(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/33 20060101AFI20230510BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230510BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20230510BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230510BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20230510BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/30 338
G09F9/302 C
H01L23/12 Q
H01L33/62
(21)【出願番号】P 2019090813
(22)【出願日】2019-05-13
【審査請求日】2022-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金谷 康弘
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-204823(JP,A)
【文献】実開昭63-120287(JP,U)
【文献】特公昭53-017396(JP,B1)
【文献】特開2006-019142(JP,A)
【文献】特開2007-073499(JP,A)
【文献】特開2010-245365(JP,A)
【文献】特開2013-021175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/30-9/46
H01L23/12-23/15
25/00-25/07
25/10-25/11
25/16-25/18
33/00
33/48-33/64
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に実装される発光素子と、
前記発光素子の底部に配置されるアノード端子と、
前記アノード端子とは反対側の前記発光素子の出射面に配置されるカソード端子と、
透明導電層と、
を具備し、
前記カソード端子は、金属材料により形成さ
れ、
前記カソード端子は、前記出射面の端部と重畳し、前記出射面の中央部分とは重畳せず、
前記透明導電層は、前記カソード端子、および、前記出射面の中央部分の上に配置される、
表示装置。
【請求項2】
前記発光素子、前記アノード端子および前記カソード端子をそれぞれ含む複数の画素を具備し、
前記カソード端子に印加される電圧を供給するためのカソード配線が、前記画素毎に設けられる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記アノード端子に印加される電圧を供給するためのアノード配線を具備し、
前記カソード端子は、カソード中継電極を介して前記カソード配線と電気的に接続され、
前記アノード端子は、アノード中継電極を介して前記アノード配線と電気的に接続され、
前記アノード中継電極と前記カソード中継電極とは、同層に配置され、かつ、平面視において重畳しない、
請求項
2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記カソード端子は、
前記出射面の端部と、前記表示装置の短辺と平行な第1方向に隣接する発光素子の出射面の端部とを接続し、かつ、前記カソード中継電極とコンタクトされるコンタクト部と平面視において重畳するように、前記第1方向に延在する、
請求項
3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記カソード端子は、
前記出射面の端部と、前記表示装置の長辺と平行な第2方向に隣接する発光素子の出射面の端部とを接続し、かつ、前記カソード中継電極とコンタクトされるコンタクト部と平面視において重畳するように、前記第2方向に延在する、
請求項
3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記画素は、矩形状であり、
前記矩形の4つの頂点のうちの3つの頂点に対応する位置に赤色、緑色および青色の発光素子が三角形状に配置され、前記3つの頂点とは異なる1つの頂点に対応する位置に前記カソード端子と前記カソード中継電極とを電気的に接続するためのコンタクト部が配置される、
請求項
3に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自発光素子である発光ダイオード(LED: Light Emitting Diode)を用いたLEDディスプレイが知られているが、近年では、より高精細化した表示装置として、マイクロLEDと称される微小なダイオード素子を用いた表示装置(以下、マイクロLEDディスプレイと表記する)が開発されている。
【0003】
このマイクロLEDディスプレイは、従来の液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイと異なり、表示領域に、チップ状の多数のマイクロLEDが実装されて形成されるため、高精細化と大型化の両立が容易であり、次世代ディスプレイとして注目されている。
【0004】
マイクロLEDには、発光層を挟んでアノード端子(陽極)とカソード端子(陰極)とが対向配置されているものがある。このようなマイクロLEDは、アノード端子とカソード端子に電圧が印加されて、発光する。
【0005】
一般的に、上記したカソード端子は光の出射面側に配置され、光の取り出し効率の観点から、透明導電材料により形成されることが多い。また、上記したカソード端子は、複数の画素に亘って連続的に形成され、マイクロLEDが配置されていない外周部(非表示領域)において電源配線と接続されていることが多い。
【0006】
しかしながら、このような場合、透明導電材料の抵抗に基づく電圧降下が生じてしまい、上記した電源配線から離れて配置されるマイクロLEDほど、カソード端子に印加される電圧が小さくなってしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、アノード端子とカソード端子とが対向配置されるマイクロLEDに生じる電圧降下を抑制し得る表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態に係る表示装置は、基板と、前記基板上に実装される発光素子と、前記発光素子の底部に配置されるアノード端子と、前記アノード端子とは反対側の前記発光素子の出射面に配置されるカソード端子と、透明導電層と、を具備する。前記カソード端子は、金属材料により形成される。前記カソード端子は、前記出射面の端部と重畳し、前記出射面の中央部分とは重畳しない。前記透明導電層は、前記カソード端子、および、前記出射面の中央部分の上に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は実施形態に係る表示装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は同実施形態に係る表示装置の回路構成の一例について説明するための図である。
【
図3】
図3は同実施形態に係る表示装置の断面構造の一例を模式的に表した図である。
【
図4】
図4は同実施形態に係る表示装置の画素構造の一例を模式的に表した平面図である。
【
図5】
図5は同実施形態に係る表示装置を構成するカソード端子のレイアウトの一例を模式的に表した平面図である。
【
図6】
図6は同実施形態に係る表示装置を構成するカソード端子のレイアウトの別の例を模式的に表した平面図である。
【
図7】
図7は比較例に係る表示装置の断面構造の一例を模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実施の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一または類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0012】
図1は、本実施形態に係る表示装置1の構成を概略的に示す斜視図である。
図1は、第1方向Xと、第1方向Xに垂直な第2方向Yと、第1方向Xおよび第2方向Yに垂直な第3方向Zによって規定される三次元空間を示している。なお、第1方向Xおよび第2方向Yは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していても良い。また、本実施形態において、第3方向Zを上と定義し、第3方向Zと反対側の方向を下と定義する。「第1部材の上の第2部材」および「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していても良く、第1部材から離れて位置していても良い。
【0013】
以下、本実施形態においては、表示装置1が自発光素子であるマイクロLEDを用いたマイクロLED表示装置(マイクロLEDディスプレイ)である場合について主に説明する。
【0014】
図1に示すように、表示装置1は、表示パネル2、第1回路基板3および第2回路基板4、等を備える。
【0015】
表示パネル2は、一例では矩形状である。図示した例では、表示パネル2の短辺EXは、第1方向Xと平行であり、表示パネル2の長辺EYは、第2方向Yと平行である。第3方向Zは、表示パネル2の厚さ方向に相当する。第1方向Xは、表示装置1の短辺EXと平行な方向と読み替えられ、第2方向Yは、表示装置1の長辺EYと平行な方向と読み替えられ、第3方向Zは、表示装置1の厚さ方向と読み替えられても良い。表示パネル2の主面は、第1方向Xと第2方向Yとにより規定されるX-Y平面に平行である。表示パネル2は、表示領域DA、および表示領域DAの外側の非表示領域NDAを有している。非表示領域NDAは、端子領域MTを有している。図示した例では、非表示領域NDAは、表示領域DAを囲んでいる。
【0016】
表示領域DAは、画像を表示する領域であり、例えばマトリクス状に配置された複数の画素PXを備えている。画素PXは、発光素子(マイクロLED)および当該発光素子を駆動するためのスイッチング素子(駆動トランジスタ)等を含む。
【0017】
端子領域MTは、表示パネル2の短辺EXに沿って設けられ、表示パネル2を外部装置等と電気的に接続するための端子を含んでいる。
【0018】
第1回路基板3は、端子領域MTの上に実装され、表示パネル2と電気的に接続されている。第1回路基板3は、例えばフレキシブルプリント回路基板である。第1回路基板3は、表示パネル2を駆動する駆動ICチップ(以下、パネルドライバと表記する)5等を備えている。なお、図示した例では、パネルドライバ5は、第1回路基板3の上に配置されているが、下に配置されていても良い。または、パネルドライバ5は、第1回路基板3以外に実装されていても良く、例えば第2回路基板4に実装されていても良い。第2回路基板4は、例えばフレキシブルプリント回路基板である。第2回路基板4は、第1回路基板3の例えば下方において第1回路基板3と接続されている。
【0019】
上記したパネルドライバ5は、例えば第2回路基板4を介して制御基板(図示せず)と接続されている。パネルドライバ5は、例えば制御基板から出力される映像信号に基づいて複数の画素PXを駆動することによって表示パネル2に画像を表示する制御を実行する。
【0020】
なお、表示パネル2は、斜線を付して示す折り曲げ領域BAを有していても良い。折り曲げ領域BAは、表示装置1が電子機器等の筐体に収容される際に折り曲げられる領域である。折り曲げ領域BAは、非表示領域NDAのうち端子領域MT側に位置している。折り曲げ領域BAが折り曲げられた状態において、第1回路基板3および第2回路基板4は、表示パネル2と対向するように、表示パネル2の下方に配置される。
【0021】
次に、
図2を参照して、表示装置1の回路構成について説明する。上記したように、表示領域DAには複数の画素PXがマトリクス状に配置されている。複数の画素PXは、同様に構成されている。そこで、
図2においては、複数の画素PXのうちの1つの画素PXを代表して説明する。画素PXは、例えば3つの副画素(サブピクセル)SPR、SPGおよびSPBを含む。
【0022】
副画素SPR、SPGおよびSPBは、同様に構成されている。そこで、ここでは、便宜的に、副画素SPBの構成(画素回路)について主に説明する。
図2に示すように、副画素SPBは、発光素子10、駆動トランジスタDRT、画素トランジスタSST、初期化トランジスタIST、リセットトランジスタRST、保持容量Cs1および補助容量Cs2を含む。ゲートドライバGDは、リセットトランジスタRSTを含んでいる。なお、
図2に示す出力トランジスタBCTは、副画素SPR、SPGおよびSPBに対して1つ配置されている。
図2において、各トランジスタは、nチャネル型トランジスタである。また、
図2に示す素子容量Cledは、発光素子10のアノード電極とカソード電極との間の容量である。なお、リセットトランジスタRST、画素トランジスタSST、初期化トランジスタIST、および出力トランジスタBCTは、それぞれトランジスタで構成されていなくても良い。リセットトランジスタRST、画素トランジスタSST、初期化トランジスタIST、および出力トランジスタBCTは、それぞれ、リセットスイッチ、画素スイッチ、および出力スイッチとして機能するものであれば良い。Vrst線はリセット配線として機能し、BG線、RG線、IG線、およびSG線は、それぞれ制御配線として機能している。
【0023】
以下の説明においては、トランジスタのソース・ドレイン端子の一方を第1端子、他方を第2端子とする。また、素子容量を形成する一方の端子を第1端子、他方の端子を第2端子とする。
【0024】
駆動トランジスタDRTの第1端子は、素子容量Cledの第1端子、保持容量Cs1の第1端子および補助容量Cs2の第1端子に接続される。駆動トランジスタDRTの第2端子は、出力トランジスタBCTの第1端子に接続されている。また、駆動トランジスタDRTの第2端子は、Vrst線を介してリセットトランジスタRSTの第1端子に接続されている。
【0025】
出力トランジスタBCTの第2端子は、第1主電源線21に接続されている。また、素子容量Cledの第2端子は、第2主電源線22に接続されている。
【0026】
画素トランジスタSSTの第1端子は、駆動トランジスタDRTのゲート端子、初期化トランジスタISTの第1端子、および保持容量Cs1の第2端子に接続されている。画素トランジスタSSTの第2端子は、画素信号線23に接続されている。
【0027】
初期化トランジスタISTの第2端子は、初期化電源線24に接続されている。補助容量Cs2の第2端子は、第1主電源線21に接続されている。なお、補助容量Cs2の第2端子は、定電位線に接続されていれば良く、第1主電源線21と異なる配線に接続されていても良い。
【0028】
ここで、リセットトランジスタRSTは副画素SPB(画素PX)外に配置されたゲートドライバGDに設けられており、当該リセットトランジスタRSTの第2端子は、リセット電源線25に接続されている。
【0029】
ここで、第1主電源線21には第1電源電位PVDDが供給され、第2主電源線22には第2電源電位PVSSが供給される。第1電源電位PVDDは発光素子10にアノード電圧を供給するための電圧に相当し、第2電源電位PVSSは発光素子10のカソード電圧に相当する。なお、第2主電源線22は、共通電源配線(または、単に電源配線)と称されても良い。
【0030】
また、画素信号線23には画素信号Vsigが供給され、初期化電源線24には初期化電圧Viniが供給され、リセット電源線25はリセット電源電位Vrstに設定される。なお、画素信号Vsigは、上記した映像信号に基づいて画素(ここでは、副画素SPB)に書き込まれる信号である。
【0031】
出力トランジスタBCTのゲート端子は、BG線に接続されている。このBG線には、出力制御信号BGが供給される。
【0032】
画素トランジスタSSTのゲート端子は、SG線に接続されている。このSG線には、画素制御信号SGが供給される。
【0033】
初期化トランジスタISTのゲート端子は、IG線に接続されている。このIG線には、初期化制御信号IGが供給される。
【0034】
リセットトランジスタRSTのゲート端子は、RG線に接続されている。このRG線には、リセット制御信号RGが供給される。
【0035】
図2においては上記したトランジスタが全てnチャネル型トランジスタであるものとして説明したが、例えば駆動トランジスタDRT以外のトランジスタはpチャネル型トランジスタであっても良く、nチャネル型トランジスタおよびpチャネル型トランジスタが混在していても良い。
【0036】
また、表示装置1は、少なくとも1つのゲートドライバGDを備えていれば良い。本実施形態においては図示していないが、表示装置1は、2つのゲートドライバGDを備えている。ゲートドライバGDは、
図2で言う画素PXの左側だけではなく、画素PXの右側にも設けられている。そのため、1つの画素PXに、両側のゲートドライバGDから信号を与えることが可能である。ここでは、上記したSG線については両側給電方式が採用されており、他のBG線、IG線、Vrst線等については片側給電方式が採用されているものとする。
【0037】
ここでは、副画素SPBの構成について説明したが、副画素SPRおよびSPGについても同様である。
【0038】
なお、
図2において説明した回路構成は一例であり、少なくとも駆動トランジスタDRTを含むものであれば、表示装置1の回路構成は他の構成であっても構わない。例えば
図2において説明した回路構成のうちの一部が省略されていても良いし、他の構成が追加されても構わない。
【0039】
図3は、表示装置1の断面構造を模式的に表したものである。ここでは、上記したマイクロLEDと称される微小な発光ダイオード素子が表示素子として基板上に実装された例について説明する。なお、
図3においては、画素を構成するTFT(Thin Film Transistor)を含む表示領域DAについて示している。
【0040】
図3に示す表示パネル2のアレイ基板ARは、絶縁基板31を備えている。絶縁基板31としては、TFT工程中の処理温度に耐えるのであれば特に材質は問わないが、主に石英、無アルカリガラス等のガラス基板、またはポリイミド等の樹脂基板を用いることができる。樹脂基板は可撓性を有し、シートディスプレイとして表示装置1を構成することができる。なお、樹脂基板としては、ポリイミドに限らず、他の樹脂材料を用いても良い。上記のことから、絶縁基板31を、有機絶縁層、または樹脂層と称した方が適当な場合があり得る。
【0041】
絶縁基板31上には、三層積層構造のアンダーコート層32が設けられている。詳細についての図示は省略するが、アンダーコート層32は、シリコン酸化物(SiO2)で形成された下層、シリコン窒化物(SiN)で形成された中層、およびシリコン酸化物(SiO2)で形成された上層を有している。アンダーコート層32の下層は、基材である絶縁基板31との密着性向上のため、中層は外部からの水分および不純物のブロック膜として、上層は中層に含有する水素原子が後述する半導体層SC側に拡散しないようにするブロック膜として、それぞれ設けられている。なお、アンダーコート層32は、さらに積層があっても良いし、単層構造あるいは二層構造であっても良い。例えば、絶縁基板31がガラスである場合、シリコン窒化膜は比較的密着性が良いため、当該絶縁基板31上に直接シリコン窒化膜を形成しても構わない。
【0042】
絶縁基板31の上には、遮光層(図示せず)が配置されている。遮光層の位置は、後にTFTを形成する箇所に合わせられている。遮光層は、金属層や黒色層等、遮光性を有する材料で形成されていれば良い。遮光層によれば、TFTのチャネル裏面への光の侵入を抑制することができるため、絶縁基板31側から入射され得る光に起因したTFT特性の変化を抑制することが可能である。なお、遮光層を導電層で形成した場合には、当該遮光層に所定の電位を与えることで、TFTにバックゲート効果を付与することが可能である。
【0043】
上記したアンダーコート層32の上にはTFT(例えば、駆動トランジスタDRT)が形成される。TFTとしては半導体層SCにポリシリコンを利用するポリシリコンTFTを例としている。本実施形態において、低温ポリシリコンを利用して半導体層SCが形成されている。TFTは、NchTFT、PchTFTのいずれを用いても良い。または、NchTFTとPchTFTを同時に形成しても良い。以降、駆動トランジスタDRTとしてNchTFTを用いた例として説明する。NchTFTの半導体層SCは、第1領域と、第2領域と、第1領域および第2領域の間のチャネル領域と、チャネル領域および第1領域の間ならびにチャネル領域および第2領域の間にそれぞれ設けられた低濃度不純物領域と、を有する。第1および第2領域の一方がソース領域として機能し、第1および第2領域の他方がドレイン領域として機能している。ゲート絶縁膜GIはシリコン酸化膜を用い、ゲート電極GEはMoW(モリブデン・タングステン)で形成されている。なお、ゲート電極GE等、ゲート絶縁膜GIの上に形成される電極は、1st配線、または1stメタルと称されても良い。ゲート電極GEは、TFTのゲート電極としての機能に加え、後述する保持容量電極としての機能も有している。ここではトップゲート型のTFTを例として説明しているが、TFTはボトムゲート型のTFTであっても良い。
【0044】
ゲート絶縁膜GIおよびゲート電極GEの上には、層間絶縁膜33が設けられている。層間絶縁膜33は、ゲート絶縁膜GIおよびゲート電極GEの上に、例えば、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜を順に積層して構成されている。
【0045】
層間絶縁膜33の上に、TFTの第1電極E1および第2電極E2が設けられている。また、層間絶縁膜33の上には、共通電源配線22が設けられている。第1電極E1、第2電極E2、および共通電源配線22は、それぞれ三層積層構造(Ti系/Al系/Ti系)が採用され、Ti(チタン)、Tiを含む合金等Tiを主成分とする金属材料からなる下層と、Al(アルミニウム)、Alを含む合金等Alを主成分とする金属材料からなる中層と、Ti、Tiを含む合金等Tiを主成分とする金属材料からなる上層と、を有している。なお、第1電極E1等、層間絶縁膜33の上に形成される電極は、2nd配線、または2ndメタルと称されても良い。第1電極E1は半導体層SCの第1領域に接続され、第2電極E2は半導体層SCの第2領域に接続されている。例えば、半導体層SCの第1領域がソース領域として機能する場合、第1電極E1はソース電極であり、第2電極E2はドレイン電極である。第1電極E1は、層間絶縁膜33、およびTFTのゲート電極(保持容量電極)GEと共に保持容量Cs1を形成している。
【0046】
TFTおよび共通電源配線22を覆うように平坦化膜34が、層間絶縁膜33、第1電極E1、第2電極E2、および共通電源配線22の上に形成されている。平坦化膜34としては、感光性アクリル等の有機絶縁材料が多く用いられる。CVD等により形成される無機絶縁材料に比べ、配線段差のカバレッジ性や、表面の平坦性に優れている。
【0047】
平坦化膜34の上には、導電層35が設けられている。後述するが、導電層35は、TFTの第1電極E1と画素電極37(アノード電極)とがコンタクトする領域には形成されず、当該領域において開口部を有している。導電層35の上には、絶縁層36が設けられている。例えば、絶縁層36はシリコン窒化膜で形成されている。絶縁層36の上には、画素電極37が設けられている。画素電極37は、平坦化膜34および絶縁層36に形成される開口部を介してTFTの第1電極E1にコンタクトしている。これによれば、画素電極37は、当該開口部を介して、TFTの第1電極E1と電気的に接続される。導電層35および画素電極37は共に、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料によって形成されている。
なお、上記したTFTおよび画素電極37を纏めてアノード配線と称しても良い。
【0048】
導電層35は、平坦化膜34に形成される開口部を介して共通電源配線22にコンタクトしている。導電層35と共通電源配線22とがコンタクトする領域において、当該導電層35の上には、共通電極38(カソード電極)が設けられている。これによれば、共通電極38は、導電層35を介して、共通電源配線22と電気的に接続される。共通電極38は、導電層35および画素電極37と同様に、例えばITOやIZO等の透明導電材料によって形成されている。
【0049】
なお、共通電源配線22、導電層35および共通電極38を纏めてカソード配線と称しても良い。
さらに、画素電極37及び共通電極38は透明導電材料により形成されるものに限らず、Al(アルミ)、Ti(チタン)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)などの遮光性の金属材料およびこれら金属材料の積層構造により形成されるものであってもよい。
【0050】
絶縁層36、画素電極37および共通電極38の上には平坦化膜39が設けられている。平坦化膜39は、感光性アクリル等の有機絶縁材料によって形成されている。平坦化膜39は、画素電極37および第1中継電極40(アノード中継電極)を電気的に接続するための開口部と、共通電極38および第2中継電極41(カソード中継電極)を電気的に接続するための開口部とを有している。
【0051】
表示装置1には、上記したように、2つの平坦化膜34および39が設けられている。平坦化膜34および39は、無機絶縁材料によって形成される絶縁層に比べて、第3方向Zへの厚み(膜厚)を有しているため、これら平坦化膜34および39のうちの少なくとも一方が無機絶縁材料によって形成される絶縁層である場合に比べて、クッション性に優れるという利点を得ることができる。
【0052】
表示領域DAにおいて、発光素子10が実装される。
図3においては、1つの発光素子10のみを図示しているが、実際には、R、G、Bの発光色を有する発光素子10が設けられている。発光素子10と第1中継電極40とは、アノード端子ANにより電気的に接続されている。アノード端子ANは接続部材であり、例えばはんだ材料である。
【0053】
発光素子10は、底部に配置されるアノード端子ANとは反対側の出射面の両端部でカソード端子CAとコンタクトしている。より詳しくは、発光素子10とカソード端子CAとは、例えば出射面の端部1μmにおいて重畳し、コンタクトしている。カソード端子CAは、例えばチタン(Ti)や、黒化処理された金属等、金属材料により形成されることが望ましい。これによれば、明るい場所における表示装置1のコントラストの向上を期待することができる。
【0054】
カソード端子CAは、後述する素子絶縁層43に形成される開口部を介して、第2中継電極41とコンタクトしている。つまり、カソード端子CAと電気的に接続される第2中継電極41は、アノード端子AN(および当該アノード端子ANと電気的に接続される第1中継電極40)と同層に配置されている。
【0055】
カソード端子CA、および、発光素子10の出射面においてカソード端子CAと重畳していない部分を覆うように、透明導電層42が設けられている。透明導電層42としては、ITOやIZO等の透明導電材料を用いることができる。このように、発光素子10の出射面においてカソード端子CAと重畳していない部分に設けられる導電層が透明導電層42であることにより、発光素子10から光を取り出すことが可能となる。なお、本実施形態において、透明導電層42は基本的にカソード端子として機能するものでないことから、当該透明導電層42を省略することも可能である。一方で、透明導電層42が設けられることにより、冗長性の向上を期待することができる。また後述するが、透明導電層42は、カソード端子CAと、隣接する副画素から延びるカソード端子CAとが交差する部分において、
図3に示すように、凹状になり、他の部分とは異なる厚みを有していても良い。
【0056】
平坦化膜39と、カソード端子CAおよび透明導電層42との間には、素子絶縁層43が設けられている。素子絶縁層43は、発光素子10の間の空隙部に充填された樹脂材料によって形成されている。
【0057】
透明導電層42の上には、平坦化膜44が設けられており、当該平坦化膜44の上には、偏光板45が設けられている。平坦化膜44は、感光性アクリル等の有機絶縁材料によって形成されている。偏光板45は、図示しない接着層により平坦化膜44の上に接着されている。
【0058】
図4は、本実施形態における画素PX(副画素SPR、SPGおよびSPB)に形成される複数の開口部(コンタクト部)の位置を説明するための平面図である。なお、
図4では、図が煩雑になるのを防ぐために必要な要素のみを記載し、一部の要素の図示を省略している。
【0059】
図4に示すように、副画素SPR、SPGおよびSPBを含む画素PXは、単個の導電層35を共用している。換言すれば、導電層35は、複数の副画素SPR、SPGおよびSPBに亘って連続的に延在するように形成されている。
【0060】
以下の説明中、副画素SPRに含まれる要素に対しては符号の末尾にRをさらに付して説明する。また、副画素SPGに含まれる要素に対しては符号の末尾にGをさらに付して説明する。さらに、副画素SPBに含まれる要素に対しては符号の末尾にBをさらに付して説明する。
【0061】
図4に示すように、画素PXに含まれる副画素SPR、SPGおよびSPBにはそれぞれ開口部CH1~CH4が形成されている。また、
図4に示すように、各画素PXには、開口部CH5およびCH6が形成されている。
【0062】
開口部CH1Rは、画素電極37Rと、第1電極E1Rとを、後述する開口部CH2Rにおいてコンタクトさせるために、導電層35が形成されない領域に相当する。また、開口部CH1Gは、画素電極37Gと、第1電極E1Gとを、後述する開口部CH2Gにおいてコンタクトさせるために、導電層35が形成されない領域に相当する。さらに、開口部CH1Bは、画素電極37Bと、第1電極E1Bとを、後述する開口部CH2Bにおいてコンタクトさせるために、導電層35が形成されない領域に相当する。
【0063】
開口部CH2Rは、画素電極37Rと、第1電極E1Rとをコンタクトするために、平坦化膜34および絶縁層36に形成される開口部である。また、開口部CH2Gは、画素電極37Gと、第1電極E1Gとをコンタクトするために、平坦化膜34および絶縁層36に形成される開口部である。さらに、開口部CH2Bは、画素電極37Bと、第1電極E1Bとをコンタクトするために、平坦化膜34および絶縁層36に形成される開口部である。
【0064】
図4に示すように、開口部CH1Rは開口部CH2Rよりも大きく形成され、開口部CH1Rと開口部CH2Rとは平面視において重畳している。同様に、開口部CH1Gは開口部CH2Gよりも大きく形成され、開口部CH1Gと開口部CH2Gとは平面視において重畳している。また、開口部CH1Bは開口部CH2Bよりも大きく形成され、開口部CH1Bと開口部CH2Bとは平面視において重畳している。
【0065】
また、
図4に示すように、開口部CH1RおよびCH2Rと、開口部CH1GおよびCH2Gと、開口部CH1BおよびCH2Bとは、第1方向Xに略直線状に並んで配置されている。
【0066】
開口部CH3Rは、導電層35と、共通電源配線22とをコンタクトするために、平坦化膜34に形成される開口部である。また、開口部CH3Gは、導電層35と、共通電源配線22とをコンタクトするために、平坦化膜34に形成される開口部である。さらに、開口部CH3Bは、導電層35と、共通電源配線22とをコンタクトするために、平坦化膜34に形成される開口部である。
【0067】
図4に示すように、開口部CH3R、CH3GおよびCH3Bは、第1方向Xに略直線状に並んで配置されている。
【0068】
また、
図4に示すように、開口部CH1RおよびCH2Rと、開口部CH3Rとは、第2方向Yに略直線状に並んで配置されている。同様に、開口部CH1GおよびCH2Gと、開口部CH3Gとは第2方向Yに略直線状に並んで配置され、開口部CH1BおよびCH2Bと、開口部CH3Bとは第2方向Yに略直線状に並んで配置されている。
【0069】
開口部CH4Rは、画素電極37Rと、第1中継電極40Rとをコンタクトするために、平坦化膜39に形成される開口部である。また、開口部CH4Gは、画素電極37Gと、第1中継電極40Gとをコンタクトするために、平坦化膜39に形成される開口部である。開口部CH4Bは、画素電極37Bと、第1中継電極40Bとをコンタクトするために、平坦化膜39に形成される開口部である。
【0070】
なお、
図4に示す例において、開口部CH4R、CH4GおよびCH4Bのうちの少なくとも1つは、1つの直線状に並んで配置されないように形成されている。具体的には、開口部CH4RおよびCH4Bは第1方向Xに延在する直線状に並んで配置されているが、開口部CH4Gは当該第1方向Xに延在する直線状に並んで配置されていない。また、開口部CH4GおよびCH4Bは第2方向Yに延在する直線状に並んで配置されているが、開口部CH4Rは当該第2方向Yに延在する直線状に並んで配置されていない。
【0071】
開口部CH5は、共通電極38と、第2中継電極41とをコンタクトするために、平坦化膜39に形成される開口部である。また、開口部CH6は、第2中継電極41と、カソード端子CAとをコンタクトするために、素子絶縁層43に形成される開口部である。なお、開口部CH5およびCH6は、
図4に示すように、平面視において一部重畳しているが、開口部CH5およびCH6は、平面視において重畳していなくても良いし、完全に重畳しているとしても良い。
【0072】
図4に示すように、画素PXの形状が矩形であり、副画素SPR、SPGおよびSPBが当該矩形の4つの頂点のうちの3つの頂点に対応する位置に三角形状に配置されている場合、開口部CH5およびCH6は残りの1つの頂点に対応する位置に形成されることが望ましい。
【0073】
ここで、
図5を参照して、画素PXに設けられるカソード端子CAのレイアウトについて説明する。
図5では、カソード端子CAが、主に、第1方向Xに延在して配置されるレイアウトを例示している。なお、カソード端子CAの幅や厚みは、発光素子10を発光させるために必要な電力に応じた値に設定され、例えば幅10μmおよび厚み50nmに設定されても良い。
【0074】
具体的には、カソード端子CAは、緑色の発光素子10Gの出射面の端部(矩形状の出射面の第2方向Yに延びる辺)と、第1方向Xに並んで配置される別の画素PXに含まれる緑色の発光素子10Gの出射面の端部(矩形状の出射面の第2方向Yに延びる辺)とを接続するように第1方向Xに沿って延在している。換言すれば、カソード端子CAは、発光素子10Gの出射面の両端部と、第1方向Xに隣接する別の画素PXに含まれる発光素子10Gの出射面の端部とをそれぞれ接続するように第1方向Xに沿って延在している。
【0075】
また、カソード端子CAは、赤色の発光素子10Rの出射面の一方の端部(矩形状の出射面の第2方向Yに延びる二辺のうち、同一画素PX内の青色の発光素子10Bに近い辺)と、青色の発光素子10Bの出射面の一方の端部(矩形状の出射面の第2方向Yに延びる二辺のうち、同一画素PX内の赤色の発光素子10Rに近い辺)とを接続するように第1方向Xに沿って延在している。さらに、カソード端子CAは、発光素子10Rの出射面の他方の端部(矩形状の出射面の第2方向Yに延びる二辺のうち、同一画素PX内の発光素子10Bから遠い辺)と、第1方向Xに並んで配置される別の画素PXに含まれる青色の発光素子10Bの出射面の端部(矩形状の出射面の第2方向Yに延びる辺)とを接続するように第1方向Xに沿って延在している。また、カソード端子CAは、発光素子10Bの出射面の他方の端部(矩形状の出射面の第2方向Yに延びる二辺のうち、同一画素PX内の発光素子10Rから遠い辺)と、第1方向Xに並んで配置される別の画素PXに含まれる赤色の発光素子10Rの出射面の端部(矩形状の出射面の第2方向Yに延びる辺)とを接続するように第1方向Xに沿って延在している。
【0076】
さらに、カソード端子CAは、発光素子10Bの出射面の端部(矩形状の出射面の第1方向Xに延びる辺)と、第2方向Yに並んで配置される別の画素PXに含まれる青色の発光素子10Bの出射面の端部(矩形状の出射面の第1方向Xに延びる辺)とを接続するように第2方向Yに沿って延在している。換言すれば、カソード端子CAは、発光素子10Bの出射面の両端部と、第2方向Yに隣接する別の画素PXに含まれる発光素子10Bの出射面の端部とをそれぞれ接続するように第2方向Yに沿って延在している。
【0077】
なお、緑色の発光素子10Gから第1方向Xに隣接する別の画素PXに対して延びるカソード端子CAと、青色の発光素子10Bから第2方向Yに隣接する別の画素PXに対して延びるカソード端子CAとは、平面視において、開口部CH6が形成される領域にて交差している。
【0078】
図5に示すように、カソード端子CAが、主に、第1方向Xに延在して配置される場合、カソード端子CAの配置に起因して第1方向Xからの光の取り出し効率は若干低下するものの、第2方向Yからの光の取り出し効率を向上させることができるという利点を得ることが可能である。
【0079】
次に、
図6を参照して、画素PXに設けられるカソード端子CAの別のレイアウトについて説明する。
図6は、
図5の場合と異なり、カソード端子CAが、主に、第2方向Yに延在して配置されるレイアウトを例示している。
【0080】
具体的には、カソード端子CAは、第1方向Xに並ぶ多数の画素PXにそれぞれ含まれる緑色の発光素子10Gと赤色の発光素子10Rとの間、および、開口部CH6と青色の発光素子10Bとの間を通って、第1方向Xに延在している。
【0081】
また、カソード端子CAは、発光素子10Gの出射面の一方の端部(矩形状の出射面の第1方向Xに延びる二辺のうち、同一画素PX内の赤色の発光素子10Rに近い辺)と、発光素子10Rの出射面の一方の端部(矩形状の出射面の第1方向Xに延びる二辺のうち、同一画素PX内の緑色の発光素子10Gに近い辺)とを接続するように第2方向Yに沿って延在している。さらに、カソード端子CAは、発光素子10Gの出射面の他方の端部(矩形状の出射面の第1方向Xに延びる二辺のうち、同一画素PX内の発光素子10Rに遠い辺)と、第2方向Yに並んで配置される別の画素PXに含まれる赤色の発光素子10Rの出射面の端部(矩形状の出射面の第1方向Xに延びる辺)とを接続するように第2方向Yに沿って延在している。また、カソード端子CAは、発光素子10Rの出射面の他方の端部(矩形状の出射面の第1方向Xに延びる二辺のうち、同一画素PX内の発光素子10Gに遠い辺)と、第2方向Yに並んで配置される別の画素PXに含まれる緑色の発光素子10Gの出射面の端部(矩形状の出射面の第1方向Xに延びる辺)とを接続するように第2方向Yに沿って延在している。
【0082】
図6に示すように、同一画素PX内において緑色の発光素子10Gから赤色の発光素子10Rに対して延びるカソード端子CAと、第1方向Xに沿って延びるカソード端子CAとは、当然の如く平面視において交差している。
【0083】
カソード端子CAは、発光素子10Bの出射面の端部(矩形状の出射面の第1方向Xに延びる辺)と、第2方向Yに並んで配置される別の画素PXに含まれる青色の発光素子10Bの端部(矩形状の出射面の第1方向Xに延びる辺)とを接続し、かつ、開口部CH6を通るように第2方向Yに沿って延在している。換言すれば、カソード端子CAは、発光素子10Bの出射面の両端部と、第2方向Yに隣接する別の画素PXに含まれる発光素子10Bの出射面の端部とをそれぞれ接続し、かつ、開口部CH6を通るように第2方向Yに沿って延在している。
【0084】
図6に示すように、青色の発光素子10Bから第2方向Yに隣接する別の画素PXに含まれる青色の発光素子10Bに対して延びるカソード端子CAと、第1方向Xに沿って延びるカソード端子CAとは、当然の如く平面視において交差している。
【0085】
図6に示すように、カソード端子CAが、主に、第2方向Yに延在して配置される場合、カソード端子CAの配置に起因して第2方向Yからの光の取り出し効率は若干低下するものの、第1方向Xからの光の取り出し効率を向上させることができるという利点を得ることが可能である。
【0086】
また、
図5に示したレイアウトの場合、青色の発光素子10Bの四方においてカソード端子CAがコンタクトしているため、青色の出射光が取り出しにくい可能性があるが、
図6に示したレイアウトの場合、いずれの色の発光素子10R、10Gおよび10Bも2つの端部においてカソード端子CAとコンタクトしており、カソード端子CAが四方にコンタクトすることがないため、特定の色の出射光が取り出しにくくなるといった可能性を抑制することができる。
【0087】
さらに、
図5に示したレイアウトの場合、赤色の発光素子10Rのカソード端子CAへの電圧供給は、青色の発光素子10Bのカソード端子CAを介して行われる(ブリッジされる)ため、発光素子10Rと、発光素子10Gおよび10Bとの間で印加される電圧が多少異なる可能性があるが、
図6に示したレイアウトの場合、いずれの色の発光素子10R、10Gおよび10Bにも第1方向Xに沿って延在するカソード端子CAを介して均等に電圧が供給されるため、上記したような異なる電圧が印加されてしまう可能性を抑制することができる。
【0088】
以下では、比較例を用いて、本実施形態に係る表示装置1の効果について説明する。なお、比較例は、本実施形態に係る表示装置1が奏し得る効果の一部を説明するためのものであって、比較例と本実施形態とで共通する構成や効果を本願発明の範囲から除外するものではない。
【0089】
図7は、比較例に係る表示装置100の断面構造を模式的に表したものである。比較例に係る表示装置100は、表示領域DAの外側の非表示領域NDAにおいてカソード端子CAと電源配線とが接続している点と、カソード端子CAが透明導電材料により形成されている点とで、本実施形態に係る表示装置1と相違している。
【0090】
比較例に係る表示装置100においては、画素PXに含まれる発光素子10のカソード端子CAをITO等の透明導電材料により形成し、当該カソード端子CAを多数の画素PXで共用し、当該カソード端子CAには非表示領域NDAに設けられる電源配線から供給される電圧が印加されている。この場合、ITOの抵抗に基づく電圧降下が生じてしまい、非表示領域NDAに設けられる電源配線から離れて配置される発光素子10(例えば、表示領域DAの中央近辺に配置される発光素子10)ほど、カソード端子CAに印加される電圧が小さくなってしまうという問題がある。
【0091】
これに対し、本実施形態に係る表示装置1においては、画素PX毎に、上記した電源配線に相当する共通電源配線22(カソード配線)が設けられているので、低抵抗化を図ることができ、上記した電圧降下が生じる可能性を抑制することができる。
【0092】
また、本実施形態に係る表示装置1においては、カソード端子CAを、ITO等の透明導電材料ではなく、チタンや黒化処理された金属等の金属材料により形成しているため、比較例に係る表示装置100に比べて、低抵抗化を図ることができ、上記した電圧降下が生じる可能性をさらに抑制することができる。
【0093】
さらに、本実施形態に係る表示装置1は、
図5および
図6に示したように、カソード端子CAのレイアウト次第で、光の取り出し効率を変化させることが可能であり、ユーザの多種多様なニーズに応えることができるという利点を得ることもできる。
【0094】
以上説明した一実施形態によれば、アノード端子ANとカソード端子CAとが対向配置される発光素子10(マイクロLED)に生じる電圧降下を抑制し得る表示装置1を提供することが可能である。
【0095】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0096】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0097】
また、上述の各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0098】
1…表示装置、10…発光素子、22…共通電源配線、31…絶縁層、32…アンダーコート層、33…層間絶縁膜、34…平坦化膜、35…導電層、36…絶縁層、37…画素電極、38…共通電極、39…平坦化膜、40…第1中継電極、41…第2中継電極、42…透明導電層、43…素子絶縁層、44…平坦化膜、45…偏光板、AN…アノード端子、CA…カソード端子、E1…第1電極、E2…第2電極、GE…ゲート電極、GI…ゲート絶縁膜、SC…半導体層。