(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】車両のガラス面を洗浄するシステム
(51)【国際特許分類】
B60S 1/48 20060101AFI20230510BHJP
B60S 1/62 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
B60S1/48 Z
B60S1/62 120B
B60S1/62 110A
B60S1/62 110B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018149672
(22)【出願日】2018-08-08
【審査請求日】2021-06-25
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、ジロー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ、ル、リニュ
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0209687(US,A1)
【文献】実開平03-118151(JP,U)
【文献】特開2014-037239(JP,A)
【文献】特開2014-019403(JP,A)
【文献】国際公開第2014/017520(WO,A1)
【文献】特開2008-137548(JP,A)
【文献】特開2015-214317(JP,A)
【文献】特開2018-197060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00 - 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の少なくとも1つのグレーズ面(20,21)を洗浄するシステム(2)であって、
洗浄剤を貯蔵タンクから流れるようにすることが可能な流体給送母管(3)と、
前記洗浄剤を前記少なくとも1つのグレーズ面(20,21)上に噴射する少なくとも2つの噴射装置(100~111)と、を備え、
前記少なくとも2つの噴射装置(100~111)は、流体接続要素(9)によって、前記流体給送母管(3)に、互いに独立して、かつ前記流体給送母管(3)の並んだ領域(90,92)において接続され、
前記流体給送母管(3)は、壁の各側に配置されるとともに流体コネクタ(6)により互いに接続された少なくとも2つの部分(30,31)を備えることを特徴とするシステム(2)。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄システム(2)
であって、
前記流体給送母管(3)に洗浄剤を供給することが可能なポンプ(5)を備えることを特徴とする洗浄システム(2)。
【請求項3】
車両(1)の少なくとも1つのグレーズ面(20,21)を洗浄するシステム(2)であって、
洗浄剤を貯蔵タンクから流れるようにすることが可能な流体給送母管(3)と、
前記洗浄剤を前記少なくとも1つのグレーズ面(20,21)上に噴射する少なくとも2つの噴射装置(100~111)と、を備え、
前記少なくとも2つの噴射装置(100~111)は、流体接続要素(9)によって、前記流体給送母管(3)に、互いに独立して、かつ前記流体給送母管(3)の並んだ領域(90,92)において接続され、
前記噴射装置(100~111)の少なくとも1つは、前記流体給送母管(3)上に機械的保持要素(10)を備えることを特徴とする洗浄システム(2)。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の洗浄システム(2)
であって、
前記噴射装置(100~111)の各々はソレノイド弁(7)及びスプリンクラー(8)を備えることを特徴とする洗浄システム(2)。
【請求項5】
請求項
3に記載の洗浄システム(2)
であって、
前記噴射装置(100~111)の各々はソレノイド弁(7)及びスプリンクラー(8)を備え、
前記流体接続要素(9)と噴射装置(100~111)の前記機械的保持要素(10)とは、前記噴射装置の前記ソレノイド弁(7)によって支持されていることを特徴とする洗浄システム(2)。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の洗浄システム(2)
であって、
前記噴射装置(100~111)の少なくとも1つは光学検出システム(4)と組み合わされており、前記噴射装置及び組み合わされた前記光学検出システムは、共通のハウジング(12)に収容されていることを特徴とする洗浄システム(2)。
【請求項7】
車両(1)の少なくとも1つのグレーズ面(20,21)を洗浄するシステム(2)であって、
洗浄剤を貯蔵タンクから流れるようにすることが可能な流体給送母管(3)と、
前記洗浄剤を前記少なくとも1つのグレーズ面(20,21)上に噴射する少なくとも2つの噴射装置(100~111)と、
電子制御バス(11)と、を備え、
前記少なくとも2つの噴射装置(100~111)は、流体接続要素(9)によって、前記流体給送母管(3)に、互いに独立して、かつ前記流体給送母管(3)の並んだ領域(90,92)において接続され、
前記少なくとも2つの噴射装置(100~111)は、互いに独立して前記電子制御バス(11)に電気的に接続され、
前記電子制御バス(11)及び前記流体給送母管(3)は、前記噴射装置(100~111)に対する1つの同じ電気流体給送母管(17)を形成していることを特徴とする洗浄システム(2)。
【請求項8】
請求項1
、3乃至請求項7のいずれか1項に記載の洗浄システム(2)
であって、
前記流体給送母管(3)に洗浄剤を供給することが可能なポンプ(5)を備え、
少なくとも1つの第1の噴射装置(100~108)は、道路シーンの自動分析に用いられるセンサの光学面を洗浄するように設計されており、少なくとも1つの第2の噴射装置(109~111)は、車室のグレーズ面、または前記車両の運転者による直接分析にのみ用いられるセンサの光学面を洗浄するように設計されており、
前記流体給送母管(3)は、前記少なくとも1つの第2の噴射装置(109~111)が、前記少なくとも1つの第1の噴射装置(100~108)よりも前記流体給送母管への供給を行う前記ポンプ(5)の出力から遠位にあるように、前記噴射装置の各々に共通の前記流体給送母管(3)上に位置するように配置されていることを特徴とする洗浄システム(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車に取り付けられる洗浄システムの分野に関する。本発明は、より詳細には、斯かる車両のグレーズ面を洗浄するシステムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、洗浄剤を噴射する複数の装置を備えた洗浄システムの構成を記載している。これらの噴射装置は、組み合わされたグレーズ面を洗浄することが可能となるように、車両の前面上、及び/または後面上、及び/またはリアビューミラー上に配置されている。
【0003】
斯かる洗浄システムにおいて、車両のユーザが発する手動コマンドによって第1の噴射装置が作動し得るとともに、当該車両の運転支援及び/または操縦支援装置によって発せられる自動コマンドにより第2の噴射装置が作動し得る。第1の噴射装置と組み合わされるグレーズ面は、例えば車両のフロントガラス及びリアウィンドウに対応し、また第2の噴射装置と組み合わされるグレーズ面は、例えば車両の運転及び/または操縦を支援するように設計されたセンサの光学面に対応する。
【0004】
これらの噴射装置に洗浄剤を供給するために、引用文献の洗浄システムの構成は、主ソレノイド弁を介してこれらの噴射装置の各々に接続されたタンク及びポンプを備え、主ソレノイド弁はポンプにより供給される洗浄剤を、車両の噴射装置の各々に個別に結合された管へと導く。このように、本構成において、噴射装置は、互いに独立した洗浄システムのポンプによって、タンクから管のいずれかにポンプ送りされた洗浄剤を導くソレノイド弁の駆動がもたらされる。
【0005】
車両の洗浄システムが1つの同じポンプによってまかなわれる多数の噴射装置を備える場合に、すべての噴射装置を流体接続するために設けられる管の数が多く、設置の複雑さ及びコストの点で問題を生じ得る。流体管の各々には、例えば、洗浄システムのコスト全体を大きく増加させるメートル当たりのコストがかかる。
【0006】
さらに、噴射装置の各々は、洗浄機能を制御する主電子ユニット、例えば、この制御機能を実行するために洗浄機能を起動し、及び/または噴射機の展開を実行する主電子ユニットに、電気的に接続される必要がある。その上、噴射装置の各々を主電子ユニットに電気的に接続することを可能にするには、多数のケーブル及び電気接続を有する洗浄システムを設けることが必要である。しかも、主電子ユニットと噴射装置の各々との間にケーブルを挿入する設計が、洗浄システムのコスト全体を決めるメートル当たりのコストを支配する。
【0007】
例えば車両の周囲においてセンサ数が益々大きくなっていく自動運転車などの車両を開発する状況において、これらの欠点を考慮する必要があることは当然である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2012/0266926号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述した欠点の少なくとも1つを軽減することと、車両に取り付けられる洗浄システムであって、その製造コストを低減することを可能にすると同時に、車両におけるその設置を簡略化する洗浄システムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本目的のために、本発明の主題は、車両の少なくとも1つのグレーズ面を洗浄するシステムであって、洗浄剤を貯蔵タンクから流れるようにすることが可能な主流体給送母管と、洗浄剤を少なくとも1つのグレーズ面上に噴射する少なくとも2つの装置とを備えた洗浄システムである。本発明によれば、少なくとも2つの噴射装置は、流体接続要素によって流体給送母管に、互いに独立して、当該母管の並んだ領域において接続されている。
【0011】
以下の規定を与える。
【0012】
「流体給送母管」は洗浄剤が搬送されるようにする管を意味するものであると解する。
【0013】
「洗浄剤」はグレーズ面を洗浄する目的でグレーズ面上に噴射されることが可能な液剤またはガス剤を意味するものであると解し、斯かる剤は、本発明において無差別に、水、フロントガラス洗浄液、さらには空気とすることができる。
【0014】
「グレーズ面」は車両の車室におけるグレージングの1つとなり得る透明な面であって、特に、フロントガラスまたはリアウィンドウからなることもあれば、車両に取り付けられた光学検出システムの光学面からなることもあることを意味するものであると解し、その一方で、特に、グレーズ面はガラスまたはそれ以外にプレキシグラス型の透明なプラスチックで形成されているものとし得る。
【0015】
本発明によれば、特徴的なことは、噴射装置が、互いに独立して、すなわち、例えば主流体管と比較して短尺な副管であって、噴射装置ごとに存在するとともに互いに対してずれた接続位置において主流体管に接続された副管からなる流体接続要素を用いて、洗浄剤の供給管に接続されていることである。
【0016】
本発明に係る洗浄システムによって、斯かる洗浄システムを車両に設置するコスト全体を実質的に低減することが可能である。特に、公知の洗浄システムの構成とは対照的に、1つの流体管のみを用いて、車両に取り付けられた噴射装置の各々に流体給送するため、流体管は、給送装置が洗浄要求に応じて用いる給送母管を形成している。これらの2つの噴射装置はそれぞれ、これらの噴射装置の各々が互いに独立に主流体管によって洗浄剤を供給され得るように、同じ給送管に、当該給送管に沿って流体接続されている。本発明に係る洗浄システムが、車両に沿って延伸する主流体管に沿って互いに離間した、それぞれ1つの同じ主流体管に接続された多数の噴射装置を備える場合に、いっそう有益であることは明らかである。
【0017】
本発明によれば、特徴的なことは、車両に取り付けられた洗浄システムの流体路が大きく簡略化されることである。特に、本発明によれば、主流体管は、車両に取り付けられたこれらの噴射装置の各々に流体給送するように車両に沿って延伸する流体給送母管の役割を果たす。噴射装置ごとの接続要素を形成することが可能である副流体管の寸法は小さく、したがって、流体路を取り付けることに対する制約はとりわけ、各噴射装置によって共有される主流体管に関係する。これによって、有利にも、斯かる洗浄システムに供される流体路の車両における容積を最適化することができるようになる。
【0018】
さらに、流体管を固定具によって車両の構造上の要素に整合的に取り付け、またこれを、例えば車室を画定する壁に沿って、または壁を貫いて行えば、(主及び副)管の全長の短縮によって、これらの固定具の数、したがって車両における洗浄システムの設置に供される部品のコストと本システムを設置するのに必要な時間とを低減することが可能であることは明らかである。
【0019】
本発明の特定の一特徴によれば、洗浄システムは単体の流体給送母管を備え、噴射装置は当該流体給送母管に直接取り付けられ、噴射装置ごとの接続要素は、流体給送母管内への噴射装置の突出体から構成される。本特徴によって、車両に取り付けられた洗浄システムの流体路であって、この車両の噴射装置の各々に流体給送するために車両中に延伸する流体路を、よりいっそう簡略化することが可能である。
【0020】
本発明の一態様によれば、流体給送母管は開流路を形成している。つまり、流体給送母管内で流れる洗浄剤は、ポンプの出力に接続された、流体給送母管の第1の端部と、閉じられているとともに第1の端部と反対側にある、流体給送母管の第2の端部との間において実質的に個別の圧力にあり、このことは本流体給送母管に接続された噴射装置のすべてが作動するときに当てはまる。
【0021】
閉流路を形成する流体給送母管を考えることは可能である。つまり、洗浄剤は閉ループ内で流れ、これにより流体給送母管の入力と出力とでほぼ均一の圧力を有し、このことは当該流体給送母管に接続された噴射装置のすべてが作動するときに当てはまる。
【0022】
本発明の一特徴によれば、洗浄システムは、流体給送母管に洗浄剤を供給することが可能なポンプを備える。特に、ポンプは洗浄剤を、本剤を貯蔵したタンクから汲み出すことによって流体給送母管への供給を行い得る。流体給送母管が閉流路を形成する場合に、流体給送母管の第1の端部はポンプの出力に接続され、第1の端部と反対側にある、流体給送母管の第2の端部は、ポンプの入力に接続される。
【0023】
本発明の一特徴によれば、流体給送母管は、壁の各側に配置されるとともに流体コネクタにより互いに接続された少なくとも2つの部分を備える。本態様により、車両に沿って延在するとともに本発明に従って主給送管を形成する流体給送母管の2つの部分であって、車両の壁によって分離されている2つの部分を流体接続することが可能になる。流体コネクタは、この壁に形成された孔に取り付けられ得る。斯かる壁は、金属またはプラスチックで形成され得るとともに、噴射装置への供給を行うために、車両に沿って延伸する流体給送母管の給送路上の壁に相当する。
【0024】
流体給送母管の各部分の一端は、これらの端部が互いに接続されるように設計されているため、流体コネクタへのその接続に供される流体接続ポートを支持し得る。
【0025】
当該主給送管に関連して、特に、少なくとも2つの噴射装置は流体給送母管の1つの同じ部分に接続され得る、またはそれぞれ流体給送母管の異なる部分に接続され得る。特に、流体給送母管の各部分が少なくとも2つの給送装置への供給を行うように給送装置が配置されるものとし得る。
【0026】
本発明の一特徴によれば、噴射装置ごとの流体接続要素は、流体給送母管に貫通するように設計されたシリンジによって形成されている。シリンジは、噴射装置に連結された管を意味するものであると解し、その自由端において、給送母管を形成する主流体管を貫通するように構成された箇所を支持し、当該管は、洗浄剤を供給するために流体給送母管から引き出された副流体管を形成するために中空である。
【0027】
本発明の一特徴によれば、噴射装置の少なくとも1つは、流体給送母管上に機械的支持要素を備える。噴射装置の各々が、噴射装置ごとに存在する機械的支持要素によって流体給送母管に取り付けられ得ることは明らかであろう。斯かる機械的支持要素によって、流体給送母管を用いて噴射装置を支持することが可能になる。
【0028】
本発明の一特徴によれば、噴射装置の各々はソレノイド弁及びスプリンクラーを備える。
【0029】
本発明の一特徴によれば、流体接続要素と噴射装置の機械的支持要素とは、当該噴射装置のソレノイド弁によって支持される。有利にも、斯かるソレノイド弁は、一度の同じ組付け作業で、流体給送母管に機械的及び流体的に接続される。
【0030】
スプリンクラーは、固定され得る、またはそれ以外にはめ込み式であり得る。つまり、噴射装置は、洗浄剤を噴射する母管が洗浄動作中及び洗浄動作間に一定の位置を維持するように構成されている、またはそれ以外に、これらの噴射母管は、洗浄する対象のグレーズ面に対向する洗浄位置と退避位置とをとることが可能なはめ込み式の本体上に設置されている。
【0031】
本発明の一特徴によれば、噴射装置の少なくとも1つは光学検出システムと組み合わされており、噴射装置及び組み合わされた光学検出システムは、共通のハウジングに収容されている。
【0032】
斯かる光学検出システムは、車両の運転支援及び/または操縦支援装置を動作させるのに必要なビデオカメラ型の、またはそれ以外にレーザスキャナ型の光学センサからなり得る。その場合に、これらのセンサのグレーズ面は、悪天候に晒される保護ガラスによって形成された光学面からなる。
【0033】
共通のハウジングが存在するこの特定の状況において、流体接続要素と流体給送母管に対する噴射装置の機械的支持要素とは、ハウジングによって支持され得る。その場合に、噴射装置及びセンサが事前に取り付けられたハウジングは、流体給送母管に機械的及び流体的に接続され得る。その場合に、ハウジングは、流体給送母管と、対応する噴射装置との、機械的接続及び流体接続インタフェースを形成する。
【0034】
本発明の一特徴によれば、洗浄システムは電子制御バスを備え、少なくとも2つの噴射装置は互いに独立して電子制御バスに電気的に接続されている。
【0035】
したがって、各噴射装置は、流体給送母管であって、しかも噴射装置のすべてに共通である流体給送母管に対する流体接続要素と、電子制御バスであって、同じく有利なことに噴射装置のすべてに共通である電子制御バスに対する電気接続要素とを備えるように構成され得る。
【0036】
このように、斯かる洗浄システムのコスト全体をよりいっそう低減することへの寄与がなされている。特に、公知の洗浄システムの構成とは対照的に、1つの電子制御バスのみを用いて、車両に取り付けられた少なくとも2つの噴射装置を制御する。本発明の一特徴によれば、電子制御バスは、車両に取り付けられたこれらの噴射装置の各々を電気的に制御するために、車両に沿って延伸する流体給送母管の経路をたどり得る。これによって、有利にも、斯かる洗浄システムの電気回路に割かれる車両内の容積を最適化することが可能になる。実際は、電子制御バスは、固定具によって車両の構造上の要素に整合的に取り付けられる必要があり、流体給送母管の取付け固定具を共有し得る。
【0037】
本発明の実施の種々のモードによれば、電子制御バスは電力線通信(PLC)プロトコルで動作するバスであり、またはそれ以外に通信プロトコルはLIN型またはCAN型である。
【0038】
ソレノイド弁の電子駆動ユニットが、企図される電子制御バスの種類に応じて電子制御バスにより送信されるコマンドを処理するように構成されることは明らかであろう。
【0039】
本発明の他の特徴によれば、噴射装置のソレノイド弁は、電子制御バスに接続されるように設計された電気接続端子を備え、ソレノイド弁はソレノイド弁を制御する電子駆動ユニットを備える。ソレノイド弁が電子制御バスを介して自動洗浄制御命令を受信すると、当該ソレノイド弁は、組み合わされたグレーズ面上に洗浄剤を噴射するために、洗浄剤が流体給送バスからスプリンクラーへ流れるようにすることが可能である。
【0040】
特に、電気接続端子は、3つの配線、すなわち2つの電源配線と電子制御配線とに係合するように構成された3つの接続ピンを備える。
【0041】
2つの電源配線によって、該当する噴射装置のソレノイド弁を、例えば12V型の低電圧ネットワークからなる車両の電源に接続することが可能になり、また電子制御配線によって、該当する噴射装置のソレノイド弁を電子制御バスに接続することが可能になる。
【0042】
電子制御バスがPLCバスである場合に、電気接続端子はPLCバスの2つの単一の電源配線と係合する丁度2つのピンを備えるものとしてよく、電力線技術の原理により、電源ネットワークの電流の周波数を利用して、ソレノイド弁の電子駆動ユニットに制御情報をなすデータ項目を伝送することが可能になることは明らかである。
【0043】
主流体管が柔軟性を有すると有利である。つまり、流体給送母管は、主流体管が当接して延伸する必要のある車両の構造上の要素の形態及びプロファイルに主流体管が沿うことを可能にする弾性材料から形成されている。
【0044】
本発明の特定の一態様によれば、電子制御バス及び流体給送母管は、噴射装置に対する1つの同じ電気流体給送母管を形成している。噴射装置は当該電気流体給送母管に対して互いに独立に接続されている。つまり、電子制御バスは流体給送母管と一体に形成されている。この特定の態様によって、車両における洗浄システムの組付けをさらに簡略化することが可能である。
【0045】
これに関連して、流体給送母管を形成する主流体管は、内部で洗浄剤が流れることが可能である中心通路を管の中心に有する成形管からなっていてもよく、成形管は、管の周囲において、内部で電源配線と電子制御バスの制御配線との各々が延伸することが可能であるさらなる管を有する。変形例として、流体給送母管に結合された管上に電子制御バスを収容するさらなる管がオーバーモールドされてもよい。
【0046】
本発明の一特徴によれば、噴射装置の電源ネットワークと電子制御バスと流体給送母管とは、噴射装置に対する単体の電気流体給送母管を形成している。つまり、噴射装置の電源ネットワークと電子制御バスとは、流体給送母管と一体に形成されている。その場合に、斯かる給送母管によって、流体給送母管を介して噴射装置に流体供給すること、電源ネットワークを介してこれらの噴射装置に給電すること、また電子制御バスを介してこれらの同じ噴射装置を制御することが可能になることは明らかであろう。ここでも、車両におけるアセンブリの設計及び設置は、噴射装置が互いに独立して接続された、車両に沿って延在する噴射装置のすべてに対する共通路を用いて、特に、互いに離間して位置するこの共通路への接続領域を用いてこのように簡略化され、このことは、流体給送と給電との両方を許容する経路についても当てはまる。
【0047】
上述したように、噴射装置の電源ネットワークと電子制御バスとを主流体管に対して周囲に配置することを考えることは可能である。
【0048】
さらに、主流体管の中心に電子制御バス及び/または電源ネットワークが配置される変形態様を提供し得る。その場合に、流体給送母管が、同軸に配置された噴射装置の電子制御バス及び/または電源ネットワークをその中心に収容する環状部を有する。この場合に、噴射装置に対する単体の電気流体給送母管が、噴射装置の電気的接続を可能にするために、主流体管を画定する管を整合的に貫通する突起が設けられるように構成されることは明らかである。
【0049】
電子制御バス及び流体給送母管が噴射装置に対する1つの同じ電気給送母管を形成する特定の態様によれば、電気流体給送母管は、電気及び流体コネクタによって互いに接続された少なくとも2つの部分を備え得る。この特定の態様によって、上述したような、車両の壁によって分離された給送母管の2つの部分を、電気的及び流体的に接続することが可能になる。電気及び流体コネクタは、この壁に形成された孔に設置され得る。流体給送母管の各部分の一端は、これらの端部が互いに接続されるように設計されているため、電気及び流体コネクタへのその接続に対して、電気的及び流体接続ポートを支持し得る。
【0050】
本発明の他の特徴によれば、少なくとも1つの第1の噴射装置は、道路シーンの自動分析、すなわち、特に当該車両の運転支援及び/または操縦支援装置を駆動するために車両の電子装置を用いた分析に用いられるセンサの光学面を洗浄するように設計されており、また少なくとも1つの第2の噴射装置が、車室のグレーズ面、または車両の運転者による直接分析にのみ用いられるセンサの光学面を洗浄するように設計されているものとし得る。この場合に、少なくとも1つの第2の噴射装置が少なくとも1つの第1の噴射装置よりも、当該流体給送母管への供給を行うポンプの出力から遠位にあるように、流体給送母管を噴射装置の各々に共通の流体給送母管上に位置するように配置すると有利である。
【0051】
詳細には、特に噴射装置のすべてに共通の流体給送母管が開路である場合に、ポンプから最も遠位にあるこの開路の端部において流れる洗浄剤は、ポンプ出力において流れる洗浄剤の圧力より低い圧力を呈し得る。ここでは、車両のオンボード電子装置によって検出される道路シーンの誤った分析を回避するために、運転支援システムに関連付けられた光学検出システムを無欠陥にすることは重要であるが、一方で、運転者が自分で道路シーンの検出画像を分析する場合に、運転者は、判断を誤らずに部分的に乱れた画像を分析する準備がより整っている。したがって、好都合なことに、流体給送母管の圧力が低い部分上に第2の噴射装置を設置することが可能であり、最適でない洗浄の潜在的なリスクが及ぼす影響は小さくなる。さらに、このように第1の噴射装置及び第2の噴射装置に対する洗浄剤の流体供給を優先させることによって、すなわち、ポンプ出力における洗浄剤が程度の差はあっても迅速に第1の噴射装置及び第2の噴射装置に到達するように第1の噴射装置及び第2の噴射装置を設置することによって、光学検出システムから到来する情報の自動処理に必須の動作である起動または有効化を損なうという余計な洗浄動作を回避することが可能である。
【0052】
上述の内容から明らかなように、本発明に従って、車両において複数の噴射装置がこれらの噴射装置のすべてに共通の給送母管によって流体供給を受け、また適宜電気的に供給を受けることは有利である。特に、車両に沿って延伸する単体の流体給送母管を有することが可能である。
【0053】
一変形例によれば、洗浄システムは、2つの分離した流体給送母管と2つの分離した噴射装置列とを備え、各噴射装置列は上述した内容に従って流体給送母管の一つに、すなわち、互いに独立して対応する給送母管に接続されたこの列の噴射装置のすべてに、流体接続されているものとし得る。
【0054】
例えば、第1の流体給送母管と、対応する第1の噴射装置列とを、車両の第1の部分に配置し、第2の流体給送母管と、対応する第2の噴射装置列とを、車両の第2の部分に配置するものとし得る。非限定的な例として、車両の第1の部分を車両の側部の1つとし得るとともに、車両の第2の部分を車両の側部のその他とし得る他に、車両の第1の部分を車両の前部とし得るとともに、車両の第2の部分を車両の後部とし得る。
【0055】
これに関連して、他の可能な給送は、第1の列の噴射装置の各々が道路シーンの自動分析に用いられるセンサの光学面を洗浄するように設計されており、第2の列の噴射装置の各々が車室のグレーズ面、または車両の運転者による直接分析にのみ用いられるセンサの光学面を洗浄するように設計されている、というものである。その場合に、第1の列の噴射装置に第2の列の噴射装置から個別に洗浄剤を流体供給すると有益である。第1の噴射装置列及び第2の噴射装置列の各々に対する洗浄剤の流体供給を区別することによって、他方の列に対する洗浄コマンドの発令に傷害を与えずに、第1の列及び第2の列に対する洗浄コマンドを発することが可能である。
【0056】
洗浄システムが、第1の流体給送母管に流体接続された第1の噴射装置列と、第2の流体給送母管に流体接続された第2の噴射装置列とを備える場合に、第1の流体給送母管及び第2の流体給送母管の各々に洗浄剤を流体供給する1つの同じポンプを設けてよい。第1のポンプが第1の流体給送母管に洗浄剤を供給することが可能であり、第2のポンプが第2の流体給送母管に洗浄剤を供給することが可能であることも考えられる。この場合に、ポンプの各々は同じコンテナに接続されてもよいし、それぞれ別のコンテナに接続されてもよい。
【0057】
本発明の他の特徴、詳細、及び利点は、例示によって、また図面の参照を伴って以下に提供される説明を読むことにより、より明瞭に理解できるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】
図1は、本発明に係る洗浄システムを装備した自動車の概略図を示し、当該洗浄システムは、洗浄システムの噴射装置に洗浄剤を給送するために車両中を延伸する流体給送母管を備え、噴射装置は、車両の光学検出システムに近接した、車両の種々の領域に設置されている。
【
図2】
図2は、
図1に示された流体給送母管の2つの部分を接続するように構成された流体コネクタを収容した車両の構造壁の概略図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態の概略図を示し、当該実施形態において、洗浄剤噴射装置の2つは、一方側で流体給送母管に流体接続されているとともに他方側で電子制御バスに電気的に接続されており、流体給送母管と電子制御バスとは互いに独立している。
【
図4】
図4は、本発明の他の実施形態の概略図を示し、当該実施形態において、流体給送母管と電子制御バスとは1つの同じ電気流体給送母管を形成している。
【
図5】
図5は、
図4に示された電気流体給送母管の断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、本発明に係る洗浄システム2を装備した自動車1を示し、当該洗浄システムは、自動車1の少なくとも1つのグレーズ面20、21を洗浄することが可能である。このようなグレーズ面は、例えば当該自動車のフロントガラス20かリアウィンドウであったり、自動車1に取り付けられた光学検出システム4の光学面21であったりする。
【0060】
洗浄システム2は、洗浄剤が流れるようにすることが可能な流体流管3と、グレーズ面20、21の洗浄にそれぞれ関わるように自動車1に配置された、洗浄剤を噴射する装置100~111とを備える。示された例において、噴射装置は特に単一のグレーズ面の洗浄に供されているが、複数のこれらの噴射装置が接続される流体給送母管3を主流体流管が形成する限り、本発明の趣旨から逸脱することなく、例えばフロントガラス20からなる1つの同じグレーズ面に複数の噴射装置が供され得ることは明らかであろう。
【0061】
より詳細には、本発明によれば、噴射装置100~111の各々は接続要素によって流体給送母管3に接続されており、またこれらの噴射装置は互いから独立してこの流体給送母管に接続されており、しかも複数の装置に共通の母管を形成する当該流体給送母管における離間して並んだ領域90、92(
図1に確認できる)において接続されている。非限定的な本実施形態において、単一の流体給送母管が、当該自動車1に取り付けられた噴射装置100~111のすべてへの洗浄剤の供給を果たすことは明らかであろう。
【0062】
洗浄システム2は、さらに、ポンプ5及び洗浄剤貯蔵タンクを備える。ポンプ5は、貯蔵タンクから洗浄剤を取り出すように、また主流体管に洗浄剤を連続して供給するように構成されている。より詳細には、ポンプ5の出力50は流体給送母管3の第1の端部30に接続されている。この結果、流体給送母管3は、第1の端部30から第2の端部31まで車両に沿って延在する。示された例において、第1の端部30と反対側にある流体給送母管3の第2の端部31は、流体給送母管3が開流路を形成するように閉じられている。当然、流体給送母管は閉じた流路を形成するように構成されてよく、流体給送母管の第2の端部31はこの趣旨で貯蔵タンクに接続されてよい。
【0063】
図1を参照し、第1の噴射装置100~108は、特に当該車両の運転支援及び/または操縦支援装置を駆動するために、道路シーンの自動分析、すなわち車両の電子装置を用いた分析に用いられるセンサの光学面を洗浄するように設計されており、第2の噴射装置109~111は、車室のグレーズ面、または車両の運転者による直接分析にのみ用いられるセンサの光学面を洗浄するように設計されている。この場合に、流体給送母管の第2の端部31に配置されている、すなわちポンプ5の出力50から最も遠位にある流体給送母管の領域にある流体給送母管の端部に配置されている、ここではリアウィンドウの洗浄に関わる装置が、第2の噴射装置の1つとなるように、流体給送母管3が構成されている。
【0064】
この場合における流体給送母管3は、車両の前部に配置された第1の部分32と、車室に配置された第2の部分33とを有し、各部分は、車両のこの部分に存在する噴射装置のすべてに寄与するために、車両の対応する部分において蛇行する。給送母管に単一のポンプ5が設けられているため、この場合にこれらの2つの部分32、33間において流体連続性が達成されることは明らかである。
【0065】
図2は、上記の母管が自動車1の1つまたは複数の壁80を通過するように引き回される場合に、流体給送母管3のこれらの部分32、33間の連続性を確保する手段を示し、当該手段は、自動車1における流体給送母管3の経路を最適化することによって各噴射装置に共通の流体給送母管3を作製するのに必要な管の長さを低減するために、このことを有利に行う。この場合に、部分32、33は、流体コネクタ6を介して互いに対をなして接続されている。より詳細には、流体給送母管3の第1の部分32及び第2の部分33はそれぞれ、互いに対向するそれらの端部において、流体コネクタ6へのそれらの接続に供される流体接続ポート32a、33aを支持する。2つの噴射装置100~111は流体給送母管3の1つの同じ部分32、33に接続される、または各々が流体給送母管3の異なる部分32、33に接続されるものとし得る。
【0066】
図3を参照し、洗浄システム2の噴射装置100~111と、
図3に概略的に示されたような、これらの噴射装置の少なくとも2つに共通する流体給送母管3に対するそれらの係合についての説明を、ここでより詳細に提供する。以下の内容では、洗浄システムの標準化を容易にするために、噴射装置はすべて同じ形状を有するものとするが、上述したことに従って各噴射装置が他の噴射装置とは独立に流体給送母管に流体接続される限り、本発明の趣旨から逸脱することなく必要に応じて洗浄装置の形状及び寸法を調整することは明らかに可能である。
【0067】
噴射装置100~111はソレノイド弁7及びスプリンクラー8を備える。ソレノイド弁7が作動すると、洗浄剤が流体給送母管3内に流れてスプリンクラー8へと通過することが可能になる。次いで、洗浄剤はスプリンクラー8によって、噴射装置100~111と組み合わされた光学検出システム4のグレーズ面20、21上に噴射される。
【0068】
噴射装置は、噴射装置を流体給送母管3に接続する流体接続要素9を備える。流体接続要素9は、第1に流体給送母管3を貫通することが可能であり、第2に当該流体給送母管からスプリンクラー8への洗浄剤の通過を確保することが可能である形態をなす。この目的のために、接続要素は、管状で先細の形状をなすシリンジを有し得る。流体給送母管3への流体接続要素9の組付け箇所には、確実にこの接触領域が封密となるように、流体接続要素9と流体給送母管3との接触領域の周囲に樹脂が用いられ得る。
【0069】
本発明によれば、
図3において確認できるように、2つの噴射装置100~111は、離間して並んだ領域90、92においてこれらの流体接続要素9により流体給送母管3に接続されるように、流体給送母管3に沿って並んで配置されている。こうして、各噴射装置は、流体給送母管内に、この母管が車両内に配置された状態に合わせて突出する。
【0070】
噴射装置は、流体給送母管3への取付けを可能にする機械的保持要素10を備える。示された例において、機械的保持要素10は、複数の噴射装置100~111に共通の流体給送母管3を形成することに寄与する主流体管を少なくとも部分的に取り囲むクランプの形態をなす。例えば、弾性変形する保持要素を設けてもよく、当該保持要素はその初期位置において給送母管を画定する管の寸法より実質的に小さい寸法を有する溝を画定し、その後、流体給送母管上に係合することができるように作業者が接続要素に力を加えて変形させる必要があると、接続要素の弾性復帰によって確実に接続要素が母管上の正規の位置に保たれる。
【0071】
図3は、流体給送母管3と相互作用するこれらの流体接続要素及びこれらの機械的保持要素を備えた2つの噴射装置を示す。流体給送母管が複数の噴射装置への供給を行うことを規定する本発明に係る特徴を示すために、流体給送母管と相互作用するこれらの要素のみが確認できるようにすることによって噴射装置の1つは部分的に示され、これらの装置の各々が当該流体給送母管内に貫通することにより、流体給送母管は複数の給送装置に共通となっている。
【0072】
上述したような、共通の流体給送母管への噴射装置の流体接続に加え、
図3に全体が示された噴射装置の1つについて確認できるように、噴射装置は、一方側で流体給送母管3に流体接続されるとともに、他方側で、主電子ユニット200に電気的に接続された電子制御バス11に接続されてよく、電子制御バスが流体給送母管と同様に噴射装置のすべてに共通であることが、
図1に示された噴射装置の各々についても同じく当てはまり得ることは明らかであろう。
【0073】
以降では、光センサ型の光学検出システムと組み合わされた噴射装置について説明するが、共通母管への噴射装置の流体接続及び電気的接続に関する特徴は、フロントガラスまたはリアウィンドウなどのグレーズ面を洗浄するように設計された噴射装置に対して再現し得ることは明らかである。
【0074】
図3に概略的に示されているように、噴射装置はハウジング12内に収容され得る。さらに、ハウジング12は、組み合わされた噴射装置100~111が洗浄する必要のあるグレーズ面を有する光学検出システム4を備える。自動車1に取り付けられた斯かる光学検出システム4は、自動車1の運転支援及び/または操縦支援装置を動作させるのに必要なビデオカメラ、またはそれ以外にレーザスキャナからなり得る。
【0075】
噴射装置100~111が斯かる光学検出システム4と組み合わされる場合に、光学検出システム4は、噴射装置100~111の電子制御バス11から分離された電子接続ケーブル13を介して、自動車1に取り付けられた主電子ユニット200と通信するように構成される。例を挙げると、光学検出システム4がカメラである場合に、この電気接続ケーブル13によって、主電子ユニット200にビデオ信号を送信することが可能になる。
【0076】
洗浄システム2の噴射装置100~111は、互いに独立して電子制御バス11に電気的に接続されている。電子制御バス11は、ここではLINバスであるが、他の通信プロトコルを用い得ることは明らかである。
【0077】
ソレノイド弁7は、ソレノイド弁7を制御する電子駆動ユニット(不図示)と、噴射装置、特にソレノイド弁を電子制御バス11に接続することを可能にするように構成された電気接続端子15とを備える。より詳細には、ソレノイド弁を、隣のコネクタ及び隣の組み合わされたソレノイド弁まで続く通信ネットワークに接続することを可能にするために、コネクタ14は電子制御バス11上に設けられている。コネクタ14は、例えば、電気配線によって、ソレノイド弁7の電気接続端子15の第1のピン150に接続されている。自動車1の電源ネットワーク16から延伸してくる配線を留めて、好ましくは12Vに等しい電圧に供される正極160と接地に供されるゼロ極161との電気的接続を可能にするために、電気接続端子15の第2のピン151及び第3のピン152が設けられている。
【0078】
ここで、ソレノイド弁7が電子制御バス11によって制御される観点からソレノイド弁7の動作について説明する。
【0079】
ソレノイド弁7の電子駆動ユニットは、電気接続端子15に電気的に接続されている。この電子駆動ユニットは、電子制御バス11によって送信されたデータを継続的に分析するようにプログラムされている。電子駆動ユニットが、主電子ユニット200によって発せられて電子制御バス11を介して送信された電子駆動ユニットに専用の命令であって、例えばソレノイド弁7を開く制御命令からなる命令を特定すると、電子駆動ユニットは、電子駆動ユニットに結合されたソレノイド弁7を作動させ、これにより、ソレノイド弁7が、流体給送母管3内に収容されている洗浄剤を対応するスプリンクラー8に向けることを可能にする。
【0080】
噴射装置は、次いで、組み合わされたグレーズ面を洗浄するのに必要となるだけの量の洗浄剤、すなわち、噴射装置が電子駆動ユニットによって作動される間にソレノイド弁を通って流れる量の洗浄剤を取り込む。
【0081】
図4は、上述した内容に従って複数の噴射装置100~111への供給を行う単体の電気流体給送母管17を形成する流体給送母管3と電子制御バス11とを概略的に示す。図示のように、電子制御バス11は、流体給送母管3と一体的に形成されている。
図5は、この電気流体給送母管17の断面を示し、ここでは、流体給送母管3が、内部に洗浄剤が流れる成形管であって、電子制御バス11を収容した少なくとも1つのさらなる管を周囲に支持する成形管の形態をなすように、電気流体給送母管17は形成されており、電子制御バス11はこうして流体給送母管3に対して周囲に配置される。
【0082】
噴射装置100~111が流体給送母管3に流体接続される場合に、流体接続要素9を、電子制御バス11を損傷させないように電気流体給送母管17上に配置すると有利である。
【0083】
上記の内容を読んで分かることであるが、本発明に係る洗浄システムは、車両に互いに離間して配置された少なくとも2つの洗浄装置であって、これらの洗浄装置に共通である流体給送母管により少なくとも流体供給を受ける少なくとも2つの洗浄装置を備えるという点で有利である。給送母管は、洗浄装置に近接してこれらの洗浄装置が動作するのに必要な洗浄剤を輸送するように車両中に配置されており、これらの洗浄装置が動作命令を受けると流れている洗浄剤を汲み出すことは、本発明の特徴的なことである。
【0084】
当然、本発明の特徴及び変形実施形態を、それらが互いに置換不能または排他的でない限り、数々の組合せで互いに組み合わせ得る。特に、以下に記載された特徴を記載された他の特徴から分離して抽出したもののみを含む本発明の変形例に想到することは、この特徴を抽出したものが十分に技術的利点を与え、または十分に本発明を先行技術から区別するならば、可能となり得る。