(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】ブラケット及び取付構造
(51)【国際特許分類】
F01N 13/08 20100101AFI20230510BHJP
F01N 13/00 20100101ALI20230510BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
F01N13/08 D
F01N13/00 C
F01N3/28 301V
(21)【出願番号】P 2019007070
(22)【出願日】2019-01-18
【審査請求日】2021-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000220804
【氏名又は名称】東京濾器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】馬場 琢麻
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-127015(JP,U)
【文献】実開昭59-104824(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/08
F01N 13/00
F01N 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部材を固定部に取り付けるためのブラケットであって、
所定方向に互いに離間した状態で前記筒状部材の外周面に接合される対の定着部と、
前記対の定着部の間の位置の径方向外側において径方向に張り出して、重ね合わされて前記固定部に取り付けられる対のプレート部と、
前記対のプレート部のそれぞれから前記所定方向に互いに離れるように湾曲して、前記対の定着部にそれぞれ連なり続いた対の傾斜部と、を備え、
前記対の傾斜部が前記所定方向に対して傾斜するとともに、前記対の傾斜部の勾配が前記定着部から前記プレート部に向かって漸増するように前記対の傾斜部が湾曲している
ブラケット。
【請求項2】
前記対の定着部の側端部のそれぞれから前記所定方向に互いに向かい合うように回り込んで、前記筒状部材の外周面に接合される対の回り込み部と、
前記対の回り込み部のそれぞれから前記対のプレート部の側部のそれぞれに連なり続いた対の側面部と、を更に備え、
前記対の側面部が前記対の傾斜部の側端部のそれぞれから前記所定方向に互いに向かい合うように湾曲している
請求項1に記載のブラケット。
【請求項3】
前記対の側面部の曲率半径が前記対の回り込み部から前記プレート部の側部に向かって漸減するように前記対の側面部が錐面状に形成されている
請求項2に記載のブラケット。
【請求項4】
前記対の側面部が前記所定方向に互いに離間している
請求項2又は3に記載のブラケット。
【請求項5】
前記対の回り込み部が前記所定方向に互いに離間している
請求項2から4の何れか一項に記載のブラケット。
【請求項6】
前記所定方向が前記筒状部材の軸方向であり、
前記定着部が前記筒状部材の周方向に延びている
請求項1から5の何れか一項に記載のブラケット。
【請求項7】
筒状部材と、前記筒状部材を固定部に取り付けるためのブラケットと、を備える取付構造であって、
前記ブラケットが、
所定方向に互いに離間した状態で前記筒状部材の外周面に接合される対の定着部と、
前記対の定着部の間の位置の径方向外側において径方向に張り出して、重ね合わされて固定部に取り付けられる対のプレート部と、
前記対のプレート部のそれぞれから前記所定方向に互いに離れるように湾曲して、前記対の定着部にそれぞれ連なり続いた対の傾斜部と、を有し、
前記対の傾斜部が前記所定方向に対して傾斜するとともに、前記対の傾斜部の勾配が前記定着部から前記プレート部に向かって漸増するように前記対の傾斜部が湾曲している
取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラケットに関するとともに、そのブラケットにより筒状部材が固定部に取り付けられる取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の排気系の排気浄化装置は、外筒と、その外筒内に設けられた触媒等とから構成されている。例えば特許文献1~4に開示されているように、排気系浄化装置の外筒を車体に支持するべく、ブラケットが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭62-126513号公報
【文献】特開2017-172487号公報
【文献】特開2018-91149号公報
【文献】特開2018-91151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~4に開示された何れのブラケットも角部を有する。ブラケットの角部には応力が集中するので、その角部における耐荷重性及び耐疲労性が低い。特にブラケットの角部がT字型の隅肉溶接継手によって構成されている場合、溶接部が損傷しやすい。
【0005】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高い耐荷重性及び耐疲労性を有するブラケット及びそれを用いた取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、筒状部材を固定部に取り付けるためのブラケットは、所定方向に互いに離間した状態で前記筒状部材の外周面に接合される対の定着部と、前記対の定着部の間の位置の径方向外側において径方向に張り出して、重ね合わされて前記固定部に取り付けられる対のプレート部と、前記対のプレート部のそれぞれから前記所定方向に互いに離れるように湾曲して、前記対の定着部にそれぞれ連なり続いた対の傾斜部と、を備え、前記対の傾斜部が前記所定方向に対して傾斜するとともに、前記対の傾斜部の勾配が前記定着部から前記プレート部に向かって漸増するように前記対の傾斜部が湾曲している。
【0007】
また、取付構造が、筒状部材と、前記筒状部材を固定部に取り付けるためのブラケットと、を備え、前記ブラケットが、所定方向に互いに離間した状態で前記筒状部材の外周面に接合される対の定着部と、前記対の定着部の間の位置の径方向外側において径方向に張り出して、重ね合わされて固定部に取り付けられる対のプレート部と、前記対のプレート部のそれぞれから前記所定方向に互いに離れるように湾曲して、前記対の定着部にそれぞれ連なり続いた対の傾斜部と、を有し、前記対の傾斜部が前記所定方向に対して傾斜するとともに、前記対の傾斜部の勾配が前記定着部から前記プレート部に向かって漸増するように前記対の傾斜部が湾曲している。
【0008】
以上のように、所定方向に対する傾斜部の勾配が定着部からプレート部に向かって漸増するように傾斜部が湾曲しているため、傾斜部がプレート部と定着部のどちらにも滑らかに連なり続いている。それゆえ、応力がプレート部、傾斜部及び定着部の全体に分散されやすい。よって、ブラケットの耐荷重性及び耐疲労性が高い上、ブラケットの肉厚が薄くてもブラケットの損傷を抑えられる。
【0009】
好ましくは、前記ブラケットが、前記対の定着部の側端部のそれぞれから前記所定方向に互いに向かい合うように回り込んで、前記筒状部材の外周面に接合される対の回り込み部と、前記対の回り込み部のそれぞれから前記対のプレート部の側部のそれぞれに連なり続いた対の側面部と、を更に備え、前記対の側面部が前記対の傾斜部の側端部のそれぞれから前記所定方向に互いに向かい合うように湾曲している。
更に好ましくは、前記対の側面部の曲率半径が前記対の回り込み部から前記プレート部の側部に向かって漸減するように前記対の側面部が錐面状に形成されている。
【0010】
以上のように、対の側面部が対の傾斜部の側部のそれぞれから所定方向に互いに向かい合うように湾曲しているため、応力が側面部及び傾斜部の全体に分散される。それゆえ、ブラケットの耐荷重性及び耐疲労性が高い。また、所定方向の荷重が筒状部材に作用した場合、その荷重が側面部に受けられるため、ブラケットが所定方向に撓みにくい上、所定方向におけるブラケットの耐荷重性及び耐疲労性が高い。
【0011】
好ましくは、前記対の側面部が前記所定方向に互いに離間している。
好ましくは、前記対の回り込み部が前記所定方向に互いに離間している。
【0012】
以上によれば、対の側面部と対の傾斜部とによって囲われた空洞内の水を排出することができる。それゆえ、ブラケット及び筒状部材の腐食を抑えられる。
【0013】
好ましくは、前記所定方向が前記筒状部材の軸方向であり、前記定着部が前記筒状部材の周方向に延びている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ブラケットの耐荷重性及び耐疲労性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図5】ブラケットのフランジ部を実線及びドット模様で示し、他の部分を破線で示した平面図である。
【
図6】ブラケットの曲面部を実線及びドット模様で示し、他の部分を破線で示した平面図である。
【
図7】
図2において切断箇所をA-Aで示した端図である。
【
図8】
図2において切断箇所をB-Bで示した端図である。
【
図9】
図2において切断箇所をC-Cで示した端図である。
【
図10】
図2において切断箇所をD-Dで示した端図である。
【
図11】
図2において切断箇所をE-Eで示した断面図である。
【
図12】
図2において切断箇所をF-Fで示した断面図である。
【
図13】
図2において切断箇所をI-Iで示した断面図である。
【
図14】
図2において切断箇所をG-Gで示した断面図である。
【
図15】
図2において切断箇所をH-Hで示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0017】
図1は、筒状部材1がブラケット30によりT字型ステー90に取り付けられた取付構造を示した斜視図である。
この取付構造は筒状部材1、ブラケット30及びステー90を有する。
ステー90は、自動車の車体に固定されている固定部である。
【0018】
筒状部材1は自動車の排気系の管材であり、具体的には例えば排ガス浄化装置若しくはマフラー(サイレンサー)の外筒又はエキゾーストパイプ(排気管)である。筒状部材1が排気浄化装置の外筒である場合、排気ガスに含まれる有害物(例えば、炭化水素ガス、一酸化炭素ガス、NOxガス、微粒子等)の酸化、吸蔵又は捕捉により排気ガスを浄化する材料(例えば、触媒、フィルタ等)が筒状部材1内に設けられている。筒状部材1がサイレンサー(マフラー)の外筒である場合、グラスウール及び仕切材等の消音構造が筒状部材1内に設けられている。
【0019】
筒状部材1は断面円形状の円筒部材である。但し、筒状部材1の断面形状が円形以外の形状、例えば楕円形、長円形、多角形又は角丸四角形であってもよい。
以下の説明では、筒状部材1の中心軸とは、筒状部材1の断面形状の幾何重心を通ってその断面に垂直な線のことをいう。軸方向とは、筒状部材1の中心軸に平行な方向のことをいい、周方向とは、筒状部材1の中心軸回りの方向のことをいう。径方向とは、筒状部材1の中心軸に対して直交する方向のこという。
【0020】
ブラケット30は、筒状部材1を吊り下げた状態で筒状部材1を自動車の車体に支持する。ブラケット30はブラケットコンポーネント40,50を備える。ブラケットコンポーネント40,50は、プレス加工により、互いに同一形状に成型されている。これらブラケットコンポーネント40,50が互いに対称な関係になって組み合わせられている。従って、ブラケット30は、ブラケットコンポーネント40,50が組み合わせられたアセンブリー(集合体)である。
【0021】
図2~
図15を参照して、ブラケットコンポーネント40について詳細に説明する。
【0022】
ブラケットコンポーネント40はプレート部41、曲面部42及びフランジ部43を有する。プレート部41、曲面部42及びフランジ部43が一体成形されて、ブラケットコンポーネント40が構成される。
【0023】
プレート部41は、軸方向に板厚を有した平板状に形成されている。プレート部41には2つのボルト穴41a,41aが形成されており、プレート部41がボルトナット締結部によりステー90に接合される。具体的には、プレート部41が周方向及び径方向に対して平行になった状態で軸方向にステー90に重ねられて、ボルトナット締結部によりステー90に締結される。
【0024】
フランジ部43は、径方向に板厚を有するとともに筒状部材1の外周面に沿って湾曲する板状に形成されている。フランジ部43は、筒状部材1の外周面に面接触した状態で、筒状部材1の外周面に接合されている。具体的には、フランジ部43の外縁部が隅肉溶接部47により筒状部材1の外周面に溶接されている。
【0025】
フランジ部43は、筒状部材1の径方向外側から見て、コ字型、U字型若しくはC字型又はそれらに類似した形状に形作られている。具体的には、フランジ部43は、周方向に延びる定着部43aと、定着部43aの周方向両端部から軸方向に回り込んで拡張した回り込み部43b,43bとを有する。
図5中、定着部43aを薄いドット模様で示し、回り込み部43b,43bを濃いドット模様で示す。定着部43aはフランジ部43の中央の部分であり、回り込み部43b,43bはフランジ部43の両側の部分である。
【0026】
定着部43a及び回り込み部43b,43bは筒状部材1の外周面に面接触しており、定着部43a及び回り込み部43b,43bが隅肉溶接部47により筒状部材1の外周面に溶接されている。隅肉溶接部47は、一方の回り込み部43bの側縁部から定着部43aの外縁部を経由して他方の回り込み部43bの側縁部にかけて形成されている。
【0027】
曲面部42は、曲げ板状に形成されている。曲面部42は、フランジ部43から径方向外側へ滑らかに湾曲するとともに、プレート部41に連なり続いている。
【0028】
曲面部42は、フランジ部43の定着部43aからプレート部41に連なり続いた傾斜部42aと、フランジ部43の回り込み部43bからプレート部41の側部に連なり続いた側面部42b,42bと、を有する。
図6中、傾斜部42aを薄いドット模様で示し、側面部42b,42bを濃いドット模様で示す。傾斜部42aは曲面部42の中央の部分であり、側面部42b,42bは曲面部42の両側の部分である。
【0029】
傾斜部42aは、定着部43a及びプレート部41に対して傾斜するとともに、軸方向に対する勾配が定着部43aからプレート部41に向かって漸増するように湾曲している。
【0030】
側面部42b,42bは、傾斜部42aの側部から軸方向へ湾曲するととともに、曲率半径が回り込み部43bからプレート部41の側部に向かって漸減するように錐面状に形成されている。
【0031】
以上のように構成されたブラケットコンポーネント40は、軸方向及び径方向によって定義される対称面に関して対称な形状となっている。ブラケットコンポーネント40の各部分の肉厚は筒状部材1の肉厚よりも厚い。
【0032】
以下に、ブラケットコンポーネント50について詳細に説明する。
ブラケットコンポーネント50がブラケットコンポーネント40と同一形状に形成され、ブラケットコンポーネント50とブラケットコンポーネント40は、径方向及び周方向によって定義される対称面に関して対称に配置されている。
【0033】
ここで、ブラケットコンポーネント50のプレート部51がブラケットコンポーネント40のプレート部41に、ブラケットコンポーネント50の曲面部52がブラケットコンポーネント40の曲面部42に、ブラケットコンポーネント50のフランジ部53がブラケットコンポーネント40のフランジ部43にそれぞれ相当する。ブラケットコンポーネント50のボルト穴51aがブラケットコンポーネント40のボルト穴41aに相当する。ブラケットコンポーネント50の傾斜部52aがブラケットコンポーネント40の傾斜部42aに、ブラケットコンポーネント50の側面部52bがブラケットコンポーネント40の側面部42bにそれぞれ相当する。また、ブラケットコンポーネント50の定着部53aがブラケットコンポーネント40の定着部43aに、ブラケットコンポーネント50の回り込み部53bがブラケットコンポーネント40の回り込み部43bにそれぞれ相当する。フランジ部53の外縁部が隅肉溶接部57により筒状部材1の外周面に溶接されている。
【0034】
以下に、ブラケットコンポーネント40,50の対称配置及び組合せについて説明する。
【0035】
プレート部41とプレート部51は互いに重ねられて面接触し、点状の溶接部61により仮接合されているだけであり、溶接部61への熱入力が小さい。なお、プレート部41とプレート部51が仮接合されていなくてもよい。
ボルト穴41aとボルト穴51aが重なって連なっており、ボルトナット締結部のボルトがボルト穴41a,51aに通されている。プレート部41,51がボルトナット締結部によってステー90に共締めされている。なお、プレート部41,51がリベット締結部によってステー90に共締めされてもよい。
【0036】
筒状部材1の径方向外側から見て、フランジ部43とフランジ部53が組み合わせられることによって輪の形状が形作られている。具体的には、定着部43aと定着部53aが軸方向に互いに離間し、回り込み部43bと回り込み部53bがそれぞれ定着部43a,53aの側の端部(周方向端部)から軸方向に互いに向かい合うように延びている。回り込み部43bと回り込み部53bとの間には隙間71が存在し、フランジ部43とフランジ部53によって形作られた輪の形状が隙間71によって途切れている。ここで、プレート部41,51は、定着部43aと定着部53aの間の位置の径方向外側に配置されて、径方向に張り出している。
【0037】
曲面部42と曲面部52が組み合わせられることによって、曲面部42及び曲面部52によって囲われた山型の空洞73が形成されている。具体的には、傾斜部42aと傾斜部52aがそれぞれプレート部41,51から軸方向に互いに離れるように湾曲して、それぞれ定着部43a,53aに連なり続くことによって、傾斜部42aと傾斜部52aとの間に挟まれた山型の空洞73が形成されている。また、側面部42bと側面部52bはそれぞれ傾斜部42a,52aの側部から軸方向に互いに向かい合うように湾曲しており、空洞73の側部が側面部42b,52bによって部分的に塞がれている。側面部42bと側面部52bとの間には隙間72が存在し、空洞73が隙間72を介して曲面部42,52の外側に通じている。
【0038】
以上のように設けられたブラケット30は以下の(1)~(6)のような有利な効果をもたらす。
【0039】
(1) ブラケットコンポーネント40はプレス加工によって加工されたものであって、溶接部を有さない。それゆえ、ブラケットコンポーネント40の耐荷重性及び耐疲労性が高い。ブラケットコンポーネント50についても同様である。
【0040】
(2) 傾斜部42aがプレート部41から定着部43aに向かって滑らかに湾曲している。具体的には、軸方向に対する傾斜部42aの勾配がプレート部41から定着部43aに向かって漸減するように傾斜部42aが湾曲している。そのため、ボルトナット締結部に荷重が入力された場合、応力がプレート部41、傾斜部42a及び定着部43a全体に分散されやすい。それゆえ、ブラケットコンポーネント40の耐荷重性及び耐疲労性が高い。ブラケットコンポーネント50についても同様である。
【0041】
(3) プレート部41,51が仮接合されているだけであり、プレート部41,51への溶接熱の入力が非常に小さく、プレート部41,51の熱歪みは殆ど発生していない。また、フランジ部43,53が筒状部材1に溶接される前では、フランジ部43,53及び曲面部42,52にも溶接熱が入力されておらず、フランジ部43,53及び曲面部42,52の熱歪みは発生していない。それゆえ、フランジ部43,53を筒状部材1に溶接する際に、フランジ部43,53を精度良く筒状部材1に組み付けることができる。
【0042】
(4) プレート部41,51と曲面部42,52との間の境界からボルト穴41a,51aまでの距離を短くとることができる。そのため、ボルト穴41a,51aを基準とした曲面部42,52への入力モーメントを軽減できる。
【0043】
(5) 曲面部42,52が全体として滑らかに湾曲している。特に、側面部42bと側面部52bがそれぞれ傾斜部42a,52aの側部から軸方向に湾曲している。よって、応力が曲面部42,52全体に分散される。
【0044】
(6) 側面部42bと側面部52bはそれぞれ傾斜部42a,52aの側部から軸方向に湾曲している。そのため、軸方向の荷重が筒状部材1に作用した場合、ブラケット30が軸方向に撓みにくい上、ブラケット30の軸方向の耐荷重性及び耐疲労性が高い。径方向の荷重については、傾斜部42a,52aがブラケット30の耐荷重性及び耐疲労性に寄与する。
【0045】
(7) 荷重が筒状部材1に作用した場合でも、ブラケット30の形状は隅肉溶接部47,57の応力の軽減に寄与する。
【0046】
(8) 側面部42bと側面部52bが互いに離間し、更に回り込み部43bと回り込み部53bが互いに離間しているため、空洞73内に水が溜まりにくい。
【0047】
以上、本発明を実施するための形態について説明した。上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明の実施形態は本発明の趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。以上の実施形態からの変更点について以下に説明する。以下に説明する各変更点を組み合わせて適用してもよい。
【0048】
上記実施形態では、ブラケット30はプレート部41,51の板厚の方向が軸方向となる向きに筒状部材1に固定されている。それに対して、ブラケット30はプレート部41,51の板厚の方向が周方向となる向きに筒状部材1に固定されていてもよい。この場合、定着部43a,53aは軸方向に延びていて、回り込み部43bと回り込み部53bがそれぞれ定着部43a,53aの側の端部(軸端部)から周方向に互いに向かい合うように延び、側面部42bと側面部52bはそれぞれ傾斜部42a,52aの側部から周方向に互いに向かい合うように湾曲している。
【0049】
上記実施形態では、フランジ部43,53が筒状部材1の外周面に溶接されている。それに対して、フランジ部43,53が溶接以外の接合手段(例えば、拡散接合)により筒状部材1の外周面に接合されていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…筒状部材
30…ブラケット
40…ブラケットコンポーネント
41…プレート部
42…曲面部
42a…傾斜部
42b…側面部
43…フランジ部
43a…定着部
43b…回り込み部
50…ブラケットコンポーネント
51…プレート部
52…曲面部
52a…傾斜部
52b…側面部
53…フランジ部
53a…定着部
53b…回り込み部
90…ステー(固定部)