(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】主動脈及び動脈枝において展開するための血管内グラフトシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/07 20130101AFI20230510BHJP
【FI】
A61F2/07
(21)【出願番号】P 2020500065
(86)(22)【出願日】2018-07-06
(86)【国際出願番号】 US2018041152
(87)【国際公開番号】W WO2019010458
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-07-05
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506128064
【氏名又は名称】エンドーロジックス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】エーネス デール
(72)【発明者】
【氏名】イフテカール アリフ
(72)【発明者】
【氏名】ウェルク クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ノール ケヴィン
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0103135(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0161025(US,A1)
【文献】特開平10-328216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主動脈内で展開可能であるように構成され、管状グラフト壁を含む主管状グラフト本体と、
前記主管状グラフト本体に沿って配置された複数の膨張可能チャネルと、
前記主管状グラフト本体の前記管状グラフト壁に沿って配置された
複数のステント
リングと、
を備え、
前記複数の膨張可能チャネルは、膨張媒体で膨張するように構成され、
第1のグラフト壁部が、第1の膨張可能チャネルと第2の膨張可能チャネルとの間に配置され、前記第1及び第2の膨張可能チャネルは、互いに隣接し、
前記
複数のステント
リングのうちの
2以上は、
前記第1のグラフト壁部の表面上に配置される、
ことを特徴とする血管内システム。
【請求項2】
第3の膨張可能チャネルと第4の膨張可能チャネルとの間に配置された第2のグラフト壁部を更に備え、前記第3及び第4の膨張可能チャネルは、互いに隣接し、前記複数のステントリングのうちの2以上は、前記第2のグラフト壁部の表面上に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の血管内システム。
【請求項3】
前記
複数のステント
リングは、少なくとも1つの入れ子リングセグメントである、ことを特徴とする請求項1に記載の血管内システム。
【請求項4】
前記
複数のステント
リングは、連続巻線型ステントである、ことを特徴とする請求項1に記載の血管内システム。
【請求項5】
前記主管状グラフト本体は、
前記第1のグラフト壁部上に配置され且つ前記主動脈から分岐された少なくとも1つの動脈枝と流体接触状態になるように構成された少なくとも1つの開窓を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の血管内システム。
【請求項6】
前記開窓はステントメッシュによって覆われる、ことを特徴とする請求項
5に記載の血管内システム。
【請求項7】
前記開窓は、前記2又は3以上の隣接する膨張可能チャネル
、及び
、前記複数のステント
リングのうちのうちの2以上によって境界付けられる、ことを特徴とする請求項
5に記載の血管内システム。
【請求項8】
前記主管状グラフト本体は、前記第2のグラフト壁部上に配置された少なくとも1つの開窓を有する、ことを特徴とする請求項
2に記載の血管内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年7月7日出願の米国仮特許出願第62/529,669号に対する優先権を主張し、当該仮出願は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書で開示される構成は、一般的に、血管内グラフトシステムの分野に関する。詳細には、種々の構成は、胸部内腔空間に配置するため、及びより大きな弓形血管への血液の潅流を可能にする血管内グラフトシステムに関する。種々の構成はまた、キンク抵抗機能を有する血管内グラフトシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の開示は、動脈瘤などの血管系障害を治療するためのシステム及び方法に関する。動脈瘤は、人の動脈の壁の拡張及び対応する脆弱性によって特徴付けられる医学的状態である。動脈瘤は、動脈内の様々な部位において発症する可能性がある。例えば、胸部大動脈瘤又は腹部大動脈瘤は、人の身体内に発現することができる。この医学的状態は、患者にとっては深刻で場合によっては生命に関わるものであり、これにより、疾患を治療するのに医学的介入を必要とする。このような疾患を治療するための既存のシステム及び方法は、罹患血管又は体腔のグラフト置換、或いはグラフトによる血管の強化による侵襲性の外科的処置を含む。
【0004】
動脈瘤を治療する外科的処置は、動脈又は動脈壁の外科的修復に固有の危険因子により、比較的高い罹患率及び死亡率に関連付けられる。多くの場合、長くて痛みを伴う回復が必要であり、高額な医療費をもたらす。大動脈瘤の外科的修復の固有の危険及び複雑性のために、血管内修復は、広く用いられる代替療法になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本明細書で開示される種々の構成は、分岐内腔展開部位を含む罹患体腔を治療するためのシステム及び方法に関する。種々の方法は、本明細書で開示されるシステムを用いて、主動脈を通って該主動脈から1又は2以上の動脈枝への血流を維持する段階を含む。
【0007】
種々の構成では、血管内グラフト又はそのセクションは、シールリングの中間に散在するステントセグメントを有するシールリングを含む。種々の構成では、分岐動脈における展開のための血管内グラフトシステムは、近位端部及び反対の遠位端部を含む主動脈内で展開可能な主管状グラフト本体を含み、ここで近位及び遠位端部は、その間に管状グラフト壁を定める。種々の構成では、血管内グラフトシステムは、主管状グラフト本体に沿って配置された複数の膨張可能チャネルと、主管状グラフト本体の管状グラフト壁に沿って配置された少なくとも1つのステントセグメントとを含む。一部の構成では、複数の膨張可能チャネルは、膨張媒体で膨張可能であるように構成され、少なくとも1つのステントセグメントは、2又は3以上の隣接する膨張可能チャネルの間に配置される。
【0008】
一部の構成では、少なくとも1つのステントセグメントは、少なくとも1つのリングセグメントである。一部の構成では、少なくとも1つのステントセグメントは、C字形を有する。一部の構成では、少なくとも1つのステントセグメントは、少なくとも1つの入れ子リングセグメントである。一部の構成では、少なくとも1つのステントセグメントは、連続巻線型ステントである。一部の構成では、少なくとも1つのステントセグメントは、螺旋状連続巻線型ステントである。一部の構成では、少なくとも1つのステントセグメントは、円形断面形状を有する。一部の構成では、少なくとも1つのステントセグメントは、部分円周方向断面形状を有する。一部の構成では、少なくとも1つのステントセグメントは、完全円周方向断面形状を有する。
【0009】
種々の構成では、主管状グラフト本体は、複数の膨張可能チャネルのうちの2又は3以上の隣接する膨張可能チャネルの間に配置された少なくとも1つの開窓を有する。一部の構成では、少なくとも1つの開窓は、主動脈から分岐された少なくとも1つの動脈枝と流体接触状態になるように構成される。一部の構成では、少なくとも1つの開窓はメッシュによって覆われる。一部の構成では、少なくとも1つの開窓は、2又は3以上の隣接する膨張可能チャネルの間の距離全体を延ばす。一部の構成では、少なくとも1つの開窓は、準円形の断面形状を有する開口部である。一部の構成では、少なくとも1つの開窓は、半円形の断面形状を有する開口部である。一部の構成では、少なくとも1つの開窓は、2又は3以上の隣接する膨張可能チャネルによって及び1又は2以上の隣接するステントセグメントによって支持される。
【0010】
種々の構成では、血管内システムは、近位開放端部に取り付けられた係止部材を含む。一部の構成では、係止部材の少なくとも一部分は、主管状グラフト本体の近位開放端部を越えて配置される。一部の構成では、血管内システムは、遠位開放端部に取り付けられた係止部材を含む。同様に、一部の構成では、係止部材の少なくとも一部分は、主管状グラフト本体の遠位開放端部を越えて配置される。
【0011】
種々の構成では、分岐動脈における展開が分岐動脈への血液の潅流を可能にする血管内システムは、近位開放端部及び反対の遠位開放端部を含む、主動脈内で展開可能な第1の管状グラフト本体を含む。種々の構成では、近位及び遠位端部は、その間に管状グラフト壁を定め、第2の管状グラフト本体は、第1の管状グラフト本体と流体接触状態に配置され、第1の管状グラフト本体に対して並列配置で展開可能である。一部の構成では、充填可能バッグは、第1の管状グラフト本体の外面に接続されて、人の主動脈において第1の管状グラフト本体の少なくとも一部分の周りをシールするように構成される。種々の構成では、第2の管状グラフト本体は、人の少なくとも1つの動脈枝と並置状態になるように構成された少なくとも1つの開窓を有する。
【0012】
一部の構成では、第1の管状グラフト本体は、第1の管状グラフト本体に沿って配置された複数の膨張可能チャネルを更に含む。一部の構成では、第2の管状グラフト本体は、第2の管状グラフト本体に沿って配置された複数の膨張可能チャネルを更に含む。一部の構成では、第1の管状グラフト本体は、巻線型ステントを含む。一部の構成では、第2の管状グラフト本体は、巻線型ステントを含む。
【0013】
一部の構成では、充填可能バッグは、主動脈の弓部分の近位部分においてシールを提供するように構成される。一部の構成では、充填可能バッグは、主動脈の弓部分の遠位部分にシールを提供するように構成される。一部の構成では、充填可能バッグはポリマーエンドバッグを含む。一部の構成では、充填可能バッグはポリマーリングを含む。
【0014】
一部の構成では、血管内システムは、主動脈内で展開可能な近位開放端部を有する近位部分と、主動脈から分岐された動脈枝内で展開可能な遠位開放端部を有する反対の遠位部分とを有する少なくとも1つのチムニーグラフトを含む。一部の構成では、少なくとも1つのチムニーグラフトは、第2の管状グラフト本体の少なくとも1つの開窓と流体接触状態になるように構成される。一部の構成では、少なくとも1つのチムニーグラフトは、第1の管状グラフト本体と流体接触状態になるように構成される。一部の構成では、少なくとも1つのチムニーグラフトは、第2の管状グラフト本体と流体接触状態になるように構成される。
【0015】
一部の構成では、血管内システムは、第1の管状グラフト本体及び第2の管状グラフト本体において溝を最小にするように構成された摺動可能構成要素を含む。一部の構成では、血管内システムは開窓のための支持体を含む。一部の構成では、第2の管状グラフト本体は、半径方向支持及び可撓性を開窓に対して提供するように構成されたポリマー半リングチャネルを含む。一部の構成では、第2の管状グラフト本体は、軸方向及び半径方向支持体を開窓に対して提供するように構成されたポリマーチャネルを含む。一部の構成では、第2の管状グラフト本体の開窓は、楕円形を有するように構成される。一部の構成では、第2の管状グラフト本体の開窓は、少なくとも1つの動脈枝に対応する少なくとも1つのチムニーグラフトを受けるように構成される。一部の構成では、放射線不透過性マーカーは、第2の管状グラフト本体の開窓の周りに配置され、少なくとも1つの動脈枝に対して軸方向及び回転可能に開窓の場所及び位置を示すように構成される。一部の構成では、支持体は、積層グラフト材料の切り欠き部で形成される。
【0016】
種々の構成では、血管内システムは、近位グラフト本体、及び近位グラフト本体に接続された遠位グラフト本体を含み、近位グラフト本体と遠位グラフト本体との間で流体接触を可能にするように構成される。一部の構成では、血管内システムは、近位グラフト本体及び遠位グラフト本体の少なくとも一部分をシールするように構成された充填可能バッグを含む。
【0017】
一部の構成では、血管内システムは、近位グラフト本体又は遠位グラフト本体の何れかの開口部から少なくとも1つの動脈枝まで延びるように構成された少なくとも1つのチムニーグラフトを含む。一部の構成では、近位グラフト本体の第1の部分は、近位グラフト本体の第2の部分よりも小さな断面を有する部分を有する。一部の構成では、近位グラフト本体は、近位グラフト本体の表面上に配置された開窓を含む。一部の構成では、近位グラフト本体及び遠位グラフト本体は一緒に溶接される。一部の構成では、近位グラフト本体及び遠位グラフト本体は、モジュールとして一緒に設置される。
【0018】
種々の構成では、人の主動脈に血管内システムを挿入するため方法は、主動脈内に血管内システムを展開する段階と、少なくとも1つの動脈枝のワイヤアクセスを得る段階と、少なくとも1つの動脈枝の各々内にチムニーグラフトを展開する段階と、血管内システムと枝グラフトとの間に軸方向の重なりがあるように血管内システムを位置決めする段階とを含む。
【0019】
一部の構成では、少なくとも1つの動脈枝のワイヤアクセスを得る段階は、少なくとも2つのワイヤを用いて行われる。一部の態様では、少なくとも1つの動脈枝のワイヤアクセスを得る段階は、3つのワイヤを用いて行われる。一部の構成では、枝ステントグラフトはベアステントを含む。
【0020】
一部の構成では、主動脈及び主動脈から分岐する分岐動脈における展開が分岐動脈への血液の潅流を可能にする血管内システムは、主動脈の第1の部分内に展開するように構成された第1の管状グラフト本体と、第1の管状グラフト本体と流体接触状態に配置され、主動脈の第2の部分内で展開するように構成された第2の管状グラフト本体と、第1の管状グラフト本体と流体接触状態の少なくとも1つの枝管状グラフト本体とを含む。少なくとも1つの枝管状グラフト本体の各々は、分岐動脈のうちの1つの分岐動脈の内部に展開するように構成される。
【0021】
一部の構成では、主動脈は大動脈であり、主動脈の第1の部分は下行大動脈部分に対応し、主動脈の第2の部分は上行大動脈部分及び大動脈弓部分に対応し、分岐動脈の各々は、腕頭動脈、左総頸動脈、及び左鎖骨下動脈のうちの1つである。
【0022】
一部の構成では、少なくとも1つの枝管状グラフト本体は、大動脈弓部分から腕頭動脈まで延びるように構成された第1の枝管状グラフト本体と、大動脈弓部分から左総頸動脈まで延びるように構成された第2の枝管状グラフト本体と、大動脈弓部分から左鎖骨下動脈まで延びるように構成された第3の枝管状グラフト本体とを含む。
【0023】
一部の構成では、第2の管状グラフト本体及び少なくとも1つの枝管状グラフト本体は、分岐動脈のうちの1つにて又はこれに隣接する第1の管状グラフト本体に接続する。
【0024】
一部の構成では、血管内システムは、第2の管状グラフト本体に接続され、第2の管状グラフト本体及び少なくとも1つの枝管状グラフト本体によって占有される空間を除いて、膨張して主動脈の第2の部分において空間を充填するように構成された充填可能バッグを更に含む。
【0025】
一部の構成では、第2の管状グラフト本体は膨張可能チャネルを含む。
【0026】
一部の構成では、膨張可能チャネルはポリマーリング又は充填可能バッグである。
【0027】
一部の構成では、血管内システムは、主動脈の分岐動脈及び第2の部分のうちの1つの内部に展開するように構成された少なくとも1つの枝管状グラフト本体を更に含む。
【0028】
一部の構成では、血管内システムは膨張可能バッグを更に含む。一部の実施形態において、第1の管状グラフト本体、第2の管状グラフト本体、及び膨張可能バッグが一緒に溶接される。一部の実施形態において、第1の管状グラフト本体、第2の管状グラフト本体は、互いに取り付け可能なモジュールである。
【0029】
一部の構成では、膨張可能バッグは少なくとも1つのスロットを含み、少なくとも1つのスロットの各々は、少なくとも1つの枝管状グラフト本体のうちの1つが分岐動脈のうちの対応する分岐動脈に延びるように通過可能にするように構成される。
【0030】
一部の構成では、膨張可能バッグは、ポリマーで充填するように構成されて、少なくとも1つのスロットにおいて少なくとも1つの枝管状グラフト本体の周りにポリマーシールを提供する。
【0031】
一部の構成では、膨張可能バッグは、少なくとも1つの枝管状グラフト本体の各々に接続される。
【0032】
一部の構成では、少なくとも1つの枝管状グラフト本体の各々の膨張可能バッグは、主動脈の第2の部分において空間を充填するように構成される。
【0033】
一部の構成では、第2の管状体の直径は、第1の管状体に向かう方向に第1の管状体の長さにわたって減少し、少なくとも1つの枝管状グラフト本体が第1の管状体に接続するように構成された空間を生成する。
【0034】
一部の構成では、主動脈及び主動脈から分岐する分岐動脈における展開が分岐動脈への血液の潅流を可能にする血管内システムは、主動脈内で展開するように構成されて少なくとも1つの開窓を有する管状グラフト本体と、管状グラフト本体に接続されて少なくとも1つのスロットを有する膨張可能バッグと、管状グラフト本体と流体接触状態の少なくとも1つの枝管状グラフト本体とを含み、少なくとも1つの枝管状グラフト本体の各々は、少なくとも1つのスロットの対応するスロットを通して分岐動脈のうちの1つの内部で展開するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】1つの構成による血管内システムを示す図である。
【
図2】1つの構成による屈曲後の血管内システムを示す図である。
【
図3B】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図4A】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図5】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図6A】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図6B】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図7A】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図7C】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図8A】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図8B】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図9A】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図9B】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図9C】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図9D】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図10A】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図10B】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図11A】1つの構成による大動脈弓の血管内システムの展開効率のためのアクセサリーを示す図である。
【
図11C】1つの構成による大動脈弓の血管内システムの展開効率のためのアクセサリーを示す図である。
【
図12A】1つの構成による血管内システムを示す図である。
【
図12C】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図13A】1つの構成による血管内システムの側面図を示す。
【
図13C】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図14A】1つの構成による血管内システムを示す図である。
【
図15A】1つの構成による血管内システムの側面図を示す。
【
図15C】大動脈弓に展開された構成による血管内システムを示す図である。
【
図16A】1つの構成による血管内システムの遠位グラフトの側面図を示す。
【
図16B】1つの構成による血管内システムの近位グラフトの側面図を示す。
【
図16C】1つの構成による遠位グラフト及び近位グラフトを含む血管内システムを示す図である。
【
図17A】1つの構成による血管内システムを示す図である。
【
図17B】1つの構成による血管内システムの一部分を示す図である。
【
図18A】1つの構成による血管内システムを示す図である。
【
図18B】1つの構成による血管内システムの一部分を示す図である。
【
図19A】1つの構成による血管内システムを示す図である。
【
図19B】1つの構成による血管内システムを示す図である。
【
図20A】1つの構成による血管内システムを示す図である。
【
図20B】1つの構成による血管内システムの一部分を示す図である。
【
図20C】1つの構成によるシステムの一部分を示す図である。
【
図21A】1つの構成による血管内システムを示す図である。
【
図21B】1つの構成によるシステムの一部分を示す図である。
【
図22A】1つの構成による、切欠窓が切り欠かれたデバイスを示す図である。
【
図22B】1つの構成による切欠窓のための図を示す。
【
図22C】1つの構成によるデバイスを示す図である。
【
図22D】1つの構成によるデバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書で開示される種々の構成は、全体的に、人の身体の流体流血管の治療のためのシステム及び方法に関する。血管の治療は、一部の構成に対して具体的に示されている。本発明の開示は、モジュラーグラフトシステム、二分岐グラフト組立体、ステントグラフト組立体、及びこれらの組合せを含む、血管の治療のための種々の血管内システムを提供する。
【0037】
本明細書で検討したグラフトシステム及びその構成要素の構成に関して、用語「近位」は、人の心臓に向いた又はそれに近い場所を指し、用語「遠位」は、患者の心臓から離れた又はそれから遠い場所を指す。本明細書で検討した送出システムカテーテル及びその構成要素に関して、用語「遠位」は、カテーテルを用いているオペレータから離れて又はそれから遠くに配置された場所を指し、用語「近位」は、オペレータに向いた又はそれに近い場所を指す。
【0038】
種々の構成による血管内グラフト又はそのセクションは、シールリング中間に散在するステントセグメントを有するシールリングを含む。種々の構成では、シールリングは、ポリマーシールリングであり、ポリマーで充填されたときに血流内腔を開放しておくように構成される。一部の構成では、隣接するシールリングの間の間質腔は、グラフトを含む。一部の構成では、グラフトは、「ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)」又は同様のもので作られる。種々の構成では、血管内グラフトは、角のある生体構造において展開可能である。
【0039】
種々の構成では、ステントは、ポリマーシールリングの中間に散在している。一部の構成では、ステントは、連続螺旋状巻線型ステントである。一部の構成では、ステントは、個々に入れ子にされた複数の一連のステントリングを含む。種々の構成では、ステントは、血管内グラフトを湾曲させながら、内腔を開いたまま維持するように支持を提供する。種々の構成では、ステント構造は、グラフト内に密接に積層される。一部の構成では、ステント構造は、縫合、接着、又は同様のものなどの他の手段によってグラフトに接着又は結合される。種々の構成では、ステント材料は、「ニチノール」又は他の好適な材料から作られる。種々の構成では、ステントは、ワイヤで作られ、又は管体からレーザ切断され、次いで好適な直径に拡張される。一部の構成では、ステントセグメントは、ポリマーシールリングの中間に散在している。
【0040】
図1は、1つの構成による血管内システムを示す。1つの構成による血管内システムは、複数の膨張可能チャネル106の間に配置された壁部110を含む主管状グラフト本体100を含む。1又は2以上のステントセグメント104は、膨張可能チャネル106の2又は3以上の間に配置される。一部の実施例では、壁部110のうちの2つは、膨張可能チャネル106のうちの1つによって接続される。種々の構成では、各ステントセグメント104は、対応する壁部110の表面の上に配置され、又は壁部110内に積層される。このようにして、各ステントセグメント104は、対応する壁部110の表面と接触し、又はこれに埋め込まれる。主管状グラフト本体100はまた、主管状グラフト本体100の近位端部及び主管状グラフト本体100の遠位端部の両方に壁部111を含む。一部の実施例では、壁部111は、ステントセグメント104が配置されていない。
【0041】
主管状グラフト本体100はまた、主管状グラフト本体100の遠位端部及び近位端部の両方に配置された係止部材102を含む。係止部材102は、主管状グラフト本体100の近位端部及び主管状グラフト本体100の遠位端部に取り付けられ、又は埋め込まれ、又は他の方法で固定される。係止部材102は、ステント状足場構造であるように示されている。係止部材102の他の配置も同様に実装することができる。
【0042】
図1に示すように、種々の構成では、複数の膨張可能チャネル106は、螺旋状リングとして構成される。膨張可能チャネル106は、主管状グラフト本体100に沿って螺旋状に配置され、主管状グラフト本体100の廻りに巻き付けられる。1つの実施例では、膨張可能チャネル106は、主管状グラフト本体100の近位端部から主管状グラフト本体100の遠位端部まで主管状グラフト本体100の廻りに巻き付けられる同じ連続チャネルである。この点に関して、連続膨張可能チャネル106のあらゆる箇所に接続又は他の方法で作動可能に結合された充填ライン(図示せず)を用いて、膨張可能チャネル106を充填することができる。別の実施例では、膨張可能チャネル106の2又は3以上は、互いに分離される。この点に関して、膨張可能チャネル106の各個々は、接続又は他の方法で作動可能に結合された充填ライン(図示せず)で充填される。代替の配置又は幾何学形状も同様に実装することができる。
【0043】
図2は、1つの構成による本発明の開示の血管内システムを示し、これは
図1の構成と類似しているが、環状の(非螺旋状の)膨張可能チャネル106を有しており、湾曲状態で示されている。
図2の血管内システムは、複数の膨張可能チャネル106の間に配置された壁部110を含む主管状グラフト本体100を含む。少なくとも1つのステントセグメント104は、2又は3以上の膨張可能チャネル106の間に配置されて、壁部110の表面上に配置されるか、又は壁部110内に積層される。主管状グラフト本体100はまた、主管状グラフト本体100の近位端部及び主管状グラフト本体100の遠位端部の両方に壁部111を含む。主管状グラフト本体100はまた、主管状グラフト本体100の遠位端部及び近位端部の両方に配置された係止部材102を含む。
図2では、主管状グラフト本体100は、湾曲又は屈曲状態で示されている。主管状グラフト本体100、壁部110及び111、係止部材102、及びステントセグメント104は、
図1に関して説明したものと類似している。種々の構成では、
図2に示す複数の膨張可能チャネル106は、螺旋状チャネルの代わりに環状リングとして構成される。
【0044】
種々の構成では、膨張可能チャネル106は環状リングであり、ステントセグメント104は、セグメント化されたステントリングである。種々の構成では、環状の膨張可能チャネル106は非螺旋状である。一部の構成では、ステントセグメント104は、2つの隣接する膨張可能チャネル106の間の間質腔に入れ子にされた離散的で、別個の及びセグメント化されたステントリングである。種々の構成では、ステントセグメント104(例えば、ステントリングセグメント)は、主管状グラフト本体100の円周周りで完全に円周形(主管状グラフト本体100の周りでO字形)である。一部の構成では、ステントセグメント104は、(O字形の代わりにC字形であるなど)部分的に円周状である。種々の構成では、ステントセグメント104(例えば、入れ子にされたステントリングセグメント)は、ステントセグメント104のジグパターンがリング間セグメント(例えば、同じ壁部110)内で隣接するジグパターンにジャンプすることができるように、膨張可能チャネル106(例えば、環状リング)の間に連続セグメントで作られる。ステントセグメント104に対して結果として得られるワイヤスパインは、膨張可能チャネル106(例えば、環状リング)を充填するように構成されたポリマースパイン充填チャネル(図示せず)と整列することができる。
【0045】
図3Aを参照して、人の大動脈10の典型的な配置が示されている。大動脈10は、下行大動脈部分11(すなわち、遠位大動脈部分)、大動脈弓部分12、及び上行大動脈部分13(すなわち、近位大動脈部分)を含む。大動脈10は、左鎖骨下動脈14、左総頸動脈15、右総頸動脈16、右鎖骨下動脈17、右冠動脈18、及び左冠動脈19に流体的に接続される。大きな血管は、大動脈弓部分12から生じ、大動脈弓血管と呼ばれる、(腕頭動脈としても公知の)腕頭動脈20、左総頸動脈15、及び左鎖骨下動脈14を含む。(腕頭動脈としても公知の)腕頭動脈20は、右総頸動脈16と右鎖骨下動脈17に分かれる。
【0046】
図3Bは、典型的な人の大動脈10に展開される1つの構成による本発明の開示の血管内システムを示す。
図3Bに示すような種々の構成による血管内システムは、開窓114を有し、左鎖骨下動脈14内への挿入のための分岐デバイス300を含む。
図3Bの血管内システムは、本明細書で説明する方式で複数の膨張可能チャネル106の間に配置された壁部110を含む主管状グラフト本体100を含む。1つの実施例では、膨張可能チャネル106は環状リング(例えば、
図2)である。他の実施例では、膨張可能チャネル106は螺旋状リング(例えば、
図1)である。
図3Bの膨張可能チャネル106は、充填ライン(図示せず)によって充填される。他の実施例では、膨張可能チャネル106は、2又は3以上の充填ライン(図示せず)によって充填される。膨張可能チャネル106は、大動脈10において主管状グラフト本体100を構造的に支持するように、大動脈10の壁と接触している及び/又は摩擦嵌め状態である大動脈10において膨張することが示されている。主管状グラフト本体100は、大動脈弓部分12及び下行大動脈部分11内に挿入される。図示のように、主管状グラフト本体100は、大動脈弓部分12の形状に従って湾曲する。少なくとも1つのステントセグメント104は、2又は3以上の膨張可能チャネル106の間に配置されて、壁部110の表面の上に配置され又は壁部110内に積層される。主管状グラフト本体100はまた、主管状グラフト本体100の近位端部及び主管状グラフト本体100の遠位端部の両方に壁部111を含む。壁部111のうちの1つ及び2つの膨張可能チャネル106(2つの環状リング)は、左総頸動脈15と左鎖骨下動脈14との間の大動脈弓部分12に配置される。2つの膨張可能チャネル106(2つの環状リング)の一方は、左総頸動脈15の隣の大動脈壁の一部分と接触し、別の方は、左鎖骨下動脈14の隣の大動脈壁の一部分と接触する。主管状グラフト本体100はまた、主管状グラフト本体100の遠位端部及び近位端部の両方に配置される。係止部材102のうちの1つは、左総頸動脈15の近くの大動脈弓部分12に配置するように構成される。係止部材102のうちの1つは、左総頸動脈15と腕頭動脈20との間の大動脈弓部分12の壁と接触するように構成される。
【0047】
主管状グラフト本体は、説明したように、大動脈弓部分12に含めて大動脈10に展開される。主管状グラフト本体100は、血管内システムが、左鎖骨下動脈14などのより大きな弓形血管のうちの少なくとも1つと流体接続状態になるように大動脈10に展開されると位置付けられるように構成された開窓114を有し、その結果、より大きな弓形血管のうちの少なくとも1つに展開される枝グラフト300は、主管状グラフト本体100の開窓114と流体接続状態になる。このような配置は、主管状グラフト本体100からより大きな弓形血管(左鎖骨下動脈14など)のうちの少なくとも1つに血液が流れることを可能にする。(左総頸動脈15と左鎖骨下動脈14との間の)2つの膨張可能チャネル106及び係止部材102のうちの1つ(その一部分は左総頸動脈15と腕頭動脈20との間にある)は、主管状グラフト本体100及び枝グラフト300を係止して安定化させる。(左総頸動脈15と左鎖骨下動脈14との間の)2つの膨張可能チャネル106及び(左総頸動脈15と腕頭動脈20との間の)係止部材102のうちの1つは、上行大動脈に向けて十分に延びて、主管状グラフト本体100及び枝グラフト300を安定化させ、枝グラフト300が左鎖骨下動脈14に加える応力を低減する。
【0048】
図4A及び4Bは、人の大動脈弓部分12に展開されるような1つの構成による血管内システムを示す。種々の構成では、
図4A及び4Bに示すような血管内システムは、本明細書で説明する方式で複数の膨張可能チャネル106の間に配置された壁部110を含む主管状グラフト本体100を含む。1つの実施例では、膨張可能チャネル106は環状リング(例えば、
図2)である。他の実施例では、膨張可能チャネル106は螺旋状リング(例えば、
図1)である。
図4Aの構成では、膨張可能チャネル106は、充填ライン(図示せず)を通して充填される。他の実施例では、膨張可能チャネル106は、2又は3以上の充填ライン(図示せず)によって充填される。膨張可能チャネル106は、大動脈10において膨張して示され、大動脈10の壁と接触している及び/又は摩擦嵌め状態で、大動脈10において主管状グラフト本体100を構造的に支持している。主管状グラフト本体100は、大動脈弓部分12及び下行大動脈部分11内に挿入される。図示のように、主管状グラフト本体100は、大動脈弓部分12の形状に従って湾曲する。1又は2以上のステントセグメント104は、2又は3以上の膨張可能チャネル106の間に配置されて壁部110の表面の上に配置され又は壁部110内に積層される。主管状グラフト本体100はまた、主管状グラフト本体100の近位端部及び主管状グラフト本体100の遠位端部の両方に壁部111を含む。主管状グラフト本体100はまた、主管状グラフト本体100の遠位端部及び近位端部の両方に配置される。主管状グラフト本体100は、大動脈弓に含めて、大動脈10に展開される。
【0049】
主管状グラフト本体100は、血管内システムが人の大動脈内に展開されるとき、より大きな弓形血管のうちの少なくとも1つと流体接続状態になるように構成された開窓117を有する。
図4Aに示すように、開窓117は、膨張可能チャネル106のうちの2つによって境界付けられる。種々の構成では、壁部111のうちの1つ、2つの膨張可能チャネル106、及び係止部材102のうちの1つは、上行大動脈に配置するように構成される。一部の構成では、膨張可能チャネル106のうちの1つは、腕頭動脈20の隣の大動脈壁の一部分の上に配置される。一部の構成では、壁部111のうちの少なくとも1つは、下行大動脈部分11に配置するように構成される。一部の構成では、膨張可能チャネル106のうちの1つは、左鎖骨下動脈14の隣の大動脈壁の一部分の上に配置される。換言すると、種々の構成では、開窓117は、腕頭動脈20及び左鎖骨下動脈14の縁部において膨張可能チャネル106のうちの2つによって境界付けられる。一部の構成では、開窓117は、2又は3以上の隣接する膨張可能チャネル106の間の距離全体を延ばす。
【0050】
このような配置は、血液が主管状グラフト本体100からより大きな弓形血管(左鎖骨下動脈14、左総頸動脈15、及び腕頭動脈20など)のうちの少なくとも1つに流れることを可能にする。膨張可能チャネル106、特に腕頭動脈20及び左鎖骨下動脈14の縁部にある2つの膨張可能チャネル106及び係止部材102のうちの1つ(その一部分は上行大動脈部分13に配置することができる)は、主管状グラフト本体100及び開窓117を係止して安定化させる。一部の構成では、(上行大動脈部分13における)膨張可能チャネル106のうちの1又は2以上及び係止部材102のうちの1つは、上行大動脈部分13内に十分に延びて、主管状グラフト本体100及び開窓117を安定化させ、開窓117がより大きな弓形血管(左鎖骨下動脈14、左総頸動脈15、及び腕頭動脈20など)に加わる応力を低減する。
【0051】
開窓117は、左鎖骨下動脈14及び腕頭動脈20に配置された2つの隣接する膨張可能チャネル106を接続する1又は2以上の接続する膨張可能チャネル(例えば、接続する膨張可能チャネル106a)によって境界付けられる。主管状グラフト本体100は、1又は2以上の接続する膨張可能チャネル106aに接続されて開窓117の下に位置付けられた壁部112を含む。種々の構成では、血管内システムは、壁部112の表面の上に配置され又は壁部112内に積層された1又は2以上のステントセグメント104aを含む。
図4Bに示すように、種々の構成では、1又は2以上のステントセグメント104aは、壁部112内に積層される。
図4Bに示すように、種々の構成では、壁部112は、
図4Aに示された開窓117であるC字形断面の開口部(「トップオープン」)を備えた、準円形の断面形状(例えば、C字形断面)を有する。一部の構成では、開窓117は、準円形の断面形状(例えば、C字形断面)、半円形の断面形状、又は同様のものを有する。1又は2以上のステントセグメント104a、壁部112、及び接続する膨張可能チャネル106aは、開窓117を構造的に支持する。種々の構成では、膨張可能チャネル106及び接続する膨張可能チャネル106aは、ポリマーで充填可能であり、その結果、単一充填ライン(図示せず)は、膨張可能チャネル106及び接続する膨張可能チャネル106aを充填することができるようになる。例えば、ポリマーは、下行大動脈部分11において膨張可能チャネル106に、及び接続する膨張可能チャネル106aを通して上行大動脈部分13において膨張可能チャネル106に充填することができ、その結果、膨張可能チャネル106及び接続する膨張可能チャネル106aの全てを充填することができるようになる。
【0052】
図4Aの構成などの種々の構成は、ポリマーシールリング(例えば、左鎖骨下動脈14及び腕頭動脈20に配置された2つの隣接する膨張可能チャネル106)を有する大きな有窓グラフトのキンク抵抗バージョンを提供する。種々の構成では、弓形及び開放有窓区域における構造支持は、ポリマーリングの間の間質区域においてポリマーリング及びステント構成要素によって分担される。一部の構成では、追加の内腔支持のための開窓にわたって連続ステントメッシュが存在する。一部の構成では、ステントメッシュは、グラフト及び1又は2以上のシールリング内に積層される。
【0053】
図5は、人の大動脈10に展開されるような1つの構成による血管内システムを示す。
図5に示すような血管内システムは、本明細書で説明する方式で複数の膨張可能チャネルの間に配置された壁部110を含む主管状グラフト本体100を含む。1つの実施例では、膨張可能チャネル106は環状リング(
図2を参照)である。他の実施例では、膨張可能チャネル106は螺旋状リング(例えば、
図1を参照)である。
図5の構成では、膨張可能チャネル106は充填ライン(図示せず)によって充填される。他の実施例では、膨張可能チャネル106は2又は3以上の充填ライン(図示せず)によって充填される。膨張可能チャネル106は、大動脈10において膨張することが示され、大動脈10の壁と接触及び/又は摩擦嵌め状態で、大動脈10において主管状グラフト本体100を構造的に支持する。主管状グラフト本体100は、大動脈弓部分12、上行大動脈部分13、及び下行大動脈部分11内に挿入される。図示のように、主管状グラフト本体100は、大動脈弓部分12の形状に従って湾曲する。少なくとも1つのステントセグメント104は、2又は3以上の膨張可能チャネル106の間に配置され、壁部110の表面の上に配置され又は壁部110内で一体化される。主管状グラフト本体100はまた、主管状グラフト本体100の近位端部及び主管状グラフト本体100の遠位端部の両方に壁部111を含む。主管状グラフト本体100はまた、主管状グラフト本体100の遠位端部及び近位端部の両方に配置された係止部材102を含む。主管状グラフト本体100は、大動脈弓を含む大動脈弓10に展開される。
【0054】
主管状グラフト本体100は、
図5の血管内システムが人の大動脈10内に展開されるとき、より大きな弓形血管のうちの少なくとも1つと流体接続状態になるように構成された開窓117を有する。
図5に示すように、一部の構成では、壁部111のうちの1つ、2つの膨張可能チャネル106、及び係止部材102のうちの1つは、上行大動脈部分13に配置するように構成され、膨張可能チャネル106のうちの1つは、腕頭動脈20の隣の大動脈壁の一部分の上に配置される。一部の構成では、壁部111の他の1つ、膨張可能チャネル106の残りの部分、及び壁部111の他の1つは、下行大動脈部分11に配置するように構成される。一部の構成では、膨張可能チャネル106のうちの1つは、左鎖骨下動脈14の隣の大動脈壁の一部分の上に配置される。換言すると、一部の構成では、開窓117は、腕頭動脈20及び左鎖骨下動脈14の縁部において膨張可能チャネル106のうちの2つによって境界付けられる。一部の構成では、開窓117は、2又は3以上の隣接する膨張可能チャネル106の間の距離全体を延ばす。
【0055】
このような配置は、主管状グラフト本体100からより大きな弓形血管(左鎖骨下動脈14、左総頸動脈15、及び腕頭動脈20など)のうちの少なくとも1つに血液が流れることを可能にする。膨張可能チャネル106、特に腕頭動脈20及び左鎖骨下動脈14の縁部にある2つの膨張可能チャネル106及び係止部材102のうちの1つ(その一部分は上行大動脈部分13に配置される)は、主管状グラフト本体100及び開窓117を係止して安定化させる。一部の構成では、(上行大動脈部分13における)2つの膨張可能チャネル106及び係止部材102のうちの1つは、上行大動脈部分13内に十分に延びて、主管状グラフト本体100及び開窓117を安定化させ、より大きな弓形血管(左鎖骨下動脈14、左総頸動脈15、及び腕頭動脈20など)に加わる応力を低減する。
【0056】
図5に示すように、種々の構成では、開窓117は、追加の内腔支持体に対して開窓117の場所において連続ステントメッシュ116によって覆われる。連続ステントメッシュ116(例えば、O字形断面を有する)は、1つの実施例では、開窓117の全体を覆う。別の実施例では、連続ステントメッシュ116(例えば、C字形断面を有する)は、開窓117の一部分のみを覆う。種々の構成では、主管状グラフト本体100はステントメッシュ116を含み、ステントメッシュ116は、(腕頭動脈20及び左鎖骨下動脈14の縁部において)2つの隣接する膨張可能チャネル106に接続されてこれらの間にある。従って、ステントメッシュ116は、血流を妨げることなく、上行大動脈部分13にある血管内システムの部分を下行大動脈部分11にある血管内システムの部分と接続する。種々の構成では、ステントメッシュ116は、より大きな弓形血管と主管状グラフト本体100によって作り出される内腔との間のステントメッシュ116を通して血液が流れることを可能にするように構成される。一部の構成では、ステントメッシュ116は、2つの隣接する膨張可能チャネル106内に積層される。一部の構成では、ステントメッシュ116は、主管状グラフト本体100のグラフト材料内に積層される。
【0057】
種々の構成では、壁部110及び壁部111は、例えば、薄いPTFEなどのあらゆる好適な材料で形成される。種々の構成では、複数の膨張可能チャネル106は、ポリマー材料によって充填することができる。
【0058】
種々の構成では、1又は2以上のステントセグメント104は、あらゆる好適な技術によってグラフトの表面に接続される。例えば、一部の構成では、1又は2以上のステントセグメント104は、グラフトの内面の上に密接に積層される。更なる実施例として、一部の構成では、1又は2以上のステントセグメント104は、グラフトの内面に接着され又は結合される。依然として更なる実施例として、一部の構成では、1又は2以上のステントセグメント104は、グラフトの内面の上に縫合される。依然として更なる実施例として、一部の構成では、1又は2以上のステントセグメント104は、グラフトの内面の上に接着される。
【0059】
1又は2以上のステントセグメント104は、あらゆる好適な材料で形成される。例えば、一部の構成では、1又は2以上のステントセグメント104は、「ニチノール」で形成される。更なる実施例として、一部の構成では、1又は2以上のステントセグメント104は、ワイヤで形成される。依然として更なる実施例として、一部の構成では、1又は2以上のステントセグメント104は、レーザ切断材料で形成される。
【0060】
種々の構成では、1又は2以上のステントセグメント104は、血管内システムの主管状グラフト本体100のための内腔支持体を提供する。種々の構成では、1又は2以上のステントセグメント104は、主管状グラフト本体100の内腔を開いたままにするように構成されるが、主管状グラフト本体100は、それが大動脈弓に含める人の大動脈において展開されるとき湾曲している。
図4A及び5を参照して、一部の構成では、血管内システムは、1又は2以上の接続する膨張可能チャネル106aを有する
図4Aに示すような構造を有することができ、
図5のステントメッシュ116を含むことができ、その場合には、ステントメッシュ116は、1又は2以上の接続する膨張可能チャネル106aに取り付けることができる。
【0061】
種々の構成は、胸部上行大動脈及び大動脈弓経カテーテルエンドグラフト解決策を提供する。種々の構成による胸部内腔空間において設置するための血管内ステントグラフト又はステントグラフトシステムは、例えば、腕頭幹、左総頸動脈、及び左鎖骨下動脈を含むより大きな弓形血管への血液の潅流を可能にする。1つの構成による胸部ステントグラフトシステムは、次いで、上行又は弓形領域においてベアステントを介して潅流された大動脈弓血管に対して本来及び並置状態で開放している平行ステントを使用する。一部の構成では、胸部ステントグラフトシステムは、大動脈において及び開放平行ステントの周りにエンドバッグ又はリングなどでシールするのにポリマーを使用するステントグラフトを含み、従って、ステントグラフトシステムを安定化して係止する。一部の構成では、積極的固定は、必要に応じてステント内に組み込むことができる。
【0062】
図6Aは、1つの構成による血管内システムを示す。血管内システムは、一般的に、人の大動脈10の胸部内腔空間に設置するように構成される。
図6Aに示すように、血管内システムは、上行大動脈部分13から大動脈弓部分12にわたって下行大動脈部分11に連続的に移行するように構成された第1の管状グラフト本体600を含む。
図6Aの血管内システムは、第1の管状グラフト本体600に平行に及び大動脈弓血管の潅流を可能にする大動脈弓血管と並置状態で延在する第2の管状グラフト本体602を更に含む。第2の管状グラフト本体602は、上行大動脈部分13から大動脈弓部分12にわたって移行するように構成される。第2の管状グラフト本体602は、大動脈壁の開口部にわたって腕頭動脈20、左総頸動脈15、及び左鎖骨下動脈14まで延びて血流を可能にする。第2の管状グラフト本体602は、第1の管状グラフト本体600よりも大きな弓形血管(例えば、腕頭動脈20、左総頸動脈15、及び左鎖骨下動脈14)に近い。第2の管状グラフト本体602は、第1の管状グラフト本体600とより大きな弓形血管との間にある。第2の管状グラフト本体602の端部は、左鎖骨下動脈14の端部の隣にある大動脈壁の一部分にある。1つの実施例では、第2の管状グラフト本体602は、完全にメッシュで形成される。
【0063】
図6Aの血管内システムはまた、充填ライン(図示せず)によって充填可能な充填可能バッグ(例えば、エンドバッグ)601を含む。充填可能バッグ601は、第1の管状グラフト本体600の外装に取り付けるか又は他の方法で固定することができる。充填可能バッグ601は、充填媒体で充填されて膨張又は充填状態を得ることができる。充填媒体は、充填可能バッグ601の壁を大動脈壁に押し付けることができる。充填可能バッグ601の一部分は、第1の管状グラフト本体600に隣接する大動脈10の空間内に延びる。すなわち、非膨張状態にあるとき、充填可能バッグ601は、第1の管状グラフト本体600の周りにあることに限定することができるが、図示のように膨張する(充填状態にある)とき、充填可能バッグ601は半径方向に拡張して、第2の管状グラフト本体602によって覆われていない第1の管状グラフト本体600の周りの大動脈10の空間の少なくとも一部分を充填する。一部の構成では、充填可能バッグ601の一部分は、第1の管状グラフト本体600と第2の管状グラフト本体602との間、例えば、上行大動脈部分13及び大動脈弓部分12にある。これは、充填可能バッグ601が充填されているとき充填可能バッグ601が第2の管状グラフト本体602を押し付けることを可能にして、第1の管状グラフト本体600及び第2の管状グラフト本体602の位置及び配置を維持する。一部の構成では、充填可能バッグ601は、第2の管状グラフト本体602の外装(例えば、円周面及び/又は端部)に更に取り付け又は他の方法で固定することができる。
【0064】
種々の構成では、第1の管状グラフト本体600及び第2の管状グラフト本体602の両方を含む
図6Aに示す血管内システムは、大動脈弓血管と並置状態で第2の管状グラフト本体602の上行弓形領域(例えば、上行大動脈部分13)においてグラフトなしの開放有窓を介して次いで潅流される大動脈弓血管(例えば、腕頭動脈20、左総頸動脈15、及び左鎖骨下動脈14)の領域に開放ステント構造を提供する。このような配置は、大動脈弓部分12のより大きな血管におけるワイヤ操作を簡単に使用できるようにしてその必要性を排除する。
【0065】
更に、
図6A及び6Bに示す例示的な構成の様々な配置は、様々な流動条件に有用である。例えば、
図6Aに示すものなどの一部の配置は、順行性の流れに有用であるが、
図6Bに示すものなどの他の配置は、逆流に有用である。
図6Bは、大動脈弓部分12から下行大動脈部分11に移行するように構成された第1の管状グラフト本体600を含む1つの構成による血管内システムを示す。第1の管状グラフト本体600はステント構造を含む。第1の管状グラフト本体600は、左鎖骨下動脈14の隣の大動脈壁の一部分から下行大動脈部分11に向かって延びる。
図6Bの血管内システムは、第1の管状グラフト本体600と流体接続状態にある第2の管状グラフト本体602を更に含み、上行大動脈部分13から大動脈弓部分12に移行して大動脈弓血管と並置状態である。第2の管状グラフト本体602の一部分は、第1の管状グラフト本体600の一部分と重なる。一部の構成では、第1の管状グラフト本体600の少なくとも1つのステントセグメントは、第2の管状グラフト本体602と重なる。一部の構成では、第2の管状グラフト本体602は、完全にメッシュで形成される。
【0066】
血管内システムはまた、上行大動脈部分13及び大動脈弓部分12に展開するように構成された第3の管状グラフト本体603を含み、第1の管状グラフト本体600と流体接続状態になるように構成される。第3の管状グラフト本体603の一部分は、第1の管状グラフト本体600の一部分と重なる。一部の構成では、第1の管状グラフト本体600の少なくとも1つのステントセグメントは、第3の管状グラフト本体603と重なる。一部の構成では、第1の管状グラフト本体600の少なくとも1つのステントセグメントは、第2の管状グラフト本体602及び第3の管状グラフト本体603を取り囲んで、第1の管状グラフト本体600から第2の管状グラフト本体602及び第3の管状グラフト本体603への接続に関して構造的一貫性を改善することができる。第3の管状グラフト本体603は、第2の管状グラフト本体602と比べて上行大動脈部分13内に更に延びる。第3の管状グラフト本体603は、第2の管状グラフト本体602よりも長い。
【0067】
種々の構成では、
図6Bに示す血管内システムはまた、充填可能バッグ(例えば、エンドバッグ)601を含む。充填可能バッグ601は、第3の管状グラフト本体603の一部分の隣の血管内システムにシーリングを提供するように構成される。詳細には、充填可能バッグ601は、主動脈(例えば、大動脈10)の弓部分の近位部分(例えば、上行大動脈部分13及び/又は大動脈弓部分12)にシールを提供するように構成される。一部の構成では、充填可能バッグ601は、第2の管状グラフト本体602を越えて延びる管状グラフト本体603の部分に取り付けられ又は他の方法で固定される。従って、第2の管状グラフト本体602中の血液は、充填可能バッグ601を過ぎて流れない。充填可能バッグ601が充填されていると、充填可能バッグ601は、管状グラフト本体603及び大動脈壁を押し付けるように延び、従って、第2の管状グラフト本体602を越えて延びる管状グラフト本体603の端部を係止する。
【0068】
図6Aの構成などの一部の構成では、順行性フローシステムは、弓形血管を潅流するように提供される。
図6Bの構成などの一部の構成では、逆流システムは、弓形血管を潅流するように提供される。種々の構成では、
図6A及び6Bに示すシステムは、平行ステントグラフトシステムであり、
図6Aの第1の管状グラフト本体600及び第2の管状グラフト本体602は互いに平行であり、
図6Bの第2の管状グラフト本体602及び第3の管状グラフト本体603は、互いに平行であることを意味する。
図6A及び6Bのシステムなどの平行ステントグラフトシステムは、本来ほぼ管状であり、ニチノールなどの自己拡張式とすることができる好適な材料の巻線又はレーザ切断ステントで構成され、又は「316Lステンレス鋼」又はL605コバルトクロムなどのバルーン拡張式とすることができ、PTFEグラフト材料においてベアとし、ほぼ封入、又は部分的に封入することができる。
図6A及び6Bなどの種々の構成では、平行ステントグラフトシステムは、次いで、血管と並置状態で平行ステントの上行及び弓形領域においてグラフトなしの開放有窓を介して潅流された大動脈弓血管の領域に開放ステント構造を有する。このようなシステムは、弓形のより大きな血管の使いやすさ及びワイヤ操作なしを可能にすることができ、従って、血管内修復の関連の脳卒中リスクを低減する。
【0069】
図7A及び7Bは、1つの構成による血管内システムを示す。
図7A及び7Bの血管内システムは、一般的に、人の大動脈10の胸部内腔空間に設置するように構成される。
図7Aに示すように、血管内システムは、上行大動脈部分13から大動脈弓部分12まで及び下行大動脈部分11まで延びる第1の管状グラフト本体700を含む。
図7Aの血管内システムは、上行大動脈部分13から大動脈弓部分12まで延びて大動脈弓血管の潅流を可能にする第2の管状グラフト本体701を更に含む。種々の構成では、第2の管状グラフト本体701は、より大きな弓形血管のうちの少なくとも1つと流体接続状態に配置された開窓702を含む。1つの実施例では、第2の管状グラフト本体701は、血液が通過することができる開窓702にメッシュを含む。第2の管状グラフト本体701(及び開窓702)は、大動脈壁の開口部にわたって腕頭動脈20、左総頸動脈15、及び左鎖骨下動脈14まで延びて血流を可能にする。開窓702は、腕頭動脈20、左総頸動脈15、及び左鎖骨下動脈14に対して大動脈壁の開口部に配置するように構成されて血流を可能にする。第2の管状グラフト本体701は、第1の管状グラフト本体700よりも大きな弓形血管(例えば、腕頭動脈20、左総頸動脈15、及び左鎖骨下動脈14)に近い。第2の管状グラフト本体701(及び開窓702)は、第1の管状グラフト本体700とより大きな弓形血管との間にある。第2の管状グラフト本体602の端部は、左鎖骨下動脈14の端部の隣にある大動脈壁の一部分にある。
【0070】
種々の構成では、血管内システムはまた、充填ライン(図示せず)によって充填可能な充填可能バッグ(例えば、エンドバッグ)710を含む。充填可能バッグ710は、第1の管状グラフト本体700の外装に取り付け、接続し、又は他の方法で固定することができる。充填可能バッグ710は、充填媒体で充填されて膨張又は充填状態を得ることができる。充填媒体は、充填可能バッグ710の壁を大動脈壁に押し付けることができる。充填可能バッグ710の一部分は、第1の管状グラフト本体700に隣接する大動脈10の空間内に延びる。すなわち、非膨張状態にあるとき、充填可能バッグ710は、第1の管状グラフト本体700の周りにあることに限定することができるが、図示のように膨張する(充填状態にある)とき、充填可能バッグ710は半径方向に拡張して、第2の管状グラフト本体701が及ばない第1の管状グラフト本体700の周りの空間の(例えば、下行大動脈部分11の)少なくとも一部分を含む周囲の空間を充填する。充填可能バッグ710は、充填しているとき、左鎖骨下動脈14にある第2の管状グラフト本体701の端部にシーリングを提供するように構成される。
【0071】
種々の構成では、
図7Aの血管内システムはまた、開窓702の場所を除くと第2の管状グラフト本体701の外装に取り付けられ、接続され、又は他の方法で固定された充填可能バッグ(例えば、エンドバッグ)711を含む。充填可能バッグ711は、充填ライン(図示せず)によって充填可能である。上行大動脈部分13における
図7Aのシステムの断面図は、
図7Bに示されている。
図7A及び7Bに示すように、充填可能バッグ710及び711は、充填されたときに、上行大動脈部分13及び大動脈弓部分12において空間を充填するように拡張する。充填可能バッグ710及び711は、充填されたときに、上行大動脈部分13及び大動脈弓部分12において互いに押し付けて、上行大動脈部分13及び大動脈弓部分12において第1の管状グラフト本体700及び第2の管状グラフト本体701を構造的に支持する。図示のように、第1の管状グラフト本体700は、第2の管状グラフト本体701のものよりも大きな断面(例えば、より大きな半径)を有することができる。充填可能バッグ710及び711は、主動脈(例えば、大動脈10)の少なくとも近位部分及び/又は弓部分(例えば、上行大動脈部分13及び/又は大動脈弓部分12)にシールを提供するように構成される。充填可能バッグ710はまた、主動脈(例えば、大動脈10)の遠位部分(例えば、下行大動脈部分11)にシールを提供するように構成される。
【0072】
図7A及び7Bなどの構成に従って胸部ステントグラフトシステムは、この構成では、上行大動脈部分13においてグラフト材料で覆われた部分を有する平行ステントを使用して、場合によっては、切開、穿孔、穿通性潰瘍、又は同様のものなど上行動脈瘤又は他の方法で病的上行大動脈部分を取り除く。種々の構成では、
図7A及び7Bの平行ステントグラフトの断面は、次いで、上弓領域のグラフトなし又はベアステントを介して潅流された大動脈弓血管と並置状態である。その代わりに、この構成要素は、被覆が何れかの端又は両端の上にポリマーエンドバッグ又はシールリングを含むステントとすることができる。種々の構成では、
図7A及び7Bのシステムは、ポリマーを使用して大動脈10において及び部分的に覆われた平行ステントの周りのエンドバッグ又はリングをシールするステントグラフトを含み、従って、ステントグラフトシステムを安定化させて係止する。
【0073】
図7C及び7Dは、1つの構成による血管内システムを示す。
図7C及び7Dの血管内システムは、一般的に、人の大動脈10の胸部内腔空間に設置するように構成される。
図7Cに示すように、血管内システムは、上行大動脈部分13から大動脈弓部分12まで及び下行大動脈部分11まで延びる主管状グラフト本体700を含む。種々の構成では、血管内システムは、成形チャネル703及び充填ライン(図示せず)によって充填可能な充填可能バッグ(例えば、エンドバッグ)710を更に含む。種々の構成では、成形チャネル703は、上行大動脈部分13から大動脈弓部分12まで延び、1又は2以上の開口部又は1又は2以上の開放チャネルを有して大動脈弓血管の潅流を可能にする。1又は2以上の開口部又は1又は2以上の開放チャネルは、大動脈弓血管(例えば、腕頭動脈20、左総頸動脈15、及び左鎖骨下動脈14)に面して潅流を可能にすることができる。上行大動脈部分13の
図7Cの断面図は、
図7Dに示されている。
【0074】
成形チャネル703は、第1の管状グラフト本体700よりも大きな弓形血管(例えば、腕頭動脈20、左総頸動脈15、及び左鎖骨下動脈14)に近い。成形チャネル703(及び1又は2以上の開口部又は1又は2以上の開放チャネル)は、第1の管状グラフト本体700とより大きな弓形血管との間にある。成形チャネル703の端部は、左鎖骨下動脈14の端部の隣にある大動脈壁の一部分にある。
【0075】
充填可能バッグ710は、第1の管状グラフト本体700の外装に取り付け、接続し、又は他の方法で固定することができる。充填可能バッグ710は、充填媒体で充填されて膨張又は充填状態を得ることができる。充填媒体は、充填可能バッグ710の壁を大動脈壁に押し付けることができる。充填可能バッグ710の一部分は、第1の管状グラフト本体700に隣接する大動脈10の空間内に延びる。すなわち、非膨張状態にあるとき、充填可能バッグ710は、第1の管状グラフト本体700の周りにあることに限定することができるが、図示のように膨張する(充填状態にある)とき、充填可能バッグ710は半径方向に拡張して、成形チャネル703が延びない第1の管状グラフト本体700の周りの空間の(例えば、下行大動脈部分11の)少なくとも一部分を含む周囲の空間を充填する。充填可能バッグ710は、充填されたときに、左鎖骨下動脈14にある成形チャネル703の端部にシーリングを提供するように構成される。
【0076】
図7C及び7Dに示すように、充填可能バッグ710は、充填されたときに、管状グラフト本体700及び成形チャネル703の両方の周りの上行大動脈部分13及び大動脈弓部分12において空間を充填するように拡張する。充填可能バッグ710は、充填されたときに、成形チャネル703、上行大動脈部分13及び大動脈弓部分12を押し付けて、上行大動脈部分13及び大動脈弓部分12において第1の管状グラフト本体700及び成形チャネル703を構造的に支持する。詳細には、充填可能バッグ710は、成形チャネル703の配向を維持し、成形チャネル703の1又は2以上の開口部又は1又は2以上の開放チャネルを支持してより大きな弓形血管に面する。一部の構成では、充填可能バッグ710は、成形チャネル703の1又は2以上の開口部又は1又は2以上の開放チャネルの反対側にある成形チャネル703の外装面に取り付けられ、接続され、又は他の方法で固定される。詳細には、充填可能バッグ710は、主動脈(例えば、大動脈10)の少なくとも近位部分及び/又は弓部分(例えば、上行大動脈部分13及び/又は大動脈弓部分12)にシールを提供するように構成される。充填可能バッグ710はまた、主動脈(例えば、大動脈10)の遠位部分(例えば、下行大動脈部分11)にシールを提供するように構成される。図示のように、第1の管状グラフト本体700は、成形チャネル703のものよりも大きな断面を有することができる。
【0077】
図7C及び7Dなどの構成に従って胸部ステントグラフトシステムは、弓形血管への順行性潅流を可能にするチャネル(例えば、成形チャネル703)を生成するようにバルーンによって原位置で成形されている構成要素を含む。一部の他の構成では、成形チャネル703は、バルーンが標準大腿動脈アクセスから後退しやすくなる場合があるので、逆流チャネルで実装される。種々の構成では、
図7C及び7Dにおいてシステムを展開するための手続段階は、(1)適合又は不適合バルーンを用いて空間を生成するバルーンを位置決めする、(2)ポリマーベースのステントグラフトシステムを上行大動脈部分13内に位置決めする、(3)ポリマーをバルーン内に注入し、大動脈枝血管チャネルを密封して作り出し、(4)ポリマー硬化の完了時に、空間作成デバイス(すなわち、バルーン)、(必要に応じて)リシースを収縮させて血管系から除去する。
【0078】
充填可能バッグ710の代わりに又はそれに加えて、一部の構成では、
図7A及び7Bの第1の管状グラフト本体700又は第2の管状グラフト本体701は、第1の管状グラフト本体700及び/又は第2の管状グラフト本体701に沿って配置された本明細書で開示される膨張可能チャネルを含む。一部の構成では、第1の管状グラフト本体700及び第2の管状グラフト本体701のうちの1又は2以上は、巻線型ステントを有する。
【0079】
図8Aは、1つの構成による血管内システムを示す。
図8Aの血管内システムは、より大きな弓形血管(例えば、腕頭動脈20、左総頸動脈15、及び左鎖骨下動脈14)のうちの少なくとも1つと流体接続状態になるように構成された開放ステント構造801を有する開窓を有する主管状グラフト本体800を含む。開放ステント構造801を有する開放有窓は、より大きな弓形血管の潅流を可能にするように構成される。開放ステント構造801を有する開窓は、大動脈弓血管(例えば、腕頭動脈20、左総頸動脈15、及び左鎖骨下動脈14)に面して潅流を可能にするように構成される。開放ステント構造801を有する開窓は、大動脈弓血管の開口部から離間して配置される。
図8Aなどの一部の構成では、開放ステント構造801を有する開窓は、主管状グラフト本体800の円周の周りを、管状グラフト本体800の全円周でなくて部分的に延びるに過ぎない。
【0080】
図8Aの血管内システムはまた、主管状グラフト本体800のステント構造801で開窓を取り囲む開放部を有する1又は2以上の充填可能バッグ803を含む。一部の構成では、1又は2以上の充填可能バッグ803に接続された単一ポリマー充填管が存在する。一部の構成では、1又は2以上の充填可能バッグ803に接続された2又は3以上のポリマー充填管が存在する。例えば、一部の構成では、一方のポリマー充填管は、主管状グラフト本体800の近位端部において(例えば、上行大動脈部分13において)充填可能バッグ803のうちの1つ又はその一部分に接続され、別のポリマー充填管は、主管状グラフト本体800の遠位端部において(例えば、下行大動脈部分11において)充填可能バッグ803のうちの1つ又はその一部分に接続される。一部の構成では、上行大動脈部分13から大動脈弓部分12にわたって及び大動脈弓部分12から下行大動脈部分11まで延びる単一充填可能バッグ803が存在する。1又は2以上の充填可能バッグ803は、管状グラフト本体800の外装に取り付け、接続し、又は他の方法で固定することができる。1又は2以上の充填可能バッグ803は、充填媒体で充填されて膨張又は充填状態を得ることができる。充填媒体は、1又は2以上の充填可能バッグ803の壁を大動脈壁に押し付けることができる。非膨張状態にあるとき、1又は2以上の充填可能バッグ803は、管状グラフト本体800の周りにあることに限定することができるが、図示のように膨張する(充填状態にある)とき、1又は2以上の充填可能バッグ803は半径方向に拡張して、管状グラフト本体800の周りの空間の(例えば、下行大動脈部分11に及び上行大動脈部分13の)少なくとも一部分を含む周囲の空間を充填する。1又は2以上の充填可能バッグ803は、充填されたときに、上行大動脈部分13及び下行大動脈部分11にある大動脈壁を押し付けて、管状グラフト本体800を構造的に支持する。詳細には、1又は2以上の充填可能バッグ803は、開放ステント構造801を有する開窓が管状グラフト本体800の全円周まで延びないので、管状グラフト本体800の配向を維持し、開放ステント構造801を有する開窓を支持してより大きな弓形血管に面する。一部の構成では、1又は2以上の充填可能バッグ803は、主動脈(例えば、大動脈10)の少なくとも近位部分及び/又は弓部分(例えば、上行大動脈部分13及び/又は大動脈弓部分12)にシールを提供するように構成される。一部の構成では、1又は2以上の充填可能バッグ803はまた、主動脈(例えば、大動脈10)の遠位部分(例えば、下行大動脈部分11)にシールを提供するように構成される。1又は2以上の充填可能バッグ803及び開放ステント構造801を有する開窓は、大動脈弓血管の近くに空間/容積を定め、ここで血液は空間/容積に流入することができる。
【0081】
図8Bは、1つの構成による血管内システムを示す。
図8Bの血管内システムは、より大きな弓形血管(例えば、腕頭動脈20、左総頸動脈15、及び左鎖骨下動脈14)のうちの少なくとも1つと流体接続状態になるように構成された開放ステント構造802を有する開窓を有する主管状グラフト本体800を含む。開放ステント構造802は、より大きな弓形血管の潅流を可能にするように構成される。種々の構成では、開放ステント構造802は、大動脈弓において位置決め可能な場所において主管状グラフト本体800の全円周の周りを延びる。開放ステント構造802を有する開窓は、大動脈10に(例えば、大動脈弓部分12に)配置され、大動脈弓血管(例えば、腕頭動脈20、左総頸動脈15、及び左鎖骨下動脈14)の近くにあり又はそれらに面して潅流を可能にするように構成される。一部の構成では、開放ステント構造802を有する開窓は、大動脈弓血管の開口部から離間して配置される。
【0082】
種々の構成では、血管内システムはまた、2又は3以上の充填可能バッグ803を含む。一部の構成では、2又は3以上の充填可能バッグ803の第1の充填可能バッグは、主管状グラフト本体800の遠位端部において(例えば、下行大動脈部分11において)展開するように構成され、2又は3以上の充填可能バッグ803の第2の充填可能バッグは、主管状グラフト本体800の近位端部において(例えば、上行大動脈部分13において)展開するように構成される。一部の構成では、2又は3以上の充填可能バッグ803の第1の充填可能バッグ及び2又は3以上の充填可能バッグ803の第2の充填可能バッグは、2つの異なる充填ライン(図示せず)によって独立して充填された別個のバッグである。充填可能バッグ803は、充填媒体で充填されて膨張又は充填状態を得ることができる。充填媒体は、充填可能バッグ803の壁を大動脈壁に押し付けることができる。非膨張状態にあるとき、充填可能バッグ803は、管状グラフト本体800の周りにあることに限定することができるが、図示のように膨張する(充填状態にある)とき、充填可能バッグ803は半径方向に拡張して、管状グラフト本体800の周りの空間の(例えば、下行大動脈部分11の)の少なくとも一部分及び空間の(例えば、上行大動脈部分13の)別の部分を含む周囲の空間を充填する。充填可能バッグ803は、充填されたときに、上行大動脈部分13及び下行大動脈部分11にある大動脈壁を押し付けて、管状グラフト本体800を構造的に支持する。詳細には、充填可能バッグ803は、管状グラフト本体800の位置を維持して、より大きな弓形血管の近くにあり又はそれらに面するように開放ステント構造802を有する開窓を支持する。詳細には、充填可能バッグ803は、主動脈(例えば、大動脈10)の少なくとも近位部分(例えば、上行大動脈部分13)にシールを提供するように構成される。充填可能バッグ803はまた、主動脈(例えば、大動脈10)の遠位部分(例えば、下行大動脈部分11)にシールを提供するように構成される。一部の構成では、充填可能バッグ803及び開放ステント構造802を有する開窓は、大動脈弓血管の近くに空間/容積を定め、ここで血液は空間/容積に流入することができる。
【0083】
図8A及び8Bなどの種々の構成による胸部ステントグラフト(例えば、管状グラフト本体800)は、本来ほぼ管状であり、ニチノールなどの自己拡張式とすることができる好適な材料の巻線又はレーザ切断ステントを含み、又は「316Lステンレス鋼」又はL605コバルトクロムなどのバルーン拡張式とすることができ、PTFEグラフト材料でほぼ封入し、PTFEグラフト材料で部分的に封入し、又はベアとすることができる。種々の構成では、
図8A又は8Bのステントグラフトは、次いで、上行及び弓形領域においてグラフトなしの開放有窓を介して潅流される大動脈弓血管の領域に開放ステント構造を有する。種々の構成では、ポリマーは、グラフトなしの開放ステント構造の近位及び遠位の区域においてシールするのに使用され、従って、ステントグラフトシステムを安定化させて係止する。一部の構成では、積極的固定は、必要に応じてステント内に組み込むことができる。
【0084】
図9A、9B、9C、9D、及び9Eは、構成に従って逆流分岐流に対するシステムの順次展開のための方法を示す。
図9Aに示すように、下行グラフト本体900は、ワイヤ910を用いて下行大動脈部分11に最初に展開される。ワイヤ910は大動脈10を通って延び、下行大動脈部分11及び大動脈弓部分12を通過して上行大動脈部分13に入る。下行グラフト本体900は、下行大動脈部分11から左鎖骨下動脈14に及びその前に延びる。下行グラフト本体900は、好適なステント構造、壁、及び係止部材を含む。
【0085】
図9Bは、ワイヤ911、912、及び913の展開によるより大きな弓形血管(例えば、腕頭動脈20、左総頸動脈15、及び左鎖骨下動脈14)のアクセスを得ることを示す。下行グラフト本体900が展開された後、ワイヤ911、912、及び913は、あらゆる好適な順序でそれぞれ左鎖骨下動脈14、左総頸動脈15、及び腕頭動脈20に展開される。詳細には、ワイヤ911、912、及び913は、下行大動脈部分11から大動脈弓部分12まで、次いで、それぞれ左鎖骨下動脈14、左総頸動脈15、及び腕頭動脈20を通って延びることが示されている。
【0086】
図9Cは、アクセスを維持しながら少なくとも1つの大動脈弓枝血管への枝管状グラフト本体901、902、及び903の展開を示す。下行グラフト本体900のステント構造及びワイヤ910は、明瞭化のために示されていない。ワイヤ911、912、及び913が展開された後、枝管状グラフト本体901、902、及び903は、左鎖骨下動脈14、左総頸動脈15、及び腕頭動脈20のそれぞれ1つにワイヤ911、912、及び913を用いて展開される。例えば、枝管状グラフト本体901は、ワイヤ911によって案内されるように、大動脈弓部分12及び左鎖骨下動脈14に移動するように構成される。枝管状グラフト本体902は、ワイヤ912によって案内されるように、大動脈弓部分12及び左総頸動脈15に移動するように構成される。枝管状グラフト本体903は、ワイヤ913によって案内されるように、大動脈弓部分12及び腕頭動脈20に移動するように構成される。枝管状グラフト本体901、902、及び903の各々の少なくとも一部分(例えば、端部)は、下行グラフト本体900によって定められた内部容積と重なり又はその内部にある。
【0087】
図9Dは、限定ではないが、ポリマーリング又は充填可能バッグなどの膨張可能チャネルを有する上行大動脈管状構成要素914の展開を示し、平行枝グラフト本体(例えば、枝グラフト本体901、902、及び903)の周り、及び上行大動脈管状構成要素914の周りをシールする。枝管状グラフト本体901、902、及び903が展開された後、ワイヤ911、912、及び913は後退することができる。上行大動脈管状構成要素914を展開することができる。一部の構成では、上行大動脈管状構成要素914は、ワイヤ910を用いて展開することができ(
図9Aを指す)、上行大動脈管状構成要素914が展開された後、ワイヤ910を回収することができる。
図9Dを参照して、上行大動脈管状構成要素914の少なくとも一部分(例えば、端部)は、下行グラフト本体900によって定められた内部容積と重なり又はその内部にある。上行大動脈管状構成要素914は、下行グラフト本体900から大動脈弓部分12を通って上行大動脈部分13まで延びる。
【0088】
種々の構成では、充填可能バッグ915は、例えば、上行大動脈部分13に対して大動脈弓部分12において大動脈10内のグラフト(例えば、枝管状グラフト本体901、902及び903並びに上行大動脈管状構成要素914)の周りの空間を充填するのに用いられる。充填可能バッグ915は、上行大動脈管状構成要素914の外装に取り付けられ、接続され、又は他の方法で固定することができる。充填可能バッグ915は、充填媒体で充填されて膨張又は充填状態を得ることができる。充填媒体は、充填可能バッグ915の壁を大動脈壁に押し付けることができる。充填可能バッグ915は、上行大動脈管状構成要素914に隣接する大動脈10の空間内に延びる。すなわち、非膨張状態にあるとき、充填可能バッグ915は、上行大動脈管状構成要素914の周りにあることに限定することができるが、図示のように膨張する(充填状態にある)とき、充填可能バッグ915は半径方向に拡張して、上行大動脈部分13に対して大動脈弓部分12を含む周囲の空間を充填する。この点に関して、充填可能バッグ915は、充填されたときに、枝管状グラフト本体901、902、及び903並びに上行大動脈管状構成要素914が占めていない上行大動脈部分13に対して大動脈弓部分12中の空間にシーリングを提供するように構成される。
【0089】
図9Eに示すように、種々の構成では、枝管状グラフト本体901、902、及び903の端部並びに上行大動脈管状構成要素914の端部は、下行グラフト本体900及び枝管状グラフト本体901、902、及び903の周りの空間に位置決めされ、上行大動脈管状構成要素914は充填可能バッグ915によって充填される。
【0090】
図9A、9B、9C、9D、及び9Eなどの種々の構成は、逆流分岐流に対して順次展開シーケンスを提供する。種々の構成では、最初に、本来ほぼ管状であり、PTFEグラフト材料においてほぼ封入された巻線又はレーザ切断ニチノールステントから構成することができる下行胸部ステントグラフト(例えば、下行グラフト本体900)が、展開される。種々の構成では、より大きな弓形血管14、15、20のワイヤアクセスは、個々に得られ、ここで3つのワイヤ911、912及び913は、標準生体構造又はボウヴァインアーチのための2つのワイヤに必要になる。一部の構成では、ベアステント又はそれに代えてステントグラフト(例えば、枝管状グラフト本体901、902、及び903)は、胸部大動脈内の同じ軸方向位置に共同設置されているステントの遠位端部を有するより大きな弓形血管14、15、20の各々内に展開される。適所のガイドワイヤ(例えば、ワイヤ910)及び弓形ステントが展開された種々の構成では、ステント及びグラフト材料から構成され、ポリマーを組み込むことができる最終モジュラー上行/弓形構成要素(例えば、上行大動脈管状構成要素914)は、大動脈枝血管ステント(例えば、枝管状グラフト本体901、902、及び903)に関して軸方向の重なりで位置決めされて展開される。一部の構成では、ポリマーリング又はバッグ(例えば、充填可能バッグ915)は、任意に充填されて平行ステント901、902、903、及び914からあらゆる結果として得られる溝をシールする。一部の他の構成では、結果として得られるモジュラーシステムは、直接心臓から上行/弓形構成要素を通る順行性フローに依存する。一部の構成では、大動脈弓血管は、上行/弓形構成要素を出た後逆流により潅流される。
【0091】
図10Aは、1つの構成による血管内システムを示す。
図10Aの血管内システムは、血管内システムの遠位端部を形成するように構成された第1の管状グラフト本体1000を含む。第1の管状グラフト本体1000は、好適なステント構造、壁、及び係止部材を含む。第1の管状グラフト本体1000は、下行大動脈部分11から左鎖骨下動脈14まで及びその前に延びるように構成される。
【0092】
システムはまた、複数の膨張可能チャネル1015を有し、第1の管状グラフト本体1000と流体接続状態になるように更に構成された第2の管状グラフト本体1001を含む。第2の管状グラフト本体1001は、システムの近位端部を形成するように構成される。第2の管状グラフト本体1001の少なくとも一部分(例えば、端部)は、第1の管状グラフト本体1000によって定められた内部容積と重なり又はその内部にある。種々の構成では、第2の管状グラフト本体1001は、上行大動脈部分13から大動脈弓部分12にある第1の管状グラフト本体1000内に延びる。複数の膨張可能チャネル1015は、
図1、2、3、4、及び5に関して説明した膨張可能チャネル106と類似している場合がある。
【0093】
図10Aのシステムはまた、少なくとも1つの枝血管(例えば、左鎖骨下動脈14、左総頸動脈15、及び腕頭動脈20のそれぞれの1つ)に展開するように構成された枝管状グラフト本体1011、1012、及び1013を含む。枝管状グラフト本体1011、1012、及び1013は、第1の管状グラフト本体1000と流体接続状態になるように構成される。例えば、枝管状グラフト本体1011は、大動脈弓部分12及び左鎖骨下動脈14に配置するように構成される。枝管状グラフト本体1012は、大動脈弓部分12及び左総頸動脈15に配置するように構成される。枝管状グラフト本体1013は、大動脈弓部分12及び腕頭動脈20に配置するように構成される。枝管状グラフト本体1011、1012、及び1013の各々の少なくとも一部分(例えば、端部)は、第1の管状グラフト本体1000によって定められた内部容積と重なり又はその内部にある。
【0094】
図10Bは、1つの構成による血管内システムを示す。
図10C及び10Dは、
図10Bの血管内システムの様々な部品の断面図を示す。
図10Bの血管内システムは、主管状グラフト本体1000を含む。主管状グラフト本体1000は、好適なステント構造、壁、及び係止部材を含む。主管状グラフト本体1000は、下行大動脈部分11から左鎖骨下動脈14まで及びその前に延びるように構成される。
【0095】
メッシュステント1002は、主管状グラフト本体1000の近位端部から延びる。メッシュステント1002は、主管状グラフト本体1000に固定され、取り付けられ、又は他の方法で接続される。メッシュステント1002は、主管状グラフト本体1000と流体連通状態にある。メッシュステント1002の少なくとも一部分(例えば、端部)は、主管状グラフト本体1000によって定められた内部容積と重なり又はその内部にある。種々の構成ではメッシュステント1002は、上行大動脈部分13から大動脈弓部分12にある第1の管状グラフト本体1000内に延びる。
【0096】
図10Bの構成は、少なくとも1つの枝血管(例えば、左鎖骨下動脈14、左総頸動脈15、及び腕頭動脈20のそれぞれ1つ)に展開するように構成された枝管状グラフト本体1011、1012、及び1013を更に含む。例えば、枝管状グラフト本体1011は、大動脈弓部分12及び左鎖骨下動脈14に配置するように構成される。枝管状グラフト本体1012は、大動脈弓部分12及び左総頸動脈15に配置するように構成される。種々の構成では、枝管状グラフト本体1011及び1012は、主管状グラフト本体1000と流体接続状態になるように構成される。枝管状グラフト本体1011及び1012の各々の少なくとも一部分(例えば、端部)は、主管状グラフト本体1000によって定められた内部容積と重なり又はその内部にある。枝管状グラフト本体1013は、大動脈弓部分12、上行大動脈部分13、及び腕頭動脈20に配置するように構成される。
【0097】
システムは、例えば、上行大動脈部分13に対して大動脈弓部分12において大動脈10内でグラフト及びステント(例えば、枝管状グラフト本体1011、1012、及び1013並びにメッシュステント1002)の周りの空間をシールするための充填可能バッグ1003を更に含む。充填可能バッグ1003は、メッシュステント1002の外装に取り付けられ、接続され、又は他の方法で固定することができる。充填可能バッグ1003は、充填媒体で充填されて膨張又は充填状態を得ることができる。充填媒体は、充填可能バッグ1003の壁を大動脈壁に押し付けることができる。充填可能バッグ1003は、メッシュステント1002に隣接する大動脈10の空間内に延びる。すなわち、非膨張状態にあるとき、充填可能バッグ1003は、メッシュステント1002の周りにあることに限定することができるが、図示のように膨張する(充填状態にある)とき、充填可能バッグ1003は半径方向に拡張して、上行大動脈部分13に対して大動脈弓部分12の一部分を含む周囲の空間を充填する。この点に関して、充填可能バッグ1003は、充填されたときに、枝管状グラフト本体1011、1012、及び1013並びにメッシュステント1002が占めていない上行大動脈部分13に対して大動脈弓部分12中の空間にシーリングを提供するように構成される。
【0098】
図10Cは、(例えば、上行大動脈部分13において)血管内システムの近位端部において
図10Bの血管内システムの断面を示す。例えば、
図10Cは、メッシュステント1002及び枝管状グラフト本体1013、並びにメッシュステント1002及び枝管状グラフト本体13の周りの充填可能バッグ1003を有する断面を示す。
【0099】
図10Dは、主管状グラフト本体1000が(例えば、より大きな弓形血管14、15、20にある又はそれらの近くの大動脈弓部分12において)メッシュステント1002及び枝管状グラフト本体1011及び1012に接続する
図10Bの血管内システムの断面を示す。例えば、
図10Dは、メッシュステント1002及び枝管状グラフト本体1011及び1012、並びにメッシュステント1002及び枝管状グラフト本体1011及び1012の周りの充填可能バッグ1003を有する断面を示す。
【0100】
種々の構成は、環状ポリマーリングデバイスを提供し、腕頭動脈を順行性様式で潅流することを可能にする。種々の構成は、逆行性大動脈弓枝血管が逆行性様式で潅流されている、上行大動脈部分13及び大動脈弓部分12において環状ポリマーリングデバイスを含む。
図10Bの構成などの種々の構成では、腕頭動脈20は、順行性様式で潅流されるが、左総頸動脈及び左鎖骨下動脈15及び14は、逆行性様式で潅流される。
【0101】
図11A、11B、及び11Cは、種々の構成による血管内システムの展開のための追加のアクセサリーを示す。
図11A及び11Bを参照して、種々の構成では、ワイヤ保持デバイス1110は、大動脈10において展開されて、密封又は硬化プロセス中にワイヤ1111、1112、及び1113を一緒に保持して保つように構成される。ワイヤ保持デバイス1110は、1又は2以上の孔を有し、ワイヤ1111、1112、及び1113の各々は、ワイヤ保持デバイス1110において対応する孔を通過する。一部の構成では、ワイヤ1111、1112、及び1113の全ては、ワイヤ保持デバイス1110において同じ孔を通過する。一部の構成では、ワイヤ1111、1112、及び1113の各々は、ワイヤ保持デバイス1110においてこれら自体の対応する孔を通過する。種々の構成では、ワイヤ保持デバイス1110は、下行大動脈内に又は大動脈弓に位置決めするように構成され、ワイヤ1111、1112、及び1113の各々は、ワイヤ保持デバイス1110を通って対応する大動脈弓血管に移動する。種々の構成では、ワイヤ保持デバイス1110は、ワイヤ入れ子を調節してエンドグラフトを面一にするように摺動式である。
図11Cは、ワイヤ1117及び1113が展開されて上行大動脈に対して逆行性カニューレ挿入及び展開を行うことを可能にする構成を示す。展開のためのこの配置はまた、下腹部アクセスに有用である。種々の構成では、逆行性展開アクセス技術は、1又は2以上の大動脈弓血管の順行性の流れを可能にする。
【0102】
種々の構成は、展開効率のためのアクセサリーを含む。種々の構成による
図11A及び11Bのワイヤ保持デバイス1110などの摺動可能構成要素は、互いに平行ステントフラッシュの溝を最小にして近位端部を保つのに補助として用いられる。種々の構成では、摺動可能構成要素は、ポリマー充填段階中に一緒に弓形デバイスのワイヤを引っ張るように構成される。一部の構成では、摺動可能構成要素は、弓形デバイスからワイヤの全てに適応する摺動式マルチルーメンである。
【0103】
一部の構成では、管状グラフト本体はグラフト材料を含み、環状リングを更に含む。一部の構成では、管状グラフト本体は、1又は2以上のレーザ切断ステントを含む。一部の構成では、管状グラフト本体は、自己拡張性の特性を有する材料で形成される。一部の構成では、管状グラフト本体は、バルーン拡張性の特性を有する材料を含む。種々の構成では、管状グラフト本体は、「ニチノール」で形成されたステントを含む。種々の構成では、放射線不透過性マーカーは、血管内システムの管状グラフト本体及び/又は他の構成要素の上に設置されて構成要素の位置決めを支援する。
【0104】
種々の構成は、胸部弓形枝グラフトシステムを提供する。一部の構成は、「ライフジャケット」又は「窓」設計を有する。一部の構成は、逆行性パッチを提供する。
【0105】
図12A、12B、及び12Cは、1つの構成による血管内システムを示す。
図12A、12B、及び12Cの血管内システムは、近位ステントグラフトセグメント1201に接続されてそれと流体連通状態の遠位ステントグラフトセグメント1203を含む主管状グラフト本体1200を含む。近位ステントグラフトセグメント1201及び遠位ステントグラフトセグメント1203は、好適なステント構造及び壁を有する。
図12A、12B、及び12Cの血管内システムはまた、枝管状グラフト本体1211、1212、及び1213が主管状グラフト本体1200に接続してそれと流体接続状態になることを可能にするように構成されたバッグ内に1又は2以上のスリット又はスロット1205を有する充填可能バッグを含む。一部の構成では、遠位ステントグラフトセグメント1203、近位ステントグラフトセグメント1201、及び充填可能バッグ1204は、部分1206において一緒に溶接される。
【0106】
図12Aは、逆行性パッチとして用いることができる血管内システムの側面図を示す。種々の構成では、逆行性パッチは、近位ステントグラフトセグメント1201、遠位ステントグラフトセグメント1203、及び充填可能バッグ1204を含む。充填可能バッグ1204は、ポリマーの充填可能バッグとすることができる。一部の構成では、近位ステントグラフトセグメント1201、遠位ステントグラフトセグメント1203、及び充填可能バッグ1204は、部分1206において全て一緒に溶接される。
図12Cを参照して、近位ステントグラフトセグメント1201は、上行大動脈部分13内に挿入可能であり、種々の構成では、逆行性充填煙突スタイルグラフト(限定ではないが、枝管状グラフト本体1211、1212、及び1213など)のための空間を可能にするように直径を縮小する。遠位ステントグラフトセグメント1203は、下行大動脈部分11内に挿入可能であり又はステントグラフトの長さを提供して、下行大動脈部分11から延びる。充填可能バッグ1204は、チムニーグラフト(限定ではないが、枝管状グラフト本体1211、1212、及び1213など)の周りをシールするのに用いられる。
図12Aに示すように、近位ステントグラフトセグメント1201の管形状の一部分は、切り欠かれるように見える。一部の構成では、切り欠き部分は、充填可能バッグ1204が溶接される区域に対応する。同様に、遠位ステントグラフトセグメント1203の管形状の一部分は、切り欠かれるように見える。一部の構成では、切り欠き部分は、充填可能バッグ1204が溶接される区域に対応する。一部の構成では、血管内システムは、係止要素として機能する固定要素を有するステント1202を含む。切り欠き部分は、より大きな弓形血管14、15、20に配置されてこれらに面するように構成される。ステント1202は、近位ステントグラフトセグメント1201に取り付けられ又は固定される。
【0107】
図12Bは、断面H-Hにおける人工装具の断面図を示す。
図12Cは、大動脈弓10に逆行性パッチを含むインプラント(例えば、説明したような血管内システム)の断面を示す。
図12A及び12Cを参照して、遠位ステントグラフトセグメント1203は、下行大動脈部分11に展開するように構成される。遠位ステントグラフトセグメント1203の端部は、左鎖骨下動脈14に隣接しており又はそこにある。近位ステントグラフトセグメント1201は、上行大動脈部分13及び大動脈弓部分12に展開するように構成される。部分1206は、主管状グラフト本体1200が展開されるとき左鎖骨下動脈14に隣接しており又はそこにある。枝管状グラフト本体1211、1212、及び1213は、腕頭動脈20、左総頸動脈15、及び左鎖骨下動脈14のそれぞれ1つに対して部分1206から大動脈弓部分12まで延びる。
【0108】
枝管状グラフト本体1211、1212、及び1213各々は、充填可能バッグ1204において1又は2以上のスロット1205のうちの1つのスロットを通過する。枝管状グラフト本体1211、1212、及び1213は、一部の実施例では、枝管状グラフト本体1211、1212、及び1213が1又は2以上のスロット1205を通過すると、1又は2以上のスロット1205と摩擦嵌めを形成することができる。この点に関して、1又は2以上のスロット1205の寸法は、枝管状グラフト本体1211、1212、及び1213の対応する寸法よりも小さくすることができ、その結果、1又は2以上のスロット1205は、枝管状グラフト本体1211、1212、及び1213が1又は2以上のスロット1205を通って挿入されると伸張することができる。次いで、充填可能バッグ1204は、充填ライン1207を通して充填されて、枝管状グラフト本体1211、1212、及び1213の周りにポリマーシールを提供することができる。一部の構成では、ポリマーシールは摩擦嵌めシールを更に改善する。他の実施例では、摩擦嵌めは、ポリマーシールが実装されると必要ない場合がある。
【0109】
図13A、13B、及び13Cは、1つの構成による血管内システムを示す。
図13A、13B、及び13Cの血管内システムは、ステントグラフトセグメント1303を有する主管状グラフト本体1300を含む。ステントグラフトセグメント1303は、好適なステント構造及び壁を有する。ステントグラフトセグメントは1303(例えば、その壁)は、主管状グラフト本体1300と枝グラフト本体1311、1312、及び1314との間に流体接続を可能にするように構成された少なくとも1つの開窓を含む。システムはまた、ステントグラフトセグメント1303に溶接され、主管状グラフト本体1300への枝グラフト本体1311、1312、及び1314のアクセスを可能にするように構成された少なくとも1つのスプリット又はスロット1305を有する充填可能バッグ1304を含む。少なくとも1つのスロット1305は、少なくとも1つの開窓に位置付けられる(例えば、少なくとも1つのスプリット1305の場所は、少なくとも1つの開窓に対応する)。次いで、充填可能バッグ1304は、充填ライン1307を通して充填されて枝グラフト本体1311、1312、及び1314の周りにポリマーシールを提供することができる。一部の構成では、血管内システムは、固定要素を有するステント1302を含む。大動脈に展開するとき、少なくとも1つのスプリット1305及び少なくとも1つの開窓は、より大きな弓形血管に配置されてそれに面するように構成される。
【0110】
種々の構成は、直接フローパッチを提供する。
図13Aは、直接フローパッチを提供する血管内システムの側面図を示す。
図13A及び13Cを参照して、種々の構成では、直接フローパッチは、一緒に溶接されたステントグラフトセグメント1303及び充填可能バッグ1304を含む。枝管状グラフト本体1311、1312、及び1314は、一部の実施例では、枝管状グラフト本体1311、1312、及び1314が少なくとも1つのスロット1305を通過すると、少なくとも1つのスロット1305で摩擦嵌めを形成することができる。この点に関して、1又は2以上のスロット1305の寸法は、枝管状グラフト本体1311、1312、及び1314の対応する寸法よりも小さくすることができ、その結果、少なくとも1つのスロット1305は、枝管状グラフト本体1311、1312、及び1314が少なくとも1つのスロット1305を通って挿入されると伸張することができるようになる。充填可能バッグ1304は、充填されたときに、上行大動脈部分13、大動脈弓部分12、及び左鎖骨下動脈14に隣接しており又はそこにある下行大動脈部分11の一部分において大動脈壁に向かって拡張するように構成される。充填可能バッグ1304は、充填されたときに、より大きな弓形血管14、15、20に配置されてこれらに面するように構成される。
【0111】
一部の構成では、ステントグラフトセグメント1303は、上行大動脈部分13及び下行大動脈部分11の両方内に挿入可能であり、ステントグラフトの長さを提供し、充填可能バッグ1304から延びて主管状グラフト本体1300の流れ内腔内に直接延びるチムニーグラフト(限定ではないが、枝グラフト本体1311、1312、及び1314など)の周りをシールする。
図13Cは、3つのスロット1305及び3つの対応する開窓を示し、各スロット/開窓は、枝グラフト本体1311、1312、及び1314のそれぞれ1つが左鎖骨下動脈14、左総頸動脈15、及び腕頭動脈20のそれぞれ1つまで延びることを可能にする。
【0112】
図13Bは、
図13Aの血管内システムの断面図を示す。
図13Cは、大動脈10に直接フローパッチを含むインプラント(例えば、説明したような血管内システム)の断面を示す。様々な構成では、直接フローパッチは、十分なシールがステントワイヤフレームの周りに提供される一体化充填窓を含む。
【0113】
図14A及び14Bは、1つの構成による血管内システムを示す。
図14A及び14Bの血管内システムは、充填可能バッグ1404に接続された枝ステントグラフト1410を含む。種々の構成では、充填可能バッグ1404は、充填ライン1405に接続される。
【0114】
図15A、
図15B、及び15Cは、1つの構成による血管内システムを示す。
図15A、
図15B、及び15Cの血管内システムは、モジュールとして設置された(結合されていない)近位ステントグラフトセグメント1501及び遠位ステントグラフトセグメント1503を含む主管状グラフト本体1500を含む。近位ステントグラフトセグメント1501及び遠位ステントグラフトセグメント1503は、好適なステント構造及び壁を有する。主管状グラフト本体1500はまた、近位ステントグラフトセグメント1501の近位端部に取り付けられた1又は2以上の係止部材1502を含む。近位ステントグラフトセグメント1501は、セグメント1500の長さの少なくとも一部分にわたって直径の縮小(遠位ステントグラフトセグメント1503に向かう方向の縮小)を有する。直径の縮小は、近位ステントグラフトセグメント1501から切欠き部を形成するように見え、枝グラフト本体1410が遠位ステントグラフトセグメント1503に接続してそれと流体接続状態になることを可能にするように構成された空間を生成する。1又は2以上の充填可能バッグ1404は、枝グラフト本体1410の周りの空間を充填するように構成される。
【0115】
種々の構成では、各枝血管に対する各枝グラフト本体1410は、充填可能バッグ1404に接続された枝ステントグラフト1410を有する
図14Aの構成で示すような構造を有する。
図15Cは、それぞれ3つの枝血管14、15、及び20で用いられて、遠位ステントグラフトセグメント1503と流体流状態にあるように接続された、
図14Aのシステムのうちの3つ(例えば、各々充填可能バッグ1404を有する3つの枝グラフト本体1410)を示す。次いで、充填可能バッグ1404の各々は、充填媒体で膨張されて枝ステントグラフト1410の各々の周りの空間を充填することができる。例えば、充填可能バッグ1404は、充填されたときに、大動脈弓部分12及び上行大動脈部分13において空間を充填するように構成される。
【0116】
種々の構成は、モジュラーグラフトを提供する。一部の構成は、エンドバッグを有する逆行性枝グラフトを提供する。
図14Aは側面図を示し、
図14Bは、エンドバッグ(充填可能バッグ1404)を有する枝ステントグラフト1410の端面図を示す。
図15Aは、説明したように主内腔胸部ステントグラフトの側面図を示す。種々の構成では、胸部グラフトの近位ステントグラフトセグメント1501は、上行大動脈部分において密封して寸法を縮小するのに用いられ、
図14Aのエンドバッグカバーグラフトなどの逆行性充填煙突スタイルのエンドバッグカバーグラフトのための空間を可能にする。種々の構成では、遠位ステントグラフトセグメント1503は、下行大動脈部分において密封し、又はステントグラフトの長さを延ばすのに用いられ、エンドバッグカバー枝グラフトは、
図15Cに示すように、枝ステントグラフト1410など近位及び遠位ステントグラフトセグメント1501及び1503と枝グラフトとの間の空間をシールするようにポリマー充填される。
図15Bは、断面J-Jにおける
図15Aの(近位ステントグラフトセグメント1501及び遠位ステントグラフトセグメント1503を含む)主内腔人工装具の断面図を示す。
図15Cは、大動脈10におけるインプラントの断面を示す。
【0117】
図16A、16B、16C、及び16Dは、1つの構成による血管内システムを示す。
図16A、16B、16C、及び16Dの血管内システムは、人の大動脈10に展開するとき充填可能バッグ1604に接続されてシステムの遠位端部を形成するように構成された遠位ステントグラフトセグメント1603を含む。遠位ステントグラフトセグメント1603は、下行大動脈部分11に構成するように構成される。充填可能バッグ1604は、充填されたときに、拡張して下行大動脈部分11の壁と接触するように構成される。
【0118】
血管内システムはまた、近位ステントグラフトセグメント1600を含み、それは近位ステントグラフトセグメント1600の近位端部に取り付けられた係止部材1602を有する。近位ステントグラフトセグメント1600及び遠位ステントグラフトセグメント1603は、好適なステント構造及び壁を有する。近位ステントグラフトセグメント1600は、大動脈弓部分12及び上行大動脈部分13に配置するように構成される。係止部材1602は、上行大動脈13において近位ステントグラフトセグメント1600を係止するように構成される。近位ステントグラフトセグメント1600はまた、充填可能バッグ1608に接続される。近位ステントグラフトセグメント1600は、その長さの少なくとも一部分にわたって直径の縮小(遠位ステントグラフトセグメント1603に向かう方向の縮小)を有する。直径の縮小は、近位ステントグラフトセグメント1600から切り欠き部を形成するように見え、近位ステントグラフトセグメント1600が遠位ステントグラフトセグメント1603内にあるとき、限定ではないが、枝グラフト1611、1612、及び1613などの枝グラフトが遠位ステントグラフトセグメント1603と接続してそれと流体接続状態になることを可能にするように構成された空間を生成する。充填可能バッグ1604は、遠位ステントグラフトセグメント1603の周りの空間をシールするように充填管1607を通して充填可能である。充填可能バッグ1608は、近位ステントグラフトセグメント1600の周りの空間をシールするように充填管1609を通して充填可能である。
【0119】
種々の構成は、完全にモジュラーエンドバッグカバー弓形及び下行グラフトを有する逆行性枝グラフトを提供する。
図16Aは、エンドバッグ(例えば、充填可能バッグ1604)を有する遠位ステントグラフトセグメント1603の側面図を示す。
図16Bは、エンドバッグ(例えば、充填可能バッグ1608)を有する近位ステントグラフトセグメント1600の側面図を示す。
図16Cを参照して、種々の構成では、遠位ステントグラフトセグメント1603が最初に設置され、左鎖骨下動脈14のすぐ遠位の遠位大動脈(下行大動脈部分11)においてシールを得る。種々の構成では、胸部グラフトの近位ステントグラフトセグメント1600は、近位ステントグラフトセグメント1600及び遠位ステントグラフトセグメント1603がモジュラー式であると、上行大動脈部分13に設置されて遠位ステントグラフトセグメント1603とドッキングする。一部の構成では、近位ステントグラフトセグメント1600はまた、逆行性充填煙突スタイルグラフト1611、1612、及び1613のための空間を可能にするように直径を縮小し、チムニーグラフト及び遠位ステントグラフトセグメント1603の周りをシールするようにその最も遠位面にわたって一体化エンドバッグを有する。
図16Cは、大動脈10におけるインプラントの断面を示す。
図16Dは、近位ステントグラフトセグメント1600の周りの充填可能バッグ1608が、遠位ステントグラフトセグメント1603の端部内及び枝グラフト1611、1612、及び1613の周りの空間を充填するように充填可能である。
【0120】
種々の構成は、大腿骨アプローチから大動脈弓において腕頭、左頸動脈、及び左鎖骨下動脈(最大の血管)にアクセスする能力及びこれらを潅流する能力をユーザに提供する。一部の構成は、上行及び弓形グラフト並びに大きな血管のステントグラフトが最初に続く下行大動脈で始まる、ボトムアップアプローチにおいて展開される。一部の構成は、エンドバッグ設計を有する大きな血管のカニューレ挿入のためにモジュラーシステムにアクセスを提供する。一部の構成は、モジュラーエンドバッグカバーグラフトを利用して、順行方向に上行大動脈に面し、枝グラフト及び大動脈の周りをシールするようにエンドバッグを利用する枝グラフトで手順を実行する。
【0121】
図17Aは、ポリマーシールリング1703を有するステントグラフト1701に大きな開窓1702を有する血管内システムの構成を示す。開窓1702は、軸方向支持体並びに半径方向支持体に対してポリマーチャネル1704によって境界付けることができる。一部の構成では、上部開窓1702は、
図17Bに示すように楕円形弓形開窓を含む。種々の構成では、大きな開窓1702は、弓形血管に含まれるような大きさにされ、大動脈弓血管に関して半径方向及び回転可能に開窓位置の場所を示す好適な材料(例えば、プラチナ、金、その他)から作られた放射線不透過性マーカーを有する。大きな開窓1702は、弓上血管への血流を可能にする。
図17Bに示すように、種々の構成では、別個のチャネル又は管1705は、ステントグラフト1701のグラフトの上に溶接される。
【0122】
図18Aは、ポリマーシールリング1803及び1804を有するステントグラフト1801に大きな開窓1802を有する血管内システムの構成を示す。ポリマーシールリング1803はハーフリングであり、ポリマーシールリング1804はフルリングである。種々の構成では、開窓1802は、有窓区域において及びステントグラフト1801の長さに沿って半径方向支持体及び可撓性のためのポリマー1/2リングチャネル1803を有する。開放有窓1802は、弓形領域において枝血管への潅流を可能にする。一部の構成では、ステントグラフト1801は、遠位巻線構成要素を有するモジュール式である。一部の構成では、開窓1802の下のハーフリング1803は支持体を提供するが、開窓1802の近位及び遠位側上の完全シールリング1804は、シーリングを提供する。種々の構成では、事前充填は、リング配向及びシーリングを可能にするように行われる。一部の構成では、上部開窓1802は、
図18Bに示すように、ニチノールワイヤ1805又はレーザ切断から構築された成形弓形開窓/アパーチャを含む。
【0123】
図19A及び19Bは、構成に従って三モジュール式デバイスを示す。三モジュール式デバイスは、シールリング1904を有する遠位モジュラー構成要素1901及び近位構成要素1902を含む。一部の実施形態では、デバイスは、開窓1905及び遠位ロッキングステント1906を有する弓形構成要素1903を更に含む。種々の構成では、遠位モジュラー構成1901、近位構成要素1902、及び弓形構成要素1903の各々は、ステントグラフトを含む。種々の構成では、近位構成要素1902はシールリング1904で展開され、遠位モジュラー構成要素1902は、近位構成要素1902の端部に部分的に重なるように展開される。種々の構成では、開窓1905及び遠位ロッキングステント1906を有する弓形構成要素1903は、クラウンチップにおいて張り出した遠位ロッキングステント1906で展開されて、シールリング1904に準拠する。一部の構成では、ロッキングステント1906は、弓形構成要素1903を位置決めした後展開される。種々の構成では、弓形構成要素1903は、弓形血管を潅流するのに好適な開窓1905で生成され、近位構成要素1902などの下行胸部ステントグラフト構成要素内にドッキングするように構成される。このアプローチの利点は、予め下行胸部デバイスで治療された後、病期が弓形又は上行大動脈に進行した場合患者を治療することになる。一部の構成では、三モジュール式デバイスは、ボトムアップから構築される。
【0124】
図20A、20B、及び20Cは、PTFEスレッド、ニチノールワイヤ、又は予め積層したグラフト材料の切り欠き部を用いてテント構造を安定化させる開窓代替形態に関してシステムの構成を示す。
図20は、遠位モジュラー構成要素2001、近位構成要素2002、及び開放ワイヤ開窓2005を有する弓形構成要素2003を含む三モジュール式デバイスを示す。種々の構成では、遠位モジュラー構成要素2001、近位構成要素2002、及び弓形構成要素2003の各々は、ステントグラフトを含む。
図20Bに示すように、種々の構成では、開放ワイヤ開窓2005は、PTFEスレッドループ2006の安定化構造を含む。
図20Cに示すように、種々の構成では、開放ワイヤ開窓2005は、グラフトから切り欠かれてワイヤの一部分を露出するが、グラフト材料の一部は、ワイヤを安定させるためにとどまることができる。一部の構成では、開放ワイヤ開窓2005は、グラフト切り欠き部2008を有するワイヤジグ2007を含む。
【0125】
図21Aは、構成に従ってシステムを示す。システムは、上部弓形部2102を有するステントグラフト1201を含む。種々の構成では、上部弓形部2102は、えらのように動作してこれらが大動脈壁と並置状態にない弓形血管への潅流を可能にする重なりグラフトストリップを含む。
図21Bは、弓形に開放していて、閉じたままにするように大動脈壁に対して平らに横たわる枝血管及びギル2104を潅流する、ギル2103との構成に従って
図21Aの上部弓形部2102を示す。
【0126】
図22Aは、弓形血管のための大きな開窓に対して切断するように切欠窓を有する構成に従ってステントグラフトシステムを示す。
図22Bは、切欠窓が90度である実施例を示す。
図22C及び22Dは、切欠窓が
図22Bの図によって示すように切断された後の
図22Aのステントグラフトシステムの図を示す。
【0127】
種々の実施形態は、上で開示した種々の構成による血管内システムを用いる又は展開する方法を含む。このような方法は、血管内システムを人の主動脈内に挿入するための方法を含み、それは、空間を生成するように大動脈にバルーンを位置決めする段階と、血管内システムを主動脈の上行部分内に位置決めする段階と、主動脈を密封して枝血管のためのチャネルを生成するようにポリマーを注入する段階と、ポリマーを切断する段階と、バルーンを収縮する段階と、主動脈からバルーンを取り外す段階とを含む。本方法の1つの態様では、バルーンは適合バルーンである。本方法の1つの態様では、バルーンは不適合バルーンである。1つの態様では、本方法は、バルーンを大動脈から取り外す段階の前に再び鞘に納める段階を含む。1つの態様では、本方法は、血管内システムを積極的に固定する段階を含む。
【0128】
更なる方法により、血管内システムを人の主動脈に挿入するための方法は、血管内システムを主動脈内に展開する段階と、少なくとも1つの動脈枝のワイヤアクセスを得る段階と、チムニーグラフトを少なくとも1つの動脈枝の各々内に展開する段階と、血管内システムと枝グラフトとの間に軸方向の重なりがあるように血管内システムを位置決めする段階とを含む。本方法の1つの態様では、少なくとも1つの動脈枝のワイヤアクセスを得る段階は、少なくとも2つのワイヤを用いて行われる。本方法の1つの態様では、少なくとも1つの動脈枝のワイヤアクセスを得る段階は、3つのワイヤを用いて行われる。本方法の1つの態様では、枝ステントグラフトはベアステントを含む。
【0129】
本発明の開示の種々の構成は、本明細書で具体的に図示され及び/又は説明されているが、本発明の開示の修正及び変更は、開示の精神及び意図する範囲から逸脱することなく当業者によって達成することができることは認識されるであろう。更に、クレーム又は明細書において記載されるように、本開示の構成又は態様の何れもが、限定ではなく互いに用いることができる。
【符号の説明】
【0130】
102 係止部材
104 ステントセグメント
106 膨張可能チャネル
110、111 壁部