(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】ワンピース構造用ヒューズ
(51)【国際特許分類】
E04B 1/24 20060101AFI20230510BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
E04B1/24 J
E04B1/58 508F
(21)【出願番号】P 2020551477
(86)(22)【出願日】2019-03-21
(86)【国際出願番号】 US2019023406
(87)【国際公開番号】W WO2019190882
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-08-26
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506244375
【氏名又は名称】シンプソン ストロング タイ カンパニー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン イー. プライヤー
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー エス. エリス
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン ワイ. チー
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-127187(JP,A)
【文献】米国特許第02201826(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/24
E04B 1/58
B23K 26/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の構造用ヒューズアセンブリであって、
梁の第1の部分から取られた第1のブランクと、
前記梁の第2の部分から取られた第2のブランクと、
を備え、
前記第1のブランクは、
第1の構造用ヒューズと、
第1の一対のスペーサと、
第1の座屈拘束プレートと、
を備え、
前記第1の構造用ヒューズは、
前記梁の第1のフランジから形成された第1のヒューズベースと、
前記第1のヒューズベースから延びて前記第1のヒューズベースと一体に形成された第1のヒューズ降伏プレートであって、前記第1のヒューズ降伏プレートは前記梁のウェブから形成されており、前記第1のヒューズ降伏プレートは一対の切り欠きによって画定された狭い領域を含む、前記第1のヒューズ降伏プレートと、
を備え、
前記第1の一対のスペーサは、前記梁の前記ウェブから形成され、前記一対の切り欠き内に適合するように構成されており、
前記第1の座屈拘束プレートは、前記梁の第2のフランジから形成されており、
前記第2のブランクは、
第2の構造用ヒューズと、
第2の一対のスペーサと、
第2の座屈拘束プレートと、
を備え、
前記第2の構造用ヒューズは、
前記梁の前記第1のフランジから形成された第2のヒューズベースと、
前記第2のヒューズベースから延びて前記第2のヒューズベースと一体に形成された第2のヒューズ降伏プレートであって、前記第2のヒューズ降伏プレートは前記梁のウェブから形成されており、前記第2のヒューズ降伏プレートは一対の切り欠きによって画定された狭い領域を含む、前記第2のヒューズ降伏プレートと、
を備え、
前記第2の一対のスペーサは、前記梁の前記ウェブから形成され、前記一対の切り欠き内に適合するように構成されており、
前記第2の座屈拘束プレートは、前記梁の前記第2のフランジから形成されており、
前記梁の前記第1及び第2の部分は、前記梁上で互いに直に隣接している、一対の構造用ヒューズアセンブリ。
【請求項2】
前記梁は、標準的な構造用W形状を有する構造用鋼材であ
り、
前記構造用W形状を有する前記梁では、前記第1のフランジの内面と、前記第2のフランジの内面と、の双方が、前記ウェブの表面と直交する、請求項1に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
【請求項3】
前記一対の切り欠き内に前記一対のスペーサを配置すると、前記一対のスペーサの
結晶粒の並ぶ方向が、前記ヒューズ降伏プレートの
結晶粒の並ぶ方向と
同じである、請求項1又は2に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
【請求項4】
構造用ヒューズアセンブリであって、
構造用ヒューズと、
一対のスペーサと、
座屈拘束プレートと、
を備え、
前記構造用ヒューズは、
ヒューズベースと、
前記ヒューズベースから延びて前記ヒューズベースと一体に形成されたヒューズ降伏プレートであって、一対の切り欠きによって画定された狭い領域を含む、前記ヒューズ降伏プレートと、
を備え、
前記一対のスペーサは、前記一対の切り欠き内に適合するように構成されており、
前記構造用ヒューズ、前記一対のスペーサ、及び、前記座屈拘束プレートの全ては、構造用鋼材の単一部品に由来
し、
前記一対の切り欠き内に前記一対のスペーサを配置すると、前記一対のスペーサの結晶粒の並ぶ方向は、前記ヒューズ降伏プレートの結晶粒の並ぶ方向と同じである、構造用ヒューズアセンブリ。
【請求項5】
前記構造用鋼材は、
第1のフランジと、第2のフランジと、ウェブと、を備えるとともに、前記第1のフランジの内面と、前記第2のフランジの内面と、の双方が、前記ウェブの表面と直交する標準的な構造用W形状の梁である、請求項4に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
【請求項6】
前記構造用鋼材は、
2個のフランジと、ウェブと、を備えるとともに、前記2個のフランジ双方の内面が、前記ウェブの表面と直交する標準的な構造用W形状の梁であり、
前記ヒューズベースは、
前記2個のフランジのいずれかから形成されており、
前記ヒューズ降伏プレートは、前
記ウェブから形成されている、請求項4に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
【請求項7】
前記
2個のフランジは、第1のフランジ
と、第2のフランジと、を含み、
前記座屈拘束プレートは、前
記第2のフランジから形成される、請求項6に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
【請求項8】
前記一対のスペーサは、前記梁の前記ウェブから形成されている、請求項6に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
【請求項9】
前記一対のスペーサは、前記切り欠きを形成するために切り出された前記ウェブの部分から形成されている、請求項8に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
【請求項10】
前記
2個のフランジは、第1のフランジ
と、第2のフランジと、を含み、
前記一対のスペーサは、前記ヒューズ降伏プレートの端部と、前
記第2のフランジと、の間の前記ウェブの一部から形成されている、請求項8に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
【請求項11】
構造用ヒューズアセンブリであって、
梁の一部から取られたブランクを備え、
前記ブランクは、構造用ヒューズを備え、
前記構造用ヒューズは、
前記梁の第1のフランジから形成されたヒューズベースと、
前記ヒューズベースから延びて前記ヒューズベースと一体に形成されたヒューズ降伏プレートであって、
前記ヒューズ降伏プレートは、前記ヒューズ降伏プレートの対向する端における一対の切り欠きによって画定された狭い領域を含み、前記ヒューズ降伏プレートは前記梁のウェブから形成されている、前記ヒューズ降伏プレート
と、
前記一対の切り欠き内に適合するように構成されている一対のスペーサと、
を備
え、
前記一対の切り欠き内に前記一対のスペーサを配置すると、前記一対のスペーサの結晶粒の並ぶ方向は、前記ヒューズ降伏プレートの結晶粒の並ぶ方向と同じである、
構造用ヒューズアセンブリ。
【請求項12】
前記ブランクは、さらに、前記梁の第2のフランジから形成された座屈拘束プレートを備える、請求項
11に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
【請求項13】
座屈拘束プレートをさらに備える、請求項
11に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
【請求項14】
前記座屈拘束プレートは、前記梁に由来する、請求項
13に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
【請求項15】
前記一対のスペーサは、前記梁の前記ウェブから形成される、請求項
11に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
構造用ヒューズは、構造物に地震、風又は他の荷重が作用した場合に、構造接続部及びフレーム内の応力を散逸させるために、家庭、建物及び他の構造物に使用されることが知られている。例えば、カリフォルニア州プレザントン(Pleasanton)のSimpson Strong-TieのYield-Link(登録商標)構造用ヒューズは、構造用接続部上の荷重が閾値に達すると、構造用ヒューズが降伏し、梁または柱に損傷を与えることなくエネルギーを散逸するように、梁の柱への接続部で使用することができる。その後、損傷した構造用ヒューズは、他の方法で接続部を修復する必要なく、取り外され、交換されてもよい。
【0002】
典型的な構造用ヒューズは、ベースと、ベースに直交して溶接されたプレートとを含む。プレートは、プレートの端部よりも小さい直径を有する中央部分を含むことができ、中央部分は、降伏が生じる領域であるように設計される。使用に際して、ベースは、柱にボルト止めされてもよい。降伏プレートの第1の表面は、降伏プレートの端部が梁にボルト止めされた状態で、梁の表面に寄せて配置してもよい。降伏プレートの第1の表面に対向する第2の表面上の平面座屈拘束プレート(BRP)は、圧縮荷重下でのプレートの座屈を防止するために、降伏プレートを通して梁の中にボルト止めすることができる。BRPが梁にボルト止めされるとき、プレートとBRPに荷重を均等に分散させるために、降伏プレートのうちの、より小さい直径の中央部分にスペーサを設けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、ヒューズベース、ヒューズ降伏プレート、座屈拘束プレート、及び、スペーサは、それぞれ異なる性質を有する異なる鋼片から全て形成されている。さらに、ヒューズベースのヒューズプレートへの溶接は、完全継手溶け込み(CJP)溶接である必要があり、それは、実行が難しく、不完全になりうる。たとえ正しく行われたとしても、溶接部は構造用ヒューズ内の鋼の他の部分より延性が少なく、中間部分で構造用ヒューズが降伏する前に突然破損する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本技術は、I形の梁又は標準的な構造用W形状の梁のような構造用鋼材の単一片から形成されたワンピース構造用ヒューズアセンブリに関する。最初に、部分またはブランクを梁から切断することができる。ブランクは、ウェブによって接続された第1および第2のフランジを含むように、梁の長さを横切って切断されてもよい。実施形態では、ブランクの第1のフランジはヒューズベースを形成することができ、ブランクのウェブの一部はヒューズ降伏プレートを形成することができる。加えて、実施形態において、座屈拘束プレートは、ブランクの第2のフランジから形成されてもよく、スペーサは、ヒューズ降伏プレートに使用されないウェブの一部から形成されてもよい。実施形態では、単一のブランクから切断された要素のすべてが、単一の構造用ヒューズアセンブリで使用される。
【0005】
一例では、本技術は、一対の構造用ヒューズアセンブリに関し、一対の構造用ヒューズアセンブリであって、梁の第1の部分から取られた第1のブランクと、前記梁の第2の部分から取られた第2のブランクと、を備え、前記第1のブランクは、第1の構造用ヒューズと、第1の一対のスペーサと、第1の座屈拘束プレートと、を備え、前記第1の構造用ヒューズは、前記梁の第1のフランジから形成された第1のヒューズベースと、前記ヒューズベースから延びて前記ヒューズベースと一体に形成された第1のヒューズ降伏プレートであって、前記ヒューズプレートは前記梁のウェブから形成されており、前記ヒューズ降伏プレートは一対の切り欠きによって画定された狭い領域を含む、前記第1のヒューズ降伏プレートと、を備え、前記第1の一対のスペーサは、前記梁の前記ウェブから形成され、前記一対の切り欠き内に適合するように構成されており、前記第1の座屈拘束プレートは、前記梁の第2のフランジから形成されており、前記第2のブランクは、第2の構造用ヒューズと、第2の一対のスペーサと、第2の座屈拘束プレートと、を備え、前記第2の構造用ヒューズは、前記梁の前記第1のフランジから形成された第2のヒューズベースと、前記ヒューズベースから延びて前記ヒューズベースと一体に形成された第2のヒューズ降伏プレートであって、前記ヒューズプレートは前記梁のウェブから形成されており、前記ヒューズ降伏プレートは一対の切り欠きによって画定された狭い領域を含む、前記第2のヒューズ降伏プレートと、を備え、前記第2の一対のスペーサは、前記梁の前記ウェブから形成され、前記一対の切り欠き内に適合するように構成されており、前記第2の座屈拘束プレートは、前記梁の第2のフランジから形成されており、梁の前記第1及び第2の部分は、前記梁上で互いに直に隣接している。
【0006】
別の例において、本技術は、構造用ヒューズアセンブリであって、構造用ヒューズと、一対のスペーサと、座屈拘束プレートと、を備え、前記構造用ヒューズは、ヒューズベースと、前記ヒューズベースから延びて前記ヒューズベースと一体に形成されたヒューズ降伏プレートであって、一対の切り欠きによって画定された狭い領域を含む、前記ヒューズ降伏プレートと、を備え、前記一対のスペーサは、前記一対の切り欠き内に適合するように構成されており、前記構造用ヒューズ、前記一対のスペーサ、及び、前記座屈拘束プレートの全ては、構造用鋼材の単一部品に由来する、構造用ヒューズアセンブリに関する。
【0007】
さらなる例において、本技術は、梁の一部から取られたブランクを備える構造用ヒューズアセンブリに関する。前記ブランクは、構造用ヒューズと、一対のスペーサと、座屈拘束プレートと、を備え、前記構造用ヒューズは、前記梁の第1のフランジから形成されたヒューズベースと、前記ヒューズベースから延びて前記ヒューズベースと一体に形成されたヒューズ降伏プレートであって、前記ヒューズプレートは前記梁のウェブから形成されており、前記ヒューズ降伏プレートは一対の切り欠きによって画定された狭い領域を含む、前記ヒューズ降伏プレートと、を備え、前記一対のスペーサは、前記梁の前記ウェブから形成され、前記一対の切り欠き内に適合するように構成されており、前記座屈拘束プレートは、前記梁の第2のフランジから形成されている。
【0008】
別の例では、本技術は、構造用ヒューズアセンブリに関する。構造用ヒューズアセンブリは、梁の一部から取られたブランクを備え、前記ブランクは、構造用ヒューズを備え、前記構造用ヒューズは、前記梁の第1のフランジから形成されたヒューズベースと、前記ヒューズベースから延びて前記ヒューズベースと一体に形成されたヒューズ降伏プレートであって、前記ヒューズプレートは前記梁のウェブから形成されている、前記ヒューズ降伏プレートと、を備える。
【0009】
さらなる例において、本技術は、第1のフランジと、前記第1のフランジから直交方向に延び、前記第1のフランジと一体に形成されたウェブと、を少なくとも含む構造用鋼材からブランクを切断する工程(a)と、前記ブランクの前記第1のフランジを前記構造用ヒューズアセンブリのヒューズベースへと形成する工程(b)と、前記ブランクの前記ウェブを前記構造用ヒューズアセンブリのヒューズ降伏プレートへと形成する工程(c)と、を含む、構造用ヒューズアセンブリの製造方法に関する。
【0010】
この概要は、以下の「発明を実施するための形態」でさらに説明される概念の選択を、簡略化した形態で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を識別することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることを意図するものでもない。特許請求される主題は、背景技術で言及される任意のまたはすべての欠点を解決する実装形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本技術の実施形態によるワンピース構造用ヒューズを製造するための方法のフローチャートである。
【
図2】本技術の実施形態によるワンピース構造用ヒューズを製造するための方法のフローチャートである。
【
図3】本技術の実施形態による複数の構造用ヒューズが製造され得る梁の部分を示し、ここから本技術の実施形態による複数の構造用ヒューズが製造され得る。
【
図4】梁の異なる構成の断面図を示し、ここから本技術によるワンピースヒューズが製造され得る。
【
図5】梁の異なる構成の断面図を示し、ここから本技術によるワンピースヒューズが製造され得る。
【
図6】本技術の実施形態よるワンピース構造用ヒューズが製造され得る梁の部分を示す。
【
図7】構造用ヒューズ、スペーサ、及び、座屈拘束プレートを形成する個別部分に分断された
図6の梁を示す。
【
図8】構造用ヒューズ、スペーサ、及び、座屈拘束プレートを形成する個別部分に分断された
図6の梁を示す。
【
図9】構造用ヒューズ、スペーサ、及び、座屈拘束プレートで実施され得る、切断、孔および他の加工を示す。
【
図10A】構造用ヒューズ、スペーサ、及び、座屈拘束プレートで実施され得る、切断、孔および他の加工を示す。
【
図10B】代替の実施形態において、構造用ヒューズ、スペーサ、及び、座屈拘束プレートで実施され得る、切断、孔、および他の加工を示す。
【
図11】構造内の梁と柱との間の接続部で使用される、本技術の実施形態による一対のワンピース構造用ヒューズを示す。
【
図13】構造用ヒューズアセンブリの要素が本技術の実施形態に従って形成されるブランクを示す。
【
図14】本技術の実施形態によるブランクから分離された
図13の要素を示す。
【
図15】本技術のさらなる実施形態に従って一緒に使用される一対の隣接するブランクを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本技術は、大まかに説明すると、I-梁、ワイドフランジI-梁、または標準構造のW形梁などの構造鋼の単一部品から形成されたワンピース構造用ヒューズアセンブリに関する。構造用ヒューズアセンブリは、ヒューズベースとヒューズプレートとを有する構造用ヒューズと、一対のスペーサと、座屈拘束プレート(BRP)とを含んでもよい。最初に、ブランクは、梁の長さを横断して梁から切断されてもよく、その結果、ブランクは、ウェブによって接続された第1および第2のフランジを含む。実施形態では、ブランクの第1のフランジはヒューズベースを形成することができ、ブランクのウェブの一部はヒューズプレートを形成することができる。さらに、実施形態では、BRPは、ブランクの第2のフランジから形成されてもよく、スペーサは、ヒューズプレートで使用されていないウェブの一部分から形成されてもよい。実施形態では、単一のブランクから切断された要素のすべてが、単一の構造用ヒューズアセンブリで使用される。
【0013】
構造用ヒューズアセンブリにおいて使用される要素の一部又は全部を梁の単一片から形成することは、幾つかの利点を提供する。第1に、ヒューズプレートと一体に形成されたヒューズベースを有することは、完全継手溶け込み溶接の必要性を回避し、従って、溶接部を形成する際の人為的エラーの可能性、及び溶接部位での脆弱性を排除する。第二に、スペーサは、例えば0.15インチのような厳しい許容範囲内で、ヒューズプレートと同じ厚さであることが重要である。スペーサとヒューズプレートを同じウェブから形成することで、この厳しい公差を満たすことが保証される。第三に、鋼が所定の方法で加熱されると、鋼の粒子が北側の磁極に向けて並び得る。構造用ヒューズアセンブリを、すべての粒子が整列した鋼片から形成することにより、構造用ヒューズアセンブリ全体にわたって均一な特性および反応が保証される。
【0014】
本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではないことが理解される。むしろ、これらの実施形態は、本開示が網羅的かつ完全であり、本発明を当業者に完全に伝えるように提供される。実際、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲および概念内に含まれる、これらの実施形態の代替、修正、および均等物を包含することが意図される。さらに、本発明の以下の詳細な説明では、本発明の網羅的な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、本発明がそのような特定の詳細なしに実施され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0015】
本明細書で使用する「上」および「下」、「上方」および「下方」ならびに「垂直」および「水平」という用語は、例および例示の目的のみを意味し、参照される項目は位置および方向が交換され得るので、本発明の説明を限定することを意味するものではない。また、本明細書で使用する場合、「実質的に」および/または「約」という用語は、指定された寸法またはパラメータが、所与の利用において許容される製造許容範囲内で変更され得ることを意味する。一実施形態では、許容可能な製造公差は±.25%である。
【0016】
図1は、本技術による構造用ヒューズアセンブリを形成するための一実施形態のフローチャートである。構造用ヒューズアセンブリは、最初に、
図3に示す梁200のような従来の構造用鋼部品から取られる。梁200は、それぞれ、第1および第2のフランジ202および204と、第1および第2のフランジの間に延在するウェブ206とを有してもよい。一例では、フランジ202、204は、1-13/16インチの厚さを有してもよいが、フランジの厚さは、さらなる実施形態では変更してもよい。一例では、ウェブ206は、1インチ、3/4インチ、または1/2インチの厚さを有することができるが、ウェブの厚さは、さらなる実施形態では変更してもよい。梁200は、40-3/16インチの(フランジ202、204の外面からの)最大幅を有してもよいが、この幅は、さらなる実施形態において変更してもよい。
【0017】
フランジは、いわゆる標準的な構造的W形状に形成することができ、ここで、フランジ202および204の内面202a、204aは、ウェブ206の表面に直交している(
図4)。あるいは、フランジは、いわゆるS形断面に形成されてもよく、内面202a、204aは、ウェブ206の表面との90oよりも大きい角を形成する(
図5)。梁の他の構成も考えられる。以下に説明するように、第1および第2のフランジ202、204は、完成された構造用ヒューズアセンブリにおいて、それぞれヒューズベースおよびBRPを形成する。しかし、BRPが構造用ヒューズと同じ鋼片に由来しないことも考えられる。このような実施形態では、構造用ヒューズは、2つのフランジを有する従来の梁の代わりに、単一フランジを有する構造用鋼部品から形成されてもよい。
【0018】
ステップ100では、梁200の一部分が、長さ(L、
図3)を横断する方向に、梁から切断される。本明細書においてブランク210と呼ばれるこの部分は、
図3及び
図6に示される。ブランク210は、第1のフランジ202、第2のフランジ204、およびウェブ206を含む。
図6に示すように、ブランク210は、12インチの幅Wを有することができるが、この幅は、さらなる実施形態では変更されてもよい。ブランク210は、例えばコンピュータ数値制御(CNC)プラズマ切断を含む様々な方法によって梁200から切断することができる。カナダのオンタリオ州のBurlington Automation Corp.によるPythonXロボットプラズマ切断システムは、そのような切断システムの一例である。鋸刃による切断など他の切断方法も可能である。
【0019】
ステップ102では、フランジ204をウェブ206から分離するために、第1の横方向切断が第2のフランジ204に隣接して行われる(
図7および
図8)。以下に説明するように、分離された第2のフランジ204は、構造用ヒューズアセンブリ内のBRPへと加工されてもよい。ステップ106では、ウェブ206の端部付近で第2の横方向切断が行われ、ウェブ206から部分214を分離する(
図7および
図8)。以下に説明するように、一実施形態では、部分214は、構造用ヒューズアセンブリ内で一対のスペーサに加工することができる。第1および第2の横方向切断は、CNCプラズマ切断、切断ブレードまたは他の切断方法によって行われてもよい。
【0020】
ステップ110では、ボルト孔が、第1のフランジ202、第2のフランジ204、ウェブ206および/または部分214に形成されてもよい。例えば、
図9に示されるように、ボルト孔220は、第1のフランジ202に形成されてもよく、ボルト孔222は、ウェブ206に形成されてもよく、ボルト孔224は、部分214に形成されてもよく、ボルト孔226は、第2のフランジ204に形成されてもよい。様々な要素におけるボルト孔の特定の配置は、一例であり、孔の位置およびサイズは、代替の実施形態において変更してもよい。孔220、222、224および226は、米国ニューハンプシャー州のハイパーサーム社(Hypertherm、Inc.)製のTrue Hole(登録商標)高精細プラズマ切断システムを含む様々な方法によって形成することができる。孔220、222、224および226は、さらなる実施形態において、穿孔を含む他の方法によって形成されてもよい。
【0021】
ステップ114では、部分230をウェブ206から除去して、切り欠き232(
図10A)を画定することができる。切り欠きは狭幅領域234を形成する。この狭幅領域234は、仕上げられた構造用ヒューズの、所定の閾値を超える荷重によって降伏する領域である。切り欠き232は、例えば、上述したようなCNCプラズマ切断を含む様々な方法によってウェブ206から切断することができる。鋸刃による切断など他の切断方法も可能である。この時点で、第1のフランジ202は、ヒューズベース236(
図10A)に加工され、ウェブ206は、ヒューズ降伏プレート238に加工されている。ヒューズベース236とヒューズ降伏プレート238は、一緒になって、構造ヒューズ240を形成する。
【0022】
ステップ118では、部分214を半分に切断して、一対のスペーサ242および244(
図10A)を画定することができる。スペーサ242および244は、以下に説明するように、構造用ヒューズアセンブリ内で使用される。ステップ120において、第2のフランジ204は、第2のフランジ204がウェブ206から切り離されたときに残っているウェブ206の任意の部分を除去するために、圧延されるか、または他の方法で処理されてもよい。圧延又は他の加工は、
図10Aに示すように、第2のフランジ204を平面座屈拘束プレート(BRP)246に変形する。ウェブの一部は、金属複合デッキが重力のみによって降伏リンク連結部に当接するのを助けるために残される。
【0023】
上述の実施形態では、スペーサ242および244は、ヒューズ降伏プレート238の端部を越えたウェブ206の部分から取られる。しかしながら、
図10Bに示されるさらなる実施形態では、スペーサ242および244は、切り欠き232を画定するためにウェブ206から除去される部分230であってもよい。
図10Bのスペーサ242および244は、ウェブ206から部分230を除去するために行われる切断の切り溝幅だけ切り欠き232よりも小さくてもよい。さらなる実施形態では、スペーサ242および244は、降伏プレート238の側面に接触することなく切り欠き232内に確実に嵌合するように、研削されるか、または別の方法でより小さくされてもよい。
図10Bの実施形態では、ボルト孔224は、(ウェブ206から分離される前または後に)部分230に形成されてもよい。この実施形態では、ヒューズ降伏プレート238によって使用されないウェブ206の任意の部分(すなわち、ヒューズプレート238の端部と第2のフランジ204との間)は、ウェブ206から切り離され、廃棄されてもよい。
【0024】
構造用ヒューズ240、スペーサ242、244およびBRP246を形成した後、ステップ122で、すべての部品を洗浄し、例えばPMS172オレンジで塗装または粉末コーティングしてもよい。ステップ122は、プラズマまたは他の高温切断プロセスから任意のスラグを除去するために、それぞれの要素をブラスト処理するステップを含んでもよい。また、梁200のローリング製造プロセスから生じ得るスケールを除去してもよい。洗浄ステップ122は、要素240、242、244、および246から錆を除去してもよい。
【0025】
構造用ヒューズ240、スペーサ242、244、およびBRP246を形成するために使用されるプロセスのタイプに基づくなどして、上述のいくつかのステップを異なる順序で実行することができることが理解される。例えば、第1の横方向切断(ステップ102)、第2の横方向切断(ステップ106)、ボルト孔の形成(ステップ110)、および切り欠きの形成(ステップ114)を含む一連のステップは、さらなる実施形態において任意の順序で実行され得ることが理解される。
【0026】
上述のように、構造用ヒューズ240、スペーサ242、244、およびBRP246を形成するための1つのプロセスは、プラズマ切断および孔の形成を含むことができる。
図2は、このようなプロセスで使用され得る代替的な方法を示す。
図2のプロセスのステップは、例えば、構造用ヒューズ240、スペーサ242、244、およびBRP246の機械的切断および圧延などの他のプロセスと共に使用することができることを理解されたい。ステップ150において、ブランク210は、上述のように梁200から切断されてもよい。ステップ156では、ボルト孔が第1のフランジ202およびウェブ206に形成されてもよい。ステップ160では、第2のフランジ204に隣接するウェブ206を横切って第1の横方向切断を行い、第2のフランジ204を実質的に切り離すことができる。特に、第1の横方向切断が完了した後に、第2のフランジ204をウェブ206に接続する小さなタブを残すことができる。タブは、ブランク210が一体品として残るように、ウェブ上に第2のフランジ204を保持する。
【0027】
ステップ164では、ウェブ206の端部で第2の横方向切断が行われ、ウェブ206から部分214を実質的に分離する。特に、第2の横方向切断が完了した後に、端部をウェブ206に接続する第2の小さなタブを残すことができる。したがって、第2のフランジは、第1のタブによって端部に取り付けられたままであり、端部は、第2のタブによってウェブに取り付けられたままである。第1および第2の横方向切断後にブランクを単一片として維持するためにタブを使用する理由は、技術者が高温プラズマ切断装置から切断片を回収する必要がないためである。
図15を参照して以下に説明するように、実施形態では、2つの隣接するブランク210が、所与の梁/柱接続部の頂部および底部で使用される。タブはまた、2つの隣接するブランク210を一緒に保持するために使用されてもよい。
【0028】
ステップ168において、切り欠きは、
図10Aおよび10Bに示される狭幅領域234を画定するためにウェブ206に切り出されてもよい。ステップ170において、(依然として一体である)ブランク210は、ブランク210からスラグ、スケール及び/又は錆を除去するために、ブラスト又は他の洗浄プロセスを受けてもよい。ステップ172では、タブは、構造用ヒューズ240、スペーサ242、244、及び、BRP246を別個の部品に切り離すために、研削、切断、または他のプロセスで除去されてもよい。以下に説明するように、本技術の実施形態は、隣接するブランク210から切断された一対の構造用ヒューズを使用する。このような実施形態では、タブを隣接するブランクの間にさらに維持して、一対が確実に一緒に保持されるようにすることができる。
【0029】
ステップ176では、BRP246を圧延してウェブ206の残留物を除去し、BRPを平坦なプレートに形成することができ、ボルト孔をBRPに形成することができる。その後、ステップ178で、構造用ヒューズ140、スペーサ242、244、及び、BRP246を任意選択で塗装することができる。
【0030】
図11は、本技術による一対の構造用ヒューズアセンブリ300によって柱252に接続された梁250を示す。
図12は、
図11の接続に使用される構造用ヒューズアセンブリ300の分解斜視図を示す。
図11に示されるように、梁250の柱252への接続などの構造接続部は、梁の上部に1つ、下部に1つの一対の構造用ヒューズアセンブリ300を含んでもよい。作動中、一対の構造用ヒューズアセンブリ300は、横方向荷重を受けている柱に対する梁の回転に対抗するようにタンデムに作動する。第1の方向への回転を試みると、アセンブリ300のうちの第1のアセンブリが引張状態になり、第2のアセンブリ300が圧縮状態になる。反対方向への回転を試みると、第2のアセンブリ300が引張状態になり、第1のアセンブリ300が圧縮状態になる。
【0031】
図11および
図12に示すように、各構造用ヒューズアセンブリ300は、柱に取り付けられるヒューズベース236および梁に取り付けられるヒューズ降伏プレート238を有する構造用ヒューズ240を含む。上述のように、従来の構造用ヒューズとは異なり、ヒューズベース236は、梁または他の構造用鋼部品の単一部分からヒューズ降伏プレート238と一体的に形成される。上述したように、ヒューズプレートをヒューズベースに固定するために従来使用されている完全継手溶け込み溶接部は、形成が困難である。構造用鋼の一片からヒューズベースとヒューズプレートを形成することにより、完全継手溶け込み溶接部を形成する必要がなくなり、このような溶接部を形成する際の人為的ミスの可能性を省くことができる。加えて、従来の構造用ヒューズは溶接部位において脆弱であるため、本技術のワンピース構造用ヒューズは従来の構造用ヒューズよりも延性が高い。
【0032】
実施形態では、構造用ヒューズアセンブリ300は、BRP246および一対のスペーサ242、244(そのうちの1つは、明確化のために
図12から省略されている)をさらに含む。しかしながら、さらなる実施形態では、構造用ヒューズアセンブリ300は、構造用ヒューズ240のみ、構造用ヒューズ240およびスペーサ242、244のみ、または、構造用ヒューズ240およびBRP246のみを含むように定義されてもよいことが理解される。
【0033】
梁250と柱252との間に構造用ヒューズアセンブリ300を取り付けるために、ヒューズベース236は、最初に、作業現場で、または作業現場とは別で、柱252に取り付けられてもよい。上述のように、ヒューズベース236は、ボルト310(そのうちの1つが
図12に示されている)を受け入れて、ヒューズベース236を柱にボルト止めするためのボルト孔220(
図12)を含んでもよい。4つのボルト孔220が示されているが、さらなる実施形態では、より多くのまたはより少ないボルト孔220があってもよい。ボルトが好ましいが、ヒューズベース236は、溶接または接着によって柱252に固定されてもよい。
【0034】
その後、作業現場において、梁に取付けられるヒューズ降伏プレート238は、ボルト孔222を介して複数のボルト312(そのうちの1つが
図12に示されている)を介して梁250にボルト止めすることができる。図は6つのボルト孔222を示しているが、さらなる実施形態においては、それよりも多くても少なくてもよい。この時点で、構造用ヒューズ240は、梁250および柱252の両方に固定される。梁および柱はまた、剪断(shear)タブ320によって互いに取り付けられてもよい。剪断タブ320は、柱252のフランジ部及び梁250のウェブ部に、溶接、粘着またはボルト322でボルティングすることにより、柱252に取り付けることができる。さらなる実施形態では、ヒューズ降伏プレート238は、最初に、作業現場で、または作業現場とは別で、梁250に取り付けられてもよく、その後、ヒューズベース236が、作業現場で柱252に取り付けられてもよい。
【0035】
BRP246は、次に、ヒューズ降伏プレート238の狭幅領域234にわたって梁250に固着されてもよい。例えば
図12に見られるように、一対のボルト314は、BRP246のボルト孔226を通って梁250のフランジに形成された孔に適合し、そこで、ボルトは、所定位置にボルトを固定するためにナットを受け入れることができる。BRP246およびヒューズ降伏プレート238内の応力を防止するために、ウェブから切断されたスペーサ242、244は、プレート238内に形成された切り欠き232内に適合し得る。したがって、ボルト314は、BRP246のボルト孔226を通り、スペーサ242、244の孔224を通り、梁250のフランジに形成された孔に嵌まる。スペーサ242、244は、それぞれ降伏プレート338の片側の切り欠き232の少なくとも大部分を占める。スペーサ242、244は、例えば0.15インチ以内のような厳しい公差で、ヒューズ降伏プレート238と同じ厚さを有することが重要である。ヒューズ降伏プレート238およびスペーサ242、244が、本技術に従い、同じブランク210から切断されるので、降伏プレートおよびスペーサは、所望の許容範囲内で同じ厚さを有し得る。
【0036】
図11に示されるそれぞれの構造用ヒューズアセンブリ300は、横方向荷重を受ける梁250および柱252のような構造部材間の相対的移動に対する高い初期剛性および引張抵抗を提供するが、予測可能で、制御された、所定のレベルを超える横方向荷重を受けても安定した降伏およびエネルギー散逸を提供する。特に、柱および梁の曲げ強度は、一対の構造用ヒューズアセンブリ300、特にヒューズ降伏プレート238の狭幅領域234のモーメント容量を超えるように設計することができる。したがって、ヒューズ降伏プレート238は、柱または梁の降伏または故障の前に横方向荷重下で降伏し、損傷は、容易に除去および交換され得るヒューズ降伏プレートに限定される。BRP246は、圧縮荷重下での構造用ヒューズプレート238の座屈を防止する。剪断タブ320は、垂直荷重下での垂直せん断(すなわち、柱252の長さに沿う垂直せん断)に対抗するために設けられる。
【0037】
構造用ヒューズアセンブリ300の要素は、本技術の範囲内で異なる寸法を有してもよいことが理解される。しかしながら、以下は、いくつかの寸法の例である。ヒューズベースは、長さ12インチ、幅10インチであってもよい。ヒューズ降伏プレートは、ヒューズベースの幅に沿って、ヒューズベースから半分ほど伸びてもよい。ヒューズベースの最終幅が、ヒューズベースの由来となる梁200の幅と異なる程度で、例えばCNCプラズマ切断によって、ヒューズベースの幅より上側及び下側であるの梁200の未使用部分を切断して廃棄することができる。
【0038】
ヒューズ降伏プレートは、幅12インチ、長さ36インチであってもよい。狭幅領域234は、ヒューズベースから6インチ離間していてもよく、12インチの長さを有していてもよい。狭幅領域234は、6インチの幅を有していてもよい。スペーサ242、244は、狭幅領域234によって画定される切り欠きの少なくとも実質的な部分を満たす任意の長さおよび幅であってもよい。BRP246は、12インチの長さ及び幅を有していてもよい。上述のように、本技術のさらなる実施形態では、上記の寸法の各々は、互いに比例して、または不均衡に、変更されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、構造用ヒューズアセンブリ300内のすべての要素は、同じブランク210から得ることができる。したがって、構造用ヒューズアセンブリ300が構造用ヒューズ240、スペーサ242、244、およびBRP246を備える実施形態では、それぞれが同じブランク210に由来してもよい。構造用ヒューズアセンブリ300が構造用ヒューズ240およびスペーサ242、244を備える実施形態では、それぞれが同じブランク210に由来してもよい(BRP246は別のブランクまたは他の構造コンポーネントに由来してもよい)。構造用ヒューズアセンブリ300が構造用ヒューズ240およびBRP246を備える実施形態では、それぞれが同じブランク210に由来してもよい(スペーサ242、244は別のブランクまたは他の構造要素に由来してもよい)。構造用ヒューズ300が構造用ヒューズ240のみを含む実施形態では、スペーサ242、244および/またはBRP246は、別のブランクまたは他の構造要素に由来してもよい。
【0040】
製造において、複数のブランク210は、梁200の長さから切断されてもよい。各ブランクに由来する要素(構造用ヒューズ240、スペーサ242、244、および/またはBRP246)はそれぞれ、単一のブランクに由来する要素が、完成した構造用ヒューズアセンブリ300において一緒に使用されることを保証するために、独自にマークされるか、または別の方法で別のブランク210に由来する要素から分離/区別されてもよい。
【0041】
実施形態において、梁の任意の場所から採取されたブランク210に由来する構造用ヒューズアセンブリ300は、
図11に示される上部および下部アセンブリ300として使用されてもよい。しかし、さらなる実施形態では、2つの隣接するブランクからの要素を、同じ接続で一緒に使用される2つの構造用ヒューズアセンブリ300に使用することができる。例えば、
図11の梁/柱接続部に示されている一対の構造用ヒューズアセンブリ300は、梁200上で互いに隣接していたブランクに由来してもよい。これは、梁/柱接合部の上部および下部の構造用ヒューズアセンブリ300が同じ特性を有し、同じ応力応答を示すことを確実にする。
【0042】
隣接するブランク210を梁/柱接続部の頂部及び底部で一緒に使用することができる実施形態が、例えば
図15に示されている。
図15は、(フランジ202から形成される)ヒューズベース236および(ウェブ206から形成される)ヒューズ降伏プレート238が形成されたブランク210を示す。ブランク210は、切り欠き230及びボルト孔222を形成するために、上述したようにウェブ206で更に切断される。スペーサ242、244は、上述のように切断することができる。あるいは、スペーサは、
図15に示されるスペーサ243のように、隣接するブランク210の間に形成されてもよい。2つのブランク210は、フランジ202に取り付けることができる。2つのブランクはまた、タブ260を使用して、互いと、第2のフランジ204とに取り付けられてもよい。ブランクを互いと、梁202とから分離するために、フランジ202を破線262に沿って切断し、タブ260を切断し、打ち抜き、または他の方法で除去することができる。識別子264(
図15において「×」で記号的に示される)は、ブランク210にエッチングされるか、別の方法で付けられてもよい。隣接するブランク210上の識別子264は、これらの2つのブランクが梁/柱接続部の頂部および底部で一緒に使用されることを保証するために、同じであってもよい。
【0043】
上述のように、鋼が少なくとも所定の温度に加熱されると、鋼中の結晶は、鋼に結晶粒を与えるために同じ方向に整列することができる。構造用ヒューズアセンブリ300に使用される構成要素の粒子を互いに整列させることができることは、本技術の利点である。
図13は、結晶粒180が示されたブランク210を示す。図に見られるように、粒子は同じ方向に整列する。
図14は、切り欠き232から切断されたスペーサ242、244を含む、構造用ヒューズ300に加工された
図13のブランクを示す。このような実施形態では、スペーサ242、244が、仕上げられた構造用ヒューズ300の切り欠きに戻されると、スペーサの結晶粒180は、ヒューズ降伏プレート238内の結晶粒180と整列する。これにより、スペーサの特性、およびスペーサによる応力に対する反応が、ヒューズ降伏プレート238のものと同じになることが有利に保証される。梁/柱接合部の上部および下部において、隣接するブランクに由来する2つの降伏リンクアセンブリ300を使用することは、同じブランクからのスペーサおよび降伏プレートの使用よりも重要であり得る。
【0044】
本発明の前述の詳細な説明は、例示および説明の目的で提示されている。包括的であること、または開示される正確な形態に本発明を限定することを意図するものではない。上記説明の観点から、多くの修正およびバリエーションが可能である。記載された実施形態は、本発明の原理およびその実用的な適用を最もよく説明するために選択されており、それによって、他の当業者が、様々な実施形態において、意図される特定の使用に適した様々な修正を伴って、本発明を最適に利用することを可能にした。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されることが意図される。
以下に、本明細書で開示の技術を列挙する。
(請求項1)
一対の構造用ヒューズアセンブリであって、
梁の第1の部分から取られた第1のブランクと、
前記梁の第2の部分から取られた第2のブランクと、
を備え、
前記第1のブランクは、
第1の構造用ヒューズと、
第1の一対のスペーサと、
第1の座屈拘束プレートと、
を備え、
前記第1の構造用ヒューズは、
前記梁の第1のフランジから形成された第1のヒューズベースと、
前記ヒューズベースから延びて前記ヒューズベースと一体に形成された第1のヒューズ降伏プレートであって、前記ヒューズプレートは前記梁のウェブから形成されており、前記ヒューズ降伏プレートは一対の切り欠きによって画定された狭い領域を含む、前記第1のヒューズ降伏プレートと、
を備え、
前記第1の一対のスペーサは、前記梁の前記ウェブから形成され、前記一対の切り欠き内に適合するように構成されており、
前記第1の座屈拘束プレートは、前記梁の第2のフランジから形成されており、
前記第2のブランクは、
第2の構造用ヒューズと、
第2の一対のスペーサと、
第2の座屈拘束プレートと、
を備え、
前記第2の構造用ヒューズは、
前記梁の前記第1のフランジから形成された第2のヒューズベースと、
前記ヒューズベースから延びて前記ヒューズベースと一体に形成された第2のヒューズ降伏プレートであって、前記ヒューズプレートは前記梁のウェブから形成されており、前記ヒューズ降伏プレートは一対の切り欠きによって画定された狭い領域を含む、前記第2のヒューズ降伏プレートと、
を備え、
前記第2の一対のスペーサは、前記梁の前記ウェブから形成され、前記一対の切り欠き内に適合するように構成されており、
前記第2の座屈拘束プレートは、前記梁の第2のフランジから形成されており、
梁の前記第1及び第2の部分は、前記梁上で互いに直に隣接している、一対の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項2)
前記梁は、標準的な構造用W形状を有する構造用鋼材である、請求項1に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項3)
前記一対の切り欠き内に前記一対のスペーサを配置すると、前記一対のスペーサの粒子が、前記ヒューズ降伏プレートの粒子と整列する、請求項1に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項4)
構造用ヒューズアセンブリであって、
構造用ヒューズと、
一対のスペーサと、
座屈拘束プレートと、
を備え、
前記構造用ヒューズは、
ヒューズベースと、
前記ヒューズベースから延びて前記ヒューズベースと一体に形成されたヒューズ降伏プレートであって、一対の切り欠きによって画定された狭い領域を含む、前記ヒューズ降伏プレートと、
を備え、
前記一対のスペーサは、前記一対の切り欠き内に適合するように構成されており、
前記構造用ヒューズ、前記一対のスペーサ、及び、前記座屈拘束プレートの全ては、構造用鋼材の単一部品に由来する、構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項5)
前記構造用鋼材は、標準的な構造用W形状の梁である、請求項4に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項6)
前記構造用鋼材は、標準的な構造用W形状の梁であり、
前記ヒューズベースは、前記梁のフランジから形成されており、
前記ヒューズ降伏プレートは、前記梁のウェブから形成されている、請求項4に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項7)
前記フランジは、第1のフランジを含み、
前記座屈拘束プレートは、前記梁の第2のフランジから形成される、請求項6に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項8)
前記一対のスペーサは、前記梁の前記ウェブから形成されている、請求項6に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項9)
前記一対のスペーサは、前記切り欠きを形成するために切り出された前記ウェブの部分から形成されている、請求項8に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項10)
前記フランジは、第1のフランジであり、
前記一対のスペーサは、前記構造用ヒューズ降伏プレートの端部と、前記梁の第2のフランジと、の間の前記ウェブの一部から形成されている、請求項8に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項11)
前記一対の切り欠き内に前記一対のスペーサを配置すると、前記一対のスペーサの粒子が、前記ヒューズ降伏プレートの粒子と整列する、請求項8に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項12)
構造用ヒューズアセンブリであって、
梁の一部から取られたブランクを備え、
前記ブランクは、
構造用ヒューズと、
一対のスペーサと、
座屈拘束プレートと、
を備え、
前記構造用ヒューズは、
前記梁の第1のフランジから形成されたヒューズベースと、
前記ヒューズベースから延びて前記ヒューズベースと一体に形成されたヒューズ降伏プレートであって、前記ヒューズプレートは前記梁のウェブから形成されており、前記ヒューズ降伏プレートは一対の切り欠きによって画定された狭い領域を含む、前記ヒューズ降伏プレートと、
を備え、
前記一対のスペーサは、前記梁の前記ウェブから形成され、前記一対の切り欠き内に適合するように構成されており、
前記座屈拘束プレートは、前記梁の第2のフランジから形成されている、
構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項13)
前記一対のスペーサは、前記切り欠きを形成するために切り出された前記ウェブの部分から形成されている、請求項12に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項14)
前記一対のスペーサは、前記構造用ヒューズ降伏プレートの端部と、前記梁の前記第2のフランジと、の間の前記ウェブの一部から形成されている、
(請求項15)
構造用ヒューズアセンブリであって、
梁の一部から取られたブランクを備え、
前記ブランクは、構造用ヒューズを備え、
前記構造用ヒューズは、
前記梁の第1のフランジから形成されたヒューズベースと、
前記ヒューズベースから延びて前記ヒューズベースと一体に形成されたヒューズ降伏プレートであって、前記ヒューズプレートは前記梁のウェブから形成されている、前記ヒューズ降伏プレートと、
を備える、
構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項16)
前記ブランクは、さらに、前記梁の第2のフランジから形成された座屈拘束プレートを備える、請求項15に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項17)
座屈拘束プレートをさらに備える、請求項15に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項18)
前記座屈拘束プレートは、前記梁に由来する、請求項15に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項19)
前記ヒューズ降伏プレートは、一対の切り欠きによって画定された狭い領域を含み、
前記構造用ヒューズアセンブリは、さらに、前記一対の切り欠き内に適合するように構成されている一対のスペーサを備える、請求項15に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項20)
前記一対のスペーサは、前記梁の前記ウェブから形成される、請求項19に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項21)
前記一対の切り欠き内に前記一対のスペーサを配置すると、前記一対のスペーサの粒子が、前記ヒューズ降伏プレートの粒子と整列する、請求項19に記載の構造用ヒューズアセンブリ。
(請求項22)
構造用ヒューズアセンブリの製造方法であって、
第1のフランジと、前記第1のフランジから直交方向に延び、前記第1のフランジと一体に形成されたウェブと、を少なくとも含む構造用鋼材からブランクを切断する工程(a)と、
前記ブランクの前記第1のフランジを前記構造用ヒューズアセンブリのヒューズベースへと形成する工程(b)と、
前記ブランクの前記ウェブを前記構造用ヒューズアセンブリのヒューズ降伏プレートへと形成する工程(c)と、
を含む、構造用ヒューズアセンブリの製造方法。
(請求項23)
構造用鋼材からブランクを切断する前記工程(a)は、梁からブランクを切断することを含む、請求項22に記載の製造方法。
(請求項24)
構造用鋼材からブランクを切断する前記工程(a)は、プラズマ切断によってブランクを切断することを含む、請求項22に記載の製造方法。
(請求項25)
前記ブランクの前記第1のフランジをヒューズベースへと形成する前記工程(b)は、前記第1のフランジ内にボルト孔を形成することを含む、請求項22に記載の製造方法。
(請求項26)
前記ブランクの前記ウェブをヒューズ降伏プレートへと形成する前記工程(c)は、
前記ウェブ内にボルト孔を形成することと、
前記ウェブの隣接領域よりも狭い幅を有する領域を画定するために一対の切り欠きを切り出すことと、
を含む、請求項22に記載の製造方法。
(請求項27)
前記製造方法は、さらに、
前記ウェブから一対のスペーサを切り出す工程を含み、
前記一対のスペーサは、前記一対の切り欠き内に適合するように構成されている、請求項26に記載の製造方法。
(請求項28)
前記構造用鋼材は、前記ウェブと一体に形成されており、前記第1のフランジと対向する前記ウェブの側部において前記ウェブから直交方向に延びる、第2のフランジを含み、
前記製造方法は、さらに、
前記構造用ヒューズアセンブリの座屈拘束プレートを前記第2のフランジから形成する工程を含む、請求項22に記載の製造方法。