(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】発光デバイス用光分配素子、および発光デバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 3/08 20060101AFI20230510BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20230510BHJP
【FI】
G02B3/08
H01L33/58
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018168020
(22)【出願日】2018-09-07
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】201710811209.X
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、ジ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、シリン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ロン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ピンウー
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/116290(WO,A1)
【文献】特開2005-160750(JP,A)
【文献】特開2003-195274(JP,A)
【文献】国際公開第2017/065193(WO,A1)
【文献】特開2006-091821(JP,A)
【文献】特表2014-508325(JP,A)
【文献】国際公開第2017/104195(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0146212(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/00-1/08,3/00-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイス用の光分配素子(2)であって、
複数の第1光偏向部と、複数の第2光偏向部と、を備え、
前記複数の第1光偏向部によって形成された
第1パターンが、前記複数の第2光偏向部によって形成された
第2パターンと重なって最終的なディスプレイパターンを形成
し、
前記第1パターンが、前記第2パターンと異なる、光分配素子(2)。
【請求項2】
前記第1光偏向部は、光分配素子(2)の外側へ向かって突出した複数の花弁形の凸部(21)で構成され、前記複数の花弁形の凸部(21)は、前記光分配素子(2)の中央から放射状に外側に延び、
前記第2光偏向部は、前記光分配素子(2)の外側に向かって突出した複数の環状の凸部(22)で構成され、前記複数の環状の凸部(22)は、異なる外周を有し、より大きな外周を有する前記環状の凸部(22)は、より小さな外周を有する前記環状の凸部(22)の外側に設けられている、請求項1に記載の光分配素子(2)。
【請求項3】
前記複数の第
1光偏向部は、環状領域に配置され、前記複数の花弁形の凸部(21)は、前記環状領域の内輪から前記環状領域の外輪までそれぞれ延びる、請求項2に記載の光分配素子(2)。
【請求項4】
前記光分配素子(2)は、入光側と、前記入光側と平行な出光側とを有し、
前記複数の第1光偏向部が前記光分配素子(2)の前記入光側に形成され、かつ前記複数の第2光偏向部が前記光分配素子(2)の前記出光側に形成されるか、または、前記複数の第1光偏向部が前記光分配素子(2)の前記出光側に形成され、かつ前記複数の第2光偏向部が前記光分配素子(2)の前記入光側に形成される、請求項2に記載の光分配素子(2)。
【請求項5】
前記入光側および前記出光側の輪郭は円形であり、前記入光側または前記出光側が配置されている平面における前記複数の花弁形の凸部(21)の突起は、等角度の間隔で均一に分布している、請求項4に記載の光分配素子(2)。
【請求項6】
前記入光側または前記出光側が配置されている前記平面における前記花弁形の凸部(21)の突起は、それ自体が対称または非対称である、請求項5に記載の光分配素子(2)。
【請求項7】
各花弁形の凸部(21)が前記光分配素子(2)の外側に向かって突出する方向における前記内輪での各花弁形の高さは、各花弁形の凸部(21)が前記光分配素子(2)の外側に向かって突出する方向における前記外輪での各花弁形の高さと異なっている、請求項3に記載の光分配素子(2)。
【請求項8】
前記各花弁形の凸部(21)が前記光分配素子(2)の外側に向かって突出する方向における前記内輪と前記外輪との間における前記各花弁形の凸部(21)の高さは、徐々に変化している、請求項7に記載の光分配素子(2)。
【請求項9】
前記各花弁形の凸部(21)が前記光分配素子(2)の外側に向かって突出する方向における、より大きな外周を有する環状の各凸部(22)の高さは、前記環状の各凸部(22)が前記光分配素子(2)の外側に向かって突出する方向における、より小さな外周を有する環状の各凸部(22)の高さと異なっている、請求項4に記載の光分配素子(2)。
【請求項10】
前記入光側および前記出光側の輪郭は円形であり、
前記複数の環状の凸部(22)が前記光分配素子(2)の外側に向かって突出する方向における前記複数の環状の凸部(22)の高さは、前記入光側または前記出光側の円の中心から外側に放射状に徐々に変化している、請求項9に記載の光分配素子(2)。
【請求項11】
前記複数の第1光偏向部および前記複数の第2光偏向部は、一体的に前記光分配素子(2)の本体を形成し、かつ、光源に対向する側と、前記光源から離れたもう一方の側とにそれぞれ配置されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の光分配素子(2)。
【請求項12】
前記複数の第1光偏向部および前記複数の第2光偏向部は、前記光分配素子(2)の本体から独立した部材で構成されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の光分配素子(2)。
【請求項13】
前記複数の第1光偏向部および前記複数の第2光偏向部は、それぞれレンズ状格子フィルムで構成されている、請求項12に記載の光分配素子(2)。
【請求項14】
前記複数の第1光偏向部および前記複数の第2光偏向部は、互いに移動可能に構成されている、請求項12に記載の光分配素子(2)。
【請求項15】
前記複数の第1光偏向部および前記複数の第2光偏向部は、前記複数の第1光偏向部と前記複数の第2光偏向部との間における距離が可変となるように、互いに並進移動可能に構成されている、請求項14に記載の光分配素子(2)。
【請求項16】
前記複数の第1光偏向部および前記複数の第2光偏向部は、互いに回転可能に構成されている、請求項14に記載の光分配素子(2)。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に係る光分配素子(2)を備える、発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両デバイスまたは発光デバイスの技術分野に関し、より詳しくは、発光デバイス用光分配素子と、光分配素子を含む発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の発光デバイスは、車両のヘッドライト、フォグライト、方向ライト、ブレーキライト、位置標示ライト、昼間走行ライトなどのような、様々な照明および/または信号デバイスを含んでいる。自動車産業の発展に伴って、車両における機能的なデバイスに対する人々の要求は、それらの機能に制限されず、機能に加えて審美的でユニークなデザインに注がれている。自動車メーカーは、照明効果のパーソナル化、特別な照明スタイルのパターンを含む照明および/または信号デバイスのパーソナル化されたデザインを追求し、さらに、三次元で動的な照明効果を追求する。
【0003】
自動車用の既存の照明および/または信号デバイスには、照明およびまたは信号デバイスから放射された光をパターニングして三次元または同的な光学効果を有するパターンを、特に簡単な方法で形成できるデバイスがない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術の欠点を少なくとも部分的に解決するために、本発明は、パーソナル化された照明パターンを生成することができる発光デバイス用の光分配素子および発光デバイスを提供する。
【0005】
本発明は、さらに、立体的な照明効果を有する発光デバイス用の光分配素子および発光デバイスを提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、さらに、動的な照明効果を生成することができる発光デバイス用の光分配素子および発光デバイスを提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、さらに、パーソナル化された照明パターン、立体的な照明効果、または動的な照明効果を、簡単でコスト効率の高い方法で実現することができる発光デバイス用の光分配素子および発光デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的の少なくとも1つを達成するために、本発明の技術的解決法は、以下のように提供される。
【0009】
発光デバイス用の光分配素子であって、複数の第1光偏向部と、複数の第2光偏向部と、を備え、複数の第1光偏向部によって形成されたパターンが、複数の第2光偏向部によって形成されたパターンと重なって最終的なディスプレイパターンを形成する。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、
第1光偏向部は、光分配素子の外側に向かって突出した複数の花弁形の凸部で構成され、複数の花弁形の凸部は、光分配素子の中央から放射状に外側に延び、
第2光偏向部は、光分配素子の外側に向かって突出した複数の環状の凸部で構成され、複数の環状の凸部は、異なる外周を有し、より大きな外周を有する環状の凸部は、より小さな外周を有する環状の凸部の外側に設けられている。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、複数の第1光偏向部は、環状領域に配置され、複数の花弁形の凸部は、環状領域の内輪から環状領域の外輪までそれぞれ延びる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、光分配素子は、入光側と、入光側と平行な出光側とを有し、
複数の第1光偏向部が光分配素子の入光側に形成され、複数の第2光偏向部が光分配素子の出光側に形成されるかまたは、
複数の第1光偏向部が光分配素子の出光側に形成され、複数の第2光偏向部が光分配素子の入光側に形成される。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、入光側および出光側の輪郭は円形であり、入光側または出光側が配置されている平面における複数の花弁形の凸部の突起は、等角度の間隔で均一に分布している。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、入光側または出光側が配置されている平面における花弁形の凸部の突起は、それ自体が対称かまたは非対称である。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、各花弁形の凸部が光分配素子の外側に向かって突出する方向における内輪での各花弁形の高さは、各花弁形の凸部が光分配素子の外側に向かって突出する方向における外輪での各花弁形の高さと異なっている。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、各花弁形の凸部が光分配素子の外側に向かって突出する方向における内輪と外輪との間における各花弁形の凸部の高さは、徐々に変化している。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、各花弁形の凸部が光分配素子の外側に向かって突出する方向における、より大きな外周を有する環状の各凸部の高さは、環状の各凸部が光分配素子の外側に向かって突出する方向における、より小さな外周を有する環状の各凸部の高さと異なっている。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、入光側および出光側の輪郭は円形であり、複数の環状の凸部が光分配素子の外側に向かって突出する方向における複数の環状の凸部の高さは、入光側または出光側の円の中心から外側に放射状に徐々に変化している。
【0019】
本発明の好ましい実施形態によれば、複数の第1光偏向部および複数の第2光偏向部は、一体的に光分配素子の本体を形成し、かつ、光源に対向する側と、光源から離れたもう一方の側とにそれぞれ配置されている。
【0020】
本発明の好ましい実施形態によれば、複数の第1光偏向部および複数の第2光偏向部は、光分配素子の本体から独立した部材で構成されている。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、複数の第1光偏向部および複数の第2光偏向部は、それぞれレンズ状格子フィルムで構成されている。
【0022】
本発明の好ましい実施形態によれば、複数の第1光偏向部および複数の第2光偏向部は、互いに移動可能に構成されている。
【0023】
本発明の好ましい実施形態によれば、複数の第1光偏向部および複数の第2光偏向部は、複数の第1光偏向部と複数の第2光偏向部との間における距離が可変となるように、互いに並進移動可能に構成されている。
【0024】
本発明の好ましい実施形態によれば、複数の第1光偏向部および複数の第2光偏向部は、互いに回転可能に構成されている。
【0025】
本発明の別の態様によれば、上述した実施形態のいずれか1つに係る光分配素子を備える、発光デバイスが提供される。
【0026】
本発明に係る発光デバイス用の光分配素子は、複数の第1光偏向部および複数の第2光偏向部を含み、複数の第1光偏向部によって形成されたパターンと、複数の第2光偏向部によって形成されたパターンとは、互いとは異なる。第1光偏向部および第2光偏向部は、パーソナル化された照明パターンを生成することができるレンズ状格子で構成されてもよい。例えば、第1光偏向部を放射状に配置された花弁状の凸部に構成し、第2光偏向部を環状に構成する方法によって、花弁(放射)のような照明パターンを生成することができる。レンズ状格子の使用により、形成されたパターンは、三次元の立体感を有する。さらに、本発明によって提供される光分配素子によれば、第1光偏向部および第2光偏向部は、互いに移動するように構成することができ、これにより、形成されたパターンは、移動中に動的に変化する。したがって、本発明によって提供される光分配素子の使用によって、発光デバイスは動的な照明効果を生成することができる。
【0027】
本発明では、パーソナル化された照明パターン、立体感のある照明効果、または動的な照明効果は、異なる光偏向部を使用することによって簡単に実現でき、技術的手段は、簡易でかつコスト効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図3】本発明の実施形態に係る両面格子の概略図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る発光デバイス用の光分配素子の概略図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る発光デバイス用の光分配素子の花弁形の凸部の概略図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る発光デバイス用の光分配素子の環状の凸部の概略図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る発光デバイス用の光分配素子の照明効果の図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る発光デバイス用の光分配素子の、異なる角度から見た照明効果の比較図である。
【
図10】それぞれ独立した第1および第2光偏向部を典型的に示す図である。
【
図11】第1光偏向部および第2光偏向部が互いに並進移動する第1例を典型的に示す図である。
【
図12】第1光偏向部および第2光偏向部が互いに並進移動する第2例を典型的に示す図である。
【
図13】第1光偏向部および第2光偏向部が互いに回転する例を典型的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。図面において、同一または類似の符号は、同一または類似の構成要素を示す。さらに、以下の詳細な説明では、説明を容易にし、本開示の実施形態の完全な理解を提供するたえに、多数の特定の詳細を説明する。しかし、これらの特定の詳細がなくても、1つまたは複数の実施形態を実施することもできることは明らかであろう。他の場合では、図面を簡略化するために、既知の構造およびデバイスは概略的に示されている。
【0030】
本発明は、立体的なパターンを生成するために一般に使用されるレンズ状格子の革新的な使用に基づく。
図1は、レンズ状格子の原理を示す。
図1において、レンズ状格子100は、平行に配列された複数の凸部101を備える。凸部の幅は、格子ピッチdとして規定できる。
図1に示すように、画像から発せられた光Lは、格子レンズで屈折され、次に人間の目は、格子レンズによって屈折された異なる画像Iを異なる角度から受光するので、人間の目によって観察された内容は、画像Iの前方で異なる位置で異なっている。
そのような効果は、パターンの立体感を生成するために利用できる。さらに、
図2も、レンズ状格子の原理を示す。
図2において、レンズ状格子100は、平行に配列された複数の凸部101と、3つの部分A、B、Cを含み、レンズ状格子100の後方の画像とを含む。光Lは、レンズ状格子100によって屈折され、人間の目は、画像の3つの部分を同時に受光するが、3つの部分A、B、Cの相対位置は変化し、これによりレンズ状格子100は、3D立体感を生成するために利用できる。
【0031】
点光源の場合、一方の側に格子を有するレンズ状格子は、いくつかの光ストリップを生成する。格子が、レンズ状格子の両側に形成されている場合、第1の側で屈折された光は、第2の側でさらに散乱され、複雑な照明効果を生成する。
図3は、本発明の実施形態に係る両面格子についての概略図であり、
図3は、レンズ状格子100の両側に凸構造を有し、凸構造は、レンズ状格子100の入光側に複数の平行な垂直の凸部103と、レンズ状格子100の出光側に複数の平行な水平の凸部102とを有する。すなわち、入光側と出光側の格子パターンは直交している。
図3は、垂直の凸部103の延在方向に沿った断面図であるので、凸部の構造は断面図に示されていない。光源1から発せられた光Lは、両面格子によって屈折されて発光面を形成する、すなわち、
図4に示すように、発光面を有する領域を生成する。
図4は、
図3に示す両面格子の照明効果の図を示し、発光面において照明境界Eで囲まれた照明領域Rが、この図に示されている。
図3に示す実施形態では、両側の格子パターンは同じであることに留意されたい。
【0032】
図5は、本発明の実施形態に係る発光デバイス用の光分配素子を示す。
図5では、光分配素子2は、複数の花弁形の凸部21および複数の環状の凸部22を含んでいる。花弁形の凸部21は、光分配素子2の外側に向かって突出し、環状の凸部22は、光分配素子2の外側に向かって突出し、複数の花弁形の凸部21によって形成されたパターンは、複数の環状の凸部22によって形成されたパターンとは著しく異なる。
図5が花弁形の凸部21の延在方向に沿った断面図を示すので、凸部の構造は断面図に示されない。花弁形の凸部21は、ビームを偏向する第1光偏向部として機能し、環状の凸部22は、ビームを偏向する第2光偏向部として機能する。
【0033】
図5に示すように、光分配素子2は、光源1に近い入光側と、入光側と平行な出光側とを有し、入光側および出光側の輪郭は円形である。複数の第1光偏向部は、光分配素子2の入光側に形成され、複数の第2光偏向部は、光分配素子2の出光側に形成される。複数の第1光偏向部は、それぞれ、光分配素子2の外部から入射光線L1の異なる部分を受光して第2光偏向部へ向けて偏向するように構成され、複数の第2光偏向部は、それぞれ、複数の第1光偏向部によって偏向された光線の異なる部分を偏向して照明パターンPを形成するように構成されている。しかし、本発明はこれに限定されない。また、複数の第1光偏向部が光分配素子2の出光側に形成され、複数の第2光偏向部が光分配素子2の入光側に形成されてもよい。複数の第2光偏向部は、それぞれ、光分配素子2の外部から入射光線L1の異なる部分を受光して第1光偏向部へ向けて偏向するように構成され、複数の第1光偏向部は、それぞれ、複数の第2光偏向部によって偏向された光線の異なる部分を偏向して照明パターンPを形成するように構成される。
【0034】
光源1は、従来技術から公知の任意の光源、好ましくは発光ダイオードであってもよい。光源1は、1つの発光ダイオードまたは発光ダイオードアレイを備えていてよい。光源1は、ソケット、プリント回路板等の光源を搬送する従来技術で知られた任意の構成要素に支持されてもよい。
【0035】
花弁形の凸部21および環状の凸部22の配置に関しては、
図6および
図7を参照する。複数の花弁形の凸部21は、光分配素子2の中央から放射状に外側に延び、複数の環状の凸部22は、異なる外周を有し、より大きな外周を有する環状の凸部22は、より小さな外周を有する環状の凸部22の外側に設けられている。すなわち、複数の花弁形の凸部21が放射状に配置され、複数の環状の凸部22は環状に配置される。
【0036】
本発明に係る発光デバイス用の光分配素子は、複数の第1光偏向部および複数の第2光偏向部を含み、複数の第1光偏向部によって形成されたパターンと、複数の第2光偏向部によって形成されたパターンは、互いに異なる。第1光偏向部および第2光偏向部は、パーソナル化された照明パターンを生成することができるレンズ状格子によって構成されてもよい。例えば、第1光偏向部を放射状に配置された花弁形の凸部に形成し、第2光偏向部を環状に形成する方法によって、花弁のような(放射状の)照明パターンを生成することができる(この照明パターンは後述する)。レンズ状格子の使用により、形成されたパターンは三次元の立体感を有する。さらに、本発明に係る光分配素子は、比較的高い光効率を有し、光束比率は25%を超える。
【0037】
好適には、複数の花弁形の凸部21は、環状領域に配置され、複数の花弁形の凸部21は、環状領域の内輪から環状領域の外輪までそれぞれ延び、入光側または出光側が配置された平面における複数の花弁形の凸部21の突起は、等角度の間隔で均一に分布しているが、入光側または出光側が配置された平面における複数の花弁形の凸部21の突起は、それ自体非対称である、すなわち、複数の花弁形の凸部21は、入光側または出光側の円の中心周りでねじれ、外輪でのねじれ角は、内輪でのねじれ角よりも大きい。その非対称デザインは、後述する回転式の照明パターンの生成を容易にする。また、入光側または出光側が配置されている平面における花弁形の凸部21の突起は、それ自体対称であってもよい、これは、中心的な回転対称の照明パターンをもたらす。
【0038】
本発明における花弁形の凸部は、突起面を有し、突出方向における花弁形の凸部の突起は、花弁形の輪郭を有することに留意されたい。花弁形の輪郭は、4つの直線または曲線で囲まれ、2つの対向する直線または曲線が異なる辺の長さを有することを意味する。本発明の花弁形の輪郭は、厳密なまたは対称な花弁形に制限されず、一般的な意味で花弁形を示すものであれば、近似的な花弁形および非対称の花弁形を含む。
図6を参照すると、花弁形の凸部21は、紙面上にほぼ花弁形の輪郭を示し、その一方で花弁形の凸部21は、紙面の外側に向かって突出している。
【0039】
本発明の実施形態に係る発光デバイス用の光分配素子の照明効果は、
図8を参照して説明できる。図に示すように、光源1が光分配素子2によって光分配された後、放射状または花弁形の照明パターンが生成され、照明パターンPの各花弁が円の中心に関してわずかにねじれ、これにより照明パターンPは回転するように見える。このような照明パターンの照明効果は、非常に美しく、特別であり、自動車のテールライト、ブレーキライト、ターンライト、フォグライトまたは後方ライトに非常に適している。
【0040】
さらに、上記照明パターンPは、異なる角度から見た視野効果が異なり、
図9は、本発明の実施形態に係る発光デバイス用の光分配素子の、異なる角度から見た照明効果の比較を示す図であり、
図9には、9つの方向から見た照明パターンが示され、20H10Vは、光分配素子の中心を通る垂直面に対して-20度、光分配素子の中心を通過する水平面に対して10度から見るといった図面を示す。図から分かるように、異なる角度からみた照明パターンPは異なっており、これにより、パターンは、三次元の立体感を有するように見える。
【0041】
好ましい実施形態では、花弁形の凸部21が光分配素子2の外側に向かって突出する方向における内輪での花弁形の凸部21の高さは、花弁形の凸部21が光分配素子2の外側に向かって突出する方向における外輪での花弁形の凸部21の高さよりも大きいかまたは小さい。具体的には、花弁形の凸部21が光分配素子2の外側に向かって突出する方向における内輪と外輪との間における花弁形の凸部21の高さは徐々に変化する。または、花弁形の凸部21が光分配素子2の外側に向かって突出する方向における内輪での花弁形の凸部21の高さは、花弁形の凸部21が光分配素子2の外側に向かって突出する方向における外輪での花弁形の凸部21の高さよりも大きいかまたは小さい。具体的には、花弁形の凸部21が光分配素子2の外側に向かって突出する方向における内輪と外輪との間における花弁形の凸部21の高さは、段差を有している。同様に、花弁形の凸部21が光分配素子2の外側に向かって突出する方向における、より大きな外周を有する環状の凸部22の高さは、環状の凸部22が光分配素子2の外側に向かって突出する方向における、より小さな外周を有する環状の凸部22の高さよりも、大きいかまたは小さい。具体的には、環状の凸部22が光分配素子2の外側に向かって突出する方向における複数の環状の凸部22の高さは、入光側または出光側の円の中心から外側に放射状に徐々に変化する。または、複数の環状の凸部22の高さは、入光側または出光側の円の中心から外側に放射状に段差を有する。
【0042】
複数の花弁形の凸部21の高さが異なること、および/または複数の環状の凸部22の高さが異なることは、より重要な立体感を備えた照明パターンを生成するだろう。
【0043】
光分配素子2は、PMMA(ポリメタクリル酸)のような、透明なガラス、樹脂またはプラスチック材料で作ることができ、複数の第1光偏向部および複数の第2光偏向部は、一体的に光分配素子2の本体を形成することができる。複数の第1光偏向部および複数の第2光偏向部は、光分配素子2の本体から独立した部材で構成されるように、それぞれレンズ格子フィルムで構成され得る。
【0044】
第1光偏向部および第2光偏向部が、それぞれ独立している場合、複数の第1光偏向部および複数の第2光偏向部は、例えば、モータの駆動により互いに移動可能に構成され得る。具体的には、複数の第1光偏向部および複数の第2光偏向部は、複数の第1光偏向部と複数の第2光偏向部との間における距離が可変となるように、互いに並進移動可能に構成されている。または、複数の第1光偏向部および複数の第2光偏向部は、互いに回転可能に構成される。
図10~
図13は、レンズ状格子を例とすることによって第1光偏向部と第2光偏向部との間における相対的な並進移動および回転を例示する。
図10では、第1光偏向部11および第2光偏向部12は、それぞれ互いに独立している。第1光偏向部11および第2光偏向部12は、
図11に示すように、互いに離れる方向に並進移動することができる。または、第1光偏向部11および第2光偏向部12は、
図12に示すように、互いに並進移動することができる。さらに、
図13では、第2光偏向部12は第1光偏向部11に対して回転可能に構成される。
【0045】
第1光偏向部および第2光偏向部が互いに移動するように構成する方法によって、形成されたパターンは、移動中に動的に変化する。したがって、本発明によって提供される光分配素子の使用によって、発光デバイスは動的な照明効果を生成することができる。
本発明の別の態様によれば、上述した実施形態のいずれか1つによる発光デバイス用の光分配素子2を含む発光デバイスが提供される。
【0046】
本発明では、パーソナル化された照明パターン、立体的な照明効果または動的な照明効果が、異なるように構成された光偏向部を使用することによって簡単に実現でき技術的な手段は、簡易でかつコスト効率が良い。
【0047】
本発明の実施形態を示して説明したが、本発明の原理および思想から逸脱することなく、これらの実施形態に変更および修正を加えることができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等の範囲によって規定できる。
【符号の説明】
【0048】
1 光源
2 光分配素子
21 花弁形の凸部
22 環状の凸部
100 レンズ状格子
101 凸部
102 水平の凸部
103 垂直の凸部
d 格子ピッチ
I 画像
L 光
L1 入射光線
L2 出射光線
R 照明領域
E 照明境界
P 照明パターン
11 第1光偏向部
12 第2光偏向部