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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/16 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
A47L9/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020166717
(22)【出願日】2020-10-01
(62)【分割の表示】P 2019134052の分割
【原出願日】2019-07-19
(65)【公開番号】P2021016803
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】大津 育弘
(72)【発明者】
【氏名】市川 洋光
(72)【発明者】
【氏名】興津 信秀
(72)【発明者】
【氏名】清水 孝吉
(72)【発明者】
【氏名】山本 恵美
(72)【発明者】
【氏名】大島 拳斗
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/129441(WO,A1)
【文献】特開2017-18408(JP,A)
【文献】特開2017-113444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を吸引する本体部と、
前記空気の流れ方向の上流側に配置されて前記本体部が吸引した前記空気を旋回させて前記空気中の塵埃を分離し前記空気を第1排気口から第1方向に排気する第1分離部と、少なくとも前記第1分離部で遠心分離された塵埃を回収するカップと、前記第1分離部と前記第1方向において対向し前記第1排気口から排気される前記空気の下流側に配置されており管状の複数のコーン部を有し前記複数のコーン部の各々の内部において前記空気を旋回させて前記第1分離部で遠心分離されなかった前記空気中の塵埃を遠心分離する第2分離部と、前記複数のコーン部に対して取り外し可能なカバーと、を含む集塵装置と、
を備え、
前記カバーと、前記複数のコーン部の側面との間の空間は、前記複数のコーン部の風路と不連通であり、
前記カップは、前記第1方向で前記第1分離部の全域を側方から覆い、
前記カバーは、前記第1方向で前記第2分離部の少なくとも一部を側方から覆う
電気掃除機。
【請求項2】
前記複数のコーン部は、環状に並べられ、
前記カバーは、前記複数のコーン部の外周側に配置される円筒状に形成されている、
請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記集塵装置は、
前記集塵装置の排気側の端部に配置され前記第2分離部の排気口の上方を覆うとともに前記第2分離部に対して着脱可能である蓋体と、
前記第2分離部の外周部に設けられ、前記カバーを前記蓋体との間で挟持する支持部と、
をさらに備え、
前記カバーは、前記蓋体の装着された状態で、前記蓋体と、前記支持部との間に挟まれることで固定されている、
請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記カバーは、前記蓋体が外されたときに前記第2分離部から取り外し可能である、
請求項3に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記カバーは、前記カバーの外部から前記カバーの内部に配置された前記複数のコーン部を視認可能な透明または半透明材料によって形成されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動送風機と、塵埃を遠心分離する集塵装置と、を有する電気掃除機が知られている。
集塵装置は、電動送風機の駆動によって吸引した空気を旋回させて、吸引した空気中の塵埃を遠心分離する。集塵装置は、粗い塵埃を遠心分離する第1分離部と、第1分離部で分離できない細かい塵埃を遠心分離する第2分離部と、を有する。特に第2分離部は複数のコーン部で構成された複雑な構成を有する。
しかし、第2分離部は外装カバーと一体化されているため、使用の継続により第2分離部に汚れが付着した場合などに、第2分離部に付着した汚れを容易には落とすことができなかった。この場合、電気掃除機の清浄性を保つためのメンテナンスに手間がかかる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-131791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、清浄性を保つためのメンテナンスを容易にすることができる電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電気掃除機は、本体部と、集塵装置とを持つ。前記本体部は、空気を吸引する。前記集塵装置は、第1分離部と、カップと、第2分離部と、カバーと、を持つ。前記第2分離部は、管状の複数のコーン部を持つ。前記第1分離部は、前記空気の流れ方向の上流側に配置されて前記本体部が吸引した前記空気を旋回させて前記空気中の塵埃を分離し前記空気を第1排気口から第1方向に排気する。前記カップは、少なくとも前記第1分離部で遠心分離された塵埃を回収する。前記第2分離部は、前記第1分離部と前記第1方向において対向し前記第1排気口から排気される前記空気の下流側に配置されており前記複数のコーン部の各々の内部において前記空気を旋回させて前記第1分離部で遠心分離されなかった前記空気中の塵埃を遠心分離する。前記カバーは、前記複数のコーン部に対して取り外し可能である。前記カップは、前記第1方向で前記第1分離部の全域を側方から覆う。前記カバーは、前記第1方向で前記第2分離部の少なくとも一部を側方から覆う。前記カバーと、前記複数のコーン部の側面との間の空間は、前記複数のコーン部の風路と不連通である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の電気掃除機の構成例を示す斜視の模式図。
図2】実施形態の電気掃除機の本体部の構成例を示す斜視の模式図。
図3】実施形態の電気掃除機の集塵装置の構成例を示す斜視の模式図。
図4】実施形態の電気掃除機の集塵装置の構成例を示す斜視の分解図。
図5図3におけるA-A断面図。
図6】実施形態の電気掃除機における集塵装置の分離部の構成例を示す斜視の模式図。
図7】実施形態の電気掃除機におけるカバーの構成例を示す斜視の模式図。
図8図7における平面視(B視)の模式図。
図9図7におけるC-C断面図。
図10】実施形態の電気掃除機における分離部本体の構成例を示す斜視の模式図。
図11】実施形態の電気掃除機における分離部本体と塵埃案内部材との組立例を示す断面の模式図。
図12】実施形態の電気掃除機におけるシール板の構成例を示す平面視の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の電気掃除機を、図面を参照して説明する。すべての図面において、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
図1は、実施形態の電気掃除機の構成例を示す斜視の模式図である。図2は、実施形態の電気掃除機の本体部の構成例を示す斜視の模式図である。
【0008】
図1に示すように、本実施形態の電気掃除機100は、いわゆるスティック型の電気掃除機である。ただし、電気掃除機100は、キャニスタ型や、その他の形式の電気掃除機でもよい。
電気掃除機100は、掃除機本体10、延長管4、および吸込口体3を有する。
掃除機本体10は、空気を吸引する本体部1と、本体部1によって吸引される空気から塵埃を遠心分離する集塵装置2とを有する。本体部1および集塵装置2の詳細構成は後述する。
延長管4は、掃除機本体10に着脱可能に接続される長尺の管部材である。
吸込口体3は、使用時に床面に沿って移動される部分である。吸込口体3は、横長のケースを有し、そのケースの内部にブラシモータと、ブラシモータで回転される回転ブラシとを内蔵している。床面に対向する吸込口体3の下部には、床面の塵埃を含む空気(以下、含塵空気A1)を吸い込む開口部が形成されている。
吸込口体3は、長手方向の中央部から突出した接続管部を介して、延長管4と着脱可能に連結される。
吸込口体3および延長管4は、吸込口体3の開口部から掃除機本体10までの風路体を形成する。
延長管4および吸込口体3の内部には、それぞれ図示略の接続配線が設けられている。延長管4および吸込口体3が掃除機本体10に接続されると、それぞれの接続配線が、掃除機本体10と電気的に接続される。
例えば、吸込口体3に内蔵されたブラシモータは、接続配線を通して、後述する掃除機本体10の二次電池12および回路基板13と電気的に接続される。
【0009】
次に、掃除機本体10の本体部1の詳細構成について説明する。
図2に示すように、掃除機本体10の本体部1の外郭は、例えば合成樹脂製の本体ケース1aによって形成される。本体ケース1aは、筒状部1Aと、収容部1Bと、を有する。
筒状部1Aにおいて、長手方向の第1端部E1には、延長管4等が連結可能な接続部1bが形成されている。接続部1bには、延長管4の基端部が挿入可能な接続口1gが開口している。接続部1bには、延長管4に代えて電気掃除機100に付属する、吸気ノズル、吸気ブラシ等の適宜の吸気管が着脱可能である。接続口1gは、延長管4、その他の吸気管等を通して、含塵空気A1が流入可能である。
【0010】
筒状部1Aにおいて長手方向における第1端部E1と反対側の第2端部E2には収容部1Bが配置されている。
筒状部1Aの側面には、第1端部E1から第2端部E2に向かって、延長管着脱操作部1h、および集塵装置配置部1iがこの順に設けられている。
【0011】
延長管着脱操作部1hは、接続部1bにおける延長管4の装着操作と装着解除操作とを行うための部材である。
集塵装置配置部1iは、後述する集塵装置2の外周側面に沿って集塵装置2を配置する凹状の湾曲面を含む。集塵装置配置部1iは一部の凹所を除けば、円弧状の断面形状が筒状部1Aの長手方向に延びる凹曲面状に形成される。
集塵装置配置部1iは、長手方向において第1端部E1寄りに位置する凹曲面状の第1配置部1iAと、第2端部E2寄りに位置し、第1配置部1iAよりも大きな曲率半径を有する凹曲面状の第2配置部1iBと、を有する。第2配置部1iBの曲率半径は、集塵装置2の後述する第2円筒部2Bの外形と略同じ曲率半径を有する。
第1配置部1iAは、第2配置部1iBよりも上方に突出した段差部を形成している。第1配置部1iAの中央部には、後述する集塵装置2の吸気ガイド部22bが挿入可能な凹所1nが形成されている。凹所1nの奥には、筒状部1Aの内部と連通する吸気連通口1cが開口している。
第2配置部1iBには、後述する集塵装置2からの突起部との干渉を防止するための凹所1pが形成されている。
本体部1に後述する集塵装置2が装着された場合(以下、装着形態と称する)、接続部1b内に流入した含塵空気A1は、吸気連通口1cを通して集塵装置2に導入可能である。後述するように、第1カップ部22aから集塵装置2に流入した含塵空気A1は、集塵装置2によって含塵空気A1に含まれる塵埃が除去される。含塵空気A1から塵埃が除去された空気を清浄空気Acと称する。清浄空気Acは集塵装置2から本体部1に排気される。
【0012】
筒状部1Aにおいて、集塵装置配置部1iの下方の側面には、集塵装置2から本体部1の内部に吸気された清浄空気Acを本体部1の外部に排気する排気口1kが開口している。
【0013】
収容部1Bは、筒状部1Aの長手方向に対して傾斜する方向に延びている。収容部1Bの第1端部e1は、集塵装置配置部1iにおいて第2端部E2寄りの端部から立ち上がっている。
収容部1Bの第1端部e1には、後述する集塵装置2の先端係合部29bを案内する凸状の案内部1jが設けられている。案内部1jの突出方向の端面である係止面1qの中央部には、後述する集塵装置2の排気口29a(図3参照)と連通可能に設けられた排気連通口1dが開口している。
係止面1qは、第2配置部1iBの端部から収容部1B側に向かって傾斜した傾斜面である。
収容部1Bは、筒状部1Aの第2端部E2との接続部において筒状部1Aの内部と連通している。
【0014】
収容部1Bにおいて、筒状部1Aとの接続部と反対側の側面には、使用者が掃除機本体10を把持可能な把持部1fが設けられている。
収容部1Bの内部には、電動送風機11、二次電池12、および回路基板13が収容されている。
二次電池12は、例えば、電動送風機11、回路基板13等の電気掃除機100内の電装部品に電力を供給する電源部である。二次電池12は、複数の電池を直列あるいは並列に接続した電池パックで構成されてもよい。
二次電池12は、図示略の充電接続部と電気的に接続されている。二次電池12は、充電接続部を通して、図示略の充電台から充電可能である。
【0015】
電動送風機11は、ファンモータまたはメインモータと呼ばれるモータと、モータにより回転されるインペラとを含む。電動送風機11は、駆動されることで負圧を発生させる。電動送風機11は、発生させた負圧により接続口1gから集塵装置2に含塵空気A1を吸い込む。さらに電動送風機11は、集塵装置2において塵埃が遠心分離された空気を掃除機本体10の外部に排気する。電動送風機11のモータとしては、例えば、直流モータが使用できる。ただし、電動送風機11はこれに限定されない。
【0016】
回路基板13は、配線パターンが設けられたプリント配線板と、プリント配線板に実装された複数の電子部品とを含む。回路基板13は、例えば、電気掃除機100の動作を制御する制御部と、二次電池12を充電する定電流回路などの充電回路部と、を含む。
【0017】
次に、掃除機本体10の集塵装置2の詳細構成について説明する。
図1に示すように、集塵装置2の長手方向には、第1円筒部2Aと、第2円筒部2Bとがこの順に並んでいる。第1円筒部2Aおよび第2円筒部2Bの外形は、それぞれ略円筒状である。ただし第2円筒部2Bの外径は第1円筒部2Aの外径よりも大径である。
第1円筒部2Aは、吸気側の装置部分であり、後述する第1分離部を内部に含む。第2円筒部2Bは、排気側の装置部分であり、後述する第2分離部を内部に含む。
集塵装置2は、その長手軸線が筒状部1Aの長手軸線と平行な姿勢で、筒状部1Aの側方に配置されている。第2円筒部2Bの長手方向の端部は、図示略の案内部1j(図2参照)に案内されて収容部1Bの第1端部e1と連結されている。
【0018】
図3は、実施形態の電気掃除機の集塵装置の構成例を示す斜視の模式図である。
図3には、集塵装置配置部1i(二点鎖線参照)上に配置される側面を図示前側に配置した集塵装置2の外観が示されている。
集塵装置2は、全体として略円柱状の外形を有する。集塵装置2の外周部には、中心軸線Oに沿って、カップ22、カバー25、および蓋体29がこの順に配置されている。
【0019】
カップ22は、集塵装置2によって分離された塵埃を回収する容器である。カップ22は、略有底円筒状の部材である。カップ22は、中心軸線Oと同軸に配置される。カップ22は、第1円筒部2Aと、第2円筒部2Bの一部の外表面を形成している。カップ22は、回収された塵埃の量がカップ22の外部から視認可能な光透過性を有する材料(透明または半透明の材料)で形成される。
カップ22は、第1カップ部22a、吸気ガイド部22b、および第2カップ部22dを含む。
【0020】
第1カップ部22aは、第1円筒部2Aの軸方向の端部および第1円筒部2Aの側部を覆う有底円筒状に形成される。
吸気ガイド部22bは第1カップ部22aの側面において周方向の一部から第1カップ部22aの略接線方向に突出する筒状部である。吸気ガイド部22bは、本体部1の凹所1nに挿入可能な形状を有する。吸気ガイド部22bにおいてその突出方向の先端部には、吸気口22cが開口している。
第1カップ部22aに対する吸気ガイド部22bの傾斜は、吸気口22cからカップ22内に流入する含塵空気A1によって旋回流を形成するために設けられている。
装着形態において、吸気ガイド部22bは、吸気連通口1cを通る含塵空気A1を漏洩させないように凹所1nと係止する。その際、吸気口22cは吸気連通口1cと連通する。
【0021】
第1カップ部22aの底面部22fは、中心軸線Oに直交する平面からなる。このため、図3に示すように、底面部22fを水平な床面に載置することによって、集塵装置2は、その中心軸線Oが鉛直方向に延びる起立姿勢で配置可能である。このとき、カップ22、カバー25、および蓋体29は、下側からこの順に配置されている。
【0022】
以下、特に断らない限りは、集塵装置2の各部の位置関係について、図3に示す起立姿勢に基づいて説明する。
中心軸線Oに沿う方向であって、第1円筒部2Aから第2円筒部2Bに向かう方向(図示の鉛直上向き方向)をZ1方向と称する。Z1方向は、装着形態において、筒状部1Aの長手方向に沿って第1端部E1から第2端部E2に向かう方向と一致する。Z1方向の反対方向をZ2方向と称する。Z1方向またはZ2方向を単にZ方向と称する場合がある。
誤解のおそれがない場合には、任意の位置に対してZ1方向寄りに位置することを、上、上方、上側に位置すると表現する場合がある。同様にZ2方向寄りに位置することを、下、下方、下側に位置すると表現する場合がある。Z方向に見ることを平面視と称する場合がある。
Y1方向は、中心軸線Oに直交する面内において、吸気口22cの中心から中心軸線Oに向かう方向である。Y2方向は、Y1方向の反対方向である。Y1方向またはY2方向を単にY方向と称する場合がある。本実施形態では、Y方向は、集塵装置配置部1iに対する集塵装置2の着脱方向になっている。
X1方向、中心軸線Oに直交する面内において、Y方向と直交する方向の1つである。X1方向は、起立姿勢における集塵装置2をY1方向から見たとき、向かって左から右に向かう方向である。X2方向は、X1方向の反対方向である。X1方向またはX2方向を単にX方向と称する場合がある。
【0023】
第2カップ部22dは、カップ22の開口部を形成する筒状部である。第2カップ部22dは、第1カップ部22aの先端部から漸次拡径した後、第2円筒部2Bの外径に等しい円筒状に形成されている。第2カップ部22dは、後述する第2塵埃回収室S2を側方から覆う範囲に形成されている。
第2カップ部22dの上端部には、径方向内側に突出する係合突起(図示略)が形成されている。一方、第2円筒部2Bの内部には、例えば、後述する第2分離部24などの部材に、第2カップ部22dの係合突起と軸方向に係合可能かつ中心軸線O回りの回転によって係合解除可能な係合部が形成されている。これにより、第2カップ部22dは、第2円筒部2Bと着脱可能に係合している。
第2カップ部22dは、第1カップ部22aと同様、第2塵埃回収室S2の塵埃が見えるように形成されてもよい。ただし、第2カップ部22dの外周面に適宜の凹凸部を設けるなどして、第2塵埃回収室S2の塵埃が外から見えにくい構成とされてもよい。
【0024】
カバー25は、第2カップ部22dを除く第2円筒部2Bの側面を形成する筒状部材である。カバー25は、第2カップ部22dのZ1方向の端部に隣接して中心軸線Oと同軸に配置されている。カバー25の詳細形状は後述する。
【0025】
蓋体29は、起立姿勢における集塵装置2の天面部を形成する部材である。蓋体29の平面視形状は、カバー25の上端を上方から覆うことができる略円形である。
蓋体29は、外周部におけるY2方向の端部に、第2円筒部2Bに設けられた図示略の係止部と着脱可能に係合する蓋体着脱部29dを有する。
蓋体着脱部29dは、X方向に延びる回動支軸を中心として回動可能に設けられている。さらに、蓋体着脱部29dは図示略の弾性部材によってY1方向に付勢されており、蓋体着脱部29dのZ2方向の端部においてY1方向に突出する係合突起(図示略)が、第2円筒部2Bの内部に形成された係合部(図示略)に係合している。これにより、蓋体29は、第2円筒部2Bを着脱可能に係合している。第2円筒部2Bの内部に形成された係合部は、後述する上カバー26の円筒部26dの下端部に形成されていてもよい。
蓋体29の装着時には、蓋体29は、カバー25を後述する第2分離部24における支持部との間に挟持している。
【0026】
蓋体29のZ1方向の表面には、傾斜面29cと先端係合部29bとが設けられている。
傾斜面29cは、装着形態において案内部1jの係止面1qと係止可能な傾斜を有する。傾斜面29cの中心部には、Y方向に長い矩形状の排気口29aがZ方向に貫通している。
先端係合部29bは、傾斜面29cのX方向の両端部からZ1方向に延びる2つの壁体で形成される凹溝状に形成されている。先端係合部29bのX方向の内面は、案内部1jの側面に沿って互いに係合可能な形状に形成される。
このような構成により、装着形態における先端係合部29bは、収容部1Bの案内部1jの側面を間に挟んで、案内部1jと係合している。
この係合時には、排気口29aと排気連通口1dとがZ方向において互いに対向する位置に配置される。さらに、傾斜面29cは、案内部1jの係止面1qと互いに当接し、傾斜面29cおよび排気連通口1dの周囲が先端係合部29bと案内部1jとの係合によって気密にシールされる。
このとき、第2円筒部2BのY2方向の側面は、第2配置部1iBに沿って配置される。
このような装着形態における集塵装置2と本体部1との係合は、収容部1Bの外表面に設けられた図示略の係合操作部によって解除可能である。
【0027】
次に、集塵装置2の内部構成について説明する。
図4は、実施形態の電気掃除機の集塵装置の構成例を示す斜視の分解図である。図5は、図3におけるA-A断面図である。
【0028】
図4に示すように集塵装置2の内部には、Z1方向において、第1分離部21、第2分離部24、および第2フィルタ28がこの順に配置されている。
集塵装置2の内部には、装着形態では、吸気口22cから排気口29aに向かう風路が形成される。
【0029】
図5に示すように、第1分離部21は、図示略の吸気口22cからカップ22の内部に吸い込まれた含塵空気A1に含まれる塵埃のうち粗い塵埃(粗塵D1)を遠心分離する。
第1分離部21は、下部円筒部21Aと、上部風路部21Bとを有する。
下部円筒部21Aは、第1カップ部22aよりも小径の外形を有する有蓋円筒状に形成されている。下部円筒部21Aは、第1カップ部22aの内部において底面部22fおよび第1カップ部22aの内周面から離間した位置に、中心軸線Oと同軸に配置されている。
下部円筒部21AのZ2方向の端部には下部開口21aが開口し、Z1方向の端部には下部開口21aよりも狭い上部開口21bが開口している。下部円筒部21Aの側部には、下部円筒部21Aの外周を旋回する含塵空気A1を底面部22fに向けるリブ21eが径方向外側に突出している。
下部円筒部21Aの側面と第1カップ部22aの内周面との間の隙間は、含塵空気A1の旋回風路を形成している。旋回風路では、含塵空気A1に含まれる粗塵D1が遠心分離される。粗塵D1は、第1カップ部22aの内周面に沿って底面部22fに溜まる。
塵埃のうち粗塵D1が除去された含塵空気A2は、底面部22fに回り込み、下部開口21aから下部円筒部21A内で旋回しながらZ1方向に進む。
【0030】
上部風路部21Bは、上部開口21bから中心軸線Oと同軸にZ1方向に延びる筒状体である。上部風路部21Bの側面には、第1カップ部22a内に分離された粗塵D1が風路に入り込むことを抑制する第1フィルタ21cが設けられている。
上部風路部21BのZ1方向の端部には、後述する第2分離部本体24Aに含塵空気A2を流入させる第1排気口21dが開口している。
上部風路部21Bの上端部は、開口部23bの下方にて塵埃案内部材23と着脱可能に係合している。上部風路部21Bの下端部は、下部円筒部21Aと着脱可能に係合している。
カップ22の内部において、第1分離部21の内部を除く空間は、粗塵D1が回収される第1塵埃回収室S1を構成している。
【0031】
塵埃案内部材23は、後述する第2分離部本体24Aを下方から支持する。さらに塵埃案内部材23は、第2分離部本体24Aと連通しており、第2分離部本体24Aによって遠心分離される細塵D2を回収する第2塵埃回収室S2を形成する。細塵D2は、含塵空気A1における粗塵D1よりも細かい塵埃である。細塵D2は、第2分離部本体24Aによって除去可能な塵埃である。
塵埃案内部材23は、第2分離部本体24Aを支持する上板部23aと、塵埃案内板23cとを有する。上板部23aの中心部には、上部風路部21Bの開口と略同径の内径を有する開口部23bが中心軸線Oと同軸に形成されている。
上板部23aにおいて開口部23bよりも径方向外側には、複数の開口部23dがZ方向に貫通している。開口部23dは、Z方向に貫通し、後述する第2分離部本体24Aの塵埃排出口24gとそれぞれ連通する。
塵埃案内板23cは、各開口部23dよりも内側における上板部23aの下面から、Z2方向に漸次拡径するホーン状に形成されている。
上板部23aの径方向の外縁と、第2カップ部22dの内周面との間には、パッキン31が配置されている。塵埃案内板23cの下端部における径方向の外縁と、第2カップ部22dの内周面との間には、パッキン32が配置されている。
このような構成により、第2塵埃回収室S2は、第2分離部本体24Aの下方における平面視略円環状の空間からなる。第2塵埃回収室S2は、開口部23dを除くと、気密にシールされている。
【0032】
第2分離部本体24Aは、第1分離部21の第1排気口21dから排気された含塵空気A2に含まれる細塵D2を遠心分離する。
第2分離部本体24Aは、通気風路部24a、導風部24b、複数のコーン部24e、および上カバー26を有する。本実施形態では、通気風路部24a、導風部24b、および複数のコーン部24eは、樹脂成形等によって一体的に形成されている。
【0033】
通気風路部24aは、Z1方向に延びる略円筒状に形成されている。通気風路部24aの内周面は、第1排気口21dと同軸である。通気風路部24aの内部は、第1排気口21dと連通している。
【0034】
導風部24bは、通気風路部24aのZ1方向の端部に形成され、第1排気口21dの内径以上の内径を有する内周面を有する。導風部24bの内周面には、含塵空気A2を周方向の複数成分に分岐させる複数の開口部24fが形成されている。通気風路部24aの開口部24fの数は、後述する複数のコーン部24eと同数である。
各開口部24fは、後述する複数のコーン部24eにそれぞれ連通している。
【0035】
複数のコーン部24eの各々は、全体として管状に形成される。コーン部24eは、Z1方向の端部に設けられた略円筒状の第1筒状部24cと、第1筒状部24cのZ2方向の端部からZ2方向に向かって縮径する第2筒状部24dと、を有する。
コーン部24eは、各開口部24fの径方向外側にそれぞれ設けられている。コーン部24eの個数は、特に限定されないが、本実施形態では一例として、10個である。複数のコーン部24eは、中心軸線Oを中心とする円周上に等間隔に配置されている。すなわち、複数のコーン部24eは、環状に並べられている。
【0036】
第1筒状部24cは、径方向内側の開口部24fと対向して配置され、Z方向において開口部24fと同程度の長さを有する。第1筒状部24cと、径方向に対向する開口部24fとは互いに連通しており、それぞれの間には、開口部24fから径方向外側に流れる含塵空気A2をコーン部24eの内部に導く風路が形成されている。
【0037】
第2筒状部24dのZ2方向の端部は、塵埃案内部材23の開口部23dまで延びている。
第2筒状部24dのZ2方向の端部には、第1筒状部24cよりも小径の円孔である塵埃排出口24gがZ方向に開口している。
第2筒状部24dおよび通気風路部24aと、塵埃案内部材23と、の間には、第2分離部本体24Aの下端部と塵埃案内部材23との間の空気の漏れを抑制するシール板33が配置されている。
塵埃排出口24gは、塵埃案内部材23の各開口部23dと互いに対向し、互いに気密に接続している。
【0038】
上カバー26は、Z1方向に開口する略有底円筒状に形成され、第2分離部本体24Aを上方から覆っている。上カバー26は、天板部26a、円筒部26d、排出筒部26b、および第2フィルタ支持部26cを有する。
【0039】
天板部26aは、後述する排出筒部26bによる開口部を除いて、各コーン部24eのZ1方向の開口を塞ぐ円板状に形成されている。
円筒部26dは、天板部26aの外縁部からZ1方向に延びる略円筒状に形成されている。円筒部26dの外周面は、カバー25の内周面に着脱可能に嵌合する。円筒部26dのZ1方向の先端には、後述するカバー25の係止フランジ25eが係止している。これにより、円筒部26dのZ1方向の先端部は、第2分離部24の外周部に設けられ、カバー25を蓋体29との間で挟持する支持部を構成している。
円筒部26dよりも径方向内側には、第2フィルタ支持部26cが天板部26aからZ1方向に向かって突出している。第2フィルタ支持部26cは、後述する第2フィルタ28を支持するための突起部である。例えば、第2フィルタ支持部26cは、第2フィルタ28の外周部を下方から支持する円筒状の突起からなる。第2フィルタ支持部26cの高さは円筒部26dよりも低い。
【0040】
排出筒部26bは、天板部26aから各第1筒状部24cの内側に向かってZ2方向に延びる円筒状に形成されている。排出筒部26bの外径は、第1筒状部24cの内径よりも小さい。排出筒部26bは、第1筒状部24cの中心軸線と同軸に配置されている。第1筒状部24cの長さは、第1筒状部24cと同程度である。
第1筒状部24cの内部には、排出筒部26bの外側の開口部24fから吸引される含塵空気A2が排出筒部26b回りに旋回可能な風路が形成される。
さらに、排出筒部26bの内側には、コーン部24eの内部と、天板部26aの上方とをZ方向に連通させる風路が形成されている。
図5に示すように、天板部26aには、各排出筒部26bのZ1方向の端部の内周面によって開口部26e(分離部の排気口)が形成されている。開口部26eは、コーン部24eの個数および配置に応じて形成される。本実施形態では、10個の開口部26eが、中心軸線Oを中心とする1つの仮想円(図6におけるC0参照)の円周上において互いに離間しており、かつ周方向に等間隔に配置されている。
【0041】
上カバー26と第2分離部本体24Aとの間には、それぞれの間で空気の漏れを防ぐシール板36が配置されている。シール板36は、各排出筒部26bおよび導風部24bと対向する開口部が厚さ方向に貫通した軟性材料からなるシート状である。シール板36は、各排出筒部26bおよび導風部24bを除く第2分離部本体24AのZ1方向の端面と、上カバー26の天板部26aとの間の隙間をシールしている。導風部24b内の含塵空気A2は、第2分離部本体24Aと上カバー26との間の隙間に漏れることなく開口24fを通して第1筒状部24cの内部に流れる。
【0042】
このような構成により、図5に示すように、各開口部24fから各コーン部24eに排気された含塵空気A2は、それぞれ排出筒部26bと第1筒状部24cとをZ2方向に見て反時計回りに旋回しながらZ2方向に進む。
含塵空気A2が、第2筒状部24dの内周面に沿って旋回することにより、含塵空気A2に含まれる細塵D2が遠心分離される。細塵D2は、第2筒状部24dの内面に沿ってZ2方向に移動する。塵埃排出口24gに到達した細塵D2は、塵埃排出口24gと連通する開口部23dを通して、第2塵埃回収室S2内に落下する。第2塵埃回収室S2内に落下した細塵D2は、塵埃案内板23cの傾斜に沿って移動し、第2塵埃回収室S2内に回収される。
含塵空気A2のうち細塵D2が除去された空気を、以下では低塵空気A3と称する。
第2塵埃回収室S2は密閉されているのに対して、排出筒部26bの内部は、本体部1の吸引によって負圧になる。このため、低塵空気A3の多くは、開口部23dを通過することなく第2筒状部24dの中心部をZ1方向に進む。低塵空気A3は、排出筒部26bの内部を通過して、開口部26eから第2分離部本体24Aの上方に排気される。
【0043】
上カバー26と蓋体29との間には、第2フィルタ28が配置されている。
第2フィルタ28は、フィルタ本体28aと、枠体28bとを有する。
フィルタ本体28aは、第2分離部本体24Aによって遠心分離されない微細な塵埃であって掃除機本体10から排気することを許容できない塵埃を、低塵空気A3から除去するために設けられている。
【0044】
枠体28bは、フィルタ本体28aの外縁を保持する略円筒状の部材である。枠体28bは、フィルタ本体28aの上方および下方に突出している。枠体28bの下面における外周側にはパッキン30が設けられている。
枠体28bのZ2方向の端部は、天板部26a上に当接している。枠体28bのZ1方向の端部は、蓋体29の外周部における凹溝に嵌合している。枠体28bは、蓋体29からZ2方向に突出したフィルタ押え29eによって第2フィルタ支持部26cとの間に挟まれている。
【0045】
枠体28bに設けられたパッキン30は、枠体28bとフィルタ体支持部26cとの間に挟まれている。
このような構成によって、上カバー26と第2フィルタ28との間の空間がパッキン30によってシールされる。
【0046】
次に、塵埃案内部材23の外周部の構成と、カバー25の詳細構成とを説明する。
図6は、実施形態の電気掃除機における集塵装置の分離部の構成例を示す斜視の模式図である。図7は、実施形態の電気掃除機におけるカバーの構成例を示す斜視の模式図である。図8は、図7における平面視(B視)の模式図である。図9は、図7におけるC-C断面図である。
【0047】
図6に示すように、上板部23aの径方向の外縁部には、Z方向から見て略円形状の外周面23eが形成されている。外周面23eはカバー25のZ2方向の端部の内周部に挿入可能な形状を有する。本実施形態では、一例として、外周面23eの外形は、円筒部26dの外形と同様である。
上板部23aの径方向の外縁部においてY2方向の端部には、付属品収容部27が設けられている。
【0048】
付属品収容部27は、底板部27Bと、側板部27Aとを有する。
底板部27Bは、例えば、小型の付属品を着脱可能に収容する。底板部27Bには、付属品を着脱可能に係合する係合部27cが形成されている。
付属品の種類は特に限定されない。例えば、図6には、付属品の一例として、集塵装置2を清掃するための清掃ブラシ34が示されている。
清掃ブラシ34は、把持部34a、ブラシ部34b、および係合部34cを有する。把持部34aは、細長い板状に形成される。ブラシ部34bは、把持部34aの長手方向の端部に繊維が植えられて形成される。係合部34cは、係合部27cに着脱可能に係合する。例えば、係合部27cが凹溝の場合、係合部34cとしては、凹溝に嵌合する凸状または鉤状の形状を有していてもよい。
【0049】
側板部27Aは、底板部27Bの外縁部の全周からY2方向に延びる壁体である。第1側板27aは、少なくとも一対の第1側板27aと、第2側板27bとを有する。
各第1側板27aは、外周面23eからZ1方向に延び、X方向において互いに対向している。各第1側板27aの対向間隔は、清掃ブラシ34の長さよりも大きい。
第2側板27bは、底板部27BにおけるZ1方向の端部に形成され、X方向に延びている。第2側板27bのX方向における両端部は、Y方向から見て円弧状に湾曲している。第2側板27bの湾曲部は、それぞれ第1側板27aの上端部と滑らかに接続している。
このような構成により、Y方向から見ると、各第1側板27aおよび第2側板27bは、下向きに開口するU字状に配置されている。
【0050】
集塵装置2が付属品収容部27を有することにより、例えば、清掃に用いることができる清掃ブラシ34を集塵装置2と一体に保持することができる。このため、清掃ブラシ34など付属品が失われにくくなる。
装着形態においては、付属品収容部27は、清掃ブラシ34とともに本体部1の凹所1pの内部に収容される。このため、清掃ブラシ34等の付属品は、電気掃除機100の外部から見えないように収容される。万一、電気掃除機100の使用時に、集塵装置2が動いたりすることによって、付属品に外力が作用して、付属品と係合部27cとの係合が外れても、付属品は凹所1p内にとどまることができる。この点でも、付属品が失われにくくなる。
【0051】
図4に示すように、カバー25は、上述した第2分離部24のZ1方向の端部から、第2分離部24の外周部に対して、Z方向に着脱可能に装着可能な形状を有する。図5に示すように、カバー25のZ2方向の端部は、上板部23aの外周面23eを覆う位置まで延びている。
図7に示すように、カバー25は、全体としては、中心軸線Oを中心とする円筒状である。すなわち、カバー25は、複数のコーン部24eの外周側に配置される円筒状である。カバー25は、カバー本体25b、係止フランジ25e、および突起部25fを有する。
【0052】
カバー本体25bは、中心軸線Oを中心とする円筒状に形成される。カバー本体25bの内径は、第2分離部24の円筒部26dおよび外周面23eと着脱可能に嵌合可能な大きさを有する。
カバー本体25bにおけるY2方向の側部の上端部には、Y方向から見てU字状の第1切欠き部25aが形成されている。第1切欠き部25aの内側には、蓋体着脱部29dがカバー25の外側から操作可能に収容される。
【0053】
係止フランジ25eは、第1切欠き部25aを除くカバー本体25bの上端部から径方向内側に突出して形成されている。図8に示すように、係止フランジ25eの突出量は、周方向において異なる。図5に示すように、係止フランジ25eの突出量は、少なくとも上カバー26の円筒部26dのZ1方向の端部(支持部)にZ2方向から係止可能な大きさである。
係止フランジ25eの内周部の形状は、蓋体29のフィルタ押え29eが挿通可能な形状とされる。
【0054】
図9に示すように、カバー本体25bにおいて、第1切欠き部25aよりもZ2方向寄りには、第2切欠き部25Aが形成されている。
第2切欠き部25Aは、付属品収容部27の側板部27Aの外周部にZ1方向の端部から着脱可能に嵌合可能な形状および大きさを有する。Y方向から見ると、第2切欠き部25Aは、側板部27Aの外形と同様のZ2方向に開口するU字状に形成されている。具体的には、第2切欠き部25Aは、側板部27Aの各第1側板27aを間に挟む、一対の第1エッジ25cと、第2側板27bに沿う形状を有する第2エッジ25dとを有する。
ただし、係止フランジ25eが円筒部26dの上端部に係止したとき、第2エッジ25dと第2側板27bとの間には適宜の隙間が形成される。係止フランジ25eが円筒部26dの上端部に係止したとき、各第1エッジ25cと各第1側板27aとの間には、第1切欠き部25aと蓋体着脱部29dとの間の隙間以下の隙間が形成される。ただし、カバー25のZ1方向への移動が妨げられなければ、各第1エッジ25cと各第1側板27aとの間には隙間が形成されなくてもよい。
このような構成によれば、カバー25は、係止フランジ25eが円筒部26dの上端部に係止したとき、第2切欠き部25Aと側板部27Aとによって、中心軸線O回りに回り止めされる。さらに、カバー25は、蓋体29が取り外されたときにZ1方向に移動可能である。
【0055】
第1切欠き部25aと第2切欠き部25Aとの間のカバー本体25bの外周面には、突起部25fが形成されている。
突起部25fは、本体部1における凹所1p(図2参照)と嵌合する形状に形成されている。突起部25fは、集塵装置2の本体部1への装着時における集塵装置2の位置決めに用いられる。さらに突起部25fは、第1切欠き部25aおよび第2切欠き部25Aとの間の脆弱部を補強する機能と、カバー25の取り外し時の転がり防止機能と、を備える。
図7に示す例では、突起部25fは、Y方向から見るとX方向に長い長円形状のリブからなる。突起部25fのX方向の長さは、各第1エッジ25cの距離と同程度である。
図8に示すように、突起部25fはY2方向に突出している。突起部25fのY1方向における先端面25gは、中心軸線Oから一定距離に位置する平面である。
【0056】
カバー25の材料は、特に限定されない。例えば、カバー25は樹脂成形によって製造される。この場合、カバー25の樹脂材料は特に限定されない。
ただし、カバー25は、少なくとも一部が透明または半透明の材料によって形成されることがより好ましい。この場合、カバー25の透明度は、カバー25の内側に配置される第2分離部24の汚れを外側から視認できる程度の透明度であればよい。
図1、3に示す例では、カバー25の全体が透明材料によって形成されている。このため、使用者は、例えば、第2分離部24の外周面等のカバー25の内側の部材の表面を視認できる。
【0057】
次に、第2分離部24の組立構造を説明する。
図10は、実施形態の電気掃除機における分離部本体の構成例を示す斜視の模式図である。図11は、実施形態の電気掃除機における分離部本体と塵埃案内部材との組立例を示す断面の模式図である。
【0058】
図10に示すように、第2分離部本体24Aは、通気風路部24aとコーン部24eとの間に、コーン部24eと平行に延びるボス部24hが形成されている。
ボス部24hの個数は1以上であって、コーン部24eの個数以下であれば特に限定されない。図10に示す例では、ボス部24hは4本設けられている。各ボス部24hは、中心軸線Oを間に挟んで互いに径方向に対向する一対が2組設けられている。
各ボス部24hは、第2分離部本体24Aの外側から中心軸線Oに向かって見るときに、コーン部24eの裏側に隠れる位置に形成されている。
各ボス部24hの中心部には、貫通孔24iが貫通している。
図11に示すように、貫通孔24iは、ビス35(ねじ)の首下部が貫通可能である。
各ボス部24hは、ビス35を用いて、上カバー26、シール板33、および第2分離部本体24Aを塵埃案内部材23に共締めするために用いられる。
【0059】
ここで、第2分離部本体24Aと塵埃案内部材23との間に配置されるシール板33の詳細構成について説明する。
図12は、実施形態の電気掃除機におけるシール板の構成例を示す平面視の模式図である。
図12に示すように、シール板33の平面視形状は、中心軸線Oを中心とした円環状である。シール板33の外径は上板部23aの外径よりも小さい。シール板33の中心部には、中心軸線Oを中心とする円形の開口部33fが貫通している。
図11に示すように、開口部33fの外周部には、Z1方向における表面である上面33aから、Z2方向に凹んだ凹溝部33bが形成されている。図12に示すように、凹溝部33bの平面視形状は、開口部33fに沿う円形状である。凹溝部33bにおける溝幅(径方向における幅)は、ボス部24hが挿入可能な大きさである。
凹溝部33bには、周方向に離間した4つの貫通孔33eが厚さ方向に貫通している。貫通孔33eの位置は、各ボス部24hの貫通孔24iを同軸に配置可能な位置である。
【0060】
凹溝部33bの外周側の上面33a上には、各コーン部24eの先端部の外周部を係止可能な係止孔33dが貫通している。各係止孔33dの中心は、コーン部24eと同様、仮想円C0の円周上に、コーン部24eと同じ間隔をあけて配置されている。各係止孔33dは、コーン部24eの外周部の傾斜に沿ったすり鉢状の傾斜面を有する。
【0061】
図11に示すように、シール板33は、上板部23aのZ1方向の表面に形成された凹凸部と嵌合した状態で、上板部23a上に配置される。このとき、係止孔33dは、各開口部23dと互いに同軸になる位置に配置される。各係止孔33dに各コーン部24eの先端部が挿入されることによって、各塵埃排出口24gと各開口部23dとが互いに同軸となる。これにより、各塵埃排出口24gと各開口部23dとが互いに気密に連通する。
特に図示しないが、上カバー26の天板部26aには、各貫通孔24iの配置と同様な位置にビス35が挿通可能なネジ用孔が貫通している。
【0062】
このような構成により、塵埃案内部材23、シール板33、第2分離部本体24A、および上カバー26がこの順に重ねられた状態で、各貫通孔24iに挿通されたビス35が塵埃案内部材23に螺合される。
これにより、塵埃案内部材23、シール板33、第2分離部本体24A、および上カバー26が一体的に固定された第2分離部24が得られる。
【0063】
図5に示すように、カバー25および第2分離部24が集塵装置2として組み立てられた状態では、各コーン部24eの内部の風路は、各開口部26eを通して円筒部26dの内側の空間に連通している。しかし、円筒部26dと各開口部26eとの間には、第2フィルタ支持部26cとフィルタ押え29eとで挟持されたパッキン30が設けられているので、この内側の風路は上カバー26の外周面とカバー25との間の空間とは不連通の状態で排気口29aと連通している。
同様に、各コーン部24eの内部の風路、各開口部23dを通して第2塵埃回収室S2に連通している。しかし、第2塵埃回収室S2の上端部はパッキン33、下端部はパッキン32によって、それぞれカップ22との間でシールされている。このため、各コーン部24eの内部の風路および第2塵埃回収室S2内の風路は、各コーン部24eの側面とカバー25との間の空間とは不連通の状態である。
【0064】
次に、電気掃除機100の作用について、カバー25の作用を中心に説明する。
電気掃除機100を用いる掃除の一例では、例えば、図1に示すように、集塵装置2を装着した掃除機本体10に、延長管4および吸込口体3を接続する。使用者は、把持部1fを把持して吸込口体3を床面上に載置し、電動送風機11の駆動を開始する。これにより、電動送風機11による吸引が開始される。電気掃除機100の各風路が負圧になるので、吸込口体3の開口部から含塵空気A1が吸引される。
含塵空気A1は、接続口1gから本体部1の内部に吸引され、吸気連通口1cを通して集塵装置2の内部に吸い込まれる(図2参照)。
図5に示すように、集塵装置2の内部では、第1分離部21の風路において含塵空気A1内の粗塵D1が遠心分離されて第1カップ部22aの下部に溜まる。
さらに、粗塵D1が除去された含塵空気A2は、第2分離部24内の各コーン部24eにおいて含塵空気A2に含まれる細塵D2が遠心分離される。細塵D2は塵埃排出口24gおよび開口部23bを経由して第2塵埃回収室S2内に回収される。
細塵D2が除去された低塵空気A3は、フィルタ本体28aを通過することによって、さらに細かい塵埃が除去された清浄空気Acが形成される。
清浄空気Acは、排気口29aを通して図示略の本体部1に排気される。図2に示すように、清浄空気Acは、本体部1の内部を通過した後、排気口1kから外部に排気される。
【0065】
使用者は、電気掃除機100によって清掃を行った後、必要に応じて集塵装置2からカップ22を取り外す。使用者は、カップ22に溜まった塵埃をカップ22から出して廃棄する。
集塵装置2の汚れがひどくなると、使用者は、集塵装置2の清浄性を保つメンテナンスのため、集塵装置2の主要部品を清掃または洗浄する場合がある。
集塵装置2の主要部品は、使用者によって容易に着脱できるようになっている。例えば、使用者は、カップ22の第2カップ部22dの係合突起と第2分離部24における係合部との係合を解除することによって、カップ22を集塵装置2から取り外すことができる。
【0066】
カップ22が取り外された集塵装置2においては、使用者は、第2分離部24から第1分離部21を取り外すことができる。図4には、下部円筒部21Aが取り外された状態が示されている。しかし、本実施形態では、上部風路部21Bも第2分離部24から取り外すことができる。取り外された下部円筒部21Aおよび上部風路部21Bは、それぞれ水洗いなどが可能である。
さらに、使用者が蓋体着脱部29dを操作すると、蓋体着脱部29dと上カバー26との係合が解除される。これにより、図4に示すように、使用者は、第2分離部24から、蓋体29および第2フィルタ28を取り外すことができる。図4には、蓋体29および第2フィルタ28が一体的に取り外されている様子が示されている。しかし、蓋体29および第2フィルタ28はZ方向に重ね合わされているだけなので、使用者は、蓋体29および第2フィルタ28を互いに分離させることができる。
【0067】
本実施形態では、第2分離部24から蓋体29が取り外されると、カバー25は、第2分離部24からZ1方向に引き抜き可能になる。このため、使用者は、カバー25が第2分離部24から取り外すことができる。これにより、カバー25および第2分離部24の清掃または洗浄が可能になる。
【0068】
第2分離部24の内部において含塵空気A2を遠心分離する風路は、パッキン30、31、32等のシール構造によって、第2分離部24の外周面よりも内側に形成されている。すなわち、第2分離部24の外周には、塵埃を遠心分離する風路は形成されていないので、電気掃除機100が吸引した塵埃は、風路から洩れない限りは、第2分離部24の外周に付着するおそれはない。しかし、特にコーン部24eの内部には塵埃を含んだ空気が高速に旋回することによって、静電気を帯びやすい。この結果、特にコーン部24eの外周面には、その近傍の空気中の塵埃、浮遊物が吸着しやすい。
このように、第2分離部24の外周面も経時的に汚れが進む可能性がある。
本実施形態によれば、第2分離部24を覆うカバー25を、使用者が第2分離部24から容易に取り外すことができるので、カバー25および第2分離部24を容易に清掃または洗浄することができる。このように、カバー25および第2分離部24を互いに分離した状態で清掃または洗浄することができることによって、それぞれに付着した汚れを隅々まで落としやすい。特に、洗浄を行う場合には、カバー25および第2分離部24が互いに分離されることによって、乾燥させやすくなる点で、清掃に要する時間が短縮される。さらに、生乾き状態における雑菌の増殖などに起因する匂いも抑制できる。
【0069】
特に、カバー25が透明または半透明材料からなる場合には、使用者はカバー25を取り外す前に、第2分離部24の外周面およびカバー25の汚れの程度を視認することができる。このため、使用者は、第2分離部24およびカバー25を清掃または洗浄すべきかどうか容易に判断できる。
カバー25が透明または半透明材料からなる場合、上述のように、第2分離部24の外周面が視認されやすい。本実施形態では、ボス部24hが径方向においてコーン部24eの裏側に配置されている。このため、ボス部24hはコーン部24eに隠れて使用者から見えなくなる。この結果、使用者から見ると、カバー25内には、第2分離部24の外周には同形状の複数のコーン部24eが規則的に並んでいるため、機能美を伴う良好な外観が得られる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態の電気掃除機100は、集塵装置2に対して容易に着脱できるカバー25を持つため、清浄性を保つためのメンテナンスを容易にすることができる。
【0071】
上記実施形態では、電気掃除機は、掃除機本体10に延長管4を直接接続するスティック型の電気掃除機であるとして説明したが、電気掃除機は、これには限定されない。例えば、電気掃除機は、被掃除面上を走行可能な掃除機本体に対してホース体などを介して延長管を接続する、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機、あるいは自律走行する自走式の電気掃除機などであってもよい。
【0072】
上記実施形態では、集塵装置から排気される清浄空気Acは、集塵装置の排気口29aから集塵装置の軸方向に排気されるとして説明したが、集塵装置の清浄空気Acを排気する排気口は、軸方向に開口していなくてもよい。例えば、排気口は、径方向に開口していてもよい。
【0073】
上記実施形態では、カバー25が、第2分離部24の上カバー26と蓋体29との間に挟まれるとして説明した。しかし、カバー25は、複数のコーン部24eに対して取り外し可能に設けられていれば、このような固定態様に限定されない。ここで、「複数のコーン部24eに対して取り外し可能」とは、カバー25が複数のコーン部24eから分離可能であることを広く意味している。
上記実施形態の場合、カバー25が複数のコーン部24eとは異なる集塵装置2の部位に着脱可能に固定されている。ただし、カバー25は、複数のコーン部24e自体に着脱可能に固定されていてもよい。例えば、カバー25には複数のコーン部24eの外周部に支持突起が形成され、カバー25はこの支持突起と蓋体29との間に挟まれていてよい。
さらに、カバー25が複数のコーン部24eとは異なる集塵装置2の部位に着脱可能に固定されている場合、カバー25は、第2分離部24の上カバー26以外の部材と蓋体29との間に挟まれていてもよい。例えば、蓋体29と付属品収容部27との間、あるいは塵埃案内部材23の上板部23aとの間に、挟まれていてもよい。
【0074】
上記実施形態では、付属品収容部27がカバー25の回り止めになっているとして説明したが、例えば、第2分離部24にカバー25の回り止めとなる付属品収容部27以外の突起部が形成されれば、付属品収容部27はカバー25の回り止めに用いられなくてもよい。
例えば、カバー25が蓋体29と第2分離部24との間において、中心軸線O回りに回転不能に挟持されている場合には、第2分離部24には回り止め用の突起が設けられていなくてもよい。
【0075】
上記実施形態では、カバー25が第2分離部24の上カバー26および第2分離部本体24Aの全体と、塵埃案内部材23の一部とを側方から覆うとして説明した。このように、カバー25は、少なくとも第2分離部本体24Aのコーン部24eを覆うことがより好ましい。しかし、カバーは、第2分離部24のような分離部の全体を側方から覆っていてもよいし、コーン部24eに限定されず第2分離部24の一部のみを覆っていてもよい。
【0076】
以上、説明した少なくともひとつの実施形態によれば、分離部と、カバーとを持ち、カバーが分離部に対して着脱可能に固定され、分離部の少なくとも一部を側方から覆うため、清浄性を保つためのメンテナンスを容易にすることができる電気掃除機を提供することである。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0078】
1…本体部,2…集塵装置,3…吸込口体,4…延長管,10…掃除機本体,21…第1分離部,22…カップ,23…塵埃案内部材,24…第2分離部(分離部),24A…第2分離部本体,24e…コーン部,24h…ボス部,25…カバー,25e…係止フランジ,26…上カバー,26d…円筒部(支持部),35…ビス(ねじ),100…電気掃除機,A1、A2…含塵空気,C0…仮想円,O…中心軸線
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