(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】撮影機材用固定ブラケット
(51)【国際特許分類】
F16M 11/00 20060101AFI20230510BHJP
F16M 11/38 20060101ALI20230510BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20230510BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
F16M11/00 A
F16M11/38 H
G03B17/56 A
H04N5/222 100
F16M11/38 F
(21)【出願番号】P 2022156592
(22)【出願日】2022-09-29
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】202123076452.2
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522040023
【氏名又は名称】威▲爾▼派精密模具(深▲せん▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】Wellpa Precision Mold (Shenzhen) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 401,Building 1,Taiyuan Industrial Park,East District,Baishixia Community,Fuyong Street,Baoan District,Shenzhen,Guangdong,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲興▼
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-118464(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104455962(CN,A)
【文献】実開昭57-1993(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第112097060(CN,A)
【文献】中国実用新案第211289433(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第112240468(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-1022872(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16M 11/24
F16M 11/32
F16M 11/34
F16M 11/38
G03B 17/56- 17/58
H04N 5/222
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒部材と、摺動部材と、複数の支持脚とを含み、前記摺動部材が棒部材の外面に摺動可能に外嵌され、前記複数の支持脚の頂端が前記摺動部材にヒンジ連結され、前記支持脚が前記摺動部材に対して揺動可能である撮影機材用固定ブラケットであって、
前記棒部材は、その底端に近い外面に、前記摺動部材
または前記支持脚の棒部材の底端への摺動を阻止するための制限突起が設けられ、
支持フレームをさらに含み、前記制限突起は、前記摺動部材と棒部材の底端との間に位置し、前記支持フレームは複数のコンロッドを含み、前記コンロッドの頂端は前記支持脚にヒンジ連結され、前記コンロッドの底端は前記棒部材の底端にヒンジ連結され、
前記制限突起は前記棒部材が外側方向へ隆起した構造であり、又は、前記制限突起は前記棒部材に外嵌されるケーシングで
あり、
前記制限突起は、棒部材の表面のバンプであることを特徴とする撮影機材用固定ブラケット。
【請求項2】
前記制限突起は棒部材の表面を取り囲む環状リブであることを特徴とする請求項1に記載の撮影機材用固定ブラケット。
【請求項3】
前記棒部材の底端に、前記ケーシングが前記棒部材から抜けるのを阻止するためのプラグが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の撮影機材用固定ブラケット。
【請求項4】
前記摺動部材は、前記支持脚にヒンジ連結されるためのヒンジ連結孔を周方向に設けるヒンジ連結部材であることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の撮影機材用固定ブラケット。
【請求項5】
前記摺動部材は、リモコンを取り付けるため
の筒体であることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の撮影機材用固定ブラケット。
【請求項6】
前記棒部材の外側面において摺動溝が軸方向に設けられ、前記摺動部材は前記摺動溝に対応して案内突起が設けられ、前記案内突起は前記摺動溝内に嵌め込まれ、前記制限突起は前記摺動溝内に位置し、前記案内突起に当接可能であることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の撮影機材用固定ブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮影機材用固定ブラケットの分野に属し、特に支持脚が過度に摺動することによる折れ曲がり/支持脚の損壊を防止できる撮影機材用固定ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
撮影中の撮影機材の揺れを回避するために、固定ブラケットによる固定が必要である。固定ブラケットは、主に雲台、棒部材及び支持脚を含み、支持脚は棒部材に外嵌されるヒンジ連結部材に回動可能に接続され、これにより、支持脚は棒部材に対して展開又は収納可能である。支持脚の展開角度がヒンジ連結部材の棒部材での位置に関連し、ヒンジ連結部材が棒部材の底端に近い位置に摺動するほど、支持脚の展開角度が大きくなり、関連する制限構造がなければ、使用者が支持脚を展開したり撮影したりするときに、展開角度が大きすぎることによる支持脚の折れ曲がり(即ち、支持脚が上向きになるか、又はプラットホームに平行となる)の問題が発生しやすく、その結果、固定ブラケットの支持機能が発揮できなくなる。このため、支持脚が過度に摺動することを防止できる撮影機材用固定ブラケットを提案することが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、支持脚が過度に摺動することを防止でき、それにより、支持脚の折れ曲がりや折損の問題を回避する撮影機材用固定ブラケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は以下により達成される。棒部材と、摺動部材と、複数の支持脚とを含み、前記摺動部材が棒部材の外面に摺動可能に外嵌され、前記複数の支持脚の頂端が前記摺動部材にヒンジ連結され、前記支持脚が前記摺動部材に対して揺動可能である撮影機材用固定ブラケットであって、
前記棒部材は、その底端に近い外面に、前記摺動部材/支持脚の棒部材の底端への摺動を阻止するための制限突起が設けられ、前記制限突起は前記摺動部材と棒部材の底端との間に位置する。
【0005】
さらに、前記制限突起は、前記棒部材が外側方向へ隆起した構造である。
【0006】
さらに、前記制限突起は、棒部材の表面のバンプである。
【0007】
さらに、前記制限突起は棒部材の表面を取り囲む環状リブである。
【0008】
さらに、前記制限突起は前記棒部材に外嵌されるケーシングであり、前記棒部材の底端に、前記ケーシングが前記棒部材から抜けるのを阻止するプラグが設けられている。
【0009】
さらに、前記摺動部材は、前記支持脚にヒンジ連結されるためのヒンジ連結孔を周方向に設けるヒンジ連結部材である。
【0010】
さらに、前記摺動部材はヒンジ連結部材と摺動ケーシングを含み、前記摺動ケーシングは前記ヒンジ連結部材の内輪に固定嵌設され、前記摺動ケーシングは前記棒部材の外周縁に外嵌される。
【0011】
さらに、前記摺動部材は、リモコンを取り付けるための円筒体である。
【0012】
さらに、支持フレームをさらに含み、前記支持フレームは複数のコンロッドを含み、前記コンロッドの頂端は前記支持脚にヒンジ連結され、前記コンロッドの底端は前記棒部材の底端にヒンジ連結される。
【0013】
さらに、前記棒部材の外側面において摺動溝が軸方向に設けられ、前記摺動部材は前記摺動溝に対応して案内突起が設けられ、前記案内突起は前記摺動溝内に嵌め込まれ、前記制限突起は前記摺動溝内に位置し、前記案内突起に当接可能である。
【発明の効果】
【0014】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下の通りである。
本発明の撮影機材用固定ブラケットでは、棒部材は、その底端に近い外面に、摺動部材/支持脚の棒部材の底端への摺動を阻止するための制限突起が設けられ、制限突起は、摺動部材と棒部材の底端との間に位置する。摺動部材が棒部材の底端へ摺動すると、支持脚は徐々に展開していき、摺動部材が制限突起と空間的に干渉する位置まで摺動すると、制限突起は摺動部材の棒部材の底へのさらなる摺動を阻止し、摺動部材が支持脚の底端にヒンジ連結される。このため、摺動部材の摺動が停止すると、支持脚の展開角度も一定に保持され、これによって、展開角度が大きすぎることによる支持脚の折れ曲がりや折損の問題を防止し、固定ブラケットの安定支持機能を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例1による撮影機材用固定ブラケットの構造概略図である。
【
図2】
図1に示す撮影機材用固定ブラケットの別の角度からの概略図である。
【
図3】
図1に示す撮影機材用固定ブラケットの棒部材、摺動部材及びプラグの構造概略図である。
【
図4】本発明の実施例2による撮影機材用固定ブラケットの棒部材、摺動部材及びプラグの構造概略図である。
【
図5】
図4に示す棒部材、摺動部材及びプラグの解体構造概略図である。
【
図6】本発明の実施例3による撮影機材用固定ブラケットの棒部材、摺動部材及びプラグの構造概略図である。
【
図7】
図6に示す棒部材、摺動部材及びプラグの分解構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照して、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、ここで説明する具体的な実施例は本発明を解釈するために過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0017】
なお、本発明の説明においては、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などの用語により示される方向又は位置関係は、図面に示す方向又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明を容易かつ簡単にするために過ぎず、係る装置又は構成要素が必ず特定の方向を有したり、特定の方向で構造、操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、そのため、本発明を制限するものとして理解すべきではない。「第1」、「第2」、「第3」のような用語は目的にのみ使用され、相対重要性を指示又は示唆するものとして理解すべきではない。さらに、特に明確な規定や限定がない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」などの用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、又は一体接続であってもよいし、直接連結、中間媒体を介した間接的な連結、2つの部材の内部連通であってもよい。当業者にとっては、具体的な状況に応じて上記の用語の本発明での具体的な意味を理解できる。
【0018】
実施例1
図1及び
図2に示すように、本実施例による撮影機材用固定ブラケットは、棒部材1と、摺動部材2と、プラグ3と、複数の支持脚4と、支持フレームとを含む。
【0019】
摺動部材2は棒部材1の外面に摺動可能に外嵌され、支持脚4の頂端が摺動部材2にヒンジ連結され、支持脚4は摺動部材2に対して揺動可能である。プラグ3は棒部材1の底端に固定される。
【0020】
支持フレームは複数のコンロッド5を含み、コンロッド5の頂端は支持脚4にヒンジ連結され、コンロッド5の底端は棒部材1の底端のプラグ3にヒンジ連結される。
【0021】
棒部材1は、その底端に近い外面に、摺動部材2(又は支持脚4)の棒部材1の底端への摺動を阻止するための制限突起11が設けられ、制限突起11は、摺動部材2と棒部材1の底端との間に位置する。これによって、摺動部材2は棒部材1の軸方向に摺動可能であるが、移動可能な範囲が制限突起11を越えない。
【0022】
支持フレームは、展開するときに、支持脚4を上向きに支持し、支持脚4の安定性を向上させ、また、支持フレームは摺動部材2、制限突起11と連携することで、展開後の支持脚4の角度を一定に保持することができる。
【0023】
本実施例では、制限突起11は前記棒部材1が外側方向へ隆起した構造である。具体的には、制限突起11は棒部材の外面のバンプであり、該バンプの数については限定がなく、バンプの数が1つよりも多い場合、バンプは棒部材1の表面の周方向に間隔を空けて分布している。或いは、隆起した構造は棒部材の表面を取り囲む環状リブであってもよい。実際に製造するときには、バンプ又は環状リブは、棒部材1の壁体が直接外側方向へ延伸して形成されてもよいし、固定方式で棒部材1の外面に固定されてもよい。
【0024】
上記摺動部材2には、支持脚4にヒンジ連結されるためのヒンジ連結孔を周方向に設けられている。摺動部材2は、支持脚4のみに接続されるための構造体であってもよく、支持脚4に接続される構造とリモコンを取り付けるための構造とを組み合わせた円筒体であってもよい。
図3に示すように、摺動部材2は、ヒンジ連結部材21と摺動ケーシング22を含んでもよく、摺動ケーシング22は前記ヒンジ連結部材21の内輪に固定嵌設され、前記摺動ケーシング22は前記棒部材1の外周縁に外嵌される。
【0025】
本実施例の撮影機材用固定ブラケットでは、棒部材1は、その底端に近い外面に制限突起11が設けられ、該制限突起11は、摺動部材2と棒部材1の底端との間に位置する。摺動部材2が棒部材1の底端へ摺動すると、支持脚4は徐々に展開していき、摺動部材2が制限突起11と空間的に干渉する位置まで摺動すると、制限突起11が摺動部材2の棒部材1の底端へのさらなる摺動を阻止し、摺動部材2が支持脚4の底端にヒンジ連結される。そのため、摺動部材2の摺動が停止すると、支持脚4の展開角度も一定に保持され、これによって、展開角度が大きすぎることによる折れ曲がりや折損の問題を防止し、固定ブラケットの安定支持機能を確保する。
【0026】
実施例2
本実施例は、別の撮影機材用固定ブラケットを提供し、実施例1に比べて、本実施例では、以下の点が相違する。
【0027】
図4及び
図5に示すように、本実施例の棒部材1の外側面に、摺動溝12が軸方向に設けられ、前記摺動部材2には、前記摺動溝12に対応して案内突起23が設けられ、案内突起21は前記摺動溝12内に嵌め込まれ、制限突起11は前記摺動溝12内に位置する。摺動部材2が制限突起11と接触する位置まで摺動すると、摺動部材2の案内突起23は摺動溝12内の制限突起11と空間的に干渉し、制限突起11は案内突起23に当接し、これによって、摺動部材2の棒部材1の底端へのさらなる摺動が阻止され、支持脚4の折れ曲がりを防止する機能が果たされる。
【0028】
実施例3
本実施例は、さらなる撮影機材用固定ブラケットを提供し、実施例1に比べて、本実施例では、以下の点が相違する。
【0029】
図6及び
図7に示すように、本実施例の制限突起11は棒部材1に外嵌されるケーシングであり、ケーシングの頂端の開口は摺動部材2を阻止するための構造として機能する。棒部材1の底端に、ケーシングが棒部材1から抜けるのを阻止するためのプラグ3が設けられている。ケーシングは、棒部材1に可動に外嵌されているが、プラグ3により阻止されることで棒部材1から抜けることはない可動部材であることは明らかである。ケーシングは、プラグ3又は棒部材1に固定接続される部材であってもよい。
【0030】
本実施例のケーシングは、棒部材1が直接延伸して形成されるものではなく、別に製造されたものとして棒部材1の周縁に套設されるものである。これによって、棒部材1の構造や生産プロセスの簡素化が図られる。
【0031】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の主旨及び原則を逸脱することなく行われる修正、同等置換や改良などは全て本発明の特許範囲に属する。
【要約】 (修正有)
【課題】支持脚が過度に摺動することを防止でき、それにより、支持脚の折れ曲がりや折損の問題を回避する撮影機材用固定ブラケット
【解決手段】本発明は、棒部材と、摺動部材と、複数の支持脚とを含み、摺動部材が棒部材の外面に摺動可能に外嵌され、複数の支持脚の頂端が摺動部材にヒンジ連結され、支持脚が前記摺動部材に対して揺動可能である撮影機材用固定ブラケットを提供する。棒部材は、その底端に近い外面に、摺動部材/支持脚の棒部材の底端への摺動を阻止するための制限突起が設けられ、制限突起は、摺動部材と棒部材の底端との間に位置する。摺動部材が棒部材の底端へ摺動すると、支持脚は徐々に展開していき、摺動部材が制限突起と空間的に干渉する位置まで摺動すると、制限突起が摺動部材の棒部材の底端へのさらなる摺動を阻止し、摺動部材が支持脚の底端にヒンジ連結される。
【選択図】
図2