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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】横型ブラインド
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/382 20060101AFI20230510BHJP
   E06B 9/303 20060101ALI20230510BHJP
   E06B 9/384 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
E06B9/382
E06B9/303
E06B9/384
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019122353
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021008733
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】植松 貴俊
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/191186(WO,A1)
【文献】特開2014-40716(JP,A)
【文献】特開2013-227841(JP,A)
【文献】米国特許第5727613(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24-9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックスと、第1及び第2ラダーコードと、スラットと、昇降コードと、を備え、
第1及び第2ラダーコードと前記昇降コードは、前記ヘッドボックスから吊るされ、
前記スラットは、第1ラダーコードの横糸及び第2ラダーコードの横糸に支持され、
前記昇降コードは、第1ラダーコードの一対の縦糸のうちの一方に沿うように設けられ、
第1ラダーコードの各前記横糸は、第1ラダーコードの一対の前記縦糸のうちの一方の前記縦糸から他方の前記縦糸へ延びており、
第2ラダーコードには、前記昇降コードが設けられておらず、
次の構成(a)及び構成(b)のうちの少なくとも一方を備え、
前記構成(a)は、第1ラダーコードの各段に設けられた複数の前記横糸の間には、前記昇降コードが挿通されている構成であり、
前記構成(b)は、第1ラダーコードの各段の前記横糸の間には、前記昇降コードが挿通されている構成であり、
第1ラダーコードの前記横糸の耐摩耗性は、第2ラダーコードの前記横糸の耐摩耗性よりも高い、横型ブラインド。
【請求項2】
請求項1に記載の横型ブラインドであって、
前記スラットは、第1及び第2縁部を有し、
第1及び第2縁部は、前記スラットの長手方向の縁部であり、
前記昇降コードは、第1縁部或いは第2縁部を挿通している、又は、第1縁部或いは第2縁部に対向するように配置されている、横型ブラインド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の横型ブラインドであって、
前記スラットは、第1及び第2縁部を有し、
第1及び第2縁部は、前記スラットの長手方向の縁部であり、
前記スラットの上昇時において、第1縁部が第2縁部よりも下側に位置するように第1及び第2ラダーコードが変位した状態で、前記昇降コードが前記ヘッドボックスに引き込まれ、
前記スラットの下降時において、第1縁部が第2縁部よりも上側に位置するように第1及び第2ラダーコードが変位した状態で、前記昇降コードが前記ヘッドボックスから引き出される、横型ブラインド。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の横型ブラインドであって、
第1ラダーコードと第2ラダーコードとは、同じ繊維素材から構成され、
第1ラダーコードの前記横糸は、第2ラダーコードの前記横糸よりも太く構成されている、横型ブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横型ブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
横型ブラインドには、ヘッドボックスと、ラダーコードと、昇降コードと、スラットと、ボトムレールとを備えたものが各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の横型ブラインドにおいて、ラダーコードは、一対の縦糸及び複数段の一対の横糸を有する。そして、一対の縦糸はヘッドボックスから吊り下げられ、複数段の一対の横糸は前側の縦糸と後側の縦糸との間に設けられている。一対の横糸の間には、スラット及び昇降コードが通されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/191186号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば高機能な横型ブラインドの場合には、横糸の耐久性(耐摩耗性)や、光の高遮蔽性が求められることがある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、光の遮蔽性の低下を抑制しながら、横糸が切れてしまうことを抑制することができる、横型ブラインドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、ヘッドボックスと、第1及び第2ラダーコードと、スラットと、昇降コードと、を備え、第1及び第2ラダーコードと前記昇降コードは、前記ヘッドボックスから吊るされ、前記スラットは、第1ラダーコードの横糸及び第2ラダーコードの横糸に支持され、前記昇降コードは、第1ラダーコードの一対の縦糸のうちの一方に沿うように設けられ、第2ラダーコードには、前記昇降コードが設けられておらず、次の構成(a)及び構成(b)のうちの少なくとも一方を備え、前記構成(a)は、第1ラダーコードの各段に設けられた複数の前記横糸の間には、前記昇降コードが挿通されている構成であり、前記構成(b)は、第1ラダーコードの各段の前記横糸の間には、前記昇降コードが挿通されている構成であり、第1ラダーコードの前記横糸の耐摩耗性は、第2ラダーコードの前記横糸の耐摩耗性よりも高い、横型ブラインドが提供される。
【0007】
本発明によれば、昇降コードが挿通する第1ラダーコードの横糸の耐摩耗性は、第2ラダーコードの横糸の耐摩耗性よりも高くなっている。このため、昇降コードがヘッドボックス内に引き込まれる又はヘッドボックスから引き出されても、第1ラダーコードの横糸が摩耗して切れてしまうことが抑制される。
また、横糸の耐摩耗性が高くなると、スラットが適切に回動しづらくなり、横型ブラインドの光の遮光性が低下する場合がある。それに対し、本発明によれば、第2ラダーコードの横糸の耐摩耗性は第1ラダーコードの横糸と比較して抑えられているので、スラットが適切に回動しやすくなり、光の遮光性の低下が抑制される。
このように、本発明によれば、光の遮蔽性の低下を抑制しながら、横糸が切れてしまうことを抑制することができる。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記スラットは、第1及び第2縁部を有し、第1及び第2縁部は、前記スラットの長手方向の縁部であり、前記昇降コードは、第1縁部或いは第2縁部を挿通している、又は、第1縁部或いは第2縁部に対向するように配置されている、横型ブラインドが提供される。
好ましくは、前記スラットは、第1及び第2縁部を有し、第1及び第2縁部は、前記スラットの長手方向の縁部であり、前記スラットの上昇時において、第1縁部が第2縁部よりも下側に位置するように第1及び第2ラダーコードが変位した状態で、前記昇降コードが前記ヘッドボックスに引き込まれ、前記スラットの下降時において、第1縁部が第2縁部よりも上側に位置するように第1及び第2ラダーコードが変位した状態で、前記昇降コードが前記ヘッドボックスから引き出される、横型ブラインドが提供される。
好ましくは、第1ラダーコードと第2ラダーコードとは、同じ繊維素材から構成され、第1ラダーコードの前記横糸は、第2ラダーコードの前記横糸よりも太く構成されている、横型ブラインドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る横型ブラインド100の斜視図である。
図2図1に示す横型ブラインド100の右側面図である。
図3図3Aは、図1に示す端側領域Xにおけるスラット13、昇降コード1及びラダーコード2の説明図であり、図2に示す領域Aに対応する拡大図である。図3Bは、端側領域Xにおけるスラット13、昇降コード1及びラダーコード2の説明図であり、図2に示す領域Bに対応する拡大図である。図3Cは、図1に示す中間領域Yにおけるスラット13及びラダーコード2の説明図であり、図2に領域Aと同じ高さ位置に配置される構成を示している。
図4図4Aは、図1に示す中央領域Zにおけるスラット13、昇降コード1及びラダーコード2の説明図であり、昇降コード1が挿通される一対の横糸5のうち最上段に位置する一対の横糸5を示している。図4Bは、中央領域Zにおけるスラット13、昇降コード1及びラダーコード2の説明図であり、図2に示す領域Bと同じ高さ位置に配置される構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0011】
1.全体構成
図1に示すように、横型ブラインド100は、昇降コード1と、ラダーコード2と、ヘッドボックス10と、ブラケット11と、プーリー12と、スラット13と、ボトムレール14と、操作コード15と、図示省略の昇降軸及びチルト軸とを備えている。
横型ブラインド100は、昇降コード1及びラダーコード2をそれぞれ5組ずつ備えている。昇降コード1及びラダーコード2からなる各組は、ヘッドボックス10の長手方向に並ぶように配置されている。なお、昇降コード1及びラダーコード2の組数は、2組以上であれば、特に限定されるものではなく、本実施形態は、例えば7組の昇降コード1及びラダーコード2を有する横型ブラインドにも適用可能である。
【0012】
ブラケット11は、ヘッドボックス10を窓の上枠等といった被取付体に固定する。これにより、横型ブラインド100は被取付体に固定される。ヘッドボックス10内には、操作コード15が掛装されたプーリー12が設けられている。操作者が操作コード15を操作してプーリー12を回転させると、プーリー12の回転が図示省略のチルト軸及び昇降軸に伝達される。なお、チルト軸及び昇降軸はヘッドボックス10内に設けられている。
【0013】
図2に示すように、昇降コード1は、ヘッドボックス10から引き出され、ヘッドボックス10から吊るされている。昇降コード1の一端側は、図示省略の巻取部材に取り付けられ、昇降コード1は巻取部材に巻取り及び巻戻し可能になっている。なお、巻取部材は上述した昇降軸とともに一体回転するように構成され、また、巻取部材はヘッドボックス10内に設けられている。昇降コード1及びラダーコード2の下端部にはボトムレール14が取り付けられている。昇降コード1が巻取部材に巻き取られることで、スラット13はボトムレール14とともに上昇し、昇降コード1が巻取部材に巻き戻されることで、スラット13はボトムレール14とともに下降する。
【0014】
スラット13は、一対の横糸5(後述する第1横糸5A及び第2横糸5B)に挿入されている。スラット13は、各ラダーコード2の一対の横糸5に支持されている。スラット13は、前側縁部13f及び後側縁部13bを有する(図3B参照)。前側縁部13f及び後側縁部13bは、スラット13の長手方向に延びている。前側縁部13fが第1縁部に対応し、後側縁部13bが第2縁部に対応する。
【0015】
図2に示すように、ラダーコード2は、一対の縦糸(前側縦糸3及び後側縦糸4)と、その間に挟まれる複数の横糸5を備え、各横糸5によってスラット13が支持されている。図2に示すように、ラダーコード2の前側縦糸3及び後側縦糸4は、ヘッドボックス10からそれぞれ引き出され、ヘッドボックス10からそれぞれ吊り下げられている。ラダーコード2は図示省略のチルトドラムに取り付けられており、そして、チルトドラムの回転に追従してラダーコード2は変位可能となっている。なお、チルトドラムは上述したチルト軸とともに一体回転するように構成され、また、チルトドラムはヘッドボックス10内に設けられている。横型ブラインド100を右側面からみたときにおいてチルトドラムが例えば反時計周りに回転すると、前側縦糸3がヘッドボックス10から下方に引き出されるように変位し、後側縦糸4がヘッドボックス10内に引き戻されるように変位する。これにより、スラット13はその前側縁部13fが下に向くように回動する。チルトドラムの回転方向が逆であれば、スラット13は後側縁部13bが上に向くように回動する。
【0016】
2.ラダーコード2の詳細構成
実施形態に係る横型ブラインド100のラダーコード2は、2種類のラダーコードを有する。具体的には、ラダーコード2は、第1ラダーコード2Aと、第2ラダーコード2Bとを有する。第1ラダーコード2Aは、図1に示す2つの端側領域X及び1つの中央領域Zにそれぞれ配置されている。第2ラダーコード2Bは、図1に示す2つの中間領域Yにそれぞれ配置されている。また、第1及び第2ラダーコード2A,2Bは、同じ繊維素材で構成されている。
【0017】
2-1.第1ラダーコード2A
第1ラダーコード2Aは、一対の縦糸(前側縦糸3A及び後側縦糸4A)と、複数段の一対の第1横糸5A(第1ラダーコードの横糸に対応)とを有する。実施形態では、第1ラダーコード2Aが一対(2つで1組)の第1横糸5Aを複数有する形態を例に説明するが、これに限定されるものではなく、3つ或いはそれ以上で1組の第1横糸5Aを複数有する形態であってもよい。前側縦糸3A及び後側縦糸4Aは、ヘッドボックス10から吊り下げられている。前側縦糸3A及び後側縦糸4Aは一対の第1縦糸に対応する。
【0018】
2-1-1.端側領域Xの第1ラダーコード2A
図3Aに示すように、端側領域Xの第1ラダーコード2Aの一対の第1横糸5Aには、スラット13及び昇降コード1が挿通されている。また、昇降コード1は、一対の縦糸の一方と他方との間(前側縦糸3Aと後側縦糸4Aとの間)に設けられ、第1横糸5Aと昇降コード1とは交差している。なお、実施形態では、昇降コード1のうちヘッドボックス10から吊るされる部分(引き出されている部分)の一部が、一対の縦糸の間(前側縦糸3Aと後側縦糸4Aとの間)に設けられているが、これに限定されるものではなく、昇降コード1のうちヘッドボックス10から吊るされる部分の全部が、一対の縦糸の間(前側縦糸3Aと後側縦糸4Aとの間)に設けられていてもよい。
【0019】
図2及び図3Aに示すように、昇降コード1はヘッドボックス10の底面のうち背面寄りの部分から引き出されている。そして、図3Bに示すように、昇降コード1は、スラット13の後側縁部13bよりも、後方に位置している。昇降コード1は、最上段の一対の第1横糸5Aに挿通されている。また、昇降コード1は、最上段の一対の第1横糸5Aよりも下段の一対の第1横糸5Aにも挿通されている。なお、実施形態では、昇降コード1が最上段以降の一対の第1横糸5Aに挿通されている場合を例として説明しているが、これに限定されるものではない。昇降コード1は、例えば2段目以降の一対の第1横糸5Aに挿通されていてもよい。
【0020】
昇降コード1が一対の第1横糸5Aに挿通されているので、昇降コード1が図示省略の巻取部材に巻取られたとき又は巻戻されたときに、昇降コード1が一対の第1横糸5Aと擦れ合い、一対の第1横糸5Aが摩耗する。具体的には、図3Aに示す領域Rg1や図3Bに示す領域Rg2に示すように、昇降コード1は、複数段の一対の第1横糸5Aと擦れ合い、各一対の横糸が摩耗する。それに対し、後述する第2横糸5Bには、昇降コード1が挿通されないので、第2横糸5Bには、上述したような第1横糸5Aの摩耗は生じない。
そこで、実施形態では、第1横糸5Aは、第2横糸5Bよりも太く構成され、その結果、第1横糸5Aの耐摩耗性は、第2横糸5Bよりも高くなっている。具体的には、図3Aに示す第1横糸5Aの太さTh1は、図3Cに示す第2横糸5Bの太さTh2よりも、太い。これにより、一対の第1横糸5Aは、昇降コード1と擦れ合うことで、切れてしまうことが抑制されている。
【0021】
2-1-2.中央領域Zの第1ラダーコード2A
図4Aに示すように、中央領域Zの第1ラダーコード2Aの一対の第1横糸5Aにも、スラット13及び昇降コード1が挿通されている。また、昇降コード1は、一対の縦糸のうちの一方と他方との間(前側縦糸3Aと後側縦糸4Aとの間)に設けられ、第1横糸5Aと昇降コード1とは交差している。なお、実施形態では、昇降コード1のうちヘッドボックス10から吊るされる部分(引き出されている部分)の一部が、一対の縦糸の間(前側縦糸3Aと後側縦糸4Aとの間)に設けられているが、これに限定されるものではなく、昇降コード1のうちヘッドボックス10から吊るされる部分の全部が、一対の縦糸の間(前側縦糸3Aと後側縦糸4Aとの間)に設けられていてもよい。
【0022】
ここで、図示は省略しているが、中央領域Zでは、昇降コード1はヘッドボックス10の底面のうち前面寄りの部分から引き出されている。また、図4Bに示すように、昇降コード1は、スラット13の前側縁部13fよりも、前方に位置している。昇降コード1は、最上段の一対の第1横糸5Aには挿通されておらず、上から2段目の一対の第1横糸5Aに挿通されている。また、昇降コード1は、上から2段目の一対の第1横糸5Aよりも下段の一対の第1横糸5Aにも挿通されている。なお、実施形態では、昇降コード1が上から2段目以降の一対の第1横糸5Aに挿通されている場合を例として説明しているが、これに限定されるものではない。昇降コード1は、例えば3段目以降の一対の第1横糸5Aに挿通されていてもよい。
【0023】
中央領域Zの昇降コード1も、端側領域Xの昇降コード1と同様に、一対の第1横糸5Aに挿通されているので、昇降コード1が図示省略の巻取部材に巻取られたとき又は巻戻されたときに、昇降コード1が一対の第1横糸5Aと擦れ合い、一対の第1横糸5Aが摩耗する。具体的には、領域Rg1(図4A参照)や領域Rg2(図4B参照)に示すように、昇降コード1は、複数段の一対の第1横糸5Aと擦れ合い、各一対の横糸が摩耗する。しかし、図4Aに示す第1横糸5Aの太さTh1は、図3Cに示す第2横糸5Bの太さTh2よりも太くなっており、これにより、一対の第1横糸5Aが、昇降コード1と擦れ合うことで、切れてしまうことが抑制されている。
【0024】
2-2.第2ラダーコード2B
第2ラダーコード2Bの構成要素は第1ラダーコード2Aと共通である。図3Cに示すように、第2ラダーコード2Bは、一対の縦糸(前側縦糸3B及び後側縦糸4B)と、複数段の一対の第2横糸5B(第2ラダーコードの横糸に対応)とを有する。前側縦糸3B及び後側縦糸4Bは、ヘッドボックス10から吊り下げられている。前側縦糸3B及び後側縦糸4Bは一対の第2縦糸に対応する。
【0025】
図3Cに示すように、中間領域Yの第2ラダーコード2Bの一対の第2横糸5Bには、スラット13が挿通されているが、昇降コード1は挿通されていない。つまり、中間領域Yの第2ラダーコード2Bには、昇降コード1が設けられていない。このため、中間領域Yの第2ラダーコード2Bの第2横糸5Bには、第1ラダーコード2A程の耐摩耗性は必要がないため、第2横糸5Bの太さは、第1横糸5Aの太さよりも抑えられている。
【0026】
ここで、横糸の太さが太くなることで、横糸の耐摩耗性が高まるが、その一方、横糸の柔軟性が損なわれ、スラットが適切に回動しづらくなり、横型ブラインドの光の遮蔽性が低下する場合がある。また、スラットが全閉の状態(図2の状態)において、横糸が太い分、全閉姿勢のスラット間の隙間が広がってしまい、横型ブラインドの光の遮蔽性が低下する場合がある。
それに対し、実施形態では、第2横糸5Bの太さが上述のように抑えられているので、スラット13が適切に回動しづらくなることが抑制され、且つ、全閉姿勢のスラット13間の隙間が広がってしまうことが抑制され、その結果、光の遮蔽性の低下が抑制される。
なお、第1及び第2横糸5A,5Bの太さが同じではあるが、繊維素材が異なることにより、第1及び第2横糸5A,5Bの耐摩耗性が異なるようにする手段も考えられる。この手段は、スラット13が適切に回動しづらくなることが抑制され、且つ、全閉姿勢のスラット13間の隙間が広がってしまうことが抑制される。しかし、第1及び第2横糸5A,5Bの繊維素材が異なると、その分、横糸5の管理負担の増大や製造コストの増大を招く。それに対し、実施形態では、第1及び第2横糸5A,5Bの繊維素材は同じであるので、横糸5の管理負担の増大や製造コストの増大を回避することができる。
【0027】
2-4.第1横糸5A及び第2横糸5Bの耐摩耗性の評価方法
実施形態において、第1横糸5Aの太さと第2横糸5Bの太さとが異なることで、第1横糸5Aの耐摩耗性と第2横糸5Bの耐摩耗性とが異なっている。つまり、実施形態において、第1ラダーコード2Aと第2ラダーコード2Bとは、同じ繊維素材から構成され、そして、第1横糸5Aは、第2横糸5Bよりも太く構成されている。これにより、実施形態では、第1横糸5Aの耐摩耗性が、第2横糸5Bの耐摩耗性よりも高められている。ここで、第1横糸5A及び第2横糸5Bの耐摩耗性の評価方法の一例について説明する。ここでの説明では、第1横糸5A及び第2横糸5Bを横糸と総称する。
【0028】
まず、被評価対象である横糸が弛まないように、予め定められたテンションをかけた状態で横糸の両端部を固定する。次に、テンションがかけられた横糸の中央に、所定の冶具を予め定められた荷重をかけて摺動させる。この摺動動作を横糸が切れるまで繰り返す。
【0029】
なお、所定の冶具の摺動方向は、横糸に直交する方向である。
また、所定の冶具の摺動方法は、上述の摺動方向に平行に所定の冶具を往復させることを繰り返す方法であってもよいし、また、上述の摺動方向のうちの一方向に所定の冶具を摺動させることを繰り返す方法であってもよい。
また、所定の冶具の摺動速度は、一定とする。
また、上述の横糸の中央とは、固定された横糸の一方の端部と他方の端部との間の中央である。
また、横糸のうち所定の冶具で摺動する部分(ここでは、横糸の中央)は、変えないようにする。
【0030】
所定の冶具は、各種の冶具を採用可能である。例えば、表面に細かい凹凸が複数形成された金属製や樹脂製の棒状部材を採用することができる。横糸の耐摩耗性の評価では、所定の冶具の摺動回数を計測する。摺動回数が多い程、横糸の耐摩耗性が高いと評価することができる。
【0031】
3.スラット13等の昇降時の動作
横型ブラインド100は、図2に示すように、スラット13が閉(逆全閉又は全閉)の状態で、スラット13及びボトムレール14(図1参照)が上下に移動するように構成されている。
つまり、水平方向を向いているスラット13を上昇させる場合には、操作者が操作コード15を操作すると、まず、スラット13が回動して逆全閉となり、それから、スラット13及びボトムレール14が上昇する。より詳しくは、スラット13の上昇時において、スラット13の前側縁部13fが後側縁部13bよりも上側に位置するように第1及び第2ラダーコード2A,2Bが変位した状態で、昇降コード1が、図示省略の巻取部材に巻き取られ、ヘッドボックス10に引き込まれる。
また、スラット13を下降させる場合には、スラット13が全閉となり、それから、スラット13及びボトムレール14が下降する。つまり、スラット13の下降時において、スラット13の前側縁部13fが後側縁部13bよりも下側に位置するように第1及び第2ラダーコード2A,2Bが変位した状態で、昇降コード1が、巻取部材から巻戻され、ヘッドボックス10から引き出される。
【0032】
3-1.端側領域Xについて
ここで、スラット13が回動して全閉となると、図3Aに示すように、端側領域Xにおいて、スラット13が閉の状態における前側縦糸3Aと後側縦糸4Aとの間隔は、スラット13が開の状態における前側縦糸3Aと後側縦糸4Aとの間隔よりも狭くなる。その一方で、前側縦糸3A及び後側縦糸4Aがヘッドボックス10から引き出される位置は一定である。このため、図3Aに示すように、前側縦糸3A及び後側縦糸4Aは、前側縦糸3Aと後側縦糸4Aとの間隔が上から下にかけて徐々に狭くなるように、配置される。このとき、図3Aの領域Rg1に示すように、昇降コード1のうち最上段の第1横糸5Aに挿通される部分は、曲がっているため(図3Aの矢印Ar参照)、第1横糸5Aには当該部分が強く押し付けられやすい。このため、昇降コード1が図示省略の巻取部材に巻き取られたときに、最上段の第1横糸5Aは、昇降コード1と強く擦れ合いやすいため、最上段の一対の第1横糸5Aは下段の一対の第1横糸5Aと比較すると更に摩耗しやすい。実施形態のように、第1横糸5Aが第2横糸5Bよりも太く構成されることで、特に、最上段の第1横糸5Aが切れてしまうことが効果的に抑制される。
【0033】
3-2.中央領域Zについて
また、実施形態では、中央領域Zにおいて、昇降コード1は、最上段の一対の第1横糸5Aには挿通されていない。このため、中央領域Zにおける昇降コード1の上部の曲がり具合は、端側領域Xにおける昇降コード1の上部の曲がり具合と比較すると緩やかである(図4Aの矢印Ar参照)。つまり、昇降コード1が挿通される一対の第1横糸5Aのうち、最上段に位置する一対の第1横糸5Aは、端側領域Xにおける最上段の一対の第1横糸5Aと比較すると、昇降コード1が強く押し付けられにくい。このため、実施形態において、中央領域Zの第1ラダーコード2Aの第1横糸5Aの太さは、端側領域Xの第1ラダーコード2Aの第1横糸5Aと同じであるが、端側領域Xの第1ラダーコード2Aの第1横糸5Aよりも細くてもよい。
【0034】
4.実施形態の効果
実施形態に係る横型ブラインド100は、昇降コード1が挿通する第1横糸5Aの耐摩耗性が、第2横糸5Bの耐摩耗性よりも高くなっている。このため、昇降コード1がヘッドボックス10内に引き込まれるとき又はヘッドボックス10から引き出されるときにおいて、昇降コード1が第1横糸5Aと擦れ合っても、第1横糸5Aが摩耗して切れてしまうことが抑制される。
【0035】
なお、横糸の耐摩耗性が高くなると、スラットが適切に回動しづらくなり、横型ブラインドの光の遮光性が低下する場合がある。例えば、横糸の太さが太くなることで、横糸の耐摩耗性が高まる。その一方、横糸の柔軟性が損なわれ、スラットが適切に回動しづらくなり、横型ブラインドの光の遮蔽性が低下する場合がある。また、スラットが全閉の状態において、横糸が太い分、全閉姿勢のスラット間の隙間が広がってしまい、横型ブラインドの光の遮蔽性が低下する場合がある。
それに対し、実施形態において、第2横糸5Bの耐摩耗性は第1横糸5Aと比較して抑えられている。つまり、全てのラダーコード2の横糸5の耐摩耗性が、第1横糸5Aと同様に高められているわけではないことから、スラット13の回動のしやすさが損なわれることが抑制され、且つ、全閉姿勢のスラット13間に生じる隙間が広がることが抑制される。このため、実施形態に係る横型ブラインド100は、第1横糸5Aを備えていても、光の遮光性の低下が抑制される。
【0036】
このように、実施形態に係る横型ブラインド100は、耐摩耗性が異なる第1及び第2横糸5A,5Bが混在しているため、光の遮蔽性の低下を抑制しながら、横糸5が切れてしまうことを抑制することができる。
【0037】
スラットが短手方向の中央部に挿通孔を有し、昇降コードが当該挿通孔に挿入される形態が横型ブラインドに採用される場合、光の遮蔽性が低下する。そこで、実施形態では、昇降コード1は、前側縁部13f又は後側縁部13bに対向するように配置されている。ここで、昇降コード1は、前側縁部13f又は後側縁部13bに対向するように配置されると、昇降コード1が第1横糸5Aと擦れ合う。しかし、実施形態では、第1横糸5Aの耐摩耗性が上述のように高められているので、実施形態に係る横型ブラインド100は、スラットの挿通孔形成による光の遮蔽性の低下を回避しながら、横糸5が切れてしまうことを抑制することができる。
【0038】
横型ブラインド100は、図2に示すように、スラット13が閉の状態で、スラット13及びボトムレール14(図1参照)が上下に移動するように構成されている。つまり、横型ブラインド100は、チルト動作が完了した状態で、昇降動作が効くように構成されている。このような構成では、3-1.端側領域Xで説明したように、特に最上段の第1横糸5Aは、昇降コード1と強く擦れ合い、最上段の一対の第1横糸5Aの摩耗が促進しやすい。しかし、実施形態では、第1横糸5Aの耐摩耗性が上述のように高められているので、実施形態に係る横型ブラインド100は、チルド動作が完了した状態で、昇降動作が効くように構成されていたとしても、横糸5が切れてしまうことを抑制することができる。
【0039】
5.その他の実施形態
5-1.変形例1
実施形態において、第1及び第2ラダーコード2A,2Bは、同じ繊維素材で構成されているものとして説明したが、それに限定されるものではない。第1横糸5Aの繊維素材と第2横糸5Bの繊維素材とが異なることで、第1横糸5Aの耐摩耗性と第2横糸5Bの耐摩耗性とが異なっていてもよい。第1横糸5A(第1ラダーコード2A)は、例えば、耐摩耗性に優れるアラミド繊維又は超高分子ポリエチレン繊維等で構成し、第2横糸5B(第2ラダーコード2B)は、例えば一般的なポリエステル繊維で構成することができる。なお、この場合において、第1横糸5Aの太さ及び第2横糸5Bの太さは同じであるものとして説明しているが、それに限定されるものではない。第2横糸5Bの耐摩耗性が第1横糸5Aの耐摩耗性より高くならない範囲であれば、第1横糸5Aの太さ及び第2横糸5Bの太さは異なっていてもよい。この形態においても、第1及び第2横糸5A,5Bの耐摩耗性の評価方法には、2-4.第1横糸5A及び第2横糸5Bの耐摩耗性の評価方法を採用することができる。
【0040】
5-2.変形例2
実施形態では、各ラダーコード2の横糸5が対をなしている形態であったが、これに限定されるものではない。各ラダーコード2は、対をなさない1つの横糸5が、上下方向に複数段配置され、昇降コード1が、ラダーコード2の各段(例えば上下に隣接する段)の横糸5の間に、挿通されていてもよい。この場合においても、スラット13は横糸5上に配置され、スラット13は横糸5に支持される。
また、各ラダーコード2は、実施形態で説明したように横糸5が対をなしている部分と、本変形例2で説明した横糸5が対をなしていない部分との両方を有していてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 :昇降コード
2 :ラダーコード
2A :第1ラダーコード
2B :第2ラダーコード
3 :前側縦糸
3A :前側縦糸
3B :前側縦糸
4 :後側縦糸
4A :後側縦糸
4B :後側縦糸
5 :横糸
5A :第1横糸
5B :第2横糸
10 :ヘッドボックス
11 :ブラケット
12 :プーリー
13 :スラット
13b :後側縁部
13f :前側縁部
14 :ボトムレール
15 :操作コード
100 :横型ブラインド
Rg1 :領域
Rg2 :領域
X :端側領域
Y :中間領域
Z :中央領域
図1
図2
図3
図4