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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/48 20060101AFI20230510BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
H01L23/48 S
H01L21/60 321E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019114918
(22)【出願日】2019-06-20
(65)【公開番号】P2021002570
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】竹原 奈津紀
(72)【発明者】
【氏名】篠竹 洋平
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-028700(JP,A)
【文献】特開2018-207078(JP,A)
【文献】特開2000-174201(JP,A)
【文献】国際公開第2012/157584(WO,A1)
【文献】実開昭63-170961(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/447-21/449
H01L21/60 -21/607
H01L23/48
H01L23/50
H01L25/00 -25/07
H01L25/10 -25/11
H01L25/16 -25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極パッドを有する半導体チップと、
接合材を介して前記電極パッドに接合される第一接続部材及び第二接続部材と、を備え、
前記電極パッドに接合される前記第一接続部材の接合端部には、貫通孔が形成され、
前記第二接続部材の接合端部は、前記貫通孔を通して前記電極パッドに接合される半導体装置。
【請求項2】
前記貫通孔は、その貫通方向から見て円形状に形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第一接続部材の接合端部は、前記貫通孔の貫通方向から見て円形状に形成されている請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第一接続部材の接合端部のうち前記電極パッドに対向する対向面は、
前記貫通孔の縁に接する環状の第一対向領域と、
前記第一対向領域の外周縁に接し、前記第一対向領域よりも前記電極パッドから離れて位置する環状の第二対向領域と、
を含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第二接続部材は検出クリップである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第二接続部材の接合端部は、前記第一接続部材の接合端部に接触しない状態で前記電極パッドに接合されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には、半導体チップの同一の電極パッドに複数の接続部材を接続したものがある。複数の接続部材は、電極パッドを互いに異なる配線部(例えば基板の配線パターンや外部端子)に電気接続する。
特許文献1には、半田等の接合材(チップ半田層)を介して第一接続部材(ソース用分割リードフレーム)を半導体チップの電極パッド(ソースパッド電極)に接合し、第二接続部材(ソース信号用分割リードフレーム)を半導体チップから離れた位置で接合材を介して第一接続部材に接合した半導体装置(パワーモジュール)が開示されている。すなわち、特許文献1の半導体装置では、第一接続部材が電極パッドに直接接続され、第二接続部材が第一接続部材を介して電極パッドに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-4796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の半導体装置では、第一接続部材と第二接続部材とを接合した後に、第一接続部材を電極パッドに接合する必要がある。このため、複数の接続部材を電極パッドに接続する工程数が多く、半導体装置の製造効率が低い、という問題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、製造効率を向上できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、電極パッドを有する半導体チップと、接合材を介して前記電極パッドに接合される第一接続部材及び第二接続部材と、を備え、前記電極パッドに接合される前記第一接続部材の接合端部には、貫通孔が形成され、前記第二接続部材の接合端部は、前記貫通孔を通して前記電極パッドに接合される半導体装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第一、第二接続部材の両方の接合端部が、接合材を介して半導体チップの同一の電極パッドに接合される。このため、1回のリフローを実施するだけで、第一、第二接続部材を同時に電極パッドに接合することができる。すなわち、第一、第二接続部材を電極パッドに接続する工程数を減らすことができる。したがって、半導体装置の製造効率の向上を図ることができる。
また、本発明によれば、第二接続部材の接合端部は、貫通孔によって環状に形成された第一接続部材の接合端部に囲まれている。これにより、第一、第二接続部材をリフローによって電極パッドに接合する際に接合材が溶融して流動しても、第二接続部材の接合端部が第一接続部材の接合端部に対して位置ずれすることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置の要部を示す平面図である。
図2図1のII-II矢視断面図である。
図3図2の半導体装置の要部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1~3を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1,2に示すように、本実施形態に係る半導体装置1は、半導体チップ2と、第一接続部材3及び第二接続部材4と、を備える。
【0010】
半導体チップ2は、電極パッドを有する。本実施形態の半導体チップ2は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:MOS電界効果トランジスタ)であり、電極パッドとしてソース電極11、ゲート電極12及びドレイン電極13を有する。ソース電極11及びゲート電極12は板状とされた半導体チップ2の上面に配され、ドレイン電極13は半導体チップ2の下面に配される。
【0011】
第一接続部材3及び第二接続部材4は、それぞれ接合材5Aを介して半導体チップ2のソース電極11(電極パッド)に接合される。接合材5Aは、半田ペーストや導電性ペーストなどであってよい。
ソース電極11に接合される第一接続部材3の接合端部21(以下、第一電極接合端部21と呼ぶ。)には、貫通孔23が形成されている。第一電極接合端部21は、ソース電極11(接合材5A)の一部が貫通孔23を通して外側に露出するようにソース電極11上に配される。第二接続部材4の接合端部31(以下、第二電極接合端部31と呼ぶ。)は、第一接続部材3の貫通孔23を通してソース電極11に接合される。
【0012】
本実施形態の第一、第二接続部材3,4は、それぞれ銅などの導電性材料からなり、帯板状に形成されている。
第一接続部材3の第一電極接合端部21は、第一接続部材3の長手方向の一方の端部である。第一接続部材3の他方の端部は、半導体チップ2と共に半導体装置1の回路を構成する配線部9に接合される接合端部22(以下、第一配線接合端部22と呼ぶ。)である。すなわち、第一接続部材3は、半導体チップ2と半導体装置1の配線部9とを電気的に接続する。第一接続部材3は、その長手方向の中途部が両端部(第一電極接合端部21、第一配線接合端部22)よりも高く位置するようにアーチ状(あるいはコ字状)に形成されている。
【0013】
第一接続部材3の貫通孔23は、第一電極接合端部21をその板厚方向に貫通する。貫通孔23は、その貫通方向から見て円形状に形成されている(特に図1参照)。
第一電極接合端部21の外形は、貫通孔23の貫通方向から見て円形状に形成されている(特に図1参照)。また、第一電極接合端部21の外形は、前述した貫通孔23と同心の円形状に形成されている。図1に例示する第一電極接合端部21の外形は、半円状に形成されているが、これに限ることはない。
【0014】
貫通孔23を有する第一電極接合端部21は、環状に形成されている。図示例の第一電極接合端部21は、その周方向の一部を切り欠いていないO字型の環状に形成されているが、これに限ることはない。環状とされた第一電極接合端部21は、例えばその周方向の一部を切り欠いたC字型の環状に形成されてもよい。すなわち、貫通孔23は、その周方向の一部において、図1のように第一電極接合端部21の外縁に開口しなくてもよいし、例えば第一電極接合端部21の外縁に開口してもよい。
【0015】
図3に示すように、ソース電極11に対向する第一電極接合端部21の対向面24は、第一対向領域24Aと、第二対向領域24Bと、を含む。第一対向領域24Aは、貫通孔23の縁に接する環状の領域である。第二対向領域24Bは、第一対向領域24Aの外周縁に接する環状の領域である。すなわち、第二対向領域24Bは、貫通孔23の径方向において第一対向領域24Aの外側に隣り合わせて位置する。第二対向領域24Bは、第一対向領域24Aよりもソース電極11から離れて位置する。本実施形態では、第一電極接合端部21の板厚方向において、第一対向領域24Aと第二対向領域24Bとの間に段差がある。高さ位置が互いに異なる第一、第二対向領域24A,24Bを含む対向面24は、例えば第一電極接合端部21にコイニング加工を施すことで形成することができる。
【0016】
図2に示すように、第一接続部材3の第一配線接合端部22のうち配線部9(例えば後述する基板6の第二上側金属板43)に対向する対向面25には、第一電極接合端部21と同様の段差26が形成されている。
【0017】
本実施形態において、第一接続部材3は大電流(例えば電源電流)が流れる配線として機能する。
【0018】
図1,2に示すように、第二接続部材4の第二電極接合端部31は、第二接続部材4の長手方向の一方の端部である。第二接続部材4の他方の端部は、半導体チップ2と共に半導体装置1の回路を構成する配線部9に接合される接合端部32(以下、第二配線接合端部32と呼ぶ。)である。すなわち、第二接続部材4は、第一接続部材3と同様に、半導体チップ2と半導体装置1の配線部9とを電気的に接続する。第二接続部材4は、その長手方向の中途部が両端部(第二電極接合端部31、第二配線接合端部32)よりも高く位置するようにアーチ状(あるいはコ字状)に形成されている。
貫通孔23の貫通方向から見た第二電極接合端部31の大きさは、第一電極接合端部21の貫通孔23よりも小さい。これにより、第二電極接合端部31を貫通孔23の内側に通すことができる。
【0019】
本実施形態における第二接続部材4は、検出クリップである。検出クリップは、ソース電極11における電圧や電位、あるいはソース電極11に流れる電流の大きさを検出するためのものである。検出クリップは、ソース電極11において検出された各種の検出信号を半導体装置1の外部に送出する役割を果たす。
【0020】
図3に示すように、第二接続部材4の第二電極接合端部31は、第一接続部材3の第一電極接合端部21に接触しない状態でソース電極11に接合されている。図示例では、ソース電極11に接合された第二電極接合端部31が、第一電極接合端部21の貫通孔23の内側に配されるが、貫通孔23の縁に接触しない。
【0021】
以下、本実施形態の半導体装置1についてより具体的に説明する。
図1,2に示すように、本実施形態の半導体装置1は、上記した半導体チップ2、第一、第二接続部材3,4と共に半導体装置1の回路を構成する基板6及びリードフレーム7を備える。
【0022】
基板6は、少なくとも上面に半導体チップ2、第一、第二接続部材3,4と共に半導体装置1の回路を構成する配線部を形成した配線基板であればよい。本実施形態の基板6は、セラミック板等のように電気的な絶縁性を有する絶縁板41と、銅などの金属からなり、絶縁板41の上面及び下面にそれぞれ形成された上側金属板42,43及び下側金属板44と、を備える。
【0023】
絶縁板41の上面に形成された上側金属板42,43は、半導体チップ2、第一、第二接続部材3,4と共に半導体装置1の回路を構成する配線部9である。上側金属板42,43の数は任意であってよいが、本実施形態では二つである。
第一上側金属板42には、半導体チップ2が搭載される。具体的には、半導体チップ2のドレイン電極13が半田ペーストや導電性ペースト等の接合材5Bを介して第一上側金属板42に接合される。これにより、半導体チップ2と第一上側金属板42とが電気的に接続される。
第二上側金属板43には、半田ペーストや導電性ペースト等の接合材5Cを介して第一接続部材3の第一配線接合端部22が接合される。これにより、半導体チップ2と第二上側金属板43とが第一接続部材3によって電気的に接続される。
【0024】
絶縁板41の下面に形成された下側金属板44は、絶縁板41によって上側金属板42,43と電気的に絶縁されている。下側金属板44は、例えば半導体チップ2において生じた熱を半導体装置1の外部に逃がすための放熱板であってよい。
【0025】
リードフレーム7は、導電性の板材からなり、外部端子51,52(リード)を含む。外部端子51,52は、半導体チップ2、第一、第二接続部材3,4と共に半導体装置1の回路を構成する配線部9である。外部端子51,52は、半導体装置1を他の回路や機器に電気的に接続する役割を有する。本実施形態では、リードフレーム7が複数の外部端子51,52を含む。図1には二つの外部端子51,52だけが記載されているが、外部端子51,52の数はこれに限らない。
【0026】
半導体チップ2や基板6に対する二つの外部端子51,52の配置は任意であってよい。図1,2において、二つの外部端子51,52は、基板6の第二上側金属板43との間に第一上側金属板42及びこれに接合された半導体チップ2が位置するように、配される。また、二つの外部端子51,52は、基板6の板厚方向から見て、第一上側金属板42(半導体チップ2)及び第二上側金属板43の配列方向に直交する方向(図1において上下方向)に配列されている。図2において、外部端子51,52は基板6(特に上側金属板42,43)よりも上方に位置しているが、これに限ることはない。
【0027】
第一外部端子51には、半田ペーストや導電性ペースト等の接合材(不図示)を介して第二接続部材4の第二配線接合端部32が接合される。これにより、半導体チップ2のソース電極11と第一外部端子51とが第二接続部材4によって電気的に接続される。前述したように、本実施形態の第二接続部材4が検出クリップであることで、第一外部端子51は、ソース電極11において検出された各種の検出信号を半導体装置1の外部に送出するための端子として機能する。
第二外部端子52は、ワイヤ8によって半導体チップ2のゲート電極12と電気的に接続される。すなわち、第二外部端子52は半導体装置1におけるゲート端子として機能する。
【0028】
図示しないが、本実施形態の半導体装置1は、上記した半導体チップ2、第一、第二接続部材3,4、基板6、リードフレーム7及びワイヤ8を封止する封止樹脂(不図示)を備えてよい。封止樹脂の外側には、少なくともリードフレーム7の外部端子51,52が露出すればよい。また、封止樹脂の外側には、例えば基板6の下側金属板44が露出してもよい。
【0029】
以上のように構成される本実施形態の半導体装置1は、例えば以下の手順で製造することができる。
半導体装置1の製造する際には、はじめに、塗布工程と、配置工程とを実施する。
塗布工程では、基板6の上側金属板42,43及びリードフレーム7の第一外部端子51に接合材5B,5Cを塗布する。また、塗布工程では、半導体チップ2のソース電極11に接合材5Aを塗布する。ソース電極11に対する接合材5Aの塗布は、例えば後述する配置工程において基板6に対して半導体チップ2を配置した後に実施されてよい。
【0030】
配置工程では、基板6及びリードフレーム7に対して半導体チップ2、第一接続部材3及び第二接続部材4をこの順番で配置する。
具体的に、配置工程では、はじめに、半導体チップ2を基板6の第一上側金属板42上に配置する。この状態では、半導体チップ2のドレイン電極13と基板6の第一上側金属板42との間に接合材5Bが介在する。
半導体チップ2の配置後には、第一接続部材3の第一電極接合端部21及び第一配線接合端部22を、それぞれ半導体チップ2のソース電極11上及び基板6の第二上側金属板43上に配置する。この状態では、第一電極接合端部21とソース電極11との間に接合材5Aが介在する。同様に、第一配線接合端部22と第二上側金属板43との間に接合材5Cが介在する。
【0031】
その後、第二接続部材4の第二電極接合端部31及び第二配線接合端部32を、それぞれ半導体チップ2のソース電極11上及びリードフレーム7の第一外部端子51上に配置する。この際、第二電極接合端部31は、第一電極接合端部21の貫通孔23の内側に通した上で、ソース電極11上に配置する。この状態では、第二電極接合端部31とソース電極11との間に接合材5Aが介在する。同様に、第二配線接合端部32と第一外部端子51との間に接合材(不図示)が介在する。
以上により、配置工程が完了する。
【0032】
配置工程後には、リフロー工程を実施する。リフロー工程では、上記した接合材5A,5B,5Cを加熱によって一時的に溶融することで、半導体チップ2が第一上側金属板42に接合される。また、第一、第二接続部材3,4が半導体チップ2、第二上側金属板43、第一外部端子51に適宜接合される。これにより、半導体チップ2と第一上側金属板42とが電気的に接続される。また、半導体チップ2と第二上側金属板43とが第一接続部材3によって電気的に接続される。また、半導体チップ2と第一外部端子51とが第二接続部材4によって電気的に接続される。
【0033】
リフロー工程後には、洗浄工程を実施する。洗浄工程では、各部材に残った不純物を化学品等を使用して除去する。洗浄工程後には、ワイヤボンディングによって半導体チップ2のゲート電極12とリードフレーム7の第二外部端子52とをワイヤ8で電気的に接続する(ワイヤボンディング工程)。上記した全ての工程が完了した後には、例えば半導体チップ2、第一、第二接続部材3,4、基板6、リードフレーム7及びワイヤ8を封止樹脂によって封止してよい(封止工程)。
以上により、本実施形態に係る半導体装置1の製造方法が完了する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の半導体装置1によれば、第一、第二接続部材3,4の第一、第二電極接合端部21,31が、接合材5Aを介して半導体チップ2の同一のソース電極11に接合される。このため、1回のリフローを実施するだけで、第一、第二接続部材3,4を同時にソース電極11に接合することができる。すなわち、第一、第二接続部材3,4をソース電極11に接続する工程数を減らすことができる。したがって、半導体装置1の製造効率の向上を図ることができる。
【0035】
また、本実施形態の半導体装置1によれば、第二接続部材4の第二電極接合端部31が、第一接続部材3の貫通孔23を通してソース電極11に接合される。すなわち、第二電極接合端部31は、貫通孔23によって環状に形成された第一接続部材3の第一電極接合端部21に囲まれている。これにより、第一、第二接続部材3,4をリフローによってソース電極11に接合する際に接合材5Aが溶融して流動しても、第二電極接合端部31が第一電極接合端部21に対して位置ずれすることを抑制できる。
【0036】
また、本実施形態の半導体装置1によれば、接合材5Aをソース電極11に設けるだけで、第一、第二接続部材3,4の両方をソース電極11に接合できる。このため、第二接続部材4が第一接続部材3を介して電極パッドに接続される特許文献1の半導体装置と比較して、接合材を設ける箇所を減らすことができる。これにより、半導体装置1の製造効率をさらに向上できる。
【0037】
また、本実施形態の半導体装置1によれば、半導体チップ2に直接接合される第二接続部材4が帯板状に形成されている。このため、第二接続部材4を熱伝導率の高い材料で構成することができる。したがって、第二接続部材4によって半導体チップ2の熱を効率よく半導体装置1の外部に逃がすことが可能となる。
【0038】
また、本実施形態の半導体装置1によれば、第二電極接合端部31が第一電極接合端部21の貫通孔23を通してソース電極11に接合されることで、第一、第二電極接合端部21,31がソース電極11上で隣り合う場合と比較して、半導体装置1における配線の設計自由度を向上できる。
すなわち、第一、第二電極接合端部21,31がソース電極11上で隣り合う場合には、ソース電極11から延びる第一、第二接続部材3,4の向きが、互いの接合部位(第一、第二電極接合端部21,31)によって制限されてしまう。これに対し、第二電極接合端部31が第一電極接合端部21の貫通孔23の内側に位置する場合には、ソース電極11から延びる第一、第二接続部材3,4の向きが、互いの接合部位によって制限され難くなる。これにより、第一、第二接続部材3,4によってソース電極11に接続される配線部9(例えば第二上側金属板43や第一外部端子51)の配置をより自由に設定することができる。
【0039】
また、本実施形態の半導体装置1によれば、第一電極接合端部21に形成された貫通孔23は、その貫通方向から見て円形状に形成されている。また、第一電極接合端部21が、貫通孔23の貫通方向から見て円形状に形成されている。このため、半導体チップ2と第一接続部材3との線膨張係数の差に基づいてソース電極11と第一接続部材3とを接合する接合材5Aに作用する応力集中を緩和することができる。これにより、ソース電極11に対する第一接続部材3の接続の信頼性を向上できる。
【0040】
また、本実施形態の半導体装置1によれば、第一電極接合端部21のうちソース電極11に対向する対向面24が、貫通孔23の縁に接する環状の第一対向領域24Aと、第一対向領域24Aの外周縁に接する環状の第二対向領域24Bとを含む。そして、第二対向領域24Bは、第一対向領域24Aよりもソース電極11から離れて位置する。このため、図3に示すように、第一対向領域24Aとソース電極11との間に介在する接合材5Aの厚みが小さくても、第二対向領域24Bとソース電極11との間に介在する接合材5Aの厚みを確保することができる。これにより、ソース電極11に対する第一接続部材3の接続の信頼性を向上できる。
【0041】
また、本実施形態の半導体装置1によれば、配線部9(例えば基板6の第二上側金属板43)に対向する第一配線接合端部22の対向面25に、段差26が形成されている。このため、第一電極接合端部21の場合と同様に、第一配線接合端部22と第二上側金属板43との間に介在する接合材5Cの厚みを確保して、第二上側金属板43に対する第一接続部材3の接続の信頼性を向上できる。
【0042】
また、本実施形態の半導体装置1によれば、第二接続部材4の第二電極接合端部31は、第一接続部材3の第一電極接合端部21に接触しない状態でソース電極11に接合されている。このため、第一接続部材3やソース電極11に大電流が流れても、第二接続部材4の検出クリップとしての機能に影響が出ることを抑制できる。例えば、スイッチングノイズによる影響を抑制することができる。
【0043】
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0044】
本発明の半導体装置において、第二接続部材4の第二配線接合端部32は、例えば基板6の上側金属板(例えば第一、第二上側金属板42,43以外の上側金属板)に接合されてもよい。
【0045】
本発明の半導体装置において、半導体チップ2は、基板6に搭載されることに限らず、例えばリードフレーム7に搭載されてもよい。すなわち、本発明の半導体装置では、その回路の配線部がリードフレーム7のみによって構成されてもよい。
【0046】
本発明の半導体装置において、第一電極接合端部21に形成された貫通孔23は、例えば貫通孔23の貫通方向から見て多角形状に形成されてもよい。多角形状とされた貫通孔23の角数はより多い方が好ましい。この場合、上記実施形態と同様に、ソース電極11と第一接続部材3とを接合する接合材5Aに作用する応力集中を緩和して、ソース電極11に対する第一接続部材3の接続の信頼性を向上できる。
【0047】
本発明の半導体装置において、貫通孔23の貫通方向から見た第一電極接合端部21の外形は、例えば多角形状に形成されてもよい。多角形状とされた第一電極接合端部21の外形の角数はより多い方が好ましい。この場合、上記実施形態と同様に、ソース電極11と第一接続部材3とを接合する接合材5Aに作用する応力集中を緩和して、ソース電極11に対する第一接続部材3の接続の信頼性を向上できる。
【0048】
本発明の半導体装置において、第一接続部材3や第二接続部材4の他方の端部は、半導体装置の回路を構成する配線部に接合される配線接合端部22,32に限らず、例えば半導体装置を他の回路や機器に電気的に接続するための外部端子であってもよい。この場合、第一接続部材3や第二接続部材4は、例えばリードフレーム7によって構成されてもよい。
【0049】
本発明の半導体装置において、半導体チップは、少なくとも第一、第二接続部材3,4が接合される電極パッドを有していればよく、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)やダイオード等であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 半導体装置
2 半導体チップ
3 第一接続部材
4 第二接続部材
5A 接合材
6 基板
7 リードフレーム
8 ワイヤ
9 配線部
11 ソース電極(電極パッド)
21 第一電極接合端部(第一接続部材3の接合端部)
22 第一配線接合端部
23 貫通孔
24 対向面
24A 第一対向領域
24B 第二対向領域
31 第二電極接合端部(第二接続部材4の接合端部)
32 第二配線接合端部
図1
図2
図3