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特許7274842物件情報提示装置、物件情報提示プログラム、物件情報提示方法、及び情報提供システム
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  • 特許-物件情報提示装置、物件情報提示プログラム、物件情報提示方法、及び情報提供システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】物件情報提示装置、物件情報提示プログラム、物件情報提示方法、及び情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20230510BHJP
   G06F 16/9535 20190101ALI20230510BHJP
【FI】
G06Q50/16
G06F16/9535
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018173933
(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公開番号】P2020046853
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】399127832
【氏名又は名称】株式会社LIFULL
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100173510
【弁理士】
【氏名又は名称】美川 公司
(72)【発明者】
【氏名】野口 真史
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-062206(JP,A)
【文献】特開2016-110278(JP,A)
【文献】特開2003-196380(JP,A)
【文献】特開2010-198502(JP,A)
【文献】特開2015-176477(JP,A)
【文献】特開2003-122778(JP,A)
【文献】特開2004-206504(JP,A)
【文献】特開2017-021544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動産物件の所在地情報、諸元情報、及び環境情報を含む物件情報を複数の不動産物件毎に登録するデータベースにアクセス可能な物件情報提示装置であって、
ユーザの住居の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方を含む住居情報を取得する取得手段と、
前記不動産物件の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方及び当該不動産物件の環境情報と、前記住居情報とに基づいて、前記住居の環境情報を予測する予測手段と、
前記不動産物件の環境情報と、前記住居の環境情報とを比較することで、当該住居の環境情報よりも好条件の環境情報を有する不動産物件を前記データベースから検索する検索手段と、
前記検索手段により検索された不動産物件の物件情報に含まれる少なくとも一部の情報を前記ユーザに提示する提示手段と、
を備え
前記不動産物件の環境情報は、前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動または他の前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動に基づいて予測される振動に係る振動情報であって、当該振動情報がそのタイミングを表す時間帯毎または季節毎且つ時間帯毎に区分されていることを特徴とする物件情報提示装置。
【請求項2】
前記検索手段は、前記住居の環境情報との差分が予め設定された基準値より大きい好条件の環境情報を有する不動産物件を検索することを特徴とする請求項1に記載の物件情報提示装置。
【請求項3】
前記予測手段は、前記不動産物件の所在地情報と、前記住居の所在地情報とに基づいて、当該住居の近傍範囲内にある不動産物件を特定し、当該不動産物件の環境情報を、当該住居の環境情報として予測することを特徴とする請求項1または2に記載の物件情報提示装置。
【請求項4】
前記提示手段は、前記住居の環境情報と前記不動産物件の環境情報とを前記ユーザに比較可能に提示することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の物件情報提示装置。
【請求項5】
前記環境情報は、複数の環境種別毎に定量化されており、
前記提示手段は、前記住居の環境情報と、前記不動産物件の環境情報とを前記複数の環境種別毎に前記ユーザに比較可能に提示することを特徴とする請求項4に記載の物件情報提示装置。
【請求項6】
前記提示手段は、前記住居の環境情報と、前記検索手段により検索された不動産物件の環境情報との差分に基づいて、前記住居の環境情報からの改善度合いを示す情報を前記ユーザに提示することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の物件情報提示装置。
【請求項7】
前記住居の環境情報に基づいて当該住居の快適度指標を決定し、且つ前記検索手段により検索された不動産物件の環境情報に基づいて当該不動産物件の快適度指標を決定する決定手段を更に備え、
前記提示手段は、前記住居の快適度指標と、前記検索手段により検索された不動産物件の快適度指標とを前記ユーザに比較可能に提示することを特徴とする請求項1または2に記載の物件情報提示装置。
【請求項8】
前記環境情報は、複数の環境種別毎に定量化されており、
前記決定手段は、前記複数の環境種別毎に前記住居の快適度指標を決定し、且つ、前記複数の環境種別毎に前記不動産物件の快適度指標を決定し、
前記提示手段は、前記住居の快適度指標と、前記検索手段により検索された不動産物件
の快適度指標とを前記複数の環境種別毎に前記ユーザに比較可能に提示することを特徴とする請求項7に記載の物件情報提示装置。
【請求項9】
前記住居の環境情報に基づいて当該住居の快適度指標を決定し、且つ前記検索手段により検索された不動産物件の環境情報に基づいて当該不動産物件の快適度指標を決定する決定手段を更に備え、
前記提示手段は、前記住居の快適度指標と、前記検索手段により検索された不動産物件の快適度指標との差分に基づいて、前記住居の快適度指標からの改善度合いを示す情報を前記ユーザに提示することを特徴とする請求項1または2に記載の物件情報提示装置。
【請求項10】
不動産物件の所在地情報、諸元情報、及び環境情報を含む物件情報を複数の不動産物件毎に登録するデータベースにアクセス可能なコンピュータに、
ユーザの住居の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方を含む住居情報を取得するステップと、
前記不動産物件の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方及び当該不動産物件の環境情報と、前記住居情報とに基づいて、前記住居の環境情報を予測するステップと、
前記不動産物件の環境情報と、前記住居の環境情報とを比較することで、当該住居の環境情報よりも好条件の環境情報を有する不動産物件を前記データベースから検索するステップと、
前記検索された不動産物件の物件情報に含まれる少なくとも一部の情報を前記ユーザに提示するステップと、
を実行させる物件情報提示プログラムであって、
前記不動産物件の環境情報は、前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動または他の前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動に基づいて予測される振動に係る振動情報であって、当該振動情報がそのタイミングを表す時間帯毎または季節毎且つ時間帯毎に区分されていることを特徴とする物件情報提示プログラム。
【請求項11】
不動産物件の所在地情報、諸元情報、及び環境情報を含む物件情報を複数の不動産物件毎に登録するデータベースにアクセス可能なコンピュータにより実行される物件情報提示方法であって、
ユーザの住居の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方を含む住居情報を取得するステップと、
前記不動産物件の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方及び当該不動産物件の環境情報と、前記住居情報とに基づいて、前記住居の環境情報を予測するステップと、
前記不動産物件の環境情報と、前記住居の環境情報とを比較することで、当該住居の環境情報よりも好条件の環境情報を有する不動産物件を前記データベースから検索するステップと、
前記検索された不動産物件の物件情報に含まれる少なくとも一部の情報を前記ユーザに提示するステップと、
を含み、
前記不動産物件の環境情報は、前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動または他の前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動に基づいて予測される振動に係る振動情報であって、当該振動情報がそのタイミングを表す時間帯毎または季節毎且つ時間帯毎に区分されていることを特徴とする物件情報提示方法。
【請求項12】
不動産物件の所在地情報、諸元情報、及び環境情報を含む物件情報を複数の不動産物件毎に登録するデータベースと、
ユーザの住居の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方を含む住居情報を取得する取得手段と、
前記不動産物件の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方及び当該不動産物件の環境情報と、前記住居情報とに基づいて、前記住居の環境情報を予測する予測手段と、
前記不動産物件の環境情報と、前記住居の環境情報とを比較することで、当該住居の環境情報よりも好条件の環境情報を有する不動産物件を前記データベースから検索する検索手段と、
前記検索手段により検索された不動産物件の物件情報に含まれる少なくとも一部の情報を前記ユーザに提示する提示手段と、
を備え
前記不動産物件の環境情報は、前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動または他の前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動に基づいて予測される振動に係る振動情報であって、当該振動情報がそのタイミングを表す時間帯毎または季節毎且つ時間帯毎に区分されていることを特徴とする情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産物件の環境情報を用いて物件情報を提供するシステム等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば建物及び土地などの不動産物件の所有者とユーザとの間の賃貸契約や売買契約は、不動産業者(仲介業者)を介して行なわれている。近年、不動産物件に関する物件情報をインターネットを介してユーザの端末に提供する物件情報サイト(不動産情報サイト)が知られている。このような物件情報サイトを通じて、ユーザは端末上で、例えば、不動産物件の住所、地図情報、駅徒歩距離、建物構造、築年数、階数、周辺住居などの参照情報を閲覧することで、所望の不動産物件を探すことができる。一方、特許文献1には、不動産物件の環境に関する複数の映像情報を記憶しておき、複数の映像情報の中からユーザにより任意のものを選択して再生し、送信する物件情報表示システムが開示されている。この物件情報表示システムによれば、ユーザは、実際に現地に赴かなくても、不動産物件の環境や季節毎の状況を映像として見ることができる。また、特許文献2には、住宅に建物の環境変化を測定するセンサー群を設けて、住宅の経年変化や自然災害による住宅の構造変化を監視して、異常を発見するためのシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-297295号公報
【文献】特開2002-140774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、今後の不動産物件探しでは、ユーザは、物件情報サイトを通じて、上記参照情報に加え、不動産物件に設置された各種センサーにより取得された環境情報(例えば、音、振動、温度、湿度、明るさ、日照時間など)を端末上で閲覧できるようになることが想定される。これにより、ユーザは今住んでいる住居から、どれくらいよくなるかを把握することが可能となる。しかしながら、物件情報サイトへの不動産物件の登録件数は、地域によっては非常に多いので、ユーザは、今住んでいる住居の環境と比較して、より自分に合っている不動産物件を探すことは手間がかかり煩雑である。
【0005】
そこで、本発明は、以上の点等に鑑みてなされたものであり、ユーザの住居の環境と比較して、よりユーザに合っている不動産物件の物件情報をユーザの手間をかけずに迅速に提示することが可能な物件情報提示装置、物件情報提示プログラム、物件情報提示方法、及び情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、不動産物件の所在地情報、諸元情報、及び環境情報を含む物件情報を複数の不動産物件毎に登録するデータベースにアクセス可能な物件情報提示装置であって、ユーザの住居の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方を含む住居情報を取得する取得手段と、前記不動産物件の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方及び当該不動産物件の環境情報と、前記住居情報とに基づいて、前記住居の環境情報を予測する予測手段と、前記不動産物件の環境情報と、前記住居の環境情報とを比較することで、当該住居の環境情報よりも好条件の環境情報を有する不動産物件を前記データベースから検索する検索手段と、前記検索手段により検索された不動産物件の物件情報に含まれる少なくとも一部の情報を前記ユーザに提示する提示手段と、を備え、前記不動産物件の環境情報は、前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動または他の前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動に基づいて予測される振動に係る振動情報であって、当該振動情報がそのタイミングを表す時間帯毎または季節毎且つ時間帯毎に区分されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、ユーザの住居の環境と比較して、よりユーザに合っている不動産物件の物件情報をユーザの手間をかけずに迅速に提示することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の物件情報提示装置において、前記検索手段は、前記住居の環境情報との差分が予め設定された基準値より大きい好条件の環境情報を有する不動産物件を検索することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、ユーザの住居の環境情報からの改善度合いが、より大きい不動産物件の物件情報をユーザの手間をかけずに迅速に提示することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の物件情報提示装置において、前記予測手段は、前記不動産物件の所在地情報と、前記住居の所在地情報とに基づいて、当該住居の近傍範囲内にある不動産物件を特定し、当該不動産物件の環境情報を、当該住居の環境情報として予測することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、サーバ負荷を低減しつつ迅速にユーザの住居の環境情報を求めることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の物件情報提示装置において、前記提示手段は、前記住居の環境情報と前記不動産物件の環境情報とを前記ユーザに比較可能に提示することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、検索された不動産物件の環境情報が、ユーザの住居の環境情報からどの程度改善されるかを当該ユーザに把握させることできる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の物件情報提示装置において、前記環境情報は、複数の環境種別毎に定量化されており、前記提示手段は、前記住居の環境情報と、前記不動産物件の環境情報とを前記複数の環境種別毎に前記ユーザに比較可能に提示することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、検索された不動産物件の環境情報が、ユーザの住居の環境情報からどの程度改善されるかを複数の環境種別毎に当該ユーザに把握させることできる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の物件情報提示装置において、前記提示手段は、前記住居の環境情報と、前記検索手段により検索された不動産物件の環境情報との差分に基づいて、前記住居の環境情報からの改善度合いを示す情報を前記ユーザに提示することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、検索された不動産物件の環境情報が、ユーザの住居の環境情報からどの程度改善されるかを当該ユーザに一見して把握させることできる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1または2に記載の物件情報提示装置において、前記住居の環境情報に基づいて当該住居の快適度指標を決定し、且つ前記検索手段により検索された不動産物件の環境情報に基づいて当該不動産物件の快適度指標を決定する決定手段を更に備え、前記提示手段は、前記住居の快適度指標と、前記検索手段により検索された不動産物件の快適度指標とを前記ユーザに比較可能に提示することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、検索された不動産物件の環境情報が、ユーザの住居の環境情報からどの程度改善されるかを快適度指標という表現形式で当該ユーザに分り易く伝えることができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の物件情報提示装置において、前記環境情報は、複数の環境種別毎に定量化されており、前記決定手段は、前記複数の環境種別毎に前記住居の快適度指標を決定し、且つ、前記複数の環境種別毎に前記不動産物件の快適度指標を決定し、前記提示手段は、前記住居の快適度指標と、前記検索手段により検索された不動産物件の快適度指標とを前記複数の環境種別毎に前記ユーザに比較可能に提示することを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、検索された不動産物件の環境情報が、ユーザの住居の環境情報からどの程度改善されるかを複数の環境種別毎に快適度指標という表現形式で当該ユーザに分り易く伝えることができる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項1または2に記載の物件情報提示装置において、前記住居の環境情報に基づいて当該住居の快適度指標を決定し、且つ前記検索手段により検索された不動産物件の環境情報に基づいて当該不動産物件の快適度指標を決定する決定手段を更に備え、前記提示手段は、前記住居の快適度指標と、前記検索手段により検索された不動産物件の快適度指標との差分に基づいて、前記住居の快適度指標からの改善度合いを示す情報を前記ユーザに提示することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、検索された不動産物件の環境情報が、ユーザの住居の環境情報からどの程度改善されるかを快適度指標という表現形式で当該ユーザに一見してより分り易く伝えることができる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、不動産物件の所在地情報、諸元情報、及び環境情報を含む物件情報を複数の不動産物件毎に登録するデータベースにアクセス可能なコンピュータに、ユーザの住居の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方を含む住居情報を取得するステップと、前記不動産物件の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方及び当該不動産物件の環境情報と、前記住居情報とに基づいて、前記住居の環境情報を予測するステップと、前記不動産物件の環境情報と、前記住居の環境情報とを比較することで、当該住居の環境情報よりも好条件の環境情報を有する不動産物件を前記データベースから検索するステップと、前記検索された不動産物件の物件情報に含まれる少なくとも一部の情報を前記ユーザに提示するステップと、を実行させる物件情報提示プログラムであって、前記不動産物件の環境情報は、前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動または他の前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動に基づいて予測される振動に係る振動情報であって、当該振動情報がそのタイミングを表す時間帯毎または季節毎且つ時間帯毎に区分されていることを特徴とする。
【0026】
請求項11に記載の発明は、不動産物件の所在地情報、諸元情報、及び環境情報を含む物件情報を複数の不動産物件毎に登録するデータベースにアクセス可能なコンピュータにより実行される物件情報提示方法であって、ユーザの住居の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方を含む住居情報を取得するステップと、前記不動産物件の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方及び当該不動産物件の環境情報と、前記住居情報とに基づいて、前記住居の環境情報を予測するステップと、前記不動産物件の環境情報と、前記住居の環境情報とを比較することで、当該住居の環境情報よりも好条件の環境情報を有する不動産物件を前記データベースから検索するステップと、前記検索された不動産物件の物件情報に含まれる少なくとも一部の情報を前記ユーザに提示するステップと、を含み、前記不動産物件の環境情報は、前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動または他の前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動に基づいて予測される振動に係る振動情報であって、当該振動情報がそのタイミングを表す時間帯毎または季節毎且つ時間帯毎に区分されていることを特徴とする。
【0027】
請求項12に記載の発明は、不動産物件の所在地情報、諸元情報、及び環境情報を含む物件情報を複数の不動産物件毎に登録するデータベースを備える情報提供システムであって、ユーザの住居の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方を含む住居情報を取得する取得手段と、前記不動産物件の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方及び当該不動産物件の環境情報と、前記住居情報とに基づいて、前記住居の環境情報を予測する予測手段と、前記不動産物件の環境情報と、前記住居の環境情報とを比較することで、当該住居の環境情報よりも好条件の環境情報を有する不動産物件を前記データベースから検索する検索手段と、前記検索手段により検索された不動産物件の物件情報に含まれる少なくとも一部の情報を前記ユーザに提示する提示手段と、を備え、前記不動産物件の環境情報は、前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動または他の前記不動産物件に設置されたセンサーにより部屋種別毎に取得される振動に基づいて予測される振動に係る振動情報であって、当該振動情報がそのタイミングを表す時間帯毎または季節毎且つ時間帯毎に区分されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ユーザの住居の環境と比較して、よりユーザに合っている不動産物件の物件情報をユーザの手間をかけずに迅速に提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】物件情報提供システムSの概要構成の一例を示す図である。
図2】物件情報データベース321に登録されている情報の一例を示す図である。
図3】システム制御部33の機能ブロックの一例を示す図である。
図4】物件情報提供サーバ3により実行される物件検索及び提供処理の一例を示すフローチャートである。
図5】物件情報が掲載された物件情報掲載ページの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、物件情報提供システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0031】
[1.物件情報提供システムSの構成及び機能]
先ず、図1等を参照して、本発明の一実施形態に係る物件情報提供システムSの構成及び機能について説明する。図1は、物件情報提供システムSの概要構成の一例を示す図である。図1に示すように、物件情報提供システムSは、ユーザ端末1、環境情報収集サーバ2、及び物件情報提供サーバ3等を備えて構成されている。物件情報提供サーバ3は、不動産物件に関する物件情報を複数の不動産物件毎に登録するデータベースにアクセス可能な物件情報提示装置の一例である。物件情報提供サーバ3は、ユーザ端末1及び環境情報収集サーバ2のそれぞれとネットワークNWを介して通信可能になっている。ネットワークNWは、例えば、電話用回線交換ネットワーク、及びインターネットに接続するためのデータ通信用パケット交換ネットワークを含む。なお、図1の例では、1つユーザ端末1を示しているが、実際には、複数のユーザ端末が存在する。
【0032】
ユーザ端末1は、不動産業者により提供された物件情報を閲覧するユーザ(顧客)により使用されるクライアントであり、ブラウザ機能を有する。ユーザ端末1は、ブラウザによる要求(リクエスト)に応じて物件情報サイトから提供されたページ(例えば、ウェブページやランディングページ)をディスプレイ上に表れた画面(例えば、ブラウザのウインドウ)に表示する。このようなページは、例えばHTML(Hyper Text Markup Language)文書やXHTML文書等の構造化文書及び画像データ等により構成される。ユーザ端末1に提供されるページの例として、物件情報を掲載するためのページ(以下、「物件情報掲載ページ」という)、及び物件情報の詳細を掲載するためのページ(以下、「詳細ページ」という)などが挙げられる。なお、ユーザ端末1の例として、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、スマートフォン、タブレット、及び携帯ゲーム機等が挙げられる。
【0033】
環境情報収集サーバ2は、不動産物件に設置されたIoT(Internet of Things)デバイスDn(n=1,2,3・・・k)のそれぞれとネットワークNWを介して通信可能になっている。IoTデバイスDnには、環境情報を取得する環境センサーが搭載されている。環境センサーとは、例えば、音センサー、振動センサー、温度センサー、湿度センサー、光センサー、UVセンサー、匂いセンサー、及び風センサーのうち少なくとも1つのセンサーである。環境センサーにより、音(例えば、騒音)、振動(例えば、周辺道路を通行する車による振動)、温度(気温)、湿度、明るさ、日照時間、紫外線(UV)、匂い、埃(ハウスダスト)、及び通気(風通し)などのうち少なくとも何れか1つの環境情報が測定されて取得される。環境情報は、複数の環境種別毎に定量化されており、その環境種別に応じた単位により表される。例えば、音及び振動の場合の単位はデシベル(dB)、温度の場合の単位は摂氏(℃)、湿度の場合の単位は湿度百分率(%)、明るさの場合の単位はルクス(lux)である。なお、音、振動、及び温度は、時間帯毎(または季節毎且つ時間帯毎)に区別されるとよい。また、IoTデバイスDnには、当該IoTデバイスDnが設置された不動産物件の物件ID(当該不動産業物件を識別するための識別情報)が記憶される。IoTデバイスDnは、当該IoTデバイスDnに記憶された物件ID、及び環境センサーにより取得された環境情報を、ネットワークNWを介して環境情報収集サーバ2へ送信する。なお、IoTデバイスDnは、例えば1物件(1取引対象)に1台のみ設置される場合もあるし、1物件に複数台設置(不動産物件が有する複数の部屋毎に設置)される場合もある。不動産物件が有する複数の部屋毎にIoTデバイスDnが設置される場合、IoTデバイスDnには、不動産物件の物件ID等に加えて、IoTデバイスDnが設置された部屋の部屋種別(例えば、居間(リビングルーム)、寝室、書斎、浴室、キッチン)が記憶される。この場合、IoTデバイスDnに記憶された物件ID、及び部屋種別を含む環境情報が環境情報収集サーバ2へ送信されることになる。環境情報収集サーバ2は、IoTデバイスDnからの環境情報等を収集し、収集した環境情報を物件情報提供サーバ3へ提供する。
【0034】
物件情報提供サーバ3は、物件情報サイトを構成するサーバである。物件情報提供サーバ3は、通信部31、記憶部32、及びシステム制御部33等を備え、これらの構成部分はバス34を介して電気的に接続されている。なお、物件情報提供サーバ3は、1台のサーバコンピュータにより構成されてもよいし、複数台のサーバコンピュータにより構成されてもよい。通信部31は、システム制御部33の制御の下、ネットワークNWを介してユーザ端末1または環境情報収集サーバ2との間で通信を行う。記憶部32は、例えば、ハードディスクドライブ等から構成され、OS,及びアプリケーション(本発明の物件情報提示プログラムを含む)等を格納する。また、記憶部32には、物件情報データベース(DB)321、及びユーザ情報データベース(DB)322等が構築されている。図2は、物件情報データベース321に登録されている情報の一例を示す図である。なお、物件情報データベース321及びユーザ情報データベース322は、物件情報提供サーバ3とは異なる他のサーバに備えられてもよい。
【0035】
物件情報データベース321は、不動産物件に関する物件情報と、当該不動産物件を取り扱う不動産業者の不動産業者ID(当該不動産業者を識別するための識別情報)と、当該不動産物件の物件IDとを対応付けて複数の不動産物件毎に登録(記憶)する。物件情報データベース321によって、多くの物件情報を不動産業者毎に区別して管理することができる。ここで、物件情報は、不動産物件の物件名、外観写真画像、物件種別、所在地情報、諸元情報、環境情報、取引情報、及び不動産業者情報などを含む。物件種別は、個人住宅(戸建て)、集合住宅(マンション、またはアパート)、土地の別である。所在地情報とは、例えば、不動産物件の住所や位置情報(緯度及び経度)である。諸元情報には、例えば、建物構造、築年数、階数、専有面積、間取り情報、及び主要採光面等が含まれる。物件種別が集合住宅である場合の間取り情報には、各戸毎の所在階、戸番号、及び間取り(各部屋の部屋種別、及び開口の方位(窓の向き)等を含む)等が含まれる。取引情報には、例えば、取引種別、及び取引条件が含まれる。取引種別は、賃貸物件、新築物件、中古物件の別である。賃貸物件の取引条件は、賃料、敷金、礼金、及び契約期間等である。新築物件、及び中古物件の取引条件は、売買価格、管理費、及び修繕積立金等である。不動産業者情報には、不動産物件を取り扱う不動産業者の名称(例えば、会社名)、所在地、電話番号、及びメールアドレス等が含まれる。
【0036】
不動産物件の環境情報は、複数の環境種別毎に区別されて当該不動産物件の物件情報に含まれることになる。ここで、環境種別には、上述したように、音、振動、温度、湿度、明るさ、日照時間、紫外線、匂い、埃、及び通気等があるが、これら全ての環境種別についての環境情報が登録されなくてもよく、例えば、本発明の趣旨を考慮してより扱いやすい所定数の環境種別(例えば、音、振動、温度、及び日照時間のうち少なくとも1つ)のみの環境情報が登録されるように構成してもよい。また、部屋毎に環境情報が取得された不動産物件については、それぞれの部屋の環境情報(部屋種別を含む)が当該不動産物件の物件情報に含まれ、さらに、当該不動産物件の環境情報は、それぞれの部屋の環境情報の環境種別毎の平均値(標準偏差値または中央値等でもよい)として当該不動産物件の物件情報に含まれることになる。
【0037】
なお、不動産物件の物件名、外観写真画像、物件種別、所在地情報、諸元情報、取引情報、及び不動産業者情報は、当該不動産物件を取り扱う不動産業者の端末から提供されることで、物件情報データベース321に登録される。一方、環境情報は、環境情報収集サーバ2から提供されることで、物件情報データベース321に登録される。ただし、物件情報データベース321に物件情報が登録される不動産物件には、環境情報収集サーバ2から環境情報が提供されない不動産物件(つまり、IoTデバイスDnが設置されない不動産物件)も存在する。このような不動産物件の環境情報は、他の不動産物件に設置された環境センサーにより取得されて物件情報データベース321に登録された環境情報等に基づいて例えば教師有りの機械学習のアルゴリズムにより予測されることで、物件情報データベース321に登録される。
【0038】
ユーザ情報データベース322は、物件情報サイトを利用する複数のユーザそれぞれのユーザ情報、検索履歴、及び閲覧履歴等をユーザ毎に対応付けて登録する。ユーザ情報には、ユーザID(当該ユーザを識別するための識別情報)、パスワード、住所(住居の所在地情報)、電話番号、メールアドレス、性別、及び年齢等の情報が含まれる。ユーザID及びパスワードは、ユーザの認証情報であり、ログインのために使用される。
【0039】
システム制御部33は、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),及びRAM(Random Access Memory)等から構成され、CPU(コンピュータ)がオペレーティングシステム上で動作するアプリケーションにしたがって各種処理を実行する。図3は、システム制御部33の機能ブロックの一例を示す図である。図3に示すように、システム制御部33は、住居情報取得部331、環境情報予測部332、物件検索部333、快適度指標決定部334、及び情報提示部335等として機能する。ここで、住居情報取得部331は、本発明における取得手段の一例である。環境情報予測部332は、本発明における予測手段の一例である。物件検索部333は、本発明における検索手段の一例である。快適度指標決定部334は、本発明における決定手段の一例である。情報提示部335は、本発明における提示手段の一例である。
【0040】
住居情報取得部331は、ユーザの住居(例えば、戸建て、マンション、またはアパート)の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方を含む住居情報をユーザ端末1から取得する。ユーザ情報データベース322にユーザ情報が登録されている場合、ユーザの住居の所在地情報は、ユーザ情報から取得することができる。なお、ユーザの住居の諸元情報には、例えば、建物構造、築年数、階数、専有面積、及び間取り情報等が含まれる。
【0041】
環境情報予測部332は、物件情報データベース321に登録されている不動産物件の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方及び当該不動産物件の環境情報と、住居情報取得部331により取得された住居情報とに基づいて、ユーザの住居の環境情報を予測する。例えば、環境情報予測部332は、物件情報データベース321に登録されている不動産物件の所在地情報と、ユーザの住居の所在地情報とに基づいて、当該住居の近傍範囲内にある不動産物件を物件情報データベース321から特定し、当該特定した不動産物件の環境情報(つまり、物件情報データベース321に登録されている環境情報)を当該ユーザの住居の環境情報として予測する。ここで、住居の近傍範囲とは、環境情報(特に、音や振動)の変化が小さいと予想される範囲(例えば、住居から数mの範囲)であり、例えば、物件情報サイトの管理者により任意に設定される。これにより、サーバ負荷を低減しつつ迅速に当該住居の環境情報を求めることができる。
【0042】
ただし、住居の近傍範囲の不動産物件であっても、例えば、周辺環境によって日照時間や通気が大きく変化する場合も想定される。このような場合、環境情報予測部332は、物件情報データベース321に登録されている不動産物件の所在地情報、諸元情報、及び環境情報と、住居情報取得部331により取得された住居情報(この場合、ユーザの住居の所在地情報と諸元情報の双方を含む)とに基づいて、ユーザの住居の環境情報を教師有りの機械学習のアルゴリズムにより予測するとよい。この場合、環境情報予測部332は、物件情報データベース321に登録されている不動産物件の所在地情報及び諸元情報を説明変数(入力データ)xn(n=1,・・・,p)とし、物件情報データベース321に登録されている不動産物件の環境情報(実測値)を目的変数(正解データ)yn(n=1,・・・,p)として、説明変数xnとパラメータwとに基づき(言い換えれば、説明変数xnに対してパラメータwを用いて)構築された予測モデル(学習モデル)f(w,xn)であって、損失(誤差)関数l(yn,f(w,xn))の総和(つまり、xnとynとの組毎に計算されたl(yn,f(w,xn))の総和)が最小になるようにパラメータwが調整された予測モデルf(w,xn)に、住居情報取得部331により取得された住居情報(ユーザの住居の所在地情報と諸元情報)x?を入力することでユーザの住居の環境情報y?(=f(w,x?):予測値)を得る。これにより、ユーザの住居の環境情報の予測精度を高めることができる。
【0043】
ここで、pは、予測モデルf(w,xn)の構築にあたり用いられるデータの数(項目数)、つまり、登録されている物件情報(所在地情報及び諸元情報の組)の数(言い換えれば、物件IDの数)である(登録されている環境情報の数でもある)。f(w,xn)は、wとxnを変数に持つ関数である。例えば、説明変数x1となる所在地情報及び諸元情報に対する環境情報は目的変数y1となる。損失関数ld(yn,f(w,xn))には、二乗誤差、Huber誤差などが用いられる。なお、予測モデルf(w,xn)は、例えば、新たに所在地情報及び諸元情報が登録されたとき、または、新たに環境情報が登録されたときに更新される。
【0044】
なお、環境情報収集サーバ2から環境情報が提供されない不動産物件の環境情報については、環境情報が登録されている不動産物件の所在地情報、諸元情報及び環境情報と、環境情報が登録されていない不動産物件の所在地情報及び諸元情報とに基づいて予測される。この場合、環境情報予測部332は、環境情報が登録されている不動産物件の所在地情報及び諸元情報を説明変数(入力データ)xn(n=1,・・・,p)とし、当該環境情報(実測値)を目的変数(正解データ)yn(n=1,・・・,p)として、説明変数xnとパラメータwとに基づき構築された予測モデル(学習モデル)f(w,xn)であって、損失関数l(yn,f(w,xn))の総和が最小になるようにパラメータwが調整された予測モデルf(w,xn)に、環境情報が登録されていない不動産物件の所在地情報及び諸元情報x?を入力することで当該不動産物件の環境情報y?(=f(w,x?):予測値)を得る。
【0045】
本実施形態では、非常に多くの物件情報が用いられ、しかも、物件情報における項目数も多いので、教師有りの機械学習のアルゴリズムとして、XGBoostを用いれば高精度の予測を行うことができる。XGBoostは、勾配ブースティング(Gradient Boosting)と、ランダムフォレスト(Random Forests)を組み合わせたアンサンブル学習である。XGBoostでは、予測モデルf(w,xn)として複数の決定木を構築し、1つ前までの決定木の情報を用いて新たな決定木を構築していくブースティングを行うようになっている。具体的には、1つ前の決定木では予測できなかった誤差(損失関数の勾配)を目的変数として新たな決定木が構築される。各決定木において、説明変数xnは根から枝に行く途中で条件により分類され、末端の葉に辿り着くと、当該末端の葉に与えられた値が予測値として返されるようになっている。なお、XGBoostは、ランダムフォレストを採用しているため、全ての説明変数xnが使用されるのではなく、ランダムに決定された割合で説明変数xnの数が選定されて決定木が構築される。
【0046】
XGBoostにおいてブースティングがt回行われたときの予測モデルf(w,xn)は、下記(1)式で表される。
【数1】
【0047】
したがって、XGBoostにおける損失関数l(yn,f(w,xn))は、下記(2)式で表される。
【数2】
【0048】
ここで、上記(2)式で表される損失関数l(yn,f(w,xn))の総和を最小にする決定木ftを構築すれば、予測モデルf(w,xn)が最適化することができる。なお、XGBoostでは、いわゆるオーバーフィッティング(過学習)を防止するため、損失関数l(yn,f(w,xn))に正則化項Ω(ft)を加えた目的関数L(t)の総和を最小にする決定木ftを構築することになる。目的関数L(t)は、下記(3)式で表される。
【数3】
【0049】
ここで、Tは木構造の深さであり、γ及びλは任意に設定される値であり、wjは決定木が返す値である。
【0050】
なお、環境情報予測部332は、教師有りの機械学習のアルゴリズム以外の分析手法を用いて環境情報を予測するように構成してもよい。例えば、環境情報予測部332は、環境情報が登録されている不動産物件を、クラスタリング(例えば、k-means法)或いは主成分分析等のアルゴリズムにしたがって複数のグループ(つまり、類似する所在地情報及び諸元情報が属するクラスタ)に分類する。次に、環境情報予測部332は、分類されたグループ毎に、所在地情報及び諸元情報のそれぞれに対応付けられた環境情報の平均値(または、標準偏差値)を算出する。次に、環境情報予測部332は、ユーザの住居の所在地情報及び諸元情報(または環境情報が登録されていない不動産物件の所在地情報及び諸元情報)が属するグループを特定する。例えば、環境情報予測部332は、各グループに属する所在地情報及び諸元情報に基づいて、各グループの中心を計算し、ユーザの住居の所在地情報及び諸元情報(または環境情報が登録されていない不動産物件の所在地情報及び諸元情報)との間の距離(例えば、ユークリッド距離、シティブロック距離など)が最も近い中心を有するグループを特定する。そして、環境情報予測部332は、特定されたグループにおける環境情報の平均値(または、標準偏差値)を、ユーザの住居の環境情報(環境情報が登録されていない不動産物件の環境情報)として予測する。
【0051】
物件検索部333は、物件情報データベース321に登録されている不動産物件の環境情報(例えば所定数の不動産物件の環境情報のそれぞれ)と、環境情報予測部332により予測された、ユーザの住居の環境情報とを比較することで、当該住居の環境情報よりも好条件の環境情報(つまり、当該住居の環境情報が示す値より有利な値を示す環境情報)を有する不動産物件を物件情報データベース321から検索する。ここで、好条件とは、環境種別に応じて異なる。例えば環境種別が音(例えば、騒音)または振動(例えば、周辺道路を通行する車による振動)である場合、ユーザの住居の環境情報(dB)より低い環境情報(dB)が好条件の環境情報(ユーザの住居の環境情報が示す値より有利な値を示す)。また、例えば環境種別が冬の温度(例えば、10月~4月までの季節の平均気温)である場合、ユーザの住居の環境情報(℃:平均気温)より高い環境情報(℃:平均気温)が好条件の環境情報となる一方、環境種別が夏の温度(例えば、5月~9月までの季節の平均気温)である場合、ユーザの住居の環境情報(℃:平均気温)より低い環境情報(℃:平均気温)が好条件の環境情報となる。また、例えば環境種別が日照時間である場合、ユーザの住居の環境情報(時間h)より長い環境情報(時間h)が好条件の環境情報となる。
【0052】
また、物件検索部333は、より好条件(つまり、環境情報の差分がより大きい)となる上位所定数(例えば、10件)の環境情報を有する不動産物件を検索してもよい。或いは、物件検索部333は、ユーザの住居の環境情報との差分が予め設定された基準値より大きい好条件の環境情報を有する不動産物件を検索してもよい。これにより、ユーザの住居の環境情報からの改善度合いが、より大きい不動産物件の物件情報をユーザの手間をかけずに迅速に提示することができる。ここで、基準値は、環境種別に応じて設定される。例えば、環境情報が音である場合は基準値が30dB程度に設定され、環境情報が振動である場合は基準値が10dB程度に設定され、環境情報が温度である場合は基準値が5℃程度に設定され、環境情報が日照時間である場合は基準値が1時間程度に設定される。
【0053】
また、物件検索部333は、複数の環境種別毎に、ユーザの住居の環境情報より好条件の環境情報であるか否かを判定し、判定した全ての環境種別のうち所定数(所定割合)以上の環境種別(例えば、5つの環境種別のうち3つ以上の環境種別)の環境情報がユーザの住居の環境情報より好条件である不動産物件を検索してもよい。或いは、物件検索部333は、複数の環境種別毎に、ユーザの住居の環境情報との差分が予め設定された基準値より大きい環境情報であるか否かを判定し、判定した全ての環境種別のうち所定数(所定割合)以上の環境種別(例えば、5つの環境種別のうち3つ以上の環境種別)の環境情報の上記差分が予め設定された基準値より大きい不動産物件を検索してもよい。
【0054】
なお、物件検索部333は、ユーザの住居の環境情報よりも好条件の環境情報を有する不動産物件の検索にあたり、ユーザから任意に指定された検索条件(例えば、地域、賃料、間取り等)をAND条件として加えて検索することもできる。
【0055】
快適度指標決定部334は、環境情報予測部332により予測された、ユーザの住居の環境情報に基づいて当該住居の快適度指標を決定する。さらに、快適度指標決定部334は、物件検索部333により検索された不動産物件の環境情報に基づいて当該不動産物件の快適度指標を決定する。ここで、快適度指標は、例えば、物件情報データベース321に登録されている不動産物件の環境情報の平均値(標準偏差値または中央値等でもよい)またはアンケートなどから求められた理想値を基準として、環境情報が示す値の範囲が所定範囲(例えば、0~10)に収まるように規格化(正規化)された値であり、例えば環境種別毎に決定される。例えば、音と振動の少なくとも何れか一方に基づいて快適度指標としての静穏性が決定され、温度に基づいて快適度指標としての適温性が決定され、湿度に基づいて快適度指標としての爽快性が決定され、明るさと日照時間の少なくとも何れか一方に基づいて快適度指標としての採光性が決定される。さらに、各快適度指標の変化量または外界との差分に基づいて快適度指標としての気密性が決定されてもよい。静穏性、適温性、爽快性、採光性、及び気密性は、不動産物件の個別評価値ということができる。また、各快適度指標の分散(または平均)に基づいて快適度指標としての安定性が決定されてもよく、安定性は、不動産物件の総合評価値ということができる。
【0056】
情報提示部335は、物件検索部333により検索された不動産物件の物件情報に含まれる少なくとも一部の情報(少なくとも不動産物件の物件名及び所在地情報)をネットワークNWを介してユーザ端末1に送信して物件情報掲載ページ上に検索結果として表示させることでユーザに提示する。この検索結果において、情報提示部335は、ユーザの住居の環境情報と、物件検索部333により検索された不動産物件の環境情報とをユーザに比較可能に提示するとよい。これにより、検索された不動産物件の環境情報が、ユーザの住居の環境情報からどの程度改善されるかを当該ユーザに把握させることできる。或いは、情報提示部335は、ユーザの住居の快適度指標(または、環境情報と快適度指標の組合せ)と、物件検索部333により検索された不動産物件の快適度指標(または、環境情報と快適度指標の組合せ)とをユーザに比較可能に提示するとよい。これにより、検索された不動産物件の環境情報が、ユーザの住居の環境情報からどの程度改善されるかを快適度指標という表現形式で当該ユーザに分り易く伝えることができる。なお、複数の環境種別毎の環境情報が得られた場合、ユーザの住居の環境情報と、物件検索部333により検索された不動産物件の環境情報とが複数の環境種別毎にユーザに比較可能に提示される。或いは、ユーザの住居の快適度指標(または、環境情報と快適度指標の組合せ)と、物件検索部333により検索された不動産物件の快適度指標(または、環境情報と快適度指標の組合せ)とが複数の環境種別毎にユーザに比較可能に提示される。さらに、上記検索結果において、情報提示部335は、ユーザの住居の環境情報と、物件検索部333により検索された不動産物件の環境情報との差分に基づいて、ユーザの住居の環境情報からの改善度合いを示す改善度情報をユーザに提示するとよい。これにより、検索された不動産物件の環境情報が、ユーザの住居の環境情報からどの程度改善されるかを当該ユーザに一見して把握させることできる。或いは、情報提示部335は、ユーザの住居の快適度指標と、物件検索部333により検索された不動産物件の快適度指標との差分に基づいて、ユーザの住居の快適度指標からの改善度合いを示す改善度情報をユーザに提示するとよい。これにより、検索された不動産物件の環境情報が、ユーザの住居の環境情報からどの程度改善されるかを快適度指標という表現形式で当該ユーザに一見してより分り易く伝えることができる。
【0057】
[2.物件情報提供システムSの動作]
次に、図4等を参照して、物件情報提供システムSの動作について説明する。図4は、物件情報提供サーバ3により実行される物件検索及び提供処理の一例を示すフローチャートである。先ず、ユーザ端末1(ブラウザ)は、ユーザの操作に応じて物件情報サイトにアクセスして物件情報検索ページの要求を、ネットワークNWを介して物件情報提供サーバ3へ送信する。物件情報提供サーバ3は、ユーザ端末1からの物件情報検索ページの要求を受信すると、当該物件情報検索ページを、ネットワークNWを介してユーザ端末1へ送信する。次いで、ユーザ端末1(ブラウザ)は、物件情報提供サーバ3からの物件情報検索ページを受信すると、物件情報検索ページを表示する。このような物件情報検索ページ上で、ユーザは検索条件と住居情報を指定することができる。ユーザが検索条件(または、検索条件及び住居情報)を指定(例えば、キー入力、または表示された候補から選択)し、検索実行指示を行うと、ユーザ端末1(ブラウザ)は、少なくとも検索条件を含む検索要求を、ネットワークNWを介して物件情報提供サーバ3へ送信する。
【0058】
物件情報提供サーバ3は、ユーザ端末1からの検索要求を受信すると、図4に示す処理を開始する。図4に示す処理が開始されると、物件情報提供サーバ3(物件検索部333)は、受信された検索要求に含まれる検索条件に基づいて、当該検索条件を満たす不動産物件を物件情報データベース321から検索する(ステップS1)。なお、この検索は、ステップS1で最初に実行されるのではなく、例えばステップS5の検索の直後に実行されるように構成してもよい。
【0059】
次いで、物件情報提供サーバ3(住居情報取得部331)は、受信された検索要求に住居情報が含まれているか否かを判定する(ステップS2)。物件情報提供サーバ3(住居情報取得部331)は、上記検索要求に住居情報が含まれていないと判定した場合(ステップS2:NO)、ステップS3へ進む。なお、上記検索要求に住居情報が含まれていない場合、例えばログインにより特定されたユーザIDに対応付けられた所在地情報が住居情報としてユーザ情報データベース322から取得されてもよい。一方、物件情報提供サーバ3(住居情報取得部331)は、上記検索要求に住居情報が含まれていると判定した場合(ステップS2:YES)、当該住居情報を取得して、ステップS4へ進む。
【0060】
ステップS3では、物件情報提供サーバ3(情報提示部335)は、ステップS1で検索された(つまり、検索でヒットした)不動産物件の物件情報に含まれる少なくとも一部の情報を検索結果として掲載する物件情報掲載ページをネットワークNWを介してユーザ端末1に送信する。これにより、当該物件情報掲載ページがユーザ端末1の画面に表示される。
【0061】
ステップS4では、物件情報提供サーバ3(環境情報予測部332)は、ステップS1で検索された不動産物件の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方及び当該不動産物件の環境情報と、ステップS2で取得された住居情報とに基づいて、ユーザの住居の環境情報を予測する。
【0062】
次いで、物件情報提供サーバ3(物件検索部333)は、ステップS1で検索された不動産物件の環境情報と、ステップS4で予測された、ユーザの住居の環境情報とを比較することで、当該住居の環境情報よりも好条件の環境情報を有する不動産物件(つまり、当該住居の環境情報が示す値より有利な値を示す環境情報が物件情報中に含まれる不動産物件)を、ステップS1で検索された不動産物件の中から検索する(ステップS5)。
【0063】
次いで、物件情報提供サーバ3(快適度指標決定部334)は、ステップS4で予測された、ユーザの住居の環境情報に基づいて当該住居の快適度指標を決定し、且つ、ステップS5で検索された不動産物件の環境情報に基づいて当該不動産物件の快適度指標を決定する(ステップS6)。
【0064】
次いで、物件情報提供サーバ3(情報提示部335)は、ステップS5で検索された不動産物件の物件情報に含まれる少なくとも一部の情報(当該不動産物件の物件名、所在地情報、及び環境情報を含む)、ステップS4で予測された環境情報、及びステップS6で決定された快適度指標を検索結果として掲載する物件情報掲載ページをネットワークNWを介してユーザ端末1に送信する(ステップS7)。これにより、当該物件情報掲載ページがユーザ端末1の画面に表示される。
【0065】
図5は、物件情報が掲載された物件情報掲載ページ(ステップS7で送信)の一例を示す図である。図5の例では、物件検索部333により検索された不動産物件(この例では、賃貸物件)の一覧が表示された例を示している。図5の例において検索された不動産物件は、ユーザの住居の環境情報よりも好条件の環境情報を有し、且つ、当該ユーザから指定された検索条件を満たす不動産物件である。図5に示す物件情報掲載ページには、住居情報表示領域R1、検索条件表示領域R2、及び物件一覧表示領域R3等が設けられている。
【0066】
住居情報指定領域R1には、不動産物件の検索に用いられた環境情報(ユーザの住居の環境情報)の基になった住居情報(この例では、住所、築年数、階数、間取り、及び所在階)が表示されている。住居情報指定領域R1において、ユーザによる入力に応じて住居情報が更新(変更、追加、または削除)されると、更新後の住居情報に基づいて環境情報の予測が行われ、予測された環境情報が用いられて不動産物件の再検索が実行されることになる。検索条件指定領域R2には、検索において用いられた検索条件(この例では、地域、賃料、間取り)が表示されるようになっている。検索条件指定領域R2において、ユーザによる入力に応じて検索条件が更新(変更、追加、または削除)されると、更新後の検索条件が用いられて不動産物件の再検索が実行されることになる。
【0067】
物件一覧表示領域R3には、検索された不動産物件の一覧が表示されるようになっており、この例では、不動産物件毎に区切られた物件表示領域R2a,R2b,R2cのうち、物件表示領域R2aの全部と物件表示領域R2bの一部が画面内に表示されている。ユーザ端末1が物件情報掲載ページを受信した時点では、図5に示すように、表示順序が上位に設定された物件表示領域R2aが画面内に表示される。そして、ユーザのスクロール操作により物件情報掲載ページがスクロールすることで、表示順序が物件表示領域R2aより下位に設定された物件表示領域R2b以降が画面内に表示されることになる。物件表示領域2aには、物件名101、物件情報の一部(賃料、所在地、交通、間取り)102、環境情報103、改善度情報104、及び快適度指標105が表示されている。物件名101は、詳細ページへのリンク文字であり、このリンクがクリックまたはタップされると、物件情報中のほぼ全部等を表示する詳細ページが表示されることになる。環境情報103は、ユーザの住居の環境情報と、検索された不動産物件の環境情報とを複数の環境種別毎に比較可能に示している。改善度情報104は、ユーザの住居の環境情報と、検索された不動産物件の環境情報との差分に基づいて、ユーザの住居における環境情報からの改善度合いを示している。快適度指標105は、ユーザの住居の快適度指標と、検索された不動産物件の快適度指標とを複数の環境種別毎に比較可能にレーダチャートで示している。
【0068】
以上説明したように、上記実施形態によれば、物件情報データベース321に登録されている不動産物件の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方及び当該不動産物件の環境情報と、ユーザの住居の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方を含む住居情報とに基づいて、当該ユーザの住居の環境情報を予測し、当該不動産物件の環境情報と、当該ユーザの住居の環境情報とを比較することで、当該住居の環境情報よりも好条件の環境情報を有する不動産物件を検索し、検索された不動産物件の物件情報に含まれる少なくとも一部の情報をユーザに提示するように構成したので、ユーザの住居の環境と比較して、よりユーザに合っている不動産物件の物件情報をユーザの手間をかけずに迅速に提示することができる。
【0069】
なお、以上のように本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態から種々構成等に変更を加えてもよく、その場合も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、上記実施形態において、環境情報予測部332は、不動産物件の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方及び当該不動産物件の環境情報と、ユーザの住居情報とに基づいて、ユーザの住居の環境情報を予測するように構成したが、不動産物件の所在地情報と諸元情報とのうち少なくとも何れか一方及び当該不動産物件の環境情報に基づき決定された快適度指標と、ユーザの住居情報とに基づいて、ユーザの住居の快適度指標を予測してもよい。また、上記実施形態において、物件検索部333は、不動産物件の環境情報と、ユーザの住居の環境情報とを比較することで、当該住居の環境情報よりも好条件の環境情報を有する不動産物件を検索するように構成したが、不動産物件の環境情報に基づき決定された快適度指標と、ユーザの住居の環境情報に基づき決定された快適度指標とを比較することで、当該住居の快適度指標よりも好条件の快適度指標を有する不動産物件を検索してもよい。また、上記実施形態では、物件情報提供サーバ3により本発明に係る各手段の処理が実施される場合について説明したが、本発明に係る一部の手段の処理が物件情報提供サーバ3により実施され、且つ本発明に係る他の一部の手段の処理がユーザ端末1により実施されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 ユーザ端末
2 環境情報収集サーバ
3 物件情報提供サーバ
31 通信部
32 記憶部
33 システム制御部
321 物件情報データベース
322 ユーザ情報データベース
331 住居情報取得部
332 環境情報予測部
333 物件検索部
334 快適度指標決定部
335 情報提示部
S 物件情報提供システム
図1
図2
図3
図4
図5