(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】作業車両及び作業車両の支援システム
(51)【国際特許分類】
A01B 71/02 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
A01B71/02 Z
(21)【出願番号】P 2020096296
(22)【出願日】2020-06-02
【審査請求日】2022-06-22
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フルビオ ゼルビーノ
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-296261(JP,A)
【文献】特開2017-209032(JP,A)
【文献】特開2018-061470(JP,A)
【文献】特開2012-188862(JP,A)
【文献】特開2005-000011(JP,A)
【文献】国際公開第2018/070393(WO,A1)
【文献】特開2004-110792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 71/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置を連結可能な車体と、
前記作業装置と電気的に接続され双方向に通信が可能で且つ前記作業装置の動作に関する第1動作情報を取得可能な通信制御部と、
前記通信制御部が取得した前記第1動作情報に基づいて、前記作業装置の前記動作に支障がないか適合度合いを判断する適合判断部と、
前記適合判断部で判断した前記適合度合いを表示する表示装置と、
を備え
、
前記表示装置は、前記車体の動作に関する第2動作情報を受け付け、
前記適合判断部は、前記第1動作情報と、前記表示装置で受け付けた前記第2動作情報とに基づいて、前記適合度合いを判断し、
前記適合判断部は、前記車体から前記作業装置への動力伝達前における前記第2動作情報に基づく前記適合度合いの第1判断処理と、前記車体から前記作業装置への動力伝達後における前記第2動作情報に基づく前記適合度合いの第2判断処理とを行う作業車両。
【請求項2】
作業装置を連結可能な車体と、
前記作業装置と電気的に接続され双方向に通信が可能で且つ前記作業装置の動作に関する第1動作情報を取得可能な通信制御部と、
前記通信制御部が取得した前記第1動作情報に基づいて、前記作業装置の前記動作に支障がないか適合度合いを判断する適合判断部と、
前記適合判断部で判断した前記適合度合いを表示する表示装置と、
を備え
、
前記車体の動作に関する第2動作情報に応じて、前記車体を制御する制御装置を備え、
前記適合判断部は、前記第1動作情報と、前記制御装置の前記第2動作情報とに基づいて、前記適合度合いを判断し、
前記適合判断部は、前記車体から前記作業装置への動力伝達前における前記第2動作情報に基づく前記適合度合いの第1判断処理と、前記車体から前記作業装置への動力伝達後における前記第2動作情報に基づく前記適合度合いの第2判断処理とを行う作業車両。
【請求項3】
前記第2動作情報を記憶する記憶部を備え、
前記適合判断部は、前記適合度合いを判断する場合に前記記憶部に記憶された前記第2動作情報を参照する請求項
1又は2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記車体の動作を許可するか否かを操作する許可操作具と、
前記許可操作具によって前記車体の動作が許可された場合に、前記第2動作情報に基づいて前記車体を制御する制御装置と、
を備えている請求項
1~3のいずれかに記載の作業車両。
【請求項5】
前記適合判断部で判断した前記適合度合いを、外部機器に出力する出力部を備えている請求項1~
4のいずれかに記載の作業車両。
【請求項6】
前記制御装置は、前記適合判断部が判断した適合度合いに基づいて、前記車体の制御を変更する変更部を備えている請求項
2又は
4に記載の作業車両。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれかに記載の作業車両から、前記作業車両に関する車両情報と前記適合度合いを取得するサーバと、
前記サーバから前記車両情報及び前記適合度合いを取得し且つ、取得した前記車両情報及び前記適合度合いを表示可能な外部機器と、
を備えている作業車両の支援システム。
【請求項8】
前記サーバ及び前記外部機器のいずれかは、前記適合度合いを改善するソフトウェアプログラムを、前記作業車両に送信する通信装置を有している請求項
7に作業車両の支援システム。
【請求項9】
作業装置を着脱可能に連結するように構成された車体と、
前記車体を制御し、車載ネットワークを介して前記作業装置と双方向に通信する制御装置と、
前記車載ネットワークに接続され、前記作業装置の第1動作又は第1機能に関する第1動作情報を前記作業装置から取得する通信部と、
前記車体の第2動作又は第2機能に関する第2動作情報を記憶する記憶部と、
前記第1動作情報と前記第2動作情報とを比較することにより、前記第2動作又は前記第2機能に対する前記第1動作又は前記第1機能の適合性として段階的な適合度合いを判断する適合判断部と、
前記第2動作又は前記第2機能を示す複数の第1アイコンと、前記段階的な適合度合い示す複数の第2アイコンとを対応付けて表示する表示装置と、
を備えている作業車両。
【請求項10】
前記制御装置は、国際規格ISO11783(ISOBUS)に準拠した前記車載ネットワークを介して、前記作業装置と双方向に通信する請求項9に作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トラクタ等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタ等の作業車両に連結する作業装置を管理するシステムとして、特許文献1が知られている。
特許文献1の作業装置の管理システムは、作業装置に取付けられ、且つ少なくとも識別情報を送信する通信部を有する無線タグと、無線タグの識別情報を図形で示したコード表示部と、コード表示部の図形を読み取る読取部と、読取部で読み取った図形を識別情報に復元し且つ復元した識別情報に前記作業装置を関連付けて登録する登録部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の作業装置を管理するシステムでは、作業車両に連結した作業装置が何であるかを把握することができるものの、連結した作業装置が作業車両に適合しているかを容易に判断することは難しかった。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、作業車両と作業装置との適合性を簡単に把握することができる作業車両及び作業車両の支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
作業車両は、作業装置を連結可能な車体と、前記作業装置と電気的に接続され双方向に通信が可能で且つ前記作業装置の動作に関する第1動作情報を取得可能な通信制御部と、前記通信制御部が取得した前記第1動作情報に基づいて、前記作業装置の前記動作に支障がないか適合度合いを判断する適合判断部と、前記適合判断部で判断した前記適合度合いを表示する表示装置と、を備え、前記表示装置は、前記車体の動作に関する第2動作情報を受け付け、前記適合判断部は、前記第1動作情報と、前記表示装置で受け付けた前記第2動作情報とに基づいて、前記適合度合いを判断し、前記適合判断部は、前記車体から前記作業装置への動力伝達前における前記第2動作情報に基づく前記適合度合いの第1判断処理と、前記車体から前記作業装置への動力伝達後における前記第2動作情報に基づく前記適合度合いの第2判断処理とを行う。
【0006】
作業車両は、作業装置を連結可能な車体と、前記作業装置と電気的に接続され双方向に通信が可能で且つ前記作業装置の動作に関する第1動作情報を取得可能な通信制御部と、前記通信制御部が取得した前記第1動作情報に基づいて、前記作業装置の前記動作に支障がないか適合度合いを判断する適合判断部と、前記適合判断部で判断した前記適合度合いを表示する表示装置と、を備え、前記車体の動作に関する第2動作情報に応じて、前記車体を制御する制御装置を備え、前記適合判断部は、前記第1動作情報と、前記制御装置の前記第2動作情報とに基づいて、前記適合度合いを判断し、前記適合判断部は、前記車体から前記作業装置への動力伝達前における前記第2動作情報に基づく前記適合度合いの第1判断処理と、前記車体から前記作業装置への動力伝達後における前記第2動作情報に基づく前記適合度合いの第2判断処理とを行う。
【0007】
作業車両は、前記第2動作情報を記憶する記憶部を備え、前記適合判断部は、前記適合度合いを判断する場合に前記記憶部に記憶された前記第2動作情報を参照する。
作業車両は、前記車体の動作を許可するか否かを操作する許可操作具と、前記許可操作具によって前記車体の動作が許可された場合に、前記第2動作情報に基づいて前記車体を制御する制御装置と、を備えている。
【0008】
作業車両は、前記適合判断部で判断した前記適合度合いを、外部機器に出力する出力部を備えている。
前記制御装置は、前記適合判断部が判断した適合度合いに基づいて、前記車体の制御を変更する変更部を備えている。
【0009】
作業車両の支援システムは、作業車両から車両情報と前記適合度合いを取得するサーバと、前記サーバから前記車両情報及び前記適合度合いを取得し且つ、取得した前記車両情報及び前記適合度合いを表示可能な外部機器と、を備えている。
前記サーバ及び前記外部機器のいずれかは、前記適合度合いを改善するソフトウェアプログラムを、前記作業車両に送信する通信装置を有している。
【0010】
作業車両は、作業装置を着脱可能に連結するように構成された車体と、前記車体を制御し、車載ネットワークを介して前記作業装置と双方向に通信する制御装置と、前記車載ネットワークに接続され、前記作業装置の第1動作又は第1機能に関する第1動作情報を前記作業装置から取得する通信部と、前記車体の第2動作又は第2機能に関する第2動作情報を記憶する記憶部と、前記第1動作情報と前記第2動作情報とを比較することにより、前記第2動作又は前記第2機能に対する前記第1動作又は前記第1機能の適合性として段階的な適合度合いを判断する適合判断部と、前記第2動作又は前記第2機能を示す複数の第1アイコンと、前記段階的な適合度合い示す複数の第2アイコンとを対応付けて表示する表示装置と、を備えている。
前記制御装置は、国際規格ISO11783(ISOBUS)に準拠した前記車載ネットワークを介して、前記作業装置と双方向に通信する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作業車両と作業装置との適合性を簡単に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2A】ソフトウェアで設定可能なソフトウェア機能の一例を示す図である。
【
図4】第2動作情報(動作設定)の一例を示す図である。
【
図5】作業車両と作業装置との適合度合を判断する流れを示す図である。
【
図6A】第2動作情報(搭載機能)と第1動作情報(機能情報)と適合性との関係を示す図である。
【
図6B】第2動作情報(動作設定)と第1動作情報(要求情報)と適合性との関係を示す図である。
【
図7B】
図7Aとは異なる確認画面M4の一例を示す図である。
【
図8】設定具によって動作設定した値と適合性との関係を示す図である。
【
図9】作業車両の支援システムの一例を示す図である。
【
図10】ソフトウェアプログラム(プログラム)と機能との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図11は、作業機の一例であるトラクタ1を示している。トラクタ1を例にあげ説明するが、作業機は、トラクタに限定されず、田植機等の農業機械である。
図11に示すように、トラクタ1は、走行装置7を有する走行車両(車体)3と、原動機4と、変速装置5と、操舵装置11とを備えている。走行装置7は、前輪7F及び後輪7Rを有する装置である。前輪7Fは、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。また、後輪7Rも、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。原動機4は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどの内燃機関、電動モータ等である。この実施形態では、原動機4は、ディーゼルエンジンである。
【0014】
変速装置5は、変速によって走行装置7の推進力を切換可能であると共に、走行装置7の前進、後進の切換が可能である。車体3にはキャビン9が設けられ、当該キャビン9内には運転席10が設けられている。
また、車体3の後部には、連結部8が設けられている。連結部8には、作業装置2が着脱可能である。この実施形態では、連結部8は、装着された作業装置2を昇降する昇降装置である。作業装置2は、耕耘する耕耘装置、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等である。なお、
図11では、作業装置2として成形装置を取り付けた例を示している。
【0015】
図1Aに示すように、変速装置5は、主軸(推進軸)5aと、シャトル部5bと、主変速部5cと、副変速部5dと、PTO動力伝達部5eと、前変速部5fと、を備えている。推進軸5aは、変速装置5のハウジングケースに回転自在に支持され、当該推進軸5aには、原動機4のクランク軸からの動力が伝達される。
シャトル部5bは、シャトル軸5b1と、前後進切換部5b2とを有している。シャトル軸5b1には、推進軸5aからの動力が伝達される。前後切換部5b2は、例えば、油圧クラッチ等で構成され、油圧クラッチの入切によってシャトル軸5b1の回転方向、即ち、トラクタ1の前進及び後進を切り換える。
【0016】
主変速部5cは、入力された動力を無段に変更する無段変速機構である。無段変速機構は、油圧ポンプ5c1と、油圧モータ5c2と、遊星歯車機構5c3とを有している。油圧ポンプ5c1は、シャトル部5bの出力軸5b3からの動力により回転する。油圧ポンプ5c1は、例えば、斜板12を有する可変容量ポンプであって、斜板12の角度(斜板角)を変更することにより、当該油圧ポンプ5c1から吐出する作動油の流量を変更することができる。油圧モータ5c2は、配管等の油路回路を介して油圧ポンプ5c1から吐出された作動油によって回転するモータである。油圧ポンプ5c1の斜板角を変更したり、油圧ポンプ5c1へ入力する動力を変更することによって、油圧モータ5c2の回転数を変更することができる。
【0017】
遊星歯車機構5c3は、複数のギア(歯車)と、入力軸及び出力軸等の動力伝達軸とで構成された機構であって、油圧ポンプ5c1の動力が入力される入力軸13と、油圧モータ5c2の動力が入力される入力軸14と、動力を出力する出力軸15とを含んでいる。遊星歯車機構5c3は、油圧ポンプ5c1の動力と、油圧モータ5c2の動力とを合成して合成した動力を出力軸15に伝達する。
【0018】
したがって、主変速部5cによれば、油圧ポンプ5c1の斜板12の斜板角、原動機4の回転数等を変更することによって、副変速部5dに出力する動力を変更することができる。なお、主変速部5cは、無段変速機構で構成しているが、ギアによって変速を行う有段変速機構であってもよい。
副変速部5dは、動力を変速する有段の複数のギア(歯車)を有する変速機構であって、複数のギアの接続(噛合)を適宜変更することによって、遊星歯車機構5c3の出力軸15から当該副変速部5dに入力された動力を変更して出力する(変速する)。副変速部5dは、入力軸5d1と、第1変速クラッチ5d2と、第2変速クラッチ5d3と、出力軸5d4とを含んでいる。入力軸5d1は、遊星歯車機構5c3の出力軸15の動力が入力される軸であり、入力された動力を、ギア等を介して第1変速クラッチ5d2及び第2変速クラッチ5d3に入力する。第1変速クラッチ5d2及び第2変速クラッチ5d3のそれぞれの接合及び切断を切り換えることにより、入力された動力は変更され、出力軸5d4に出力される。出力軸5d4に出力された動力は、後輪デフ装置20Rに伝達される。後輪デフ装置20Rは、後輪7Rが取り付けられた後車軸21Rを回転自在に支持している。
【0019】
PTO動力伝達部5eは、PTOクラッチ5e1と、PTO推進軸5e2と、PTO変速部5e3とを有している。PTOクラッチ5e1は、例えば、油圧クラッチ等で構成され、油圧クラッチの入切によって、推進軸5aの動力をPTO推進軸5e2に伝達する状態(接続状態)と、推進軸5aの動力をPTO推進軸5e2に伝達しない状態(切断状態)とに切り換わる。PTO変速部5e3は、変速クラッチと複数のギア等を含んでいて、PTO推進軸5e2からPTO変速部5e3へ入力された動力(回転数)を変更して出力する。
PTO変速部5e3の動力は、ギア等を介してPTO軸16に伝達される。
【0020】
前変速部5fは、第1前変速クラッチ5f1と、第2前変速クラッチ5f2とを有している。第1前変速クラッチ5f1及び第2前変速クラッチ5f2は、副変速部5dからの動力が伝達可能であって、例えば、出力軸5d4の動力が、ギア及び伝動軸を介して伝達される。第1前変速クラッチ5f1及び第2前変速クラッチ5f2からの動力は、前伝動軸22を介して前車軸21Fに伝達可能である。具体的には、前伝動軸22は、前輪デフ装置20Fに接続され、前輪デフ装置20Fは、前輪7Fが取り付けられた前車軸21Fを回転自在に支持している。
【0021】
第1前変速クラッチ5f1及び第2前変速クラッチ5f2は、油圧クラッチ等で構成されている。第1前変速クラッチ5f1には油路が接続され、当該油路には油圧ポンプから
吐出した作動油が供給される制御弁23に接続されている。第1前変速クラッチ5f1は、制御弁23の開度によって接続状態と切断状態とに切り換わる。第2前変速クラッチ5f2には油路が接続され、当該油路には制御弁24に接続されている。第2前変速クラッチ5f2は、制御弁24の開度によって接続状態と切断状態とに切り換わる。制御弁23及び制御弁24は、例えば、電磁弁付き二位置切換弁であって、電磁弁のソレノイドを励磁又は消磁することにより、接続状態又は切断状態に切り換わる。
【0022】
第1前変速クラッチ5f1が切断状態で且つ第2前変速クラッチ5f2が接続状態である場合、第2前変速クラッチ5f2を通じて副変速部5dの動力が前輪7Fに伝達される。これにより、前輪及び後輪が動力によって駆動する四輪駆動(4WD)で且つ前輪と後輪との回転速度が略同じとなる(4WD等速状態)。一方、第1前変速クラッチ5f1が接続状態で且つ第2前変速クラッチ5f2が切断状態である場合、四輪駆動になり且つ前輪の回転速度が後輪の回転速度に比べて速くなる(4WD倍速状態)。また、第1前変速クラッチ5f1及び第2前変速クラッチ5f2が接続状態である場合、副変速部5dの動力が前輪7Fに伝達されないため、後輪が動力によって駆動する二輪駆動(2WD)となる。
【0023】
図1Bに示すように、昇降装置(連結部)8は、リフトアーム8a、ロアリンク8b、トップリンク8c、リフトロッド8d、リフトシリンダ8eを有している。リフトアーム8aの前端部は、変速装置5を収容するケース(ミッションケース)の後上部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトアーム8aは、リフトシリンダ8eの駆動によって揺動(昇降)する。リフトシリンダ8eは、油圧シリンダから構成されている。リフトシリンダ8eは、制御弁34を介して油圧ポンプと接続されている。制御弁34は、電磁弁等であって、リフトシリンダ8eを伸縮させる。
【0024】
ロアリンク8bの前端部は、変速装置5の後下部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。トップリンク8cの前端部は、ロアリンク8bよりも上方において、変速装置5の後部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトロッド8dは、リフトアーム8aとロアリンク8bとを連結している。ロアリンク8bの後部及びトップリンク8cの後部には、作業装置2が連結される。リフトシリンダ8eが駆動(伸縮)すると、リフトアーム8aが昇降するとともに、リフトロッド8dを介してリフトアーム8aと連結されたロアリンク8bが昇降する。これにより、作業装置2がロアリンク8bの前部を支点として、上方又は下方に揺動(昇降)する。
【0025】
昇降装置8には、姿勢変更装置25が設けられている。姿勢変更装置25は、車体3に装着された作業装置2の姿勢を変更する装置である。姿勢変更装置25は、油圧シリンダから構成された変更シリンダ25aと、制御弁25bとを有している。変更シリンダ25aは、制御弁25bを介して油圧ポンプと接続されている。制御弁25bは、電磁弁等であって、変更シリンダ25aを伸縮させる。変更シリンダ25aは、リフトアーム8aとロアリンク8bとを連結している。
【0026】
図1Cに示すように、トラクタ1は、複数の補助弁27を有している。複数の補助弁27は、油圧ポンプ28から作動油が供給される油圧切換弁である。複数の補助弁27は、出力ポートを有しており、任意の出力ポートに油圧ホース等が接続可能である。補助弁27の任意の出力ポートに接続した油圧ホースを、作業装置2の油圧アタッチメントに接続することにより、作業装置2に装着された様々な油圧アタッチメントを作動させることができる。
【0027】
操舵装置11は、ハンドル(ステアリングホイール)11aと、ハンドル11aの回転に伴って回転する回転軸(操舵軸)11bと、ハンドル11aの操舵を補助する補助機構(パワーステアリング機構)11cと、を有している。補助機構11cは、制御弁35と、ステアリングシリンダ32とを含んでいる。制御弁35は、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁である。また、制御弁35は、操舵軸11bの操舵によっても切換可能である。ステアリングシリンダ32は、前輪7Fの向きを変えるアーム(ナックルアーム)36に接続されている。したがって、ハンドル11aを操作すれば、当該ハンドル11aに応じて制御弁35の切換位置及び開度が切り換わり、当該制御弁
35の切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ32が左又は右に伸縮することによって、前輪7Fの操舵方向を変更することができる。なお、上述した操舵装置11は一例であり、上述した構成に限定されない。
【0028】
トラクタ1は、複数の検出装置41を備えている。複数の検出装置41は、トラクタ1の状態を検出する装置であり、例えば、水温を検出する水温センサ41a、燃料の残量を検出する燃料センサ41b、原動機4の回転数を検出する原動機回転センサ(回転センサ)41c、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルペダルセンサ41d、操舵装置11の操舵角を検出する操舵角センサ41e、リフトアーム8aの角度を検出する角度センサ41f、車体3の幅方向(右方向又は左方向)の傾きを検出する傾き検出センサ41g、車体3の車速(速度)を検出する速度センサ41h、PTO軸の回転数を検出するPTO回転センサ(回転センサ)41i、バッテリー等の蓄電池の電圧を検出するバッテリセンサ41j、測位衛星等の信号に基づいて車体3の位置を検出する測位センサ(測位装置)41k等である。なお、速度センサ41hは、例えば、前車軸21Fの回転数、後車軸21Rの回転数、前輪7Fの回転数、後輪7Rの回転数等を車速に変換することにより車速を検出する。また、速度センサ41hは、前車軸21F、後車軸21R、前輪7F及び後輪7Rのいずれかの回転方向も検出することができ、トラクタ1(車体3)が前進しているか、後進しているかも検出することができる。上述した検出装置41は一例であり、上述したセンサに限定されない。
【0029】
また、トラクタ1は、複数の操作部材(操作装置)42を備えている。複数の操作部材42は、車体3の前進又は後進を切り換えるシャトルレバー42a、原動機4の始動等を行うイグニッションスイッチ42b、PTO軸の回転数を設定するPTO変速レバー42c、自動変速及び手動変速のいずれかを切り換える変速切換スイッチ42d、変速装置5の変速段(変速レベル)を手動で切り換える変速レバー42e、車速を増減させるアクセル42f、昇降装置8の昇降を操作するポンパスイッチ42g、昇降装置8の上限を設定する高さ設定ダイヤル42h、車速を設定する車速レバー42i、油圧操作具42j、原動機回転数の上限を設定する回転設定具42k等である。
【0030】
変速切換スイッチ42d、高さ設定ダイヤル42h、回転設定具42kなどの設定具は、運転席10の側方に設けたコンソールボックスに設けられている。設定具(変速切換スイッチ42d、高さ設定ダイヤル42h、回転設定具42k)を運転者が操作することによって、車体3の動作を設定することができる。なお、上述した操作部材42は一例であり、上述したものに限定されない。
【0031】
さて、
図2Aに示すように、トラクタ1(車体3)には、複数の機能(ソフトウェアで設定することができるソフトウェア機能)が用意されていて、それぞれの機能に応じて、トラクタ1(車体3)が所定の動作を行う。自動変速機能は、自動的に変速を行う機能、4WDは、前輪と後輪とを等速で同時に回転させる機能、4WD倍速は、前輪の回転速度を後輪よりも増加させる機能、2WDでは後輪で駆動する機能である。
【0032】
手動昇降機能は、手動操作によって作業装置2を昇降する機能、バックアップ機能は、車体3を後進した場合に自動的に作業装置2を上昇させる機能、オートアップ機能は、車体3の操舵角が所定以上になった場合に作業装置2を上昇させる機能、オートステア機能は、車体3の操舵を自動的に行う機能である。
固定機能は、作業装置2の幅方向の角度を予め定められた角度に固定にする機能、水平機能は、作業装置2を水平に維持する機能、傾斜機能は、作業装置2を圃場(地面)に平行に維持する機能である。
【0033】
トラクタ1(車体3)に用意されたソフトウェア機能は、有効/無効に切り換えることが可能である。トラクタ1(車体3)に用意されたソフトウェア機能が有効/無効であるかの情報は、トラクタ1の動作に関する第2動作情報として、後述する記憶部45(
図1C参照)に記憶される。
また、
図2Bに示すように、トラクタ1(車体3)には、当該トラクタ1の構造によって決まる機能(ハードウェア機能)がある。後PTO駆動は、車体3の後部からPTO軸が突出していて、後部のPTO軸から動力を作業装置2に伝達できる構造であることを示
している。前PTO駆動は、車体3の前部からPTO軸が突出していて、前部のPTO軸から動力を作業装置2に伝達できる構造であることを示している。後昇降は、車体3の後部に昇降装置8が設けられていて、車体3の後部で作業装置2の昇降ができる構造であることを示している。前昇降は、車体3の前部に昇降装置8が設けられていて、車体3の前部で作業装置2の昇降ができる構造であることを示している。補助弁27は、油圧ポンプ28などから供給される作動油によって切り換えられる弁が搭載されていることを示している。トラクタ1には、複数の補助弁27が設けられていて、複数の補助弁27のそれぞれには、作動油を出力したときの設定圧力(パイロット圧)が設定されている。
【0034】
なお、
図2Cに示すように、上述したソフトウェア機能、ハードウェア機能が自己のトラクタ1に備えられているか否かの情報は、第2動作情報として記憶部45に記憶されている。
次に、トラクタ1(車体3)に設けられた複数の機能(ソフトウェア機能)を実行する制御について説明する。
【0035】
図1Cに示すように、トラクタ1は、制御装置40と、記憶部45とを備えている。制御装置40は、トラクタ1の様々な制御を行う装置であり、CPU、電気電子回路、制御装置40に格納されたプログラム等から構成されている。記憶部45は不揮発性のメモリ等から構成され、様々な情報を記憶する。
制御装置40は、変速制御部40Aと、エンジン制御部40Bと、PTO制御部40Cと、昇降制御部40Dと、自動操舵制御部40Eと、姿勢制御部40F、補助油圧制御部40Gとを含んでいる。
【0036】
なお、制御装置40は、変速制御部40A、エンジン制御部40B、PTO制御部40C、昇降制御部40D、自動操舵制御部40E、姿勢制御部40F、補助油圧制御部40Gの全てを含んでいる必要はなく、トラクタ1の仕様に応じてトラクタ1に設けられている。また、変速制御部40A、エンジン制御部40B、PTO制御部40C、昇降制御部40D、自動操舵制御部40E、姿勢制御部40F及び補助油圧制御部40Gは、統合した制御装置40に設けられていてもよい。
【0037】
変速制御部40Aは、変速制御を行う。変速制御では、自動変速機能が有効である場合、トラクタ1の状態に応じて主変速部5c及び副変速部5dのいずれかを自動的に切り換え、変速装置5の変速段(変速レベル)を予め定められた変速段(変速レベル)に自動的に変更する。変速制御では、変速切換スイッチ42dを手動変速に切り換えた場合、変速レバー42eで設定された変速段(変速レベル)に応じて主変速部5c及び副変速部5dのいずれかを自動的に切り換え、変速装置5の変速段を変更する。
【0038】
変速制御部40Aは、走行装置7の走行駆動状態(走行装置7の動作)における制御(走行切換制御)を行う。走行切換制御では、シャトルレバー42aが前進に操作された場合、シャトル部5bの前後進切換部5b2を前進に切り換えることで、車体3を前進させる。また、進行切換制御は、シャトルレバー42aが後進に操作された場合、シャトル部5bの前後進切換部5b2を後進に切り換えることで、車体3を後進させる。
【0039】
走行切換制御では、4WDである場合、第1前変速クラッチ5f1を切断状態且つ第2前変速クラッチ5f2を接続状態にする。走行切換制御では、4WD倍速である場合、第1前変速クラッチ5f1を接続状態且つ第2前変速クラッチ5f2を切断状態にする。走行切換制御では、2WDである場合、第1前変速クラッチ5f1及び第2前変速クラッチ5f2を接続状態にする。
【0040】
エンジン制御部40Bは、エンジン制御を行う。エンジン制御では、イグニッションスイッチ42bがONに操作された場合、所定の処理を経て原動機4の始動を行い、イグニッションスイッチ42bがOFFに操作された場合、原動機4の駆動を停止させる。エンジン制御では、アクセル42fが操作された場合、当該アクセル42fの操作量に応じて原動機4の回転数(原動機回転数という)を変更することで、車体3の車速(速度)を変更する。
【0041】
PTO制御部40Cは、PTO制御を行う。PTO制御では、PTO変速レバー42cが操作された場合、変速装置5に内蔵されたPTO変速ギアを切り換えることでPTO軸
の回転数(PTO回転数という)を変更する。
昇降制御部40Dは、昇降制御を行う。昇降制御では、手動昇降機能が有効である場合、ポンパスイッチ42gが上昇させる方向(上昇側)に操作された場合、制御弁34を制御することでリフトシリンダ8eを伸長させ、リフトアーム8aの後端部(作業装置2側の端部)を上昇させる。昇降制御では、手動昇降機能が有効である場合、ポンパスイッチ42gが下降させる方向(下降側)に操作された場合、制御弁34を制御することでリフトシリンダ8eを収縮させ、リフトアーム8aの後端部(作業装置2側の端部)を下降させる。昇降装置8によって作業装置2を上昇させている場合に、当該作業装置2の位置、即ち、リフトアーム8aの角度が高さ設定ダイヤル42hで設定された上限(高さ上限値)に達すると、昇降装置8における上昇動作を停止する。
【0042】
昇降制御では、バックアップ機能が有効である場合、車体3が後進した場合に自動的に制御弁34を制御することでリフトシリンダ8eを伸長させ、リフトアーム8aの後端部(作業装置2側の端部)を上昇させる。昇降制御では、オートアップ機能が有効である場合、操舵装置11の操舵角が所定以上になると、自動的に制御弁34を制御することでリフトシリンダ8eを伸長させ、リフトアーム8aの後端部(作業装置2側の端部)を上昇させる。
【0043】
自動操舵制御部40Eは、自動操舵制御を行う。自動操舵制御では、オートステア機能(自動操舵機能)が有効である場合、予め定められた走行予定ラインに測位センサ41kで検出された位置(車体位置)が一致するように、制御弁35を制御することで操舵装置11の操舵角を自動的に制御する。
姿勢制御部40Fは、姿勢制御を行う。姿勢制御では、位置機能(固定機能)である場合、制御弁25bに制御信号を出力することで、変更シリンダ25aの長さを予め定められた長さに固定する。即ち、姿勢変更装置25で設定される作業装置2の幅方向の角度(水平に対するロアリンク8b、8bとを結ぶ直線の角度)を固定する。姿勢制御では、水平機能である場合、制御弁25bに制御信号を出力することで、変更シリンダ25aを伸縮させ、姿勢変更装置25で設定される作業装置2を水平に維持する。姿勢制御では、傾斜機能である場合、制御弁25bに制御信号を出力することで、変更シリンダ25aを伸縮させ、姿勢変更装置25で設定される作業装置2を圃場(地面)に平行に維持する。
【0044】
補助油圧制御部40Gは、複数の補助弁27のうち、油圧ホース等が接続された補助弁(作動制御弁)27を制御する。例えば、補助油圧制御部40Gは、揺動自在なレバー等の油圧操作具42jが操作された場合に所定の補助弁27から出力される作動油の流れを切り換える制御を行う。例えば、油圧操作具42jが左方向に操作されると、補助油圧制御部40Gは、所定の補助弁27のソレノイドを励磁して、所定の補助弁27のスプールを移動させることで作動油の流れる方向を一方向にする。また、油圧操作具42jが右方向に操作されると、補助油圧制御部40Gは、所定の補助弁27のソレノイドを励磁して、所定の補助弁27のスプールを移動させることで作動油の流れる方向を他方向にする。これにより、補助弁27によって、作業装置2の油圧アタッチメントを操作することができる。
【0045】
トラクタ1は、複数の表示装置50を備えている。複数の表示装置50は、トラクタ1に関する様々な情報を表示する装置である。
複数の表示装置50は、運転席10の周囲に設置されている。複数の表示装置50は、メータ表示装置50Aと、ターミナル表示装置50Bとを有している。メータ表示装置50Aは、運転席10の前方で且つハンドル11aの前方に配置された表示装置であって、少なくとも運転に関する運転(運転情報)を表示する。ターミナル表示装置50Bは、メータ表示装置50Aとは異なる表示装置であって、例えば、運転席10の前方又は側方に配置されている。ターミナル表示装置50Bは、少なくともトラクタ1の設定に関する情報を表示する。なお、説明の便宜上、メータ表示装置50Aを「表示装置50A」、ターミナル表示装置50Bを「表示装置50B」ということがある。トラクタ1は、表示装置50A、表示装置50Bの全ての表示装置を有する必要はなく、表示装置の台数は任意に変更が可能である。
【0046】
表示装置50Bは、指によるタッチ操作や操作具による操作具操作によって操作することが可能である。操作具は、例えば、押圧することが可能な回転式のセレクタスイッチである。
表示装置50Bは、情報を表示する表示部55と、表示を制御する表示制御部56とを有している。表示部55は、液晶、有機ELのパネル等で構成されている。表示制御部56は、CPU、電気・電子部品等から構成されている。表示制御部56は、表示装置50Bにおける様々な処理を行う装置であり、例えば、パネル等の表示部55を制御することで、表示部55上に様々な情報を表示させる。以降、表示部55の表示は、表示制御部56が制御するとして説明を進める。
【0047】
また、表示装置50Bは、設定受付部58を備えている。設定受付部58は、CPU、電気電子回路、制御装置40に格納されたプログラム等から構成されている。設定受付部58は、車体3の動作に関する設定(動作設定)を受け付けることができる。設定受付部58は、例えば、動作設定の1つである複数のソフトウェア機能のそれぞれの有効又は無効の設定を受け付ける。
【0048】
具体的には、表示装置50Bにおいて、所定の操作を行うと、
図3Aに示すように、表示装置50Bは設定画面M1を表示する。設定画面M1は、トラクタ1の複数の動作に割り当てられた複数のアイコン(シンボルマーク)101を表示する。複数のアイコン101は、アイコン101a~アイコン101hを含んでいる。
アイコン101aは、昇降装置8の手動昇降における動作を表すアイコン、アイコン101bは、姿勢変更装置25の動作を示すアイコン、アイコン101cは、走行装置7の動作を示すアイコン、アイコン101dは、原動機4の原動機回転数における動作を示すアイコン、アイコン101eは、操舵装置11の自動操舵の動作を示すアイコン、アイコン101fは、昇降装置8のオートアップの動作を示すアイコン、アイコン101gは、昇降装置8のバックアップの動作を示すアイコン、アイコン101hは、変速装置5の自動変速の動作を示すアイコンである。
【0049】
アイコン101a~アイコン101hのそれぞれには、変更ボタン(変更操作具)135a~135hが対応づけられている。変更ボタン135a~135hを操作することによって、アイコン101a~アイコン101hに対応する動作等の内容(設定)を変更(決定)することができる。
変更ボタン135aは、手動昇降機能を有効又は無効にするかを決定するボタン、変更ボタン135bは、固定機能、水平機能及び傾斜機能のいずれかを有効にするかを決定するボタン、変更ボタン135cは、4WD、4WD倍速、2WDのいずれかを決定するボタン、変更ボタン135dは、原動機回転数の上限を決定するボタン、変更ボタン135eは、自動操舵機能を有効又は無効にするかを決定するボタン、変更ボタン135fは、オートアップ機能を有効又は無効にするかを決定するボタン、変更ボタン135gは、バックアップ機能を有効又は無効にするかを決定するボタン、変更ボタン135hは、自動変速機能を有効又は無効にするかを決定するボタンである。なお、
図3Bに示すように、表示装置50Bは、設定画面M2も表示可能である。設定画面M2では、複数の補助弁27を表す複数のアイコン101iが表示され、複数のアイコン101iには、変更ボタン(変更操作具)135iが対応づけられている。変更ボタン135iは、複数の補助弁27毎を使用するか否か(有効/無効にするか否か)を動作設定として設定することができる。
【0050】
以上のように、
図4に示すように、設定受付部58によって受け付けられた動作設定は、車体3の動作に関する情報(第2動作情報)として、記憶部45を記憶(保存)される。
図1Cに示すように、変速制御部40A、エンジン制御部40B、PTO制御部40C、昇降制御部40D、自動操舵制御部40E、姿勢制御部40F及び補助油圧制御部40Gは、国際規格ISO11783(ISOBUS)に準拠した車載ネットワークN1に接続されている。また、車載ネットワークN1には、TIM (tractor implement management system)に対応した通信制御部43に接続されている。通信制御部43は、CPU、電気・電子部品等で構
成されていて、予め定められた通信プロトコルによって作業装置2の制御装置2aと通信を行う。即ち、通信制御部43は、車載ネットワークN1を介して作業装置2と電気的に接続され双方向に通信が可能である。制御装置2aは、作業装置2に関する様々な情報、例えば、作業装置2の動作に関する第1動作情報を車載ネットワークN1に出力可能である。
【0051】
通信制御部43は、第1動作情報を取得可能である。第1動作情報とは、作業装置2からトラクタ1(車体3)に対して要求する情報(要求情報)、トラクタ1に対する作業装置2の機能情報(互換性情報)、作業装置2の状態を示す状態情報(ステータス情報)などである。例えば、要求情報は、車速、PTO回転数、油圧などである。機能情報とは、トラクタ1(車体3)に用意された複数のソフトウェア機能、ハードウェア機能に対応しているかを示す情報である。ステータス情報は、作業装置2のエラーなどの状態を示す情報である。
【0052】
さて、トラクタ1は、適合判断部62を備えている。適合判断部62は、CPU、電気・電子部品等で構成されている。適合判断部62は、通信制御部43が取得した第1動作情報に基づいて、作業装置2の動作に支障がないか適合度合いを判断する。
適合判断部62は、通信制御部43が取得した第1動作情報を参照し、且つ、記憶部45を参照して第2動作情報を取得する。適合判断部62は、第1動作情報と第2動作情報とを比較して、第1動作情報と第2動作情報とが一致している場合は、適合度合いが高く、第1動作情報と第2動作情報とが一致していない場合は、互いの動作情報の乖離度合いに応じて適合度合いを判断する。
【0053】
図5に示すように、トラクタ1に作業装置2がISOBUSコネクタにより連結された後(S1)、PTO軸16の動力を作業装置2に伝達する前(S2、Yes)、例えば、原動機4の始動前又はPTOクラッチ5e1を切断状態に保持した場合、適合判断部62は、第1判断処理を実行する(S3)。第1判断処理では、トラクタ1に搭載された搭載機能(ソフトウェア機能、ハードウェア機能)と、作業装置2の機能情報(互換性情報)との適合度合いを判断する。
【0054】
具体的には、
図6Aに示すように、例えば、適合判断部62は、通信制御部43を介して取得した作業装置2の機能情報と、トラクタ1の搭載機能(ソフトウェア機能、ハードウェア機能)とを比較する。
図6Aでは、作業装置2の機能情報には、自動変速、2WD、手動昇降、固定、後PTO駆動、前PTO駆動、補助弁が含まれている。これに対して、トラクタ1の搭載機能は、作業装置2が示した機能情報(自動変速、2WD、手動昇降、固定、後PTO駆動、前PTO駆動、補助弁)の全てを有していることから、適合判断部62は、トラクタ1と作業装置2とは適合度合いが高い、最適であると判断する。
【0055】
また、
図5に示すように、PTO軸16の動力を作業装置2に伝達した後(S2、No)は、適合判断部62は、第2判断処理を行う(S4)。
図6Bに示すように、第2判断処理では、適合判断部62は、作業装置2が作動時にトラクタ1に対して要求した要求情報を参照し、例えば、トラクタ1の動作設定との比較を行う。
図6Bでは、トラクタ1において、自動変速機能が有効に設定されているのに対して、作業装置2は、自動変速機能の無効を要求している。適合判断部62は、自動変速機能において、作業装置2の要求とトラクタ1の設定とが異なることから、やや不適合であると判断する。また、
図6Bでは、トラクタ1において、複数の補助弁27のうち、設定圧(パイロット圧)が10MPaの補助弁27に設定されているのに対して、作業装置2が要求した補助弁27の設定圧が15MPaである。適合判断部62は、補助弁27において、作業装置2の要求とトラクタ1の設定とが異なることから、やや不適合であると判断する。
【0056】
図6Cに示すように、適合判断部62は、段階的に適合度合いを決定する。この段階的度合いとはコンピュータのプラグアンドプレイのように使用可能かどうかの状況を示すものである。適合判断部62は、例えば、適合判断部62は、トラクタ1の搭載機能及び機能の設定が作業装置2の要求及び互換性を十分に満足している場合は、作業装置2の動作に支障が無いとして、「最適」と判断する。最適とは使用可能(Ready)の状況を示して
いる。適合判断部62は、トラクタ1の搭載機能及び機能の設定の一部が作業装置2の要求及び互換性を満たしていない場合、作業装置2の動作を行える場合(作業装置2によって作業が継続できる場合)は、つまり少なくとも一部の機能が使える状態を「やや不適合」と判断する。適合判断部62は、トラクタ1の搭載機能及び機能の設定の一部が作業装置2の要求及び互換性を満たしておらず、さらなる準備が必要な場合は、「不適」と判断する。適合判断部62は、トラクタ1の動力によって作業装置2が作動できない場合、或いは、作業装置2又はトラクタ1が通信ができない等のエラーが発生していて動作が行えるが否かを判断ができない場合は「不可」と判断する。
【0057】
なお、適合判断部62は、複数の作業装置2における適合度合いを判断してもよい。例えば、トラクタ1の前部に連結した作業装置(前作業装置)2と、トラクタ1の後部に連結した作業装置(後作業装置)2との両方の適合度合を判断することができる。適合判断部62は、前作業装置2と後作業装置2とのうち、いずれかの作業装置2が作動させることができる場合は、少なくとも「やや不適合」と判断する。
【0058】
図7Aに示すように、表示装置50Bは、適合判断部62が判断した適合度合いを表示する。表示装置50Bにおいて、所定の動作を行うと、表示装置50Bは、確認画面M3を表示する。
確認画面M3は、トラクタ1側(TIMのサーバ側)を表示する第1エリア161と、トラクタ1の後部側に連結される作業装置2(クライアント側)を表示する第2エリア162と、トラクタ1の前部側に連結される作業装置2(クライアント側)を表示する第3エリア163とを含んでいる。第1エリア161には、トラクタ1を模した図形D1が表示され、第2エリア162には、作業装置2を模した図形D2が表示され、第3エリア163には、作業装置2を模した図形D3が表示される。例えば、表示装置50は、トラクタ1に作業装置2が連結された場合、記憶部45を参照して、作業装置2の図形D2,D3を示す図形データを検索する。そして、表示装置50は、トラクタ1に連結された作業装置2に対応する図形D2、D3を確認画面M3に表示する。
【0059】
確認画面M3は、トラクタ1の動作(機能)を表す第1動作表示部111と、トラクタ1の後部に設ける作業装置2の動作(機能)を表す第2動作表示部112と、トラクタ1の前部に設ける作業装置2の動作(機能)を表す第3動作表示部113とを含んでいる。第1エリア161には、第1動作表示部111が表示され、第2エリア162には、第2動作表示部112が表示され、第3エリア163には、第3動作表示部113が表示される。第1動作表示部111、第2動作表示部112及び第3動作表示部113には、動作(機能)を示す複数のアイコン(シンボルマーク)120が表示される。
【0060】
複数のアイコン120は、アイコン120a~アイコン120gを含んでいる。アイコン120aは、補助弁27の動作を示すアイコン、アイコン120bは、前PTO駆動を示すアイコン、アイコン120cは、後PTO駆動を示すアイコン、アイコン120dは、前昇降を示すアイコン、アイコン120eは、後昇降を示すアイコン、アイコン120fは、走行装置7の動作を示すアイコン、アイコン120gは、自動操舵を示すアイコンである。
【0061】
確認画面M3は、適合判断部62が判断した適合度合いを表示する複数の適合表示部121を含んでいる。複数の適合表示部121は、第1エリア161に表示され、
図6Cに示した適合度合を示すアイコンを表示する。
複数の適合表示部121は、複数のアイコン120に対応づけられている。複数の適合表示部121は、アイコン120aに対応する適合表示部121a、アイコン120bに対応する適合表示部121b、アイコン120cに対応する適合表示部121c、アイコン120dに対応する適合表示部121d、アイコン120eに対応する適合表示部121e、アイコン120fに対応する適合表示部121f、アイコン120gに対応する適合表示部121gを含んでいる。適合表示部121a~121gと、アイコン120a~120fは横方向に並べられている。
【0062】
図7Aに示すように、適合表示部121a~121gは、適合度合いに応じて表示が変化する。例えば、作業装置2が作動している場合には、適合判断部62が第2判断処理を
行われるたびに、適合表示部121a~121gは適合度合いを変化させる。
さて、確認画面M3に表示されたアイコン120aを選択すると、適合判断部62は、トラクタ1に搭載した複数の補助弁27のそれぞれの設定圧力と、作業装置2が要求する設定圧とを比較して、複数の補助弁27のそれぞれの適合度合いを判断する。そして、
図7Bの確認画面M4に示すように、複数の補助弁27を示す複数のアイコン120aと、当該複数のアイコン120aのそれぞれに対応した適合度合いを、複数のアイコン120aに対応づけて複数の適合表示部121aにより表示する。これによれば、現在の補助弁27の出力ポートに接続した油圧ホースの接続先を変更することにより、補助弁27における適合度合いを変えることができる。或いは、複数の補助弁27のうち、所定の補助弁27に切り換えることができる構造である場合には、適合度合いの高い補助弁27に切り換えることにより、補助弁27における適合度合いを変えることができる。
【0063】
図1Cに示すように、トラクタ1に許可操作具135を設けてもよい。許可操作具135は、運転席10の周囲に配置されたON/OFFに切り換えるスイッチであって、運転者が操作可能である。許可操作具135をONすると、車体3の動作が許可され、制御装置40(変速制御部40A、エンジン制御部40B、PTO制御部40C、昇降制御部40D、自動操舵制御部40E、姿勢制御部40F、補助油圧制御部40G)は、記憶部45を参照して、記憶部45に記憶された第2動作情報に基づいて車体3を制御する。許可操作具135をOFFすると、車体3の動作が不許可に保持され、第2動作情報に示された車体3の動作は行われない。
【0064】
また、制御装置40は、変更部44を有している。変更部44は、CPU、電気電子回路、制御装置40に格納されたプログラム等から構成されている。変更部44は、適合判断部62が判断した適合度合いに基づいて、車体3の制御を変更する。制御装置40は、適合度合いが低い場合、車体3の制御を変更する。例えば、
図6Bに示すように、作業装置2が自動変速機能の無効を要求している場合、制御装置40は、作業装置2が自動変速機能の無効を要求している期間(要求期間)だけ一時的に自動変速を無効する。
【0065】
或いは、作業装置2が設定圧を15MPaに要求している場合、制御装置40は、作業装置2が要求する設定圧15MPaを超える設定圧を有する補助弁(例えば
図2Cの補助弁1)27に切り換える。
適合判断部62は、表示装置50Bの設定画面M1で設定した動作設定を参照することによって、トラクタ1(車体3)と作業装置2との適合度合いを判断していたが、制御装置40が固有に有する動作設定に基づいて、適合度合いを判断してもよい。制御装置40の動作設定は、制御を実行するときの制御パラメータ、制御ゲイン等であり、例えば、自動操舵を行うにあたって車体位置と走行予定ラインとの位置偏差に対する操舵装置11の操舵角の設定値を決める操舵制御パラメータ、手動昇降を行うときのポンパスイッチ42gの操作量に対して制御弁34への出力電流を出力する際の昇降制御ゲイン、油圧操作具42jの操作量と補助弁27への出力電流を出力する際の油圧制御ゲイン等である。制御パラメータ、制御ゲイン等は、制御装置40に格納されたプログラム等によって設定される。適合判断部62は、作業装置2から要求される第1動作情報(制御パラメータ、制御ゲイン)を取得して、制御装置40の第2動作情報(制御パラメータ、制御ゲイン)との比較を行う。適合判断部62は、作業装置2から要求される第1動作情報(制御パラメータ、制御ゲイン)に対して第2動作情報(制御パラメータ、制御ゲイン)が満たしている場合は、適合していると判断する(最適であると判断する)。一方、適合判断部62は、作業装置2から要求される第1動作情報(制御パラメータ、制御ゲイン)に対して第2動作情報(制御パラメータ、制御ゲイン)が満たされていない場合は、制御パラメータの値、制御ゲインの値のそれぞれの乖離が大きくなるにつれて、適合、不適、不可の順に判断を行う。
【0066】
適合判断部62は、表示装置50Bの設定画面M1で設定した動作設定を参照することによって、トラクタ1(車体3)と作業装置2との適合度合いを判断していたが、運転席10の周囲に設けた設定具(変速切換スイッチ42d、高さ設定ダイヤル42h、回転設定具42k)で設定した動作設定に基づいて、適合度合いを判断してもよい。適合判断部
62は、第2判断処理を行う場合に、変速切換スイッチ42dの設定(自動変速の有効/無効)、高さ設定ダイヤル42hの設定(昇降装置8の高さ設定)、回転設定具42kの設定(原動機回転数の上限)を参照する。
図8に示すように、作業装置2の要求に対して、設定具の動作設定が適合しているかを判断する。適合判断部62が設定具の動作設定に基づいて適合判断するか否かは、例えば、表示装置50Bなどを操作することにより切り換えることができる。
【0067】
また、
図1Cに示すように、制御装置40は、出力部46を有している。出力部46は、適合判断部62で判断した適合度合いを、外部機器47に出力する。出力部46は、例えば、外部機器47に直接通信及び間接通信のいずれかを行う通信装置(通信モジュール)であって、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、出力部46は、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより無線通信を行う通信装置(通信モジュール)であってもよい。
【0068】
外部機器47は、例えば、タブレット、スマートフォン、PDA等の携帯型の端末(携帯端末)、パーソナルコンピュータ、サーバ等の固定型のコンピュータ等の固定型の端末(固定端末)である。出力部46は、例えば、外部機器47から適合結果の要求が出力部46等にあった場合、出力部46は、適合判断部62で判断した適合結果を、外部機器47に送信する。
[第2実施形態]
図9は、作業車両の支援システムを示している。作業車両の支援システムは、外部機器47と、サーバ150とを備えている。サーバ150は、トラクタ1の車両情報と適合度合い(適合結果)を取得する。車両情報は、例えば、トラクタ1の機種、型番、製造番号、制御装置40に格納されたソフトウェアプログラムのバージョン等であって、トラクタ1を特定する情報である。適合結果は、適合を判断するのに用いた動作(機能)と、適合度合いとを示す情報である。
【0069】
サーバ150は、外部機器47を経由する間接通信、及び、出力部46の直接通信により、車両情報及び適合結果を通信装置151により受信し、車両情報及び適合結果をデータベース152等に記憶する。
図10に示すように、制御装置40にソフトウェアプログラム(プログラム)Aが格納されているトラクタ1は、オートアップ機能及びバックアップ機能が作業装置2の機能に対応しておらず、互換性が無いことを把握することができる。サーバ150の通信装置151は、適合度合いを改善するプログラムを、トラクタ1の出力部(通信装置)46に送信する。即ち、サーバ150は、適合結果に基づいて、トラクタ1と作業装置2とが適合しているか否かを判断し、作業装置2に適合するプログラムを検索し、作業装置2に適合するプログラムBを、出力部(通信装置)46を介して送信する。
【0070】
なお、サーバ150からトラクタ1の出力部(通信装置)46にプログラムBを送信する場合、トラクタ1は、プログラムを受信するモード(メンテナンスモード)にする。トラクタ1は、プログラムBを受信した場合、制御装置40に格納されているプログラムを書き換える。
本実施形態のように作業車両の支援システムを用いた場合、サービスマンが現地に行かなくても作業車両の状況がわかり、適切なアドバイスをユーザーにすることが可能となる。また、作業車両の状況によっては、ソフトウェアのアップデートがサーバ150を通じて行われることが可能となる。
【0071】
作業車両1は、作業装置2を連結可能な車体3と、作業装置2と電気的に接続され双方向に通信が可能で且つ作業装置2の動作に関する第1動作情報を取得可能な通信制御部43と、通信制御部43が取得した第1動作情報に基づいて、作業装置2の動作に支障がないか適合度合いを判断する適合判断部62と、適合判断部62で判断した適合度合いを表示する表示装置50と、を備えている。これによれば、作業車両1に作業装置2を連結した場合に、作業装置2の動作に支障がないかの適合度合を把握することができる。つまり
、作業車両に作業装置を連結するだけで、作業車両と作業装置との適合性を簡単に把握することができる。
【0072】
表示装置50は、車体3の動作に関する第2動作情報を受け付け、適合判断部62は、第1動作情報と、表示装置50で受け付けた第2動作情報とに基づいて、適合度合いを判断する。これによれば、表示装置50によって車体3の動作を受付けた第2動作情報によって、作業装置2の動作に支障がないかの適合度合を把握することができる。
作業車両1は、車体3の動作に関する第2動作情報に応じて、車体3を制御する制御装置40を備え、適合判断部62は、第1動作情報と、制御装置40の第2動作情報とに基づいて、適合度合いを判断する。これによれば、制御装置40が車体3を制御するときの第2動作情報によって、作業装置2の動作に支障がないかの適合度合を把握することができる。
【0073】
適合判断部62は、車体3から作業装置2への動力伝達前における第2動作情報に基づく適合度合いの第1判断処理と、車体3から作業装置2への動力伝達後における第2動作情報に基づく適合度合いの第2判断処理とを行う。これによれば、作業装置2を車体3からの動力によって作動させる前に作業車両と作業装置との適合性を簡単に把握することができるだけでなく、作業装置2が車体3からの動力によって作動した場合にも業車両と作業装置との適合性を簡単に把握することができる。即ち、作業装置2の作動前、作動後の両方における適合性を把握しながら作業を行うことができる。
【0074】
作業車両1は、第2動作情報を記憶する記憶部45を備え、適合判断部62は、適合度合いを判断する場合に記憶部45に記憶された第2動作情報を参照する。これによれば、作業車両1において記憶部45に記憶された第2動作情報を参照したうえで適合性の判断を行うことができる。
作業車両1は、車体3の動作を許可するか否かを操作する許可操作具135と、許可操作具135によって車体3の動作が許可された場合に、第2動作情報に基づいて車体3を制御する制御装置40と、を備えている。これによれば、作業者(運転者)が表示装置50によって適合性を確認したうえで、車体3を動作させたり、車体3を動作させなかったりを行うことができる。即ち、適合性に応じて、車体3を動作させたり、車体3を動作させなかったりを行うことができる。
【0075】
作業車両1は、適合判断部62で判断した適合度合いを、外部機器47に出力する出力部46を備えている。これによれば、外部機器47が適合度合を取得することができ、外部機器47で適合性を把握することができる。
制御装置40は、適合判断部62が判断した適合度合いに基づいて、車体3の制御を変更する変更部44を備えている。これによれば、変更部44によって、適合度合を向上させる制御を行うことができる。
【0076】
作業車両1の支援システムは、作業車両1から、当該作業車両1に関する車両情報と適合度合いを取得するサーバ150と、サーバ150から車両情報及び適合度合いを取得し且つ、取得した車両情報及び適合度合いを表示可能な外部機器47と、を備えている。これによれば、作業車両1の車両情報と適合度合との関係を外部機器47によって確認することができる。例えば、作業車両1の種別、型式等と適合度合とがどのような関係であるかを把握することができる。
【0077】
サーバ及び外部機器47のいずれかは、適合度合いを改善するソフトウェアプログラムを、作業車両1に送信する通信装置151を有している。これによれば、作業車両1の適合度合を簡単に改善することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
1 :作業車両
2 :作業装置
3 :車体
40 :制御装置
43 :通信制御部
44 :変更部
45 :記憶部
46 :出力部
47 :外部機器
50 :表示装置
50A :表示装置
50B :表示装置
62 :適合判断部
150 :サーバ
151 :通信装置