IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシーティー インテグレーテッド サーキット テスティング ゲゼルシャフト フィーア ハルプライタープリーフテヒニック エム ベー ハーの特許一覧

特許7275219電極構成、電極構成のためのコンタクトアセンブリ、荷電粒子ビームデバイス、および電極構成における電界強度を低減する方法
<>
  • 特許-電極構成、電極構成のためのコンタクトアセンブリ、荷電粒子ビームデバイス、および電極構成における電界強度を低減する方法 図1
  • 特許-電極構成、電極構成のためのコンタクトアセンブリ、荷電粒子ビームデバイス、および電極構成における電界強度を低減する方法 図2
  • 特許-電極構成、電極構成のためのコンタクトアセンブリ、荷電粒子ビームデバイス、および電極構成における電界強度を低減する方法 図3A
  • 特許-電極構成、電極構成のためのコンタクトアセンブリ、荷電粒子ビームデバイス、および電極構成における電界強度を低減する方法 図3B
  • 特許-電極構成、電極構成のためのコンタクトアセンブリ、荷電粒子ビームデバイス、および電極構成における電界強度を低減する方法 図4
  • 特許-電極構成、電極構成のためのコンタクトアセンブリ、荷電粒子ビームデバイス、および電極構成における電界強度を低減する方法 図5
  • 特許-電極構成、電極構成のためのコンタクトアセンブリ、荷電粒子ビームデバイス、および電極構成における電界強度を低減する方法 図6
  • 特許-電極構成、電極構成のためのコンタクトアセンブリ、荷電粒子ビームデバイス、および電極構成における電界強度を低減する方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】電極構成、電極構成のためのコンタクトアセンブリ、荷電粒子ビームデバイス、および電極構成における電界強度を低減する方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/12 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
H01J37/12
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021148363
(22)【出願日】2021-09-13
(65)【公開番号】P2022049003
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】17/022,078
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501493587
【氏名又は名称】アイシーティー インテグレーテッド サーキット テスティング ゲゼルシャフト フィーア ハルプライタープリーフテヒニック エム ベー ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】マチアス フィルンケス
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ランパースベルガー
(72)【発明者】
【氏名】カルロ ザルヴィーゼン
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-032100(JP,A)
【文献】特開2004-354186(JP,A)
【文献】特開2007-087846(JP,A)
【文献】特表2007-510263(JP,A)
【文献】特開2008-077857(JP,A)
【文献】米国特許第04862135(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームに作用するための電極構成であって、
前記荷電粒子ビームのための第1の開口をもつ第1の電極と、
第2の電極に対して前記第1の電極を位置合わせするために、前記第1の電極において第1の電極側に設けられた第1の凹部に位置づけられる第1のスペーサ要素であり、第1のブラインドホールを有する絶縁球又は絶縁ボールである、第1のスペーサ要素と、
電界線を前記第1の電極の前記第1の凹部から離れたところに曲げるために前記第1のブラインドホールに設けられた第1の導電性シールドと、
前記第1の電極と前記第1の導電性シールドとの間の電気接触を行うために、前記第1の電極から前記第1のブラインドホール内に突き出るコンタクトアセンブリと
を備える、電極構成。
【請求項2】
前記第1の導電性シールドが、前記第1のブラインドホールの内壁面の90%以上または前記第1のブラインドホールの内壁面全体を覆う、請求項1に記載の電極構成。
【請求項3】
前記第1の導電性シールドが、前記第1のブラインドホールの内壁面に被覆された導電層である、請求項1に記載の電極構成。
【請求項4】
前記第1のブラインドホールが、前記第1のスペーサ要素内に延び、前記第1のスペーサ要素の直径の30%以上、40%以上、または50%以上に対応する長さを有する円筒形チャネルを含む、請求項1に記載の電極構成。
【請求項5】
前記コンタクトアセンブリが、第1のコンタクト要素と、前記第1の導電性シールドと電気接触するように前記第1のコンタクト要素を前記第1のブラインドホールに押し込むばね要素とを含む、請求項1に記載の電極構成。
【請求項6】
前記コンタクトアセンブリが、前記電極構成の軸方向(A)、前記第1の電極の半径方向、および前記第1の電極の円周方向のうちの少なくとも1つにおいて、前記第1の電極に対する前記第1のスペーサ要素の可動性を維持しながら、前記第1のスペーサ要素を前記第1の電極に接続する、請求項1に記載の電極構成。
【請求項7】
第3の電極に対して前記第1の電極を位置合わせするために、前記第1の電極において前記第1の電極側の反対側の第2の電極側に設けられた第2の凹部に位置づけられる第2のスペーサ要素であり、第2のブラインドホールを有する、第2のスペーサ要素と、
前記第2のブラインドホールに設けられた第2の導電性シールドと
をさらに備え、
前記コンタクトアセンブリが、前記第1の電極と前記第2の導電性シールドとの間の電気接触を行うために、前記第1の電極から前記第2のブラインドホール内に延びる、請求項1に記載の電極構成。
【請求項8】
前記第1の凹部および前記第2の凹部が、前記第1の電極を通って延びる貫通孔によって接続され、前記コンタクトアセンブリが、前記貫通孔の内壁と電気的に接触し、前記貫通孔を通って前記第1のブラインドホールと前記第2のブラインドホールとの両方内に延びる、請求項7に記載の電極構成。
【請求項9】
前記コンタクトアセンブリが、前記第1の導電性シールドと接触するための第1のコンタクト要素と、第2の電極側に配置された第2のスペーサ要素の第2のブラインドホールに設けられた第2の導電性シールドと接触するための第2のコンタクト要素とを含む、請求項1に記載の電極構成。
【請求項10】
前記コンタクトアセンブリが、前記第1のコンタクト要素と前記第2のコンタクト要素とを前記電極構成の軸方向(A)において互いに離れるように押すばね要素をさらに含む、請求項9に記載の電極構成。
【請求項11】
前記ばね要素が、前記第1の電極と電気的に接触し、前記第1のコンタクト要素の軸方向端部または肩部と、前記第2のコンタクト要素の軸方向端部または肩部との間に作用する、請求項10に記載の電極構成。
【請求項12】
前記ばね要素が、前記第1のコンタクト要素および前記第2のコンタクト要素のうちの少なくとも一方を囲むコイルばねであり、前記第1の電極を通って延びる貫通孔に設けられる、請求項10に記載の電極構成。
【請求項13】
前記第2のコンタクト要素が、前記第1のコンタクト要素のスリーブセクション内に突き出るヘッド部分をもつピンセクションを含み、逆もまた同様である、請求項9に記載の電極構成。
【請求項14】
前記第2のコンタクト要素が、前記第2のコンタクト要素に対して移動可能であり、および前記第2のコンタクト要素に対して拘束され、特に、前記第2のコンタクト要素のヘッド部分が、前記第1のコンタクト要素の雌ねじを通してねじ込まれる、請求項9に記載の電極構成。
【請求項15】
前記第1のスペーサ要素が、セラミック球であり、前記電極構成が、少なくとも3つの電極を含む静電レンズである、請求項1に記載の電極構成。
【請求項16】
荷電粒子ビームに作用するための電極構成用のコンタクトアセンブリであって、
第1のブラインドホールに設けられた第1の導電性シールドと電気的に接触するために第1の電極から第1のスペーサ要素の前記第1のブラインドホール内に延びるように構成された第1のコンタクト要素であって、前記第1の導電性シールドが前記第1のスペーサ要素と前記第1の電極の間のコンタクト区域の近傍において電界強度を低減させる、第1のコンタクト要素と、
第2のブラインドホールに設けられた第2の導電性シールドと電気的に接触するために前記第1の電極から第2のスペーサ要素の前記第2のブラインドホール内に延びるように構成された第2のコンタクト要素であって、前記第2の導電性シールドが前記第2のスペーサ要素と前記第1の電極の間のコンタクト区域の近傍において電界強度を低減させる、第2のコンタクト要素と、
前記第1のコンタクト要素と前記第2のコンタクト要素との間に作用し、前記第1のコンタクト要素と前記第2のコンタクト要素とを反対方向に離すように押すばね要素と
を備え
前記第1及び第2のスペーサ要素は、絶縁球又は絶縁ボールである、コンタクトアセンブリ。
【請求項17】
光軸に沿って伝搬する荷電粒子ビームを生成するための荷電粒子ビーム源と、
請求項1に記載の電極構成を含むビーム影響要素と、
前記荷電粒子ビームを試料上に集束させるための対物レンズデバイスと、
前記試料によって放出された信号荷電粒子を検出するための検出器と
を備える、荷電粒子ビームデバイス。
【請求項18】
荷電粒子ビームに作用するための電極構成における電界強度を低減する方法であって、
光軸に沿って伝搬する荷電粒子ビームを生成することと、
少なくとも、第1の電位に定められた第1の電極、第2の電位に定められた第2の電極、および前記第1の電極と前記第2の電極との間に挟まれ、前記第1の電極と前記第2の電極とを互いに対して位置合わせする第1のスペーサ要素を含む電極構成によって前記荷電粒子ビームを誘導することであり、前記第1のスペーサ要素が絶縁球又は絶縁ボールである、誘導することと、
前記第1のスペーサ要素の第1のブラインドホールに設けられた第1の導電性シールドにより、前記第1の電極と前記第1のスペーサ要素との間の接触点から離れたところに電界線を曲げることであり、前記第1のブラインドホールに突き出るコンタクトアセンブリが、前記第1の導電性シールドと前記第1の電極との間の電気接触を行う、曲げることと
を含む、方法。
【請求項19】
前記電極構成が、少なくとも、第3の電極と、前記第1の電極と前記第3の電極との間に挟まれ、前記第1の電極と前記第3の電極とを互いに対して位置合わせする第2のスペーサ要素とをさらに備え、
前記第2のスペーサ要素の第2のブラインドホールに設けられた第2の導電性シールドにより、前記第1の電極と前記第2のスペーサ要素との間の接触点から離れたところに電界線を曲げることであり、前記コンタクトアセンブリが、前記第2のブラインドホールに突き出し、前記第2の導電性シールドと前記第1の電極との間の電気接触を行う、曲げること
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の導電性シールドと電気接触するように前記コンタクトアセンブリの第1のコンタクト要素を前記第1のブラインドホールに押し込み、前記第2の導電性シールドと電気接触するように前記コンタクトアセンブリの第2のコンタクト要素を前記第2のブラインドホールに押し込むことをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される実施形態は、荷電粒子ビームデバイスにおいて電子ビームなどの荷電粒子ビームに影響を与えるための電極構成に関する。荷電粒子ビームデバイスは、1つまたは複数の荷電粒子ビームを用いて試料を画像化および/または検査するための装置、例えば電子顕微鏡であり得る。本明細書に記載される実施形態は、特に、荷電粒子ビームに作用するための電極構成、電極構成のためのコンタクトアセンブリ、および電極構成をもつ荷電粒子ビームデバイスに関する。実施形態は、荷電粒子ビームデバイスの電極構成における電界強度を低減する方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビームデバイスには、限定はしないが、製造中の半導体デバイスの限界寸法合わせ、半導体デバイスの欠陥レビュー、半導体デバイスの検査、リソグラフィのための露光システム、検出デバイス、および試験システムを含む、複数の産業分野において多くの役割がある。したがって、マイクロメートルおよびナノメートルスケールで試料またはサンプルを構造化、試験、および検査することへの高い需要がある。
【0003】
電子顕微鏡または集束イオンビーム(FIB)デバイスのような荷電粒子ビームデバイスの改善は、多くの場合、特定のビーム光学構成要素の改善に依存する。ビーム光学構成要素は、例えば、静電レンズまたは磁気レンズ、偏向器、静電ミラーまたは磁気ミラー、検出器、および分光計である。
【0004】
荷電粒子ビームデバイスのビーム光学構成要素は、十分に規定された集束、偏向、および/または分散特性をもつ所定の光ビーム経路に沿った荷電粒子ビームの伝搬を可能にするために、互いに対して有利に正確に位置合わせされる。例えば、荷電粒子ビームのための開口をもつ2つ以上の電極を含む静電レンズでは、前記2つ以上の電極は、互いに対してマイクロメートルスケールで有利に位置合わせされ、その結果、開口を通って伝搬する荷電粒子ビームは、静電レンズによって所定の方法で正確に影響を受ける。2つの隣接する電極間に配置され、2つの隣接する電極間の所定の距離および相対的な位置づけを保証するセラミックボールなどのスペーサ要素によって、2つの隣接電極を互いに対して位置合わせすることができる。
【0005】
動作中、電極の一方は、他方の電極に比べて高い電圧電位に設定することがある。2つの電極の間にスペーサ要素を配置して2つの電極を近い距離で配置すると、2つの電極間の電界強度が局所的に増加し、それにより、アーク放電のリスクが増加することがある。アーク放電は、ビーム光学構成要素を損傷することがあり、検査エラーおよび他の欠陥をもたらすことがある。
【0006】
上述を考慮して、上述の問題の少なくとも一部を克服する、荷電粒子ビームに作用するための電極構成を提供することは有益であろう。具体的には、電極が十分に位置合わせされ、同時に、電極間の高い電位差に起因するアーク放電のリスクを低減した電極構成を提供することは有益であろう。さらに、そのような電極構成をもつ荷電粒子ビームデバイス、および電極構成における電界強度を低減する方法を提供することは有益であろう。
【発明の概要】
【0007】
上述に照らして、独立請求項に記載の電極構成、電極構成のためのコンタクトアセンブリ、電極構成をもつ荷電粒子ビームデバイス、および電極構成における電界強度を低減する方法が提供される。さらなる態様、利点、および特徴は、従属請求項、説明、および添付の図面から明らかである。
【0008】
1つの態様によれば、荷電粒子ビームに作用するための電極構成が提供される。電極構成は、荷電粒子ビームのための第1の開口をもつ第1の電極と、第2の電極に対して第1の電極を位置合わせするために、第1の電極において第1の電極側に設けられた第1の凹部に位置づけられる第1のスペーサ要素であり、第1のブラインドホールを有する、第1のスペーサ要素と、第1のブラインドホールに設けられた第1の導電性シールドと、第1の電極と第1の導電性シールドとの間の電気接触を行うために第1の電極から第1のブラインドホール内に突き出るコンタクトアセンブリとを含む。
【0009】
第1のスペーサ要素は、第1の電極と第2の電極とを互いに対して正確に位置づけるために第1の電極と第2の電極との間に挟まれ得る絶縁球またはボール、特にセラミックボールとすることができる。「スペーサ要素」というより一般的な用語が以下の明細書で使用される場合でさえ、本明細書に記載されるスペーサ要素は、一般に、絶縁ボールまたは絶縁球、特に、例えば10mmの直径を有することができるセラミックボールであることに留意されたい。
【0010】
いくつかの実施形態では、コンタクトアセンブリは、第1の導電性シールドと電気的に接触するために第1のブラインドホール内に延びる第1のコンタクト要素と、第2のブラインドホールに設けられた第2の導電性シールドと電気的に接触するために第2の電極側に位置づけられた第2のスペーサ要素の第2のブラインドホール内に延びる第2のコンタクト要素とを含む。オプションとして、ばね要素が、第1のコンタクト要素と第2のコンタクト要素との間に作用することができ、それにより、第1のコンタクト要素と第2のコンタクト要素とは離れるように押される。
【0011】
さらに、荷電粒子ビームに作用するための電極構成、特に、本明細書に記載される実施形態のいずれかによる電極構成のためのコンタクトアセンブリが記載される。コンタクトアセンブリは、第1のブラインドホールに設けられた第1の導電性シールドと電気的に接触するために第1の電極から第1のスペーサ要素の第1のブラインドホール内に延びるように構成された第1のコンタクト要素と、第2のブラインドホールに設けられた第2の導電性シールドと電気的に接触するために第1の電極から第2のスペーサ要素の第2のブラインドホール内に延びるように構成された第2のコンタクト要素と、第1のコンタクト要素と第2のコンタクト要素との間に作用し、第1のコンタクト要素と第2のコンタクト要素とを反対方向に離すように押すばね要素とを含む。
【0012】
別の態様によれば、試料を画像化および/または検査するための荷電粒子ビームデバイスが提供される。荷電粒子ビームデバイスは、光軸に沿って伝搬する荷電粒子ビームを生成するための荷電粒子ビーム源と、本明細書に記載される実施形態のいずれかによる電極構成を含むビーム影響要素と、荷電粒子ビームを試料上に集束させるための対物レンズデバイスと、試料によって放出された信号荷電粒子を検出するための検出器とを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、荷電粒子ビームデバイスは、電子顕微鏡、特に、試料の表面にわたって一次荷電粒子ビームを走査するための1つまたは複数の走査偏向器をもつ走査電子顕微鏡(SEM)である。
【0014】
1つの態様によれば、電極構成、特に、本明細書に記載される実施形態のいずれかによる電極構成における電界強度を低減する方法が提供される。この方法は、光軸に沿って伝搬する荷電粒子ビームを生成することと、少なくとも、第1の電位に定められた第1の電極、第2の電位に定められた第2の電極、および第1の電極と第2の電極とを互いに対して位置合わせするために第1の電極と第2の電極との間に挟まれた第1のスペーサ要素を含む電極構成によって荷電粒子ビームを誘導することと、第1のスペーサ要素の第1のブラインドホールに設けられた第1の導電性シールドにより、第1の電極と第1のスペーサ要素との間の接触点から離れたところに電界線を曲げることであり、第1のブラインドホールに突き出るコンタクトアセンブリが、第1の導電性シールドと第1の電極との間の電気接触を行う、曲げることとを含む。
【0015】
実施形態は、さらに、開示された方法を実行するための装置を対象とし、各々の記載された方法の特徴を実行するための装置部品を含む。方法の特徴は、ハードウェア構成要素、適切なソフトウェアによってプログラムされたコンピュータ、2つのものの任意の組合せによって、または任意の他の方法で実行することができる。さらに、実施形態はまた、記載された装置を製造する方法、および記載された装置を動作させる方法を対象とする。それは、装置のすべての機能を実行するための方法の特徴を含む。
【0016】
本開示の上述に列挙した特徴を詳細に理解できるように、上述で簡単に要約された説明のより詳細な説明が、実施形態を参照して得られ得る。添付の図面は、本開示の実施形態に関連し、以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本明細書に記載される実施形態による電極構成の概略断面図である。
図2】電極構成における電界を示す、図1の電極構成の一部の拡大図である。
図3A】本明細書に記載される実施形態による電極構成の部分的な斜視図および部分的な断面図である。
図3B図3Aの電極構成の一部の拡大図である。
図4】本明細書に記載される実施形態による荷電粒子ビームデバイスの概略図である。
図5】本明細書に記載される実施形態による電極構成における電界強度を低減する方法を示す流れ図である。
図6】三叉点の位置を示すための電極構成の概略図である。
図7図7Aは導電性シールドが中に設けられていないスペーサ要素を用いる電極構成を示す図である。図7Bは電極構成における三叉点における電界強度増強を示す、図7Aの電極構成の一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、様々な実施形態が詳細に参照され、その1つまたは複数の例が図に示される。以下の説明の中で、同じ参考番号は同じ構成要素を指す。一般に、個々の実施形態に関する差異のみが説明される。各例は、説明のために提供されており、限定を意味していない。さらに、1つの実施形態の一部として図示または説明される特徴は、さらに、さらなる実施形態をもたらすために、他の実施形態で使用されるか、またはそれと併せて使用されてもよい。説明にはそのような変更および変形が含まれていることが意図される。
【0019】
本出願の範囲を限定することなしに、以下では、荷電粒子ビームデバイスまたはその構成要素は、典型的には、信号電子を検出するように構成された電子ビーム装置と呼ばれることになる。信号電子は、特に、二次電子および/または後方散乱電子、特に、二次電子(SE)と後方散乱電子(BSE)との両方を含む。しかしながら、本明細書に記載される実施形態は、サンプル画像または検査もしくは処理結果を得るために、イオンの形態の二次荷電粒子および/または後方散乱荷電粒子などの他の微粒子を検出するデバイスおよび構成要素に適用できることを理解されたい。その結果、本明細書に記載される実施形態では、荷電粒子は、電子に限定されない。
【0020】
本明細書で使用される「電極構成」は、電子ビームなどの荷電粒子ビームに影響を与えるように構成された、所定の電位に設定することができる電極をもつビーム光学構成要素またはその一部である。例えば、電極構成は、荷電粒子ビームデバイスの荷電粒子ビーム経路に沿って続いて配置される2つ、3つ、またはより多くの電極を含むことができる。本明細書に記載される電極構成は、静電レンズもしくは磁気レンズ、静電ミラーもしくは磁気ミラー、静電偏向器もしくは磁気偏向器、または静電界および/または磁界を介して荷電粒子ビームに作用する別の静電もしくは磁気の他の構成要素のいずれかの一部とすることができる。電極構成は、荷電粒子ビーム顕微鏡、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)、走査透過顕微鏡(STEM)、または試料を構造化するために荷電粒子ビームを使用するデバイス、例えば、リソグラフィマスクを構造化するために使用される電子ビームパターン発生器、または試料をスライスもしくはミルするための集束イオンビームデバイス(FIB)のような荷電粒子ビームデバイスで使用することができる。
【0021】
図1は、荷電粒子ビーム105に作用するための電極構成100を示す。荷電粒子ビーム105は、電極構成100を通って光軸Aに沿って伝搬することができる。電極構成100は、荷電粒子ビームのための第1の開口111をもつ第1の電極110を含み、第1の開口111は、電極構成100の光軸Aと同軸で位置合わせされ得る。いくつかの実施形態では、第1の電極110は、第1の電極の開口を通ってそれぞれの光軸に沿って伝搬することができる複数の荷電粒子ビームレットのための2つ、3つ、またはより多くの開口を含む。第1の電極110は、所定の方法で荷電粒子ビーム105に影響を与えるための電位に、例えば、静的電位または変動電位に設定することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の電極110は、光軸Aに沿って配置された第2の電極120およびオプションとして第3の電極130を含むことができる静電レンズまたは別のビーム光学構成要素の一部である。例えば、第1の電極110、第2の電極120、および第3の電極130は、アインツェルレンズを形成することができる。第1の電極110は、第2の電極120と第3の電極130との間に配置させることができ、それ故に、「中央電極」と呼ぶこともできる。言い換えれば、第2の電極120は、第1の電極110の上流に配置させることができ、第3の電極130は、第1の電極110の下流に配置させることができる。各電極は、少なくとも、荷電粒子ビームのための開口を含み、開口は、互いに対して同軸で位置合わせされ得る。第1の電極110は第1の開口111を含み、第2の電極120は第2の開口121を含むことができ、第3の電極130は第3の開口131を含むことができ、開口は、荷電粒子ビーム105が開口を通って光軸Aに沿って伝搬することができるように位置合わせされ得る。いくつかの実施形態では、各電極は、電極構成を通って伝搬することができる複数のビームレットのための複数の開口を含む。
【0023】
第1の電極110(および同様にさらに電極構成100の他の電極)は、導電性材料、例えば、金属のプレートを含むことができる。第1の開口111は、光軸Aに対して、100μm以下、特に5μm以下の精度で同軸に位置合わせされ得る。
【0024】
第1の電極110と第2の電極120とは、第1の電極110と第2の電極120との間に挟まれた第1のスペーサ要素140を介して光軸Aに沿って互いに所定の距離に位置づけられ得る。第1のスペーサ要素140は、第2の電極120に対して第1の電極110を位置合わせするために第1の電極110に設けられた第1の凹部112に位置づけられ得る。第1のスペーサ要素140は、光軸A(本明細書では軸方向Aとも呼ばれる)に沿った方向における第1の電極110と第2の電極120との間の正確な相対的位置づけと、さらに、光軸Aに対して垂直な平面における(すなわち、第1の電極110の半径方向および/または円周方向における)正確な相対的位置づけとを保証することができる。その結果、第1のスペーサ要素140は、第1の電極110に対する第2の電極120の正しい位置合わせを保証することができ、その結果、第1の開口111は、第2の開口121と同軸で位置合わせされる。
【0025】
第1のスペーサ要素140は、絶縁材料で製作することができ、そのため、第1の電極110と第2の電極120とは、互いに電気的に絶縁され、異なる電位に定めることができる。いくつかの実施形態では、第1のスペーサ要素140は、第1の電極110に設けられた第1の凹部112および第2の電極120に設けられた第2の凹部122に位置づけられる絶縁ボールまたは絶縁球とすることができる。第1の凹部112(および第2の電極凹部122)は、絶縁球として形成された第1のスペーサ要素140が第1の凹部112の1つの特定の所定の位置に(および第2の電極凹部122の1つの特定の所定の位置に)配置されるように形成することができる。例えば、第1の凹部112および/または第2の電極凹部122は、円錐形凹部とすることができる。
【0026】
第1の電極110に対して第2の電極120を高い精度および高い平行度で位置合わせするために、絶縁球として形成された少なくとも3つのスペーサ要素を第1の電極110と第2の電極120との間に挟むことができる(図1には、それらのうちの2つが光軸Aの両側に示されており、図3Aは、すべての3つのスペーサ要素の位置を示している)。3つのスペーサ要素の各々は、第1の電極と第2の電極を互いに対して位置合わせするために、第1の電極および第2の電極に設けられたそれぞれの凹部に位置づけることができる。例えば、3つのスペーサ要素は、第1の電極110の中心に対して均等に分布した角度位置に配置することができる(例えば、光軸Aから見たときに、それぞれ、120°の角度が2つの隣接するスペーサ要素間に含まれ得る)。第1の電極と第2の電極との間に挟まれている、第1の電極および第2の電極のそれぞれの凹部に配置された3つのスペーサ要素は、すべての関連する次元において、すなわち、軸方向に、および軸方向Aに対して垂直な平面において、第1の電極に対する第2の電極の正確な位置合わせを保証することができる。具体的には、第1の開口111および第2の開口121は、5μm以上の精度で光軸Aに対して同軸で位置合わせすることができ、第1の電極と第2の電極との間の距離は、5μm以上の精度で所定の距離に対応することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、3つのスペーサ要素は、絶縁材料で製作された球形形状の本体とすることができる。第1の電極110と第2の電極120との間に高い平行度を設けるために、球形形状の本体の直径は、1/1000未満だけ、特に、1/10000未満だけ互いに異なってもよい。例えば、図1の第1のスペーサ要素140の直径が、公称で10mmである場合、光軸Aの他の側のスペーサ要素の直径は、10μm未満だけ、または1μm未満だけ公称の直径からずれてもよい。そのような高い形状寸法精度を有する、例えばAl23または他のセラミック材料で製作される球の製造は、よく知られている。いくつかの実施形態では、第1のスペーサ要素140および/または他のスペーサ要素は、10mmの直径をもつセラミック球である。
【0028】
次に、図6図7A、および図7Bを参照して説明するように、絶縁球として形成されたスペーサ要素を2つの電極間に挟むことにより、高い電界強度がもたらされることがあり、それ故に、アーク放電のリスクが増加することがある。
【0029】
図6は、第2の電極120から近い距離に配置された第1の電極110を概略的に示し、絶縁材料で製作された第1のスペーサ要素705および第2のスペーサ要素706は、第1の電極110と第2の電極120との間に配置され、それらと接触する。その結果、絶縁体または誘電体材料と接触している異なる電位の2つの電極を含む高電圧システムが提供される。「三叉点」は、金属、誘電体材料、および真空の接合として定義される。図6において、第1の三叉点701は、第1の電極110、第1のスペーサ要素705、および真空の間の接合のところで概略的に示され、第2の三叉点702は、第1の電極110、第2のスペーサ要素706、および真空の間の接合のところで概略的に示される。
【0030】
三叉点のまわりの電界強度は、形状寸法と、関連する構成要素の材料特性に依存して、特に、スペーサ要素の形状寸法に依存して大幅に増強されることがある。これにより、三叉点は、真空環境でアーク放電を開始する危険な場所になる。例えば、図6において、第1の三叉点701の電界強度は、第2の三叉点702の電界強度よりも非常に低い。一般に、絶縁体と導電性電極表面との間の角度が90°よりも小さい場合、三叉点の近傍の電界強度は高くなる。第1の三叉点701の第1の電極110と第1のスペーサ要素705との間の角度は約90°であり、それは、第1の電極110と第2のスペーサ要素706との間の角度が90°よりも非常に小さい第2の三叉点702の近くの電界強度よりも低い第1の三叉点701の近くの電界強度をもたらす。
【0031】
絶縁球として形成されたスペーサ要素が、第1の電極110と第2の電極120との間に、特に、第1の電極110に設けられた円錐形凹部に設けられる場合、絶縁球と電極の金属表面との間の結果として生じる角度が90°よりも非常に小さいので、関連する形状寸法は好ましくない。その結果、アーク放電のリスクはそれぞれの三叉点の近傍で増加する。しかしながら、絶縁球の非常に高い製造精度が、互いに対する電極の非常に正確な位置合わせを保証し、そのため、関連する形状寸法は、上述の結果として生じる三叉点に関連する問題にもかかわらず有利に維持される。
【0032】
図7Aは、第2の電極120と第3の電極130との間に光軸Aに沿って配置された第1の電極110を含む電極構成の斜視図を示す。荷電粒子ビームのための第1の開口111が第1の電極に設けられ、第1の開口111と同軸で位置合わせされた第2および第3の開口が第2および第3の電極に設けられる。図7Bは、図7Aの電極構成の一部の拡大図を示し、三叉点201における電界強度増強を示す。
【0033】
第1の電極110および第2の電極120は、それぞれ、第1の電極110および第2の電極120の円錐形凹部に配置された第1の絶縁ボール840を介して互いに対して位置合わせされ、第1の電極110および第3の電極130は、それぞれ、第1の電極110および第3の電極130の円錐形凹部に配置された第2の球形ボール845を介して互いに対して位置合わせされる。図7Bに詳細に示されるように、三叉点201における第1の電極110の表面と第1の絶縁ボール840との間の角度は非常に小さく、それは、三叉点201の近傍の電界増強ゾーン905に増強された電界強度をもたらすことがある。図7Bにおいて、増強された電界強度が、三叉点201の近傍の電界線902間の小さい間隔によって示されている。その結果、スペーサ要素として従来の絶縁球を使用すると、電極構成におけるアーク放電のリスクが増加することがある。
【0034】
本開示で説明する実施形態は、絶縁スペーサ要素を用いて互いに対していくつかの電極の正確な位置合わせを可能にするとともに、同時に、三叉点のところの増強された電界強度に起因するアーク放電のリスクを低減する電極構成に関する。
【0035】
次に、図1に戻ると、電極構成100の第1のスペーサ要素140は、第1のスペーサ要素140内に延びる第1のブラインドホール141を有する。第1の導電性シールド150が、第1のブラインドホール141に設けられる。さらに、コンタクトアセンブリ160は、第1の電極110と第1の導電性シールド150との間の電気接触を行うために、第1の電極110から第1のブラインドホール141内に突き出る。
【0036】
第1の導電性シールド150は、第1のスペーサ要素140の第1のブラインドホール141に配置され、第1の電極110と電気接触し、それ故に、第1の電極110と同じ電位である、導電性材料で製作された構成要素または層として理解することができる。さらに、第1の導電性シールド150は、電界線が第1の導電性シールド150によって第1の電極の第1の凹部から離れたところに曲げられ、第1の電極と第1のスペーサ要素との間のコンタクト区域の近傍の電界強度が低減するように形成および配置される。
【0037】
コンタクトアセンブリ160は、第1の導電性シールド150と第1の電極110との間の信頼できる電気接触を保証するために設けられる。したがって、第1の導電性シールド150が、第1の電極110の第1の電位であり、第1のスペーサ要素140の第1のブラインドホールの内部に配置されるので、第1の導電性シールド150により、電界線は、第1のスペーサ要素140が位置づけられた第1の電極110の第1の凹部112から離れたとろに曲げられる。その結果、第1のスペーサ要素140が第1の電極110に接触する三叉点102の近傍の電界強度を低減させることができ、三叉点102の近傍の電界増強ゾーンを避けることができる。
【0038】
第1の導電性シールド150は、第1のブラインドホール141に配置され、電界線を第1の凹部112から離れたところに曲げるように構成される。その結果、三叉点102の近くの電界増強ゾーンに起因するアーク放電のリスクを低減させることができる。本明細書に記載される実施形態では、第1のスペーサ要素140は、第1のブラインドホール141の開口端部が第1の凹部112の方に面するような配向で第1の凹部112に位置づけられる。その結果、コンタクトアセンブリ160は、第1の電極110と第1の導電性シールド150との間の信頼できる電気接触を確立するために第1の凹部112から第1のブラインドホール141内に延びることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の導電性シールド150は、第1のブラインドホール141の内壁と形状が一致し、および/またはそれと密接に接触することができる。特に、第1の導電性シールド150は、第1のブラインドホールの内壁面の大部分または全体を覆うことができる。第1の導電性シールド150は、第1のブラインドホール141の内壁の近くに位置することができ、そのため、第1のブラインドホール141の内壁と第1の導電性シールド150との間に空間または間隙は設けられない。第1の導電性シールドと第1のブラインドホールの内壁との間の空間は、潜在的に、新しい三叉点、すなわち、金属、誘電体、および真空の新しい接合を生成し、それ故に、電位界増強の新しい位置を生成することがあり、そのため、そのような空間は、有利には、低減または避けられる。
【0040】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、第1の導電性シールド150は、第1のブラインドホール141の内壁面の80%以上、特に、90%以上を覆うことができる。特に、本質的に、第1のブラインドホール141の内壁面全体を第1の導電性シールド150で覆うことができる。これにより、第1のブラインドホールの内部の位置に新しい三叉点が生成されるリスクが低減する。
【0041】
例えば、第1の導電性シールド150は、第1のブラインドホール141の内壁面に設けられた、特に、第1のブラインドホール141の内壁面に被覆された導電層とすることができる。導電層またはメタライゼーションは、実施形態によっては、第1のブラインドホールの内壁面全体を本質的に覆うことができる。第1のブラインドホール141の開口端部は、第1の凹部112の方に面することができ、第1の電極110から近い距離に配置することができ、第1の導電性シールド150は、第1のブラインドホールの内壁面を第1のブラインドホール141の開口端部まで覆う被覆とすることができる。その結果、第1の導電性シールド150と第1の電極110との間の移行は本質的に継ぎ目なしとすることができ、そのため、新しい三叉点は第1の導電性シールド150によって作り出されない。
【0042】
第1のスペーサ要素140は、絶縁球とすることができ、第1のブラインドホール141は、第1のスペーサ要素140内に延びるチャネルを含むことができる。特に、チャネルは、絶縁球内に半径方向に中心に延びることができる。チャネルは、第1のスペーサ要素140の直径の30%以上、特に40%以上、またはさらに50%以上に対応する長さを有することができる。チャネルが第1のスペーサ要素140内に深く延びる場合、内部チャネル壁を覆う第1の導電性シールド150は、高い電界強度の領域を三叉点102から離れたところに強いることができる。しかしながら、チャネルが第1のスペーサ要素140内に深く延びすぎる場合、内部チャネル壁を覆う第1の導電性シールド150は、第1のブラインドホール141の閉鎖端部と第2の電極120との間の区域に別の電界増強領域を潜在的に生成する可能性がある。その理由は、第1の電極110と第2の電極120との間の全電位差が、第1の導電性シールド150(第1の電極110の電位である)と第2の電極120との間の区域で低下するからである。その結果、チャネルは、第1のスペーサ要素140の直径の70%以下、特に、60%以下に対応する長さを有することができる。実施形態によっては、チャネルは、絶縁球の直径の30%以上および70%以下だけ絶縁球内に延びる。
【0043】
チャネルは、本質的に円筒形のチャネル、特に、環状のまたは円形の断面形状を有するチャネルとすることができる。円筒状に形成されたチャネルをもつブラインドホールは、第1の導電性シールド150を設けるために導電性被覆により容易に確実に被覆することができ、新しい三叉点および電界増強ゾーンの生成のリスクを低減する。
【0044】
例えば、第1のスペーサ要素140は、10mmの直径をもつ絶縁球とすることができ、第1のブラインドホールは、4mm以上および6mm以下の深さを有することができる。第1のブラインドホールは、円形ドリルを用いて第1のスペーサ要素140内に穴あけされてもよい。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、第1のブラインドホール141は、第1のスペーサ要素140内に延びる、導電的に被覆されたチャネル壁をもつ本質的に円筒形のチャネルを含み、第1のスペーサ要素140の直径の40%以上および70%以下に対応する長さを有する。
【0045】
特に、第1のブラインドホールは、新しい三叉点を作り出す可能性がある間隙(空隙)を、導電性シールドと第1のスペーサ要素との間に設けないことを保証するためにメタライズすることができる。メタライゼーションは、有利には、第1のブラインドホールの内壁のみを覆い、第1のスペーサ要素の外壁を覆わないが、その理由は、第1のスペーサ要素の外面の金属は、新しい三叉点および潜在的に新しい電界増強領域を作り出すことがあるからである。
【0046】
本明細書に記載される実施態様では、コンタクトアセンブリ160は、第1の電極110と第1の導電性シールド150との間の電気接触を保証するために設けられる。その結果、第1の導電性シールド150は、第1の電極110に電気的に接続され、それ故に、第1の電極電位に定められる。いくつかの実施形態では、コンタクトアセンブリ160は、第1の導電性シールド150と電気的に接触するように構成された第1のコンタクト要素161を含む。第1のコンタクト要素161は、第1のブラインドホール141内に突き出ることができ、第1の導電性シールド150と接触するように強いられ得る。特に、第1の導電性シールド150と電気接触するように第1のコンタクト要素161を押すために、ばね要素165を設けることができる。例えば、第1のコンタクト要素161は、第1のブラインドホール141のメタライズされた内壁と電気接触するようにばね要素165を介して第1のブラインドホール141内に押し込まれ得る。
【0047】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、コンタクトアセンブリ160は、ばね要素165と、第1のコンタクト要素161とを含む。ばね要素165は、第1の電極110と第1のコンタクト要素161との間に配置され、第1の電極110と第1のコンタクト要素161の間の電気接触を保証することができる。さらに、ばね要素165は、第1のブラインドホール141に設けられた第1の導電性シールド150に第1のコンタクト要素161を電気接触させるように強いることができる。その結果、第1の電極110と第1の導電性シールド150との間の信頼できる電気接触が、コンタクトアセンブリ160によって与えられる。
【0048】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、コンタクトアセンブリ160は、第1の電極110に対する第1のスペーサ要素140の可動性を維持しながら、第1のスペーサ要素140を第1の電極110に接続することができる。具体的には、第1のスペーサ要素140は、コンタクトアセンブリ160が第1のブラインドホール141内に突出することによって第1の電極110と第1の導電性シールド150との間の電気接触を確立する場合でも、第1の電極の第1の凹部112に移動可能に保持され得る。組立て状態でさえも、第1のスペーサ要素140と第1の電極110との間の可動性を維持することは有利であり、その理由は、第1のスペーサ要素140が、第1の凹部112と第2の電極120の第2の電極凹部122とに配置されたとき、第1の凹部112に対しておよび第2の電極凹部122に対して正しく自己整合するからである。第2の電極120に対する第1の電極110の正確な位置合わせを保証することができる。
【0049】
具体的には、コンタクトアセンブリ160は、組立て状態でさえも、軸方向Aにおいて第1の電極110に対する第1のスペーサ要素140の移動を可能にすることができ、それにより、第1のスペーサ要素140が、第1の電極と第2の電極との間でそれぞれ第1の凹部112および第2の電極凹部122に位置づけられたとき、第1の電極110と第2の電極120との間の所定の軸方向距離の自動的な自己調節が可能になる。代替としてまたは追加として、コンタクトアセンブリ160は、光軸Aに対して垂直な平面において、すなわち、第1の電極の半径方向において、および/または第1の電極の円周方向において、第1の電極110に対する第1のスペーサ要素140の移動を可能にすることができ、それにより、第1のスペーサ要素140が、第1の電極と第2の電極との間でそれぞれ第1の凹部112および第2の電極凹部122に位置づけられたとき、光軸Aに沿った第2の開口121に対する所定の共軸方向位置における第1の開口111の自動的な自己調節が可能になる。
【0050】
具体的には、コンタクトアセンブリ160は、第1の電極110と第1の導電性シールド150との間の電気接触が組立て状態で保証され、一方、第1のスペーサ要素140が、第1の電極に不動に固定されるのではなく、むしろ第1の凹部において第1の電極に対して移動可能に位置づけられ、それにより、組立て状態での自己整合の可能性が維持されるように構成することができる。
【0051】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、電極構成100は、第3の電極130に対して第1の電極110を位置合わせするために、第1の電極110において第1の電極側の反対側の第2の電極側に設けられた第2の凹部113に位置づけられた第2のスペーサ要素145をさらに含む。第2のスペーサ要素145は、第2のブラインドホール146を有することができ、第2の導電性シールド151が、第2のブラインドホール146に設けられ得る。第2のスペーサ要素145および第2の導電性シールド151は、第1のスペーサ要素140および第1の導電性シールド150の上述の特徴を含むことができ、そのため、上述の説明を参照することができ、ここでは上述の説明は繰り返されない。具体的には、第2の導電性シールド151は、第2のブラインドホール146の内壁面に設けられた導電性被覆とすることができる。
【0052】
コンタクトアセンブリ160は、第1の電極110から第1のブラインドホール141と第2のブラインドホール146との両方内に延びることができる。コンタクトアセンブリ160は、第1の電極110と第1の導電性シールド150との間の電気接触を行うために、第1のブラインドホール141内に延びることができ、コンタクトアセンブリ160は、第1の電極110と第2の導電性シールド151との間の電気接触を行うために、第2のブラインドホール146内に延びることができる。
【0053】
いくつかの実施態様では、第1の電極110において反対の電極側に設けられた第1の凹部112および第2の凹部113は、第1の電極110を通って、例えば、光軸Aと平行に延びる貫通孔によって接続され得る。コンタクトアセンブリ160は、第1のブラインドホール141と第2のブラインドホール146との両方内に貫通孔を通って延びることができる。特に、コンタクトアセンブリは、第1の電極の貫通孔の内壁と電気的に接触することができ、第1のブラインドホール141の第1の導電性シールド150と第2のブラインドホール146の第2の導電性シールド151との両方に電気的に接触することができる。
【0054】
具体的には、コンタクトアセンブリ160は、第1の導電性シールド150と接触するための第1のコンタクト要素161と、第2の電極側の第2のスペーサ要素145の第2のブラインドホール146に配置された第2の導電性シールド151と接触するための第2のコンタクト要素162とを含むことができる。オプションとして、コンタクトアセンブリ160は、第1のコンタクト要素161と第2のコンタクト要素162とを互いに離すように軸方向Aに押すばね要素165をさらに含むことができる。ばね要素165は、第1の導電性シールド150と電気接触するように第1のコンタクト要素161を押すことができ、第2の導電性シールド151と電気接触するように第2のコンタクト要素162を押すことができる。その結果、第1の電極と第1および第2の導電性シールドの両方との間の信頼できる電気接触が保証される。
【0055】
第1のスペーサ要素140と同様に、第2のスペーサ要素145は、特に、軸方向Aにおいておよび/または軸方向に対して垂直な平面において、第3の電極130に対する第1の電極110の正確な位置合わせを保証することができる。さらに、第1の電極110の電位に定められた第2の導電性シールド151は、第1の電極と第2のスペーサ要素との間の三叉点の近傍の電界強度を低減し、アーク放電のリスクを低減させることができる。第1の電極110と第3の電極130との間に作用する第2のスペーサ要素145にも準用される上述の説明が参照される。
【0056】
代替の実施形態(図に示されてない)では、コンタクトアセンブリには、光軸Aに沿った方向に圧縮可能であり、第1の導電性シールドおよび/または第2の導電性シールドを圧する導電性可撓性要素、例えば、コイルまたはばね要素が含まれてもよい。導電性可撓性要素は、第1の電極と電気接触することができ、第1および/または第2の導電性シールドと電気接触することができる。例えば、コンタクトアセンブリは、第1の電極と第1の導電性シールド(オプションとして、さらに第2の導電性シールド)との間の電気接触を確立し、第1の導電性シールドに柔軟に押し付けられる遠位端を有する1つの単一可撓性構成要素、特に、コイルばねで構成され得る。
【0057】
1つの例では、コンタクトアセンブリは、第1の電極、第1の導電性シールド、および第2の導電性シールドの間の電気接触を確立する1つの単一可撓性構成要素、特に、コイルばねで構成され得る。単一の可撓性構成要素は、第1の導電性シールドおよび第2の導電性シールドを柔軟に圧する2つの両端部を有することができ、すなわち、可撓性構成要素は、組立て状態で、第1の導電性シールドと第2の導電性シールドとの間でわずかに圧縮され得る。例えば、コンタクトアセンブリは、例えば、1つの曲げられたワイヤで構成され、中心部分および2つの円錐形端部を有するばね要素を含むことができる。中心部分は、第1の電極と接触するように第1の電極の貫通孔に配置することができ、2つの円錐形端部は、第1の電極の両側に突き出ることができ、その結果、2つの円錐形端部は、絶縁球の内部の第1および第2の導電性シールドとの電気接触を可能にする。
【0058】
図2は、図1の電極構成100の一部の拡大図であり、第1の電極110と第1のスペーサ要素140との間の三叉点201の近傍の電極構成における電界強度を示している。第1の電極110は、第2の電極120の第2の電位と異なる第1の電位に定められる。例えば、第1の電極および第2の電極のうちの少なくとも一方は、高電圧電位に設定される。第1の導電性シールド150はコンタクトアセンブリ160を介して第1の電極110に電気的に接続されるので、やはり、第1の導電性シールド150は、第1の電極110の第1の電位に定められる。その結果、三叉点201の近傍の電界強度は、低減させることができる(三叉点201の近傍の隣接する電界線202間の拡大した間隔によって示され、三叉点201の近くの電界低減領域203を提供する)。
【0059】
電界線202は、第1のスペーサ要素140が配置された第1の凹部112から離れて、第1の導電性シールド150を越えた空間の方に曲げられる。電界増強領域204は、第1の導電性シールド150と第2の電極120との間の空間に生成され得る。第1のスペーサ要素140の第1のブラインドホールおよび第1の導電性シールドの深さおよび形状を適切に選ぶことによって、第1のスペーサ要素140の近傍の最大電界強度を低減することができ、アーク放電のリスクを減少させることができる。
【0060】
図3Aは、本明細書に記載される実施形態による電極構成400の斜視図であり、図3Bは、図3Aの電極構成の一部の拡大断面図である。電極構成400は、図1および図2に示された電極構成100の一部の特徴またはすべての特徴を含むことができ、そのため、上述の説明を参照することができ、ここでは上述の説明を繰り返さない。
【0061】
電極構成400は、荷電粒子ビームのための第1の開口111をもつ第1の電極110を含み、その結果、荷電粒子ビームは、光軸Aに沿って軸方向に第1の電極110の第1の開口111を通って伝搬することができる。第1のスペーサ要素140、特に、セラミックボールが、第2の電極(図3Aに示されていない)に対して第1の電極110を位置合わせするために、第1の電極において第1の電極側に設けられた第1の凹部112に位置づけられ、第2のスペーサ要素145、特に、セラミックボールが、第3の電極(図3Aに示されていない)に対して第1の電極110を位置合わせするために、第1の電極110において第1の電極側の反対側の第2の電極側に設けられた第2の凹部113に位置づけられる。第1の凹部112と第2の凹部113とは、軸方向に第1の電極110を通って延びる貫通孔402によって接続することができる。
【0062】
第1の導電性シールド150は、第1のスペーサ要素140の第1のブラインドホール141に設けられ、第2の導電性シールド151は、第2のスペーサ要素145の第2のブラインドホール146に設けられる。第1の導電性シールド150および/または第2の導電性シールド151は、本質的に、それぞれのブラインドホールの内壁面全体を、例えば、内壁面の90%以上を覆うことができる。特に、第1の導電性シールド150および/または第2の導電性シールド151は、それぞれ、第1のブラインドホール141および第2のブラインドホール146の内壁面を覆う導電性被覆、例えば、金属被覆などとすることができる。
【0063】
コンタクトアセンブリ160は、第1の電極110と第1の導電性シールド150との間の電気接触を行うために、第1の電極110から第1のブラインドホール141内に突き出る。コンタクトアセンブリ160は、第1の電極110と第2の導電性シールド151との間の電気接触を行うために、第1の電極110から第2のブラインドホール146内にさらに突き出ることができる。例えば、コンタクトアセンブリ160は、第1の凹部112と第2の凹部113とを接続する貫通孔402に保持することができ、光軸Aに沿って貫通孔402から2つの反対方向に突き出ることができる。コンタクトアセンブリ160の第1の端部は、第1のブラインドホール141内に設けられた第1の導電性シールド150と接触するために第1のブラインドホール141内に突き出ることができ、コンタクトアセンブリ160の第2の反対側の端部は、第2のブラインドホール146内に設けられた第2の導電性シールド151と接触するために第2のブラインドホール146内に突き出ることができる。
【0064】
オプションとして、排気チャネル401が、貫通孔402と電極構成の周囲との間の流体接続を行うことができる。排気チャネル401は、貫通孔402から第1の電極110の半径方向に延びることができる。その結果、電極構成400が、排気される荷電粒子ビームデバイスの真空チャンバに配置されると、貫通孔402、第1のブラインドホール141、および第2のブラインドホール146は、排気チャネル401を通して迅速に排気する。
【0065】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、コンタクトアセンブリ160は、第1の導電性シールド150と接触するための第1のコンタクト要素161と、第2の導電性シールド151と接触するための第2のコンタクト要素162とを含む。第1のコンタクト要素161は、特に、軸方向Aに、および/または第2のコンタクト要素162に対して第1のコンタクト要素161を傾けることによって、第2のコンタクト要素162に対して移動可能であり得る。第1のコンタクト要素161および第2のコンタクト要素162の可動性は、コンタクト要素とそれぞれの導電性シールドとの間の信頼できる電気接触を、互いに独立して、保証する。さらに、第1のスペーサ要素140および第2のスペーサ要素145は、コンタクトアセンブリ160によって電気的に接触される場合でさえ、互いに独立して、それぞれの凹部に自己整合できることが保証される。
【0066】
いくつかの実施形態では、コンタクトアセンブリ160は、第1のコンタクト要素161と第2のコンタクト要素162とを互いに離すように軸方向Aに押すばね要素165をさらに含む。第1のコンタクト要素161は、第1の導電性シールド150と電気接触するように第1のブラインドホール141に押し込むことができ、第2のコンタクト要素162は、第2の導電性シールド151と電気接触するように第2のブラインドホール146に押し込むことができる。
【0067】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、ばね要素165は、第1の電極110と電気的に接触し、第1のコンタクト要素161の軸方向端部または肩部と、第2のコンタクト要素162の軸方向端部または肩部との間に作用する。図3Aおよび図3Bに示された実施形態では、ばね要素165は、第1のコンタクト要素161の軸方向端部と第2のコンタクト要素162の肩部との間に配置され、第1のコンタクト要素161と第2のコンタクト要素162とを軸方向Aに離すように押す。
【0068】
例えば、ばね要素165は、第1のコンタクト要素161および第2のコンタクト要素162のうちの少なくとも一方を囲み、第1の凹部112から第2の凹部113まで第1の電極110を通って延びる貫通孔402に設けられたコイルばね、特に、トロイダルコイルばねとすることができる。図3Aおよび図3Bに示された実施形態では、ばね要素165は、第2のコンタクト要素162を囲み、第2のコンタクト要素162の肩部と第1のコンタクト要素161の軸方向端部との間に作用するトロイダルコイルばねである。
【0069】
いくつかの実施形態では、ばね要素165は、導電性であり、第1の電極110と第1および/または第2のコンタクト要素との間の電気接触を行う。ばね要素165は弾性的に変形可能であるので、前記電気接触は、第1のコンタクト要素および第2のコンタクト要素のいずれかが、例えば、第1のスペーサ要素および/または第2のスペーサ要素の移動に起因して移動されるおよび/または傾けられるのが当然である場合でさえ維持される。特に、ばね要素165は、貫通孔402の内壁と、コンタクト要素の一方のピンセクションとの間に設けられた環状空間に嵌合することができる。より具体的には、ばね要素165は、第2のコンタクト要素162の肩部と第1のコンタクト要素161の軸方向端部とによって軸方向に境界を定められ、貫通孔402の内壁と第2のコンタクト要素162のピンセクションとによって半径方向に境界を定められた環状空間に嵌合することができる。当然、第1のコンタクト要素と第2のコンタクト要素の役割は交換することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、ばね要素165、第1のコンタクト要素161、および第2のコンタクト要素162は、導電性材料で製作される。ばね要素165は、第1の電極、第1のコンタクト要素161、および第2のコンタクト要素162と直接接触することができ、それにより、第1のコンタクト要素および第2のコンタクト要素のいずれかが第1の電極110に対しておよび/または互いに対して移動されるかまたは傾けられる場合でさえ、コンタクトアセンブリ160が第1の電極の第1の電位に維持されることが保証される。
【0071】
いくつかの実施形態では、第2のコンタクト要素162は、第1のコンタクト要素161のスリーブセクション内に突き出るヘッド部分をもつピンセクションを含み、逆もまた同様である。その結果、第1のコンタクト要素161および第2のコンタクト要素162は、コンパクトな構成で一緒に保持されるとともに、第2のコンタクト要素162のピンセクションを第1のコンタクト要素161のスリーブセクション内にまたはそのスリーブセクションから外にシフトさせることによって、少なくとも、第1のコンタクト要素161と第2のコンタクト要素162との間の軸方向可動性を可能にし、逆もまた同様である。ピンセクションの外径は、スリーブセクションの内径の80%以下にすることができ、それにより、ヘッド部分がスリーブ部分内に突き出る場合でさえ、第2のコンタクト要素162に対する第1のコンタクト要素161の制限された傾きの動きを可能にすることができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、第2のコンタクト要素162は、第1のコンタクト要素161に対して移動可能であり、そして第1のコンタクト要素161に対して拘束されている。言い換えれば、第1のコンタクト要素161および第2のコンタクト要素162は、移動可能に一緒に保持されるかまたは互いに移動可能に接続され、その結果、コンタクトアセンブリ160は、コンタクトアセンブリ160が第1の電極110から取り外されるかまたは別個に用意される場合でさえ、ばらばらにならない部品のまとまりのある配置を構成する。
【0073】
実施態様では、第2のコンタクト要素162のヘッド部分は、第1のコンタクト要素161の雌ねじを通してねじ込まれ、逆もまた同様である。例えば、第2のコンタクト要素162のヘッド部分には雄ねじ403が設けられ、第1のコンタクト要素161のスリーブセクションのくびれセクションには、雌ねじ404が設けられ、その結果、スリーブセクションのくびれセクションを通してヘッド部分をねじ込むことができる。くびれセクションを通してヘッド部分をねじ込んだ後、ヘッド部分は、ヘッド部分の外径よりも大きい内径を有するスリーブセクションの拡大セクションに配置され得る。その結果、第1のコンタクト要素161および第2のコンタクト要素162は移動可能であり、同時に互いに対して拘束される。例えば、ねじ込み状態では、第1のコンタクト要素161および第2のコンタクト要素162は、互いに対して1°以上および10°以下だけ傾くことができ、および/または第1のコンタクト要素161および第2のコンタクト要素162は、軸方向に互いに対して0.1mm以上および3mm以下だけ移動することができる。
【0074】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、第1のスペーサ要素140および/または第2のスペーサ要素145はセラミック球である。第1の凹部112および第2の凹部113は、本質的に円錐形凹部とすることができ、それにより、セラミック球がそれぞれの円錐形凹部に配置された場合、セラミック球の自己位置づけが所定の位置で正確に行われる。
【0075】
電極構成400は、第1の電極110と、第1の電極側で第1の電極110に対して位置合わせされる第2の電極と、第1の電極側の反対側の第2の電極側で第1の電極に対して位置合わせされる第3の電極とを含むことができる。電極構成は、少なくとも3つの電極を含む静電レンズとすることができる。電極のうちの少なくとも1つは、高電圧電位、例えば、5kV以上、特に、9kVから16kVの範囲の高電圧に定められる。例えば、第2の電極と第3の電極との間に配置される第1の電極110は、低電圧に定めることができ、または接地(例えば、100V以下)に接続することができ、第2の電極と第3の電極との両方は、高電圧(例えば、5kV以上、特に、9kV以上)に定めることができる。
【0076】
第1の電極110と第2の電極との間の軸方向Aの第1の距離は、10mm以下、特に、5mm以下、またはさらに3mm以下とすることができ、および/または第1の電極110と第3の電極との間の軸方向の第2の距離は、10mm以下、特に、5mm以下、またはさらに3mm以下とすることができる。隣接する電極間の小さい距離および高い電位差にもかかわらず、第1の電極と、それと接触するスペーサ要素との間に形成される三叉点の近傍におけるアーク放電のリスクを低減または最小化することができる。
【0077】
本明細書で説明する実施形態によれば、三叉点の近傍の電界強度は、導電性シールドが絶縁球の内部に設けられていない状況と比較して、50%以上、またはさらに最大で80%まで低減することができる。
【0078】
以下の有益な効果が提供される。絶縁球の近傍で電界線を第1の電極から離れたところに曲げる導電性シールドが絶縁球の内部に設けられる。安全な電気接触が、コンタクトアセンブリによって第1の電極と導電性シールドとの間で行われる。同時に、絶縁球は、「自由に」移動して(規定された機械的許容誤差の範囲内で)、システムの位置合わせおよびセンタリング特性を維持することができる。その結果、アーク放電のリスクを低減した状態の正確に位置合わせされた電極構成が提供される。
【0079】
電極構成400は、第1の電極110の各側に、本明細書に記載されるような3つのスペーサ要素を含むことができ、本明細書に記載するような3つのコンタクトアセンブリは、図3Aに概略的に示されているように、それぞれの第1のスペーサ要素からそれぞれの第2のスペーサ要素内に第1の電極110を通って延びることができる。その結果、第2の電極は、第1の電極側で第1の電極に正確に位置合わせすることができ、第3の電極は、第2の電極側で第1の電極に正確に位置合わせすることができる。
【0080】
本明細書に記載される1つの態様によれば、荷電粒子ビームに作用するための電極構成のコンタクトアセンブリ160が提供される。コンタクトアセンブリ160は、第1のブラインドホールに設けられた第1の導電性シールド150と電気的に接触するために第1の電極から第1のスペーサ要素の第1のブラインドホール内に延びるように構成された第1のコンタクト要素161と、第2のブラインドホールに設けられた第2の導電性シールド151と電気的に接触するために第1の電極から第2のスペーサ要素の第2のブラインドホール内に延びるように構成された第2のコンタクト要素162と、第1のコンタクト要素161と第2のコンタクト要素162との間に作用し、第1のコンタクト要素161と第2のコンタクト要素162とを光軸Aに沿って反対方向に押すばね要素165とを含む。
【0081】
コンタクトアセンブリ160は、上述で開示されたコンタクトアセンブリの一部またはすべての特徴を含むことができ、そのため、上述の説明を参照することができ、ここでは上述の説明を繰り返さない。特に、コンタクトアセンブリは、スリーブセクションをもつ第1のコンタクト要素161と、スリーブセクションに突き出るヘッド部分を有するピンセクションをもつ第2のコンタクト要素162とを含む図3Bに示されたコンタクトアセンブリ160に従って構成することができる。代替として、第1のコンタクト要素および第2のコンタクト要素は、例えば、図1に概略的に示されているように、それぞれの導電性シールドに接触するように強いられる対応して形成されたコンタクトピンとして異なるように形成されてもよい。
【0082】
図4は、本明細書に記載される実施形態による荷電粒子ビームデバイス300の概略図である。荷電粒子ビームデバイス300は、試料、例えば、ウエハを画像化および/または検査するように構成された電子顕微鏡とすることができる。
【0083】
本明細書で言及される「試料」、「サンプル」、または「ウエハ」は、限定はしないが、半導体ウエハと、半導体ワークピースと、メモリディスクなどのような他のワークピースとを含む。「試料」は、具体的には、構造化されるかまたは材料が堆積される任意のワークピースであり得る。試料、サンプル、またはウエハは、検査および/または画像化されるべき表面、例えば、構造化される表面、または層もしくは材料パターンが堆積された表面を含むことができる。例えば、サンプルは、検査されるべき複数の電子デバイスが設けられた基板またはウエハとすることができる。荷電粒子ビームデバイス300は、電子ビーム検査(EBI)、限界寸法測定、および欠陥レビュー用途のうちの少なくとも1つのために構成することができ、本明細書に記載されるデバイスおよび方法を有利に使用して、検出精度の改善、および結像エラーまたは他の欠陥のリスクの低減を得ることができる。いくつかの実施形態によれば、電子ビーム検査(EBI)、限界寸法測定(CD)ツール、および/または欠陥レビュー(DR)ツールを提供することができ、高い解像度、大きい視野、および高い走査速度を達成することができる。
【0084】
荷電粒子ビームデバイス300は、光軸Aに沿って伝搬する荷電粒子ビーム105を生成するために、荷電粒子ビーム源305、例えば、電子源を含むことができる。荷電粒子ビームデバイス300は、本明細書に記載される実施形態のいずれかによる電極構成100を含むビーム影響要素をさらに含む。ビーム影響要素は、例えば光軸Aに沿って続いて配置された3つの電極をもつ静電レンズとすることができる。電極構成100は、本明細書に記載される実施形態のいずれかに従って構成することができ、そのため、上述の説明を参照することができる。
【0085】
荷電粒子ビームデバイス300は、試料310から信号粒子を放出させるために、荷電粒子ビーム105を光軸Aに沿って試料310に誘導するように構成される。試料310は、試料ステージ311に配置することができ、試料ステージ311は、本質的にx-y面に延びる支持面を含む。試料ステージ311は、移動可能とすることができる。
【0086】
荷電粒子ビーム源305は、冷電界エミッタ(CFE)、ショットキーエミッタ、熱電界エミッタ(TFE)、または高電流および/または高輝度荷電粒子源、特に電子源とすることができる。高電流は、100mradで5μA以上であると考えられる。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、荷電粒子ビームデバイス300は、荷電粒子ビームデバイスのカラム内の荷電粒子ビーム105を光軸Aに沿って試料310に誘導して、試料から解放される信号粒子を生成するように構成され、信号粒子は、衝突時に生成される二次粒子と試料から反射される後方散乱粒子とを含む。一般に、荷電粒子ビーム105は、荷電粒子ビームデバイスのカラムを通って進み、その後、画像化および/または検査されるべき試料にぶつかる。カラムの内部は排気することができ、すなわち、荷電粒子ビームデバイス300は、一般に、真空ハウジングを含み、その結果、荷電粒子ビームは、準大気圧、例えば、1mbar以下、特に1×10-5mbar以下、またはさらに1×10-8mbar以下(超高真空)の圧力を有する環境を通って伝搬する。荷電粒子ビーム源305およびさらなるビーム光学構成要素は、荷電粒子ビームデバイスの真空ハウジングの内部に配置することができる。
【0088】
荷電粒子ビームデバイス300は、荷電粒子ビーム105を試料310上に集束させるための対物レンズデバイス340と、試料によって放出された信号荷電粒子、例えば、二次電子および/または後方散乱電子を検出するための検出器350とをさらに含むことができる。
【0089】
荷電粒子ビームデバイス300は、さらなるビーム光学構成要素、例えば、試料によって放出された信号荷電粒子を荷電粒子ビーム105の一次荷電粒子から分離するように構成されたビーム分離器345、試料310の表面にわたって荷電粒子ビーム105を走査するための走査偏向器346、および/または荷電粒子ビームの1つまたは複数の開口をもつ1つまたは複数のビーム制限開孔306を含むことができる。いくつかの実施形態では、荷電粒子ビームデバイス300は、マルチビームレットデバイスであり、電極構成100は、ビームレットの各々に対して同軸で位置合わせされた開口のセットを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の多重極要素が、集束、偏向、ステアリング、および収差の補正のうちの少なくとも1つのために設けられ得る。
【0090】
本明細書に記載されているような電極構成100を含む1つまたは複数のビーム影響要素、例えば、静電レンズおよび/または磁気レンズ、ミラー修正器、静電ビーム偏向器、および/または静電多重極要素、例えば、四重極、八重極、またはさらに高次の多重極が設けられてもよい。
【0091】
図5は、本明細書に記載される実施形態による電極構成における電界強度を低減する方法を示すための流れ図である。
【0092】
ボックス510において、光軸Aに沿って伝搬する荷電粒子ビームが生成される。
【0093】
ボックス520において、荷電粒子ビームは、第1の電位に定められた第1の電極と、第1の電位と異なる第2の電位に定められた第2の電極とを含む電極構成によって誘導される。電極構成は、静電レンズとすることができる。第1の電極と第2の電極との間の光軸Aに沿った第1の距離は、10mm以下、特に、5mm以下とすることができ、第1の電極と第2の電極との間の電位差は、9kV以上とすることができる。
【0094】
第1のスペーサ要素、特に、セラミックボールは、第1の電極と第2の電極との間に挟まれ、第1の電極と第2の電極とを互いに対して位置合わせする。特に、3つのスペーサ要素が、第1の電極と第2の電極とを互いに対して位置合わせするために、特に、第1の電極と第2の電極とが互いに平行であり、および/または互いに所定の距離を有することを保証するために、第1の電極と第2の電極との間に挟まれてもよい。
【0095】
ボックス530において、電界線が、第1のスペーサ要素の第1のブラインドホールに設けられた第1の導電性シールドにより、第1の電極と第1のスペーサ要素との間の接触点から(より詳細には、三叉点から)離れたところに曲げられる。本明細書に記載されるようなコンタクトアセンブリは、第1の電極から第1のブラインドホール内に突き出て、第1の電極と第1の導電性シールドとの間の電気接触を行うことができる。
【0096】
ボックス540において、荷電粒子ビーム105を試料上に集束させることができ、試料によって放出された信号粒子を検出器で検出することができる。
【0097】
電極構成は、第3の電極と、第1の電極と第3の電極との間に挟まれ、第1の電極と第3の電極とを互いに対して位置合わせする少なくとも1つの第2のスペーサ要素とをさらに含むことができる。特に、3つのスペーサ要素が、第1の電極と第3の電極とを互いに対して位置合わせするために、特に、第1の電極と第3の電極とが互いに平行であり、および/または互いに所定の距離を有することを保証するために、第1の電極と第3の電極との間に挟まれてもよい。
【0098】
本明細書で説明する実施形態によれば、電界線は、第2のスペーサ要素の第2のブラインドホールに設けられた第2の導電性シールドにより、第1の電極と第2のスペーサ要素との間の接触点から(より詳細には、三叉点から)離れたところに曲げられる。コンタクトアセンブリは、第2のブラインドホールに突き出し、第2の導電性シールドと第1の電極との間の電気接触を行うことができる。その結果、コンタクトアセンブリは、第1の導電性シールドと第2の導電性シールドとの両方を第1の電極と電気的に接触させ、電界線を第1の電極の両側の三叉点から離れたところに曲げる。
【0099】
この方法は、例えば、第1のコンタクト要素と第2のコンタクト要素との間に作用するばね要素を用いて、第1の導電性シールドと電気接触するようにコンタクトアセンブリの第1のコンタクト要素を第1のブラインドホールに押し込むことと、第2の導電性シールドと電気接触するようにコンタクトアセンブリの第2のコンタクト要素を第2のブラインドホールに押し込むこととをさらに含むことができる。
【0100】
第1のコンタクト要素および第2のコンタクト要素は、互いに対して拘束され得る、すなわち、第1のコンタクト要素は、互いに対するコンタクト要素の可動性を維持しながら、第2のコンタクト要素に保持され得る。
【0101】
本明細書に記載される電極構成は、以下のように装着することができる。コンタクトアセンブリは、第1のコンタクト要素および第2のコンタクト要素が第1の電極の反対の表面から光軸Aに沿って反対方向に突出するように第1の電極の貫通孔に配置することができる。第1のスペーサ要素は、第1のコンタクト要素が第1のブラインドホールに突き出るように第1のコンタクト要素に配置することができ、第2のスペーサ要素は、第2のコンタクト要素が第2のブラインドホールに突き出るように第2のコンタクト要素に配置することができる。第1の電極が第2の電極と第3の電極との間に配置されると、第1のコンタクト要素および第2のコンタクト要素は、ばね要素の付勢力に抗して一緒に押され、それにより、コンタクト要素と導電性シールドの電気接触が保証される。ばね要素は、さらに、第1の電極と、第1および第2のコンタクト要素との間の電気接触を保証する。
【0102】
前述は実施形態を対象としているが、他のおよびさらなる実施形態を基本的な範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0103】
100 電極構成
102 三叉点
105 荷電粒子ビーム
110 第1の電極
111 第1の開口
112 第1の凹部
113 第2の凹部
120 第2の電極
121 第2の開口
122 第2の凹部、第2の電極凹部
130 第3の電極
131 第3の開口
140 第1のスペーサ要素
141 第1のブラインドホール
145 第2のスペーサ要素
146 第2のブラインドホール
150 第1の導電性シールド
151 第2の導電性シールド
160 コンタクトアセンブリ
161 第1のコンタクト要素
162 第2のコンタクト要素
165 ばね要素
201 三叉点
202 電界線
203 電界低減領域
204 電界増強領域
300 荷電粒子ビームデバイス
305 荷電粒子ビーム源
306 ビーム制限開孔
310 試料
311 試料ステージ
340 対物レンズデバイス
345 ビーム分離器
346 走査偏向器
350 検出器
400 電極構成
401 排気チャネル
402 貫通孔
403 雄ねじ
404 雌ねじ
701 第1の三叉点
702 第2の三叉点
705 第1のスペーサ要素
706 第2のスペーサ要素
840 第1の絶縁ボール
845 第2の球形ボール
902 電界線
905 電界増強ゾーン
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7