(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】包装チューブ用可撓性筒状体の製造方法、包装チューブ用可撓性筒状体、および包装チューブ用可撓性筒状体の製造装置
(51)【国際特許分類】
B29C 53/54 20060101AFI20230510BHJP
B29C 53/48 20060101ALI20230510BHJP
B29C 53/38 20060101ALI20230510BHJP
B29C 65/02 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
B29C53/54
B29C53/48
B29C53/38
B29C65/02
(21)【出願番号】P 2021525649
(86)(22)【出願日】2018-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2018080957
(87)【国際公開番号】W WO2020098906
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】513171091
【氏名又は名称】パックシス・グローバル・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】PACKSYS GLOBAL AG
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】シューン・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】エッサー・ウルリッヒ
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-527258(JP,A)
【文献】特表2014-523354(JP,A)
【文献】特開昭60-101028(JP,A)
【文献】特開2001-206393(JP,A)
【文献】特開平05-147128(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0151978(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層を含むか又は少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層で構成され、かつ、長手方向に延びる第1の長手方向縁辺(8)および当該第1の長手方向縁辺(8)と平行で当該第1の長手方向縁辺(8)から離間した第2の長手方向縁辺(8)を有しているフィルム基材(1)から、包装チューブ用の可撓性筒状体を製造する方法であって、
前記フィルム基材(1)が変形手段によって筒状に変形されて、
2つの前記長手方向縁辺(8
)が溶着されて、同過程で長手方向溶着シーム部が形成されて、
前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の内側(17)の、継ぎ目及び/又は前記長手方向溶着シーム部の領域へと帯片(12)が配置されて、当該帯片(12)が前記長手方向縁辺(8)の少なくとも一部の領域又は部位に接
合される、方法において、
前記長手方向溶着シーム部の形成前に、少なくとも1つの長手方向縁辺(8’)が整
形され、前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の前記長手方向縁辺(8,8’)同士が、前記整形で形成された少なくとも1つの先端部(9)を介して径方向のうちの外表面(2)の領域のみで互いに当接す
ることを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記長手方向溶着シーム部の形成過程では、前記フィルム基材(1)の前記外表面(2)と反対側の内表面(13)が前記帯片(12)と接
合されてから、当該外表面(2)が前記長手方向縁辺(8,8’)の前記少なくとも1つの先端部(9)の領域で外側加熱手段(25)によって接
合されることを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記フィルム基材(1)の前記少なくとも1つの長手方向縁辺(8’)が整
形されると、前記フィルム基材(1)の厚み方向(D)に対して斜めに延びるエッ
ジがそれぞれ形成され、その傾斜は、前記フィルム基材(1)が前記筒状に変形されたときに前記外表面(2)から内表面へと幅広となる開口部(15)が形成されるような向きであることを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記開口部(15)が5°~50°の角度を内包するように、前記長手方向縁辺(8’)が整形されることを特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法において、前記フィルム基材(1)の両方の長手方向縁辺(8’)が整形されることにより、当該フィルム基材(1)が前記筒状 (2)に変形されたときに、前記整形で形成された前記先端部(9)同士が互い
に当接することを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法において、トリミング過程で少なくとも1つの長手方向縁辺(8)がトリミングツー
ルによって前記長手方向(L)に切断加工され、同過程で前記フィルム基材(1)からトリミング帯片(12.1)が分離されて、当該トリミング帯片は、前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の内側の前記長手方向縁辺(8,8’)同士の継ぎ目及び/又は前記長手方向溶着シーム部の領域へと帯片(12)として配置されて当該フィルム基材(1
)に溶着されることを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記フィルム基材(1)からの前記トリミング帯片 (12.1)の切離し時又は切離し後に
、当該トリミング帯片(12.1)のうちの少なくとも1つの側がトリミングツ
ールによって前記長手方向(L)に切断加工されることを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の方法において、前記フィルム基材(1)からの前記トリミング帯片(12.1)の切離しと前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の前記内側(17)への当該トリミング帯片(12.1)の挿入との間、当該トリミング帯片(12.1)が保管手段に一時的に保管されることを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載の方法におい
て、前記帯片(12
)が、内側加熱手段(24a,24b)によって加熱されて、前記筒状に変形された前記フィルム基材 (1)の前記内側(17)へと加熱状態、したがって、軟化状態で挿入されて前記長手方向縁辺(8,8’)と接触させられることを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記帯片(12
)は、前記フィルム基材への接合中、前記長手方向(L)と交差するようにして幅が広がって前記フィルム基材への接合前の幅に対する接合後の幅の比が1.5を上回り、か
つ、前記長手方向(L)と交差するようにして扁平化することによって前記フィルム基材への接合前の高さに対する接合後の高さの比が2/3未満になることを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法において、前記帯片(12)が、供給手段(27)によって周回無端ベルト(21)上に載置されて、かつ、前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の前記内側(17)へと挿入され
ることを特徴とする、方法。
【請求項12】
フィルム基材(1)から製造された、包装チューブ用の可撓性筒状体であって、
少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層を含むか又は少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層で構成され、かつ、長手方向(L)に延びる第1の長手方向縁辺(8)および当該第1の長手方向縁辺(8)と平行で当該第1の長手方向縁辺(8)から離間した第2の長手方向縁辺(8)を有しているフィルム基材(1)が変形手段によって筒状に変形されており、
2つの前記長手方向縁辺(8)
が互いに溶着されており、帯片(12)が前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の内側(17)の、継ぎ目及び/又は前記長手方向溶着シーム部の領域へと配置されて、当該帯片(12)が前記長手方向縁辺(8)の少なくとも一部の領域又は部位に接
合されている、筒状体において、
少なくとも1つの長手方向縁辺(8’)が整
形され、前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の前記長手方向縁辺(8,8’)同士が、前記整形で形成された少なくとも1つの先端部(9)を介して径方向のうちの外表面(2)の領域のみで互いに直接接合されていることを特徴とする、筒状体。
【請求項13】
請求項12に記載の筒状体において、前記フィルム基材(1)の整形された前記少なくとも1つの長手方向縁辺(8’)が、前記フィルム基材(1)の厚み方向(D)に対して斜めに延びる切断エッジをそれぞれ有しており、その傾斜は、前記フィルム基材(1)が前記筒状に変形されたときに前記外表面(2)から内表面へと径方向に幅広となる開口部(15)が形成されるような向きであることを特徴とする、筒状体。
【請求項14】
請求項13に記載の筒状体において、前記開口部(15)が5°~50°の角度又は開口角度を内包するように、前記長手方向縁辺(8’)が整形されていることを特徴とする、筒状体。
【請求項15】
請求項13または14に記載の筒状体において、前記開口部(15)が、部分的
に前記帯片(12)の材料で充填されていることを特徴とする、筒状体。
【請求項16】
請求項12から15のいずれか一項に記載の筒状体において、前記フィルム基材(1)の両方の長手方向縁辺(8’)が整形されることにより、当該フィルム基材(1)が前記筒状(2)に変形されたときに、前記整形で形成された前記先端部(9)同士が径方向のうちの前記外表面(2)の領域で互い
に直接接合されていることを特徴とする、筒状体。
【請求項17】
請求項12から16のいずれか一項に記載の筒状体において、前記帯片(12)が、トリミング過程で前記フィルム基材(1)から切り離された、当該フィルム基材(1)のトリミング帯片(12.1)で形成されていることを特徴とする、筒状体。
【請求項18】
少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層を含むか又は少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層で構成され、かつ、長手方向に延びる第1の長手方向縁辺(8)および当該第1の長手方向縁辺(8)と平行で当該第1の長手方向縁辺(8)から離間した第2の長手方向縁辺(8)を有しているフィルム基材(1)から、包装チューブ用の可撓性筒状体を製造する装置であって、
前記フィルム基材(1)が変形手段によって筒状に変形されて、
2つの前記長手方向縁辺
が溶着されて、同過程で長手方向溶着シーム部が形成されて、
前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の内側(17)の、継ぎ目及び/又は前記長手方向溶着シーム部の領域へと帯片(12)が供給手段によって配置されて、当該帯片(12)が前記長手方向縁辺(8)の少なくとも一部の領域又は部位に接合手段によって接
合される、装置において、
前記長手方向溶着シーム部が形成される前に少なくとも1つの長手方向縁辺(8’)を整
形するエッジ整形手段、
を備え、前記筒状を形成する前記変形手段は、前記筒状に変形された前記フィルム基材 (1)の前記長手方向縁辺(8,8’)同士が、前記整形で形成された少なくとも1つの先端部(9)を介して径方向のうちの外表面(2)の領域のみで互いに当接す
るように実現されていることを特徴とする、装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置において、
前記長手方向溶着シーム部が形成される際、前記フィルム基材(1)の前記外表面(2)を前記長手方向縁辺(8’)の前記少なくとも1つの先端部(9)の領域で接
合する外側加熱手段(25)、を備え、
当該外側加熱手段(25)は、前記外表面(2)と反対側の内表面(13)が前記帯片(12)と接
合されてから前記外表面(2)の前記接合が生じるように設けられていることを特徴とする、装置。
【請求項20】
請求項18または19に記載の装置において、前記エッジ整形手段は、前記フィルム基材(1)の前記少なくとも1つの長手方向縁辺(8)が整形されると前記フィルム基材 (1)の厚み方向(D)に対して斜めに延びるエッ
ジがそれぞれ形成されるように配置及び実現されており、その傾斜は、前記フィルム基材(1)が前記筒状に変形されたときに前記外表面(2)から内表面へと幅広となる開口部(15)が形成されるような向きであることを特徴とする、装置。
【請求項21】
請求項18から20のいずれか一項に記載の装置において、少なくともトリミング過程で長手方向縁辺(8,8’)を前記長手方向(L)に切断加工するトリミングツー
ル、
を備え、同過程で前記フィルム基材(1)からトリミング帯片(12.1)が切り離されて、当該トリミング帯片(12.1)は、前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の内側の前記長手方向縁辺(8,8’)同士の継ぎ目及び/又は前記長手方向溶着シーム部の領域へと帯片(12)として配置されて当該フィルム基材(1
)に溶着されることを特徴とする、装置。
【請求項22】
請求項18から21のいずれか一項に記載の装置において、
前記帯片(12)
を加熱する内側加熱手段、を備え、
当該内側加熱手段(24)は、前記帯片(12)が前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の前記内側(17)へと加熱状態、したがって、軟化状態で供給手段によって挿入されて内表面(13)と接触させられ
るように設けられていることを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載されているとおり、包装チューブ用可撓性筒状体の製造方法、および請求項11の前提部に記載されているとおり、包装チューブ用可撓性筒状体に関する。本発明は、さらに、請求項17の前提部に記載されているとおり、包装チューブ用可撓性筒状体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
包装チューブ用の一般的な筒状体、当該筒状体の製造方法、および当該筒状体の製造装置は、先行技術から様々な形態のものが知られている。一般的には、好ましくは外表面に印刷を具備したフィルム基材の長手方向縁辺8同士が筒状に変形されて、当該フィルム基材が当該長手方向縁辺同士の領域で接合又は固化させられる。この過程で、長手方向溶着シーム部(Laengsschweissnaht)が形成される。
【0003】
筒状体を製造するための長手方向溶着シーム部は、長手方向縁辺同士の重合せ溶着シーム部として実現可能であることが長く知られている。これは、筒状体への変形過程でフィルム基材の長手方向縁辺同士が重合せ部を具備又は形成した後、当該重合せ部の領域で溶着シーム部又は長手方向溶着シーム部が実現されるか又は設けられることを意味する。重合せ領域では、重ね合わせる(すなわち、チューブ外側に位置する)積層体縁部又は長手方向縁辺が、重ね合わされる(すなわち、チューブ内側に位置する)積層体縁部又は長手方向縁辺に載置されてから溶着が行われる。
【0004】
例えばEP 0 187 541 A2(特許文献1)には、対応する方法、および当該方法により製造される筒状体が記載されている。同方法では、少なくとも2つの理由から、溶着シーム部の領域に印刷のない線部分が発生することが避けられない。第一に、2つの長手方向縁辺同士の圧着時に、重ね合わせるほうの縁部に由来する、印刷画像の下方に位置した材料が、重ね合わされる縁部上又は重ね合わされる長手方向縁辺上へと圧力によって押し出される。これは、当該材料が流動して当該重ね合わされる長手方向縁辺の印刷上に線部分を形成するということを意味する。しかも、当該印刷上に乗った材料により、非溶着領域が形成される。当該非溶着領域は、切り欠き効果が原因となって、溶着シーム部の所定の破壊点となる。
【0005】
包装チューブ用の可撓性筒状体を形成するようフィルム基材を筒状に変形させる際に長手方向縁辺同士を重合せ配置構成にすることに代わる解決手段として、長手方向溶着シーム部を突合せ溶着部として実現することも長く知られている。突合せ溶着(Stossnaht)とは、フィルム基材の長手方向縁辺同士が端と端とで配置されるか又は端と端とで互いに当接させられて、長手方向縁辺同士のこのような配置構成のまま長手方向溶着シーム部が形成されることを意味する。突合せ溶着部として実現される長手方向溶着シーム部は、内表面又は外表面が補強されていたとしても、積層体部分と比べて安定性がしばしば低下する。具体的に述べると、これは、突合せ溶着シーム部を形成する際に、フィルム基材内にしばしば設けられているバリア層に関しては、例えばアルミニウム等の場合であれば溶着が不可能であり、また、例えばEVOH等の場合であれば部分的にしか溶着できないからである。しかし、それと同時に、上記バリア層は、フィルム基材の機械的安定性、すなわち、特には長手方向溶着シーム部の領域外の機械的安定性にしばしば大きな貢献をもたらしている。
【0006】
また、突合せ溶着部の形態の長手方向溶着シーム部については、任意で設けられる補強構造、例えば、内側又は外側に適用される周知の補強帯片(Verstaerkungsstreifen)との関連で、その他の問題も発生し得る。例えば、補強帯片が厚過ぎる場合には、チューブヘッドを取り付ける際に問題が生じ得る。同様に、対応する包装チューブに充填を行ってから最終シーム部を形成する際にも、補強帯片が厚過ぎることで問題が生じ得る。
【0007】
好ましくは外表面に印刷を具備したフィルム基材から可撓性筒状体を製造する方法であって、当該フィルム基材をチューブ状に変形させ、長手方向縁辺同士の領域で長手方向溶着シーム部を形成することによって当該フィルム基材の接合を行うという方法に関しては、当該フィルム基材がプラスチック製バリア層を含んでいる場合に、長手方向溶着シーム部を形成するための溶着エネルギーを外側からでしか供給できないか、あるいは、当該供給が主に外側から又はほぼ外側からになる、すなわち、当該供給が主として外表面の領域、つまり、主として印刷の領域からになるという別の問題が存在する。この過程では、長手方向溶着シーム部を形成するのに、フィルム基材の表面、つまり、印刷が設けられている可能性がある外表面の、少なくとも1つの長手方向縁辺又は多くの場合は両方の長手方向縁辺にて、当該フィルム基材の材料が固体から液体へと相転移することが避けられない。このため、長手方向溶着シーム部を形成するための溶着エネルギーをもたらすエネルギー投入によって印刷が移動したり破損したりするというリスク又は問題が生じる。印刷の損傷を避けようと、すなわち、特には印刷の移動や破損を避けようと、フィルム基材の外表面へのエネルギーの印加を抑えた場合には、これによって形成される長手方向溶着シーム部の印刷に影響が出ない。しかし、これには、切り欠き効果(Kerbwirkung)によって所定の破壊点が形成されるというリスクがある。こうなる原因は、フィルム基材の外層自体の接合、すなわち、もう一方の長手方向縁辺との突合せ溶着部の領域の接合が弱過ぎて、折り曲げたときにシーム部表面、すなわち、フィルム基材の外表面の領域の溶着シーム部が破損するからである。これをなおいっそう折り曲げると、亀裂が溶着シーム部の内側にまで伝播する。損傷後の筒状体は安定性が大幅に低下し、例えば内表面に補強帯片が配置されていない限りは安定性が本質的に確保されない。よって、落下したり別の種類の力が加わったりすると、筒状体、特には包装チューブが破裂する可能性が高くなる。しかも、筒状体の表面、すなわち、フィルム基材の外表面の領域のこのような亀裂や破損縁部は、見た目がよくない。
【0008】
先行技術からは、例えばJP 3484542 B2(特許文献2)が知られている。同文献は、内表面又は内層の流動性が低いフィルム基材から対応する筒状体を製造する技術に関する。一方で、同明細書には、同文献に記載の方法がその他の一般的なフィルム基材にも適しており、溶着部の厚みが抑えられることで筒状体の最終シール性が向上するという点が指摘されている。同文献に従って製造される包装チューブ又は対応する筒状体、すなわち、内表面及び外表面(あるいは、内層及び外層)が流動性に優れたポリエチレンからなるフィルム基材を(同明細書の開示内容によればその内表面又は内層と同じ材料の表面を有している)補強帯片と一緒に用いて製造する包装チューブ又は対応する筒状体では、当該補強帯片を内側に配置して長手方向突合せ溶着シーム部を形成する際に、この溶着過程の通常の圧力及び温度ならびに加熱された全構成要素の不可避の流動化の結果として、当該補強帯片がフィルム基材に少なくとも部分的に押し込まれるか又は沈み込んだ溶着シーム部が形成される。
【0009】
つまり、JP 3484542 B2(特許文献2)は、補強帯片をフィルム基材へと少なくとも部分的に沈み込ませるという貢献を既存技術にもたらしていると考えられる後願のEP 2 004 389 B1(特許文献3)の関連教示内容を予測している。さらに前の先願であるJP S4953966 A(特許文献4)およびJP S60101028 A(特許文献5)の明細書にも、対応する補強帯片を接合時にフィルム基材へと少なくとも部分的に沈み込ませる技術が開示されている。
【0010】
JP H08324600 A(特許文献6)には、フィルム基材の長手方向縁辺に段差構造、特には相補的な段差構造を設ける方法が開示されている。しかし、長手方向溶着シーム部が形成される前に長手方向縁辺をこのように前処理することは不利であり、極めて高い精度が求められる。
【0011】
EP 2 089 213 A1(特許文献7)には、包装チューブ用の可撓性筒状体を製造する方法であって、押出成形したばかりの塑性状態にあるビード、すなわち、融点を上回る温度のビードを用いて長手方向縁辺同士を平面状の配置構成又は端と端との配置構成で直接又は間接的に溶着する方法が提案されている。同方法では、フィルム基材の長手方向縁辺同士を端と端とで配置させた場合、当該長手方向縁辺間にプラスチック材料又は上記ビードの材料が進入しないことで積層体部分の長手方向縁辺同士が互いに直接接合されない、特には直接溶着されないという問題が生じる。塑性状態のビードの材料がフィルム基材の長手方向縁辺間に進入し得て当該長手方向縁辺同士を少なくとも間接的に接合できるほどの距離を空けて当該長手方向縁辺同士を配置した場合には、不利なことに、当該長手方向縁辺間に若干の区間、結果として印刷のない、見た目のよくない区間が発生することになる。しかも、押出成形したばかりの塑性ビードを用いた方法は、制御が困難である。
【0012】
前述したように、EP 2 004 389 B1(特許文献3)には、補強帯片を包装チューブ用の筒状体に長手方向突合せ溶着シーム部の領域で少なくとも部分的に埋め込む方法が開示されている。同方法では、長手方向溶着シーム部が形成される前の状態の筒状体もしくは包装チューブのフィルム基材が薄肉化されるか又は当該フィルム基材のうちの接合領域もしくは長手方向溶着シーム部の領域の厚さが薄くされることにより、補強帯片の材料が後から導入されるか又は埋め込まれたときに、対応する薄肉化が補償又は過剰補償される。
【0013】
他にもEP 2 004 506 B1(特許文献8)、EP 2 007 567 B1(特許文献9)、WO 2011/012930 A1(特許文献10)、EP 2 630 052 B1(特許文献11)、EP 2 861 505 B1(特許文献12)、JP H08 324599 A(特許文献13)およびJP H08 104340 A(特許文献14)から、前述した問題を解決するためのアプローチが知られているが、いずれも満足がいくものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】欧州特許出願公開第0187541号明細書
【文献】特許第3484542号公報
【文献】欧州特許第2004389号明細書
【文献】特開昭49-53966号公報
【文献】特開昭60-101028号公報
【文献】特開平8-324600号公報
【文献】欧州特許出願公開第2089213号明細書
【文献】欧州特許第2004506号明細書
【文献】欧州特許第2007567号明細書
【文献】国際公開第2011/012930号
【文献】欧州特許第2630052号明細書
【文献】欧州特許第2861505号明細書
【文献】特開平8-324599号公報
【文献】特開平8-104340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前述した先行技術及び同先行技術で生じる問題を起点とし、本発明の目的は、印刷を具備したフィルム基材から、筒状への変形後の当該フィルム基材の長手方向縁辺同士の領域の長手方向溶着シーム部が全く確認できず機械的安定性も極めて高い最大限の印刷品質のチューブを製造することが可能な、包装チューブ用の可撓性筒状体の製造方法、包装チューブ用の対応する筒状体、および包装チューブ用の筒状体の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
方法に関しては、請求項1の構成によって上記目的が達成される。筒状体に関しては、請求項11の構成に従った筒状体によって上記目的が達成される。可撓性筒状体を製造する装置に関しては、請求項17の構成に従った装置によって上記目的が達成される。
【0017】
本発明では、少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層を含むか又は少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層で構成され、かつ、長手方向に延びる第1の長手方向縁辺および当該第1の長手方向縁辺と平行で当該第1の長手方向縁辺から離間した第2の長手方向縁辺を有しているフィルム基材、好ましくは外表面に印刷を具備したフィルム基材から、包装チューブ用の可撓性筒状体を製造する方法であって、
前記フィルム基材が変形手段によって筒状に変形されて、
2つの前記長手方向縁辺が特には互いに溶着されて、同過程で長手方向溶着シーム部が形成されて、
前記筒状に変形された前記フィルム基材の内側の、継ぎ目及び/又は前記長手方向溶着シーム部の領域へと帯片が配置されて、当該帯片が前記長手方向縁辺の少なくとも一部の領域又は部位に接合(verbinden)、特には溶着(verschweissen)される、方法において
前記長手方向溶着シーム部の形成前に、少なくとも1つの長手方向縁辺が整形、特には切断加工され、前記筒状に変形された前記フィルム基材の前記長手方向縁辺同士が、前記整形で形成された少なくとも1つの先端部を介して径方向のうちの前記外表面の領域のみで互いに当接する、特には端と端とで当接する。
【0018】
これにより、幾つかの利点が実現される。第一に、極めて有利なことに、前記フィルム基材の前記外表面に適用されるエネルギー、特には印加される温度が比較的低くても、当該フィルム基材自体を前記外表面の領域又は外層の領域のうちの対向する長手方向縁辺で十分に接合することが可能となり得る。これにより、前記フィルム基材の前記外表面上の印刷が無傷のまま維持されるだけでなく、当該印刷に亀裂が生じる可能性も確実になくなる。つまり、熱投入が少ないので、前記外表面又は前記外層自体の直接溶着又は突合せ溶着が、前記フィルム基材の当該外表面の領域又は外層の領域における、当該フィルム基材の総厚のうちのほんの一部の深さまでに留められる。
【0019】
また、本発明にかかる方法によれば、前記帯片の材料が前記筒状に変形された前記フィルム基材の内側の前記長手方向辺縁間の空間又は当該フィルム基材の開口部に入り込むことになるが、前記筒状に変形された当該フィルム基材の前記外表面に影響が生じたり当該帯片の材料が前記外表面に達したりすることがないので、そこに前記長手方向辺縁同士の良好な安定した接合を確立することが可能となる。これは、前記帯片の材料が前記フィルム基材の厚み全体に亘って入り込まず、むしろ、当該フィルム基材の前記長手方向辺縁の外表面同士の端と端との当接が維持されるような範囲までしか前記帯片の材料が当該フィルム基材の当該長手方向辺縁の領域の前記開口部に充填されないことを意味する。具体的に述べると、前記長手方向溶着シーム部の領域に、印刷のない視認可能な隙間が形成されるようなことがなくなる。しかも、前記帯片、特には前記補強帯片が前記フィルム基材のうちの前記外表面とは反対側の内表面に入り得るか又は当該内表面と接合を形成し得ると同時に、未だ長手方向突合せ溶着シーム部で互いに接合されていない前記長手方向縁辺間の、前記外表面又は外層以外の領域へと当該帯片の材料が入り込むため、当該長手方向縁辺同士又は当該長手方向縁辺のエッジ同士を少なくとも間接的に接合することが可能となる。
【0020】
驚くべきことに、前述した材料の入り込み時に前記長手方向縁辺と接触する、主には前記筒状に変形された前記フィルム基材の内層と接触する前記帯片の表面又は前記帯片の外表面は、機械的に安定したチューブを得るために、必ずしも当該フィルム基材又は筒状積層体部分の全ての層に対して溶着可能である必要がない。前記シーム部内の溶着不能界面に起因する機械的安定性の犠牲は、前記帯片の材料や形状を適切に選択することによって補償可能、さらには、過剰補償も可能である。先行技術から既知のとおり、当然ながら、前記帯片の両面は、筒状積層体部分又はフィルム基材の内表面の材料と溶着可能又は相溶可能である必要があり、好ましくは、筒状積層体部分の最内層と同じ材料からなる必要がある。好ましくは、筒状積層体部分又は前記フィルム基材が、前記帯片の表面と溶着可能な1つ又は複数の内層を含む。前記フィルム基材又は積層体部分の最外層又は外表面は、それ自体で溶着が済むので、前記帯片の表面と溶着可能である必要はない。よって、筒状積層体部分の最外層は、例えば、印刷性が極めて優れたBOPETフィルムとすることができる。
【0021】
前記方法の極めて好ましい第1の実施形態において、前記長手方向溶着シーム部の形成過程では、前記フィルム基材の前記外表面とは反対側の内表面が前記帯片と接合、特には溶着されてから、当該外表面が長手方向縁辺の前記少なくとも1つの先端部の領域で外側加熱手段によって接合、特には溶着され得る。つまり、常温又は未加熱状態の前記長手方向縁辺が、内表面の領域で、塑性化状態、好ましくは加熱された塑性化状態の帯片と圧力の印加によって接触させられる。前記長手方向縁辺同士の領域では、前記当接、特には端と端との当接が維持されるように前記筒状に変形された前記フィルム基材の前記外表面が保持される。これは、前記帯片と前記長手方向辺縁の領域の前記フィルム基材との接合のあいだ、前記筒状の当該フィルム基材の内表面から前記外表面へと延在する当該フィルム基材の前記開口部が維持されると共に、当該開口部へと前記帯片の材料が多くとも部分的までしか、特には前記外表面の領域で前記長手方向縁辺同士の当接配置構成が押し解かれない程度までしか充填されないことを意味する。好ましくは、前記フィルム基材への前記帯片の接合、特には溶着の後に、前記フィルム基材の前記外表面の領域での当該フィルム基材自体の接合、特には溶着が行われる。これは、前記フィルム基材に前記帯片が接合されてから、前記長手方向縁辺の領域の前記外表面で当該フィルム基材自体の溶着が行われるということを意味する。
【0022】
このように、前記外表面の領域で前記長手方向縁辺同士の前記配置構成を維持しながら、特には間に隙間が形成されるのを防ぎながら前記フィルム基材を前記帯片と接合した後に、前記外表面にて、尖った形状に整形された少なくとも1つの長手方向縁辺とこれに隣接する長手方向縁辺との間に軽微な突合せ接合又は突合せ溶着シーム部、具体的には、印刷に傷や影響が生じることなく前記筒状体の外表面が継ぎ目のない見た目になるような突合せ接合又は突合せ溶着シーム部が形成又は実現されることで、前述した利点が極めて有利に実現される。まず形成されるのが、前記帯片と少なくとも前記フィルム基材の内表面又は前記フィルム基材の前記長手方向縁辺との接合であり、さらには、好ましいのは、前記長手方向縁辺同士の互いに接合されていない領域である。この領域は、前記フィルム基材の前記外表面の印刷や前記フィルム基材の当該外表面における継ぎ目のない見た目の接合への悪影響や妨害とならないだけでなく、極めて高い安定性をもたらして、所定の破壊点の形成に対する極めて効果的な対策にもなる。
【0023】
極めて有利なことに、前記方法の過程で前記フィルム基材の前記少なくとも1つの長手方向縁辺が整形されると、前記フィルム基材の厚み方向に対して斜めに延びるエッジ、特には切断エッジ(Schnittkante)が形成され、その傾斜は、前記フィルム基材が前記筒状に変形されたときに、特には前記長手方向縁辺同士が前記外表面の領域にて互いに当接状態に、特には端と端とで配置されたときに前記外表面から内表面へと幅広となる開口部が前記フィルム基材に形成されるような向きであり得る。前記開口部は、前記外表面の領域で、互いに当接しているが互いに接合されていない前記長手方向縁辺同士の領域によって画定される。つまり、前記開口部は、前記長手方向縁辺の部分同士が互いに当接することで特に前記フィルム基材の前記外表面の領域で幅がごく僅かになっているものの、前記フィルム基材の総厚に亘って延在する開口部なのであって凹所や窪みではない。
【0024】
前記フィルム基材をチューブや筒状に変形させる際にせん断応力などの応力が既に発生しており、当該応力により、前記外表面から内表面へと幅広となる開口部の形成が本質的に抵抗を受けるということを考慮に入れるのが好適であり得る。しかし、逆にこれは、前記筒状への前記フィルム基材の変形によって前記エッジの傾斜、特には前記切断エッジの傾斜がある程度軽減又は補償されるため、当該傾斜を前記フィルム基材の厚み方向に対して鋭く実現できるということも意味する。これは、前記傾斜を鋭く実現したとしても、前記筒状に変形された前記フィルム基材の径方向プロファイルで前記内側に向かって幅広となる開口部が、比較的それほど顕著なものにならないということを意味する。
【0025】
本発明にかかる方法の極めて好ましい一実施形態では、前記外表面から内表面へと幅広となる前記開口部が5°~50°、好ましくは10°~40°の角度を内包するように、前記長手方向縁辺が整形され得る。この角度は、前記筒状に変形された前記フィルム基材の状態で測定される。好ましくは、これにより、前記開口部のうちの径方向内方の部分、好ましくは前記フィルム基材の外層の領域以外の径方向内方の部分に前記帯片、特には補強帯片の材料が入り込むことができ、前記フィルム基材の内表面との接合および前記長手方向縁辺の領域での当該長手方向縁辺同士の少なくとも間接的な接合が、前記外表面やそこの印刷に影響を及ぼすことなくそこに実現されることになる。
【0026】
また、前記方法の極めて好ましい他の実施形態では、前記フィルム基材の両方の長手方向縁辺が整形、特には切断加工されることにより、当該フィルム基材が前記筒状に変形されたときに、径方向のうちの前記外表面の領域にて、前記整形、特には前記切断加工で形成された2つの先端部同士が互いに、特には端と端とで当接し得る。極めて有利なことに、これにより、前記フィルム基材の前記外表面の領域に突合せ溶着シーム部を実現するのに必要なエネルギー量が小さくなるので、前記フィルム基材の前記外表面の印刷に影響が生じるリスクが低下する。しかも、両側の前記長手方向縁辺を整形又は切断加工するという構成により、当該長手方向縁辺の外表面の領域の接合の下側にある当該長手方向縁辺間の前記開口部の形状構成(Ausgestaltung)を、例えば対称的な構造等の極めて有利な構造に実現することができる。
【0027】
また、前記方法の極めて好ましい他の実施形態では、トリミング過程で少なくとも1つの長手方向縁辺がトリミングツール、特にはトリミングナイフによって前記長手方向にカット工され、同過程で前記フィルム基材からトリミング帯片(Trimmstreifen)が切り離されて、当該トリミング帯片は、前記筒状に変形された前記フィルム基材の内側の前記長手方向縁辺同士の継ぎ目の領域及び/又は前記長手方向溶着シーム部の領域へと帯片として配置されて当該フィルム基材、特には前記長手方向縁辺に溶着され得る。好ましくは、このアプローチは、前記フィルム基材の内表面及び外表面がいずれも溶着可能なものである場合に可能となる。しかしながら、重合せ溶着(ラップ溶着)に適したフィルム基材や積層体であれば、いずれもこれをクリアできる。
【0028】
重合せ溶着に適したフィルム基材から予め切り離したトリミング帯片を帯片又は補強帯片として使用することには様々な有利な効果がある。第一に、前記フィルム基材と前記帯片との材料相溶性、つまり、溶着性が確実となる。フィルム基材および帯片(帯片又は補強帯片として前記筒状の内側へと挿入されて、そこで前記フィルム基材に接合、特には溶着される)は、前記トリミング帯片の材料の組成及び材料の順序、特には層の順序が、当該フィルム基材と同一になる。よって、前記帯片又はトリミング帯片を例えば前記フィルム基材に対して前記長手方向に180°回転させることにより、前記筒状に変形された前記フィルム基材の内表面の領域で接触し合う材料同士や層同士を、確実に同一にできるか又は同じ材料からなるものとすることができる。あるいは、前記帯片を回転させずに使用してもよい。このようにして、前記内表面の材料相溶性が確実に同一、すなわち、最大限高くなるので、充填後の閉止過程、すなわち、最終シーム部の形成時の過程が最適化される。
【0029】
その上に、前記フィルム基材内に設けられたバリア層、したがって、前記筒状に変形された前記フィルム基材へと接合される帯片として用いられる前記トリミング帯片内にも設けられているバリア層は、溶着シーム部、特には前記長手方向溶着シーム部の機械的安定化をもたらすことができると共に、極めて僅かであるがバリア層に割れ目が生じている当該シーム部のバリア効果についても改善をもたらす。極めて有利には、少なくとも外側領域又は前記外表面で既に繋がっている前記長手方向縁辺同士への前記帯片の接合は、前記バリア層が被覆又は遮蔽されて且つそれによって当該バリア層に前記筒状体の内側から接触できなくなるように圧力を印加して実現又は実行される。これは、例えば、前記帯片の加熱過程や前記フィルム基材への接合過程で流動化、特には前記バリア層周辺の流動化が生じることによって当該バリア層の両側が前記帯片の材料、特には当該帯片の層によって確実に包み込まれるか又は覆われるようにすることで実現可能である。
【0030】
前記トリミング帯片が前記長手方向縁辺の少なくとも一部の領域又は部位に接合される、特には溶着される、帯片として用いられる場合、極めて有利には、対応する当該トリミング帯片が印刷を具備しないものとされる。これは、前記包装チューブの前記筒状体の内側に印刷が配置されて当該印刷がチューブ充填物と触れたりシーム部および/または最終シール部の安定性に影響が生じたりする可能性を確実になくすためである。よって、前記トリミング帯片の切離しに加えて当該トリミング帯片を例えば別の切断加工をすることで例えば印刷領域や縁部領域を切り離すようにしてもよい。
【0031】
前記方法の極めて好ましい他の実施形態では、前記フィルム基材からの前記トリミング帯片の切離し時又は切離し後に、特には前記筒状に変形された前記フィルム基材の前記内側への当該トリミング帯片の供給前に、当該トリミング帯片のうちの少なくとも1つの側がトリミングツール、特にはトリミングナイフによって前記長手方向に切断加工され得る。
【0032】
前記方法の有利な他の実施形態では、前記フィルム基材からの前記トリミング帯片の切離しと前記筒状に変形された前記フィルム基材の前記内側への当該トリミング帯片の挿入との間、当該トリミング帯片が保管手段に一時的に保管され得る。これは、前記トリミング帯片が前記筒状体用の帯片又は補強帯片として用いられる場合に、当該トリミング帯片を特には加熱過程で当該トリミング帯片の長手方向に伸ばしたり長くしたりすることで、当該トリミング帯片の処理量又は必要量を前記フィルム基材の長さの必要量よりも少なくする際に極めて有利である。
【0033】
また、前記方法の極めて好ましい他の実施形態では、前記帯片、特には前記トリミング帯片が、内側加熱手段によって加熱されて、前記筒状体へと変形された前記フィルム基材の前記内側へと加熱状態、したがって、塑性軟化状態で挿入されて、前記フィルム基材(特には、前記フィルム基材の内表面)と前記長手方向縁辺の領域の前記開口部の部分とに接合され得る。前記帯片又はトリミング帯片を予備加熱することには、数多くの利点がある。
第一に、これにより、前記トリミング帯片又は帯片の位置決めを容易にできるか又は向上させることができる。というのも、加熱状態、したがって、塑性軟化状態であることにより、供給手段への付着を少々ながらある程度実現することができ、それによって前記帯片又はトリミング帯片が横に移動する可能性が低くなるからである。しかも、加熱状態であることにより、前記長手方向縁辺の領域で、前記筒状に変形された前記フィルム基材の内表面との接合を極めて素早く且つ極めて効果的に実現することができる。
有利なことに、これにより、さらに、前記フィルム基材と前記帯片とが初めて互いに接触したときに前記長手方向縁辺同士の位置が最初に又は予備的に固定されるので、前記外表面の領域においても当該長手方向縁辺同士の位置が固定されると共にその互いの当接が確実なものになる。
しかも、帯片又はトリミング帯片が加熱軟化していることにより、極めて有利なことに開口部に当該帯片の材料を入り込ませて当該開口部のうちの当該開口部の上方に後で形成される前記長手方向縁辺の外表面同士の接合よりも径方向内方にある当該長手方向縁辺間の部分を素早く埋めることができる。
【0034】
.
また、極めて有利には、前記帯片、特に、前記トリミング帯片は、前記フィルム基材の内表面への接合中、前記長手方向と交差するようにして幅が広がって前記フィルム基材への接合前の幅に対する接合後の幅の比が1.5を上回り、かつ、好ましくは、特にはそれと同時に、前記長手方向(L)と交差するようにして扁平化することによって前記フィルム基材への接合前の高さに対する接合後の高さの比が2/3未満になり得る。これにより、有利なことに、長手方向シーム部又は長手方向溶着シーム部の高さが低くなるだけでなく、その幅も十分となる。
【0035】
また、極めて好ましくは、前記方法において、前記帯片、特には前記トリミング帯片が、供給手段によって連続周回接触ベルト上に載置されて、かつ、前記筒状体へと変形された前記フィルム基材の前記内側へと挿入され得る、特には前記接触ベルト上で挿入され得る。極めて有利なことに、これにより、前記帯片又はトリミング帯片の連続的な供給が可能となると共に、前記フィルム基材への当該帯片又はトリミング帯片の接合を確実なものにすることができる。
【0036】
少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層を含むか又は少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層で構成され、かつ、長手方向に延びる第1の長手方向縁辺および当該第1の長手方向縁辺と平行で当該第1の長手方向縁辺から離間した第2の長手方向縁辺を有しているフィルム基材、好ましくは外表面に印刷を具備したフィルム基材からなり、
前記フィルム基材が変形手段によって筒状に変形されており、
2つの前記長手方向縁辺が特には長手方向溶着シーム部で互いに溶着されており、
前記筒状に変形された前記フィルム基材の内側の、継ぎ目及び/又は前記長手方向溶着シーム部の領域へと、帯片が配置されて、当該帯片が前記長手方向縁辺の少なくとも一部の領域又は部位に接合、特には溶着されている、包装用の可撓性筒状体、特には前述の方法に従って製造された可撓性筒状体に関しては、
少なくとも1つの長手方向縁辺が整形、特には切断加工され、前記筒状に変形された前記フィルム基材の前記長手方向縁辺同士が、前記整形、特には前記切断加工で形成された少なくとも1つの先端部を介して径方向のうちの前記外表面の領域のみで互いに直接接合されていることで、前述の目的が本発明に従って達成される。本発明では、前記フィルム基材の前記外表面の領域の接合が端と端とで形成される。
【0037】
これにより、前述の方法に関して開示したものと大部分同一の利点が、筒状体についても得られる。厳密には、前記フィルム基材の前記外表面の領域又は外層の領域で形成される直接突合せ溶着シーム部により、前記外表面に適用された印刷に視認可能な切れ目を生じさせないと同時に全体として機械的に安定した、継ぎ目のない見た目の接合又は溶着が可能となる。
【0038】
前記筒状体の極めて好ましい第1の実施形態では、前記フィルム基材の整形された前記少なくとも1つの長手方向縁辺が、前記フィルム基材の厚み方向に対して斜めに延びるエッジ、特には切断エッジをそれぞれ有しており、その傾斜は、前記フィルム基材が前記筒状に変形されたとき及び/又は前記長手方向縁辺同士が互いに直接繋げられたときに前記外表面から内表面へと幅広となる開口部が形成されるような向きであり得る。この開口部により、前述した利点や有利な効果を得ることが可能となる。
【0039】
前記筒状体の有利な他の実施形態では、前記筒状に変形された前記フィルム基材の状態で前記開口部が5°~50°、好ましくは10°~40°の角度を内包するように、前記長手方向縁辺の整形や前記外表面の領域での前記長手方向縁辺同士の直接接合が実現され得る。これによっても、前述した利点や有利な効果を得ることができる。
【0040】
同じく、有利には、前記開口部が、少なくとも部分的に、特には前記長手方向縁辺同士の当接し合う外表面の領域を除いて、好ましくは前記外表面および/または外層を除いて、前記帯片又は前記トリミング帯片の材料で充填され得る。
【0041】
また、極めて好ましくは、前記筒状体の設計は、前記フィルム基材の両方の長手方向縁辺が整形されることにより、当該フィルム基材が前記筒状に変形されたときに、前記整形で形成された2つの先端部同士が径方向のうちの前記外表面の領域で互いに、特には端と端とで直接接合されるような設計とされ得る。これにより、最小限の熱エネルギーしか必要としない、つまり、前記外表面の印刷に影響を及ぼさない、特には当該印刷を傷付けない接合を前記フィルム基材の前記外表面の領域に形成することができると同時に、継ぎ目のない見た目のチューブ又は継ぎ目のない見た目の筒状体が形成される。
【0042】
また、前記筒状体の極めて好ましい他の実施形態では、前記帯片が、先のトリミング過程で前記フィルム基材から切り離された、当該フィルム基材のトリミング帯片で形成され得る。前述したように、これは、材料の相溶性が合っていることが前提となる。これにより、前記フィルム基材と前記帯片との相溶性が確保される。また、これにより、特に前記トリミング帯片を180°回転させた場合に、同一の材料又は同一の層が互いに接触させられることになるので、前記筒状に変形された前記フィルム基材の内表面に対して前記トリミング帯片が前記長手方向縁辺の領域で確実に相溶可能となる。しかも、極めて有利なことに、バリア層を含むフィルム基材への帯片としてトリミング帯片が用いられた場合には、当該バリア層が筒状積層体部分又はフィルム基材の安定性にも大きく貢献していることが前提となるが、当該トリミング帯片内にも埋設されている当該バリア層によって前記長手方向溶着シーム部の機械的安定性に有利な貢献がもたらされる。
【0043】
少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層を含むか又は少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層で構成され、かつ、長手方向に延びる第1の長手方向縁辺および当該第1の長手方向縁辺と平行で当該第1の長手方向縁辺から離間した第2の長手方向縁辺を有しているフィルム基材、好ましくは外表面に印刷を具備したフィルム基材から、包装チューブ用の可撓性筒状体を製造する装置であって、
前記フィルム基材が変形手段によって筒状に変形されて、
2つの前記長手方向縁辺が特には互いに溶着されて、同過程で長手方向溶着シーム部が形成されて、
前記筒状に変形された前記フィルム基材の内側の継ぎ目及び/又は前記長手方向溶着シーム部の領域へと帯片が供給手段によって配置されて、当該帯片が前記長手方向縁辺の少なくとも一部の領域又は部位に接合手段によって接合、特には溶着される、装置に関しては、
前記長手方向溶着シーム部が形成される前に少なくとも1つの長手方向縁辺を整形、特には切断加工するエッジ整形手段(Randumformmittel)、
を設け、前記フィルム基材の前記筒状を形成する前記変形手段は、前記筒状に変形された前記フィルム基材の前記長手方向縁辺同士が、前記エッジ整形手段で形成された少なくとも1つの先端部(Spitze)を介して径方向のうちの前記外表面の領域で互いに当接する、特には端と端とで当接するように実現されていることで、前述の目的が本発明に従って達成される。
【0044】
つまり、包装チューブ用の可撓性筒状体を製造する装置に関しては、本発明にかかる思想が、次のようにして実現される;
前記長手方向縁辺同士又は少なくとも1つの長手方向縁辺が、対応するエッジ整形手段によって整形、特には切断加工され、
前記整形又は前記切断加工は、前記外表面の領域又は外層の領域の少なくとも1つの長手方向縁辺に先端部が形成又は実現されるように実行されて、
前記フィルム基材を筒状に変形させる前記変形手段は、前記長手方向縁辺同士の重合せ部なしの又は端と端との配置構成が確保されるか又は可能となるように実現及び/又は配置されているが、
この配置構成は、厳密には、対応する前記外表面同士又は前記外層同士が互いに当接するように、具体的には、少なくとも1つの側又は1つの長手方向縁辺にて当該長手方向縁辺の前記整形、特には前記切断加工で形成された先端部が、前記外表面の領域又は前記外層の領域のうちの対向する長手方向縁辺と当接するようにして確立されるか又は設けられる配置構成である。
【0045】
これにより、前記筒状に変形された前記フィルム又は前記筒状に変形された前記フィルム基材の前記長手方向縁辺同士の、前記外表面の領域又は外層の領域での直接接合、特には直接溶着を、間に視認可能な隙間が生じたり、前記フィルム基材の前記外表面の印刷が傷付いたり当該印刷に影響が生じたりするリスクのない極めて低いエネルギー投入で行うことも可能になる。これにより、長手方向シーム部がほぼ視認できないか又は継ぎ目がないようにさえ見える、印刷に途切れのないチューブ又は印刷に途切れのない筒状体を製造することが可能となる。
【0046】
本発明にかかる装置の極めて好ましい第1の実施形態では、前記長手方向溶着シーム部が形成される際、前記フィルム基材の前記外表面を前記長手方向縁辺の前記少なくとも1つの先端部の領域で接合、特には溶着するように用いられる外側加熱手段が設けられており、当該外側加熱手段は、前記外表面と反対側の内表面が前記帯片と接合、特には溶着されてから前記外表面の前記接合、特には外層自体の直接接合が生じるように設けられ得る。極めて有利なことに、これにより、前記外表面自体又は外層の材料自体の直接接合を相応の低いエネルギー投入によって確立し、前記フィルム基材の前記外表面の印刷に影響を及ぼさない接合とすることが可能になる。よって、前記筒状に変形された前記フィルム基材の前記外表面自体の溶着が比較的低いエネルギー投入によって十分達成されるので、前記外側加熱手段の寸法を極めて大型にしたり高出力にしたりする必要がなくなる。
【0047】
また、前記装置の好ましい他の実施形態において、前記エッジ整形手段は、前記フィルム基材の前記少なくとも1つの長手方向縁辺の整形時に前記フィルム基材の厚み方向に対して斜めに延びるエッジ、特には切断エッジがそれぞれ形成されるように配置及び実現されており、その傾斜は、前記フィルム基材が前記筒状に変形されたときに、特には前記長手方向縁辺の外表面同士が互いに隣接して又は重ならないように配置された場合に前記外表面から内側へと幅広となる開口部が形成されるような向きであり得る。
【0048】
前記装置の極めて有利な他の実施形態では、特には処理対象となる積層体の上面と下面とが溶着可能であることを前提として、少なくともトリミング過程で長手方向縁辺を特にはトリミングナイフによって前記長手方向に切断加工するトリミングツールが設けられており、同過程で前記フィルム基材からトリミング帯片が切り離されて、当該トリミング帯片は、前記筒状に変形された前記フィルム基材の内側の前記長手方向縁辺同士の継ぎ目及び/又は前記長手方向溶着シーム部の領域へと帯片として配置されて当該フィルム基材、特には前記長手方向縁辺に溶着され得る。これにより、数多くの利点が得られる。第一に、これにより、帯片を追加で用意して前記筒状体へと挿入する必要がなくなるので、材料を極めて節約しながら前記筒状体を製造することができる。むしろ、省略できない過程である可能性がある前記フィルム基材のトリミング過程の廃棄物を、再使用したり再生利用したりすることが可能となる。しかも、前記フィルム基材と前記帯片は同じ材料や同じ層を含んでいるか又は同じ材料や同じ層で構成されていることになるので、相溶性の問題や前記帯片と前記フィルム基材との溶着部の形成に関する問題が発生するようなことがない。最後に、前記フィルム基材内に設けられているバリア層、つまり、前記トリミング帯片内に設けられているバリア層は、前記長手方向溶着シーム部の機械的安定化に貢献する可能性がある。
【0049】
また、前記装置の好ましい他の実施形態では、前記帯片、特には前記トリミング帯片を加熱して塑性軟化させる内側加熱手段を設けて、当該内側加熱手段は、前記外表面の前記長手方向縁辺の領域で前記フィルム基材自体の接合が確立される前に、前記帯片が前記筒状に変形された前記フィルム基材の前記内側へと加熱状態、したがって、軟化状態で供給手段によって挿入されて前記長手方向縁辺と接触させられるように設けられ得る。第一に、前記内側加熱手段による加熱や軟化により、前記帯片もしくはトリミング帯片の移動が確実に避けられるか又は移動が確実に少なくとも防止される。さらに、前記帯片が前記フィルム基材へと前記長手方向縁辺の領域で接触したときに、前記長手方向縁辺の領域の前記フィルム基材の内表面と加熱軟化状態の当該帯片又はトリミング帯片との間に直接接合が確立される。極めて有利なことに、当該接合によって前記外表面の領域の前記長手方向縁辺同士の相対位置が固定済みとなった後に、当該外表面にて前記フィルム基材自体の対応する接合が確立される。しかも、前記帯片又は前記トリミング帯片を先に加熱軟化させることにより、前記長手方向縁辺間で前記フィルム基材の総厚に亘って延在した対応する開口部に当該帯片又はトリミング帯片の材料が部分的に入り込むことができ、かつ、前記外表面の領域のうちの未だ直接接合されていない当接し合った前記長手方向縁辺同士を移動させることなく、特には押し解くことなく、当該長手方向縁辺間に良好かつ確実な接合を少なくとも間接的に生じさせることが確実に極めて効果的に可能となる。
【0050】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、好適な例示的な実施形態についての以下の説明および図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】初期状態のフィルム基材を示す概略図であり、切離し平面や切断平面が表示されている。
【
図2】第一の処理段階における、長手方向溶着シーム部の領域の筒状体の断面を示す概略図である。
【
図3】第二の処理段階における、本発明にかかる筒状体の断面を示す概略図である。
【
図4】筒状体を製造するための本発明にかかる装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、本発明で用いられ得るフィルム基材の断面図である。フィルム基材1は、外表面2に印刷31を具備している。印刷31は、しばしば、フィルム基材1の外層3に設けられている。あるいは、印刷31は、層3の下方に位置し得る。外層3の下側には、1つ又は複数の層で構成された別の層構造4が設けられ得る。層構造4のうちの、外表面2の反対側には、バリア層5が続く。バリア層5の後には別の層構造6が続き得て、層構造6の後には内層7が続く。
【0053】
フィルム基材1から前記可撓性筒状体を製造する過程では、例えば、
図1の紙面内部へと延びる、フィルム基材1の長手方向Lに沿って、長手方向縁辺(Laengsrandseiten)8が整形(Urformung)、特には切断加工され得る。当該整形、特に切断加工は、
図1の対応する切断平面S
1,S
2で指し示す。元々の長手方向辺部8は、切断平面S
1,S
2により、新たな又は切断加工後の長手方向縁辺8’へと変わる。少なくとも一方の切断平面S
1,S
2は、外表面2の領域に少なくとも1つの先端部9、すなわち、鋭角が結果的に形成されるように、フィルム基材1の厚み方向Dに対して斜めに延びるよう意図されている。後で詳述するように、切断平面S
1,S
2によってフィルム基材1の外表面2の領域に先端部9が形成されることにより、当該先端部9同士の端と端との当接が可能となるので、フィルム基材1を筒状に変形させたときに、当該先端部9の領域で外表面2同士又は外層3同士を極めて低いエネルギー投入で互いに直接接合することが確実に可能となる。
【0054】
切断平面S1,S2は、印刷31の印刷領域内に位置している。これにより、チューブ全体に確実に印刷が設けられる。既にトリミングが施された前処理済みのフィルム基材が用いられた場合には、例えば切断平面S1に沿った切断加工が不要となる。
【0055】
また、フィルム基材1の幅Bに沿って、追加の切断平面S3,S4が任意で設けられ得る。切断平面S3,S4は、例えば、長手方向溶着シーム部を形成するにあたって、すなわち、フィルム基材1の長手方向縁辺同士を接合するにあたって、筒状に変形されたフィルム基材1の内側へと挿入されることが可能な帯片、特にはトリミング帯片12.1を製作するために用いられる。
【0056】
切断平面S3は、印刷31の印刷領域外に位置している。これにより、印刷インキでトリミング帯片12.1が汚染されないことが確実になる。これを確実にするための理由は、2つある。第一に、印刷31が充填物に触れるようなことは避けるべきである。次に、印刷13は溶着性を低下させる。これは、トリミング帯片12.1を前記シーム部にきちんと溶着できないということや、末端シール部(Endsiegel)又は末端シーム部(Endnaht)を意図どおり形成できなくなるということを意味する。
【0057】
図2は、本発明にかかる製造中の可撓性筒状体の断面図である。同断面図には、フィルム基材1の少なくとも1つの内表面13が帯片12(Streifen)、好ましくは加熱軟化した帯片12、特には塑性軟化した帯片12と接合される少し前の、長手方向縁辺8’の領域が示されている。
図2の例における前記帯片は、溶着過程やフィルム基材1への接合に適した任意の帯片である。しかしながら、
図1で例示的に製作したようなトリミング帯片12.1も、
図2の状態や方法での帯片として用いられることが可能である。
【0058】
図2には、前記筒状に変形されたフィルム基材1の断面が示されている。
図2に示すように、対応する長手方向縁辺8’同士が、重ね合わされずに端と端とで配置されており、特には、それによって先端部9同士が互いに当接している。この配置構成は、本発明にかかる装置のガイド手段10によってもたらされるか又は可能となると共に暫くの間維持される。
図2では、既に、対応する帯片12がフィルム基材1の下方に配置されている。変形例として、例えば、
図1に示す切断平面S
3,S
4で製作されたトリミング帯片12.1が用いられてもよい。フィルム基材1とは対照的に、帯片12は特には外表面の領域が既に加熱軟化しているものとされ得る。ただし、帯片12とフィルム基材1、特にはフィルム基材1の内表面13との間には未だ距離がある。帯片12が
図1の切断平面S3,S4に沿った切断加工で製作されたトリミング帯片である場合、例えば、当該帯片12が前記フィルム基材に対して当該帯片12の長手方向軸心回りに180°回転させられ得る。これにより、フィルム基材1の内表面13と帯片12の外表面14とで同じ材料又材料層が互いに向かい合うことになる。これにより、当該同じ材料又は材料層で互いに接合可能、特には溶着可能となる。
【0059】
図2の後に続く処理又は方法過程では、案内手段10と供給手段27との間の距離を、例えば、紙面と直交する長手方向で縮める、例えば連続的に縮めることにより、フィルム基材1と帯片12との接触(Kontakt)、つまり、接合(Verbindung)が確立される。好ましくは、供給手段27は、例えば、長手方向に連続周回ベルト21を具備している。
このようにして、フィルム基材1と帯片12との間の最初の接触及び最初の接合が接触箇所Kの領域で確立され得て、かつ、案内手段10と供給手段27との間の距離が縮まると同時に圧力が増加することにより、前記接触箇所が拡張したり幅広になったりして接触面となると共に、帯片12の材料が前記フィルム基材の開口部15に入り込む。
【0060】
図2に示すように、フィルム基材1が前記筒状に変形された状態になると、フィルム基材1の外表面2から径方向内方へと幅が増えていく開口部15が形成される。開口部15の幅は、先端部9の領域にて最小限であると考えられる。これは、先端部9同士が互いに当接(anliegen)しているのであって互いに接合(verbinden)しているわけではないからである。よって、前記フィルム基材の開口部は、終端のない開口部であると見なせる。当該開口部は、一部の幅が最小限になったり幅がほぼ消失したりするものの、前記フィルム基材の厚みの一部だけに亘って延びる凹所(Ausnehmung)とはならない。開口部15の開口角度αは、例えば、5°~50°、好ましくは10°~40°の角度を内包し得る。
【0061】
本発明にかかる方法のうちの、
図2及びフィルム基材1と帯片12との前述した接合の後に続く状態では、案内手段10の領域に設けられ得る外側加熱手段(
図2には図示せず)により、フィルム基材1の外表面2の領域の長手方向縁辺8’間に、エネルギーをあまり必要としない極めて軽微な接合が確立され得る。切断平面S1,S2が適切に選択されることで、当該接合の継ぎ目がほとんどない(シームレス)ように見えるだけでなく、当該接合によって前記印刷が傷付いたり前記印刷に影響が生じたりすることも起きない。
【0062】
図2には、さらに、フィルム基材1がバリア層5を含んでいる様子、したがって、
図1の製法における帯片12がバリア層5を備えている様子が示されている。
図2の状態又は処理段階では、長手方向縁辺8’と帯片12の端面16とに、バリア層5が露出した領域がある。そのため、このバリア層5は、筒状体18の内側17に配されるチューブ充填物と触れる可能性がある。しかし、一般的に言って、バリア層5と前記包装チューブの内側17又はそこに配されるチューブ充填物がこのように触れてしまうことは避けられるべきである。前記方法や
図3の筒状体18の状態では、適切な解決手段が設けられている。
【0063】
図3の状態では、フィルム基材1の外表面2又はフィルム基材1の外層3の領域の長手方向縁辺8’間に、前述したような相応の直接接合が確立されている。好ましくは、当該接合は、例えば10μm~50μm等といった厚さの外層3に亘って延在する。ただし、当該接合は、既に加熱軟化済みの帯片12が前記筒状に変形されたフィルム基材1の内表面又は内側17の長手方向縁辺8’の領域にて当該フィルム基材1へと供給及び圧着されてからでしか確立されない。先に行われる後者の過程の結果として、特に帯片12は適宜加熱軟化している、特には塑性軟化していることから当該帯片12の材料の一部が
図2に示す開口部15へと部分的に入り込むか又は流入するが、これは、当接し合う先端部9同士が変位しない、特には押し解かれない深さ又は程度のみまでに留められる。このような変位阻止は、前記装置のうちの対応する(案内手段10として極めて概略的に図示した)案内手段によって実現され得る。しかも、本例では、その後に外表面2の領域の長手方向縁辺8’同士を接合することによって当該外表面2の領域を直接接合するが、当該接合は少しの熱エネルギーで済む。さらに、帯片12の材料が開口部15に入り込むことにより、バリア層5が露出した前記領域が覆われるか又は封止される。また、帯片12とフィルム基材1とに圧力を印加することで、当該帯片12がある程度溶融して本来の厚みの例えば約半分を失ってしまう。しかし、当該帯片12の幅は、それとは逆に、例えばフィルム基材1との接触や対応する圧力印加の前の約2倍になっている。しかも、バリア層5は溶融し難いか又は全く溶融しないので、帯片12のこのような径方向薄肉化及びそれと同時の幅広化によって当該帯片12のバリア層5のうちの
図2で露出していた領域が覆われることになる。そのため、当該領域は、筒状体18の内側17に接触しなくなる。
【0064】
このようにして、
図3に示す前記長手方向溶着シーム部の領域又は長手方向縁辺8’の領域の接合は、極めて有利な接合となる。こうなる理由は、まず、外表面2の領域又はフィルム基材1の外層3の領域の接合が直接接合19であるため、切断平面S
1,S
2を十分な精度で切断すれば、フィルム基材1の外表面2の印刷が途切れや継ぎ目のない見た目となり、しかも、この接合は少ない熱エネルギーで形成されているので、1つまたは両方の
外表面2への悪影響がほぼ又は全くないからである。
【0065】
これと同時に、フィルム基材1の内表面13と開口部15の領域との両方に効果的な接合、すなわち、帯片12の材料による接合が確立されていることにより、筒状体18の極めて安定した長手方向溶着シーム部が得られる。さらに、長手方向縁辺8’の領域の帯片12内に、当該長手方向溶着シーム部の機械的安定化に貢献するバリア層5のうちの対応する一部が埋設されていることで、機械的安定性が確保される。また、帯片12とフィルム基材1の内表面13との接合は、同一の材料同士が当該接合で互いに接合していることから、極めて効果的な接合となる。結果として、良好な安定した互いの接合が確立されて、特には、結果として、これらが互いに良好に溶着する。前記トリミング帯片に代えて、内面、内層7又は内表面13に溶着可能な表面を具備した帯片を用いた場合には、内層7と溶着不能な材料を外層3に選択することも可能である。
【0066】
図4は、本発明にかかる装置の概略図である。本質的に平面状のフィルム基材1が、右側から供給されて左側へと長手方向に移動する。装置20を出た後のフィルム基材1は、未だ無端状態の可撓性筒状体18、つまり、切り分けて適宜チューブヘッドと連結する前の可撓性筒状体18を形成している。
図1に示すフィルム基材1の前記整形、特にはフィルム基材1の前記切断加工は、対応するナイフを具備した切断ツール、特にはトリミングナイフを具備したトリミングツール(
図4に図示せず)によって実行され得る。対応するトリミング帯片が製作された場合、当該トリミング帯片は、フィルム基材1から切り離された後、保管手段(
図4に図示せず)で一時的に保管され得る。前記装置は、さらに、2つの連続周回ベルト(endlos umlaufende Baender)21,22を備える。外側のベルト22及び内側のベルト21に関しては、全ベルトの一部が図示されている。
【0067】
フィルム基材1が対応する変形手段によって対応する筒状へとマンドレル26周りで変形される前に又はそれと並行して、トリミング帯片として実現され得る帯片12が内側のベルト21へと供給される。内側のベルト21及び/又は帯片12は、内側加熱手段24a,24bによって予備加熱され得る。これにより、帯片12は、加熱されてから、好ましくは塑性軟化してから、前記筒状に変形されたフィルム基材1へと例えば内側のベルト21上で挿入又は供給されることになる。例えば前記変形手段がフィルム基材1を筒状に変形させることにより、当該筒状のフィルム基材1の長手方向縁辺8’同士が、例えば
図2に示すように外表面2の少なくとも1つの前記先端部の領域にて重合せ部なしで互いに当接し得る。次の過程では、軟化した昇温状態の帯片12とフィルム基材1との前述したような接合が例えば最初の接触点28から発生し、当該接触点28を起点として、接触、好ましくは接触箇所Kの接触が生じると共に、対応する接触圧によって接触又は接触面が
長手方向Lで増加する。この接合が確立され、帯片12が冷却し再硬化するか又は前記開口部に部分的に流入した変形後の形状に帯片12が冷却し硬化した後は、外側加熱手段25により、フィルム基材1の外表面2の領域の長手方向縁辺8’同士の直接接合を生じさせる対応するエネルギー投入が確実に行われる。
以下、本発明に含まれる態様を記す。
〔態様1〕少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層を含むか又は少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層で構成され、かつ、長手方向に延びる第1の長手方向縁辺(8)および当該第1の長手方向縁辺(8)と平行で当該第1の長手方向縁辺(8)から離間した第2の長手方向縁辺(8)を有しているフィルム基材(1)、好ましくは外表面(2)に印刷を具備したフィルム基材(1)から、包装チューブ用の可撓性筒状体を製造する方法であって、
前記フィルム基材(1)が変形手段(23)によって筒状に変形されて、
2つの前記長手方向縁辺(8)が特には互いに溶着されて、同過程で長手方向溶着シーム部が形成されて、
前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の内側(17)の、継ぎ目及び/又は前記長手方向溶着シーム部の領域へと帯片(12)が配置されて、当該帯片(12)が前記長手方向縁辺(8)の少なくとも一部の領域又は部位に接合、特には溶着される、方法において、
前記長手方向溶着シーム部の形成前に、少なくとも1つの長手方向縁辺(8’)が整形、特にはカットされ、前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の前記長手方向縁辺(8,8’)同士が、前記整形で形成された少なくとも1つの先端部(9)を介して径方向のうちの前記外表面(2)の領域のみで互いに当接する、特には端と端とで当接することを特徴とする、方法。
〔態様2〕態様1に記載の方法において、前記長手方向溶着シーム部の形成過程では、前記フィルム基材(1)の前記外表面(2)と反対側の内表面(13)が前記帯片(12)と接合、特には溶着されてから、当該外表面(2)が前記長手方向縁辺(8,8’)の前記少なくとも1つの先端部(9)の領域で外側加熱手段(25)によって接合、特には溶着されることを特徴とする、方法。
〔態様3〕態様1または2に記載の方法において、前記フィルム基材(1)の前記少なくとも1つの長手方向縁辺(8’)が整形、特には切断加工されると、前記フィルム基材(1)の厚み方向(D)に対して斜めに延びるエッジ、特には切断エッジがそれぞれ形成され、その傾斜は、前記フィルム基材(1)が前記筒状に変形されたときに前記外表面(2)から内表面へと幅広となる開口部(15)が形成されるような向きであることを特徴とする、方法。
〔態様4〕態様1から3のいずれか一態様に記載の方法において、前記開口部(15)が5°~50°、好ましくは10°~40°の角度を内包するように、前記長手方向縁辺(8’)が整形されることを特徴とする、方法。
〔態様5〕態様1から4のいずれか一態様に記載の方法において、前記フィルム基材(1)の両方の長手方向縁辺(8’)が整形されることにより、当該フィルム基材(1)が前記筒状(2)に変形されたときに、前記整形で形成された前記先端部(9)同士が互いに、特には端と端とで当接することを特徴とする、方法。
〔態様6〕態様1から5のいずれか一態様に記載の方法において、トリミング過程で少なくとも1つの長手方向縁辺(8)がトリミングツール、特にはトリミングナイフによって前記長手方向(L)に切断加工され、同過程で前記フィルム基材(1)からトリミング帯片(12.1)が分離されて、当該トリミング帯片は、前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の内側の前記長手方向縁辺(8,8’)同士の継ぎ目及び/又は前記長手方向溶着シーム部の領域へと帯片(12)として配置されて当該フィルム基材(1)、特には前記長手方向縁辺(8,8’)に溶着されることを特徴とする、方法。
〔態様7〕態様6に記載の方法において、前記フィルム基材(1)からの前記トリミング帯片(12.1)の切離し時又は切離し後に、特には前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の前記内側(17)への当該トリミング帯片(12.1)の供給前に、当該トリミング帯片(12.1)のうちの少なくとも1つの側がトリミングツール、特にはトリミングナイフによって前記長手方向(L)に切断加工されることを特徴とする、方法。
〔態様8〕態様6または7に記載の方法において、前記フィルム基材(1)からの前記トリミング帯片(12.1)の切離しと前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の前記内側(17)への当該トリミング帯片(12.1)の挿入との間、当該トリミング帯片(12.1)が保管手段に一時的に保管されることを特徴とする、方法。
〔態様9〕態様1から8のいずれか一態様に記載の方法において、特には前記外表面(2)自体が溶着される前に、前記帯片(12)、特には前記トリミング帯片(12.1)が、内側加熱手段(24a,24b)によって加熱されて、前記筒状体へと変形された前記フィルム基材(1)の前記内側(17)へと加熱状態、したがって、軟化状態、好ましくは塑性軟化状態で挿入されて前記長手方向縁辺(8,8’)と接触させられることを特徴とする、方法。
〔態様10〕態様9に記載の方法において、前記帯片(12)、特には、前記トリミング帯片(12.1)は、前記フィルム基材への接合中、前記長手方向(L)と交差するようにして幅が広がって前記フィルム基材への接合前の幅に対する接合後の幅の比が1.5を上回り、かつ、特にはそれと同時に、前記長手方向(L)と交差するようにして扁平化することによって前記フィルム基材への接合前の高さに対する接合後の高さの比が2/3未満になることを特徴とする、方法。
〔態様11〕態様1から9のいずれか一態様に記載の方法において、前記帯片(12)、特には前記トリミング帯片(12.1)が、供給手段(27)によって周回無端ベルト(21)上に載置されて、かつ、前記筒状体へと変形された前記フィルム基材(1)の前記内側(17)へと挿入される、特には前記ベルト(21)上で挿入されることを特徴とする、方法。
〔態様12〕好ましくは外表面(29)に印刷を具備したフィルム基材(1)から製造された、特に、態様1から10のいずれか一態様に記載の方法に従って製造された、包装チューブ用の可撓性筒状体であって、
少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層を含むか又は少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層で構成され、かつ、長手方向(L)に延びる第1の長手方向縁辺(8)および当該第1の長手方向縁辺(8)と平行で当該第1の長手方向縁辺(8)から離間した第2の長手方向縁辺(8)を有しているフィルム基材(1)、
前記フィルム基材(1)が変形手段(23)によって筒状に変形されており、
2つの前記長手方向縁辺(8)が特には長手方向溶着シーム部で互いに溶着されており、
帯片(12)が前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の内側(17)の、継ぎ目及び/又は前記長手方向溶着シーム部の領域へと配置されて、当該帯片(12)が前記長手方向縁辺(8)の少なくとも一部の領域又は部位に接合、特には溶着されている、筒状体において、
少なくとも1つの長手方向縁辺(8’)が整形、特には切断加工され、前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の前記長手方向縁辺(8,8’)同士が、前記整形で形成された少なくとも1つの先端部(9)を介して径方向のうちの前記外表面(2)の領域のみで互いに直接接合されていることを特徴とする、筒状体。
〔態様13〕態様12に記載の筒状体において、前記フィルム基材(1)の整形された前記少なくとも1つの長手方向縁辺(8’)が、前記フィルム基材(1)の厚み方向(D)に対して斜めに延びる切断エッジをそれぞれ有しており、その傾斜は、前記フィルム基材(1)が前記筒状に変形されたときに前記外表面(2)から内表面へと径方向に幅広となる開口部(15)が形成されるような向きであることを特徴とする、筒状体。
〔態様14〕態様12または13に記載の筒状体において、前記開口部(15)が5°~50°、好ましくは10°~40°の角度又は開口角度を内包するように、前記長手方向縁辺(8’)が整形されていることを特徴とする、筒状体。
〔態様15〕態様12から14のいずれか一態様に記載の筒状体において、前記開口部(15)が、部分的に、特には前記外表面(2)および/または外層(3)を除いて、前記帯片(12)の材料で充填されていることを特徴とする、筒状体。
〔態様16〕態様12から15のいずれか一態様に記載の筒状体において、前記フィルム基材(1)の両方の長手方向縁辺(8’)が整形されることにより、当該フィルム基材(1)が前記筒状(2)に変形されたときに、前記整形で形成された前記先端部(9)同士が径方向のうちの前記外表面(2)の領域で互いに、特には端と端とで直接接合されていることを特徴とする、筒状体。
〔態様17〕態様12から16のいずれか一態様に記載の筒状体において、前記帯片(12)が、トリミング過程で前記フィルム基材(1)から切り離された、当該フィルム基材(1)のトリミング帯片(12.1)で形成されていることを特徴とする、筒状体。
〔態様18〕少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層を含むか又は少なくとも1つの溶着可能なプラスチック層で構成され、かつ、長手方向に延びる第1の長手方向縁辺(8)および当該第1の長手方向縁辺(8)と平行で当該第1の長手方向縁辺(8)から離間した第2の長手方向縁辺(8)を有しているフィルム基材(1)、好ましくは外表面(2)に印刷を具備したフィルム基材(1)から、包装チューブ用の可撓性筒状体を製造する装置であって、
前記フィルム基材(1)が変形手段(23)によって筒状に変形されて、
2つの前記長手方向縁辺が特には互いに溶着されて、同過程で長手方向溶着シーム部が形成されて、
前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の内側(17)の、継ぎ目及び/又は前記長手方向溶着シーム部の領域へと帯片(12)が供給手段によって配置されて、当該帯片(12)が前記長手方向縁辺(8)の少なくとも一部の領域又は部位に接合手段によって接合、特には溶着される、装置において、
前記長手方向溶着シーム部が形成される前に少なくとも1つの長手方向縁辺(8’)を整形、特にはカッテイングするエッジ整形手段、
を備え、前記筒状を形成する前記変形手段(23)は、前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の前記長手方向縁辺(8,8’)同士が、前記整形で形成された少なくとも1つの先端部(9)を介して径方向のうちの前記外表面(2)の領域のみで互いに当接する、特には端と端とで当接するように実現されていることを特徴とする、装置。
〔態様19〕態様18に記載の装置において、
前記長手方向溶着シーム部が形成される際、前記フィルム基材(1)の前記外表面(2)を前記長手方向縁辺(8’)の前記少なくとも1つの先端部(9)の領域で接合、特には溶着する外側加熱手段(25)、
を備え、当該外側加熱手段(25)は、前記外表面(2)と反対側の内表面(13)が前記帯片(12)と接合、特には溶着されてから前記外表面(2)の前記接合が生じるよ
うに設けられていることを特徴とする、装置。
〔態様20〕態様18または19に記載の装置において、前記エッジ整形手段は、前記フィルム基材(1)の前記少なくとも1つの長手方向縁辺(8)が整形されると前記フィルム基材(1)の厚み方向(D)に対して斜めに延びるエッジ、特には切断エッジがそれぞれ形成されるように配置及び実現されており、その傾斜は、前記フィルム基材(1)が前記筒状に変形されたときに前記外表面(2)から内表面へと幅広となる開口部(15)が形成されるような向きであることを特徴とする、装置。
〔態様21〕態様18から20のいずれか一態様に記載の装置において、少なくともトリミング過程で長手方向縁辺(8,8’)を前記長手方向(L)に切断加工するトリミングツール、特にはトリミングナイフを具備したトリミングツール、
を備え、同過程で前記フィルム基材(1)からトリミング帯片(12.1)が切り離されて、当該トリミング帯片(12.1)は、前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の内側の前記長手方向縁辺(8,8’)同士の継ぎ目及び/又は前記長手方向溶着シーム部の領域へと帯片(12)として配置されて当該フィルム基材(1)、特には前記長手方向縁辺(8,8’)に溶着されることを特徴とする、装置。
〔態様22〕態様18から21のいずれか一態様に記載の装置において、
前記帯片(12)、特には前記トリミング帯片(12.1)を、特には塑性軟化に達するまで加熱する内側加熱手段、
を備え、当該内側加熱手段(24)は、前記帯片(12)が前記筒状に変形された前記フィルム基材(1)の前記内側(17)へと加熱状態、したがって、軟化状態で供給手段によって挿入されて内表面(13)と接触させられる、特には前記長手方向縁辺(8,8’)にも接触させられるように設けられていることを特徴とする、装置。
【符号の説明】
【0068】
1 フィルム基材
2 外表面
3 外層
4 層構造
5 バリア層
6 層構造
7 内層
8,8’ 長手方向縁辺
9 先端部
10 案内手段
12 帯片
12.1 トリミング帯片
13 内表面
14 外表面
15 開口部
16 端面
17 内側
18 筒状体
19 接合
20 装置
21 ベルト
22 ベルト
24 内側加熱手段
25 外側加熱手段
26 マンドレル
27 供給手段
28 接触点
31 印刷
A 開口角度
D 厚み方向
B 幅
L 長手方向
K 接触箇所
A 開口角度
S1,S2 切断平面
S3,S4 切断平面