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特許7275226情報処理装置及びその制御方法並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】情報処理装置及びその制御方法並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04812 20220101AFI20230510BHJP
【FI】
G06F3/04812
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021166357
(22)【出願日】2021-10-08
(65)【公開番号】P2023056880
(43)【公開日】2023-04-20
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】川北 幸司
(72)【発明者】
【氏名】藤井 一男
【審査官】石川 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-079450(JP,A)
【文献】特開2014-142937(JP,A)
【文献】特開2002-032171(JP,A)
【文献】特開2018-073311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048-3/04895
G06F 3/14
G09G 5/00-5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチディスプレイ機能を有する情報処理装置であって、
プロセッサが、
カメラによって撮像されたユーザの映像を用いて前記ユーザの視線を検出し、
検出した前記ユーザの視線及び複数のディスプレイの配置情報に基づいて、複数の前記ディスプレイの中から前記ユーザの視線の先にあるディスプレイを注目ディスプレイとして特定し、
前記カメラとは異なる入力デバイスからの入力信号に基づいてマウスカーソルを移動させ、
前記注目ディスプレイにマウスカーソルが表示されている場合に、前記注目ディスプレイから他のディスプレイへ前記マウスカーソルが移動することを防ぐための仮想的な障壁を生成するとともに、前記注目ディスプレイが切り替わった場合に、前記障壁を解除する情報処理装置。
【請求項2】
マルチディスプレイ機能を有する情報処理装置であって、
カメラによって撮像されたユーザの映像を用いて前記ユーザの視線を検出する視線検出部と、
複数のディスプレイの配置情報及び前記視線検出部の検出結果に基づいて、複数の前記ディスプレイの中から前記ユーザの視線の先にあるディスプレイを注目ディスプレイとして特定するディスプレイ特定部と、
前記カメラとは異なる入力デバイスからの入力信号に基づいてマウスカーソルを移動させるマウスカーソル制御部と、
前記注目ディスプレイに前記マウスカーソルが表示されている場合に、前記注目ディスプレイから他のディスプレイへマウスカーソルが移動することを防ぐための仮想的な障壁を生成する障壁生成部と
前記注目ディスプレイが切り替わった場合に、前記障壁を解除する障壁解除部と
を具備する情報処理装置。
【請求項3】
前記障壁生成部は、前記注目ディスプレイにおいて、隣接する他のディスプレイとの境界付近に前記障壁を生成する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記障壁にマウスカーソルが接触した場合に、前記障壁を可視化して表示する請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記注目ディスプレイにマウスカーソルが表示されている状態が所定期間継続した場合に、前記障壁生成部は前記障壁を生成する請求項2から4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記所定期間は、ユーザによって設定可能とされている請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記障壁解除部は、前記障壁に対して前記マウスカーソルが所定の時間内に所定の回数接触した場合に、前記障壁を解除する請求項2から6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記障壁解除部は、前記障壁に対して前記マウスカーソルが所定の期間継続して接触した場合に、前記障壁を解除する請求項2から7のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
カメラと、
複数のディスプレイと、
マウスカーソルを移動させるための前記カメラとは異なる入力デバイスと、
請求項1からのいずれかに記載の情報処理装置と
を備えるコンピュータシステム。
【請求項10】
コンピュータを請求項1からのいずれかに記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
マルチディスプレイ機能を有する情報処理装置の制御方法であって、
カメラによって撮像されたユーザの映像を用いて前記ユーザの視線を検出する工程と、
複数のディスプレイの配置情報及び前記ユーザの視線に基づいて、複数の前記ディスプレイの中から前記ユーザの視線の先にあるディスプレイを注目ディスプレイとして特定する工程と、
前記カメラとは異なる入力デバイスからの入力信号に基づいてマウスカーソルを移動させる工程と、
前記注目ディスプレイにマウスカーソルが表示されている場合に、前記注目ディスプレイから他のディスプレイへマウスカーソルが移動することを防ぐための仮想的な障壁を生成する工程と
前記注目ディスプレイが切り替わった場合に、前記障壁を解除する工程と
を有する情報処理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチディスプレイ機能を有する情報処理装置及びその制御方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置には、複数のディスプレイに対して表示を行うマルチディスプレイ機能が搭載されており、近年その使用頻度は増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-89891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マルチディスプレイ環境で作業を行う場合、マウスカーソルは複数のディスプレイ間を移動することから、マウスカーソルを見失うことがしばしば発生する。このような場合、マウスカーソルを見つけるのに時間を要し、作業効率が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、マウスカーソルを見失う確率を低下させることのできる情報処理装置及びその制御方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、マルチディスプレイ機能を有する情報処理装置であって、プロセッサが、カメラによって撮像されたユーザの映像を用いて前記ユーザの視線を検出し、検出した前記ユーザの視線及び複数のディスプレイの配置情報に基づいて、複数の前記ディスプレイの中から前記ユーザの視線の先にあるディスプレイを注目ディスプレイとして特定し、前記カメラとは異なる入力デバイスからの入力信号に基づいてマウスカーソルを移動させ、前記注目ディスプレイにマウスカーソルが表示されている場合に、前記注目ディスプレイから他のディスプレイへ前記マウスカーソルが移動することを防ぐための仮想的な障壁を生成するとともに、前記注目ディスプレイが切り替わった場合に、前記障壁を解除する情報処理装置である。
本発明の第態様は、マルチディスプレイ機能を有する情報処理装置であって、カメラによって撮像されたユーザの映像を用いて前記ユーザの視線を検出する視線検出部と、複数のディスプレイの配置情報及び前記視線検出部の検出結果に基づいて、複数の前記ディスプレイの中から前記ユーザの視線の先にあるディスプレイを注目ディスプレイとして特定するディスプレイ特定部と、前記カメラとは異なる入力デバイスからの入力信号に基づいてマウスカーソルを移動させるマウスカーソル制御部と、前記注目ディスプレイに前記マウスカーソルが表示されている場合に、前記注目ディスプレイから他のディスプレイへマウスカーソルが移動することを防ぐための仮想的な障壁を生成する障壁生成部と、前記注目ディスプレイが切り替わった場合に、前記障壁を解除する障壁解除部とを具備する情報処理装置である。
【0007】
本発明の第態様は、カメラと、複数のディスプレイと、マウスカーソルを移動させるための前記カメラとは異なる入力デバイスと、上記情報処理装置とを備えるコンピュータシステムである。
【0008】
本発明の第態様は、コンピュータを上記情報処理装置として機能させるためのプログラムである。
【0009】
本発明の第態様は、マルチディスプレイ機能を有する情報処理装置の制御方法であって、カメラによって撮像されたユーザの映像を用いて前記ユーザの視線を検出する工程と、複数のディスプレイの配置情報及び前記ユーザの視線に基づいて、複数の前記ディスプレイの中から前記ユーザの視線の先にあるディスプレイを注目ディスプレイとして特定する工程と、前記カメラとは異なる入力デバイスからの入力信号に基づいてマウスカーソルを移動させる工程と、前記注目ディスプレイにマウスカーソルが表示されている場合に、前記注目ディスプレイから他のディスプレイへマウスカーソルが移動することを防ぐための仮想的な障壁を生成する工程と、前記注目ディスプレイが切り替わった場合に、前記障壁を解除する工程とを有する情報処理装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0010】
マウスカーソルを見失う確率を低下させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るコンピュータシステムの概略構成の一例を示した図である。
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェアの概略構成の一例を示した図である。
図3】本発明の一実施形態に係る情報処理装置が有する機能の一例を示した機能ブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る仮想的な障壁について説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態に係る情報処理装置によって実行される処理の一例を示したフローチャートである。
図6】本発明の他の実施形態に係るコンピュータシステムの概略構成の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態に係る情報処理装置及びその制御方法並びにプログラムについて、図面を参照して説明する。本実施形態では、情報処理装置10の一例としてデスクトップ型PCを例に挙げて説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係るコンピュータシステム1の概略外観図である。図1に示すように、コンピュータシステム1は、情報処理装置10、複数のディスプレイ15(15a、15b)、入力デバイス16、カメラ17等を備えている。情報処理装置10は、複数のディスプレイ15に対して表示を行うマルチディスプレイ機能を有している。図1では、2台のディスプレイ15が情報処理装置10と接続されている場合を例示しているが、ディスプレイ15の台数は、これに限定されない。以下、ディスプレイ15a、15bをそれぞれ区別する必要がある場合には、ディスプレイ15a、15aと称し、区別する必要がない場合には、単にディスプレイ15と称する。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10のハードウェアの概略構成の一例を示した図である。図2に示すように、情報処理装置10は、例えば、処理回路20、通信部14、及び外部インターフェース18を備えている。
処理回路20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)11、メインメモリ12、及び記憶部13を備えている。これら各部は、バスを介して直接または間接的に接続されている。
【0015】
CPU11は、例えば、バスを介して接続された記憶部13に格納されたOS(Operating System)により情報処理装置10全体の制御を行うとともに、記憶部13に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。
【0016】
メインメモリ12は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU11の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0017】
記憶部13は、非一時的な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等が一例として挙げられ、目的に応じて複数設けられていてもよい。記憶部13は、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の情報処理装置10全体の制御を行うためのOS、BIOS(Basic Input/Output System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア、及び各種データやファイル等を格納する。また、記憶部13には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。
【0018】
通信部14は、ネットワークに接続して他の装置と通信を行い、情報の送受信を行うためのインターフェースとして機能する。例えば、通信部14は、有線又は無線により他の装置と通信を行う。無線通信として、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、専用の通信プロトコルを用いた通信等が挙げられる。有線通信の一例として、有線LAN(Local Area Network)等が挙げられる。
【0019】
外部インターフェース18は、外部機器と接続するためのインターフェースである。外部インターフェース18を介して、複数のディスプレイ15a、15b、入力デバイス16、及びカメラ17が処理回路20等に接続されている。外部インターフェース18は、例えば、接続される機器に応じてそれぞれ適切な入出力端子およびインターフェースを備えている。
【0020】
ディスプレイ15は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等で構成される表示画面を有し、情報処理装置10によって実行されたアプリケーションソフトウェアプログラムの結果等を表示するものである。
【0021】
入力デバイス16は、ユーザが情報処理装置10に対して指示を与えるためのユーザインタフェースである。入力デバイス16の一例として、マウス、タッチパッド等のポインティングデバイス、キーボード等が挙げられる。
【0022】
カメラ17は、例えば、レンズ等の撮像部とISP(Image Signal Processor)を備えており、ユーザによる入力デバイス16からの入力操作等に基づいてCPU11によって制御される。
【0023】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置10が有する機能の一例を示した機能ブロック図である。
【0024】
図3に示すように、情報処理装置10は、一例として、記憶部31、視線検出部32、ディスプレイ特定部33、マウスカーソル制御部34、表示制御部35、障壁生成部36、及び障壁解除部37を備えている。
【0025】
後述する機能の全て又は一部は、例えば、処理回路(processing circuitry)20によって実現される。例えば、以下に示す機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶部13に記憶されており、このプログラムをCPU11がメインメモリ12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。
【0026】
なお、プログラムは、記憶部13に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0027】
記憶部31には、マルチディスプレイを実現させるために必要な情報が格納されている。記憶部31には、例えば、複数のディスプレイの配置情報(以下「ディスプレイ配置情報」という。)が格納されている。図1に示すようにディスプレイ15が配置されている場合、記憶部31には、左側にディスプレイ15aが、右側にディスプレイ15bが配置されているとの情報が格納されている。また、記憶部31には、メインディスプレイ、サブディスプレイの情報等についても格納されていてもよい。また、記憶部31には、カメラ17の設置位置と、ディスプレイ15との相対的な位置関係を示す情報が格納されている。図1に示した配置の場合、カメラ17が取り付けられている場所として、ディスプレイ15aの情報が格納されている。
【0028】
視線検出部32は、カメラ17によって取得されたユーザの映像を用いてユーザの視線を検出する。例えば、視線検出部32は、カメラ17によって取得された映像に含まれる人物の目の動きをトラッキングすることで、ユーザがどの方向を見ているのかを検出する。なお、視線検出技術や視線追跡技術は、種々の公知の手法が提案されていることから、適切なものを適宜採用すればよい。
【0029】
ディスプレイ特定部33は、記憶部31に格納されているディスプレイ配置情報と視線検出部32によって検出されたユーザの視線とに基づいて、複数のディスプレイの中からユーザの視線の先にあるディスプレイを注目ディスプレイとして特定する。
【0030】
マウスカーソル制御部34は、入力デバイス16からの入力信号に基づいてマウスカーソルを移動させる。例えば、マウスカーソル制御部34は、ポインティングデバイスから入力される入力信号に基づいてマウスカーソルを移動させる。
【0031】
表示制御部35は、記憶部31に格納されているディスプレイ配置情報等を用いて、ディスプレイ15a、15bに表示を行う。表示制御部35は、CPU11の他、GUI(Graphical User Interface)によって実現されてもよい。GUIは、一般にGPU(Graphics Processing Unit)と呼ばれるコントローラチップを備え、ローカルメモリ上(図示略)に表示データを作成し、ディスプレイ15a、15bに表示データをそれぞれ出力する。表示制御部35は、例えば、ディスプレイ15a、15bがそれぞれ備える表示画面に対して個別に表示制御を行う。
【0032】
障壁生成部36は、注目ディスプレイにマウスカーソルが表示されている場合に、マウスカーソルが注目ディスプレイから他のディスプレイへ移動することを防ぐための仮想的な障壁を注目ディスプレイに生成する。
【0033】
例えば、図4に示すように、注目ディスプレイとしてディスプレイ15bが特定されており、かつ、ディスプレイ15bにマウスカーソルが表示されている場合には、マウスカーソルが、注目ディスプレイ(ディスプレイ15b)から他のディスプレイ(ディスプレイ15a)へ移動することを防ぐための仮想的な障壁を設ける。この障壁は、例えば、注目ディスプレイ上であって、注目ディスプレイと注目ディスプレイに隣接する他のディスプレイとの境界付近に生成される。例えば、図4では、ディスプレイ15bとディスプレイ15aとの境界付近に障壁40が生成されている。なお、障壁40の生成場所についてはこれに限定されない。例えば、注目ディスプレイに隣接する他のディスプレイ上に障壁40が仮想的に設けられてもよい。この場合、障壁40は、注目ディスプレイに隣接するディスプレイにおいて、注目ディスプレイとの境界付近に生成される。また、障壁40は、非可視化状態で生成される。
【0034】
障壁40が生成されている表示画面上における座標情報は、表示制御部35に出力される。表示制御部35は、マウスカーソルが障壁40に接触した場合に、障壁40を可視化状態で表示する。これにより、ユーザに障壁40の存在を認識させることができる。
【0035】
また、障壁生成部36は、注目ディスプレイにマウスカーソルが表示されている状態が所定期間継続した場合に、障壁40を生成することとしてもよい。これにより、障壁40の生成及び解除が頻繁に繰り返されることを回避することができる。
また、上記所定期間は、ユーザによって設定可能とされていてもよいし、過去の経験データ等に基づいて自動的に調整されてもよい。
【0036】
障壁解除部37は、ユーザが視線を他のディスプレイに移すことにより、注目ディスプレイが切り替わった場合に、障壁40を解除する。
【0037】
次に、本実施形態に係る情報処理装置10によって実行される制御方法について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る情報処理装置10によって実行される処理の一例を示したフローチャートである。以下の一連の処理は、主に処理回路(processing circuitry)20によって実行され、より具体的には、記憶部13に記憶されているプログラムをCPU11がメインメモリ12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより実行される。
また、以下の処理は、マルチディスプレイ環境で使用されている場合に実行される。
【0038】
まず、カメラ17によって取得された映像に基づきユーザの視線が検出され(SA1)、検出されたユーザの視線とディスプレイ配置情報とに基づいて、注目ディスプレイが特定される(SA2)。次に、注目ディスプレイにマウスカーソルが表示されているか否かを判定する(SA3)。この結果、注目ディスプレイにマウスカーソルが表示されている場合には(SA3:YES)、注目ディスプレイに障壁が生成されているか否かを判定する(SA4)。この結果、障壁が生成されていない場合には(SA4:NO)、注目ディスプレイにマウスカーソルが表示されている状態が所定期間維持されたか否かを判定する(SA5)。この結果、上記状態が所定期間維持されていない場合には(SA5:NO)、ステップSA1に戻る。一方、ステップSA5において、注目ディスプレイにマウスカーソルが表示されている状態が所定期間維持されている場合には(SA5:YES)、障壁40を生成し(SA6)、ステップSA1に戻る。また、ステップSA4において、障壁40が生成されている場合には(SA4:YES)、障壁40を維持し(SA7)、ステップSA1に戻る。
【0039】
また、ステップSA3において、注目ディスプレイにマウスカーソルが表示されていない場合には、ユーザが視線を移動させることによって、注目ディスプレイの切り替えが行われたと推定できることから、障壁40を解除し(SA8)、ステップSA1に戻る。
【0040】
以上説明してきたように、本実施形態に係るコンピュータシステム1、情報処理装置10及びその制御方法、並びにプログラムによれば、以下の作用効果を奏する。
【0041】
ユーザの視線の先にあるディスプレイ15、換言すると、ユーザが注目しているディスプレイ15を注目ディスプレイとして特定し、注目ディスプレイにマウスカーソルが表示されている場合には、そのマウスカーソルが注目ディスプレイとは異なる他のディスプレイへ移動することを防ぐための仮想的な障壁40を生成する。これにより、ユーザが注目しているディスプレイから視線を移さない限りは、マウスカーソルはその注目ディスプレイに表示されていることとなる。したがって、マウスカーソルを見失う確率が低下し、作業効率の向上を期待することができる。
【0042】
また、障壁生成部36は、注目ディスプレイに生成された仮想的な障壁40にマウスカーソルが接触した場合には、障壁40を可視化して表示するので、ユーザに障壁40の存在を認識させることが可能となる。
【0043】
また、注目ディスプレイが切り替わった場合に、障壁40を解除する障壁解除部37を備えるので、ユーザが視線を他のディスプレイに移した場合に、自動的に障壁40を解除することが可能となる。これにより、ユーザの意思に沿ったスムーズなマウスカーソルの移動を実現することが可能となる。
【0044】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0045】
また、上記実施形態で説明した制御フローも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0046】
例えば、上述した実施形態では、ユーザの視線が他のディスプレイに移ることにより、注目ディスプレイが変更された場合には、自動的に障壁40を解除していたが、これに加えて、以下の条件を満たした場合に、障壁40を解除することとしてもよい。
【0047】
例えば、障壁解除部37は、障壁40に対してマウスカーソルが所定の時間内に所定の回数接触した場合に、障壁40を解除することとしてもよい。また、障壁解除部37は、マウスカーソルが障壁40に所定の期間継続して接触した場合に、障壁40を解除することとしてもよい。
【0048】
例えば、視線検出部32の精度が十分でない等の理由によって、ユーザが注目ディスプレイから他のディスプレイへ視線を移しているにもかかわらず、その視線の移動を正確に検出できないような場合、換言すると、視線検出部32による視線の誤検出が生じている場合、障壁40を自動的に解除することができず、マウスカーソルの動きが阻害されるおそれがある。このような場合でも、ユーザがポインティングデバイスを操作して、上述したようなマウスカーソルの動きをさせることによって、強制的に障壁40を解除することが可能となる。これにより、視線検出部32の誤検知等が発生している場合でも、障壁40を意図的に解除させることができ、マウスカーソルの移動が阻害されることを回避することができる。
【0049】
また、上記実施形態では、情報処理装置10としてデスクトップ型PCを例示して説明したが、この例に限られない。例えば、情報処理装置10は、ノートPC、タブレット端末、ハイブリッド型PC等であってもよい。また、この場合、例えば、図6に示すように、情報処理装置10がディスプレイ15a、入力デバイス16、カメラ17を搭載していてもよい。換言すると、図2において外部機器として接続されていた機器の一部が情報処理装置10に搭載されていてもよい。
【0050】
このように、複数のディスプレイ15、カメラ17、及び入力デバイス16については、情報処理装置10が備える処理回路20(図2参照)と情報の授受が可能な構成とされていればよく、その搭載場所や接続態様については特に限定されない。
【0051】
また、情報処理装置10に、ユーザの視線によってマウスカーソルの動きを制御するような機能(例えば、マルチディスプレイ環境で、ユーザが見ているディスプレイ(注目ディスプレイ)に自動的にマウスカーソルを移動させる機能)が搭載されている場合には、そのような機能と本実施形態に係る障壁40の生成及び解除を組み合わせることで、作業効率のさらなる向上が期待できる。
【符号の説明】
【0052】
1 :コンピュータシステム
10 :情報処理装置
11 :CPU
12 :メインメモリ
13 :記憶部
14 :通信部
15 :ディスプレイ
15a :ディスプレイ
15b :ディスプレイ
16 :入力デバイス
17 :カメラ
18 :外部インターフェース
20 :処理回路
31 :記憶部
32 :視線検出部
33 :ディスプレイ特定部
34 :マウスカーソル制御部
35 :表示制御部
36 :障壁生成部
37 :障壁解除部
40 :障壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6