(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】がん処置のためのカドヘリン-17特異的抗体及び細胞傷害性細胞
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20230510BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20230510BHJP
A61K 31/537 20060101ALI20230510BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20230510BHJP
A61K 33/243 20190101ALI20230510BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230510BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20230510BHJP
A61K 38/12 20060101ALI20230510BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230510BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230510BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230510BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230510BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230510BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230510BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230510BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230510BHJP
C12N 1/15 20060101ALN20230510BHJP
C12N 1/19 20060101ALN20230510BHJP
C12N 1/21 20060101ALN20230510BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20230510BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20230510BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20230510BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20230510BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20230510BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
A61K31/4745
A61K31/537
A61K31/7068
A61K33/243
A61K35/17
A61K38/07
A61K38/12
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K45/00
A61K47/68
A61P35/00
A61P43/00 121
C07K16/46
C07K19/00
C12N15/13
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/0783
C12N5/10
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12P21/08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021179905
(22)【出願日】2021-11-04
(62)【分割の表示】P 2018554645の分割
【原出願日】2017-01-07
【審査請求日】2021-12-06
(32)【優先日】2016-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518242019
【氏名又は名称】アーベル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ARBELE LIMITED
【住所又は居所原語表記】#522, Biotech Center 2, 11 Science Park West Ave., Shatin, N.T. Hong Kong (CN)
(73)【特許権者】
【識別番号】518242020
【氏名又は名称】ストーントン, ドナルド イー.
【氏名又は名称原語表記】STAUNTON, Donald E.
【住所又は居所原語表記】6502 113th Ave NE, Kirkland, Washington 98033 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ストーントン, ドナルド イー.
(72)【発明者】
【氏名】ルク, ジョン ムーンチン
(72)【発明者】
【氏名】リー, チジエ
【審査官】中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-502955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00- 19/00
C12N 15/00- 15/90
C12N 1/00- 7/08
A61K 39/395
A61K 47/68
A61K 31/4745
A61K 38/07
A61K 31/537
A61K 38/12
A61K 45/00
A61P 35/00
A61P 43/00
A61K 33/243
A61K 31/7068
A61K 35/17
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号6で示されるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号5で示されるアミノ酸配列を有するか、
軽鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号8で示されるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号7で示されるアミノ酸配列を有するか、
軽鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号10で示されるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号9で示されるアミノ酸配列を有するか、
軽鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号12で示されるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号11で示されるアミノ酸配列を有するか、
軽鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号14で示されるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号13で示されるアミノ酸配列を有するか、又は
軽鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号16で示されるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号15で示されるアミノ酸配列を有する、
カドヘリン-17に対する特異性を有する抗体。
【請求項2】
前記抗体が、ヒト抗体である、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
コンジュゲートされた細胞傷害性部分をさらに含む、請求項1に記載の抗体であって、
前記コンジュゲートされた細胞傷害性部分が、イリノテカン、オーリスタチン、PBD、マイタンシン、アマニチン、スプライソソーム阻害剤、化学療法剤、又はそれらの組み合わせを含む、抗体。
【請求項4】
前記抗体が二重特異性モノクローナル抗体である、請求項1に記載の抗体。
【請求項5】
細胞傷害性T又はNK細胞由来の細胞受容体に対する特異性を有する、請求項4に記載の抗体であって、
前記細胞受容体が、4-1BB、OX40、CD27、CD40、TIM-1、CD28、HVEM、GITR、ICOS、IL12受容体、IL14受容体、又はそれらの誘導体又はそれらの組み合わせを含む、抗体。
【請求項6】
前記抗体が、カドヘリン-17に対する特異性を有する第1の1本鎖可変断片(ScFv)及びCD3に対する特異性を有する第2の1本鎖可変断片(ScFv)を含み、前記第1のScFvが第1のVH及び第1のVLを含み、前記第2のScFvが第2のVH及び第2のVLを含む、請求項4に記載の抗体。
【請求項7】
前記第1のVHが、配列番号5、7、9、11、13、及び15から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の抗体。
【請求項8】
前記第1のVLが、配列番号6、8、10、12、14、及び16から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の抗体。
【請求項9】
前記第2のVHが、配列番号18のアミノ酸配列の対応する部分を含む、請求項6に記載の抗体。
【請求項10】
前記第2のVLが、配列番号18のアミノ酸配列の対応する部分を含む、請求項6に記載の抗体。
【請求項11】
免疫チェックポイントインヒビターに対する特異性を有する、請求項4に記載の抗体であって、
前記チェックポイントインヒビターが、PD-1、TIM-3、LAG-3、TIGIT、CTLA-4、PD-L1、BTLA、VISTA、又はそれらの組み合わせを含む、抗体。
【請求項12】
血管新生因子に対する特異性を有する、請求項4に記載の抗体であって、前記血管新生因子がVEGFを含む、抗体。
【請求項13】
前記抗体が、カドヘリン-17ドメイン6のRGD部位のインテグリンへの結合に拮抗するように構成され、前記インテグリンがアルファ2ベータ1を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項14】
カドヘリン-17に対する特異性を有するT又はNK細胞であって、前記T又はNK細胞がキメラ抗原受容体を含み、前記キメラ抗原受容体が、
軽鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号6で示されるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号5で示されるアミノ酸配列を有するか、
軽鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号8で示されるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号7で示されるアミノ酸配列を有するか、
軽鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号10で示されるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号9で示されるアミノ酸配列を有するか、
軽鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号12で示されるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号11で示されるアミノ酸配列を有するか、
軽鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号14で示されるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号13で示されるアミノ酸配列を有するか、又は
軽鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号16で示されるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列として配列番号15で示されるアミノ酸配列を有する、
T又はNK細胞。
【請求項15】
請求項1に記載の抗体及び細胞傷害性薬剤を含む、医薬組成物であって、
前記細胞傷害性薬剤が、シスプラチン、ゲムシタビン、イリノテカン、又は抗腫瘍抗体を含む、医薬組成物。
【請求項16】
がんを患う被験体を処置するための医薬組成物であって、有効量の請求項1に記載の抗体を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願への相互参照
本出願は、「がん処置のためのカドヘリン-17特異的抗体及び細胞傷害性細胞」と題された米国仮出願第62,276,855号(2016年1月9日出願)より優先権を主張し、この米国仮出願第62,276,855号は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は一般的に、がん免疫療法の技術分野に関し、より具体的には、がん処置のためのカドヘリン-17特異的抗体及び細胞傷害性細胞に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
最近の創薬及び臨床イメージングの進歩にも関わらず、がんは依然として、ヒトにおいて最も致命的な疾患の1つである。どのように腫瘍が始まり、ストレス下で生存し、遠い器官及び部位に定着/転移し、薬物に対して耐性化するのかについての我々の理解は、依然として限定されている。アメリカがん協会は、2014年の米国の新規のがんの件数は、160万件であると推定した。そして、主たるタイプのがんのほとんどに対する治癒的処置は認められていない。中国では、がんは、発生率及び死亡率が増加している上位の死因に含まれ、ウイルス性/細菌性風土病(B型肝炎ウイルス[HBV]及びヘリコバクター・ピロリ感染)、環境汚染及び食品汚染に起因すると考えられている。
【0004】
胃がん及び肝臓がんは、世界中で最も致死的な悪性腫瘍に含まれ、発生数の半分以上が中国で診断されており、世界的な年間の死者数は142万を超えているが、有効な療法はない。したがって、これらの侵攻性がん、具体的には進行期のがんに対する潜在的な薬物の開発のために、新規のバイオマーカー及び治療標的が必要とされる。これらの2つのがんの成長を排除又は抑制することができる、実績のある分子標的薬剤は、重要な臨床的価値及び顕著な市場への影響を有するだろう。これらの腫瘍は、疾患が初期段階で診断された場合は、手術によって有効に切除することができる。残念なことに、そして非常に多くの場合、これらのがんのほとんどは無症候性であり、クリニックで見つかったときにはかなり進行した段階で検出される。有効な処置をしなければ、これらの患者は、診断後まもなく死ぬ、又は救済療法の後再発する。
【0005】
CART細胞処置は、抗がん応答を命令するためのT細胞の生体外改変を含む一種の養子細胞療法である。CAR改変T細胞は、実質的に任意の腫瘍関連抗原を標的とするように操作することができる。
【0006】
ほぼ全ての初期段階のCART研究は、血液がんに焦点を当てており、小児急性リンパ芽球性白血病におけるCART19(CD19抗原を標的とするCAR-T細胞)の概念実証研究を含む。CAR-T細胞療法及び関連技術が、肝臓がん、胃がん及び肺がんなどの固形腫瘍適応症において同じ効能を反復することができるかどうかは、まだわかっていない。現在、www.clinicaltrials.govには合計72の臨床試験が登録されており、15の研究が中国で登録されている。研究の半分以上は、最も一般的なCAR-T標的であるCD19を有する血液がんに焦点を当てており、脳腫瘍に特異的なGD2及びHer2、及び数々のHer2陽性がんが続く。したがって、HCC及びGCに対するCAR-T免疫療法には大きな空白が存在する。
【0007】
今日、第三世代GPC3標的化CARを発現する、遺伝的に改変されたT細胞、KJgpc3-001を使用する、進行したHCCを患う患者を処置するための登録されたCAR-T第1相試験が、1つしか存在しない。GPC3(グリピカン-3)は、HCCでは高度に発現されるが、正常組織では発現が限られる(63.6%対9.2%)。残念なことに、抗GPC3 mAb GC33(Rocheの子会社であるChugaiによって開発された)の第I相研究において、部分的な又は完全な応答は観察されなかった。KJgpc3-001は、GC33に由来する抗GPC3 scFv及びCD28/4-1BB/CD3ζに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。KJgpc3-001は、レンチウイルスベクターを用いて患者のT細胞に形質導入され、肝臓がんを攻撃する可能性がある。前臨床研究において、KJgpc3-001で処置した全てのマウスは、60日より長く生存したが、生理食塩水で処置したマウスの生存期間中央値は33日であった。KJgpc3-001についての主要な関心事は、胃腺、腎尿細管、及び生殖細胞などの正常組織におけるGPC3の発現である。従来、肺組織におけるHER2の発現に起因して、HER2標的化CARでの処置後に乳がん患者1人が死亡した。この患者は、細胞注入後15分以内に呼吸窮迫を経験し、処置の5日後に死亡した。それ故に、がん処置のためのカドヘリン-17特異的抗体及び細胞傷害性細胞を用いるがん免疫療法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
概要
本開示は、カドヘリン-17特異的抗体及び細胞傷害性細胞を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施形態は、配列番号1-21から選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%の類似性を有するアミノ酸配列を含む、カドヘリン-17に対する特異性を有する抗体に関する。
【0010】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1-21から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の類似性を有するアミノ酸配列を含んでよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、抗体は、配列番号1-21から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%の類似性を有するアミノ酸配列を含んでよい。
【0012】
いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体が、マウス抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体である。いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体が、ファージライブラリースクリーニングから単離されたヒト抗体である。
【0013】
いくつかの実施形態において、抗体は、軽鎖の可変領域(VL)及び重鎖の可変領域(VH)を含んでよく、VLは、配列番号1、3、6、8、10、12、14、及び16から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の類似性を有するアミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、VHは、配列番号2、4、5、7、9、11、13、及び15から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の類似性を有するアミノ酸配列を含んでよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、抗体は、コンジュゲートされた細胞傷害性部分を含んでよい。いくつかの実施形態において、コンジュゲートされた細胞傷害性部分は、イリノテカン、オーリスタチン、PBD、マイタンシン、アマニチン、スプライソソーム阻害剤、又はそれらの組み合わせを含んでよい。いくつかの実施形態において、コンジュゲートされた細胞傷害性部分は、化学療法剤を含んでよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、抗体が二重特異性抗体である。
【0016】
いくつかの実施形態において、抗体は、細胞傷害性T又はNK細胞由来の細胞受容体に対する特異性を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗体が、カドヘリン-17及びCD3の両方に対する特異性を有する二重特異性抗体である。いくつかの実施形態において、細胞受容体は、4-1BB、OX40、CD27、CD40、TIM-1、CD28、HVEM、GITR、ICOS、IL12受容体、IL14受容体、又はそれらの誘導体又はそれらの組み合わせを含んでよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、抗体は、カドヘリン-17に対する特異性を有する第1の1本鎖可変断片(ScFv)及びCD3に対する特異性を有する第2の1本鎖可変断片(ScFv)を含んでよく、第1のScFvは、第1のVH及び第1のVLを含んでよく、第2のScFvは、第2のVH及び第2のVLを含んでよい。いくつかの実施形態において、第1のVHは、配列番号2、4、5、7、9、11、13、及び15から選択されるアミノ酸配列を含んでよい。いくつかの実施形態において、第1のVLは、配列番号1、3、6、8、10、12、14、及び16から選択されるアミノ酸配列を含んでよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、第2のVHは、配列番号18のアミノ酸配列の対応する部分を含んでよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、第2のVLは、配列番号18のアミノ酸配列の対応する部分を含んでよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、抗体は、免疫チェックポイントインヒビターに対する特異性を含んでよい。いくつかの実施形態において、チェックポイントインヒビターは、PD-1、TIM-3、LAG-3、TIGIT、CTLA-4、PD-L1、BTLA、VISTA、又はそれらの組み合わせを含んでよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、抗体は、血管新生因子に対する特異性を含んでよい。いくつかの実施形態において、血管新生因子は、VEGFを含んでよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、抗体が、カドヘリン-17ドメイン6のRGD部位のインテグリンへの結合に拮抗するように構成される。いくつかの実施形態において、インテグリンは、アルファ2ベータ1を含んでよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、抗体がモノクローナル抗体である。
【0024】
本開示のいくつかの実施形態は、配列番号2、4、5、7、9、11、13、及び15から選択される配列を有するアミノ酸配列を含む、抗体のIgG重鎖に関する。
【0025】
本開示のいくつかの実施形態は、配列番号1、3、6、8、10、12、14、及び16から選択される配列を有するアミノ酸配列を含む、抗体の軽鎖に関する。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態は、配列番号1-16から選択されるアミノ酸配列を含む、抗体の可変鎖に関する。
【0027】
本開示のいくつかの実施形態は、配列番号1-21から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の類似性を有するアミノ酸配列を含む、カドヘリン-17に対する特異性を有するscFv又はFabに関する。
【0028】
いくつかの実施形態において、scFv又はFabは、細胞傷害性T又はNK細胞由来の細胞受容体に対する特異性を含んでよい。いくつかの実施形態において、scFv又はFabは、免疫チェックポイントインヒビターに対する特異性を含んでよい。いくつかの実施形態において、scFv又はFabは、血管新生因子に対する特異性を含んでよい。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態は、カドヘリン-17に対する特異性を有するT又はNK細胞に関し、T又はNK細胞は、キメラ抗原受容体を含んでよく、キメラ抗原受容体は、配列番号1-21から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の類似性を有するアミノ酸配列を含んでよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体は、配列番号1-16から選択されるアミノ酸配列を含んでよい。
【0031】
本開示のいくつかの実施形態は、上述の抗体、IgG重鎖、軽鎖、可変鎖、又はScFv又はFabをコードする単離された核酸に関する。
【0032】
本開示のいくつかの実施形態は、上述の単離された核酸を含む発現ベクターに関する。いくつかの実施形態において、ベクターが細胞内で発現可能である。
【0033】
本開示のいくつかの実施形態は、上述の核酸を含む宿主細胞に関する。
【0034】
本開示のいくつかの実施形態は、上述の発現ベクターを含む宿主細胞に関する。
【0035】
いくつかの実施形態において、宿主細胞が原核細胞又は真核細胞である。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態は、請求項1-26に記載の抗体及び細胞傷害性薬剤を含む医薬組成物に関する。
【0037】
いくつかの実施形態において、細胞傷害性薬剤は、シスプラチン、ゲムシタビン、イリノテカン、又は抗腫瘍抗体を含んでよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、上述の抗体及び医薬的に許容される担体を含んでよい。
【0039】
本開示のいくつかの実施形態は、がんを患う被験体を処置するための方法であって、有効量の請求項1-26に記載の抗体又は請求項34-35に記載のT又はNK細胞を被験体に投与する工程を含む、方法に関する。
【0040】
いくつかの実施形態において、がんが、肝臓がん、胃がん、結腸がん、膵臓がん、肺がん、又はそれらの組み合わせである。
【0041】
本開示の目的及び利点は、添付の図面に関連して、その好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
ここで、本開示に係る好ましい実施形態を、図を参照して説明することができる。図において、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【0043】
【
図1】
図1は、マウスのLic3及びLic5のVL及びVH配列を示す(Lic3配列は更新されている、すなわち、校正刷り中の配列番号1及び配列番号2は、その結果差し替える必要があることに注意されたい)。
【0044】
【
図2】
図2は、ヒト化のためのヒトVL 2-30/J1及びHumによって示されるヒト化変異体に対するLic3 VL配列の相同性を示しており、ここで、ドットはヒトアミノ酸を示し、逆突然変異は単一アミノ酸の注釈によって示される。
【0045】
【
図3】
図3は、ヒト化のためのヒトVL 2-24/J1及びHumによって示されるヒト化変異体に対するLic3 VL配列の相同性、及びヒト化のためのヒトVH Vk2-29及びHumによって示されるヒト化変異体に対するLic3 Vk配列の相同性を示しており、ここで、ドットはヒトアミノ酸を示し、逆突然変異は単一アミノ酸の注釈によって示される。
【0046】
【
図4】
図4は、ヒト化のためのヒトVH 3-11/J4及びHumによって示されるヒト化変異体に対するLic3 VH配列の相同性を示しており、ここで、ドットはヒトアミノ酸を示し、逆突然変異は単一アミノ酸の注釈によって示される。
【0047】
【
図5】
図5は、ヒト化のためのヒトVH 3-30/J4及びHumによって示されるヒト化変異体に対するLic3 VH配列の相同性を示しており、ここで、ドットはヒトアミノ酸を示し、逆突然変異は単一アミノ酸の注釈によって示される。
【0048】
【
図6】
図6は、ヒト化のためのヒトVL IGKV 2-30及びHumによって示されるヒト化変異体に対するLic5 VL配列の相同性を示しており、ここで、ドットはヒトアミノ酸を示し、逆突然変異は単一アミノ酸の注釈によって示される。
【0049】
【
図7】
図7は、ヒト化のためのヒトVL pdb4X0K及びHumによって示されるヒト化変異体に対するLic5 VL配列の相同性を示しており、ここで、ドットはヒトアミノ酸を示し、逆突然変異は単一アミノ酸の注釈によって示される。
【0050】
【
図8】
図8は、ヒト化のためのヒトVH IGHV3-21及びHumによって示されるヒト化変異体に対するLic5 VH配列の相同性を示しており、ここで、ドットはヒトアミノ酸を示し、逆突然変異は単一アミノ酸の注釈によって示される。
【0051】
【
図9】
図9は、ヒト化のためのヒトVH IGHV3-7及びHumによって示されるヒト化変異体に対するLic5 VH配列の相同性を示しており、ここで、ドットはヒトアミノ酸を示し、逆突然変異は単一アミノ酸の注釈によって示される。
【0052】
【
図10】
図10は、ヒトカドヘリン-17特異的抗体を抗体ファージライブラリーから単離するプロセスを示すフローチャートを示しており、ここで、ヒトカドヘリン-17特異的抗体を、固定化CDH17ドメイン1-3への複数回の結合によってファージライブラリーから単離した。
【0053】
【
図11】
図11は、CDH17に結合する抗体ファージライブラリーから単離されたヒト抗体の例を示すグラフである。
【0054】
【
図12-2】
図12は、ファージライブラリースクリーニング由来のヒトCDH17抗体VL及びVH配列を示す。
【0055】
【
図13】
図13は、CDH17抗体VH及びVLから生成されたがん免疫療法のための例示的な機能ドメイン構成のパネルを示しており、(a)CDH17特異的抗体;(b)CDH17抗体薬物コンジュゲート;(c)scFv-Fc二重特異性抗体(ノブ・イン・ホール(knob in hole));(d)scFv-Fc二重特異性抗体(bite);及び(e)CAR T又はNK細胞、である。
【0056】
【
図14】
図14は、例示的なCDH17-CD3二重特異性抗体(ノブ・イン・ホール)のアミノ酸配列を示す。
【0057】
【
図15】
図15は、ELISAによるCDH17へのLic5 scFvの結合を示すグラフである。
【0058】
【
図16】
図16は、ELISAによるCDH17へのLic3 scFvの結合を示すグラフである。
【0059】
【
図17】
図17は、ELISAによって決定されるLic3及びLic5 scFvの親和性を示すグラフであり、ここで、scFv lic 3(kd):11.88nM、及びscFv lic5:22.06nMである。
【0060】
【
図18-2】
図18は、抗体薬物コンジュゲートの候補としてのLic5のヒト胃がん細胞への内在化を示す写真を示しており、(a)は、示される時間におけるDAPI(青)及びLic5-FITC(緑)の染色を示す写真であり、(b)は、示される時間におけるDAPI(青)及びLic5-FITC(緑)の統合された染色を示す写真であり、30分間にわたる37℃でのOum1ヒト胃がん細胞におけるLic5-FITC(緑)内在化は、共焦点顕微鏡法によって決定し、核はDAPIで染色した。
【0061】
【
図19】
図19は、ELISAによって決定される、CDH17へのヒト化Lic3の結合を示す。
【0062】
【
図20】
図20は、ELISAによって決定される、CDH17又はCDH17トランケートに結合する、CDH17モノクローナル抗体の例を示す。
【0063】
【
図21】
図21は、FACSによって決定される、腫瘍細胞株へ結合するCDH17モノクローナル抗体及びヒト化Lic3 scFvFc(h3scFv)の例を示す。驚くべきことに、多くのCDH17モノクローナル抗体は、異なるCDH17発現腫瘍細胞株に対し異なるパターンの結合を示した(赤のボックス)。
【0064】
【
図22-2】
図22は、hLic3 CAR7a(配列番号25)、hLic3 CAR7b(配列番号26)、hLic3 CAR8(配列番号27)、及びhLic3 CAR9(配列番号28)のアミノ酸配列を含む、第二世代CARの設計(a)及び分析(b)を示す。
【0065】
【
図23】
図23は、シグナル伝達の機能としてのIL2産生を示す。
【0066】
【
図24】
図24は、Lic3第二世代CAR(Lic3scFv-CD28ヒンジ+TM+エンド-CD3ゼータエンド)のアミノ酸配列(配列番号19)を示す。
【0067】
【
図25】
図25は、Lic5第二世代CAR(Lic5scFv-CD28ヒンジ+TM+エンド-CD3ゼータエンド)のアミノ酸配列(配列番号20)を示す。
【0068】
【
図26】
図26は、HLic26第二世代CAR(Lic26scFv-CD28ヒンジ+TM+エンド-CD3ゼータエンド)のアミノ酸配列(配列番号21)を示す。
【0069】
【
図27】
図27は、Lic3第三世代CAR(Lic3scFv-CD28-4-1BB-CD3ゼータエンド)のアミノ酸配列(配列番号22)を示す。
【0070】
【
図28】
図28は、Lic5第三世代CAR(Lic5scFv-CD28ヒンジ+TM+エンド-4-1BBエンド-CD3ゼータエンド)のアミノ酸配列(配列番号23)を示す。
【0071】
【
図29】
図29は、HuLic26第三世代CAR(Lic26scFv-CD28ヒンジ+TM+エンド-4-1BBエンド-CD3ゼータエンド)のアミノ酸配列(配列番号24)を示す。
【0072】
【0073】
【0074】
【
図32】
図32は、Lic5の軽鎖及び重鎖の可変領域のアミノ酸配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
詳細な説明
本出願は、カドヘリン-17(CDH17)に特異的な抗体、腫瘍細胞を標的とする抗体及び当該抗体を使用する抗腫瘍免疫療法を提供する。当該免疫療法は、様々な異なるモードの細胞障害活性を保有する抗体又はT又はNK細胞の細胞障害活性を刺激するキメラ抗原受容体を含む。
【0076】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似の又は等価な任意の方法及び材料を、本開示の実施又は試験において使用することができるが、好ましい方法及び材料を説明する。本開示の目的のために、以下の用語を以下に定義する。
【0077】
冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的目的語が、1つである又は1つより多い(すなわち、少なくとも1つである)ことを指すために、本明細書で使用される。例として、「an 要素」は、1つの要素又は1つより多い要素を意味する。
【0078】
「約」とは、参照の数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重さ又は長さに対して、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%だけ異なる数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重さ又は長さを意味する。
【0079】
「コード配列」とは、遺伝子のポリペプチド産物のためのコードに寄与する任意の核酸配列を意味する。対照的に、用語「非コード配列」は、遺伝子のポリペプチド産物のためのコードに寄与しない任意の核酸配列を指す。
【0080】
この明細書を通して、文脈が他の意味を必要としない限り、単語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」は、記載されているステップ又は要素、又はステップ又は要素の群を含むが、任意の他のステップ又は要素、又はステップ又は要素の群を排除しないことを意味するものとして理解されるだろう。
【0081】
「~から成る(consisting of)」とは、フレーズ「~から成る」に続くものを全て含み、それらに限定されることを意味する。したがって、フレーズ「~から成る」は、列挙された要素が必要とされる又は必須のものであり、他の要素は存在することができないことを示す。
【0082】
「~から本質的に成る(consisting essentially of)」とは、このフレーズの後に列挙された任意の要素を含み、列挙された要素についての開示において特定された活性又は作用を妨げない又はそれらに寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、フレーズ「~から本質的に成る」は、列挙された要素は必要とされる又は必須のものであるが、他の要素は任意選択のものであり、列挙された要素の活性又は作用にそれらが影響を及ぼすかどうかによって、存在する又は存在しない可能性がある、ということを示す。
【0083】
用語「相補性の(complementary)」及び「相補性(complementarity)」は、塩基対形成規則によって関連付けられるポリヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチドの配列)を指す。例えば、配列「A-G-T」は、配列「T-C-A」と相補性である。相補性は、核酸の塩基の一部のみが塩基対形成規則に従って一致する、「部分的」なものである可能性がある。あるいは、核酸間に「完全な」又は「絶対的な」相補性が存在する可能性がある。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率及び強度に顕著な効果を有する。
【0084】
「~に対応する(corresponds to)」又は「~に対応する(corresponding to)」とは、(a)ポリヌクレオチドが、参照ポリヌクレオチド配列の全部又は一部と実質的に同一又は相補性であるヌクレオチド配列を有するか、又はペプチド又はタンパク質中のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列をコードすること;又は(b)ペプチド又はポリペプチドが、参照ペプチド又はタンパク質中のアミノ酸の配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有すること、を意味する。
【0085】
本明細書で使用されるように、用語「機能(function)」及び「機能の・機能的(functional)」などは、生物学的機能、結合機能、又は治療的機能を指す。
【0086】
「遺伝子」とは、染色体上の特定座位を占め、転写及び/又は翻訳調節配列及び/又はコード領域及び/又は非翻訳配列(すなわち、イントロン、5'及び3'非翻訳配列)から成る、遺伝の単位を意味する。
【0087】
「相同性」は、同一であるか又は保存的置換を構成するアミノ酸のパーセンテージ数を指す。相同性は、GAPなどの配列比較プログラムを使用して決定することができる(Deveraux et al., 1984, Nucleic Acids Research 12, 387-395)(これは、参照により本明細書に組み込まれる)。このようにして、本明細書で引用したものと類似の又は実質的に異なる長さの配列を、ギャップをアラインメントに挿入することによって、比較することができ、そのようなギャップは、例えば、GAPによって使用される比較アルゴリズムによって決定される。
【0088】
用語「宿主細胞」は、本開示の任意の組換えベクター又は単離されたポリヌクレオチドのレシピエントであり得る、又はそうであった、個々の細胞又は細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、この子孫は、天然の、偶然の、又は故意の突然変異及び/又は変化に起因して、元の親細胞と、(形態又は全DNA相補体において)必ずしも完全に同一でなくてよい。宿主細胞は、インビボ又はインビトロで、本開示の組換えベクター又はポリヌクレオチドで遺伝子導入した又は感染させた細胞を含む。本開示の組換えベクターを含む宿主細胞は、組換え宿主細胞である。
【0089】
「単離された」抗体とは、同定され、その天然環境の成分から分離された及び/又は回収された抗体である。その天然環境の夾雑成分は、抗体の診断的用途又は治療的用途を妨げる物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性の又は非タンパク質性の溶質を含み得る。
【0090】
「単離された」核酸分子は、同定され、抗体核酸の天然の源において通常付随する少なくとも1つの夾雑核酸分子から分離された、核酸分子である。単離された核酸分子は、天然に見出される形態又は状況にない。それ故に、単離された核酸分子は、天然細胞中に存在しているときの核酸分子とは区別される。しかしながら、単離された核酸分子は、抗体を通常発現する細胞に含まれる核酸分子を含み、ここで、例えば、核酸分子は、天然細胞のものとは異なる染色体位置にある。
【0091】
「制御配列」という表現は、ある特定の宿主生物において、作動可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。原核生物に適した制御配列は、例えば、プロモーター、任意選択的にオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを利用することが知られている。
【0092】
核酸は、別の核酸配列と機能的な関係に置かれた場合、「作動可能に連結されている」。例えば、プレ配列又は分泌リーダーのためのDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドのDNAに作動可能に連結されており;プロモーター又はエンハンサーは、それが配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結されており;又はリボソーム結合部位は、それが翻訳を容易にするような位置にある場合、コード配列に作動可能に連結されている。一般的に、「作動可能に連結されている」とは、連結されているDNA配列が隣接していること、そして分泌リーダーの場合は、隣接していて読み出し段階にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは隣接している必要がない。連結は、便利な制限部位でのライゲーションによって達成される。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーは、従来の実務に従って使用される。
【0093】
本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」との言及は、mRNA、RNA、cRNA、rRNA、cDNA又はDNAを示す。この用語は典型的には、少なくとも10塩基長のヌクレオチド、リボヌクレオチド又はデオキシヌクレオチド又はいずれかのタイプのヌクレオチドの改変された形態のポリマーの形態、を指す。この用語は、一本鎖形態及び二本鎖形態のDNA及びRNAを含む。
【0094】
用語「ポリヌクレオチド変異体」及び「変異体」などは、参照ポリヌクレオチド配列と実質的な配列同一性を示すポリヌクレオチド、又は以下に定義されるストリンジェントな条件下で参照配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドを指す。これらの用語はまた、少なくとも1つのヌクレオチドの付加、欠失又は置換によって参照ポリヌクレオチドと区別されるポリヌクレオチドを包含する。したがって、用語「ポリヌクレオチド変異体」及び「変異体」は、1又は複数のヌクレオチドが付加又は欠失しているか、又は異なるヌクレオチドで置換されているポリヌクレオチドを含む。これに関して、突然変異、付加、欠失及び置換を含むある特定の改変を、参照ポリヌクレオチドに行うことができ、それにより、改変されたポリヌクレオチドが、参照ポリヌクレオチドの生物学的機能又は活性を保持する、又は参照ポリヌクレオチドに関連して活性が増加する(すなわち、最適化される)、ということが、本分野において十分に理解されている。ポリヌクレオチド変異体は、例えば、本明細書に記載される参照ポリヌクレオチド配列と少なくとも50%(及び少なくとも51%から少なくとも99%まで、及びその間の全ての整数パーセンテージ、例えば、90%、95%、又は98%)の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む。用語「ポリヌクレオチド変異体」及び「変異体」はまた、これらの酵素をコードする天然に存在する対立遺伝子変異体及びオルソログを含む。
【0095】
「ポリペプチド」、「ポリペプチド断片」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において交換可能に使用されて、アミノ酸残基のポリマー及びその変異体及び合成類似体を指す。したがって、これらの用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマーだけでなく、対応する天然に存在するアミノ酸の化学的類似体などの、1又は複数のアミノ酸残基が合成の天然に存在しないアミノ酸である、アミノ酸ポリマーに適用される。ある特定の態様において、ポリペプチドは、典型的には様々な化学反応を触媒する(すなわち、化学反応速度を増加させる)酵素的ポリペプチド、又は「酵素」を含んでよい。
【0096】
ポリペプチド「変異体」との言及は、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失又は置換によって参照ポリペプチド配列と区別されるポリペプチドを指す。ある実施形態において、ポリペプチド変異体は、1又は複数の置換(これは、保存的であっても非保存的であってもよい)によって、参照ポリペプチドと区別される。ある実施形態において、ポリペプチド変異体は保存的置換を含み、これに関して、ポリペプチドの活性の性質を変えることなく、いくつかのアミノ酸を、幅広く類似の特性を有する他のアミノ酸に変えてよいということが、本分野において十分に理解されている。ポリペプチド変異体はまた、1又は複数のアミノ酸が、付加又は欠失しているか、又は異なるアミノ酸残基で置換されているポリペプチドを包含する。
【0097】
用語「参照配列」は一般的に、別の配列と比較される核酸コード配列、又はアミノ酸配列を指す。本明細書に記載される全てのポリペプチド及びポリヌクレオチド配列は、参照配列として含まれる。
【0098】
本明細書で使用される、「配列同一性」又は、例えば、「~と50%同一の配列」を含む、との言及は、配列が、比較のウインドウにわたって、ヌクレオチドごと又はアミノ酸ごとの同一である程度を指す。したがって、「配列同一性のパーセンテージ」は、比較のウインドウにわたって2つの最適に整列された配列を比較し、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)又は同一のアミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys及びMet)が両方の配列に出現する位置の数を決定して一致した位置の数を求め、一致した位置の数を比較のウインドウ内の位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で割り、その結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを求めることによって、計算することができる。本明細書に記載される参照配列(例えば、配列表を参照されたい)のうち任意のものと少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%配列同一性を有するヌクレオチド及びポリペプチドが含まれ、ここで、典型的には、ポリペプチド変異体は、参照ポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を維持する。
【0099】
「統計学的に有意な」とは、結果が偶然に起こったものではなさそうだったことを意味する。統計的有意性は、本分野において知られる任意の方法によって決定することができる。一般的に使用される有意性の尺度には、p値が含まれ、これは、帰無仮説が当てはまった場合に、観察される事象が起こる、頻度又は確率である。得られたp値が有意水準より小さい場合、次いで帰無仮説が棄却される。単純な場合、有意水準は、0.05以下のp値で定義される。
【0100】
「実質的に」又は「本質的に」は、ほぼ絶対的又は完全であること、例えば、ある所与の数量の95%、96%、97%、98%、99%以上であることを意味する。
【0101】
「処置(treating)」又は「処置(treatment)」又は「緩和」は、治療的処置及び予防的又は防止的手段の両方を指し、その目的は、標的となる病理学的状態又は障害を防止する又は遅延させる(減らす)することである。例えば、がんの場合、がん細胞の数の減少又はがん細胞の非存在;腫瘍サイズの減少;腫瘍転移の阻害(すなわち、ある程度遅延させ、好ましくは停止させる);腫瘍成長のある程度の阻害;寛解の長さの増加、及び/又は特定のがんに関連する症候の1又は複数のある程度の軽減;罹患率及び死亡率の減少、及び生活の質の問題の改善がある。疾患の兆候又は症候の減少が、患者によって感じられる可能性もある。処置は、がんの全ての兆候の消失として定義される完全な応答を、又は腫瘍のサイズが、好ましくは50パーセント超だけ、より好ましくは75%だけ減少する、部分的な応答を、達成することができる。患者はまた、患者が不変を経験する場合に、処置されたとみなされる。好ましい実施形態において、がん患者は、1年後、好ましくは15ヶ月後に、がんの進行がないままである。疾患の処置及び改善の成功を評価するためのこれらのパラメーターは、本分野の適切な技能を持った医師によく知られる日常の手順によって、容易に測定可能である。
【0102】
用語「調節する」及び「改変する」ことは、典型的には対照と比較して統計学的に有意な又は生理学的に有意な量又は程度で、「増加させる」及び「増強する」並びに「減少させる」又は「低減する」ことを含む。特定の実施形態において、血液代用品の移植に関連する免疫学的拒絶反応は、改変されていない又は異なって改変された幹細胞と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%だけ減少する。
【0103】
「増加した」量又は「増強された」量は、典型的には、「統計学的に有意な」量であり、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、又は50倍以上(例えば、100、500、1000倍)(これらの間の1より大きい全ての整数及び小数点、例えば、1.5、1.6、1.7、1.8、などを含む)の本明細書に記載される量又はレベルである増加を含んでよい。
【0104】
「減少した」量又は「低減された」量又は「より少ない」量は、典型的には、「統計学的に有意な」量であり、約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、又は50倍以上(例えば、100、500、1000倍)(これらの間の1より大きい全ての整数及び小数点、例えば、1.5、1.6、1.7、1.8、などを含む)の本明細書に記載される量又はレベルである減少を含んでよい。
【0105】
「~から得られる」とは、例えば、ポリヌクレオチド又はポリペプチドなどのサンプルが、所望の生物又は所望の生物内の特定の組織などの、特定の源から単離されるか、又はそれに由来することを意味する。「~から得られる」はまた、ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列が、特定の生物又は生物内の組織から単離されるか、又はそれに由来する状況を指すこともできる。例えば、本明細書に記載される参照ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、様々な原核生物又は真核生物から、又はある特定の真核生物内の特定の組織又は細胞から、単離することができる。「治療的に有効量」は、被験体における疾患又は障害を「処置」するのに有効な抗体又は薬物の量を指す。がんの場合、治療的に有効量の薬物は、がん細胞の数を低減し;腫瘍サイズを低減し;末梢器官へのがん細胞浸潤を阻害し(すなわち、ある程度遅延させ、好ましくは停止させ);腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度遅延させ、好ましくは停止させ);腫瘍成長をある程度阻害し;及び/又はがんに関連する1又は複数の症候をある程度軽減することができる。前述の「処置」の定義を参照されたい。
【0106】
「慢性」投与は、最初の治療的効果(活性)を長期間維持するための、急性モードに対立するものとしての連続モードでの薬剤の投与を指す。「間欠的」投与は、中断することなく連続的に行われるのではなく、周期的な性質の処置である。
【0107】
「ベクター」は、シャトルベクター及び発現ベクターを含む。典型的には、プラスミド構築物はまた、細菌中のプラスミドの複製及び選択のためにそれぞれ、複製起点(例えば、ColE1複製起点)及び選択マーカー(例えば、アンピシリン又はテトラサイクリン抵抗性)を含むだろう。「発現ベクター」は、本開示の抗体断片を含む抗体の、細菌細胞又は真核細胞における発現に必要な制御配列又は調節要素を含むベクターを指す。適したベクターを以下に開示する。
【0108】
用語「抗体」は、最も幅広い意味で使用され、具体的には、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片(それらが所望の生物学的活性又は機能を示す限り)を包含する。
【0109】
「抗体断片」は、完全長抗体の一部、一般的に抗体の抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')2、及びFv断片;ダイアボディ;直鎖抗体;1本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。
【0110】
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小抗体断片である。この断片は、緊密に非共有会合した1つの重鎖及び1つの軽鎖可変領域ドメインのダイマーから成る。これらの2つのドメインの折り畳みから、6つの超可変ループ(3つのループがそれぞれH及びL鎖に由来する)が生じ、この超可変ループは、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗原に対する結合特異性を抗体に与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つの相補性決定領域(CDR)のみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも低い親和性でではあるが、抗原を認識してそれに結合する能力を有する。
【0111】
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指す、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る、天然に存在する可能性のある突然変異を除いては、同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対して向けられる。さらに、様々な異なる決定基(エピトープ)に対して向けられる様々な異なる抗体を典型的に含む、従来の(ポリクローナル)抗体調製とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して向けられる。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られるという抗体の特性を示し、任意の特異的方法による抗体の産生を必要とするものとは解釈されない。例えば、本開示に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature 256:495 (1975)によって最初に説明されたハイブリドーマ法によって作製することができ、又は組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)によって作製することができる。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al., Nature 352:624-628 (1991)及びMarks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991)において説明される技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
【0112】
用語「可変」は、可変ドメイン(Vドメイン)のある特定のセグメントの配列が抗体間で広範囲に異なるという事実を指す。Vドメインは抗原結合を媒介し、特定の抗体の、その特定の抗原に対する特異性を規定する。しかしながら、可変性は、可変ドメインの10アミノ酸スパンにわたって均一に分布していない。代わりに、V領域は、それぞれ9-12アミノ酸長の「超可変領域」と呼ばれる極度に可変性のより短い領域によって分離された、15-30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変のストレッチから成る。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、4つのフレームワーク領域(FR)を含む。フレームワーク領域は、主にβシート構成を採用しており、3つの超可変領域に連結されており、超可変領域はループ連結を形成し、場合によってはβシート構造の一部を形成する。各鎖中の超可変領域は、FRによって近接して共に保持され、他の鎖由来の超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗原に対する抗体の結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞性細胞障害活性(ADCC)における抗体の関与などの、様々なエフェクター機能を示す。
【0113】
本明細書で使用される場合、用語「超可変領域」は、抗原結合に関与している抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は一般的に、CDR由来のアミノ酸残基(例えば、VL中のおよそ残基24-34(L1)、50-56(L2)及び89-97(L3)、及びVH中のおよそ残基31-35B(H1)、50-65(H2)及び95-102(H3)(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))及び/又は「超可変ループ」由来の残基(例えば、VL中の残基26-32(L1)、50-52(L2)及び91-96(L3)、及びVH中の26-32(H1)、52A-55(H2)及び96-101(H3)(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))を含む。
【0114】
「キメラ」抗体(免疫グロブリン)は、特定の種に由来する又は特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同の重鎖及び/又は軽鎖の一部を有しており、鎖の残部は、別の種に由来する又は別の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体、及びそのような抗体の断片(それらが所望の生物学的活性を示す限り)の対応する配列と同一又は相同である(米国特許第4,816,567号;及びMorrison et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984))。本明細書で使用されるヒト化抗体は、キメラ抗体のサブセットである。
【0115】
「ヒト化」形態の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含むキメラ抗体である。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)由来の超可変領域残基によって置換されている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント又はアクセプター抗体)である。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体は、ヒト細胞に由来する又はヒト抗体遺伝子を発現するトランスジェニック動物(典型的にはマウス)に由来する抗体である。
【0116】
一つの態様において、CDH-17に対する特異性を有する抗体又はその抗原結合断片が、本明細書において提供される。腫瘍関連抗原は、それらの腫瘍成長促進活性を阻害することによって、及び細胞傷害性活性を腫瘍細胞に向けることによって、抗腫瘍免疫療法の標的として機能し得る。カドヘリン-17は、細胞接着分子のカドヘリンスーパーファミリーに属する、クラス1原形質膜糖タンパク質である。それは、そのエクトドメインに7つのカドヘリン又はカドヘリン様反復を保有する非古典的カドヘリンである。カドヘリン-17(CDH-17)は、腫瘍成長に関与する腫瘍関連抗原である。結腸、小腸、及び膵管の腸上皮細胞に通常限定されるCDH-17発現は、結腸腺がん、胃腺がん、肝細胞がん及び膵臓腺がんを含むいくつかの腫瘍タイプにおいて過剰発現される。腫瘍成長促進活性は、CDH17ドメイン6のRGDモチーフと、α2β1などのインテグリンとの間の結合を伴う可能性がある。血液中及びエキソソーム中のCDH-17レベルの異常な増加は、予後がんマーカーとして機能し得る。
【0117】
プロテオミクス及び腫瘍ゲノミクスアプローチを使用して、治療標的、肝臓-腸カドヘリン又はカドヘリン-17(CDH17)が本明細書に開示される。この標的は、胃がん(GC)及び肝細胞がん(HCC)の大多数において、並びに膵臓がん、結腸がん、卵巣がん及び肺がんにおいて、過剰発現される。CDH17遺伝子のRNAiサイレンシングは、確立されたHCCマウスモデル(異種移植及び同所性の両方)において、腫瘍成長及び転移性の広がりを阻害することができた。根本的な抗腫瘍メカニズムは、腫瘍サプレッサー経路再活性化に付随するWntシグナル伝達の不活性化に基づく。
【0118】
本出願において提示される抗CDH17抗体は、肝臓がん及び胃がんの複数のインビトロ及びインビボ系において、抗腫瘍効果を示している。当該抗体は、インビトロ及びインビボ精製、検出、診断的用途及び治療的用途を有する。当該抗体は、腫瘍細胞に選択的に結合することによって抗腫瘍活性を支持し、補体結合、抗体依存性細胞障害活性、コンジュゲートされた薬物によって媒介される細胞障害活性、リンパ球媒介細胞障害活性及びNK媒介細胞障害活性を刺激するように、開発され得る。本明細書では、以下に提供される対応する配列番号として記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む、抗体及びヒト化抗体、抗原結合断片又はキメラ抗体タンパク質が提供される。
【0119】
CDH17抗体配列は、マウス抗体(Lic3及びLic5;
図1)及びそれらのヒト化変異体(
図2-9)、ファージライブラリースクリーニングから単離されたヒト抗体(
図10-12)、ADCCを支持するアイソタイプを有する単一特異性抗体、補体結合、及び細胞傷害性抗がん活性のための薬物コンジュゲート(好ましいコンジュゲート部分は、イリノテカン、オーリスタチン、PBD、マイタンシン、アマニチン、スプライソソーム阻害剤及び他の化学療法剤である)(
図13)、様々な操作された抗体断片(Fab、scFv、ダイアボディなど)を含む二重特異性抗体などの、様々なタイプの抗体を含んでよい。好ましい形態は、ノブイントゥホール(knobs-into holes)及び「Bite」(
図14の例の配列)を含む。
【0120】
いくつかの実施形態において、マウスCDH17抗体、Lic5 scFv及びLic3 scFvは、それぞれ、ELISAアッセイにおいて、CDH17に結合する能力を示す(
図15-16)。Lic3及びLic5 scFvの結合親和性もまた、ELISAによって決定することができ、ScFv lic 3及びscFv lic5のKdは、それぞれ11.88nM及び22.06nMであった(
図17)。
【0121】
別の態様において、Lic5のヒト胃がん細胞への内在化は、
図18に示されるように、抗体薬物コンジュゲートの候補を示す。
図18において、(a)は、示される時間におけるDAPI(青)及びLic5-FITC(緑)の染色を示す写真であり、(b)は、示される時間におけるDAPI(青)及びLic5-FITC(緑)の統合された染色を示す写真であり、30分間にわたる37℃でのOum1ヒト胃がん細胞におけるLic5-FITC(緑)内在化は、共焦点顕微鏡法によって決定し、核はDAPIで染色した。
【0122】
いくつかの実施形態において、標準的なハイブリドーマ技術によって、200を超えるCDH17モノクローナル抗体を生成した。ヒト化Lic3 scFvFcを、4つのcDNA発現構築クローン(hL3.1-3.4)で遺伝子導入したCHO細胞から発現させた。遺伝子導入した又はmock遺伝子導入したCHOからの培養培地を、CDH17Fcでコーティングされた96ウェルプレートに添加した。抗マウスFc HRPコンジュゲートを使用して結合を決定した。結合を、これもCHO細胞において産生されたマウスLic3 scFvFc(mLic3 scFv)の結合と比較した(
図19)。
【0123】
一つの態様において、改変されたヒトIgG4 Fc(CDH17Fc)に融合された7つのカドヘリン反復(D1-7)のエクトドメイン全体を保有する組換えCDH17で、マウスを免疫化した。ハイブリドーマ培養培地は、CDH17Fcへの結合及びIgG4 Fcへの結合の欠如についてのスクリーンであった。標準的なPCR法によって、D1、D1-2、D1-3、D3-4、D6及びD5-7を保有するCDH17Fcトランケートを生成した。各トランケートに特異的に結合したCDH17抗体が同定され、例を
図20に示している。7つ全てのエクトドメインを保有するCDH17又はドメイン1-2、ドメイン3-4、ドメイン5-6又はドメイン6を保有するトランケートに対する結合について、13の新規のCDH17モノクローナル抗体のパネルをELISAによって分析した。抗体エピトープは、異なるドメインに局在化した。驚くべきことに、ある特定の抗体の結合がCHO細胞において産生されたCDH17に限定されることが見出された一方で、他の抗体の結合が293F細胞において産生されたCDH17に限定されることが見出された。
【0124】
別の態様において、CDH17依存性ホモタイプ及びヘテロタイプ相互作用に関係しているD1、D6及びD1及びD6ドメインに結合した抗体を同定した。フローサイトメトリーによる、CDH17陽性腫瘍細胞株へのCDH17抗体の結合は、予期しない結果を生じた(
図21)。多くの異なる結合プロファイルが観察され、細胞タイプ特異的に発現される異なる形態のCDH17が存在することが示唆された。この考えは、293F細胞に対する、CHO細胞において産生された組換えCDH17へのCDH17抗体の結合の差異によって、さらに支持される。それ故に、これらの新規のCDH17抗体は、ある組織で発現され別の組織では発現されないCDH17を選択的に標的化するために使用することができる。
【0125】
いくつかの実施形態において、第二世代CARである、CAR7、7b、8及び9を設計し分析した。ヒト化Lic3 scFv、CD8又はIgG1ヒンジ、CD8又はCD28膜貫通ドメイン、CD137又はCD28エンドドメイン及びCD3ゼータ(アイソフォーム1/2又は3/4)エンドドメインで、CARを構築した(
図22A)。レンチウイルス形質導入の4日後のJurkat細胞をFACS分析によって分析した。これは、可溶性組換えCDH17Fc結合によるGFP発現及びCAR発現を示す(
図22B)。抗Fc蛍光色素コンジュゲートを使用することによって、CARへのCDH17結合を決定した。さらに、様々な異なるCARを発現するJurkat細胞を、CDH17Fc、EGFRFc(対照)、又はタンパク質なし(NA)でコーティングされた96ウェルプレートに播種した。Immunocult(CD3-CD28複合体)を、Jurkat細胞を含有するいくつかのコーティングされていないウェルに添加した。培養培地中のIl-2レベルを、48時間の刺激後に、ELISAによって測定した(
図23)ところ、IL2産生はシグナル伝達の機能として評価することができることが示された。
【0126】
いくつかの実施形態において、CDH17抗体は、アルファ2ベータ1を含むインテグリンへの、CDH17ドメイン6のRGD部位の結合に拮抗し得る。
【0127】
別の態様において、CDH17に対する特異性を有する二重特異性抗体が開示される。この二重特異性抗体は、以下の特徴のうち少なくとも1つを有することができ、特徴としては以下のものが含まれるが、これらに限定されない。細胞性細胞障害活性を活性化させる様式で、腫瘍細胞(CDH17)を細胞傷害性T又はNK細胞受容体(例えばCDH17/CD3)と連結することにより、腫瘍細胞を殺滅すること、細胞障害活性又はケモカイン産生及び免疫細胞動員を刺激する、リンパ球/NK/単核球細胞アクチベーター(例えば4-1BB、OX40、CD27、CD40、TIM-1、CD28、HVEM、GITR、ICOS、IL12受容体、IL14受容体)を結合することにより、抗がん活性を増加させること、免疫チェックポイントインヒビター(PD-1、TIM-3、LAG-3、TIGIT、CTLA-4、PD-L1、BTLA、VISTA)をブロックすること、血管新生因子(例えばVEGF)をブロックすること。CDH17は、細胞傷害性薬物(例えばシスプラチン、ゲムシタビン、イリノテカン)又は他の抗腫瘍抗体との併用療法において使用することができる。
【0128】
いくつかの実施形態において、CDH17特異的scFvは、T及びNK細胞媒介性腫瘍細胞の細胞障害活性を支持する第二世代又は第三世代キメラ抗原受容体(CAR)として操作される(
図24-26の配列及び設計)。CDH17特異的CAR T細胞及びCAR NK細胞は、様々な異なるタイプの固形腫瘍を殺滅することができ、固形腫瘍としては、肝臓、胃、結腸、膵臓、及び肺の固形腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。したがって、CDH17は、例えば、肝臓がん及び胃がんに関連する、様々な状態のために使用することができる。
【0129】
CDH17は、際立ったがんバイオマーカーであり、肝臓がん及び胃がんの両方において過剰発現されるが、正常で健康な成体組織においては過剰発現されない。CDH17は、転移表現型のがんにおいて高度に発現され、CDH17のブロックは、HCCの肺転移を顕著に低減する。CDH17マーカーを標的とするモノクローナル抗体は、肝臓腫瘍及び胃腫瘍の成長を阻害することができる。CDH17ヒト化抗体は、腫瘍組織中に及び/又は血清サンプル中にCDH17バイオマーカーを示すがん患者を処置するために、臨床的に使用することができる。抗CDH17 scFv分子は、概念実証インビボモデル研究のためのCAR Tベクターを生成するように選択される。
【0130】
臨床サンプルに由来する腫瘍抗原を、腫瘍拘束性CDH17エピトープに対する特異性を有する抗体について選択した。したがって、Lic5 mAb及びLic3 mAbの両方が、HCC及びGCの腫瘍細胞のみに結合することが示された。抗体親和性を(計算機モデリングを介して)低下させる及び/又は変化させることによって、CDH17-CAR-T細胞の腫瘍細胞表面への結合の差異が増強されるだろう。
【0131】
大部分の固形腫瘍は、脈管構造及び免疫細胞に取り囲まれ、免疫抑制環境によって特徴付けられる。がんにおける、多数の調節性T細胞の存在及び免疫チェックポイント因子(PD1及びTIM-3)の遮断は、CAR-T細胞の有効性に影響を及ぼし得る免疫寛容状態に有利に働くだろう。この問題に対処するために、CAR-Tビヒクル中に抗PD1/抗Tim3二重特異性成分を作製し、免疫チェックポイントバリアを回避した。加えて、この抗PD1/Tim3成分が腫瘍微小環境に関与すると、それはCAR-T細胞の抗腫瘍細胞傷害性活性に切り替わり、効能を増強して安全性を改善する。
【0132】
人工T細胞受容体としても知られる、キメラ抗原受容体(CAR)は、操作された免疫受容体であり、モノクローナル抗体の特異性を持ち、レトロウイルスベクターの助けによってT細胞に移植される。CARによって操作されたT細胞は、がん細胞を認識して殺滅することができ、大幅な臨床的利益を示す。
【0133】
臨床用途のためのキメラIgGFc-融合タンパク質が本明細書中に開示される。例となるキメラIgG-融合タンパク質には、自己免疫性疾患及びウイルス感染の治療的介入のための、可溶性形態のICAM-1及びICAM-2が含まれる。CAR-Tベクターは、mAbに由来するscFvドメイン、リンカー、及び細胞質ドメインで構築され、ここで、CAR-Tベクターの様々な異なる世代が、(活性化シグナル及び共刺激シグナルのための)3つのITAMを含む単純な形態のCD3-ゼータから、増殖シグナル/生存シグナルを提供するためにCD28及びOX40を含む最近の第三世代に進化してきた。CAR-Tベクターに基づきレンチウイルスの第三世代にクローニングするために、本明細書中に開示されるCDH17特異的クローン(Lic3及びLic5)から、scFvセグメントを設計した。
【実施例】
【0134】
本開示は、以下の例を参照してさらに説明される。これらの例は、別段の定めがない限り、例示の目的のみのために提供され、限定することは意図されない。したがって、本開示は、以下の例に限定されるものとして解釈されるべきでは決してなく、本明細書において提供される教示の結果として明らかになる任意の及び全てのバリエーションを包含するものとして解釈されるべきである。
【0135】
例1. 研究設計及び方法
【0136】
同所性腫瘍異種移植モデルを使用して、腫瘍成長阻害及び動物生存に対する、単独での又はシスプラチン又はエピルビシンと組み合わせたときの、Lic5の効果を試験した。ヒトHCC細胞株MHCC97-L(97L)及びPLC/PRF/5(PLC)を使用した。単独のLic5、シスプラチン及びエピルビシン処置は、細胞増殖アッセイを使用して培養されたHCC細胞の成長を阻害したが、Lic5と共にシスプラチン又はエピルビシンを使用した場合には、より顕著な減少が観察された。同所性腫瘍を有するヌードマウスを処置するために同じ実験群を適用した場合には、成長阻害の類似の傾向が観察された。
【0137】
Lic5の処置は、対照群と比較して、同所性腫瘍を有するヌードマウスの生存を増強した。全ての実験群の中で、Lic5及びエピルビシンの併用群が、最良の生存をもたらした。次の段階の抗体ヒト化のために、Lic5の軽鎖及び重鎖上の可変領域上の相補性決定領域(CDR)を同定した。10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)(Life Technologies)、100単位/mlペニシリン及びストレプトマイシン(Life Technologies)が補充されたダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(Life Technologies, Grand Island, NY, USA)中で、両方の細胞株を培養した。培養細胞を、5%二酸化炭素を含む37℃の加湿雰囲気中に維持した。
【0138】
例2. Lic5、CDH17に対する所内モノクローナル抗体の産生及び特徴付け
【0139】
説明されるように、Lic5を分泌する所内ハイブリドーマ細胞株を生成した[5]。ハイブリドーマ細胞を、10% FBS及び100単位/mlペニシリン及びストレプトマイシンが補充されたDMEM中に維持した。Lic5を回収するために、ハイブリドーマ細胞を、無血清ハイブリドーマ-SFM(Life Technologies)中で6日間培養した。培養上清を回収し、タンパク質Gカラム(Life Technologies)を使用して精製した。精製されたLic5の濃度を、RC DCタンパク質アッセイ(Bio-Rad, Hercules, CA, USA)を使用して推定した。還元条件下でのドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)と、それに続くクーマシーブルー染色によって、Lic5の純度を評価した。97L細胞溶解物を使用するウエスタンブロットによって、及びパラフィン包埋ヒトHCC組織を使用する免疫組織化学によって、Lic5の免疫反応性及び特異性を確認した。研究のための臨床標本の使用は、香港大学/医院管理局香港西クラスタの施設内治験審査委員会(HKU/HA HKW IRB)によって承認された。SDS-PAGE、クーマシーブルー染色及びウエスタンブロットのための手順は、日常的に実施されるものであったが、免疫組織化学のための方法は以下に説明した。
【0140】
例3. インビトロ細胞増殖アッセイ
【0141】
所定の数の97L及びPLC細胞を、96ウェル培養プレート上に1日間播種した。150ug/mlのマウスIgG(Sigma-Aldrich, St Louis, MO, USA)をLic5の対照とした。処置後、処置した細胞の増殖を、細胞増殖キットI(Roche, Indianapolis, IN, USA)を使用して、説明されるように、測定した。手短に言えば、MTT試薬を処置した細胞と共に4時間インキュベートした。次いで、10% SDSの添加後に、比色シグナルを測定した。結果確認のために、独立した細胞増殖MTTアッセイを少なくとも2回実施した。
【0142】
例4. 同所性腫瘍異種移植モデル
【0143】
香港の香港大学の実験動物ユニットから、オスヌードマウスを得た。動物を、12時間の明/12時間の暗サイクル下で、且つオートクレーブ水及び固形飼料に自由にアクセスできる状態で、個別に換気されたケージに収容した。この研究において実施された動物実験は、我々の研究所の、教育及び研究における生動物の使用に関する委員会(Committee on the Use of Live Animals in Teaching and Research(CULATR))によって承認された。成長する同所性肝臓腫瘍のインビボ観察を可能にするために、すでに確立されたルシフェラーゼ標識97L細胞株を使用した。5x106のルシフェラーゼ標識97L細胞をヌードマウスの皮下に注射し、皮下腫瘍を成長させた。これらの皮下腫瘍を、サイズが200-300mm3に達したときに採取し、腫瘍種として使用して、標準的な手順に従って、ヌードマウスの別個の群に同所性肝臓腫瘍を確立した。同所性腫瘍移植の5日後、3週間にわたる3回/週の腹腔内投与により、マウスは以下のような異なる処置を受けた(各群中に10-11匹のマウス):(1)6mg/kg Lic5;(2)1mg/kgシスプラチン;(3)1mg/kgエピルビシン;(4)Lic5及びシスプラチンの併用処置;(5)Lic5及びエピルビシンの併用処置;(6)Lic5対照としての6mg/kgマウスIgG。150mg/kgのルシフェリンカリウム(Gold Biotechnology, St Louis, MO, USA)の腹腔内注射の後、IVIS 100インビボイメージングシステム(Perkin Elmer, Waltham, MA, USA)でのライブイメージングによって、処置後毎週、同所性腫瘍の成長及び転移をモニターした。各測定について、各腫瘍についての正味の光子カウント数を得た。実験の最後に、同所性腫瘍を回収し、ホルマリン固定及びパラフィン包埋に供した。
【0144】
例5. 動物生存研究
【0145】
97L細胞を使用して、上記のように同所性肝臓腫瘍を確立した。同所性腫瘍を有するマウスは、腹腔内に、3週間にわたり3回/週で以下の処置を受けた(各群中に11-15匹のマウス):(1)8mg/kg Lic5;(2)1mg/kgシスプラチン;(3)1mg/kgエピルビシン;(4)Lic5及びシスプラチンの併用処置;(5)Lic5及びエピルビシンの併用処置;(6)Lic5対照としての8mg/kgマウスIgG。処置後6週間まで、動物生存を連続してモニターした。
【0146】
例6. 免疫組織化学
【0147】
説明されるように、パラフィン包埋された同所性腫瘍異種移植片及びヒトHCC標本について、免疫組織化学を実施した。手短に言えば、脱パラフィン及び再水和のために、6um切片を調製した。抗原回復及び過酸化水素処置の後、切片を3%ウシ血清アルブミンでブロッキングし、アルファ-カテニンに対するマウスモノクローナル抗体(1:200; BD Biosciences, San Jose, CA, USA)及びLic5(0.0625ug/ml)で、一晩4℃で染色した。EnVision+ System-HRP標識ポリマー抗マウス(Dako, Carpinteria, CA, USA)を使用してシグナルを検出し、液体DAB+基質色原体システム(Dako)を使用して可視化した。ヘマトキシリンを使用して対比染色を実施した。DXM1200Fデジタルカメラ(Nikon, Melville, NY, USA)を使用して画像を捕捉した。
【0148】
例7. Lic5の可変領域のクローニング
【0149】
TRIzol試薬(Life Technologies)を使用してLic5分泌ハイブリドーマ細胞から全RNAを抽出し、SuperScript IIIファーストストランド合成システム(Life Technologies)を使用してcDNAに変換した。Ig-プライマーセット(Novagen, Germany)及びPlatinum Taq DNAポリメラーゼハイフィデリティ(Life Technologies)を使用して、Lic5の重鎖及び軽鎖由来の可変領域cDNA断片を増幅した。軽鎖の可変領域を、定常領域上の5'可変領域プライマー(5'- ATGGAGACAGACACACTCCTGCTAT-3')及び3'プライマーによって増幅し、重鎖の可変領域を、定常領域上の5'可変領域プライマー(5'- ATGAACTTYGGGYTSAGMTTGRTTT-3'、ここで、Y=C/T、S=C/G、M=A/C、及びR=A/Gである)及び3'プライマーによって得た。1.5%アガロースゲルで分離した後のPCR産物を精製し、配列決定した(BGI, Hong Kong)。
【0150】
例8. Lic5のCDRの同定
【0151】
Lic5の重鎖及び軽鎖の可変領域のヌクレオチド配列を使用してアミノ酸配列を導いた。次いで、Kabatナンバリングスキームに従ってこのアミノ酸配列をナンバリングした。Kabat定義に従ってCDRを同定した(www.bioinf.org.uk)。
【0152】
例9. 統計的分析
【0153】
SPSSバージョン19(SPSS Inc., Chicago, IL, USA)を使用して統計的分析を実施した。棒グラフで示されるデータは、平均±SD/SEMとして表される。スチューデントのt検定を使用して、細胞増殖MTTアッセイ及び動物腫瘍異種移植実験の両方における、処置群と対照群との間の差の有意性を計算した。生存分析のためにカプラン・マイヤー法を採用したが、生存の差は対数順位検定を使用して計算した。0.05未満のp値を統計的に有意であるとした。
【0154】
例10. ハイブリドーマ細胞培養上清からの大量のLic5の確立及び精製
【0155】
インビトロ実験及びインビボ実験のための高い純度及び数量のLic5を得るために、無血清培地中でLic5分泌ハイブリドーマ細胞を培養した。このように、Lic5の精製は、パイプラインを確立するための良好な抗体純度及び収量を大いに達成している。クーマシーブルー染色の結果は、6日目の培養上清で、抗体の重鎖及び軽鎖に対応する約55kDa及び27kDaの2つの際立ったバンドを示したが、これらのバンドは1日目の培養上清では観察されなかった。検出可能なレベルの抗体が存在する、6日目に回収された培養上清を、抗体精製のためにタンパク質Gアフィニティークロマトグラフィーに供した。6日目の培養上清をカラムにローディングした後、フロースルー中で抗体の存在が検出されない場合に、タンパク質Gカラムへの抗体の結合が成功したことが確認された。異なる画分(溶出液E1~E4)で実施された抗体溶出は、第2の及び第3の溶出画分が最も豊富な抗体を含有したことを示した。抗体の重鎖及び軽鎖に対応する2つの染色されたバンドは、タンパク質ゲル上で検出された主たるバンドであり、我々の抗体の純度が90%を超えることを示す(
図30(A))。我々の抗体精製パイプラインを使用して、6日目に回収された培養上清1リットルから、23.88±6.96mg Lic5の量で、好ましい抗体を回収した。
【0156】
精製されたLic5は、CDH17に対して高い免疫反応性を示した。Lic5をウエスタンブロットの一次抗体として使用した場合、CDH17を発現する97L細胞において、CDH17の見かけの分子量に対応する約120kDaの単一のバンドを検出した(
図30(B))。ヒトHCC組織において、CDH17を検出するために、免疫組織化学にLic5を使用した場合、細胞膜及び細胞質において、離散した染色が現れた(
図30(C))。この研究においてLic5を使用することによって生成した免疫組織化学的染色は、免疫組織化学にCDH17に対する市販の抗体を使用した以前の報告と類似していた。
【0157】
例11. Lic5の延命効果
【0158】
別の化学療法薬物エピルビシンに対するLic5の化学療法増感効果を調べた。同所性腫瘍異種移植モデルにおいて、Lic5の有り無しで、薬物試験を実施した。
【0159】
精製されたLic5で同所性腫瘍を有するマウスを処置する前に、細胞増殖MTTアッセイを使用して、インビトロの培養HCC細胞株における、単独での又はシスプラチン又はエピルビシンと組み合わせたときの、Lic5の抗腫瘍効果を調べた(
図31(A))。培養97L細胞に細胞増殖アッセイを実施したところ、シスプラチン及びエピルビシンでの2日間の処置は、それぞれ、31.6%及び21.9%の成長阻害を生じた。Lic5との併用は、シスプラチンについて1.74倍及びエピルビシンについて1.98倍、成長阻害効果をさらに増強し、それぞれ55.1%及び43.3%の成長阻害をもたらした(
図31(A)、左のパネル)。類似の成長阻害が培養PLC細胞において観察された。ここで、シスプラチンでの処置は37.6%の成長阻害をもたらし、Lic5との併用処置は、1.73倍(65.2%)、成長阻害をさらに増加させた。培養97L細胞でのエピルビシンの有意な成長阻害とは異なり、この薬物は、培養PLC細胞の成長を8.1%だけしか阻害しなかった。同様に、Lic5とのその併用は、成長阻害を4.62倍増強し、37.4%の有意な阻害をもたらした(
図31(B)、右のパネル)。
【0160】
タンパク質Gアフィニティークロマトグラフィーを使用して、Lic5分泌ハイブリドーマ細胞株の培養上清からLic5を精製した。
図31(A)は、クーマシーブルーで染色したゲル上で、6日目(D6)の培養上清(培養S/N)が1日目(D1)より高い抗体量を含有していたことを示す。抗体の重鎖及び軽鎖に対応する、約55kDa及び27kDaのサイズを有する2つの染色されたバンドを、ゲル上で可視化した。6日目の培養上清をタンパク質Gカラムに通した後のフロースルー(FT)中に抗体は検出されなかった。4つの画分(E1~E4)で抗体溶出を実施した。最も豊富な抗体は画分E2及びE3中に溶出され、これを回収しプールした。加えて、
図31(A)は、細胞増殖MTTアッセイにおいて、2日間のLic5、シスプラチン又はエピルビシンの単独処置が、マウスIgG処置細胞と比較して、培養97L及びPLC細胞の成長を阻害したことを示す。培養細胞を、Lic5のシスプラチン又はエピルビシンとの併用処置下で処置した場合に、さらなる成長阻害が観察された。バーは平均±SDを表す。
【0161】
図31(B)は、97L細胞溶解物のウエスタンブロットに精製されたLic5を使用したときに、CDH17の見かけの分子量に対応する単一のバンドが示されたことを示す。
図31(B)において、ルシフェラーゼ標識97L細胞を使用して、ヌードマウスにおいて同所性腫瘍異種移植が確立された。化学療法薬物シスプラチン及びエピルビシンの有り無しで、Lic5の単独及び併用処置を、これらの動物に3週間適用した。示したデータは、処置の3週間後に得られた対照IgG群に対する正味の光子カウント数である。単独処置は腫瘍成長阻害をもたらしたが、Lic5をシスプラチン又はエピルビシンと併用した場合には、腫瘍成長のさらなる減少が観察された。バーは平均+SEMを表す。
【0162】
図31(C)は、ヒトHCC組織での免疫組織化学のために精製されたLic5を使用したときに、CDH17の膜及び細胞質局在性に対応する離散した染色が検出されたことを示す。
図31(C)において、97L細胞を使用して、ヌードマウスにおいて同所性腫瘍異種移植が確立された。Lic5及びエピルビシンの単独又は併用処置でこれらの動物を処置した。カプラン・マイヤー曲線で明らかにされたように、Lic5及びエピルビシンの併用処置が最も好ましい生存をもたらした。併用処置群をマウスIgG対照群と比較した場合に、生存の統計学的有意差が達せられた(p=0.017)。使用される略語:C、シスプラチン;E、エピルビシン。**、p<0.05;ns、統計的に有意ではない
【0163】
細胞増殖MTTアッセイを使用することによって、培養HCC細胞に対する、シスプラチン及びエピルビシン処置へのLic5の化学療法増感効果を確認した後、次のステップは、動物腫瘍異種移植実験によって、インビボ環境において、類似の成長阻害を観察することができるかどうかを調べることであった。処置のための同所性腫瘍異種移植を開発するために、ルシフェラーゼ標識97L細胞を使用した。これにより、腫瘍成長のライブモニタリングが可能になる。IgG対照群と比較した場合、シスプラチン処置は異種移植片成長を48.6%阻害した。Lic5と併用した場合の当該処置は、異種移植片成長阻害を、1.64倍、79.6%まで、さらに増大させた。そのような阻害にも関わらず、併用処置データは、対照群と比較した場合に統計学的に有意な値をもたらさなかった(p=0.08)。エピルビシンについて、そのLic5との併用処置は、単独のエピルビシン処置の37.9%から、86.4%まで(すなわち2.28倍)の異種移植片成長のさらなる減少を示した。しかしながら、異種移植片成長におけるそのような低下は依然として、統計学的に有意な値に達しなかった(p=0.07)(
図31(B))。実験の最後に、CDH17の下流分子として知られ、Wntシグナル伝達経路の重要なメンバーである、アルファ-カテニンの発現及び局在性を分析するために、同所性腫瘍を回収した。Lic5のシスプラチン又はエピルビシンとの併用処置は両方共、化学療法薬物の単独処置と比較した場合に、アルファ-カテニンの全体的な発現及び細胞質局在性を低減した。そのような免疫組織化学的結果は、Lic5によって、アルファ-カテニンの発現及び局在性の改変に対するその作用を介して媒介される腫瘍抑制効果をさらに強化する。
【0164】
図31(B)に示されるように、対照群と比較した場合に、全ての処置群について、腫瘍成長減少の傾向が観察された。各処置群の同所性腫瘍を有するマウスの生存率を対照群と比較した。Lic5群の動物生存率は63.6%に達し、これは対照群の動物生存率(26.6%)よりもはるかに高かった。対照群とエピルビシン群との間で生存率は類似していた(26.6%対25%)が、Lic5及びエピルビシンの併用処置は、対照群と比較した場合に、全ての実験群の中で、生存率の81%への最も有意な増加をもたらした(p=0.017)(
図31(C))。しかしながら、シスプラチン群及びシスプラチン及びLic5の併用群についての生存のそのような有意差は、対照群と比較した場合に、統計学的に有意な値には達しなかった。まとめると、この一連の動物実験は、特にエピルビシンについての、腫瘍成長阻害及び生存率誘導に対するLic5の化学療法増感効果を示している。
【0165】
例13. Lic5の可変領域上のCDRの同定
【0166】
各モノクローナル抗体は、重鎖及び軽鎖上にその独特の可変領域を有し、これらの可変領域のそれぞれは、この抗体の抗原結合特性を決定するアミノ酸の配列から構成される。Lic5の重鎖及び軽鎖から可変領域配列を得るために、個別のプライマー対を使用して各可変領域を増幅した(
図32、左のパネル)。増幅産物のサンガー配列決定法の後、インシリコ法によってヌクレオチド配列をアミノ酸配列に翻訳した。推定アミノ酸配列を使用して、Lic5の重鎖及び軽鎖の可変領域上の3つのCDRを同定するために、Kabatナンバリングスキーム及びCDR定義を採用した(
図32、右のパネル)。PCRと、その次にサンガー配列決定法を使用して、Lic5分泌ハイブリドーマ細胞から調製したcDNAから、Lic5の軽鎖及び重鎖の可変領域配列を得た(
図32、左のパネル)。Kabatナンバリングスキーム及びCDR定義に基づいて、2つの可変領域(VL:配列番号29及びVH:配列番号30)上の6つのCDRを同定し、異なる色でハイライトした(
図32、右のパネル)。
【0167】
本例の結果は、HCC異種移植片の処置におけるLic5の抗腫瘍効果及び化学療法増感効果を示しており、これは、本明細書中に開示されるモノクローナル抗体が、HCCに加えて他のがんを処置するのにも有用であり得ることを示している。Lic5は、CDH17の組換えエクトドメイン1-2を免疫原として使用して、Lic3と並行して産生されたモノクローナル抗体であった。Lic5は、CDH17の細胞外領域を標的とし、治療目的のために使用される場合に、CDH17のインタクトな形態又はカルボキシル末端トランケート型形態に結合することができる。それ故に、Lic5は、CDH17過剰発現を伴う他のがんを標的とするために使用することができる。HCCに加えて、胃腺がん、食道腺がん、及び結腸直腸がんを含む多数のがんがCDH17を過剰発現することが見出されている。これらのがんのタイプの中でも、結腸直腸がん及び食道腺がんの大部分に、CDH17過剰発現が存在した。したがって、これらのCDH17過剰発現がんは、Lic5の作用を受けやすい可能性がある。CDH17抑制を実施するいくつかの研究は、処置後に培養細胞又は腫瘍異種移植片の成長が減少したことに現れているように、腫瘍形成を妨げた。したがって、腫瘍形成を妨げるためにCDH17を標的化することは、HCCに加えて、CDH17を過剰発現する他のがんにおいても良好に機能する。
【0168】
本例の結果は、CDH17がα-カテニン関連ネットワークと関連しているようであることを示している。一つの実施形態において、Lic5を使用してCDH17を標的化することは、α-カテニンなどの軸成分の発現及び局在性を妨害することによって、CDH17/α-カテニン軸を不活性化する。別のがんのタイプにおいて、CDH17の内因性インテグリン結合親和性のために、結腸直腸腫瘍形成の間に、CDH17はインテグリン関連経路に架橋された。CDH17は、Ras/Raf/MEK/ERK及びNFγBに関連する2つの他の腫瘍形成経路にも影響を及ぼす。そのため、その抑制は、胃がんにおいてこれらの経路を不活性化した。これらの所見を考慮すると、腫瘍形成を抑制するための手段として、Lic5もまたこれらの経路をブロックすることができるかどうかは、まだ決定されていない。
【0169】
Lic5の抗腫瘍効果を試験することに加えて、Lic5の重鎖及び軽鎖上の各可変領域上の3つのCDRを同定した。これらのCDRは、抗体結合親和性及び特異性の決定に関与している。
【0170】
医薬組成物
【0171】
用語「有効量」は、所望の効果を達成する、例えば、被験体において疾患を改善するのに有効な薬物の量を指す。疾患ががんである場合、有効量の薬物は、以下の特性の例のうち1又は複数を阻害する(例えば、ある程度遅延させる、阻害する又は停止させる)ことができ、特性の例としては、がん細胞成長、がん細胞増殖、がん細胞運動性、末梢器官へのがん細胞浸潤、腫瘍転移、及び腫瘍成長が含まれるが、これらに限定されない。疾患ががんである場合、有効量の薬物は、被験体に投与されたときに、以下のうち1又は複数を代替的に行うことができる:腫瘍成長を遅延又は停止させる、腫瘍サイズ(例えば、体積又は質量)を低減する、がんに関連する1又は複数の症候をある程度軽減する、進行のない生存期間を延長する、客観的応答(例えば、部分的な応答又は完全な応答を含む)をもたらす、及び全体の生存期間を増加させる。薬物が既存のがん細胞の成長を防止する及び/又は既存のがん細胞を殺滅することができる限り、その薬物は細胞増殖抑制性及び/又は細胞傷害性である。
【0172】
処置を必要とするヒト患者などの被験体に投与するのに適した組成物の処方に関して、本明細書中に開示される抗体は、選択された投与の経路に応じて、本分野において公知の医薬的に許容される担体と混合する又は組み合わせることができる。本明細書中に開示される抗体の適用様式には特に制限はなく、適した投与経路及び適した組成物の選択は、過度の実験をすることなく本分野において公知である。
【0173】
多くの形態の投与が可能であるが、投与形態の一例は、注射のための、具体的には静脈内又は動脈内注射のための溶液であろう。通常、注射に適した医薬組成物は、医薬的に適した担体又は添加剤を含んでよく、医薬的に適した担体又は添加剤には、バッファー、界面活性剤、又は安定化剤などがあるが、これらに限定されない。バッファーの例は、酢酸、リン酸又はクエン酸バッファーを含み得るが、これらに限定されない。界面活性剤の例は、ポリソルベートを含み得るが、これに限定されない。安定剤の例は、ヒトアルブミンを含み得るが、これに限定されない。
【0174】
同様に、当業者は、がんなどの状態を有効に処置するための、本明細書に開示される抗体の有効量又は濃度を決定する能力を有する。当業者は、過度の実験をすることなく、医薬組成物の様々な成分の割合、投与用量及び頻度などの他のパラメーターを得ることができる。例えば、注射に適した溶液は、1mlあたり約1~約20、約1~約10mgの抗体を含有し得るが、これらに限定されない。用量の例は、約0.1~約20、約1~約5mg/Kg体重であり得るが、これらに限定されない。投与頻度の例は、1日1回又は週3回であり得るが、これらに限定されない。
【0175】
特定の実施形態又は例を参照して本開示を説明してきたが、実施形態は例示的なものであり、開示範囲はそれらに限定されないことが理解されよう。本開示の代替の実施形態が、本開示が属する分野の当業者には明らかとなるであろう。そのような代わりの実施形態は本開示の範囲に包含されると考えられる。したがって、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義され、前述の説明によって支持される。
【0176】
要約すると、その可変ドメインがCDH17 mAbに由来するCDH17抗体の新規のパネルは、がん処置のための独特のCARの生成を可能にするだろう。CDH17抗体の細胞タイプ特異性は、正常細胞又は組織において発現されるCDH17と比較して、CDH17発現腫瘍細胞のより特異的な標的化を可能にし得る。1つのCARが腫瘍細胞上のCDH17に対してより特異的であり、第2のCARが同じ腫瘍細胞上の腫瘍関連抗原(TAA)に対して中程度に特異的である、2つのCARを発現するT細胞又はNK細胞もまた生成され得る。コンビナトリアル特異性は、腫瘍細胞シグネチャーのより選択的な標的化を可能にしている。代替的に、CDH17 CARは、異なるメカニズムを介して、中程度に特異的な腫瘍特異的TAA CARのより特異的な標的化を支持し得る。例えば、中程度に特異的な結腸又は胃がんTAA CARは、CD3ゼータエンドドメインに融合され得る。この第一世代CARは、頑強な殺滅応答を支持することはできず、1~数週間の短いインビボ半減期を有する。CDH17 CARは、CD28又はCD28及びCD137エンドドメインに融合させて共発現させることができ、これは、第一世代CARに強い共刺激シグナルを提供するだろう。CDH17 CARは、CDH17が通常発現されている結腸及び胃において、頑強な腫瘍殺滅応答に結合し活性化するだろう。共発現された第一世代CARは、結腸又は胃(又はCDH17が通常発現されている他の組織)において通常発現されていない標的を結合するために選択され、したがって、結腸又は胃がん細胞を殺滅するために選択的に活性化されるだろう。
【0177】
特定の実施形態を参照して本開示を説明してきたが、実施形態は例示的なものであり、開示の範囲はそれに限定されないことが理解されるだろう。本開示の代替の実施形態が、本開示が属する分野の当業者には明らかとなるであろう。そのような代わりの実施形態は、本開示の範囲に包含されると考えられる。したがって、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義され、前述の説明によって支持される。
【0178】
実施形態は、本開示を説明するためのものに過ぎず、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。本開示の原理から逸脱することなく、本開示の保護の下で、ある特定の改変及び改善がなされる可能性があり、考慮されるべきであることを、本技術分野の当業者は理解すべきである。
【配列表】