(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01B 51/02 20060101AFI20230510BHJP
A01D 41/02 20060101ALI20230510BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
A01B51/02
A01D41/02 Z
B60R16/02 645A
(21)【出願番号】P 2020108127
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】佐嶋 圭介
(72)【発明者】
【氏名】井本 憲生
(72)【発明者】
【氏名】樋口 由奈
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-077871(JP,U)
【文献】実開昭64-035138(JP,U)
【文献】特開平04-265638(JP,A)
【文献】特開2007-319091(JP,A)
【文献】実開昭60-046851(JP,U)
【文献】特開平11-000036(JP,A)
【文献】実開平04-006635(JP,U)
【文献】特開2011-206024(JP,A)
【文献】実公昭47-030145(JP,Y1)
【文献】実用新案登録第2568497(JP,Y2)
【文献】実公平01-041636(JP,Y2)
【文献】実開平07-027036(JP,U)
【文献】実開昭61-146837(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 51/02
A01B 51/00-51/02
A01D 41/00-41/02
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のクローラ走行装置と、
機体左右方向の一方側に偏倚する状態で設けられた運転部と、
電装品と、前記電装品に電力を供給するバッテリと、前記電装品と前記バッテリとを電気的に接続する導体と、が備えられ、
前記導体に、機体フレームが含まれており、
前記導体の中途部に、開状態と閉状態とに切換可能であって、前記バッテリからの電力の伝達を遮断可能な操作部が備えられ
、
前記操作部は、機体の外周部のうち、機体左右方向の前記一方側の前記クローラ走行装置の左右内側端よりも左右外側の箇所に設けられている
コンバイン。
【請求項2】
前記操作部は、前記バッテリと隣り合う状態で設けられている請求項1に記載の
コンバイン。
【請求項3】
前記機体フレームは、前記導体のうち、前記バッテリのマイナス端子に近い部分に設けられ、
前記操作部は、前記導体における前記機体フレームと前記マイナス端子との間の部分に設けられている請求項1または2に記載の
コンバイン。
【請求項4】
前記操作部は、機体の後部に設けられている請求項
1から3のいずれか一項に記載の
コンバイン。
【請求項5】
前記操作部を支持するとともに電導性を有するステーが、前記機体フレームに電導状態で支持され、
前記操作部に、操作者が操作する操作具と、前記バッテリの側からの前記導体が結線される第一結線部と、前記機体フレームの側からの前記導体が結線される第二結線部と、が備えられ、
前記第二結線部は、前記ステーに連結されている請求項1から
4のいずれか一項に記載の
コンバイン。
【請求項6】
機体前部に設けられ、圃場の作物を収穫する収穫部と、
前記収穫部の後方
に設けられた
前記運転部と、
前記収穫部によって収穫された作物を脱穀処理する脱穀装置と、
前記運転部の後方において、前記脱穀装置と横並び状態で設けられ、脱穀処理後の穀粒を貯留する穀粒貯留部と、が備えられ、
前記操作部は、前記穀粒貯留部の後方に設けられている請求項1から
5のいずれか一項に記載の
コンバイン。
【請求項7】
前記脱穀装置の後部に、脱穀後の排ワラを処理する排ワラ処理部が備えられ、
前記排ワラ処理部は、前記脱穀装置の後方から前記穀粒貯留部の後方に亘って設けられ、
前記操作部は、前記排ワラ処理部の下方に設けられている請求項
6に記載の
コンバイン。
【請求項8】
前記排ワラ処理部は、下方に排ワラを排出するように構成され、
前記穀粒貯留部と前記排ワラ処理部との間に、前記排ワラ処理部の排出経路を前記穀粒貯留部の後方空間と仕切る仕切壁が備えられ、
前記操作部に、操作者が操作する操作具と、前記バッテリの側からの前記導体が結線される第一結線部と、前記機体フレームの側からの前記導体が結線される第二結線部と、が備えられ、
前記操作部は、前記第一結線部及び前記第二結線部が前記仕切壁に対して前記穀粒貯留部の側に位置する状態、かつ、前記操作具が前記仕切壁に対して前記排出経路の側に露出する状態で設けられている請求項
7に記載の
コンバイン。
【請求項9】
前記排ワラ処理部に、前記排ワラ処理部の排出口から下方に向けて延出されて前記排出経路を囲うカバー部材が備えられ、
前記カバー部材のうち、前記操作具の近傍に位置する部分に、前記操作具を外部に露出させる切欠部が形成されている請求項
8に記載の
コンバイン。
【請求項10】
前記操作具は機体後方から操作する状態で設けられ、
前記切欠部は、前記カバー部材のうち、前記操作具と対向する部分以外の部分に形成されている請求項
9に記載の
コンバイン。
【請求項11】
前記仕切壁のうち、前記操作部の周囲に位置する周囲部分は、前記仕切壁のうち、前記周囲部分以外の部分から切り離して着脱可能である請求項
8から
10のいずれか一項に記載の
コンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを備えるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、農作業機(文献では「コンバイン」)にバッテリを備えたものが知られている(特許文献1参照)。農作業機において、バッテリは、エンジンの始動用モータやヘッドライト等の電装品の電源として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
農作業機は、使用期間が一年間のうち例えば収穫期等の特定時期に限定される場合がある。バッテリは不使用時にも放電し続けるため、不使用期間が長くなると、次回(例えば翌年)使用時にバッテリが上がった状態となり、農作業機が使用できないことがある。その場合、農作業機はバッテリを再充電したり交換したりする必要がある。農作業機においてバッテリ上がりを予防するための対策としては、不使用期間に入る前にバッテリからハーネスを外してバッテリの放電を抑制することが考えられる。ただし、農家等において農作業機を格納する納屋等施設は総じて狭いため、農作業機においてバッテリに対するハーネスの着脱は行い難い場合が多い。
【0005】
上記実情に鑑みて、不使用期間のバッテリの放電を簡易に抑制することができるコンバインが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンバインは、左右一対のクローラ走行装置と、機体左右方向の一方側に偏倚する状態で設けられた運転部と、電装品と、前記電装品に電力を供給するバッテリと、前記電装品と前記バッテリとを電気的に接続する導体と、が備えられ、前記導体に、機体フレームが含まれており、前記導体の中途部に、開状態と閉状態とに切換可能であって、前記バッテリからの電力の伝達を遮断可能な操作部が備えられ、前記操作部は、機体の外周部のうち、機体左右方向の前記一方側の前記クローラ走行装置の左右内側端よりも左右外側の箇所に設けられていることを特徴とする。
【0007】
本構成によれば、電装品とバッテリとを電気的に接続する導体の中途部にバッテリからの電力の伝達を遮断可能な操作部が備えられているので、農作業機において操作部を操作して導体の中途部を開状態にするだけで、バッテリからの電力の伝達を遮断することができる。また、農作業機を再度使用する際には、操作部を操作して導体の中途部を閉状態にするだけで、バッテリから電力が伝達される状態に切換えることができる。これにより、農作業機は不使用期間のバッテリの放電を簡易に抑制することができる。
また、本構成のように、操作部が機体の外周部に設けられていると、機外から操作部に手が届き易くなるので、操作部の操作性が向上する。
【0008】
さらに、本発明において、
前記操作部は、前記バッテリと隣り合う状態で設けられていると好適である。
【0009】
本構成によれば、バッテリからの電力の伝達を遮断可能な操作部がバッテリと隣り合う状態で設けられているので、バッテリに対して操作部を配置し易く、バッテリからの電力の伝達状況の確認も容易になる。
【0010】
さらに、本発明において、
前記機体フレームは、前記導体のうち、前記バッテリのマイナス端子に近い部分に設けられ、前記操作部は、前記導体における前記機体フレームと前記マイナス端子との間の部分に設けられていると好適である。
【0011】
操作部によってバッテリからの電力を遮断する場合に、操作部がバッテリのプラス端子に接続される導体の中途に存在すると、バッテリから電装品に供給される電力が人体に供給される等の不都合が生じるおそれがある。そこで、本構成では、機体フレームは、導体のうちバッテリのマイナス端子に近い部分に設けられている。本構成により、操作部を操作する人体は、バッテリのマイナス端子と機体フレームとの間で位置するので、操作部を操作する際にバッテリからの電力は人体に流れることがない。
【0012】
【0013】
【0014】
さらに、本発明において、
前記操作部は、機体の後部に設けられていると好適である。
【0015】
農作業機を格納施設に格納する場合、格納施設が狭い場合には格納施設の奥側に農作業機の前方が格納されることがある。こうした場合、本構成のように、操作部は機体の後部に設けられていることで、操作部に対して格納施設の入口側の広いスペースから容易に操作することができる。これにより、農作業機において操作部の操作性が向上する。
【0016】
さらに、本発明において、
前記操作部を支持するとともに電導性を有するステーが、前記機体フレームに電導状態で支持され、前記操作部に、操作者が操作する操作具と、前記バッテリの側からの前記導体が結線される第一結線部と、前記機体フレームの側からの前記導体が結線される第二結線部と、が備えられ、前記第二結線部は、前記ステーに連結されていると好適である。
【0017】
本構成によれば、ステーに操作部が支持されるとともに、当該ステーに第2結線部が連結されているので、操作部において作業性が向上する。また、導電性を有するステーが機体フレームに導電状態で支持されるので、機体フレームと操作部との間に無駄なハーネスを配置する必要がない。
【0018】
さらに、本発明において、
機体前部に設けられ、圃場の作物を収穫する収穫部と、前記収穫部の後方に設けられた前記運転部と、前記収穫部によって収穫された作物を脱穀処理する脱穀装置と、前記運転部の後方において、前記脱穀装置と横並び状態で設けられ、脱穀処理後の穀粒を貯留する穀粒貯留部と、が備えられ、前記操作部は、前記穀粒貯留部の後方に設けられていると好適である。
【0019】
本構成によれば、操作部が運転部の後方且つ穀粒貯留部の後方に設けられているので、農作業機の使用時において操作部は操作し難い位置である。これにより、農作業機において操作部の操作具に対する不測の操作を防止することができる。
【0020】
さらに、本発明において、
前記脱穀装置の後部に、脱穀後の排ワラを処理する排ワラ処理部が備えられ、前記排ワラ処理部は、前記脱穀装置の後方から前記穀粒貯留部の後方に亘って設けられ、前記操作部は、前記排ワラ処理部の下方に設けられていると好適である。
【0021】
本構成によれば、操作部が排ワラ処理部の下方に設けられているので、農作業機の使用時において操作部は外部から視認し難い位置になる。これにより、農作業機において操作部の操作具に対する不測の操作を防止することができる。
【0022】
さらに、本発明において、
前記排ワラ処理部は、下方に排ワラを排出するように構成され、前記穀粒貯留部と前記排ワラ処理部との間に、前記排ワラ処理部の排出経路を前記穀粒貯留部の後方空間と仕切る仕切壁が備えられ、前記操作部に、操作者が操作する操作具と、前記バッテリの側からの前記導体が結線される第一結線部と、前記機体フレームの側からの前記導体が結線される第二結線部と、が備えられ、前記操作部は、前記第一結線部及び前記第二結線部が前記仕切壁に対して前記穀粒貯留部の側に位置する状態、かつ、前記操作具が前記仕切壁に対して前記排出経路の側に露出する状態で設けられていると好適である。
【0023】
本構成によれば、仕切壁によって排ワラ処理部の排出経路が穀粒貯留部の後方空間と仕切られており、操作部の第一結線部及び第二結線部は穀粒貯留部の側に位置する。これにより、操作部の第一結線部及び第二結線部は、仕切壁によって排ワラから保護することができる。また、操作部の操作具は排ワラの排出経路の側に露出するので、外部から操作部の操作具を操作することができる。
【0024】
さらに、本発明において、
前記排ワラ処理部に、前記排ワラ処理部の排出口から下方に向けて延出されて前記排出経路を囲うカバー部材が備えられ、前記カバー部材のうち、前記操作具の近傍に位置する部分に、前記操作具を外部に露出させる切欠部が形成されていると好適である。
【0025】
バッテリからの電力の伝達を遮断可能な操作部は、農作業機の使用時には操作する必要はない。そのため、農作業機の使用時において、操作部は操作し難いことが好ましい。本構成によれば、操作具が排ワラ処理部の排出経路を囲うカバー部材に覆われている、したがって、不測に操作具が操作されるのを防止することができる。さらに、操作部の操作具はカバー部材に形成された切欠部から外部に露出されるので、必要時にカバー部材の切欠部から操作部の操作具を操作することができる。
【0026】
さらに本発明において、
前記操作具は機体後方から操作する状態で設けられ、前記切欠部は、前記カバー部材のうち、前記操作具と対向する部分以外の部分に形成されていると好適である。
【0027】
本構成によれば、操作部の操作具は機体後方から操作する状態であり、且つ、切欠部はカバー部材において操作具に対向しない部分に形成されている。したがって、操作部の操作具は機体後方側からは露出しない構成であり、切欠部は機体側方のカバー部材に設けられることになる。これにより、操作部の操作具は、農作業機の外部から簡単に操作できない位置に配置されることになる。その結果、農作業機において操作部の操作具に対する不測の操作を防止することができる。
【0028】
さらに、本発明において、
前記仕切壁のうち、前記操作部の周囲に位置する周囲部分は、前記仕切壁のうち、前記周囲部分以外の部分から切り離して着脱可能である好適である。
【0029】
操作部は、仕切壁に対して穀粒貯留部の側に第一結線部及び第二結線部が配置されている。したがって、操作部において第一結線部及び第二結線部のメンテナンス等を行う際には、仕切壁を取り外す必要がある。ここで、仕切壁は排ワラ処理部の排出経路を穀粒貯留部の後方空間と仕切るものであるため、仕切壁全体の着脱には手間がかかる。しかし、本構成によれば、仕切壁において操作部の周囲部分のみが切り離し可能であるので、操作部において第一結線部及び第二結線部等のメンテナンスを行う際に、仕切壁全体を取り外す必要はなく、仕切壁のうち操作部に係る部位のみを切り離して取り外すことができる。これにより、農作業機において、操作部のメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図7】バッテリと電装品と間の電流回路を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明に係る農作業機について、その実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び
図2に、農作業機の一例である自脱型コンバインの全体が示されている。本実施形態のコンバインは、稲、麦などの収穫作業を行なう。なお、以下の説明では、コンバインの走行機体に関し、
図1,2に示される矢印Fの方向を「機体前方」、矢印Bの方向を「機体後方」、
図1に示される矢印Uの方向を「機体上方」、矢印Dの方向を「機体下方」、
図2に示される矢印Lの方向を「機体左方」、矢印Rの方向を「機体右方」とする。
【0032】
[第1実施形態]
図1及び
図2に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1によって自走する走行機体によって構成され、機体前部に、圃場の作物(例えば、植立穀稈)を収穫する刈取部3(収穫部の一例)が設けられている。機体の前部右側に、運転席4aを有する運転部4が備えられている。すなわち、運転部4は、刈取部3の後方において、機体左右方向の一方側に偏倚する状態で設けられている。運転部4の後方には、刈取部3によって刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀装置5と、脱穀処理によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンク6(穀粒貯留部の一例)とが、横並び状態で設けられている。穀粒タンク6内の穀粒を外部に排出する穀粒排出装置7が設けられている。運転部4、脱穀装置5、及び穀粒タンク6は、機体フレーム22に載置支持されている。
【0033】
刈取部3は、刈取対象の植立穀稈を分草具11によって引起し装置12に導入して引起し処理しながらバリカン形の刈取装置13によって刈取処理し、刈取り穀稈を供給装置14によって走行機体後方向きに搬送して脱穀装置5のフィードチェーン5aに供給する。脱穀装置5は、フィードチェーン5aによって刈取穀稈の株元側を挟持して走行機体後方向きに搬送し、搬送する刈取り穀稈の穂先側を扱室(図示せず)に供給して脱穀処理する。穀粒タンク6は、脱穀装置5から搬送された脱穀粒を回収して貯留していく。
【0034】
図1~
図4に示すように、脱穀装置5の後部に、脱穀後の排ワラを処理する排ワラ処理部15が備えられている。排ワラ処理部15は、脱穀装置5の後方から穀粒タンク6の後方に亘って設けられている。排ワラ処理部15は、シャッタ16と、カッターを内蔵した筐体17と、を備える。排ワラ処理部15は、下方に排ワラを排出するように構成されている。本実施形態では、排ワラ処理部15は、シャッタ16を開いてフィードチェーン5aで搬送される排ワラを細断して下方に放出する細断処理と、シャッタ16を閉じて排ワラを細断せずに機体後方から排出する処理とを選択できるように構成されている。
図3はシャッタ16が開いている状態のコンバインの背面図であり、
図4はシャッタ16が開いている状態のコンバインの縦断面図である。
【0035】
図3~
図7に示すように、コンバインには、電装品20(
図7参照)と、電装品20に電力を供給するバッテリ21と、電装品20とバッテリ21とを電気的に接続する導体2と、が備えられている。電装品20は、例えば、農作業機に装備される、ヘッドライト、メーター等の表示部、エンジン始動用モータ、制御部等である。
図3及び
図4に示すように、バッテリ21は、排ワラ処理部15の下方に配置されている。バッテリ21は、機体フレーム22の上方に配置された支持部21aに支持されている。
【0036】
図7に、電装品20と、バッテリ21と、電装品20とバッテリ21とを電気的に接続する導体2とを模式的に示す。導体2には、機体フレーム22が含まれている。バッテリ21と電装品20との間に配置される導体2の中途部には、開状態(非接続状態)と閉状態(接続状態)とに切換可能であって、バッテリ21からの電力の伝達を遮断可能な操作部30が備えられている。バッテリ21は、プラス端子23とマイナス端子24とを有する。本実施形態では、機体フレーム22とバッテリ21のマイナス端子24との間に、操作部30が配置される。バッテリ21のプラス端子23と電装品20との間に第1導体2aが配置され、電装品20と導体2としての機体フレーム22との間に第2導体2bが配置されている。機体フレーム22と操作部30との間には後述のステー25が配置され、操作部30とマイナス端子24との間に第3導体2cが配置されている。
【0037】
導体2の一部となる機体フレーム22は、バッテリ21のマイナス端子24に近い部分に設けられ、操作部30は、導体2における機体フレーム22とマイナス端子24との間の部分に設けられている。
【0038】
ステー25は、電導性を有し、機体フレーム22に電導状態で支持されて設けられている。ステー25に操作部30が支持されている。操作部30には、操作者が操作する操作具33と、バッテリ21の側からの導体2が結線される第一結線部31と、機体フレーム22の側からの導体2が結線される第二結線部32と、が備えられている。本実施形態では、第二結線部32は、ステー25に連結されてステー25の端部25aに配置されている。操作部30において、第一結線部31及び第二結線部32が非接続状態で配置されている。第一結線部31と第二結線部32とは、操作具33によって操作されるスイッチ34により、開状態(非接続状態)と、閉状態(接続状態)とに切換可能である。
【0039】
コンバインは、収穫期になり使用を開始する際には、操作部30の操作具33を操作してスイッチ34を閉状態に切換える。一方、収穫期後の不使用期間に入る前には、操作部30の操作具33を操作してスイッチ34を開状態に切換える。これにより、コンバインの不使用期間における、バッテリ21の放電を抑制することができる。
【0040】
図3~
図6に示すように、操作部30は、排ワラ処理部15の下方において、バッテリ21と隣り合う状態で設けられている。操作部30は機体の外周部に設けられている。本実施形態では、操作部30は機体の後部であって、穀粒タンク6の後方に設けられている。
【0041】
図3~
図5に示すように、穀粒タンク6と排ワラ処理部15との間に、排ワラ処理部15の排出経路40を穀粒タンク6の後方空間41と仕切る仕切壁35が備えられている。仕切壁35は、第1壁部35aと、第1壁部35aの機体右側下部に形成された切欠部35bを覆う第2壁部35c及び第3壁部35dとによって構成されている。第1壁部35aは矩形状の板状体である。切欠部35bは、第1壁部35aの機体右側下部に形成されて横長の長方形状である。切欠部35bには、バッテリ21と操作部30とが機体左右方向に並んで配置されている。操作部30の操作具33は機体後方から操作する状態で設けられている。バッテリ21が機体左右方向中央寄りに配置され、操作部30はバッテリ21に対して機体左右方向の右側に配置されている。バッテリ21は、後ろ部分が切欠部35bから機体後方に突出する状態で配置されている。第2壁部35cは、バッテリ21の後部を覆うバッテリカバーである。第2壁部35cは、バッテリ21の形状に合うように有底の箱状に形成されている。
【0042】
第3壁部35dは、矩形状の板状体であって、操作部30の一部及び第3導体2cを覆う。第3壁部35dが第1壁部35aと面一状に配置されている。第3壁部35dは、操作部30の周囲に位置する周囲部分である。操作部30は、第一結線部31及び第二結線部32が第3壁部35d(仕切壁35)に対して穀粒タンク6の側に位置する状態、かつ、操作具33が仕切壁35に対して排出経路40の側に露出する状態で設けられている。仕切壁35のうち、第3壁部35dは、第3壁部35d以外の部分(第1壁部35a,第2壁部35c)から切り離して着脱可能に構成されている。第2壁部35cは第1壁部35aから機体後方に向けて突出する形状であるため、第2壁部35cによって排出経路40の領域が制限を受ける。一方、第3壁部35dは第1壁部35aと面一状に配置されているため、仕切壁35による排出経路40への影響を最小限に抑えることができる。
【0043】
図2及び
図3に示すように、排ワラ処理部15は回動軸心X周りに回動可能に構成されている。したがって、排ワラ処理部15を回動操作して機体後部を開放することで、操作部30の操作具33が露出状態となる。これにより、操作部30おいて操作具33の操作が可能になる。また、仕切壁35のうち第3壁部35dのみを取り外すことで、操作部30において第一結線部31及び第二結線部32等が配置された主要部分のメンテナンスを行うことができる。
【0044】
図3及び
図4に示すように、排ワラ処理部15は、排ワラ処理部15の排出口15aから下方に向けて延出されて排出経路40を囲うカバー部材18が備えられている。カバー部材18は、シート状に形成され、上部が筐体17の下部に取り付けられている。
【0045】
カバー部材18は、機体左側の第1カバー18aと、機体後方に位置する第2カバー18bと、機体右側の第3カバー18cと、を有する。第1カバー18a及び第3カバー18cは、機体前後方向に沿って設けられている。第2カバー18bは、第1カバー18a及び第3カバー18cの間に機体左右方向に沿って設けられている。カバー部材18のうち、第3カバー18cは、操作具33の近傍に位置する部分である。第3カバー18cに、操作具33を外部に露出させる切欠部19が形成されている。これにより、操作部30の操作具33は、第3カバー18cの切欠部19から操作することができる。操作部30は、第3カバー18cに近い位置に配置されているので、第3カバー18cの切欠部19から操作することができる。切欠部19は、カバー部材18のうち、操作具33と対向する部分以外の部分に形成される。ここで、カバー部材18のうち操作具33と対向する部分とは、操作具33を基準として機体後方に位置する第2カバー18bである。
【0046】
〔別実施形態〕
(1)上記の実施形態では、バッテリ21が機体後部に配置される例を示したが、バッテリ21は機体後部に限定されず、機体の他の箇所に配置されていてもよい。
【0047】
(2)上記の実施形態では、操作部30がバッテリ21に対して機体左右方向において隣り合う状態で設けられている例を示したが、操作部30はバッテリ21に対して機体前後方向において隣り合う状態で設けられていてもよい。また、操作部30は、バッテリ21に隣り合っていない状態で設けられていてもよい。
【0048】
(3)上記の実施形態では、操作部30がバッテリ21のマイナス端子24と機体フレーム22との間に配置される例を示したが、操作部30はバッテリ21のプラス端子23と電装品20との間に配置されてもよい。
【0049】
(4)上記の実施形態では、機体フレーム22にステー25を連結し、ステー25の端部25aを第二結線部32とした例を示したが、ステー25を設けずに機体フレーム22に接続された他の導体2に第二結線部32を配置してもよい。
【0050】
(5)上記の実施形態では、機体右側の第3カバー18cに切欠部19を設ける例を示したが、機体後方の第2カバー18bに開口窓と当該開口窓を覆う蓋部とを設け、開口窓から操作部30の操作具33を操作可能に構成してもよい。
【0051】
(6)上記の実施形態では、穀粒貯留部として、穀粒排出装置7付きの穀粒タンク6を用いた構造のものを例示したが、これに限られるものではない。例えば、穀粒排出装置7を備えずに、穀粒貯留部として、下部に取り出し開口を有したホッパーを用いた構造のコンバインを採用してもよい。この場合には、人為的にホッパーの取り出し開口を開閉して穀粒を取り出せるようにして、袋詰め作業等を行うように構成されていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、自脱型コンバインだけでなく、バッテリを備えた農作業機であれば、普通型コンバイン等の他の収穫機や、トラクタ、田植機等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 :クローラ走行装置
2 :導体
3 :刈取部(収穫部)
4 :運転部
5 :脱穀装置
6 :穀粒タンク(穀粒貯留部)
15 :排ワラ処理部
15a :排出口
16 :シャッタ
17 :筐体
18 :カバー部材
18a :第1カバー
18b :第2カバー
18c :第3カバー
19 :切欠部
20 :電装品
21 :バッテリ
22 :機体フレーム
23 :プラス端子
24 :マイナス端子
25 :ステー
30 :操作部
31 :第一結線部
32 :第二結線部
33 :操作具
35 :仕切壁
35a :第1壁部
35b :切欠部
35c :第2壁部
35d :第3壁部