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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】インジケータを有するクイックコネクタ
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/14 20060101AFI20230510BHJP
   F16L 37/088 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
F16L37/14
F16L37/088
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021038175
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2021167667
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-07-06
(31)【優先権主張番号】20162801.3
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518073158
【氏名又は名称】テーイー オートモーティブ(フルダブリュック) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アイリス バーセル
(72)【発明者】
【氏名】カイ ブべ
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ローデ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス シュシェパニャク
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-519170(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01770321(EP,A1)
【文献】特表2006-503246(JP,A)
【文献】特開2010-270867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/00-39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クイックコネクタ(1)であって、
継手体(2)と多機能部(13)とを備え、
前記多機能部(13)は、保持ユニット(3)とインジケータ(4)とを有し、
前記継手体(2)は、一端にヘッド部分(5)、他端に差込み部分(6)を有し、
前記差込み部分(6)は、第1管(14)内に取付けられる又は差し込まれるように形成されており、
前記ヘッド部分(5)は、周方向カラー(8)を有する相手方部品(7)を挿入するための軸方向開口を有し、
前記ヘッド部分(5)は、前記多機能部(13)を挿入するための半径方向開口を少なくとも1つ有し、
前記多機能部(13)は、前記継手体(2)内へ挿入するための、手動操作用の背面(25)を有し、
前記保持ユニット(3)は、2つの保持脚(10)を有し、
前記インジケータ(4)は、2つのインジケータ脚部(12)を有し、
前記インジケータ脚部(12)は、前記周方向カラー(8)を挿入すると、前記保持脚(10)とは関係なく移動することが可能であり、前記保持脚(10)は前記周方向カラーの挿入に応じて半径方向に移動することが可能であり、カラーの軸方向後方にロックされた位置を有し、
前記インジケータ脚部(12)及び前記継手体(2)は、前記インジケータ脚部(12)が前記周方向カラー(8)により移動されることによって、前記インジケータ(4)を、部分的に挿入された組立前状態の位置から完全に挿入される組立位置へと移動できるように、形成されており、
前記保持ユニット(3)と前記インジケータ(4)とは、少なくとも2つの別個の部品であり、
前記インジケータ(4)は、前記保持ユニット(3)に直接取り付けられており、
前記インジケータ(4)と前記保持ユニット(3)は、前記継手体(2)の外部においても、互いに取り付けられた状態となり、半径方向の挿入方向に前記継手体(2)に一緒に挿入され、前記インジケータ(4)と前記保持ユニット(3)は、前記半径方向の挿入方向において互いに相対移動できないように取り付けられている
ことを特徴とするクイックコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のクイックコネクタ(1)であって、
継手体(2)と多機能部(13)とを備え、
前記多機能部(13)は、保持ユニット(3)とインジケータ(4)とを有し、
前記継手体(2)は、一端にヘッド部分(5)、他端に差込み部分(6)を有し、
前記差込み部分(6)は、第1管(14)内に取付けられる又は差し込まれるように形成されており、
前記ヘッド部分(5)は、周方向カラー(8)を有する相手方部品(7)を挿入するための軸方向開口を有し、
前記ヘッド部分(5)は、前記多機能部(13)を挿入するための半径方向開口を少なくとも1つ有し、
前記多機能部(13)は、前記継手体(2)内へ挿入するための、手動操作用の背面(25)を有し、
前記保持ユニット(3)は、2つの保持脚(10)を有し、
前記インジケータ(4)は、2つのインジケータ脚部(12)を有し、
前記インジケータ脚部(12)は、前記周方向カラー(8)を挿入すると、前記保持脚(10)とは関係なく移動することが可能であり、
前記インジケータ脚部(12)及び前記継手体(2)は、前記インジケータ脚部(12)が前記周方向カラー(8)により移動されることによって、前記インジケータ(4)を、部分的に挿入された組立前状態の位置から完全に挿入される組立位置へと移動できるように、形成されており、
前記多機能部(13)は、前記多機能部(13)を前記継手体(2)内に固定するための2つの固定アーム(18)を有し、前記2つの固定アーム(18)は、前記多機能部(13)を前記継手体(2)に固定するために前記継手体(2)の半径方向外面と係合する半径方向内面を備える
ことを特徴とするクイックコネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記保持ユニット(3)が保持ユニット基部(9)を有する、又は、
前記インジケータ(4)がインジケータ頭部(11)を有する、又は、
その両方である
クイックコネクタ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記インジケータ(4)は、圧力嵌め及び形状嵌め及び材料接続のいずれか又はその組み合わせによって前記保持ユニット(3)に取り付けられており、好ましくは締め付けられている
クイックコネクタ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記保持ユニット(3)と前記インジケータ(4)は、互いに掛止されているか、又は、掛止可能である
クイックコネクタ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記インジケータ(4)は、前記保持ユニット(3)から、半径方向には外れない、又は、軸方向には外れない、又はその両方である
クイックコネクタ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記インジケータ(4)が、半径方向外側に突出する突端(16)を少なくとも1つ有する
クイックコネクタ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記インジケータ脚部(12)は、前記相手方部品(7)の挿入方向において、前記保持脚(10)の後方に配置される
クイックコネクタ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記継手体(2)は、2つのインジケータ止め(17)を有し、
前記2つのインジケータ止め(17)はそれぞれ、前記2つのインジケータ脚部(12)のうちの1つに割り当てられ、
前記インジケータ止め(17)は、前記組立前状態の位置を定める
クイックコネクタ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記多機能部(13)は、保持ラッチ(19)を少なくとも1つ有する
クイックコネクタ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記継手体(2)の前記ヘッド部分(5)は、スロット(20)を有し、
これにより、前記多機能部(13)又は前記保持ユニット(3)又は前記保持ユニット基部(9)は、高さが揃うように前記ヘッド部分(5)内へ挿入されることができる
クイックコネクタ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記保持脚(10)はそれぞれ、前記軸方向(21)に延在する張り出し部を有し、
好ましくは、前記張り出し部(21)はそれぞれ、前記保持脚(10)上の、前記インジケータ(4)から離れる方を向く側に設けられている
クイックコネクタ。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記継手体(2)は、2つの保持止め(22)を有し、
前記保持止め(22)は、前記保持ユニット(3)が前記組立位置にあるときに前記保持脚(10)が広がらないように、形成されている
クイックコネクタ。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)であって、
前記継手体(2)は、ヘッド部(23)と封止部(24)とを有し、
前記ヘッド部(23)と前記封止部(24)とは、互いとは別個に形成されている
クイックコネクタ。
【請求項15】
クイックコネクタ装置であって、
請求項1~14のいずれか1項に記載のクイックコネクタ(1)と、
周方向カラー(8)を有する相手方部品(7)と
を備えるクイックコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クイックコネクタに関する。このクイックコネクタは、継手体と多機能部とを備える。多機能部は、保持ユニットと、インジケータとを有する。継手体は、一端にヘッド部分を有し、他端に差込み部分を有する。差込み部分は、第1管内に取付けられる又は差し込まれるように形成されており、好ましくは、第1管は、差込み部分において、圧力嵌め及び形状嵌め及び材料接続のいずれか又はその組み合わせによって保持される。ヘッド部分は、周方向カラーを有する相手方部品を挿入するための軸方向開口を有し、ヘッド部分は、多機能部を挿入するための半径方向開口を少なくとも1つ有する。多機能部は、継手体内へ挿入するための、手動操作用の背面を有する。保持ユニットは2つの保持脚を有し、インジケータは2つのインジケータ脚部を有する。インジケータ脚部は、周方向カラーを挿入すると、保持脚とは関係なく移動することが可能である。インジケータ脚部及び継手体は、インジケータ脚部が周方向カラーにより移動されることに起因して、インジケータを、部分的に挿入される組立前状態の位置から完全に挿入される組立位置へと移動できるように形成されている。
【背景技術】
【0002】
この種のクイックコネクタは、例えば特許文献1に開示されている。このクイックコネクタは、継手体と、保持ユニットと、インジケータとを備える。保持ユニットは2つの保持脚を備えており、第1ステップにおいて、継手体内へ半径方向に完全に挿入される。インジケータは、第2ステップにおいて、継手体内へ半径方向に部分的にのみ挿入される。このため、インジケータは、継手体からいくらか突出し、組立前状態の位置に位置することになる。このとき、インジケータはこれ以上挿入することができない。なぜなら、このインジケータのインジケータ脚部が、継手体の止め要素により、継手体の内側でこれ以上移動することを止められるからである。相手方部品は、周方向カラーを有するプラグシャフトの形態をなしており、第3ステップにおいて、継手体内へ軸方向に完全に挿入され、固定するために、保持ユニットに公知の態様で掛止される。第4及び最終ステップにおいてようやく、インジケータは、半径方向に完全に挿入することができる。これは、インジケータ脚部が周方向カラーによって広げられ、止め要素を越えて摺動できるようになったからである。
【0003】
このようなクイックコネクタの欠点は、継手体に対して複数の可動部品を有することである。例えば、修理又は保守の過程で関連する流体路が検査される場合に、クイックコネクタの接続が解除されるとインジケータ及び保持ユニットが両方とも継手体から取り外される又は落下することが起こりやすい。この工程中に保持ユニット又はインジケータを落失したり、この後の再接続をする際に損傷したりすることは、経験上、非常によくあることである。前述のステップの順序を知らなかったり部品を動かす向きを知らなかったりして、あれこれ試しながら組み立てることになり、そこで力を入れすぎて一部が破損することが、損傷の原因となることが多い。車両が古くなりプラスチック材料が壊れやすくなった際には、これは特に重大である。現在では、クイックコネクタシステムが数多くある上にそれぞれ動きが異なっており、さらに毎年新規のクイックコネクタシステムが市場に出回るため、知識がなくても驚くことではない。
【0004】
このような理由で、例えば特許文献2では、インジケータ機能を保持ユニットに一体化し、射出成形で製造され且つ一体に形成される多機能部1つのみにすることが提案されている。この多機能部は、半径方向で互いに対向している2つの保持脚を有し、保持脚は、多機能部の背面に取り付けられて挿入方向に延在しており、背面と合わせて略U字型を形成する構成要素となっている。半径方向で互いに対向している2つのインジケータ脚部も、背面から且つ挿入方向に延在しており、同じように背面と合わせて略U字型を形成する構成要素となっている。インジケータ脚部は、軸方向において保持脚の後方に配置されており、保持脚とは関係になく広げることができる。よって、雄型相手方部品の周方向カラーが継手体内へ挿入されると、まず各保持脚を広げる。この保持脚が、そのすぐ後に元の位置に戻って周方向カラーを継手体内でロックする。その後ようやくインジケータ脚部が広げられ、多機能部を、部分的に挿入された位置から完全に挿入される位置へと移動させることができる。
【0005】
多機能部を備えたクイックコネクタの欠点は、継手体のヘッド部分の軸方向拡張部分がかなり大きいことである。構成要素が大きめの半径方向拡張部分だけでなく大きめの軸方向拡張部分も有することで、概してエンジン室内又は車両内の窮屈さが増し、特に問題になる。よりコンパクトなクイックコネクタ、特に、小さめの軸方向拡張部分のヘッド部分であれば、用途がより多様となり、且つ、保守や修理のために取り外したり及び再び取り付けたりするのにより便利である。さらに言えば、多機能部は非常に複雑に形成されるため、多機能部用の射出成形具の製造は多大な費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許第2988048号
【文献】独国特許出願公開第102016111471号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、本発明は、インジケータ機能を有するよりコンパクトなクイックコネクタであって、好ましくは費用効果がより高くもあるクイックコネクタを特定するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この1つ又は複数の目的は、請求項1の前文に記載のクイックコネクタであって、好ましくは、保持ユニットとインジケータとは少なくとも2つの別個の部品であり、インジケータは保持ユニットに直接取り付けられており、これにより、インジケータと保持ユニットは、継手体の外部においても、互いに取り付けられた状態となることを特徴とするクイックコネクタにより達成される。
【0009】
「別個の部品」という表現は、各々が射出成形により別個に製造される部品であって、好ましくは少なくとも2つの部品、特に好ましくは2つの部品のみを意味する。「取り付けられる」という語は、好ましくは、形状嵌め及び圧力嵌め及び材料接続のいずれか又はその組み合わせを意味する。「直接取り付けられる」という表現は、有利には、保持ユニットを取り外したり又は挿入したりすると、何もしなくても、保持ユニットと共に、インジケータが動くことを意味する。継手体及び他の要素は、インジケータを保持ユニットに取り付けるにあたっては、何の役割も果たさないことが好ましい。
【0010】
最初に、本発明は、別個の保持ユニット及び別個のインジケータを使用すれば、これらの射出成形はさほど複雑でないため、射出成形具を製造する費用が大幅に低減されるという知見によるものである。射出成形製造時においてインジケータと保持ユニットとが別々になっていることにより、相互にさほど限定的でない構成条件を考慮すればよく、これにより、多機能部が全体としてより一層価値の高いものになる。
多機能部を一体に形成する場合には、射出成形技術の理由で、例えば保持脚とインジケータ脚部との間の間隙を所望するほど小さくすることができない(特許文献2を参照)。一方、本発明による多機能部の場合は、保持脚とインジケータ脚部との間に最小限の間隙を残すだけでよい。これにより、本発明による多機能部では、継手体のヘッド部分の軸方向拡張部分を小さくすることができる。このヘッド部分によって、クイックコネクタは、より多様な用途に利用可能になり、且つ、保守や修理における分解及び再組立における利便性が確実に向上する。このように、上記の目的は、本発明によるクイックコネクタを使用することにより達成される。
【0011】
ヘッド部分の軸方向拡張部分を小さくするという上述の目的は、請求項2の前文に記載のクイックコネクタであって、好ましくは、多機能部が、この多機能部を継手体内に固定するための2つの固定アームを有することを特徴とするクイックコネクタにより達成される。
【0012】
多機能部上に固定アームがあることに関する本発明は、多機能部を、既知のものよりも、軸方向からみてよりコンパクトにできるという知見によるものである。この理由は、固定アームが好ましくは半径方向において保持ユニット又はインジケータの周りに配置された場合、軸方向に拡張する要素によって多機能部を固定する必要がないからである。固定アーム自体は半径方向において比較的肉薄にすることができる一方で、半径方向におけるヘッド部分の拡張部分は、主として保持ユニット又はインジケータの広がり具合により既に決まっている。さらに、固定アームは、ヘッド部分の側壁の保護機能を引き継ぐことができるため、ヘッド部分の側壁を相応に厚くすることはもはや必要ない。実際、固定アームを設けることが、ヘッド部分の何らかの半径方向拡張部分をさらに設けることを意味するものではない。従って、ヘッド部分の軸方向拡張部分を小さくすることに関する目的は、本発明によるクイックコネクタを使用することにより達成される。
【0013】
好ましくは、ヘッド部分は、前壁及び後壁を有する。前壁と後壁との間に、保持脚又はインジケータ脚部又はその両方が配置されることが好適である。有利には、後壁は差込み部分の方を向いている。有利には、前壁は、後壁、つまり差込み部分から離れる方を向いている。好適には、継手体は封止部分を有する。好ましくは、封止部分は、差込み部分とヘッド部分との間に配置される。好適には、継手体は、雄型相手方部品を第1管に流体接続するための貫通チャネルを含む。
【0014】
有利には、保持脚は、保持ユニット基部から又は多機能部の背面から、挿入方向に延在する。好適には、保持脚は、保持ユニット基部上に又は多機能部の背面上に、半径方向において弾性的に装着される。保持ユニットが継手体内にあり且つ相手方部品の周方向カラーが相手方部品の挿入方向において保持脚に触れると、保持脚を広げることができるように又は広げられるように、保持脚は形成されることが好適である。保持ユニット又は多機能部は、略U字型になるように形成されることが好ましい。実施形態の一つによれば、保持ユニット又は多機能部は、リング状に形成されており、例えば、楕円形状又は周方向に延在する他の何らかの形状をとることができる。
【0015】
インジケータ脚部が、インジケータ頭部から又は多機能部の背面から、挿入方向に延在することは、本発明の範囲内である。好適には、インジケータ脚部は、インジケータ頭部上に又は多機能部の背面上に、弾性的に装着される。インジケータが継手体内にあり且つ相手方部品の周方向カラーが相手方部品の挿入方向においてインジケータ脚部に触れると、インジケータ脚部を移動することができる又は移動されるように、インジケータ脚部は形成されていることが有利である。
有利には、インジケータは、略U字型になるように形成される。実施形態の一つによれば、インジケータは、リング状に設計されており、例えば、楕円又は周方向に延在する他の形状をとることができる。
【0016】
固定アームは、保持脚又はインジケータ脚部又はその両方とは関係なく移動可能であることが特に好ましい。好ましくは、「関係なく移動可能である」という表現は、相手方部品が保持ユニット又はインジケータに触れても、それぞれの対の状態が変わってしまうような移動は生じないことを意味する。例えば、組立前状態の位置のときにインジケータ脚部がインジケータ止めにはもはや衝突しないところまで移動すると、別の状態になる。固定アームは、保持ユニット又はインジケータ又はその両方と一体に形成されることが特に好ましい。特別な実施形態によれば、インジケータと保持ユニットとは一体に形成されている、言い換えると、単一の均質な射出成形部品をなしている。特に好ましくは、保持脚又はインジケータ脚部又はその両方が、半径方向において、少なくとも部分的に固定アーム間に配置されており、好ましくは完全に固定アーム間に配置されている。特に好ましくは、固定アーム間に半径方向に距離があることで、周方向カラーによって、保持脚又はインジケータ脚部又はその両方を広げることができる。特に好ましくは、固定アームは、軸方向において、保持脚又はインジケータ脚部又はその両方と、少なくとも部分的に、好ましくは完全に重なる。有利には、固定アームはそれぞれ、掛止要素を少なくとも1つ有する。好適な実施形態によれば、固定アームはそれぞれ、掛止要素を少なくとも2つ有する。組立前状態の位置にあるとき又は組立位置にあるとき又はそのいずれの場合においても多機能部が継手体上に固定されることは、各固定アームの少なくとも1つの掛止要素と、継手体の又はヘッド部分の相補的な掛止要素とによって確実となることが好ましい。少なくとも1つの掛止要素が固定アーム上でそれぞれの固定アームの半径方向内側に配置されることが特に好ましい。好適には、それぞれの固定アームの外側には、把持力を増すための要素が配置される。例えば、把持力を増すための要素は、粗面又は1つ以上の突出要素とすることができる。
【0017】
保持ユニットが保持ユニット基部を有するか、又は、インジケータがインジケータ頭部を有するか、又は、その両方であることが非常に有利である。また、保持脚と保持ユニット基部とが一体に形成されていることは、特に好適である。好ましくは、多機能部の背面と保持ユニット基部とは、一体に形成される又は互いに同一である。有利には、インジケータ頭部はインジケータ脚部と一体に形成される。実施形態の一つによれば、インジケータ頭部は、多機能部の背面と一体に形成される又は多機能部の背面と同一である。特別な実施形態によれば、インジケータ頭部は、保持ユニット基部と一体に形成される又は保持ユニット基部と同一である。
【0018】
インジケータが、圧力嵌め及び形状嵌め及び材料接続のいずれか又はその組み合わせによって保持ユニットに取り付けられており、好ましくは締め付けられていることは本発明の範囲内である。インジケータは、好ましくは圧力嵌めによって、より好ましくは形状嵌めによって、保持ユニットに取り付けられる。インジケータが、軸方向へ移動することによって保持ユニットと圧力嵌めされることが好ましい。インジケータと保持ユニットとが互いに材料接続によって取り付けられることが可能である。好ましくは、「材料接続」という語は、接着又は溶接又はその両方を意味する。対照的に、「材料接続」という語は、好ましくは、例えば普通の射出成形でよくあるような、保持ユニットとインジケータとが互いに一体に接続されることを意味するのではない。好ましくは、保持ユニットは、周方向においてインジケータを少なくとも部分的に取り囲む。好ましくは、保持ユニット基部は、インジケータ頭部と、軸方向において少なくとも部分的に、好ましくは完全に重なる。また、保持ユニット基部は、組立位置にあるとき、上から見て、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、インジケータ頭部を覆うことが好ましい。
【0019】
好適な実施形態によれば、保持ユニットとインジケータは、互いに掛止されているか、又は、掛止可能である。インジケータが保持ユニットから軸方向には外れないようにすることが有利であり、これは、好ましくは、保持ユニットでの掛止接続又はインジケータでの掛止接続又はその両方により可能となり、保持ユニットとインジケータとの間の材料接続によっても可能となり、又は、これらの組み合わせによっても可能となる。掛止接続は、例えば、保持ユニット基部の領域内に、又は、インジケータ頭部の領域内に、又は、それらの中間部に配することができる。例えば、保持ユニット基部の外部領域に設置可能な又はインジケータ頭部の外部領域に設置可能な、2つの掛止接続があることが可能である。好適には、保持ユニットとインジケータとの間の材料接続は、保持ユニット基部の領域若しくはインジケータ頭部の領域に配するか、又は、それらの中間部の領域に配される。材料接続が、保持ユニット基部の又はインジケータ頭部の2つの外部領域に配され、この材料接続が例えば2つの接続点を有することが可能である。材料接続は、例えば溶接又は接着により生成することができる。好ましくは、「インジケータが保持ユニットから軸方向には外れないようにする」という表現は、インジケータ及び保持ユニットを、これらの2つの部品のうちの少なくとも1つが破壊されたり又は損傷したりすることを受容する限りにおいてのみ取り外せることを意味する。
【0020】
好ましくはプラスチック材料Aがプラスチック材料Bと相違する場合において、保持ユニットがプラスチック材料Aを含み、又は、インジケータがプラスチック材料Bを含み、又は、その両方が成り立つことが可能である。「プラスチック材料」という語は、単一の純粋なポリマー、又は複数のポリマーの混合物とすることができる。「プラスチック材料」という語は、特に、ポリマーでない添加剤(例えば着色用剤、可塑剤、難燃性付与、トライボロジー特性付与)を含むこともできる。「相違する」という語は、特に、僅かな相違をも意味する。よって、これらのプラスチック材料が、添加剤1種類の比率に関して又はポリマーのモル質量に関してのみ相違する場合でも、プラスチック材料Aはプラスチック材料Bと相違する。インジケータと保持ユニットとが、なにがしか測定可能に異なっているロットに由来する場合に相違があることは非常に特に好ましい。特に、保持ユニット及びインジケータが一体の射出成形部品である場合に限り、相違は無い。好ましくは、「一体の射出成形部品」という表現は、射出成形が冷却された後に保持ユニット及びインジケータが同時に存在し、これらが同時に互いに接続されている状態になっている多機能部を意味する。実施形態の一つによれば、保持ユニット又はインジケータ又はその両方は金属を含む。
【0021】
特に好ましい実施形態によれば、保持ユニットは、半径方向内側突出する又は突き出す突起を少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ有するものである。好ましくは、インジケータが、保持ユニットから、ある半径方向には外れない、好ましくは全ての半径方向において外れないようにされる。有利には、この突起があることにより、保持ユニット及びインジケータは、少なくとも1つの半径方向において、好ましくは複数の半径方向において、特に好ましくは全ての半径方向において、形状嵌めをなしている。有利には、少なくとも1つの突起は、保持ユニット基部と2つの保持脚のうちの1つとの間の移行領域に配置される。好ましくは、この突起のいずれもが、保持ユニット基部と保持脚との間の移行領域に配置される。保持ユニットのこの1つ又は複数の突起がフックの形状に形成されることは、特に好ましい。
【0022】
インジケータが、半径方向外側に突出する突端を少なくとも1つ又は少なくとも2つ有し、好ましくは、インジケータが保持ユニットから半径方向には外れないようにされていることが特に好ましい。特に好ましくは、インジケータ頭部は、半径方向においてインジケータ脚部を越えて突出しており、これにより、少なくとも1つの突端又は少なくとも2つの突端が形成される。少なくとも1つ又は少なくとも2つの突端は(いずれも)、インジケータ頭部とインジケータ脚部のうちの1つ(いずれも)との間の移行領域に配置される。少なくとも1つ又は少なくとも2つの突端は(いずれも)、保持ユニットの突起と係合していることが特に好ましい。この1つ又は複数の突端がフックの形状に形成されることは、非常に好ましい。
【0023】
特に好ましい実施形態によれば、インジケータ脚部は、相手方部品の挿入方向において、保持脚の後方に配置される。保持脚は、ヘッド部分の前壁とインジケータ脚部との間に設置されることが好ましい。また、インジケータ脚部は、保持脚とヘッド部分の後壁との間に在ることが好適である。特に好ましい実施形態によれば、軸方向における保持脚とインジケータ脚部との間の間隙の広がりは、2mm未満、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.5mm未満、特に好ましくは0.2mm未満である。特に好ましい実施形態によれば、インジケータ脚部は保持脚に寄り掛かる。有利には、保持ユニット基部は、少なくとも一方の軸方向において、好ましくは両方の軸方向において、保持脚及びインジケータ脚部及びインジケータ基部及びこれらの少なくとも1つを越えて突出する。
【0024】
周方向カラーが挿入されると、インジケータ脚部は、半径方向において、好ましくは半径方向においてのみ、広げることができる又は広げられるということは、本発明の範囲内である。好ましくは、インジケータ脚部はそれぞれ、周方向カラーに接触するための接触領域を有する。好適には、雄カラーを挿入する目的で、インジケータ脚部それぞれの接触領域の少なくとも一部の領域は、半径方向内側に傾斜している。インジケータ脚部の接触領域はそれぞれ、半径方向内側に突出する少なくとも1つのインジケータ脚部突起を有することが特に好ましい。有利には、インジケータ脚部突起は、相手方部品が挿入されるとインジケータ脚部突起が周方向カラーに触れるように形成されており、これによりインジケータ脚部が広がる。また、特に好ましくは、インジケータ脚部突起は、多機能部が組立前状態の位置から組立位置へと移動されるとインジケータ脚部突起が周方向カラーを通過するように形成されており、これによりインジケータ脚部が再び緩む。
【0025】
継手体は2つのインジケータ止めを有し、2つのインジケータ止めはそれぞれ、2つのインジケータ脚部のうちの1つに割り当てられることが特に好ましいである。好ましくは、インジケータ止めは組立前状態の位置を定める。好適には、インジケータ止め又はインジケータ脚部は、多機能部が継手体内へ挿入される際にインジケータ脚部端部がインジケータ止めに当接するように形成されている。相手方部品が挿入されると周方向カラーがインジケータ脚部に接触してインジケータ脚部が広げられ、これにより手で押すことによってインジケータ脚部端部がインジケータ止めを通過できるように、インジケータ脚部又はインジケータ脚部端部又はインジケータ止めが形成されていることが特に有利である。好ましくは、多機能部を完全に挿入する過程で又は相手方部品を完全に挿入する過程で、保持ユニット又は保持脚がインジケータ止めに当接しないように、インジケータ止め又は多機能部が形成されている。
【0026】
多機能部は保持ラッチを少なくとも1つ有するということは、本発明の範囲内である。保持ラッチは、保持ユニット又はインジケータ又はその両方と一体に形成されることが好ましい。好ましくは、保持ラッチは、保持ユニット基部から又はインジケータ頭部から又は多機能部の背面から、半径方向に又は相手方部品の方向に又は貫通チャネルの方向に延在する。好ましくは、保持ラッチは、半径方向において、保持ユニット基部又はインジケータ頭部又は多機能部の背面と、相手方部品の外面又はプラグシャフトの外面との間に設置される。保持ラッチは、組立位置のとき、半径方向において相手方部品の周方向カラーと重なるように形成されることが特に好ましい。また、保持ラッチは、組立前状態の位置のときには、半径方向において相手方部品の周方向カラーと重ならないように形成されることが好適である。組立位置のとき、保持ラッチは、軸方向においてヘッド部分の前壁とインジケータ脚部との間に配置されることが特に好ましい。相手方部品を継手体に固定するために、好適には、保持ラッチの後部は、保持脚の後部と共に同一平面内に設置される。保持ラッチ及び保持脚は、相手方部品とクイックコネクタとの間に引張荷重が掛かると周方向カラーが保持ラッチの後部に寄り掛かり且つ保持脚の後部に寄り掛かるように形成されることが有利である。保持ラッチは、保持ユニット基部から又はインジケータ頭部から又は多機能部の背面から延在する支柱を、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ有することができる。継手体又はヘッド部分は、保持ラッチに割り当てられる又は1つ若しくは複数の支柱に割り当てられる溝を有することができる。
【0027】
継手体のヘッド部分又は前壁又は後壁は、スロットを有し、多機能部又は多機能部の背面又は保持ユニット又は保持ユニット基部又はインジケータ又はインジケータ頭部は、高さが揃うようにヘッド部分内へ挿入されることができることが特に好ましい。好ましくは、組立位置のとき、多機能部の外面が、周方向又は軸方向において、ヘッド部分と又は前壁と又は後壁と整列している。好ましくは、多機能部が組立位置にあるとき、ヘッド部分の下面は、半径方向においてインジケータ脚部又は保持脚又はその両方を越えて突出するか、又は、この下面は、インジケータ脚部又は保持脚又はその両方と整列している。
【0028】
各保持脚は軸方向に延在する張り出し部を有し、好ましくは、各張り出し部は、保持脚上であって、インジケータから離れる方を向く側に又は継手体の前壁の方を向く側に設けられていることは、本発明の範囲内である。好ましくは、保持脚の方を向いている、前壁の内面が、軸方向に形成される2つの凹みを有する。好適には、各凹みは、各張り出し部を収容できるように形成されている。有利には、凹みは、前壁内の開口である。好適には、凹みは、組立前状態の位置のときの保持脚の張り出し部の半径方向高さに対応するような半径方向高さのところに設けられている。特にクイックコネクタと相手方部品とを備えるクイックコネクタ装置が張力下にあって、且つ、多機能部が組立前状態の位置にあるときに、張り出し部と凹みが互いに噛み合うように形成されると特に有利である。好ましくは、前壁の内側は、組立位置のとき保持脚の張り出し部を収容することのできる2つの凹部を有する。この凹部は、クイックコネクタ装置に引張荷重が掛かる場合に、保持脚の前側が、確実に、前壁の内側にぴったりと寄り掛かることができるようにするために使用される。
【0029】
継手体は2つの保持止めを有し、この保持止めは、保持ユニット又は多機能部が組立位置にあるときに保持脚が広がらないように、形成されることが好適である。組立位置のとき保持脚の端部がこの2つの保持止め間にあることが好適である。好ましくは、保持止めは、2つの保持脚のそれぞれに割り当てられ、各保持止めが、各保持脚を半径方向で外方へ移動しないようにする。
【0030】
実施形態の一つによれば、継手体はヘッド部と封止部とを有し、ヘッド部と封止部とは互いとは別個に形成されている。特に好ましくは、ヘッド部及び封止部は掛止可能であり、又は、互いに掛止されている。好適には、継手体のヘッド部分は、ヘッド部の一部である。好ましくは、ヘッド部は掛止部分を有する。好ましくは、ヘッド部の掛止部分は、掛止要素を少なくとも2つ又は3つ又は4つ有する。ヘッド部の掛止要素は、半径方向で外方を示す、弾力的に装着された掛止突端としてもよい。封止部は、半径方向においてシールを取り囲むことが好適である。好ましくは、シールは、弾性的に形成される少なくとも1つの封止リングを備え、好ましくは、間にスペーサを備えた、弾性的に形成される2つの封止リングを備える。ヘッド部は軸方向においてシールを制限し、封止部内でヘッド部によってシールが脱落しないように保たれることが特に好ましい。好ましくは、封止部は、ヘッド部との掛止のための掛止部分を有する。差込み部分は、封止部の一部であることが好適である。好適には、封止部分は、差込み部分と封止部の掛止部分との間に配置される。好ましくは、封止部の掛止部分は掛止要素を有し、この封止部の掛止要素は、ヘッド部の掛止要素と相補的であるように形成されている。封止部の掛止要素は、ヘッド部の弾力的に装着された掛止突端が中で係合可能な窓状に形成してもよい。
【0031】
冒頭で言及した1つ又は複数の目的は、本発明によるクイックコネクタと、周方向カラーを有する雄型相手方部品とを備えるクイックコネクタ装置により達成される。好適には、相手方部品は、周方向カラーから相手方部品の端部まで延在するプラグシャフトを有する。好ましくは、相手方部品は、その端部に、端面に向かって先細になっている円形の外面を有する。好ましくは、相手方部品の接続部分は、周方向カラーに対して、プラグシャフトの反対側にある。接続部分は、例えば第2管又は組立体(ポンプ、タンク等)又はその両方に接続するために形成されていてもよい。接続部分は、第2管又は組立体内に取付けられる又は差し込まれるように形成していてもよい。相手方部品の接続部分は、組立体と一体として接続されることが可能であり、言い換えると一体に接続されることが可能である。
【0032】
冒頭で言及した1つ又は複数の目的は、本発明によるクイックコネクタ又は本発明によるクイックコネクタ装置を含む流体路により達成される。このクイックコネクタの差込み部分は、第1管に接続される。相手方部品は、第2管に又は組立体に接続されることが好ましい。本発明を、以下で、或る実施形態を示す図面を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】クイックコネクタ及び対応する相手方部品を含む、本発明によるクイックコネクタ装置を示す第1斜視図である。
図2図1のクイックコネクタを示す第2斜視図である。
図3図2のクイックコネクタを、封止部を除いて示した図である。
図4図1図3の、本発明による多機能部を示した図である。
図5図1のクイックコネクタ装置の縦断面図である。
図6図4の多機能部の一連の動きを示した図である。
図7図4の多機能部の一連の動きを示した図である。
図8図4の多機能部の一連の動きを示した図である。
図9】本発明によるクイックコネクタの前壁を通る断面図である。
図10】多機能部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、クイックコネクタ1と相補的な雄型相手方部品7とを含む、本発明によるクイックコネクタ装置を示す。相手方部品7は、管状であり、クイックコネクタ1内へと挿入される。クイックコネクタ1は、多機能部13と継手体2とをさらに備え、多機能部13は、半径方向に且つ図1においては上から、継手体2内へ部分的に挿入され、そこで組立前状態の位置に位置する。クイックコネクタ1又は継手体2の後部領域において、クイックコネクタ1又は継手体2に第1管14が取付けられる。相手方部品7に関して言うと、第2管(ここでは不図示)に、設計に応じて、取付けたり差し込んだりすることで接続することができる。同様に、相手方部品7は、組立体(タンク又はポンプ等)に接続することができ、又は、組立体と一体として接続することができ、言い換えると一体に接続することができる。
簡潔にするために、第2管又は組立体への公知の態様での相手方部品7の接続は、図1にも後続の図面にも示さない。
【0035】
図2では、概要をより分かりやすくするために第1管14を省略した、クイックコネクタの背面斜視図を示す。この斜視図から、継手体2は、多機能部13を受けるヘッド部23と、封止部24とから構成されることが分かる。ヘッド部23と封止部24とは掛止接続により互いに接続されている。図2では、封止部24の、窓状の掛止要素29が認められる。斜視図を変えると、多機能部13が保持ユニット3だけでなくインジケータ4も有することをも分かる。組立前状態の位置のとき、多機能部13はその大部分が、ヘッド部23の前壁26と後壁27との間に配置されるが、多機能部13の背面25は、これには該当せず、背面25は、前壁26と後壁27とをカバーする軸方向拡張部分を有する。
【0036】
図1及び図2から、前壁26及び後壁27はいずれもスロット20を有していること、このスロット20は、背面25と実質的に相補的であるように形成されていることが分かる。このように、多機能部13は、図1及び図2における組立前状態の位置から、組立位置(図2には不図示)に到達するまで上から手で押すことによって、さらにヘッド部23内へと挿入可能である。組立位置では、背面25は、ヘッド部23内で軸方向及び半径方向の両方において高さが揃うように埋め込まれる。ヘッド部23内で背面25が高さが揃うように埋め込まれることにより、多機能部13が組立位置に入ったことを明確に示される。従って、本発明によるクイックコネクタのインジケータ機能は、特に、ヘッド部23内で多機能部13が高さが揃うように埋め込まれる態様で表される。
【0037】
図3では、図2の封止部24が省略されており、シール28が見えるようになっている。シール28は、弾性的に形成された2つの封止リングと、それらの間に配置されるスペーサとを有する。さらに、この図面は、ヘッド部23の掛止要素30を開示しており、この掛止要素30は、弾力的に装着される掛止突端の形態をなしている。これらの掛止突端は、封止部24の掛止要素29と係合する。ヘッド部23の各掛止要素30の間には、周方向において掛止要素30と交互に剛体要素31が配置される。
【0038】
図4では、図3の状態から、相手方部品7と、シール28と、ヘッド部23とが最終的に省略されているため、多機能部13のみを見ることができる。従って、インジケータ4は、略U字型に形成されており、インジケータ頭部11と、インジケータ頭部11から挿入方向に延びる2つのインジケータ脚部12とを有する。2つのインジケータ脚部12はそれぞれ、インジケータ脚部端部36と、インジケータ脚部突起37とを有する。インジケータ脚部12の後側は、後壁27に面しており、平らになるように形成されているが、インジケータ脚部12の前側にはこれは全く当てはまらない。この理由は、インジケータ脚部12の前側は、特にインジケータ脚部突起37の領域内で、相手方部品7の挿入方向に且つ内側に向かっていくぶん傾斜しているからである。
【0039】
図4による実施形態によれば、保持ユニット3は略U字型をしており、保持ユニット基部9と2つの保持脚10とを有する。保持ユニット基部9は、保持脚10と一体に形成されていることが好ましい。好適には、2つの保持脚10は、保持ユニット基部9から挿入方向に延在する。インジケータ脚部12と同様に、保持脚10も弾性的に装着されており、相手方部品7の周方向カラー8によって広げることができる。相手方部品7を挿入しやすくするために、各保持脚10の前側も、相手方部品7の挿入方向に且つ内側に向かって傾斜している。
【0040】
さらに、多機能部13は、特に図4によれば、保持脚10とインジケータ脚部12とを半径方向において取り囲む2つの固定アーム18を有する。各固定アーム18は、それぞれの内側に、上部掛止要素39と下部掛止要素40とを有する。さらに、いずれの固定アーム18も、上部領域内の外側に、把持要素38を有し、この把持要素38は、例えば波形であってもよい。多機能部13は、つまるところ保持ラッチ19を有しており、この保持ラッチは、本実施形態では、挿入方向に延在する3つの支柱から成る。
【0041】
図4に示すように、好ましくは、固定アーム18及び保持ラッチ19は、保持ユニット3と、保持ユニット基部9と、保持脚10と一体に形成されている。これに対して、本実施形態のインジケータ4は、別の部品として形成されており、別の射出成形工程において作製される。本実施形態では、インジケータ4は、保持ユニット3に締め付けることによって、保持ユニット3に取り付けられ、多機能部13を形成する。このために、保持ユニット3は、半径方向内側に突出する突起15を有する。同じ態様で、インジケータ4は突端16を有し、この突端16は、半径方向外側に向いており保持ユニット3の突起15と係合する。これにより、本実施形態のインジケータ4は、保持ユニット3からいかなる半径方向にも外れなくなる。インジケータ4を外して保持ユニット3に再び取付けることは、インジケータ4を軸方向に移動させることによってのみ可能である。保持ユニット3の突起15及びインジケータ4の突端16は、設計において、インジケータ4を保持ユニット3へ押し入れると圧力嵌めにもなり、これによってインジケータ4が保持ユニット3に永久的に且つしっかりと取り付けられるようになっている。
【0042】
図5では、図1及び図2のクイックコネクタ装置の縦断面図を示す。従って、相手方部品7は、周方向カラー8とプラグシャフト35とを有する。クイックコネクタ1は、ヘッド部23及び封止部24に沿って軸方向に延在する貫通チャネルを有する。継手体2の貫通チャネルは、シール28によって相手方部品7の外面に対して封止される。これにより、第1管14と、第2管又は組立体との間には、確実な流体密接続が確立される。
【0043】
図5では、ヘッド部23がヘッド部分5と掛止部分32とに分割されていることをも示している。ヘッド部分5は、前壁26及び後壁27により軸方向を定められており、多機能部13を受ける、言い換えると、保持脚10と、インジケータ脚部12と、固定アーム18と、保持ラッチ19とを受ける。掛止部分32は、弾力的に装着される掛止突端の形態をなす掛止要素30と、剛体要素31とを実質的に有する。封止部24は、掛止部分33と、封止部分34と、差込み部分6とを有する。掛止部分33が、特に、窓状の掛止要素29を有するのに対し、封止部分34は、主にシール28を半径方向に取り囲む。本実施形態の差込み部分6は、1つ又は複数の差込み用マンドレルと、第1管14用の、管止め45としてのフランジとを有することができる。本実施形態において、差込み部分6は、封止リング(ここでは不図示)を受けるための溝も有する。
【0044】
図6A図8Bに、相手方部品7を挿入する過程における保持ユニット3及びインジケータ4の一連の動きを示す。図6A図7A、及び図8Aはいずれも、保持脚10を通る断面図を示すのに対し、図6B図7B、及び図8Bは、インジケータ脚部12を通る対応する断面図を描く。図6Aにおいては、多機能部13は組立前状態の位置にあり、プラグシャフト35は保持脚10に既に到達している。しかし、プラグシャフト35の外径は、保持脚10を広がらせるほどの大きさではないので、図6Aの保持脚10は弛緩状態となっている。本実施形態において、保持ラッチ19の3つの支柱は、ヘッド部分5内の又はヘッド部23内の、これらの支柱に割り当てられた溝内に設置される。固定アーム18の上部掛止要素39及び下部掛止要素40は両方とも、ヘッド部分5又はヘッド部23の側壁の、窓状の上部掛止手段41と係合している。上部掛止要素39は、窓状の上部掛止手段41の上縁との小さい遊びを定める。しかし、とりわけ固定アーム18の上部掛止要素39は、上部掛止手段41と係合することにより、継手体2内で又はヘッド部分6内で又はヘッド部23内で、多機能部13を固定する。上部掛止要素39が上部掛止手段41と係合しなくなるまで両方の固定アーム18を手動で広げた場合にのみ、多機能部13を継手体2から外すことができる。
【0045】
図6Bのインジケータ脚部12を通る断面図では、相手方部品7のプラグシャフト35がインジケータ脚部12にも既に到達している状態を示している。インジケータ脚部12もまた、プラグシャフト35の外径がインジケータ脚部12を広げないように形成されている。これにより、インジケータ脚部12もまだ弛緩状態にあり、このため、特にインジケータ脚部突起37がプラグシャフト35に少しだけ寄り掛かるか、又は、インジケータ脚部突起37がプラグシャフトから少し距離をおいたところに位置する。インジケータ脚部端部36は半径方向において下方でインジケータ止め17に当接するため、多機能部13を上から手で押すことによって組立位置へと動かすことはできない。この結果、多機能部13は組立前状態の位置のとき止められた状態にあり、これは、自動車整備士等の使用者が触ってみれば非常に簡単に分かる。
【0046】
図7Aを見れば、相手方部品の周方向カラー8が保持脚10を広げており、ヘッド部分5又は固定アーム18が保持脚10が広がるのに十分な空間を供するところまで相手方部品7がすでに挿入されていることが分かる。図7Bでは、相手方部品7は、継手体2内へ少しだけさらに深く挿入されており、これにより、インジケータ脚部12も広げられている。インジケータ脚部12がそのインジケータ脚部突起37で周方向カラー8の外周に寄り掛かり、これに対して、保持脚10は、周方向カラー8のさらに前に進んだことにより、弛緩位置に戻っている(不図示)。そのため、図7Bに示す状態では、相手方部品7は、既に、保持ユニット3又はその保持脚10に関して、掛止状態又は固定状態にある。同時に、インジケータ脚部端部36は、インジケータ止め17にもはや当接しないような程度にまで偏向している。その結果、図8A及び図8Bに示すように、使用者は、このとき、多機能部13を背面25の上から手で押すことによって組立位置へと動かすことができる。
【0047】
図8Aに示すように、多機能部13は完全に挿入される、これにより、保持脚10の下端がヘッド部分5の下縁と揃う。ヘッド部分5の保持止め22があるため、保持脚10は、半径方向の小さい遊びを除き、もはや広げることができない。そのため、クイックコネクタ1と相手方部品7とを含むクイックコネクタ装置上に大きい引張荷重が掛かっても、相手方部品7がクイックコネクタ1から引き抜かれることはない。この場合、保持脚10は保持ラッチ19によっても支持され、保持ラッチの支柱は周方向カラー8の上部領域をさらに固定する。さらに、固定アーム18の下部掛止要素40が、ヘッド部分5の、窓状の下部掛止手段42と掛止状態にて係合しているため、多機能部13はヘッド部分5内に固定される。この場合も、多機能部13は、固定アーム18を手動で広げて同時に多機能部13を上方に取り外すことによってのみ、ヘッド部分5又は継手体2から外すことができる。今度は、図8Bに、インジケータ脚部12を通る、関連断面図を示す。さらに内側へ突出しているインジケータ脚部突起37は、さらに押し下げられたために、このとき周方向カラー8の下方で再び弛緩位置をとっている。
【0048】
図8A及び図8Bに示す状態では、相手方部品7は完全に挿入されており、同時に多機能部13も完全に挿入されている。ヘッド部分5内でスロット20によって背面が高さが揃うようにすでに埋め込まれたことにより、使用者は挿入が完全になされたことを認識する。相手方部品7が完全に挿入されているときのみ組立位置又は高さが揃うように埋め込まれた状態に到達できるため(図7Bを参照)、高さが揃うように埋め込まれた状態は、多機能部13が組立位置にあることを示すだけでなく、特に、相手方部品7が完全に挿入されたことも示している。このように、インジケータ4は、相手方部品7が完全に挿入されたことを確認するのに役立つ。
【0049】
図9において、前壁26を通る断面図を示し、図7Bについて記載した状態をも示す。そのため、図9の場合、周方向カラー8は、挿入方向において既に保持脚10の後方にあり、従って保持ユニット3により固定されている。これに対して、インジケータ脚部12は広げられている(この図では隠れている)。従って、ここに示された状態は、クイックコネクタ装置を組立位置へと転移させるために上から圧力が加えられる直前の、クイックコネクタ装置の組立前状態の位置を示している。この状態では、保持脚10は、未だに保持止め22に当接していないため、まだ広げたままになりうる。よって、クイックコネクタ装置上に大きい引張荷重が掛かることにより、クイックコネクタ1から相手方部品7が再び引き抜かれることがある。
【0050】
これを回避するために、保持脚10の端部に張り出し部21が配置されており(図9及び図10を参照のこと)、張り出し部は、軸方向に延在するとともに前壁26の内側を向いている。さらに、前壁26が2つの凹み43を有し、本実施形態において、これらの凹みは、壁開口として形成され、張り出し部21を収容する。特に図10から分かるように、張り出し部21の軸方向拡張部分は比較的小さい。今や、クイックコネクタ装置上に大きい引張荷重が生じると、保持脚10が前壁26の内側に押し付けられる一方で、同時に張り出し部21が、半径方向外側に向かおうとするが、凹み43の半径方向外部側壁により、それが妨げられる。結果として、張り出し部21及び凹み43は、組立前状態の位置用の張力保護の構成要素となる。
【0051】
さらに、図9における前壁26はその内側に2つの凹部44を有するが、これらの凹部は、壁を通り抜けているのでなく、張り出し部21とほぼ同じ軸方向拡張部分を有する。凹部44が張り出し部21を完全に収容するため、組立位置のときにクイックコネクタ装置が強い張力を受けても、保持脚10の前側は前壁26の内側に比較的ぴったりと寄り掛かっている。
【符号の説明】
【0052】
1 クイックコネクタ、2 継手体、3 保持ユニット、4 インジケータ
5 ヘッド部分、6 差込み部分、7 相手方部品、8 周方向カラー
9 保持ユニット基部、10 保持脚、11 インジケータ頭部
12 インジケータ脚部、13 多機能部、14 第1管、15 突起
16 突端、17 インジケータ止め、18 固定アーム、19 保持ラッチ
20 スロット、21 張り出し部、22 保持止め、23 ヘッド部、
24 封止部、25 背面、26 前壁、27 後壁、28 シール
29 掛止要素、30 掛止要素、31 剛体要素、
32 掛止部分、33 掛止部分、34 封止部分、35 プラグシャフト、
36 インジケータ脚部端部、37 インジケータ脚部突起、38 把持要素、
39 上部掛止要素、40 下部掛止要素、
41 上部掛止手段、42 下部掛止手段、
43 凹み、44 凹部、45 管止め
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10