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特許7274862ジッパー締結具をロックする装置を備えたスーツケース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】ジッパー締結具をロックする装置を備えたスーツケース
(51)【国際特許分類】
   A45C 13/10 20060101AFI20230510BHJP
   A44B 19/26 20060101ALI20230510BHJP
   A45C 5/14 20060101ALI20230510BHJP
   A45C 13/18 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
A45C13/10 N
A45C13/10 J
A44B19/26
A45C5/14 A
A45C13/18
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018533119
(86)(22)【出願日】2016-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-28
(86)【国際出願番号】 FR2016053622
(87)【国際公開番号】W WO2017109418
(87)【国際公開日】2017-06-29
【審査請求日】2019-12-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】1563298
(32)【優先日】2015-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】503331735
【氏名又は名称】ルイ ヴィトン マルティエ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ニューソン
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】佐々木 芳枝
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/105297(WO,A1)
【文献】米国特許第6113268(US,A)
【文献】国際公開第99/44460(WO,A1)
【文献】米国特許第1680652(US,A)
【文献】特開2007-289337(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0142375(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 13/10 - 13/18
A45C 5/14
A44B 19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
‐内部容積(6)を画定する筐体(3);
‐接合面(P)に沿って延びるとともに、第1の端縁(11)を提供する第1のストリップ(12)、第2の端縁(13)を提供する第2のストリップ(14)、スライダ(16)、及び前記スライダ(16)に接続されたプルタブ(18)を備えるジッパー締結具(10)であって、前記スライダが、
・前記第1の端縁(11)が前記第2の端縁(13)に隣接して維持される締結位置と、
・前記ジッパー締結具(10)が前記第1の端縁(11)を前記第2の端縁(13)に対して解除する解除位置と、
の間で移動可能である、ジッパー締結具(10);及び
‐前記筐体(3)に固定されるとともに、前記スライダ(16)を前記締結位置に維持するためにロックされた位置において前記プルタブ(18)と協働するように適用されたロック装置(30)
を備えるスーツケース(1)であって、
‐前記締結位置では、前記ロック装置(30)及び前記プルタブ(18)が、前記接合面(P)に配置されており、
‐前記筐体(3)は、第1のシェル(2)、第2のシェル(4)、及び前記第1のシェル(2)と前記第2のシェル(4)とを接続するヒンジ装置(20)を備え、前記第2のシェル(4)は、前記スライダ(16)が解除位置にあるときに、開位置と閉位置との間で前記ヒンジ装置(20)を通じて前記第1のシェル(2)に対して可動であり、前記接合面(P)は、前記閉位置において前記第1のシェル(2)と前記第2のシェル(4)との間の接合部にあり、
‐前記スーツケース(1)は、前記ロック装置(30)及び前記ヒンジ装置(20)が配置された平坦な表面(3a)を提供し、
‐前記ヒンジ装置(20)は、第1の連結軸(R2)の周りで前記第1のシェル(2)に対して、かつ第2の連結軸(R4)の周りで前記第2のシェル(4)に対して、回転可能にヒンジで動く中間構成要素(22)を備え、
‐前記第1の連結軸(R2)は、前記第2の連結軸(R4)に平行であり、
‐前記ロック装置(30)は、前記中間構成要素(22)によって担持され、
前記閉位置では、前記接合面(P)に対して、
‐前記ロック装置(30)が、前記筐体(3)の外側に位置するとともにスペース幅(L)を提供する部分(44)を提供し、
‐前記第1の連結軸(R2)が前記第2の連結軸(R4)から所定の間隙距離(D)だけ離間されており、前記間隙距離(D)は前記スペース幅(L)と等しいか、又は大きいことを特徴とするスーツケース(1)。
【請求項2】
前記閉位置では、前記ヒンジ装置が、前記接合面(P)に対してオフセットされた回転軸(R4)を備えることを特徴とする請求項1に記載のスーツケース(1)。
【請求項3】
前記閉位置では、前記回転軸(R4)は、前記筐体(3)の外側に位置する前記ロック装置の部分(44)を越えて、前記接合面(P)に垂直な方向(Z)に沿ってオフセットされていることを特徴とする請求項2に記載のスーツケース(1)。
【請求項4】
‐内部容積(6)を画定する筐体(3);
‐接合面(P)に沿って延びるとともに、第1の端縁(11)を提供する第1のストリップ(12)、第2の端縁(13)を提供する第2のストリップ(14)、スライダ(16)、及び前記スライダ(16)に接続されたプルタブ(18)を備えるジッパー締結具(10)であって、前記スライダが、
・前記第1の端縁(11)が前記第2の端縁(13)に隣接して維持される締結位置と、
・前記ジッパー締結具(10)が前記第1の端縁(11)を前記第2の端縁(13)に対して解除する解除位置と、
の間で移動可能である、ジッパー締結具(10);及び
‐前記筐体(3)に固定されるとともに、前記スライダ(16)を前記締結位置に維持するためにロックされた位置において前記プルタブ(18)と協働するように適用されたロック装置(30)
を備えるスーツケース(1)であって、
‐前記締結位置では、前記ロック装置(30)及び前記プルタブ(18)が、前記接合面(P)に配置されており、
‐前記筐体(3)は、第1のシェル(2)、第2のシェル(4)、及び前記第1のシェル(2)と前記第2のシェル(4)とを接続するヒンジ装置(20)を備え、前記第2のシェル(4)は、前記スライダ(16)が解除位置にあるときに、開位置と閉位置との間で前記ヒンジ装置(20)を通じて前記第1のシェル(2)に対して可動であり、前記接合面(P)は、前記閉位置において前記第1のシェル(2)と前記第2のシェル(4)との間の接合部にあり、前記ロック装置(30)及び前記プルタブ(18)は前記閉位置において前記接合面(P)において前記ジッパー締結具(10)の延長部に配置されており、
‐前記スーツケース(1)は、前記ロック装置(30)及び前記ヒンジ装置(20)が配置された平坦な表面(3a)を提供し、
‐前記ロック装置(30)はプレート(32)及びラッチ(36)を備え、前記プレート(32)は、前記筐体(3)の外側に配置されるとともに孔(34)を提供し、前記ラッチ(36)は前記筐体(3)の内側にあり、
‐前記プルタブ(18)は、基部(18a)及びロック部分(18c)を備え、前記プルタブ(18)は、前記基部(18a)によって前記スライダ(16)に接続され、
‐前記ロックされた位置では、前記ロック部分(18c)が前記プレート(32)の前記孔(34)の中に挿入されるとともに前記ラッチ(36)によって保持され、
‐前記基部(18a)及び前記ロック部分(18c)はそれぞれ、実質的に直線的であり、かつ互いに対して実質的に直角を形成する
ことを特徴とするスーツケース(1)。
【請求項5】
前記ロック部分(18c)は前記基部(18a)の延長部にあり、前記基部の端部において前記ロック部分(18c)は湾曲部分(18b)によって接続されることを特徴とする請求項4に記載のスーツケース(1)。
【請求項6】
前記プルタブ(18)は、折り曲げられたプレートによって形成されていることを特徴とする請求項5に記載のスーツケース(1)。
【請求項7】
前記プルタブの前記基部(18a)は、平坦であるとともに前記プレート(32)に平行に延び、かつ前記ロックされた位置において前記プレート(32)に実質的に寄り掛かっていることを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載のスーツケース(1)。
【請求項8】
‐前記ジッパー締結具(10)は、第1の長手方向端部(10a)と、第2の長手方向端部(10b)と、の間に延び、
‐前記ロック装置(30)は、2つのスリット(39、41)を設けられたハウジング(40)を備え、前記2つのスリット(39、41)を通じて、前記ジッパー締結具(10)が前記第1の長手方向端部(10a)の近傍に延びる
ことを特徴とする請求項4~7のいずれか一項に記載のスーツケース(1)。
【請求項9】
‐前記ヒンジ装置(20)は、第1の連結軸(R2)の周りで前記第1のシェル(2)に対して、かつ第2の連結軸(R4)の周りで前記第2のシェル(4)に対して、回転可能にヒンジで動く中間構成要素(22)を備え、
‐前記第1の連結軸(R2)は、前記第2の連結軸(R4)に平行であり、
‐前記ロック装置(30)は、前記中間構成要素(22)によって担持される
ことを特徴とする請求項4~8のいずれか一項に記載のスーツケース(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッパー締結システムを締結位置に維持することを意図された締結システム及びロック装置を備えるスーツケースに関する。
【背景技術】
【0002】
特に特許文献1から、
‐内部容積を画定する筐体、
‐接合面に延びるとともに、第1の端縁を提供する第1のストリップ、第2の端縁を提供する第2のストリップ、スライダ、及びこのスライダに接続されたプルタブを備えるジッパー締結具であって、スライダが
・第1の端縁が第2の端縁に隣接して維持される、締結位置と、
・ジッパー締結具が第1の端縁を第2の端縁に対して解除する解除位置と、
の間で可動である、ジッパー締結具、
‐筐体に固定されるとともに、スライダを締結位置に維持するために、ロックされた位置においてプルタブと協働するように適用されたロック装置
を備えるスーツケースが既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願公開第2926679号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのようなスーツケースは満足のいくものではあるが、本発明は、ロック装置の簡潔性、信頼性、及び自由裁量性を増加させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従って上述の目的に到達するために、締結位置ではロック装置及びプルタブは少なくとも部分的に接合面に配置される。
【0006】
したがって、ロックされた位置ではプルタブ及びロック装置はジッパー締結具の延長部に配置され、このことはプルタブ及びロック装置を見え難くしている。さらに、プルタブは別の物体に衝突した場合に損傷し難い。特に、スライダは、スライダを変位させる応力を受け難く、もし動いたとしても、プルタブは牽引力を被るがねじれを被ることがなく、したがって損傷を受けることなくこの衝突に耐える可能性が高い。
【0007】
本発明に従う別の特徴によれば、好ましくは、筐体は第1のシェル、第2のシェル、及び第1のシェルと第2のシェルとを接続するヒンジ装置を備え、第2のシェルは、スライダが解除位置にあるときにヒンジ装置を通じて第1のシェルに対して開位置と閉位置との間で可動であり、スーツケースは、ロック装置及びヒンジ装置が配置されている平坦な表面を提供する。
【0008】
したがって、単一のスライダを作動させることによって容易に開放される、したがって審美的に魅力的かつ人間工学的である単純なスーツケースが形成される。
【0009】
本発明に従うさらなる特徴によれば、好ましくは、閉位置において、ヒンジ装置は接合面に対してオフセットされた回転軸を備える。
【0010】
したがって、ロック装置は、複雑な解決法を必要とすること無く又はスーツケースを損傷するリスク無しに、開位置と閉位置との間で第1のシェルに対する第2のシェルの移動を害することがない。
【0011】
本発明に従う別のさらなる特徴によれば、好ましくは、閉位置において、回転軸が接合面に垂直な方向に沿って筐体の外側にあるロック装置の一部を越えてオフセットされる。
【0012】
したがって、第2のシェルは、閉位置と開位置との間で、スーツケースの審美的な流れを低下させるリスクのある、及び旋回を損なう可能性のあるダスト又砂利を収集する凹部又は他の複雑な形状を提供する必要無しに、第1のシェルに対して少なくとも90度を旋回させることができる。
【0013】
本発明に従うまた別の特徴によれば、好ましくは、ヒンジ装置は第1のシェルに対して第1の連結軸(axe d’articulation)の周りで、かつ第2のシェルに対して第2の連結軸の周りで、回転可能にヒンジで連結された中間要素を備え、第1の連結軸は第2の連結軸に平行であり、かつロック装置は中間構成要素によって担持される。
【0014】
したがって、第1のシェルに対する第2のシェルの、ロック装置と衝突することのない動きの範囲がさらに増加する。
【0015】
本発明に従う特徴によれば、好ましくは、閉位置において接合面に垂直に、ロック装置は筐体の外側に位置する部分を提供し、所定のスペース幅を提供し、間隙距離はこのスペース幅と同じか、又はスペース幅より大きい。
【0016】
したがって、第2のシェルは、閉位置と開位置との間で、前述の不利点を提供する凹部又は他の複雑な形状を提供する必要なしに、第1のシェルに対して少なくとも180度、旋回することができる。
【0017】
本発明に従う別の特徴によれば、好ましくは、ロック装置はプレート及びラッチを備え、プレートは筐体の外側に配置されて孔を提供し、ラッチは筐体の内側にあり、プルタブが基部及びロック部分を備え、このプルタブは基部によってスライダに接続され、ロックされた位置ではロック部分がプレートの孔に挿入されるとともにラッチによって保持され、基部及びロック部分はそれぞれ実質的に直線的であり、互いに対して実質的に直角を形成する。
【0018】
したがって、特にロックされた位置では、ラッチ及びプルタブは外部要素との衝突による損傷のリスクが非常に少ない。さらに、スーツケースの審美的流れは、ロック装置又は舌部の存在によって実質的に変えられることがない。
【0019】
本発明に従うさらなる特徴によれば、好ましくはロック部分が基部の延長部にあり、基部の端部ではロック部分は湾曲部によって接続され、プルタブは好ましくは折り曲げられたプレートによって形成される。
【0020】
スーツケースの信頼性及び審美的外観はそれによってさらに増加する。
【0021】
また別のさらなる特徴によれば、好ましくはプルタブの基部は平坦であるとともにプレートに平行に延び、実質的にプレートに寄り掛かっている。
【0022】
したがって、プルタブに対する衝突の場合には、プレートはプルタブを支持して、特にプルタブ及びロック装置の劣化のリスクを低下させる。
【0023】
本発明に従う別の特徴によれば、好ましくは、ジッパー締結具は第1の長手方向端部と第2の長手方向端部との間に延び、ロック装置が2つのスリットを備えたハウジングを備え、これらスリットを通じてジッパー締結具が第1の長手方向端部の近傍に延びる。
【0024】
したがって、スライダは締結位置においてロック装置に接触するようになることができ、ジッパーの第1の長手方向端部はカバーによって隠されるとともに保持される。
【0025】
本発明の他の特徴及び利点が、添付の図面を参照して以下の詳細な説明に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に従うスーツケースの、閉位置における斜視図である。
図2】開位置におけるスーツケースの斜視図である。
図3】スーツケースの分解組立図である。
図4図3においてIVで示された部分の拡大図である。
図5図1における線V-Vに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図は、筐体3、ジッパー締結具10、及びロック装置30を本質的に備えるスーツケースを図示する。
【0028】
図示された実施形態において、スーツケースはスーツケース1を画定する。筐体3は、ヒンジ装置20によって接続された第1のシェル2及び第2のシェル4を備える。第1のシェル2及び第2のシェル4は比較的剛体である。さらに、図1に示すように、筐体3は実質的に平行六面体である。筐体は、2つの大きな側面3a、3b、2つの小さな側面3c、3d(より幅広の寸法)、1つの主下面3e、及び1つの主上面3fを備え、それら表面のそれぞれは実質的に平坦である。
【0029】
さらに、及び任意選択的に、スーツケース1は、側面3cの4つの角部に配置された車輪と、側面3dから突出することができる伸縮式ハンドルを備える。また、スーツケース1は、大きな側面3aに配置された主運搬用ハンドル8を備える。図1において、スーツケース1は、その下面3eで支持された、その開放を考慮して床に置かれることを意図された位置で示されている。
【0030】
筐体3は、輸送される所持品、特に衣服を収容することを意図された内部容積6を画定する。
【0031】
第1のシェル2及び第2のシェル4は、第1のシェル1及び第2のシェル4が図1に示された閉位置と図2に示された開位置との間で互いに対して移動するのを可能にするヒンジ装置20によって接続されている。図1に示す閉位置において、第2のシェル4は第1のシェル2に面している。第2のシェル4は、接合面Pに沿って第2のシェル2の端縁2aにほとんどの場合接触している端縁4aを提供する。開位置では、その中に所持品を置くための内部容積6にアクセスするために、通路が第1のシェル2と第2のシェル4との間に存在する。
【0032】
ヒンジ装置20は大きな側面3aに配置され、第1のシェル2に固定された第1の支持部24、第2のシェル4に固定された第2の支持部26、及び第1の支持部24と第2の支持部26の間に延びる中間構成要素22を備える。第1の支持部24及び第2の支持部26もまた、第1のシェル2及び第2のシェル4のそれぞれの構造中に形成することができ、例えばそれぞれが単体に成形されてもよい。中間構成要素22は、第1の支持部24に対して回転可能にヒンジで動くように、したがって第1のシェル2に対して第1の連結軸R2の周りに動くようにされる。中間構成要素22は第2の支持部26に対して回転可能にヒンジで動くように、したがって、第2のシェル4に対して第1の連結軸R4の周りに動くようにされる。第1の連結軸R2及び第2の連結軸R4はその両方が、実質的にスーツケース1の閉位置における大きな側面3aにおける接合面Pに平行に延びる。したがって、第1の連結軸R2と第2の連結軸R4とは平行であり、間隙距離Dだけ互いから離間されている。
【0033】
閉位置においては、間隙距離Dは、接合面Pに対して垂直、かつ大きな側面3aに平行な上昇方向(direction d’elevation)Zに沿って延びる。
【0034】
閉位置では、シッパー締結具10は第1の長手方向端部10aと第2の長手方向端部10bとの間に延びる。第1の長手方向端部10a及び第2の長手方向端部10bは、その両方が大きな側面3aにある。第1の長手方向端部10aと第2の長手方向端部10bとの間では、ジッパー締結具は側面3d、3b、3cに亘って、接合面に沿って延びる。
【0035】
ジッパー締結具10は、第1の長手方向端縁11を提供する第1のストリップ12、第2の長手方向端縁13を提供する第2のストリップ14、スライダ16、及びプルタブ18を備える。スライダ16は、第1の長手方向端部10aの近傍にある締結位置と、第2の長手方向端部10bの近傍にある解除位置と、の間で変位するように適用されている。
【0036】
スライダ16が締結位置にあるときには、第1の長手方向端縁11は第2の長手方向端縁13に隣接して維持される。この目的のために、第1の長手方向端縁11及び第2の長手方向端縁13には、周知のように、第1の長手方向端縁11上及び第2の長手方向端縁13上に交互に配置された補完歯部が設けられる。代替的に、他のタイプのジッパー締結具を使用することができる。
【0037】
スライダ16が解除位置にあるときには、第1の長手方向端縁11は、第1の長手方向端部10aと第2の長手方向端部10bとの間で、第2の長手方向端縁13に対して解放されている。
【0038】
スライダ16が締結位置にあるときには、スーツケース1は閉位置に維持され、第2のシェル4は第1のシェル2と接触した状態にあり、それによって内部容積6が閉止され、アクセスを防止されている。スライダ16が解除位置にあるときには、上述のようにヒンジ装置20によって第2のシェル4が開位置から閉位置へ変位することができる。
【0039】
ロック装置30は、第1の長手方向端部10aと第2の長手方向端部10bとの間で、かつ第1の連結軸R2及び第2の連結軸R4に近接して、大きな側面3aに配置される。より具体的には、ロック装置30は、第1の長手方向端部10aにおいてジッパー締結具10の延長部に配置される。スライダ16が締結位置にあるときには、それは実質的にロック装置30に寄り掛かっている。接合面Pはロック装置30に亘って延びる。
【0040】
ロック装置30は、筐体3の外側に配置された外側部分44及び筐体の内側に配置された内側部分42を備える。ロック装置は、プレート32、カバー35、ラッチ36、引き込み可能な停止部37、解除ピン38、コントロールレバー46、キーロック48、及びダイヤル錠50を本質的に備える。
【0041】
プレート32は実質的に平坦であり、大きな側面3aに対してスーツケースの外側に延びる平坦な平面を本質的に備える。プレート32は、筐体3の内側に配置されたカバー35と共にハウジング40を形成する。ラッチ36、引き込み可能な停止部37、解除ピン38、コントロールレバー46、キーロック48、及びダイヤル錠50は、ハウジング40によって、好ましくはプレート32によって担持される。ラッチ36、引き込み可能な停止部37、及び解除ピン38は、筐体3の内側に配置され、それによってプレート32の背後で保護される。
【0042】
ラッチ36はキャッチ36aを提供するとともに回転可能に取り付けられ、ばねによって図5に示されているロック位置に付勢される。引き込み可能な停止部37は、ラッチ36をその回転を妨害すること(s’opposant)によってロック位置にブロックする。筐体3の外側に配置され、カムに接続されたコントロールレバー46は、引き込み可能な停止部37が解除ピン38を介して引き込まれるのを可能にする。キーロック48及びダイヤル錠50は、コントロールレバー46の回転を妨げる。
【0043】
プルタブ18が、L字状に折り曲げられた、実質的に一定の厚みを有する平板の形態で存在する。それは、基部18a、湾曲部分18b、及びロック部分18cを備える。プルタブ18は、基部18aによってスライダ16に接続されている。ロック部分18cは基部18aに密着しており、基部18aの端部でロック部分18cが湾曲部分18bを通じて接続されている。基部18a及びロック部分18cは、それぞれ実質的に直線的であり、互いに対して実質的に直角を形成する。
【0044】
ロック部分18cはロッキング孔19を提供する。スライダ16が締結位置にあるときには、第1の長手方向端部10aにおいて、ロック部分18cは、ラッチ36のキャッチ36aがプルタブ18のロッキング孔19の中に挿入されるロックされた位置にプルタブ18を配置するために、プレート32に孔34を通じて挿入することができる。プルタブ18は、所定の操作がコントロールレバーに行われるまで、このロックされた位置に維持される。ラッチ36が次いで、スライダ16を、舌部18を介して締結位置に保持する。プルタブ18の基部18aはプレート32に平行に延び、プレート32の平坦な表面に対して実質的に平坦なままとされる。
【0045】
他方で、図4に示すように、ハウジング40は、長手方向端部10aの近傍でジッパー締結具10を受け取る第1のスリット39及び第2のスリット41を提供する。第1のスリット39及び第2のスリット41はそれぞれ、幅狭部分39b、41b及び幅広部分39a、41aを備える。第1のスリット39及び第2のスリット41の幅狭部分39b、41bはそれぞれ、第1のストリップ12及び第2のストリップ14を受け取る。第1のスリット39及び第2のスリット41の幅広部分39a、41aは、ジッパー10から第1のストリップ12及び第2のストリップ14それぞれ上に維持された歯部をそれぞれ受け取る。第1のスリット39及び第2のスリット41は、プレート32とカバー35との間に有利に作成され、互いに対して、特にねじ留めによって固定される。
【0046】
図示された実施形態では、ロック装置30のハウジング40は中間構成要素22によって担持される。
【0047】
図1に示されるように、閉位置においては、第1の回転軸R2は、ロック装置30の外側部分44を超えて、接合面Pに垂直な上昇方向Zに沿って、接合面Pに対してオフセットされている。
【0048】
また、閉位置では、第2の回転軸R4は、ロック装置30の外側部分44を越えて、上昇方向Zに沿って、接合面Pに対してオフセットされている。
【0049】
閉位置では、ロック装置30の外側部分44は、上昇方向Zに沿ってスペース幅Lを提供する。スペース幅は間隙距離Dより小さい。
【0050】
したがって、ロック装置30の外側部分44は、上昇方向に沿って、第1の回転軸R2と第2の回転軸R4との間に位置する。
【0051】
この結果、ロック装置30はスーツケース1の開放を害することがない。
【0052】
勿論、本発明は図示用に記載された、限定する目的ではない実施形態に多少なりとも限定されるものではない。したがって、図示された実施形態ではロック装置30、特にラッチ36が接合面Pに対して中心に置かれているが、ロック装置30の主な部分が接合面Pの一方の側にあり、ロック装置30の小さな部分が接合面Pの他方の側にある場合があり得る。
【符号の説明】
【0053】
1 スーツケース
2 第1のシェル
3 筐体
3a 平坦な表面
4 第2のシェル
6 内部容積
10 ジッパー締結具
10a 第1の長手方向端部
10b 第2の長手方向端部
11 第1の端縁
12 第1のストリップ
13 第2の端縁
14 第2のストリップ
16 スライダ
18 プルタブ
18a 基部
18b 湾曲部分
18c ロック部分
20 ヒンジ装置
22 中間構成要素
30 ロック装置
32 プレート
34 孔
36 ラッチ
39 スリット
41 スリット
44 ロック装置の部分
D 間隙距離
L スペース幅
P 接合面
R2 第1の連結軸
R4 回転軸、第2の連結軸
Z 方向
図1
図2
図3
図4
図5