(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2021153352
(22)【出願日】2021-09-21
(62)【分割の表示】P 2017059386の分割
【原出願日】2017-03-24
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 健弘
【審査官】篠崎 正
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-055831(JP,A)
【文献】特開2015-061580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
当否判定結果を報知する識別図柄が変動を開始してから当否判定結果に応じた態様で停止するまでの変動中演出を実行する演出実行手段と、
対応する当否判定結果の報知が完了していないものの存在を示す保留表示を表示する表示手段と、
を備え、
ある変動中演出が実行されている最中に予兆態様の前記保留表示が表示された場合、当該ある変動中演出が終了し、次の変動中演出が開始される変動開始時点にて前記予兆態様の前記保留表示の態様変化を示唆する保留変化演出が発生しなかったときには、当該変動開始時点より後に当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まったことを示唆する有利演出が発生する
ものの、前記変動開始時点にて前記保留変化演出が発生したときには、当該変動開始時点より後に前記有利演出が発生するとは限らないことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、予兆保留演出が行われていない場合よりも、予兆保留演出が行われている場合の方が、高い割合にて煽り演出が実行されるようにした遊技機が開示されている。つまり、ある特定の演出が発生することを予兆する予兆演出が実行されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、予兆演出により遊技の趣向性を高めることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まったことが示される結末に至る可能性がある特定演出、および当該特定演出が発生することを示唆する予兆演出を実行可能な演出実行手段を備え、前記予兆演出が実行された場合には、当該予兆演出の後、複数の発生タイミングのいずれかで、少なくとも一回の前記特定演出が必ず発生するように設定されていることを特徴とする。
【0006】
上記本発明にかかる遊技機は、予兆演出が発生した場合、複数の発生タイミングのいずれかで、必ず特定演出が発生するように構成されている。したがって、特定演出が発生しない限り発生タイミングが設定された一連の演出が継続し続け、場合によっては当否判定結果が当たりとなることに対する期待が次第に高まっていく。このように、必ず一回は発生する特定演出の発生するタイミングに応じて当否判定結果に対する遊技者の期待感を高めること等が可能である。
【0007】
当否判定結果を報知する演出が開始されていない当否判定情報に対応する保留表示を表示する表示手段を備えた遊技機であって、前記保留表示として、一または複数種の通常態様と、当該通常態様よりも対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高まったことを示す一または複数種の特殊態様と、当該特殊態様になる蓋然性が高まったことを示す予兆態様と、が設定されており、前記予兆演出は、前記保留表示として前記予兆態様が表示されるものであり、前記特定演出は、前記予兆態様が前記特殊態様に変化する結末に至る可能性がある保留変化演出であるとよい。
【0008】
このように、保留表示として予兆態様と特殊態様を設定し、予兆態様が表示されたときに、必ず特定演出として保留変化演出が発生するようにすることで、保留変化演出と一連の演出に対する期待感を継続させることを絡めた趣向性の高い遊技性を実現することが可能である。
【0009】
当否判定結果を示す識別図柄を表示する表示装置を備え、前記複数の発生タイミングの少なくとも一部として、前記識別図柄が変動を開始した時点または変動を開始してから所定時間経過した時点である変動開始時点と、それ以降の時点が設定されているとよい。
【0010】
このように、発生タイミングとして変動開始時点が設定されていれば、変動開始時点で特定演出が発生しなかった場合、それ以降で特定演出が発生することになるから、変動開始時点を過ぎてからの演出に対する遊技者の関心が高まる。
【0011】
前記識別図柄が変動を開始した後、一旦擬似停止して再び変動を開始する単位演出を一または複数回繰り返す擬似連続演出を実行可能であり、前記複数の発生タイミングとして、前記変動開始時点、および擬似停止した前記識別図柄が再び変動を開始した時点または再び変動を開始してから所定時間経過した時点である再変動時点が設定されているとよい。
【0012】
このように、発生タイミングとして変動開始時点および再変動始時点が設定されていれば、変動開始時点で特定演出が発生しなかった場合、または再変動時点で特定演出が発生しなかった場合、それ以降に単位演出が発生することが確定する、または発生する蓋然性が高まるという遊技性を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる遊技機によれば、予兆演出により遊技の趣向性を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】(a)は表示装置(表示領域)に表示された保留表示および識別図柄を模式的に示した図であり、(b)は保留表示の種類を示した図である。
【
図3】擬似連続演出の概要を説明するための図である。
【
図4】保留変化演出の概要を説明するための図である。
【
図5】保留変化演出の発生タイミングとして設定された変動開始時点(第一時点)を説明するための図である。
【
図6】保留変化演出の発生タイミングとして設定された再変動時点(第二時点、第三時点または第四時点)を説明するための図である。
【
図7】保留変化演出の発生タイミングとして設定されたスーパーリーチ演出に発展することを契機とした時点(第五時点)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0016】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0017】
遊技領域902には、表示装置91、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口などが設けられている。かかる表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、各図においては、表示領域911を大まかに記載するが、その形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0018】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0019】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0020】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(以下、当否判定情報と称することもある)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定の報知が開始されていない数値(以下単に保留と称することもある)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。なお、本実施形態では、当否判定の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい(この場合には当否判定結果自体が、当否判定情報に相当することとなる)。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0021】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0022】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄50(
図2(a)参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。識別図柄50は、当否判定結果の報知の開始とともに変動を開始する。大当たりに当選している場合には識別図柄50は最終的に所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄50の三つ揃い)で停止する。はずれである場合には識別図柄50は最終的にそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせで停止する。
【0023】
本実施形態にかかる遊技機1では、記憶手段に記憶されている当否判定結果の報知が開始されていない(当否判定結果を報知するための識別図柄50の変動が開始されていない)当否判定情報(乱数源から取得された数値)のそれぞれに対応するマークである保留表示10が、表示装置91の表示領域911に表示される(
図2(a)参照)。具体的には、当否判定を実行するための当否判定情報としての数値が取得された順に並ぶよう、保留表示10が表示装置91に表示される。保留表示10は図示されない制御基板に設けられる保留制御手段によって制御される。本実施形態では、表示装置91の表示領域911の右下に、表示領域911の下側縁に沿って並ぶよう(当否判定結果の報知の開始が早い順に左から並ぶよう)表示される。
【0024】
図2(b)に示すように、保留表示10は、表示される態様として複数種の態様が設定されている。本実施形態における保留表示10は、通常態様10n、特殊態様11sおよび予兆態様14fを含む。それぞれの態様を構成する図柄の形態は一種のみであってもよいし複数種であってもよい。本実施形態では、一種の通常態様10nと、三種の特殊態様11s(第一特殊態様111s~第三特殊態様113s)と、一種の予兆態様14fが設定されている。各保留表示10が表示されたときにおける当該保留表示10に対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(いわゆる大当たり信頼度)は、低い方から順に、通常態様10n、予兆態様14f、第一特殊態様111s、第二特殊態様112s、第三特殊態様113s(最も高い)である。したがって、遊技者は、保留表示10として特殊態様11sが表示されること、および特殊態様11sが表示されるのであればより大当たり信頼度の高い特殊態様11sが表示されることを願いつつ遊技することとなる。なお、これらの保留表示10は、表示された時点で対応する当否判定結果が大当たりとなることが確定するものではない。表示された時点で対応する当否判定結果が大当たりとなることが確定する大当たり確定の態様が特殊態様11sの一種として設定されていてもよい。また、詳細を後述するように、予兆態様14fは保留変化演出20の発生を予告するものであるから、それ自体の大当たり信頼度は通常態様10nよりも低いものであってもよい。
【0025】
通常態様10n、特殊態様11s、予兆態様14fの形態(見た目)の差異、各特殊態様11s同士の形態(見た目)の差異は、当該差異を遊技者が認識可能であればどのようなものであってもよい。各保留表示10の少なくともいずれかについて複数種の態様が設定されていてもよい。例えば、演出のモード(ステージ)によって変化する複数種の通常態様10n、複数種の第一特殊態様111s~第三特殊態様113s、複数種の予兆態様14fが設定されていてもよい。本実施形態では、通常態様10n、各特殊態様11sおよび予兆態様14fは、互いに少なくともその色が異なるように設定されている。具体的には、通常態様10nは無色(基本の色)、第一特殊態様111sは青色、第二特殊態様112sは緑色、第三特殊態様113sは赤色、予兆態様14fは白に設定されている。なお、各図においては、各保留表示10が発現する「色」を便宜的に文字で示している。
【0026】
本実施形態にかかる遊技機1は、最終的に識別図柄50の組み合わせによって報知される当否判定結果がどのようなものとなるか(大当たりとなるか否か)を示唆する演出として、擬似連続演出30(
図3参照)が実行可能である。擬似連続演出30それ自体は公知の演出であるため、詳細な説明を省略するが、例えば以下のような演出である。
【0027】
擬似連続演出30は、変動する識別図柄50(
図3(a)参照)が一旦擬似停止(遊技者には停止しているように見えるが、完全に停止していない状態をいう。例えば、図柄が若干揺れ動いているような状態とする)した(
図3(b)参照)後、再び変動を開始する(
図3(b)参照)予告である。つまり、変動する識別図柄50を一旦擬似停止させることにより、当否判定結果がはずれであることが確定したかのようにみせかけ、再び変動を開始する(未だ確定していないことを遊技者に知らせる)予告である。識別図柄50が一旦擬似停止して、再び変動を開始したことをセットとして一回とする単位演出(当該単位演出を一または複数回実行することにより擬似連続演出30が構成される)の発生回数が多くなればなるほど、当否判定が大当たりとなる蓋然性(いわゆる大当たり信頼度)が高まるように設定されている。単位演出が発生することを示す識別図柄50の組み合わせが設定されていてもよい。本実施形態では、左・中・右の識別図柄50のうち、中の識別図柄50が「7」を含む図柄である組み合わせ(「7」の三つ揃いとなる組み合わせを除く)が、単位演出が発生することを示す組み合わせとして設定されている(
図3(b)参照)。
【0028】
本実施形態では、発生し得る擬似連続演出30として、単位演出が一回発生するもの(擬似2演出)、単位演出が二回発生するもの(擬似3演出)、単位演出が三回発生するもの(擬似4演出)が設定されている。なお、単位演出が三回発生した場合には、大当たりとなることが確定するよう設定されている。
【0029】
以下、保留表示10として設定される予兆態様14fの機能および保留変化演出20について説明する。予兆態様14fは、保留変化演出20が発生することを事前に予告するものである(予兆態様14fの保留表示10の表示が本発明における予兆演出に相当し、保留変化演出20が本発明における特定演出に相当する)
図4に示すように、本実施形態では、保留表示10として予兆態様14fが表示された場合、当該保留表示10に対して以下で詳細を説明する保留変化演出20の発生が確定する。なお、保留変化演出20は、保留表示10として予兆態様14fが表示された場合に限り発生することがある設定としてもよいし、予兆態様14fが表示されない場合であっても発生することがある設定としてもよい。
【0030】
保留変化演出20は、予兆態様14fの保留表示10が、特殊態様11sのいずれかに変化する可能性がある演出である。なお、本実施形態における保留変化演出20は、特殊態様11sへの変化が必ず発生するものではない(
図4(c)(d)参照)。特殊態様11sに変化する結末(成功結末)に至る可能性があるといういわゆる「煽り演出」に相当するものであるといえる。特殊態様11sに変化するか否か、変化する場合には第一特殊態様111s~第三特殊態様113sのいずれに変化するかは、対応する当否判定結果が大当たりとなるものであるかどうかに応じて決まる。保留変化演出20の具体的な態様はどのようなものであってもよい。保留変化演出20として発生し得る複数種の演出態様が設定されていてもよい。本実施形態では、予兆態様14fの保留表示10に作用するような画像(作用画像21)を表示した上で、予兆態様14fが特殊態様11sに変化する場合(成功結末が発生する場合)もあれば、そのまま維持される場合(失敗結末が発生する場合)もある。なお、保留変化演出20が発生したものの、対象の保留表示10が特殊態様11sに変化しなかった場合には、当該保留表示10が通常態様10nに変化する構成としてもよい。このような構成とすれば、特殊態様11sに変化しないという結末(失敗結末)であったことをより分かりやすくすることが可能である。
【0031】
本実施形態では、予兆態様14fの保留表示10が表示された場合、その後当該予兆態様14fの保留表示10に対し、少なくとも一回の保留変化演出20が必ず発生するように設定されている。保留変化演出20が発生する可能性があるタイミング(以下、発生タイミングと称する)としては種々設定されている。本実施形態では、予兆態様14fが表示された(
図4(a)参照)後、ある当否判定結果の報知が完了(
図4(b)参照)し、次の当否判定結果(次の変動。以下、対象当否判定結果と称することもある)を報知する演出中(識別図柄50の変動の開始から停止するまでの間)における複数の発生タイミングのうちのいずれかで、少なくとも一回の保留変化演出20が発生する(
図4(c)(d)参照)ように構成されている。
【0032】
本実施形態における複数の発生タイミングは以下の通りである。つまり、本実施形態にかかる遊技機1は、予兆態様14fの保留表示10が表示された場合、保留変化演出20が、以下の第一時点~第五時点のいずれかにおいて少なくとも一回発生する法則性が設定されたものである。なお、以下で説明する第二時点~第五時点は、必ず到達する(発生する)時点ではない。このような時点が訪れずに当否判定結果の報知が完了することもある。以下の説明において「第N時点(N=二~五)で保留変化演出20が発生しない」というときには、当該第N時点に到達しないケースを含むものとする。
【0033】
・第一時点(変動開始時点)(
図5参照)
対象当否判定結果の一つ前の当否判定結果の報知が完了し、対象当否判定結果を報知する識別図柄50が変動を開始した時点(以下、変動開始時点と称することもある)である。ここでいう変動開始時点とは、識別図柄50が変動を開始した時点(変動開始と同時点)だけでなく、変動を開始してから所定時間経過した時点を含む。つまり、遊技者からは、識別図柄50が変動を開始することを契機として保留変化演出20が発生したかのように見える時点である。
【0034】
・第二時点(一回目の再変動時点)(
図6参照)
一回目に擬似停止した識別図柄50が再び変動を開始した時点または再び変動を開始してから所定時間経過した時点である。つまり、対象当否判定結果を報知する演出において、一回目の単位演出が発生したことを契機とする時点である。
【0035】
・第三時点(二回目の再変動時点)(
図6参照)
二回目に擬似停止した識別図柄50が再び変動を開始した時点または再び変動を開始してから所定時間経過した時点である。つまり、対象当否判定結果を報知する演出において、二回目の単位演出が発生したことを契機とする時点である。
【0036】
・第四時点(三回目の再変動時点)(
図6参照)
三回目に擬似停止した識別図柄50が再び変動を開始した時点または再び変動を開始してから所定時間経過した時点である。つまり、対象当否判定結果を報知する演出において、三回目の単位演出が発生したことを契機とする時点である。
【0037】
・第五時点(
図7参照)
いわゆるスーパーリーチ演出に発展することを契機とした時点である。スーパーリーチ演出が開始されると同時であってもよいし、開始されてから所定時間経過した時点であってもよい。特定の識別図柄50が停止または擬似停止した状態において、大当たりの可能性が残されている状態をリーチ状態とし、当該リーチ状態が成立した後、スーパーリーチ演出が発生することで大当たりとなる蓋然性が高まったことが示される。スーパーリーチ演出の種類は複数設定されていてもよい。各スーパーリーチ演出が発生したときのいわゆる大当たり信頼度は同じであってもよいし異なっていてもよい。なお、本実施形態では、第五時点よりも後に第一時点~第四時点に到達することはない。つまり、スーパーリーチ演出に発展した後は、単位演出(擬似連続演出30)が発生することはない。したがって、保留変化演出20が発生せずスーパーリーチ演出に発展したときには、第五時点で保留変化演出20が発生することが確定する。一方、第一時点~第四時点のいずれかにおいて保留変化演出20が発生した上でスーパーリーチ演出に発展した場合には、第五時点で保留変化演出20が発生しないことがある。
【0038】
このように予兆態様14fの保留表示10が表示されたとき、対象当否判定結果の第一時点~第五時点のいずれかにおいて必ず少なくとも一回の保留変化演出20が発生するように設定したことの作用は次の通りである。
【0039】
対象当否判定結果を報知する演出が開始されると同時または直後に第一時点に到達する。当該第一時点において保留変化演出20が発生しない場合、第二時点~第五時点のいずれかにおいて保留変化演出20が発生することが確定する。つまり、少なくとも一回の単位演出(擬似連続演出30)、およびスーパーリーチ演出の少なくともいずれか一方が発生することが確定する。単位演出やスーパーリーチ演出が発生しないと、第二時点~第五時点に至ることはないからである。単位演出の発生やスーパーリーチ演出の発生は、大当たり信頼度を高める要素であり遊技者にとって好ましい事象の発生であるといえるから、第一時点において保留変化演出20が発生しなかったことが、遊技者に有利に作用するような一連の演出となる。
【0040】
このように、保留変化演出20の発生タイミングの少なくとも一部として変動開始時点が設定されていれば、変動開始時点で保留変化演出20が発生しなかった場合、それ以降で保留変化演出20が発生することになるから、対象当否判定結果(対象変動)に対する遊技者の関心が高まる。
【0041】
第一時点において保留変化演出20が発生せず、第二時点においても保留変化演出20が発生しない場合、第三時点~第五時点のいずれかにおいて保留変化演出20が発生することが確定する。つまり、二回以上の単位演出が発生する擬似連続演出30(擬似3以上の擬似連続演出30)、およびスーパーリーチ演出の少なくともいずれか一方が発生することが確定する。
【0042】
第一時点、第二時点において保留変化演出20が発生せず、第三時点においても保留変化演出20が発生しない場合、第四時点、第五時点のいずれかにおいて保留変化演出20が発生することが確定する。つまり、三回の単位演出が発生する擬似連続演出30(擬似4の擬似連続演出30)、およびスーパーリーチ演出の少なくともいずれか一方が発生することが確定する。上述したように、本実施形態では、三回の単位演出が発生する擬似連続演出30は大当たり確定演出として設定されているため、スーパーリーチ演出が発生しない場合には大当たり確定となる。よって、本実施形態の法則性を知っている遊技者は、第一時点~第三時点において保留変化演出20が発生しなかった場合には、スーパーリーチ演出に発生しないことを願いつつ一連の演出を見守ることとなる。なお、第四時点で保留変化演出20が発生するということは、大当たりが確定するということであるから、第四時点で発生する保留変化演出20は、必ず保留表示10が大当たり確定の態様となるような設定としてもよい。
【0043】
このように、保留変化演出20の発生タイミングとして変動開始時点および再変動始時点が設定されていれば、変動開始時点で保留変化演出20が発生しなかった場合、または再変動時点で特定演出が発生しなかった場合、それ以降に単位演出が発生する蓋然性が高まるという遊技性を実現することが可能となる。
【0044】
保留変化演出20の発生タイミングとして第五時点が設定されていない構成としてもよい。すなわち、発生タイミングとして変動開始時点および再変動時点のみが設定された構成としてもよい。かかる構成とすれば、変動開始時点で保留変化演出20が発生しなかった場合、または再変動時点で特定演出が発生しなかった場合には、それ以降に単位演出が発生することが確定するという遊技性を実現することが可能となる。つまり、変動開始時点や再変動時点のみが発生タイミングとして設定されていれば、変動開始時点や再変動時点に保留変化演出20が発生しないことが、次の単位演出の発生を確定させる要素として機能することになる。
【0045】
第一時点~第四時点で保留変化演出20が発生しなかった場合には、第五時点において保留変化演出20が発生することになる。つまり、スーパーリーチ演出において保留変化画出が発生することになる。よって、本実施形態の法則性を知っている遊技者は、第一時点~第四時点において保留変化演出20が発生しなかった場合には、スーパーリーチ演出において保留変化演出20が発生し、保留表示10がより大当たり信頼度の高い態様に変化する可能性があることを把握することが可能になる。
【0046】
このように、本実施形態にかかる遊技機1によれば、保留表示10として予兆態様14fが表示された場合、複数の発生タイミングのいずれかで、必ず保留変化演出20が発生するように構成されている。したがって、保留変化演出20が発生しない限り、対象当否判定結果を報知する一連の演出が継続する(対象当否判定結果の報知が完了しない)こととなる。つまり、保留変化演出20が発生しない限り一連の演出が継続し続け、場合によっては当否判定結果が当たりとなることに対する期待が次第に高まっていく。このように、保留変化演出20それ自体の結末だけでなく、必ず一回は発生する保留変化演出20の発生するタイミングに注目させることにより、対象当否判定結果に対する遊技者の期待感を高めること等が可能である。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0048】
上記実施形態では、各保留表示10は表示領域911の下側縁に沿って(右下に)表示されることを説明したが、当該表示箇所は例示にすぎない。また、上記実施形態では、各保留表示10は各種演出等が実行されるメインの表示装置91に表示されるものであることを説明したが、メインの表示装置91以外の表示装置に表示されるものについても同様の技術思想が適用可能である。保留表示10が表示される表示装置が、保留表示10を表示するためだけに設けられた表示装置であってもよい。
【0049】
上記実施形態では、当否判定結果の報知が開始されていない(当否判定結果を報知するための図柄の変動が開始されていない)当否判定情報のそれぞれに対応するマークとして保留表示10が表示されることを説明したが、当否判定結果の報知が開始されているものの、当否判定結果の報知が完了していないものに対応するマークとして保留表示(いわゆる当該変動を示す保留表示)が表示されるようにしてもよい。つまり、当否判定結果の報知が完了していない当否判定情報全てに対応するマークとして保留表示が表示される構成についても、同様の技術思想が適用可能である。なお、当該変動を示す保留表示は、当否判定結果の報知が開始されていないものに対応する保留表示と基本的な態様が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0050】
上記実施形態では、予兆態様14fが表示された後、ある当否判定結果の報知が完了し、次の当否判定結果(対象当否判定結果)を報知する演出中、すなわち一の変動中に設定された複数の発生タイミングのうちのいずれかで、少なくとも一回の保留変化演出20が発生するように構成されていることを説明したが、複数の当否判定結果を報知する演出に跨って複数の発生タイミングが設定されるようにしてもよい。つまり、一の対象当否判定結果を報知する演出中に少なくとも一回の保留変化演出20が発生する可能性がある構成ではなく、予兆態様14fの保留表示10に対応する当否判定結果の報知が完了するまでの間に実行される複数の当否判定結果を報知する演出中に少なくとも一回の保留変化演出20が発生する可能性がある構成としてもよい。かかる構成とする場合には、公知の先読み演出が発生することを契機とした時点等を発生タイミングとして設定することが可能である。
【0051】
上記実施形態では、保留表示10として予兆態様14fが表示された場合に、複数の発生タイミングのいずれかで必ず保留変化演出20が発生するように構成されていることを説明したが、対象は保留表示10に関するものに限られるわけではない。当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まったことが示される結末に至る可能性がある特定演出および当該特定演出が発生することを示唆する予兆演出が実行可能なものであって、予兆演出が実行された場合に、複数の発生タイミングのいずれかにおいて少なくとも一回の特定演出が実行されるものであればよい。つまり、予兆演出の発生が少なくとも一回の特定演出の発生を確定させるものであって、当該特定演出の発生タイミングが複数設定されたものであれば、予兆演出や特定演出は保留表示10に関するものに限られるわけではない。
【符号の説明】
【0052】
1 遊技機
10 保留表示
10n 通常態様
11s 特殊態様
111s 第一特殊態様
112s 第二特殊態様
113s 第三特殊態様
14f 予兆態様
20 保留変化演出
30 擬似連続演出
50 識別図柄
91 表示装置
911 表示領域