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特許7275166調節可能なヘッドレスト及び一体型後部シートエアバッグを有する車両用シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】調節可能なヘッドレスト及び一体型後部シートエアバッグを有する車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/894 20180101AFI20230510BHJP
   B60N 2/838 20180101ALI20230510BHJP
   B60N 2/809 20180101ALI20230510BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20230510BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20230510BHJP
   B60R 21/207 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
B60N2/894
B60N2/838
B60N2/809
A47C7/38
B60N2/42
B60R21/207
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020560865
(86)(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 US2018063030
(87)【国際公開番号】W WO2019168575
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】15/907,454
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、デビッド ダブリュー.
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-031166(JP,A)
【文献】特開平10-071915(JP,A)
【文献】特開2017-100682(JP,A)
【文献】実公昭58-025889(JP,Y2)
【文献】実開平01-131350(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 - B60N 2/90
A47C 7/38
B60R 21/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートであって、
前側及び後側を有するシートバックと、
少なくとも1つのポストによって前記シートバックに接続されたヘッドレストであって、前記シートバックに対して調節可能であるヘッドレストと、
エアバッグ及びインフレータと、前記エアバックが前記シートバックの後方に展開可能なように前記シートバックの後側に位置付けられるエアバッグハウジングとを含むエアバッグユニットであって、前記エアバッグが、前記ハウジング内に収容されており、前記エアバッグが、前記シートバックの上端部に近接する格納位置から前記シートバックの前記後側から後方に展開可能である、エアバッグユニットと、を備え、
前記エアバッグが前記エアバッグハウジング内に収容されたときに、前記少なくとも1つのポストのポスト伸長軸と同一直線上にあるラインが、前記エアバッグユニットと交差していて、前記少なくとも1つのポストの下端部が、前記ラインと交差する前記エアバッグユニットの垂直上方にあるように、前記少なくとも1つのポストは、前記エアバッグユニットに対して配向されていて、
前記エアバッグユニットが、前記シートバックの上端部から100mm以下の距離だけ下方に離間されていることを特徴とする、車両用シート。
【請求項2】
前記ヘッドレストが、前記ポスト伸長軸に平行な方向に前記シートに対して調節可能であることを特徴とする、請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記少なくとも1つのポストが、第1のポスト及び第2のポストを含むことを特徴とする、請求項1に記載の車両用シート。
【請求項4】
前記少なくとも1つのポストの前記下端部が、前記シートバックの頂部に装着されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用シート。
【請求項5】
車両用シートであって、
前側及び後側を有するシートバックと、
少なくとも1つのポストによって前記シートバックに接続されたヘッドレストであって、前記シートバックに対して調節可能であるヘッドレストと、
エアバッグ及びインフレータと、前記エアバックが前記シートバックの後方に展開可能なように前記シートバックの後側に位置付けられるエアバッグハウジングとを含むエアバッグユニットであって、前記エアバッグが、前記ハウジング内に収容されており、前記エアバッグが、前記シートバックの上端部に近接する格納位置から前記シートバックの前記後側から後方に展開可能である、エアバッグユニットと、を備え、
前記エアバッグが前記エアバッグハウジング内に収容されたときに、前記少なくとも1つのポストのポスト伸長軸と同一直線上にあるラインが、前記エアバッグユニットと交差していて、前記少なくとも1つのポストの下端部が、前記ラインと交差する前記エアバッグユニットの垂直上方にあるように、前記少なくとも1つのポストは、前記エアバッグユニットに対して配向されていて、
前記少なくとも1つのポストが、前記シートバックに対して角度調節可能であることを特徴とする、車両用シート。
【請求項6】
車両用シートであって、
前側及び後側を有するシートバックと、
少なくとも1つのポストによって前記シートバックに接続されたヘッドレストであって、前記シートバックに対して調節可能であるヘッドレストと、
エアバッグ及びインフレータと、前記エアバックが前記シートバックの後方に展開可能なように前記シートバックの後側に位置付けられるエアバッグハウジングとを含むエアバッグユニットであって、前記エアバッグが、前記ハウジング内に収容されており、前記エアバッグが、前記シートバックの上端部に近接する格納位置から前記シートバックの前記後側から後方に展開可能である、エアバッグユニットと、を備え、
前記エアバッグが前記エアバッグハウジング内に収容されたときに、前記少なくとも1つのポストのポスト伸長軸と同一直線上にあるラインが、前記エアバッグユニットと交差していて、前記少なくとも1つのポストの下端部が、前記ラインと交差する前記エアバッグユニットの垂直上方にあるように、前記少なくとも1つのポストは、前記エアバッグユニットに対して配向されていて、
前記少なくとも1つのポストの上端部が、前記ヘッドレスト内に伸縮可能に受容されることを特徴とする、車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、乗員安全拘束システムに関する。より具体的には、本開示は、調節可能なヘッドレスト及び一体型後部シートエアバッグを有する車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
本項は、本開示に関する背景情報を提供するが、それは必ずしも先行技術ではない。
【0003】
差し迫った又は実際の車両の衝突の際に乗員保護を強化するための、様々な受動的かつ能動的な乗員拘束システムが知られている。パッシブシステムは、乗員による行動が必要とされない状態で展開される。例えば、正面衝突又は横方向にオフセットした正面衝突の場合、車両乗員を保護する正面エアバッグの使用が、現代の自動車技術において一般的である。運転者の正面エアバッグは、通常、ステアリングホイールのハブ領域内に位置付けられ、前側着座乗員用の正面エアバッグは、通常、器具パネルの内側に位置付けられる。
【0004】
長年にわたり、正面エアバッグ技術を適合させて、後部着座乗員の保護を強化させる試みがなされてきた。この点に関して、エアバッグが後方展開のために前方車両用シートに装着される様々な着座ソリューションが提案されている。
【0005】
後方に展開可能なエアバッグを有する車両用シートを含む既知の配置は、具体的に意図される目的のために一般的に許容可能であることが判明しているが、後部シート乗員保護のためのそのようなシステムは、一般的に不利益と関連付けられる。この点に関して、これらの既知のシステムのエアバッグは、概して、相対的に大きいクッション容積を必要とし、概して、充填するためのより多くの膨張ガスを必要とし、概して、車両用シート内のより多くの包装空間を必要とする。相対的に大きいクッションサイズに起因して、そのようなエアバッグは、より速い上昇速度を有するインフレータを必要とする場合がある。付加的に、これらのエアバッグは、後ろ向きのチャイルドシートを最適に収容しない場合がある。
【0006】
したがって、後側乗員保護を更に強化することによって、関連技術を前進させることが依然として望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本項は、開示の概要を提供するが、その完全な範囲又はその特徴の全てを包括的に開示するものではない。
【0008】
本教示は、概して、シートバック及びヘッドレストの頂部の適切な被覆を達成する一方で、低減したエアバッグクッションサイズを有し得る後部乗員エアバッグを収容する車両用シートの実施形態を提供する。エアバッグユニットは、シートバックの頂部に近接して、シートバック内に装着され得る。本教示は、さもなければ、シートバックの頂部に近接してシートバック中で利用可能な包装空間の低減から生じる重大な課題を克服する。
【0009】
特定の一態様によれば、本教示は、シートバックと、ヘッドレストと、エアバッグユニットと、を含む車両用シートを提供する。シートバックは、前側及び後側を有する。ヘッドレストは、少なくとも1つのポストによってシートバックに接続され、略垂直方向においてシートバックに対して調節可能である。エアバッグユニットは、シートバックによって担持され、エアバッグ及びインフレータを含む。エアバッグは、シートバックの上端部又は頂部に近接する格納位置からシートバックの後側から後方に展開可能である。少なくとも1つのポストが、エアバッグユニットと交差する少なくとも1つのポストの伸長軸に沿ったラインを有するエアバッグユニットの垂直上方の下端部を含む第1の位置と、少なくとも1つのポストがエアバッグユニットから横方向に離間されている第2の位置と、からなる群から選択される位置で、少なくとも1つのポストは、エアバッグユニットに対して配向されている。
【0010】
別の特定の態様によれば、本教示は、前側及び後側を有するシートバックを含む車両用シートを提供する。車両用シートは、ヘッドレストと、ヘッドレストとシートバックとを調節可能に接続する少なくとも1つのポストと、を付加的に含む。車両用シートは、エアバッグ及びインフレータを有するエアバッグユニットを更に含む。エアバッグユニットは、シートバックによって担持される。エアバッグは、シートバックの上端部に近接する格納位置からシートバックの後側から後方に展開可能である。少なくとも1つのポストは、エアバッグユニットから横方向に離間している。
【0011】
更に別の特定の態様によれば、本教示は同様に、前側及び後側を有するシートバックを含む車両用シートを提供する。この場合もやはり、車両用シートは、ヘッドレストと、ヘッドレストとシートバックとを調節可能に接続する少なくとも1つのポストと、を付加的に含む。車両用シートは、エアバッグ及びインフレータを有するエアバッグユニットを更に含む。エアバッグユニットは、シートバックによって担持される。エアバッグは、シートバックの上端部に近接する格納位置からシートバックの後側から後方に展開可能である。少なくとも1つのポストは、エアバッグユニットと交差する少なくとも1つのポストのポスト伸長軸と同一直線上にあるラインを有するエアバッグユニットの垂直上方の下端部を含む。
【0012】
本明細書に提供される説明から、適用可能な更なるエリアが明らかとなるであろう。この概要の説明及び具体例は、ただ例示目的のみを意図し、本開示の範囲を制限することは意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書に記載の図面は、全ての可能な実施のあり方を示す目的ではなく、選択された実施形態を例示する目的のためにのみ提供され、本開示の範囲を制限することを意図しない。
【0014】
図1】本教示による、前方車両用シートを組み込んだ例示的な車両の一部分を部分的に切り取って示される簡略側面図であり、車両の前方車両用シートは、膨張式安全拘束システム及び調節可能なヘッドレストを含み、膨張式安全拘束システムは、前方車両用シートのシートバックに装着され、かつ後部シート内の乗員を保護するように動作するエアバッグを含み、エアバッグは展開直後に示されている。
【0015】
図2図1の前方車両用シートの一部分の拡大図である。
【0016】
図3図1の前方車両用シートの一部分の簡略背面図であり、ヘッドレストは切り取られて示されている。
【0017】
図4】本教示による別の前方車両用シートを図示する、図3と同様の簡略背面図であり、エアバッグユニットは、シートバックに装着され、エアバッグユニットのエアバッグは、格納状態で示され、ヘッドレストは下降位置で示されている。
【0018】
図5図4の車両用シートの簡略側面図であり、車両用シートは、断面で示され、図4の膨張式拘束システムは、エアバッグの展開後に示されている。
【0019】
図6図4と同様の簡略側面図であり、ヘッドレストは、隆起位置で示されている。
【0020】
図7】本教示による、調節可能なヘッドレストを有し、かつ別の膨張式安全拘束システムを組み込む例示的な前方車両用シートの一部分を図示する、図3と同様の簡略背面図であり、膨張式安全拘束システムは、シートバックに装着されたエアバッグを含み、エアバッグは、格納状態で示され、ヘッドレストは、下降位置で示されている。
【0021】
図8図7の例示的な前方車両用シート及び膨張式安全拘束システムの簡略背面図であり、ヘッドレストは、隆起位置で示され、エアバッグは、展開状態で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、添付の図面を参照しながら、例示的な実施形態をより完全に説明する。
【0023】
例示的な実施形態は、本開示をより不備のないものとし、本開示がその範囲を当業者に完全に伝えることができるようにするために提供される。本開示の実施形態を不備なく理解できるようにするように、具体的構成部品、デバイス、方法の例のような数多くの具体的詳細事項が記述される。当業者には明らかであろうが、具体的な詳細は必ずしも用いられる必要はなく、例示的な実施形態は、本開示の範囲を制限するものと考えるべきではない。周知のプロセス、周知のデバイス構造、及び周知の技術については、本明細書では詳細には説明はされない。
【0024】
最初に図1図3を参照すると、本教示によるモータ車両のシートが図示され、かつ概して基準文字10で特定される。車両用シートは、車両の前部又は前方シート10である。本明細書で使用するとき、「前部シート」及び「前方シート」という用語は、後側乗員のための更なるシートが前部又は前方シートの後ろにあり得ることを意味すると理解されるものとする。前部又は前方シートは、車両内の最前シートである必要はない。車両用シート10は、膨張式安全拘束システム12を含む。図1の環境図では、前方車両用シート10は後部シート13の前方に示されている。以下でより完全に理解されるように、後部シート13の乗員は、膨張式安全拘束システム12によって保護される。
【0025】
車両用シート10は従来、シートバック14及びヘッドレスト15を含む。シートバック14は、前側14A及び後側14Bを有する。図示される特定のシート10が単なる例示であることが理解されるであろう。この点に関して、本教示は、本教示の範囲内の様々な他のシートに適合され得る。
【0026】
膨張式安全拘束システム12は、概して、エアバッグユニット18の一部であるハウジング16を含む。ハウジング16は、シートバック14の後側14Bに位置付けられる。エアバッグユニット18は、インフレータ20及びエアバッグ22を更に含む。インフレータ20は、例えば、ガス発生器の形態であり得る。
【0027】
エアバッグ22は、所望の形状若しくは輪郭を作り出すためにサイドパネルを有する複数枚構造であり得、又は代替的に、プリーツ、内部テザー、外部テザー、及び/若しくは非膨張領域の組み合わせを使用して所望の形状を作り出す、二パネル若しくは単一パネル「枕」型構造であり得る。エアバッグ22の布地は、一枚の織布(one-piece woven、OPW)であり得、クッションの幾何学的形状を制御し、かつ複雑さ/コストを低減するために、テザー内の内部織布及び非膨張領域(ゼロ長さテザー)を含み得る。エアバッグ22は、通常、ハウジング16内に格納され得る。この点に関して、エアバッグ22は、ハウジング16内にロール折り畳みされるか、z折り畳みされるか、又は別の方法で格納され得る。
【0028】
図1及び図2では、例えば、エアバッグ22は、外力を含まない膨張状態又は完全展開状態で示されている。更に説明すると、エアバッグ22は、乗員がエアバッグ22に衝突する前にこの図に示されている。車両用シート10のシートバック14は、15°~45°の標準的な傾斜範囲内で図面全体をとおして示されている。「完全に膨張した」という用語は、展開され、外力を含まないとき、エアバッグの状態を参照するために本明細書で使用され得る。参照のために、前方及び後方車両方向は、それぞれ矢印F及び矢印R(図1を参照)で図面に示されている。上向きの垂直方向は、参照矢印Vで特定される。本明細書で使用するとき、「後方」という用語は、車両に対して後方、又は矢印Rの方向にあると理解される。
【0029】
完全に膨張したエアバッグ22は、シートバック14の上端部に近接するシートバック14から後方に、かつエアバッグユニット18のハウジング16から上方に延在するように示されている。エアバッグ22は、シートバック14及びヘッドレスト15の頂部を適切に覆い、それによって後部シート乗員13を保護するための容積及びサイズを有する。しかしながら、エアバッグ22の特定の構成が例示的であり、本教示が、シートバック14の後側14Bから展開可能な様々な他のエアバッグと共に使用され得ることが理解されるであろう。いくつかの追加の実施例は、同一出願人による米国特許出願第62/500,646号に示されている。米国特許出願第62/500,646号は、本明細書に完全に記載されているかのように、参照により組み込まれる。
【0030】
図示される特定の用途では、エアバッグ22は、単一のシート10を実質的に横切って車幅方向において延在することが意図されている。この特定の用途では、エアバッグ22は、約20L~40Lの容積を有し得る。この容積が例示的であり、本教示の範囲内で修正され得ることが理解されるであろう。また、本教示を適合させて複数の後部シート乗員を保護するために、エアバッグの幅を増加させ得ることも理解されるであろう。
【0031】
ヘッドレスト15は、少なくとも1つのポスト24によって、シートバック14に接続される。図示される実施形態では、少なくとも1つのポスト24は、ヘッドレスト15をシートバック14と調節可能に接続する。例えば、ヘッドレストは、シートバック14に対して高さ調節可能であり得る。更に、図示される実施形態では、少なくとも1つのポスト24は、第1のポスト24A及び第2のポスト24Bを含む。各ポスト24は、ポスト軸Aに沿って伸長される。ヘッドレストは、ポスト軸Aに平行な方向Cで高さ調節可能であり得る。
【0032】
ポスト24の各々は、シートバック14の頂部14Cに装着された下端部26を含む。下端部26は、シートバック14に、任意の好適な方法で装着され得る。図面の図1図3に示される実施形態では、ポスト24の下端部26は、下端部がシートバック14に対して関節運動しない、又は別の方法で移動しないように、シートバック14の頂部に固定的に装着される。
【0033】
ポスト24の下端部26は、シートバック14内に最大距離Dまで下方に延在している。最大距離Dは、エアバッグユニット18がシートバック14内で利用可能な包装空間を増加させる目的で制限される。最大距離Dは、好ましくは100mm以下である。より好ましくは、最大距離Dは50mm以下である。最も好ましくは、最大距離Dは25mm以下である。本教示が、シートバック14の頂部146からエアバッグユニット18までの距離を低減することを可能にすることが認識されるであろう。結果として得られる1つの利益は、エアバッグ22を、潜在的な頭部衝撃に最も近いシートバック14内に位置付けることによってエアバックサイズを低減させ得ることである。これは、エアバッグ22をシートバック14内に非常に高い状態で装着する柔軟性を提供する。
【0034】
ポスト24の各々は、ヘッドレスト15と共に伸縮可能に受容される上端部28を含む。ヘッドレスト15は従来、ポスト24と協働する戻り止めを含み得る。代替的に、ヘッドレスト15は、ポストと協働する伸縮式チューブを含み得る。ポスト24が、当該技術分野において周知の任意の方法でヘッドレスト15によって調節可能に受容され得ることが理解されるであろう。
【0035】
ポスト24の各々は、各ポストの下端部26が、エアバッグユニット18と交差するポスト伸長軸Aと同一直線上にあるラインを有するエアバッグユニット18の垂直上方にある位置で、エアバッグユニット18に対して配向されている。
【0036】
図4図6を参照すると、本教示による別の車両用シートが図示されており、概して、基準文字100で特定される。車両用シート100と車両用シート10との間の類似性を考慮すると、同様の要素を特定するために一般的な基準文字が使用されることになる。車両用シート100は、ヘッドレスト15が軸Bを中心にしてシートバック15に対して関節運動し得る点で、車両用シート10とは異なる。ヘッドレスト15とヘッドレスト15のポスト24との間のこの関節運動可能な連結は、任意の好適な方法で達成され得る。図示される実施形態では、ポスト24の下端部は、シートバック14に対して角度調節可能である。しかしながら、ヘッドレスト15の角度調節は、本教示の範囲内のポスト24に沿った任意の点にあり得ることが理解されるであろう。
【0037】
図4では、エアバッグユニット18のエアバッグ22は格納状態で示され、ヘッドレスト15は下降位置で示されている。図5では、エアバッグ22は展開位置にあり、ヘッドレスト15は下降位置に留まる。ヘッドレスト15は、直立位置(破線で示される)と前方位置(実線で示される)との間で枢動軸Bを中心に関節運動され得る。図6では、ヘッドレスト15が延在位置で示されている。
【0038】
図7及び図8を参照すると、本教示による別の車両用シートが図示されており、概して、基準文字200で特定される。この場合もやはり、車両用シート200と車両用シート10との間の類似性を考慮すると、同様の要素を識別するために一般的な基準文字が使用されることになる。車両用シート200は、エアバッグユニット18に対して横方向に配置された少なくとも1つのポスト202を組み込むことによって、車両10とは主に異なる。
【0039】
ヘッドレスト15は、少なくとも1つのポスト202によって、シートバック14に接続される。図示される実施形態では、少なくとも1つのポスト202は、ヘッドレスト15をシートバック14と調節可能に接続する。例えば、ヘッドレスト15は、シートバック14に対して高さ調節可能であり得る。更に、図示される実施形態では、少なくとも1つのポスト202は、第1のポスト202A及び第2のポスト202Bを含む。各ポスト202は、シートバック14に連結された下部204と、ヘッドレスト15に連結された上部206と、を含む。ポスト202は、シートバック14の後側14Bで担持されたエアバッグユニット18から横方向に離間され得る。より具体的には、ポスト202の下部204は、エアバッグユニット18から横方向に離間され得る。本明細書で横方向に離間したという用語が使用されるとき、シートバック14を有する少なくとも1つのポストの少なくとも一部分は、内側又は外側方向において、エアバッグユニット18に対して配置されることが理解されるであろう。エアバッグユニット18に対するポスト202のこの横方向に離間することは、エアバッグユニット18がシートバック14内で利用可能な包装空間を増加させる。
【0040】
ヘッドレスト15は、ポスト軸Aに平行な方向において高さ調節可能であり得る。図示される実施形態では、ポスト202の下部204は、シートバック14で伸縮可能に受容される。シートバック14は、ポスト202の下部204と協働する戻り止めを含み得る。代替的に、シートバック14は、ポスト202の下部204と協働する伸縮式チューブを含み得る。ポスト202の下部204が、当該技術分野において周知の任意の方法で、シートバック14によって調節可能に受容され得ることが理解されるであろう。ポスト202の下部204は、ヘッドレスト15がシートバック14に対して移動する軸Aを画定する。
【0041】
ポスト202の各々は、下部204と上部206との間に中間部208を更に含み得る。中間部208は、下部204及び上部206の両方に対して垂直であり得る。ヘッドレスト15が十分に幅広(すなわち、車幅方向において)である場合、上部206及び下部204は互いに同一直線上であり得る。
【0042】
各ポスト202の上部206は、上部206とヘッドレストとの間に移動がないように、ヘッドレスト15に固定的に固定され得る。代替的に、各ポスト202の上部206は、(例えば、図1図3の実施形態に関して上述した方法で)ヘッドレスト15によって伸縮可能に受容され得、下部204は、下部204とシートバック14との間に移動がないように、シートバック14に固定され得る。他の代替的な用途では、ヘッドレスト15は、ポスト202の上部に対して関節運動/枢動し得る(例えば、図4図6の実施形態に関して議論した関節運動を提供するために)。
【0043】
したがって、本教示は、シートバック14及びヘッドレスト15の頂部の適切な被覆を達成する一方で、低減したエアバッグクッションサイズを有する後部乗員エアバッグを可能にする車両用シートの実施形態を提供する。この点に関して、エアバッグユニット18を、シートバック14の頂部14C(例えば、図2を参照)に近接して装着することが可能である。本教示は、シートバックの頂部に近接しているシートバックにおいて利用可能な包装空間が低減したことに起因して、重要な課題を克服する。
【0044】
本明細書で用いられている用語は、特定の例示的実施形態の場合に限ってのものであり、制限的なものとして意図されてはいない。本明細書において用いられる場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈からそうではないと明確に示されていない限り、複数形をも含むことを意図されている場合がある。『含む、備える、有する(「comprises」、「comprising」、「including」、及び「having」)』という用語は、包括的なものであり、そのため、言及された機能、整数、ステップ、作業、要素、及び/又は構成部品を具体的に指すが、その他の機能、整数、ステップ、作業、要素、構成部品、及び/又はそれらの集団の1つ以上のものの存在又は追加をあらかじめ排除するものではない。本明細書において説明された方法のステップ、プロセス、及び動作は、実行の順序として具体的に識別されない限り、論じられた又は図示されたその特定の順序で実行することを必須として要求していると考えるべきではない。追加的又は代替的なステップが用いられ得るということも理解すべきである。
【0045】
ある要素又は層が、他の要素又は層の「上にある」、「に係合している」、「に接続されている」、又は「に結合されている」と言及された場合には、その要素又は層は、直接、その他の要素又は層の「上にある」、「に係合している」、「に接続されている」又は「に結合されている」場合があり、あるいは中間に介在する要素又は層が存在し得る。対照的に、ある要素が、他の要素の「直接上に」、「に直接係合している」、「に直接接続されている」、又は「に直接結合されている」と言及された場合には、中間に介在する要素又は層は存在しなくてよい。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同様の考え方で解釈されるべきである(例えば、「の間(between)」対「直接的に...の間(directly between)」、「隣接して」対「直接隣接して」等)。本明細書において用いられる場合には、「及び/又は」という用語は、1つ以上の関連するリストされた項目の、任意の及び全ての組み合わせを含むものである。
【0046】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成部品、領域、層及び/又は区域を説明するために本明細書において用いられ得るが、これらの要素、構成部品、領域、層及び/又は区域は、これらの用語により制限されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成部品、領域、層、又は区域を、他の領域、層、又は区域と区別するためにのみ使用され得る。本明細書において用いられる場合、「第1」、「第2」及びその他の数量表現は、それが文脈から明らかに指示されない限り、順番又は順序を暗に示してはいない。したがって、第1の要素、構成部品、領域、層、又は区域が下で論じられる場合には、例示的実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成部品、領域、層、又は区域と呼ぶことが可能である。
【0047】
空間を表す相対的用語、例えば「内側の」、「外側の」、「下の」、「下方の」、「下部の」、「上方の」、「上部の」等は、1つの要素又は特徴部の、他の要素又は特徴部(ともに複数可)との関係を、図面に示されるように説明するための記述を容易にするために用いられ得る。空間を表す相対的用語は、図面に描かれた向きに加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる向きを含むように意図され得る。例えば、図面中のデバイスがひっくり返される場合、他の要素又は特徴部の「下に」又は「下方に」あるとして記述されるある要素は、その他の要素又は特徴部の「上方」に配向されることになる。したがって、この例に挙げた用語「下に」は、「上に」と「下に」の両方の向きを含み得る。デバイスは、その他の向きに配向し得る(90度又はその他の向きに回転させる)が、その際には、本明細書において用いられる空間を表す相対的記述用語は、それに従って解釈される。
【0048】
ここまでの実施形態の説明は、例示と説明の目的で提供されてきたものである。それは、徹底的に説明しつくすことを意図してはおらず、また本開示を制限することも意図していない。ある特定の実施形態の個々の要素又は機能は、一般的に、その特定の実施形態に制限されるものではなく、それが適用可能な場合には交換可能なものであり、特に具体的に図示又は記載されていない場合でも、選択された実施形態において用いられ得るものである。同じ実施形態に、多くの方法で変形をすることも可能である。そのような変形は、本開示からの逸脱としてみなされるべきではなく、そのような修正の全ては、本開示の範囲に含まれるように意図されている。例えば、本教示がベンチシートに関連して使用される場合、単一のエアバッグは、全ての着座位置にわたって延在し得、単一のインフレータによって展開され得る。
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