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特許7275265無溶剤接着剤組成物、プロセス、およびその積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】無溶剤接着剤組成物、プロセス、およびその積層体
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/06 20060101AFI20230510BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20230510BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20230510BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20230510BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
C09J175/06
C09J175/08
C09J5/00
B32B7/12
B32B27/40
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021527061
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 CN2018115824
(87)【国際公開番号】W WO2020097900
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】パイ、チェンイェン
(72)【発明者】
【氏名】ハブロット、エロディ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、カオピン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、トルステン
(72)【発明者】
【氏名】バレット、アブラハム
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-249745(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108659775(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107118734(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 175/04-175/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスであって、
(i)脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、および脂肪族ポリエステルポリオールの反応生成物であるイソシアネート成分Aを用意することと、
(ii)脂肪族ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを含むポリオール成分Bを用意することと、
(成分Aおよび成分Bが各々、25℃で800~6000mPa・sの粘度および60~180mgKOH/gのヒドロキシル価を有する脂肪族ポリエステルポリオールを含む)
(iii)成分Aと成分Bとを混合して、無溶媒接着剤(SLA)組成物を形成することと、を含み、前記SLA組成物が、
(a)40℃で500~1600mPa・sの初期粘度と、
(b)前記SLA組成物が40℃で10分間放置された後、前記初期粘度の100%~112%の増加する粘度比と、
(c)前記SLA組成物を形成した40分後の時点で、前記初期粘度の120%~210%の40℃での最終粘度と、を有する、プロセス。
【請求項2】
(iv)前記SLA組成物を、80m/分~600m/分の積層速度で第1のフィルムに塗布して、接着剤塗布フィルムを形成することと、
(v)前記接着剤塗布フィルムを、80m/分~600m/分の前記積層速度で第2のフィルムに接着して、未硬化の積層体を形成することと、
(vi)前記未硬化の積層体を硬化させて、積層体製品を形成することと、を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
成分Aの総重量に基づいて、15重量%~45重量%の前記脂肪族ポリエステルポリオールを有する成分Aを用意することと、
成分Bの総重量に基づいて、30重量%~80重量%の前記脂肪族ポリエステルポリオールを有する成分Bを用意することと、を含み、
成分Aの前記脂肪族ポリエステルポリオールが、成分Bの前記脂肪族ポリエステルポリオールと同じである、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
成分Aの総重量に基づいて、8重量%~45重量%の前記脂肪族ポリイソシアネート、および30重量%~60重量%の前記芳香族ポリイソシアネートを有する成分Aを用意することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
スポットがないこと、白色ドットがないこと、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される特性を有する積層体製品を形成することを含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
無溶媒接着剤(SLA)組成物であって、
脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、および脂肪族ポリエステルポリオールの反応生成物であるイソシアネート成分Aと、
脂肪族ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを含むポリオール成分Bと、を含み、
成分Aおよび成分Bが各々、25℃で800~6000mPa・sの粘度および60~180mgKOH/gのヒドロキシル価を有する脂肪族ポリエステルポリオールを含み、前記SLA組成物が、
(a)40℃で500~1600mPa・sの初期粘度と、
(b)前記SLA組成物が40℃で10分間放置された後、前記初期粘度の100%~112%の増加する粘度比と、
(c)前記SLA組成物を形成した40分後の時点で、前記初期粘度の120%~210%の40℃での最終粘度と、を有する、SLA組成物。
【請求項7】
成分Aの総重量に基づいて、前記脂肪族ポリイソシアネートが8重量%~45重量%の量で存在し、前記芳香族ポリイソシアネートが30重量%~60重量%の量で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
成分A中の前記脂肪族ポリエステルポリオールが、成分Aの総重量に基づいて、15重量%~45重量%の量で存在し、成分B中の前記脂肪族ポリエステルポリオールが、成分Bの総重量に基づいて、30重量%~80重量%の量で存在し、
成分Aの前記脂肪族ポリエステルポリオールが、成分Bの前記脂肪族ポリエステルポリオールと同じである、請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
成分Bが、低分子量ジオールまたは低分子量トリオールをさらに含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
積層体製品であって、
第1のフィルム層と、
第2のフィルム層と、
前記第1のフィルム層と前記第2のフィルム層との間の無溶媒接着剤(SLA)層と、を含み、前記SLA層が、
脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、および脂肪族ポリエステルポリオールの反応生成物であるイソシアネート成分Aと、
脂肪族ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを含むポリオール成分Bと、を含み、
成分Aおよび成分Bが各々、25℃で800~6000mPa・sの粘度および60~180mgKOH/gのヒドロキシル価を有する脂肪族ポリエステルポリオールを含み、前記SLA層が、
(a)40℃で500~1600mPa・sの初期粘度と、
(b)前記SLA組成物が40℃で10分間放置された後、前記初期粘度の100%~112%の増加する粘度比と、
(c)前記SLA組成物を形成した40分後の時点で、前記初期粘度の120%~210%の40℃での最終粘度と、を有する、積層体製品。
【請求項11】
成分Aの総重量に基づいて、前記脂肪族ポリイソシアネートが8重量%~45重量%の量で存在し、前記芳香族ポリイソシアネートが30重量%~60重量%の量で存在する、請求項10に記載の積層体製品。
【請求項12】
成分A中の前記脂肪族ポリエステルポリオールが、成分Aの総重量に基づいて、15重量%~45重量%の量で存在し、成分B中の前記脂肪族ポリエステルポリオールの量が、成分Bの総重量に基づいて、30重量%~80重量%の量で存在する、請求項10に記載の積層体製品。
【請求項13】
前記積層体製品が、スポットがないこと、白色ドットがないこと、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される特性を有する、請求項10に記載の積層体製品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
複合積層フィルムは、包装材料の分野において既知である。これらのフィルムは、従来、様々なプラスチックフィルムおよび金属箔を接着剤を用いて接着することによって製造されてきた。接着剤は、多くの場合、ポリイソシアネート、ポリエステルポリオール、およびポリエーテルポリオールを含む有機溶剤系二成分硬化性接着剤である。
【0002】
溶剤の使用に関する規制の強化により、複合積層フィルムの製造において、有機溶剤系接着剤が溶剤フリーまたは無溶剤接着剤に置き換えられてきた。しかしながら、従来の溶剤フリー接着剤は、高速で積層したり、またはポリエチレンテレフタレートフィルムなどの高剛性を有するフィルムで積層したりしても、積層体フィルムの許容可能な外観を提供しない。
【0003】
したがって、低い積層速度(例えば、80メートル/分未満)が必要であり、作業効率の低減を引き起こす。
【0004】
当技術分野は、改善された無溶媒接着剤、および無溶媒接着剤を使用して積層体を製造する改善された方法の必要性を認識している。
【発明の概要】
【0005】
プロセスであって、(i)脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリエステルポリオール、およびポリエーテルポリオールの反応生成物であるイソシアネート成分Aを用意することと、(ii)脂肪族ポリエステルポリオール、およびポリエーテルポリオールを含むポリオール成分Bを用意することと、(成分Aおよび成分Bが各々、25℃で800~6000mPa・sの粘度、および60~180mgKOH/gのヒドロキシル価を有する脂肪族ポリエステルポリオールを含む)(iii)成分Aと成分Bとを混合して、無溶媒接着剤(SLA)組成物を形成することと、を含み、SLA組成物が、(a)40℃で500~1600mPa・sの初期粘度と、(b)SLA組成物が40℃で10分間放置された後、初期粘度の100%~112%の増加する粘度比と、(c)SLA組成物を形成した40分後の時点で、初期粘度の120%~210%の40℃での最終粘度と、を有する、プロセスが、本明細書に開示される。
【0006】
無溶剤接着剤(SLA)組成物であって、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリエステルポリオール、およびポリエーテルポリオールの反応生成物であるイソシアネート成分Aと、脂肪族ポリエステルポリオール、およびポリエーテルポリオールを含むポリオール成分Bと、を含み、成分Aおよび成分Bが各々、25℃で800~6000mPa・sの粘度、および60~180mgKOH/gのヒドロキシル価を有する脂肪族ポリエステルポリオールを含み、(a)40℃で500~1600mPa・sの初期粘度と、(b)SLA組成物が40℃で10分間放置された後、初期粘度の100%~112%の増加する粘度比と、(c)SLA組成物を形成した40分後の時点で、初期粘度の120%~210%の40℃での最終粘度と、を有する、SLA組成物も、本明細書に開示される。
【0007】
積層体製品であって、第1のフィルム層と、第2のフィルム層と、第1のフィルム層と第2のフィルム層との間の無溶媒接着剤(SLA)層と、を含み、SLA層が、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリエステルポリオール、およびポリエーテルポリオールの反応生成物であるイソシアネート成分Aと、脂肪族ポリエステルポリオール、およびポリエーテルポリオールを含むポリオール成分Bと、を含み、成分Aおよび成分Bが各々、25℃で800~6000mPa・sの粘度および60~180mgKOH/gのヒドロキシル価を有する脂肪族ポリエステルポリオールを含み、SLA層が、(a)40℃で500~1600mPa・sの初期粘度と、(b)SLA組成物が40℃で10分間放置された後、初期粘度の100%~112%の増加する粘度比と、(c)SLA組成物を形成した40分後の時点で、初期粘度の120%~210%の40℃での最終粘度と、を有する、積層体製品。
【0008】
定義
元素周期表へのいかなる参照も、CRC Press,Inc.によって1990-1991に発行されたときのものである。この表での元素群への参照は、群に番号を付けるための新しい表記法によるものである。
【0009】
米国特許実務の目的で、特に、定義の開示(本開示において具体的に示されるいかなる定義とも矛盾しない程度に)および当技術分野における一般知識に関して、参照されるあらゆる特許、特許出願または刊行物の内容は、それらの全体が参照により組み込まれる(または、その相当する米国版が、同じように参照により組み込まれる)。
【0010】
本明細書に開示されている数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値のすべての値を含む。明示的な値を含有する範囲(例えば、1、2、または3~5、または6、または7の範囲)の場合、2つの明示的な値の間の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7には、部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6等)。
【0011】
相反する記載がない限り、文脈から黙示的でない限り、または当該技術分野で慣習的でない限り、すべての部およびパーセントは、重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0012】
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0013】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順が、本明細書で具体的に開示されているかに関わらず、それらの存在を除外するよう意図されない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、反対の記載がない限り、ポリマーであろうとなかろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる続く記述の範囲からあらゆる他の成分、ステップ、または手順を除く。「からなる」という用語は、具体的に描写または列挙されていないあらゆる成分、ステップ、または手順も除く。「または」という用語は、特に明記しない限り、列挙されたメンバーを個別に、ならびに任意の組み合わせで指す。単数形の使用は、複数形の使用を含み、その逆も同じである。
【0014】
「イソシアネート」は、その構造に少なくとも1つのイソシアネート基を含有する化学物質である。イソシアネート基は、式:-N=C=Oで表される。2つ以上または少なくとも2つのイソシアネート基を含有するイソシアネートは、「ポリイソシアネート」である。2つのイソシアネート基を有するイソシアネートは、ジイソシアネートであり、3つのイソシアネート基を有するイソシアネートは、トリイソシアネートである、など。イソシアネートは、芳香族または脂肪族であり得る。
【0015】
「ポリイソシアネート」は、少なくとも2つのイソシアネート基を含有する分子である。
【0016】
「ポリエーテル」は、同じ原子の直鎖中に2つ以上のエーテル結合を含有する化合物である。
【0017】
「ポリエステル」は、同じ原子の直鎖中に2つ以上のエステル結合を含有する化合物である。
【0018】
「ポリオール」は、複数のヒドロキシル(OH)基を含有する有機化合物である。言い換えれば、ポリオールは、少なくとも2つのOH基を含有する。好適なポリオールの非限定的な例としては、2つのOH基を有するジオール、3つのOH基を有するトリオール、および4つのOH基を有するテトラオールが挙げられる。
【0019】
「ポリエステルポリオール」は、ポリエステルおよびポリオールを含有する化合物である。
【0020】
「フィルム」は、より厚い物品における「フィルム層」を指す場合を含め、明示的に指定された厚さを有さない限り、一次元において約0.5ミリメートル(20ミル)以下の一般的に一貫した均一な厚さを有する、任意の薄い、平坦な押出またはキャスト熱可塑性物品を含む。
【0021】
「ポリマーフィルム」は、ポリマーまたはポリマーの混合物から作製されるフィルムである。ポリマーフィルムの組成は、典型的には、80重量パーセントの1つ以上のポリマーである。
【0022】
「ポリマー」は、同じ種類であるか異なる種類であるかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物である。したがって、ポリマーという総称は、「ホモポリマー」(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下で、1種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すために用いられる)、および「インターポリマー」という用語を包含し、これはコポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを指すのに用いられる)、ターポリマー(3つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられる)、および3つより多くの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。微量の不純物、例えば、触媒残渣が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれ得る。それはまた、すべての形態のコポリマー、例えば、ランダム、ブロックなども包含する。ポリマーは多くの場合、1つ以上の特定のモノマー「から作製されて」いること、特定のモノマーまたはモノマーの種類「に基づいて」いること、特定のモノマー含有量「を含有して」いるなどと称されるが、この文脈において、「モノマー」という用語は、非重合種ではなく、特定のモノマーの重合残余物を指していることが理解される。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものを指す。
【0023】
試験方法
「ヒドロキシル価」または「ヒドロキシル値」は、化学物質中の遊離ヒドロキシル基の含有量の尺度である。ヒドロキシル価は、遊離ヒドロキシル基を含有する1グラムの化学物質のアセチル化で取り込まれた酢酸を中和するために必要な水酸化カリウム(KOH)のミリグラム数である。ヒドロキシル価は、通常、化学物質1グラム当たりの水酸化カリウムのミリグラム(mg KOH/g)として表される。ヒドロキシル価は、DIN53240に従って決定される。
【0024】
「ヒドロキシル基の官能価」は、化合物の1分子中に存在するヒドロキシル基の数である。ヒドロキシル基の官能価は、ASTM D4274-16に従って測定され、結果は、1~6以上の整数として報告される。
【0025】
イソシアネート基を有する化合物は、化合物の総重量に基づくイソシアネート基の重量パーセントによって特徴付けられる。イソシアネート基の重量パーセントは、「%NCO」と称され、ASTM D2572-97に従って測定される。
【0026】
粘度は、ASTM D2196に従って25℃または40℃で測定され、mPa・sで報告される。
【0027】
「接着強度試験」:Instron Corporationから入手可能である5940 Series Single Column Table Top Systemを使用する、250mm/分のクロスヘッド速度下でのT-剥離試験のために、積層体を15mm幅のストリップに切断する。試験中、各ストリップのテールを指で僅かに引っ張って、テールが剥離方向に対して90度のままであることを確認する。各サンプルについて3つのストリップを試験し、その平均値を計算する。結果は、N/15mmの単位で報告される。より高い値は、より強い接着(すなわち、より良好な接着強度)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示は、プロセスを提供する。本プロセスは、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリエステルポリオール、およびポリエーテルポリオールの反応生成物であるイソシアネート成分Aを用意することを含む。本プロセスは、脂肪族ポリエステルポリオール、およびポリエーテルポリオールを含むポリオール成分Bを用意することを含む。成分Aおよび成分Bは各々、25℃で800~6000mPa・sの粘度、および60~180mgKOH/gのヒドロキシル価を有する脂肪族ポリエステルポリオールを含む。本プロセスは、成分Aと成分Bとを混合して、無溶媒接着剤(SLA)組成物を形成することを含む。SLA組成物は、(a)500~1600mPa・sの40℃での初期粘度と、(b)SLA組成物が40℃で10分間放置された後、初期粘度の100%~112%の増加する粘度比と、(c)SLA組成物を形成した40分後の時点で、初期粘度の120%~210%の40℃での粘度と、を有する。
【0029】
一実施形態では、本プロセスは、SLA組成物を、100m/分~400m/分の積層速度で第1のフィルムに塗布して、接着剤塗布フィルムを形成することを含む。本プロセスは、接着剤塗布フィルムを、100m/分~400m/分の積層速度で第2のフィルムに接着して、積層体製品を形成し、積層体製品を硬化させることを含む。
【0030】
A.イソシアネート成分A
本プロセスは、イソシアネート成分A(または互換的に成分Aと称される)を用意することを含む。イソシアネート成分Aは、1つ以上のポリイソシアネート(任意選択的に、1つ以上のイソシアネートと共に)、および1つ以上のポリオールの反応生成物である(すなわち、それらから調製される)。
【0031】
好適なポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、カルボジイミド変性ポリイソシアネート、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
「脂肪族ポリイソシアネート」は、芳香環を欠いているか、または含有しないポリイソシアネートである。好適な脂肪族ポリイソシアネートの非限定的な例としては、メチレン-ビス(4-シクロヘキシルイソシアネート);ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ならびにその誘導体、例えば、HMDIダイマー、HMDIトリマー、およびHMDI付加物など;HDI、ならびにその誘導体、例えば、HDIトリマー、およびHDI付加物など;イソホロンジポリイソシアネート(IPDI)、ならびにその誘導体、例えば、IPDIダイマー、IPDIトリマー、およびIPDI付加物など;またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
一実施形態では、イソシアネート成分A(互換的に成分Aと称される)は、成分Aの総重量に基づいて、3重量%、または5重量%、または8重量%、または10重量%~18重量%、または20重量%、または35重量%、または45重量%、または55重量%、または65重量%の脂肪族ポリイソシアネートを含む。さらなる実施例では、成分Aは、成分Aの総重量に基づいて、3~65重量%、または5~55重量%、または8~45重量%、または10~35重量%の脂肪族ポリイソシアネートを含む。
【0034】
「芳香族ポリイソシアネート」は、1つ以上の芳香環を含有するポリイソシアネートである。好適な芳香族ポリイソシアネートの非限定的な例としては、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)の異性体、例えば、4,4’-MDI、2,4’-MDI、および2,2’-MDIなど、または変性MDI、例えば、カルボジイミド変性MDI、もしくはアロファネート変性MDIなど、トルエンジイソシアネート(TDI)の異性体、例えば、2,4-TDI、および2,6-TDIなど、ナフタレン-ジポリイソシアネート(NDI)の異性体、例えば、1,5-NDIなど、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0035】
一実施形態では、成分Aは、成分Aの総重量に基づいて、18重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%~40重量%、または50重量%、または60重量%、または70重量%、または80重量%の脂肪族ポリイソシアネートを含む。さらなる実施例では、成分Aは、成分Aの総重量に基づいて、18~80重量%、または20~70重量%、または30~60重量%、または25~40重量%の脂肪族ポリイソシアネートを含む。
【0036】
ポリイソシアネートは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0037】
イソシアネート成分Aのポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、またはこれらの組み合わせから選択されるが、これらに限定されない。
【0038】
脂肪族ポリエステルポリオールは、ポリオールとジカルボン酸との重縮合物であり得る。一実施形態では、ジカルボン酸は、部分的または完全に、ポリカルボン酸(例えば、トリカルボン酸、テトラカルボン酸)、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、またはこれらの組み合わせで置換され得る。ポリエステルポリオールはまた、C~Cアルコールのポリカルボン酸無水物またはポリカルボン酸エステルから形成され得る。
【0039】
脂肪族ポリエステルポリオールを調製するために使用されるポリオールは、ジオール、トリオール、テトラオール、またはこれらの組み合わせから選択されるが、これらに限定されない。好適なジオールとしては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコールなど、およびまた1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、およびネオペンチルグリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
脂肪族ポリエステルポリオールを調製するために使用されるジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。好適な脂肪族ジカルボン酸の非限定的な例としては、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2-メチルコハク酸、3,3-ジエチルグルタル酸、2,2-ジメチルコハク酸、およびトリメリット酸が挙げられる。一実施形態では、ジカルボン酸は、アジピン酸またはイソフタル酸などの飽和脂肪酸である。一実施形態では、本明細書に開示される任意の酸の無水物を使用して、脂肪族ポリエステルポリオールを調製し得る。
【0041】
成分Aにおけるモノカルボン酸の使用は、最小限に抑えられるか、または場合によっては、完全に回避される。モノカルボン酸の非限定的な例としては、ヘキサンカルボン酸および安息香酸が挙げられる。
【0042】
一実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、1.8、または2.0~2.2、または3のヒドロキシル基の官能価を有する。さらなる実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、1.8~3、または2.0~2.2のヒドロキシル基の官能価を有する。2を超えるヒドロキシル基の官能価を有する脂肪族ポリエステルポリオールは、3のヒドロキシル基の官能価を有するポリオールから調製される。3のヒドロキシル基の官能価を有するポリオールの非限定的な例としては、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールベンゼン、およびトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートが挙げられる。
【0043】
一実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、500g/モル、または700g/モル、または800g/モル~2,000g/モル、または3,000g/モル、または4,000g/モルの分子量を有する。さらなる実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、500~4,000g/モル、または700~3,000g/モル、または800~2,000g/モルの分子量を有する。
【0044】
一実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、30、または40、または60~150、または200、または300のヒドロキシル価を有する。さらなる実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、30~300、または40~200、または60~150のヒドロキシル価を有する。
【0045】
一実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、800、または1500、または2000~6,000、または10,000、または15,000mPa・sの25℃での粘度を有する。さらなる実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、800~15,000mPa・s、または1500~10,000mPa・s、または2000~6000mPa・sの25℃での粘度を有する。
【0046】
一実施形態では、成分Aは、成分Aの総重量に基づいて、10重量%、または15重量%、または20重量%~25重量%、または35重量%、または45重量%の脂肪族ポリエステルポリオールを有する。さらなる実施形態では、成分Aは、成分Aの総重量に基づいて、10~45重量%、または15~35重量%、または20~25重量%の脂肪族ポリエステルポリオールを有する。
【0047】
一実施形態では、成分Aの脂肪族ポリエステルポリオールは、本明細書でさらに記載されるような成分Bの脂肪族ポリエステルポリオールと同じである。言い換えれば、成分Aの脂肪族ポリエステルポリオールは、成分Bの脂肪族ポリエステルポリオールと同じ構造、組成、および特性を有する。
【0048】
イソシアネート成分Aのポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、またはブチレンオキシドの重付加生成物、ならびにこれらの共付加および/またはグラフト生成物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、ポリエーテルポリオールは、多価アルコールの縮合によって得られるポリエーテルポリオールを含む。好適なポリエーテルポリオールの非限定的な例としては、ポリプロピレングリコール(「PPG」)、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリブチレングリコール、およびポリテトラメチレンエーテルグリコール(「PTMEG」)が挙げられる。
【0049】
一実施形態では、ポリエーテルポリオールは、1.8、または1.9~2.1、または3のヒドロキシ基の官能価を有する。さらなる実施形態では、ポリエーテルポリオールは、1.8~3、または1.9~2.1のヒドロキシル基の官能価を有する。
【0050】
一実施形態では、ポリエーテルポリオールは、200g/モル、または300g/モル、または400g/モル~1,500g/モル、または2,000g/モル、または3,000g/モルの分子量を有する。さらなる実施形態では、ポリエーテルポリオールは、200~3,000g/モル、または300~2,000g/モル、または400~1,500g/モルの分子量を有する。
【0051】
一実施形態では、成分Aは、成分Aの総重量に基づいて、5重量%、または10重量%、または15重量%~30重量%、または35重量%、または40重量%のポリエーテルポリオールを有する。さらなる実施形態では、成分Aは、成分Aの総重量に基づいて、5~40重量%、または10~35重量%、または15~30重量%のポリエーテルポリオールを有する。
【0052】
イソシアネート成分Aのポリオールは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0053】
一実施形態では、成分Aは、バイオ系ポリオールを含み、その非限定的な例は、ヒマシ油である。バイオ系ポリオールは、1.8、または2、または2.2~3、または3.5、または4のヒドロキシル基の官能価を有する。一実施形態では、バイオ系ポリオールは、1.8~4のヒドロキシル基の官能価を有する。バイオ系ポリオールが存在する場合、成分Aは、成分Aの総重量に基づいて、0.01重量%、または0.1重量%、または3重量%~5重量%、または10重量%、または15重量%のバイオ系ポリオールを有する。さらなる実施形態では、成分Aは、成分Aの総重量に基づいて、0.01~15重量%、または0.1~10重量%、または3~5重量%のバイオ系ポリオールを有する。
【0054】
一実施形態では、成分Aは、成分Aの総重量に基づいて、5%NCO、または8%NCO、または10%NCO~19%NCO、または22%NCO、または25%NCOを有する。さらなる実施形態では、成分Aは、成分Aの総重量に基づいて、5~25%NCO、または8~22%NCO、または10~19%NCOを有する。
【0055】
一実施形態では、成分Aは、3,000、または4,000、または5,000~15,000、または18,000、または20,000mPa・sの25℃での粘度を有する。さらなる実施形態では、成分Aは、3,000~20,000mPa・s、または4,000~18,000mPa・s、または5,000~15,000mPa・sの25℃での粘度を有する。
【0056】
イソシアネート成分Aは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0057】
B.ポリオール成分B
本プロセスは、少なくとも1つのポリエステルポリオールおよび少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含むポリオール成分B(または互換的に成分Bと称される)を用意することを含む。
【0058】
成分Bのポリエステルポリオールは、脂肪族ポリエステルポリオールである。脂肪族ポリエステルポリオールは、ポリオールとジカルボン酸との重縮合物であり得る。一実施形態では、ジカルボン酸は、部分的または完全に、ポリカルボン酸(例えば、トリカルボン酸、テトラカルボン酸)、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、またはこれらの組み合わせで置換され得る。ポリエステルポリオールはまた、C~Cアルコールのポリカルボン酸無水物またはポリカルボン酸エステルから形成され得る。
【0059】
脂肪族ポリエステルポリオールを調製するために使用されるポリオールは、ジオール、トリオール、テトラオール、またはこれらの組み合わせから選択されるが、これらに限定されない。好適なジオールとしては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコールなど、およびまた1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、およびネオペンチルグリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
脂肪族ポリエステルポリオールを調製するために使用されるジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。好適な脂肪族ジカルボン酸の非限定的な例としては、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2-メチルコハク酸、3,3-ジエチルグルタル酸、2,2-ジメチルコハク酸、およびトリメリット酸が挙げられる。一実施形態では、ジカルボン酸は、アジピン酸またはイソフタル酸などの飽和脂肪酸である。一実施形態では、本明細書に開示される任意の酸の無水物を使用して、脂肪族ポリエステルポリオールを調製し得る。
【0061】
成分Bにおけるモノカルボン酸の使用は、最小限に抑えられるか、または場合によっては、完全に回避される。モノカルボン酸の非限定的な例としては、ヘキサンカルボン酸および安息香酸が挙げられる。
【0062】
一実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、1.8、または2.0~2.2、または3のヒドロキシル基の官能価を有する。さらなる実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、1.8~3、または2.0~2.2のヒドロキシル基の官能価を有する。2を超えるヒドロキシル基の官能価を有する脂肪族ポリエステルポリオールは、3のヒドロキシル基の官能価を有するポリオールから調製される。3のヒドロキシル基の官能価を有するポリオールの非限定的な例としては、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールベンゼン、およびトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートが挙げられる。
【0063】
一実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、500g/モル、または700g/モル、または800g/モル~2,000g/モル、または3,000g/モル、または4,000g/モルの分子量を有する。さらなる実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、500~4,000g/モル、または700~3,000g/モル、または800~2,000g/モルの分子量を有する。
【0064】
一実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、30、または40、または60~150、または200、または300のヒドロキシル価を有する。さらなる実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、30~300、または40~200、または60~150のヒドロキシル価を有する。
【0065】
一実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、800、または1500、または2000~6,000、または10,000、または15,000mPa・sの25℃での粘度を有する。さらなる実施形態では、脂肪族ポリエステルポリオールは、800~15,000mPa・s、または1500~10,000mPa・s、または2000~6000mPa・sの25℃での粘度を有する。
【0066】
一実施形態では、成分Bは、成分Bの総重量に基づいて、20重量%、または30重量%、または40重量%~60重量%、または70重量%、または80重量%の脂肪族ポリエステルポリオールを有する。さらなる実施形態では、成分Bは、成分Bの総重量に基づいて、20~80重量%、または30~70重量%、または40~60重量%の脂肪族ポリエステルポリオールを有する。
【0067】
一実施形態では、成分Bの脂肪族ポリエステルポリオールは、成分Aの脂肪族ポリエステルポリオールと同じである。言い換えれば、成分Bの脂肪族ポリエステルポリオールは、成分Aの脂肪族ポリエステルポリオールと同じ構造、組成、および特性を有する。
【0068】
成分Bの脂肪族ポリエステルポリオールは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0069】
成分Bのポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、またはブチレンオキシドの重付加生成物、ならびにこれらの共付加および/またはグラフト生成物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、ポリエーテルポリオールは、多価アルコールの縮合によって得られるポリエーテルポリオールを含む。好適なポリエーテルポリオールの非限定的な例としては、ポリプロピレングリコール(「PPG」)、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリブチレングリコール、およびポリテトラメチレンエーテルグリコール(「PTMEG」)が挙げられる。
【0070】
一実施形態では、ポリエーテルポリオールは、1.8、または1.9~3.0、または4.0のヒドロキシ基の官能価を有する。さらなる実施形態では、ポリエーテルポリオールは、1.8~4、または1.9~3.0のヒドロキシル基の官能価を有する。
【0071】
一実施形態では、ポリエーテルポリオールは、200g/モル、または300g/モル、または400g/モル~1,500g/モル、または2,000g/モル、または3,000g/モルの分子量を有する。さらなる実施形態では、ポリエーテルポリオールは、200~3,000g/モル、または300~2,000g/モル、または400~1,500g/モルの分子量を有する。
【0072】
一実施形態では、成分Bは、成分Bの総重量に基づいて、10重量%、または15重量%、または20重量%~30重量%、または40重量%、または60重量%のポリエーテルポリオールを有する。さらなる実施形態では、成分Bは、成分Bの総重量に基づいて、10~60重量%、または15~40重量%、または20~30重量%のポリエーテルポリオールを有する。
【0073】
成分Bのポリエーテルポリオールは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0074】
一実施形態では、成分Bは、低分子量ジオールまたは低分子量トリオールを含む。一実施形態では、低分子量ジオールまたは低分子量トリオールは、48g/モル~200g/モルの分子量を有する。
【0075】
一実施形態では、成分Bは、150、または180、または200~350、または380、または400のヒドロキシル価を有する。さらなる実施形態では、成分Bは、150~400、または180~380、または200~350のヒドロキシル価を有する。
【0076】
一実施形態では、成分Bは、400、または500、または600~2000、または2500、または3000mPa・sの25℃での粘度を有する。さらなる実施形態では、成分Bは、400~3000、または500~2500、または600~2000mPa・sの25℃での粘度を有する。
【0077】
ポリオール成分Bは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0078】
C.AとBとを混合して、SLA組成物を形成
本プロセスは、イソシアネート成分Aとポリオール成分Bとを混合して、無溶媒接着剤(SLA)組成物を形成することを含む。
【0079】
SLA組成物は、溶剤を欠いているか、または実質的に欠いている接着剤組成物である。
【0080】
成分Aおよび成分Bは、別々に形成され得、必要に応じて、SLA組成物を使用することが望まれるまで保存され得ると考えられる。SLA組成物を使用することが望まれる場合、成分Aおよび成分Bを互いに接触させて、共に混合する。2つの成分を接触させる場合、イソシアネート基がヒドロキシル基と反応して、ウレタン結合を形成する硬化反応が開始すると考えられる。2つの成分を接触させることによって形成されるSLA組成物は、「硬化性混合物」と称される。
【0081】
いくつかの実施形態では、成分Aおよび成分Bの両方は、25℃で液体状態である。
【0082】
一実施形態では、成分Aと成分Bとの重量比は、3:1、または2.5:1、または2.2:1~1.6:1、または1.8:1、または1:1である。さらなる実施形態では、成分Aと成分Bとの重量比は、3:1~1:1、または2.5:1~1.8:1、または2.2:1~1.6:1である。
【0083】
D.粘度
SLA組成は、初期粘度を有する。初期粘度は、成分Aと成分Bとが混合された直後に発生する。一実施形態では、40℃での初期粘度は、500、または600、または1,200~1,500、または1,800、または2,000mPa・sである。さらなる実施形態では、40℃での初期粘度は、500~2,000mPa・s、または600~1800mPa・s、または1,200~1,500mPa・sである。
【0084】
SLA組成物は、形成された後、増加する粘度比(IVR)を有する。本明細書で使用される場合、「増加する粘度比」または「IVR」は、初期粘度のパーセントとして表されるSLA組成物の粘度の増加である。IVRは、SLA構成が、指定された温度で指定された時間維持された後に測定される。さらなる実施形態では、IVRは、SLA組成物が40℃で10分間維持された後に測定される。一実施形態では、IVRは、初期粘度の100~115パーセントである。
【0085】
SLA組成は、最終粘度を有する。本明細書で使用される場合、「最終粘度」は、初期粘度のパーセントとして表される。最終粘度は、SLA組成物が、指定された温度で指定された時間維持された後に測定される。一実施形態では、最終粘度は、SLA組成物が、35℃、または40℃~45℃、または50℃、または55℃、または60℃で、10、または20、または30、または35~40、または45、または50、または60、または70分間維持された後に測定される。さらなる実施形態では、最終粘度は、SLA組成物を形成後、SLA組成物が、40℃で40分間維持された後に測定される。一実施形態では、最終粘度は、初期粘度の140、または160、または180、または190~200、または210、または240、または300パーセントである。さらなる実施形態では、最終粘度は、初期粘度の140~300、または160~240、または190~210パーセントである。
【0086】
E.SLA構組成物の塗布
本プロセスは、SLA組成物を、積層速度で第1のフィルムに塗布して、接着剤塗布フィルムを形成する工程を含む。接着剤塗布フィルムは、第1のフィルムおよび硬化性混合物を含む。
【0087】
SLA組成物は、液体状態で第1のフィルムに塗布される。いくつかの実施形態では、SLA組成物は、25℃で液体状態である。SLA組成物が25℃で固体状態である場合、組成物を加熱して、液体状態に変換させ得る。一実施形態では、組成物は、35℃、または40℃、または45℃、または50℃~55℃、または65℃、または70℃、または80℃の温度に加熱される。さらなる実施形態では、組成物は、35℃~80℃、または40℃~70℃、または45℃~60℃の温度に加熱される。
【0088】
一実施形態では、積層速度は、50メートル/分(m/分)、または70m/分、または80m/分、または100m/分~400m/分、または600m/分、または800m/分、または900m/分、または1,100m/分である。さらなる実施形態では、積層速度は、50~1,100m/分、または80~600m/分、または100~400m/分である。いかなる特定の理論に拘束されることを望むものではないが、SLA組成物は、(この段落における上記のように)400m/分~1,100m/分の積層速度で積層体製品を形成することを可能にすると考えられる、なぜなら、製造の速度は、溶媒を乾燥させるのに必要な時間によって妨げられることはないためである。
【0089】
一実施形態では、SLA組成物は、1.0、または1.5、または1.8~2.3、または2.6、または3.0g/mのコーティング重量で塗布される。さらなる実施形態では、SLA組成物は、1.0~3.0g/m、または1.5~2.6g/m、または1.8~2.3g/mのコーティング重量で塗布される。いかなる特定の理論に拘束されることを望むものではないが、SLA組成物中に溶剤が存在しないことによって、溶剤系接着剤で用いられるコーティング重量よりも低いコーティング重量が可能になる。より低いコーティング重量は、コストを低減し、フィルム層に塗布される接着剤の重量を低減し、積層体製品の重量を低減するのに有益である。
【0090】
接着剤塗布フィルムの硬化性混合物は、1.0、または1.5、または1.8~2.3、または2.5、または3.0μmの厚さを有する。一実施形態では、接着剤塗布フィルムの硬化性混合物は、1.5~2.5μm、または1.8~2.3μmの厚さを有する。
【0091】
本プロセスは、接着剤塗布フィルムを、積層速度で第2のフィルムに接着する工程を含む。
【0092】
F.積層体製品の硬化
本プロセスは、未硬化の積層体を硬化させて、積層体製品を形成する工程を含む。
【0093】
一実施形態では、未硬化の積層体は、(例えば、硬化プロセスを加速するために)加熱される。さらなる実施形態では、未硬化の積層体は、35℃、または45℃~50℃、または55℃で、8時間(時間)、または12時間、または18時間~24時間、または36時間、または48時間、または72時間加熱される。なおさらなる実施形態では、未硬化の積層体は、35~55℃、または45~55℃で、8~72時間、または18~36時間加熱される。加熱時間は、SLA組成物がフィルムに塗布されたときから測定される。
【0094】
本プロセスは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0095】
G.積層体製品
本開示は、積層体製品を提供する。積層体製品は、多層フィルムである。
【0096】
一実施形態では、多層フィルムは、第1のフィルム層、第2のフィルム層、および第1のフィルム層と第2のフィルム層との間の無溶媒接着剤(SLA)層を含む。SLA層は、本明細書に記載されるように、イソシアネート成分Aおよびポリオール成分Bから調製されるSLA組成物を含む。
【0097】
一実施形態では、第1のフィルム層および第2のフィルム層は、独立して、金属箔、金属化フィルム、金属コーティングポリマーフィルム、ポリマーフィルム、インク印刷フィルム、コーティングフィルム、共押出フィルム、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリアミドフィルム、コポリマーフィルム、紙、織布、および不織布から選択される。
【0098】
インク印刷フィルムは、画像を有する表面を有するフィルムを含み、画像は、インクから形成される。一実施形態では、インクは、SLA層のSLA組成物と接触する。
【0099】
一実施形態では、第1のフィルム層の組成は、第2のフィルム層の組成と同じである。別の実施形態では、第1のフィルム層の組成は、第2のフィルム層の組成とは異なる。
【0100】
フィルム層(例えば、第1のフィルム層)は、厚さを有する。一実施形態では、第1のフィルム層の厚さは、第2のフィルム層の厚さと同じである。あるいは、第1のフィルム層の厚さは、第2のフィルム層の厚さとは異なる。
【0101】
一実施形態では、各フィルム層の厚さは、40μm、または50μm~70μm、または80μmである。さらなる実施形態では、フィルム層の厚さは、40~80μm、または50μm~70μmである。
【0102】
フィルム層(例えば、第1のフィルム層)は、幅を有する。一実施形態では、各フィルム層は、1000mm、または1200mm、または1400mm、または1500mm、または1600mm、または1700mm~1800mm、または1900mm、または2000mm、または2100mm、または2200mm、または2500mm、または3000mmの幅を有する。さらなる実施形態では、各フィルム層は、1000~3000mm、または1500~1800mmの幅を有する。
【0103】
一実施形態では、SLA層は、第1のフィルム層および第2のフィルム層の両方に直接接触する。「直接接触する」とは、SLA層が、第1の層に直接隣接して位置し、SLA層と第1の層との間に介在層も介在構造も存在しない層構成を指す。加えて、SLA層は、第2の層に直接隣接して位置し、SLA層と第2のフィルム層との間に介在層も介在構造も存在しない。
【0104】
各フィルム層は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0105】
ここで、限定ではなく例には、本開示のいくつかの実施形態を、次の実施例で詳細に説明する。
【実施例
【0106】
発明例(「IE」)および比較例(「CS」)で使用する原材料は、以下の表1に詳述される。
【表1】
【0107】
発明例IE1、IE2、IE3、IE4、IE5、IE6、および比較例CS1、CS2、CS3、CS4、CS5の無溶媒接着剤(SLA)組成物は、表1に記載される原材料を使用して、表2に記載される配合に従って調製される。表2では、成分Aの材料は、成分Aについて100重量%になり、成分Bの材料は、成分Bについて100重量%になる。
【0108】
SLA組成物は、フィルム基材から積層体を調製するために使用される。SLA組成物は、第2のフィルムと積層される第1のフィルム上に塗布されて、積層体製品を形成する。第1のフィルムは、インク印刷ポリエチレンテレフタレート(PETインク)、およびアルミニウム箔から選択される。第2のフィルムは、アルミニウム箔、およびと60ゲージのポリエチレン(PE60)から選択される。
【0109】
フィルムは、100メートル/分で、2.0g/mのコーティング重量で積層される。
【0110】
積層体は、NordmeccanicaのLABO-COMBI 400マシンを使用して、0.4psigのニップ圧、60℃のニップ温度で実施され、得られた積層体製品を40℃で24時間硬化させる。
【表2】
【0111】
接着強度は、本明細書に記載されるような接着強度試験に従って測定される。
【0112】
PETインク/Alの白色インク印刷積層体の光学的外観は、積層工程直後に目視検査によって評価される。次いで、積層体を、40℃で2日間エージング工程に供する。エージングが完了した後、30メートルの積層体が巻き戻され、巻き戻された領域の外観が観察される。外観は、以下の基準に基づいて評価される。なお、「積層直後時点での外観」とは、積層工程完了後5分以内に観察された外観を意味する。
【0113】
積層直後の外観
I:濡れていないように見える小さなドットが存在していた。
【0114】
II:濡れていないように見える大きなドットが存在していた。
【0115】
エージング工程後の外観
I:外観は、均一に濡れて良好であった。
【0116】
II:均一に濡れており、濡れていないように見えるドットはほとんど存在していなかった。
【0117】
III:濡れていないように見える多くのドットが存在していた。
【0118】
スポットまたは白色ドットを有さない積層体の光学的外観は、「良好」と表される。スポットまたは白色ドットを示す積層体の光学的外観は、「不良」と表される。
【0119】
IE1~IE6は、成分A中に、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、および脂肪族ポリエステルポリオール、ならびに成分B中に、脂肪族ポリエステルポリオールを有するSLA組成物を使用して形成された積層体である。IE1~IE6は、良好な光学的外観および良好な接着強度を示す。
【0120】
CS1およびCS2は、成分A中に、芳香族ポリイソシアネートのみ、および成分B中に、脂肪族ポリエステルポリオールを有するSLA組成物を使用して形成された積層体である。CS1およびCS2は、良好な接着強度を示すが、光学的外観は不良である。
【0121】
CS3およびCS4は、成分A中に、脂肪族ポリイソシアネートおよび芳香族ポリイソシアネート、ならびに成分B中に、脂肪族ポリエステルポリオールの代わりに芳香族ポリエステルポリオールを有するSLA組成物を使用して形成された積層体である。CS3およびCS4は、良好な接着強度を示すが、光学的外観は不良である。
【0122】
CS5は、成分A中に、脂肪族ポリイソシアネートおよび芳香族ポリイソシアネート、ならびに成分B中に、脂肪族ポリエステルポリオールの代わりにヒマシ油を有するSLA組成物を使用して形成された積層体である。CS5は、強度不良および光学的外観不良を示した。
【0123】
出願人は、2成分SLA組成物であって、その2成分の各々が、25℃で800~6000mPa・sの粘度、60~180mg KOH/gのヒドロキシル価を有する脂肪族ポリエステルポリオールを含有する、2成分SLA組成物を使用して、金属化フィルムとポリマーフィルムとの間に形成された積層体が、2.0~2.4N/15mmの接着強度を示し、光学的欠陥を示さない(すなわち、スポットまたは白色ドットがない)ことを、予期せぬことに見出した。本実施例は、(i)25℃で800~6000mPa・sの粘度および60~180mg KOH/gのヒドロキシル価を有する脂肪族ポリエステルポリオール、および(ii)脂肪族ポリイソシアネートおよび芳香族ポリイソシアネートを含むイソシアネート成分、を含有するSLA組成物が、積層体製品における従来の溶剤系接着剤の好適な代替品であることを実証する。
【0124】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および図に限定されず、実施形態の部分、および以下の特許請求の範囲の範囲に含まれる異なる実施形態の要素の組み合わせを含む、これらの実施形態の改変形態を含むことが特に意図される。