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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/127 20060101AFI20230510BHJP
   A01F 12/32 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
A01D41/127
A01F12/32 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020106138
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022001018
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】林 壮太郎
(72)【発明者】
【氏名】堀 高範
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 直
(72)【発明者】
【氏名】寺西 陽之
(72)【発明者】
【氏名】松永 俊
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-120033(JP,A)
【文献】特開2009-077674(JP,A)
【文献】特開2019-004867(JP,A)
【文献】特開平07-312955(JP,A)
【文献】特開平07-067466(JP,A)
【文献】特開平08-000057(JP,A)
【文献】特開2002-360036(JP,A)
【文献】特開2014-068547(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0029558(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/00 - 41/16
A01D 57/00 - 57/30
A01D 69/00 - 69/12
A01F 12/30 - 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の作物を収穫する収穫部及び前記収穫部からの作物を搬送する搬送部を有する収穫搬送装置と、
前記収穫部によって収穫された作物を脱穀する脱穀部及び前記脱穀部によって脱穀された脱穀処理物を選別処理する選別部を有する脱穀装置と、を備え、
前記収穫部に設けられ、前記収穫部に導入された作物の量を検出する作物センサと、
前記作物センサの検出結果に基づいて、前記脱穀装置の制御パラメータを決定するパラメータ決定部と、
前記制御パラメータに基づいて前記脱穀装置を制御する制御ユニットと、
を備え
前記選別部は、揺動選別装置を備え、
前記揺動選別装置は、揺動駆動機構によって揺動するシーブケースと、前記シーブケース上に堆積した前記脱穀処理物の厚さを検出する層厚センサとを有し、
前記層厚センサの検出結果を用いて前記作物の導入量を補正する補正部を備える収穫機。
【請求項2】
前記作物センサは、前記収穫部における収穫幅方向一方側部分及び他方側部分の夫々に備えられている請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
前記作物センサは、前記収穫部における収穫幅方向中央側部分に備えられている請求項2に記載の収穫機。
【請求項4】
前記搬送部は、前記収穫部の収穫幅方向に並ぶ複数の搬送装置を備え、
前記作物センサは、前記搬送装置の搬送経路に位置する状態で備えられ、前記収穫部に導入された作物に接触して前記作物の存在を検出する請求項1から3のいずれか一項に記載の収穫機。
【請求項5】
前記収穫部は、前記収穫部の収穫幅方向に沿って設定された軸心周りに回転駆動自在に支持された横搬送体と前記収穫幅方向に沿って設けられる底フレームとを備え、
前記作物センサは、前記底フレームに前記収穫幅方向に沿って複数配置され、前記収穫部に導入された作物に接触して前記作物の存在を検出する請求項1から3のいずれか一項に記載の収穫機。
【請求項6】
前記選別部は、備え、
前記揺動選別装置は、脱穀処理物の搬送方向に沿って並べられた複数のチャフリップを有するとともに前記複数のチャフリップの姿勢を変更することで漏下開度を変更可能なチャフシーブを備え、
前記パラメータ決定部は、前記収穫部への作物の導入量が多い程、前記漏下開度を大きくし、前記唐箕の選別風の風量を増大させる請求項1から5のいずれか一項に記載の収穫機。
【請求項7】
機体の車速を示す車速情報を取得する車速情報取得部を備え、
前記作物の量は、前記車速を加味して算定される請求項1からのいずれか一項に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の作物を収穫し、脱穀装置によって作物の脱穀選別処理を行う収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
収穫機は、作物を収穫し、収穫した作物を脱穀選別処理し、得られた穀粒(選別処理物)を、穀粒タンクに搬送して貯留する。適切に作物が脱穀されないと、穀粒に損傷が生じる。また、適切に選別が行われないと、選別処理物に穀粒以外の夾雑物等の異物が混入する。その結果、適切な品質の穀粒を取得することができない。また、藁に穀粒が混入するなどして穀粒が藁と共に機外へ排出される(いわゆる、「ロス」)量が増えることもある。
【0003】
そのため、例えば、特許文献1に記載のコンバインでは、穀粒タンク内部に一時貯留部を備え、その一時貯留部に貯留された選別処理物を撮影するカメラを備え、撮影画像を解析して得られた穀粒の選別精度(異物の混入等)に基づいて、脱穀装置等の各種設定を調整したりする。
【0004】
また、特許文献2に記載の脱穀装置では、揺動移送棚上を流れる処理物の層厚を検出する層厚センサが設けられ、この層厚センサの検出結果に基づいて開閉シーブが開閉制御されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-10075号公報
【文献】特開2019-76061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のコンバインでは、搬送装置によって穀粒タンクに搬送されてきて貯留部内に投擲された選別処理物を、穀粒タンクの後部(投擲部から離れた位置)に支持された一時貯留部に貯留するものであるため、一時貯留部に選別処理物が溜まるのに時間がかかり、選別処理物の選別精度や品質を確認するタイミングが遅くなる可能性が高い。すなわち、既に穀粒タンク側に搬送された選別処理物により選別処理を行うので、制御と選別処理との間でタイムラグが生じ、制御の応答性が鈍くなる可能性がある。また、特許文献2では層厚センサによる検出結果を脱穀制御に利用しているが、急に収穫した作物の量が変化した場合には、制御の応答性が鈍る可能性があるとも考えられる。
【0007】
そこで、収穫した作物を適切に選別することが可能な収穫機が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る収穫機の特徴構成は、圃場の作物を収穫する収穫部及び前記収穫部からの作物を搬送する搬送部を有する収穫搬送装置と、前記収穫部によって収穫された作物を脱穀する脱穀部及び前記脱穀部によって脱穀された脱穀処理物を選別処理する選別部を有する脱穀装置と、を備え、前記収穫部に設けられ、前記収穫部に導入された作物の量を検出する作物センサと、前記作物センサの検出結果に基づいて、前記脱穀装置の制御パラメータを決定するパラメータ決定部と、前記制御パラメータに基づいて前記脱穀装置を制御する制御ユニットと、を備え、前記選別部は、揺動選別装置を備え、前記揺動選別装置は、揺動駆動機構によって揺動するシーブケースと、前記シーブケース上に堆積した前記脱穀処理物の厚さを検出する層厚センサとを有し、前記層厚センサの検出結果を用いて前記作物の導入量を補正する補正部を備えている点にある。
【0009】
このような特徴構成とすれば、収穫部に導入された作物の量に応じて脱穀装置を制御することができるので、収穫した作物を適切に、且つ、迅速に選別することが可能となる。
また、上記構成とすれば、シーブケース上に堆積した脱穀処理物の厚さで作物センサの検出結果を補正するので、収穫部に導入される作物の量だけでなく、脱穀装置に導入された作物の量に基づいて制御パラメータを決定することができる。したがって、より適切に脱穀制御を行うことが可能となる。
【0010】
また、前記作物センサは、前記収穫部における収穫幅方向一方側部分及び他方側部分の夫々に備えられていると好適である。
【0011】
このような構成とすれば、収穫部における収穫幅方向の左右両側部分から導入される作物の量を検出することができる。例えば作物を収穫する場合には、収穫幅方向の中央部に作物が存在せず、その左右両側(収穫幅方向の左側及び右側)において存在する作物を収穫するという状況は少ないので、上記構成のように収穫部における収穫幅方向の左右両側部分において作物の量を検出しておけば、少なくとも広い範囲に亘って全体を検出することが可能となる。
【0012】
また、前記作物センサは、前記収穫部における収穫幅方向中央側部分に備えられていると好適である。
【0013】
このような構成とすれば、収穫幅方向の左右両側と共に中央側部分を見ることにより、検出精度を向上することができる。また、仮に収穫幅方向の中央部のみに作物が存在している場合であっても対応可能である。
【0014】
また、前記搬送部は、前記収穫部の収穫幅方向に並ぶ複数の搬送装置を備え、前記作物センサは、前記搬送装置の搬送経路に位置する状態で備えられ、前記収穫部に導入された作物に接触して前記作物の存在を検出すると好適である。
【0015】
このような構成であれば、搬送部が収穫部の収穫幅方向に並ぶ複数の搬送装置を備えるように構成された収穫機において、作物の量を適切に検出することが可能となる。
【0016】
あるいは、前記収穫部は、前記収穫部の収穫幅方向に沿って設定された軸心周りに回転駆動自在に支持された横搬送体と前記収穫幅方向に沿って設けられる底フレームとを備え、前記作物センサは、前記底フレームに前記収穫幅方向に沿って複数配置され、前記収穫部に導入された作物に接触して前記作物の存在を検出するように構成しても良い。
【0017】
このような構成であれば、収穫部が当該収穫部の収穫幅方向に沿って設定された軸心周りに回転駆動自在に支持された横搬送体と収穫幅方向に沿って設けられる底フレームとを備えるように構成された収穫機において、作物の量を適切に検出することが可能となる。
【0018】
また、前記選別部は、備え、前記揺動選別装置は、脱穀処理物の搬送方向に沿って並べられた複数のチャフリップを有するとともに前記複数のチャフリップの姿勢を変更することで漏下開度を変更可能なチャフシーブを備え、前記パラメータ決定部は、前記収穫部への作物の導入量が多い程、前記漏下開度を大きくし、前記唐箕の選別風の風量を増大させると好適である。
【0019】
このような構成とすれば、収穫部への作物の導入量が多い程、チャフシーブの漏下開度を大きくし、唐箕の選別風の風量を増大するので、脱穀装置における選別処理を促進することが可能となる。したがって、本構成によれば、揺動選別装置の動作を制御し、脱穀制御をより適切に行うことができる。
【0020】
【0021】
【0022】
また、機体の車速を示す車速情報を取得する車速情報取得部を備え、前記作物の量は、前記車速を加味して算定されると好適である。
【0023】
例えば、収穫幅方向に沿って一様な状態で、作物が収穫部に導入される場合には、作物車速が速い程、収穫部に導入される作物の量が増大し、車速が遅い程、収穫部に導入される作物の量が低減する。そこで、上記構成とすれば、収穫幅方向に沿った作物の量だけでなく、車速に応じた収穫機の走行距離に基づいて導入される作物の量を算定できる。したがって、より正確に、収穫部に導入される作物の量を把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】収穫機の全体を示す左側面図である。
図2】収穫部及び搬送装置を示す図である。
図3】脱穀装置の縦断左側面図である。
図4】脱穀制御に係る機能部を示すブロック図である。
図5】その他の実施形態に係る収穫機の全体を示す左側面図である。
図6】その他の実施形態に係る収穫機の収穫部及び搬送部の横断平面図である。
図7】その他の実施形態に係る収穫機の全体を示す左側面図である。
図8】その他の実施形態に係る収穫機の全体を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る収穫機は、脱穀された作物から適切に選別された穀粒を貯留することができるように構成される。以下、本実施形態の収穫機について、自脱型コンバインを例に挙げて説明する。
【0026】
図1は収穫機の左側面図である。なお、以下の説明では、収穫機の機体に関し、図1に示される矢印Fの方向を「機体前方」、矢印Bの方向を「機体後方」、矢印Uの方向を「機体上方」、矢印Dの方向を「機体下方」、紙面表側の方向を「機体左方」、紙面裏側の方向を「機体右方」とする。
【0027】
収穫機は、図1に示されるように、バー形のフレーム材などを組み合わせて構成された機体1、及び、機体1の下部に装備された左右一対のクローラ式の走行装置2を備えている。機体1の前部の横一端側部分に、運転部3が形成されている。運転部3には、操縦空間を覆うキャビン4が備えられている。機体1の前部に収穫搬送装置6が設けられている。収穫搬送装置6は、機体1の前部における運転部側と反対側の横側部分に下降作業状態と上昇非作業状態とに亘って揺動昇降操作できるように支持されている。機体1の後部に脱穀装置7と穀粒タンク8とが横並び状態で設けられている。穀粒タンク8の後端部に穀粒排出装置9が接続されている。
【0028】
この収穫機では、収穫搬送装置6を下降作業状態に下降させ、この状態で機体1を走行させることにより、圃場の作物としての稲、麦などの収穫作業を行なえる。すなわち、収穫搬送装置6において、機体1の前方に位置する作物が収穫部6Aによって収穫され、収穫された作物が搬送部6Bによって脱穀装置7の前部へ搬送される。脱穀装置7において、搬送部6Bの合流後搬送装置11(図2参照)からの作物の株元側が挟持された状態で脱穀フィードチェーン12によって脱穀装置7の後方に向けて搬送され、作物の穂先側が脱穀部7Aの扱室60(図3参照)に挿入されて回転する扱胴61(図3参照)によって脱穀処理され、脱穀処理後の穀粒が塵埃と選別される。選別後の穀粒が揚穀装置5によって穀粒タンク8に搬送されて貯留される。穀粒タンク8に貯留された穀粒が穀粒排出装置9によって排出される。
【0029】
収穫搬送装置6は、図1及び図2に示されるように、機体1の前部から前方に前下がり姿勢で、かつ上下揺動可能に延出された刈取部フレーム14、刈取部フレーム14の先端部分に支持され、圃場の作物を収穫する収穫部6A、収穫部6Aの後部分と脱穀装置7の前部とに亘って設けられ、収穫部6Aからの作物を後方に搬送して脱穀フィードチェーン12の始端部に供給する搬送部6Bを備えている。
【0030】
収穫部6Aは、図1及び図2に示されるように、刈取部フレーム14の先端部分から前向きに延出された7本の分草杆15を備えている。7本の分草杆15は、機体1の横幅方向に間隔を有して並んでいる。互いに隣り合う分草杆15の間に、1条の植付条の作物を引起装置16及び刈取装置10に導入する導入路Rが形成されている。全体として、6つの導入路R(R1-R6)が形成され、6条の植付条の作物を刈り取ることが可能になっている。
【0031】
各分草杆15の先端部にデバイダ18が支持されている。左端のデバイダ18と右端のデバイダ18との間隔が収穫部6Aの収穫幅Wとなる。デバイダ18の後側に、収穫幅方向(機体1の横幅方向)に並ぶ6つの引起装置16が設けられている。6つの引起装置16は、1つの導入路Rに1つの引起装置16が対応する状態で機体1の横幅方向に並んでいる。引起装置16の下部の後方にバリカン型の刈取装置10が設けられている。刈取装置10は、両横端の分草杆15に亘る状態で設けられ、6つの導入路Rに導入された作物に作用可能である。刈取装置10の上方のうち、6つの導入路Rの夫々に対応する部位に、掻込ベルト21及び掻込輪体22,24,26が設けられている。
【0032】
収穫部6Aにおいては、6条刈りの刈取形態で作物を収穫することが可能になっている。以下の説明では、6つの導入路Rに関し、右端から数えて1番目の導入路Rを第1導入路R1と称し、右端から数えて2番目の導入路Rを第2導入路R2と称し、右端から数えて3番目の導入路Rを第3導入路R3と称し、右端から数えて4番目の導入路Rを第4導入路R4と称し、右端から数えて5番目の導入路Rを第5導入路R5と称し、右端から数えて6番目の導入路Rを第6導入路R6と称する。
【0033】
6条刈りの場合、6条の植付条のうちの右端から1番目の植付条の作物が第1導入路R1の入口の両横側に位置するデバイダ18によって第1導入路R1に案内される。第1導入路R1に案内された作物が第1導入路R1に対応する引起装置16によって引き起こし処理されつつ、この引起装置16の後方に位置する掻込ベルト21及び掻込輪体22によって刈取装置10に掻き込まれて刈取装置10によって収穫処理される。6条の植付条のうちの右端から2番目の植付条の作物が第2導入路R2の入口の両横側に位置するデバイダ18によって第2導入路R2に案内される。第2導入路R2に案内された作物が第2導入路R2に対応する引起装置16によって引き起こし処理されつつ、この引起装置16の後方に位置する掻込ベルト21及び掻込輪体22によって刈取装置10に掻き込まれて刈取装置10によって収穫処理される。第1導入路R1に導入されて収穫された作物と、第2導入路R2に導入されて収穫された作物との2条分の作物がこの2条分の作物に対する2つの掻込輪体22によって刈取装置10から後方に掻き送られる。
【0034】
6条の植付条のうちの右端から3番目の植付条の作物が第3導入路R3の入口の両横側に位置するデバイダ18によって第3導入路R3に案内される。第3導入路R3に案内された作物が第3導入路R3に対応する引起装置16によって引き起こし処理されつつ、この引起装置16の後方に位置する掻込ベルト21及び掻込輪体24によって刈取装置10に掻き込まれて刈取装置10によって収穫処理される。6条の植付条のうちの右端から4番目の植付条の作物が第4導入路R4の入口の両横側に位置するデバイダ18によって第4導入路R4に案内される。第4導入路R4に案内された作物が第4導入路R4に対応する引起装置16によって引き起こし処理されつつ、この引起装置16の後方に位置する掻込ベルト21及び掻込輪体24によって刈取装置10に掻き込まれて刈取装置10によって収穫処理される。第3導入路R3に導入されて収穫された作物と、第4導入路R4に導入されて収穫された作物との2条分の作物がこの2条分の作物に対する2つの掻込輪体24によって刈取装置10から後方に掻き送られる。
【0035】
6条の植付条のうちの右端から5番目の植付条の作物が第5導入路R5の入口の両横側に位置するデバイダ18によって第5導入路R5に案内される。第5導入路R5に案内された作物が第5導入路R5に対応する引起装置16によって引き起こし処理されつつ、この引起装置16の後方に位置する掻込ベルト21及び掻込輪体26によって刈取装置10に掻き込まれて刈取装置10によって収穫処理される。6条の植付条のうちの右端から6番目の植付条の作物が第6導入路R6の入口の両横側に位置するデバイダ18によって第6導入路R6に案内される。第6導入路R6に案内された作物が第6導入路R6に対応する引起装置16によって引き起こし処理されつつ、この引起装置16の後方に位置する掻込ベルト21及び掻込輪体26によって刈取装置10に掻き込まれて刈取装置10によって収穫処理される。第5導入路R5に導入されて収穫された作物と、第6導入路R6に導入されて収穫された作物との2条分の作物がこの2条分の作物に対する2つの掻込輪体26によって刈取装置10から後方に掻き送られる。
【0036】
搬送部6Bは、図2に示されるように、収穫部6Aの収穫幅方向に並ぶ複数(本実施形態では3つ)の搬送装置19と、3つの搬送装置19の後方に設けられた合流後搬送装置11とを備えている。3つの搬送装置19は、具体的には、収穫部6Aの収穫幅方向中央部における中央搬送装置19Cと、中央搬送装置19Cよりも収穫幅方向の一方の端部側の右端搬送装置19Rと、中央搬送装置19Cよりも収穫幅方向の他方の端部側の左端搬送装置19Lとが相当し、これらは搬送装置19の搬送方向上手側の部分で収穫幅方向に並んでいる。3つの搬送装置19は、刈取装置10の上方と、刈取装置10の後方に設定された合流箇所20とに亘って設けられている。合流後搬送装置11は、合流箇所20と、脱穀装置7の前部とに亘って設けられている。
【0037】
右端搬送装置19Rは、図2に示されるように、刈取装置10の上方に設けられた左右一対の掻込輪体22と、左右の掻込輪体22が刈取装置10から後方に掻き送った作物の株元側部分を突起付きの無端回動チェーンと挟持レールとによって合流箇所20まで挟持搬送する株元側搬送部23aと、左右の掻込輪体22が刈取装置10から後方に掻き送った作物の穂先側部分を合流箇所20まで係止搬送する穂先側係止搬送部23b、とを備えている。穂先側係止搬送部23bは、掻込輪体22が後方に掻き送った作物の穂先側部分を係止搬送アームが備えられた無端回動チェーンによって脱穀フィードチェーン12の前付近まで係止搬送する穂先側搬送装置23のうちの掻込輪体22の上方から合流箇所20に至る始端側部分によって構成されている。
【0038】
中央搬送装置19Cは、図2に示されるように、刈取装置10の上方に設けられた左右一対の掻込輪体24と、左右の掻込輪体24が刈取装置10から後方に掻き送った作物を右端の搬送装置19Rの途中箇所に搬送する始端側搬送部25と、始端側搬送部25が搬送してきた作物を合流箇所20に搬送する終端側搬送部と、を備えている。始端側搬送部25は、掻込輪体24が後方に掻き送った作物の株元側部分を突起付きの無端回動チェーンと挟持レールとによって挟持搬送する株元側搬送部(図示せず)と、掻込輪体24が後方に掻き送った作物の穂先側部分を係止搬送アームが備えられた無端回動チェーンによって係止搬送する穂先側搬送部(図示せず)と、を備えている。終端側搬送部は、右端搬送装置19Rのうちの終端側部分によって構成されている。
【0039】
左端搬送装置19Lは、図2に示されるように、刈取装置10の上方に設けられた左右一対の掻込輪体26と、左右の掻込輪体26が刈取装置10から後方に掻き送った作物の株元側部分を突起付きの無端回動チェーンと挟持レールとによって合流箇所20まで挟持搬送する株元側搬送部27aと、左右の掻込輪体26が掻き送った作物の穂先側部分を係止搬送アームが備えられた無端回動チェーンによって合流箇所20まで係止搬送する穂先側搬送部27bと、を備えている。
【0040】
合流後搬送装置11は、図2に示されるように、合流箇所20に搬送されてきた作物の株元側部分を突起付きの無端回動チェーンと挟持レールとによって脱穀フィードチェーン12の前方まで挟持搬送する始端側の株元搬送部11aと、始端側の株元搬送部11aが搬送してきた作物の株元側部分を突起付きの無端回動チェーンと挟持レールとによって脱穀フィードチェーン12の始端部まで挟持搬送する終端側の株元搬送部11bと、合流箇所20に搬送された作物の穂先側部分を脱穀フィードチェーン12の始端部近くに係止搬送する穂先側係止搬送部と、を備えている。穂先側係止搬送部は、穂先側搬送装置23のうちの合流箇所20から穂先側搬送装置23の終端部に至る部分によって構成されている。
【0041】
搬送装置19の搬送経路の夫々には、収穫部6Aに導入された作物の量を検出する作物センサSが備えられる。本実施形態では、作物センサSは、搬送装置19の搬送経路の夫々に位置する状態で備えられ、収穫部6Aに導入された作物の存在を検出する、所謂株元センサが用いられる。図2に示されるように、収穫部6Aにおける収穫幅方向一方側部分である右端搬送装置19Rの搬送経路23Rには作物センサS1(以下、右作物センサS1とする)が設けられ、搬送経路23Rにおける作物の存在を検出する。右作物センサS1は、掻込輪体22よりも搬送方向下手側に設けられる。
【0042】
また、収穫部6Aにおける収穫幅方向他方側部分である左端搬送装置19Lの搬送経路27Rには作物センサS3(以下、左作物センサS3とする)が設けられ、搬送経路27Rにおける作物の存在を検出する。左作物センサS3は、掻込輪体26よりも搬送方向下手側に設けられている。
【0043】
更に、収穫部6Aにおける収穫幅方向中央側部分である中央搬送装置19Cの搬送経路25Rには作物センサS2(以下、中作物センサS2とする)が設けられ、搬送経路25Rにおける作物の存在を検出する。中作物センサS2は、中央搬送装置19Cのうちの始端側搬送部25における搬送経路に設けられている。
【0044】
本実施形態では右作物センサS1、中作物センサS2及び左作物センサS3は、作物に接触して作物の存在を検出するように構成されている。すなわち、右作物センサS1、中作物センサS2及び左作物センサS3は接触式のセンサが用いられる。このような接触式のセンサは公知であるので、説明は省略する。
【0045】
図3に示されるように、脱穀装置7は収穫部6Aによって収穫された作物を扱胴61によって脱穀する脱穀部7Aと、脱穀部7Aによって脱穀された脱穀処理物を揺動選別処理する選別部7Bとを備える。脱穀部7Aは、脱穀装置7における上部領域に配置され、脱穀部7Aの下方に、受網27が設けられ、選別部7Bは、受網27の下方に設けられている。選別部7Bは、受網27から漏下してきた脱穀処理物を、回収すべき穀粒を含む選別処理物と、排藁等の排出物とに選別する。
【0046】
脱穀装置7の上部に扱室60が配置され、この扱室60において機体前後方向に沿う姿勢の回転軸芯Y1を中心に回転自在に扱胴61が支持されている。扱胴61の下側に回転軸芯Y1を中心とした円弧領域に配置される受網27が設けられている。扱室60の後方には扱処理等により発生した塵埃を外部に排出する排塵ファン29が設けられている。
【0047】
この脱穀装置7では、脱穀フィードチェーン12で挟持搬送される作物を扱室60の内部に供給するため、扱室60の側壁のうち脱穀フィードチェーン12が配置された側に作物供給口(図示せず)が形成されている。作物の扱処理を行う場合には、脱穀フィードチェーン12で挟持搬送される作物が作物供給口を介して扱室60に供給されると共に、この作物の穂先部分が、受網27の上面と、扱胴61の下側との間に送り込まれる。
【0048】
また、図3に示されるように、受網27を漏下した処理物を揺動選別する揺動選別装置30が、脱穀装置7の下部に配置され、この揺動選別装置30の下側には、精選別領域に選別風を供給する唐箕31と第一副唐箕71と第二副唐箕72とが配置されている。
【0049】
揺動選別装置30の下側に、揺動選別装置30で選別された一番物としての穀粒(単粒化穀粒等)を回収する一番物回収部34を備え、この後方位置に、揺動選別装置30からの二番物としての未処理物(枝梗付き穀粒等)を回収する二番物回収部35を備えている。
【0050】
揺動選別装置30は、シーブケース36と、粗選別用の第一グレンパン37と、複数の線材を用いた前篩部38と、粗選別用の第二グレンパン39と、複数の線材を用いた後篩部40と、粗選別用のチャフシーブ41と、粗選別用のストローラック42と、案内板43と、精選別用のグレンシーブ44とを備えている。
【0051】
シーブケース36は、偏心カム式の揺動駆動機構45によって揺動するように構成されている。第一グレンパン37は、シーブケース36の粗選別領域の前部側に設けられている。第一グレンパン37は、シーブケース36の揺動に伴い、受網27の前部側から漏下した選別対象物を後方に移送しながら比重選別する。
【0052】
シーブケース36の上方には、シーブケース36上に堆積した脱穀処理物の厚さを検出する層厚センサ33が設けられている。この層厚センサ33の検出結果により、受網27からシーブケース36上に漏下した脱穀処理物の量に対して揺動選別装置30による選別処理が適切に行えているか否かを判定することができる。
【0053】
前篩部38は、第一グレンパン37の後端部から後上方に向けて斜めに延出しており、機体左右方向に設定間隔で設けられている。この前篩部38は、第一グレンパン37からの選別対象物を介しながらチャフシーブ41の前端部に供給する。
【0054】
第二グレンパン39は、シーブケース36の粗選別領域の後部側において、送塵口46の下方に設けられている。第二グレンパン39は、シーブケース36の揺動に伴い、送塵口46からの選別対象物を後方に移送しながら比重選別する。
【0055】
後篩部40は、第二グレンパン39の後端部から後方に向けて延出しており、機体左右方向に設定間隔で設けられている。後篩部40は、第二グレンパン39からの選別対象物を介しながらチャフシーブ41の後端部及びストローラック42に供給する。
【0056】
チャフシーブ41は、シーブケース36の粗選別領域における第一グレンパン37の後下方に設けられている。チャフシーブ41は、シーブケース36の揺動に伴い、前篩部38からの選別対象物や、受網27の後部側から漏下した選別対象物、後篩部40からの選別対象物を後方に移送しながら篩い選別する。
【0057】
ストローラック42は、シーブケース36の粗選別領域の後部側において、チャフシーブ41の後端部に連設されている。ストローラック42は、シーブケース36の揺動に伴い、後篩部40からの選別対象物や、チャフシーブ41からの選別対象物を後方に移送しながら篩い選別する。
【0058】
案内板43は、シーブケース36の精選別領域の前部側に設けられている。案内板43は、シーブケース36の揺動に伴い、チャフシーブ41の前部側から漏下した選別対象物を後下方に向けて流下案内する。
【0059】
グレンシーブ44は、シーブケース36の精選別領域の後部側に設けられている。グレンシーブ44は、チャフシーブ41の後部側から漏下した選別対象物や、案内板43からの選別対象物を、シーブケース36の揺動に伴い、後方に移送しながら篩い選別する。グレンシーブ44は、機体横外方(左方)から着脱可能に構成されている。
【0060】
一番物回収部34は、グレンシーブ44の下方に設けられ、一番物の穀粒を右方へ搬送する一番物スクリュ47を備えている。この一番物スクリュ47の右端部には、一番物の穀粒を穀粒タンク8に揚穀搬送する揚穀装置5が配置されている。
【0061】
二番物回収部35は、一番物回収部34の後方でストローラック42の下方に設けられ、二番物の穀粒を右方へ搬送する二番物スクリュ49を備えている。この二番物スクリュ49の右端部には、二番物の穀粒を揺動選別装置30に還元する二番物還元装置50が配置されている。
【0062】
チャフシーブ41には、脱穀処理物の移送(搬送)方向(前後方向)に沿って並んで設けられた複数の板状のチャフリップが備えられている。各チャフリップは、後端側ほど斜め上方に向かう傾斜姿勢で配置されている。チャフリップの傾斜角度は可変であり、傾斜角度を急にするほど、隣り合うチャフリップ同士の間隔が広がり、脱穀処理物が漏下し易くなる。すなわち、複数のチャフリップの姿勢を変更することで漏下開度を変更可能に構成されている。そのため、チャフリップの傾斜角度を調整することにより、揺動選別装置30の選別効率(選別精度や選別速度)を調整することができる。チャフリップの傾斜姿勢を変更制御可能なリップ制御機構が備えられており、チャフリップの傾斜角度を自動的に変更することができる。
【0063】
図4は、作物センサSの検出結果に基づいた脱穀制御に係る機能部を示すブロック図である。図4に示されるように、作物センサSによる測定結果はパラメータ決定部80に伝達される。パラメータ決定部80は、作物センサSの検出結果に基づいて、脱穀装置7の制御パラメータを決定する。作物センサSとは、本実施形態では右作物センサS1、中作物センサS2及び左作物センサS3である。脱穀装置7の制御パラメータとは、脱穀装置7の能力を設定する機器設定値であって、具体的には脱穀装置7が備える脱穀部7Aの脱穀能力を設定可能な脱穀パラメータや、選別部7Bの選別能力を設定可能な選別パラメータが相当する。脱穀部7Aにおける脱穀能力を設定可能な脱穀パラメータとは、扱胴61の回転速度を設定する設定値が相当する。また、選別部7Bにおける選別能力を設定可能な選別パラメータとは、唐箕31からの選別風の風量を設定する設定値や、チャフシーブ41の漏下開度を設定する設定値や、揺動選別装置30を揺動させる揺動駆動機構45の揺動速度や揺動量を設定する設定値が相当する。更には、機体1の走行速度を増減することで、コンバインが刈り取る作物の量を変化させることが可能である。したがって、機体1の走行速度も、制御パラメータに含まれる。
【0064】
パラメータ決定部80は、上述した制御パラメータを変更することにより、揺動選別装置30の選別能力、すなわち、受網27から漏下する処理物の量に対する、一番物回収部34により回収される一番物の量の割合である選別度(あるいは選別効率)が適切なものとなるように決定する。
【0065】
制御ユニット90は、制御パラメータに基づいて脱穀装置7を制御する。すなわち、制御ユニット90は、上述した制御パラメータにより、脱穀装置7の脱穀部7A及び選別部7Bを制御する。このように制御された脱穀装置7において、パラメータ決定部80が制御パラメータを決定し、制御ユニット90が脱穀装置7を制御する。したがって、コンバインが収穫作業を行っている最中に、作業状況に応じた適切な制御パラメータをリアルタイムで設定し、適切に収穫作業を行うことが可能となる。
【0066】
具体的には、パラメータ決定部80は、収穫部6Aへの作物の導入量が多い程、チャフシーブ41の漏下開度を大きくし、唐箕31の選別風の風量を増大させる。収穫部6Aへの作物の導入量が多い場合は、揺動選別装置30において一番物として回収されず、且つ、二番物として還元されずに、揺動選別装置30からの後方へ三番物として搬送される量が多い可能性がある。そこで、収穫部6Aへの作物の導入量が多い場合は、チャフシーブ41の漏下開度を大きく設定することで、一番物回収部34や二番物回収部35へ選別処理物を漏下し易くし、唐箕31の選別風の風量を増大することで、選別処理物以外のものを揺動選別装置30の後方で搬送することが可能となる。これにより、三番物として搬送されるような三番ロスを低減できる。一方、収穫部6Aへの作物の導入量が少ない場合は、揺動選別装置30において選別精度を高めることが可能である。そこで、収穫部6Aへの作物の導入量が少ない場合は、チャフシーブ41の漏下開度を小さく設定することで、一番物回収部34へ選別処理物を漏下し易くし、唐箕31の選別風の風量を低減することで、選別処理物を揺動選別装置30の後方に搬送し難くすることが可能となる。これにより、一番物として回収し易くできる。
【0067】
また、この作物の導入量は、層厚センサ33の検出結果を用いて補正部82が補正するように構成することも可能である。すなわち、シーブケース36上の脱穀処理物の量が多すぎる場合には、選別部7Bにおける選別処理が導入に対して遅れている可能性がある。そこで、補正部82が、作物センサSにより検出された作物の量が多くなるように補正することで、パラメータ決定部80がチャフシーブ41の漏下開度を大きくし、唐箕31の選別風の風量を増大させることにより選別部7Bにおける選別処理を迅速に行わせることが可能となる。
【0068】
また、収穫機にあっては機体1の走行速度が速い程、導入量が増大する。そで、車速情報取得部83が機体1の車速を示す車速情報を取得するように構成すると良い。係る場合、パラメータ決定部80は、車速を加味して作物の量を算定すると好適である。これにより、車速に応じてより正確な導入量を推定することができ、適切に脱穀処理を行うことが可能となる。
【0069】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、作物センサSは収穫部6Aにおける収穫幅方向一方側部分及び他方側部分の夫々に備えられているとして説明したが、作物センサSは収穫部6Aにおける収穫幅方向一方側部分及び他方側部分の一方に備えて構成しても良い。
【0070】
上記実施形態では、作物センサSは、収穫部6Aにおける収穫幅方向中央側部分に備えられているとして説明したが、作物センサSは、収穫部6Aにおける収穫幅方向中央側部分に備えずに構成することも可能である。
【0071】
上記実施形態では、複数の搬送装置19が3つである場合の例を挙げて説明したが、搬送装置19は2つであっても良いし、4つ以上であっても良い。
【0072】
上記実施形態では、複数の搬送装置19の夫々に作物センサSが1つずつ設けられている場合の例を挙げて説明したが、作物センサSは複数の搬送装置11の夫々に2つ以上設けてあっても良い。
【0073】
上記実施形態では、パラメータ決定部80は、収穫部6Aへの作物の導入量が多い程、チャフシーブ41の漏下開度を大きくし、唐箕31の選別風の風量を増大させるとして説明したが、パラメータ決定部80はチャフシーブ41の漏下開度及び選別風の風量のうちの少なくともいずれか一方の調整を行うように構成しても良い。更には、パラメータ決定部80は、チャフシーブ41の漏下開度及び選別風の風量の調整を行わずに、他の制御で脱穀能力及び選別能力を変更しても良い。
【0074】
また、唐箕31の選別風の風量の調整と共に、或いは、唐箕31の選別風の風量の調整に代えて、第一副唐箕71、第二副唐箕72、及び排塵ファン29の少なくともいずれか一つの風量を調整して脱穀能力や選別能力を変更するように構成することも可能である。
【0075】
例えば図示はしないが、扱室60のカバーの裏面(内壁側)に設けられる送塵弁が傾斜姿勢を変更制御可能な状態で設けられる場合には、送塵弁の傾斜角度を制御パラメータとし、脱穀制御や選別制御を行うように構成することも可能である。具体的には送塵弁の扱胴61の軸心方向に対する傾斜角が大きくなる程、送り量が小さくなる。そこで、パラメータ決定部80は、作物センサSの検出結果に応じて送塵弁の扱胴61の軸心方向に対する傾斜角を変更すると好適である。
【0076】
上記実施形態では、揺動選別装置30は、シーブケース36上に堆積した脱穀処理物の厚さを検出する層厚センサ33を備えているとして説明したが、揺動選別装置30は層厚センサ33を備えずに構成することも可能である。また、上記実施形態では、補正部82が層厚センサ33の検出結果を用いて作物の導入量を補正するとして説明したが、補正部82が層厚センサ33の検出結果を用いて作物の導入量を補正しないように構成することも可能である。
【0077】
上記実施形態では、作物の量は車速を加味して算定されるとして説明したが、作物の量は車速を加味せずに算定しても良い。
【0078】
上記実施形態では、所謂自脱型コンバインを例に挙げて説明したが、所謂普通型コンバインに適用することも可能である。すなわち、収穫部6Aは、収穫部6Aの収穫幅方向に沿って設定された軸心周りに回転駆動自在に支持された横搬送体17と収穫幅方向に沿って設けられる底フレーム110とを備えていても良い。
【0079】
このような普通型コンバインの一例が図5及び図6に示される。図5は、普通型コンバインの全体を示す左側面図であり、図6は、普通型コンバインの収穫部6A及び搬送部6Bの横断平面図である。
【0080】
図5及び図6に示すように、収穫搬送装置6は、作物を掻き込む掻き込みリール116と、圃場の作物を切断するバリカン型の切断装置13と、収穫された作物をフィーダ118(搬送部6Bを構成)まで横送りする横搬送体17とを備える。収穫搬送装置6によって刈り取られた作物は、フィーダ118によって脱穀装置7に搬送され、脱穀装置7によって脱穀選別処理される。
【0081】
底フレーム110の前部には左右方向に沿って、バリカン型式の切断装置13が支持され、横側部111の前部にデバイダ114が連結されている。フレーム体109の後部に支持された右及び左のアーム115が前側に延出されており、アーム115の前部の左右方向の軸心P1周りに、掻き込みリール116が回転駆動自在に支持されている。
【0082】
フレーム体109には、横搬送体17が左右方向の軸心P2周りに回転駆動自在に、横側部111に支持されている。機体1の前進に伴って、右及び左のデバイダ114の間の作物が、掻き込みリール116により横搬送体17側に掻き込まれながら、作物の株元が切断装置13により切断されて、収穫された作物が、横搬送体17の回転により横搬送体17と底フレーム110との間に導入される。図6に示すように、横搬送体17に導入された作物は、横搬送体17の中央側に搬送され、搬送部103の入口部103aに供給される。
【0083】
底フレーム110には収穫幅方向に沿って作物センサSが複数備えられる。図6の例にあっては、収穫幅方向に沿って4個の作物センサSが備えられている。作物センサSは、右及び左のデバイダ114の間の作物が収穫されて収穫搬送装置6に導入される状態において、収穫部6Aに導入された作物に接触して作物の存在を検出する。4個の作物センサSのうちの2個がフレーム体109の底フレーム110において、搬送部103の入口部103aに対して右側の位置に備えられ、他の1個がフレーム体109の底フレーム110において、搬送部103の入口部103aに対して左側の位置に備えられている。更に、もう1個がフレーム体109の底フレーム110において、搬送部103の入口部103aの前側の位置に備えられている。これにより、作物センサSが、底フレーム110に刈幅方向に沿って左右方向に間隔を空けて、収穫搬送装置6に備えられた状態となる。
【0084】
このような普通型コンバインにあっても、作物センサSが収穫部6Aに導入された作物の存在を検出し、パラメータ決定部80が作物センサSの検出結果に基づいて制御パラメータを決定し、決定された制御パラメータに基づいて制御ユニット90が脱穀装置7を制御することが可能である。
【0085】
更に、トウモロコシを収穫する収穫機に適用することも可能である。図7は、コーンヘッダを搭載したホイールコンバイン(以下「トウモロコシ収穫機」とする)の全体を示す左側面図であり、図8は、このようなホイールコンバインの全体を示す上面図である。
【0086】
図7に示すように、トウモロコシ収穫機は、駆動可能に構成される左右の前車輪251と、操向操作可能に構成される左右の後車輪252とを備えている。機体1の前部には、収穫部6Aを上下揺動させることができるフィーダ118(搬送部6Bを構成)が設けられる。フィーダ118には昇降シリンダ257が機体フレームと連結して設けられ、昇降シリンダ257によってフィーダ118を揺動することで、収穫部6Aを下降作業位置と上昇非作業位置とにわたって昇降操作可能に構成される。機体1の後部には、脱穀装置7及び穀粒タンク8が設けられる。
【0087】
トウモロコシ収穫機は、収穫部6Aを下降作業位置に下降させた状態で機体1を走行し、収穫作業を行う。収穫作業時には、収穫部6Aが圃場から房状のトウモロコシを収穫する。収穫された作物としての房状のトウモロコシはフィーダ118によって機体1の後方上方向きに搬送され、房状のトウモロコシが脱穀装置7に搬送される。脱穀装置7において、房状のトウモロコシの種子粒を脱粒させる脱穀処理、及び、種子粒を塵埃と選別する選別処理が行われる。選別された種子粒が揚穀装置5によって穀粒タンク8に搬送され、貯留される。
【0088】
脱穀装置7には扱室60が設けられ、扱室60には扱胴61が備えられる。扱室60には前端側から作物が投入され、扱室60の後端側から房状のトウモロコシから外れた包葉などの脱穀処理物が排出される。扱胴61は、回転支軸(図示せず)を介して回動可能に支持され、房状のトウモロコシに対して脱穀処理を行う場合にはこの回転支軸により扱胴61が回動される。
【0089】
脱穀処理物(トウモロコシの種子粒)は揺動選別装置30及び唐箕31により揺動選別処理が行われる。選別処理された種子粒のうち、収穫用の種子粒は揚穀装置5により穀粒タンク8へ搬送される。
【0090】
図8に示すように、収穫部6Aには、収穫幅右方向に沿ってデバイダ214が設けられる。収穫部6Aは、収穫幅方向に4列の導入経路が設けられ、導入経路毎に、左右一対の収穫ロール215、収穫ロール215の上部に位置する左右一対の無端搬送チェーン216が備えられている。導入経路の後端側には、作物センサSが設けられている。これにより、導入経路に沿って導入された房状のトウモロコシが接触し、当該トウモロコシの存在を検出する。
【0091】
また、収穫部6Aには、収穫した房状のトウモロコシを横搬送して集める横搬送体17が備えられている。横搬送体17には筒部材219と、筒部材219の外周部に取り付けられ、房状のトウモロコシを押圧する左右一対の螺旋状の押圧体220とが備えられる。
【0092】
横搬送体17は、軸心P2周りに回動することにより押圧体220で房状のトウモロコシを押圧して、後方に向けて搬送しながら、収穫幅方向の中央部に寄せ集める。横搬送体17で集められた房状のトウモロコシは横搬送体17と当該横搬送体17の下部側に設けられた底フレーム110との間を通って搬送部6B側へ送られる。搬送部6Bは、収穫した房状のトウモロコシを後方に向けて搬送する。
【0093】
このようなトウモロコシ収穫機にあっても、作物センサSが収穫部6Aに導入された作物の存在を検出し、パラメータ決定部80が作物センサSの検出結果に基づいて制御パラメータを決定し、決定された制御パラメータに基づいて制御ユニット90が脱穀装置7を制御することが可能である。
【0094】
上記実施形態では、収穫機が稲、麦、トウモロコシを収穫する場合の例を挙げて説明したが、稲、麦、トウモロコシ以外の作物を収穫機が収穫するように構成することも可能である。
【0095】
上記実施形態では、作物センサSが作物に接触して作物を検出する作物センサであるとして説明したが、作物センサSは穀稈の有無を検出する穀稈センサであっても良い。また、カメラで撮像した撮像画像に基づいて、収穫幅方向に沿った作物の量を検出するように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、圃場の作物を収穫、脱穀装置によって作物の脱穀選別処理を行う収穫機に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0097】
1:機体
6:収穫搬送装置
6A:収穫部
6B:搬送部
7:脱穀装置
7A:脱穀部
7B:選別部
17:横搬送体
19:搬送装置
23R:搬送経路
25R:搬送経路
27R:搬送経路
30:揺動選別装置
31:唐箕
33:層厚センサ
36:シーブケース
41:チャフシーブ
45:揺動駆動機構
80:パラメータ決定部
82:補正部
83:車速情報取得部
90:制御ユニット
110:底フレーム
S:作物センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8