(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 41/12 20060101AFI20230510BHJP
A01D 67/00 20060101ALI20230510BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20230510BHJP
F01P 11/10 20060101ALI20230510BHJP
F01P 5/06 20060101ALI20230510BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20230510BHJP
F01P 11/00 20060101ALI20230510BHJP
F02M 35/04 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
A01D41/12 R
A01D41/12 E
A01D41/12 N
A01D67/00 C
B60K11/04 B
F01P11/10 J
F01P5/06 510Z
F02M37/00 301D
F01P11/00 C
F02M35/04 A
(21)【出願番号】P 2019140578
(22)【出願日】2019-07-31
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】丹後 芳史
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-076034(JP,A)
【文献】特開2004-058824(JP,A)
【文献】特開2018-015003(JP,A)
【文献】特開2016-217187(JP,A)
【文献】特開2019-004711(JP,A)
【文献】特開2018-135810(JP,A)
【文献】特開2017-198171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/12
A01D 67/00
B60K 11/04
F01P 11/10
F01P 5/06
F02M 37/00
F01P 11/00
F02M 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫物を脱穀する脱穀装置と、
前記脱穀装置の上方に設けられたエンジンと、
前記エンジンの機体横外方に設けられ、前記エンジンを冷却する冷却装置と、
前記冷却装置を収納支持する冷却装置用ケースと、
前記脱穀装置の上部から機体横外方へ延ばされ、前記冷却装置用ケースの下部を支持する第一ブラケットと、
前記冷却装置の下方に設けられる燃料タンクと、
前記脱穀装置から機体横外方へ延ばされ、前記燃料タンクを載置支持する第二ブラケットと、
前記第一ブラケットの機体横外端部と前記第二ブラケットの機体横外端部とを連結する縦フレームと、が備えられ、
前記冷却装置及び前記冷却装置用ケースは、前記脱穀装置の上端部よりも下側まで延ばされているコンバイン。
【請求項2】
収穫物を脱穀する脱穀装置と、
前記脱穀装置の上方に設けられたエンジンと、
前記エンジンに供給する燃焼用空気から塵埃を除去するエアクリーナ
と、
前記エンジンの機体横外方に設けられ、前記エンジンを冷却する冷却装置と、
前記冷却装置を収納支持する冷却装置用ケースと、が備えられ、
前記冷却装置及び前記冷却装置用ケースは、前記脱穀装置の上端部よりも下側まで延ばされ、
前記エアクリーナは、前記冷却装置用ケースの後方に位置する状態で、前記冷却装置用ケースの後壁に支持されてい
るコンバイン。
【請求項3】
前記エンジンを覆うエンジンボンネットが備えられ、
前記冷却装置用ケースの上部は、前記エンジンボンネットのフレームに支持されている請求項1
または2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記冷却装置の冷却水を貯留するリザーブタンクが備えられ、
前記リザーブタンクは、前記冷却装置用ケースの上方に位置する状態で、前記冷却装置用ケースの上端部に支持されている請求項1から
3の何れか一項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されたコンバインでは、脱穀装置の上方にエンジンが設けられ、エンジンの機体横外方に、エンジンを冷却するための冷却装置(文献では「ラジエータ」)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでエンジンの出力を十分に確保するためには冷却装置における冷却性能の向上が不可欠である。冷却性能の向上に伴って冷却装置が大きくなりがちであるが、冷却装置の大型化に伴って機体全体が大型化することは好ましくなく、機体は出来るだけコンパクトに構成される方が望ましい。機体の大型化を出来るだけ回避しながら冷却性能の向上を図るため、冷却装置の形状や冷却装置の配置に工夫が要求される。
【0005】
本発明の目的は、機体全体の大型化を回避しながらエンジンの冷却性能が向上するコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるコンバインは、収穫物を脱穀する脱穀装置と、前記脱穀装置の上方に設けられたエンジンと、前記エンジンの機体横外方に設けられ、前記エンジンを冷却する冷却装置と、前記冷却装置を収納支持する冷却装置用ケースと、前記脱穀装置の上部から機体横外方へ延ばされ、前記冷却装置用ケースの下部を支持する第一ブラケットと、前記冷却装置の下方に設けられる燃料タンクと、前記脱穀装置から機体横外方へ延ばされ、前記燃料タンクを載置支持する第二ブラケットと、前記第一ブラケットの機体横外端部と前記第二ブラケットの機体横外端部とを連結する縦フレームと、が備えられ、前記冷却装置及び前記冷却装置用ケースは、前記脱穀装置の上端部よりも下側まで延ばされていることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、エンジンと脱穀装置との夫々の機体横外方において、冷却装置がエンジンと脱穀装置とに亘って設けられている。冷却装置が冷却装置用ケースに収納支持される構成によって、冷却装置に関する種々の機器や補機が冷却装置用ケースに纏めて支持される構成が可能となる。また、冷却装置及び冷却装置用ケースが脱穀装置の上端部よりも下側まで延ばされる構成によって、脱穀装置との干渉が回避されつつ冷却装置の大型化が実現される。即ち、機体全体の大型化を回避しながらエンジンの冷却性能が向上するコンバインが実現される。
また、本構成であれば、第一ブラケットが脱穀装置の上部から機体横外方へ延ばされるという簡素な構成によって、冷却装置及び冷却装置用ケースと脱穀装置との干渉が容易に回避されるとともに冷却性能の向上が容易に可能となる。
更に、本構成であれば、冷却装置の下方に燃料タンクが配置されるため、冷却装置の下方スペースが有用活用される。換言すれば、燃料タンクの上方のスペースで、上下方向において冷却装置のスペースが出来るだけ広く確保されるため、機体全体の大型化を回避しながらも冷却装置の大型化が可能となる。また、第一ブラケットの機体横外端部と第二ブラケットの機体横外端部とが縦フレームによって連結される構成によって、冷却装置用ケースと燃料タンクとの支持構造が一体的に構成される。これにより、冷却装置用ケースが第一ブラケットのみに支持され、燃料タンクが第二ブラケットのみに支持される構成と比較して、支持構造が強固になる。
【0008】
本発明において、前記エンジンを覆うエンジンボンネットが備えられ、前記冷却装置用ケースの上部は、前記エンジンボンネットのフレームに支持されていると好適である。
【0009】
本構成であれば、エンジンボンネットのフレームが冷却装置及び冷却装置用ケースの支持部材としても兼用され、冷却装置及び冷却装置用ケースに専用の支持部材が設けられる構成と比較して、冷却装置及び冷却装置用ケースの支持構造が簡素化される。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
本発明において、前記冷却装置の冷却水を貯留するリザーブタンクが備えられ、前記リザーブタンクは、前記冷却装置用ケースの上方に位置する状態で、前記冷却装置用ケースの上端部に支持されていると好適である。
【0015】
本構成であれば、リザーブタンクが冷却装置用ケースの上端部に支持されているため、リザーブタンクの支持構造が簡素化される。また、本構成であれば、リザーブタンクが冷却装置の上方に位置するため、冷却水がリザーブタンクから冷却装置へ円滑に供給される。
【0016】
本発明によるコンバインは、収穫物を脱穀する脱穀装置と、前記脱穀装置の上方に設けられたエンジンと、前記エンジンに供給する燃焼用空気から塵埃を除去するエアクリーナと、前記エンジンの機体横外方に設けられ、前記エンジンを冷却する冷却装置と、前記冷却装置を収納支持する冷却装置用ケースと、が備えられ、前記冷却装置及び前記冷却装置用ケースは、前記脱穀装置の上端部よりも下側まで延ばされ、前記エアクリーナは、前記冷却装置用ケースの後方に位置する状態で、前記冷却装置用ケースの後壁に支持されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によると、エンジンと脱穀装置との夫々の機体横外方において、冷却装置がエンジンと脱穀装置とに亘って設けられている。冷却装置が冷却装置用ケースに収納支持される構成によって、冷却装置に関する種々の機器や補機が冷却装置用ケースに纏めて支持される構成が可能となる。また、冷却装置及び冷却装置用ケースが脱穀装置の上端部よりも下側まで延ばされる構成によって、脱穀装置との干渉が回避されつつ冷却装置の大型化が実現される。即ち、機体全体の大型化を回避しながらエンジンの冷却性能が向上するコンバインが実現される。
また、本構成であれば、冷却装置用ケースがエアクリーナの支持部材としても兼用され、エアクリーナに対する専用の支持部材が設けられる構成と比較して、エアクリーナの支持構造が簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】エンジン及び脱穀装置に対する冷却装置及び燃料タンクの位置関係を示す背面図である。
【
図4】エンジン及び脱穀装置に対する冷却装置と燃料タンクと第一デッキと第二デッキとの位置関係を示す平面図である。
【
図5】冷却装置と燃料タンクと第一デッキと第二デッキとの位置関係を示す右側面図である。
【
図6】冷却装置を示す
図5のVI-VI線断面図である。
【
図7】冷却装置を機体横内側視点から示す側面図である。
【
図8】梯子が降ろされた状態を示すコンバインの右側面図である。
【
図9】梯子が係止された状態を示す側面視の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明に係るコンバインの実施形態を、
図1乃至
図3に示される普通型コンバインに適用した場合についての説明が記載される。なお、この実施形態で、機体の前後方向を定義するときは、作業状態における機体進行方向に沿って定義し、機体の左右方向を定義するときは、機体進行方向視で見た状態で左右を定義する。すなわち、
図1及び
図2に符号(F)で示す方向が機体前側、
図1及び
図2に符号(B)で示す方向が機体後側である。
図2及び
図3に符号(L)で示す方向が機体左側、
図2及び
図3に符号(R)で示す方向が機体右側である。
【0020】
〔全体構成〕
図1乃至
図3に示されるように、コンバインに、収穫搬送部1と、キャビン2と、運転部3と、脱穀装置4と、穀粒タンク5と、動力源としてのエンジン6と、排藁細断装置7と、左右一対の前車輪8,8と、左右一対の後車輪9,9と、が備えられている。収穫搬送部1は圃場の植立穀稈を刈り取って、刈取穀稈(収穫物)を後方に搬送する。運転部3はキャビン2に覆われている。脱穀装置4は機体の左右中央箇所に設けられ、収穫搬送部1によって刈り取られた刈取穀稈の脱穀処理を行う。穀粒タンク5は、脱穀装置4の脱穀処理によって得られた穀粒を貯留する。穀粒タンク5は脱穀装置4の上方に設けられ、脱穀装置4と穀粒タンク5とは上下並びの状態で設けられている。脱穀装置4の後方に、脱穀処理後の排藁を細断処理する排藁細断装置7が設けられている。
【0021】
後車輪9は操向操作可能に構成されている。前車輪8は操向不能に構成され、かつ、エンジン6の動力に基づいて回転駆動される。穀粒タンク5の機体左方にスクリューコンベア式の穀粒排出装置18が備えられ、穀粒排出装置18は穀粒タンク5に貯留している穀粒を機体外部に搬送する。
【0022】
収穫搬送部1は、機体の前部において、昇降シリンダ(不図示)によって上下昇降可能に支持されている。収穫搬送部1に収穫ヘッダ11とフィーダ12とが備えられている。
収穫ヘッダ11は、植立する作物を刈り取り、刈り取った作物を刈幅方向の中央部に寄せ集める。フィーダ12は、収穫されて中央に寄せ集められた作物を機体後方の脱穀装置4に向けて搬送する。
【0023】
収穫ヘッダ11に、回転リール13と、刈刃14と、横送りオーガ15と、が備えられている。回転リール13は収穫対象となる作物の穂先側を後方に向けて掻込む。刈刃14はバリカン型に形成され、作物の株元を切断して刈り取る。横送りオーガ15は、収穫した作物を収穫ヘッダ11の刈幅方向の中央部に寄せ集める。
【0024】
詳述はしないが、フィーダ12の筒状ケース内部に、前後の輪体にわたって左右一対の無端回動チェーンが巻回張設され、各無端回動チェーンにわたり複数の係止搬送体を架設した搬送コンベア16が備えられている。搬送コンベア16は、収穫ヘッダ11から受け渡された作物を後方上方に向けて搬送するように構成されている。
【0025】
脱穀装置4は、機体左右中央部箇所の低い位置にあり、脱穀装置4の上方において、機体前部側に穀粒タンク5が位置する。また、穀粒タンク5の後方にエンジン6が備えられている。エンジン6は穀粒タンク5の後方に配置され、穀粒タンク5とエンジン6とが前後方向に並ぶ。脱穀装置4の左右両側の外方側が外装カバー17によって覆われる。
【0026】
脱穀装置4による脱穀処理によって穀粒が得られ、穀粒は揚穀装置19によって穀粒タンク5へ搬送される。また、例えば枝付き穀稈等の二番物は、二番物還元装置20によって脱穀装置4の入口に搬送され、再び脱穀処理される。
【0027】
図1乃至
図3に示されるように、エンジン6は、穀粒タンク5の後方、かつ、脱穀装置4の上方に位置する。エンジン6はエンジンボンネット21によって覆われている。エンジンボンネット21は、天板等を支持するフレーム21Fを有する。
図4に示されるように、エンジンボンネット21よりも内側に、エンジン6と、過給機22と、排気処理装置23と、が備えられている。また、エンジンボンネット21よりも機体右側に、エアクリーナ24と、冷却装置25と、が備えられている。エンジン6は、脱穀装置4の上方において冷却装置25の機体横内側隣に設けられている。
【0028】
エンジン6に吸気される燃焼用空気は、最初にエアクリーナ24を経由する。そして、燃焼用空気に含まれる塵埃等がエアクリーナ24によって除去される。つまり、エアクリーナ24は、エンジン6に供給する燃焼用空気から塵埃を除去する。エアクリーナ24を通過した空気は、過給機22による圧縮と、インタークーラ25A(
図5参照)による冷却と、を経てエンジン6の燃焼室に供給される。燃焼に用いられた後の空気である排ガスは、排気処理装置23による浄化を経て、大気中に放出される。排気処理装置23は、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)を有し、排ガスに含まれるディーゼル微粒子等の粒子状物質(PM)を減少させることによってエンジン6からの排気を浄化する。
【0029】
冷却装置25はエンジン6の機体横外方に設けられている。冷却装置25はエンジン6を冷却するためのものであって、冷却装置25の機体横内方に、冷却風を生起する冷却ファン25Fが備えられている。詳細に関しては後述するが、冷却装置25にインタークーラ25Aと、ラジエータ25Bと、オイルクーラ25Cと、が備えられている(
図5参照)。冷却装置25は冷却装置用ケース31に収納支持される。冷却装置25及び冷却装置用ケース31は、エンジン6の下端よりも下側まで延ばされている。また、冷却装置25及び冷却装置用ケース31は、脱穀装置4の上端部よりも下側まで延ばされている。
【0030】
図4及び
図5に示されるように、冷却装置25の後方に第一デッキ26が備えられ、第一デッキ26の配置高さは、上下方向において冷却装置25の下部に対応する。第一デッキ26は、作業者が冷却装置25やエアクリーナ24等のメンテナンス作業を可能な足場である。作業者は梯子28を用いて第一デッキ26に登ることが可能である。梯子28は、地上から第一デッキ26に対する昇降を行うためのものである。
【0031】
第一デッキ26の後端部に支持部26Aが溶接固定されている。支持部26Aは第一デッキ26の後端部から後方に延出し、支持部26Aの先端部に、梯子28のステップを引っ掛けるための凹部26h(
図9参照)が形成されている。エンジン6の後方に第二デッキ27が備えられ、第二デッキ27は、上下方向においてエンジン6の下端部の位置に設けられている。第二デッキ27は、作業者が脱穀装置4の上方でエンジン6等のメンテナンス作業を可能な足場である。第一デッキ26は第二デッキ27よりも低い位置に配置されている。
【0032】
図5及び
図6に示されるように、冷却装置25の真下、かつ、脱穀装置4の右方に燃料タンク30が設けられている。燃料タンク30はエンジン6の燃料を貯留する。燃料タンク30は穀粒タンク5及びエンジン6よりも低い位置に設けられている。また、燃料タンク30は揚穀装置19の後方に備えられ、燃料タンク30と二番物還元装置20との干渉が避けられている。燃料タンク30は、機体左右方向には幅狭で、かつ、機体前後方向並びに機体上下方向に幅広な形状を有する。このため、脱穀装置4と外装カバー17との間の狭い領域が有効に活用されつつ、燃料タンク30の燃料貯留容量が大きめに確保される。第一デッキ26は、燃料タンク30の後上方に設けられている。
【0033】
なお、
図3では、エンジン6及び脱穀装置4に対する冷却装置25及び燃料タンク30の位置関係を判り易く示すため、外装カバー17とエアクリーナ24と梯子28とを省略している。
【0034】
〔冷却装置及び燃料タンクの支持構造について〕
図5乃至
図7に示されるように、冷却装置25は冷却装置用ケース31に支持される。
冷却装置25はエンジン6の機体横外方において冷却装置用ケース31に支持された状態で設けられる。冷却装置用ケース31は、水平方向に沿って上下に並ぶ上部フレーム31U及び下部フレーム31Dと、鉛直方向に沿って前後に並ぶ前部フレーム31F及び後部フレーム31Rと、を組み合わせた四角形の形状に形成されている。上部フレーム31Uに二つの連結ステー32,32の一端部がボルト連結されている。二つの連結ステー32,32の他端部はエンジンボンネット21のフレーム21Fにボルト連結されている。これにより、冷却装置用ケース31の上部は、二つの連結ステー32,32を介してエンジンボンネット21のフレーム21Fに支持されている。連結ステー32,32の夫々は、機体横内側ほど上側に位置するように傾斜する。
【0035】
脱穀装置4の右側壁に支持フレーム33が設けられ、支持フレーム33は機体前後方向に延びる。支持フレーム33に二つの第一ブラケット34,34の左端部がボルト連結されている。第一ブラケット34,34の夫々は支持フレーム33から機体横外方(機体右方)へ延び、第一ブラケット34,34の夫々の延出先端部に、冷却装置用ケース31の下部フレーム31Dが載置支持される。即ち、脱穀装置4の上部から機体横外方へ延ばされる第一ブラケット34,34が備えられ、冷却装置用ケース31の下部は、第一ブラケット34,34に支持されている。
【0036】
図6及び
図7に示されるように、冷却装置用ケース31の上部フレーム31Uに、二つの上部マウント部35,35がボルト連結されている。上部マウント部35,35の夫々はL字状に形成された板部材であって、上部マウント部35の水平面部が上部フレーム31Uから機体横内側に突出する。そして、上部マウント部35,35に冷却装置25の上端部がマウントゴムを介して固定される。冷却装置用ケース31の下部フレーム31Dに、二つの下部マウント部36,36が溶接固定されている。下部マウント部36,36の夫々はU字状に形成されている。下部マウント部36,36の夫々は下部フレーム31Dから機体横内側に突出し、下部マウント部36,36に冷却装置25の下端部がマウントゴムを介して固定される。
【0037】
冷却装置用ケース31の機体横外側部に防塵カバー44がヒンジ45(
図4及び
図7参照)を介して連結されている。ヒンジ45は冷却装置用ケース31における機体横外側の前端部に固定され、防塵カバー44は冷却装置用ケース31の前端部の上下軸芯回りに揺動可能に構成されている。
【0038】
防塵カバー44及び冷却装置用ケース31のうち、ヒンジ45の位置する側と反対側の端部に、上下一対のスナップ錠44A,44Aが設けられ、スナップ錠44A,44Aが施錠された状態で、防塵カバー44が冷却装置用ケース31の機体横外側部を閉塞する。
この状態で、防塵カバー44は冷却装置用ケース31の機体横外側部の全体を機体横外方から覆う。つまり、冷却装置用ケース31は、冷却装置用ケース31の前端部に設けられたヒンジ45を介して開閉揺動可能な防塵カバー44を有する。防塵カバー44は、エンジン6の機体左右方向他方側外方に配置されている。より具体的には、防塵カバー44は、エンジン6の右側外方に配置されている。
【0039】
冷却ファン25Fは、機体左右方向における外側から内側へ向かって冷却風を生じさせるように駆動する。即ち、冷却ファン25Fにより生じる冷却風は、右側から左側へ向かって流れる。
【0040】
防塵カバー44はメッシュ状の網を有し、当該メッシュ状の網の面積は、機体側面視における冷却装置用ケース31の面積に相当する。防塵カバー44は、この冷却風を通過させるとともに、当該メッシュ状の網によって塵の侵入を防ぐように構成されている。即ち、防塵カバー44は、冷却装置25への塵の侵入を防ぐ。
【0041】
この構成により、冷却ファン25Fが駆動すると、防塵カバー44よりも機体外側の空気が、防塵カバー44よりも機体内側へ吸い込まれる。そして、吸い込まれた空気は、冷却風として、冷却装置25を通過する。
【0042】
冷却装置25は、インタークーラ25Aと、ラジエータ25Bと、オイルクーラ25Cと、が一体的に統合されたユニットである。冷却装置25に、前後方向において後側から順番に、インタークーラ25Aとラジエータ25Bとオイルクーラ25Cとが横並び状態で備えられている。過給機22によって圧縮加熱された燃焼用空気がインタークーラ25Aの内部を下側から上側へ流れながら冷却され、エンジン6へ供給される。エンジン6の冷却用のクーラント(冷却水)が流れる冷却経路(図示せず)は、冷却装置25を通過するように構成されている。エンジン6の冷却用のクーラントは、ラジエータ25Bの内部を上側から下側へ流れながら冷却される。また、エンジン6の潤滑油の経路(不図示)は、冷却装置25を通過するように構成されている。エンジン6の潤滑油は、オイルクーラ25Cの内部を上側から下側へ流れながら冷却される。
【0043】
防塵カバー44にコンデンサ46と燃料クーラ51とが支持されている。図示はしないが、キャビン2に空調装置の室内機が備えられ、室内機にエバポレータが装着されている。コンデンサ46は空調装置の一部であって、空調装置はキャビン2における内部の搭乗空間を空調する。このように、防塵カバー44に、運転者が搭乗するキャビン2の空調用のコンデンサ46が支持されている。空調装置の冷媒はコンプレッサ(不図示)によって圧縮されて高温高圧の状態になる。この状態で冷媒がコンデンサ46を通過すると、冷却ファン25Fからの風によって冷媒が冷却されて液化する。
【0044】
また、冷却ファン25Fとラジエータ25Bとオイルクーラ25Cとの他に、エンジン6を冷却する機器として、第一リザーブタンク47と第二リザーブタンク48とが冷却装置用ケース31の上部フレーム31Uに固定されている。第一リザーブタンク47及び第二リザーブタンク48は、本発明の『リザーブタンク』である。第一リザーブタンク47と第二リザーブタンク48との夫々はラジエータ25Bのクーラント(冷却水)を貯留する。第一リザーブタンク47と第二リザーブタンク48との夫々は、冷却装置用ケース31の上方に位置する状態で、冷却装置用ケース31の上端部に支持されている。第一リザーブタンク47と第二リザーブタンク48との夫々のタンク内部は互いに連通接続されている。第一リザーブタンク47と第二リザーブタンク48との夫々は、ラジエータ25Bよりも上側に位置するため、ラジエータ25Bに圧力キャップは設けられず、第一リザーブタンク47の上端部に圧力キャップ47Aが設けられている。詳述はしないが、第一リザーブタンク47の下部と、エンジン6の下部と、が供給管路によって接続され、第一リザーブタンク47の下部と、ラジエータ25Bの下部と、が供給管路によって接続されている。このため、第一リザーブタンク47に貯留されたクーラントは、第一リザーブタンク47の下部からエンジン6とラジエータ25Bとに円滑に供給される。エンジン6からのクーラントの戻り管路と、ラジエータ25Bからのクーラントの戻り管路と、の夫々は第一リザーブタンク47の上部に接続されている。圧力キャップ47Aは、エンジン6及びラジエータ25Bよりも上側に位置し、エンジン6及びラジエータ25Bにおけるクーラントのエア抜き用ベントとしても兼用されている。
【0045】
後部フレーム31Rの上部領域にステー31Sが溶接固定され、ステー31Sは後部フレーム31Rから後方に突出する。そして、ステー31Sにエアクリーナ24が載置支持されている。つまり、エアクリーナ24は、冷却装置用ケース31の後方に位置する状態で、冷却装置用ケース31の後壁に支持されている。エアクリーナ24は、冷却装置25の上部の後方において、平面視で第一デッキ26と重複する箇所に設けられている。
【0046】
図3,
図5乃至
図7に示されるように、燃料タンク30は第二ブラケット37によって支持されている。燃料タンク30は、脱穀装置4の機体横外方かつ冷却装置25の下方において、冷却装置25と上下並びの状態で設けられている。具体的には、脱穀装置4のうち、機体の前後方向に沿う機体フレーム38の後部に第二ブラケット37の左端部がボルト連結され、第二ブラケット37は機体フレーム38から機体横外方(機体右方)に延びる。即ち、第二ブラケット37は、脱穀装置4から機体横外方へ延ばされ、燃料タンク30を載置支持する。このように、冷却装置25の下方に燃料タンク30が備えられ、燃料タンク30は、脱穀装置4の機体横外方へ延ばされる第二ブラケット37に載置支持される。
【0047】
第二ブラケット37の延出先端部に二つの縦フレーム39,39が連結され、縦フレーム39,39の夫々は第二ブラケット37の延出先端部から上向きに延ばされる。そして、縦フレーム39,39の夫々の上端部が第一ブラケット34,34の夫々の機体横外端部と連結される。つまり、縦フレーム39,39は、第一ブラケット34,34の夫々の機体横外端部と、第二ブラケット37の機体横外端部と、を連結する。
【0048】
図3,
図5及び
図7に示される燃料フィルタ40と燃料セパレータ41と燃料ポンプ42との夫々は、エンジン6に対する燃料の供給用の補機である。第二ブラケット37の後部に、燃料フィルタ40と燃料セパレータ41と燃料ポンプ42とが支持される。燃料フィルタ40と燃料セパレータ41と燃料ポンプ42との夫々は、第一デッキ26の下方において、梯子28と燃料タンク30との間に設けられている。燃料フィルタ40と燃料セパレータ41と燃料ポンプ42との夫々は、燃料タンク30とエンジン6とに亘って設けられる燃料供給管(不図示)の途中に設けられている。燃料ポンプ42は、燃料フィルタ40及び燃料セパレータ41よりも燃料供給管の下流側に設けられている。燃料フィルタ40は燃料に含まれる固形の不純物を除去し、燃料セパレータ41は燃料に含まれる水分等を除去する。そして、燃料から不純物や水分が除去された状態で、燃料は、燃料ポンプ42によって燃料供給管の下流側へ圧送され、燃料クーラ51を経由してエンジン6へ送られる。
【0049】
燃料タンク30の上部に給油管49が連結され、給油管49は燃料フィルタ40から後上方に延出する。そして、給油管49の延出先端部に給油口49Aが備えられている。給油口49Aは、第一デッキ26の前端部の領域に位置する。給油口49Aと燃料タンク30の内部とは給油管49によって連通接続されている。このように、燃料タンク30へ燃料を補給するための給油管49が、燃料タンク30の上端から第一デッキ26へ延ばされ、給油管49は、第一デッキ26よりも高い位置まで延ばされている。
【0050】
燃料タンク30よりも低い位置に第三デッキ50が備えられている。第三デッキ50は第二ブラケット37に支持されている。
図6に示されるように、第三デッキ50は第二ブラケット37に対して機体横方向に沿ってスライド可能に構成され、燃料タンク30の機体横外端部よりも機体横外側へ張り出す。第三デッキ50の機体右端部に、機体前後方向に沿うパイプ部材が設けられている。当該パイプ部材の前端部は、平面視で前側ほど機体横内側に傾斜する。また、当該パイプ部材の後端部は、平面視で後側ほど機体横内側に傾斜する。第三デッキ50は、作業者が機体横方向に沿ってスライド操作することによって、当該パイプ部材が第二ブラケット37に近接する収納位置と、当該収納位置よりも当該パイプ部材が機体横外方に張り出す張り出し位置と、に位置変更可能に構成されている。
第三デッキ50が張り出し位置に位置する状態で、作業者は、例えば第三デッキ50の上に乗って、上下一対のスナップ錠44A,44Aの施錠または解錠を可能である。
図3に示される第三デッキ50は収納位置に位置し、
図4に示される第三デッキ50は張り出し位置に位置する。
【0051】
図5及び
図7に示されるように、第二ブラケット37の後部と第一デッキ26との夫々に左右一対の連結杆52,52の両端部が連結され、連結杆52,52は第二ブラケット37の後部と第一デッキ26とに亘って上下方向に延びる。連結杆52,52の下部に係止用フレーム53が溶接固定されている。
【0052】
図9に示されるように、係止用フレーム53の後端部に、梯子28のステップを上下から係止可能な係止部53Aが設けられている。係止部53Aは側面視においてU字状に形成され、当該U字状の係止部53Aが梯子28のステップを上下から挟む。係止部53Aの後端部に上下一対の孔部53h,53hが形成され、この上下一対の孔部53h,53hに係止ピン54が挿入される。これにより、梯子28のステップが係止部53Aから抜けないように係止される。このことから、梯子28は、支持部26Aの凹部26hと、係止用フレーム53の係止部53Aと、の上下二箇所で係止される。なお、
図9において符号28A,28Bで示されたステップは、梯子28に備えられた複数のステップの一部として示されている。符号28Aで示されたステップは、符号28Bで示されたステップよりも高く位置するステップである。
【0053】
作業者は、第一デッキ26に上る場合に梯子28の下端部を接地させるか、または地面に接近させる。作業者は、梯子28の上部のステップ(
図9において符号28Aで示されたステップ)を支持部26Aの凹部26hに引っ掛けるとともに梯子28の上下中央領域のステップ(
図9において符号28Bで示されたステップ)を係止部53Aに係止させる。このとき、梯子28の下端部は接地しているか、または例えば地面から20センチメートル以内の高さに位置する。このときの梯子28の位置が使用位置であって、使用位置における梯子28が
図8に示される。また、収穫作業が行われる場合には、梯子28は地面から離れるように片付けられる。この場合、作業者は、梯子28の上下中央領域のステップ(
図9において符号28Aで示されたステップ)を支持部26Aの凹部26hに引っ掛けるとともに梯子28の下部のステップ(
図9において符号28Bで示されたステップ)を係止部53Aに係止させる。これにより、梯子28は地面から離れ、使用位置よりも上側に位置する。このときの梯子28の位置が収納位置である。このように、梯子28は使用位置と収納位置とに上下位置を変更可能に構成されている。
【0054】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0055】
(1)上述した実施形態において、冷却装置25は、インタークーラ25Aと、ラジエータ25Bと、オイルクーラ25Cと、が一体的に統合されたユニットであるが、この実施形態に限定されない。例えば、インタークーラ25Aと、ラジエータ25Bと、オイルクーラ25Cと、が各別に構成されていても良い。また、冷却装置25は、インタークーラ25Aと、ラジエータ25Bと、オイルクーラ25Cと、の二つが一体的に統合されたユニットであっても良い。
【0056】
(2)冷却装置用ケース31の上部は、エンジンボンネット21のフレーム21Fに支持されているが、この実施形態に限定されない。例えば、冷却装置用ケース31の上部は、脱穀装置4や穀粒タンク5に支持される構成であっても良い。
【0057】
(3)上述した実施形態において、第一ブラケット34は、脱穀装置4の上部から機体横外方へ延ばされるが、第一ブラケット34は設けられない構成であっても良い。この場合、冷却装置用ケース31の下部は、第二ブラケット37に支持される構成であっても良いし、燃料タンク30に支持される構成であっても良い。
【0058】
(4)上述した実施形態において、燃料タンク30は冷却装置25の下方に設けられているが、燃料タンク30は、冷却装置25の下方に設けられずに別の箇所に設けられる構成であっても良い。この場合、冷却装置25の下端は、機体フレーム38の高さ位置まで延ばされる構成であっても良い。
【0059】
(5)上述した実施形態において、縦フレーム39は、第一ブラケット34の機体横外端部と第二ブラケット37の機体横外端部とを連結するが、縦フレーム39が設けられない構成であっても良い。
【0060】
(6)上述した実施形態において、第一リザーブタンク47及び第二リザーブタンク48が冷却装置用ケース31の上部フレーム31Uに固定されているが、この実施形態に限定されない。例えば、第一リザーブタンク47及び第二リザーブタンク48は、前部フレーム31Fの上部に支持される構成であっても良いし、後部フレーム31Rの上部に支持される構成であっても良い。また、第一リザーブタンク47及び第二リザーブタンク48は、冷却装置用ケース31以外の別の箇所に支持される構成であっても良い。加えて、第一リザーブタンク47と第二リザーブタンク48との夫々が、上部フレーム31Uと前部フレーム31Fと後部フレーム31Rとの何れか二つに振り分けて支持される構成であっても良い。
【0061】
(7)上述した実施形態において、ステー31Sは後部フレーム31Rから後方に突出し、ステー31Sの上部にエアクリーナ24が載置支持されているが、この実施形態に限定されない。エアクリーナ24は、上部フレーム31Uに支持される構成であっても良いし、前部フレーム31Fに支持される構成であっても良い。また、エアクリーナ24は、冷却装置用ケース31以外の別の箇所に支持される構成であっても良い。
【0062】
(8)上述した実施形態において、冷却装置25及び燃料タンク30は、エンジン6及び脱穀装置4に対して機体右側に設けられているが、冷却装置25及び燃料タンク30は、エンジン6及び脱穀装置4に対して機体左側に設けられても良い。
【0063】
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。
また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、普通型コンバインの他、自脱型のコンバインなどにも適用できる。
【符号の説明】
【0065】
4 :脱穀装置
6 :エンジン
21 :エンジンボンネット
21F :フレーム
24 :エアクリーナ
25 :冷却装置
30 :燃料タンク
31 :冷却装置用ケース
34 :第一ブラケット
37 :第二ブラケット
39 :縦フレーム
47 :第一リザーブタンク(リザーブタンク)
48 :第二リザーブタンク(リザーブタンク)