(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】除去機構、樹脂成形装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
H01L21/56 D
(21)【出願番号】P 2020017775
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】吉田 周平
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-043839(JP,A)
【文献】特開2012-044199(JP,A)
【文献】特開平07-058137(JP,A)
【文献】特開平10-223663(JP,A)
【文献】特開平03-290218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
B29C 45/38
B29C 45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形品から不要樹脂部を除去するように構成された除去機構であって、
前記樹脂成形品においては、基板上に実装された電子部品が樹脂によって封止されており、
前記樹脂成形品の平面視において、前記樹脂の領域は、前記基板の領域と重なっている
封止樹脂部と、前記
封止樹脂部から外に出ている
前記不要樹脂部とを含み、
前記除去機構は、
前記樹脂成形品が配置されるように構成された受け部と、
前記受け部に配置された前記樹脂成形品を押さえるように構成された押さえ部と、
前記
不要樹脂部を固定するように構成された固定部と、
を備え、
前記押さえ部は、前記封止樹脂部と前記不要樹脂部との境界付近の前記基板を押さえることが可能なように配置されており、
前記受け部及び前記押さえ部は、前記
不要樹脂部が前記固定部によって固定された状態で回動するように構成されており、
前記押さえ部は、前記樹脂成形品を押さえる複数の突起部材を備え、
共通する前記基板に対して設けられた前記複数の突起部材の各々は、互いに独立して上下動するように構成されている、除去機構。
【請求項2】
前記押さえ部は、基部と、第1及び第2弾性部材とをさらに備え、
前記複数の突起部材は、第1及び第2突起部材を含み、
前記第1突起部材は、前記第1弾性部材を介して前記基部に固定されており、
前記第2突起部材は、前記第2弾性部材を介して前記基部に固定されている、請求項
1に記載の除去機構。
【請求項3】
前記樹脂成形品を冷却するように構成された冷却部をさらに備える、請求項1
または2に記載の除去機構。
【請求項4】
樹脂成形品を製造するように構成された樹脂成形機構と、
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の除去機構と、
を備える、樹脂成形装置。
【請求項5】
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の除去機構を用いた、不要樹脂部除去済み樹脂成形品の製造方法であって、
前記受け部に前記樹脂成形品を配置するステップと、
前記受け部に配置された前記樹脂成形品
において前記封止樹脂部と前記不要樹脂部との境界付近の前記基板を、前記押さえ部によって押さえるステップと、
前記
不要樹脂部を前記固定部によって固定するステップと、
前記
不要樹脂部が固定された状態で、前記受け部及び前記押さえ部の両方を回動させるステップと、
を含む、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除去機構、樹脂成形装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平10-223663号公報(特許文献1)は、不要樹脂の分離装置を開示する。この不要樹脂の分離装置は、樹脂封止された半導体リードフレームから不要樹脂を切り離すように構成されている。この不要樹脂の分離装置においては、リードフレームが受け台とリードフレーム押さえ板とによってクランプされ、かつ、中央カル部が押圧された状態で、リードフレームが回動する。これにより、樹脂封止された半導体リードフレームから不要樹脂が切り離される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている分離装置においては、たとえば、分離装置が平行に保たれてない場合に、リードフレーム押さえ板によってリードフレームに加えられる圧力の領域毎の偏りが大きくなる。また、たとえば、リードフレーム上の樹脂バリがリードフレーム押さえ板と受け部とによってクランプされる場合にも同様の事態が生じる。
【0005】
リードフレーム押さえ板によってリードフレームに加えられる圧力の領域毎の偏りが大きい場合には、リードフレームの回動時にリードフレームで生じる応力が一部の領域に偏る。その結果、リードフレームにおいて、たとえば、不要樹脂の残存、又は、パッケージ部の破損が生じる。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、樹脂成形品からの不要樹脂部の除去をより適切に行なうことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある局面に従う除去機構は、樹脂成形品から不要樹脂部を除去するように構成されている。樹脂成形品においては、基板上に実装された電子部品が樹脂によって封止されている。樹脂成形品の平面視において、樹脂の領域は、基板の領域と重なっている第1領域と、基板の領域から外に出ている第2領域とを含む。除去機構は、受け部と、押さえ部と、固定部とを備える。受け部は、樹脂成形品が配置されるように構成されている。押さえ部は、受け部に配置された樹脂成形品を押さえるように構成されている。固定部は、上記第2領域を固定するように構成されている。受け部及び押さえ部は、上記第2領域が固定部によって固定された状態で回動するように構成されている。押さえ部は、樹脂成形品を押さえる複数の突起部材を備える。複数の突起部材の各々は、互いに独立して上下動するように構成されている。
【0008】
本発明の他の局面に従う樹脂成形装置は、樹脂成形品を製造するように構成された樹脂成形機構と、上記除去機構とを備える。
【0009】
本発明の他の局面に従う製造方法は、上記除去機構を用いた、不要樹脂部除去済み樹脂成形品の製造方法である。この製造方法は、受け部に第1樹脂成形品を配置するステップと、受け部に配置された第1樹脂成形品を押さえ部によって押さえるステップと、上記第2領域を固定部によって固定するステップと、上記第2領域が固定された状態で、受け部及び押さえ部の両方を回動させるステップとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、樹脂成形品からの不要樹脂部の除去をより適切に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】樹脂成形装置の構成を模式的に示す図である。
【
図2】樹脂成形機構において製造される樹脂成形品の一例を模式的に示す平面図である。
【
図3】樹脂成形品の一例を模式的に示す正面図である。
【
図5】押さえ部のうちの一部の構成を模式的に示す図である。
【
図7】押さえ部が特徴的な構成を有さない場合に生じ得る第1の問題を説明するための図である。
【
図8】押さえ部が特徴的な構成を有さない場合に生じ得る第2の問題を説明するための図である。
【
図9】第1の問題に起因する影響が低減されている理由を説明するための図である。
【
図10】第2の問題に起因する影響が低減されている理由を説明するための図である。
【
図11】除去機構による不要樹脂部の除去動作を示すフローチャートである。
【
図12】
図11におけるステップS120が実行された後の状態の除去機構を模式的に示す正面図である。
【
図13】受け部及び押さえ部が回動した状態における除去機構を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
[1.樹脂成形装置の構成]
図1は、本実施の形態に従う樹脂成形装置10の構成を模式的に示す図である。
図1に示されるように、樹脂成形装置10は、樹脂成形機構20と、除去機構100と、制御部500とを含んでいる。
【0014】
樹脂成形機構20においては、トランスファーモールド法を用いた樹脂成形品の製造が行なわれる。樹脂成形機構20は、成形型(不図示)と該成形型を型締めする型締め機構(不図示)とを備える。樹脂成形機構20においては、たとえば、半導体チップ等の電子部品が実装された基板が樹脂成形される。基板の一例としては、プリント配線基板及びリードフレームが挙げられる。
【0015】
図2は、樹脂成形機構20において製造される樹脂成形品200の一例を模式的に示す平面図である。
図3は、樹脂成形品200の一例を模式的に示す正面図である。各図面において矢印UDLRFBの各々が示す方向は、他の図面においても共通である。
【0016】
図2及び
図3に示されるように、樹脂成形品200は、複数(2つ)の基板210を含む。各基板210の形状は、平面視矩形状である。各基板210上には電子部品(不図示)が実装されており、電子部品は封止樹脂部220によって封止されている。2つの封止樹脂部220は、不要樹脂部230を介して連続的に形成されている。
【0017】
不要樹脂部230は、複数(4つ)のカル部232を含む。各カル部232からは、矢印L方向に向かって2本のランナー部234が延びており、矢印R方向に向かって2本のランナー部234が延びている。樹脂成形品200においては、不要樹脂部230が4つのカル部232を含むため、矢印LR方向の各々に8本のランナー部234が延びている。平面視において、封止樹脂部220は基板210と重なっており、不要樹脂部230のうち少なくともカル部232は基板210の領域から外に出ている。
【0018】
再び
図1を参照して、除去機構100は、樹脂成形品200から不要樹脂部230を除去するように構成されている。除去機構100においては、不要樹脂部230に対して基板210が折り曲げられ、封止樹脂部220と不要樹脂部230との付け根が割れることによって、各封止樹脂部220と不要樹脂部230とが分離される(いわゆる、バタフライ式ゲートブレイク)。これにより、樹脂成形品200から不要樹脂部230が除去される。
【0019】
制御部500は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行なうように構成されている。制御部500は、樹脂成形機構20及び除去機構100を制御するように構成されている。以下、除去機構100について詳細に説明する。
【0020】
[2.不要樹脂の除去機構の構成]
図4は、除去機構100を模式的に示す正面図である。
図4に示されるように、除去機構100は、一対の受け部130と、一対の押さえ部140と、一対の冷却部170と、受け部材120と、カル押圧部材150と、押さえ部押圧部材160とを含んでいる。
【0021】
受け部130は、平面視矩形状の台であり、上部に基板210が配置される。受け部130は、受け部回転軸P1を中心に回動するように構成されている。受け部130は、引張コイルばね(不図示)によって弾性保持されている。受け部材120は、平面視矩形状の台であり、上部にカル部232が配置される。
【0022】
一対の受け部130の上方(矢印U方向)には、一対の押さえ部140が設けられている。受け部130と、該受け部130と対向する押さえ部140とによって、基板210が挟まれる。押さえ部140は、受け部130との間に基板210を挟んだ状態で、押さえ部回転軸(不図示)を中心に回動するように構成されている。押さえ部140については、後程詳しく説明する。
【0023】
受け部材120の上方には、カル押圧部材150が設けられている。受け部材120とカル押圧部材150とによって、カル部232が挟まれる。これにより、カル部232が固定される。
【0024】
受け部130と押さえ部140とによって基板210が挟まれた状態で、封止樹脂部220及びランナー部234(
図2)には冷却部170によって冷風が吹きつけられる。封止樹脂部220及びランナー部234が冷やされることで、封止樹脂部220及びランナー部234が硬化し、封止樹脂部220と不要樹脂部230との付け根が割れやすくなるため、不要樹脂部230の除去がより容易になる。
【0025】
押さえ部押圧部材160は、上下方向(矢印UD)に移動するように構成されている。受け部130と押さえ部140とによって基板210が挟まれた状態で押さえ部押圧部材160が下方に移動し、押さえ部押圧部材160が押さえ部140の上面を押圧すると、押さえ部140及び受け部130が回動する。
【0026】
[3.押さえ部の構成]
図5は、押さえ部140のうち
図4の領域A1周辺の構成を模式的に示す図である。
図5に示されるように、押さえ部140は、基部141と、複数(3つ)の突起部材144とを含んでいる。
【0027】
図6は、突起部材144を模式的に示す正面図である。
図6に示されるように、突起部材144においては、基部301から複数(3つ)の突起部302が下方に延びている。隣接する2つの突起部302の間には、空間S1が形成されている。基部301の上面には、複数(2つ)の孔H1と、孔H2とが形成されている。各孔H1には、円筒状のブッシュ146が取り付けられている。孔H1及びブッシュ146内には、円柱状のガイド148(
図5)が貫通している。孔H2には弾性部材142が取り付けられる。ガイド148の外径が孔H1及びブッシュ146の内径よりも短いため、突起部材144は、基部141に対して上下方向に移動可能である。
【0028】
再び
図5を参照して、複数の突起部材144の各々は、互いに別々の弾性部材142を介して基部141に固定されている。したがって、各突起部材144は、互いに独立して上下動するように構成されている。弾性部材142は、たとえば、スプリングで構成される。上述のように、各孔H1及び各ブッシュ146の内側にはガイド148が位置している。
【0029】
押さえ部140と受け部130とによって基板210が挟まれた状態において、各ランナー部234は、別々の空間S1、又は、隣接する突起部材144間の空間に位置する。すなわち、押さえ部140は、ランナー部234(不要樹脂部230)を避けて樹脂成形品200を押さえるように構成されている。
【0030】
このように、押さえ部140においては、複数の突起部材144の各々が互いに独立して上下動するように構成されている。押さえ部140がこのような構成を有する理由について次に説明する。
【0031】
[4.押さえ部が特徴的な構成を有する理由]
まず、仮に押さえ部140が上記特徴的な構成を有さない場合に、どのような問題が生じるかについて説明する。
【0032】
図7は、押さえ部140が上記特徴的な構成を有さない場合に生じ得る第1の問題を説明するための図である。
図7を参照して、この例においては、押さえ部140Xが一体的に形成されている。すなわち、押さえ部140Xは、一体的に上下方向に移動する。
【0033】
この場合に、たとえば、押さえ部140Xが受け部130に対して傾くと、押さえ部140Xによって基板210に加えられる圧力の領域毎の偏りが大きくなる。この例では、矢印F方向寄りの領域の方が矢印B方向寄りの領域よりも、押さえ部140Xによって基板210に加えられる圧力が大きい。圧力の偏りが大きい程、受け部130及び押さえ部140Xの回動時に樹脂成形品200で生じる応力が一部の領域に偏る。その結果、樹脂成形品200において、たとえば、不要樹脂の残存、又は、パッケージ部の破損が生じる。
【0034】
図8は、押さえ部140が上記特徴的な構成を有さない場合に生じ得る第2の問題を説明するための図である。
図8を参照して、この例では、一部のランナー部234から樹脂バリ部235が延びている。この場合に、押さえ部140Xが樹脂バリ部235に引っ掛かることがある。
【0035】
このような事態が生じると、樹脂バリ部235付近において押さえ部140Xによって基板210に加えられる圧力は、樹脂バリ部235からより離れた領域において押さえ部140Xによって基板210に加えられる圧力よりも大きくなる。すなわち、押さえ部140Xによって基板210に加えられる圧力の領域毎の偏りが大きくなる。その結果、樹脂成形品200において、たとえば、不要樹脂の残存、又は、パッケージ部の破損が生じる。
【0036】
本実施の形態に従う除去機構100においては、押さえ部140が上記特徴的な構成を有するため、上記第1及び第2の問題に起因する影響が低減されている。以下、詳細に説明する。
【0037】
図9は、本実施の形態に従う除去機構100において、上記第1の問題に起因する影響が低減されている理由を説明するための図である。
図9を参照して、この例においては、押さえ部140が受け部130に対して傾いている。押さえ部140においては各突起部材144が互いに独立して上下方向に移動するため、押さえ部140が多少傾いたとしても、各突起部材144が基板210に接触する。その結果、押さえ部140によって基板210に加えられる圧力の領域毎の偏りが抑制される。すなわち、本実施の形態に従う除去機構100によれば、押さえ部140と受け部130とによって樹脂成形品200が挟まれた場合に、押さえ部140によって基板210に加えられる圧力の領域毎の偏りを抑制することができる。
【0038】
図10は、本実施の形態に従う除去機構100において、上記第2の問題に起因する影響が低減されている理由を説明するための図である。
図10を参照して、この例においては、一部のランナー部234から樹脂バリ部235が延びている。押さえ部140においては各突起部材144が互いに独立して上下方向に移動するため、一部の突起部材144は樹脂バリ部235に引っ掛かるが、他の突起部材144は樹脂バリ部235に引っ掛からず基板210に接触する。その結果、押さえ部140によって基板210に加えられる圧力の領域毎の偏りが抑制される。すなわち、本実施の形態に従う除去機構100によれば、押さえ部140と受け部130とによって樹脂成形品200が挟まれた場合に、押さえ部140によって基板210に加えられる圧力の領域毎の偏りを抑制することができる。
【0039】
[5.不要樹脂の除去機構の動作]
図11は、除去機構100による不要樹脂部230の除去動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、たとえば、樹脂成形装置10に含まれる制御部500によって実行される。
【0040】
図11を参照して、制御部500は、受け部130及び受け部材120上に樹脂成形品200を配置するように搬送機構(不図示)を制御する(ステップS100)。制御部500は、基板210(
図2)を押さえるように一対の押さえ部140を制御する(ステップS110)。制御部500は、カル部232(
図2)を押さえるようにカル押圧部材150を制御する(ステップS120)。なお、ステップS110,S120は、同時に実行されてもよいし、逆の順で実行されてもよい。
【0041】
図12は、
図11におけるステップS120が実行された後の状態の除去機構100を模式的に示す正面図である。
図12に示されるように、各基板210が押さえ部140と受け部130とによって挟まれており、カル部232がカル押圧部材150と受け部材120とによって挟まれている。なお、この状態において、樹脂成形品200は、冷却部170から吹き付けられる冷風によって冷却されてもよい。
【0042】
再び
図11を参照して、カル部232がカル押圧部材150及び受け部材120によって固定された状態で、制御部500は、各受け部130及び各押さえ部140の各々が回動するように押さえ部押圧部材160を制御する(ステップS130)。押さえ部押圧部材160が下降し、押さえ部押圧部材160が押さえ部140の上面を押圧することによって、受け部130及び押さえ部140の各々が回動する。
【0043】
図13は、受け部130及び押さえ部140が回動した状態における除去機構100を模式的に示す正面図である。
図13に示されるように、受け部130及び押さえ部140が回動することによって、各封止樹脂部220と不要樹脂部230との付け根が割れる。これにより、樹脂成形品200から不要樹脂部230が適切に除去される。
【0044】
[6.特徴]
以上のように、本実施の形態に従う除去機構100において、押さえ部140は、各々が樹脂成形品200を押さえる複数の突起部材144を備える。複数の突起部材144の各々は、互いに独立して上下動するように構成されている。
【0045】
これにより、押さえ部140によって基板210に加えられる圧力の領域毎の偏りが抑制される。すなわち、本実施の形態に従う除去機構100によれば、押さえ部140と受け部130とによって樹脂成形品200が挟まれた場合に、押さえ部140によって基板210に加えられる圧力の領域毎の偏りを抑制することができる。その結果、樹脂成形品200において、たとえば、不要樹脂の残存、又は、パッケージ部の破損等が生じる可能性が低減する。すなわち、本実施の形態に従う除去機構100によれば、樹脂成形品200から不要樹脂部230を適切に除去することができる。
【0046】
また、上記実施の形態に従う除去機構100においては、樹脂成形品200が冷却部170によって冷却される。押さえ部140によって基板210が十分に押さえられていないと、基板210と封止樹脂部220とで線膨張係数が異なるため、樹脂成形品200の冷却時に基板210の反りが生じる。本実施の形態に従う除去機構100によれば、押さえ部140によって基板210に加えられる圧力の領域毎の偏りが抑制され、基板210が十分に押さえられるため、樹脂成形品200の冷却に伴う基板210の反りの発生を抑制することができる。
【0047】
[7.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0048】
上記実施の形態に従う除去機構100においては、受け部130が下方に設けられ、押さえ部140が上方に設けられた。しかしながら、この位置関係は必ずしもこのようなものでなくてもよい。たとえば、押さえ部140が下方に設けられ、受け部130が上方に設けられてもよい。
【0049】
また、上記実施の形態に従う除去機構100においては、突起部材144が複数の突起部302を有していた。しかしながら、突起部材144は、必ずしも複数の突起部302を有する必要はない。たとえば、突起部材144の代わりに、突起部302と同等の幅を有する1つの突起部のみを有する突起部材が用いられてもよい。この場合には、1つの突起部材144に代えて、3つの突起部材が用いられることとなる。3つの突起部材の各々の上方には互いに異なる弾性部材142が取り付けられる。この場合には、各突起部が互いに独立して上下動可能である。
【0050】
また、上記実施の形態に従う樹脂成形装置10においては、樹脂成形機構20及び除去機構100の制御が制御部500によって行なわれた。しかしながら、樹脂成形機構20及び除去機構100の制御は、必ずしも共通の制御部500によって行なわれる必要はない。たとえば、樹脂成形機構20及び除去機構100の各々が専用の制御部を有していてもよい。
【0051】
また、上記実施の形態に従う除去機構100においては、樹脂成形品200が基板210を複数(2つ)含んでいた。しかしながら、樹脂成形品200は、必ずしも複数の基板210を含む必要はない。樹脂成形品200は、たとえば、単数の基板210を含む、いわゆる一枚どりの構成であってもよい。この場合、押さえ部140及び受け部130は、一対でなく、単数設けられればよい。
【0052】
また、上記実施の形態に従う除去機構100においては、冷却部170が他の部分と独立して設けられた。しかしながら、冷却部170は、必ずしも他の部分と独立していなくてもよい。たとえば、冷却部170は、押さえ部140及びカル押圧部材150の少なくとも一方に内蔵されていてもよい。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0054】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 樹脂成形装置、20 樹脂成形機構、100 除去機構、141,301 基部、120 受け部材、130 受け部、140,140X 押さえ部、142 弾性部材、144 突起部材、146 ブッシュ、148 ガイド、150 カル押圧部材、160 押さえ部押圧部材、170 冷却部、200 樹脂成形品、210 基板、220 封止樹脂部、230 不要樹脂部、232 カル部、234 ランナー部、235 樹脂バリ部、302突起部、500 制御部、A1 領域、H1,H2 孔、P1 受け部回転軸、S1 空間。