(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】放電灯を含む光源装置、照射装置、および放電灯の判定方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230510BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230510BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20230510BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230510BHJP
【FI】
G03F7/20 501
F21S2/00 600
F21Y101:00 100
F21Y101:00 300
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020506403
(86)(22)【出願日】2019-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2019008241
(87)【国際公開番号】W WO2019176600
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2018046077
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510138741
【氏名又は名称】フェニックス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】池田 富彦
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-212041(JP,A)
【文献】特開2013-109144(JP,A)
【文献】特開2016-200751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 9/00
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源となる放電灯と、
前記放電灯が純正品であるかどうかを検出するための白熱灯と、
前記放電灯および前記白熱灯が取り付けられたリフレクタ容器とを備える光源装置であって、
前記放電灯は、外部に設けられた紫外線光源からの、前記放電灯が
発光管の内部に始動性促進物質が封入されていない純正品であるかどうかを検出するための紫外線の照射を受けて点灯することを特徴とする
光源装置。
【請求項2】
光源となる放電灯と、
前記放電灯の始動時において、前記放電灯が
発光管の内部に始動性促進物質が封入されていない純正品であるかどうかを検出するために前記放電灯に対して紫外光を照射する紫外線光源とを備え
ており、
前記紫外線光源は、LEDと、前記LEDに対して直列に接続された白熱灯とを有している
照射装置。
【請求項3】
複数の前記放電灯を備えており、前記紫外線光源は複数の前記放電灯に対して前記紫外光を照射することを特徴とする請求項2に記載の照射装置。
【請求項4】
前記紫外線光源は前記放電灯の近傍に取り付けられており、ひとつの前記紫外線光源は、ひとつの前記放電灯に対して前記紫外光を照射することを特徴とする請求項2に記載の照射装置。
【請求項5】
前記紫外線光源はLEDであることを特徴とする、請求項2から4のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項6】
前記放電灯に点灯用の電力を供給する放電灯用電源と、
前記紫外線光源に点灯用の電力を供給する紫外線光源用電源と、
前記放電灯用電源からの前記電力をオン・オフする放電灯用スイッチと、
前記紫外線光源用電源からの前記電力をオン・オフする紫外線光源用スイッチと、
前記放電灯用スイッチおよび前記紫外線光源用スイッチをオン・オフする機能を有しており、1回目は前記紫外線光源用スイッチをオフにしたままで前記放電灯用スイッチをオンにして、2回目は前記紫外線光源用スイッチをオンにした状態で前記放電灯用スイッチをオンにする制御部と、
1回目および2回目ともに前記放電灯用スイッチをオンにしたときに前記放電灯が点灯した場合は前記放電灯が純正品ではないと判定し、2回目に前記放電灯用スイッチをオンにしたときだけ前記放電灯が点灯した場合は前記放電灯が純正品であると判定する判定部とをさらに備えている、請求項2から
5のいずれか1項に記載の照射装置。
【請求項7】
発光管の内部に始動性促進物質が封入されていない放電灯を純正品と判定する放電灯の判定方法であって、
1回目は、紫外線光源用電源から供給された紫外線光源の点灯用の電力をオン・オフする紫外線光源用スイッチをオフにしたままで、放電灯用電源から供給された放電灯の点灯用の電力をオン・オフする放電灯用スイッチをオンにして、
2回目は、前記紫外線光源用スイッチをオンにした状態で、前記放電灯用スイッチをオンにして、
1回目および2回目ともに前記放電灯用スイッチをオンにしたときに前記放電灯が点灯した場合は前記放電灯が純正品ではないと判定し、2回目に前記放電灯用スイッチをオンにしたときだけ前記放電灯が点灯した場合は前記放電灯が純正品であると判定する
放電灯の判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、プリント配線基板等の露光に用いる光を発する放電灯を含む光源装置、照射装置、および当該放電灯が純正品であるか否かの判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に部品を実装するために樹脂やガラスエポキシ材の基板上に銅等の金属で配線パターンを形成したプリント配線基板が用いられている。これらのプリント配線基板上への配線パターンの形成にはフォトエッチング技術が用いられている。フォトエッチングは、配線となる金属層が全面に形成された基板上全面に、感光性の薬剤であるフォトレジストを塗布し、これに配線パターンと同一のフォトマスクを通して露光装置からの照射光を照射することによって行う。
【0003】
フォトレジストには、照射光によりフォトレジストの溶解性が低下するネガ型フォトレジストと、逆に照射光によりフォトレジストの溶解性が増大するポジ型フォトレジストがある。照射光により溶解性が相対的に増大したフォトレジスト部分を化学処理して取り除き、露出した金属層をエッチングにより除去するとフォトレジストが残った部分の下にある金属層だけが残り、フォトレジストを除去することで配線パターンが基板上に形成される。ポジ型、ネガ型いずれのフォトレジストに照射光を照射する場合でも、照射面全面に亘って均一な露光量を確保するために、光源として、1灯当りの発光量が多い放電灯が使用されている。
【0004】
放電灯は、発光管における気密された内部空間において互いに離間対向して配置された一対の電極同士の間でアーク放電を生じさせることにより、当該内部空間に封入された水銀を励起させて紫外光を発光させるようになっている。
【0005】
放電灯の点灯を開始させるためには、一対の電極同士の間でグロー放電を開始させ、然る後、アーク放電に移行させることになるが、グロー放電を開始させるためには、真空環境下で物理的に離間している電極間で絶縁破壊を生じさせる必要がある。この絶縁破壊を生じさせるためには電極間に高周波の大電圧を印加させる必要があるが、そのような大電圧を印加させる電源装置は非常に高額であり、また、発生させた高周波が周囲の機械の誤動作を誘引する可能性も指摘されている。このため、少しでも低い電圧や低い周波数で放電を開始させるため、つまり放電灯の始動性を高めるために様々な工夫が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、発光管の内部空間にクリプトン85などの始動性促進物質を封入することによって始動性を高める技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、発光管の内部空間にクリプトン85を封入した場合、放電灯の始動性は良好になるものの、当該放電灯を廃棄する際には環境への影響が懸念されるおそれがあった。
【0009】
加えて、クリプトン85が封入されていない放電灯の始動性を高める工夫を施した照射装置を開発した場合、クリプトン85が封入されていない純正品の放電灯に紛れて、クリプトン85が封入された純正品ではない放電灯が照射装置に取り付けられる可能性があり、照射装置にはこのような純正品でない放電灯を排除できるような工夫が求められていた。
【0010】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、放電灯における発光管の内部空間に始動性促進物質を封入しなくても良好な始動性を得ることができ、かつ、その放電灯が純正品か否かを見分けることのできる光源装置、照射装置、および当該放電灯が純正品であるか否かの判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面によれば、
光源となる放電灯と、
前記放電灯が純正品であるかどうかを検出するための白熱灯と、
前記放電灯および前記白熱灯が取り付けられたリフレクタ容器とを備える光源装置であって、
前記放電灯は、外部に設けられた紫外線光源からの、前記放電灯が発光管の内部に始動性促進物質が封入されていない純正品であるかどうかを検出するための紫外線の照射を受けて点灯することを特徴とする
光源装置が提供される。
【0012】
本発明の一局面によれば、
光源となる放電灯と、
前記放電灯の始動時において、前記放電灯が発光管の内部に始動性促進物質が封入されていない純正品であるかどうかを検出するために前記放電灯に対して紫外光を照射する紫外線光源とを備えており、
前記紫外線光源は、LEDと、前記LEDに対して直列に接続された白熱灯とを有している
照射装置が提供される。
【0013】
好適には、前記照射装置は複数の前記放電灯を備えており、前記紫外線光源は複数の前記放電灯に対して前記紫外光を照射する。
【0014】
好適には、前記紫外線光源は前記放電灯の近傍に取り付けられており、ひとつの前記紫外線光源は、ひとつの前記放電灯に対して前記紫外光を照射する。
【0015】
好適には、前記紫外線光源は、LEDである。
【0017】
好適には、前記照射装置は、
前記放電灯に点灯用の電力を供給する放電灯用電源と、
前記紫外線光源に点灯用の電力を供給する紫外線光源用電源と、
前記放電灯用電源からの前記電力をオン・オフする放電灯用スイッチと、
前記紫外線光源用電源からの前記電力をオン・オフする紫外線光源用スイッチと、
前記放電灯用スイッチおよび前記紫外線光源用スイッチをオン・オフする機能を有しており、1回目は前記紫外線光源用スイッチをオフにしたままで前記放電灯用スイッチをオンにして、2回目は前記紫外線光源用スイッチをオンにした状態で前記放電灯用スイッチをオンにする制御部と、
1回目および2回目ともに前記放電灯用スイッチをオンにしたときに前記放電灯が点灯した場合は前記放電灯が純正品ではないと判定し、2回目に前記放電灯用スイッチをオンにしたときだけ前記放電灯が点灯した場合は前記放電灯が純正品であると判定する判定部とをさらに備えている。
【0018】
本発明の他の局面によれば、
発光管の内部に始動性促進物質が封入されていない放電灯を純正品と判定する放電灯の判定方法であって、
1回目は、紫外線光源用電源から供給された紫外線光源の点灯用の電力をオン・オフする紫外線光源用スイッチをオフにしたままで、放電灯用電源から供給された放電灯の点灯用の電力をオン・オフする放電灯用スイッチをオンにして、
2回目は、前記紫外線光源用スイッチをオンにした状態で、前記放電灯用スイッチをオンにして、
1回目および2回目ともに前記放電灯用スイッチをオンにしたときに前記放電灯が点灯した場合は前記放電灯が純正品ではないと判定し、2回目に前記放電灯用スイッチをオンにしたときだけ前記放電灯が点灯した場合は前記放電灯が純正品であると判定する
放電灯の判定方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、放電灯における発光管の内部空間に始動性促進物質を封入しなくても良好な始動性を得ることができ、かつ、その放電灯が純正品か否かを見分けることのできる光源装置、照射装置、および当該放電灯が純正品であるか否かの判定方法を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明が適用された露光機10の一例を示す図である。
【
図2】本発明が適用された照射装置50の一例を示す図である。
【
図3】本発明が適用された照射装置50の一例を示す平面図である。
【
図4】本発明が適用された光源装置100の一例を示す断面図である。
【
図6】本発明が適用された判定装置57の一例を示す図である。
【
図7】変形例1にかかる照射装置50の一例を示す図である。
【
図8】変形例2にかかる光源装置100の一例を示す断面図である。
【
図9】変形例3にかかる光源装置100の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例1)
実施例1では、一例として、本発明が適用された照射装置50をプリント配線基板等の露光を行う露光機10に用いた場合について説明する。もちろん、照射装置50は露光機10だけでなく、他の照明用途に使用することができる。また、放電灯110から放射される光の波長も照明用途に応じたものが選択される。
【0022】
(露光機10の構成)
図1は、本発明が適用された実施例1に係る露光機10を示す。露光機10は、大略、照射装置50と、インテグレータ12と、凹面鏡14と、照射面16とで構成されている。
【0023】
照射装置50は、露光対象物Xの露光に適した波長を含む光を放射する。照射装置50の詳細については、露光機10の構成を説明した後で説明する。
【0024】
インテグレータ12は、照射装置50からの光を受け入れる入射面18、および、受け入れた光の均一性を高めたうえで当該光を出射する出射面20を有している。入射面18および出射面20には、それぞれ、複数のフライアイレンズ21が形成されている。
【0025】
凹面鏡14は、その内側に反射凹面22を有している。この凹面鏡14は、インテグレータ12から出射された光を反射凹面22で反射させて平行光にする。
【0026】
照射面16は、凹面鏡14からの平行光を受ける光であり、当該平行光に対して略直交する向きに配置されている。この照射面16には、露光対象物Xが載置される。露光対象物Xの表面には、例えば感光剤が塗布されている。凹面鏡14からの平行光が露光対象物Xにおける所望の領域を照射することにより、露光対象物Xの表面に所望の回路パターン等が形成される。
【0027】
(照射装置50の構成)
図2は、本発明が適用された実施例1に係る照射装置50を示す図である。また、
図3は、照射装置50の平面図である。照射装置50は、複数の光源装置100と、紫外線光源200と、フレーム52と、放電灯用スイッチ53と、放電灯用電源54と、紫外線光源用スイッチ55と、紫外線光源用電源56と、判定装置57とを備えている。
【0028】
光源装置100は、露光対象物Xの露光に適した波長を含む光を放射する。光源装置100は、
図4に示すように、大略、放電灯110と、リフレクタ150と、絶縁ベース170とで構成されている。なお、リフレクタ150と絶縁ベース170とをまとめてリフレクタ容器151と記載することがある。
【0029】
紫外線光源200は、本実施例の場合、紫外光を放射するLEDであり、各光源装置100に組み込まれている。そこで、本実施例における紫外線光源200の説明は、光源装置100の説明と併せて行う。なお、紫外線光源200はLEDに限定されるものではなく、紫外光を放射できるものであれば、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等を使用してもよい。とりわけ、後述する変形例1に示すように、複数の放電灯110に対して紫外光を照射する場合には、1個あたりの発光量が多いランプを選択するのが好適である。
【0030】
放電灯110は、
図5に示すように、発光管部112と、当該発光管部112から延出する一対のシール部114とを有している。発光管部112および一対のシール部114は、石英ガラスで一体的に形成されている。さらに、発光管部112内にはシール部114によって密閉された内部空間116が形成されている。
【0031】
放電灯110の各シール部114内には、埋設されたモリブデン製の箔118と、一端が箔118の一方端部に接続されているとともに他端が内部空間116内に配置されたタングステン製の一対の電極120と、一端が箔118の他方端部に接続されているとともに他端がシール部114から外部へ延出する一対のリード棒122とがそれぞれ設けられている。また、内部空間116には、所定量の水銀124およびハロゲン(例えば臭素)が封入されている。
【0032】
放電灯110に設けられた一対のリード棒122に所定の高電圧を印加すると、発光管部112の内部空間116に設けられた一対の電極120間で開始したグロー放電がアーク放電に移行し、このアークによって蒸発および励起された水銀124によって光(主に紫外線)が放射される。
【0033】
図4に戻って、本実施例にかかる光源装置100では、一方のシール部114がリフレクタ150のシール部挿設孔156に挿設されている。なお、放電灯110は、交流点灯用でも直流点灯用でもよい。
【0034】
リフレクタ150は、椀状の反射面152をその内側表面に有している。この反射面152は、リフレクタ150の内側に発光管部112が位置するように配置された放電灯110からの光の一部を反射させる。本実施例では、この反射面152は回転放物面で規定されている。また、放電灯110における発光点(概略、内部空間116における一対の電極120間に形成されたアークの中央位置)は当該回転放物面の焦点に一致している。これにより、放電灯110の発光点から放射され、反射面152で反射した後、リフレクタ150の開口154から出た光は、ほぼ平行光となる。もちろん、反射面152の形状はこれに限定されるものではなく、回転楕円面やその他の回転面、あるいは回転面以外の形状であってもよい。また、発光点を焦点に一致させることは必須ではなく、必要に応じて、発光点を焦点からずらしてもよい。
【0035】
また、リフレクタ150における開口154とは反対側からは、底頸部155が突設されている。さらに、リフレクタ150の反射面152には、放電灯110にける一方のシール部114が挿設されるシール部挿設孔156が形成されている。このシール部挿設孔156は、反射面152の底から底頸部155の先端にかけて形成されている。
【0036】
図1に示すように、放電灯110にリフレクタ150を組み合わせることにより、放電灯110から放射された光は、反射面152の中心軸CLに沿って進む光を中心として所定の角度(開き角)をもった範囲でリフレクタ150の前方に進むようになる。
【0037】
図4に戻り、絶縁ベース170は、セラミック等の電気的絶縁体で形成されており、リフレクタ150の底頸部155およびシール部挿設孔156に挿設された放電灯110における一方のシール部114が挿入されるリフレクタ挿入穴172が形成されている。底頸部155およびシール部114がリフレクタ挿入穴172に挿入されることにより、絶縁ベース170がシール部挿設孔156を外側から覆うことになる。
【0038】
また、絶縁ベース170には、上述したリフレクタ挿入穴172に連通する内側空間174が形成されており、さらに当該内側空間174と外側とを互いに連通して電源ケーブルAが挿通される電源ケーブル挿通穴176が形成されている。
【0039】
さらに、絶縁ベース170および放電灯110は、電気絶縁性および高い熱伝導性を有する無機接着剤Cによって互いに固定されている。具体的に説明すると、絶縁ベース170のリフレクタ挿入穴172にリフレクタ150の底頸部155の端部、および、放電灯110の一方のシール部114を挿入し、さらに、絶縁ベース170の内側空間174に紫外線光源200および電源ケーブルAを配置した状態で、当該内側空間174に無機接着剤Cが充填されている。なお、紫外線光源200は、放電灯110の近傍に取り付けられており、さらに言えば、当該紫外線光源200からの紫外光が放電灯110におけるリフレクタ挿入穴172に挿入された側のシール部114の端面に向けて放射される位置に設けるのが好適である。
【0040】
図3に戻り、フレーム52は、複数の光源装置100が装着される複数の凹所58が形成された略直方体状の部材である。
【0041】
図2に戻り、放電灯用電源54は、フレーム52に取り付けられた各光源装置100の放電灯110に必要な電力(直流あるいは交流)を供給する。また、紫外線光源用電源56は、各光源装置100に組み込まれた紫外線光源200に直流の電流を供給する電源であり、紫外線光源用スイッチ55は紫外線光源200に供給する直流の定電流をオン・オフする。紫外線光源用電源56が供給する直流は、紫外線光源200を構成するLEDの順方向に流れるようになっている。
【0042】
判定装置57は、各光源装置100(放電灯110)が純正品か否かを判定するための装置であり、
図6に示すように、大略、制御部60と、判定部66とを有している。
【0043】
制御部60は、放電灯用スイッチ53および紫外線光源用スイッチ55を操作して、放電灯用電源54から放電灯110に供給される電流をオン・オフするとともに、紫外線光源用電源56から紫外線光源200に供給される電流をオン・オフする機能を有する。
【0044】
制御部60は基本的に2つの動作を行う。すなわち、制御部60は、1回目は紫外線光源用スイッチ55をオフにしたままで放電灯用スイッチ53をオンにして、2回目は紫外線光源用スイッチ55をオンにした状態で前記放電灯用スイッチ53をオンにする。
【0045】
判定部66は、上述した制御部60による1回目の動作の結果、および、2回目の動作の結果、ともに放電灯用スイッチ53をオンにしたときに放電灯110が点灯した場合は放電灯110が純正品ではないと判定し、2回目に放電灯用スイッチ53をオンにしたとき(つまり、紫外線光源用スイッチ55をオンにした状態のとき)だけ放電灯110が点灯した場合は放電灯110が純正品であると判定する。
【0046】
なお、判定部66における、放電灯110が点灯したか否かの判断は、例えば、放電灯用電源54から放電灯110に対して供給される電圧が高電圧(点灯[絶縁破壊]前)からより低い電圧(点灯[絶縁破壊]後)に変化したことをもって「放電灯110が点灯した」と判断してもよい。あるいは、放電灯110からの光を受けられる位置に光センサーを設け、当該光センサーが放電灯110からの光を受けたことをもって「放電灯110が点灯した」と判断することもできる。もちろん、他の手法をもって「放電灯110が点灯した」と判断してもよい。
【0047】
(照射装置50における純正品判定の動作)
照射装置50の電源スイッチ(図示せず)が投入されると、判定装置57における制御部60が動作を開始し、フレーム52に取り付けられたいずれか1つの光源装置100における紫外線光源200に電力を供給する紫外線光源用スイッチ55をオフにしたままで、当該光源装置100における放電灯110に電力を供給する放電灯用スイッチ53をオンにして、当該放電灯110の点灯を試みる(1回目)。然る後、制御部60は、一旦、放電灯用スイッチ53をオフにする。そして、紫外線光源用スイッチ55をオンにするとともに、放電灯用スイッチ53を再びオンにする(2回目)。なお、判定装置57が動作するタイミングはこれに限定されるものではない。
【0048】
判定部66は、1回目および2回目の動作でそれぞれ放電灯110が点灯したか否かを判断し、その判断結果に基づいて上述のように当該放電灯110が純正品であるか否かを判定する。
【0049】
1つ目の光源装置100における純正品判定が完了した後、制御部60は他の光源装置100における放電灯110への電流の供給を開始する。以降、上述した1つ目の光源装置100の場合と同様に純正品判定を行い、すべての光源装置100の判定を終了するまで、あるいは所定の範囲の光源装置100の検査を終了するまで同様の判定を繰り返す。
【0050】
(照射装置50の特徴)
本実施例によれば、放電灯110における発光管部112の内部空間116にクリプトン85等の始動性促進物質を封入しなくても、紫外線光源200からの紫外光を照射することにより、当該放電灯110の始動性を改善することができた。
【0051】
また、判定装置57により、放電灯110が純正品か否かを判定することができた。これにより、長期間使用して破裂の危険性がある純正品でない放電灯110が誤って使用され続けるのを回避できる。
【0052】
(変形例1)
上述の実施例1では、複数の放電灯110のそれぞれに紫外線光源(LED)200が取り付けられていたが、
図7に示すように、フレーム52に取り付けられた複数の光源装置100における放電灯110に向けて紫外光を照射できるように1つの紫外線光源200を配置してもよい。この場合、紫外線光源200からの紫外光は、光源装置100における各リフレクタ150の開口154を通って放電灯110の発光管部112を直接照射することになる。これにより、実施例1の場合と同様、放電灯110の始動性を改善することができる。なお、配置する紫外線光源200の数は、複数であってもよい。
【0053】
また、この変形例1の場合であっても放電灯110が純正品か否かを判定する方法は実施例1と同じである。1回目の動作では、紫外線光源200に給電する紫外線光源用スイッチ55をオフにしたままで、判定対象とする放電灯110に給電する放電灯用スイッチ53をオンにして当該放電灯110が点灯するか否かを確認する。そして、2回目の動作では、紫外線光源用スイッチ55をオンにした状態で、放電灯用スイッチ53をオンにして当該放電灯110が点灯するか否かを確認する。
【0054】
然る後、1回目の動作の結果、および、2回目の動作の結果、ともに放電灯用スイッチ53をオンにしたときに放電灯110が点灯した場合は放電灯110が純正品ではないと判定し、2回目に放電灯用スイッチ53をオンにしたとき(つまり、紫外線光源用スイッチ55をオンにした状態のとき)だけ放電灯110が点灯した場合は放電灯110が純正品であると判定する。
【0055】
(変形例2)
上述の実施例における光源装置100の紫外線光源200は、LEDのみで構成されていたが、
図8に示すように、紫外線光源200を、LED202と、当該LED202に対して直列に接続された白熱灯204とで構成し、光源装置100(より正確には、実施例1と同様に絶縁ベース170の内側空間174)に設けてもよい。なお、回路保護等のため、LED202や白熱灯204に対して直列にフューズを取り付けてもよい。
【0056】
この場合、光源装置100の純正品判定は、最初に説明した実施例1と同様に紫外線光源200を用いるやり方と、白熱灯204を用いるやり方とを組み合わせることが可能となる。両方のやり方を同時に実施してもよいし、いずれか一方を実施することもできる。
【0057】
この変形例2において、白熱灯204を用いた純正品判定は、紫外線光源用電源56から白熱灯204に対して、制御部60により定電流を供給し続けた状態で、所定の時間(例えば10秒)をあけて2回、紫外線光源200の両端電圧を測定することによって行う。
【0058】
紫外線光源200に対して定電流を供給開始した後、当該紫外線光源200の両端電圧を判定装置57の測定部(図示せず。以下、同じ。)で測定する(1回目)。次に、所定の時間(例えば、10秒)が経過した後、測定部がふたたび紫外線光源200の両端電圧を測定する(2回目)。測定された2回分の両端電圧値は、判定装置57の判定部66に送られる。なお、紫外線光源200に流す定電流は、LED202の順方向電流に該当する直流である。
【0059】
2回分の両端電圧値を受け取った判定部66は、2回分の両端電圧値の差が所定の電圧範囲内にあるか否かを確認し、両端電圧値の差が所定の電圧範囲内にある場合、判定部66は、検査対象の放電灯110が純正品であると判定する。逆に、両端電圧値の差が所定の電圧範囲内にない場合、判定部66は、検査対象の放電灯110が純正品ではないと判定する。
【0060】
一般的に、白熱灯204は、それに含まれるフィラメントの特性上、電流を通電してしばらく(10数秒)の間は抵抗値が増加する傾向にある。このため、2回目に測定した紫外線光源200の両端電圧値(例えば8.5V)は、1回目に測定した同じ両端電圧の値(例えば2.0V)に比べて大きくなる。これにより、上述した2回の測定による両端電圧値の差が所定の電圧範囲内(例えば、6から7Vの間)にある場合、その放電灯110は白熱灯204を備える純正品であると判定することができる。
【0061】
これに対し、放電灯110が純正品でない場合、紫外線光源200は白熱灯204を備えていないことから、紫外線光源200の両端電圧値における1回目の測定値と2回目の測定値との差はほぼゼロになる。したがって、両端電圧値の差が所定の電圧範囲内にない場合、判定部66は、検査対象の放電灯110が純正品ではないと判定する。
【0062】
(変形例3)
上述した変形例1のように、フレーム52に取り付けられた複数の光源装置100における放電灯110に向けて紫外光を照射する紫外線光源200を配置する場合、
図9に示すように、LED202ではなく、白熱灯204のみを光源装置100に設けてもよい。なお、白熱灯204は、絶縁ベース170内のいずれに配置してもよいし、絶縁ベース170の外面や、リフレクタ150の外面などに配置することによってリフレクタ容器151に取り付けてもよい。また、回路保護等のため、白熱灯204に対して直列にフューズを取り付けてもよい。
【0063】
この場合、光源装置100の純正品判定は、変形例1と同様に紫外線光源200を用いるやり方と、白熱灯204を用いるやり方とを組み合わせることが可能となる。両方のやり方を同時に実施してもよいし、順番に実施してもよいし、いずれか一方を実施することもできる。
【0064】
白熱灯204を用いた純正品判定について説明する。白熱灯204を用いた純正品判定は、紫外線光源用電源56あるいは別の電源(図示せず)から白熱灯204に対して、制御部60により定電流(交流でも直流でもよい)を供給し続けた状態で、所定の時間(例えば10秒)をあけて2回、白熱灯204に接続される一対の電源ケーブルAの両端電圧を測定することによって行う。
【0065】
白熱灯204に対して定電流を供給開始した後、当該白熱灯204の両端電圧を判定装置57の測定部(図示せず。以下、同じ。)で測定する(1回目)。次に、所定の時間(例えば、10秒)が経過した後、測定部がふたたび白熱灯204の両端電圧を測定する(2回目)。測定された2回分の両端電圧値は、判定装置57の判定部66に送られる。
【0066】
2回分の両端電圧値を受け取った判定部66は、2回分の両端電圧値の差が所定の電圧範囲内にあるか否かを確認し、両端電圧値の差が所定の電圧範囲内にある場合、判定部66は、検査対象の放電灯110が純正品であると判定する。逆に、両端電圧値の差が所定の電圧範囲内にない場合、判定部66は、検査対象の放電灯110が純正品ではないと判定する。
【0067】
放電灯110が白熱灯204を備えている純正品である場合、白熱灯204の両端電圧値は、1回目の測定値よりも、2回目の測定値の方が大きくなる。この理由は、変形例2で説明したものと同じであるからそれを援用して省略する。これにより、上述した2回の測定による両端電圧値の差が所定の電圧範囲内(例えば、6から7Vの間)にある場合、その放電灯110は白熱灯204を備えている純正品であると判定することができる。
【0068】
これに対し、放電灯110が純正品でない場合、白熱灯204を備えていないことから、電源ケーブルAの両端電圧値における1回目の測定値と2回目の測定値との差はほぼゼロになる。したがって、両端電圧値の差が所定の電圧範囲内にない場合、判定部66は、検査対象の放電灯110が純正品ではないと判定する。
【0069】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
10…露光機、12…インテグレータ、14…凹面鏡、16…照射面、18…入射面、20…出射面、21…フライアイレンズ、22…反射凹面
50…照射装置、52…フレーム、53…放電灯用スイッチ、54…放電灯用電源、55…紫外線光源用スイッチ、56…紫外線光源用電源、57…判定装置、58…凹所、60…制御部、66…判定部
100…光源装置
110…放電灯、112…発光管部、114…シール部、116…内部空間、118…箔、120…電極、122…リード棒、124…水銀
150…リフレクタ、151…リフレクタ容器、152…反射面、154…開口、155…底頸部、156…シール部挿設孔
170…絶縁ベース、172…リフレクタ挿入穴、174…内側空間、176…電源ケーブル挿通穴
200…紫外線光源、202…LED、204…白熱灯