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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】シーケンシャル発光装置、及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/34 20060101AFI20230510BHJP
   B60Q 11/00 20060101ALI20230510BHJP
   H05B 45/30 20200101ALI20230510BHJP
【FI】
B60Q1/34 A
B60Q11/00 615A
B60Q11/00 625A
B60Q11/00 610D
H05B45/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019103466
(22)【出願日】2019-06-03
(65)【公開番号】P2020198209
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】阿部 康秀
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-30581(JP,A)
【文献】特開2015-95347(JP,A)
【文献】特開2010-188771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/34
B60Q 11/00
H05B 45/00
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数段の発光部と、
前記複数段の発光部にそれぞれに対応して配置され、供給されたクロック信号に応じて、前記複数段のうちの対象段の前記発光部を点灯させるとともに点灯状態を保持する機能を有するプリドライバ部であって、前段の前記発光部が点灯し、且つ、前段の前記発光部を点灯させた前記クロック信号の立上りエッジ又は立下りエッジとは異なる向きの前記クロック信号のエッジを検出した場合に、前記対象段の前記発光部を点灯させる駆動信号を出力するプリドライバ部と、
前記複数段の発光部を点灯させる場合に、前記複数段の発光部に駆動電力を供給し、前記クロック信号を前記プリドライバ部に供給する制御部と
を備えることを特徴とするシーケンシャル発光装置。
【請求項2】
2段目以降の前記対象段に対応する前記プリドライバ部は、
前記対象段に対応する前記クロック信号のエッジを検出するロジック部と、
前記ロジック部が前記対象段に対応する前記クロック信号のエッジを検出した場合に、前記駆動信号を出力するとともに、前記駆動信号を出力した状態を保持するラッチ部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のシーケンシャル発光装置。
【請求項3】
偶数段に対応する前記ラッチ部は、
前段の前記プリドライバ部が前記駆動信号を出力し、且つ、前記ロジック部が前記対象段に対応する前記クロック信号のエッジを検出した場合に、前記駆動信号を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載のシーケンシャル発光装置。
【請求項4】
奇数段に対応する前記ロジック部は、
前記対象段に対応する前記クロック信号のエッジを検出し、且つ、前段の前記プリドライバ部が前記駆動信号を出力している場合に、前記プリドライバ部に、前記駆動信号を出力させる
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のシーケンシャル発光装置。
【請求項5】
前記発光部は、
少なくとも1つの発光素子と、
前記プリドライバ部からの前記駆動信号に基づいて、前記発光素子を発光させるドライバ部と
を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシーケンシャル発光装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記複数段の発光部を消灯させる場合に、前記複数段の発光部に前記駆動電力の供給を停止する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシーケンシャル発光装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記駆動電力を供給する電力線に流れる電流に基づいて、前記発光部の異常を検出し、前記発光部の異常を検出した場合に、前記複数段の発光部の点滅の周期を変更する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のシーケンシャル発光装置。
【請求項8】
複数段の発光部と、前記複数段の発光部にそれぞれに対応して配置され、供給されたクロック信号に応じて、前記複数段のうちの対象段の前記発光部を点灯させるとともに点灯状態を保持する機能を有するプリドライバ部であって、前段の前記発光部が点灯し、且つ、前段の前記発光部を点灯させた前記クロック信号の立上りエッジ又は立下りエッジとは異なる向きの前記クロック信号のエッジを検出した場合に、前記対象段の前記発光部を点灯させる駆動信号を出力するプリドライバ部とを備えるシーケンシャル発光装置を制御する制御装置であって、
前記複数段の発光部を点灯させる場合に、前記複数段の発光部に駆動電力を供給し、前記クロック信号を前記プリドライバ部に供給する制御部を備える
ことを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーケンシャル発光装置、及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両が右左折する際に、デザイン性及び視認性を向上させるために、ウインカーなどの発光装置を車両が曲がる方向に流れるようにシーケンシャルに点灯させるシーケンシャル発光装置が搭載され始めている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-145224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のシーケンシャル発光装置では、シーケンシャルな点灯を実現するための複雑な回路を必要とする等、構成が複雑になり、発光装置のサイズが大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、構成を簡略化し、省スペース化することができるシーケンシャル発光装置、及び制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、複数段の発光部と、前記複数段の発光部にそれぞれに対応して配置され、供給されたクロック信号に応じて、前記複数段のうちの対象段の前記発光部を点灯させるとともに点灯状態を保持する機能を有するプリドライバ部であって、前段の前記発光部が点灯し、且つ、前段の前記発光部を点灯させた前記クロック信号の立上りエッジ又は立下りエッジとは異なる向きの前記クロック信号のエッジを検出した場合に、前記対象段の前記発光部を点灯させる駆動信号を出力するプリドライバ部と、前記複数段の発光部を点灯させる場合に、前記複数段の発光部に駆動電力を供給し、前記クロック信号を前記プリドライバ部に供給する制御部とを備えることを特徴とするシーケンシャル発光装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記のシーケンシャル発光装置において、2段目以降の前記対象段に対応する前記プリドライバ部は、前記対象段に対応する前記クロック信号のエッジを検出するロジック部と、前記ロジック部が前記対象段に対応する前記クロック信号のエッジを検出した場合に、前記駆動信号を出力するとともに、前記駆動信号を出力した状態を保持するラッチ部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記のシーケンシャル発光装置において、偶数段に対応する前記ラッチ部は、前段の前記プリドライバ部が前記駆動信号を出力し、且つ、前記ロジック部が前記対象段に対応する前記クロック信号のエッジを検出した場合に、前記駆動信号を出力することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記のシーケンシャル発光装置において、奇数段に対応する前記ロジック部は、前記対象段に対応する前記クロック信号のエッジを検出し、且つ、前段の前記プリドライバ部が前記駆動信号を出力している場合に、前記プリドライバ部に、前記駆動信号を出力させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記のシーケンシャル発光装置において、前記発光部は、少なくとも1つの発光素子と、前記プリドライバ部からの前記駆動信号に基づいて、前記発光素子を発光させるドライバ部とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記のシーケンシャル発光装置において、前記制御部は、前記複数段の発光部を消灯させる場合に、前記複数段の発光部に前記駆動電力の供給を停止することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記のシーケンシャル発光装置において、前記制御部は、前記駆動電力を供給する電力線に流れる電流に基づいて、前記発光部の異常を検出し、前記発光部の異常を検出した場合に、前記複数段の発光部の点滅の周期を変更することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様は、複数段の発光部と、前記複数段の発光部にそれぞれに対応して配置され、供給されたクロック信号に応じて、前記複数段のうちの対象段の前記発光部を点灯させるとともに点灯状態を保持する機能を有するプリドライバ部であって、前段の前記発光部が点灯し、且つ、前段の前記発光部を点灯させた前記クロック信号の立上りエッジ又は立下りエッジとは異なる向きの前記クロック信号のエッジを検出した場合に、前記対象段の前記発光部を点灯させる駆動信号を出力するプリドライバ部とを備えるシーケンシャル発光装置を制御する制御装置であって、前記複数段の発光部を点灯させる場合に、前記複数段の発光部に駆動電力を供給し、前記クロック信号を前記プリドライバ部に供給する制御部を備えることを特徴とする制御装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数段の発光部にそれぞれに対応して配置され、対象段の発光部を点灯させるとともに点灯状態を保持する機能を有するプリドライバ部が、前段の発光部が点灯し、且つ、前段の発光部を点灯させたクロック信号の立上りエッジ又は立下りエッジとは異なる向きのクロック信号のエッジを検出した場合に、対象段の発光部を点灯させる駆動信号を出力する。これにより、シーケンシャル発光装置は、クロック信号のエッジ及び前段の点灯状態の検出と、点灯状態を保持する簡易な機能を有するプリドライバ部により、構成を簡略化することができ、省スペース化を実現することができる。また、クロック信号を供給することで、発光部を順次点灯させることができるため、制御線の数を少なく抑えることができる
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態によるシーケンシャルウインカーの一例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態によるシーケンシャルウインカーの動作の一例を示すタイミングチャート図である。
図3】第1の実施形態によるシーケンシャルウインカーの点灯例を示すイメージ図である。
図4】第1の実施形態によるシーケンシャルウインカーの異常検出の一例を示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態によるシーケンシャルウインカーの一例を示すブロック図である。
図6】第2の実施形態によるシーケンシャルウインカーの動作の一例を示すタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態によるシーケンシャル発光装置及び制御装置について、図面を参照して説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態によるシーケンシャルウインカー1の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、シーケンシャルウインカー1は、制御ユニット60と、ウインカー部100とを備えている。
本実施形態において、シーケンシャル発光装置の一例として、オートバイなどの車両に使用されるシーケンシャルに点灯するウインカーであるシーケンシャルウインカー1について説明する。
【0018】
制御ユニット60とウインカー部100との間は、発光部20を点灯させる駆動電力を供給する電力供給線L1(電力線の一例)と、シーケンシャルに発光部20を点灯させるためのクロック信号線L2との2本の制御線により接続されている。
ウインカー部100は、複数段の発光部20-1~20-4と、発光部20-1~20-4に対応した、複数のプリドライバ部11~14とを備えている。
【0019】
なお、本実施形態において、発光部20-1~20-4のそれぞれは、同一の構成であり、シーケンシャルウインカー1が備える任意の発光部を示す場合、又は特に区別しない場合には、発光部20として説明する。
また、本実施形態において、プリドライバ部11~14は、シーケンシャルウインカー1が備える任意のプリドライバ部を示す場合、又は特に区別しない場合には、プリドライバ部10として説明する。
【0020】
発光部20は、抵抗21と、発光ダイオード(22、23)と、ツェナーダイオード24と、抵抗(25、26)と、トランジスタ27とを備えている。
抵抗21は、電力供給線L1と発光ダイオード(22、23)との間に接続され、発光ダイオード(22、23)を点灯させるために発光ダイオード(22、23)に流す電流を設定する。
【0021】
発光ダイオード(22、23)は、ウインカーを点灯する発光素子である。発光ダイオード22と発光ダイオード23とは、抵抗21と、トランジスタ27のコレクタ端子との間に、同一の方向に直列に接続されている。例えば、発光ダイオード22のアノード端子が、抵抗21を介して電力供給線L1に接続されており、発光ダイオード23のカソード端子が、トランジスタ27のコレクタ端子に接続されている。
【0022】
ツェナーダイオード24は、アノード端子が抵抗を介して、トランジスタ27のベース端子に接続されており、カソード端子が発光部20を点灯させる駆動信号の信号線に接続されている。ツェナーダイオード24は、発光部20を点灯させる駆動信号が、所定の電圧に達した場合に駆動信号の信号線から抵抗25の一端に電流が流れるオン状態(導通状態)になる。このオン状態において、ツェナーダイオード24は、抵抗25を介して、トランジスタ27のベース端子に駆動信号の電圧に応じた電圧を供給して、ベース電流を流すように機能する。
【0023】
抵抗25は、ツェナーダイオード24と、トランジスタ27のベース端子との間に接続され、トランジスタ27のベース電流を制限する。
抵抗26は、トランジスタ27のベース端子とグランド端子(接地端子)との間に接続され、ツェナーダイオード24がオフ状態(非導通状態)である場合に、ベース端子をグランド端子の電位に固定するプルダウン抵抗として機能する。
【0024】
トランジスタ27は、例えば、PNPトランジスタであり、コレクタ端子が発光ダイオード23のカソード端子に、ベース端子が抵抗25の一端に、エミッタ端子がグランド端子に、それぞれ接続されている。トランジスタ27は、ベース端子がHigh状態になった場合に、オン状態になり、発光ダイオード(22、23)を点灯させる。また、トランジスタ27は、ベース端子がLow状態になった場合に、オフ状態になり、発光ダイオード(22、23)を消灯させる。
【0025】
発光部20において、ツェナーダイオード24と、抵抗(25、26)と、トランジスタ27とを含む回路は、発光素子(発光ダイオード22及び発光ダイオード23)を発光させるドライバ回路であり、ドライバ部70に対応する。
このように、発光部20は、少なくとも1つの発光素子(発光ダイオード22、及び発光ダイオード23)と、プリドライバ部10からの駆動信号に基づいて、発光素子(発光ダイオード22、及び発光ダイオード23)を発光させるドライバ部70とを備えている。
【0026】
プリドライバ部10は、複数段(例えば、4段)の発光部20にそれぞれに対応して配置され、制御ユニット60から供給されたクロック信号に応じて、複数段のうちの対象段の発光部20を点灯させるとともに点灯状態を保持する機能を有する。プリドライバ部10は、前段の発光部20が点灯し、且つ、前段の発光部20を点灯させたクロック信号の立上りエッジ又は立下りエッジとは異なる向きのクロック信号のエッジを検出した場合に、対象段の発光部20を点灯させる駆動信号を対象段の発光部20に出力する。
【0027】
なお、発光部20-1~20-4のそれぞれを点灯させる駆動信号は、図1に示す駆動信号D1~D4に対応する。また、本実施形態において、「駆動信号を出力する」とは、駆動信号の信号線をHigh状態(ハイ状態)にすることとする。
【0028】
本実施形態では、ウインカー部100は、4段のプリドライバ部10(11~14)を備えている。
プリドライバ部11は、初段の発光部20-1を点灯するためのプリドライバであり、ラッチ部30-1を備えている。
【0029】
ラッチ部30-1は、電力供給線L1に駆動電力が供給され、クロック信号線L2に供給されるクロック信号の最初の立上りエッジを検出した場合に、初段の発光部20-1を点灯させる。プリドライバ部11は、初段の発光部20-1を点灯させる場合に、駆動信号D1を出力する(駆動信号D1の信号線をHigh状態にする)。
【0030】
また、プリドライバ部11は、発光部20-1を点灯した状態(発光部20-1の点灯状態)を保持し、電力供給線L1への駆動電力の供給が停止されるまでこの点灯状態を保持する。すなわち、ラッチ部30-1は、電力供給線L1への駆動電力の供給が停止された場合に、駆動信号D1の信号線をLow状態(ロウ状態)にして、発光部20-1の点灯を停止する。
【0031】
なお、プリドライバ部11~14のそれぞれは、ラッチ部30-1~30-4を備えている。ラッチ部30-1~30-4のそれぞれは、同一の構成であり、シーケンシャルウインカー1が備える任意のラッチ部を示す場合、又は特に区別しない場合には、ラッチ部30として説明する。
【0032】
ラッチ部30は、OR回路31と、AND回路32とを備えている。
OR回路31(論理和回路)は、後述するAND回路32の出力信号(ラッチ部30の出力信号)と、ラッチ部30の第1の入力信号との論理和演算を行い、当該演算結果を出力する。すなわち、OR回路31は、ラッチ部30の第1の入力信号と、AND回路32の出力信号とのいずれかが、High状態である場合に、AND回路32の入力信号にHigh状態を出力する。
【0033】
AND回路32(論理積回路)は、OR回路31の出力信号と、ラッチ部30の第2の入力信号との論理積演算を行い、当該演算結果を、ラッチ部30の出力信号として出力する。すなわち、AND回路32は、OR回路31の出力信号と、ラッチ部30の第2の入力信号との両方が、High状態である場合に、AND回路32の出力信号にHigh状態にして、発光部20の駆動信号を出力する。
【0034】
なお、AND回路32の出力信号がHigh状態になると、OR回路31の出力信号が常にHigh状態に維持されるため、ラッチ部30は、発光部20の駆動信号の出力を保持し、発光部20の点灯状態を保持する。
また、ラッチ部30の第2の入力信号がLow状態になると、AND回路32がLow状態を出力し、ラッチ部30は、発光部20の駆動信号の出力を停止する。
【0035】
プリドライバ部11では、ラッチ部30-1の第1の入力信号の信号線にクロック信号線L2が接続されており、ラッチ部30-2の第2の入力信号の信号線に電力供給線L1が接続されている。これにより、プリドライバ部11は、電力供給線L1に駆動電流供給後のクロック信号の立上りエッジで、駆動信号D1を出力し、初段の発光部20-1を点灯させる。
【0036】
プリドライバ部12は、2段目の発光部20-2を点灯するためのプリドライバであり、ラッチ部30-2とロジック部40-1とを備えている。
ロジック部40-1は、クロック信号の立下りエッジを検出するために、インバータ回路41(反転回路)を備え、クロック信号を論理反転した出力信号を、ラッチ部30-2の第1の入力信号として出力する。
【0037】
ラッチ部30-2は、上述したラッチ部30と同一の構成であり、第1の入力信号にロジック部40-1の出力信号が入力されているとともに、第2の入力信号にプリドライバ部11(ラッチ部30-1)の出力信号が入力されている。ラッチ部30-2は、発光部20-1が点灯状態(駆動信号D1が出力状態)であり、且つ、クロック信号の最初の立下りエッジを検出した場合に、駆動信号D2を出力し、2段目の発光部20-2を点灯させる。また、ラッチ部30-2は、発光部20-2の点灯状態を保持し、電力供給線L1への駆動電力の供給が停止されて駆動信号D1の出力が停止されるまでこの点灯状態を保持する。
【0038】
プリドライバ部13は、3段目の発光部20-3を点灯するためのプリドライバであり、ラッチ部30-3とロジック部50とを備えている。
ロジック部50は、AND回路51を備え、クロック信号の立上りエッジを検出し、前段のプリドライバ部10が駆動信号を出力している場合に、出力信号をHigh状態にして、出力する。ロジック部50の出力信号は、ラッチ部30-3の第1の入力信号として使用される。
【0039】
AND回路51は、クロック信号と、前段のプリドライバ部11の出力信号との論理積演算を行い、当該演算結果を、ラッチ部30-3の第1の入力信号として出力する。すなわち、AND回路51は、前段のプリドライバ部11の出力信号がHigh状態(駆動信号D2が出力状態)で、クロック信号がHigh状態になった場合に、ラッチ部30-3の第1の入力信号にHigh状態を出力する。
【0040】
ラッチ部30-3は、上述したラッチ部30と同一の構成であり、第1の入力信号にロジック部50の出力信号が入力されているとともに、第2の入力信号の信号線に電力供給線L1が接続されている。ラッチ部30-3は、電力供給線L1に駆動電力が供給され、ロジック部50の出力信号がHigh状態になった場合に、駆動信号D3を出力し、3段目の発光部20-2を点灯させる。また、ラッチ部30-3は、発光部20-3の点灯状態を保持し、電力供給線L1への駆動電力の供給が停止されて駆動信号D3の出力が停止されるまでこの点灯状態を保持する。
【0041】
このように、プリドライバ部13において、奇数段に対応するロジック部50は、対象段に対応するクロック信号のエッジ(クロック信号の立上りエッジ)を検出し、且つ、前段のプリドライバ部12が駆動信号D2を出力している場合に、ラッチ部30-3(プリドライバ部13)に駆動信号D3を出力させる。
【0042】
プリドライバ部14は、4段目の発光部20-4を点灯するためのプリドライバであり、ラッチ部30-4とロジック部40-2とを備えている。
なお、上述したロジック部40-1と、ロジック部40-2とは、同一の構成であり、シーケンシャルウインカー1が備える偶数段のロジック部を示す場合には、ロジック部40として説明する。
【0043】
ロジック部40-2は、クロック信号の立下りエッジを検出するために、インバータ回路41を備え、クロック信号を論理反転した出力信号を、ラッチ部30-4の第1の入力信号として出力する。
【0044】
ラッチ部30-4は、上述したラッチ部30と同一の構成であり、第1の入力信号にロジック部40-2の出力信号が入力されているとともに、第2の入力信号にプリドライバ部13(ラッチ部30-3)の出力信号が入力されている。ラッチ部30-4は、発光部20-3が点灯状態(駆動信号D1が出力状態)であり、且つ、クロック信号の立下りエッジを検出した場合に、駆動信号D4を出力し、4段目の発光部20-4を点灯させる。また、ラッチ部30-4は、発光部20-4の点灯状態を保持し、電力供給線L1への駆動電力の供給が停止されて駆動信号D3の出力が停止されるまでこの点灯状態を保持する。
【0045】
なお、本実施形態では、プリドライバ部10(11~14)は、初段(1段目)と2段目以降とが異なる構成になっている。ここで、上述したように、2段目以降の対象段に対応するプリドライバ部10は、ロジック部40(50)と、ラッチ部30とを備えている。ロジック部40(50)は、対象段に対応するクロック信号のエッジ(立上りエッジ又は立下りエッジ)を検出する。ラッチ部30は、ロジック部40(50)が対象段に対応するクロック信号のエッジを検出した場合に、駆動信号を出力するとともに、駆動信号を出力した状態を保持する。
【0046】
また、偶数段に対応するラッチ部30(30-2、30-4)は、前段のプリドライバ部10(11、13)が駆動信号(D1、D3)を出力し、且つ、ロジック部40(40-1、40-2)が対象段に対応するクロック信号のエッジ(クロック信号の立下りエッジ)を検出した場合に、駆動信号(D2、D4)を出力する。
【0047】
制御ユニット60は、シーケンシャルウインカー1を制御する制御装置であって、複数段の発光部20を点灯させる場合に、複数段の発光部20に駆動電力を供給し、クロック信号をプリドライバ部10に供給する。制御ユニット60は、ダイオード61と、レギュレータ62と、マイコン部63と、出力ドライバ64と、出力バッファ65とを備えている。
【0048】
なお、図1に示す例では、説明の都合上、制御ユニット60のGND端子、メインスイッチ、ウインカースイッチ、等の記載を省略して不図示にしているが、制御ユニット60は、これらを備えるものとする。また、例えば、オートバイは、4つのウインカー部100を備えているが、図1に示す例では、代表として1つのウインカー部100を記載している。すなわち、実際には、制御ユニット60は、4つの出力ドライバ64を備え、4つの出力ドライバ64を介して、4つのウインカー部100に駆動電力を供給して、4つのウインカー部100を点灯させる制御を行う。なお、制御ユニット60は、ダイオード61、レギュレータ62、マイコン部63、及び出力バッファ65のそれぞれについては、各1つを備えるものとする。
【0049】
ダイオード61は、バッテリ2とレギュレータ62及び出力ドライバ64との間に配置され、バッテリ2が出力する電力を、ウインカー部100を点灯させる駆動電力として供給するとともに、バッテリ2への逆流を防止する。ダイオード61のアノード端子は、バッテリ2の出力線に接続され、ダイオード61のカソード端子は、レギュレータ62及び出力ドライバ64に接続されている。
バッテリ2は、例えば、鉛蓄電池などの二次電池であり、シーケンシャルウインカー1に複数段の発光部20を点灯させるための電力を供給する。
【0050】
レギュレータ62は、ダイオード61を介してバッテリ2から供給された電力を、マイコン部63を動作させるための所定の電圧(例えば、5Vなど)の電力に変換して、マイコン部63に供給する。
【0051】
マイコン部63(制御部の一例)は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むマイクロコントローラであり、ウインカー部100の点灯を制御する。マイコン部63は、ウインカー部100の複数段の発光部20を点灯させる際に、出力ドライバ64から駆動電力を電力供給線L1を介してウインカー部100に供給させる。また、マイコン部63は、数段の発光部20をシーケンシャルに点灯させるためのクロック信号を生成し、生成したクロック信号を、出力バッファ65を介してウインカー部100に供給する。
【0052】
また、マイコン部63は、複数段の発光部20を消灯させる場合に、出力ドライバ64から複数段の発光部20への駆動電力の供給を停止させる。
また、マイコン部63は、駆動電力を供給する電力供給線L1に流れる電流に基づいて、発光部20の異常を検出し、発光部20の異常を検出した場合に、複数段の発光部20の点滅の周期を変更する。マイコン部63は、出力ドライバ64に含まれている電力供給線L1に流れる電流の検出機能(不図示)により電力供給線L1に流れる駆動電流を検出し、発光部20の断線などの異常を検出する。マイコン部63は、発光部20の異常を検出した場合に、例えば、電力供給線L1への駆動電流の供給及び停止の周期を短くして、発光部20の点滅の周期を変更する。また、マイコン部63は、駆動電流の供給及び停止の周期を短く変更するのに応じて、クロック信号の周期も短くしてもよい。
【0053】
出力ドライバ64は、マイコン部63の制御に基づいて、バッテリ2からダイオード61を介して供給された電力により、発光部20を点灯させるための駆動電力を電力供給線L1に供給する。また、出力ドライバ64は、例えば、電力供給線L1に流れる電流(駆動電流)を検出する電流検出部(不図示)を備えており、検出した電流(駆動電流)をマイコン部63に出力する。
【0054】
出力バッファ65は、マイコン部63が生成したシーケンシャルな点灯用のクロック信号を電力供給線L1の電圧レベルの信号に変換して、クロック信号線L2に出力する。なお、クロック信号線L2は、ラッチ部30-1の第1の入力信号の入力端子、ロジック部40-1の入力端子、ロジック部50の2つの入力端子のうちの1つ、及びロジック部40-2の入力端子に接続されている。すなわち、出力バッファ65は、各プリドライバ部10(11~14)にクロック信号を供給する。
【0055】
次に、図面を参照して、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1の動作について説明する。
【0056】
図2は、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1の動作の一例を示すタイミングチャート図である。また、図3は、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1の点灯例を示すイメージ図である。
図2において、波形W1~W6は、順番に、電力供給線L1の信号の論理状態と、クロック信号線L2のクロック信号の論理状態と、発光部20-1、発光部20-2、発光部20-3、及び発光部20-4の点灯状態とを示している。
【0057】
ウインカー部100をシーケンシャルに点灯させる場合、制御ユニット60のマイコン部63は、まず、時刻T1において、出力ドライバ64に電力供給線L1への駆動電力の供給を開始させるとともに、出力バッファ65を介してクロック信号をHigh状態にする(波形W1及び波形W2を参照)。これにより、1段目(初段)のプリドライバ部11が駆動信号D1を出力して、1段目の発光部20-1が点灯される(波形W3を参照)。また、図3(a)は、時刻T1における点灯状態の一例を示している。
【0058】
1段目の発光部20-1のドライバ部70は、駆動信号D1が出力されている場合に、発光部20-1の発光ダイオード(22、23)に駆動電流を流して、発光ダイオード(22、23)を点灯させる。
【0059】
次に、時刻T2において、マイコン部63が、クロック信号をLow状態にすると、2段目のプリドライバ部12が駆動信号D2を出力して、2段目の発光部20-2が点灯される(波形W4を参照)。この場合、プリドライバ部12は、1段目の発光部20-1が発光状態で、且つ、ロジック部40-1がクロック信号の立下りを検出した状態であるため、2段目の発光部20-2を点灯させる。また、図3(b)は、時刻T2における点灯状態の一例を示している。
【0060】
次に、時刻T3において、マイコン部63が、クロック信号をHign状態にすると、3段目のプリドライバ部13が駆動信号D3を出力して、3段目の発光部20-3が点灯される(波形W5を参照)。この場合、プリドライバ部13は、2段目の発光部20-1が発光状態で、且つ、ロジック部40-1がクロック信号の立上りを検出した状態であるため、3段目の発光部20-3を点灯させる。また、図3(c)は、時刻T3における点灯状態の一例を示している。
【0061】
次に、時刻T4において、マイコン部63が、クロック信号をLow状態にすると、4段目のプリドライバ部14が駆動信号D4を出力して、4段目の発光部20-4が点灯される(波形W6を参照)。この場合、プリドライバ部14は、3段目の発光部20-3が発光状態で、且つ、ロジック部50がクロック信号の立下りを検出した状態であるため、4段目の発光部20-4を点灯させる。また、図3(d)は、時刻T4における点灯状態の一例を示している。
【0062】
次に、時刻T5において、マイコン部63が、出力ドライバ64に電力供給線L1への駆動電力の供給を停止させると、1段目の発光部20-1~4段目の発光部20-4の全てが消灯される。
このように、マイコン部63は、1段目の発光部20-1~4段目の発光部20-4のシーケンシャルな点灯と、これら発光部20の一斉の消灯とを繰り返し、ウインカー部100の発光部20を点滅させる。
なお、発光部20を点滅させる周期TR1は、時刻T1から時刻T6までの期間である。
【0063】
次に、図4を参照して、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1の異常検出について説明する。
図4は、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1の異常検出の一例を示すフローチャートである。
【0064】
図4に示すように、制御ユニット60のマイコン部63は、出力ドライバ64の出力電流が正常であるか否かを判定する(ステップS101)。すなわち、マイコン部63は、各発光部20を点灯させる際の出力ドライバ64の出力電流(駆動電流)を、出力ドライバ64から取得し、当該出力電流が正常な値であるか否かを判定する。マイコン部63は、出力ドライバ64の出力電流が正常でない(異常である)場合(ステップS101:NO)に処理をステップS102に進める。また、マイコン部63は、出力ドライバ64の出力電流が正常である場合(ステップS101:YES)に処理をステップS103に進める。
【0065】
ステップS102において、マイコン部63は、発光部20の点滅の周期を通常より短い周期に変更する。マイコン部63は、例えば、図2に示す点滅の周期TR1を短い周期に変更するとともに、クロック信号の周期も、変更した周期TR1に応じて短い周期に変更する。ステップS102の処理後に、マイコン部63は、異常検出の処理を終了する。
【0066】
また、ステップS103において、マイコン部63は、発光部20の点滅の周期を通常の周期に変更する。マイコン部63は、点滅の周期を通常の周期に変更するとともに、クロック信号の周期も、変更した周期に応じて通常の周期に変更する。ステップS103の処理後に、マイコン部63は、異常検出の処理を終了する。
【0067】
なお、上述したステップS101からステップS103の処理は、発光部20の点滅させる際に実行される。
【0068】
以上説明したように、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1(シーケンシャル発光装置)は、複数段の発光部20と、プリドライバ部10と、制御ユニット60(制御部)とを備える。プリドライバ部10は、複数段の発光部20にそれぞれに対応して配置され、供給されたクロック信号に応じて、複数段のうちの対象段の発光部20を点灯させるとともに点灯状態を保持する機能を有する。プリドライバ部10は、前段の発光部20が点灯し、且つ、前段の発光部20を点灯させたクロック信号の立上りエッジ又は立下りエッジとは異なる向きのクロック信号のエッジを検出した場合に、対象段の発光部20を点灯させる駆動信号を出力する。制御ユニット60は、複数段の発光部20を点灯させる場合に、複数段の発光部20に駆動電力を供給し、クロック信号をプリドライバ部10に供給する。
【0069】
これにより、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1は、クロック信号のエッジ及び前段の点灯状態の検出と、点灯状態を保持する簡易な機能を有するプリドライバ部10により、構成を簡略化することができ、省スペース化を実現することができる。また、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1は、クロック信号を供給することで、発光部20を順次点灯させることができるため、制御線の数を少なく抑えることができる。すなわち、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1では、例えば、制御線の数は、電力供給線L1とクロック信号線L2との2本であり、2本という少ない制御線の数でシーケンシャルに点灯するウインカー(発光装置)を簡単に実現することができる。
【0070】
また、本実施形態では、2段目以降の対象段に対応するプリドライバ部10は、ロジック部40(50)と、ラッチ部30とを備える。ロジック部40(50)は、対象段に対応するクロック信号のエッジ(立上りエッジ又は立下りエッジ)を検出する。ラッチ部30は、ロジック部40(50)が対象段に対応するクロック信号のエッジを検出した場合に、駆動信号を出力するとともに、駆動信号を出力した状態を保持する。
【0071】
これにより、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1は、ロジック部40(50)とラッチ部30との簡単な構成の組み合わせにより、容易にシーケンシャルに点灯するウインカー(発光装置)を実現することができる。
【0072】
また、本実施形態では、偶数段(2段目、4段目)に対応するラッチ部30(例えば、ラッチ部30-2、ラッチ部30-4)は、前段のプリドライバ部10が駆動信号を出力し、且つ、ロジック部40(50)が対象段に対応するクロック信号のエッジを検出した場合に、駆動信号を出力する。
これにより、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1は、簡易な構成のラッチ部30により、容易にシーケンシャルに点灯するウインカー(発光装置)を実現することができる。
【0073】
また、本実施形態では、奇数段(3段目)に対応するロジック部50は、対象段(3段目)に対応するクロック信号のエッジ(例えば、立上りエッジ)を検出し、且つ、前段(2段目)のプリドライバ部13が駆動信号D2を出力している場合に、プリドライバ部13に、駆動信号D3を出力させる。
これにより、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1は、簡易な構成のロジック部50により、容易にシーケンシャルに点灯するウインカー(発光装置)を実現することができる。
【0074】
また、本実施形態では、発光部20は、少なくとも1つの発光素子(発光ダイオード22、発光ダイオード23)と、プリドライバ部10からの駆動信号に基づいて、発光素子(発光ダイオード22、発光ダイオード23)を発光させるドライバ部70とを備える。
これにより、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1は、さらに簡易な構成により、発光部20を点灯させることができる。
【0075】
また、本実施形態では、制御ユニット60(マイコン部63)は、複数段の発光部20を消灯させる場合に、複数段の発光部20に駆動電力の供給を停止する。
これにより、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1は、簡単な手法により、複数段の発光部20を一斉に消灯することができる。
【0076】
また、本実施形態では、制御ユニット60(マイコン部63)は、駆動電力を供給する電力線(電力供給線L1)に流れる電流に基づいて、発光部20の異常を検出し、発光部20の異常を検出した場合に、複数段の発光部20の点滅の周期を変更する。
これにより、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1は、簡単な手法により、複数段の発光部20の異常を検出するとともに、発光部20の異常を外部に認知させることができる。
【0077】
また、本実施形態による制御ユニット60(制御装置)は、シーケンシャルウインカー1(シーケンシャル発光装置)を制御する制御装置であって、複数段の発光部20を点灯させる場合に、複数段の発光部20に駆動電力を供給し、クロック信号をプリドライバ部10に供給するマイコン部63(制御部)を備える。
これにより、本実施形態による制御ユニット60は、上述したシーケンシャルウインカー1と同様の効果を奏し、構成を簡略化し、省スペース化することができる。
【0078】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して、第2の実施形態によるシーケンシャルウインカー1aについて説明する。本実施形態によるシーケンシャルウインカー1aでは、発光部20を点灯させるクロック信号のエッジの向きを、上述した第1の実施形態と異なる向きに変更した変形例について説明する。
【0079】
図5は、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1aの一例を示すブロック図である。
図5に示すように、シーケンシャルウインカー1aは、制御ユニット60と、ウインカー部100aとを備えている。
【0080】
ウインカー部100aは、複数段の発光部20-1~20-4と、発光部20-1~20-4に対応した、複数のプリドライバ部11~14と、インバータ回路101とを備えている。本実施形態によるウインカー部100aは、インバータ回路101を備える点が第1の実施形態と異なる。
なお、図5において、図1と同一の構成には、同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0081】
インバータ回路101は、クロック信号線L2のクロック信号を論理反転する反転回路であり、クロック信号の信号なまりを低減し、クロック信号の駆動能力を向上するバッファ回路の機能も備えている。インバータ回路101によって、各プリドライバ部10には、論理反転したクロック信号が供給される。
【0082】
次に、図6を参照して、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1aの動作について説明する。
【0083】
図6は、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1aの動作の一例を示すタイミングチャート図である。
図6において、波形W11~W16は、順番に、電力供給線L1の信号の論理状態と、クロック信号線L2のクロック信号の論理状態と、発光部20-1、発光部20-2、発光部20-3、及び発光部20-4の点灯状態とを示している。
【0084】
本実施形態では、図6に示すように、時刻T11において、制御ユニット60のマイコン部63が、出力ドライバ64に電力供給線L1への駆動電力の供給を開始させる(波形W11を参照)。
また、インバータ回路101によりウインカー部100aの内部では、論理反転されたクロック信号が使用されるため、時刻T12において、マイコン部63が、出力バッファ65を介してクロック信号をLow状態にすると、1段目(初段)のプリドライバ部11が駆動信号D1を出力して、1段目の発光部20-1が点灯される(波形W13を参照)。すなわち、ウインカー部100aは、クロック信号の立下りエッジを検出して、1段目の発光部20-1を点灯させる。
【0085】
次に、時刻T13において、マイコン部63が、クロック信号を再びHigh状態にすると、2段目のプリドライバ部12が駆動信号D2を出力して、2段目の発光部20-2が点灯される(波形W14を参照)。すなわち、ウインカー部100aは、クロック信号の立上りエッジを検出して、2段目の発光部20-2を点灯させる。
【0086】
次に、時刻T14において、マイコン部63が、クロック信号を再びLow状態にすると、3段目のプリドライバ部13が駆動信号D3を出力して、3段目の発光部20-3が点灯される(波形W15を参照)。すなわち、ウインカー部100aは、クロック信号の立下りエッジを検出して、3段目の発光部20-3を点灯させる。
【0087】
次に、時刻T15において、マイコン部63が、クロック信号を再びHigh状態にすると、4段目のプリドライバ部14が駆動信号D4を出力して、4段目の発光部20-4が点灯される(波形W16を参照)。すなわち、ウインカー部100aは、クロック信号の立上りエッジを検出して、4段目の発光部20-4を点灯させる。
【0088】
次に、時刻T16において、マイコン部63が、出力ドライバ64に電力供給線L1への駆動電力の供給を停止させると、1段目の発光部20-1~4段目の発光部20-4の全てが消灯される。
このように、マイコン部63は、1段目の発光部20-1~4段目の発光部20-4のシーケンシャルな点灯と、これら発光部20の一斉の消灯とを繰り返し、ウインカー部100aの発光部20を点滅させる。
【0089】
以上説明したように、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1aは、第1の実施形態とは異なる向きのクロック信号のエッジにより、1段目の発光部20-1~4段目の発光部20-4を順次点灯する。このように、本実施形態によるシーケンシャルウインカー1aは、第1の実施形態と同様の効果を奏し、構成を簡略化し、省スペース化することができる。
【0090】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態では、発光装置の一例として車両に使用するウインカーである例を説明したがこれに限定されるものではなく、他の発光装置に適用してもよい。
【0091】
また、上記の各実施形態において、複数段の発光部20が、4段である例を説明したが、他の段数(例えば、2段、3段、5段以上など)の発光部20を備えるシーケンシャルウインカーに適用してもよい。
また、上記の各実施形態において、発光部20は、直列に接続した2つの発光ダイオード(22,23)を備える例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、1個の発光ダイオードや3個以上の複数の発光ダイオードを備えるようにしてもよい。
【0092】
また、上記の各実施形態において、発光素子の一例として、発光ダイオードを用いる例を説明したが、他の発光素子を用いるようにしてもよい。
また、上記の各実施形態において、ラッチ部30、ロジック部40、ロジック部50、及びドライバ部70は、上述した構成に限定されるものではなく、他の構成で実現されてもよい。
【0093】
また、上記の各実施形態において、プリドライバ部10は、ラッチ部30と、ロジック部40(50)とで構成する例を説明したが、これに限定されるものではなく、IC(Integrated Circuit)などで実現してもよいし、ディスクリート部品で実現してもよい。
【0094】
また、上記の各実施形態において、マイコン部63は、出力バッファ65を介して、クロック信号をウインカー部100に供給する例を説明したが、出力バッファ65を備えずに、マイコン部63から直接、ウインカー部100に供給するようにしてもよい。
【0095】
また、マイコン部63は、クロック信号の周期、及び電力供給線L1による点滅の周期は、状況に応じて適宜変更してもよい。例えば、ハザードランプとして発光部20を点滅させる場合には、マイコン部63は、クロック信号の周期を短くして、シーケンシャルな点灯にならないように制御してもよい。
【0096】
また、上記の各実施形態において、出力ドライバ64が、不図示の電流検出部を備え、電流検出部が電力供給線L1に流れる駆動電流(出力電流)を検出する例を説明したが、これに限定されるものではなく、出力ドライバ64とは別に電流検出部を備えるようにしてもよい。
また、上記の各実施形態において、制御ユニット60は、電力供給線L1に流れる駆動電流に基づいて、発光部20の異常を検出する例を説明したが、他の方式で異常を検出するようにしてもよい。
【0097】
なお、上述した制御ユニット60が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した制御ユニット60が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した制御ユニット60が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0098】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1、1a シーケンシャルウインカー
2 バッテリ
10、11、12、13、14 プリドライバ部
20、20-1、20-2、20-3、20-4 発光部
21、25、26 抵抗
22、23 発光ダイオード
24 ツェナーダイオード
27 トランジスタ
30、30-1、30-2、30-3、30-4 ラッチ部
31 OR回路
32、51 AND回路
40、40-1、40-2、50 ロジック部
41、101 インバータ回路
60 制御ユニット
61 ダイオード
62 レギュレータ
63 マイコン部
64 出力ドライバ
65 出力バッファ
70 ドライバ部
100、100a ウインカー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6