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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】自動車座席取付用チャイルドシート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/28 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
B60N2/28
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018532551
(86)(22)【出願日】2016-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2016082490
(87)【国際公開番号】W WO2017109137
(87)【国際公開日】2017-06-29
【審査請求日】2019-06-27
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-06
(31)【優先権主張番号】202015107068.3
(32)【優先日】2015-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505222381
【氏名又は名称】サイベックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペレスカ、フランツ
(72)【発明者】
【氏名】トゥルン、クリストフ
【合議体】
【審判長】藤井 昇
【審判官】筑波 茂樹
【審判官】中村 則夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0158456(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0264705(US,A1)
【文献】特開2011-94661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート領域(25)および背部領域(26)と、
少なくとも1つの肩ストラップ(28)と、
前記肩ストラップ(28)を保持および/または偏向させるための少なくとも1つの保持装置(29)と、
前記保持装置(29)に衝撃が加わった場合に、前記肩ストラップのうちの1つまたは複数から作用する所定の限界力を超えると、前記保持装置が第1のロック位置から第2のロック位置に移動するように形成された少なくとも1つの力制限手段(12,14,17)と、
チャイルドシートに位置する子供のサイズおよび体重の一方または両方に対して、前記少なくとも1つの肩ストラップ(28)の長さおよび位置の一方または両方を調節するために、前記背部領域(26)に対して前記保持装置の前記第1のロック位置および前記第2のロック位置を含む少なくとも2つの異なる位置を提供する少なくとも1つの調節装置と、
を有することを特徴とする自動車座席取付用チャイルドシート。
【請求項2】
前記保持装置(29)は少なくとも1つのラッチ装置を介して少なくとも前記第1のロック位置および前記第2のロック位置でロックすることができ、前記ラッチ装置は少なくとも2つの相補的なラッチ要素を備えることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項3】
前記少なくとも2つの相補的なラッチ要素は、突起、ロック要素(11)、凹部、およびポケット(10)のうちの1つまたは複数を備えることを特徴とする請求項2に記載のチャイルドシート。
【請求項4】
少なくとも前記第1のロック位置および前記第2のロック位置は、一体部品の構成要素である個々の収容部および個々のポケット(10)および個々の突起および個々のウェブ(12)のうちの1つまたは複数によって画定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項5】
前記調整装置は、前記保持装置(29)の少なくとも第3のロック位置を提供し、
前記保持装置は、前記肩ストラップのうちの1つまたは複数から作用する第1の限界力を超えると、前記第1のロック位置から前記第2のロック位置に移動され、前記肩ストラップのうちの1つまたは複数から作用する第2の限界力を超えると、前記第2のロック位置から前記第3のロック位置に移動されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項6】
前記保持装置(29)は、ヘッドレストに接続されるか、前記ヘッドレストと共に移動可能であるかの一方または両方であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項7】
前記調整装置は、前記保持装置を少なくとも前記第1のロック位置から解除するために作動するように構成されたハンドルを備えていることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項8】
前記限界力を超えるとき、少なくとも2つのラッチ要素の間の部分が塑性変形可能であるかまたは弾性変形可能であり、および/または前記少なくとも2つのラッチ要素の間の部分が破壊され、または破損または裂けることを特徴とする請求項2又は3のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項9】
シート領域(25)および背部領域(26)と、
少なくとも1つの肩ストラップ(28)と、
前記肩ストラップ(28)を保持および/または偏向させるための少なくとも1つの保持装置(29)と、
前記保持装置(29)に衝撃が加わった場合に、前記肩ストラップのうちの1つまたは複数から作用する所定の第1の限界力を超えると、前記保持装置が第1のロック位置から第2のロック位置に移動するように構成され、前記肩ストラップのうちの1つまたは複数から作用する第2の限界力を超えると、前記保持装置が前記第2のロック位置から前記第3のロック位置に移動するように構成された少なくとも1つの力制限手段(12,14,17)と、
を有し、
前記第1のロック位置と前記第2のロック位置との間に、少なくとも1つの第1のウェブまたは少なくとも1つの第1のウェブ突出部が配置され、前記第2のロック位置と前記第3のロック位置との間に、少なくとも1つの第2のウェブまたは少なくとも1つの第2のウェブ突出部が配置され、
前記第1のウェブまたは前記第1のウェブ突出部は、前記肩ストラップのうちの1つまたは複数から作用する所定の前記第1の限界力を超えたときに塑性変形するかまたは破損し、これにより前記保持装置が前記第1のロック位置から前記第2のロック位置に移動され、
前記第2のウェブまたは前記第2のウェブ突出部は、前記肩ストラップのうちの1つまたは複数から作用する前記第2の限界力を超えたときに塑性変形するかまたは破損し、これにより前記保持装置が前記第2のロック位置から前記第3のロック位置に移動され、
前記第1のウェブまたは前記第1のウェブ突出部は、前記第2のウェブまたは前記第2のウェブ突出部とは異なる厚さであることを特徴とする自動車座席取付用チャイルドシート。
【請求項10】
前記保持装置(29)は、前記調節装置を介して少なくとも第1の位置、第2の位置、および第3の位置に移動させることができ、前記第1の位置から前記第2の位置への変位のための前記第1の限界力は、前記第2の位置から前記第3の位置への変位のための前記第2の限界力よりも、少なくとも5%、または少なくとも10%高いかまたは低いことを特徴とする請求項5又は9のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項11】
前記少なくとも1つの力制限手段は、前記限界力を超えるときに前記ロック要素(11)がロック位置から外れるように配置され形成された傾斜面(16,20,22)を有しており、前記傾斜面(16,20,22)は、前記ロック要素(11)またはボルト収容部(10)に設けられることを特徴とする請求項2に記載のチャイルドシート。
【請求項12】
前記力制限手段は、少なくとも部分的に凸状または台形状のロック要素(11)を有することを特徴とする請求項9又は11のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項13】
前記力制限手段は、少なくとも1つの板ばね(19)を含むことを特徴とする請求項9又は11のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項14】
前記限界力のそれぞれは、少なくとも500N、または少なくとも1000N、または少なくとも1500Nおよび/または最大21000N、または最大17000N、または最大15000Nであることを特徴とする請求項1、5、8、9、10、11のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の自動車の座席に取り付けられるチャイルドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、チャイルドシートは自動車の座席に取り付けるものであることが知られている。そのようなチャイルドシートは、独自のベルトシステムを備えていてもよいし、自動車のベルトシステムに取り付けるように設計されていてもよい。通常、そのようなチャイルドシートは、少なくとも1つのシートシェル(シート領域)と背もたれとを備えている。さらに、そのようなチャイルドシートは、ヘッドレストやサポートフットまたは他の構成要素を備えることができる。
【0003】
これに関連して、本発明の文脈において、「チャイルドシート」という用語は、「伝統的な」チャイルドシートおよびベビーキャリアの総称として理解されるべきであることに留意する必要がある。したがって、本発明の文脈においてチャイルドシートに備わる特徴は、特に断らない限り、ベビーキャリアに基本的に適用可能であり、その逆も同様である。「チャイルド」という用語にも同じことが当てはまり、チャイルドの用語は幼児だけでなく小児(子供)および乳幼児(赤ちゃん)の総称としても理解される。
【0004】
いわゆる「ベビーキャリア」は、しばしば、赤ちゃんまたは子供を収容するためのワンピースシェルを備えており、別個のベルトシステム、オプションとしてヘッドレストおよび場合によってはさらなる構成要素を含むことができる。そのような「ベビーキャリア」は、(構造的に画定された)背もたれの代わりに、子供の臀部を収容することができる「座席領域」に隣接する後部セクションを有する。
【0005】
一般に、子供は、自動車の3点ベルトまたはチャイルドシート自体に設けられたベルト(例えば、5点ベルト、チェストベルト等)によってチャイルドシートに固定されることが知られている。この場合、ベルトは、座席の子供の肩の上で骨盤の反対側の方向に案内することができる。しかしながら、2つのストラップを設けることもでき、これらストラップの各々は、肩部の1つの上に案内される。少なくとも、独自のベルトシステムを備えたシートの場合、ベルトシステムの位置を子供のサイズに合わせることができることはよく知られている。特に、例えば歯付きラックなどの適切な要素の確実な係合により、ベルトシステムの様々の位置がロックされ得る解決策が知られている。
【0006】
これらの既存のシステムに共通するのは、(車が衝突した場合)座席内の子供は、最初は慣性によりさらに動かされ、次にストラップによって突然制動されることである。しかし、子供の頭部は動き続け、ピッチング運動と胸の胸部への衝撃をもたらし、頚椎の領域などに危険な損傷を引き起こす可能性がある。
【0007】
このため、一般に、子供の加速度を制限し、力のピークを吸収することが望ましい。この目的のために、力ピークを吸収することができる対応する力リミッタが従来技術において知られている。例えば、ドイツ特許公開10 2005 038814号公報では、衝突の際にベルトに負荷が掛かったときにベルトのエネルギー吸収能力を増加させる液圧要素の使用が提案されている。欧州特許公開0 805 066号公報では、塑性変形可能なトーションバーが提案されている。トーションバーは、衝撃の場合に変形し、それによってエネルギーを吸収するか、または力のピークを遮断する。
【0008】
ドイツ特許公開10 2005 025570号公報では、同様に、塑性変形可能な構成要素、具体的には変形のための領域を有するストラップのためのホルダを使用することが提案されている。付加的な力制限手段として、引裂継ぎ目がベルトに記載されており、過大な力が発生した場合にベルト部分を所定の方法で解放し、座席内の子供の身体がさらに前方に移動することができ、それにより減速エネルギーを低減することができる。ドイツ特許公開10 2005 025570号公報では、子供のサイズまたは体重への調整のために力リミッタの完全な置き換えが行われなければならない。ドイツ特許公開101 07 874号公報には、塑性変形力制限手段が記載されており、その力制限閾値は、設定されたベルトの長さまたは位置の関数として変化する。この目的のために、例えば材料の厚さが異なる複数のたわみが設けられる。ベルトシステムを別の偏向装置に再び取り付けることによって、ドイツ特許公開101 07 874号公報の力制限手段は、子供のサイズまたは重量に合わせて調整される。
【0009】
全体として、子供のサイズまたは体重に対する力制限手段の(もし可能であれば)適応は、常に先行技術における比較的複雑なステップで行われなければならないという欠点があると考えられる。このため、ドイツ特許公開10 2005 025570号公報に記載のホルダを交換する場合と同様に、ドイツ特許公開101 07 874号公報に記載のストラップを移す場合には、ベルトシステムを新たに設けなければならない。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、衝撃を受けた場合に簡単かつ安全な方法により衝撃力の制限を実現する自動車座席取付用チャイルドシートを提供することにある。
【0011】
この目的は、請求項1に記載のチャイルドシートによって達成される。
【0012】
とくに、シート領域と背部セクション(背もたれ)と、少なくとも1つの肩ストラップと、肩ストラップを保持および/または偏向させるための少なくとも1つの保持装置と、少なくとも1つの力制限手段とを具備する自動車座席取付用チャイルドシートであって、前記力制限手段は、衝撃を受けた場合において、前記肩ストラップによって加えられる所定の限界力を超えると、前記保持装置が第1の停止位置から第2の停止位置に移行する(その結果、子供を保持する力が軽減されるか、またはエネルギーが吸収される)前記保持装置上に(または、前記保持装置が2つの肩ストラップを保持および/または偏向させるために形成されている場合は該肩ストラップによって)保持されることを特徴とする自動車座席取付用チャイルドシートによって達成される。
【0013】
本発明の核心は、保持装置が基本的に2つの(所定の)位置をとることができ、(事故の場合の)第2の位置が所定の限界力を超えた場合にのみ到達することである。このように(全体の)保持装置は、衝撃を受けた場合に力のピークを吸収するため、またはエネルギーを吸収するために変位される。保持装置は、(好ましくは)この変位の間に寸法的に安定したままである(従って、その形状を変化させない)。力制限手段は、第2の位置に達して子供の体が静止する(すなわち衝撃後)か、または肩ストラップから力が作用しないとき、保持装置が第2の位置にとどまるように形成されることが好ましい。第1の位置と第2の位置の両方において、保持装置は、(特に、形状嵌合方式で)ラッチされていることが好ましい、すなわち、第1または第2のラッチ位置をとる。全体として、力制限手段および保持装置は、保持装置に作用する力の少なくとも1つの要素が、個々の(ラッチ)位置間の接続線の方向に作用するように構成されることが好ましい。ラッチ(ロック)は、好ましくはインターロックされているが、代替的にまたは追加的に(少なくとも部分的に、場合によっては完全に)力ロック方式で行うことができる。(所定の)ロック位置(特にラッチ位置)とする結果として、一方では簡単な方法により力のピークを遮断することができ、他方では肩ストラップが衝撃の前後にしっかりと確実に保持される。さらに、少なくとも1つの力制限手段は、簡単な構造によって特徴づけられ、これにより製造コストが低減される。
【0014】
特定の実施形態では、保持装置の少なくとも2つの異なる位置、特に少なくとも第1および第2のロック位置(特にラッチ位置)をバック部(背もたれ)に対して調整するための少なくとも1つの調節装置が設けられており、チャイルドシート内の子供のサイズおよび/または体重に対してベルトの長さおよび/または位置を調整することを含む。そのような調節装置の結果として、チャイルドシートは、子供のニーズに容易に適合させることができる。好ましい特にシンプルな設計において、一方では(例えばハンドルを介して)調節装置を作動させることによって、他方では(力の場合には)力制限手段の作用によって、第1の位置から第2の位置への変位(衝撃の場合)を起こさせることができる。このような構造は、特にシンプルであり、衝撃の影響から確実に保護する。調節装置は、とくに高さ調節装置に関するものであり、チャイルドシートを子供のサイズに適合させることができる。この目的のために、保持装置を種々の(ラッチ)位置にロックすることができる。
【0015】
好ましくは、保持装置が少なくとも2つの位置にロックされ、とくに少なくとも2つのラッチ位置に係合される少なくとも1つのラッチ装置が設けられる。この目的のために、具体的には少なくとも2つの相補的なラッチ要素(例えば、突起、特にボルトおよび対応する凹部、特にポケット)を設けることができる。基本的には、連動および/または摩擦接続を介してロックを行うことができる。例えば、ロック要素は、ポケット状構造に係合することができ、任意に、個々のポケットは、少なくとも1つのウェブ(または同様のもの)によって互いに分離される。しかし、ロック要素(突起)は、歯付きストリップ(またはそれらの収容部)または有孔ストリップ(またはそれらの穴)または任意の他の適当な構造に係合することも可能である。いずれにせよ、このようなロックは、保持装置をそれぞれの位置に確実かつ容易に保持することを可能にし、事故が起きた場合において安全性を高める。特に、個々の位置は、個々の収容部(特にポケット)および/または突起および/または(連続的または断続的な)接続ウェブによって規定することができ、好ましくは一体成形部品の構成要素であり、および/または歯付きストリップおよび/または有孔ストリップによって形成される。
【0016】
好ましい実施形態では、保持装置を少なくとも3つの位置(好ましくは調節装置を介して)に持ち込むことができ、第1の制限力を超えるときは次の位置が想定され、第2の制限力を超えるときにはさらに離れた位置(特に次の1つ)が想定される。一般に、十分に長い作用と十分に大きな力では、いくつかの(ラッチする)位置が連続的に克服される可能性がある。1つの位置から隣接する位置への各移行の結果(例えば、各ウェブが2つの収容部、特にポケットの間に配置される)、力制限手段を設けることができる。この実施形態では、力制限またはエネルギー吸収の非常にシンプルな(「自動」)設定を可能にする。少し小さいか又はやや軽めの子供の場合には、例えば(衝撃の場合に)次の位置のみが選ばれ、大きな子供の場合には次の位置1つであるが、さらに大きな子供の場合には次のその次の位置とすることもできる。したがって、子供の大きさと体重に関して(不適切な操作に応じて発生するリスクを伴う)力制限をユーザーが設定することはもはや必要でなくなる。チャイルドシートはそれ自体、それに応じて「適応的」に設計される。結果として、不適切な操作によって特に顕著な力のピークさえ起こる従来技術に存在する問題は、シンプルな方法で低減することができる。
【0017】
好ましくは、保持装置はヘッドレストに接続され、および/またはヘッドレストと共に移動可能である。このような場合、肩ストラップは、子供のサイズに容易にかつ確実に適合させることができる。すなわち、ヘッドレストを子供のサイズに適合させることができる。これによって衝撃を受けたときの安全性も向上する。
【0018】
特定の実施形態では、調節装置は、特に、好ましくはロックの引っ張り解除のためのハンドルを有することができる。代替的にまたは追加的に、ロックを生成するためのバネ、特にリターンスプリングを設けることができる。これにより、保持装置および可能であればヘッドレストの(高さ)調節を簡単かつ迅速に行うことが可能になる。
【0019】
例えば、ロックされたベルトシステムの規則的な調整のために、(例えば、ばね力に抗してハンドルを引っ張ることによって)ロック要素を対応するポケットから移動させることができ、ベルトシステムを所望通りの位置に調整することができ、(例えばハンドルを解除し、おそらくはばね力の作用によって)ロック要素をポケット内に戻すことができる。好ましくは、チャイルドシートが車両内に設置され、子供がチャイルドシートに座ったときにもロック解除が行われることができ、例えば、ハンドル、おそらくはレバーおよび/またはスイッチなどが、チャイルドシートの上端部への高さ調整のロックを解除するために取り付けられており、したがって常時アクセス可能である。
【0020】
好ましくは、力制限手段は、ロック位置の間の領域によって(例えば、ポケットまたは隆起部または歯付きストリップの歯の間のウェブによって)形成される。さらに好ましくは、2つのラッチ装置(例えば、ポケットまたは全体的に凹部)の間の少なくとも1つの部分は、制限力が克服され、および/または破壊されたとき、特に破損または破れ時に塑性または弾性変形可能である。一般に、これらの中間部分は、好ましくは、(個々のロック位置の間の接続線の方向に)限界力を超える力が生じた場合に隣接する位置に移動できるように形成されるべきである。
【0021】
特定の実施形態では、少なくとも1つのウェブが2つのラッチ装置(例えばポケット)の間に配置され、予め定められた限界力を超えたときにウェブが塑性変形して保持装置を一方から他方の位置に移動させる。さらに、複数のウェブ(および関連する3つ以上のラッチ装置、特に3つ以上のポケット)が設けられ、これらのウェブは異なる厚さで作られることが好ましい。このようなウェブは、力制限手段を容易かつ効果的に提供することができる。複数のウェブが異なる厚さで設けられている場合、保持装置が配置されているそれぞれの位置に応じて克服すべき異なる限界力を設定することができる。ウェブの厚さは一方向に増加させることができる。例えば、これらの4つのウェブが第1のウェブ、第2のウェブ、第3のウェブ、および第4のウェブの順に配置されている4つのウェブが設けられている場合に、それぞれの次のウェブ(例えば、第3のウェブ)は、それぞれその前に配置されたもの(例えば、第2のウェブ)よりも厚く形成されてもよい。このような構成では、特に、最も厚いウェブを最も高い位置に配置して、保持装置が比較的高い位置(背が高いか又は体重が重い子供に対応する)に位置するときに高い限界の力が与えられ、(比較的背が小さいか又は体重が軽い子供に対応する)かなり低い位置に配置されている場合、かなり低い限界力が提供される。一般に(いくつかのウェブを用いて)これらは異なる厚さで形成することができる。しかし、これらのウェブが異なる材料によって形成され、それらの材料の抵抗(または変形または破壊)が異なるということも考えられる。必要であれば、厳密に1つのウェブを任意に2つのラッチ位置の間に設けることができるが、代替え的に複数のウェブ(または中断したウェブ)を設けることができる。衝撃を受ける場合に弾性変形し、制限力を超えると、他の(ラッチ)位置への移動を可能にする、ウェブの代わりに(例えば2つの)ばね、特に板ばねを設けることができる。板ばねの代わりに弾性変形用の他の手段も考えられる。
【0022】
特定の実施形態では、保持装置は、少なくとも3つの(ロックされた)位置、好ましくは調節装置を介して、すなわち少なくとも第1の位置、第2の位置、および第3の位置に移動することができる。
好ましくは、中間領域の構造設計(例えば、材料および/または厚さの選択)によって画定される限界力は、衝撃を受けた場合に第1の位置から第2の位置へとシフトするために、特に第2の位置から第3の位置へ移動するための限界力よりも少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%大きい。好ましくは、第1の位置は最高位置であり、第2の位置は中間位置であり、第3の位置は保持装置の最低位置である。全体的に、力限界のユーザーフレンドリーかつ安全な調整をそれによって実現することができる。
【0023】
特定の実施形態では、少なくとも1つの力制限手段は、制限力が超過されたときにロック要素(のみ)がロック(ボルト締め)位置から外れるように配置され、設計された傾斜面を備え、好ましくは、ロック要素またはボルト受けに設けられている。従って、力の制限はシンプルな方法で提供される。
【0024】
さらに具体的な実施形態では、力制限手段は、少なくとも部分的に凸状または台形の係止要素を有する。また、力制限もシンプルな方法で提供することができる。
【0025】
一般に、力制限手段は、少なくとも1つのばね、特に板ばねを含むことができる。このようなばねの結果として、弾性変形によって力制限手段を実現することができるので、チャイルドシート(衝撃後)を再び元の状態に戻すことができる(但し、所定の限界力を超えている)。
【0026】
基本的には、制限力は子供の体重に合わせて調整する必要がある。制限力は、少なくとも500N、好ましくは少なくとも1000N、特に好ましくは少なくとも1500Nおよび/または最大21000N、好ましくは最大17000N、より好ましくは最大15000Nであり得る。一般に、衝撃を受けた場合には、少なくとも短時間、約50g(すなわち、重力加速度の50倍)を許容することができる。したがって、力閾値の尺度は、この限界および子供の体重から有利に得られる。チャイルドシートの場合、最大許容重量は36kgです。例えば、ベビーキャリアの最小重量は、約2.5kgとすることができる。異なる制限力(2つ以上のロック位置または対応する力制限手段を有する)の場合、最高位置における制限力は上方範囲(例えば、12000N~21000Nの範囲)にあり、最低位置における制限力は下方範囲(例えば、500N~11000Nの範囲)にある。任意選択的に、(例えば、プーリタイプのたわみによって)力制限手段に対する他の力閾値(限界力)を得ることができる。いずれにしても、シートに位置する子供の荷重は、40~60g、好ましくは45~55gに制限されるべきである。
【0027】
一般的な考え方によれば、(運転前に)意図的に調整することができる保持装置の位置は、少なくとも1つの力制限手段の作用によって衝突の際に想定され得る位置と少なくとも部分的に相違する。例えば、一方では所望の設定のために、他方では力を制限するためにラッチ装置を別々に分けるようにしてもよい。特定の実施形態では、調節装置は、ストラップの長さまたは位置を調整するための複数の位置を画定する調整要素を備え、限界力が超えられたときに異なる位置をとるように取り付けられる。あるいは、力制限手段は、保持装置に作用する所定の限界力が超えられたときに保持装置を第1の位置から第2の位置に変位させるように構成された力制限要素を備えていてもよく、力制限要素(それ自体)を複数の位置に移動させることができる。したがって、そのような実施形態では、衝撃を受けた場合の限界力を超えることによる位置の変化は、保持装置の高さ調整のために意図的に実行される対応する位置ずれ(シフト)と同一ではない。このような異なる位置変化を個々別々に分離する結果として、(運転前に)事故の際の力限界およびストラップの長さまたは位置の両方の特に効果的で信頼できる調整が可能である。
【0028】
本発明のさらなる実施形態は、従属請求項から明らかにされる。
【0029】
本発明は、以下の図面を参照してより詳細に説明される実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1a図1aは、本発明の力制限手段無しのチャイルドシートを示す概略断面図である。
図1b図1bは、図1aの線Ib-Ibに沿って切断した断面図である。
図2図2は、図1aに類似の本発明のチャイルドシートを示す詳細図である。
図3a図3aは、図2に類似の本発明のさらなる実施形態のチャイルドシートを示す概略図である。
図3b図3bは、図2に類似の部分の他の実施形態のチャイルドシートを示す斜視図である。
図4図4は、図1および図2に類似の力制限手段の異なる実施形態を示す概略断面図である。
図5図5は、他の実施形態のチャイルドシートの断面を通して図1bに類似の部分を示す部分断面図である。
図6a図6aは、他の実施形態のチャイルドシートの断面を示す斜視図である。
図6b図6bは、図6aの断面を側方から見て示す図である。
図6c図6cは、図6aの断面をさらに示す斜視図である。
図7a図7aは、他の実施形態のチャイルドシートの断面を示す斜視図である。
図7b図7bは、図7aの断面を側方から見て示す図である。
図7c図7cは、図7aの断面をさらに示す斜視図である。
図8a図8aは、本発明の他の実施形態に係るチャイルドシートを示す概略断面図である。
図8b図8bは、本発明の他の実施形態に係るチャイルドシートを示す概略断面図である。
図8c図8cは、本発明の他の実施形態に係るチャイルドシートを示す概略断面図である。
図9図9は、本発明の他の実施形態に係るチャイルドシートを示す概略断面図である。
図10a図10aは、本発明の他の実施形態に係るチャイルドシートを示す概略断面図である。
図10b図10bは、図10aの線Xb-Xbに沿って切断した断面図である。
図11図11は、本発明の他の実施形態に係るチャイルドシートを示す概略断面図である。
図12a図12aは、本発明の他の実施形態に係るチャイルドシートを示す概略断面図である。
図12b図12bは、ロック要素の偏位位置における図12aの断面を示す図である。
図13図13は、本発明のチャイルドシートを示す分解斜視図である。
図14図14は、図13の一部を拡大して示す部分拡大図である。
図15図15は、図13のステップ部を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明では、同一の部分には同一の符号を付している。
【0032】
図1に本発明の力制限手段無しのチャイルドシートの断面を示す。この断面構造は、例えば、チャイルドシートの後部側、特に背もたれの後部または背部領域に配置される構造とすることができる。このため、図1aと図1bは、その位置、特に高さに関して肩ストラップ用の保持装置29(ここには図示せず、図13図15参照)を調整するための構造を示す。この目的のために、(受け入れ)ポケット10が設けられ、ポケット10にはロック要素11を係合させることができる。ロック要素11は、各ポケット10(図1aと図1bでは、例えば第2のポケット10の上方から)に収容することができる。さらに、ロック要素11は、肩ストラップ用の保持装置の一部であるか、または少なくともそのような保持装置に接続されている。基本的には、2つの肩ストラップが設けられる場合、肩ストラップはそれぞれ別個の保持装置に保持されることができるが、好ましくは両方の肩ストラップが1つの保持装置29によって保持される(図13図15参照)。
【0033】
図2に本発明のチャイルドシートの図1aと類似の部分を示す。図2の構造は、個々のポケット(具体的には、第2のポケットが上部から下部に向かって第2のポケット)の間に(比較的薄い)ウェブ12を備えている点で、図1aおよび図1bの構造とは異なる。ウェブ12は、(例えば、衝突事故の際に起こるような)限界力を超えると、塑性変形または破断するように形成されており、それによってロック要素11の次の位置への移動を可能にする(例えば、事故が起こったときに第2のウェブ12が上から壊れて、第3のポケットから第4のポケット(上方から)のロック要素11を移動させることができる。さらに、図2によれば、(図1aおよび図1bの対応する分離領域12と同様に)2つの最上部のポケット10と2つの最下部のポケット10との間に分離領域13がさらに設けられているので、それらは、最大力でさえも、それぞれのポケット内のロック要素によるロックの解除を可能にしない。例えば、これらの分離領域13は、21000Nを超える、好ましくは25000Nを超える力(次のポケットの方向に作用する)にも耐える。
【0034】
図3aの代替的な実施形態では、(図2の実施形態と比較して)ウェブが部分的に「取り出される」。換言すれば、(図2の)それぞれのウェブ12は、互いに向き合う2つの突起(ウェブ突起)14によって置き換えられる。一般に、面取りされた端部は、(下限の力が次の位置に移動するのに十分であるように)ロッキング要素11から次の位置へのスライドアウトを助長することができる。とくに、異なる傾斜角によって種々の限界力(力閾値)を設定することができ、例えば、突出部14のそれぞれの端部は、頂部から底部に向かってますます平らになるように延び出すことができる。
【0035】
図3bは、図3aに類似の実施形態のさらなる詳細を示す斜視図である。特に、個々の突起14の代わりに突起対17が設けられ、ポケット10は4対の突起17によって画定され得ることが分かる。さらに、ポケット10は、2対の突起17と(着脱不能な)分離領域13とによって形成することができる。さらに、ポケットは、2つ(分離不能)の分離領域13によって形成することができる。
【0036】
図4に本発明のさらなる実施形態を概略図で示す。とくに図3aと図3bに示す突起(ウェブ突起)の代わりに、弾性突起18を形成することができることが図示されている。さらに、突起14は、板バネ19(または他のバネ)に置き換えることができ、一般に、使用される突起は、塑性的または弾性的に変形することができ、または(力閾値を超えると)破壊されることもあり得る。
【0037】
図5に、図1bに類似の部分のさらなる実施形態を示す。ここで、ウェブは幾何学的に(具体的には、力が負荷された側面のわずかな勾配によって)設計されているので、加えられた力のより大きな成分がウェブに対してロック要素を押し付け、小さな要素がロック要素をポケットから持ち上げる。力閾値を超えると、より小さい力成分は、より大きな力成分によって生成される摩擦抵抗に打ち勝ち、ロック要素11は、ポケット10から持ち上げられるか、または傾斜面20を乗り越えて次のポケットのなかに滑り込む。これに対応して、歯付きの又は穿孔されたストリップなどのための解決策を提供することができる。
【0038】
図6a~図6cに示すウェブまたは突起(ウェブ延長部)14は、一方の側および下側の周囲構造に接続することができる。しかし、それらはまた、(好ましい)側面または底面のみにおいて構造物に接続することもできる。片側のみの配置の代替案が、図6a~図6cおよび図7a~図7c(特に図7cを参照)に示されている。図6a~図6cおよび図7a~図7cでは、突起(ウェブインサート)は、横方向にのみ取り付けられている(接続されている)。その結果、突出部は空間に自由な状態でぶら下がり、それによってロック要素を次の位置に容易に移動させるために、突出部が容易に変形または破壊され得る。
【0039】
図8aは、図2に類似した、すなわち直線状の端面21を有するロック要素11を有する詳細を示す。代わりに(図8b参照)、ロック要素11は、傾斜端面22を有してもよく、突出部14に作用する力がウェブ14に増加した表面負荷を生じさせ、それらの弾性変形または塑性変形または破壊を容易にする。一般に、ロック要素の幾何学的形状は、加えられた力が、ロック位置間の領域に点または面積負荷を増加させ、それらの弾性変形または塑性変形または破壊を容易にするように選択することができる。これは、例えば、台形構造によって達成することもできる(図8bと図8c参照)。ロック要素11の力負荷側を凸状に形成することも可能である。さらに、ロック要素を弾性変形可能に形成することができる。
【0040】
さらなる実施形態(図9参照)では、乗り越えられない位置が再度想定される前に、常に一定数のロックされた位置のみで打ち勝つことができる。これは、例えば、個々の中間領域23のみをポケット10間に設定して、次の位置に克服できるようにすることによって実現することができる。例えば、第3または第4の中間領域23ごとに乗り切れないようにすることができる(図9参照)。
【0041】
他の実施形態では、高さ調節可能な方法で(しかし、力制限手段を用いることなく)、特にロック要素11bを介してロックされ得る追加の構成要素24が用いられ、任意に割り当てられたポケット10に係合し、力制限手段を含むベルトシステムをロックするためのいくつかの位置を画定する。好ましい実施形態では、ベルトシステムは、最初は、構成要素24内の最上部位置に常にロックされ、規定された限界力を超えたときにのみさらなる位置に移動することができる。例えば、構成要素24は、この目的のためのポケット10aを有し、その中にロック要素11aが係合することができる。
【0042】
さらに好ましい実施形態(図11参照)では、力制限が作用する限界力はすべての位置で同じではなく、ベルトシステムがロックされる位置に依存する。したがって、子供の身長と体重との間に一般的に存在する相関関係を考慮に入れて、力閾値を選択する際に座席内の子供の体重を考慮する上記の説明を考慮に入れることができる。様々な実施形態において、これは、ウェブの厚さ(図11)および/または残りのウェブインサート(突起)の長さ、および/またはバネの材料厚さおよび/または斜面の角度である。
【0043】
原理的には、様々な実施形態は、所望に応じて互いに組み合わせることもできる。一例として、異なる長さのウェブ突起(突起)を、凹状の側面を有するロック要素に接続することができる(図12aと図12b参照)。
【0044】
さらに、上述した解決策および構造は、例えば、歯付きの又は穿孔されたストリップ、または例えば、インターロックおよび/または力ロック係合を可能にする他の適切な構造に移すこともできる。
【0045】
図13に、座部領域25と、背部領域26と、肩ストラップ28を持つベルトシステム27と、肩ストラップ25を保持し偏向させる保持装置29とを有する本発明のチャイルドシートの分解図を示す。保持装置29はロック要素11に接続され、ロック要素11はポケット10に係合することができる。図14に、保持装置29およびロック要素11を備えた図13の拡大詳細を示す。保持装置29にはベルトガイド30が配置されており、このベルトガイド30を介してベルトを保持して撓ませるように案内することができる。図15に、図13のセクションの段付きセクションを示す。図15において、肩ストラップ28によって保持部分に作用する力は、(本質的に、少なくとも構成要素に関して)矢印31の方向に、すなわちポケット10の配置の一方向に作用する。
【0046】
さらに、保持装置の位置、特に保持装置の高さの意図的な設定を可能にする調節装置の詳細が図15に認められる。具体的には、調節装置は、(爪状の)作動要素32を備え、この作動要素32は、軸35(図15の反時計方向)の周りを回転すると、ばね34(図14に示す)の作用に抗して、ロック要素をその収容部(ポケット)から(円弧状の)停止部33を介して押す。作動要素32は、意図しないロック解除からロック要素を固定するフック形状のアンダーカット部分36を有する。
【0047】
一般に、衝撃の際に保持装置上の肩ストラップから作用する力の少なくとも1つの成分または力は、好ましくは上から下へ(背もたれに平行に)作用するが、(ベルトガイドの特定の実施形態に応じて)下から上へと移動する。中間位置が存在し、ロック要素が下にある位置から上方に、そして上にある位置から下方に(または対応する力が作用して)移動されることさえあるかもしれない。
【0048】
全体的に、チャイルドシートには安全性を高めた力制限手段が設けられている。特に、力制限手段は、ベルト層が正確に調整されたときに最適な力制限手段が「自動的に」提供されるようにすることができる。この場合、制限力は、複数の力制限手段が連続して作用することができるので、従来技術よりも低く選択される可能性がある。
同時に、本発明による解決策は、分離工程で力制限手段の選択が行われないので、高度の快適性を提供するが、任意にヘッドレストの調整と組み合わせて、ベルト位置の調整とともに自動的に行うことができる。この設定は、チャイルドシートを使用する場合にしばしば必要になる。特に、制限力の設定は、従来のようにストラップを再取り付けするかまたはねじ込むことにより、必ずしも必要とされるものではなく、チャイルドシートを取り外す必要がある。むしろ、制限力の設定は、例えば正面から便利に行うことができる。適切な設計では使用中の設定も可能である。
【0049】
最後に、本発明による解決法は、その実現が従来の解決策と比較してほとんど労力なしに可能であるので、特に製造が簡単である。例えば、油圧要素は完全に省略することができる。さらに、力制限手段は、例えば、既存のロック機構の変形された形状によってのみ達成することができる。原則として、追加の部品は必要なく、射出成形、押出ブロー成形などの通常の製造プロセスを利用してすべての部品を製造することができる。別途取り付けることによっても手間が掛からない。
【0050】
この時点で、上述した全ての部分は、単独でまたは任意の組み合わせで、特に図面に示される詳細は本発明にとって本質的なものとして請求されている。その改変は当業者によく知られている。
以下に本願出願の当初の特許請求の範囲に記載した発明を付記する。
[1]シート領域(25)および背部領域(26)と、少なくとも1つの肩ストラップ(28)と、前記肩ストラップ(28)を保持および/または偏向させるための少なくとも1つの保持装置(29)と、前記保持装置(30)に衝撃が加わった場合に、前記肩ストラップまたは前記肩ストラップから作用する所定の限界力を超えると、前記保持装置が第1のロック位置から第2のロック位置に移動するように形成された少なくとも1つの力制限手段(12,14,17)と、を有することを特徴とする自動車座席取付用チャイルドシート。
[2]チャイルドシートに位置する子供のサイズおよび/または体重に対してベルトの長さおよび/または位置を調節するために、前記背部領域に対して前記保持装置(30)の少なくとも2つの異なる位置、特に少なくとも前記第1及び第2のロック位置を設定する少なくとも1つの調節装置をさらに有することを特徴とする[1]に記載のチャイルドシート。
[3]前記保持装置(30)は、少なくとも1つのラッチ装置を介して少なくとも2つの位置にロックされ、特に少なくとも2つのラッチ位置にて係合しており、好ましくは、少なくとも2つの相補的ラッチ要素、例えば突起、特にロック要素(11)と、それに対応する凹部、この目的のために設けられている特にポケット(10)と、を有することを特徴とする[1]または[2]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[4]個々の前記位置は、好ましくは一体部品の構成要素である個々の収容部、特に個々のポケット(10)および/または個々の突起および/または個々の接続ウェブ(12)および/または歯付きストリップおよび/または有孔ストリップによって規定されていることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[5]前記保持装置(29)は、少なくとも3つの位置に、好ましくは前記調節装置を介して、第1の限界力を超えたときに次の位置が取られ、第2の限界力を超えたときに更に離れた位置、特に次の位置が取られることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[6]前記保持装置(29)は、ヘッドレストに接続され、および/または前記ヘッドレストと共に移動可能であることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[7]前記調節装置は、特にロックのため、好ましくは引っ張るためのハンドル、および/またはロックを生じさせるためのばね、特に戻りばねを備えていることを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[8]前記限界力を超えるとき、少なくとも2つのラッチ要素の間の部分、特に2つの凹部、特に2つのポケットの間の部分が塑性変形可能または弾性変形可能および/または破壊され、特に破損または裂けることを特徴とする[1]乃至[7]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[9]2つのラッチ要素の間に、少なくとも1つのウェブまたは少なくとも1つのウェブ突起、好ましくは2つのウェブ突起が配置され、好ましくは所定の限界力を超えたときに塑性変形されるか又は破壊され、これにより前記保持装置が一方の位置から他方の位置に移され、好ましくは異なる厚さで作られた複数のウェブまたはウェブ突起が設けられていることを特徴とする[1]乃至[8]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[10]前記保持装置(29)は、好ましくは前記調節装置を介して、少なくとも3つのロック位置、すなわち少なくとも第1の位置、第2の位置、および第3の位置に移動させることができ、前記第1の位置から前記第2の位置への変位のための限界力は、前記第2の位置から前記第3の位置への変位のための限界力よりも、特に少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%高いかまたは低いことを特徴とする[1]乃至[9]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[11]前記少なくとも1つの力制限手段は、前記限界力を超えるときに前記ロック要素(11)がロック位置から外れるように配置され形成された傾斜面を有しており、前記傾斜面は、好ましくは前記ロック要素(11)またはボルト収容部に設けられることを特徴とする[1]乃至[10]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[12]前記力制限手段は、少なくとも部分的に凸状または台形状のロック要素(11)を有することを特徴とする[1]乃至[11]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[13]前記力制限手段は、少なくとも1つのばね、特に板ばね(19)を含むことを特徴とする[1]乃至[12]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[14]前記限界力のそれぞれは、少なくとも500N、好ましくは少なくとも1000N、より好ましくは少なくとも1500Nおよび/または最大21000N、好ましくは最大17000N、より好ましくは最大15000Nであることを特徴とする[1]乃至[13]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
[15]前記調節装置によって意図的に(駆動前に)設定可能な前記保持装置の位置は、少なくとも1つの前記力制限手段の作用によって衝撃が生じた場合に想定される位置と少なくとも部分的に異ならせることができ、好ましくは、前記調節装置は、ベルトの長さまたは位置を設定するための複数の位置を規定し、前記限界力を超えるときに異なる位置を占めるように取り付けられる調節要素を備えるか、または、前記力制限手段は、前記保持装置上の前記肩ストラップから作用する所定の限界力を超えたときに前記保持装置を前記第1の位置から前記第2の位置に変位させるために形成された力制限要素を備え、前記制限要素を複数の位置に移動させることができる、ことを特徴とする[1]乃至[14]のいずれか1に記載のチャイルドシート。
【符号の説明】
【0051】
10…ポケット、11…ロック要素、12…ウェブ、13…分離領域、14…突起、
15…ストレート端面、16…傾斜端面、17…突起対、18…弾性突起、19…(板)ばね、
20…傾斜面、21…端面、22…傾斜端面、23…中間領域、
24…構成要素、25…シート領域、26…背部領域
27…ベルトシステム、28…肩ストラップ、29…保持装置、
30…ベルトガイド、31…矢印、32…作動要素、33…停止部、
34…ばね、35…軸、36…部分。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図9
図10a
図10b
図11
図12a
図12b
図13
図14
図15