IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オデ メタル カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図1
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図2
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図3
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図4
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図5
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図6
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図7
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図8
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図9
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図10
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図11
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図12
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図13
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図14
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図15
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図16
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図17
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図18
  • 特許-コアシャフト移送部を備える植毛機 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】コアシャフト移送部を備える植毛機
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/322 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
A61B17/322
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021164239
(22)【出願日】2021-10-05
(65)【公開番号】P2022074002
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2021-10-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0143497
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518419611
【氏名又は名称】オデ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】OHDAE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2 Nongong-ro 117-gil, Nongong-eup, Dalseong-gun,Daegu, 42984 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョン スル
(72)【発明者】
【氏名】イ,テ ソン
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-126715(JP,A)
【文献】特表2009-509671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/322
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植毛機において、
中央シャフト(100)及び前記中央シャフトの外周面に上下方向に摺動自在にそれぞれ結合されている複数のニードルチャネル(200)を備えるニードルチャネルバンドル(1000)と、
前記複数のニードルチャネルのうちの1つのニードルチャネルを下方に押して前進させるように構成された第1バネ(600)と、
前記中央シャフト(100)の内側にて、植毛機の長さ方向に摺動可能な昇降部(150)と、
前記昇降部(150)の下側に配置され、前記昇降部を上昇させるように力を加える第2バネ(170)と、
を含み、
各ニードルチャネル(200)は、管状の内部空間を有する本体部(210)、前記本体部(210の下部に結合された針(220)、及び前記管状の内部空間に摺動自在に配置されるコアシャフト(230)を含み、
前記第1バネ(600)によって一つのニードルチャネル(200)が下降する際、この下降するニードルチャネル(200)によって前記昇降部(150)も共に下降し、
前記第1バネ(600)の力が、下降したニードルチャネル(200)に作用しなくなると、前記第2バネ(170)によって前記昇降部(150)が上昇する際、前記昇降部(150)が、前記下降したニードルチャネル(200)を押して上昇させるように構成されることを特徴とする植毛機。
【請求項2】
前記第1バネ(600)の前端部に取り付けられたプッシュブロック(610)と、
前記プッシュブロックの前端に長手方向に配置されて取り付けられた第1プッシュバー(620)と、
をさらに含み、
前記第1バネの弾性によって前記第1プッシュバー(620)がニードルチャネルを前方に前進させるように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の植毛機。
【請求項3】
前記植毛機の内部に配置された駆動モータ(510)と、
前記駆動モータの駆動軸と結合し、外周面にねじ山が形成されているリードスクリュー(530)と、
前記リードスクリューに結合し、リードスクリューの回転によって前進又は後進する摺動ブロック(540)と、
をさらに含み、
前記プッシュブロック(610)が、前記摺動ブロック(540)によって後退できるように構成されたことを特徴とする、請求項2に記載の植毛機。
【請求項4】
前記摺動ブロック(540)の表面に段差部(542)が形成され、
前記プッシュブロック(610)は、放射状方向に動く係止部(650)をさらに含み、
前記摺動ブロック(540)が後退する際、前記段差部(542)が前記係止部(650)を係止して、摺動ブロック(540)とプッシュブロック(610)が共に後退するように構成されたことを特徴とする、請求項3に記載の植毛機。
【請求項5】
前記第1バネ(600)によって下方へと前進したニードルチャネルにおけるコアシャフトの位置を一時固定させるコアシャフト係止部(700)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の植毛機。
【請求項6】
前記コアシャフト係止部が、前記下方へと前進したニードルチャネルのコアシャフト位置を一時固定した状態で、前記コアシャフト係止部を下方へと所定の距離だけ押し動かして、前記コアシャフトが、予め設定された距離だけ追加前進するように構成されたことを特徴とする、請求項に記載の植毛機。
【請求項7】
前記下方に前進したニードルチャネルが後退する際、前記ニードルチャネルが予め設定された所定の距離だけ後退するまで、前記コアシャフト係止部が前記コアシャフトを固定し、前記所定の距離だけ後退した後、前記コアシャフト係止部が前記コアシャフトの係止を解除するように構成されたことを特徴とする、請求項に記載の植毛機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植毛機に関し、より詳しくは、毛髪移植用の針を束型で複数装着した束型の植毛機に関する。
【背景技術】
【0002】
植毛機(毛髪移植器)は、頭皮の発毛領域から毛髪を採取し、これを脱毛した他の不毛領域の頭皮に植えて移植する毛髪施術法に用いられる医療装備である。従来における植毛機は、針(「移植針」又は「ニードル」とも呼ばれる)と、針の内部に摺動自在(スライディング可能;slidable)に挿入されたコアシャフトとで構成され、多数の毛髪を移植するために、一単位の針とコアシャフト(芯軸)とで構成されたニードルチャネルを複数装着した、束(バンドル;bundle)型の毛髪移植器が用いられている。
【0003】
従来における植毛機には、手動式及び自動式に分けられるが、手動式の植毛機は、ユーザ(医師や施術者など)の力と、バネなどの弾性力を用いて、針を頭皮に挿入して後退させる動作を行うのであり、自動式の植毛機は、モータの力を用いて針を前進させて針を頭皮に挿入して毛包を植え付け、針を支えているバネの弾性力を用いて針を後退させることで元の位置に復帰させる。
【0004】
ところが、自動植毛機の場合、モータで針を前進させる場合、針が比較的に遅い速度で前進するため、頭皮の抵抗により針が頭皮を一度に貫通できない場合があり、これを防止するためにユーザが植毛機を強く握らなければならず、施術に多くの力が必要であるという問題がある。
【0005】
また、従来の植毛機による施術の場合、頭皮内に針を略7.5mm~8.5mm程度挿入しなければならない。図1に示すように、針1は内部に貫通空間が形成され、この空間にコアシャフト3が挿入されている。針1の先端部には、頭皮挿入を容易にするために傾斜面(ベベル;bevel)2が形成されているが、この傾斜面2の長さd1が概略3.3mm程度である。針1の内部に毛包5が毛髪移植のために挿入され、毛包5の長さは概略4~5mm程度である。
【0006】
このような針の構造によると、毛包5が傾斜面2に向かって突出すれば、針を頭皮に挿入するとき、毛包5が頭皮に擦れて毛包の核が損傷してしまう問題がある。そのため、針を頭皮に挿入する際に毛包5が傾斜面2よりも内側に位置しなければならず、したがって、針1が少なくとも、傾斜面2の長さd1と、毛包5の長さd2とを合わせた長さ以上に頭皮に挿入しなければならず、この挿入の深さが概略7.5~8.5mm程度であってもよい。結果的に、毛包の長さd2の他に、針の傾斜面2の長さd1だけ、針1が頭皮の中にさらに挿入しなければならないため、頭皮の損傷及び出血など、患者の安全上の問題が増加する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6660995号公報(韓国特許第10-1891643号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、従来に比べて針を頭皮に貫通させる貫通の深さを小さくし、針の内部でコアシャフトを追加的に前進させて毛包を頭皮内に植毛させ得る植毛機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、植毛機において、中央シャフト、及び、前記中央シャフトの外周面に上下方向に摺動自在にそれぞれ結合されている複数のニードルチャネルを備えるニードルチャネルバンドル(needle-channel bundle)と、前記複数のニードルチャネルのうちの、1つのニードルチャネルを下方に押して前進させるように構成された第1バネと、前記下方に前進したニードルチャネルを上方に後退させるように構成された第2バネとを含み、各ニードルチャネルは、管状の内部空間を有する本体部と、前記本体部の下部に結合された針と、前記管状の内部空間に摺動自在に配置されるコアシャフトと、を含むことを特徴とする植毛機を開示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によると、従来に比べて針を頭皮に貫通させる貫通の深さを低減させつつ、毛包を頭皮内に植毛させることができる。そのため、患者の頭皮損傷や出血を減らし、毛髪移植の施術に対する患者や施術者の拒否感を緩和することができる。
【0011】
また、本発明の一実施形態によると、毛包を頭皮に植毛し、針が所定の距離を後退する間にはコアシャフトを一時停止させた後、コアシャフトの係止を解除することで、毛包が針から抜け出ることを防止し、毛包の確実な植毛を図って施術の成功率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来技術の植毛機による針の動作を説明する図である。
図2】本発明の一実施形態に係るニードルチャネルの前進及び後退動作を説明するフローチャートである。
図3】一実施形態に係るニードルチャネルの前進及び後退動作を図式的に示す図である。
図4】コアシャフトの前進及び後退動作のための例示的な構成を図式的に示す図である。
図5】一実施形態に係る植毛機の斜視図である。
図6】一実施形態に係る植毛機の断面図である。
図7】一実施形態に係る植毛機の分解斜視図である。
図8】一実施形態に係る植毛機の下部キャップを説明する図である。
図9】一実施形態に係るニードルチャネルバンドルを説明する図である。
図10】一実施形態に係るニードルチャネルの斜視図及び断面図である。
図11】一実施形態に係る中央シャフトの断面斜視図である。
図12】一実施形態に係るニードルチャネルバンドルの断面図である。
図13】一実施形態によりニードルチャネルを回転させる構成を説明する図である。
図14】一実施形態によりニードルチャネルを前進させる構成を説明する図である。
図15】一実施形態によりプッシュブロックの係止及び係止解除の動作を説明する図である。
図16】一実施形態に係るコアシャフト係止部を説明するための図である。
図17】一実施形態に係るコアシャフト係止部の追加前進動作を説明する図である。
図18】一実施形態に係るニードルチャネルとコアシャフトの係止及び係止解除の動作を説明する図である。
図19】一実施形態に係るニードルチャネルの前進及び後退の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以上の本発明の目的、他の目的、特徴及び利点は、添付された図面に関連する以下の好適な実施形態によって容易に理解されるのであろう。しかし、本発明は、ここで説明される実施形態に限定されることなく、別の形態に具体化されてもよい。むしろ、ここで紹介される実施形態は、開示された内容が徹底かつ完全になるように、そして当業者に本発明の思想を十分に伝達するために提供されるものである。
【0014】
本明細書において、いずれかの構成要素が他の構成要素の「上」(又は「下」、「右」、又は「左」)にあると言及されている場合、それは、他の構成要素の上(又は、下、右、又は左)に直接位置し得るか、又はそれらの間に第3の構成要素が介在され得ることを意味する。
【0015】
また、本明細書において、構成要素間の位置関係を説明するために用いられる「上部」、「下部」、「左側」、「右側」、「前面」、「後面」などの表現は、絶対的な基準としての方向や位置を意味せず、各図面を参照しながら本発明を説明するとき、該当の図面を基準にして説明の便宜のために用いられる相対的な表現である。
【0016】
本明細書において、いずれかの構成要素が他の構成要素に接続(又は、結合、締結、取付など)されると言及する場合、それは、他の構成要素に直接的に接続(又は、結合、締結、取付など)されたり、又は、その間に第3の構成要素を介在して間接的に接続(又は、結合、締結、取付など)されることを意味する。また、本明細書の図面において、構成要素の長さ、厚さ、又は広さは、技術的な内容を効率よく説明するために誇張されたものであり、いずれか1つの構成要素と異なる構成要素の相対的な大きさも具体的な実施形態によって変わり得る。
【0017】
本明細書において、構成要素の単数形は特に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「~を含む」、「~で構成される」、及び「~からなる」という表現は、言及された構成要素の他に1つ以上の更なる構成要素の存在又は追加を排除しない。
【0018】
本明細書において、第1、第2などの用語が構成要素を記述するために使用された場合、これらの構成要素がこのような用語によって限定されることはない。この用語は、単にいずれかの構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるだけである。ここで説明されて例示される実施形態は、その相補的な実施形態も含む。
【0019】
本明細書でいずれかの構成要素の「前進」は、この構成要素が患者の頭皮に向かっている方向へ動くことを意味し、「後進」又は「後退」は、この構成要素が患者の頭皮から遠ざかる方向に動くことを意味する。本明細書で植毛機の「下方向」は、植毛機の長手方向のうちニードルチャネルが前進する方向であり、「上方向」は、植毛機の長手方向のうちニードルチャネルが後退する方向を意味する。本明細書で植毛機の「前方」は、ニードルチャネルが前進する方向であり、「後方」は後退する方向である。また、本明細書で「放射状」の内側又は外側の方向は、植毛機の長手方向による植毛機の中心軸を基準にして放射状の内側又は外側方向を意味する。
【0020】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。下記の特定の実施形態を記述する上で、様々な特定的内容については、発明をより具体的に説明して理解を深めるために作成されたものである。しかし、本発明を理解できる程度のこの分野で知識を有する読者は、このような様々な特定的な内容がなくても使用できるということを認知することができる。ある場合は、発明の記述においては、周知でありながら発明とは大きく関連のない部分は、本発明の説明において混沌を防止するために記述しないことを前もって言及しておく。
【0021】
図2は、本発明の一実施形態に係るニードルチャネルについての前進及び後退の動作を説明するフローチャートであり、図3は、図2に示す各ステップでニードルチャネルの前進及び後退の動作を図式的に示す。
【0022】
本発明の一実施形態において、「ニードルチャネル」は、1つの針220とコアシャフト230から構成され、本発明の植毛機は、複数のニードルチャネルが装着された束型の植毛機であってもよい。図2及び図3において、説明の便宜のために1つのニードルチャネルに対する前進及び後退動作について説明することにする。
【0023】
図2及び図3を参照すると、まず、図2に示すステップS110において、ニードルチャネルを所定の距離(「第1の所定距離」)d1だけ前進させて患者の頭皮に針を挿入する。即ち、図3(a)に示すように、ニードルチャネルを前進させて、針220の先端部を患者の頭皮に挿入する。一実施形態において、針220の先端の傾斜面223についての高さ(軸方向寸法)が概略3mm~3.5mm程度である場合、針220の入り込みの深度は、概略5mm~5.5mmであってもよく、針220の内部に収容されている毛包5の一部が頭皮の内部に入っている。このステップS110において、ニードルチャネルを第1の所定距離d1だけ前進させた後、コアシャフト230をコアシャフト係止部(図示せず)に係止することで、コアシャフト230が自由に動かないようにすることができる。
【0024】
ステップS110において、ニードルチャネルを第1の所定距離前進させる動作は、ユーザ(医師や施術者)の力によって手動で操作することもできるが、好ましくは、弾性力の大きいバネを用いて短い瞬間一気に針が頭皮を貫通できるようにする。一実施形態において、針220の貫通深度は、概略5mm~5.5mmであってもよいが、具体的な実施形態に応じて貫通深度が変わり得ることはもちろんである。
【0025】
次に、ステップS120において、コアシャフト230を所定の距離(「第2の所定距離」)d2だけさらに前進させた後、コアシャフトの位置を一時的に固定する。例えば、コアシャフト230を固定しているコアシャフト係止部を前進させ一時的に固定させることで、コアシャフト230を前進させた後に固定してもよい。図3(b)に示すように、ステップS120で、コアシャフト230を第2の所定距離d2だけ追加前進させることで、毛包5を頭皮内に完全に押込むことができる。コアシャフト230の追加前進の距離は、毛包5を頭皮の内部へ完全に挿入する程度であれば良く、例えば、3mm~3.5mmであってもよいが、具体的な実施形態により異なってもよい。
【0026】
その後、ステップS130において、ニードルチャネルの後退動作を開始する。ニードルチャネルの後退動作は、例えば、ユーザ(医師や施術者)の力によって手動で行われてもよく、代替案として、駆動モータやバネなどによって自動又は半自動で行われてもよい。このステップS130において、図3(c)に示すように、ニードル220は後退するが、コアシャフト230は、コアシャフト係止部に係止されて一時停止している。したがって、針220が頭皮から抜け出る間に、毛包5が、針220に引き連れられて抜け出るということがなしに、頭皮内に植え付けられうる。
【0027】
その後、ステップS140において、ニードルチャネルが、予め設定された所定の距離(「第3の所定距離」)d3だけ後退した際、コアシャフト係止部によるコアシャフト230の係止動作が解除され、針220と共にコアシャフト230も上方向へと後退する。ここで、第3の所定距離d3は、例えば、図3(c)及び図3(d)に示すように、コアシャフト230の下端部231が針220の傾斜面223に露出し始める地点までに、針220が後退するまでの距離でありうるが、具体的な実施形態に応じて第3の所定距離d3をこれとは相違するように設定しうるのはもちろんのことである。このようにして、針220とコアシャフト230とが共に上方へと後退し、ニードルチャネルが初期位置(即ち、ニードルチャネルが前進する前の待機位置)に戻る。
【0028】
上述した本発明の植毛機によれば、針220内の毛包5の一部のみが頭皮に入り込む程度にニードルチャネルを前進させた後(図3(a))、コアシャフト230の追加前進によって毛包5を完全に頭皮内に植え付けることができるのであり(図3(b))、図1の従来技術と比較して、針220が頭皮に入り込む深さが減少するため、患者の頭皮への損傷を低減することができる。また、本発明では、毛包5を頭皮に植え付けてから、針220が所定の距離(第3の所定距離)d3だけ後退する間にはコアシャフト230を一時停止させ、この後にコアシャフトの係止を解除することで、毛包5が針220に巻き込まれて抜け出てしまうことを防止することができることから、毛包5の確実な植え付けに寄与することで施術の成功率を高めることができる。
【0029】
一方、上記のように、針220の前進の直後にコアシャフト230の追加の前進の動作を行い、針220の後退時にコアシャフト230の一時停止の動作を行うようにするために、一実施形態において、コアシャフト230を係止しているコアシャフト係止部について、追加前進及び一時停止をさせることができる。
【0030】
図4は、コアシャフト係止部700を追加前進させたり一時停止させたりすることで、コアシャフト230の追加前進及び一時停止の動作を可能にする、本発明の様々な実施形態を概略的に示した。
【0031】
図4(a)の実施形態において、ニードルチャネル200は、先端部に突出される針220、及び、針220の内部に摺動自在に配置されているコアシャフト230を含む。コアシャフト230の一端部にレバー240が結合され、これにより、コアシャフト230とレバー240とが一体に前進/後進の摺動移動を行うことができる。
【0032】
図示の実施形態において、ニードルチャネル200は、メインバネ600によって前進するのであり得るし、戻しバネ又は搬送バー(図示せず)によって後退するのであり得る。戻しバネは、例えば、ニードルチャネル200の前端と、植毛機の下部ケースとの間に配置されて、ニードルチャネル200を常に後退方向へと加圧するように構成してもよい。
【0033】
ここで、レバー240がコアシャフト係止部700によって係止(掛け止め)されるように構成されることから、ニードルチャネル200の後退時に、コアシャフト240が一時的に動かないように固定することができる。コアシャフト係止部700が駆動モータ810の回転軸811に連結されて摺動しうるのであり、駆動モータ810の動作によりコアシャフト係止部700を第2の所定距離d2だけ追加前進させることで、コアシャフト230を前記第2の所定距離d2だけ追加前進させることができる。また、ニードルチャネル200が後退する間に、駆動モータ810が動作を一時停止してコアシャフト係止部700を一時停止させる。その後、メインバネ600の前端が後退することに伴いニードルチャネル200が第3の所定の距離d3だけ後退した後、駆動モータ810が駆動してコアシャフト係止部700を後方に移動させることでコアシャフト230を後退させることができる。
【0034】
図4(b)は、コアシャフト230の追加前進及び一時停止の動作を可能にする更なる例示的な構成を示す。この実施形態において、ニードルチャネル200は、メインバネ600によって前進してもよく、戻しバネ(図示せず)により後退してもよい。レバー240は、コアシャフト係止部700に係止して動きが制限されるように構成されている。コアシャフト係止部700は、プッシュバー800の前進によって前方へと第2の所定距離d2だけ追加前進し、追加前進した状態で固定されうる。
【0035】
メインバネ600が後退すると、ニードルチャネル200も後退するが、コアシャフト係止部700は一時固定される。その後、ニードルチャネル200が第3の所定距離d3だけ後退してからコアシャフト係止部700の固定が解除され、コアシャフト230の係止も解除されて、コアシャフト230を後退させることができる。
【0036】
図4(c)は、更なる実施形態として、この実施形態においてニードルチャネル200は、メインバネ600によって前進し、搬送バー900によって後退するのでありうる。コアシャフト係止部700と搬送バー900との間に第1補助バネ910が配置され、コアシャフト係止部700の前方側に第2補助バネ920が配置されている。第2補助バネ920は、植毛機のフレームやケースなどの、任意の部材930に固定して支持される。第1補助バネ910が第2補助バネ920よりも大きい弾性力を有するように構成される。
【0037】
この実施形態において、コアシャフト係止部700は、搬送バー900の前進によって前方に第2の所定距離d2だけ追加前進する。ここで、第1補助バネ910の弾性力が第2補助バネ920よりも大きいため、コアシャフト係止部700が追加前進しうる。ニードルチャネル200が後退する場合、ニードルチャネル200が第3の所定距離だけ後退する間に、搬送バー900も後退するが、第1補助バネ910が依然としてコアシャフト係止部700を加圧しているため、コアシャフト係止部700が後方へと後退できず停止状態にある。搬送バー900がさらに後退して第2補助バネ920の弾性力が第1補助バネ910よりも大きくなる時点から、コアシャフト係止部700が、第2補助バネ920によって後方に押し出され、コアシャフト230が後退する。
【0038】
以上で説明したように、針220の前進直後のコアシャフト230の追加前進の動作及び針200の後退時に、コアシャフト230の遅延後退の動作を行うことのできる様々な実施形態が可能であり、以下では、図4(b)の実施形態に係る植毛機の具体的かつ例示的な装置構成について、図5図19を参照して説明する。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態に係る植毛機の斜視図、図6は、植毛機の断面図であり、図7は、植毛機の分解斜視図である。図5図7を参照すると、一実施形態に係る植毛機は、ユーザ(例えば、医師や施術者)の手で持つことにより使用可能な、長い円筒状の外観を有する。
【0040】
植毛機は、下部モジュールM1と上部モジュールM2とからなる。下部モジュールM1は、下部ケース10と、その下方に結合されている下部キャップ20とでもってケーシングされ、上部モジュールM2は、上部ケース30、その上部に結合されている上部キャップ40、及び、その下部に結合されているブラケット50でもってケーシングされる。
【0041】
下部モジュールM1内に配置されているニードルチャネルバンドル1000を容易に脱着させるために、下部モジュールM1と上部モジュールM2とが分離自在に結合されることが好ましい。図示の一実施形態において、上部モジュールM2のブラケット50に、レバー状のモジュール結合部60が設置されうるのであり、ユーザがレバーを押してモジュールM1、M2を分離することができる。
【0042】
下部モジュールM1の下部ケース10内には、毛根(毛包)の移植に用いられるニードルチャネル200が、バンドル形態に複数結合されている、ニードルチャネルバンドル1000が回転自在に配置されている。ニードルチャネルバンドル1000は、円筒状の中央シャフト100、及び、その外周面に放射状で等間隔に配列されている複数のニードルチャネル200から構成されうる。
【0043】
ニードルチャネルバンドル1000の上部には、第1駆動モータ300が配置されている。第1駆動モータ300の駆動軸がカップリング310によって中央シャフト100の中心軸に結合し、したがって、第1駆動モータ300の駆動によりニードルチャネルバンドル1000が回転することができる。第1駆動モータ300は、例えば、ステップモータなどにより具現され、ニードルチャネルバンドル1000を所定の角度だけ回転させることができる。一実施形態において、ニードルチャネルバンドル1000は、第1駆動モータ300によって、1回に、1つのニードルチャネル200の間隔に該当する角度だけ回転することができる。例えば、図示する実施形態において、中央シャフト100の外周面に18個のニードルチャネル200が取り付けられ、この場合に第1駆動モータ300は、一回の駆動でニードルチャネルバンドル1000を20度ずつ回転させるように構成される。
【0044】
一実施形態において、ニードルチャネルバンドル1000が一度に所定の角度だけ回転できるように、ニードルチャネルバンドル1000の上面にボールプランジャ(ballplunger)(図13に示す451)が接触して配置されてもよい。ボールプランジャ451は、ニードルチャネルバンドル1000の上面部に配置されたボールプランジャ支持部400に結合して支持されている。
【0045】
下部ケース10の側面には、コアシャフト係止部700が配置されている。コアシャフト係止部700は、ニードルチャネル200内に摺動自在に配置されているコアシャフト(図10に示す230)を係止し、コアシャフトの移動を一時的に制御する役割を果たす。コアシャフト係止部700の具体的な構成については、図16図18を参照して後述する。
【0046】
下部ケース10の下端部には、下部キャップ20が脱着自在に連結され、下部ケース10の下端部を覆う。これに関連して、図8は、一実施形態に係る植毛機の下部キャップ20を示す。図8に示す実施形態において、下部キャップ20は、フレーム構造で構成されており、ユーザが、各ニードルチャネル200の針220を見ることができるように構成されている。下部キャップ20の下部側には、1つのニードルチャネル200の針220が通過できるノズル21が形成され、1つの針220がノズル21を通して所定の長さだけ下方に突出してもよい。
【0047】
一実施形態において、下部キャップ20はガイド部材25を含む。ガイド部材25は、スロット252を有する長くて折り曲げられた形状の部材として、一端部が下部キャップ20の任意の位置に固定され、他端部は、ノズル21の先端部をカバーするのでありうる。ノズル21から突出する針220は、ガイド部材25のスロット252の中を通って突出しているため、針220とガイド部材25との間の干渉が発生しない。
【0048】
また、一実施形態において、ガイド部材25の少なくとも一部が、衝撃を吸収したり減衰させたりする弾性構造部251として形成されてもよい。弾性構造部251は、例えば、図8に示すように、ガイド部材25の少なくとも一部の領域がS字状又はジグザグ状に折り曲げられた構造であってもよいが、これに制限されることなく、衝撃を緩和したり吸収したりすることができる、任意の形状や材質によって実現することができる。
【0049】
このように下部キャップ20にガイド部材25が設置された場合、ユーザが、ガイド部材25を患者の頭皮の施術位置に密着した状態で、針220を頭皮に挿入し得るため、より安定的な針の挿入動作が可能であり、針の挿入時に、患者に加えられる衝撃を緩和できるという利点がある。
【0050】
再び図5図7を参照すると、上部モジュールM2は、上部ケース30と、この上部ケース30の上端部及び下端部にそれぞれ取り付けられた上部キャップ40と、ブラケット50とでもってケーシングされる。上部モジュールM2は、1つのニードルチャネルを下方に押して前進させるために、メインバネ600、プッシュブロック610、及びメインプッシュバー620を備えており、下方に前進したニードルチャネルを上方へと引き上げ、この針チャネルを初期状態(即ち、メインバネによって押し動かされる前の状態)に戻すための摺動ブロック540を、さらに備える。
【0051】
メインバネ600の上端部は、上部ケース30の任意の位置に取り付けられて固定される。メインバネ600の下端部には、リング状のプッシュブロック610が取り付けられており、プッシュブロック610には、植毛機の長手方向に、メインプッシュバー620が取り付けられる。メインバネ600は、任意の部材によって後退して圧縮され、その圧縮が解除されると弾性力によって前進するのであるため、メインプッシュバー620がニードルチャネル200を押圧して前方へと前進させることができる。メインバネ600は強い弾性力を有するのであり、したがって、ニードルチャネル200が、メインプッシュバー620によって押し動かされ、短時間で瞬間的に前方へと前進することができる。
【0052】
一実施形態において、駆動部500は、第2駆動モータ510、カップリング520、リードスクリュー530、及び摺動ブロック540から構成されている。第2駆動モータ510は、両方向に回転する駆動軸を有する任意のモータで実現されうるのであり、第2駆動モータ510の駆動軸が、カップリング520を通じてリードスクリュー530と締結されている。リードスクリュー530の外周面には、ねじ山が形成されており、摺動ブロック540は、リードスクリュー530に結合されて、リードスクリュー530の回転によって上下に動けるように結合されている。ここで、メインバネ600は、リードスクリュー530及び摺動ブロック540よりも直径が大きいため、メインバネ600の動きが、リードスクリュー530や摺動ブロック540の動きに干渉することはない。
【0053】
メインプッシュバー620には、長手方向にスロットが形成され、このスロット内に補助プッシュバー630が、長手方向に摺動自在に装着されている。補助プッシュバー630の上端部には、放射状の内側方向へと突出した突出片631が形成され、この突出片631は、摺動ブロック540の下端部541と接触できるように構成される。補助プッシュバー630の下端部は、コアシャフト係止部700と接触するように構成される。したがって、この構成によると、摺動ブロック540が下方へと前進して、摺動ブロックの下端部541が補助プッシュバー630を下方へと押すと、補助プッシュバー630が、コアシャフト係止部700を押すことにより、コアシャフト係止部を所定の距離だけ更に前進させることができる。
【0054】
駆動部500に電源を印加し、動作を制御するための電力線及び制御線が上部モジュールM2に外部から接続されてもよく、そのための配線接続部(図示せず)を上部モジュールM2に形成してもよい。また、図示していないが、ニードルチャネルバンドル1000の回転駆動のための電力線及び/又は制御線が、下部モジュールM1に外部から接続されてもよく、そのために、配線接続部(図示せず)が下部モジュールM1に形成されてもよい。
【0055】
図9は、一実施形態に係るニードルチャネルバンドル1000を説明するための図である。図面を参照すると、ニードルチャネルバンドル1000は、中央シャフト100、中央シャフト100の外周面に上下方向に摺動自在にそれぞれ結合されている複数のニードルチャネル200、中央シャフト100の内側に摺動自在に装着される昇降部150、及び、昇降部を弾性的に支持するバネ170から構成される。
【0056】
図10は、一実施形態に係るニードルチャネル200を示す図であり、図10(a)はニードルチャネル200の斜視図であって、図10(b)は断面図である。
【0057】
図面を参照すると、ニードルチャネル200は、管状の内部空間を有する本体部210、この本体部210の下部に結合された針220、及び、前記管状の内部空間に摺動自在に配置されるコアシャフト230から構成されている。
【0058】
本体部210は、一側面に沿って上下の長手方向に形成された垂直突出部211を含む。垂直突出部211は、中央シャフト100に向かっている方向、即ち、放射状の内側方向へと突出し、垂直突出部211の突出部の形状は、中央シャフト100の摺動レール111の凹溝部の形状と噛み合うように構成される。したがって、本体部210の垂直突出部211が中央シャフト100の摺動レール111に挟み込まれて噛み合うことで、ニードルチャネル200が摺動レール111に沿って上下方向に摺動することができる。
【0059】
本体部210は、本体部210の直径よりも小さい径の小直径部212を含む。本体部210と小直径部212とは一体に形成されてもよく、本体部210と小直径部212との間に段差部210aが形成される。
【0060】
針220は、本体部210の下部に挿入結合しており、針220の内部空間にコアシャフト230が摺動自在に配置されている。針220の下端部の側面には、毛包を容易にねじ込むことができるように、外側に開放されたスロット221が形成されている。針220の内部空間にコアシャフト230が挿入配置されるが、コアシャフト230の下端部がスロット221の最上端よりも下方でありながら、針220の下側には突出しないように配置される。スロット221は、ニードルチャネルバンドル1000の放射状の外側に向かう方向に形成され、施術者の毛包装着の作業に便宜性を提供する。
【0061】
本体部210には、放射状の外側に向かって長手方向に開放されたスロット215が形成されている。スロット215の内側には、スロット215に沿って上下方向に摺動自在なレバー240が配置されているが、レバー240の一側面はスロット215よりも外側に(即ち、放射状の外側方向に)突出している。コアシャフト230の上端がレバー240に結合し、したがって、レバー240とコアシャフト230とが一体に、上下方向に摺動(スライディング移動)することができる。
【0062】
スロット215の領域内でコアシャフト230の周囲にバネ241が取り付けられている。バネ241の上端部はレバー240の下部面によって支持され、バネ241の下端部はスロット215の底面によって支持される。したがって、レバー240に力が加わり、レバー240及びコアシャフト230が下方に移動した後、レバー240に加えられる力が取り除かれれば、バネ241の弾性力によりコアシャフト230が上昇し、元の位置に戻ることができる。
【0063】
図11は、一実施形態に係る中央シャフト100の断面斜視図である。中央シャフト100は、円筒状又はシリンダ状であってもよい。中央シャフト100は、外周面を取り囲む外壁110を含み、外壁110には、中央シャフトの中心軸を基準にして放射状に、かつ等間隔に、複数の摺動レール111が形成されている。一実施形態において、摺動レール111は、上下の長手方向に長く延びるように陰刻されている。
【0064】
中央シャフト100の上端部には、中央シャフト100の直径よりも大きい径のフランジ120が形成されている。フランジ120は、中央シャフト100と一体に形成されてもよく、それぞれ別に製造された後に、フランジ120が中央シャフト100の上端部に取り付けられてもよい。このように直径の大きいフランジ120が中央シャフト100の上端に位置しているため、ニードルチャネル200が、これ以上、上方に移動することができず、したがって、フランジ120は、ニードルチャネル200の上方向への摺動移動の範囲を制限するストッパとしての役割を果たすことができる。
【0065】
中央シャフト100の外壁110の内側には、内側大直径部101と、その下方に一体に延長形成された内側小直径部105を備えている。内側大直径部101は、外壁110の内側面と一体に形成されてもよい。内側大直径部101は、上部が開放されたモータ収容凹部101a、及び、モータ収容凹部101aの下方にさらに形成されたカップリング収容凹部101bを備え、モータ収容凹部101aは、第1駆動モータ300の少なくとも一部を収容し、カップリング収容凹部101bは、第1駆動モータ300のカップリング310を収容し、カップリング310とカップリング収容凹部101bとが締結されることで第1駆動モータ300により中央シャフト100が回転することになる。
【0066】
内側小直径部105は、内側大直径部101の下方に延長形成されている。内側小直径部105の上部の周辺は、内側大直径部101と同じ外径を有するスカート部106により取り囲まれ、したがって、内側小直径部105とスカート部106との間に一定間隔の離隔空間107が形成される。
【0067】
図12は、一実施形態に係るニードルチャネルバンドルの断面図であって、中央シャフト100とニードルチャネル200の結合関係を概略的に示した。図9図12を参照すると、各ニードルチャネル200の垂直突出部211が摺動レール111に嵌め込まれ、ニードルチャネル200が中央シャフト100に摺動自在に装着され、このように装着された状態で中央シャフト100の下方にガイドリング180が装着される。ガイドリング180は、各ニードルチャネル200の小直径部212が貫通することのできる貫通口181を備え、各ニードルチャネル200の安定的な装着及び摺動運動をガイドする役割を果たす。
【0068】
昇降部150は円筒状の部材であり、中央シャフト100の内側小直径部105に嵌合して摺動可能に構成されている。昇降部150は、放射状の外側方向に突出した突起部151を含む。突起部151の個数は、中央シャフト100に装着されるニードルチャネル200の個数と同一であり、各突起部151は、ニードルチャネル200の段差部210aと接して干渉できる程度に突出されている。
【0069】
昇降部150とガイドリング180との間にバネ170が配置される。バネ170の上端部は昇降部150を支持し、下端部はガイドリング180の上部面に支持され、したがって、バネ170が昇降部150を上昇させるよう常に力を加えている。
【0070】
このような構成で、例えば、1つのニードルチャネル200がメインプッシュバー620により下方へ下降すると、このニードルチャネル200の段差部210aが昇降部150の突起部151を押すことで、昇降部150も共に下降する。メインプッシュバー620が上昇すれば、ニードルチャネル200を下方へ押す力が取り除かれるため、バネ170の弾性力によりバネ170が昇降部150とニードルチャネル200を押し上げ、ニードルチャネル200が上昇して元の位置に戻ることができる。
【0071】
代替案としての一実施形態において、昇降部150とバネ170の代わりに、それぞれのニードルチャネル200ごとに、それぞれにバネ(図示せず)を備えてもよい。例えば、それぞれのニードルチャネル200ごとに、小直径部212を取り囲むバネを備えてもよく、このバネの上端部は段差部210aによって支持され、下端部はガイドリング180によって支持される。したがって、任意のニードルチャネル200が下降した後に、外力が取り除かれると、このバネの弾性力によってニードルチャネルが再び上昇して元の位置に戻ることができる。
【0072】
図13は、一実施形態に係る植毛機の一部構成要素の分解斜視図である。
【0073】
図13を参照すれば、ブラケット50は、内部空間のある概略的なシリンダの形状を有するが、ブラケット50の上部は、上部ケース30の下端部に結合固定され、上部モジュールM2の一部を構成している。ブラケット50の一側面には、メインプッシュバー620をガイドするようにガイド溝ないしガイドスリット51を形成する。
【0074】
ブラケット50の両側面には、下部モジュールM1との結合のためのモジュール結合部60が1つずつ設置されている。下部モジュールM1と上部モジュールM2とを結合するために、周知の任意の締結方式が用いられうる。
【0075】
ブラケット50の下部には、ボールプランジャ支持部400が結合されてもよい。ボールプランジャ支持部400は、所定の厚さを有するリング状であってもよく、中間の貫通領域を通して第1駆動モータ300が貫通して配置されてもよい。メインプッシュバー620の動きを妨害しないように、ボールプランジャ支持部400の一側面が切断されてもよい。また、メインプッシュバー620の長手方向の動きをガイドするガイドローラ410をさらに備えてもよい。
【0076】
ボールプランジャ支持部400は、下方向に向かって突出されたボール451を備える少なくとも1つのボールプランジャ(ball plunger)450を含む。ボールプランジャ450は、下方向に向かって一部が露出されたボール451と、ボールを弾性的に支持し、ボールプランジャ450の内部空間に位置するバネ(図示せず)とで構成されうる。図面には2つのボールプランジャ450を示しているが、ボールプランジャ450の個数や設置位置は制限されない。
【0077】
一方、図9及び図11に示すように、一実施形態で中央シャフト100の上面、即ち、フランジ120の上面は、凹凸形状であってもよい。即ち、フランジ120の上面に凹溝部と突出部が交互に形成されているのであるが、摺動レール111の垂直上方向の位置ごとに穴121が形成されている。ボールプランジャ450のボール451がフランジ120の凹凸形状に接触し、ボール451が弾性的に凹凸表面を加圧するようにボールプランジャ支持部400が配置される。したがって、ボール451が、フランジ120の穴に据え付けられようとする側へと作用するため、ニードルチャネルバンドル1000が所定の角度だけ一定に回転することを保証できる。
【0078】
図14は、一実施形態によりニードルチャネルを前進させる構成を説明する図である。図面を参照すると、メインバネ600の下方の端部にリング(ring)形状のプッシュブロック610が結合され、プッシュブロック610に、長手方向にメインプッシュバー620が装着される。メインプッシュバー620は、所定の長さのバー(bar)状であるが、長手方向に沿ってスロット621が形成されており、このスロット621に補助プッシュバー630が装着される。補助プッシュバー630は、スロット621内にて自在に摺動することができ、したがって、メインプッシュバー620の動きに関係なく独立に動くことができる。
【0079】
したがって、この構成によると、メインバネ600が弾性力によって下方へ前進すれば、それと一体に締結されているプッシュブロック610とメインプッシュバー620も下方へ前進することになり、メインプッシュバー620の先端部623がニードルチャネル200の上部を押し動かして、該当のニードルチャネル200を下方へと前進させる。
【0080】
リードスクリュー530の回転によって摺動ブロック540が下降すると、摺動ブロック540が下降し、摺動ブロックの下端部541が補助プッシュバー630の突出片631を押し動かすと、補助プッシュバー630が下降してコアシャフト係止部700を押し動かし、コアシャフト係止部を所定の距離だけ更に前進させることができる。
【0081】
ここで、第2駆動モータ510により回転するリードスクリュー530には、摺動ブロック540が装着される。メインバネ600の直径が摺動ブロック540よりも大きく、プッシュブロック610もリング状であるため、メインバネ600やプッシュブロック610の動きと摺動ブロック540の動きとの間に干渉は発生しない。
【0082】
一実施形態において、プッシュブロック610は、係止部650をさらに含む。図7に示すように、係止部650とプッシュブロック610との間にバネ615が介在しており、プッシュブロック610は、放射状の方向に所定の長さ内で移動することができる。摺動ブロック540は一側面に段差部(図15に示す542)を備え、この段差部542が係止部650を係止してプッシュブロック610の動きを制限することができる。また、本発明に係る植毛機は、メインバネ600の放射状の外側方向に、所定の長さの係止解除用ロッド35を備えてもよい。係止解除用ロッド35の一端部は、植毛機の上部モジュールM2の任意の部材に結合して固定され、他端部は、係止部650と接触するように構成されている。
【0083】
図15は、一実施形態によりプッシュブロックの係止及び係止解除の動作を説明する図である。
【0084】
図15(a)は、摺動ブロック540がプッシュブロック510を係止している状態を示す。この実施形態において、係止部650は、放射状の内側に向かって係止用突起650bを備え、この突起650bが摺動ブロック540の段差部542に係止されている。したがって、摺動ブロック540が後退すれば(即ち、図15(a)において右側方向に移動すれば)、プッシュブロック610も後退してメインバネ600の長さが短くなって圧縮される。
【0085】
その後、図15(b)に示すように、摺動ブロック540がさらに後退すると、係止部650の放射状の外側に形成されている傾斜面650aが係止解除用ロッド35の先端部の傾斜面35aと接することになり、係止部650がロード35の傾斜面35aに沿って放射状の外側方向に(即ち、図15(b)において上側方向に)移動することになり、摺動ブロック540の段差部542と突起650bの係止が解除される。したがって、この係止が解除されると同時に、プッシュブロック610がメインバネ600の強い弾性力によって前方に(即ち、図15(b)において左側方向)迅速に前進することができる。
【0086】
以下では、図16図18を参照してコアシャフト係止部700及びその動作について説明することにする。
【0087】
図16は、一実施形態に係るコアシャフト係止部を説明するための図である。図16を参照すると、コアシャフト係止部700は、図5図7に示すように下部ケース10の一側面に設置されており、ニードルチャネル200がメインバネ600によって下方にプッシュされた後、コアシャフト230を下方に更に前進させることができ、また、ニードルチャネル200が再び上昇する間に、ニードルチャネル200内のコアシャフト230の動きを一時的に停止させる機能を果たす。
【0088】
一実施形態において、コアシャフト係止部700は、ケース701、ケース内部に配置されるラッチ710、及び、係止部本体720などの構成要素を含む。係止部本体720は、長手方向の上部に、幅の狭い先端部721が一体に形成されており、本体720の中央にスロット723が形成されている。また、係止部本体720は、内部に、ラッチ710が収容できるラッチ収容穴725を有し、この空間に、バネといった弾性部材730が介在している。したがって、ラッチ710は、レバー240の上下の動きを干渉する距離内に配置され、植毛機の放射状の外側方向に弾性的に後退することができる。
【0089】
植毛機の下部ケース10には、係止部本体720を支持するために平坦な表面の支持部750が形成され、支持部750の中央に突出ガイド760が形成されている。突出ガイド760は、係止部本体720のスロット723内に挿入することができるため、係止部本体720の長手方向の摺動動きを制限すると共にガイドすることができる。また、スロット723と突出ガイド760との間に、バネ740といった弾性部材が介在されているため、係止部本体720は外力がない場合、後退する方向に移動しようとする弾性を有する。
【0090】
一実施において、支持部750の表面にはラッチ710が貫通できる貫通口753が形成され、貫通口753の周囲に第1据付凹部751及び第2据付凹部752が形成されている。第1及び第2据付凹部751,752は、ラッチ710に、放射状の内側方向に突出した側面突起715を収容する領域であり、係止部本体720の動きに応じてラッチ710の側面突起715が、第1据付凹部751に据え付けられたり、又は、第2据付凹部752に据え付けられたりすることで、係止部本体720の動きが一時固定され得る。
【0091】
即ち、図17(a)に示すように、係止部本体720が「B」方向に後退した状態でラッチ710が第1据付凹部751に係止される。補助プッシュバー630によって押し動かされて「A」方向へと前進すれば、図17(b)に示すように、ラッチ710が第2据付凹部752に係止されることになるが、この状態でラッチ710が第2据付凹部752に係止されているため、補助プッシュバー630のプッシュ動作が取り除かれても係止部720が「B」方向に後退することなく一時固定される。
【0092】
図18は、一実施形態に係るニードルチャネルとコアシャフトの係止及び係止解除の動作を説明する図である。ラッチ710に力が加えられないとき、ラッチ710は、係止部本体720から(ニードルチャネルバンドル1000の放射状の内側方向に)突出しており、レバー240が上下に摺動運動する際にレバー240と接触する。ここで、ラッチ710の凹部711がレバー240を係止して上方向に移動しないように制限することができる。即ち、レバー240が、ラッチ710の上方から下方に下降する際には、レバー240がラッチ710を係止部本体720の側に押しながら下降するが、レバー240がラッチ710の下方から上方に上昇するときは、レバー240の上部面がラッチ710の凹部711に係止し、これ以上は上昇できなくなる。
【0093】
一方、図10に示すように、ニードルチャネル200の本体部210は、スロット215の両側に隣接して放射状の外側方向に突出形成された突起部217を含む。コアシャフト係止部700のラッチ710はレバー240のみならず、突起部217の上下の動きも干渉するようにラッチ710の左右の幅が設定されている。即ち、図16図18に示すように、突起部217と接触するラッチ710の接触面が傾斜面713から形成される。したがって、ニードルチャネル200がラッチ710の下方から上方に上昇したり、上方から下方に下降したりするという、いずれの場合であっても、突起部217がラッチ710を係止部本体720の側に押しながら上昇/下降することができる。
【0094】
以下、図19を参照して一実施形態に係るニードルチャネルの前進及び後退動作について説明することにする。
【0095】
図19(a)は、ニードルチャネルバンドル1000に取り付けられたニードルチャネル200が下降する前の状態を示す。この状態で、ニードルチャネル200のレバー240と突起部217は、全てコアシャフト係止部700のラッチ710よりも上側に位置しており、図15(a)に示すように、摺動ブロック540の段差部542がプッシュブロック610を係止して後に引き戻すため、メインバネ600及びこれに結合されているプッシュブロック610とメインプッシュバー620が後退状態では一時停止する。
【0096】
この状態で摺動ブロック540が僅かに後退すれば、図15(b)に示すように、摺動ブロック540の段差部542による係止が解除され、メインバネ600の弾性力によってメインプッシュバー620がニードルチャネル200を下方にプッシュすれば、ニードルチャネル200が下降して前進する(図19(b))。ニードルチャネル200が下降する際、突起部217とレバー240がラッチ710の傾斜した表面と接触するため、ラッチ710をラッチ収容穴725の側に押しながらニードルチャネル200及びレバー240が下降する。このようにニードルチャネル200がメインバネ600によって下降して前進すれば、図3(a)に示すように、針220が頭皮を貫通して第1の所定距離d1だけ挿入される。ニードルチャネル200が下降した状態で、レバー240の上部面がラッチ710の凹部711に係止され、上昇できずにその位置が固定される。
【0097】
その後、図19(c)に示すように、摺動ブロック540が補助プッシュバー630を押して補助プッシュバー630が下降する。そのため、補助プッシュバー630がコアシャフト係止部700の係止部本体720を押し下げることにより、図3(b)に示すように、コアシャフト230の第2距離だけ更に前進し、針220内の毛包5が頭皮内に入り込んで植え付けられる。係止部本体720が第2距離だけ前進した状態で、係止部本体720は第2据付凹部752に据え付けられて動きが固定される。
【0098】
次に、図19(d)を参照すると、第2駆動モータ510によって摺動ブロック540が上昇する。摺動ブロック540が上昇して後退するとき、プッシュブロック610の係止部650の係止用突起650bが摺動ブロックの段差部542に係止されるため、摺動ブロック540と共にプッシュブロック610及びメインプッシュバー620も後退し、メインバネ600はその長さが短くなって圧縮される。
【0099】
また、これと同時に、メインプッシュバー620がニードルチャネル200を前方に加圧する力がなくなったため、下降したニードルチャネル200は、昇降部150によって押されて上昇する。その結果、図19(d)において、メインプッシュバー620及びニードルチャネル200が共に上昇することになる。
【0100】
ニードルチャネル200が上昇することにより、ニードルチャネル200の下段部に結合された針220も上昇して後退する。すなわち、図3(c)に図示したように、針220の後退動作が開始される。しかし、この後退動作の初期状態では、図19(d)に示したように、ラッチ710によりコアシャフト230が係止され、ラッチ710が第2据付凹部752に係止されているため、コアシャフト230は上昇できない。
【0101】
その後、ニードルチャネル200が引き続き上昇して第3の所定距離だけ上昇したとき、図19(e)に示すように、ニードルチャネル200の突起部217がラッチ710と接触しながらラッチ710を係止部本体720の側に押し動かすことになる。したがって、ラッチ710が係止部本体720の側に後退することによって、レバー240に対するラッチ710の係止が解除されると同時に又は順次に、ラッチ710に対する第2据付凹部752の係止も解除されることによって、レバー240とコアシャフト230がバネ241の弾性力により上昇することで、図3(d)に示すように、針220とコアシャフト230が共に後退することになる。また、このとき係止部本体720もバネ740の弾性力により上昇して元の位置に戻る。
【0102】
このように、ニードルチャネル200が上昇してコアシャフト230も上昇し、図19(a)に示すような初期状態に戻り、その後、第1駆動モータ300によってニードルチャネルバンドル1000が1つのニードルチャネルだけ回転すれば、その後は図19(a)~図19(e)の動作を繰り返すことができる。
【0103】
上述したように本発明の属する分野で通常の知識を有する者であれば、上述した明細書の記載から様々な修正及び変形が可能である。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態に限定されて決定されるのではなく、後述する特許請求の範囲のみならず、この特許請求の範囲と均等なものなどによって決定されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19