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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】食器手洗い用液体洗浄組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/14 20060101AFI20230510BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20230510BHJP
   C11D 1/88 20060101ALI20230510BHJP
   C11D 1/75 20060101ALI20230510BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20230510BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20230510BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
C11D1/14
C11D17/08
C11D1/88
C11D1/75
C11D1/72
C11D1/68
C11D3/43
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021149177
(22)【出願日】2021-09-14
(65)【公開番号】P2022050344
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2021-09-14
(31)【優先権主張番号】20196758
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21180102
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ジュリアン・マリー-ルイーズ・ビリオー
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・ヴァノヴァーシュトラーテ
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-196514(JP,A)
【文献】特表2019-501985(JP,A)
【文献】特表2016-503124(JP,A)
【文献】特表2017-515947(JP,A)
【文献】特開2017-110215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
B08B 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器手洗い用液体洗浄組成物であって、前記組成物全体の5重量%~50重量%の界面活性剤系を含み、前記界面活性剤系が、アニオン性界面活性剤及び補助界面活性剤を含み、
前記界面活性剤系が、前記界面活性剤系の少なくとも40重量%のアニオン性界面活性剤を含み、前記アニオン性界面活性剤が、前記アニオン性界面活性剤の少なくとも50重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、20%~40%の平均分岐度を有するように、分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、
a)前記分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、
a.前記分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の少なくとも90重量%のC2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、
b.前記分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の最大でも10重量%の非C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、を含み、
b)前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、平均で8~18個の炭素原子を含むアルキル鎖を有しており、
c)前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、0.5未満の平均アルコキシル化度を有しており、
前記補助界面活性剤が、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記アニオン性界面活性剤と前記補助界面活性剤の重量比が、2.0:1~8.0:1である、
食器手洗い用液体洗浄組成物。
【請求項2】
前記食器手洗い用液体洗浄組成物が、前記組成物全体の8重量%~45重量%の前記界面活性剤系を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記界面活性剤系が、前記界面活性剤系の60重量%~90重量%の前記アニオン性界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、0.25未満の平均アルコキシル化度を有している、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、平均で10~14個の炭素原子を含むアルキル鎖を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、
a.前記分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の少なくとも95重量%のC2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、
b.前記分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の最大でも5.0重量%の非C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、前記アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の60重量%~85重量%のOXO誘導化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、OXOアルコールが、一酸化炭素(CO)及び水素をオレフィンに加えて、ヒドロホルミル化反応を使用してアルデヒドを得て、次に、前記アルデヒドを水素化して前記アルコールを得ることによって調製されるアルコールである、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記アニオン性界面活性剤が、前記アニオン性界面活性剤の少なくとも70重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
アニオン性界面活性剤と前記補助界面活性剤との重量比が、2:1~5:1である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記補助界面活性剤が、両性界面活性剤である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記界面活性剤系が、非イオン性界面活性剤を含、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、溶媒を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、50mPa・s~5,000mPa・sの粘度を有し、前記粘度が、40%~60%のトルクを達成するように粘度計のRPMが調整されたスピンドル31を使用して、ブルックフィールドRT粘度計で20℃で測定される、請求項の1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器手洗い用液体洗浄組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
手洗い用食器洗浄組成物は、良好な油脂洗浄及び泡立ちを実現すべきである。更に、手作業による食器洗浄の間、水で満たされたシンクに最初に添加されるか、又は洗浄される食器若しくは洗浄用具に直接、添加されるかに関わらず、ユーザーは、一貫した利用法及び製品性能の実感を期待する。製品の粘度はユーザーの投入実感に直接、影響を及ぼすので、上記には製品の粘度が含まれ、例えば、粘度の低い製品は、粘度の高い製品よりも洗剤容器から速く流れ出る。したがって、高い粘度が望ましい。しかし、高い粘度は、通常、一層高いレベルの有機溶媒、又は構造化剤の添加を必要とする。更に、温度変化などによる粘度の変化、又は容器が絞られる際の剪断速度の変化でさえも、一貫性に乏しい投入実感を引き起こすおそれがある。更に、粘度の変化は、製造後の洗剤組成物の包装中の充填体積の変化を引き起こすおそれがある。したがって、洗剤組成物は、可能な限り幅広い範囲の剪断速度にわたり、ニュートン流体粘度を有することが望ましい。ニュートン流体粘度のプラトーを超える剪断速度では、組成物は、通常、一層の剪断減粘になる。
【0003】
食器手洗い用洗浄組成物は、通常、主要なアニオン性界面活性剤としてアルキルエーテルサルフェート界面活性剤を使用して配合される。しかし、このようなアルキルエーテルサルフェートアニオン性界面活性剤を製造する方法では、微量の残留1,4-ジオキサン副生物が生じることがある。アルコキシル化アルキルサルフェート、とりわけエトキシル化アルキルサルフェート内の1,4-ジオキサン副生物の量を低減することができる。近年の技術進歩に基づいて、1,4-ジオキサン副生物の更なる低減は、その後のストリッピング、蒸留、溶媒蒸発、遠心分離、マイクロ波照射、分子ふるいがけ、又は接触分解工程若しくは酵素分解酵素工程によって実現することができる。代替法は、低レベルのエトキシル化しか含まない、又はエトキシル化を含まないことさえある、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を使用することである。しかし、このようなアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を配合すると、低温安定性が乏しくなり、一層低い開始粘度をもたらすことさえあり得る。
【0004】
更に、アルコキシル化をほとんど又はまったく有さない、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を使用する組成物の配合は、油脂除去の改善をもたらすことが知られている。
【0005】
したがって、アルコキシル化をほとんど又はまったく含まないアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含んでおり、より大きな剪断速度の範囲にわたりニュートン流体粘度プロファイルをもたらす、液体洗剤組成物であって、組成物の粘度が温度変化の影響をあまり受けない、液体洗剤組成物が必要とされている。
【0006】
欧州特許第0466243(A1)号は、未反応有機物質及び水を実質的に含まない、二級アルキルサルフェート含有表面活性組成物を調製する方法に関する。欧州特許第3374486(A1)号は、1種以上の分岐鎖状及び非アルコキシル化C6~C14アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を、1つ以上の直鎖状又は分岐鎖状C4~C11アルキルあるいはアリールアルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤と組み合わせて含有する、泡立ちプロファイルの改善された洗浄組成物であって、手洗い洗浄用布地に使用するために特に好適な、洗浄組成物に関する。国際公開第2017079960(A1)号は、1つ以上の分岐鎖状非エトキシル化C6~C14アルキルサルフェート界面活性剤と1種以上の直鎖状非アルコキシル化C6~C18アルキルサルフェート界面活性剤との組合せ物を含有する、改善された泡立ちプロファイルを有する洗浄組成物であって、食器類又は布地の手洗いに特に好適な、洗浄組成物に関する。国際公開第2009143091(A1)号は、有能かつ有効な起泡剤として、C14~C15アルコールサルフェート界面活性剤及びC14~C15アルコールエトキシレートサルフェート界面活性剤のブレンドを含む、軽質液体洗剤組成物に関し、この界面活性剤をベースとする製品は、界面活性剤に基づいて、手洗い食器洗浄液体、液体皮膚クレンジング剤又は任意のタイプの洗浄製品若しくはクレンジング製品とすることができ、軽質液体洗剤組成物は、アニオン性スルホネート界面活性剤、アミンオキシド、C14~C15アルコールサルフェート及びC14~C15アルコールエトキシル化サルフェートを含む。国際公開第2017097913(A1)号は、分岐鎖を有するアルキルサルフェートを含む、食器洗浄洗剤組成物であって、食器洗浄洗剤組成物の屈折率が、0.10以上から0.30以下である、食器洗浄洗剤組成物に関する。この食器洗浄洗剤組成物の粘度は、800mPa.s以上から1800mPa.s以下である。この食器洗浄洗剤組成物は、食器洗浄洗剤組成物の総量に対して、0.1重量%以上から4.0重量%以下の含有率でアルキルサルフェートを含む。米国特許出願公開第20170137747(A)号は、1つ以上の分岐鎖状非エトキシル化C6~C14アルキルサルフェート界面活性剤と1種以上の直鎖状非アルコキシル化C6~C18アルキルサルフェート界面活性剤との組合せ物を含有する、改善された泡立ちプロファイルを有する洗浄組成物であって、食器類又は布地の手洗いに特に好適な、洗浄組成物に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許第0466243(A1)号
【文献】欧州特許第3374486(A1)号
【文献】国際公開第2017079960(A1)号
【文献】国際公開第2009143091(A1)号
【文献】国際公開第2017097913(A1)号
【文献】米国特許出願公開第20170137747(A)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、組成物全体の5重量%~50重量%の界面活性剤系を含む食器手洗い用液体洗浄組成物であって、界面活性剤系が、アニオン性界面活性剤及び補助界面活性剤を含み、界面活性剤系が、界面活性剤系の少なくとも40重量%のアニオン性界面活性剤を含み、アニオン性界面活性剤が、アニオン性界面活性剤の少なくとも50重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、20%~40%の平均分岐度を有するように、分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の少なくとも90重量%のC2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の最大でも10%の非C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、を含み、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、平均で8~18個の炭素原子を含むアルキル鎖を有しており、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が、0.5未満の平均アルコキシル化度を有しており、補助界面活性剤が、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤及びこれらの混合物からなる群から選択され、アニオン性界面活性剤と補助界面活性剤との重量比が2.0:1~8.0:1である、食器手洗い用液体洗浄組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
0.5未満の平均アルコキシル化度を有しており、本明細書に記載されている特定のアルキル分岐分布を有する、分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む、食器手洗い用液体洗剤組成物は、一層幅広い剪断速度範囲にわたりニュートン流体となる粘度を有し、かつ温度変化への感受性がやはり低い組成物をもたらすことが見出された。
【0010】
定義
本明細書で使用する場合、請求項の範囲において使用される「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求される又は記載されるもののうちの1つ以上を意味すると理解される。
【0011】
本明細書で使用する場合、用語「含む」とは、特に言及したもの以外の工程、及び成分を付加することができることを意味する。この用語は、「~からなる(consisting of)」及び「~から本質的になる(consisting essentially of)」という用語を包含する。本発明の組成物は、本明細書に記載される本発明の必須要素及び制限事項、並びに本明細書に記載されるあらゆる追加若しくは任意の成分、構成要素、工程、又は制限事項を含み、これらからなり、あるいは、これらから本質的になることができる。
【0012】
本明細書で使用する場合、用語「食器類」は、非限定的な例として、セラミック、陶磁器、金属、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)及び木材から製造された調理器具及び食卓用食器類を含む。
【0013】
本明細書で使用する場合、用語「油脂」又は「油脂性の」は、物質が、少なくとも部分的に(すなわち、油脂の少なくとも0.5重量%)、飽和及び不飽和の脂肪及び油、好ましくは、牛肉、豚肉、及び/又は鶏肉などの動物性原料に由来する油及び脂肪を含んでいることを意味する。
【0014】
用語「含む(include/includes/including)」は、非限定的であることを意味する。
【0015】
本明細書で使用する場合、用語「粒子状汚れ」は、無機及びとりわけ有機の固体汚れ粒子、とりわけ食品粒子、非限定的な例としては、超微粒子状元素状炭素、焼成された油脂粒子、及び肉粒子を意味する。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「泡立ちプロファイル」とは、食器洗浄プロセスの間の泡の性質に関する洗浄組成物の特性のことを指す。洗浄組成物の「泡立ちプロファイル」という用語は、水性洗浄液中の洗浄組成物の溶解及び撹拌、典型的には手動撹拌の際に発生する泡の体積、並びに食器洗浄プロセス中の泡の保持を含む。好ましくは、「良好な泡立ちプロファイル」を有すると特徴付けられる食器手洗い用洗浄組成物は、特に食器手洗いプロセスのかなりの部分又は全体にわたって、大きな泡体積及び/又は持続性の泡体積を有する傾向がある。これは、十分な洗浄組成物が投入されたことの指標として消費者が泡の多さを使用しているので、重要である。更に、消費者は泡の体積が持続していることを、食器洗いプロセスの終盤に向かっていても、十分な活性洗浄成分(例えば、界面活性剤)が存在していることの目安としても使用する。消費者は、通常、泡立ちが少なくなったときに洗浄溶液を新しくする。したがって、低起泡洗浄組成物は、起泡レベルが低いことから、消費者によって必要以上に頻繁に補給される傾向がある。
【0017】
本明細書に記載され、かつ特許請求される、出願人らによる発明のパラメータのそれぞれの値を判定するには、本出願の試験方法の項に開示される試験方法が使用されなければならない点は理解されよう。
【0018】
本発明のすべての実施形態では、特にそうでない旨が具体的に述べられない限りり、文脈から明らかであるように、すべての割合は、組成物全体の重量基準である。特にそうでない旨が具体的に述べられない限り、すべての比は重量比であり、すべての測定は、特に指定しない限り25℃で行われる。
【0019】
洗浄組成物
本洗浄組成物は、液体形態の食器手洗い用洗浄組成物である。本洗浄組成物は、好ましくは、水性洗浄組成物である。したがって、本組成物は、組成物全体の50重量%~85重量%、好ましくは50重量%~75重量%の水を含むことができる。
【0020】
好ましくは、本組成物のpHは、20℃の蒸留水中10%希釈で測定されると、約6~約14、好ましくは約7~約12、又はより好ましくは約7.5~約10である。組成物のpHは、当該技術分野において既知のpH調整成分を使用して調整することができる。
【0021】
本発明の組成物は、ニュートン流体又は非ニュートン流体であり得るが、好ましくはニュートン流体である。好ましくは、本組成物は、10mPa・s~10,000mPa・s、好ましくは100mPa・s~5,000mPa・s、より好ましくは300mPa・s~2,000mPa・s、又は最も好ましくは500mPa・s~1,500mPa・s、あるいはこれらの組合せの粘度を有する。粘度は、40%~60%のトルクを達成するように粘度計のRPMが調整されたスピンドル31を使用して、ブルックフィールドRT粘度計を用いて20℃で測定される。
【0022】
界面活性剤系
本洗浄組成物は、組成物全体の5重量%~50重量%、好ましくは8重量%~45重量%、より好ましくは15重量%~40重量%の界面活性剤系を含む。この界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤及び補助界面活性剤を含む。
【0023】
アニオン性界面活性剤:
泡立ちの改善のために、本界面活性剤系は、界面活性剤系の少なくとも40重量%、好ましくは60重量%~90重量%、より好ましくは70~80重量%のアニオン性界面活性剤を含む。アニオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む。最も好ましくは、アニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート界面活性剤、最も好ましくは一級アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤からなる。したがって、本界面活性剤系は、HLASなどのスルホネートを含む、少量の更なるアニオン性界面活性剤、又はスルホスクシネートアニオン性界面活性剤を含んでもよく、本界面活性剤系は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を超える更なるアニオン性界面活性剤を好ましくは含まない。
【0024】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、平均で8~18個の炭素原子、好ましくは10~14個の炭素原子、より好ましくは12~13個の炭素原子を含むアルキル鎖を有する。
【0025】
アルキルサルフェート化アニオン性界面活性剤のアルキル鎖は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%となるmol分率のC12及びC13鎖を好ましくは有する。アルキル鎖のC13/C12mol比が、少なくとも50/50、好ましくは60/40~80/20、最も好ましくは60/40~70/30である場合、とりわけ油脂汚れの存在下において、泡持続性が特に改善されると同時に、粒子状汚れの存在における泡持続性(suds mileage)が損なわれない。
【0026】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、こうしてアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、20%~40%の平均分岐度を有する。したがって、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、直鎖状及び分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の混合物を含むことができる。
【0027】
アニオン性界面活性剤混合物の重量平均分岐度は、以下の式を使用して計算することができる:
洗剤組成物中で使用される分岐鎖状アルキルサルフェート又はアルキルアルコキシサルフェート中の分岐レベルは、分子基準で計算される。「分岐鎖状」として販売されている市販のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のブレンドは、直鎖状アルキルサルフェート及び分岐鎖状アルキルサルフェートの分子のブレンドを通常、含む。「分岐鎖状」として販売されている市販のアルキルアルコキシサルフェートアニオン性界面活性剤のブレンドは、直鎖状アルキルサルフェート分岐鎖状アルキルサルフェート及び直鎖状アルキルアルコキシサルフェート分岐鎖状アルキルアルコキシサルフェートの分子のブレンドを通常、含む。分岐度の実際の計算は、以下の重量平均分岐度の計算:
重量平均分岐度(%)=[(x1アルコール1中の分岐鎖状アルコール1の重量%+x2アルコール2中の分岐鎖状アルコール2の重量%+....)/(x1+x2+....)]100
(式中、x1、x2、...は、アルキル(アルコキシ)サルフェートアニオン性界面活性剤を生成するために(アルコキシル化及び)硫酸化の前に出発物質として使用したアルコールの全アルコール混合物中の各アルコールの重量(グラム)である)において説明されているとおり、最終的なサルフェート化物質に基づくよりもむしろ、出発アルコール(及び、アルキルアルコキシサルフェートブレンドの場合、アルコキシル化アルコール)に基づいて行われる。重量平均分岐度の計算では、分岐していないアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を形成するために使用されたアルキルアルコールの重量が含まれる。
【0028】
重量平均分岐度及び分岐分布は、通常、界面活性剤又はそれを構成するアルキルアルコールの技術データシートから得ることができる。代替的に、分岐は、溶媒としてヘキサンを使用する、中極性キャピラリカラムにおける炎イオン化検出を伴うキャピラリガスクロマトグラフィを含む、当該技術分野において既知の分析方法を通して判定することもできる。重量平均分岐度及び分岐分布は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を生成するために使用した出発アルコールに基づく。
【0029】
分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、及び場合により非C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む。分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%のC2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤と、分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の最大でも10重量%、好ましくは最大でも5重量%、最も好ましくは最大でも2重量%の非C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤とを含む。
【0030】
C2分岐鎖状は、アルキル分岐が、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル鎖上の単一のアルキル分岐であり、非アルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の場合、サルフェート基から炭素原子を数えて、又はアルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の場合、サルフェート基から最も遠くのアルコキシ基から数えて、C2位に位置することを意味する。
【0031】
非C2分岐は、アルキル鎖が、アルキル鎖主鎖に沿った複数の炭素位置における分岐、又はC2位以外のアルキル鎖上の分岐位置に存在する単一分岐基を含むことを意味する。
【0032】
非C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の30重量%未満、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満のC1分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含むことができ、最も好ましくは、非C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、C1分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含まない。
【0033】
非C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、2位よりも多くの分岐位置において、非C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の少なくとも50重量%、好ましくは60~90重量%、より好ましくは70~80重量%の、単一分岐を含む異性体を含むことができる。これは、上で定義されている親水性頭部基から2個を超える炭素原子分、離れているということである。非C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の5重量%~30重量%、好ましくは7重量%~20重量%、より好ましくは10重量%~15重量%の多分岐異性体を含むことができる。非C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の5重量%~30重量%、好ましくは7重量%~20重量%、より好ましくは10重量%~15重量%の環状異性体を含むことができる。非環式分岐基は、現在する場合、C1~C5アルキル基、及びこれらの混合体から選択することができる。
【0034】
上述の分岐分布を有しており、エトキシル化がなくなるまで減じられたアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を使用して組成物を配合すると、温度変動に対する粘度感受性が低下し、したがって、同等の分岐分布を有するアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む組成物と比べて、より一貫した投入量実感をもたらす。更に、本組成物は、一層高い剪断速度に対してニュートン流体粘度プロファイルを維持し、このことは、容器がどの程度強く絞られたかに関わらず、投与量の変動はより少なくなり、かつユーザーの実感が一層一貫したものになることを意味する。
【0035】
更に、このような組成物は、完全な直鎖状界面活性剤系に比べて分岐が多いために、低温での良好な物理的安定性を実現するために、それほど多くの溶媒を必要としない。したがって、本組成物は、良好な低温安定性を依然として維持しながらも、洗浄組成物の5.0重量%未満の有機溶媒という、一層低いレベルの有機溶媒しか含み得ない。界面活性剤の分岐がより高いほど、初期起泡も速くなる。本明細書に記載されている重量平均分岐は、完全な直鎖状界面活性剤系に比べると、低温安定性及び初期起泡を改善することが見出された。
【0036】
アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、0.5未満、好ましくは0.25未満、より好ましくは0.1未満の平均アルコキシル化度を有しており、最も好ましくは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルコキシル化物を含まない。したがって、アルキルサルフェート界面活性剤は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の10重量%未満、好ましくは5重量%未満のアルコキシル化アルキルサルフェート界面活性剤しか含んでおらず、より好ましくは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルコキシル化アルキルサルフェート界面活性剤を含まない。アルキルサルフェート化アニオン性界面活性剤は、アルコキシル化されている場合、好ましくはエトキシル化されている。
【0037】
平均アルコキシル化度は、すべてのアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のmol平均アルコキシル化度(すなわち、mol平均アルコキシ化度)である。したがって、mol平均アルコキシ化度を計算する場合、非アルコキシル化サルフェートアニオン性界面活性剤のmol数が含まれる。
mol平均アルコキシ化度=(x1界面活性剤1のアルコキシ化度+x2界面活性剤2のアルコキシ化度+....)/(x1+x2+....)
(式中、x1、x2、...は、混合物の各アルキル(又はアルコキシ)サルフェートアニオン性界面活性剤のモル数であり、アルコキシ化度は、各アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤中のアルコキシ基の数である)。
【0038】
アニオン性界面活性剤に好適な対イオンには、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アルカノールアンモニウム、又はアンモニウム若しくは置換アンモニウムが挙げられるが、好ましくはナトリウムが挙げられる。
【0039】
市販のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の好適な例としては、Shellによって商標名Neodol(登録商標)で、若しくはSasolによって商標名Lial(登録商標)、Isalchem(登録商標)、及びSafol(登録商標)で販売されているアルコールに由来するもの、又はProcter&Gamble Chemicals社によって製造された天然アルコールのうちのいくつかが挙げられる。アルコールは、本発明による、所望の平均アルキル鎖、平均分岐度及び分岐分布のタイプを実現するために、ブレンドされ得る。本発明による目標となる分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の考察は、C2分岐鎖状アルキルサルフェートの含有率を高い優先度で有することであり、好ましくは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、Sasol company社からのLial及びisalchemという商標名、並びにShell社からNeodolで市販されているものなどのOXO誘導化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤から実質的になる分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含むOXO誘導体化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む。OXOアルコールは、一酸化炭素(CO)及び水素(通常、合成ガスとして一緒にされている)をオレフィンに加えて、ヒドロホルミル化反応を使用してアルデヒドを得て、次に、このアルデヒドを水素化してアルコールを得ることによって調製されるアルコールである。より好ましくは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の60重量%~85重量%、好ましくは75重量%~85重量%のOXO誘導化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、OXOアルコールは、一酸化炭素(CO)及び水素をオレフィンに加え、ヒドロホルミル化反応を使用してアルデヒドを得て、次に、このアルデヒドを水素化してアルコールを得ることによって調製されるアルコールである。C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を高い優先度で分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含むアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤をもたらす代替法もまた、本発明に好適と見なされる。このような代替法の一例は、米国特許出願第63/035125号及び同第63/035131号に記載されている。したがって、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、ひいては、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の少なくとも30重量%、好ましくは40重量%~95重量%、より好ましくは50重量%~85重量%の、この代替法で誘導したアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、又はOXO誘導化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤とこの代替法で誘導したアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤との混合物を含む。
【0040】
理論によって束縛されるものではないが、エトキシル化アルキルサルフェートが存在する場合、アルコキシル化、とりわけエトキシル化工程及び硫酸化工程の両方の間に、処理条件及び原材料の組成を厳密に管理することにより、アルコキシル化、とりわけエトキシル化アルキルサルフェート内の1,4-ジオキサン副生物の量を低減させることができる。近年の技術進歩に基づいて、1,4-ジオキサン副生物の更なる低減は、その後のストリッピング、蒸留、溶媒蒸発、遠心分離、マイクロ波照射、分子ふるいがけ、又は接触分解工程若しくは酵素分解酵素工程により実現することができる。アルコキシル化/エトキシル化アルキルサルフェート内の1,4-ジオキサン含量を管理する方法は、当該技術分野において広く知られている。代替として、5,6-ジヒドロ-3-(4-モルホリニル)-1-[4-(2-オキソ-1-ピペリジニル)-フェニル]-2-(1-H)-ピリドン、コラン酸の3-α-ヒドロキシ-7-オキソ立体異性体混合物、3-(N-メチルアミノ)-L-アラニン及びこれらの混合物等の1,4-ジオキサン阻害剤を、1,4-ジオキサンを含む配合物に添加することによる、洗剤配合物内の1,4-ジオキサンレベルの管理もまた、当該技術分野において記載されている。
【0041】
補助界面活性剤
希釈後の界面活性剤の充填を改善し、したがって泡持続性を改善するため、本界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤の他に、補助界面活性剤を含む。
【0042】
補助界面活性剤は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤及びこれらの混合物からなる群から選択される。補助界面活性剤は、好ましくは両性界面活性剤、より好ましくはアミンオキシド界面活性剤である。
【0043】
アニオン性界面活性剤と補助界面活性剤との重量比は、油脂の洗浄、起泡性及び粘度構築の改善を実現するために、2.0:1~8.0:1、好ましくは2.0:1~5.0:1、より好ましくは2.5:1~4.0:1である。
【0044】
本界面活性剤系は、洗浄組成物の0.1重量%~20重量%、好ましくは0.5重量%~15重量%、より好ましくは2重量%~10重量%の補助界面活性剤を含むことができる。本発明の洗浄組成物の界面活性剤系は、界面活性剤系の10重量%~40重量%、好ましくは15重量%~35重量%、より好ましくは20重量%~30重量%の補助界面活性剤を含むことができる。
【0045】
アミンオキシド界面活性剤は、直鎖状であっても分枝鎖状であってもよいが、直鎖状が好ましい。好適な直鎖状アミンオキシドは、通常、水溶性であり、式R1-N(R2)(R3)O(式中、R1は、C8~18アルキルであり、R2及びR3部分は、C1~3アルキル基、C1~3ヒドロキシアルキル基、及びこれらの混合からなる群から選択される)によって特徴付けられる。例えば、R2及びR3は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、及び3-ヒドロキシプロピル、並びにこれらの混合からなる群から選択することができるが、R2及びR3の一方又は両方がメチルであることが好ましい。直鎖状アミンオキシド界面活性剤としては、特に、直鎖状C10~C18アルキルジメチルアミンオキシド及び直鎖状C8~C12アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドを挙げることができる。
【0046】
好ましくは、アミンオキシド界面活性剤は、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される。C8~18アルキルジメチルアミンオキシド、又はC10~16アルキルジメチルアミンオキシド(ココジメチルアミンオキシドなど)などのアルキルジメチルアミンオキシドが好ましい。好適なアルキルジメチルアミンオキシドとしては、C10アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、C10~12アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、C12~C14アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。C12~C14アルキルジメチルアミンオキシドが特に好ましい。好ましくは、アルキルジメチルアミンオキシドのアルキル鎖は、直鎖状アルキル鎖、好ましくはC12~C14アルキル鎖、より好ましくはココナッツ油又はパーム油から誘導されるC12~C14アルキル鎖である。
【0047】
代替的な好適なアミンオキシド界面活性剤としては、中分岐鎖アミンオキシド界面活性剤が挙げられる。本明細書で使用する場合、「中分岐鎖」とは、アミンオキシドが、n1個の炭素原子を有する1つのアルキル部分を有し、アルキル部分における1つのアルキル分岐は、n2個の炭素原子を有することを意味する。アルキル分岐は、アルキル部分上の窒素からα炭素上に位置する。アミンオキシドのこの種の分岐は、当該技術分野において、内部アミンオキシドとしても既知である。n1とn2との合計は、10~24個、好ましくは12~20個、より好ましくは10~16個の炭素原子であってもよい。1つのアルキル部分の炭素原子数(n1)は、好ましくは、1つのアルキル分岐(n2)と炭素原子数が同じか又は類似しており、それによりその1つのアルキル部分とその1つのアルキル分岐とが対称となるようになっている。本明細書で使用する場合、「対称」とは、本明細書で使用される中分岐鎖アミンオキシドの少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%~100重量%において、|n1-n2|が5個以下、好ましくは4個、最も好ましくは0~4個の炭素原子であることを意味する。アミンオキシドは、C1~3アルキル、C1~3ヒドロキシアルキル基、又は平均で1~3個のエチレンオキシド基を含有するポリエチレンオキシド基から独立して選択される2つの部分を更に含む。好ましくは、それらの2つの部分は、C1~3アルキルから選択され、より好ましくは、いずれもがC1アルキルとして選択される。
【0048】
代替的に、アミンオキシド界面活性剤は、ローカットアミンオキシド及びミッドカットアミンオキシドの混合物を含む、アミンオキシドの混合物であってもよい。それゆえ、本発明の組成物のアミンオキシドは、
a)アミンオキシドの10重量%~45重量%の式R1R2R3AO(式中、R1及びR2は、独立して、水素、C1~C4アルキル又はこれらの混合物から選択され、R3は、C10アルキル又はこれらの混合物から選択される)であるローカットアミンオキシドと、
b)アミンオキシドの55重量%~90重量%の式R4R5R6AO(式中、R4及びR5は、独立して、水素、C1~C4のアルキル、又はこれらの混合から選択され、R6は、C12~C16のアルキル又はこれらの混合から選択される)であるミッドカットアミンオキシドと、を含むことができる。
【0049】
本明細書での使用に好ましいローカットアミンオキシドでは、R3はn-デシルであり、好ましくはR1及びR2の両方がメチルである。式R4R5R6AOのミッドカットアミンオキシドでは、好ましくはR4及びR5の両方がメチルである。
【0050】
好ましくは、アミンオキシドは、アミンオキシドの5%重量未満、より好ましくは3%重量未満の式R7R8R9AO(式中、R7及びR8は、水素、C1~C4アルキル及びこれらの混合物から選択され、R9は、C8アルキル及びこれらの混合物から選択される)であるアミンオキシドを含む。式R7R8R9AOのアミンオキシドの量を制限することにより、物理的安定性及び泡持続性の両方が改善される。
【0051】
好適な双性イオン性界面活性剤としては、ベタイン界面活性剤が挙げられる。このようなベタイン界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミドアゾリニウムベタイン、スルホベタイン(INCIスルタイン)、並びにホスホベタインが挙げられ、好ましくは式(I)を満たす:
-[CO-X(CH-N(R)(R)-(CH-[CH(OH)-CH-Y
式(I)中、
R1は、飽和又は不飽和のC6~22アルキル残基、好ましくは、C8~18アルキル残基、より好ましくは、飽和C10~16アルキル残基、最も好ましくは、飽和C12~14アルキル残基からなる群から選択され、
Xは、NH、NR4(式中、R4は、C1~4アルキル残基である)、O、及びSからなる群から選択され、
nは、1~10、好ましくは2~5、より好ましくは3の整数であり、
xは、0又は1、好ましくは1であり、
R2及びR3は、独立して、C1~4アルキル残基、ヒドロキシエチルなどの置換されているヒドロキシ、及びこれらの混合からなる群から選択され、好ましくは、R2及びR3の両方がメチルであり、
mは、1~4の整数、好ましくは1、2、又は3の整数であり、
yは、0又は1であり、
Yは、COO、SO3、OPO(OR5)O、又はP(O)(OR5)O(式中、R5は、H又はC1~4アルキル残基である)からなる群から選択される)。
【0052】
好ましいベタインは、式(IIa)のアルキルベタイン、式(IIb)のアルキルアミドプロピルベタイン、式(IIc)のスルホベタイン、及び式(IId)のアミドスルホベタインであり、
【化1】
(式中、R1は、式(I)中と同じ意味を有する)。特に好ましいものは、式(IIa)及び(IIb)のカルボベタイン[すなわち、式(I)中、Y=COO-である]であり、より好ましいものは、式(IIb)のアルキルアミドベタインである。
【0053】
好適なベタインは、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、セチルベタイン、セチルアミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン、デシルベタイン、デシルアミドプロピルベタイン、水素添加タローベタイン/アミドプロピルベタイン、イソステアルアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ミリスチルアミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、オレアドプロピルベタイン、オレイルベタイン、パームアミドプロピルベタイン、パルミトアミドプロピルベタイン、パーム核アミドプロピルベタイン、ステアルアミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、タローアミドプロピルベタイン、タローベタイン、ウンデシレンアミドプロピルベタイン、ウンデシルベタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができるか、又は[INCIに従って命名される]。好ましいベタインは、コカミドプロピルベタイン、ココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ミリスチルアミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。コカミドプロピルベタインが特に好ましい。
【0054】
非イオン性界面活性剤
本組成物は、非イオン性界面活性剤を含むことができる。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、アルコキシル化アルキルアルコール、アルキルポリグルコシド及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化アルキルアルコール、最も好ましくはエトキシル化アルコールから選択される。
【0055】
本界面活性剤系は、界面活性剤系の1重量%~25重量%、好ましくは1.25重量%~15重量%、より好ましくは1.5重量%~10重量%のレベルで非イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0056】
好適なアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、直鎖又は分枝鎖、一級又は二級アルキルアルコキシル化非イオン性界面活性剤であってもよい。アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、そのアルキル鎖中に、平均で8~18個、好ましくは9~15個、より好ましくは10~14個の炭素原子を含むことができる。
【0057】
アルキルエトキシル化非イオン性界面活性剤が好ましい。好適なアルキルエトキシル化非イオン性界面活性剤は、アルコール1モル当たり、平均で5~12個、好ましくは6~10個、より好ましくは7~8個の単位のエチレンオキシドを含むことができる。このようなアルキルエトキシル化非イオン性界面活性剤は、OXO-アルコール及びFisher Tropshアルコールなどの合成アルコール、若しくは天然由来のアルコール、又はこれらの混合物から誘導することができる。市販のアルキルエトキシレート非イオン性界面活性剤の好適な例としては、Shellによって商標名Neodol(登録商標)で、若しくはSasolによって商標名Lial(登録商標)、Isalchem(登録商標)、及びSafol(登録商標)で販売されている合成アルコールに由来するもの、又はProcter&Gamble Chemicals社によって製造された天然アルコールのうちのいくつかが挙げられる。
【0058】
本界面活性剤系は、アルキルポリグルコシド非イオン性界面活性剤を含むことができる。アルキルポリグルコシド非イオン性界面活性剤は、通常、とりわけ粒子状汚れの存在下で、アルキルエトキシル化アルコールなどの他の非イオン性界面活性剤よりも起泡性が高い。
【0059】
アルキルポリグルコシド及びアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の組合せ物は、重合油脂の除去、泡持続性能、界面活性剤及び/又は界面活性剤系の変化に伴う粘度変動の低下、並びに一層幅広い界面活性剤の活性レベル範囲のわたるニュートン流体レオロジーの持続性の増大を改善することが見出された。
【0060】
アルキルポリグルコシド界面活性剤は、C6~C18アルキルポリグルコシド界面活性剤から選択することができる。アルキルポリグルコシド界面活性剤は、0.1~3.0、好ましくは1.0~2.0、より好ましくは1.2~1.6の数平均重合度を有することができる。アルキルポリグルコシド界面活性剤は、10個以下の炭素原子を含むアルキル鎖を有する短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と、10個超の炭素原子~18個の炭素原子、好ましくは12~14個の炭素原子を含むアルキル鎖を有する中鎖から長鎖のアルキルポリグルコシド界面活性剤とのブレンドを含むことができる。
【0061】
短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤は、C8~C10の単モーダル鎖長分布を有し、中鎖から長鎖のアルキルポリグルコシド界面活性剤は、C10~C18の単モーダル鎖長分布を有する一方、中鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤は、C12~C14の単モーダル鎖長分布を有する。対照的に、C8~C18アルキルポリグルコシド界面活性剤は、通常、C8~C16などのような、C8~C18のアルキル鎖の単モーダル分布を有する。したがって、短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と中鎖~長鎖又は中鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤との組合せ物は、ブレンドされていないC8~C18アルキルポリグルコシド界面活性剤よりも、幅広い鎖長分布を有するか、又は更にはバイモーダル分布を有する。好ましくは、短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と長鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤との重量比は、1:1~10:1、好ましくは1.5:1~5:1、より好ましくは2:1~4:1である。このような短鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤と長鎖アルキルポリグルコシド界面活性剤とのブレンドは、泡立ち安定性の改善と組み合わされた、水中での洗剤溶液の一層迅速な溶解及び初期泡立ちの改善をもたらす。
【0062】
アニオン性界面活性剤及びアルキルポリグルコシド界面活性剤は、1:1より大きく10:1まで、好ましくは1.5:1~5:1、より好ましくは2:1~4:1の重量比で存在することができる。
【0063】
C8~C16アルキルポリグルコシドは、いくつかの供給元から市販されている(例えば、Seppic CorporationからのSimusol(登録商標)界面活性剤;及びBASF CorporationからのGlucopon(登録商標)600 CSUP、Glucopon(登録商標)650 EC、Glucopon(登録商標)600 CSUP/MB、並びにGlucopon(登録商標)650 EC/MB)。Glucopon(登録商標)215UPは、好ましい短鎖APG界面活性剤である。Glucopon(登録商標)600CSUPは、好ましい中鎖から長鎖のAPG界面活性剤である。
【0064】
更なる成分:
本組成物は、両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン、環状ポリアミン、トリブロックコポリマー、塩、ヒドロトープ、有機溶媒、本明細書に記載されているものなどの他の補助成分、及びこれらの混合物から選択されるものなどの更なる成分を含むことができる。
【0065】
両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン:
本発明の組成物は、組成物全体の0.05重量%~2重量%、好ましくは0.07重量%~1重量%の両親媒性ポリマーを更に含むことができる。好適な両親媒性ポリマーは、両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマーは、その液体組成物を洗浄前に洗浄用具(スポンジなど)に直接添加し、その後、ひどく油脂で汚れた表面と接触するとき、とりわけ、洗浄用具が少量~ゼロの水を含むとき、例えば、あらかじめ軽く湿らせたスポンジを使用するときに、洗浄される硬質表面上におけるゲル形成を低減することが判明している。
【0066】
好ましい両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、式(I)の一般構を有する:
【0067】
【化2】
(式中、ポリエチレンイミン主鎖は、重量平均分子量600を有しており、式(I)のnは平均10であり、式(I)のmは平均7であり、式(I)のRは、水素、C~Cアルキル、及びこれらの混合物、好ましくは水素から選択される)。式(I)の永久的な四級化度は、ポリエチレンイミン主鎖の窒素原子の0%~22%であってもよい。この両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーの分子量は、好ましくは、10,000~15,000Daである。
【0068】
より好ましくは、両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、式(I)の一般構造を有しているが、ポリエチレンイミン主鎖は、重量平均分子量600Daを有しており、式(I)のnは平均24であり、式(I)のmは平均16であり、式(I)のRは、水素、C~Cアルキル、及びこれらの混合物、好ましくは水素から選択さる。式(I)の永久的な四級化度は、ポリエチレンイミン主鎖の窒素原子の0%~22%であってもよく、好ましくは0%である。この両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーの分子量は、好ましくは25,000~30,000Da、最も好ましくは28,000Daである。
【0069】
両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミンポリマーは、国際公開第2007/135645号により詳細に記載されている方法によって作製することができる。
【0070】
環状ポリアミン
本組成物は、洗浄の一助となるアミン官能基を有する環状ポリアミンを含むことができる。本発明の組成物は、好ましくは、組成物の0.1重量%~3重量%、より好ましくは0.2重量%~2重量%、とりわけ0.5重量%~1重量%の環状ポリアミンを含む。
【0071】
環状ポリアミンは、少なくとも2つの一級アミン官能基を有する。一級アミンは、環状アミン内の任意の位置に存在してもよいが、油脂洗浄の観点から、一級アミンが1、3位に存在するときにより良好な性能が得られることが分かっている。置換基のうちの1個が-CH3であり、残りがHである環状アミンが、改善された油脂洗浄性能を提供することも判明している。
【0072】
したがって、本発明の洗浄組成物で使用するのに最も好ましい環状ポリアミンは、2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される環状ポリアミンである。これら特定の環状ポリアミンは、本発明の組成物の界面活性剤系と共に配合されたとき、食器洗浄プロセス全体を通して泡及び油脂洗浄プロファイルを改善する機能を有する。
【0073】
好適な環状ポリアミンは、Baxxodurという商標名で、BASFにより供給され得、Baxxodur ECX-210が特に好ましい。
【0074】
環状ポリアミン及び硫酸マグネシウムの組合せが特に好ましい。したがって、本組成物は、組成物の0.001重量%~2.0重量%、好ましくは0.005重量%~1.0重量%、より好ましくは0.01重量%~0.5重量%のレベルの硫酸マグネシウムを更に含むことができる。
【0075】
トリブロックコポリマー
本発明の組成物は、トリブロックコポリマーを含むことができる。トリブロックコポリマーは、組成物全体の0.1重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~7.5重量%、より好ましくは1重量%~5重量%のレベルで存在することができる。好適なトリブロックコポリマーは、式(I):(EO)x(PO)y(EO)xによるアルキレンオキシド部分を有するトリブロックコポリマーとして定義される、アルキレンオキシドトリブロックコポリマーを含み、EOは、エチレンオキシドを表し、xはそれぞれ、EOブロック内のEO単位の数を表す。xはそれぞれ、独立して、平均で5~50、好ましくは10~40、より好ましくは10~30とすることができる。好ましくは、xは、両EOブロックについて同じであり、「同じ」とは、2つのEOブロック間でxの差が最大2単位以内、好ましくは最大1単位以内であり、より好ましくは、両xが同じ単位数であることを意味する。POは、プロピレンオキシドを表し、yは、POブロック中のPO単位の数を表す。xはそれぞれ、平均で28~60、好ましくは30~55、より好ましくは30~48とすることができる。
【0076】
好ましくは、トリブロックコポリマーの、yの各xに対する比は、3:1~2:1である。トリブロックコポリマーの、yの2つのEOブロックの平均xに対する比は、好ましくは3:1~2:1である。好ましくは、トリブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーの30重量%~50重量%となる全EOの平均重量割合を有する。好ましくは、トリブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーの50重量%~70重量%となる全POの平均重量割合を有する。トリブロックコポリマーの場合のEO及びPOの平均総重量%は合計100%になることが理解される。トリブロックコポリマーは、2060~7880、好ましくは2620~6710、より好ましくは2620~5430、最も好ましくは2800~4700の平均分子量を有することができる。平均分子量は、1H NMR分光法(Thermo scientific application note No.AN52907を参照)を用いて求められる。
【0077】
トリブロックコポリマーは、基本構造ABAを有し、A及びBは異なるホモポリマー及び/又はモノマーの単位である。この場合、Aはエチレンオキシド(EO)であり、Bはプロピレンオキシド(PO)である。当業者は、語句「ブロックコポリマー」が「ブロックポリマー」のこの定義と同義であることを認識するであろう。
【0078】
特定のEO/PO/EO配置及びそれぞれのホモポリマーの長さを有する式(I)によるトリブロックコポリマーは、脂性汚れの存在下における食器手洗い用液体洗剤組成物の泡持続性能及び/又は洗浄プロセスにおける希釈全体にわたる泡の稠度を増強することが見出されている。
【0079】
好適なEO-PO-EOトリブロックコポリマーは、例えばPluronic(登録商標)PEシリーズとしてBASFから、また、例えばTergitol(商標)LシリーズとしてDow Chemical companyから市販されている。BASF製の特に好ましいトリブロックコポリマーは、商標名Pluronic(登録商標)PE6400(MW約2900、約40重量%EO)及びPluronic(登録商標)PE9400(MW約4600、40重量%EO)で販売されている。Dow Chemical Company製の特に好ましいトリブロックコポリマーは、商標名Tergitol(商標)L64(MW約2700、約40重量%EO)で販売されている。
【0080】
好ましいトリブロックコポリマーは、好気条件下で容易に生分解する。
【0081】
本発明の組成物は、塩、ヒドロトロープ、有機溶媒及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの活性物を更に含むことができる。
【0082】
塩:
本発明の組成物は、組成物全体の0.05重量%~2重量%、好ましくは0.1重量%~1.5重量%、又はより好ましくは0.5重量%~1重量%の塩を含むことができ、好ましくは、一価若しくは二価の無機塩又はこれらの混合物は、より好ましくは、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及びこれらの混合物から選択される。塩化ナトリウムが最も好ましい。
【0083】
ヒドロトロープ:
本発明の組成物は、組成物全体の0.1重量%~10重量%、又は好ましくは0.5重量%~10重量%、又はより好ましくは1重量%~10重量%のヒドロトープ又はその混合物、好ましくはクメンスルホン酸ナトリウムを含んでもよい。
【0084】
有機溶媒:
本組成物は、組成物全体の0.1重量%~10重量%、又は好ましくは0.5重量%~10重量%、又はより好ましくは1重量%~10重量%の有機溶媒を含むことができる。好適な有機溶媒としては、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、及びこれらの混合物、好ましくはアルコール、グリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される有機溶媒が挙げられる。エタノールが好ましいアルコールである。ポリアルキレングリコール、とりわけポリプロピレングリコール(PPG)が、好ましいグリコールである。ポリプロピレングリコールは、400~3000、好ましくは600~1500、より好ましくは700~1300の分子量を有することができる。ポリプロピレングリコールは、好ましくはポリ-1,2-プロピレングリコールである。
【0085】
補助成分
本洗浄組成物は、場合により、ビルダー(好ましくはシトレート)、キレート剤、コンディショニングポリマー、他の洗浄ポリマー、表面改質ポリマー、構造化剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、皮膚若返り活性物質、酵素、カルボン酸、スクラブ粒子、香料、悪臭抑制剤、顔料、染料、乳白剤、真珠光沢粒子、Ca/Mgイオンなどのアルカリ土類金属などの無機カチオン、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤(例えば、NaCl、並びに他の一価、二価、及び三価の塩などの塩)、並びにpH調整剤及び緩衝手段(例えば、クエン酸などのカルボン酸、HCl、NaOH、KOH、アルカノールアミン、炭酸ナトリウム、重炭酸塩、セスキ炭酸塩などの炭酸塩など)などの多くの他の補助成分を含み得る。
【0086】
洗浄方法
本発明の組成物は、食器類の手作業による洗浄方法に使用され得る。好適な方法は、本発明の組成物を多量の水に送り込みんで、洗浄用溶液を形成する工程、及びこの溶液中に食器類を浸漬する工程を含むことができる。食器類は、水の存在下で、本組成物により洗浄される。
【0087】
通常、好ましくは液状形態の0.5mL~20mL、好ましくは3mL~10mLの洗剤組成物を水に加えて、洗浄液を形成することができる。使用される洗剤組成物の実際の量は、ユーザーの判断に基づき、洗剤組成物中の活性成分の濃度、洗浄される汚れた食器類の数、食器類の汚れの程度などを含めた、洗剤組成物の特定の製品配合物などの要因に通常、依存する。
【0088】
本洗剤組成物は、シンク中などで、2.0L~20L、通常、5.0L~15Lの水と一緒にされて洗浄液を形成することができる。汚れた食器類を得られた洗浄液に浸漬した後に、布、スポンジ又は類似の洗浄用具を用いて食器類の汚れた表面を拭き取る。布、スポンジ又は類似の洗浄用具は、通常、1~10秒の範囲のある期間、食器類と接触されるが、実際の時間は、各用途及びユーザーの好みによりさまざまとなろう。
【0089】
場合により、続いて、食器類をすすぐことができる。「すすぐ」とは、本明細書において、本発明によるプロセスで洗浄された食器類に多量の水を接触させることを意味する。「多量」とは、通常、約1.0~約20L又は流水下を意味する。
【0090】
代替的に、処理される食器類に、その未希釈形態の本明細書における組成物を施用することができる。「その未希釈形態にある」とは、本明細書において、当該組成物が、施用前(直前)にユーザーによる何ら有意な希釈を受けることなく、処理される表面に直接、あるいはブラシ、スポンジ、不織材料若しくは織布材料などの洗浄装置又は用具に施用されることを意味する。「その未希釈形態で」はまた、例えば、洗浄用装置表面の水の存在に起因するわずかな希釈、又は瓶から組成物の残存量を除去するための消費者による水の添加を含む。したがって、その未希釈形態の組成物は、ユーザーの習慣及び洗浄作業に応じて、50:50~100:0、好ましくは70:30~100:0、より好ましくは80:20~100:0、更により好ましくは90:10~100:0の範囲の比で、組成物と水とを有する混合物を含む。
【0091】
未希釈施用のこのような方法は、その未希釈形態にある食器手洗い用液体洗剤組成物に食器を接触させる工程を含む。本組成物は、その容器から食器に直接、注いでもよい。代替的に、組成物が最初に、ブラシ、スポンジ、不織布材料、又は織布材料などの洗浄装置又は用具に塗布されてもよい。洗浄装置又は用具、そしてその結果として未希釈形態の液体食器洗い用組成物は、次いで、汚れた食器の各々の表面に直接接触させられて、汚れを除去する。洗浄装置又は用具は通常、約1~約10秒の範囲の時間にわたって各食器表面と接触させられるが、実際の適用時間は、食器の汚れの程度などの要因に左右されることになる。当該洗浄装置又は用具の食器表面への接触は、拭き取りと同時に伴うことが好ましい。
【0092】
続いて、食器類を清浄水に浸けることによる、又は流水下のどちらか一方で、すすぐことができる。
【0093】
試験方法
粘度:
粘度は、1~1000s-1の剪断速度の流れ掃引を使用する、Discovery HR-1 Hybrid Rheometerの50%+/-10%のトルクを達成するように粘度計のRPMが調整されたスピンドル31を使用して、ブルックフィールドRT粘度計で20℃において測定する。剪断速度のグラフにある粘度内のニュートン流体レオロジープラトーの最大剪断速度は、最大剪断応力に達した剪断速度により規定される。
【実施例
【0094】
食器手洗い用液体洗剤組成物のためのニュートン流体プラトー範囲にあるアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル鎖に使用される出発アルコール内の分岐分布の効果を、本明細書に記載されている試験方法を使用して評価した。
【0095】
非アルコキシル化C12~C13アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を表1及び2にまとめられている出発アルコールから作製し、以下の比較試験に使用した。表1から分かるとおり、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤Aは、67%が直鎖状、33%が分岐鎖状であった。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤Bは、類似した分岐レベル(70%が直鎖状、30%が分岐鎖状)を有した。対照的に、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤Cは、実質的に直鎖状であり(95%が直鎖状、5%が分岐鎖状)、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤Dは、40%を超える平均分岐度(54%が直鎖状、46%が分岐鎖状)を有する。得られた分岐分布が表2に示されており、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤Aは、本発明の組成物中で使用されている。対照的に、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤Bは、本発明により必要とされるものよりも高い、非C2分岐鎖状アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量分率を有した。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤Cは、本発明によって必要とされるもの未満の分岐度を有した。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤Dは、本発明によって必要とされるものよりも大きな分岐度を有した。
【0096】
【表1】
【0097】
Safol23(商標)は、フィッシャー-トロプッシュ法から誘導される一方、Neodol(商標)3、Lial(商標)123及びIsalchem(商標)123は、OXO法から誘導される。天然ミッドカットアルコールは、天然源から誘導される。
【0098】
【表2】
【0099】
手洗い用食器洗浄組成物は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤A~Dを使用して調製した。したがって、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤Aを含む、表3の実施例1の洗剤が、本発明による実施例である一方、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤B及びCをそれぞれ含む実施例A及びBは比較例である。比較例C~Eは、本発明により必要とされるものよりも高い平均分岐度を有する、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤Dを含んだ。実施例1並びに比較例A及びBの組成物の場合、約1000mPasの目標粘度を実現することができた。表3の粘度結果から分かるとおり、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤Dを含む組成物の場合、目標粘度は、塩及び溶媒のすべてを除去することによってのみ実現することができた(比較例E)。したがって、1000cpsにおけるニュートン流体のプラトーの場合の剪断速度の範囲は、比較例C及びDの場合、測定することができなかった。
【0100】
【表3】
比較例
Shellにより供給されるNeodol 91/8
BASFにより供給
DOWにより供給されるTergitol L64
BASFにより供給されるBaxxodur EC210
20℃での1000cpsの目標粘度を実現するよう調節されたレベル
【0101】
表3は、約1000mPasの目標粘度を実現することができた組成物の場合の、ニュートン流体のレオロジープラトーが終了する剪断速度(高ければ高い方が望ましい)を含む。これらのデータから、必要な分岐分布を有するアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む本発明の組成物は、本発明の範囲外の分岐分布、又は本範囲により必要とされるもの未満の分岐度を有するアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む実施例A及びBに比べると、一層幅広い剪断速度の範囲にあるニュートン流体レオロジープロファイルをもたらすことが分かり得る。
【0102】
本発明により必要とされるものよりも高い平均分岐度を有するアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤Dを含む、比較例C~Eの場合、目標粘度(1000mPas)は、塩及び溶媒のすべてを除去することによってのみ実現することができた。更に、実施例Eは、より幅広い剪断速度の範囲にわたり所望の粘度で一層一貫した投与実感をもたらすが、これは性能及び加工性を犠牲にしている。これは、溶媒もまた、油脂除去の改善及び溶解の改善の両方のために加えられている。更に、本発明により必要とされるものよりも高い平均分岐度を有するアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む組成物のみ、塩及び溶媒をほとんど又はまったく使用しないで、高い粘度で配合することができるので、作製中の粗原料特性の変動を考慮するために、このような組成物の粘度を調節することはかなり困難である。
【0103】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味するものとする。