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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】電子機器、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/3231 20190101AFI20230510BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230510BHJP
   G06F 1/3218 20190101ALI20230510BHJP
   G06F 1/3287 20190101ALI20230510BHJP
   H04N 23/667 20230101ALI20230510BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20230510BHJP
【FI】
G06F1/3231
G06F3/01 510
G06F1/3218
G06F1/3287
H04N23/667
H04N23/60 500
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021199297
(22)【出願日】2021-12-08
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】小杉 和宏
(72)【発明者】
【氏名】西尾 匡史
(72)【発明者】
【氏名】志水 恵里
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-182526(JP,A)
【文献】特開平11-288259(JP,A)
【文献】特開2001-005550(JP,A)
【文献】特表2016-517087(JP,A)
【文献】特開2018-041477(JP,A)
【文献】特開2010-205054(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0208145(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/3231
H04N 23/60
H04N 23/667
G06F 3/01
G06F 1/3218
G06F 1/3287
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、
前記プログラムを実行することによりシステムの機能を実現する第1プロセッサと、
撮像部で撮像された画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出する第2プロセッサと、
前記第2プロセッサにより、前記顔領域が検出された場合には第1情報を出力し、前記顔領域が検出されない場合には第2情報を出力する第1処理と、前記第2プロセッサによる前記顔領域の検出にかかわらず前記第1情報を出力する第2処理とを切り替えて実行する第3プロセッサと、
を備え、
前記第1プロセッサは、
ユーザによる操作入力が一定時間無い場合、前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するとともに、前記第3プロセッサから前記第2情報を取得した場合、前記一定時間を待たずに前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限し、
前記第2プロセッサは、
前記撮像部で撮像された画像に基づいて前記撮像部の撮像方向が遮られたか否かを判定し、
前記第3プロセッサは、
前記第2プロセッサにより、前記撮像部の撮像方向が遮られていないと判定された場合には前記第1処理を実行し、前記撮像部の撮像方向が遮られたと判定された場合には前記第2処理を実行する、
電子機器。
【請求項2】
少なくとも撮像部を有する第1筐体と、
少なくとも入力部を有する第2筐体と、
前記第1筐体と第2筐体とを相対的に回動可能に接続する回動機構と、
システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、
前記プログラムを実行することによりシステムの機能を実現する第1プロセッサと、
前記撮像部で撮像された画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出する第2プロセッサと、
前記第2プロセッサにより、前記顔領域が検出された場合には第1情報を出力し、前記顔領域が検出されない場合には第2情報を出力する第1処理と、前記第2プロセッサによる前記顔領域の検出にかかわらず前記第1情報を出力する第2処理とを切り替えて実行する第3プロセッサと、
を備え、
前記第1プロセッサは、
ユーザによる操作入力が一定時間無い場合、前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するとともに、前記第3プロセッサから前記第2情報を取得した場合、前記一定時間を待たずに前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限し、
前記第3プロセッサは、
前記第1筐体と第2筐体とが相対的に回動されたときの回動角度が所定の範囲内である場合には前記第1処理を実行し、前記回動角度が所定の範囲外である場合には前記第2処理を実行する、
電子機器。
【請求項3】
システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、
前記プログラムを実行することによりシステムの機能を実現する第1プロセッサと、
撮像部で撮像された画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出するとともに、前記顔領域を検出した場合、前記顔領域内の顔に含まれる目からの視線の方向を検出する第2プロセッサと、
前記第2プロセッサにより、前記顔領域が検出され且つ前記視線の方向が所定の範囲内である場合には第1情報を出力し、前記顔領域が検出され且つ前記視線の方向が所定の範囲外である場合または前記顔領域が検出されない場合には第2情報を出力する第1処理と、前記第2プロセッサによる前記顔領域及び前記視線の方向の検出にかかわらず前記第1情報を出力する第2処理とを切り替えて実行する第3プロセッサと、
を備え、
前記第1プロセッサは、
ユーザによる操作入力が一定時間無い場合、前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するとともに、前記第3プロセッサから前記第2情報を取得した場合、前記一定時間を待たずに前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限し、
前記第2プロセッサは、
前記撮像部で撮像された画像に基づいて前記撮像部の撮像方向が遮られたか否かを判定し、
前記第3プロセッサは、
前記第2プロセッサにより、前記撮像部の撮像方向が遮られていないと判定された場合には前記第1処理を実行し、前記撮像部の撮像方向が遮られたと判定された場合には前記第2処理を実行する、
電子機器。
【請求項4】
少なくとも撮像部を有する第1筐体と、
少なくとも入力部を有する第2筐体と、
前記第1筐体と第2筐体とを相対的に回動可能に接続する回動機構と、
システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、
前記プログラムを実行することによりシステムの機能を実現する第1プロセッサと、
前記撮像部で撮像された画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出するとともに、前記顔領域を検出した場合、前記顔領域内の顔に含まれる目からの視線の方向を検出する第2プロセッサと、
前記第2プロセッサにより、前記顔領域が検出され且つ前記視線の方向が所定の範囲内である場合には第1情報を出力し、前記顔領域が検出され且つ前記視線の方向が所定の範囲外である場合または前記顔領域が検出されない場合には第2情報を出力する第1処理と、前記第2プロセッサによる前記顔領域及び前記視線の方向の検出にかかわらず前記第1情報を出力する第2処理とを切り替えて実行する第3プロセッサと、
を備え、
前記第1プロセッサは、
ユーザによる操作入力が一定時間無い場合、前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するとともに、前記第3プロセッサから前記第2情報を取得した場合、前記一定時間を待たずに前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限し、
電子機器。
前記第3プロセッサは、
前記第1筐体と第2筐体とが相対的に回動されたときの回動角度が所定の範囲内である場合には前記第1処理を実行し、前記回動角度が所定の範囲外である場合には前記第2処理を実行する、
電子機器。
【請求項5】
前記第3プロセッサは、
前記第1処理または前記第2処理を繰り返し実行し、前記第1処理を繰り返し実行する周期より前記第2処理を繰り返し実行する周期を長くする、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記プログラムを実行することによりシステムの機能を実現する第1プロセッサと、第2プロセッサと、第3プロセッサとを備える電子機器における制御方法であって、
前記第2プロセッサが、
撮像部で撮像された画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出するステップと、
前記第3プロセッサが、
前記第2プロセッサにより、前記顔領域が検出された場合には第1情報を出力し、前記顔領域が検出されない場合には第2情報を出力する第1処理と、前記第2プロセッサによる前記顔領域の検出にかかわらず前記第1情報を出力する第2処理とを切り替えて実行するステップと、
前記第1プロセッサが、
ユーザによる操作入力が一定時間無い場合、前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するステップと、
前記第3プロセッサから前記第2情報を取得した場合、前記一定時間を待たずに前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するステップと、
前記第2プロセッサが、
前記撮像部で撮像された画像に基づいて前記撮像部の撮像方向が遮られたか否かを判定するステップと、
前記第3プロセッサが、
前記第2プロセッサにより、前記撮像部の撮像方向が遮られていないと判定された場合には前記第1処理を実行し、前記撮像部の撮像方向が遮られたと判定された場合には前記第2処理を実行するステップと、
を含む制御方法。
【請求項7】
少なくとも撮像部を有する第1筐体と、少なくとも入力部を有する第2筐体と、前記第1筐体と第2筐体とを相対的に回動可能に接続する回動機構と、システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記プログラムを実行することによりシステムの機能を実現する第1プロセッサと、第2プロセッサと、第3プロセッサとを備える電子機器における制御方法であって、
前記第2プロセッサが、
前記撮像部で撮像された画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出するステップと、
前記第3プロセッサが、
前記第2プロセッサにより、前記顔領域が検出された場合には第1情報を出力し、前記顔領域が検出されない場合には第2情報を出力する第1処理と、前記第2プロセッサによる前記顔領域の検出にかかわらず前記第1情報を出力する第2処理とを切り替えて実行するステップと、
前記第1プロセッサが、
ユーザによる操作入力が一定時間無い場合、前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するステップと、
前記第3プロセッサから前記第2情報を取得した場合、前記一定時間を待たずに前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するステップと、
前記第3プロセッサが、
前記第1筐体と第2筐体とが相対的に回動されたときの回動角度が所定の範囲内である場合には前記第1処理を実行し、前記回動角度が所定の範囲外である場合には前記第2処理を実行するステップと、
を含む制御方法。
【請求項8】
システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記プログラムを実行することによりシステムの機能を実現する第1プロセッサと、第2プロセッサと、第3プロセッサとを備える電子機器における制御方法であって、
前記第2プロセッサが、
撮像部で撮像された画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出するとともに、前記顔領域を検出した場合、前記顔領域内の顔に含まれる目からの視線の方向を検出するステップと、
前記第3プロセッサが、
前記第2プロセッサにより、前記顔領域が検出され且つ前記視線の方向が所定の範囲内である場合には第1情報を出力し、前記顔領域が検出され且つ前記視線の方向が所定の範囲外である場合または前記顔領域が検出されない場合には第2情報を出力する第1処理と、前記第2プロセッサによる前記顔領域及び前記視線の方向の検出にかかわらず前記第1情報を出力する第2処理とを切り替えて実行するステップと、
前記第1プロセッサが、
ユーザによる操作入力が一定時間無い場合、前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するステップと、
前記第3プロセッサから前記第2情報を取得した場合、前記一定時間を待たずに前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するステップと、
前記第2プロセッサが、
前記撮像部で撮像された画像に基づいて前記撮像部の撮像方向が遮られたか否かを判定するステップと、
前記第3プロセッサが、
前記第2プロセッサにより、前記撮像部の撮像方向が遮られていないと判定された場合には前記第1処理を実行し、前記撮像部の撮像方向が遮られたと判定された場合には前記第2処理を実行するステップと、
を含む制御方法。
【請求項9】
少なくとも撮像部を有する第1筐体と、少なくとも入力部を有する第2筐体と、前記第1筐体と第2筐体とを相対的に回動可能に接続する回動機構と、システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記プログラムを実行することによりシステムの機能を実現する第1プロセッサと、第2プロセッサと、第3プロセッサとを備える電子機器における制御方法であって、
前記第2プロセッサが、
前記撮像部で撮像された画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出するとともに、前記顔領域を検出した場合、前記顔領域内の顔に含まれる目からの視線の方向を検出するステップと、
前記第3プロセッサが、
前記第2プロセッサにより、前記顔領域が検出され且つ前記視線の方向が所定の範囲内である場合には第1情報を出力し、前記顔領域が検出され且つ前記視線の方向が所定の範囲外である場合または前記顔領域が検出されない場合には第2情報を出力する第1処理と、前記第2プロセッサによる前記顔領域及び前記視線の方向の検出にかかわらず前記第1情報を出力する第2処理とを切り替えて実行するステップと、
前記第1プロセッサが、
ユーザによる操作入力が一定時間無い場合、前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するステップと、
前記第3プロセッサから前記第2情報を取得した場合、前記一定時間を待たずに前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するステップと、
前記第3プロセッサが、
前記第1筐体と第2筐体とが相対的に回動されたときの回動角度が所定の範囲内である場合には前記第1処理を実行し、前記回動角度が所定の範囲外である場合には前記第2処理を実行するステップと、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人物が近づくと使用可能な動作状態に遷移し、人物が離れると一部の機能を除いて停止した待機状態に遷移する電子機器がある。例えば、特許文献1には、赤外線センサを用いて赤外線の強弱を検知することにより、人物が近づいてきたか否か、或いは人物が離れたか否かを検出して電子機器の動作状態を制御する技術が開示されている。
【0003】
近年、コンピュータビジョンなどの発展により、画像から顔を検出する際の検出精度が高くなってきている。そのため、赤外線センサによる人物の検出に代えて、顔検出が利用され始めている。赤外線センサを用いる場合には人物であっても人物以外の物体であっても赤外線が反射して戻ってきてしまうが、顔検出を利用することで、単なる物体を人物と間違えて検出してしまうことを抑制することができる。例えば、パーソナルコンピュータなどの電子機器には、上述の顔検出用の画像を撮像するためのカメラが、電子機器を使用する人物が存在する側を撮像可能な位置に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-148895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子機器を使用する人物が存在しているにもかかわらず、電子機器の使用状況によっては、カメラの撮像画像から顔が検出されないことがある。例えば、電子機器に設けられているカメラには、プライバシー保護などの観点からカメラの撮像方向を物理的に遮蔽可能なカメラシャッター(カメラカバー)が備えられているものがある。このカメラシャッターを閉じることによりカメラの撮像方向を遮蔽してしまうと、電子機器を使用する人物が存在していても顔が検出されなくなる。また、カメラを手で覆った場合も同様にカメラの撮像方向が遮蔽されてしまうため顔が検出されなくなる。他にも、電子機器を使用する人物の位置とカメラが撮像する方向との関係などによっても、顔が検出されなくなることがある。電子機器を使用する人物が存在しているにもかかわらず顔が検出されなくなると、電子機器が待機状態に遷移してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、使用状況に応じて適切に動作状態を制御する電子機器、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1態様に係る電子機器は、システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記プログラムを実行することによりシステムの機能を実現する第1プロセッサと、撮像部で撮像された画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出する第2プロセッサと、前記第2プロセッサにより、前記顔領域が検出された場合には第1情報を出力し、前記顔領域が検出されない場合には第2情報を出力する第1処理と、前記第2プロセッサによる前記顔領域の検出にかかわらず前記第1情報を出力する第2処理とを切り替えて実行する第3プロセッサと、を備え、前記第1プロセッサは、ユーザによる操作入力が一定時間無い場合、前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するとともに、前記第3プロセッサから前記第2情報を取得した場合、前記一定時間を待たずに前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限する。
【0008】
また、本発明の第2態様に係る電子機器は、システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記プログラムを実行することによりシステムの機能を実現する第1プロセッサと、撮像部で撮像された画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出するとともに、前記顔領域を検出した場合、前記顔領域内の顔に含まれる目からの視線の方向を検出する第2プロセッサと、前記第2プロセッサにより、前記顔領域が検出され且つ前記視線の方向が所定の範囲内である場合には第1情報を出力し、前記顔領域が検出され且つ前記視線の方向が所定の範囲外である場合または前記顔領域が検出されない場合には第2情報を出力する第1処理と、前記第2プロセッサによる前記顔領域及び前記視線の方向の検出にかかわらず前記第1情報を出力する第2処理とを切り替えて実行する第3プロセッサと、を備え、前記第1プロセッサは、ユーザによる操作入力が一定時間無い場合、前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するとともに、前記第3プロセッサから前記第2情報を取得した場合、前記一定時間を待たずに前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限する。
【0009】
上記電子機器において、前記第2プロセッサは、前記撮像部で撮像された画像に基づいて前記撮像部の撮像方向が遮られたか否かを判定し、前記第3プロセッサは、前記第2プロセッサにより、前記撮像部の撮像方向が遮られていないと判定された場合には前記第1処理を実行し、前記撮像部の撮像方向が遮られたと判定された場合には前記第2処理を実行してもよい。
【0010】
上記電子機器は、少なくとも前記撮像部を有する第1筐体と、少なくとも入力部を有する第2筐体と、前記第1筐体と第2筐体とを相対的に回動可能に接続する回動機構と、を備え、前記第3プロセッサは、前記第1筐体と第2筐体とが相対的に回動されたときの回動角度が所定の範囲内である場合には前記第1処理を実行し、前記回動角度が所定の範囲外である場合には前記第2処理を実行してもよい。
【0011】
上記電子機器は、前記システムの機能に基づく映像を外部ディスプレイへ表示させるための映像データを出力する出力インターフェースを備え、前記第3プロセッサは、前記映像を前記外部ディスプレイへ表示させていない状態では前記第1処理を実行し、前記映像を前記外部ディスプレイへ表示させている状態では前記第2処理を実行してもよい。
【0012】
上記電子機器において、前記第3プロセッサは、前記第1処理または前記第2処理を繰り返し実行し、前記第1処理を繰り返し実行する周期より前記第2処理を繰り返し実行する周期を長くしてもよい。
【0013】
また、本発明の第3態様に係る、システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記プログラムを実行することによりシステムの機能を実現する第1プロセッサと、第2プロセッサと、第3プロセッサとを備える電子機器の制御方法は、前記第2プロセッサが、撮像部で撮像された画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出するステップと、前記第3プロセッサが、前記第2プロセッサにより、前記顔領域が検出された場合には第1情報を出力し、前記顔領域が検出されない場合には第2情報を出力する第1処理と、前記第2プロセッサによる前記顔領域の検出にかかわらず前記第1情報を出力する第2処理とを切り替えて実行するステップと、前記第1プロセッサが、ユーザによる操作入力が一定時間無い場合、前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するステップと、前記第3プロセッサから前記第2情報を取得した場合、前記一定時間を待たずに前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するステップと、を含む。
【0014】
また、本発明の第4態様に係る、システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記プログラムを実行することによりシステムの機能を実現する第1プロセッサと、第2プロセッサと、第3プロセッサとを備える電子機器の制御方法は、前記第2プロセッサが、撮像部で撮像された画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出するとともに、前記顔領域を検出した場合、前記顔領域内の顔に含まれる目からの視線の方向を検出するステップと、前記第3プロセッサが、前記第2プロセッサにより、前記顔領域が検出され且つ前記視線の方向が所定の範囲内である場合には第1情報を出力し、前記顔領域が検出され且つ前記視線の方向が所定の範囲外である場合または前記顔領域が検出されない場合には第2情報を出力する第1処理と、前記第2プロセッサによる前記顔領域及び前記視線の方向の検出にかかわらず前記第1情報を出力する第2処理とを切り替えて実行するステップと、前記第1プロセッサが、ユーザによる操作入力が一定時間無い場合、前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するステップと、前記第3プロセッサから前記第2情報を取得した場合、前記一定時間を待たずに前記システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記態様によれば、使用状況に応じて適切に電子機器の動作状態を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態に係る電子機器のHPD処理の概要を説明する図。
図2】第1の実施形態に係る電子機器の外観の構成例を示す斜視図。
図3】第1の実施形態に係るカメラシャッターの開状態の一例を示す図。
図4】第1の実施形態に係るカメラシャッターの閉状態の一例を示す図。
図5】第1の実施形態に係るユーザの手によってカメラの撮像方向が遮られている状態を示す図。
図6】第1の実施形態に係る電子機器のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
図7】第1の実施形態に係る電子機器の機能構成の一例を示すブロック図。
図8】第1の実施形態に係るHPD処理の一例を示すフローチャート。
図9】第1の実施形態に係るスリープ処理の一例を示すフローチャート。
図10】第2の実施形態に係る電子機器の機能構成の一例を示すブロック図。
図11】第2の実施形態に係るHPD処理の一例を示すフローチャート。
図12】第3の実施形態に係る電子機器の機能構成の一例を示すブロック図。
図13】第3の実施形態に係るHPD処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
[概要]
まず、第1の実施形態に係る電子機器1の概要について説明する。本実施形態に係る電子機器1は、例えば、ノート型のPC(Personal Computer;パーソナルコンピュータ)である。
【0018】
電子機器1は、システムの動作状態として少なくとも「通常動作状態」と「待機状態」とを有している。通常動作状態とは、特に制限なく処理の実行が可能な動作状態であり、例えば、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)で規定されているS0状態に相当する。
【0019】
待機状態とは、システムの少なくとも一部の機能の使用が制限されている状態である。例えば、待機状態は、スタンバイ状態またはスリープ状態などであり、Windows(登録商標)におけるモダンスタンバイや、ACPIで規定されているS3状態(スリープ状態)等に相当する状態であってもよい。なお、待機状態は、少なくとも表示部の表示がOFF(画面OFF)となる状態、または画面ロックとなる状態であってもよい。画面ロックとは、処理中の内容が視認できないように予め設定された画像(例えば、画面ロック用の画像)が表示部に表示され、ユーザ認証などによってロックを解除するまで使用できない状態である。つまり、待機状態は、例えば通常動作状態よりも消費電力が低くなる動作状態、ユーザが電子機器1の作業内容を視認できない状態、またはユーザが電子機器1を使用できない状態などのいずれかに相当する。
【0020】
また、システムの動作状態には、待機状態よりも更に消費電力が低い状態となる「停止状態」が含まれる。停止状態とは、例えばハイバネーション状態やパワーオフ状態等である。ハイバネーション状態は、例えば、ACPIで規定されているS4状態に相当する。パワーオフ状態は、例えば、ACPIで規定されているS5状態(シャットダウン状態)に相当する。
【0021】
以下では、システムの動作状態が待機状態または停止状態から通常動作状態へ遷移することを起動と呼ぶことがある。待機状態及び停止状態は、例えば、通常動作状態よりも動作の活性度が低いため、電子機器1のシステムを起動させることは、電子機器1におけるシステムの動作を活性化させることになる。
【0022】
図1は、本実施形態に係る電子機器1のHPD処理の概要を説明する図である。電子機器1は、電子機器1の近傍に存在する人物(即ちユーザ)を検出する。この人物の存在を検出する処理のことを、HPD(Human Presence Detection)処理と称する。電子機器1は、HPD処理により人物の存在の有無を検出し、検出結果に基づいて電子機器1のシステムの動作状態を制御する。例えば、電子機器1は、図1(A)に示すように、電子機器1の前(正面)に人物が存在しない状態(Absence)から存在する状態(Presence)への変化、即ち電子機器1へ人物が接近したこと(Approach)を検出した場合、ユーザが接近したと判定し、自動でシステムを起動して通常動作状態へ遷移させる。また、電子機器1は、図1(B)に示すように、電子機器1の前に人物が存在している状態(Presence)では、ユーザが存在すると判定し、通常動作状態を継続させる。そして、電子機器1は、図1(C)に示すように、電子機器1の前(正面)に人物が存在している状態(Presence)から存在しない状態(Absence)への変化、即ち電子機器1から人物が離脱したこと(Leave)を検出した場合には、ユーザが離脱したと判定し、システムを待機状態へ遷移させる。
【0023】
例えば、電子機器1は、顔検出の機能を有しており、前方(正面側)を撮像した撮像画像から顔が撮像されている顔領域を検出することにより、電子機器1の前(正面)にユーザが存在するか否かを判定する。電子機器1は、撮像画像から顔領域が検出された場合、ユーザが存在すると判定する。一方、電子機器1は、撮像画像から顔領域が検出されなかった場合、ユーザが存在しないと判定する。即ち、電子機器1は、撮像画像から顔領域が検出されない状態から検出された場合、電子機器1へユーザが接近したこと(Approach)を検出し、システムを通常動作状態へ遷移させる。また、電子機器1は、撮像画像から顔領域が検出されている状態から検出されなくなった場合、電子機器1からユーザが離脱したこと(Leave)を検出し、システムを待機状態へ遷移させる。
【0024】
[電子機器の外観構成]
図2は、本実施形態に係る電子機器1の外観の構成例を示す斜視図である。
電子機器1は、第1筐体10、第2筐体20、及びヒンジ機構15を備える。第1筐体10と第2筐体20は、ヒンジ機構15を用いて結合されている。第1筐体10は、第2筐体20に対して、ヒンジ機構15がなす回転軸の周りに相対的に回動可能である。第1筐体10と第2筐体20との回動による開き角を「θ」として図示している。
【0025】
第1筐体10は、Aカバー、ディスプレイ筐体とも呼ばれる。第2筐体20は、Cカバー、システム筐体とも呼ばれる。以下の説明では、第1筐体10と第2筐体20の側面のうち、ヒンジ機構15が備わる面を、それぞれ側面10c、20cと呼ぶ。第1筐体10と第2筐体20の側面のうち、側面10c、20cとは反対側の面を、それぞれ側面10a、20aと呼ぶ。図示において、側面20aから側面20cに向かう方向を「後」と呼び、側面20cから側面20aに向かう方向を「前」と呼ぶ。後方に対して右方、左方を、それぞれ「右」、「左」と呼ぶ。第1筐体10、第2筐体20の左側面をそれぞれ側面10b、20bと呼び、右側面をそれぞれ側面10d、20dと呼ぶ。また、第1筐体10と第2筐体20とが重なり合って完全に閉じた状態(開き角θ=0°の状態)を「閉状態」と呼ぶ。閉状態において第1筐体10と第2筐体20との互いに対面する側の面を、それぞれの「内面」と呼び、内面に対して反対側の面を「外面」と呼ぶ。また、閉状態に対して第1筐体10と第2筐体20とが開いた状態のことを「開状態」と呼ぶ。
【0026】
図2に示す電子機器1の外観は開状態の例を示している。開状態は、第1筐体10の側面10aと第2筐体20の側面20aとが離れた状態である。開状態では、第1筐体10と第2筐体20とのそれぞれの内面が表れる。開状態はユーザが電子機器1を使用する際の状態の一つであり、典型的には開き角θ=100~130°程度の状態で使用されることが多い。なお、開状態となる開き角θの範囲は、ヒンジ機構15よって回動可能な角度の範囲等に応じて任意に定めることができる。
【0027】
第1筐体10の内面には、表示部110が設けられている。表示部110は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどを含んで構成されている。また、第1筐体10の内面のうち表示部110の周縁の領域に、カメラ120が設けられている。例えば、カメラ120は、表示部110の周縁の領域のうち側面20a側に配置されている。なお、カメラ120が配置される位置は一例であって、第1筐体10の内面に対面する方向(前方)を向くことが可能であれば他の場所であってもよい。
【0028】
カメラ120は、開状態において、第1筐体10の内面に対面する方向(前方)の所定の撮像範囲を撮像する。所定の撮像範囲とは、カメラ120が有する撮像素子と撮像素子の撮像面の前方に設けられた光学レンズとによって定まる画角の範囲である。例えば、カメラ120は、電子機器1の前(正面)に存在する人物(ユーザ)を含む画像を撮像することができる。電子機器1は、このカメラ120が撮像した撮像画像の中から顔領域を検出することによりHPD処理を行い、図1を参照して説明したようにシステムの動作状態を制御する。
【0029】
また、第2筐体20の側面20bには、電源ボタン140が設けられている。電源ボタン140は、電源オン(停止状態から通常動作状態へ遷移)や、電源オフ(通常動作状態から停止状態への遷移)をユーザが指示するための操作子である。また、第2筐体20の内面には、キーボード151及びタッチパッド153が入力デバイスとして設けられている。なお、入力デバイスとして、キーボード151及びタッチパッド153に代えて、または加えて、タッチセンサが含まれてもよいし、マウスや外付けのキーボードが接続されてもよい。タッチセンサが設けられた構成の場合、表示部110の表示面に対応する領域が操作を受け付けるタッチパネルとして構成されてもよい。また、入力デバイスには、音声が入力されるマイクが含まれてもよい。
【0030】
なお、第1筐体10と第2筐体20とが閉じた閉状態では、第1筐体10の内面に設けられている表示部110、及びカメラ120と、第2筐体20の内面に設けられているキーボード151及びタッチパッド153は、互いに他方の筐体面で覆われ、機能を発揮できない状態となる。
【0031】
[カメラのシャッター構成]
次に、カメラ120に設けられているカメラシャッターの構成について説明する。カメラ120には、ユーザの操作によって撮像方向を物理的に遮蔽することが可能なカメラシャッターが設けられている。図3及び図4は、本実施形態に係るカメラシャッターの一例を示す図である。カメラシャッター120Sは、第1筐体10に設けられているカメラ120の撮像方向を遮蔽する位置へ移動(図3の矢印Y1が示す方向へのスライド移動)が可能なように設けられている。図3は、カメラシャッター120Sが開いている状態であり、カメラ120の撮像方向が遮蔽されていない状態を示している。一方、図4は、カメラシャッター120Sが図3に示す状態から矢印Y1が示す方向へ移動して閉じた状態にあり、カメラ120の撮像方向が遮蔽されている状態を示している。
【0032】
例えば、図1を参照して説明したように、電子機器1は、通常動作状態において撮像画像から顔領域が検出されている状態から検出されなくなった場合、電子機器1からユーザが離脱したこと(Leave)を検出し、システムを待機状態へ遷移させる。しかしながら、図4に示すように、カメラシャッター120Sによってカメラ120の撮像方向が遮られた状態では、電子機器1の前(正面)にユーザが存在していても、カメラ120が撮像した撮像画像にユーザが写らないため、撮像画像の中から顔領域が検出されなくなる。
【0033】
また、図5は、ユーザの手によってカメラ120の撮像方向が遮られている状態を示す図である。この図に示す場合も同様に、電子機器1の前(正面)にユーザが存在していても、カメラ120が撮像した撮像画像にユーザが写らないため、撮像画像の中から顔領域が検出されなくなる。
【0034】
そこで、本実施形態では、撮像方向が遮られているか否かを判定し、遮られている状態では撮像画像の中から顔領域が検出されなくとも、システムを待機状態へ遷移させないように制御する。以下の、本実施形態の構成及び処理について詳しく説明する。
【0035】
[電子機器のハードウェア構成]
図6は、本実施形態に係る電子機器1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。この図6において、図2の各部に対応する構成には同一の符号を付している。電子機器1は、表示部110、カメラ120、加速度センサ130、電源ボタン140、入力デバイス150、映像出力端子160、EC(Embedded Controller)200、顔検出部210、システム処理部300、通信部350、記憶部360、及び電源部400を含んで構成される。表示部110は、システム処理部300により実行されるシステム処理及びシステム処理上で動作するアプリケーションプログラムの処理等に基づいて生成された表示データ(画像)を表示する。
【0036】
カメラ120は、第1筐体10の内面に対面する方向(前方)の所定の画角内の物体の像を撮像し、撮像した画像をシステム処理部300及び顔検出部210へ出力する。カメラ120は、通常のカメラであってもよいし、赤外線カメラであってもよい。通常のカメラとは、撮像素子として可視光線を受光する可視光センサを備えるカメラ(例えば、RGBカメラ)である。赤外線カメラとは、撮像素子として赤外線を受光する赤外線センサを備えるカメラである。カメラ120は、撮像した撮像画像の画像データをシステムメモリ310に一時的に記憶させる。
【0037】
加速度センサ130は、電子機器1の重力方向に対する向きを検出し、検出結果を示す検出信号をEC200へ出力する。例えば、加速度センサ130は、第1筐体10と第2筐体20とのそれぞれに設けられており、第1筐体10の向きと第2筐体20の向きとを検出し、検出結果を示す検出信号をEC200へ出力する。この第1筐体10の向きと第2筐体20の向きとの検出結果に基づいて、電子機器1の開閉状態および第1筐体10と第2筐体20との開き角θなどを検出することが可能である。なお、加速度センサ130に代えて又は加えて、ジャイロセンサ、傾斜センサ、地磁気センサなどが備えられてもよい。
【0038】
電源ボタン140は、ユーザの操作に応じて操作信号をEC200へ出力する。入力デバイス150は、ユーザの入力を受け付ける入力部であり、例えばキーボード151及びタッチパッド153を含んで構成されている。入力デバイス150は、キーボード151及びタッチパッド153に対する操作を受け付けることに応じて、操作内容を示す操作信号をEC200へ出力する。
【0039】
映像出力端子160は、外部ディスプレイ(表示装置)に接続するための接続端子である。例えば、映像出力端子160は、HDMI(登録商標)端子、USB Type-C端子、ディスプレイポートなどである。
【0040】
電源部400は、電子機器1の各部の動作状態に応じて各部へ電力を供給するための電源系統を介して電力を供給する。電源部400は、DC(Direct Current)/DCコンバータを備える。DC/DCコンバータは、AC(Alternate Current)/DCアダプタもしくは電池パックから供給される直流電力の電圧を、各部で要求される電圧に変換する。DC/DCコンバータで電圧が変換された電力が各電源系統を介して各部へ供給される。例えば、電源部400は、EC200から入力される各部の動作状態に応じた制御信号に基づいて各電源系統を介して各部に電力を供給する。
【0041】
EC200は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュROM、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、およびデジタル入出力端子などを含んで構成されたマイクロコンピュータである。例えば、EC200のCPUは、自部または外部のROMに予め記憶された制御プログラム(ファームウェア)を読み出し、読み出した制御プログラムを実行して、その機能を発揮する。EC200は、加速度センサ130、電源ボタン140、入力デバイス150、顔検出部210、システム処理部300、および電源部400などと接続されている。
【0042】
例えば、EC200は、電源ボタン140に対するユーザの操作に応じた操作信号を受取ると、システム処理部300に対するシステムの起動の指示などを行う。また、EC200は、顔検出部210による検出結果に基づいて、システムの起動の指示や動作状態の遷移の指示を行う。また、EC200は、電源部400と通信を行うことにより、バッテリーの状態(残容量など)の情報を電源部400から取得するとともに、電子機器1の各部の動作状態に応じた電力の供給を制御するための制御信号などを電源部400へ出力する。
【0043】
また、EC200は、入力デバイス150などから操作信号を取得し、取得した操作信号のうちシステム処理部300の処理に必要な操作信号についてはシステム処理部300へ出力する。また、EC200は、加速度センサ130から検出信号を取得し、取得した検出信号に基づいて、電子機器1の向き(第1筐体10および第2筐体20の向き)や、第1筐体10と第2筐体20との開き角θなどを検出する。
【0044】
なお、EC200の機能の一部は、センサハブまたはチップセットなどとして構成されてもよい。
【0045】
顔検出部210は、カメラ120により撮像された撮像画像の画像データを処理するプロセッサである。例えば、顔検出部210は、カメラ120により撮像された撮像画像を取得し、取得した撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出する顔検出処理を実行する。また、顔検出部210は、顔検出処理の検出結果に基づいて、電子機器1の前方にユーザ(人物)が存在するか否かを検出し、検出結果を出力するHPD処理を実行する。
【0046】
システム処理部300は、CPU(Central Processing Unit)302、GPU(Graphic Processing Unit)304、メモリコントローラ306、I/O(Input-Output)コントローラ308、及びシステムメモリ310を含んで構成され、OS(Operating System)に基づくシステム処理によって、OS上で各種のアプリケーションプログラムの処理が実行可能である。CPU302とGPU304をプロセッサと総称することがある。
【0047】
CPU302は、OSによる処理や、OS上で動作するアプリケーションプログラムによる処理を実行する。また、CPU302は、EC200からの指示によりシステムの動作状態を遷移させる。例えば、CPU302は、動作状態が停止状態または待機状態であって、EC200から起動の指示を受けると、停止状態または待機状態から通常動作状態に遷移させる起動処理を実行する。また、CPU302は、通常動作状態において待機状態への指示を受取ると、通常動作状態から待機状態に遷移させる。また、CPU302は、通常動作状態においてシャットダウンの指示を受取ると、通常動作状態から停止状態に遷移させるシャットダウン処理を実行する。
【0048】
また、CPU302は、起動処理において、OSの利用を許可するか否かを判定するログイン処理を実行する。CPU302は、OSによる起動処理を開始すると、OSの利用を許可する前にログイン処理を実行し、ログイン処理でログインを許可するまで、通常動作状態への遷移を一旦停止する。ログイン処理では、電子機器1を使用する人物が予め登録された正規のユーザであるか否かを判定するユーザ認証処理が行われる。認証には、パスワード認証、顔認証、指紋認証などがある。
【0049】
CPU302は、認証結果が成功であった場合、ログインを許可し、一旦停止していたシステム処理の実行を再開する。一方、認証結果が失敗であった場合、ログインを許可せず、システム処理の実行を停止したままにする。
【0050】
GPU304は、表示部110に接続されている。GPU304は、CPU302の制御に基づいて画像処理を実行して表示データを生成する。GPU304は、生成した表示データを表示部110に出力する。なお、CPU302とGPU304は、一体化して1個のコアとして形成されてもよいし、個々のコアとして形成されたCPU302とGPU304の相互間で負荷が分担されてもよい。プロセッサの数は、1個に限られず、複数個であってもよい。
【0051】
メモリコントローラ306は、CPU302とGPU304によるシステムメモリ310、記憶部360などからのデータの読出し、書込みを制御する。
I/Oコントローラ308は、通信部350、表示部110およびEC200からのデータの入出力を制御する。
システムメモリ310は、プロセッサの実行プログラムの読み込み領域ならびに処理データを書き込む作業領域として用いられる。また、システムメモリ310は、カメラ120で撮像された撮像画像の画像データを一時的に記憶する。
【0052】
通信部350は、無線または有線による通信ネットワークを介して他の機器と通信可能に接続し、各種のデータの送信および受信を行う。例えば、通信部350は、イーサネット(登録商標)等の有線LANインターフェースやWi-Fi(登録商標)等の無線LANインターフェース等を含んで構成されている。
【0053】
記憶部360は、HDD(Hard Disk Drive)、SDD(Solid State Drive)、ROM、フラッシュROMなどの記憶媒体を含んで構成される。記憶部360は、OS、デバイスドライバ、アプリケーションなどの各種のプログラム、その他、プログラムの動作により取得した各種のデータを記憶する。
【0054】
なお、システム処理部300は、SOC(System on a chip)として1つのパッケージで構成されてもよいし、一部の機能がチップセットまたはセンサハブなど別の部品として構成されてもよい。
【0055】
[機能構成]
次に、電子機器1が、HPD処理によりシステムの動作状態を制御する機能構成について説明する。なお、以下の説明では、システムを通常動作状態から待機状態へ遷移させる処理(以下、「スリープ処理」と称する)を実行する機能構成について主に詳しく説明する。
【0056】
図7は、本実施形態に係る電子機器1の機能構成の一例を示すブロック図である。電子機器1は、顔検出部210と、動作制御部220と、スリープ処理部320とを備えている。顔検出部210は、図6に示す顔検出部210に対応する。動作制御部220は、図6に示すEC200が制御プログラムを実行することにより実現される機能構成である。スリープ処理部320は、図6に示すシステム処理部300がOSのプログラムを実行することにより実現される機能構成である。
【0057】
顔検出部210は、顔検出処理部211と、HPD処理部212と、カメラ状態判定部213とを備えている。顔検出処理部211は、所定の時間間隔でカメラ120により撮像された撮像画像の画像データをシステムメモリ310から読み出すことにより、所定の時間間隔で撮像されたそれぞれの撮像画像に対して画像処理および画像解析などを行う。
【0058】
例えば、顔検出処理部211は、所定の時間間隔で撮像されたそれぞれの撮像画像の中から顔領域を検出する。顔の検出方法としては、顔の特徴情報を基に顔を検出する顔検出アルゴリズムや、顔の特徴情報を基に機械学習された学習データ(学習済みモデル)や顔検出ライブラリなどを用いた任意の検出方法を適用することができる。また、所定の時間間隔は、例えば15秒間隔または10秒間隔などとすることができるが、任意の時間間隔に設定することができる。なお、最短の時間間隔の場合には、連続するすべてのフレーム単位で検出することになる。顔検出処理部211は、撮像画像のそれぞれから顔領域を検出し、検出した顔領域の座標情報などを出力する。
【0059】
HPD処理部212は、顔検出処理部211により撮像画像から顔領域が検出されるか否かに基づいて、電子機器1の前方にユーザが存在するか否かを判定する。例えば、HPD処理部212は、顔検出処理部211により撮像画像から顔領域が検出された場合、電子機器1の前方にユーザが存在すると判定する。一方、HPD処理部212は、顔検出処理部211により撮像画像から顔領域が検出されない場合、電子機器1の前方にユーザが存在しないと判定する。そして、HPD処理部212は、電子機器1の前方にユーザが存在するか否かの判定結果に基づくHPD情報を出力する。
【0060】
例えば、HPD処理部212は、電子機器1の前方にユーザが存在してない状態から存在する状態へ判定結果が変化した場合、電子機器1へユーザが接近したことを示すHPD情報(以下、「アプローチ(Approach)情報」と称する)を出力する。また、HPD処理部212は、電子機器1の前にユーザが存在する状態と判定している間、電子機器1の前にユーザが存在することを示すHPD情報(以下、「プレゼンス(Presence)情報」と称する)を出力する。また、HPD処理部212は、電子機器1の前方にユーザが存在している状態から存在しない状態へ検出状態が変化した場合、電子機器1からユーザが離脱したことを示すHPD情報(以下、「リーブ(Leave)情報」と称する)を出力する。HPD処理部212は、顔検出処理部211による顔領域の検出結果に基づいて、アプローチ情報、プレゼンス情報、またはリーブ情報を動作制御部220へ出力する。
【0061】
カメラ状態判定部213は、所定の時間間隔でカメラ120により撮像されたそれぞれの撮像画像に基づいて、カメラ120の撮像方向が遮られているか否かを判定する。カメラ120の撮像方向が遮られている状態とは、図4に示すようにカメラシャッター120Sが閉じた状態、又は図5に示すように、ユーザの手によってカメラ120の撮像方向が遮られている状態などである。
【0062】
例えば、カメラ状態判定部213は、カメラ120により撮像された撮像画像ごとに所定割合(例えば、90%)以上の画像領域が黒の領域であるか否かを判定する。カメラ120によって所定の時間間隔で撮像された撮像画像の画像データをシステムメモリ310から読み出し、読み出した画像データの撮像画像の所定割合(例えば、90%)以上が黒であるか否かを判定する。例えば、カメラ状態判定部213は、撮像画像において輝度値が所定値未満である画素を黒と判定する。一例として、カメラ状態判定部213は、輝度値0(黒)~輝度値255(白)の256階調において、輝度値10未満の場合に黒と判定する。
【0063】
また、カメラ状態判定部213は、撮像画像の所定割合以上が黒であると判定した場合、撮像画像の所定割合以上が黒である状態が所定時間(例えば、10秒)継続したか否かを判定する。そして、カメラ状態判定部213は、撮像画像の所定割合以上が黒である状態が所定時間継続したと判定した場合、カメラ120の撮像方向が遮られていると判定する。一方、カメラ状態判定部213は、撮像画像の所定割合以上が黒では無いと判定した場合、または撮像画像の所定割合以上が黒である状態が所定時間継続していないと判定した場合、カメラ120の撮像方向が遮られていないと判定する。カメラ状態判定部213は、カメラ120の撮像方向が遮られているか否かの判定結果を示す情報(以下、「カメラ状態情報」と称する)を動作制御部220へ出力する。
【0064】
動作制御部220は、顔検出部210による検出結果に基づいて、システム処理部300に対して、システムの動作状態を制御するための指示を行う。例えば、動作制御部220は、顔検出部210(HPD処理部212)から出力されたアプローチ情報、プレゼンス情報、またはリーブ情報を取得する。また、動作制御部220は、顔検出部210(カメラ状態判定部213)から出力されたカメラ状態情報を取得する。
【0065】
例えば、動作制御部220は、待機状態において、アプローチ情報を取得した場合、待機状態から通常動作状態へ遷移させる指示を行う。例えば、動作制御部220は、システムを起動させる指示をシステム処理部300へ行う。より具体的には、動作制御部220は、システムを起動させる場合、電源部400に対して、電子機器1の各部の動作に必要な電力を供給するための制御信号を出力する。その後、動作制御部220は、システム処理部300にシステムの起動を指示するための起動信号を出力する。システム処理部300は、起動信号を取得すると、システムを起動して待機状態から通常動作状態へ遷移させる。
【0066】
また、動作制御部220は、HPD情報出力部222を備えている。HPD情報出力部222は、通常動作状態において、顔検出部210(カメラ状態判定部213)から取得したカメラ状態情報に基づいて、顔検出有効モードと顔検出無効モードとを切り替えて実行する。例えば、HPD情報出力部222は、カメラ状態情報に基づいて、カメラ120の撮像方向が遮られていない状態である場合、顔検出有効モードを実行する。一方、HPD情報出力部222は、カメラ状態情報に基づいて、カメラ120の撮像方向が遮られている状態である場合、顔検出無効モードを実行する。
【0067】
顔検出有効モードでは、HPD情報出力部222は、顔検出部210からプレゼンス情報を取得した場合にはプレゼンス情報をHPD情報としてシステム処理部300へ出力し、顔検出部210からリーブ情報を取得した場合にはリーブ情報をHPD情報としてシステム処理部300へ出力する。即ち、顔検出有効モードでは、HPD情報出力部222は、顔検出部210により撮像画像から顔領域が検出された場合にはプレゼンス情報を出力し、顔領域が検出されない場合にはリーブ情報を出力する。
【0068】
一方、顔検出無効モードでは、HPD情報出力部222は、顔検出部210からのHPD情報の出力にかかわらず、プレゼンス情報をシステム処理部300へ出力する。即ち、顔検出無効モードでは、HPD情報出力部222は、撮像画像からの顔領域の検出にかかわらず、プレゼンス情報を出力する。
【0069】
スリープ処理部320は、システムを通常動作状態から待機状態へ遷移させるスリープ処理を実行する。スリープ処理部320は、計時部321と、HPD情報取得部322と、スリープ制御部323とを備えている。
【0070】
計時部321は、通常動作状態において、最後の操作入力からの経過時間を計測するタイマを含んで構成されている。ユーザによる操作入力が検出される度に、計時部321のタイマはリセットされる。ユーザによる操作入力とは、例えば、入力デバイス150に対するユーザの操作による操作入力である。
【0071】
HPD情報取得部322は、動作制御部220(HPD情報出力部222)から出力されたHPD情報を取得する。例えば、HPD情報取得部322は、通常動作状態において、動作制御部220からプレゼンス情報またはリーブ情報を取得する。
【0072】
スリープ制御部323は、OSの機能として、通状態動作状態においてユーザによる操作入力が一定時間無い場合に、システムを通状態動作状態から待機状態へ遷移させる。例えば、スリープ制御部323は、入力デバイス150に対する操作の有無についての情報をEC200から取得し、入力デバイス150に対する操作があった場合には、計時部321のタイマをリセットする。そして、スリープ制御部323は、計時部321が計測する経過時間が予め設定されたスリープ時間に達したか否かを判定し、スリープ時間に達した場合には、ユーザによる操作入力が一定時間無いと判断してシステムを通状態動作状態から待機状態へ遷移させる。スリープ時間は、例えば5分などに設定されている。なお、スリープ時間は、ユーザが任意の時間に設定することも可能である。
【0073】
また、スリープ制御部323は、HPD情報取得部322がリーブ情報を取得した場合、リーブ情報を取得したことに応じて、システムを通状態動作状態から待機状態へ遷移させる。即ち、スリープ制御部323は、HPD情報取得部322がリーブ情報を取得した場合、ユーザによる操作入力が無い状態での一定時間を待たずに、システムを通状態動作状態から待機状態へ遷移させる。一方、スリープ制御部323は、HPD情報取得部322がプレゼンス情報を取得している間は、通状態動作状態を継続させる。
【0074】
これにより、電子機器1は、カメラ120の撮像方向が遮られていない状態では、撮像画像から顔領域が検出されなくなるとシステムを通状態動作状態から待機状態へ遷移させ、カメラ120の撮像方向が遮られたことにより撮像画像から顔領域が検出されなくなった場合には、システムを待機状態へ遷移させずに通状態動作状態を継続させることができる。
【0075】
なお、スリープ制御部323は、HPD情報取得部322がリーブ情報を取得した場合、HPD情報取得部322が所定時間(例えば、30秒)継続してリーブ情報を取得したことを条件として、システムを通状態動作状態から待機状態へ遷移させてもよい。つまり、スリープ制御部323は、HPD情報取得部322がリーブ情報を取得した場合でも、HPD情報取得部322が所定時間経過するまでにプレゼンス情報を取得した場合には、通状態動作状態を継続してもよい。これにより、電子機器1は、ユーザが少しだけ離れてすぐに戻るような状況では通状態動作状態を継続するため、ユーザが使用を中断する意図がないのに待機状態へ遷移してしまうことがなく、利便性が良い。
【0076】
[HPD処理の動作]
次に、図8を参照して、EC200(動作制御部220)が通常動作状態において顔検出有効モードと顔検出無効モードとを切り替えてHPD情報を出力するHPD処理の動作について説明する。
図8は、本実施形態に係るHPD処理の一例を示すフローチャートである。
【0077】
(ステップS101)EC200は、顔検出部210から取得したカメラ状態情報に基づいて、カメラ120の撮像方向が遮られているか否かを判定する。EC200は、カメラ120の撮像方向が遮られていない状態であると判定した場合(NO)、ステップS103の処理へ進む。一方、EC200は、顔検出部210から取得したカメラ状態情報に基づいて、カメラ120の撮像方向が遮られているか否かを判定する。EC200は、カメラ120の撮像方向が遮られている状態であると判定した場合(YES)、ステップS111の処理へ進む。
【0078】
(ステップS103)EC200は、顔検出有効モードに設定して、ステップS105の処理へ進む。
【0079】
(ステップS105)顔検出有効モードでは、EC200は、顔検出部210による顔領域の検出結果に応じて、プレゼンス情報またはリーブ情報をシステム処理部300へ出力する。具体的には、EC200は、顔検出部210からプレゼンス情報を取得した場合にはプレゼンス情報をシステム処理部300へ出力し、リーブ情報を取得した場合にはリーブ情報をシステム処理部300へ出力する。そして、ステップS101の処理へ戻り、HPD処理を繰り返す。
【0080】
(ステップS111)EC200は、顔検出無効モードに設定して、ステップS113の処理へ進む。
【0081】
(ステップS113)顔検出無効モードでは、EC200は、プレゼンス情報をシステム処理部300へ出力する。そして、ステップS115の処理へ進む。
【0082】
(ステップS115)EC200は、所定時間(例えば、1秒)待機してから、ステップS101の処理へ戻り、HPD処理を繰り返す。顔検出無効モードでは顔検出処理の結果をHPD処理に反映しないため、顔検出有効モードに対して処理の周期を長くする。これにより、消費電力を削減することができる。なお、顔検出無効モードでは顔検出有効モードに対して検出のフレームレートが低く設定されても良い。
【0083】
[スリープ処理の動作]
次に、図9を参照して、CPU302(スリープ制御部323)が通常動作状態において実行するスリープ処理の動作について説明する。図9は、本実施形態に係るスリープ処理の一例を示すフローチャートである。
【0084】
(ステップS151)CPU302は、EC200からプレゼンス情報を取得したか否かを判定する。CPU302は、プレゼンス情報を取得したと判定した場合(YES)、ステップS153の処理へ進む。一方、CPU302は、プレゼンス情報を取得していないと判定した場合(NO)、ステップS155の処理へ進む。
【0085】
(ステップS153)CPU302は、プレゼンス情報を取得している間、ユーザによる最後の操作入力から一定時間経過したか否かを判定する。例えば、CPU302は、ユーザによる最後の操作入力からの経過時間が予め設定されたスリープ時間(例えば、5分)に達したか否かを判定することにより、ユーザによる最後の操作入力から一定時間経過したか否かを判定する。CPU302は、ユーザによる最後の操作入力から一定時間経過していないと判定した場合(NO)、ステップS151の処理へ戻る。一方、CPU302は、ユーザによる最後の操作入力から一定時間経過したと判定した場合(YES)、ユーザによる操作入力が一定時間無いと判断して、システムを通状態動作状態から待機状態へ遷移させる(ステップS157)。
【0086】
(ステップS155)CPU302は、EC200からリーブ情報を取得したか否かを判定する。CPU302は、リーブ情報を取得していないと判定した場合(NO)、ステップS151の処理へ戻る。一方、CPU302は、リーブ情報を取得したと判定した場合(YES)、システムを通状態動作状態から待機状態へ遷移させる(ステップS157)。
【0087】
なお、ステップS155において、CPU302は、EC200からリーブ情報を所定時間(例えば、30秒)継続して取得した場合に、システムを通状態動作状態から待機状態へ遷移させてもよい。
【0088】
[第1の実施形態のまとめ]
以上説明してきたように、本実施形態に係る電子機器1は、システムメモリ310(メモリの一例)と、CPU302(第1プロセッサの一例)と、顔検出部210(第2プロセッサの一例)と、EC200(第3プロセッサの一例)とを備えている。システムメモリ310は、OS(システムの一例)のプログラムを一時的に記憶する。CPU302は、システムメモリ310に記憶されたOSのプログラムを実行することによりシステムの機能を実現する。顔検出部210は、カメラ120(撮像部の一例)で撮像された画像(撮像画像)の中から顔が撮像されている顔領域を検出する。EC200は、顔検出部210により、撮像画像から顔領域が検出された場合にはプレゼンス情報(第1情報の一例)を出力し、顔領域が検出されない場合にはリーブ情報(第2情報の一例)を出力する顔検出有効モード(第1処理の一例)と、前記顔領域の検出にかかわらずプレゼンス情報を出力する顔検出無効モード(第2処理の一例)とを切り替えて実行する。そして、CPU302は、ユーザによる操作入力が一定時間無い場合、システムの少なくとも一部の機能の使用を制限する(例えば、待機状態へ遷移させる)とともに、EC200からリーブ情報を取得した場合、上記一定時間を待たずにシステムの少なくとも一部の機能の使用を制限する(例えば、待機状態へ遷移させる)。
【0089】
これにより、電子機器1は、顔検出に応じてシステムを待機状態へ遷移させる顔検出有効モードと顔検出に関わらずユーザによる操作入力が一定時間無い場合にシステムを待機状態へ遷移させる顔検出無効モードとを切り替えて実行することができるため、使用状況に応じて適切に動作状態を制御することが可能である。
【0090】
例えば、顔検出部210は、カメラ120で撮像された撮像画像に基づいてカメラ120の撮像方向が遮られたか否かを判定する。EC200は、顔検出部210により、カメラ120の撮像方向が遮られていないと判定された場合には顔検出有効モードを実行し、カメラ120の撮像方向が遮られたと判定された場合には顔検出無効モードを実行する。
【0091】
これにより、電子機器1は、カメラシャッター120Sが開いている状態では、カメラ120で撮像された撮像画像から顔領域が検出されなくなるとシステムを通状態動作状態から待機状態へ遷移させることができ、また、カメラシャッター120Sが閉じられたことにより撮像画像から顔領域が検出されなくなった場合には、システムを待機状態へ遷移させずに通状態動作状態を継続させることができる。よって、電子機器1は、使用状況に応じて適切に動作状態を制御することができる。
【0092】
なお、カメラシャッター120Sが開いている状態であるか閉じている状態であるかを検知する部品を追加する方法もあるが、追加によってコストが増加する上に、カメラ120を手で覆ったか否かは検出できない。本実施形態によれば、カメラシャッター120Sの状態を検知する部品を追加する必要がないため、コストを抑えることができる。また、本実施形態によれば、カメラシャッター120Sの状態のみならず、カメラ120を手で覆ったか否かによっても、適切に動作状態を制御することができる。
【0093】
また、EC200は、顔検出有効モードまたは顔検出無効モードを繰り返し実行し、顔検出有効モードを繰り返し実行する周期より顔検出無効モードを繰り返し実行する周期を長くする。
【0094】
これにより、電子機器1は、顔検出無効モードでは顔検出有効モードに対して消費電力を削減することができる。
【0095】
また、本実施形態に係る電子機器1の制御方法は、顔検出部210(第2プロセッサの一例)が、カメラ120(撮像部の一例)で撮像された画像(撮像画像)の中から顔が撮像されている顔領域を検出するステップと、EC200(第3プロセッサの一例)が、顔検出部210により、撮像画像から顔領域が検出された場合にはプレゼンス情報(第1情報の一例)を出力し、顔領域が検出されない場合にはリーブ情報(第2情報の一例)を出力する顔検出有効モード(第1処理の一例)と、顔検出部210による顔領域の検出にかかわらずプレゼンス情報を出力する顔検出無効モード(第2処理の一例)と、を切り替えて実行するステップと、システムメモリ310(メモリの一例)が、ユーザによる操作入力が一定時間無い場合、システムの少なくとも一部の機能の使用を制限する(例えば、待機状態へ遷移させる)ステップと、EC200からリーブ情報を取得した場合、上記一定時間を待たずにシステムの少なくとも一部の機能の使用を制限する(例えば、待機状態へ遷移させる)ステップと、を含む。
【0096】
これにより、電子機器1は、顔検出に応じてシステムを待機状態へ遷移させる顔検出有効モードと顔検出に関わらずユーザによる操作入力が一定時間無い場合にシステムを待機状態へ遷移させる顔検出無効モードとを切り替えて実行することができるため、使用状況に応じて適切に動作状態を制御することが可能である。
【0097】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、通常動作状態において、カメラ120の撮像方向が遮られているか否かに応じて顔検出有効モードと顔検出無効モードとを切り替える例を説明した。これに対し、本実施形態では、通常動作状態において、第1筐体10と第2筐体20との開き角θに応じて顔検出有効モードと顔検出無効モードとを切り替える例を説明する。
【0098】
第1筐体10と第2筐体20との開き角θによっては、カメラ120の画角にユーザの顔が入らない場合がある。そこで、本実施形態では、第1筐体10と第2筐体20との開き角θが所定の範囲(例えば、70°~135°)内である場合に顔検出有効モードとし、開き角θが所定の範囲外である場合には顔検出無効モードとする。
【0099】
図10は、本実施形態に係る電子機器1Aの機能構成の一例を示すブロック図である。なお、電子機器1Aの外観構成およびハードウェア構成は、図2及び図6に示す第1の実施形態に係る電子機器1の外観構成およびハードウェア構成と同様である。
【0100】
図10に示す電子機器1Aは、顔検出部210Aと、動作制御部220Aと、スリープ処理部320とを備えている。顔検出部210Aは、図6に示す顔検出部210に対応し、顔検出処理部211と、HPD処理部212とを備えている。顔検出処理部211およびHPD処理部212は、図7に示す第1の実施形態に係る顔検出処理部211およびHPD処理部212と同様の構成である。
【0101】
動作制御部220Aは、図6に示すEC200が制御プログラムを実行することにより実現される機能構成であり、筐体状態判定部221Aと、HPD情報出力部222Aとを備えている。
【0102】
筐体状態判定部221Aは、加速度センサ130の検出結果に基づいて第1筐体10と第2筐体20とが相対的に回動されたときの開き角θ(回動角度)を検出し、検出した開き角θが所定の範囲内(例えば、70°~135°)であるか否かを判定する。
【0103】
HPD情報出力部222Aは、通常動作状態において、筐体状態判定部221Aによる判定結果に基づいて、顔検出有効モードと顔検出無効モードとを切り替えて実行する。例えば、HPD情報出力部222Aは、筐体状態判定部221Aにより第1筐体10と第2筐体20との開き角θが所定の範囲内であると判定された場合、顔検出有効モードを実行する。一方、HPD情報出力部222Aは、筐体状態判定部221Aにより第1筐体10と第2筐体20との開き角θが所定の範囲外であると判定された場合、顔検出無効モードを実行する。
【0104】
顔検出有効モードでは、HPD情報出力部222Aは、顔検出部210からプレゼンス情報を取得した場合にはプレゼンス情報をHPD情報としてシステム処理部300へ出力し、顔検出部210からリーブ情報を取得した場合にはリーブ情報をHPD情報としてシステム処理部300へ出力する。即ち、顔検出有効モードでは、HPD情報出力部222Aは、顔検出部210により撮像画像から顔領域が検出された場合にはプレゼンス情報を出力し、顔領域が検出されない場合にはリーブ情報を出力する。
【0105】
一方、顔検出無効モードでは、HPD情報出力部222Aは、顔検出部210からのHPD情報の出力にかかわらず、プレゼンス情報をシステム処理部300へ出力する。即ち、顔検出無効モードでは、HPD情報出力部222Aは、撮像画像からの顔領域の検出にかかわらず、プレゼンス情報を出力する。
【0106】
スリープ処理部320は、図6に示すシステム処理部300がOSのプログラムを実行することにより実現される機能構成であり、図7に示す第1の実施形態に係るスリープ処理部320と同様である。
【0107】
これにより、電子機器1Aは、第1筐体10と第2筐体20との開き角θが所定の範囲内である場合には、撮像画像から顔領域が検出されなくなるとシステムを通状態動作状態から待機状態へ遷移させ、第1筐体10と第2筐体20との開き角θが所定の範囲外になることにより撮像画像から顔領域が検出されなくなった場合には、システムを待機状態へ遷移させずに通状態動作状態を継続させることができる。
【0108】
次に、図11を参照して、本実施形態に係るEC200(動作制御部220A)が通常動作状態において顔検出有効モードと顔検出無効モードとを切り替えてHPD情報を出力するHPD処理の動作について説明する。
【0109】
図11は、本実施形態に係るHPD処理の一例を示すフローチャートである。この図11において、図8に示す各処理に対応する処理には同一の符号を付しており、その説明を省略する。図11に示すHPD処理は、図8に示すHPD処理に対して、ステップS101Aの処理のみが異なる。
【0110】
(ステップS101A)EC200は、加速度センサ130の検出結果に基づいて第1筐体10と第2筐体20とが相対的に回動されたときの開き角θ(回動角度)を検出し、検出した開き角θが所定の範囲内(例えば、70°~135°)であるか否かを判定する。EC200は、開き角θが所定の範囲内であると判定した場合(YES)、顔検出有効モードに設定する(ステップS103)。一方、EC200は、開き角θが所定の範囲外であると判定した場合(NO)、顔検出無効モードに設定する(ステップS111)。以降の処理は、図8に示す処理と同様である。
【0111】
なお、本実施形態に係るスリープ処理の動作は、図9を参照して説明した第1の実施形態に係るスリープ処理の動作と同様であり、その説明を省略する。
【0112】
[第2の実施形態のまとめ]
以上説明したように、本実施形態に係る電子機器1Aは、少なくともカメラ120(撮像部の一例)を有する第1筐体10と、少なくとも入力デバイス150(入力部の一例)を有する第2筐体20と、第1筐体10と第2筐体20とを相対的に回動可能に接続するヒンジ機構15(回動機構の一例)とを備えている。EC200(第3プロセッサの一例)は、第1筐体10と第2筐体20とが相対的に回動されたときの開き角θ(回動角度)が所定の範囲内である場合には顔検出有効モード(第1処理の一例)を実行し、開き角θが所定の範囲外である場合には顔検出無効モード(第2処理の一例)を実行する。
【0113】
これにより、電子機器1Aは、第1筐体10と第2筐体20との開き角θが所定の範囲内である場合には、カメラ120で撮像された撮像画像から顔領域が検出されなくなるとシステムを通状態動作状態から待機状態へ遷移させることができ、また、第1筐体10と第2筐体20との開き角θが所定の範囲外になることにより撮像画像から顔領域が検出されなくなった場合には、システムを待機状態へ遷移させずに通状態動作状態を継続させることができる。よって、電子機器1Aは、使用状況に応じて適切に動作状態を制御することができる。
【0114】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
本実施形態では、通常動作状態において、外部ディスプレイを使用しているか否かに応じて顔検出有効モードと顔検出無効モードとを切り替える例を説明する。
【0115】
図12は、本実施形態に係る電子機器1Bの機能構成の一例を示すブロック図である。なお、電子機器1Bの外観構成およびハードウェア構成は、図2及び図6に示す1の実施形態に係る電子機器1の外観構成およびハードウェア構成と同様である。
【0116】
電子機器1Bは、映像を外部ディスプレイへ表示させるための映像データを出力する出力インターフェースとして、映像出力端子160(図6参照)を備えている。電子機器1Bは、映像出力端子160に接続された外部ディスプレイ(外付けの表示装置)に映像データを出力することにより映像を表示させる。また、電子機器1Bは、出力インターフェースとして通信部35(図6参照)を用いて、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信により外部ディスプレイに映像データを出力することにより映像を表示させてもよい。
【0117】
外部ディスプレイに映像を表示させて電子機器1Bを使用するユーザは、電子機器1Bと対面しない可能性が高いため、カメラ120が撮像する撮像画像にユーザの顔が写らない、または写っても横顔などのため顔領域を検出しにくい状況になる。そこで、本実施形態では、電子機器1Bの映像を外部ディスプレイに表示させていない場合に顔検出有効モードとし、外部ディスプレイに表示させている場合には顔検出無効モードとする。
【0118】
図12に示す電子機器1Bは、顔検出部210Bと、動作制御部220Bと、スリープ処理部320とを備えている。顔検出部210Bは、図6に示す顔検出部210に対応し、顔検出処理部211と、HPD処理部212とを備えている。顔検出処理部211およびHPD処理部212は、図7に示す第1の実施形態に係る顔検出処理部211およびHPD処理部212と同様の構成である。
【0119】
動作制御部220Bは、図6に示すEC200が制御プログラムを実行することにより実現される機能構成であり、外部表示判定部221Bと、HPD情報出力部222Bとを備えている。
【0120】
外部表示判定部221Bは、電子機器1Bの映像を外部ディスプレイに表示させているか否かを判定する。電子機器1Bの映像とは、CPU302が実行するシステムの機能に基づく映像であり、表示部110に表示される映像に対応する。例えば、OSのディスプレイ設定により、外部ディスプレイが接続されている場合、表示部110(内部ディスプレイ)と外部ディスプレイとのいずれ(或いは両方)に表示させるかを設定することができる。例えば、外部表示判定部221Bは、OSのディスプレイ設定の設定情報を取得して、電子機器1Bの映像を外部ディスプレイに表示させているか否かを判定する。
【0121】
HPD情報出力部222Bは、通常動作状態において、外部表示判定部221Bによる判定結果に基づいて、顔検出有効モードと顔検出無効モードとを切り替えて実行する。例えば、HPD情報出力部222Bは、外部表示判定部221Bにより電子機器1Bの映像を外部ディスプレイに表示させていないと判定された場合、顔検出有効モードを実行する。一方、HPD情報出力部222Bは、電子機器1Bの映像を外部ディスプレイに表示させていると判定された場合、顔検出無効モードを実行する。
【0122】
顔検出有効モードでは、HPD情報出力部222Bは、顔検出部210からプレゼンス情報を取得した場合にはプレゼンス情報をHPD情報としてシステム処理部300へ出力し、顔検出部210からリーブ情報を取得した場合にはリーブ情報をHPD情報としてシステム処理部300へ出力する。即ち、顔検出有効モードでは、HPD情報出力部222Bは、顔検出部210により撮像画像から顔領域が検出された場合にはプレゼンス情報を出力し、顔領域が検出されない場合にはリーブ情報を出力する。
【0123】
一方、顔検出無効モードでは、HPD情報出力部222Bは、顔検出部210からのHPD情報の出力にかかわらず、プレゼンス情報をシステム処理部300へ出力する。即ち、顔検出無効モードでは、HPD情報出力部222Bは、撮像画像からの顔領域の検出にかかわらず、プレゼンス情報を出力する。
【0124】
スリープ処理部320は、図6に示すシステム処理部300がOSのプログラムを実行することにより実現される機能構成であり、図7に示す第1の実施形態に係るスリープ処理部320と同様である。
【0125】
これにより、電子機器1Bは、電子機器1Bの映像を外部ディスプレイに表示させていない場合(即ち、表示部110に表示させている場合)には、撮像画像から顔領域が検出されなくなるとシステムを通状態動作状態から待機状態へ遷移させ、電子機器1Bの映像を外部ディスプレイに表示させたことにより撮像画像から顔領域が検出されなくなった場合には、システムを待機状態へ遷移させずに通状態動作状態を継続させることができる。
【0126】
次に、図13を参照して、本実施形態に係るEC200(動作制御部220B)が通常動作状態において顔検出有効モードと顔検出無効モードとを切り替えてHPD情報を出力するHPD処理の動作について説明する。
図13は、本実施形態に係るHPD処理の一例を示すフローチャートである。この図13において、図8に示す各処理に対応する処理には同一の符号を付しており、その説明を省略する。図13に示すHPD処理は、図8に示すHPD処理に対して、ステップS101Bの処理のみが異なる。
【0127】
(ステップS101B)EC200は、OSのディスプレイ設定の設定情報に基づいて電子機器1Bの映像を外部ディスプレイに表示させているか否かを判定する。EC200は、外部ディスプレイに表示させていないと判定した場合(NO)、顔検出有効モードに設定する(ステップS103)。一方、EC200は、外部ディスプレイに表示させていると判定した場合(YES)、顔検出無効モードに設定する(ステップS111)。以降の処理は、図8に示す処理と同様である。
【0128】
なお、本実施形態に係るスリープ処理の動作は、図9を参照して説明した第1の実施形態に係るスリープ処理の動作と同様であり、その説明を省略する。
【0129】
[第3の実施形態のまとめ]
以上説明したように、本実施形態に係る電子機器1Bは、システムの機能に基づく映像を外部ディスプレイへ表示させるための映像データを出力する映像出力端子160(出力インターフェースの一例)を備えている。EC200(第3プロセッサの一例)は、映像を外部ディスプレイへ表示させていない状態では顔検出有効モード(第1処理の一例)を実行し、映像を外部ディスプレイへ表示させている状態では顔検出無効モード(第2処理の一例)を実行する。
【0130】
これにより、電子機器1Bは、電子機器1Bの映像を外部ディスプレイに表示させていない場合(即ち、表示部110に表示させている場合)には、カメラ120で撮像された撮像画像から顔領域が検出されなくなるとシステムを通状態動作状態から待機状態へ遷移させることができ、また、電子機器1Bの映像を外部ディスプレイに表示させたことにより撮像画像から顔領域が検出されなくなった場合には、システムを待機状態へ遷移させずに通状態動作状態を継続させることができる。よって、電子機器1Bは、使用状況に応じて適切に動作状態を制御することができる。
【0131】
以上、この発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述の各実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【0132】
なお、上記実施形態では、顔検出部210、210A、210Bは、カメラ120で撮像された撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出したが、顔領域を検出した場合に、顔領域内の顔に含まれる目からの視線をさらに検出してもよい。そして、EC200(動作制御部220、220A、220B)は、顔検出有効モード(第1処理の一例)において、カメラ120で撮像された撮像画像の中から顔領域が検出され且つ視線の方向が所定の範囲内である場合にはプレゼンス情報(第1情報の一例)を出力し、顔領域が検出され且つ視線の方向が所定の範囲外である場合または顔領域が検出されない場合にはリーブ情報(第2情報の一例)を出力してもよい。ここで、視線の方向における上記の所定の範囲は、ユーザが電子機器1、1A、1Bの方を見ている(即ち、電子機器1、1A、1Bを使用している)と判断できる範囲として予め設定されている。即ち、電子機器1、1A、1Bは、顔検出有効モードにおいて、ユーザの存在の有無(顔領域の検出の有無)のみではなく、ユーザの視線の方向が所定の範囲内であるか否かによって、システムの動作状態を制御してもよい。一方、電子機器1、1A、1Bは、顔検出無効モード(第2処理の一例)では、顔領域及び視線の方向の検出にかかわらず、プレゼンス情報(第1情報の一例)を出力する。これにより、ユーザの存在の有無(顔領域の検出の有無)のみではなく、ユーザの視線の方向が所定の範囲内であるか否かによって、システムの動作状態を制御する場合も、上述の各実施形態における顔検出有効モードと顔検出無効モードとを切り替えて実行する構成を適用することができる。
【0133】
また、上記実施形態では、電子機器1(1A、1B)にカメラ120が内蔵されている構成例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、カメラ120は、電子機器1(1A、1B)に内蔵されていなくてもよく、電子機器1(1A、1B)の外部アクセサリとして電子機器1(1A、1B)(例えば、側面10a、10b、10c等のいずれか)に取り付け可能に構成され、無線または有線で電子機器1(1A、1B)と通信接続されるものであってもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、電子機器1(1A、1B)は、撮像画像から顔が撮像されている顔領域を検出することによりユーザの存在を検出したが、顔に限らず、身体の少なくとも一部が撮像されている領域を検出することによりユーザの存在を検出してもよい。また、電子機器1(1A、1B)は、物体までの距離を検出する距離センサ(例えば、近接センサなど)を併用してもよい。例えば、距離センサは、第1筐体10の内面側に設けられ、第1筐体10の内面に対面する方向(前方)の検出範囲内に存在する物体(例えば、人物)を検出する。一例として、距離センサは、赤外線を発光する発光部と、発光した赤外線が物体の表面に反射して戻ってくる反射光を受光する受光部とを含んで構成される赤外線距離センサであってもよい。なお、距離センサは、発光ダイオードが発光する赤外線を用いたセンサであってもよいし、発光ダイオードが発光する赤外線よりも波長帯域が狭い光線を発光する赤外線レーザを用いたセンサであってもよい。また、距離センサは、赤外線距離センサに限定されるものでなく、物体との距離を検出するセンサであれば、超音波センサまたはUWB(Ultra Wide Band)レーダを用いたセンサ等の他の方式を用いたセンサであってもよい。また、距離センサも、電子機器1(1A、1B)に内蔵されていなくてもよく、電子機器1(1A、1B)の外部アクセサリとして電子機器1(1A、1B)(例えば、側面10a、10b、10c等のいずれか)に取り付け可能に構成され、無線または有線で電子機器1と通信接続されるものであってもよい。また、カメラ120と距離センサとが一体に構成されてもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、顔検出部210がEC200とは別に備えられている例を示したが、顔検出部210の一部または全部をEC200が備える構成としてもよいし、顔検出部210の一部または全部とEC200とが1つのパッケージで構成されてもよい。また、顔検出部210の一部または全部をシステム処理部300が備える構成としてもよいし、顔検出部210の一部または全部とシステム処理部300の一部または全部とが1つのパッケージで構成されてもよい。また、動作制御部220の一部または全部は、EC200以外の処理部(例えば、システム処理部300)の機能構成としてもよい。
【0136】
なお、上述した電子機器1(1A、1B)は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した電子機器1(1A、1B)が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した電子機器1(1A、1B)が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0137】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に電子機器1(1A、1B)が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0138】
また、上述した実施形態における電子機器1(1A、1B)が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0139】
なお、電子機器1は、ノート型のPCに限られるものではなく、デスクトップ型PC、タブレット端末装置、スマートフォンなどであってもよい。さらに、電子機器1は、PC、タブレット端末装置、スマートフォンなどに限られるものではなく、家庭用電気製品や業務用電気製品にも適用できる。家庭用電気製品としては、テレビや、表示部が備えられた冷蔵庫、電子レンジ等に適用できる。例えば、人物の接近または離脱に応じて、テレビの画面のON/OFFを制御すること、或いは、冷蔵庫や電子レンジ等の表示部の画面のON/OFFを制御することができる。また、業務用電気製品としては、自動販売機や、マルチメディア端末等に適用できる。例えば、人物の接近または離脱に応じて、自動販売機の照明のON/OFFなど、或いは、マルチメディア端末の表示部の画面のON/OFFなどのように動作状態を制御することができる。
【符号の説明】
【0140】
1,1A,1B 電子機器、10 第1筐体、20 第2筐体、15 ヒンジ機構、110 表示部、120 カメラ(撮像部)、130 加速度センサ、140 電源ボタン、150 入力デバイス、151 キーボード、153 タッチパッド、160 映像出力端子、200 EC、210,210A,210B 顔検出部、211 顔検出処理部、212 HPD処理部、213 カメラ状態判定部、220,220A,220B 動作制御部、221A 筐体状態判定部、221B 外部表示判定部、222、222A,222B HPD情報出力部、300 システム処理部、302 CPU、304 GPU、306 メモリコントローラ、308 I/Oコントローラ、310 システムメモリ、320 スリープ処理部、321 計時部、322 HPD情報取得部、323 スリープ制御部、350 通信部、360 記憶部、400 電源部
【要約】      (修正有)
【課題】使用状況に応じて適切に電子機器の動作状態を制御する電子機器及びその制御方法を提供する。
【解決手段】電子機器1は、システムのプログラムを一時的に記憶するメモリと、プログラムを実行することによりシステムの機能を実現するスリープ制御部320と、撮像部で撮像された画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出する顔検出部210と、顔検出部が、顔領域を検出した場合には第1情報を出力し、顔領域が検出されない場合には第2情報を出力する第1処理と、顔検出部による顔領域の検出にかかわらず第1情報を出力する第2処理とを切り替えて実行する動作制御部220と、を備える。スリープ制御部は、ユーザによる操作入力が一定時間無い場合は、システムの少なくとも一部の機能の使用を制限するとともに、動作制御部から第2情報を取得した場合は、一定時間を待たずにシステムの少なくとも一部の機能の使用を制限する。
【選択図】図7
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