(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】閉ループ温度制御を用いた付加製造のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20230510BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20230510BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20230510BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230510BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230510BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/112
B33Y50/02
B33Y10/00
B33Y30/00
(21)【出願番号】P 2021512521
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 IL2019051072
(87)【国際公開番号】W WO2020065657
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-26
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513131464
【氏名又は名称】ストラタシス リミテッド
【住所又は居所原語表記】1 Holtzman Street, Science Park, P.O. Box 2496, 7612401 Rehovot, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】フェファー,アミット
(72)【発明者】
【氏名】シェレフ,ギル
(72)【発明者】
【氏名】ロットフェルト,ハイム
(72)【発明者】
【氏名】プリザント,デイビッド
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-179584(JP,A)
【文献】特開2016-185618(JP,A)
【文献】特開2017-056724(JP,A)
【文献】特表2015-501369(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0072463(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0029291(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0215092(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造のためのシステムであって、
構築材料を作業面上に分配するための分配ヘッドと、
前記構築材料を硬化させるための硬化システムと、
熱を前記構築材料から除去するための冷却システムと、
熱感知システムであって、前記熱感知システムと前記作業面との間の相対運動を可能にする様態で、前記作業面の上方に設置されており、それによって感知された熱エネルギーに応じて感知信号を生成するように構成されている熱感知システムと、
前記分配ヘッドを前記構築材料を層の形で分配するよう制御するための回路、前記熱感知システムを硬化させられた時点で前記熱感知システムが前記構築材料の上方にあるときにのみ前記感知信号を生成するよう制御するための回路、および、前記感知信号に応じて前記冷却システムの熱除去速度を制御するための回路を有するコンピュータ化コントローラと
を備え、
前記熱感知システムが少なくとも1つの画素化センサを備え、
前記感知信号が、硬化させられた時点における硬化された前記構築材料の温度マップを構成し、
前記熱除去速度を制御するための前記回路が、前記温度マップ内において、より高い温度の第1の画素集団およびより低い温度の第2の画素集団を識別し、前記第1および前記第2の集団に基づいて前記熱除去速度を制御するように構成されている、前記システム。
【請求項2】
前記熱除去速度を制御するための前記回路が、前記熱除去速度を、前記第1の画素集団を第1の所定の閾値を下回る温度に維持するよう制御するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記熱除去速度を制御するための前記回路が、前記熱除去速度を、前記第2の画素集団を第2の所定の閾値を上回る温度に維持するよう制御するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記分配ヘッドが前記硬化システムと前記熱感知システムとの間に設置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記分配ヘッドが、長さを有し、インデックス方向に沿って配置されたノズルアレイを含み、前記熱感知システムが、前記作業面から、前記インデックス方向に沿った前記作業面の上の前記熱感知システムの視野が前記長さに一致するように選択された距離に設置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記熱感知システムを制御するための前記回路が、前記信号のサンプリング速度を前記相対運動の速度に適応させるように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記冷却システムがファンを含み、前記熱除去速度を制御するための前記回路が、前記ファンの回転速度を変更するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記ファンの前記回転速度が、前記熱感知システムによって感知された温度と所定の温度との温度差の関数に従って変更され、前記関数が前記温度差の二次関数を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
付加製造の方法であって、
構築材料を受容面上に分配するステップと、
前記構築材料を硬化させ、硬化材料を形成するステップと、
少なくとも1つの画素化センサを含む熱感知システムにより、硬化された前記構築材料の温度マップを提供するために、少なくとも硬化された前記構築材料によって放出された熱エネルギーを感知するステップと、
他のオブジェクトによらずに、硬化された前記構築材料によってのみ放出された熱エネルギーに基づき、前記構築材料から熱を除去するステップと、
3次元オブジェクトを、前記オブジェクトのスライスに対応する層の形で形成するように、前記分配、前記硬化、前記感知、および前記除去を複数回繰り返すステップと、
を含み、
前記温度マップ内において、より高い温度の第1の画素集団およびより低い温度の第2の画素集団を識別することを含み、前記熱を前記除去するステップが、前記第1の集団および前記第2の集団に基づいて選択された速度におけるものである、前記方法。
【請求項10】
前記速度が、前記第1の画素集団を第1の所定の閾値を下回る温度に維持するように選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記速度が、前記第2の画素集団を第2の所定の閾値を上回る温度に維持するように選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記分配が、長さを有し、インデックス方向に沿って配置されたノズルアレイを含む分配ヘッドによるものであり、前記感知が、前記長さに一致する前記硬化材料の上の視野によって特徴付けられる、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記熱
感知システムは、前記熱
感知システムと前記受容面との間の相対運動を可能にする態様で、前記受容面の上方に設置され、前記方法は、前記感知のサンプリング速度を前記相対運動の速度に適応させることを含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記除去がファンによるものであり、前記方法が、前記ファンの回転速度を変更するステップを含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ファンの前記回転速度が、前記感知された熱エネルギーに対応する温度と所定の温度との温度差の関数に従って変更され、前記関数が前記温度差の二次関数を含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年9月27日に出願された米国仮特許出願第62/737,172号明細書の優先権の利益を主張する。同出願の内容は全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、付加製造に関し、より詳細には、限定するものではないが、閉ループ温度制御を用いた付加製造のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
付加製造(additive manufacturing、AM)は、付加形成ステップを介してコンピュータデータから直接、任意形状の構造物の製作を可能にする技術である。任意のAMシステムの基本動作は、3次元コンピュータモデルを薄い断面にスライスすること、結果を2次元位置データに変換すること、およびデータを、3次元構造を層ごとに製作する制御機器に供給することから成る。
【0004】
付加製造は、3Dインクジェット印刷、電子ビーム溶融、ステレオリソグラフィ、選択的レーザ焼結、薄膜積層法、熱溶融樹脂法、および他のものなどの3次元(3D)印刷を含む、製作方法への多くの異なるアプローチを伴う。
【0005】
いくつかの3D印刷プロセス、例えば、3Dインクジェット印刷は、構築材料の層ごとのインクジェット堆積によって遂行されている。それゆえ、ノズルのセットを有する分配ヘッドから構築材料が分配され、層を支持構造上に堆積させる。構築材料によっては、層は、その後、好適なデバイスを用いて養生されるか、または凝固させられ得る。
【0006】
様々な3次元印刷技法が存在し、例えば、全て同じ譲受人によるものであり、全体が本明細書において参照により組み込まれる、米国特許第6,259,962号明細書、第6,569,373号明細書、第6,658,314号明細書、第6,850,334号明細書、第6,863,859号明細書、第7,183,335号明細書、第7,209,797号明細書、第7,225,045号明細書、第7,300,619号明細書、第7,500,846号明細書、第7,991,498号明細書、および第9,031,680号明細書、ならびに米国特許出願公開第20160339643号明細書、および第20060054039号明細書において開示されている。
【0007】
米国特許出願公開第20060054039号明細書は、オブジェクトを形成するためのトレイ上における造形材料の3次元印刷のための印刷セルを開示している。印刷セルは温度制御ユニットを含む。制御ユニットは加熱源および冷却源を含み、印刷セル、トレイ、および構築材料の温度を感知するための温度感知ユニットに関連付けられている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、付加製造のためのシステムが提供される。システムは、構築材料を作業面(working surface)上に分配するための分配ヘッドと、構築材料を硬化させるための硬化システムと、熱を構築材料から除去するための冷却システムと、作業面の上方に、感知システムと作業面との間の相対運動を可能にする様態で設置されており、それによって感知された熱エネルギーに応じて感知信号を生成するように構成されている、熱感知システムと、分配ヘッドを、構築材料を層の形で分配するよう制御するための回路、感知システムを、硬化させられた時点で感知システムが構築材料の上方にあるときにのみ感知信号を生成するよう制御するための回路、および感知信号に応じて冷却システムの熱除去速度を制御するための回路を有するコンピュータ化コントローラ(computerized controller)と、を備える。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態によれば、熱感知システムは少なくとも1つの画素化センサを備え、感知信号は硬化構築材料の温度マップを構成する。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によれば、熱除去速度を制御するための回路は、温度マップ内において、より高い温度の第1の画素集団およびより低い温度の第2の画素集団を識別し、第1および第2の集団に基づいて熱除去速度を制御するように構成されている。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態によれば、熱除去速度を制御するための回路は、熱除去速度を、第1の画素集団を第1の所定の閾値を下回る温度に維持するよう制御するように構成されている。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によれば、熱除去速度を制御するための回路は、熱除去速度を、第2の画素集団を第2の所定の閾値を上回る温度に維持するよう制御するように構成されている。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態によれば、分配ヘッドは硬化システムと感知システムとの間に設置されている。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、分配ヘッドは、長さを有し、インデックス(indexing)方向に沿って配置されたノズルアレイを含み、感知システムは、作業面から、インデックス方向に沿った作業面の上の感知システムの視野が長さに一致するように選択された距離に設置されている。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、感知システムを制御するための回路は、信号のサンプリング速度を相対運動の速度に適応させるように構成されている。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、冷却システムはファンを含み、熱除去速度を制御するための回路は、ファンの回転速度を変更するように構成されている。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ファンの回転速度は、感知システムによって感知された温度と所定の温度との温度差の関数に従って変更され、関数は温度差の二次関数を含む。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、付加製造の方法が提供される。本方法は、構築材料を受容面上に分配することと、構築材料を硬化させ、硬化材料を形成することと、少なくとも硬化構築材料によって放出された熱エネルギーを感知することと、硬化構築材料によって放出された熱エネルギーに応じるが、他のオブジェクトによって放出された熱エネルギーには応じずに、熱を構築材料から除去することと、3次元オブジェクトを、オブジェクトのスライスに対応する層の形で形成するように、分配、硬化、感知、および除去を複数回繰り返すことと、を含む。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、感知は、硬化構築材料の温度マップを提供するための少なくとも1つの画素化センサによるものである。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本方法は、温度マップ内において、より高い温度の第1の画素集団およびより低い温度の第2の画素集団を識別することを含み、熱を除去することは、第1の集団および第2の集団に基づいて選択された速度におけるものである。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、速度は、第1の画素集団を第1の所定の閾値を下回る温度に維持するように選択される。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、速度は、第2の画素集団を第2の所定の閾値を上回る温度に維持するように選択される。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本方法は、分配が、長さを有し、インデックス方向に沿って配置されたノズルアレイを含む分配ヘッドによるものであることを含み、感知は、長さに一致する硬化材料の上の視野によって特徴付けられる。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本方法は、感知のサンプリング速度を相対運動の速度に適応させることを含む。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によれば、除去はファンによるものであり、本方法は、ファンの回転速度を変更することを含む。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ファンの回転速度は、感知された熱エネルギーに対応する温度と所定の温度との温度差の関数に従って変更され、関数は温度差の二次関数を含む。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、付加製造のためのシステムが提供される。システムは、構築材料を分配するための分配ヘッドと、構築材料を硬化させるための硬化システムと、熱を構築材料から除去するためのファンを有する冷却システムと、分配ヘッドを、構築材料を層の形で分配するよう制御し、硬化システムを、構築材料を硬化させるよう制御し、冷却システムを、熱を層から除去するよう制御するための回路を有するコンピュータ化コントローラであって、回路は、ファンの回転速度をそれぞれの層の面積の減少関数として変更するように構成されている、コンピュータ化コントローラと、を備える。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、層のうちの少なくとも1つのために、分配ヘッドは、受容面の上の1回を超えるパスにおいて構築材料を分配し、回路は、パスの数に基づいてファンの回転速度を選択するように構成されている。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、層のうちの少なくとも1つのために、回路は、硬化システムを、層の部分を、部分を形成するための1つの種類の構築材料を分配した後であるが、層の別の部分を形成するための別の種類の構築材料を分配する前に、硬化させるよう制御するように構成されている。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、構築材料のグループを記憶したコンピュータ可読媒体にアクセスし、それぞれの構築材料をグループのうちの1つに関連付け、関連付けにも基づいて回転速度を選択するように構成されている。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、層のうちの少なくとも1つの温度を感知するように構成された熱感知システムを備え、回路は、感知システムからの温度感知信号を受信し、温度感知信号に基づいて回転速度を選択するように構成されている。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、付加製造のためのシステムが提供される。システムは、それぞれの複数の構築材料を分配するための複数の分配ヘッドと、構築材料を硬化させるための硬化システムと、分配ヘッドを、構築材料を層の形で分配するよう制御し、硬化システムを、構築材料を硬化させるよう制御するための回路を有するコンピュータ化コントローラであって、層のうちの少なくとも1つのために、回路は、硬化システムを、層の第1の部分を、第1の部分を形成するための1つの種類の構築材料を分配した後にであるが、層の第2の部分を形成するための別の種類の構築材料を分配する前に、硬化させるよう制御するように構成されている、コンピュータ化コントローラと、を備える。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の部分の硬化は第1の温度におけるものであり、回路は、硬化システムを、第1の温度とは異なる第2の温度で第2の部分を硬化させるよう制御するように構成されている。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第2の温度は第1の温度よりも高い。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、構築材料のグループを記憶したコンピュータ可読媒体にアクセスし、それぞれの構築材料をグループのうちの1つに関連付け、関連付けに基づいてそれぞれの硬化温度を選択するように構成されている。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、パルス状動作信号を分配ヘッドへ、異なる幅のパルスが異なる分配ヘッドへ伝送される様態で伝送するように構成されている。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、構築材料のグループを記憶したコンピュータ可読媒体にアクセスし、それぞれの構築材料をグループのうちの1つに関連付け、関連付けに基づいてそれぞれのパルス幅を選択するように構成されている。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、層を包囲する環境を加熱するための加熱システムを備え、回路は、構築材料のグループを記憶したコンピュータ可読媒体にアクセスし、それぞれの構築材料をグループのうちの1つに関連付け、関連付けに基づいて加熱システムの電力および動作継続時間のうちの少なくとも1つの制御を選択するように構成されている。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、加熱システムは、加熱放射線を発生する加熱放射線源を含む。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、放射線は赤外放射線である。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態によれば、回路は、加熱システムの動作を硬化システムの動作と同期させるように構成されている。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によれば、同期は、加熱システムの動作が終了された後に、硬化システムの動作が開始されるというものである。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、オブジェクトの付加製造の方法が提供され、本方法は、オブジェクトの形状を規定するコンピュータオブジェクトデータを受信することと、コンピュータオブジェクトデータに従ってオブジェクトを製造するように、本明細書に記載の付加製造システムを動作させることと、を含む。
【0044】
特に定義されない限り、本明細書において用いられる全ての技術および/または科学用語は、本発明が関係する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本発明の実施形態の実施または試験においては、本明細書において説明されるものと同様または同等の方法および材料を用いることができるが、以下においては、例示的な方法および/または材料が説明される。矛盾が生じた場合には、定義を含む、本特許明細書が優先するものとする。加えて、材料、方法、および実施例は単なる例示にすぎず、必ずしも限定を意図されていない。
【0045】
本発明の実施形態の方法および/またはシステムの実施は、選択されたタスクを、手動で、自動的に、またはその組み合わせで遂行または完了することに関わることができる。さらに、本発明の方法および/またはシステムの実施形態の実際の器具および機器によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェアによって、ソフトウェアによって、またはファームウェアによって、あるいはこれらの組み合わせによって、オペレーティングシステムを用いて実施され得るであろう。
【0046】
例えば、本発明の実施形態に係る選択されたタスクを遂行するためのハードウェアはチップまたは回路として実施することができるであろう。ソフトウェアとして、本発明の実施形態に係る選択されたタスクは、任意の好適なオペレーティングシステムを用いたコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実施することができるであろう。本発明の例示的実施形態では、本明細書に記載されているとおりの方法および/またはシステムの例示的実施形態に係る1つまたは複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどの、データプロセッサによって遂行される。任意選択的に、データプロセッサは、命令および/またはデータを記憶するための揮発性メモリ、ならびに/あるいは命令および/またはデータを記憶するための不揮発性ストレージ、例えば、磁気ハードディスクおよび/または取り外し可能媒体を含む。任意選択的に、ネットワーク接続も提供される。ディスプレイ、および/またはキーボードもしくはマウスなどのユーザ入力デバイスも任意選択的に提供される。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態が本明細書において添付の図面を参照して例としてのみ説明される。次に、図面を具体的に詳細に参照すると、図示されている特徴は、例としてのものであり、本発明の実施形態の例示的説明を目的とするものであることが強調される。この点に関して、説明は、図面と併せて、本発明の実施形態がどのように実施され得るのかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1-1】
図1Aは本発明のいくつかの実施形態に係る付加製造システムの概略図である。
【
図1-2】
図1B~1Cは本発明のいくつかの実施形態に係る付加製造システムの概略図である。
【
図1-3】
図1Dは本発明のいくつかの実施形態に係る付加製造システムの概略図である。
【
図2】
図2A~2Cは本発明のいくつかの実施形態に係る印刷ヘッドの概略図である。
【
図3】
図3A~3Bは本発明のいくつかの実施形態に係る座標変換を実際に示す概略図である。
【
図4】本発明の様々な例示的実施形態に係る、付加製造のために適した方法のフローチャート図である。
【
図5】本発明のいくつかの実施形態に係る、AMシステムにおいて採用することができる熱感知システムの視野の概略図である。
【
図6】本発明のいくつかの実施形態に係る、AMシステムのコントローラによって採用され得る回路の概略ブロック図である。
【
図7】本発明のいくつかの実施形態に係る、熱センサおよび回路基板を保持するために適した構造の概略図である。
【
図8】本発明のいくつかの実施形態に従って遂行された実験において得られた実現可能性試験のグラフである。
【
図9】
図9A~9Bは角柱オブジェクトの製作中にセンサがトレイに対して運動している実験においてセンサから受信された生データを示すグラフである。
【
図10】
図10A~10Bは層全体を取り込むために設置された静止高解像度赤外カメラを用いて、本発明のいくつかの実施形態に従って遂行された実験中に測定された温度を示すグラフである。
【
図11-1】異なる高さの上面を有するオブジェクトの製作を表し、本発明のいくつかの実施形態に従って遂行された実験で得られた図(
図11A)、高解像度赤外カメラによって作成されたその温度マップ(
図11B)、およびそのグラフ(
図11C)である。
【
図11-2】異なる高さの上面を有するオブジェクトの製作を表し、本発明のいくつかの実施形態に従って遂行された実験で得られた図(
図11A)、高解像度赤外カメラによって作成されたその温度マップ(
図11B)、およびそのグラフ(
図11C)である。
【
図12】センサが異なる位置に配置された実験におけるセンサの温度の読み値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、付加製造に関し、より詳細には、限定するものではないが、閉ループ温度制御を用いた付加製造のための方法およびシステムに関する。
【0050】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載され、ならびに/あるいは図面および/または実施例において例示される構成要素および/または方法の構造の詳細および配置に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態である余地、または様々な仕方で実施もしくは実行される余地がある。
【0051】
本実施形態の方法およびシステムは、複数の層を、オブジェクトの形状に対応して構成されたパターンで形成することによって、コンピュータオブジェクトデータに基づいて層ごとに3次元オブジェクトを製造する。コンピュータオブジェクトデータは、限定するものではないが、標準テッセレーション言語(STL)またはステレオリソグラフィ輪郭(SLC)フォーマット、仮想現実造形言語(VRML)、付加製造ファイル(AMF)フォーマット、図面交換フォーマット(DXF)、ポリゴンファイルフォーマット(PLY)、あるいはコンピュータ支援設計(Computer-Aided Design、CAD)のために適した任意の他のフォーマットを含む、任意の既知のフォーマットのものであることができる。
【0052】
用語「オブジェクト」は、本明細書において使用するとき、オブジェクト全体またはその部分を指す。
【0053】
各層は、2次元表面を走査し、それをパターニングする付加製造装置によって形成される。走査の間に、装置は2次元層または表面上の複数の目標部位を訪れ、各目標部位、または目標部位のグループのために、目標部位、または目標部位のグループが構築材料配合物によって占有されるべきであるか否か、およびどの種類の構築材料配合物がそこに送られるべきであるかを決定する。決定は表面のコンピュータ画像に従って行われる。
【0054】
本発明の好ましい実施形態では、AMは、3次元印刷、より好ましくは、3次元インクジェット印刷を含む。これらの実施形態では、ノズルのセットを有する分配ヘッドから構築材料配合物が分配され、構築材料配合物を支持構造上に層の形で堆積させる。それゆえ、AM装置は、構築材料配合物を、占有されることになる目標部位内に分配し、他の目標部位を空のまま残す。装置は、通例、異なる構築材料配合物を分配するように各々構成することができる、複数の分配ヘッドを含む。それゆえ、異なる目標部位が異なる構築材料配合物によって占有され得る。構築材料配合物の種類は、2つの主要カテゴリ:造形材料配合物および支持材料配合物にカテゴリ化することができる。支持材料配合物は、製作プロセスの最中にオブジェクトまたはオブジェクト部分を支持するため、および/または他の目的、例えば、中空または有孔オブジェクトを提供するための支持母材または構造の役割を果たす。支持構造は、例えば、さらなる支持強度のための、造形材料配合物要素を追加的に含み得る。
【0055】
造形材料配合物は、概して、付加製造における使用のために配合され、それ自体で、すなわち、いかなる他の物質と混合または複合されることも必要とせず、3次元オブジェクトを形成することができる組成物である。
【0056】
本明細書全体を通して、表現「未養生構築材料」は、本明細書において説明されるように、層を順次形成するために製作プロセスの最中に分配される材料を集合的に表す。この表現は、印刷されたオブジェクトを形成するために分配された未養生材料(本明細書において、構築材料配合物とも称される)、すなわち、1種または複数の未養生造形材料配合物、および支持を形成するために分配された未養生材料、すなわち未養生支持材料配合物を包含する。
【0057】
本明細書において、分配された材料は集合的に「材料配合物」とも称される。材料配合物は、通例、(別途記載のない限り)硬化させられたときに、通例、(別途記載のない限り)本明細書において定義された養生条件への曝露を受けて硬化させられたときに、それぞれの材料の形成をもたらす。
【0058】
本明細書全体を通して、互換的に使用される表現「養生造形材料」および「硬化造形材料」は、分配された構築材料を養生に曝し、その後、支持材料を除去した後に、本明細書において定義されるとおりの、モデルオブジェクトを形成する構築材料の部分を表す。養生または硬化造形材料は、本明細書において説明されるとおりの、本方法において用いられた造形材料配合物に応じて、単一の硬化材料、または2種以上の硬化材料の混合物であることができる。
【0059】
本明細書全体を通して、本明細書において互換的に「造形配合物」とも称される、表現「造形材料配合物」は、本明細書において説明されるとおりの、モデルオブジェクトを形成するために分配された未養生構築材料の部分を表す。造形配合物は、養生条件に曝露されると最終オブジェクトまたはその部分を形成する、未養生造形配合物である。
【0060】
未養生構築材料は1種または複数の造形配合物を含むことができ、モデルオブジェクトの異なる部分が、異なる造形配合物を養生した時点で作製され、それゆえ、異なる養生造形材料、または養生造形材料の異なる混合物で作製されるように分配され得る。
【0061】
本明細書全体を通して、表現「硬化支持材料」は本明細書において互換的に「養生支持材料」または単に「支持材料」とも称され、製作される最終オブジェクトを製作プロセス中に支持することを意図され、プロセスが完了し、硬化造形材料が得られると除去される、構築材料の部分を表す。
【0062】
本明細書全体を通して、本明細書において互換的に「支持配合物」または単に「配合物」とも称される、表現「支持材料配合物」は、本明細書において説明されるとおりの、支持材料を形成するために分配された未養生構築材料の部分を表す。支持材料配合物は未養生配合物である。支持材料配合物が養生可能配合物であるときには、それは、養生条件に曝露されると、硬化支持材料を形成する。
【0063】
液体材料、または硬化させられた、典型的にはゲル材料のいずれかであることができる支持材料は、本明細書において犠牲材料とも称され、層が分配され、養生エネルギーに曝露された後に除去可能であり、これにより、最終オブジェクトの形状を露出させる。
【0064】
本明細書において、および当技術分野において、半固体材料としばしば称される、用語「ゲル」は、通例、化学的または物理的にそれらの間が結合された繊維状構造でできた3次元固体ネットワークと、このネットワーク内に閉じ込められた液相とを含む材料を表す。ゲルは、通例、固体の粘稠性によって特徴付けられ(例えば、非流体状である)、比較的低い引張強度、例えば、100kPaよりも低い、比較的低い剪断弾性率、および1よりも低い剪断損失弾性率対剪断貯蔵弾性率(タンデルタ、G’’/G’)値を特徴にする。ゲルは、少なくとも0.5バール、好ましくは、少なくとも1バール以上の正圧を受けたときには流動可能であり、あるいは、代替的に、1バール未満もしくは0.5バール未満の、または0.3バール以下の圧力を受けたときには非流動可能であると特徴付けられ得る。
【0065】
現行の支持材料は、通例、養生可能および非養生可能材料の混合物を含み、本明細書においてゲル支持材料とも称される。
【0066】
現行の支持材料は、通例、水混和性、あるいは水分散性または水溶性である。
【0067】
本明細書全体を通して、用語「水混和性」は、分子の少なくとも50%が混合時に水中へ運動する、水に少なくとも部分的に溶解可能または分散可能である材料を表す。この用語は用語「水溶性」および「水分散性」を包含する。
【0068】
本明細書全体を通して、用語「水溶性」は、等しい体積または重量で水と混合されたときに、均一な溶液が形成される材料を表す。
【0069】
本明細書全体を通して、用語「水分散性」は、等しい体積または重量で水と混合されたときに均一な分散系を形成する材料を表す。
【0070】
本明細書全体を通して、表現「溶解速度」は、物質が液体媒質中に溶解する速度を表す。溶解速度は、目下の実施形態の文脈において、特定の量の支持材料を溶解するために必要とされる時間によって決定することができる。測定された時間は本明細書において「溶解時間」と称される。
【0071】
最終的な3次元オブジェクトは、造形材料、あるいは造形材料、または造形および支持材料の組み合わせ、あるいは(例えば、養生後の)それらの変更で作製される。全てのこれらの動作は自由形状造形の技術分野における当業者によく知られている。
【0072】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、1種または複数の異なる造形材料配合物を分配することによってオブジェクトが製造される。1種を超える造形材料配合物が用いられるときには、各材料配合物は、任意選択的に、および好ましくは、AM装置の(同じ、または別個の分配ヘッドに属する)ノズルの異なるアレイから分配される。
【0073】
実施形態によっては、AM装置の分配ヘッドはマルチチャネル分配ヘッドであり、この場合には、同じマルチチャネル分配ヘッド内に配置されたノズルの2つ以上のアレイから異なる造形材料配合物を分配することができる。実施形態によっては、異なる造形材料配合物を分配するノズルのアレイは別個の分配ヘッド内に配置されており、例えば、第1の造形材料配合物を分配するノズルの第1のアレイは第1の分配ヘッド内に配置されており、第2の造形材料配合物を分配するノズルの第2のアレイは第2の分配ヘッド内に配置されている。
【0074】
実施形態によっては、造形材料配合物を分配するノズルのアレイ、および支持材料配合物を分配するノズルのアレイは両方とも同じマルチチャネル分配ヘッド内に配置されている。実施形態によっては、造形材料配合物を分配するノズルのアレイ、および支持材料配合物を分配するノズルのアレイは別個の分配ヘッド内に配置されている。
【0075】
材料配合物は、任意選択的に、および好ましくは、印刷ヘッドの同じパスの間に層の形で堆積させられる。層内の材料配合物、および材料配合物の組み合わせはオブジェクトの所望の特性に従って選択される。
【0076】
図1Aに、本発明のいくつかの実施形態に係るオブジェクト112のAMのために適したシステム110の代表的および非限定的な例が示されている。システム110は、複数の分配ヘッドを含む分配ユニット16を有する付加製造装置114を備える。各ヘッドは、好ましくは、液体構築材料配合物124が分配される、以下において説明される
図2A~Cに示されるとおりの、1つまたは複数のノズル122のアレイを含む。
【0077】
好ましくは、必須ではないが、装置114は3次元印刷装置であり、この場合には、分配ヘッドは印刷ヘッドであり、構築材料配合物はインクジェット技術を介して分配される。適用物によっては、付加製造装置が3次元印刷技法を採用する必要がなくてもよいため、これは必ずしもその限りではない。本発明の様々な例示的実施形態に従って企図される付加製造装置の代表例としては、限定するものではないが、溶融堆積造形装置および溶融材料配合物堆積装置が挙げられる。
【0078】
各分配ヘッドは、任意選択的に、および好ましくは、温度制御ユニット(例えば、温度センサおよび/または加熱デバイス)、ならびに材料配合物レベルセンサを任意選択的に含み得る構築材料配合物リザーバを介して供給される。構築材料配合物を分配するために、例えば、圧電インクジェット印刷技術の場合のように、分配ヘッドノズルを介して材料配合物の液滴を選択的に堆積させるために電圧信号が分配ヘッドに印加される。各ヘッドの分配速度は、ノズルの数、ノズルの種類、および印加電圧信号の速度(周波数)に依存する。このような分配ヘッドは自由形状造形の技術分野における当業者に知られている。
【0079】
好ましくは、必須ではないが、分配ノズルまたはノズルアレイの全体数は、分配ノズルの半分が、支持材料配合物を分配するよう指定され、分配ノズルの半分が、造形材料配合物を分配するよう指定される、すなわち、造形材料配合物を噴射するノズルの数が、支持材料配合物を噴射するノズルの数と同じであるように選択される。
図1Aの代表例では、4つの分配ヘッド16a、16b、16cおよび16dが示されている。ヘッド16a、16b、16cおよび16dの各々はノズルアレイを有する。本例では、ヘッド16aおよび16bを造形材料配合物/配合物群のために指定することができ、ヘッド16cおよび16dを支持材料配合物のために指定することができる。それゆえ、ヘッド16aは第1の造形材料配合物を分配することができ、ヘッド16bは第2の造形材料配合物を分配することができ、ヘッド16cおよび16dは両方とも支持材料配合物を分配することができる。代替的実施形態では、ヘッド16cおよび16dは、例えば、支持材料配合物を堆積させるための2つのノズルアレイを有する単一のヘッドに組み合わせられてもよい。さらなる代替的実施形態では、分配ヘッドのうちの任意の1つまたは複数は、1種を超える材料配合物を分配するための1つを超えるノズルアレイ、例えば、2種の異なる造形材料配合物、あるいは造形材料配合物および支持材料配合物を、各配合物を、異なるアレイまたは数のノズルを介して分配するための2つのノズルアレイを有し得る。
【0080】
それにもかかわらず、本発明の範囲を限定することは意図されておらず、造形材料配合物堆積ヘッド(造形ヘッド)の数および支持材料配合物堆積ヘッド(支持ヘッド)の数は異なり得ることを理解されたい。概して、造形ヘッドの数、支持ヘッドの数、および各々のそれぞれのヘッドまたはヘッドアレイ内のノズルの数は、支持材料配合物の最大分配速度と造形材料配合物の最大分配速度との所定の比、aをもたらすなどするように選択される。所定の比の値aは、好ましくは、各々の形成された層内において、造形材料配合物の高さが支持材料配合物の高さと等しくなることを確実にするように選択される。aのための典型的な値は約0.6~約1.5である。
【0081】
本明細書において使用するとき、用語「約」は±10%を指す。
【0082】
例えば、a=1の場合、全ての造形ヘッドおよび支持ヘッドが動作するときには、支持材料配合物の全分配速度は造形材料配合物の全分配速度と概ね同じである。
【0083】
好ましい実施形態では、p個のノズルのm個のアレイを各々有するM個の造形ヘッド、およびq個のノズルのs個のアレイを各々有するS個の支持ヘッドが、M×m×p=S×s×qとなるように存在する。M×m個の造形アレイおよびS×s個の支持アレイの各々は、組み立てること、アレイのグループから分解することができる、別個の物理的ユニットとして製造することができる。本実施形態では、各々のこのようなアレイは、任意選択的に、および好ましくは、それ自身の温度制御ユニットおよび材料配合物レベルセンサを含み、その動作のために個々に制御された電圧を受電する。
【0084】
装置114は、堆積させられた材料配合物を硬化させ得る光、熱または同様のものを放出するように構成された任意のデバイスを含むことができる凝固デバイス324をさらに含むことができる。例えば、凝固デバイス324は、例えば、用いられる構築材料配合物に応じて、紫外もしくは可視もしくは赤外ランプ、または他の電磁放射線源、あるいは電子ビーム源であることができる、1つまたは複数の放射線源を含むことができる。本発明の実施形態によっては、凝固デバイス324は、造形材料配合物を養生するか、または凝固させる役割を果たす。
【0085】
本発明の実施形態によっては、装置114は、1つまたは複数のファンまたは同様のものなどの冷却システム134を含む。
【0086】
分配ヘッドおよび放射線源は、好ましくは、作業面の役割を果たすトレイ360の上で往復運動するように好ましくは動作可能であるフレームまたはブロック128内に設置されている。本発明の実施形態によっては、放射線源は、ブロック内において、それらが分配ヘッドに続いて追随し、分配ヘッドによって分配されたばかりの材料配合物を少なくとも部分的に養生するか、または凝固させるように設置されている。トレイ360は水平に位置付けられている。一般的慣例に従い、X-Y-Zデカルト座標系が、X-Y平面がトレイ360と平行になるように選択される。トレイ360は、好ましくは、鉛直方向に(Z方向に沿って)、通例、下方へ運動するように構成されている。本発明の様々な例示的実施形態では、装置114は、1つまたは複数の均しデバイス132、例えば、ローラ326をさらに含む。均しデバイス326は、新たに形成された層を、その上に連続する層を形成する前に、真っ直ぐにし、均し(leveling)、および/またはその厚さを確立する役割を果たす。均しデバイス326は、好ましくは、均しの最中に生成された余分な材料配合物を収集するための廃棄物収集デバイス136を含む。廃棄物収集デバイス136は、材料配合物を廃棄物タンクまたは廃棄物カートリッジへ送る任意の機構を含み得る。
【0087】
使用時、ユニット16の分配ヘッドは、本明細書においてX方向と称される走査方向に運動し、それらがトレイ360の上を通過する過程において構築材料配合物を所定の構成で選択的に分配する。構築材料配合物は、通例、1つまたは複数の種類の支持材料配合物および1つまたは複数の種類の造形材料配合物を含む。ユニット16の分配ヘッドの通過に続いて、放射線源126による造形材料配合物の養生が行われる。ヘッドの逆方向の通過において、構築材料配合物の追加の分配が所定の構成に従って実施されてもよい。分配ヘッドの順方向および/または逆方向の通過において、分配されたばかりの材料は、好ましくは、それらの順方向および/または逆方向の運動において分配ヘッドの経路をたどる、均しデバイス326によって真っ直ぐにされ得る。分配ヘッドがX方向に沿ってそれらの出発点へ戻ると、それらは、本明細書においてY方向と称されるインデックス方向に沿って別の位置へ運動し、X方向に沿った往復運動によって同じ層を引き続き構築し得る。代替的に、分配ヘッドは、順方向運動と逆方向運動との合間、または1回を超える順方向-逆方向運動の後にY方向に運動してもよい。単一の層を完成するために分配ヘッドによって遂行される一連の走査は本明細書において単一の走査サイクルと称される。
【0088】
層が完成されると、トレイ360は、続いて印刷されるべき層の所望の厚さに従って、所定のZレベルまでZ方向に降下させられる。この手順が、3次元オブジェクト112を層ごとに形成するために繰り返される。
【0089】
別の実施形態では、トレイ360は、層内における、ユニット16の分配ヘッドの順方向の通過と逆方向の通過との合間にZ方向に変位させられ得る。このようなZ変位は、一方の方向においては均しデバイスと表面との接触を生じさせ、他方の方向においては接触を防止するために実施される。
【0090】
システム110は、任意選択的に、および好ましくは、構築材料配合物容器またはカートリッジを含み、複数の構築材料配合物を製作装置114に供給する構築材料配合物供給システム330を備える。
【0091】
コントローラ152が、製作装置114、ならびに任意選択的に、および好ましくは、供給システム330も制御する。コントローラ152は、電子回路、および回路によって可読の不揮発性メモリ媒体を有するコンピュータ化コントローラであることができ、メモリ媒体は、回路によって読み込まれたときに、回路に、以下においてさらに詳述されるとおりの制御動作を遂行させるプログラム命令を記憶する。本発明の実施形態によっては、コントローラ152の電子回路は、データ処理動作も遂行するように構成されている。コントローラ152は、好ましくは、コンピュータオブジェクトデータ、例えば、標準テッセレーション言語(STL)フォーマットまたは同様のものの形式でコンピュータ可読媒体上に表現されたCAD構成に基づく製作命令に関係するデジタルデータを伝送するデータプロセッサ154と通信する。通例、コントローラ152は、各分配ヘッドもしくはノズルアレイに印加される電圧、およびそれぞれの印刷ヘッド内の構築材料配合物の温度を制御する。
【0092】
製造データがコントローラ152にロードされると、それはユーザの介入なしに動作することができる。実施形態によっては、コントローラ152は、例えば、データプロセッサ154を用いて、またはユニット152と通信するユーザインターフェース116を用いて、操作者からの追加の入力を受信する。ユーザインターフェース116は、限定するものではないが、キーボード、タッチスクリーン、および同様のものなどの、当技術分野において知られている任意の種類のものであることができる。例えば、コントローラ152は、1つまたは複数の構築材料配合物の種類、ならびに/あるいは限定するものではないが、色、特性ひずみおよび/または遷移温度、粘度、電気特性、磁気特性などの特質を追加の入力として受信することができる。他の特質、および特質のグループも企図される。
【0093】
図1B~Dに、本発明のいくつかの実施形態に係るオブジェクトのAMのために適したシステム10の別の代表的および非限定的な例が示されている。
図1B~Dは、システム10の上面図(
図1B)、側面図(
図1C)、および等角図(
図1D)を示す。
【0094】
本実施形態では、システム10は、トレイ12と、複数の分離されたノズルを各々有し、供給システム330からの構築材料配合物を受け取るように配置された複数のインクジェット印刷ヘッド16とを備える。トレイ12は円板の形状を有することができるか、またはそれは環状であることができる。非円形の形状も、それらを鉛直方向軸の周りに回転させることができるという条件で、企図される。
【0095】
トレイ12およびヘッド16は、任意選択的に、および好ましくは、トレイ12とヘッド16との間の相対回転運動を可能にするなどするように設置されている。これは、(i)トレイ12を、ヘッド16に対して鉛直方向軸14の周りに回転するように構成するか、(ii)ヘッド16を、トレイ12に対して鉛直方向軸14の周りに回転するように構成するか、あるいは(iii)トレイ12およびヘッド16の両方を、鉛直方向軸14の周りに、ただし異なる回転速度で回転するように(例えば、反対方向への回転)構成することによって、達成することができる。以下の実施形態は、トレイが、ヘッド16に対して鉛直方向軸14の周りに回転するように構成された回転トレイである構成(i)を特に強調して説明されるが、本出願は構成(ii)および(iii)も企図していることを理解されたい。本明細書において説明される実施形態のうちの任意のものは、構成(ii)および(iii)のうちの任意のものに適用可能となるよう調整することができ、当業者は、本明細書において説明される詳細を与えられれば、このような調整をどのように行うのかを知るであろう。
【0096】
以下の説明において、トレイ12と平行であり、軸14から外方に向いた方向は半径方向rと称され、トレイ12と平行であり、かつ半径方向rと垂直な方向は方位角方向φであり、トレイ12と垂直な方向は鉛直方向zである。
【0097】
用語「半径方向位置」は、本明細書において使用するとき、軸14から特定の距離にある、トレイ12上、またはその上方の位置を指す。用語が印刷ヘッドに関連して用いられるときには、用語は、軸14から特定の距離にあるヘッドの位置を指す。用語がトレイ12上の点に関連して用いられるときには、用語は、半径が軸14からの特定の距離であり、中心が軸14にある円である点の軌跡に属する任意の点に対応する。
【0098】
用語「方位角方向位置」は、本明細書において使用するとき、所定の基準点に対して特定の方位角にある、トレイ12上、またはその上方の位置を指す。それゆえ、方位角方向位置は、基準点に対して特定の方位角をなす直線である点の軌跡に属する任意の位置を指す。
【0099】
用語「鉛直方向位置」は、本明細書において使用するとき、特定の点において鉛直方向軸14と交わる平面の上方の位置を指す。
【0100】
トレイ12は3次元印刷のための支持構造の役割を果たす。1つまたはオブジェクト群が印刷される作業区域は、通例、必ずしもそうとは限らないが、トレイ12の総区域よりも小さい。本発明の実施形態によっては、作業区域は環状である。作業区域は26において示されている。本発明の実施形態によっては、トレイ12はオブジェクトの形成全体を通して同じ方向に継続的に回転し、本発明の実施形態によっては、トレイはオブジェクトの形成中に少なくとも1回(例えば、振動的な様態で)、回転方向を逆転させる。トレイ12は、任意選択的に、および好ましくは、取り外し可能である。トレイ12を取り外すことは、システム10の保守のため、または、所望の場合には、新たなオブジェクトを印刷する前にトレイを交換するためのものであることができる。本発明の実施形態によっては、システム10は、1つまたは複数の異なる交換トレイ(例えば、交換トレイのキット)を提供されており、2つ以上のトレイは、異なる種類のオブジェクト(例えば、異なる重量)、異なる動作モード(例えば、異なる回転速度)などのために指定されている。トレイ12の交換は、所望に応じて、手動式または自動式であることができる。自動交換が採用されているときには、システム10は、トレイ12をヘッド16の下方のその位置から取り外し、それを交換トレイ(図示せず)と交換するように構成されたトレイ交換デバイス36を備える。
図1Bの代表的な図では、トレイ交換デバイス36は、トレイ12を引くように構成された可動アーム40を有する駆動装置38として示されているが、他の種類のトレイ交換デバイスも企図される。
【0101】
図2A~2Cに、印刷ヘッド16のための例示的実施形態が示されている。これらの実施形態は、限定するものではないが、システム110およびシステム10を含む、上述されたAMシステムのうちの任意のもののために採用することができる。
【0102】
図2A~Bは、1つ(
図2A)および2つ(
図2B)のノズルアレイ22を有する印刷ヘッド16を示す。アレイ内のノズルは、好ましくは、直線に沿って直線状に整列されている。特定の印刷ヘッドが2つ以上の直線状ノズルアレイを有する実施形態では、ノズルアレイは、任意選択的に、および好ましくは、互いに平行であることができる。
【0103】
システム110と同様のシステムが採用されるときには、全ての印刷ヘッド16は、任意選択的に、および好ましくは、インデックス方向に沿って配向されており、走査方向に沿ったそれらの位置は互いにオフセットしている。
【0104】
システム10と同様のシステムが採用されるときには、全ての印刷ヘッド16は、任意選択的に、および好ましくは、半径方向に(半径方向と平行に)配向されており、それらの方位角方向位置は互いにオフセットしている。それゆえ、これらの実施形態では、異なる印刷ヘッドのノズルアレイは互いに平行ではなく、むしろ、互いに対して角度をなしており、その角度はそれぞれのヘッドの間の方位角方向のオフセットとほぼ等しい。例えば、1つのヘッドは半径方向に配向され、方位角方向位置φ1に位置付けられていてもよく、別のヘッドは半径方向に配向され、方位角方向位置φ2に位置付けられていてもよい。本例では、2つのヘッドの間の方位角方向のオフセットはφ1-φ2であり、2つのヘッドの直線状ノズルアレイの間の角度もφ1-φ2である。特定のヘッドが(半径方向に)配向された特定の方向はヘッドの「インデックス方向」と称される。
【0105】
実施形態によっては、2つ以上の印刷ヘッドを印刷ヘッドのブロックに組み立てることができ、この場合には、ブロックの印刷ヘッドは、通例、互いに平行である。
図2Cに、いくつかのインクジェット印刷ヘッド16a、16b、16cを含むブロックが示されている。
【0106】
実施形態によっては、システム10は、ヘッド16の下方に位置付けられた支持構造30を備え、これにより、トレイ12は支持構造30とヘッド16との間にある。支持構造30は、インクジェット印刷ヘッド16が動作する間に発生し得るトレイ12の振動を防止または低減する役割を果たし得る。印刷ヘッド16が軸14の周りに回転する構成では、好ましくは、支持構造30も、支持構造30が常にヘッド16の直下にある(トレイ12がヘッド16とトレイ12との間にある)ように回転する。
【0107】
トレイ12および/または印刷ヘッド16は、任意選択的に、および好ましくは、トレイ12と印刷ヘッド16との間の鉛直方向距離を変更するために、鉛直方向軸14と平行な鉛直方向zに沿って運動するように構成されている。鉛直方向距離が、トレイ12を鉛直方向に沿って運動させることによって変更される構成では、好ましくは、支持構造30もトレイ12と共に鉛直に運動する。トレイ12の鉛直方向位置を固定状態に維持しつつ、鉛直方向距離がヘッド16によって鉛直方向に沿って変更される構成では、支持構造30も固定鉛直方向位置に維持される。
【0108】
鉛直方向運動は鉛直方向駆動装置28によって確立され得る。層が完成されると、トレイ12とヘッド16との間の鉛直方向距離を、続いて印刷されるべき層の所望の厚さに従って、所定の鉛直方向刻みだけ増大させることができる(例えば、トレイ12がヘッド16に対して降下させられる)。この手順が、3次元オブジェクトを層ごとに形成するために繰り返される。
【0109】
インクジェット印刷ヘッド16の、および任意選択的に、および好ましくは、同様に、システム10の1つまたは複数の他の構成要素の動作、例えば、トレイ12の運動はコントローラ20によって制御される。コントローラは、電子回路、および回路によって可読の不揮発性メモリ媒体を有することができ、メモリ媒体は、回路によって読み込まれたときに、回路に、以下においてさらに詳述されるとおりの制御動作を遂行させるプログラム命令を記憶する。本発明の実施形態によっては、コントローラ20の電子回路は、データ処理動作も遂行するように構成されている。
【0110】
コントローラ20はまた、例えば、標準テッセレーション言語(STL)またはステレオリソグラフィ輪郭(SLC)フォーマット、仮想現実造形言語(VRML)、付加製造ファイル(AMF)フォーマット、図面交換フォーマット(DXF)、ポリゴンファイルフォーマット(PLY)、あるいはコンピュータ支援設計(CAD)のために適した任意の他のフォーマットの形態の、コンピュータオブジェクトデータに基づく製作命令に関係するデジタルデータを伝送するホストコンピュータ24と通信することができる。オブジェクトデータフォーマットは、通例、デカルト座標系に従って構造化される。これらの場合には、コンピュータ24は、好ましくは、コンピュータオブジェクトデータ内の各スライスの座標をデカルト座標系から極座標系に変換するための手順を実行する。コンピュータ24は、任意選択的に、および好ましくは、製作命令を、変換された座標系を用いて伝送する。代替的に、コンピュータ24は、製作命令を、コンピュータオブジェクトデータによって提供されたとおりの元の座標系を用いて伝送することができ、この場合には、座標変換はコントローラ20の回路によって実行される。
【0111】
座標変換は回転トレイの上での3次元印刷を可能にする。従来の3次元印刷では、印刷ヘッドは静止トレイの上方で直線に沿って往復運動する。このような従来のシステムでは、ヘッドの分配速度が均一であるとの条件で、印刷解像度はトレイの上のいずれの点においても同じである。従来の3次元印刷とは異なり、ヘッド点の全てのノズルが同じ時間の間にトレイ12の上方の同じ距離を進むわけではない。座標変換は、任意選択的に、および好ましくは、異なる半径方向位置において等量の余剰材料配合物を確実にするために実行される。オブジェクトのスライス(各スライスはオブジェクトの異なる層の製作命令に対応する)を示す
図3A~Bに、本発明のいくつかの実施形態に係る座標変換の代表例が与えられており、
図3Aはデカルト座標系におけるスライスを示し、
図3Bはそれぞれのスライスへの座標変換手順の適用後の同じスライスを示す。
【0112】
通例、コントローラ20は、製作命令に基づいて、および以下において説明されるとおりの記憶されたプログラム命令に基づいて、システム10のそれぞれの構成要素に印加される電圧を制御する。
【0113】
概して、コントローラ20は、3次元オブジェクトをトレイ12上で印刷するなどするために、印刷ヘッド16を、トレイ12の回転中に、構築材料配合物の液滴を層の形で分配するように制御する。
【0114】
システム10は、任意選択的に、および好ましくは、限定するものではないが、用いられる造形材料配合物に応じて、紫外もしくは可視もしくは赤外ランプ、または他の電磁放射線源、あるいは電子ビーム源などの、1つまたは複数の放射線源18を含み得る硬化デバイス324を備える。放射線源は、限定するものではないが、発光ダイオード(light emitting diode、LED)、デジタル光処理(digital light processing、DLP)システム、抵抗ランプ、および同様のものを含む、任意の種類の放射線放出デバイスを含むことができる。放射線源18は、造形材料配合物を養生する、または凝固させる役割を果たす。本発明の様々な例示的実施形態では、放射線源18の動作は、放射線源18を活動化および非活動化し得、任意選択的に、放射線源18によって発生される放射線の量も制御し得るコントローラ20によって制御される。
【0115】
本発明の実施形態によっては、システム10は、ローラまたはブレードとして製造することができる1つまたは複数の均しデバイス32をさらに備える。均しデバイス32は、新たに分配された材料を、その上への追加の材料の分配の前に真っ直ぐにする役割を果たす。実施形態によっては、均しデバイス32は、その対称軸34がトレイ12の表面に対して傾斜しており、その表面がトレイの表面と平行であるように位置付けられた円錐ローラの形状を有する。本実施形態はシステム10の側面図(
図1C)において示されている。
【0116】
円錐ローラは円錐または円錐台の形状を有することができる。
【0117】
円錐ローラの開き角は、好ましくは、その軸34に沿った任意の部位における円錐の半径と、その部位と軸14との間の距離との間の一定の比があるように、選択される。ローラが回転する間に、ローラの表面上のいずれの点pも、点pの鉛直下方の点におけるトレイの線速度に比例する(例えば、同じである)線速度を有するため、本実施形態は、ローラ32が層を効率的に均すことを可能にする。実施形態によっては、ローラは、高さh、軸14からのその最も近い距離における半径R1、軸14からのその最も遠い距離における半径R2を有する円錐台の形状を有する。ここで、パラメータh、R1およびR2は関係R1/R2=(R-h)/hを満たし、ここで、Rは軸14からのローラの最も遠い距離である(例えば、Rはトレイ12の半径であることができる)。
【0118】
均しデバイス32の動作は、任意選択的に、および好ましくは、均しデバイス32を活動化および非活動化し得、任意選択的に、また、(軸14と平行な)鉛直方向、および/または、(トレイ12と平行であり、軸14へ向かう方に、またはそれから遠ざかる方に向いた)半径方向に沿ってその位置を制御し得るコントローラ20によって制御される。
【0119】
本発明の実施形態によっては、システム10は、1つまたは複数のファンまたは同様のものなどの冷却システム134(
図1Cおよび1D参照)を備える。
【0120】
本発明の実施形態によっては、印刷ヘッド16は、半径方向rに沿ってトレイに対して往復運動するように構成されている。これらの実施形態は、ヘッド16のノズルアレイ22の長さがトレイ12上の作業区域26の半径方向に沿った幅よりも短いときに有用である。半径方向に沿ったヘッド16の運動は、任意選択的に、および好ましくは、コントローラ20によって制御される。
【0121】
いくつかの実施形態は、異なる分配ヘッドから異なる材料配合物を分配することによるオブジェクトの製作を企図する。これらの実施形態は、とりわけ、所与の数の材料配合物から材料配合物を選択し、選択された材料配合物およびそれらの特性の所望の組み合わせを規定する能力を提供する。本実施形態によれば、層内の各材料配合物の堆積の空間部位は、異なる材料配合物による異なる3次元空間部位の占有を生じさせるよう、または層内における材料配合物の堆積後の空間的結合を可能にし、これにより、それぞれの部位または部位群において複合材料配合物を形成するべく、2種以上の異なる材料配合物による実質的に同じ3次元部位もしくは近接した3次元部位の占有を生じさせるように規定される。
【0122】
造形材料配合物のあらゆる堆積後の結合または混合が企図される。例えば、特定の材料配合物が分配されると、それはその元の特性を保存し得る。しかし、それが、同じ、もしくは近隣の部位において分配される、別の造形材料配合物、または他の分配される材料配合物と同時に分配されたときには、分配された材料配合物に対して異なる特性または特性群を有する複合材料配合物が形成される。
【0123】
それゆえ、本実施形態は、オブジェクトの各部分を特徴付けるために所望される特性に従う、オブジェクトの異なる部分内における、広範な材料配合物の組み合わせの堆積、および材料配合物の複数の異なる組み合わせから成り得るオブジェクトの製作を可能にする。
【0124】
本実施形態のために適したAMシステムの原理および動作に関するさらなる詳細が米国特許第9,031,680号明細書において見出される。同特許の内容は本明細書において参照により組み込まれる。
【0125】
本発明の発明者らは、所定の温度範囲内にある温度をAMシステム内で維持することを可能にする技法を考案した。これは、本実施形態のシステムが、操作者によって提供された、または自動的に抽出された情報に基づいてAMプロセスの作業温度を適応させることを可能にするため、有利である。
【0126】
1つの種類の情報は、AMのために用いられるべき構築材料または材料群に関連し得る。最適な作業温度が、異なる種類の構築材料によって異なり得るため、本実施形態のシステムは、分配されるべき材料または材料群に基づいて作業温度を適応させることができる。それゆえ、本発明の実施形態によっては、所定の温度範囲は、分配されることになる材料に基づいて、操作者によって、またはAMシステムのコントローラによって自動的に選択される。例えば、材料がアクリルであるときには、比較的低い温度(例えば、約60℃~約100℃)が好ましく、材料が、溶剤乾燥を必要とする溶剤系材料(例えば、セラミック材料、ポリイミド含有材料)であるときには、より高められた温度(例えば、約100℃~約150℃)が好ましく、材料が焼結を必要とするときには(例えば、導電性材料)、さらにより高い温度(例えば、約150℃~約200℃)が好ましい。
【0127】
いくつかの造形材料、特に、UV重合性材料は、オブジェクトの製作中に巻き上がりなどの望ましくない変形を呈する。このような巻き上がりの傾向は、液体から固体への相転移中の材料収縮の結果であることが見出された。巻き上がりの程度は測定可能な量である。巻き上がりの程度を測定するための好適なプロセスは、平坦で水平な表面上における、所定の形状のオブジェクト、例えば、長方形もしくは正方形断面を有する細長い棒の製作、オブジェクトの一方の端部に所定の荷重を加えること、および表面の上方における反対の端部の高度を測定することを含むことができる。
【0128】
巻き上がりの程度は、鉛直方向に沿った、製造されるオブジェクト内の温度勾配の存在と相関し、また、構築材料の固有の加熱撓み温度(Heat Deflection Temperature、HDT)と製作中のAMシステム内の温度との差とも相関する。
【0129】
本明細書において使用するとき、用語「加熱撓み温度」(HDT)は、それぞれの材料、または材料の組み合わせが、何らかの特定の温度において所定の荷重下で変形する温度を指す。材料または材料の組み合わせのHDTを決定するための好適な試験手順は、ASTM D-648シリーズ、特に、ASTM D-648-06およびASTM D-648-07の方法である。
【0130】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、材料が養生中に発達させるHDTに近い製作中のシステム内温度は、材料が、システム内温度がHDTから遠い状況と比べて、応力緩和または塑性変形をより高い程度に受けることを可能にすると仮定される。
【0131】
本発明の様々な例示的実施形態では、所定の温度範囲は、システムによって分配されるべき材料のHDTを、±10℃、より好ましくは、±5℃の許容差をもって包含する範囲である。これは、発達したHDTとAMシステム内温度との差を低減するため、巻き上がりの可能性を低減するという観点から有利である。
【0132】
図4は、本発明の様々な例示的実施形態に係る、付加製造のために適した方法のフローチャート図である。特に定義されない限り、以下において説明される動作は、多くの組み合わせまたは実行順序で同時または順次に実行され得ることを理解されたい。具体的には、フローチャート図の順序付けは限定と考えられるべきでない。例えば、以下の説明において、またはフローチャート図において特定の順序で現れる2つ以上の動作は、異なる順序(例えば、逆の順序)で、または実質的に同時に実行され得る。加えて、以下において説明されるいくつかの動作は任意選択的なものであり、実行されなくてもよい。
【0133】
本方法は、コントローラ(例えば、コントローラ152または20)によって動作させられるAMシステム(例えば、システム110またはシステム10)によって実行され得る。本方法は400において開始し、任意選択的に、および好ましくは、オブジェクトの3次元形状に集合的に関係するコンピュータオブジェクトデータを受信する401へ進む。データは、AMシステムに動作可能に関連付けられたデータプロセッサ(例えば、プロセッサ154または24)によって受信され得る。例えば、データプロセッサはコンピュータ可読記憶媒体(図示せず)にアクセスし、媒体からデータを取り込むことができる。データプロセッサは、記憶媒体からデータを取り込む代わりに、またはそれに加えて、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)またはコンピュータ支援製造(computer aided manufacturing、CAM)ソフトウェアを用いて、データ、またはその部分を生成することもできる。コンピュータオブジェクトデータは、通例、製造されるべきオブジェクトの層を各々規定する複数のスライスデータを含む。データプロセッサは、データまたはその部分をAMシステムのコントローラへ転送することができる。通例、必ずしもそうとは限らないが、コントローラはスライスごとにデータを受信する。データは、上述のコンピュータオブジェクトデータフォーマットのうちの任意のものを含む、当技術分野において知られている任意のデータフォーマットによるものであることができる。
【0134】
本方法は、構築材料を、例えば、分配ヘッド16のうちの1つまたは複数を用いて、受容面上に分配する402へ進む。受容面は、AMシステムの作業面(例えば、トレイ12もしくは360)であることができるか、またはそれは、1種または複数の構築材料の以前に形成された層であることができる。本方法は、分配された構築材料を硬化させ、硬化材料を形成する403へ進む。動作403は硬化デバイス324によって実行され得、養生放射線を、分配された材料に適用することを含み得る。用いられる構築材料に基づいて放射線の種類(例えば、電磁、電子ビームなど)が選択される。例えば、UV重合性材料のためには、紫外電磁放射線が好ましい。
【0135】
本方法は、任意選択的に、および好ましくは、少なくとも、硬化構築材料によって放出された熱エネルギーを感知する404へ進む。感知は、
図1Aおよび1Bに138において概略的に示される熱感知システムによるものである。感知システム138は、センサ138によって感知された熱エネルギーに応じて感知信号を生成する。感知システム138は、通例、限定するものではないが、1つまたは複数の赤外センサなどの、1つまたは複数の熱センサを含む。
【0136】
好ましくは、感知システム138は、AMシステムの作業面(例えば、トレイ12または360)の上方に、走査方向xまたは方位角方向φに沿った感知システム138と作業面との間の相対運動を可能にする様態で設置されている。これは、感知システム138を、局所的に、および任意選択的に、および好ましくは、また、選択的にも、製作中にオブジェクトの最上層の部分から放出されたエネルギーを感知するように構成することを可能にし、感知システム138との間の相対運動は、感知システム138が最上層を、層によって放出された熱エネルギーを区分ごとに局所的に感知するよう連続的な様態で走査することを確実にする。それゆえ、本発明の好ましい実施形態では、感知システム138は感知信号の時系列を生成し、各信号は、最上層の異なる区分によって放出された熱エネルギーに関係する局所情報を包含する。
【0137】
好ましくは、感知システム138のセンサのうちの1つまたは複数は、デバイス324によって発生される熱エネルギーを低減するか、またはそれぞれのセンサに直接到来するのを防止するために硬化デバイス324から十分な距離をおいて設置されている。例えば、
図1Aに示されるように、感知システム138はフレーム128上においてデバイス324の反対側に設置することができ、これにより、ヘッド16は感知システム138とデバイス324との間にある。デバイス324がより少量の熱を発生するか、またはより指向性の高い放射線をもたらす実施形態では(例えば、デバイス324が1つまたは複数のLEDを含むとき)、これらの実施形態では、デバイス324とシステム138との間に存在する熱クロストークがより少ないため、感知システムは、デバイス324のより近くに、またはそれに近接して設置されてもよい。
【0138】
本発明の様々な例示的実施形態では、感知システム138は少なくとも1つの画素化センサを含み、この場合には、それぞれのセンサによって生成された感知信号は、硬化構築材料の温度マップを構成する。
【0139】
感知システム138が最上層を走査する上述の構成の利点は、それが、低コストのセンサを用いて、十分に高い空間解像度で温度データを得ることを可能にすることである。例えば、ΔA mm2の最小特徴サイズで温度データを得ることが所望され、特定の層の表面積がA mm2であると想定する。この場合には、所望の解像度をもたらすために、A/ΔA個のデータサンプルを有することが必要とされる。ΔAの小さい値、および大きい値Aの場合、比A/ΔAは相当に大きく(例えば、10,000以上に)なり得ることが理解される。多数のデータサンプルを瞬間的に提供する高解像度カメラは相当に高価でかさばるものになり得る。本実施形態によれば、感知システム138は、信号取り込みの間に全てのA/ΔA個のデータサンプルを提供することを必要としない。最上層を走査し、感知信号の時系列を提供することによって、画素数がA/ΔA個よりも大幅に少ない画素化センサによって同じ解像度が達成され得る。本発明の様々な例示的実施形態では、感知システム138の各画素化センサの画素数は、1,000個未満、より好ましくは、500個未満、より好ましくは、250個未満、より好ましくは、125個未満、例えば、100個以下である。例えば、本発明者らによって遂行された実験では、上述のことが、感知要素が4×16アレイ上に配置された画素化センサを用いて適切な空間解像度を達成することを可能にすることが見出された。
【0140】
それぞれ、インデックスおよび走査方向に沿った感知システム138の視野角は、好ましくは、約40°×10°~約120°×25°、より好ましくは、約40°×10°~約60°×15°である。感知システム138が1つまたは複数の画素化センサを含むときには、各センサは、好ましくは、画素化センサの空間解像度が、約1×1mm、より好ましくは、0.8×0.8mm、より好ましくは、0.6×0.6mm、より好ましくは、0.5×0.5mmの最小識別可能特徴サイズに対応するよう選択された距離をおいて設置されている。
【0141】
本出願から成熟した特許権の存続期間中に、多くの関連熱センサが開発されることになることが予想され、熱センサという用語の範囲は、全てのこのような新技術を先験的に含むことを意図される。
【0142】
感知システム138は、感知システム138が硬化材料の区域の上の熱エネルギーを感知することを可能にする、硬化材料の上の視野を与えられている。本発明の実施形態によっては、インデックス方向に沿った視野は、インデックス方向に沿った分配ヘッドのノズルアレイの長さに一致する。感知システム138、ヘッド16、およびトレイ12もしくは360を示す
図5に、これらの実施形態が示されている。
図5は、単一のセンサを有する感知システムを示しているが、感知システム138が複数のセンサを含む構成も企図されることを理解されたい。インデックス方向に沿った(システム110の場合には、方向yに沿った、およびシステム10の場合には、方向rに沿った)ヘッド16のノズルアレイ(
図5には示されていない)の長さはL
Hによって表され、ノズル(
図5には示されていない)が分布したインデックス方向に沿った距離として定義される。インデックス方向に沿った感知システム138の視野はL
FOVによって表される。L
FOVは感知システム138の複合視野であることに留意されたい。感知システム138が1つを超えるセンサを含むときには、各々の個々のセンサの視野はL
FOV未満であることができる。図示のように、L
H=L
FOVである。それゆえ、感知システム138が単一のセンサを含むときには、信号センサの視野は、好ましくは、L
Hと等しい、またはほぼ等しく、感知システム138が複数のセンサを含むときには、各センサの視野はL
H未満であることができるが、全てのセンサの複合視野は、好ましくは、L
Hと等しい、またはほぼ等しい。例えば、感知システム138内にn個のセンサが存在するときには、各々の個々のセンサの視野は少なくともL
H/nおよびL
H未満であることができる。通例、各々の個々のセンサの視野はL
H/nに近いが、近接したセンサの視野の間の重なり合いを可能にするために、それよりは大きい。
【0143】
好ましくは、センサとトレイとの間には方向xまたはφに沿った相対運動が存在するため、直交する水平方向(xまたはφ方向)に沿って感知システム138に与えられる視野は、この方向に沿ったヘッドの幅と同じでなくてもよい。
【0144】
図4に戻ると、本方法は、熱を構築材料から除去する405へ進む。これは、冷却システム134を動作させることによって実行され得る。好ましくは、必ずしもそうとは限らないが、冷却システム134は、AMシステムの作業面(例えば、トレイ12または360)の上方に、走査方向xまたは方位角方向φに沿った冷却システム134と作業面との間の相対運動を可能にする様態で設置されている。これは、冷却システム134が熱を概ね局所的な様態で除去することを可能にし、熱は、冷却システム134の下方の領域から、冷却システム134からより遠い領域からよりもさらに効率的に除去される。相対運動の間に、異なる領域がシステム134によって効果的に冷却される。本発明の実施形態によっては、冷却システム134は、感知システム138および1つまたは複数の分配ヘッド16と共に印刷システムの印刷ブロック上に設置されている。例えば、
図1Aに示されるように、冷却システム134、感知システム138、および分配ヘッド16はフレーム128上に設置されている。
【0145】
熱は、硬化構築材料によって放出される熱エネルギーに応じて選択された速度で除去される。速度は、冷却システム134に供給される電力を制御することによって選択することができる。例えば、冷却システム134が1つまたは複数のファンを含むときに、電力は、ファンの回転速度、それゆえ、同様に、熱除去速度を変更させるよう制御される。冷却システム134に供給される電力の制御は、限定するものではないが、電圧、パルス幅、パルス繰り返し速度、パルス幅変調、および同様のものを含む、システム134によって用いられる任意の動作パラメータを変更することによって実施することができる。
【0146】
本発明の様々な例示的実施形態では、硬化構築材料によって放出される熱エネルギーにのみ基づいて選択された速度、具体的には、これらの実施形態では、熱除去の速度は、他のオブジェクト(例えば、硬化させられる前の構築材料、または限定するものではないが、システムのトレイもしくは側壁を含む、システムの他の構成要素)によって放出される熱エネルギーに基づいて選択されない。これは、熱センサを、分配ヘッド、ならびにトレイおよび/またはヘッドの運動と同期して動作させることによって確実にすることができる。同期は、ヘッドが材料を分配した後にのみ、および硬化材料がセンサの視野に入ったときにのみ、感知信号がサンプリングされることができる。このような同期は、コントローラ20または152によって、分配ヘッドの状態、およびトレイの上方の分配ヘッドの部位に関係する情報に基づいて実行され得る。
【0147】
同期させられた動作の代表例として、
図1Aに示される構成を考える。例示される構成では、ヘッド16は硬化デバイス324と感知システム138との間にある。ヘッドが、+x方向に(
図1Aの表記法では、左に)運動している間には、分配し、反対方向-xに(
図1Aの表記法では、右に)運動中には、分配がない分配プロトコルを考える。y方向に沿った感知システム138の視野は、
図5に示されるとおりである、すなわち、ヘッド16のノズルアレイの長さと同じであると想定する。+x方向への運動中に、ヘッド16は、均しデバイス132によって均され、硬化デバイス324によって硬化させられる構築材料を分配する。反対方向への運動中には、材料は分配されず、したがって、感知システム138がその上方を運動する際に、オブジェクト112の最上層は硬化されている。-x方向に運動している間に最上層が感知システム138の視野に入ったときに、コントローラ152は感知システム138に、感知信号のサンプリングを開始するよう信号を出し、最上層が感知システム138の視野を出たときに、コントローラ152は感知システム138に、サンプリングを停止するよう信号を出す。これは、感知信号が、オブジェクト112を形成する硬化材料によって放出された熱エネルギーに関係する情報のみを包含することを確実にする。
【0148】
同期させられた動作のための別の例示的な同様の同期として、トレイが一方の方向に回転するが、反対方向には回転しない回転システムを考える。例えば、トレイ12が+φ方向に沿って回転する、
図1Bに示される構成を考える。この構成では、材料は、硬化デバイス324の下方を通過し、したがって、硬化させられた後に、感知システム138の視野に入る。製作されるオブジェクトの最上層が感知システム138の視野に入ったときに、コントローラ20は感知システム138に、感知信号のサンプリングを開始するよう信号を出し、最上層が感知システム138の視野を出たときに、コントローラ20は感知システム138に、サンプリングを停止するよう信号を出す。
【0149】
サンプリングが、硬化材料が感知システム138の視野内にある時間の間にのみ行われることを確実にするためのサンプリングのタイミングの他に、本実施形態は、感知システム138のサンプリング速度をセンサとトレイとの間の相対運動の速度と同期させることも企図する。これは、それが感知の精度の変動を低減するため、有利である。好ましくは、サンプリング速度は運動の速度に対して直線的に増大する。
【0150】
硬化材料、好ましくは、製作されるオブジェクトの最上層における硬化材料の温度が所定の温度範囲内にあることを確実にするために、熱除去速度は、好ましくは、熱センサからの信号を用いた閉ループで動的に変更される。これは閾値処理によって行うことができる。通例、感知された温度が第1の所定の閾値T1を上回るときには、温度がT1を超えて大幅に増大しないよう、より高い熱除去速度を確実にするために、冷却システム134に供給される電力が増大させられる。好ましくは、感知された温度が第2の所定の閾値T2(T2<T1)を下回るときには、温度がT2を下回って大幅に低下しないよう、熱除去速度を低減するために、冷却システム134に供給される電力は減少させられ、冷却システム134に供給される電力は増大する。
【0151】
感知システム138が温度マップを提供する実施形態では、温度マップは、好ましくは、マップ内において、より高い温度の第1の画素集団、およびより低い温度の第2の画素集団を識別するために分析される。第1の画素集団の温度が閾値T1を上回るときには、冷却システム134に供給される電力を増大させることができる。好ましくは、第2の画素集団の温度が閾値T2を下回るときには、冷却システム134に供給される電力を減少させることができる。
【0152】
本発明の実施形態によっては、除去速度は、感知された温度と所定の基準温度との温度差ΔTの非線形関数として変更される。好ましくは、非線形関数はΔTの二次関数を含む。
【0153】
本発明の実施形態によっては、AMシステムのコントローラは、1つの種類の構築材料を、別の種類の構築材料を分配する前に硬化させるよう硬化デバイスを制御する。これらの実施形態は、AMの最中に用いられる材料のうちの2種以上の好ましい製作条件(例えば、好ましい温度範囲)が実質的に互いに異なるときに、特に有用である。例えば、2種類の材料が用いられ、これらの2種の材料の好ましい温度範囲が重なり合わない製作プロセスを考える。温度範囲が重なり合わないため、これらの温度範囲を維持する熱除去速度をもたらすべく冷却システム134を動作させるために必要とされる動作パラメータも異なり得る。
【0154】
特定のスライスのためのコンピュータオブジェクトデータは、両方の材料が、同じ層を形成するために分配されるというものであると想定する。この場合には、材料のうちの一方が、層の第1の部分を形成するために分配されて硬化させられ、冷却システムの電力が、層の第1の部分の近傍における温度がこの材料のための好ましい温度範囲内にあることを確実にするよう制御される。その後、他方の材料が、層の第2の部分を形成するために分配されて硬化させられ、冷却システムの電力が、層の第2の部分の近傍における温度が他方の材料のための好ましい温度範囲内にあることを確実にするよう制御される。このような手順は、たとえ、範囲が重なり合わないときでも、両方の材料が好ましい温度範囲を享受することを確実にすることができる。
【0155】
冷却システムのための温度範囲および/または動作パラメータは、操作者によって手動でAMシステムに提供され得るか、またはそれらは自動的に取得され得る。例えば、構築材料のグループおよび対応する動作パラメータを記憶したコンピュータ可読媒体がアクセスされ得る。AMプロセスにおいて用いられるべき材料の各々がグループのうちの1つに関連付けられ得、対応する動作パラメータが抽出され得る。
【0156】
本実施形態は、追加的に、401において受信されたコンピュータオブジェクトデータに少なくとも部分的に基づいて熱除去の速度が選択される手順を企図した。これらの実施形態では、動作404を飛ばすことができる。代替的に、熱除去速度は、感知404およびコンピュータオブジェクトデータの両方に基づいて選択することができる。
【0157】
代表的な例示的実施形態では、熱除去速度は、分配ヘッドによって分配されたそれぞれの層の面積の減少関数として変更される。硬化材料の面積が大きいほど、高い熱放散を可能にするため、熱除去速度を面積の減少関数として変更することは、層における温度が温度閾値T1を大幅に超える可能性を低減することができる。
【0158】
別の代表的な例示的実施形態では、熱除去速度は、分配ヘッドが層ごとに受容面の上方で遂行するパスの数に基づいて選択される。パスの数は層の面積と相関するため、熱除去速度はパスの数の減少関数として変更され得る。
【0159】
405から、本方法は、任意選択的に、および好ましくは、オブジェクトの追加の層を形成するために401または402へループして戻る。ループは、オブジェクトの全ての層が形成されるまで継続することができる。本方法は406において終了する。
【0160】
上述されたように、熱除去速度は、好ましくは、AMシステムのコントローラによって制御される。通例、コントローラは、様々な動作を遂行するための1つまたは複数の回路を含む。コントローラ152および20は、
図1Aおよび1Bにおいて単一のブロックとして示されているが、動作を遂行する様々な回路はAMシステムの異なる構成要素に物理的に取り付けられ得ることを理解されたい。
【0161】
図6に、本発明のいくつかの実施形態に係るコントローラ20/152によって採用され得る回路の概略ブロック図が示されている。限定と考えられるべきでない、図示の例では、3つの回路基板600、602、および604が示されている。回路基板600はAMシステムの主制御装置の役割を果たし、任意選択的に、および好ましくは、プロセッサ154または24から受信された入力データに応じて、熱感知システム138および冷却システム134以外のAMシステムの様々な構成要素を制御するように構成されている。それゆえ、例えば、回路基板600は、少なくとも印刷ヘッド、およびヘッドとトレイとの間の相対運動を制御するように構成することができる。
【0162】
回路基板602は、感知システム138のコントローラ(「センサ制御装置」)の役割を果たし、回路基板600(「主制御装置」)からの制御信号に応じて、センサから受信された信号のサンプリングを活動化および非活動化し、任意選択的に、および好ましくは、サンプリング速度も制御するように構成されている。サンプリングされた信号は処理のために基板602によってプロセッサ24または154へ伝送される。代替的に、サンプリングされた信号は主制御装置基板600へ伝送され得る。プロセッサ24/154または主制御装置基板600は、以上においてさらに詳述されたように熱除去速度が変更されるべきか否かを決定するために信号を分析し、分析に関係する信号を回路基板604へ伝送する。
【0163】
回路基板604は「冷却制御装置」の役割を果たし、プロセッサ154または24によって遂行された分析に基づいて、例えば、以上においてさらに詳述されたように動作パラメータを変更することによって、冷却システムの動作を制御するように構成されている。基板604は、任意選択的に、および好ましくは、システム134からのフィードバック信号を受信することができる。フィードバック信号は、システム134の動作に関係する情報を包含する。例えば、システム134がファンを備えるときには、フィードバック信号は、ファンの回転を記述するタコメータデータを包含することができる。
【0164】
回路基板600、602、および604は全て、同じ物理的基板上に配置され得る。代替的に、基板600、602、および604のうちの1つまたは複数は互いに物理的に分離され得る。好ましい実装形態では、基板600、602は同じ物理的基板上に配置されており、基板604は基板600および602とは分離されている。本実施形態では、基板604は感知システム138と共に同じ構造上に設置され得る。
図7に、感知システム138のセンサのうちの1つまたは複数、および基板604を保持するために適した構造610の代表的な非限定的な図が示されている。
図7に同様に示されているのは、インデックス方向に沿った感知システム138の視野L
FOVである。
【0165】
本明細書において使用するとき、用語「約」は±10%を指す。
【0166】
単語「例示的(exemplary)」は、本明細書において、「例、実例、または例示の役割を果たすこと」を意味するように使用される。「例示的(exemplary)」と説明される任意の実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好ましい、もしくは有利であり、および/または他の実施形態からの特徴の組み込みを除外すると解釈されるわけではない。
【0167】
単語「任意選択的に(optionally)」は、本明細書において、「一部の実施形態では提供され、他の実施形態では提供されないこと」を意味するように使用される。本発明の任意の特定の実施形態は、複数の「任意選択的な(optional)」特徴を、このような特徴が相反しない限り、含み得る。
【0168】
用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」、およびそれらの活用形は、「限定するものではないが、~を含む(including but not limited to)」を意味する。
【0169】
用語「~から成る(consisting of)」は、「~を含み、それに限定される(including and limited to)」を意味する。
【0170】
用語「~から本質的に成る(consisting essentially of)」は、組成物、方法、または構造が、追加の成分、ステップ、および/または部分を含み得るが、それは、追加の成分、ステップ、および/または部分が、クレームされている組成物、方法、または構造の基本的な、および新規の特徴を著しく変更しない場合に限られることを意味する。
【0171】
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の言及を含む。例えば、用語「化合物(a compound)」または「少なくとも1種の化合物(at least one compound)」は、それらの混合物を含む、複数種の化合物を含み得る。
【0172】
本出願全体を通して、本発明の様々な実施形態は範囲形式で提示される場合がある。範囲形式による記述は単に便宜および簡潔性のためのものにすぎず、本発明の範囲に対する硬直的な限定と解釈されるべきでないことを理解されたい。したがって、範囲の記述は、全ての可能な部分範囲、およびその範囲内の個々の数値を具体的に開示したと考えられるべきである。例えば、1~6などの範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などといった部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、および6を具体的に開示したと考えられるべきである。これは範囲の広さに関わりなく言えることである。
【0173】
数値範囲が本明細書において指示されるときには常に、それは、指示された範囲内の言及された任意の数(分数または整数)を含むことが意味される。表現、「第1の指示数と第2の指示数との間に及ぶ(“ranging/ranges between” a first indicate number and a second indicate number)」、および「第1の指示数から第2の指示数に及ぶ(“ranging/ranges from” a first indicate number “to” a second indicate number)」は、本明細書において互換的に使用され、第1および第2の指示数ならびにそれらの間の全ての分数および整数を含むことが意味される。
【0174】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される本発明の様々な特徴はまた、別個に、または任意の好適なサブコンビネーションで提供され、あるいは本発明の任意の他の上述の実施形態において同様に適し得る。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、それらの要素を有しなければ実施形態が動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴と考えられるべきでない。
【0175】
以上において描写され、以下の請求項セクションにおいてクレームされるとおりの本発明の様々な実施形態および態様は、以下の実施例において実験的支持を得る。
【実施例】
【0176】
次に、上述の説明と共に、本発明のいくつかの実施形態を非限定的な様態で示す、以下の実施例を参照する。
【0177】
[実施例1]
プロトタイプシステム
トレイに対して可動の熱センサを有するプロトタイプAMシステムの能力が、硬化構築材料の温度を安定させることができることを調査するための実験が実施された。説明される全ての実験において、冷却システムはファンを含み、AMシステムは、
図1Aに概略的に示されるとおりのシステムであった。
【0178】
図8は、インデックス方向における300DPIでの分配が採用された実験における、層の温度を秒単位の時間の関数としてセ氏温度で示す実現可能性試験のグラフである。温度は、層全体を取り込むために設置された静止高解像度赤外カメラを用いて測定された。図示されているのは、ファンが常にオフであるとき(白丸)、常にオンであるとき(バツ印)、およびコントローラによって制御されたとき(プラス記号)の温度である。コントローラは、75℃の温度を維持するように設定された。図示のように、コントローラは温度をうまく安定させた。
【0179】
図9Aは、感知システム138が、角柱オブジェクトの製作中にトレイに対して運動する単一のセンサを含んだ実験における、感知システム138から受信された生データ(暗灰色線)およびフィルタリングされたデータ(白色線)を示すグラフである。図示されているのは、分単位の時間の関数としてのセ氏温度によるセンサの視野内の温度である。温度は、層全体を取り込むために設置された赤外カメラを用いて測定された。図示されているのは、ファンがコントローラによって制御されたときの温度(菱形)である。コントローラは、75℃の温度を維持するように設定された。図示のように、コントローラは温度をうまく安定させた。
【0180】
図9Bは、感知システム138が、角柱オブジェクトの製作中にトレイに対して運動する単一のセンサを含んだ実験における、感知システム138から受信された生データを示すグラフである。図示されているのは、分単位の時間の関数としてのセ氏温度によるセンサの視野内の温度である。温度は、層全体を取り込むために設置された赤外カメラを用いて測定された。図示されているのは、ファンがコントローラによって制御されたときの温度(菱形)である。コントローラは、72℃の温度を維持するように設定された。図示のように、コントローラは温度をうまく安定させた。
【0181】
図10Aおよび10Bは、層全体を取り込むために設置された静止高解像度赤外カメラを用いて測定された温度を示すグラフである。データは、コントローラが、75℃(
図10A)および72℃(
図10B)の温度を維持するように設定された実験に対応する。図示のように、コントローラは、温度が入力温度を大幅に超えるのをうまく防止する。
【0182】
図11A~Cは、異なる高さの上面を有するオブジェクトの図、高解像度赤外カメラによって作成されたその温度マップ、およびその製作を表すグラフである。コントローラは、80℃未満の温度を維持するように設定された。
【0183】
異なる高さを各々有する4つの上面が図(
図11A)上に標識されている。最も高い表面は「部分1」と標識されており、次に高い表面は「部分2」と標識されており、最も低い表面は「部分3」と標識されており、次に低い表面は「部分4」と標識されている。4つの画素集団は、温度マップ(
図11B)上において、部分第1~4にそれぞれ対応する、集団第1~4と標識されている。最も高い温度は集団1のものである。なぜなら、それが新たに形成された表面であるためである。グラフ(
図11C)は、各表面の温度を分単位の時間の関数としてセ氏温度で示す。正方形記号は集団1の温度に対応し、白三角形記号は集団2の温度に対応し、バツ印記号は集団3の温度に対応し、黒丸記号は集団4の温度に対応する。コントローラは、最も高い温度を有する集団を識別し、その温度を約80℃に維持することがうまくできた。
【0184】
図12は、感知システム138がヘッド16と硬化デバイス324との間に配置された実験における感知システム138の温度読み値(上の曲線)、およびヘッド16が感知システム138と硬化デバイス324との間にあったときの実験における感知システム138の温度読み値(下の曲線)を秒単位の時間の関数としてセ氏温度で示すグラフであり、センサが硬化デバイスからより遠くにあるときには、読み値の誤差が大幅に低減されることを実証している。どちらの実験においても、感知システム138は単一のセンサを含んだ。本例では、硬化システムは、感知システムとの高い温度クロストークを発生する水銀ランプを含んだ。LEDまたはより冷温の硬化システムの使用はクロストークを低減し得、この場合には、感知システムは、硬化システムのより近くに、またはそれに近接して設置され得ることが想定される。
【0185】
[実施例2]
さらなる考察
本実施例は、異なる製造条件を必要とする構築材料からのオブジェクトの付加製造(例えば、インクジェット印刷)を促進するコンピュータ化コントローラを説明する。材料のうちのいくつかは、溶剤(例えば、セラミック、導電性、およびPI系インク)に基づき、限定するものではないが、発泡材料、支持材料、およびスタンダード材料(例えば、Vero(商標)材料群)などの、他の材料は100%反応性の配合物である。溶剤系材料は、異なる溶剤(例えば、酢酸ヘキシル、TGME)、および異なる量の溶剤(例えば、20~35重量%)を有する。本実施例のコンピュータ化コントローラは、例えば、IRランプを用いて、異なる溶剤系材料のための異なる乾燥プロセスを可能にする。他の材料、例えば、導電性インクは、乾燥動作に加えて、焼結され、本実施例のコンピュータ化コントローラは焼結動作も促進する。限定するものではないが、支持材料およびVero(商標)材料群などの、完全に反応性の配合物は感熱性を有する。
【0186】
異なる種類の材料のために適した製造条件は一致せず、互いに相反しさえし得ることが発明者らによって見出された。
【0187】
異なる構築材料は異なるレオロジー特性を有し得るため、本実施例のコンピュータ化コントローラは、異なる構築材料を異なる噴射条件で分配することを可能にし、噴射条件は、限定するものではないが、噴射温度、パルス形状、およびパルス幅を含む。任意選択的に、および好ましくは、本実施例のコンピュータ化コントローラは、異なる構築材料のために異なる硬化(例えば、養生)、乾燥、および/または焼結条件を適用することを可能にする。
【0188】
本発明の実施形態によっては、コンピュータ可読媒体は、材料のグループに分類された構築材料のリストを含むことができる。構築材料の例示的なリストが以下の表1に与えられている。
【0189】
【0190】
本実施形態のAMシステムは、任意選択的に、および好ましくは、限定するものではないが、IRランプなどの、加熱システムを備えることができ、コンピュータ化コントローラは、任意選択的に、および好ましくは、加熱システムを、電力および曝露時間のうちの少なくとも一方に関して制御する。加熱システムはいくつかの機能性を有することができる:(1)分配前に基材を必要とされる目標値まで加熱すること、および(2)分配された材料を養生、乾燥および/または焼結のために加熱すること。加熱システムはAMシステムの硬化デバイスによって実施され得るか、またはそれは硬化デバイスに追加して設けられ得る。
【0191】
本発明の実施形態によっては、紫外放射線が、光反応性の構成要素を養生するために用いられる。例えば、紫外放射線はLEDによって適用され得る。構築材料が溶剤系のものであるときには、本実施例のコンピュータ化コントローラは、任意選択的に、および好ましくは、養生前に乾燥が完了されることを確実にする。例えば、本実施例のコンピュータ化コントローラは、紫外放射線の活動化および非活動化、加熱システムの活動化および非活動化、ならびに分配ヘッドの活動化および非活動化の間で同期をとることができる。
【0192】
本発明はその特定の実施形態と関連して説明されたが、多くの代替、変更および変形が当業者には明らかであろうことが明白である。それゆえ、それは、添付の請求項の趣旨および広い範囲に含まれるこのような代替、変更および変形を全て包含することを意図されている。
【0193】
本明細書において言及された全ての公報、特許、および特許出願は、あたかも各々の個々の公報、特許、または特許出願が、本明細書において参照により組み込まれるよう具体的に個々に指示されているのと同じ程度に、それらの全体が本明細書に参照により組み込まれる。加えて、本出願における任意の参考文献の引用または識別は、このような参考文献が本発明に対する従来技術として利用可能であるとの承認と解釈されてはならない。セクション見出しが用いられる範囲内において、それらは必ずしも限定と解釈されるべきでない。
【0194】
加えて、本出願の任意の優先権文書はその全体が本明細書において参照により組み込まれる。なお、本発明は次の態様も有する。
[態様20]
付加製造のためのシステムであって、
構築材料を分配するための分配ヘッドと、
前記構築材料を硬化させるための硬化システムと、
熱を前記構築材料から除去するためのファンを有する冷却システムと、
前記分配ヘッドを前記構築材料を層の形で分配するよう制御し、前記硬化システムが前記構築材料を硬化させるよう前記硬化システムを制御し、前記冷却システムが前記層から熱を除去するように前記冷却システムを制御するための回路を有するコンピュータ化コントローラであって、前記回路が前記ファンの回転速度をそれぞれの層の面積の減少関数として変更するように構成されている、前記コンピュータ化コントローラと
を備える前記システム。
[態様21]
前記層のうちの少なくとも1つのために、前記分配ヘッドが、受容面の上の1回を超えるパスにおいて前記構築材料を分配し、前記回路が、前記パスの数に基づいて前記ファンの前記回転速度を選択するように構成されている、態様20に記載のシステム。
[態様22]
前記層のうちの少なくとも1つのために、前記回路が、前記硬化システムを、前記層の部分を、前記部分を形成するための1つの種類の構築材料を分配した後にであるが、前記層の別の部分を形成するための別の種類の構築材料を分配する前に、硬化させるよう制御するように構成されている、態様20および21のいずれか一項に記載のシステム。
[態様23]
前記回路が、構築材料のグループを記憶したコンピュータ可読媒体にアクセスし、それぞれの構築材料を前記グループのうちの1つに関連付け、前記関連付けにも基づいて前記回転速度を選択するように構成されている、態様20~22のいずれか一項に記載のシステム。
[態様24]
前記層のうちの少なくとも1つの温度を感知するように構成された熱感知システムを備え、前記回路が、前記感知システムからの温度感知信号を受信し、前記温度感知信号に基づいて前記回転速度を選択するように構成されている、態様20~23のいずれか一項に記載のシステム。
[態様25]
付加製造のためのシステムであって、
それぞれの複数の構築材料を分配するための複数の分配ヘッドと、
前記構築材料を硬化させるための硬化システムと、
前記分配ヘッドを前記構築材料を層の形で分配するよう制御し、前記硬化システムが前記構築材料を硬化させるよう前記硬化システムを制御するための回路を有するコンピュータ化コントローラであって、前記層のうちの少なくとも1つのために、前記回路は、前記硬化システムが、前記第1の部分を形成するための1つの種類の構築材料を分配した後であるが、前記層の第2の部分を形成するための別の種類の構築材料を分配する前に、前記層の第1の部分を硬化させるよう前記硬化システムを制御するように構成されている、前記コンピュータ化コントローラと
を備える、前記システム。
[態様26]
前記第1の部分の前記硬化が第1の温度におけるものであり、前記回路が、前記硬化システムを、前記第1の温度とは異なる第2の温度で前記第2の部分を硬化させるよう制御するように構成されている、態様25に記載のシステム。
[態様27]
前記第2の温度が前記第1の温度よりも高い、態様26に記載のシステム。
[態様28]
前記回路が、構築材料のグループを記憶したコンピュータ可読媒体にアクセスし、それぞれの構築材料を前記グループのうちの1つに関連付け、前記関連付けに基づいてそれぞれの硬化温度を選択するように構成されている、態様25~27のいずれか一項に記載のシステム。
[態様29]
前記回路が、パルス状動作信号を前記分配ヘッドへ、異なる幅のパルスが異なる分配ヘッドへ伝送される様態で伝送するように構成されている、態様20~28のいずれか一項に記載のシステム。
[態様30]
前記回路が、構築材料のグループを記憶したコンピュータ可読媒体にアクセスし、それぞれの構築材料を前記グループのうちの1つに関連付け、前記関連付けに基づいてそれぞれのパルス幅を選択するように構成されている、態様29に記載のシステム。
[態様31]
前記層を包囲する環境を加熱するための加熱システムを備え、
前記回路は、構築材料のグループを記憶したコンピュータ可読媒体にアクセスし、それぞれの構築材料を前記グループのうちの1つに関連付け、前記関連付けに基づいて前記加熱システムの電力および動作継続時間のうちの少なくとも1つの制御を選択するように構成されている、態様20~30のいずれか一項に記載のシステム。
[態様32]
前記加熱システムが、加熱放射線を発生する加熱放射線源を含む、態様31に記載のシステム。
[態様33]
前記放射線が赤外放射線である、態様31に記載のシステム。
[態様34]
前記回路が、前記加熱システムの動作を前記硬化システムの動作と同期させるように構成されている、態様31~33のいずれか一項に記載のシステム。
[態様35]
前記同期が、前記加熱システムの前記動作が終了された後に、前記硬化システムの前記動作が開始されるというものである、態様34に記載のシステム。
[態様36]
オブジェクトの付加製造の方法であって、前記方法は、
前記オブジェクトの形状を規定するコンピュータオブジェクトデータを受信するステップと、
前記コンピュータオブジェクトデータに従って前記オブジェクトを製造するように、態様20~35のいずれか一項に記載の付加製造システムを動作させるステップと、
を含む前記方法。
【符号の説明】
【0195】
10 システム
12 トレイ
14 鉛直方向軸
16 分配ユニット、インクジェット印刷ヘッド
16a 分配ヘッド、インクジェット印刷ヘッド
16b 分配ヘッド、インクジェット印刷ヘッド
16c 分配ヘッド、インクジェット印刷ヘッド
16d 分配ヘッド
18 放射線源
20 コントローラ
22 ノズルアレイ
24 ホストコンピュータ、プロセッサ
26 作業区域
28 鉛直方向駆動装置
30 支持構造
32 均しデバイス、ローラ
34 対称軸
36 トレイ交換デバイス
38 駆動装置
40 可動アーム
110 システム
112 オブジェクト
114 付加製造装置、製作装置
116 ユーザインターフェース
122 ノズル
124 構築材料配合物
126 放射線源
128 フレーム、ブロック
132 均しデバイス
134 冷却システム
136 廃棄物収集デバイス
138 熱感知システム、センサ
152 コントローラ、ユニット
154 データプロセッサ
324 凝固デバイス、硬化デバイス
326 ローラ、均しデバイス
330 構築材料配合物供給システム
360 トレイ
600 回路基板
602 回路基板
604 回路基板