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特許7275101身体部位の放射線医薬品定量化のための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】身体部位の放射線医薬品定量化のための装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/164 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
G01T1/164 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020503910
(86)(22)【出願日】2018-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 EP2018069893
(87)【国際公開番号】W WO2019020554
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】17183069.8
(32)【優先日】2017-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17195657.6
(32)【優先日】2017-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516245885
【氏名又は名称】バイエル、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BAYER AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】セシーリア、ヒンドルフ
(72)【発明者】
【氏名】エーリク、ラーション
(72)【発明者】
【氏名】グスタフ、ブローリン
(72)【発明者】
【氏名】トマス、オールソン
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-318755(JP,A)
【文献】特開平06-138237(JP,A)
【文献】特開2011-220719(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0225214(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0146948(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00 - 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体部位の放射線医薬品定量化のための装置(10)であって、
- 入力ユニット(20)と、
- 処理ユニット(30)とを含み、
前記入力ユニットが、前記処理ユニットに身体部位の少なくとも1つのガンマ画像を提供するように構成され、
前記少なくとも1つのガンマ画像が、ガンマ線および/またはX線を検出するように構成される少なくとも1つのガンマカメラによって取得されたものであり、
前記少なくとも1つのガンマ画像が、少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊から生じたデータを含むスペクトルエネルギーデータを含み、
前記入力ユニットが、前記処理ユニットに、前記少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊と関連付けられた特徴的な光子放出エネルギーおよび放出確率を提供するように構成され、
前記処理ユニットが、前記身体部位内の複数の空間位置における前記少なくとも1つの放射線医薬品の活量を決定するように構成され、
前記複数の空間位置のうちのある空間位置についての決定が、その空間位置に対応する前記少なくとも1つのガンマ画像内の少なくとも1つの位置についての前記スペクトルエネルギーデータから生成される実験スペクトルの生成された合成スペクトルへの相関を含み、
前記合成スペクトルの生成が、前記少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊と関連付けられた前記光子放出エネルギーおよび放出確率の利用を含み、
前記処理ユニットが、前記身体部位内の前記少なくとも1つの放射線医薬品の空間分布を決定するように構成され、
前記少なくとも1つの放射線医薬品が、第1の放射線医薬品および第2の放射線医薬品を含
前記第2の放射線医薬品が、前記第1の放射線医薬品の崩壊の産物である、
装置(10)。
【請求項2】
身体部位の放射線医薬品定量化のためのシステム(100)であって、
- 光子取得ユニット(110)と、
- 請求項1に記載の身体部位の放射線医薬品定量化のための装置(10)と、
- 出力ユニット(120)とを含み、
前記光子取得ユニットが、少なくとも1つのガンマカメラ(130)を含み、前記光子取得ユニットが、前記少なくとも1つのガンマ画像を提供するように構成され、
前記出力ユニットが、前記身体部位内の前記少なくとも1つの放射線医薬品の空間分布を含む画像を出力するように構成される、
システム(100)。
【請求項3】
身体部位の放射線医薬品定量化のための方法(200)であって、
(a)処理ユニット(30)に身体部位の少なくとも1つのガンマ画像を提供すること(210)であって、前記少なくとも1つのガンマ画像が、ガンマ線および/またはX線を検出するように構成される少なくとも1つのガンマカメラによって取得されたものであり、前記少なくとも1つのガンマ画像が、少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊から生じたデータを含むスペクトルエネルギーデータを含む、提供すること(210)と、
(b)前記処理ユニットに、前記少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊と関連付けられた特徴的な光子放出エネルギーおよび放出確率を提供すること(220)と、
(c)前記処理ユニットによって、前記身体部位内の複数の空間位置における前記少なくとも1つの放射線医薬品の活量を決定すること(230)であって、前記複数の空間位置のうちのある空間位置についての決定が、
(c1)合成スペクトルを生成すること(240)と、生成した前記合成スペクトルを、その空間位置に対応する前記少なくとも1つのガンマ画像内の少なくとも1つの位置についての前記スペクトルエネルギーデータから生成される実験スペクトルに相関させることとを含み、前記合成スペクトルを生成することが、前記少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊と関連付けられた光子放出エネルギーおよび放出確率を利用することを含む、決定すること(230)と、
(d)前記処理ユニットによって、前記身体部位内の前記少なくとも1つの放射線医薬品の空間分布を決定すること(250)と、
を含み、
前記少なくとも1つの放射線医薬品が、第1の放射線医薬品および第2の放射線医薬品を含
前記第2の放射線医薬品が、前記第1の放射線医薬品の崩壊の産物である、
方法(200)。
【請求項4】
プロセッサによって実行されるときに請求項3に記載の方法を実行するように構成される、請求項1に記載の装置および/または請求項2に記載のシステムを制御するためのコンピュータプログラム要素。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラム要素が格納されているコンピュータ可読媒体。
【請求項6】
前記第1の放射線医薬品が、第1の放射性核種としてトリウム227を含み、前記第2の放射線医薬品が、第2の放射性核種としてラジウム223を含む、請求項1に記載の装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体部位の放射線医薬品定量化のための装置、身体部位の放射線医薬品定量化のためのシステム、身体部位の放射線医薬品定量化のための方法、ならびにコンピュータプログラム要素およびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の一般的な背景は、患者の定量ガンマカメラ撮像である。放射線医薬品は、患者の治療に使用され得る。放射性核種などの放射線医薬品は、患者によって、例えば、静脈内または経口的に、内服され得る。放射性核種などの放射線医薬品は、特定の病気の検出において有用であり得、実際には、アルファ粒子/電子/ベータ粒子の放出が標的組織細胞を崩壊させるために使用され得る、病気の標的治療にも使用され得る。(説明を簡単にするために、以下の論考は、特定の部分においては、放射性核種に関するが、そのような論考は、より一般的には、放射線医薬品にも当てはまる)。患者内の放射性核種の場所は、定量化および線量測定のために決定されることが必要とされる。放射性核種が崩壊すると、ガンマ線が、特定の崩壊プロセスにおいて放出され得、ガンマカメラまたは検出器などの外部カメラが、これらの光子を捕捉するために使用され、これらの光子から画像が取得され得る。しかしながら、そのようなガンマ線撮像は、例えば、非常に低い活量の約1MBqが患者に投与されるとき、例えば、放射性核種の低い光子放出収率、ならびに宇宙線源および地上線源からの大きなバックグラウンド光子寄与の測定データ内への包含に起因して、単一の放射性核種の場合にさえ特定の問題をもたらす。さらに、ガンマ線は、崩壊部位から検出器までの経路上で、例えば、コンプトン散乱により、散乱を経ることがあり、したがって、実際の崩壊部位以外の場所に由来していたように見えることがある。ガンマカメラとも呼ばれるガンマ線カメラは、放射性崩壊に直接由来しない放出光子を除外するために、エネルギー弁別、いわゆるエネルギー窓を利用することができる。しかしながら、1つを超える放射性核種が存在する場合には特に、撮像能力をさらに改善する必要性がある。これは、例えば、患者に投与される特定の放射性核種が、それ自身が崩壊してガンマ線を放出する娘放射性核種を有する場合に発生し得る。
【発明の概要】
【0003】
身体部位内の放射性核種などの放射線医薬品の定量化のための改善された装置を有することは有利であろう。以下の説明において、放射性核種への言及は、放射線医薬品を意味し得る。
【0004】
本発明の目的は、独立クレームの主題により解決され、更なる実施形態が従属クレームに組み込まれる。本発明の以下に説明される態様および例は、身体部位の放射線医薬品定量化、身体部位の放射線医薬品定量化のためのシステム、身体部位の放射線医薬品定量化のための方法、ならびにコンピュータプログラム要素およびコンピュータ可読媒体にも当てはまるということに留意されたい。
【0005】
第1の態様によると、身体部位の放射線医薬品定量化のための装置であって、
- 入力ユニットと、
- 処理ユニットと
を含む装置が提供される。
【0006】
入力ユニットは、処理ユニットに身体部位の少なくとも1つの光子画像を提供するように構成される。少なくとも1つの光子画像は、ガンマ線および/またはX線を検出するように構成される少なくとも1つの光子カメラによって取得されたものである。ここでは、光子画像は、ガンマ画像またはガンマカメラ画像であってもよく、光子カメラはガンマカメラであってもよい。少なくとも1つの光子(ガンマ)画像は、少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊から生じたデータを含むスペクトルエネルギーデータを含む。入力ユニットはまた、処理ユニットに、少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊と関連付けられた特徴的な光子放出エネルギーおよび放出確率を提供するように構成される。処理ユニットは、身体部位内の複数の空間位置における少なくとも1つの放射線医薬品の活量を決定するように構成される。複数の空間位置のうちのある空間位置についての決定は、その空間位置に対応する少なくとも1つの光子(ガンマ)画像内の少なくとも1つの位置についてのスペクトルエネルギーデータから生成される実験スペクトルの生成された合成スペクトルへの相関を含む。合成スペクトルは、モデルスペクトルであると見なされ得る。合成スペクトルの生成は、少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊と関連付けられた光子放出エネルギーおよび放出確率の利用を含む。処理ユニットはまた、身体部位内の少なくとも1つの放射線医薬品の空間分布を決定するように構成される。
【0007】
言い換えると、放射線医薬品に関する既知のデータ(光子放出エネルギーおよび放出確率)から生成される合成スペクトルは、1つまたは放射線医薬品の空間分布が決定されることを可能にするために、実験的に決定されたスペクトルにマッチまたはフィッティングされる。したがって、1つの放射線医薬品が存在するとき、合成スペクトルを取得スペクトルにフィッティングすることによって、散乱および残留光子(例えば、ガンマ線/X線)の効果は、崩壊事象に直接由来する光子(例えば、ガンマ線/X線/制動放射)から切り離され得る。また、例えば、2つ以上の放射線医薬品が存在するとき、2つ以上の放射線医薬品の重複寄与も決定され得る。さらに、このモデル化はまた、放射線医薬品の実際の崩壊に由来する一次光子(例えば、ガンマ線および/またはX線)寄与が、散乱事象および減衰事象の両方と区別されることを可能にし、ここでは光子(例えば、ガンマ線および/またはX線)は、光子(例えば、ガンマ線および/またはX線)カメラ(または検出器)へ向かう途中で散乱されるか減衰されるかのいずれかであり、バックグラウンド宇宙線事象とも区別される。したがって、異なる放射線医薬品を身体部位内で区別することができることに加えて、崩壊事象(一次信号)に直接関係しない信号(散乱、バックグラウンドなど)も一次信号と区別することができるため、データ内のノイズが低減され得る。
【0008】
少なくとも1つの光子(ガンマ)画像は、少なくとも1つのガンマ線画像を含み得る。少なくとも1つの光子(ガンマ)画像は、少なくとも1つのX線画像を含み得る。少なくとも1つの光子カメラは、ガンマ線カメラ/ガンマカメラおよび/またはX線カメラであってもよい。少なくとも1つの放射線医薬品は、少なくとも1つの放射性核種を含み得る。したがって、例えば、227Thおよび/またはI-123および/または223Raなどの放射線医薬品が利用され得、これらは、ガンマ線/X線(光子)などの光子の関連放出によりアルファ粒子/電子/ベータ粒子を放出し、これらの光子の検出が、身体部位内の放射線医薬品を定量化するために使用され得る。
【0009】
例において、入力ユニットは、処理ユニットに少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊の半減期を提供するように構成される。このため、合成スペクトルの生成は、少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊の半減期の利用を含む。この方式では、例えば、227Thおよび223Raの半減期は、227Thおよび223Raの「真の」活量を計算するために使用され得る。
【0010】
この様式では、第1の放射線医薬品の崩壊特徴は、身体部位内の第1の放射線医薬品の空間分布を決定することにおいて考慮され得る。また、2つ以上の放射線医薬品が存在する場合、2つ以上の放射線医薬品の崩壊特徴が、身体部位内の第1および第2の放射線医薬品の空間分布を決定することにおいて考慮され得る。
【0011】
例において、少なくとも1つの放射線医薬品は、第1の放射線医薬品および第2の放射線医薬品を含む。
【0012】
例において、第2の放射線医薬品は、第1の放射線医薬品の崩壊の産物である。したがって、第2の放射性核種は、第1の放射性核種の崩壊の産物であり得る。
【0013】
言い換えると、母放射線医薬品および娘放射線医薬品を互いと区別することができるだけでなく、第2の放射線医薬品が第1の放射線医薬品から派生されるという情報が、実際の取得スペクトルにフィッティングされる合成スペクトルを生成することに使用され得る。
【0014】
しかしながら、第2の放射線医薬品は、第1の放射線医薬品から派生される必要はなく、例えば、Tc-99mまたはI-123であってもよい。
【0015】
例において、入力ユニットは、処理ユニットに、開始時間に対する少なくとも1つの光子(ガンマ)画像の少なくとも1つの取得時間を提供するように構成される。開始時間は、第1の放射線医薬品が、有意量の第2の放射線医薬品を産出するためにまだ崩壊されていない時間と規定される。このため、合成スペクトルの生成は、開始時間に対する少なくとも1つの光子(ガンマ)画像の少なくとも1つの取得時間の利用を含む。
【0016】
言い換えると、第2の放射線医薬品に対する第1の放射線医薬品の予測相対量は、事実上100%の第1の放射線医薬品、または第2の放射線医薬品に対して既知の割合の第1の放射線医薬品が存在した時間に対する画像取得の時間の知識から決定され得る。したがって、参照時間および半減期は、撮像が実施された時点における227Thおよび223Raの予測活量を計算するために使用され得る。
【0017】
例において、合成スペクトルの生成は、身体部位内の光子(例えば、ガンマ放射線)の減衰の決定を含む。
【0018】
例において、少なくとも1つの光子(ガンマ)画像は、第1の画像および第2の画像を含み、第1の画像は、第2の画像が取得された方向とは反対の方向から取得されたものである。
【0019】
言い換えると、光子の減衰が正確にモデル化されるためには特定の位置における身体部位の総厚のみが知られている必要がある、共役視野技術が使用され得る。したがって、身体は、既知の物質から形成されるものとされ得、身体部位の総厚を知ることにより、光子の減衰は、正確にモデル化され得る。
【0020】
例において、入力ユニットは、処理ユニットに複数の空間位置についての身体部位の複数の総厚を提供するように構成される。このため、合成スペクトルの生成は、その空間位置における身体部位の総厚の利用を含む。
【0021】
言い換えると、身体部位の厚さは、減衰の効果が正確に確立されることを可能にする共役視野技術内で使用され得る。例において、少なくとも1つの光子(ガンマ)カメラは、第1の光子(ガンマ)カメラおよび第2の光子(ガンマ)カメラを含む。ここで、2つのカメラへの言及は、2つの検出器を有する1つのカメラを意味し得るか、または各々が検出器を有する2つのカメラを指し得る。
【0022】
この方式では、第1および第2の画像が同時に取得され得、時間分解されたデータを取得することを可能にする。例において、合成スペクトルの生成は、スペクトルエネルギー散乱成分の決定を含む。
【0023】
したがって、崩壊部位から検出器(ガンマカメラ)までの経路上での、例えば、コンプトン散乱を経た散乱光子の効果が考慮され得る。
【0024】
例において、合成スペクトルの生成は、スペクトルエネルギー残留成分の決定を含む。
【0025】
したがって、バックグラウンド事象である、または検出器内のコリメータ浸透または部分的なエネルギー付与からの、光子(ガンマ線/X線など)が考慮され得る。例において、合成スペクトルの生成は、少なくとも1つの光子(ガンマ)カメラのエネルギー分解能の利用を含む。
【0026】
言い換えると、カメラのエネルギー分解能は、取得スペクトルにマッチするモデル化スペクトルを提供するために使用され得る。例において、合成スペクトルの生成は、少なくとも1つの光子(ガンマ)カメラの光子検出効率の利用を含む。
【0027】
第2の態様によると、身体部位の放射線医薬品定量化のためのシステムであって、
- 光子取得ユニットと、
- 第1の態様に従う身体部位の放射線医薬品定量化のための装置と、
- 出力ユニットと、
を含むシステムが提供される。
【0028】
光子取得ユニットは、少なくとも1つの光子(ガンマ)カメラを含む。光子取得ユニットは、少なくとも1つの光子(ガンマ)画像を提供するように構成される。出力ユニットは、身体部位内の少なくとも1つの放射線医薬品の空間分布を含む画像を出力するように構成される。
【0029】
第3の態様において、身体部位の放射線医薬品定量化のための方法であって、
(a)処理ユニットに身体部位の少なくとも1つの光子(ガンマ)画像を提供することであって、少なくとも1つの光子(ガンマ)画像が、少なくとも1つの光子(ガンマ)カメラによって取得されたものであり、少なくとも1つの光子(ガンマ)画像(ガンマ画像)が、少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊から生じたデータを含むスペクトルエネルギーデータを含む、提供することと、
(b)処理ユニットに、少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊と関連付けられた特徴的な光子放出エネルギーおよび放出確率を提供することと、
(c)処理ユニットによって、身体部位内の複数の空間位置において少なくとも1つの放射線医薬品の活量を決定することであって、複数の空間位置のうちのある空間位置の決定が、合成スペクトルを生成し、生成された合成スペクトルを、その空間位置に対応する少なくとも1つの光子(ガンマ)画像内の少なくとも1つの位置についてのスペクトルエネルギーデータから生成される実験スペクトルに相関させるステップ(c1)を含み、合成スペクトルを生成することが、少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊と関連付けられた光子放出エネルギーおよび放出確率を利用することを含む、決定することと、
(d)処理ユニットによって、身体部位内の少なくとも1つの放射線医薬品の空間分布を決定することと、
を含む方法が提供される。
【0030】
別の態様によると、先に説明されるようなコンピュータ要素を格納しているコンピュータ可読媒体が提供される。
【0031】
有利には、上記態様のいずれかによって提供される利益は、他の態様のすべてに等しく当てはまり、その逆も然りである。
【0032】
上記態様および例は、以後説明される実施形態から明らかになり、またそれらを参照して解明される。
【0033】
例示的な実施形態は、以下の図面および表1を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】身体部位の放射性核種定量化のための例の概略的な仕組みを示す図である。
図2】身体部位の放射性核種定量化のためのシステムの例の概略的な仕組みを示す図である。
図3】身体部位の放射性核種定量化のための方法を示す図である。
図4227Thおよび223Raの相対活量の例を示す図である。
図5227Thおよび223Raの取得エネルギースペクトルの例を示す図である。
図6227Thおよび223Raを含む線源からの取得エネルギースペクトル、およびフィッティングされたモデル化エネルギースペクトルの例を示す図である。
図7】理想的な227Thエネルギースペクトルと、スペクトルデータを取得するために使用されるガンマカメラの分解能の効果を含むモデル化エネルギースペクトルと、ガンマカメラの分解能の効果、ならびに減衰および検出器効率の効果を含む、モデル化エネルギースペクトルとを示す図である。
図8227Thおよび223Raの個々の寄与を示す、227Thおよび223Raのモデル化エネルギースペクトルを示す図である。
図9227Thおよび223Raの個々の寄与を示す、227Thおよび223Raのエネルギースペクトルのモデル化散乱成分を示す図である。
図10】エネルギーの関数としての正規化検出器効率を示す図である。
図11227Thおよび223Raの測定活量ならびに227Thおよび223Raのモデル化活量の例を示す図である。
図12】上部では227Thおよび223Raについての身体部位の生の活量画像を示し、下部では、身体部位の放射性核種定量化のための説明される方法に従って進められた、227Thおよび223Raについての身体部位の活量画像が示される図である。 表1は、227Thおよびその娘についての崩壊データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、身体部位の放射線医薬品定量化のための装置10の例を示す。特定の例、および他の図に関するものは、放射性核種定量化に関し、ここでは、少なくとも1つの放射性核種の崩壊が、ガンマ線の放出、および身体部位の少なくとも1つのガンマ画像の生成を引き起こしている。しかしながら、以下に言及される放射性核種以外の放射線医薬品が利用されてもよく(例えば、223Ra、I-123)、例えば、画像はX線画像であり、例えば、カメラはX線カメラである。したがって、少なくとも1つの放射性核種の定量化に関する特定の例は、身体部位内の少なくとも放射線医薬品の定量化に対するより幅広い適用性を有する。図1の特定の例に戻ると、装置10は、入力ユニット20および処理ユニット30を含む。入力ユニット20は、処理ユニット30に身体部位の少なくとも1つのガンマ画像を提供するように構成される。これは、有線またはワイヤレス通信を介する。少なくとも1つのガンマ画像は、少なくとも1つのガンマカメラによって取得されたものである。少なくとも1つのガンマ画像は、少なくとも1つの放射性核種の崩壊から生じたデータを含むスペクトルエネルギーデータを含む。入力ユニット20はまた、処理ユニット30に、少なくとも1つの放射性核種の崩壊と関連付けられた特徴的な光子放出エネルギーおよび放出確率を提供するように構成される。これは、有線またはワイヤレス通信を介する。処理ユニット30は、身体部位内の複数の空間位置における少なくとも1つの放射性核種の活量を決定するように構成される。
【0036】
複数の空間位置のうちのある空間位置についての決定は、その空間位置に対応する少なくとも1つのガンマ画像内の少なくとも1つの位置についてのスペクトルエネルギーデータから生成される実験スペクトルへの生成された合成スペクトルの相関を含む。合成スペクトルの生成は、少なくとも1つの放射性核種の崩壊と関連付けられた光子放出エネルギーおよび放出確率の利用を含む。処理ユニット30はまた、身体部位内の少なくとも1つの放射性核種の空間分布を決定するように構成される。したがって、少なくとも1つのカメラからの計数「画像」、およびそれら計数の空間分布は、身体部位内の少なくとも1つの放射線医薬品(少なくとも1つの放射性核種など)の空間分布にマッピングし戻すために使用され得る。
【0037】
例において、少なくとも1つの放射性核種の崩壊と関連付けられた光子放出エネルギーおよび放出確率は、データベース40から提供される。したがって、第1の放射性核種の崩壊と関連付けられた光子放出エネルギーおよび放出確率、ならびに第2の放射性核種の崩壊と関連付けられた光子放出エネルギーおよび放出確率は、データベース40から提供される。2つの放射性核種が存在する場合、それらの放射性核種のうちの少なくとも一方は、娘放射性核種を有し得る。
【0038】
例において、生成された合成スペクトルの実験スペクトルへの相関は、実験スペクトルに最もよくマッチする合成スペクトルを生成することを含む。
【0039】
例において、第1の放射性核種は、トリウム227である。例において、第2の放射性核種は、ラジウム223である。
【0040】
例において、身体部位内の空間位置に対応する少なくとも1つのガンマ画像内の少なくとも1つの位置は、ガンマカメラの1つの画素、したがって画像内の1つの画素と関連付けられる。したがって、少なくとも1つの放射性核種(第1の放射性核種および第2の放射性核種であり得る)の量は、各画素内で理論上のスペクトルを実験的なエネルギースペクトルにフィッティングすることによって決定され得る。この方式では、カメラの各画素を検討し、画像内の画素と相関させることによって、少なくとも1つの放射性核種(例えば、第1および第2の放射性核種)の空間分布が、少なくとも1つの画像内、したがって身体部位内で決定され得る。ここで、「画素」は、カメラの「相互作用の場」であると見なされ得る。
【0041】
例において、入力ユニットは、少なくとも1つのカメラである。
【0042】
例によると、入力ユニットは、処理ユニットに少なくとも1つの放射性核種の崩壊の半減期を提供するように構成され、合成スペクトルの生成は、少なくとも1つの放射性核種の崩壊の半減期の利用を含む。
【0043】
例によると、少なくとも1つの放射性核種は、第1の放射性核種および第2の放射性核種を含む。
【0044】
例において、第1の放射線医薬品および第2の放射線医薬品が患者に投与され、これは、例では、患者に投与される第1の放射性核種および第2の放射性核種である。
【0045】
例によると、第2の放射性核種は、第1の放射性核種の崩壊の産物である。
【0046】
例によると、入力ユニットは、処理ユニットに、開始時間に対する少なくとも1つのガンマ画像の少なくとも1つの取得時間を提供するように構成される。開始時間は、第1の放射線核種が、有意量の第2の放射線核種を産出するためにまだ崩壊されていない時間と規定される。このため、合成スペクトルの生成は、開始時間に対する少なくとも1つのガンマ画像の少なくとも1つの取得時間の利用を含む。したがって、この情報は、少なくとも1つの画像の取得時間における少なくとも1つの放射性核種の活量を決定することに使用され得る。
【0047】
例によると、合成スペクトルの生成は、投影に沿ったガンマ線の減衰の決定を含む。
【0048】
例において、決定は、距離および線減衰係数の積の指数関数を含む。
【0049】
例によると、少なくとも1つのガンマ画像は、第1の画像および第2の画像を含む。第1の画像は、第2の画像が取得された方向と反対の方向から取得されたものである。例において、前方および後方画像は、カメラの2つの検出器によって、または各々が検出器を有する2つのカメラによって、同時に取得され得る。
【0050】
例において、第1の画像は、第2の画像の取得時間とは異なる時間に取得される。言い換えると、単一のガンマカメラが、例えば、身体部位に対するカメラの回転により、第1および第2の画像を取得するために使用され得る。
【0051】
例によると、入力ユニットは、処理ユニットに複数の空間位置についての身体部位の複数の総厚を提供するように構成される。このため、合成スペクトルの生成は、空間位置における身体部位の総厚の利用を含む。
【0052】
例において、複数の総厚は、少なくとも1つのガンマ画像の取得に加えて取得されたスカウト走査に基づいて提供される。スカウト走査は、例において、CTローカライゼーション画像と呼ばれ得る。
【0053】
例によると、少なくとも1つのガンマカメラは、第1のガンマカメラおよび第2のガンマカメラを含む。
【0054】
例によると、合成スペクトルの生成は、スペクトルエネルギー散乱成分の決定を含む。
【0055】
例において、スペクトルエネルギー散乱成分は、第1および第2の核種ならびに放出エネルギーにわたる合計として決定され、放出収率およびガンマカメラ効率によって変調される。
【0056】
例によると、合成スペクトルの生成は、スペクトルエネルギー残留成分の決定を含む。
【0057】
例において、スペクトルエネルギー残留成分は、エネルギーに対して一定である。これが、モデル化の単純化を提供する。
【0058】
例によると、合成スペクトルの生成は、少なくとも1つのガンマカメラのエネルギー分解能の利用を含む。
【0059】
例において、少なくとも1つのガンマカメラのエネルギー分解能の利用は、ガウス関数を使用してエネルギー分解能をモデル化することを含む。
【0060】
例によると、合成スペクトルの生成は、少なくとも1つのガンマカメラの検出器効率の利用を含む。
【0061】
例において、検出器効率の利用は、相対スペクトル効率の利用を含む。例において、検出器の相対効率は、モンテカルロシミュレーションにより決定される。例において、相対スペクトル効率は、モンテカルロシミュレーションにより決定される。
【0062】
例において、ガンマ線検出効率の利用は、ガンマカメラの較正を含む。
【0063】
図2は、身体部位の放射性核種定量化のためのシステム100であって、
- ガンマ取得ユニット110と、
図1に関して説明される例のいずれかに従う身体部位の放射性核種定量化のための装置10と、
- 出力ユニット120と
を含む、システム100の例を示す。
【0064】
ガンマ取得ユニット110は、少なくとも1つのガンマカメラ130を含む。ガンマ取得ユニット110は、少なくとも1つのガンマ画像を提供するように構成される。出力ユニット120は、身体部位内の少なくとも1つの放射線核種の空間分布を含む画像を出力するように構成される。
【0065】
例において、出力ユニットは、身体部位内の第1の放射性核種の空間分布および身体部位内の第2の放射性核種の空間分布を含む画像を出力するように構成される。
【0066】
図3は、身体部位の放射性核種定量化のための方法200を、その基本ステップにおいて示す。方法200は、
ステップ(a)とも称される、提供するステップ210において、処理ユニット30に身体部位の少なくとも1つのガンマ画像を提供することであって、少なくとも1つのガンマ画像が、少なくとも1つのガンマカメラによって取得されたものであり、少なくとも1つのガンマ画像が、少なくとも1つの放射線核種の崩壊から生じたデータを含むスペクトルエネルギーデータを含む、提供することと、
ステップ(b)とも称される、提供するステップ220において、処理ユニットに、少なくとも1つの放射線核種の崩壊と関連付けられた特徴的な光子放出エネルギーおよび放出確率を提供することと、
ステップ(c)とも称される、決定するステップ230において、処理ユニットによって、身体部位内の複数の空間位置において少なくとも1つの放射線核種の活量を決定することであって、複数の空間位置のうちのある空間位置の決定が、合成スペクトルを生成し、生成された合成スペクトルを、その空間位置に対応する少なくとも1つのガンマ画像内の少なくとも1つの位置についてのスペクトルエネルギーデータから生成される実験スペクトルに相関させることに関与する、ステップ(c1)とも称される、生成するステップ240を含み、合成スペクトルを生成することが、少なくとも1つの放射線核種の崩壊と関連付けられた光子放出エネルギーおよび放出確率を利用することを含む、決定することと、
(d)とも称される、決定するステップ250において、処理ユニットによって、身体部位内の少なくとも1つの放射線核種の空間分布を決定すること、
とを含む。
【0067】
例において、入力ユニット20は、処理ユニット30に少なくとも1つのガンマ画像を提供するように構成される。
【0068】
例において、入力ユニット20は、処理ユニット30に、第1の放射性核種の崩壊と関連付けられた特徴的な光子放出エネルギーおよび放出確率、ならびに第2の放射性核種の崩壊と関連付けられた光子放出エネルギーおよび放出確率を提供するように構成される。
【0069】
例において、少なくとも1つの放射性核種は、第1の放射性核種および第2の放射性核種を含む。
【0070】
例において、ステップ(c1)は、第1の放射性核種の崩壊の半減期を利用すること260を含む。
【0071】
例において、ステップ(c1)は、第2の放射性核種の崩壊の半減期を利用すること270を含む。
【0072】
例において、入力ユニット20は、処理ユニット30に半減期データを提供するように構成される。
【0073】
例において、第2の放射性核種は、第1の放射性核種の崩壊の産物である。
【0074】
例において、ステップ(c1)は、開始時間に対する少なくとも1つのガンマ画像の少なくとも1つの取得時間を利用すること280を含み、開始時間は、第1の放射性核種が有意量の第2の放射性核種を産出するためにまだ崩壊されていない時間と規定される。
【0075】
例において、ステップ(c1)は、身体部位内のガンマ線の減衰を決定すること290を含む。
【0076】
例において、少なくとも1つのガンマ画像は、第1の画像および第2の画像を含み、第1の画像は、第2の画像が取得された方向とは反対の方向から取得されたものである。
【0077】
例において、本方法は、処理ユニットに、複数の空間位置についての身体部位の複数の総厚を提供することを含み、ステップ(c1)は、その空間位置における身体部位の総厚を利用すること300を含む。
【0078】
例において、少なくとも1つのガンマカメラは、第1のガンマカメラおよび第2のガンマカメラを含む。
【0079】
例において、合成スペクトルの生成は、スペクトルエネルギー散乱成分の決定を含む。
【0080】
例において、ステップ(c1)は、スペクトルエネルギー残留成分を決定すること310を含む。
【0081】
例において、ステップ(c1)は、少なくとも1つのガンマカメラのエネルギー分解能を利用すること320を含む。
【0082】
例において、ステップ(c1)は、少なくとも1つのガンマカメラのガンマ線検出効率を利用すること330を含む。
【0083】
身体部位の放射性核種定量化のための装置、システム、および方法は、これより図4図12および表1とを併せてより詳細に説明される。
【0084】
以下は、227Thを用いた標的放射性核種治療を受ける患者を対象とする、227Thおよび223Ra(その娘核種を含む)の同時定量化の特定の例についての、身体部位の放射性核種定量化のための上に説明された装置、システム、および方法に関する。この設定でのガンマカメラ撮像は、地上線源および宇宙線源からの大きいバックグラウンド寄与に加えて、投与される低い活量(1.4~7MBqの範囲の227Th)、放射性核種の低い光子放出収率、測定データ内の227Thおよび223Raからの重複寄与に起因して、独自の課題をもたらす。特定の例は、227Thおよび223Raの定量化に関するが、ここで説明される方法論は、他の放射性核種に適用され得るということに留意されたく、一方の放射性核種が、他方の放射性核種から派生される必要はない。
【0085】
227Thおよびその娘の崩壊
227Thは、7ステップの連続崩壊で崩壊して安定した鉛(207Pb)となる。227Thおよびその娘の崩壊データは表1に示される。アルファ粒子が、連続崩壊において平均して解放される33.7MeVの96%を占め、ベータ粒子および変換電子が3%を占める。総エネルギーの1%のみが、ガンマ放射線および特徴的なX線として解放される。したがって、アルファ粒子放射性核種治療に使用される低量の活量は、これらの核種の崩壊における低い光子収率と合わせて、上に説明されるように定量化撮像にとっての課題であり、この課題は、現在説明される身体部位の放射性核種定量化のための装置、システム、および方法によって解決されている。
【0086】
表1を参照すると、227Thが、18.7日の半減期(T1/2)で崩壊して223Raとなる。娘223Raは、次いで、11.4日の半減期で崩壊する。これは、227Thの密閉試料内に存在する223Raの量が、時間と共に増加(「増強」)し、およそ21日後、227Th活量を超えることを意味する。
【0087】
227Th活量AThは、以下の指数崩壊に従う。
Th(t)=ATh(0)eλTht(1)
式中、λは、
【0088】
【数1】
【0089】
によって得られる崩壊定数である。
223Ra活量ARaは、以下のように記述され得る。
【0090】
【数2】
【0091】
式中、ATh(0)およびARa(0)は、それぞれ、時間t=0における227Thおよび223Raの初期活量である。
【0092】
図4は、等式(1)および(2)を使用して計算される、化学分離後の時間の関数としての(すなわち、t=0における純粋な227Thの試料を仮定)227Thの崩壊ならびに223Raの増強および崩壊を例証する。表1に示されるように、他の娘は、223Raに対して非常に短い半減期を有し、それらが223Raから207Pbへの遷移における、中間の、および実際には瞬時の、ステップであると見なされ得ることを意味する。しかしながら、ここに提示される論考に従って、36分の半減期での遷移211Pb→211Biが、必要な場合には考慮され得る。したがって、この論考において、223Raは、その娘と平衡であると見なされ得る。
【0093】
227Thおよび娘を有する223Raのガンマカメラエネルギースペクトル
およそ10~830keVのエネルギー範囲内で、227Th/223Raの崩壊チェーンにおいて放出される、1%より高い確率を有する34の異なる光子放出が存在する。図5は、それぞれ、純粋な227Th、および娘と平衡にある223Raを有する線源の取得エネルギースペクトルを示す。線源は、「空気中で」測定されており、そのようなものとして、線源とガンマカメラとの間には散乱は存在しないものと見なされ得る。上に論じられるように、通常、ガンマカメラ画像は、ハードウェアエネルギー弁別、すなわち、離散光子エネルギーのうちの1つまたはいくつかを中心とするエネルギー受容窓、を使用することによって取得される。しかしながら、図5に示されるように、エネルギー受容窓が位置付けられる場所にかかわらず、両方の同位体(核種)から全信号への信号寄与が存在し、それにより、227Thと223Raとの間に空間的重複が存在する場合には、信号を互いから分離することに困難が生じる。さらに、放射性核種が1つしか存在しないときにさえ、一次事象(崩壊部位から直接入ってくるガンマ線)間で、例えば、宇宙バックグラウンドから散乱された、または宇宙バックグラウンドから入ってくるガンマ線と区別することは困難な場合がある。227Thおよび223Raに関する論考を継続すると、390keVを上回るエネルギー領域は、227Th信号から自由であるが、これらの高いエネルギーでの低い計数率および不十分な光子コリメーション(崩壊位置付け)に起因して、このエネルギー領域は、この場合、撮像には最適以下である。したがって、ガンマカメラは、約50~350keVのエネルギーを有する光子の検出のために最適化されており、有用な信号に実際に寄与する放出の数が図5に示されるものよりも低いことを意味する。エネルギー受容窓を使用する代わりに、現在説明される身体部位の放射性核種定量化のための装置、システム、および方法は、スペクトル画像データ、すなわち、画像全体、または画像内の個々の画素のいずれかについてのエネルギースペクトルからなるデータセットに依存する。
【0094】
エネルギースペクトルモデルおよび測定データへのフィッティング
現在説明される身体部位の放射性核種定量化のための装置、システム、および方法は、画像品質を改善し、放射性核種分離を改善し、定量化の性能を改善する。新規の方法は、理論上のモデルを各ガンマ画像内の取得エネルギースペクトルにフィッティングすることに基づく。理論上のモデルは、検出されるエネルギースペクトルがどのように見えるかを説明する。理論上のモデルは、放射線伝播に関する物理的原理、およびデータベース内で見ることができる放射性核種についての既知の崩壊データを使用する。加えて、特徴付けされている検出器の関連プロパティが使用される。
【0095】
以下は、本方法の展開を説明する。
放射線源から放出される光子は、ガンマカメラ検出器まで直接進んでこれに吸収され得るか、または、これらの光子は、患者内で相互作用し、これらの光子が検出される前に方向を変えてエネルギーを損失し得るか、のいずれかである。他の潜在的な選択肢は、高エネルギー光子が、周囲の他の場所での相互作用または散乱なしにカメラを通過し、その後検出器結晶内に吸収されることである。2つの検出された光子は、同じ起源および検出器への道筋を有さないが、これより説明されるようにスペクトルをモデル化することが可能である。エネルギースペクトルは、1)一次成分P、2)散乱成分S、および3)残留成分Rという3つの成分の合計として、以下に従ってモデル化されている。
【0096】
【数3】
【0097】
エネルギースペクトルの一次成分は、崩壊位置から検出器へ直接進み、結晶内に完全に吸収される光子を表す。散乱成分は、検出器に行く途中で、方向が変化しエネルギーを損失した光子を表す。第3の成分、残留は、測定スペクトルに寄与する他の潜在的な事象、例えば、検出される前にコリメータまたはカメラの他の部分内で散乱した光子を表す。これらの個々の成分、およびこれらがどのようにモデル化されているかは、以下により詳細に論じられる。
【0098】
モデルの動作を例証するため、図6は、患者内の227Thおよび223Ra核種の両方からのガンマ放出についてのそのような取得エネルギースペクトル(実線-ノイズあり)を示す。合成エネルギースペクトル(実線-平滑)は、取得データにフィッティングされている。図6において、実際の取得データにフィッティングされている合成エネルギースペクトルは、227Thおよび223Ra核種両方の崩壊事象からの一次光子を説明し、これは、上に説明されるように、崩壊部位から進み、検出器内に吸収された光子に関する。合成エネルギースペクトルはまた、検出器効率、検出器エネルギー分解能、ならびに患者内の光子減衰および散乱、さらには残留ガンマ線寄与を考慮する。図6において、画素ごとに計算された、一次227Th成分(点線)および一次223Ra(波線-単点線)は、これらの放射性核種の空間分布が取得画像データ上に提示されることを可能にし、一次成分のフィッティングパラメータは、227Thおよび223Raそれぞれの活量に等しい。
【0099】
図6では、散乱成分(破線-三重点線)および患者を通るガンマ線の減衰が考慮されており、バックグラウンド信号の残留も同様である(図6には示されない)。したがって、一次寄与以外の信号への寄与が決定されており、信号減衰の効果も考慮されているため、一次寄与の正確性が向上され、ノイズが低減される。したがって、画素ごとのモデルフィッティングを実施することによって、2つの放射性核種の空間分布の二次元画像を得ること、および1つの放射性核種の場合には、画像品質を改善することが可能である。したがって、要するに、本方法論は、エネルギー窓取得に依存する従来の方法により得られるものと比較して、改善された画像品質、放射性核種分離、および計数統計ノイズに対する回復力を提供する。
【0100】
一次成分
理想のシナリオにおいては、ガンマカメラは、放射性崩壊からのすべての放出光子を検出し、それらのエネルギーを完璧な正確性で測定する。エネルギースペクトル内のピークは、放射性核種の活量および放出の確率に比例する高さで、非常に狭い。しかしながら、検出器は理想的ではない。光子は、それらのエネルギーに依存する特定の確率でのみ検出され、エネルギースペクトルは、検出器の限られたエネルギー分解能に起因して、光子エネルギーを中心にした幅広いピークを示す。さらに、内部線源から放出される光子は、散乱および吸収によって患者の組織内で減衰され、それにより完全な吸収ピークから失われる。
【0101】
図7は、上に説明される状況を表す。図7では、227Thについての例が挙げられるエネルギースペクトル内の一次成分がモデル化されている。図7の上のパネルには、227Th崩壊から放出されるすべての光子が、完璧なエネルギー測定により検出される理想のスペクトルが示される。図7の真ん中のパネルには、不完全なエネルギー測定、すなわち、ガンマカメラの限られたエネルギー分解能、の効果を含むエネルギースペクトルが示される。図7の下のパネルには、エネルギー分解能、10cmの深さでの光子減衰、および検出器効率の効果を含むエネルギースペクトルが示される。したがって、図7は、理想のスペクトル、ならびにガンマカメラのエネルギー分解能、検出器効率、および光子減衰の影響を例証する。エネルギー分解能がスペクトルの視覚的特徴に影響を及ぼすということ、ならびに検出器効率および光子減衰が主に、cps/MBq/keVに関して絶対検出値に影響を及ぼすということが分かる。
【0102】
放射性核種q(すなわち、227Thまたは223Ra)の一次成分Pは、以下のようにモデル化されている。
(E)=(Σε(Eq,i)nγ,q,i-μ(Eq,i)dG(E,Eq,i)))(4)
式中、ε(Eq,i)は、光子エネルギーEq,iの検出器効率であり、nγ,q,iは、核種qの崩壊からの光子iの放出収率であり、e-μ(Eq,i)dは、深さdから生じるエネルギーEiを有する光子iの減衰係数であり、G(E,Eq,i)は、以下に説明される等式(9)によって得られるエネルギー分解能関数である。
混合227Th/223Raスペクトルの一次成分は、したがって、以下のようにモデル化されている。
P(E)=Σ(E) (5)
【0103】
式中、Aは、上に説明されるように、モデルを測定スペクトルにフィッティングすることにより導出される核種qの活量[MBq]である。図8は、227Thおよび223Raの一次成分Pの例、ならびにそれらの寄与の合計を示す。示されるデータでは、ATh=ARa=1MBqである。図8において、227Thおよび223Raについてのエネルギースペクトルモデルの一次成分Pは、等しい活量ATh=ARa=1MBqで、等式(5)を使用して計算された合計寄与を用いて、等式(4)を使用して計算されている。アスタリスク(*)は、223Raがその娘と平衡にあると仮定されていることを示す。
【0104】
散乱成分
一次光子、すなわち、崩壊部位から検出器へ直接進む光子に加えて、検出前に患者内でのコンプトン散乱を経た光子からの寄与も存在する。散乱光子は、それらが放射性崩壊の位置に由来せず、それにより、放射線のない位置においてガンマ画像内の計数をもたらすという意味で、望ましくない信号寄与をもたらす。散乱光子のエネルギーは、常に、散乱された元の光子よりも低く、理論上は、そのエネルギーの測定によって一次光子から区別され得る。しかしながら、前の章で論じられるように、検出器のエネルギー分解能は、一般的に、適切な弁別に必要とされるものに見合っていない。代わりに、身体部位の放射性核種定量化のための本装置、システム、および方法においては、測定スペクトル内の散乱光子からの寄与はモデル化されている。これは、単一の光子エネルギーEq,iによってもたらされる散乱寄与Sq,(E)の形状が、以下の表現によって近似され得ることを計算することによって行われている。
【0105】
【数4】
【0106】
式中、γは、1から0への遷移の傾斜(「鋭さ」)を説明するパラメータである。一次成分の様式と同様の様式において、完全な散乱成分が、放射性核種および放出エネルギーにわたる合計としてモデル化され、以下に従って放出収率および検出器効率によって変調される。
【0107】

S(E)=Σ=Σ(ε(E)Σγ,q,iq,i(E)) (7)
【0108】
式中、フィッティングパラメータBは、散乱振幅である。散乱振幅は、測定スペクトル内の散乱光子の量の尺度である。図9は、エネルギースペクトルモデルの227Thおよび223Raついての散乱成分Sを個々に例証するものであり、これらは、等式(7)およびそれらの寄与の合計を使用して計算される。この例では、BTh=BRaであると見なされている。アスタリスク(*)は、223Raがその娘と平衡にあると仮定されていることを示す。
【0109】
残留成分
残留成分は、原則的に、一次光子または患者内で散乱されている光子のうちのいずれかであると見なすことができない他のすべての光子を表すべきである。残留光子はむしろ、例えば、コリメータ浸透および検出器結晶内の部分的なエネルギー付与から、検出器ヘッド、コリメータ、長椅子内の散乱から、または走査室内の他の場所から生じ得る。加えて、以下に説明されるバックグラウンド除去を用いた、バックグラウンド除去により完全に補償されない、バックグラウンド宇宙および地上放射線からの高められた寄与が存在し得る。これらの寄与は、エネルギーに対して一定である、すなわち、以下であるとしてモデル化されている、残留成分に統合される。
R(E)=C (8)
【0110】
この手法は、明らかに、実際の残留寄与の単純化であるが、しかしながら、モデル化された合成エネルギースペクトルの取得エネルギースペクトルへの必要とされるフィッティングを得るには十分であることが分かっており、そのような単純化は、計算効率も提供する。
【0111】
モデル入力
測定スペクトルをモデル化し、それにより、フィッティングパラメータAが画素活量を正確に反映することを保証するために、固定モデルパラメータが確立される必要がある。光子放出エネルギー(Eq,)および確率(nγ,,)、ならびに半減期(T1/2)は、放射性核種の以前の崩壊に関して原子物理学コミュニティによって確立されている。例えば、関連する固定モデルパラメータデータは、National Nuclear Data CenterのNuDat 2インターフェース、http://www.nndc.bnl.gov/nudat2/から収集することができる。他の固定パラメータは、光子減衰、ならびに使用される特定のガンマカメラの特徴、例えば、そのスペクトルエネルギー分解能および検出器効率、に関するものを含む。
【0112】
ガンマカメラエネルギー分解能
図6および図7に示されるように、ガンマカメラの有限のエネルギー分解能は、エネルギースペクトル内の特徴を広げることをもたらす。ガンマカメラのエネルギー分解能は、以下に従って、エネルギーEq,iを中心とする単位面積でガウス関数(E,)を使用して、分析的にモデル化されている。
【0113】
【数5】
【0114】
式中、標準偏差(幅)σは、エネルギー依存であり、以下のようにモデル化されている。
【0115】
【数6】
【0116】
式中、σ(Eref)は、参照エネルギーErefにおける既知のエネルギー分解能である。この特定の例において、Erefは、227Thからの最も顕著な光子放出の光子エネルギーに対応する、236keVに設定された。この参照エネルギーにおけるエネルギー分解能(Eref)は、8%に設定されており、したがって8%@236keVであった。この値には、モデルスペクトル内の236keVピークの幅を測定スペクトル内の対応する幅に一致させるための手動調整によって達した。特定のガンマカメラでは、そのエネルギー分解能をモデル化するために同様の手動調整プロセスが取られ得るか、またはこれは明示的に測定され得る。
【0117】
検出器効率
検出器効率は、線源によって放出される光子の数に対する完全吸収ピークにおいて検出される光子の数の比率と定義されている。検出器の効率は、非自明な様式で、入ってくる光子エネルギーに依存する。これを決定するために、モンテカルロシミュレーションを使用して、ガンマカメラに作用する様々なエネルギーを有する単一エネルギー光子をシミュレートした。これらのシミュレーションから、図10に例証される、エネルギーの関数としての相対効率が導出された。相対効率曲線は、236keVにおいて1つに正規化されている。そのようなモンテカルロシミュレーションの使用についての更なる詳細は、以下の論文:Michael Ljungberg, Sven-Erik Strand, A Monte Carlo program for the simulation of scintillation camera characteristics, Computer Methods and Programs in Biomedicine, Volume 29, Issue 4, 1989, Pages 257-272, ISSN 0169-2607で見ることができる。
【0118】
相対効率を絶対効率に変換するために、227Thおよび223Raの既知の活量(227Thの崩壊によってもたらされる)を有する試料のガンマカメラ測定が、検出器と線源との間にいかなる減衰および散乱材料もなしに実行された。測定は、227Thおよび223Raの活量が変化するように、4つの異なる場合について実施された。活量は、上に説明されるように(減衰はないと仮定して)定量化され、絶対効率は、4つすべての時点において両方の放射性核種についての既知の活量に合わせることにより決定された。
【0119】
光子減衰
上に論じられるように、スペクトルモデルは、一次成分および散乱成分に分けられ、減衰の影響は、一次成分においてのみモデル化されている。深さdで線源から放出されるエネルギーEの一次光子の減衰は、e-μ(E)によって得られ、式中、μは、光子エネルギーEにおける、線源が位置する媒体の線減衰係数である。線減衰係数は、例えば、NIST(National Institute of Standards and Technology)によってまとめられたデータベース、https://nist.gov/pml/xcom-photon-cross-sections-database、において見ることができる。
【0120】
平面ガンマカメラ撮像の主な欠点のうちの1つは、投影方向(d)における線源深さが未知であり、したがって減衰を予測することが困難であり得ることである。しかしながら、エネルギースペクトルは、この問題を軽減するために、2つの対向する投影を用いた共役視野技術を使用して取得された。これより共役視野技術について簡単に論じられる。
【0121】
前方皮膚表面および後方皮膚表面それぞれからの深さdantおよびdpostにおける仮定上の点線源、ならびに線源の位置における患者/ファントム厚さが2d=dant+dpostであるということを検討する。前方および後方投影における計数は、それぞれ
【0122】
【数7】
【0123】
および
【0124】
【数8】
であり、幾何平均NGMは以下のようになる。
【0125】
【数9】
【0126】
したがって、幾何平均における計数は、線源の位置における総厚のみに依存し、深さ方向における線源位置には依存しない。共役視野方法論は、特定の位置におけるファントム/患者の半減厚とされるdを用いた等式(5)を使用して一次光子をモデル化することによって実施され、モデル化されたスペクトルは、共役視野技術を使用して取得されたスペクトルにフィッティングされた。
【0127】
各位置における半減厚は、コンピュータトモグラフィ(CT)ローカライザ画像(「スカウト」)に基づいて決定された。一連のファントム測定は、スカウト画像内の画素値の関数としての厚さの検量線を得るために実施した。
【0128】
バックグラウンド補正
取得した画像データのバックグラウンド補正は、以下のように、10時間にわたって取得されるバックグラウンド画像の除去によって実施した。
【0129】
【数10】
【0130】
式中、Iは、バックグラウンド補正された画像であり、Iacqは、取得持続時間tacqでの取得画像であり、Ibkgは、取得持続時間tbkg(=10h)でのバックグラウンド画像である。バックグラウンド除去は、各画素およびエネルギービンについて別々に実施された。
【0131】
空間フィルタリング
画像内の貧しい信号対ノイズ比の効果を軽減するために、空間フィルタが、更なる処理およびモデルフィッティングの前に適用された。バックグラウンドを含むすべての画像が、正規化5×5平滑化カーネルksによって畳み込まれた。空間フィルタリングは、各エネルギービンについて別々に実施された。
【0132】
画素ごとのモデルフィッティング
画像内の各画素への理論上のモデルのフィッティングは、IDLのためのMPFITコードライブラリを利用したソフトウェアを使用して実施された。The MPFIT Library for IDL, Craig B. Markwardtは、https://www.physics.wisc.edu/~craigm/idl/fitting.htmlにおいて入手可能である。要するに、モデル化合成エネルギースペクトルは、Levenberg-Marquardt技術を使用してx値(モデルとデータとの重み付けされた偏差平方和)を最小限にすることによって、取得エネルギースペクトルにフィッティングされる。ミニマイザは、フィッティングパラメータの各々について初期予測を必要とする。各画素内のAThおよびARaの初期予測は、既定のエネルギー窓内の計数率およびこのエネルギーでの検出器効率に基づいて予測された。ミニマイザはまた、x値を計算するときに重みを割り当てるために、測定不確実性が各データ点に関連付けられることを必要とした。これらの不確実性は、生データのポアソン統計を仮定し、バックグラウンド補正および空間フィルタリングを通じてこれらの不確実性を伝搬して、各画素およびエネルギービンについて計算された。
【0133】
結果
図11は、等式(1)および(2)によって得られるモデリングを通じて決定される、測定された合計227Thおよび223Ra活量および関連付けられた理論上の値を示す。測定データは、両方の放射性核種(同位体)の崩壊および増強の比率をよく捉える。測定活量とモデル化活量との間の取り決めは、現在説明される装置、システム、および方法が、放射性核種を含む身体部位のガンマカメラ撮像に基づいた、身体部位の放射性核種定量化を提供することを示す。これは、図12において例が挙げられ、図12は、上の2つのウィンドウにおいて、エネルギー窓を使用した前方計数画像(227Thおよび223Raそれぞれの撮像の標準画像/典型的なガンマカメラ画像)、および下の2つのウィンドウにおいて、身体部位の放射性核種定量化のための現在説明される方法を使用した同じ患者からの活量画像を示す。
【0134】
以下の実施例は、本発明に関する。
【実施例
【0135】
実施例1
身体部位の放射線医薬品定量化のための装置であって、
- 入力ユニットと、
- 処理ユニットとを含み、
入力ユニットが、処理ユニットに身体部位の少なくとも1つの光子画像を提供するように構成され、
少なくとも1つの光子画像が、ガンマ線および/またはX線を検出するように構成される少なくとも1つの光子カメラによって取得されたものであり、
少なくとも1つの光子画像が、少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊から生じたデータを含むスペクトルエネルギーデータを含み、
入力ユニットが、処理ユニットに、少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊と関連付けられた特徴的な光子放出エネルギーおよび放出確率を提供するように構成され、
処理ユニットが、身体部位内の複数の空間位置における少なくとも1つの放射線医薬品の活量を決定するように構成され、
複数の空間位置のうちのある空間位置についての決定が、その空間位置に対応する少なくとも1つの光子画像内の少なくとも1つの位置についてのスペクトルエネルギーデータから生成される実験スペクトルへの生成された合成スペクトルの相関を含み、
合成スペクトルの生成が、少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊と関連付けられた光子放出エネルギーおよび放出確率の利用を含み、
処理ユニットが、身体部位内の少なくとも1つの放射線医薬品の空間分布を決定するように構成される、装置。
【0136】
実施例2
入力ユニットが、処理ユニットに少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊の半減期を提供するように構成され、合成スペクトルの生成が、少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊の半減期の利用を含む、実施例1に記載の装置。
【0137】
実施例3
少なくとも1つの放射線医薬品が、第1の放射線医薬品および第2の放射線医薬品を含む、実施例1または2に記載の装置。
【0138】
実施例4
第2の放射線医薬品が、第1の放射線医薬品の崩壊の産物である、実施例3に記載の装置。
【0139】
実施例5
入力ユニットが、処理ユニットに、開始時間に対する少なくとも1つの光子画像の少なくとも1つの取得時間を提供するように構成され、開始時間が、第1の放射線医薬品が有意量の第2の放射線医薬品を産出するためにまだ崩壊されていない時間と規定され、合成スペクトルの生成が、開始時間に対する少なくとも1つの光子画像の少なくとも1つの取得時間の利用を含む、実施例3または4に記載の装置。
【0140】
実施例6
合成スペクトルの生成が、身体部位内の光子の減衰の決定を含む、実施例1~5のいずれか一項に記載の装置。
【0141】
実施例7
少なくとも1つの光子画像が、第1の画像および第2の画像を含み、第1の画像が、第2の画像が取得された方向とは反対の方向から取得されたものである、実施例1~6のいずれか一項に記載の装置。
【0142】
実施例8
入力ユニットが、処理ユニットに複数の空間位置についての身体部位の複数の総厚を提供するように構成され、合成スペクトルの生成が、その空間位置における身体部位の総厚の利用を含む、実施例7に記載の装置。
【0143】
実施例9
少なくとも1つの光子カメラが、第1の光子カメラおよび第2の光子カメラを含む、実施例7または8に記載の装置。
【0144】
実施例10
合成スペクトルの生成が、スペクトルエネルギー散乱成分の決定を含む、実施例1~9のいずれか一項に記載の装置。
【0145】
実施例11
合成スペクトルの生成が、スペクトルエネルギー残留成分の決定を含む、実施例1~10のいずれか一項に記載の装置。
【0146】
実施例12
合成スペクトルの生成が、少なくとも1つの光子カメラのエネルギー分解能の利用を含む、実施例1~11のいずれか一項に記載の装置。
【0147】
実施例13
合成スペクトルの生成が、少なくとも1つの光子カメラの光子検出効率の利用含む、実施例1~12のいずれか一項に記載の装置。
【0148】
実施例14
身体部位の放射線医薬品定量化のためのシステムであって、
- 光子取得ユニットと、
- 実施例1~13のいずれか一項に記載の身体部位の放射線医薬品定量化のための装置と、
- 出力ユニットとを含み、
光子取得ユニットが、少なくとも1つの光子カメラを含み、取得ユニットが、少なくとも1つの光子画像を提供するように構成され、
出力ユニットが、身体部位内の少なくとも1つの放射線医薬品の空間分布を含む画像を出力するように構成される、システム。
【0149】
実施例15
身体部位の放射線医薬品定量化のための方法であって、
(a)処理ユニットに身体部位の少なくとも1つの光子画像を提供することであって、少なくとも1つの光子画像が、ガンマ線および/またはX線を検出するように構成される少なくとも1つの光子カメラによって取得されたものであり、少なくとも1つの光子画像が、少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊から生じたデータを含むスペクトルエネルギーデータを含む、提供することと、
(b)処理ユニットに、少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊と関連付けられた特徴的な光子放出エネルギーおよび放出確率を提供することと、
(c)処理ユニットによって、身体部位内の複数の空間位置における少なくとも1つの放射線医薬品の活量を決定することであって、複数の空間位置のうちのある空間位置についての決定が、
(c1)少なくとも1つの放射線医薬品の崩壊と関連付けられた光子放出エネルギーおよび放出確率を利用することを含む、合成スペクトルを生成すること、ならびに、生成された合成スペクトルを、その空間位置に対応する少なくとも1つの光子画像内の少なくとも1つの位置についてのスペクトルエネルギーデータから生成される実験スペクトルに相関させることを含む、決定することと、
(d)処理ユニットによって、身体部位内の少なくとも1つの放射線医薬品の空間分布を決定すること、
とを含む、方法。
【0150】
別の例示的な実施形態において、適切なシステム上で、先の実施形態のうちの1つに従う方法の方法ステップを実行するように構成されることにより特徴付けられるコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム要素が提供される。
【0151】
したがって、コンピュータプログラム要素は、同様に実施形態の部分であり得るコンピュータユニット上に格納され得る。このコンピューティングユニットは、上に説明される方法のステップを実施するように、または実施することを誘発するように構成され得る。さらには、これは、上に説明される装置および/またはシステムの構成要素を動作させるように構成され得る。コンピューティングユニットは、自動的に動作するように、および/またはユーザの命令を実行するように構成され得る。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリ内にロードされ得る。したがって、データプロセッサは、先の実施形態のうちの1つに従う方法を実行するために装備され得る。
【0152】
本発明のこの例示的な実施形態は、本発明を最初から使用するコンピュータプログラム、および更新により既存のプログラムを、本発明を使用するプログラムへと変化させるコンピュータプログラムの両方を網羅する。
【0153】
さらに、コンピュータプログラム要素は、上に説明されるような方法の例示的な実施形態の手順を満たすためのすべての必要なステップを提供することができる場合がある。
【0154】
本発明の更なる例示的な実施形態によると、CD-ROM、USBスティック、または同様のものなどのコンピュータ可読媒体が提示され、このコンピュータ可読媒体が、先の章によって説明されるコンピュータプログラム要素を格納している。
【0155】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に、または他のハードウェアの部分として供給される光記憶媒体または固体媒体など、好適な媒体に格納され得る、および/または配布され得るが、インターネットまたは他の有線もしくはワイヤレス通信システムを介してなど、他の形態で配布されてもよい。
【0156】
しかしながら、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワークを介して提示されてもよく、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリ内にダウンロードされ得る。本発明の更なる例示的な実施形態によると、コンピュータプログラム要素をダウンロード用に利用可能にするための媒体が提供され、このコンピュータプログラム要素は、本発明の先に説明される実施形態のうちの1つに従う方法を実施するように設定される。
【0157】
本発明の実施形態は、異なる主題に関して説明されるということに留意されたい。特に、いくつかの実施形態は、方法タイプのクレームに関して説明されるが、他の実施形態は、デバイスタイプのクレームに関して説明される。しかしながら、当業者は、上の説明および以下の説明から、別段の記載のない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関する特徴間の任意の組み合わせもまた、本出願で開示されると見なされることを認識するものとする。しかしながら、すべての特徴は組み合わされて、特徴の単純な総和を超える相乗効果を提供することができる。
【0158】
本発明は、図面および先述の説明において詳細に例証および説明されているが、そのような例証および説明は、例証的または例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。本発明は、開示される実施形態に限定されない。開示される実施形態に対する他の変異形は、図面、開示、および従属クレームの研究から、特許請求される発明を実践する当業者によって理解および達成され得る。
【0159】
クレーム内では、用語「含む」は、他の要素またはステップを除外せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数形を除外しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、クレーム内に列挙されるいくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が異なる従属クレーム内に相互に列挙されるということだけでは、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないということは示さない。クレーム内のいかなる参照番号も、範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0160】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12