが形成されている。これら短尺山折り部3h,3iは上記それぞれ長尺山折り部3aとは直交する方向に長さを有する部位である。また、上記それぞれの長尺谷折り部3dと上記それぞれの短尺山折り部3hとの間には、一方及び他方のフィルタ半体3A,3Bの長さ方向に長さを有する左長尺山折り部3jが形成され、それぞれの長尺谷折り部3eと上記それぞれの短尺山折り部3iとの間には、一方及び他方のフィルタ半体3A,3Bの長さ方向に長さを有する右長尺山折り部3kが互いに平行に形成されている。上記左長尺山折り部3jは、図4に示すように、この液体用フィルタ3の左側面又は右側面に>形状に露出される部位であり、上記右長尺山折り部3kは、<形状に露出される部位である。
【0027】
そして、上述した一方及び他方のフィルタ半体3A,3Bが上述したように折曲されるとともに互いに溶着されてなる液体用フィルタ3には、図2においてそれぞれ示す傾斜折り部3cと、上記短尺山折り部3hに近接する長尺谷折り部3dの一部又は短尺山折り部3iに近接する長尺谷折り部3eの一部と、上記左長尺山折り部3j又は上記右長尺山折り部3jとの3辺により囲まれた三角形状の濾過面3m,3nが形成される。そして、これら三角形状の濾過面3m,3nは、上記長尺谷折り部3d,3eと上記左長尺山折り部3j又は上記右長尺山折り部3kと上記長尺山折り部3f,3gと図2中二点鎖線で示す線とにより囲まれた三角形状の濾過面3p,3qに対向し、該濾過面3m,3nと濾過面3p,3qとは互いに対向した状態となり、且つ、上記短尺山折り部3hや短尺山折り部3i(又は左長尺山折り部3j又は上記右長尺山折り部3k)により閉塞されたポケット部3r,3sとされる。そして、こうしたポケット部3r,3sと同様のポケット部は、この液体用フィルタ3の平面視において、上記4つの傾斜折り部3cを境に全部で4つ形成されている。換言すれば、上記それぞれのポケット部3r,3sを含めたそれぞれのポケット部は、図6に示すように、上記傾斜折り部3cの何れかを一辺としてなりそれぞれ平面視において三角形状とされた部位である。
【0028】
そして、上述した一方及び他方のフィルタ半体3A,3Bが上述したように折曲されるとともに互いに溶着されてなる液体用フィルタ3の中央には、図示しないチューブ等の管体に接続された上記液体流入管8を介して濾過される液体が流入する液体流入空間Sが該液体用フィルタ3の高さ方向に形成され、この液体流入空間Sは、上記互いに対向する長尺谷折り部3d,3eの中央と、上記互いに対向する短尺谷折り部3bとにより形成された空間である。
そして、この実施の形態に係る液体用フィルタ3では、図6に示すように、該液体用フィルタ3の平面視において、互いに対向する上記短尺谷折り部3b、3bの長さは、上記長尺谷折り部3d,3eの一部であって上記液体流入空間S側に露出した部位の長さよりも短くされてなるとともに、該短尺谷折り部3b、3bの左右両側には、上記長尺谷折り部3d,3eとは離間してなり、ポケット部3r,3sを含めたそれぞれのポケット部方向に液体が流入する流入口Hが形成さいる。すなわち、これらの流入口Hは、この液体用フィルタ3の同一平面上において、それぞれ4つ形成されている。
【0029】
そして、この実施の形態に係る液体用フィルタ3では、図6に示すように、上記ポケット部3m,3nを含めた各ポケット部の入り口となる上記各傾斜折り部3cの近傍には、互いに対向する上記濾過面3m,3nと濾過面3p,3qとが重なることを防止し、互いの距離が所定の間隔となるよう保持する複数のスペーサ32が固定されている。これらのスペーサ32の配置位置を展開図で示したものが図2である。これらのスペーサ32は、ウレタン樹脂等の弾力性及び可撓性を有する素材により長方形状に成形されたものであり、上記三角形状の濾過面3m,3nに対して、所定間隔を開けてそれぞれ2つずつ固定されている。これらのスペーサ32は、上記傾斜折り部3cの長さの半分の長さよりも短い長さに成形されてなるものであり、肉厚は略0.5~1.5mm程度とされ、上記傾斜折り部3cに平行に固定されている。また、上記個々のスペーサ32は、この液体用フィルタ3の平面視において(該液体用フィルタ3の高さ方向において)、それぞれ同一位置に固定されている。
【0030】
また、この実施の形態に係る液体濾過装置1には、上記支柱部材4が構成要素とされている。この支柱部材4は、図1に示すように、底板部41と、この底板部41から上方に起立したパイプ状の支柱本体部42と、この支柱本体部42の上端に固定され下面は上記底板部41に対向してなる天板部43とから構成されている。そして、上記底板部41は、正方形状に成形されてなるものであり、上記液体用フィルタ3の中央に形成された液体流入空間の平面視における形状よりも僅かに小さな形状(略相似形)に成形されている。また、上記支柱本体部42は、中空状に成形されてなるものであり、該支柱本体部42の平面視における外形形状は、上記底板部41の外形形状よりも小さな形状(略相似形)に成形されており、それぞれ同一形状に成形された4つの側面を備え、それぞれの側面には、該支柱本体部42の長さ方向と同じ方向に長さを有する開口42aが形成されている。また、上記天板43は、上記底板部41の平面視における形状よりも大きな形状(略相似形)に成形されてなるものであり、中央には濾過される液体が流入する開口43aが形成されている。
【0031】
なお、この実施の形態に係る液体濾過装置1では、図1に示すように、上記液体用フィルタ3の下部には下側シート11が配置されているとともに、該液体用フィルタ3の上部には上側シート12が配置され、さらにこれら下側シート11、液体用フィルタ3及び上側シート12は、上部が開放された袋体13内に収納された状態で、上記フィルタケース2内に収容されている。上記下側シート11及び上側シート12は、何れも上記液体用フィルタ3と同じ濾紙からなるものである一方、上記袋体13は、該液体用フィルタ3(フィルタ本体31)よりもやや目の粗い濾紙からなる。そして、上記下側シート11は、上記液体用フィルタ3の底面の外形形状と同じ形状に成形された略正方形状の主面部11aと、この主面部11aの各辺から外側に延出され、該液体用フィルタ3の最も下部に位置する長尺山折り部3a,3f,3gに沿って該液体用フィルタ3を包むように折り曲げられる4つの折り曲げ片11bが形成されている。また、上記上側シート12は、上記液体用フィルタ3の上面の外形形状と同じ形状に成形された略正方形状の主面部12aと、この主面部12aの各辺から外側に延出され、該液体用フィルタ3の最も上部に位置する長尺山折り部3a,3f,3gに沿って該液体用フィルタ3を包むように折り曲げられる4つの折り曲げ片12bとが形成されている。また、該主面部12aの中央には、上記支柱部材4の天板43に形成された開口43aよりもやや大きな方形状開口12cが形成され、この方形状開口12cの4つの角部から外側には、それぞれスリット12dが形成されている。また、上記袋体13は、図1に示すように、略正方形状に成形された底板部13a及びこの各辺から起立してなる4つの側板部13bから構成されてなり、上部は開放されている。
【0032】
以下、上述した液体濾過装置1を組み立てる方法の一例を簡単に説明する。先ず、上記液体用フィルタ3の下側に上記下側シート11を配置し、上記4つの折り曲げ片11bを折曲することにより、上記長尺山折り部3a,3f,3gに沿って該液体用フィルタ3を包み込み、該下側シート11を液体用フィルタ3と一体化する。また、上記液体用フィルタ3の上部に上記上側シート12を配置するとともに、上記4つの折り曲げ片12bを折曲して該液体用フィルタ3と一体化させる。次いで、こうした状態で液体用フィルタ3及び下側シート11並びに上側シート12全体を上記袋体13内に収納し、その上で、これを上記フィルタケース2内に収容する。その後、上記上側シート12に形成された4つのスリット12cを利用して該上側シート12の内側を上方にめくり上げ、次いで、上記支柱部材4を上方から挿入し、挿入し終えた後に、該支柱部材4を90度回転させ、次いで、めくり上げた部位を元の状態に戻し、次いで、上記蓋体7により上記4つの側板6により形成された開口を閉塞するとともに、該閉塞状態を所定の閉塞保持手段により保持させる。なお、この閉塞保持手段は、図示しないキャッチクリップにより上記側板6と蓋体7とを固定するものや、図示しない複数のベルトをこのフィルタケース2全体に巻回し、所定のバックルにより締め付けたものであっても良い。
【0033】
したがって、上述した液体濾過装置1によれば、図示しないチューブ等の管体から上記液体流入管8を介して濾過される液体が上記支柱本体部42内に流入すると、該支柱本体部42に形成された開口42aから液体用フィルタ3に形成された液体流入空間内に流入するとともに、濾紙からなる上記フィルタ本体31及び上記袋体13を通過するとともに上記フィルタケース2を構成する4つの側板6に形成された複数の排出用開口6aからこの液体濾過装置1の外部に排出される。このとき、上記液体用フィルタ3を構成するフィルタ本体31には、先に説明した複数のスペーサ32が固定されていることから、上述したように閉塞されたポケット部3r,3s内にも効果的に液体が流入し、該フィルタ本体31全体において万遍なく濾過することができ、ひいては長期間に亘って使用することが可能となる。特に、この実施の形態に係る液体濾過装置1では、上記スペーサ32は、フィルタ本体31の平面視においてそれぞれ同一個所に固定されているばかりではなく、それぞれのスペーサ32は弾性を有する素材により成形されてなることから、固定されたスペーサ32全体を圧縮操作することができ、この圧縮操作した状態で上記蓋体7を上記所定の閉塞保持手段により保持させることにより、上記液体用フィルタ3の上面や上側シート12の主面12aの上面は、上記パッキン9の下面に圧接させることができ、濾過されない液体が外部に排出される危険性を有効に防止することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 液体濾過装置
2 フィルタケース
3 液体用フィルタ
3a 長尺山折り部
3b 短尺谷折り部
3c 傾斜折り部
3d,3e 長尺谷折り部
3h,3i 短尺山折り部
3j 左長尺山折り部
3k 右長尺山折り部
3r,3s ポケット部
4 支柱部材
5 底板
6 側板
6a 排出用開口
7 蓋体
31 フィルタ本体(濾紙)
32スペーサ
S 液体流入空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6