(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】ピペッティングシステムに連結し、ピペッティングシステムにて用いる一体型モータカートリッジ、ピペッティングシステム、およびピペッティングシステムの一体型モータカートリッジの交換方法
(51)【国際特許分類】
B01L 3/02 20060101AFI20230510BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20230510BHJP
B01J 4/02 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
B01L3/02 D
G01N35/10 A
B01J4/02 B
(21)【出願番号】P 2020501380
(86)(22)【出願日】2018-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2018067822
(87)【国際公開番号】W WO2019011698
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】102017115796.4
(32)【優先日】2017-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501401397
【氏名又は名称】ハミルトン・ボナドゥーツ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロマ-,ハンスペッター
(72)【発明者】
【氏名】ジセル,フリドリン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルペン,シルビオ
(72)【発明者】
【氏名】エティンガー,レト
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102012214677(DE,A1)
【文献】特開2012-167968(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015214566(DE,A1)
【文献】米国特許第05958343(US,A)
【文献】実開平04-051647(JP,U)
【文献】特表2013-516618(JP,A)
【文献】特開2010-216480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 1/00-99/00
B01J 4/00- 4/04
G01N 1/00- 1/44
G01N 35/00-35/10
G01F 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピペッティングシステムに連結し、ピペッティングシステムにて用いる一体型モータカートリッジ(2)であって、
ハウジング(4)と、
案内管(14)と、
複数の永久磁石(18)を備えるピストン(16)であって、圧力管対向面および圧力管遠位面を有し、前記案内管内に配置され、前記案内管に対して少なくとも1つの封止部(24)を有する、ピストン(16)と、
電流が供給されると、前記ピストンを前記案内管の中で移動させるコイルアセンブリ(20)と、を備え、
前記案内管、前記ピストンおよび前記コイルアセンブリは、前記ハウジング内に配置され、
前記一体型モータカートリッジ(2)は、
前記ピストン(16)の位置を判定するために、前記案内管(14)に沿って前記ハウジング(4)内に配置された複数の磁界センサ(22)と、
メモリ要素(36)と、をさらに備え、
前記メモリ要素は、校正データを包含し、
前記校正データは、前記磁界センサ(22)の測定値と前記ピストン(16)の位置との間の相関関係を記述し、
前記一体型モータカートリッジは、
前記圧力管対向面上の前記案内管を気密に前記ピペッティングシステムの圧力管に連結可能な圧力管連結部(6)と、
前記コイルアセンブリに結合され、前記一体型モータカートリッジの外側に配置された電源に結合されるように適合された電力接続部(8)と、をさらに備え、
前記一体型モータカートリッジは、単一体として、前記ピペッティングシステムとの間で導入および取り外し可能である、一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項2】
前記圧力管連結部(6)は、前記ピペッティングシステムに対して前記一体型モータカートリッジの位置を固定する設計とされている、
請求項1に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項3】
前記圧力管連結部(6)は、前記圧力管のモータ対向面に対する受け口を有する、
請求項1または2に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項4】
前記受け口は、前記圧力管の周囲に配置されたOリング用の接触面を有する、
請求項3に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項5】
前記電力接続部(8)は、プリント回路として設計されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項6】
前記プリント回路は、前記ハウジング(4)内に前記案内管(14)に沿って配設され、かつ/または前記一体型モータカートリッジの圧力管遠位端部(42)の前記ハウジング(4)を貫通している、
請求項5に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項7】
前記複数の磁界センサ(22)に結合され、前記一体型モータカートリッジの外側に配置された前記ピペッティングシステムの制御ユニットに結合されるように適合されたセンサデータ接続部(10)をさらに備える、
請求項
1から6のいずれか一項に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項8】
前記校正データは、前記磁界センサ(22)の前記測定値に関する前記コイルアセンブリ(20)の電流の流れの影響の記述をさらに含む、
請求項
1から7のいずれか一項に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項9】
前記校正データは、前記ピペッティングシステムの制御ユニットにて読み出されるように適合されている、
請求項
1から8のいずれか一項に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項10】
前記コイルアセンブリ(20)は、前記案内管(14)の周囲に円形に配置された複数のコイルを備える、
請求項1から
9のいずれか一項に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項11】
前記ハウジング(4)は、軟磁性材
である、
請求項1から1
0のいずれか一項に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項12】
前記ハウジング(4)は、軟磁性ニッケル鉄合金製である、
請求項11に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項13】
前記ハウジング(4)は、ほぼ矩形の断面を有
する、
請求項1から1
2のいずれか一項に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項14】
前記ハウジング(4)は、50mm
2
~200mm
2
の断面積を有する、
請求項1から13のいずれか一項に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項15】
前記ハウジング(4)は、100mm
2
~150mm
2
の断面積を有する、
請求項14に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項16】
前記ハウジング(4)は、130mm
2
~140mm
2
の断面積を有する、
請求項14に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項17】
前記ピストン(16)は、前記圧力管対向面上の前記案内管(14)に対して封止部(24)を有する、
請求項1から1
6のいずれか一項に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項18】
前記ピストン(16)の全走行路は、前記ハウジング(4)内である、
請求項1から1
7のいずれか一項に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項19】
前記ピストン用ストッパ、エアフィルタ、または一体型ストッパ/エアフィルタユニット(30)は、前記案内管(14)の前記圧力管遠位面に備えられている、
請求項1から1
8のいずれか一項に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項20】
前記一体型モータカートリッジ内の温度測定のために、前記ハウジング内に配置された温度センサ(28)をさらに備える、
請求項1から1
9のいずれか一項に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項21】
前記案内管(14)に沿って前記ハウジング(4)内に配置され、前記ハウジングの前記圧力管対向面上の前記ハウジングを貫通する第1開口および前記ハウジングの前記圧力管遠位面上の前記ハウジングを貫通する第2開口を有する冷却ダクト(26)をさらに備える、
請求項1から
20のいずれか一項に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項22】
前記ハウジング(4)は、圧力管遠位面を有し、
前記一体型モータカートリッジ(2)は、前記一体型モータカートリッジを前記ピペッティングシステムに対して固定可能な、前記ハウジング(4)の前記圧力管遠位面上に設けられた支持体(32)をさらに備える、
請求項1から2
1のいずれか一項に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項23】
前記支持体は、前記一体型モータカートリッジの整列のために、前記ピペッティングシステムの相補的接触面と係合するように適合された接触面を有し
、または前記支持体は、前記一体型モータカートリッジの整列のために、前記ピペッティングシステムの凹部に導入されるように適合された案内部材(12)を有する、
請求項2
2に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項24】
前記支持体は
、ピペッティングシステム上に提供される係止要素
を導入するための受け口(34)を有する、
請求項2
2または2
3に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項25】
前記受け口(34)は、前記係止要素である係止ピンまたは係止ねじを導入する穴またはねじ穴である、
請求項24に記載の一体型モータカートリッジ(2)。
【請求項26】
ピペット液を吸引および分注するピペッティングシステム(100)であって、
少なくとも1つの圧力管(104)であり、前記少なくとも1つの圧力管それぞれ
に、ピペットチップ(106)
が結合
される圧力管(104)と、
前記少なくとも1つの圧力管のそれぞれに対して、前記ピペッティングシステムを、請求項1から2
5のいずれか一項に記載のそれぞれの一体型モータカートリッジ(2)に連結するためのモータカートリッジ連結部と、を備える、
ピペッティングシステム(100)。
【請求項27】
前記モータカートリッジ連結部は、
前記一体型モータカートリッジ(2)の前記圧力管連結部(6)に気密に連結可能な、前記ピペッティングシステム
の圧力管連結部(114)を備える、
請求項2
6に記載のピペッティングシステム(100)。
【請求項28】
前記圧力管連結部(114)は、前記一体型モータカートリッジ(2)の前記圧力管連結部(6)の対応する受け口に挿入されるように適合される前記圧力管(104)の自由端を備える、
請求項2
7に記載のピペッティングシステム(100)。
【請求項29】
前記圧力管(104)の前記自由端は、前記圧力管の周囲に配置されたOリング(116)を備える、
請求項2
8に記載のピペッティングシステム(100)。
【請求項30】
前記少なくとも1つの圧力管(104)のそれぞれに対して、前記一体型モータカートリッジ(2)を前記ピペッティングシステムに対して固定する係止要素(112)
をさらに備える、
請求項2
6から2
9のいずれか一項に記載のピペッティングシステム(100)。
【請求項31】
前記係止要素(112)は、係止ピンまたは係止ねじである、
請求項30に記載のピペッティングシステム(100)。
【請求項32】
ピペット液を吸引および分注するため一体型モータカートリッジ(2)を制御する構成とされた制御ユニット(120)をさらに備える、
請求項2
6から
31のいずれか一項に記載のピペッティングシステム(100)。
【請求項33】
前記制御ユニット(120)は、前記一体型モータカートリッジ(2)の前記コイルアセンブリ(20)
と結合され
た際に、前記ピストン(16)の動きを制御する構成とされている、
請求項
32に記載のピペッティングシステム(100)。
【請求項34】
前記制御ユニット(120)は、前記一体型モータカートリッジ(2)の複数の磁界センサ(22)
と結合され
た際に、前記
複数の磁界センサの測定値に基づいて、前記ピストン(16)の位置を判定する構成とされている、
請求項
32または
33に記載のピペッティングシステム(100)。
【請求項35】
前記制御ユニット(120)は、前記一体型モータカートリッジ(2)のメモリ要素(30)
と結合され
た際に、データ
を前記一体型モータカートリッジ(2)の前記メモリ要素(30)から読み出す構成とされている、
請求項
32から
34のいずれか一項に記載のピペッティングシステム(100)。
【請求項36】
前記制御ユニット(120)は、前記データである校正データを前記一体型モータカートリッジ(2)の前記メモリ要素(30)から読み出す構成とされている、
請求項35に記載のピペッティングシステム(100)。
【請求項37】
ピペッティングシステムの一体型モータカートリッジの交換方法であって、
第1の一体型モータカートリッジを前記ピペッティングシステムから取り外すステップであり、前記第1の一体型モータカートリッジは請求項1から2
5のいずれか一項に記載の構成とされ、前記取り外すステップは前記第1の一体型モータカートリッジの前記圧力管連結部を
、当該圧力管連結部と連結された前記ピペッティングシステム
の圧力管連結部から開放するステップを含む、取り外すステップと、
第2の一体型モータカートリッジを前記ピペッティングシステムに挿入するステップであり、前記第2の一体型モータカートリッジは請求項1から2
5のいずれか一項に記載の構成とされ、前記挿入するステップは前記第2の一体型モータカートリッジの前記圧力管連結部を前記ピペッティングシステム
の前記圧力管連結部に連結するステップを含む、挿入するステップと、
を含む方法。
【請求項38】
前記第1の一体型モータカートリッジを取り外
して、前記第2の一体型モータカートリッジを挿入する方法は、
前記第1の一体型モータカートリッジ
の電力接続部を前記ピペッティングシステム
の電力接続部から解放
し、前記第2の一体型モータカートリッジの電力接続部を前記ピペッティングシステムの前記電力接続部に接続するステップと、
前記第1の一体型モータカートリッジのセンサデータ接続部を前記ピペッティングシステム
のセンサデータ接続部から解放
し、前記第2の一体型モータカートリッジのセンサデータ接続部を前記ピペッティングシステムの前記センサデータ接続部に接続するステップと、
前記第1の一体型モータカートリッジの前記ハウジング
の圧力管遠位面
に設けられ、前記第1の一体型モータカートリッジを前記ピペッティングシステムに対して固定可能な支持体を前記ピペッティングシステムから解放
し、前記第2の一体型モータカートリッジの前記ハウジングの圧力管遠位面に設けられ、前記第2の一体型モータカートジッリを前記ピペッティングシステムに対して固定可能な支持体を前記ピペッティングシステムに接続するステップと、のうちの少なくとも1つを含
む、
請求項3
7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペッティングシステムの分野およびその構成要素に関する。詳細には、本発明は、圧縮された空気容積を介してピペット液を吸引または分注するピペッティングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代のピペッティングシステムは、非常に複雑な技術システムである。ピペッティングシステムの一例は、国際公開第2011/083125号に開示されている。現代のピペッティングシステムは、非常に少量のピペット液を高速かつ高精度に吸引し、分注する設計とされている。さらに、複数のピペッティング動作を同時に実施できるようにするため、複数のピペットチップが、格子状に配置されることが多い。1つずつのピペットチップを通して吸引および分注を行うため、付属の電気モータが利用される。この結果、小空間で高精度および高速度を確実にすることを狙う複雑な配置が作成されている。こうした複雑なピペッティングシステムにより、その保守は困難なことが多い。
【0003】
したがって、ピペッティングシステムのための構成要素およびその保守が簡単なピペッティングシステムを提供することが望ましい。
【0004】
本発明の例示的な実施形態は、ハウジングと、案内管と、複数の永久磁石を備え、圧力管対向面および圧力管遠位面を有し、案内管内に配置され、案内管に対して少なくとも1つの封止部を有するピストンと、電流が供給されると、ピストンを案内管の中で移動させるコイルアセンブリとを備え、案内管、ピストンおよびコイルアセンブリは、ハウジング内に配置される、ピペッティングシステムに連結し、ピペッティングシステムにて用いる一体型モータカートリッジを備える。一体型モータカートリッジは、ピストンの圧力管対向面上の案内管が、ピペッティングシステムの圧力管に気密に連結可能な圧力管連結部、およびコイルアセンブリに結合され、一体型モータカートリッジの外側に配置された電源に結合されるように適合された電力接続部をさらに備える。一体型モータカートリッジは、単一体としてピペッティングシステムとの間で導入および取り外しが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の例示的な実施形態は、ピペッティングシステムの電気モータを完全な単一体として交換可能にする。複数の永久磁石と一緒のピストン、案内管およびコイルアセンブリは、共通のハウジングに配置される事実により、これらの構成要素の全体を、機械的に単純なハウジングの交換によって交換可能とする。これに関し、圧力管連結部および電力接続部は、2つの明確に規定されたインタフェースを形成し、一方は、それを介して一体型モータカートリッジにエネルギーを供給し、他方は、ピストンにて生成された圧力をピペッティングシステムの圧力管に伝えるように適合される。したがって、一体型モータカートリッジは、電源の機能および空気圧の供給を、その規定されたインタフェースを介して可能にする比較的容易に交換可能な単一体である。ピペッティングシステムの電気モータは、このように、一体型の、完全な単一体として交換可能であり、ピペッティングシステムの保守を非常に単純化できる。
【0007】
圧力管連結部を介してピストンの圧力管対向面上の案内管は、ピペッティングシステムの圧力管に気密に連結可能である。このように、一体型モータカートリッジの案内管およびピペッティングシステムの圧力管は、適宜それに連結されたピペットチップと一緒に、ピペット液を吸引および分注するための閉鎖圧縮空気容積を構成する。閉鎖圧縮空気容積という語は、ピペットチップが連結される場合、ピペットチップ内の開口、またはピペットチップの連結用のピペッティングシステムの圧力管の端部を除いて全ての面が閉鎖された容積を示す。したがって、閉鎖圧縮空気容積は、それを通してピペット液を吸引し分注できる規定された開口を有する。
【0008】
コイルアセンブリ、案内管、および圧力管連結部は、一体型モータカートリッジのハウジング内に固定して配置される。その結果、一体型モータカートリッジは、ピペッティングシステムに連結されると、これらの構成要素は、ピペッティングシステムの残りに対して、固定された明確に規定された位置を有し、ピペッティングシステムの残りの構成要素と確実に協働できる。
【0009】
ピストンは、案内管の中で移動可能である。具体的に、ピストンは、案内管の中で直線的に移動可能でもよく、それにより、圧力管連結部に向かって圧力管連結部から離れて移動する。したがって、ピストンおよび案内管のそれぞれは、圧力管対向面および圧力管遠位面を有する。また、ハウジングに関し、よって一体型モータカートリッジに関し、圧力管対向面および圧力管遠位面と言うことができる。
【0010】
圧力管連結部は、案内管の一部でもよく、すなわち案内管と一体的に形成される単一体を構成、または案内管に隣り合う構造体でもよい。後者の場合、圧力管連結部および案内管は、互いに気密に連結され、その結果、上述の圧縮空気容積が、ピペッティングシステムの圧力管への連結上に作成される。
【0011】
コイルアセンブリは、案内管に沿って配置された複数のコイルを含む。電流が複数のコイルを通って流れる場合、上記コイルは、ピストンの複数の永久磁石と相互に作用する。このように、ピストンは、当業者には既知であるように案内管内を素早く正確に移動できる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
機械的な取り扱いの容易さに加え、ハウジングは、一体型モータカートリッジ内の磁界の有効な遮蔽を提供できる。また、ハウジングは、一体型モータカートリッジ内で磁界用に用いられる。例えば、磁気帰路は、ハウジングを貫通し、したがってモータ力が増加され得る。コイルおよび/またはコイルを通る電流は、このようにより小さくされ得る。
【0013】
さらなる実施形態において、圧力管連結部は、ピペッティングシステムに対して一体型モータカートリッジの位置を固定する設計とされている。言い換えると、圧力管連結部は、一体型モータカートリッジをピペッティングシステムに対して整列する設計にできる。このように、圧力管連結部は、気密な連結をピペッティングシステムの圧力管に提供するだけでなく、ピペッティングシステムにおける一体型モータカートリッジの正確な位置決めに貢献し、それにより、案内管の中のピストンとピペッティングシステムの圧力管の中の圧縮空気容積との間の正確な相互作用を可能にする。以下に詳述するように、一体型モータカートリッジは、圧力管連結部に加えて位置固定/配向目的のための他の構成要素を有し得る。
【0014】
さらなる実施形態において、圧力管連結部は、圧力管のモータ対向面に対する受け口を有する。圧力管連結部の受け口は、凹部、具体的には円筒凹部でもよい。したがって、一体型モータカートリッジの部分上の中空円筒受け口であってもよい。こうした円筒受け口は、円筒圧力管を受けることに適している。
【0015】
さらなる実施形態において、受け口は、圧力管の周囲に配置されたOリング用の接触面を有する。Oリングは、ピペッティングシステムの圧力管と一体型モータカートリッジの圧力管連結部との間、よって間接的に一体型モータカートリッジの案内管に気密な連結を作成する比較的単純で効果的な手段である。Oリング用の圧力管連結部の接触面は、Oリングを所定の位置に保持する周囲の溝を有し得る。しかし、構成はまた、Oリングが、圧力管の設計にて特定の場所に設けられてもよい。この場合、Oリング用の接触面は、受け口の一部の面、具体的には円筒凹部の一部の面でもよい。
【0016】
さらなる実施形態において、電力接続部がプリント回路として設計される。プリント回路は、すぐに一体型モータカートリッジに組み込むことが可能な頑丈で空間的に規定された構造体であり、一体型モータカートリッジの全体的に亘った頑健な構造に貢献する。
【0017】
さらなる実施形態において、プリント回路は、案内管に沿ってハウジング内に配設される。この方法で、プリント回路は簡単に、これも案内管に沿って配置される複数のコイルに接続できる。
【0018】
さらなる実施形態において、プリント回路は、一体型モータカートリッジの圧力管遠位端部でハウジングを貫通する。この方法では、一体型モータカートリッジの外側への電力接続部が、すぐにアクセス可能で、一体型モータカートリッジの他の外部領域ほど空間の面でそれほど厳しくない領域に備えられる。これは、特に、一体型モータカートリッジが、他の類似の一体型モータカートリッジの近くに格子状に配置される場合である。
【0019】
さらなる実施形態において、一体型モータカートリッジは、ピストンの位置を判定するための、案内管に沿ってハウジング内に配置される複数の磁界センサをさらに含む。複数の磁界センサは、ハウジング内に固定して配置される。磁界センサは、例えばホールセンサでもよい。磁界センサは、案内管内のピストンの位置を判定するほか、ピストンを制御し監視するために、したがって、本情報に基づいてピペット液の吸引/分注のために効果的な手段である。一体型モータカートリッジに磁界センサを提供することにより、便利なことに電気モータと共に位置決めするこのシステムも交換可能である。
【0020】
さらなる実施形態において、一体型モータカートリッジは、複数の磁界センサに結合され、一体型モータカートリッジの外側に配置されたピペッティングシステムの制御ユニットに結合されるように適合されたセンサデータ接続部をさらに含む。この方法では、それを介して一体型モータカートリッジがピペッティングシステムの全体的な構造に組み込まれる追加の規定されたインタフェースが提供される。したがって、ピストンの位置を判定するセンサデータは、ピペッティングシステムの制御ユニットが、利用可能なデータに基づいて複数のピペッティングユニットの吸引および分注動作を中心的に制御できる一体型モータカートリッジの外側に移動できる。しかしながら、一体型モータカートリッジ内で磁界センサのデータを評価することも可能である。この場合、センサデータ接続部が存在しない、またはピストンの位置だけが制御ユニットに伝達される短いデータ接続部が存在することが可能である。
【0021】
さらなる実施形態において、一体型モータカートリッジは、メモリ要素をさらに含む。メモリ要素は、例えば、以下に詳述するように、センサデータを格納するため、または校正データを格納するためなど複数の方法で、使用できる。
【0022】
さらなる実施形態において、メモリ要素は校正データを備え、校正データは、磁界センサの測定値とピストンの位置との間の相関関係を説明する。校正データは、案内管内のピストンの位置が、磁界センサの測定値と校正データとのそれぞれを考慮したものから非常に正確に決定でき得る。校正データの存在により、ピストンおよびコイルアセンブリからなる電気モータは、基準位置または同様の初期化ルーチンへのピストンの動きを必要とせず、直接、正確に操作できる。一体型モータカートリッジの電気モータは、一体型モータカートリッジのピペッティングシステムへの接続後すぐに使用できる。校正データは、一体型モータカートリッジの製造中に実施された校正プロセスの結果、すなわち一体型モータカートリッジのピペッティングシステムへの接続の前に実施された校正プロセスの結果でもよい。したがって、一体型モータカートリッジは、ピペッティングシステムへの接続の間、別個に調整および校正する必要がない、簡単に交換可能で、直接使用できる全ての単一体を構成する。磁界センサの測定値とピストンの位置との間の相関関係は、ルックアップテーブルの形態、または数式の形態での記述もしくは任意の他の適切な形態で存在してもよい。
【0023】
さらなる実施形態において、校正データは、磁界センサの測定値上のコイルアセンブリの電流の流れの影響の記述をさらに含む。コイルアセンブリの電流の流れの影響のこの記述は、ルックアップテーブルの形態、または数式の形態での記述もしくは任意の他の適切な形態で存在し得る。この記載に基づいて、磁界センサの測定値上のコイルアセンブリの磁界の影響を計算にて排除できる。この方法で、案内管の中のピストンの位置を磁界センサの測定値から特に確実な方法で結論付けできる。具体的には、コイルアセンブリのコイルへの電流の流れを制御する制御ユニットは、この磁界の電流の流れの影響を測定値から直接排除できる。
【0024】
さらなる実施形態において、校正データは、ピペッティングシステムの制御ユニットにて読み出すことができる。具体的に、校正データは、本明細書において説明するセンサデータ接続部を介して読み取り可能である。したがって、複数の磁界センサの測定値および校正データを送信するため、一体型モータカートリッジの空間の要求および複雑さを考慮すると都合の良いただ1つのデータ接続が提供される。しかしながら、校正データは、別の校正データの接続を介して読み取り可能でもあり得る。
【0025】
さらなる実施形態において、コイルアセンブリは、案内管の周囲に円形に配置された複数のコイルを含む。案内管の周囲における、この直接の配置により、ピストンは、案内管内を高効率で移動できる。
【0026】
さらなる実施形態において、ハウジングは、軟磁性材、具体的には軟磁性ニッケル鉄合金製である。軟磁性材、具体的には軟磁性ニッケル鉄合金は、磁気シールドとしてのほか、ハウジングを通過する磁気帰路を提供するために特に適切である。
【0027】
さらなる実施形態において、ハウジングのサイズは、ピペッティングシステムの格子、具体的には標準の格子状に適合している。したがって、一体型モータカートリッジは、所定の格子、具体的には標準の格子の様々なピペッティングユニットを用いる全てのピペッティングシステムにおいて適切に使用できる。特に、格子状に配置された複数の圧力管を備えるピペッティングシステムでは、複数の一体型モータカートリッジが、互いに近接して配置できる。必要に応じ、個々の一体型モータカートリッジは、交換でき、それぞれのハウジングによって、生じる保守に対して交換される一体型モータカートリッジの周囲に位置する一体型モータカートリッジは影響を受けにくいという事実によっても、保守が単純化されている。
【0028】
さらなる実施形態において、ハウジングは、ほぼ矩形の断面を有する。ほぼ矩形の断面により、一体型モータカートリッジは、ピペッティングシステムの格子状に、すぐに導入できる。ハウジングがほぼ矩形の断面を有する特徴は、この断面が一体型モータカートリッジの全体的な長さに沿って存在する必要があることを意味しない。むしろ、特徴は、断面が一体型モータカートリッジの主な伸張方向の少なくとも大部分に沿って、例えば一体型モータカートリッジの長さの少なくとも80%に沿って、ほぼ矩形であることを示す。一体型モータカートリッジの主な伸張方向は、案内管の延長方向に対応している。
【0029】
さらなる実施形態において、ハウジングは、50mm2~200mm2、具体的には100mm2~150mm2、さらにより具体的には130mm2~140mm2の断面積を有する。
【0030】
さらなる実施形態において、ほぼ矩形の断面の長い側の側面は、12mm~20mm、具体的には14mm~18mm、さらにより具体的には15mm~16mmの長さを有する。
【0031】
さらなる実施形態において、ほぼ矩形の断面の短い側の側面は、9mm未満、具体的には7mm~9mm、さらにより具体的には8mm~9mmの長さを有する。9mmより短いほぼ矩形の断面の短い側の側面の最大長さを考慮し、一体型モータカートリッジは、共通の格子状に適切に挿入できる。
【0032】
さらなる実施形態において、ピストンは、圧力管対向面上の案内管に対して封止部を有する。さらに、ピストンは、圧力管遠位面の案内管に対して追加の封止部を有することも可能である。この方法では、案内管に対してピストンの2つの封止部が提供され、圧力管に向かう方向および圧力管から離れる方向にピストンの対称的な運動動作に対して提供できる。
【0033】
さらなる実施形態において、ピストンの全走行路は、ハウジング内である。この方法で、ピストンは、ハウジングによって任意の位置で外部の影響に対して機械的に保護される。さらに、案内管上のピストンおよび他の構成要素が及ぼすディテントトルクは、この方法では最小化される。
【0034】
さらなる実施形態において、ピストン用ストッパ、エアフィルタ、または一体型ストッパ/エアフィルタユニットが、案内管の圧力管遠位面に備えられている。ストッパにより、ピストンは、その動きを効果的に制限でき、案内管の利用される部分の規定された端部を有している。したがって、ピストンは、ハウジング内に提供される他の構成要素とは望まない方法で、確実に相互作用しない。エアフィルタは、案内管を、例えばほこりなどの外部から影響を受けないようにしておく効果的な手段であり、その結果、案内管に対する正確で封止されたピストンの動きが、長期間に亘って確実に保証され得る。
【0035】
さらなる実施形態において、一体型モータカートリッジは、一体型モータカートリッジ内の温度測定のための、ハウジング内に配置された温度センサをさらに備える。さらに、一体型モータカートリッジは、温度測定値を送信するためのデータ接続部を含み得る。これは、別のデータ接続部でもよい。しかしながら、本明細書に記載された、磁界データ用に提供されたセンサデータ接続部もまた、温度測定値を送信するために使用可能である。温度センサを介して、一体型モータカートリッジ内の電気モータが過剰負荷を受けているか否かを判定できる。この情報に基づいて、コイルアセンブリのコイルを通る電流の流れは、一体型モータカートリッジの電気モータが損傷を受ける前に終了できる。特に一体型モータカートリッジの閉鎖されたシステムにおいて、その構成要素は、外部環境からハウジングにて遮蔽されて検査ができないので、温度を監視可能とすることは、特に役立つ。
【0036】
さらなる実施形態において、一体型モータカートリッジは、案内管に沿ってハウジング内に配置され、ハウジングの圧力管対向面上のハウジングを貫通する第1開口、およびハウジングの圧力管遠位面上のハウジングを貫通する第2開口を有する冷却ダクトをさらに備える。したがって、冷却ダクト内の冷却空気流を介してハウジングの内部を効果的に冷却できる。一体型モータカートリッジは、一般にピペッティングシステム内に垂直に配置されることからして、煙突効果は、ハウジングの圧力管対向面から圧力管遠位面に冷却ダクトを通して引き起こされ、効果的なハウジング内部の冷却を提供できる。
【0037】
本発明のさらなる実施形態において、一体型モータカートリッジは、一体型モータカートリッジをピペッティングシステムに対して固定可能な、ハウジングの圧力管遠位面上に設けられた支持体をさらに備える。したがって、ピペッティングシステムの残りに対して圧力管遠位面上で一体型モータカートリッジの適切な位置の固定を達成できる。上述の圧力管連結部による一体型モータカートリッジの位置の固定と共に、ピペッティングシステム内の一体型モータカートリッジの全体の確実で正確な位置決めが特に良く提供され得るように、その両端部での一体型モータカートリッジの位置の固定が達成される。
【0038】
さらなる実施形態において、支持体は、一体型モータカートリッジの整列のために、ピペッティングシステムの相補的接触面と係合するように適合された接触面を有する。相補的接触面上の接触面の接合部により、2つの接触面を介して一体型モータカートリッジの非常に正確な整列が可能になる。
【0039】
さらなる実施形態において、支持体は、一体型モータカートリッジの整列のために、ピペッティングシステムの凹部に導入されるように適合された案内部材を有する。案内部材は、ピペッティングシステムに当接できるが、案内部材が対向面に当接せずにピペッティングシステムの凹部に導入されることも可能である。言い換えると、案内部材は、凹部に遊びを持って配置されてもよい。この方法で、一体型モータカートリッジの挿入は、上述の相補的接触面の状況に比べ、単純化され得るが、にもかかわらず、ある程度の位置の固定が実施される。
【0040】
さらなる実施形態において、支持体は、受け口、具体的にはピペッティングシステム上に提供される固定要素または係止要素、具体的には係止ピンまたは係止ねじを導入する穴またはねじ穴を有する。ピペッティングシステムの係止要素と一体型モータカートリッジの支持体内の対応する受け口との間の相互作用により、ピペッティングシステム内の一体型モータカートリッジの特に良い位置の固定が達成され得る。
【0041】
本発明の例示的な実施形態は、ピペット液を吸引および分注し、それぞれが、ピペットチップをそれぞれの圧力管に結合する結合デバイスを有する少なくとも1つの圧力管を備え、本明細書の上述の任意の実施形態による、少なくとも1つの圧力管のそれぞれに対して、ピペッティングシステムをそれぞれの一体型モータカートリッジに連結するモータカートリッジ連結部を備えるピペッティングシステムをさらに備える。一体型モータカートリッジに関する上述の変更、追加の特徴および影響は、ピペット液を吸引および分注するピペッティングシステムに類似して適用できる。一体型モータカートリッジは、単一体として、ピペッティングシステムに挿入されてもよく、ピペッティングシステムから取り外されてもよい。一体型モータカートリッジが、ピペッティングシステムに挿入された場合、それはピペッティングシステムの構成部品となる。
【0042】
さらなる実施形態において、ピペッティングシステムは、複数の圧力管を備える。具体的に、ピペッティングシステムは、格子状に配置された複数の圧力管、例えば96本の圧力管を備え得る。ピペッティングシステムの全ての圧力管に対して、ピペッティングシステムをそれぞれの一体型モータカートリッジに連結するそれぞれのモータカートリッジ連結部が提供されることが可能である。しかしながら、圧力管の一部に対して、ピペッティングシステムをそれぞれの一体型モータカートリッジに連結するモータカートリッジ連結部が提供されるが、圧力管の別の部分は、電気モータの他の設計に連結可能であり、その内容は本発明に含まれる。
【0043】
さらなる実施形態において、モータカートリッジ連結部は、ピペッティングシステムの側面に圧力管連結部を備え、それは、一体型モータカートリッジの圧力管連結部に気密に連結され得る。さらなる実施形態で、ピペッティングシステムの側面の圧力管連結部は、一体型モータカートリッジの圧力管連結部の対応する受け口に挿入されるように適合された圧力管の自由端を備える。圧力管の自由端は、例えばピペッティングシステムのハウジングから突出する圧力管の独立した端部でもよい。具体的に、自由端は、ピペッティングシステムのハウジングの内側で突出してもよい。したがって、ピペッティングシステムの内部の一体型モータカートリッジは、圧力管の自由端上に配置されてもよい。圧力管の自由端は、圧力管の周囲に配置されたOリングを備え得る。
【0044】
さらなる実施形態において、ピペッティングシステムは、少なくとも1つの圧力管のそれぞれに対して、それにより一体型モータカートリッジを、ピペッティングシステムに対して固定できる固定要素または係止要素、具体的には係止ピンまたは係止ねじをさらに備える。係止要素は、一体型モータカートリッジの支持体の対応する受け口、具体的には穴またはねじ穴に挿入または螺合できる。係止要素を一体型モータカートリッジの支持体の案内部材と係合もでき、この結果、位置の固定をもたらす。例えば、係止ねじは、案内部材が固定されるように、その端部を一体型モータカートリッジの支持体の案内部材に当接させて位置付けられ得る。
【0045】
さらなる実施形態において、ピペッティングシステムは、ピペット液を吸引および分注するため一体型モータカートリッジを制御する構成とされた制御ユニットを備える。
【0046】
さらなる実施形態において、制御ユニットは、一体型モータカートリッジのコイルアセンブリに結合される適合とされ、ピストンの動きを制御する構成とされている。具体的に、制御ユニットは、一体型モータカートリッジの電力接続部に接続され、対応する電流を電力接続部を介して一体型モータカートリッジのコイルアセンブリのコイルに供給でき、それにより、ピストンの動きを制御できる。この場合、コイルを通る電流の量は、一体型モータカートリッジの外側の制御ユニットにて決定される。制御ユニットは、制御信号を一体型モータカートリッジに送信し、一体型モータカートリッジが制御信号に従って、電力接続部を介してコイルへの電流のレベルを設定可能である。
【0047】
さらなる実施形態において、制御ユニットは、一体型モータカートリッジの複数の磁界センサに結合される適合とされ、磁界センサの測定値に基づいて、ピストンの位置を決定する構成とされている。具体的に、制御ユニットは、磁界センサの測定値を受信するための、一体型モータカートリッジのセンサデータ接続部に接続されてもよい。
【0048】
さらなる実施形態において、制御ユニットは、一体型モータカートリッジのメモリ要素に結合される適合とされ、データ、具体的には、校正データをメモリ要素から読み出す構成とされている。この方法で、制御ユニットは、一体型モータカートリッジ内に存在するデータにアクセスできる。校正データの支援により、制御ユニットは、ピストンの非常に正確な動きを容易にするように、一体型モータカートリッジのコイルアセンブリのコイルを制御できる。
【0049】
本発明の例示的な実施形態は、第1の一体型モータカートリッジをピペッティングシステムから取り外すステップであって、第1の一体型モータカートリッジは、本明細書の上述の実施形態のいずれかに従い、取り外すステップは、第1の一体型モータカートリッジの圧力管連結部をピペッティングシステムの側面の圧力管連結部から開放することを含むステップと、第2の一体型モータカートリッジをピペッティングシステムに挿入するステップであって、第2の一体型モータカートリッジは本明細書の上述の実施形態のいずれかに従い、挿入するステップは、第2の一体型モータカートリッの圧力管連結部をピペッティングシステムの側面の圧力管連結部に連結することを含むステップと、を含むピペッティングシステムの一体型モータカートリッジの交換方法をさらに含む。
【0050】
さらなる実施形態において、第1の一体型モータカートリッジを取り外すステップは、第1の一体型モータカートリッジの電力接続部をピペッティングシステムの側面の電力接続部から解放するステップと、第1の一体型モータカートリッジのセンサデータ接続部をピペッティングシステムの側面のセンサデータ接続部から解放するステップと、第1の一体型モータカートリッジのハウジングの圧力管遠位面上の支持体をピペッティングシステムから解放するステップと、のうちの少なくとも1つを含む。第2の一体型モータカートリッジを挿入するステップは、第2の一体型モータカートリッジの電力接続部をピペッティングシステムの側面の電力接続部に接続するステップと、第2の一体型モータカートリッジのセンサデータ接続部をピペッティングシステムの側面のセンサデータ接続部に接続するステップと、第2の一体型モータカートリッジのハウジングの圧力管遠位面上の支持体をピペッティングシステムに連結するステップと、のうちの少なくとも1つをさらに含み得る。
【0051】
本発明のさらなる例示的な実施形態は、図面を参照して以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明の例示的な実施形態による一体型モータカートリッジを示す斜視図である。
【
図2】
図1の一体型モータカートリッジの長手方向断面図である。
【
図3】
図1の一体型モータカートリッジを横方向断面図に示す。
【
図4】本発明の例示的な実施形態による、
図1の一体型モータカートリッジが挿入されるピペッティングシステムを示す。
【
図5】
図4のピペッティングシステムの詳細を示す拡大図である。
【
図6】
図4のピペッティングシステムの選択された構成要素を示すブロック図である。
【
図7】本発明のさらなる例示的な実施形態による、一体型モータカートリッジの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、本発明の例示的な実施形態による一体型モータカートリッジ2を、外側からの斜視図として示す。一体型モータカートリッジ2は、ハウジング4を備える。ハウジング4は、ほぼ直方体形状を有する。ハウジング4は、
図1の斜視図で、下部左から上部右である、主な伸張方向を有する。ハウジング4は、圧力管対向端部40および圧力管遠位端部42を有する。ハウジング4の主な伸張方向は、圧力管対向端部40から圧力管遠位端部42である。主な伸張方向に対して垂直なハウジング4を貫通する断面で、ハウジング4は、ほぼ矩形の断面を有する。
【0054】
一体型モータカートリッジ2は、圧力管対向端部40に圧力管連結部6を有する。以下に詳細に説明するように、圧力管連結部6は、ピペッティングシステムの圧力管を導入できる円筒受け口を有する。圧力管遠位端部42で、一体型モータカートリッジ2は、案内部材12を有する。案内部材12は、主な伸張方向に沿ったハウジング4の伸張であるが、ハウジング4より断面が非常に小さい。案内部材12により、以下に詳細に説明するように、一体型モータカートリッジ2は、ピペッティングシステム内に位置固定できる。
【0055】
一体型モータカートリッジ2は、電力接続部8をさらに備える。電力接続部8は、
図1に示すように、ハウジング4内に備えられたコイルに電力を供給し、ハウジング4から突出するプリント回路である。プリント回路8は、外部動力源または電源に接続するように適合される。さらに、一体型モータカートリッジ2は、センサデータ接続部10を備える。ハウジング4の内側のセンサデータ接続部10は、複数の磁界センサに接続され、
図1に示すようにハウジング4から突出して、磁界センサの測定値をハウジング4の外側に配置された制御ユニットに送信する。
【0056】
図2は、
図1の一体型モータカートリッジ2を貫通する長手方向断面図を示す。具体的に、
図2は、一体型モータカートリッジ2の上部平面として
図1に示す平面に平行である長手方向切断面に沿って一体型モータカートリッジ2を貫通する長手方向断面図を示す。
図2は、ハウジング4をその中に配置されたその構成要素と一緒に示すほか、ハウジング4から突出する電力接続部8およびハウジング4から突出する案内部材12を示す。
【0057】
ハウジング4には、円筒状の案内管14がほぼ中央に配置される。案内管14は、圧力管対向端部40の圧力管連結部6内で終了する。
図2の例示的な実施形態では、圧力管連結部6は、案内管14と一体に形成される。具体的に、案内管14の端部は、圧力管連結部6を形成する。圧力管遠位端部42には、ストッパ/エアフィルタユニット30が備えられている。ストッパ/エアフィルタユニット30は、案内管14への埃の侵入を防ぎ、案内管14内に配置され、以下に説明するピストンの動作経路の端部を形成する。ハウジング4内での案内管14の中央への配置は、以下に説明するピストンの封止部への負荷をできるだけ均一にすることに役立つ。
【0058】
案内管の周囲には、1つだけに対応する参照番号が与えられた複数のコイル20が配置されている。
図2の例示的な実施形態では、20個のコイル20がある。コイル20は、案内管14の周囲に円形に配置される。それは、案内管14に沿って互いに隣り合って配置され、例えば隣り合って、案内管14上を摺動する。複数のコイル20は、一方で、圧力管対向端部40から圧力管遠位端部42にコイル20に沿って延び、他方で、
図2および
図1にも示すように、ハウジング4から突出する電力接続部8に接続される。エネルギーは、電力接続部8を介してコイル20に供給される。
【0059】
図2の例示的な実施形態において、電力接続部8はプリント回路である。具体的には、コイル20に電流を供給するため、導体トラックが、コイル20それぞれに対して電力接続部8に設けられる。それぞれの複数のコイル20にプリント回路8の単一の導体トラックから電流が供給されることも可能である。具体的に、三相電流がプリント回路8を介して利用可能にされ、三相電流のうちの1つが各コイル20に供給可能である。
【0060】
案内管14は、その中に配置されたピストン16を有する。ピストン16は、圧力管対向面および圧力管遠位面の両方に封止部24を有する。これら封止部24により、一方で、ピストン16と圧力管連結部6との間の空気容積、他方で、ピストン16とストッパ/エアフィルタユニット30との間の空気容積が、互いに分離される。ピストン16は、6個の永久磁石18を備え、そのそれぞれが、ピストン16に沿って同じ長さである。永久磁石18は、ピストン16内に棒状に互いに向かい合って配置される。永久磁石18の例示的な配置は、SN-NS-SN-NS-SN-NSであり、ハイフンが個々の永久磁石の間の境界を示す。
図2では、永久磁石18の間の境界を二重線で示している。永久磁石18によって、ピストン16は、それぞれ対向する極の配置により、全く異なる方法で形成される交互のS極とN極とを用いて磁界を生成する。
【0061】
さらに、ハウジング4は、その中に配置された複数の磁界センサ22を有する。磁界センサ22は、複数のコイル20の外側でハウジング4の壁に沿って、案内管14に沿って配置される。合計20個の磁界センサが、案内管14に沿って配置され、明瞭にするために1つのみに参照番号22を示している。この例では、複数の磁界センサが、ホールセンサである。ホールセンサは、一体型モータカートリッジ2のそれぞれの位置で優勢な磁界を測定する。以下に説明するように、測定値を用いてピストン16の位置を判定できる。
【0062】
一体型モータカートリッジ2のハウジング4では、冷却ダクト26がさらに配置される。冷却ダクト26は、複数の磁界センサ22に比べて案内管14に対する反対側にハウジング4の壁に沿って配設される。冷却ダクト26は、ほぼハウジング4の圧力管対向端部40からハウジング4の圧力管遠位端部42に延びている。冷却ダクト26は、その両端部に、ハウジング4を貫通する開口を有し、それによって、冷却風が、外から冷却ダクト26を通って流れることができる。
【0063】
一体型モータカートリッジ2の動作は、以下に説明する。電流は、複数のコイル20に電力接続部8を介して供給される。適切な電流を複数のコイル20に供給することで、機械的力をピストン16の永久磁石18に及ぼし、ピストン16を案内管14の中で移動して、時間変化する磁界が生成される。ピストンの所望の動きを達成するため、複数のコイル20を介してどのように電流の流れを構成するかは当業者には既知である。したがって、ピストン16の動きとコイル20を介して供給される電流との間の関係のより詳細な説明は、省略してもよい。
【0064】
動作の間、複数の磁界センサは、ハウジング4内のそれぞれの位置で優勢な磁界を測定する。磁界センサは、一体型モータカートリッジ2の外側に位置する制御ユニットに、
図1を参照して上述したセンサデータ接続部10を介して測定値を送信する。この制御ユニットは、磁界センサ22の測定値からピストン16の位置を判定できる。この情報に基づいて、かつ所望の吸引または分注動作に基づいて、制御ユニットは対応する電流を複数のコイル20に電力接続部8を介して供給し、その結果、ピストン16の所望の動作が生じる。したがって、制御ループは、ピストン16、磁界センサ22、制御ユニット、電力接続部8、およびコイル20の間で形成され、案内管14内のピストン16の非常に正確な位置決めを可能にする。
【0065】
図3は、
図1および
図2の一体型モータカートリッジ2を横方向断面図に示す。
図3の横方向切断面は、
図2の長手方向切断面に対して直交する。具体的に、
図3の横方向切断面は、
図2の指定された軸A-Aに沿って延びる。また、
図3は、案内管14、案内管14の周囲に配置されたコイル20のうちの1つ、電力接続部8、磁界センサ22のうちの1つ、および冷却ダクト26を示す。
図3は、冷却ダクト26が、電力接続部8に近接して配置されていることを適切に示している。このように、冷却ダクト26は、廃熱のほとんどが生成される電力接続部8に近く、かつコイル20に近い位置に位置する。
【0066】
図3の横方向切断面には、温度センサ28および記憶またはメモリ要素36がさらに配置される。温度センサ28は、一体型モータカートリッジ2のハウジング4内の温度を測定する。一体型モータカートリッジ2の校正データは、メモリ要素36に格納される。校正データには、磁界センサ22の測定値とピストン16の位置との関係の記述が含まれる。さらに、校正データは、コイル20を通る電流の流れによる磁界センサ22によって検出された磁界の構成要素の記述を含む。したがって、校正データの支援により、制御ユニットは、計算によって磁界センサ22の測定値からコイル20によって引き起こされた磁界の構成要素を取り除くことができ、残りの磁界の構成要素からピストン16の位置を計算できる。校正データは、磁界を測定する際の複数のアーティファクト、例えば磁界センサのオフセットの影響、磁界センサ22の間での名目位置に対する位置の不正確さ、および永久磁石18の間での名目位置に対する位置の不正確さなどを記述できる。校正データは、所与の特定の一体型モータカートリッジ2に対して、その製造中に決定され得る。
【0067】
磁界センサ22、温度センサ28およびメモリ要素36は、センサデータ接続部10に接続される。メモリ要素36内に存在する磁界センサ22および温度センサ28の測定値ならびに校正データは、一体型モータカートリッジ2の外側に配置された制御ユニットにて読み出される。制御ユニットは、磁界センサ22の測定データおよび校正データに基づいて、コイル20を通る電流を統制/制御して、必要に応じてピストン16を移動する設計とされている。
【0068】
図4は、
図1~3の本発明の例示的な実施形態によるピペッティングシステム100に挿入された一体型モータカートリッジ2を示す。ピペッティングシステム100への連結およびピペッティングシステム100内での使用を通して、一体型モータカートリッジ2は、ピペッティングシステム100の一部となっている。
図4は、
図2と同様の長手方向切断面の一体型モータカートリッジ2を示す。その結果、ピペッティングシステムも、この長手方向切断面に示される。
【0069】
ピペッティングシステム100は、一体型モータカートリッジ2が配置されるハウジング102を備える。さらに、ピペッティングシステム100は、圧力管104およびピペットチップ106を備える。圧力管104は、ハウジング102の中から、具体的には、一体型モータカートリッジ2からハウジング102の外側の位置に延びている。圧力管104は、ピペッティングシステムのハウジング102に固定して連結される。圧力管104は、
図5の拡大詳細図を参照して以下に説明するように、その一方の端部で一体型モータカートリッジの圧力管連結部6に連結される。その他方の端部で、圧力管104は、ピペットチップ106に連結される。ピペットチップ106は、取り外し可能に圧力管104に連結される。具体的に、ピペットチップ106は、例えば第1のピペット液とピペットチップの考え得る汚染のため、第2のピペット液の乱されないピペッティングが保証できない場合に、都合よく交換できる。
【0070】
ピペットチップ106を通るピペット液の吸引および分注は、一体型モータカートリッジ2の案内管14、圧力管104およびピペットチップ106にて形成された圧縮空気容積の空気圧の増加および減少それぞれにて影響を受ける。空気圧の増加または減少は、案内管14内のピストン16の移動によってもたらされる。
【0071】
図4の例示的な実施形態において、一体型モータカートリッジ2は、以下の方法で、ピペッティングシステム100に機械的に連結される。一体型モータカートリッジ2の圧力管連結部6、すなわち本例では一体型モータカートリッジ2の案内管14の端部は、圧力管104の独立した端部に配置される。これは、
図5を参照して以下でより詳細に説明する。さらに、案内部材12は、受け口108内に配置される。受け口108は、案内部材12より大きい。案内部材12は、受け口108の表面に当接しない。しかし、案内部材12は、受け口108の規定された領域内に配置される。
【0072】
ピペッティングシステム100は、ピペッティングシステム100のねじ山112に配置される係止ねじ110を有する。具体的に、係止ねじ110は、ねじ山112を介して螺合され、その結果、端部が案内部材12と係合する。係止ねじ110の案内部材12との係合および係止ねじ110のねじ山112内での摩擦係合により、一体型モータカートリッジ2の圧力管遠位端部は、ピペッティングシステム100内で位置固定される。
【0073】
図5は、一体型モータカートリッジ2と圧力管104との間の連結を、より詳細に示す。具体的に、
図5は、
図4に示す連結の拡大図である。
図5に示す領域は、
図4の円に示す領域Bに対応する。
【0074】
圧力管104は、一体型モータカートリッジ2の側に自由端114を有する。自由端114の周囲にOリング116が取り付けられている。圧力管連結部6は、自由端114にプラグ接続されている。この取り付けの結果、ピペッティングシステム100のハウジング102に対する一体型モータカートリッジ2の位置は固定されている。さらに、Oリング116は、圧力管104の自由端114と圧力管連結部6との間に気密な連結を提供する。したがって、一体型モータカートリッジ2が圧力管104に連結されると、ピペットチップの開口を除いて閉鎖され、案内管14の一部に、圧力管104およびピペットチップ106からなる閉鎖容積が生成される。
【0075】
図4および5を参照して上述した、一体型モータカートリッジ2とピペッティングシステム100との間の機械的な連結に加え、一体型モータカートリッジ2はまた、電力接続部8およびセンサデータ接続部10を介してピペッティングシステム100に接続される。電力接続部8は、
図4に示すが、センサデータ接続部10は、
図4および
図5の切断面の外側にある。
【0076】
図6は、一体型モータカートリッジ2の電気モータを制御する一体型モータカートリッジ2とピペッティングシステム100との間の連結をブロック図に示す。
図6のブロック図は、機能的な構成要素の一部に基づいた
図4および
図5のピペッティングシステムの抽象的な表示である。一体型モータカートリッジ2に含まれる構成要素は、破線の枠内に示すが、一体型モータカートリッジ2の外側に位置する構成要素は、破線の枠の外側に示されている。全ての構成要素は、ピペッティングシステム100に属している。
【0077】
一体型モータカートリッジ2は、ピペッティングシステム100の制御ユニット120に電力接続部8およびセンサデータ接続部10を介して接続される。制御ユニット120は、電源130にさらに接続される。ピストン16の所望の移動に基づいて、制御ユニット120は、コイル20に供給される電流を決定する。制御ユニット120は、エネルギーを電源130から与えられ、所望のピストン16の移動のため必要な電流がコイル20に電力接続部8を介して供給されるように、電源130から受け取るエネルギーを制約する。
【0078】
制御ユニット120は、複数の磁界センサ22およびメモリ要素36にセンサデータ接続部10を介して接続される。メモリ要素36は、ピストン16の位置測定に関する校正データを包含する。校正データは、制御ユニット120によって読み出され、ピストン16の位置を決めるため用いられる。磁界センサ22は、磁界センサ22の位置で現在優勢な磁界を測定する。したがって、測定値は、一時的な磁界の空間分布を示す。この磁界は、2つの主な構成要素、すなわちコイル20を通る電流にて生成された構成要素、およびピストン16の永久磁石にて生成された構成要素から成る。制御ユニット120は、校正データを用いて、磁界の第1に言及した構成要素を少なくともその相当程度を測定値から取り除く。さらに、制御ユニット120は、ピストン16の位置を第2の構成要素から校正データにより計算する。第2の構成要素は、ピストン16内の永久磁石の交互の向きにより強い周期的な寄与がある。校正データは、磁界センサ22のオフセットの影響、案内管に沿った均一な分布からの磁界センサ22の位置の偏差ならびに均一な分布からの永久磁石およびその極の配置の偏差の記述を含む。校正データの支援により、制御ユニット120は、磁界センサ22の測定値を調製し、ピストン16の位置を高精度で決定する。このように、制御ユニット120は、ピストン16の位置に関するフィードバックを受け取り、それにより、ピストン16を案内管内で非常に正確に移動できる。
【0079】
図7は、本発明のさらなる実施形態による一体型モータカートリッジ2を長手方向断面図に示す。
図7の一体型モータカートリッジ2は、
図1~
図3の一体型モータカートリッジ2に非常に類似している。さらに、
図7の長手方向切断面は、
図2の長手方向切断面に対応している。以下に詳細に説明しない
図7の一体型モータカートリッジ2のこれらの特徴に対して、
図1~
図3、特に
図2の上記説明を参照する。
【0080】
図7の一体型モータカートリッジ2は、案内部材12を有さないが、ピペッティングシステムに対する位置を固定するためハウジング4の圧力管遠位端部42に別の種類の支持体を有している。
図7の一体型モータカートリッジ2は、ねじ穴34を有する支持体32を備える。ピペッティングシステムの係止ねじは、ねじ穴34に螺合され得る、したがって、ハウジング4の圧力管遠位端部42でピペッティングシステムに対して一体型モータカートリッジ2を固定できる。
【0081】
上述の例示的な実施形態の一体型モータカートリッジは、完全な単一体としてピペッティングシステムの電気モータの交換を可能にするので、ピペッティングシステムの保守費用を低減できる。特に有利なことは、上述の一体型モータカートリッジは、ピペッティング動作のため非常に高速でピストンを前後に移動する比較的新しいピペッティングシステムとして使用でき、ピストンのストロークは、吸引または分注される液の量より何倍も速く、液の吸引および分注は、高い動力で組み立てられる圧力波にて生じ得る。高い動力にて特徴付けられるこうしたシステムでは、特に、電気モータの構成要素の摩損が高い可能性があり、ピペッティングシステムの性能に負の影響がある。したがって、こうしたピペッティングシステムの保守は非常に重要である。こうした高い動力のピペッティングシステムは、国際公開第2017/0107084号に開示されている。上述の用途の内容は、参照により本特許出願に完全に組み入れられる。具体的に、本特許出願のピペッティングシステムは、個々または任意の組み合わせで、国際公開第2017/0107084号の特許請求の範囲の全ての特徴でさらに実施できる。
【0082】
本発明は、例示的な実施形態を参照して説明しているが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であり、等価物が使用可能であることは、当業者には理解されよう。本発明は、特定の記載の実施形態によって制限されない。むしろ、添付の特許請求の範囲にて網羅される全ての実施形態を含む。