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特許7275156外部流体の温度を制御するための装置、その動作方法、およびこのような方法の命令を含むコンピュータプログラム製品
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  • 特許-外部流体の温度を制御するための装置、その動作方法、およびこのような方法の命令を含むコンピュータプログラム製品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】外部流体の温度を制御するための装置、その動作方法、およびこのような方法の命令を含むコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   F25B 30/02 20060101AFI20230510BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230510BHJP
   G05D 23/00 20060101ALI20230510BHJP
   G05D 23/19 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
F25B30/02 Z
F25B1/00 101F
G05D23/00 A
G05D23/19 H
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020547040
(86)(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2019054818
(87)【国際公開番号】W WO2019170486
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】18160243.4
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520340260
【氏名又は名称】エイチシー ユナイテッド ビー.ヴイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デン バーグ, ジョセフ マルティナス マリア
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-075919(JP,A)
【文献】特開平06-341740(JP,A)
【文献】特開平10-038390(JP,A)
【文献】特開昭59-208353(JP,A)
【文献】特開2000-000299(JP,A)
【文献】特開2007-071504(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0010829(US,A1)
【文献】特表2008-520943(JP,A)
【文献】特開2015-068609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部流体の温度を制御するための装置であって、前記装置は、内部流体を圧縮するための圧縮機と、前記内部流体と前記外部流体との間で熱エネルギーを伝達するための温度制御回路内の第1熱交換器と、バイパス回路内の前記圧縮機の入口と出口との間に接続された第2熱交換器と、前記圧縮機の前記出口と前記第1熱交換器との間に位置する四方弁である第1弁と、前記第1弁と前記圧縮機の前記入口との間に位置する第2弁と、開位置と閉位置との間およびその逆に前記第2弁を切り換えることによって前記外部流体の温度を制御するように構成されたコントローラとを含み、前記第2弁の前記閉位置では、前記圧縮機からの前記内部流体は前記圧縮機の前記出口から前記第2熱交換器を介して前記圧縮機の前記入口に導かれ、前記第2弁の前記開位置では、前記内部流体は前記圧縮機の前記出口から前記第1弁を介して前記第1熱交換器に導かれ、前記第1弁および前記第2弁を介して前記圧縮機の前記入口に戻る、装置。
【請求項2】
前記装置は、前記圧縮機と前記第1熱交換器との間に配置された前記温度制御回路内に第3熱交換器をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラは、加熱様式と冷却様式との間で前記四方弁を切り換えるように構成されており、前記冷却様式では、前記外部流体は前記第1熱交換器内の前記内部流体によって冷却され、前記加熱様式では、前記外部流体は前記第1熱交換器の前記内部流体によって加熱される、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記圧縮機と前記第1熱交換器との間に配置された前記温度制御回路内に第3熱交換器をさらに含み、
前記加熱様式では、前記圧縮機の前記出口からの前記内部流体は、前記四方弁、前記第1熱交換器、膨張絞り、前記第3熱交換器、前記四方弁、および前記第2弁を介して前記圧縮機の前記入口に導かれ、前記冷却様式では、前記圧縮機の前記出口からの前記内部流体は、前記四方弁、前記第3熱交換器、前記膨張絞り、前記第1熱交換器、前記四方弁、および前記第2弁を介して前記圧縮機の前記入口に導かれる、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、前記圧縮機の前記出口と前記第2熱交換器の入口との間に位置する追加弁を含む、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記第2弁の閉鎖時に前記追加弁を開放し、前記第2弁の開放時に前記追加弁を閉鎖するように構成されている、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記追加弁は圧力制御される、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記第2熱交換器内で、前記圧縮機からの前記内部流体が冷却される、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第2弁の前記開位置では、前記内部流体は前記圧縮機の前記出口から前記第1弁を介して前記第1熱交換器に導かれ、前記第1弁、前記第2弁、及び前記第2熱交換器を介して前記圧縮機の前記入口に戻る、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載の前記装置を含む、血液の温度を制御するためのシステム。
【請求項11】
前記血液の温度は前記外部流体の温度を制御することによって制御され、前記外部流体は水である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、外部流体出口および/または入口と、前記システム内の前記外部流体の存在を検出するためのセンサとを含み、前記センサは警報ユニットに接続されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記外部流体の温度を制御するための請求項1からのいずれか1項に記載の装置または請求項10から12のいずれか1項に記載のシステムを動作させる方法。
【請求項14】
少なくとも1つのプロセッサ上で実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項13に記載の方法を実行させる命令を含む可読記憶媒体を含む、コンピュータプログラム製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部流体の温度を制御するための装置であって、内部流体を圧縮するための圧縮機と、内部流体と外部流体との間で熱エネルギーを伝達するための温度制御回路内の第1熱交換器とを含む、装置に関する。
【0002】
本発明はまた、血液の温度を制御するためのシステムにも関する。
【背景技術】
【0003】
外部流体の温度を制御するための装置では、装置の内部流体と外部流体との間の熱エネルギーの所望の伝達に応じて圧縮機動作を開始および停止することが知られている。圧縮機の始動および停止動作の欠点は、圧縮機が停止動作状態から再び完全に動作するまでに時間がかかることである。この遅延により、外部流体の温度を正確に制御できなくなる。さらに、圧縮機のオンオフ動作は、たとえば、比較的短い保守間隔となり得る高い摩耗を含む多くの理由のため、望ましくない。
【発明の概要】
【0004】
本発明の主な目的は、比較的正確な方法で外部流体の温度を制御するための装置を提供することである。加えて、二次的な目的は、好ましくは比較的簡単な構造を有する、外部流体の温度を制御するための比較的信頼できる装置を提供することである。
【0005】
これらの目的の少なくとも1つは、請求項1で定義される特徴を備える装置を用いて達成される。
【0006】
外部流体の温度を制御するための装置は、内部流体を圧縮するための圧縮機と、内部流体と外部流体との間で熱エネルギーを伝達するための温度制御回路内の第1熱交換器と、バイパス回路内の圧縮機の入口と出口との間で、好ましくは圧縮機と並列に接続された第2熱交換器と、開位置と閉位置との間およびその逆に少なくとも1つの弁を切り換えることによって外部流体の温度を制御するように構成されたコントローラとを含み、少なくとも1つの弁の閉位置では、圧縮機からの内部流体は圧縮機の出口から第2熱交換器を介して圧縮機の入口に導かれ、少なくとも1つの弁の開位置では、内部流体は圧縮機の出口から第1熱交換器に導かれる。
【0007】
外部流体の温度を制御するための装置は、少なくとも2つのモード、すなわち外部流体が内部流体と外部流体との間の熱エネルギー伝達によって加熱または冷却される第1モードと、温度制御回路内の第1熱交換器を迂回することにより、圧縮機を始動および停止することなく、または圧縮機の動作を他の方法で妨げることもなく、圧縮機が連続的に稼働できる第2モードとを有する。第2モードでは、圧縮機の出口からの内部流体はもはや第1熱交換器に導かれないので、内部流体と外部流体との間には熱エネルギー伝達がないか、または最小限である。第2モードは、内部流体と外部流体との間で(それ以上の)エネルギー伝達が望ましくない場合に、コントローラによって選択され得る。外部流体がその所望の温度に到達し、それ以上の加熱/冷却が必要ない場合に、エネルギー伝達を停止することが望まれ得る。したがって、第2熱交換器を使用することで、圧縮機の出口と圧縮機の入口との間で内部流体の温度を低下させることができるので、第2モードでの圧縮機の動作は、たとえば圧縮機の過熱による損傷のリスクを伴わずに継続できる。さらに、外部流体の温度を調整する突然の要求がある場合、圧縮機は、大幅な遅延のない比較的正確な方法で外部流体の温度を制御できるように、第2モードから第1モードに切り換えることによって、ほぼ瞬時に応答できる。好ましくは、温度が所定の温度で一定に維持されなければならない場合、外部流体の実際の温度と外部流体の所望の温度との間の温度差は、0.2℃以下、好ましくは0.1℃以下である。
【0008】
加えて、外部流体の温度を制御するための装置で使用されるコンポーネントは比較的信頼性があり、すなわち装置は、開位置すなわち装置の上記の第1モードと閉位置すなわち装置の上記の第2モードとの間およびその逆に少なくとも1つの弁を制御する、コントローラを使用する。
【0009】
さらなる態様では、装置は、圧縮機の出口と第1熱交換器との間に位置する第1弁と、第1弁と圧縮機の入口との間に位置する第2弁とを含んでもよく、コントローラは、閉位置と開位置との間およびその逆に第2弁を切り換えることによって外部流体の温度を制御するように構成されており、第2弁の閉位置では、圧縮機からの内部流体は圧縮機の出口から第2熱交換器を介して圧縮機の入口に導かれ、第2弁の開位置では、内部流体は圧縮機の出口から第1弁を介して第1熱交換器に導かれ、第1弁および第2弁を介して圧縮機の入口に戻る。第2弁を通った後、内部流体は、圧縮機の入口に直接導かれてもよい。第2の構成では、内部流体は、第2弁を通った後、第2熱交換器を介して圧縮機の入口に導かれてもよい。第2の構成は、装置のモードに関係なく、圧縮機の入口から圧縮機に流入する内部流体の状態は、その状態が、たとえば所定の温度範囲内または所定の温度で一定にまたは実質的に一定に保たれるように、第2熱交換器によって制御できることを保証する。言い換えると、圧縮機に流入する内部流体の状態は、装置の第1モードおよび装置の第2モードで、第2熱交換器によって制御され得る。制御される内部流体の重要な条件の1つは、たとえば内部流体の温度であり、すなわち圧縮機に流入する内部流体の温度が比較的高いかまたは比較的低いと、圧縮機を損傷するリスクが高くなる。
【0010】
第1弁と圧縮機の入口との間に位置する第2弁を使用する装置のこの構成は、装置の応答時間をさらに最適化し、および/または第2弁の閉位置で圧縮機が過熱/損傷するリスクをさらに抑える。
【0011】
装置はさらに、圧縮機と第1熱交換器との間に配置された温度制御回路内に、第3熱交換器を含んでもよい。
【0012】
第3熱交換器は、3つのモード、すなわち、外部流体を加熱するための第1モード、上記のような第2のバイパスモード、および外部流体を冷却するための第3モードを有する装置を提供する。装置の比較的簡単な構成では、第1弁は、装置の第1モードと第3モードとの間で確実かつ高速に装置を切り換えることができる、四方弁である。
【0013】
コントローラは、加熱様式(第1モード)と冷却様式(第3モード)との間で四方弁を切り換えるように構成されてもよく、冷却様式では、外部流体は第1熱交換器の内部流体によって冷却され、加熱様式では、外部流体は第1熱交換器の内部流体によって加熱される。
【0014】
加熱様式では、圧縮機の出口からの内部流体は、四方弁、第1熱交換器、膨張絞り、第3熱交換器、四方弁、および第2弁を介して圧縮機の入口に導かれ、冷却様式では、圧縮機の出口からの内部流体は、四方弁、第3熱交換器、膨張絞り、第1熱交換器、四方弁、および第2弁を介して圧縮機の入口に導かれる。
【0015】
本明細書に開示される装置は、正確な温度制御、室温制御、特にクリーンルームの温度制御を必要とする工業プロセスを含む様々な用途で使用することができるがこれらに限定されない。本明細書に記載される装置は、食品技術および加工に使用/実装することも可能である。たとえば、外部流体の温度を制御するための装置は、温度制御された外部流体と食品との間で熱エネルギーを交換するために使用される。外部流体を食品とすることも可能である。一例として、チョコレートの正確な温度制御が重要な3Dチョコレートプリンタがある。この文献で開示される装置は、たとえば特定の温度条件下でサンプルを調製するための押出機など、正確な温度制御を必要とする(科学)材料処理にも適用され得る。さらに、この明細書で指定された装置は、医薬品を調製するプロセスでの温度制御にも使用することができる。
【0016】
本発明による装置は、血液の温度を制御するためのシステムでの使用に特に適している。上述のように、装置は、体外で血液を扱うのに欠くことのできない非常に正確な方法で、外部流体の温度を制御することができる。装置は、心肺バイパス手術および/または体外式模型人工肺(ECMO)または体外生命維持装置に不可欠なものとして、システム内で使用することができる。システムによって循環され得る外部流体、たとえば水と血液との間の温度差は、エネルギー(熱)伝達を決定し、患者を灌流する血液の温度を調整する。
【0017】
本明細書に開示される装置によって、温度制御された水を送達するための従来の温水および冷水タンクは、医療システムから省略され得る。システムには、水(または水溶液)出口および/または入口と、たとえばシステムを使用した後、システム内の水(または水溶液)の存在を検出するためのセンサとが設けられている。出口と入口は同じであってもよい。システムを使用した後、たとえば手術の後、水は好ましくは、排出口によってシステムから排出されるべきである。手術のたびにシステムにおいて新鮮な水を使用することで、システム内の細菌負荷、およびたとえばMキメラ(M.chimaera)および/またはレジオネラ感染のリスクなど、関連するリスクを低減する。この排出ステップは、センサによって監視することができる。このセンサは、たとえば装置がオペレータによってオフにされたときに、自動的に起動され得る。システム内に水がある場合、オペレータは、たとえばセンサによって起動された警報によって警告される。すると、オペレータはシステムから水を排出するステップを実行することができる。
【0018】
本発明はまた、本発明に記載される外部流体の温度を制御するための装置またはシステムを動作させる方法、ならびに少なくとも1つのプロセッサ上で実行されたときに少なくとも1つのプロセッサに方法を実行させる命令を含む可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品にも関する。
【0019】
次に、図面を参照して、いくつかの外部流体の温度を制御するための装置の例示的な実施形態、および血液の温度を制御するためのシステムの例示的な実施形態の説明によって、本発明が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】外部流体の温度を制御するための装置の概略図である。
図2】血液の温度を制御するためのシステムの概略図である。
図3】外部流体の温度を制御するための装置の第2の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、外部流体の温度を制御するための装置1を概略的に示す。外部流体は、ラインP-10を通じて第1熱交換器3に流入し、ラインP11を通じて第1熱交換器3から流出する。外部流体は液体であり、ラインP11内に、液体を輸送するためにポンプ5が設けられている。
【0022】
装置1は、内部流体を圧縮するための圧縮機7を含む。内部流体は、内部流体ラインP-1からP-6およびP-8を通って流れることができる。内部流体は気体である。
【0023】
第1熱交換器3は、温度制御回路10内に配置されている。第1熱交換器3は、内部流体と外部流体との間で熱エネルギー、たとえば熱を伝達するように構成されている。
【0024】
装置1は、バイパス回路20内で圧縮機7の入口13と出口15との間で圧縮機7と並列に接続された第2熱交換器11をさらに含む。装置1は、コントローラ8も含む。
【0025】
加えて、装置1は、圧縮機の出口15と第1熱交換器3との間に位置する第1弁V-4と、第1弁V-4と圧縮機の入口13との間に位置する第2弁V-3とを含む。
【0026】
コントローラ8は、閉位置(第2モード)と開位置(第1モード)との間およびその逆に第2弁V-3を切り換えることによって、外部流体の温度を制御するように構成されている。第2弁V-3の閉位置では、圧縮機7からの内部流体は、圧縮機7の出口15から第2熱交換器11を介して圧縮機7の入口13に直接導かれ、第2弁V-3の開位置では、内部流体は、圧縮機7の出口15から第1弁V4を介して第1熱交換器3に導かれる。
【0027】
装置のこの構成では、圧縮機7を過熱するリスクを最小限に抑えて外部流体の正確な温度制御を実現することができる。圧縮機7を過熱するリスクは、圧縮機7から直接来る流体が冷却される第2熱交換器11を使用することで低減される。したがって、第2モードでの圧縮機7の動作は、圧縮機7を過熱するリスクなしに連続し得る。
【0028】
第1弁V-4は、四方弁V-4である。装置1は、圧縮機7と第1熱交換器3との間に配置された温度制御回路10内の第3熱交換器15をさらに含む。四方弁V-4は、ラインP-4で第1熱交換器3に接続され、別のラインP-2で第3熱交換器15に接続されている。第1熱交換器3および第3熱交換器15は、ラインP-3で接続されている。ラインP-3には、膨張絞り17と、様式、すなわち以下で説明されるような加熱様式および冷却様式に応じて第1熱交換器3または第3熱交換器15に輸送される内部流体を調節するための調節器(フィルタ)19とが設けられている。
【0029】
装置のコントローラ8は、加熱様式と冷却様式との間で四方弁V-4を切り換えるように構成されており、冷却様式では、外部流体は第1熱交換器3内の内部流体によって冷却され、加熱様式では、外部流体は第1熱交換器3の内部流体によって加熱される。加熱様式では、圧縮機7の出口15からの内部流体は、四方弁V-4、第1熱交換器3、膨張絞り17、およびフィルタ19、第3熱交換器15、四方弁V-4、および第2弁V-3を介して圧縮機の入口13に導かれる。冷却様式では、圧縮機7の出口15からの内部流体は、四方弁V-4、第3熱交換器15、膨張絞り17、第1熱交換器3、四方弁V-4、および第2弁V-3を介して圧縮機7の入口13に導かれる。
【0030】
図1に点線で示されるように、コントローラ8は、第2弁V-3を制御することができる。さらに、コントローラ8は、四方弁V-4を制御することができる。加えて、コントローラ8は、第1熱交換器3に流入するラインP-10内の外部流体の温度および/またはラインP-11を通って熱交換器4から流出する外部流体の温度を測定するセンサ27、29の少なくとも1つに接続されてもよい。
【0031】
装置1は、圧縮機7の出口15および第2熱交換器11の入口を接続するラインP-5およびP-6の間に位置する追加弁V-2をさらに含む。第2弁V-3を遮断した後、追加弁V-2は、第2弁V-3を遮断することによって生じた圧力差によって閉位置から開位置に自動的に開放される。第2弁V-3が開放されている場合、第2弁V-3は圧力差によって自動的に閉鎖される。
【0032】
コントローラ8は、追加弁V-2が圧力によって動作しないように、第2弁V-3を閉鎖すると追加弁V-2を開放し、第2弁V-3を開放すると追加弁V-2を閉鎖するように構成される(図1には図示せず)ことも可能である。
【0033】
装置1には、過圧保護31が設けられることも可能である。
【0034】
一方向の第2弁V-3の代わりに、バイパスモードとエネルギー伝達モードとの間で切り換えるために、ラインP-1およびP-5の交差点で少なくとも1つの三方弁(図示せず)を使用することも可能であろう。この三方弁は、コントローラ、たとえば図1に示されるようなコントローラ8によって制御される。ラインP-8と弁V-1を含むラインとの間の交差点で、第2の三方弁(図示せず)を使用することも可能である。第2の三方弁もまた、コントローラによって動作し得る。
【0035】
弁V-1は、たとえば圧縮機7の保守のため、または圧縮機7を交換するために、ラインP-8を閉鎖するために使用される。
【0036】
図1に示される装置1は、3つのモード、すなわち加熱様式、冷却様式、およびバイパス様式を実行するように構成されている。
【0037】
装置は2つのモード、すなわち加熱様式または冷却様式およびバイパス様式用に構成されることも可能である。
【0038】
外部流体の温度を制御するための装置の外部流体は、特定用途向けの温度制御、すなわち直接温度制御を必要とする流体、たとえば以下で論じられるような血液であってもよく、または外部流体は、別の外部製品の温度を制御する、すなわち間接温度制御のための流体である。
【0039】
一例として、図2に、血液の温度を制御するためのシステム100が示されている。システム100は、上記で説明され、図1により詳細に示されるような装置1を含む。ラインP-10、P-11は、酸素供給器102、すなわち、体、重要な器官、または大血管の中の血流の中断または停止を必要とする可能性がある外科的処置中に人間の患者の血中のたとえば酸素および/または二酸化炭素を交換することが可能な装置に接続されている。酸素供給器は、酸素および/または二酸化炭素に加えて、麻酔薬、および場合により他のガスを循環の内外に輸送することもできるので、ガス交換器である。装置1は、酸素供給器102に組み込まれてもよい。さらに、血液の温度が装置1によって制御され得る限り、本発明に鑑みて、酸素供給器のガス交換機能は省略されてもよい(図2には図示せず)。
【0040】
図2では、血液ライン104は、酸素供給器102によって調節された血液を、たとえば手術を受けている人の大血管106に輸送し、その人の体の外部を流れる血液の血液温度は、装置1によって所望の温度に正確に維持される。処理対象の血液は、リザーバ108に収集され、血液ライン114およびポンプ112によって酸素供給器102および装置1に輸送され得る。血液ライン104と大血管106および大血管106とリザーバ108との間における、図2に示される実施形態の点線は、これらのラインが部分的に人の体の中を通り得ることを示している。
【0041】
図示される実施形態では、血液の温度は外部流体の温度を制御することによって制御され、好ましくは外部流体は水または水溶液である。
【0042】
システム100、特に装置1は、外部流体出口/入口115と、装置1内、たとえばラインP-10およびP-11内の水の存在を検出するためのセンサ(図示せず)とを含む。
【0043】
センサは、システム100から水を除去すべきであることを手術の最後にオペレータに通知し得る警報ユニット116に接続されている。
【0044】
センサは、装置1のスイッチが切られたときに自動的にオンされてもよい。あるいは、センサはまた、装置1の内部流体と水との間の熱伝達が所定の期間行われなかったときにも起動され得る。すると、起動したセンサは、装置1内、たとえばラインP-10およびP-11内に水が存在するか否かを検出する。水が存在する場合、センサは可能であれば水を排出するようにオペレータに通知するために、警報ユニット116を起動する。警報信号は、装置1のディスプレイ(図示せず)に表示されてもよい。
【0045】
図3には、外部流体の温度を制御するための装置1’の第2の実施形態の概略図が示されている。装置1’の多くの構成要素は装置1の構成要素と同一であり、対応する構成要素には、図1および図3で同一の参照符号が付されている。簡潔にするために、これらの対応する構成要素はここでは繰り返されない。装置1に対する装置1’の主な違いは、ラインP-8’が、図示される例では、ラインP-6を介して第2弁V-3を第2熱交換器11の入口に接続することである。この構成では、第2弁V-3の開位置(第1モード)で、第2弁V-3から圧縮機7の入口13に流れる内部流体を第2熱交換器11によって調節することができる。結果として、温度などの内部流体の状態は、第2熱交換器11によって制御されることが可能であり、たとえば装置1’がどの(第1、第2、または第3)様式またはモードで動作されるかにかかわらず、比較的一定に維持されることが可能である。たとえば、第2熱交換器11は、圧縮機7の入口13に流入する内部流体の温度を上昇または下降させてよく、これにより、比較的高いまたは比較的低い温度を有する内部流体によって圧縮機7が損傷するのを防ぎやすくする。
【0046】
図3に示されるように、第2熱交換器11は、弁V-1を介して、ラインP-7によって圧縮機13の入口13に接続されている。
【0047】
装置1’のバイパス回路20’は、圧縮機7、ラインP-1、P-5、弁V-2、ラインP-6、圧縮機7と並列に接続された第2熱交換器11、ラインP-7、および圧縮機7の入口13に接続された弁V-1によって提供される。
【0048】
第1弁V4と、ラインP-1とP-5との間の交差点との間に、装置1’は逆止弁V-6を含む。この逆止弁V-6は、図1に示される装置1でも、第1弁V4とラインP-1とP-5との間の交差点との間で使用することができる。
【0049】
さらに、温度制御回路10’のラインP-3には、図3に示される膨張絞り(または毛細管)17’および調節器(フィルタドライヤー)19’が、図1とは異なる順序で配置されている。しかしながら、図1に示される膨張絞り17および調節器(フィルタドライヤー)19の配置は図3でも使用でき、その逆も可能である。
【0050】
装置1’のコントローラ8は、図1に示される装置1と同じ方法で四方弁V-4を加熱様式と冷却様式との間で切り換えるように構成されており、加熱様式では、圧縮機7の出口15からの内部流体は四方弁V-4、第1熱交換器3、フィルタ19’、膨張絞り17’、第3熱交換器15、四方弁V-4、ラインP-8’、第2弁V-3、第2熱交換器11、ラインP-7、および弁V-1を介して圧縮機7の入口13に導かれる。冷却様式では、圧縮機7の出口15からの内部流体は、四方弁V-4、第3熱交換器15、膨張絞り17’、フィルタ19’、第1熱交換器3、四方弁V-4、ラインP-8’、第2弁V-3、第2熱交換器11、ラインP-7、および弁V-1を介して圧縮機7の入口13に導かれる。

図1
図2
図3