(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】揮発性組成物カートリッジの交換の検出
(51)【国際特許分類】
B05D 3/00 20060101AFI20230510BHJP
B05B 17/04 20060101ALI20230510BHJP
B05B 12/02 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
B05D3/00 B
B05B17/04
B05B12/02
(21)【出願番号】P 2021571651
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 US2020070138
(87)【国際公開番号】W WO2020252505
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-12-02
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー、バスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ターナー、デイヴィッド
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-285142(JP,A)
【文献】特開平07-155368(JP,A)
【文献】国際公開第2017/115277(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101869717(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L9/00-9/22
B05B1/00-17/08
B05D1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性組成物を分配する方法であって、
第1のカートリッジを有する揮発性組成物ディスペンサを提供する工程であって、前記第1のカートリッジが、前記揮発性組成物を含む第1のリザーバと、前記第1のリザーバと流体連通している送出エンジンと、前記送出エンジンと流体連通している蒸発面と、を備え、前記揮発性組成物ディスペンサが、制御ユニットと、カートリッジ存在検出回路と、前記蒸発面の少なくとも一部位に隣接する蒸発支援要素と、を備え、前記揮発性組成物ディスペンサが、外部電源に選択的に接続可能である、工程と、
前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源に接続されているときに、時間の経過とともに変化するエネルギーレベルのシーケンスで前記蒸発支援要素を動作させる総放出プログラムを実行する工程と、
前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源から切り離されているときに、前記カートリッジ存在検出回路によって、前記第1のカートリッジの、第2のカートリッジへの交換を監視する工程と、
前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源から切り離されているときに、前記第1のカートリッジの、前記第2のカートリッジへの交換に応答して、前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源に再接続された後に、前記総放出プログラムを前記シーケンスの冒頭で再度開始させる工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記総放出プログラムが、前記シーケンスの冒頭で初期エネルギーレベルにて前記蒸発支援要素を動作させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記揮発性組成物ディスペンサの前記外部電源への再接続時に前記総放出プログラムを再度開始させる工程が、前記蒸発支援要素を前記初期エネルギーレベルで動作させることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記カートリッジ存在検出回路が、コンデンサ及びスイッチを備え、カートリッジが前記揮発性組成物ディスペンサに連結されているときに前記スイッチは第1の状態にあり、カートリッジが前記揮発性組成物ディスペンサに連結されていないときに第2の状態にある、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記スイッチが前記第1の状態にあり、前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源に接続されているときに、前記コンデンサが供給電圧と電気的に連通している、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記スイッチが前記第1の状態にあり、前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源から切り離されているときに、前記コンデンサが、一定期間にわたって、前記制御ユニットによって使用可能な出力電圧を供給する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源から切り離され、前記スイッチが前記第2の状態に移動するときに、前記コンデンサが接地に強制放電される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源に再接続された後、前記制御ユニットは、前記コンデンサの前記強制放電に基づいて、前記第1のカートリッジの、前記第2のカートリッジへの交換を検出する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源に接続されるときに、前記総放出プログラムの実行中に、メモリ内に前記総放出プログラムの進行状況の示度を記憶する工程を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記メモリ内に前記総放出プログラムの前記進行状況の前記示度を記憶する工程が、前記総放出プログラムの最後に実行された前記放出シーケンスの示度を記憶する工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源から切り離されているときに、前記メモリ内に、前記総放出プログラムの前記進捗状況の前記示度を保持する工程を更に含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記揮発性組成物ディスペンサの前記外部電源への前記再接続に応答して、前記第1のカートリッジが交換されたかどうかを判定する工程と、
前記第1のカートリッジが交換されていないと判定されるときに、前記メモリに記憶されている前記総放出プログラムの前記進行状況の前記示度に基づいて、前記シーケンス内のあるポイントで前記総放出プログラムを再開する工程と、
前記第1のカートリッジが交換されたと判定されると、前記メモリから、前記総放出プログラムの前記進捗状況の前記示度の、前記インジケーションをクリアする工程と、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源に接続されているときに、前記カートリッジ存在検出回路によって、前記第1のカートリッジの、前記第2のカートリッジへの前記交換を監視する工程と、
前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源に接続されているときに、前記第1のカートリッジの、前記第2のカートリッジへの前記交換に応答して、前記シーケンスの冒頭で前記総放出プログラムを再度開始する工程と、
を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記カートリッジ存在検出回路がスイッチを備え、前記スイッチは、前記第1のカートリッジが前記揮発性組成物ディスペンサから連結解除されるときに、第1の状態から第2の状態に移行し、前記第2のカートリッジが揮発性組成物ディスペンサに連結されるときに、前記第2の状態から前記第1の状態に移行する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源に接続されると、前記総放出プログラムの実行中に、メモリ内に前記総放出プログラムの進行状況の示度を記憶する工程と、
前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源に接続され、前記スイッチが前記第1の状態から前記第2の状態に移行すると、前記メモリから、前記総放出プログラムの前記進行状況の前記示度の、前記示度をクリアする工程と、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
外部電源に選択的に接続可能な揮発性組成物ディスペンサであって、
第1のカートリッジであって、
揮発性組成物の
第1のリザーバと、
前記第1のリザーバと流体連通している送出エンジンと、
前記送出エンジンと流体連通している蒸発面と、
前記蒸発面の少なくとも一部位に隣接する蒸発支援要素と、
を備える、第1のカートリッジと、
カートリッジの存在に応答して信号を生成する、カートリッジ存在検出回路、及び
前記カートリッジ存在検出回路と電気的に連通している制御ユニットであって、
前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源に接続されているときに、時間の経過とともに変化するエネルギーのレベルのシーケンスで前記蒸発支援要素を動作させる、総放出プログラムを実行し、
前記総放出プログラムの前記実行の進行状況の示度をメモリ内に記録し、
前記カートリッジ存在検出回路によって生成された前記信号に基づいて、前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源から切り離されているときに、前記第1のカートリッジの、第2のカートリッジへの交換を監視し、
前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源から切り離されているときに、前記第1のカートリッジの、前記第2のカートリッジへの交換に応答して、前記揮発性組成物ディスペンサが前記外部電源に再接続された後、前記シーケンスの冒頭で前記総放出プログラムを再度開始する、
ように構成されている制御ユニットと、
を備える、揮発性組成物ディスペンサ。
【請求項17】
前記カートリッジ存在検出回路が、
コンデンサと、
カートリッジが前記揮発性組成物ディスペンサに連結されているときに第1の状態にあり、カートリッジが前記揮発性組成物ディスペンサに連結されていないときに第2の状態にあるスイッチと、
を備える、請求項16に記載の揮発性組成物ディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、揮発性組成物ディスペンサと、揮発性組成物のカートリッジの交換を検出するための方法とに関し、より具体的には、揮発性組成物ディスペンサと、揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離されたときにカートリッジの交換を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性組成物ディスペンサは、清涼化組成物などの様々な揮発性組成物を空気中に送出するために存在する。このような揮発性組成物ディスペンサは、例えば、揮発性組成物を空気中に揮発させるのを支援する1つ以上のヒータを有する芯ベースの電気ディスペンサの形態をとり得る。消費者は、揮発性組成物ディスペンサが、数週間又は数ヶ月にわたって認知可能な強度の揮発性組成物を提供することを望む。しかしながら、認知可能性は、慣れによって、かつ/又は揮発性組成物ディスペンサからの揮発性組成物の蒸発速度の低下によって影響され得る。慣れの度合いを低下させるために、揮発性組成物ディスペンサは、カートリッジの寿命にわたり、エネルギー印加サイクルにおいて、揮発性組成物に印加される熱、又は他のエネルギーの印加を変化させ得る。しかしながら、消費者は、カートリッジを交換する際に揮発性組成物ディスペンサを電源から切り離す場合があり得るため、エネルギー印加サイクルに影響を与えることがある。したがって、外部電源から切り離されたときであってもカートリッジの交換を検出することができる揮発性組成物ディスペンサが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の態様は、以下の組み合わせを含む。
A.揮発性組成物を分配する方法であって、その方法は、
第1のカートリッジを有する揮発性組成物ディスペンサを提供する工程であって、第1のカートリッジは、揮発性組成物を含む第1のリザーバと、第1のリザーバと流体連通している送出エンジンと、送出エンジンと流体連通している蒸発面とを備え、揮発性組成物ディスペンサが、制御ユニットと、カートリッジ存在検出回路と、蒸発面の少なくとも一部位に隣接する蒸発支援要素と、を備え、揮発性組成物ディスペンサが、外部電源に選択的に接続可能である、工程と、
揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続されているときに、時間の経過とともに変化するエネルギーレベルのシーケンスで蒸発支援要素を動作させる総放出プログラムを実行する工程と、
揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離されているときに、カートリッジ存在検出回路によって、第1のカートリッジの、第2のカートリッジへの交換を監視する工程と、
揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離されているときに、第1のカートリッジの、第2のカートリッジへの交換に応答して、揮発性組成物ディスペンサが外部電源に再接続された後に、総放出プログラムをシーケンスの冒頭で再度開始させる工程と、
を含む方法。
B.総放出プログラムが、シーケンスの冒頭で、初期エネルギーレベルにて蒸発支援要素を動作させる、パラグラフAに記載の方法。
C.揮発性組成物ディスペンサの外部電源への再接続時に総放出プログラムを再度開始させる工程は、蒸発支援要素を初期エネルギーレベルで動作させることを含む、パラグラフBに記載の方法。
D.カートリッジ存在検出回路が、コンデンサ及びスイッチを備え、カートリッジが揮発性組成物ディスペンサに連結されているときにスイッチは第1の状態にあり、カートリッジが揮発性組成物ディスペンサに連結されていないときに第2の状態にある、パラグラフA~Cのいずれか一つに記載の方法。
E.スイッチが第1の状態にあり、揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続されているときに、コンデンサが供給電圧と電気的に連通している、パラグラフDに記載の方法。
【0004】
F.スイッチが第1の状態にあり、揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離されているときに、コンデンサが、一定期間にわたって、制御ユニットによって使用可能な出力電圧を供給する、パラグラフEに記載の方法。
G.揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離され、スイッチが第2の状態に移動するときに、コンデンサが接地に強制放電される、パラグラフE又はFに記載の方法。
H.揮発性組成物ディスペンサが外部電源に再接続された後、制御ユニットは、コンデンサの強制放電に基づいて、第1のカートリッジの、第2のカートリッジへの交換を検出する、パラグラフGに記載の方法。
I.
揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続されるときに、総放出プログラムの実行中に、メモリ内に総放出プログラムの進行状況の示度を記憶する工程を更に含む、パラグラフA~Hのいずれか一つに記載の方法。
J.メモリ内に総放出プログラムの進行状況の示度を記憶する工程が、総放出プログラムの最後に実行された放出シーケンスの示度を記憶する工程を含む、パラグラフIに記載の方法。
K.
揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離されているときに、メモリ内に、総放出プログラムの進行状況の示度を保持する工程を更に含む、パラグラフI又はJに記載の方法。
L.
揮発性組成物ディスペンサの外部電源への再接続に応答して、第1のカートリッジが交換されたかどうかを判定する工程と、
第1のカートリッジが交換されていないと判定されるときに、メモリに記憶されている総放出プログラムの進行状況の示度に基づいて、シーケンス内のあるポイントで総放出プログラムを再開する工程と、
第1のカートリッジが交換されたと判定されるときに、メモリから、総放出プログラムの進行状況の示度の示度をクリアする工程と、
を更に含む、パラグラフKに記載の方法。
M.
揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続されているときに、カートリッジ存在検出回路によって、第1のカートリッジの、第2のカートリッジへの交換を監視する工程と、
揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続されているときに、第1のカートリッジの、第2のカートリッジへの交換に応答して、シーケンスの冒頭で総放出プログラムを再度開始する工程と、
を更に含む、パラグラフA~Lのいずれか一つに記載の方法。
N.カートリッジ存在検出回路がスイッチを備え、スイッチは、第1のカートリッジが揮発性組成物ディスペンサから連結解除されるときに、第1の状態から第2の状態に移行し、第2のカートリッジが揮発性組成物ディスペンサに連結されるときに、第2の状態から第1の状態に移行する、パラグラフMに記載の方法。
O.
揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続されると、総放出プログラムの実行中に、メモリ内に総放出プログラムの進行状況の示度を記憶する工程と、
揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続され、スイッチが第1の状態から第2の状態に移行するときに、メモリから、総放出プログラムの進行状況の示度の、インジケーションをクリアする工程と、
を更に含む、パラグラフNに記載の方法。
P.外部電源に選択的に接続可能な揮発性組成物ディスペンサであって、
第1のカートリッジであって、
揮発性組成物のリザーバと、
第1のリザーバと流体連通している送出エンジンと、
送出エンジンと流体連通している蒸発面と、
蒸発面の少なくとも一部位に隣接する蒸発支援要素と、
を備える第1のカートリッジ、
カートリッジの存在に応答して信号を生成する、カートリッジ存在検出回路、及び
カートリッジ存在検出回路と電気的に連通している制御ユニットであって、
揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続されているときに、時間の経過とともに変化するエネルギーのレベルのシーケンスで蒸発支援要素を動作させる総放出プログラムを実行し、
総放出プログラムの実行の進行状況の示度をメモリ内に記録し、
カートリッジ存在検出回路によって生成された信号に基づいて、揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離されているときに、第1のカートリッジの、第2のカートリッジへの交換を監視し、
揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続されているときに、第1のカートリッジの、第2のカートリッジへの交換に応答して、揮発性組成物ディスペンサが外部電源に再接続された後、シーケンスの冒頭で総放出プログラムを再度開始する、
ように構成されている制御ユニット、
を備える、揮発性組成物ディスペンサ。
Q.カートリッジ存在検出回路が、
コンデンサと、
カートリッジが揮発性組成物ディスペンサに連結されているときに第1の状態にあり、カートリッジが揮発性組成物ディスペンサに連結されていないときに第2の状態にあるスイッチと、
を備える、パラグラフPに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
R.スイッチが第1の状態にあり、揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続されているときに、コンデンサが供給電圧と電気的に連通している、パラグラフQに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
S.スイッチが第1の状態にあり、揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離されているときに、コンデンサが、一定期間にわたって、制御ユニットによって使用可能な出力電圧を供給する、パラグラフRに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
T.スイッチング素子が第2の状態にあり、かつ揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離されるときに、コンデンサが接地に強制放電される、パラグラフR又はSに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
U.揮発性組成物ディスペンサが外部電源に再接続された後、制御ユニットは、コンデンサの強制放電に基づいて、第1のカートリッジの、第2のカートリッジへの交換を検出するように構成されている、パラグラフTに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
V.制御ユニットが、
カートリッジ存在検出回路によって生成された信号に基づいて、揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続されているときに、第1のカートリッジの、第2のカートリッジへの交換を監視し、
揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続されているときに、第1のカートリッジの、第2のカートリッジへの交換に応答して、シーケンスの冒頭で総放出プログラムを再度開始する
ように更に構成されている、パラグラフP~Uのいずれか一つに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
W.カートリッジ存在検出回路がスイッチを備え、スイッチは、第1のカートリッジが揮発性組成物ディスペンサから連結解除されるときに、第1の状態から第2の状態に状態を移行させ、第2のカートリッジが揮発性組成物ディスペンサに連結されるときに、第2の状態から第1の状態に状態を移行させる、パラグラフVに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
X.制御ユニットが、
揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続され、スイッチが第1の状態から第2の状態に移行するときに、メモリから、総放出プログラムの進行状況の示度の、インジケーションをクリアするように更に構成されている、パラグラフWに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
Y.揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離されているときに、総放出プログラムの進行状況の示度がメモリ内に保持される、パラグラフP~Xのいずれか一つに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
Z.制御ユニットが、
揮発性組成物ディスペンサの外部電源への再接続に応答して、第1のカートリッジが交換されたかどうかを判定し、
第1のカートリッジが交換されていないと判定されるときに、メモリに記憶されている総放出プログラムの進行状況の示度に基づいて、シーケンス内のあるポイントで総放出プログラムを再開し、
第1のカートリッジが交換されたと判定されるときに、メモリから、総放出プログラムの進行状況の示度の示度をクリアする、
ように更に構成されている、パラグラフYに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
AA.外部電源に選択的に接続可能な揮発性組成物ディスペンサであって、その揮発性組成物ディスペンサが
揮発性組成物を含む交換可能なカートリッジ、
交換可能なカートリッジを受容するためのハウジング、
交換可能なカートリッジと流体連通している送出エンジン、
送出エンジンと流体連通している蒸発面、
蒸発面の少なくとも一部位に隣接する蒸発支援要素、
コンデンサと、交換可能なカートリッジが受容部に存在しているときに第1の状態であり、交換可能なカートリッジが受容部に存在していないときに第2の状態である機械的スイッチと、を備える、カートリッジ存在検出回路、及び
カートリッジ存在検出回路と電気的に連通している制御ユニット、
を備え、
制御ユニットは、揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続されているときに、総放出プログラムを実行するように構成され、
総放出プログラムが、時間の経過とともに変化するエネルギーレベルのシーケンスで蒸発支援要素を動作させ、
揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離され、交換可能なカートリッジが受容部から取り外されるときに、コンデンサが、スイッチを介して接地に強制放電され、
交換可能なカートリッジが新しい交換可能なカートリッジと交換され、揮発性組成物ディスペンサが外部電源に再接続された後で、制御ユニットが、シーケンスの冒頭で総放出プログラムを再度開始する、
揮発性組成物ディスペンサ。
BB.制御ユニットが、制御ユニットの入力ポートを通じてカートリッジ存在検出回路と電気的に連通している、パラグラフAAに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
CC.カートリッジ存在検出回路は、機械的スイッチが第1の状態にあるときに第1の信号を入力ポートに提供し、機械スイッチが第2の状態にあるときに第2の信号を入力ポートに提供する、パラグラフBBに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
DD.カートリッジ存在検出回路がスイッチング素子を備え、スイッチング素子が、コンデンサを充電電圧から選択的に分離させ、制御ユニットが、スイッチング素子と電気的に連通している出力ポートを備える、パラグラフAA~CCのいずれか一つに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
EE.揮発性組成物ディスペンサを外部電源に接続するときに、スイッチング素子が、コンデンサを充電源から最初に分離させる、パラグラフDDに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
FF.揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続され、交換可能なカートリッジが受容部から取り外されると、スイッチング素子が、コンデンサを充電源から最初に分離させる、パラグラフDD~EEのいずれか一つに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
GG.揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離され、交換可能なカートリッジが受容部から取り外されていないとき、揮発性組成物ディスペンサを外部電源に再接続した後に、制御ユニットが総放出プログラムを再開する、パラグラフAA~FFのいずれか一つに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
HH.揮発性組成物ディスペンサが外部電源に接続され、交換可能なカートリッジが受容部から取り外され、新しい交換可能なカートリッジと交換されるとき、制御ユニットが、シーケンスの冒頭で総放出プログラムを再度開始する、パラグラフAA~GGのいずれか一つに記載の揮発性組成物ディスペンサ。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】芯の形態の2つの送出エンジンを備える揮発性組成物ディスペンサを示す部分的に分解された概略正面図である。
【
図2A】
図1に示す装置の部分的に分解された概略側面図であり、
図2Bは、その装置をリザーバが取り外された状態で示している。
【
図2B】
図1に示す装置の部分的に分解された概略側面図であり、
図2Bは、その装置をリザーバが取り外された状態で示している。
【
図3】
図1に示される装置を示す概略上面図である。
【
図4】送出エンジンとして膜を備えるカートリッジを有する揮発性組成物ディスペンサを示す概略分解図である。
【
図5】
図4のカートリッジを示す概略分解図である。
【
図6A】例示目的のために様々な構成要素が取り外された、別の例示的な揮発性組成物ディスペンサの等角図である。
【
図6B】例示目的のために様々な構成要素が取り外された、別の例示的な揮発性組成物ディスペンサの等角図である。
【
図7】揮発性組成物ディスペンサの例示的な制御ユニットを概略的に示す図である。
【
図8】揮発性組成物ディスペンサの制御ユニット及び例示的なカートリッジ存在検出回路の諸要素を概略的に示す。
【
図9A】様々な構成による、例示的な揮発性組成物ディスペンサの簡略化された回路図を示す。
【
図9B】様々な構成による、例示的な揮発性組成物ディスペンサの簡略化された回路図を示す。
【
図10】例示的な揮発性組成物ディスペンサの別の簡略化された回路図を示す。
【
図11】揮発性組成物ディスペンサの例示的な動作のための例示的なフローチャートを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、揮発性組成物ディスペンサと、揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離されたときに揮発性組成物のリザーバの交換を検出する方法とを対象とする。揮発性組成物ディスペンサは、リザーバ内に収容された揮発性組成物の耐用期間にわたって高い認知可能性で揮発性組成物を空気中に送出するように構成される。放出サイクル全体にわたって揮発性組成物に印加されるエネルギーを変化させる工程は、時間の経過とともに揮発性組成物に関する消費者の認知可能性に影響を及ぼし得ることが分かっている。具体的には、時間の経過とともに変化するエネルギーレベルのシーケンスを、揮発性組成物に印加することができる。いくつかの構成においては、まず揮発性組成物により大きなエネルギーが印加される初期エネルギーブースト期間に続いて、延長放出期間中にエネルギーを低減させて、ある一定の期間にわたって連続的にエネルギーブーストとエネルギー量の変動とを実施する結果、ユーザによる揮発性組成物の認知可能性が高まる。
【0007】
揮発性組成物ディスペンサは、時間の経過とともに枯渇して行く揮発性組成物のリザーバを有することができる。リザーバは、ユーザによって、揮発性組成物の新しいリザーバに交換され得る。揮発性組成物ディスペンサは、揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離されたときに交換が生じる場合であっても、このようなリザーバ交換を検出することができるものである。ひとたびユーザが揮発性組成物ディスペンサを外部電源に再接続すると、総放出サイクルをシーケンスの開始時点までリセットすることができる。
【0008】
「揮発性組成物」という用語は、本明細書で使用するとき、蒸発可能な物質を指す。したがって、「揮発性組成物」という用語には、単一の揮発性物質のみから成る組成物が包含されるが、これに限定されない。「揮発性物質」、「アロマ」、「芳香」、「香り」という用語は、本明細書で使用するとき、心地良い香り又は快い香りを含むが、これには限定されず、殺虫剤、エアフレッシュナー、脱臭剤、アロマコロジー用物質、アロマセラピー用物質として機能する物質、あるいは雰囲気を調整、緩和、若しくは他の方法で変える、又は周囲環境を変える働きをする任意のその他の物質も含む。ただし、香水、アロマ物質、及び香り付き物質を含むがこれらに限定されない特定の揮発性組成物は、(揮発性物質の集合体で構成された特有の及び/又は別個の単位を形成し得る)1つ以上の揮発性物質を含む場合が多いと理解すべきである。「揮発性組成物」という用語は、少なくとも1つの揮発性成分を有する組成物を指し、揮発性組成物の全ての成分材料が揮発性である必要はないことを理解されたい。よって、本明細書に記述される揮発性組成物はまた、非揮発性構成成分を有してもよい。揮発性組成物が「放出される」と本明細書に記述されるとき、それは揮発性構成成分の揮発を指しており、該非揮発性構成成分が放出される必要はないと理解されるべきである。本明細書の所望の揮発性組成物は、固体、液体、ゲル、カプセル、及びこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の好適な形態をとり得る。
【0009】
揮発性組成物ディスペンサは、揮発性組成物を空気中及び/又は最終的に表面上に送出する様々な用途で使用されるように構成され得ることが想到される。揮発性組成物ディスペンサは様々に構成され得る。
【0010】
例えば、揮発性組成物ディスペンサは、ハウジングと、揮発性組成物を収容するリザーバと、揮発性組成物を蒸発面に移送するために使用される送出エンジンと、蒸発面からの揮発性組成物の揮発を支援する蒸発支援要素とを有する、壁の電気コンセントに差し込むタイプ又は電池式の揮発性組成物ディスペンサとして構成され得る。蒸発支援要素は、蒸発面に隣接して配置されてもよい。揮発性組成物ディスペンサは、制御ユニット及びカートリッジ存在検出回路を有することができる。
【0011】
リザーバは、いかなる好適な種類の容器も含むことができ、いかなる好適な材料で作製することもできる。リザーバに適した材料には、ガラス及びプラスチックが挙げられるが、これらに限定されない。リザーバは、揮発性組成物を保持するのに好適ないかなる種類の容器も含むことができる。リザーバはハウジングの一部であってもよく、又はハウジングなどの揮発性組成物ディスペンサの一部に脱着可能に結合された独立した構成要素であってもよい。単一のリザーバが2種類以上の揮発性組成物を保持することも可能である。そのようなリザーバは、例えば、揮発性物質用の2つ以上の区画を有することもできる。
【0012】
送出エンジンは、蒸発面を含んでもよい。かかる構成では、送出エンジンは、揮発性組成物を空気中に揮発させるために、例えばヒータ又はファンなどの1つ以上の蒸発支援要素の隣に配置され得る。蒸発支援要素は、蒸発面を取り囲んでよく、又は少なくとも部分的に取り囲んでもよい。
【0013】
揮発性組成物を送出エンジンの蒸発面から蒸発させる代わりに、送出エンジンが揮発性組成物を別の蒸発面に移送してもよい。蒸発面は、多孔質又は半多孔質の基材として、ボウル又はプレート(例えば、プラスチック、ガラス、又は金属のボウル若しくはプレートが挙げられる)として、及びこれらの組み合わせとして構成されてよい。
【0014】
送出エンジンは、様々な様式で構成されてよい。例えば、送出エンジンは、芯、膜、ゲル、ワックス、多孔質又は半多孔質の基材(例えばフェルトパッドなど)の形態であってもよい。同じ又は異なるリザーバに関連付けられた2つ以上の送出エンジンを備える揮発性組成物ディスペンサでは、送出エンジンは同じであっても異なっていてもよい。
【0015】
揮発性組成物ディスペンサが送出エンジンとして芯を利用する場合、芯は様々な異なる形状及びサイズを有するように構成され得る。例えば、芯は、円筒形状又は直方体形状を有してもよい。芯は、その形状に応じて、長さと、直径又は幅とによって規定され得る。芯は、様々な長さを有し得る。例えば、芯の長さは、約1~約100ミリメートル(「mm」)、又は約5~約75mm、又は約10~約50mmの範囲であり得る。芯は、様々な直径又は幅を有し得る。例えば、芯の直径又は幅は、少なくとも1mm、又は少なくとも2mm、又は少なくとも3mm、又は少なくとも4mmであり得る。芯は、密度を呈し得る。芯密度は、約0.100~約1.0グラム/cm3(「g/cc」)の範囲であってよい。
【0016】
芯は、多孔質又は半多孔質の基材を含み得る。芯は、様々な材料及び構築方法で構成され得るが、例としては、オーバーラップ(例えば、不織布シートオーバーラップ)を介して様々な形状に圧縮及び/若しくは形成される束ね繊維、又はPE、HDPE、若しくは他のポリオレフィンなどの焼結プラスチックで作製される束ね繊維が挙げられるがこれらに限定されない。芯は、ポリエチレン又はポリエチレン混合物などのプラスチック材料から作製され得る。
【0017】
蒸発支援要素は、蒸発面から揮発性組成物を蒸発させるために使用することができる。例えば、蒸発支援要素は、ヒータ、ファン、振動を生じさせる撹拌部材若しくは撹拌器(電動式撹拌器及び手動式撹拌器の両方)、又はこれらの組み合わせから成る群から選択され得る。蒸発支援要素はまた、液体揮発性組成物を加熱するための加熱要素、蒸発を加速化させる又は蒸発速度を上げるための化学的成分、発熱反応を介して蒸発を増加させるための化学的に加熱された膜の使用、又はそれらの相乗的な組み合わせを含み得る。蒸発支援要素はまた、蒸発支援要素に対して露出される送出エンジンの表面積の量を増加させることができ、圧力勾配、可変抵抗などを引き起こし得る。
【0018】
ヒータの形態の蒸発支援要素を有する揮発性組成物ディスペンサは、蒸発面を様々な温度に加熱するように構成され得る。例えば、揮発性組成物ディスペンサは、ヒータが蒸発面の温度を約30~約150℃の温度まで上昇させるように構成され得る。揮発性組成物ディスペンサによって使用される動作温度は、利用される蒸発面の種類に依存し得る。ヒータは、任意の好適な種類のヒータを含むことができ、揮発性組成物ディスペンサ内又は揮発性組成物ディスペンサに対する任意の好適な位置に配置することができる。蒸発支援要素は、蒸発面を取り囲んでよく、又は少なくとも部分的に取り囲んでもよい。
【0019】
以下でより詳細に説明するように、揮発性組成物ディスペンサは、カートリッジ存在検出回路と電気通信している制御ユニットを含んでもよい。制御ユニットは、カートリッジ存在検出回路によって提供される信号に応答して、蒸発支援要素を制御することができる。
【0020】
図1~
図3を参照すると、揮発性組成物ディスペンサ20は、壁の電気コンセントに差し込むタイプの揮発性組成物ディスペンサの形態をとり得る。揮発性組成物ディスペンサ20はハウジング22を含んでよく、そのハウジング22は、ハウジング22と少なくとも間接的に接合されている電源26によって電気コンセント24に支持されるものである。揮発性組成物ディスペンサ20は、それぞれ、揮発性組成物を収容するための少なくとも1つのリザーバ(例示のためにリザーバ28及び30として示されている)を更に備える。ハウジング22は、リザーバ28及び30、及び揮発性組成物ディスペンサ20の他の構成部品のいずれかのホルダとして機能することができる。揮発性組成物ディスペンサ20は、1つ以上の送出エンジン38(あくまでも例として
図1~
図3には芯として示されている)を備え、送出エンジン38の一端にて各リザーバ28、30内へと延在し、他端に蒸発面48を有する。揮発性組成物ディスペンサは、蒸発面48からの揮発性組成物の蒸発を支援するための1つ以上の蒸発支援要素40、42(あくまで例示のため、
図1~
図3に示されるようなヒータなど)を含む。リザーバ28及び30は、第1の揮発性組成物32及び第2の揮発性組成物34を含むことができる。
【0021】
揮発性組成物ディスペンサのいくつかの部分どうしが一体に接合されて、カートリッジ76を形成してもよい。例えば、リザーバ(単数又は複数)、送出エンジン(単数又は複数)、蒸発面(単数又は複数)、及び/又は蒸発支援要素は、一体に接合されて1つ以上のカートリッジ76としてもよい。
図1を参照すると、リザーバ28又は30、送出エンジン38、及び蒸発面48は共に接続されて、カートリッジ76を形成する。
図1に示す揮発性組成物ディスペンサは、例えば、2つのカートリッジ76を含む。カートリッジは、新しい揮発性組成物、異なる揮発性組成物、又は交換用の揮発性組成物を有するリザーバを提供するために交換可能であってもよい。
【0022】
あくまでも例示のために
図1~
図3に示されているヒータ40及び42などのヒータは、揮発性組成物のボトルから突き出た芯を、少なくとも部分的に取り囲む円形リングの形態をとる加熱要素を含んでもよい。
【0023】
リザーバは、揮発性組成物を収容するための、
図1に示すようなシール36を含んでもよい。揮発性組成物ディスペンサ20並びに/又はリザーバ28及び30は、揮発性組成物が放出されていないときに芯38を覆うための追加シールを更に含んでもよい。
【0024】
図1は、2つのリザーバ、2つの蒸発支援要素、及び2つの送出エンジンを示すが、揮発性組成物ディスペンサは、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上のリザーバを含み得ることを理解されたい。揮発性組成物ディスペンサ内の各リザーバは、別個の送出エンジンを含んでもよい。単一の蒸発支援要素は、1つ以上の蒸発面に使用されてもよく、又は各蒸発面は、それぞれに固有の1つの蒸発支援要素に隣接してもよい。揮発性組成物ディスペンサが2つ以上のリザーバを含む場合、各リザーバは、異なる揮発性組成物を含有してもよく、又は同じ揮発性組成物を含有してもよい。
【0025】
図1~
図3では、揮発性組成物ディスペンサ20は2つのリザーバを含み得ることが示されているが、揮発性組成物ディスペンサは、1つ以上の交換可能カートリッジによって提供される1つ以上のリザーバを含んでもよいことを理解されたい。1つのリザーバが存在するという場合、揮発性組成物ディスペンサは、その1つのリザーバに流体連通している1つ、2つ、又は3つ以上の送出エンジンと、送出エンジンにそれぞれ流体連通している1つ、2つ、又はそれ以上の蒸発面とを含み得る。このような構成では、揮発性組成物ディスペンサは、1つ以上の蒸発支援要素を含んでもよい。2つ以上の送出エンジンが単一のリザーバと流体連通している場合、各送出エンジンは、同じ揮発性組成物を揮発させるために使用され得る。この構成により、芯などの各送出エンジンは、蒸発支援要素が低いエネルギーを送出する又はオフとなる、いずれかの状態である延長期間を有することが可能となり得るが、それによって各送出エンジンに、揮発性組成物が送出エンジンから排出されるための、場合によっては送出エンジンの詰まりを取り除くための時間を与えることができる。このような構成は、送出エンジンが、揮発性組成物の成分の芯詰まりが起こり得る芯の形態である場合に特に有用であり得る。
【0026】
図2A及び
図2Bを参照すると、揮発性組成物ディスペンサ20は、揮発性組成物ディスペンサ20によって放出される揮発性組成物を、以下に記載されるように、総放出プログラムに従って変更するスイッチ機構50を含んでもよい。スイッチ機構50は、揮発性組成物ディスペンサに、放出される揮発性組成物を変更させるいかなる好適な種類の機構も含むことができる。図示される実施形態では、スイッチ機構は、ヒータなどの蒸発支援要素の作動を制御して、所望する揮発性組成物を放出させるためのヒータをオンにする。好適なスイッチ機構として、アナログタイミング回路、デジタル回路、アナログ及びデジタル回路の組み合わせ、マイクロプロセッサ、及び形状記憶合金(NiTi線)又はバイメタルスイッチのような機械的作動スイッチが挙げられるが、これらに限定されない。スイッチ機構50は、プリント回路基板(即ち、「PCB」)の形態のアナログ及びデジタルのコンビネーション回路を含んでもよい。蒸発支援要素がヒータである場合、任意の好適な種類のヒータを使用することができ、例えば抵抗ヒータ(いくつかの種類が市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
スイッチ機構50としては、以下の代替的種類のスイッチ機構:(1)揮発性組成物(単数又は複数)を分散させるために使用されるファンのモータの回転数をカウントするピックアップ付き磁気センサであって、一定の回転数後、揮発性組成物ディスペンサが1つの揮発性組成物から別の揮発性組成物へ切り換えるようにできるもの、及び(2)周囲温度では回路を完成させることができる一方で、ある温度に到達すると回路を切断することができる、二重形状記憶合金、又はバイメタルストリップ若しくはスイッチを備える揮発性組成物ディスペンサ、が挙げられ得るが、これらに限定されない。この二方向効果を利用して、温度が低下すると、材料が再び回路を完成し、ヒータをオンに維持した後にオフにする、サーモスタットとしての役割を果たすようにすることができる。形状記憶合金は、ヒータとして、及びパルス発生器として機能させ得る。
【0028】
揮発性組成物ディスペンサ20は、多くの追加的オプション機能を含むことができる。揮発性組成物ディスペンサは、放出されている揮発性物質が変更されたことを人が更に認知できるように、インジケータを備えてもよい。このようなインジケータは、ライト又は音などの視覚的及び/又は音響的なものであってもよい。例えば、香り付き物質の場合、そのようなインジケータにより、人は所与のときにどの香りが放出されているかを把握することが可能になり得る。
図3を参照すると、インジケータは、ライト70の形態であってもよい。別の例では、揮発性組成物ディスペンサ20(例えば、ハウジングの全部又は一部)又はリザーバの少なくとも一部は、加熱されたときに色が変わる種類のプラスチックで作製されてもよい。
【0029】
揮発性組成物ディスペンサには、ユーザが操作できる追加的制御部を設けることができる。揮発性組成物ディスペンサは、ユーザが電気コンセントから取り外さずに揮発性組成物ディスペンサをオンオフできるようにする電源スイッチを更に備えることができる。揮発性組成物ディスペンサには、1つ以上の揮発性組成物の個々の放出期間、及び/又は異なる揮発性組成物の放出時間どうしの間の時間若しくは同時動作期間中に複数の揮発性物質が放出される時間をユーザが制御できるようにする制御部を設けることができる。例えば、1つの非限定的な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサが、15分超~48時間の期間中に各揮発性物質を放出する能力を与える場合、その揮発性組成物ディスペンサには、ユーザが1つ以上の揮発性組成物個々の放出期間を、例えば30分間、45分間、72分間、又は1時間に設定できるようにする制御器を設けることができる。
【0030】
揮発性組成物ディスペンサには、ユーザが操作できる追加的制御部を設けることができる。揮発性組成物ディスペンサは、ユーザが1つ以上の揮発性組成物用の熱源の温度設定を調節できるようにするサーモスタット又は他のスイッチを含むことができる。その設定は、特定の揮発性組成物に対して予め規定されていてもよく、又は芯に適用される予定の温度の選択に基づいて調節可能であってもよい。設定は、例えば、ユーザが、揮発性組成物ディスペンサに直接的、又は遠隔制御器(コンピュータ、電話など)を通じて遠隔的のいずれかの様式で設定することができる、低温と高温との設定、又は低温、中温、及び高温の設定を含んでもよい。装置は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上の異なる強度設定を有してもよい。設定は、強度(即ち、高、中、低など)又は部屋のタイプ(即ち、浴室、寝室、リビング、台所など)として標示されてもよい。
【0031】
揮発性組成物ディスペンサはセンサも含んでもよく、センサの読み取り値を調整するようにプログラムされてもよい。例えば、揮発性組成物ディスペンサは、温度センサ、相対湿度センサ、揮発性材料センサ、光センサ(例えば、昼/夜を検出する)などのセンサを含んでもよい。
【0032】
揮発性組成物ディスペンサは、無線通信リンクを使用して、ディスペンサの様々な構成要素(例えばセンサ(単数又は複数)、蒸発支援要素、ユーザインターフェースなど)と通信可能に接続可能であってもよい。802.11(Wi-Fi)、802.15.4(ZigBee、6LoWPAN、Thread、JennetIP)、Bluetooth、これらの組み合わせなどを含む様々な無線通信リンクが使用され得る。接続は、アドホックメッシュネットワークプロトコルを介してもよい。コントローラは無線通信モジュールを含んでもよく、その場合には、コントローラを用いてシステムの各種構成要素との無線通信リンクを確立することができる。このような通信リンクを確立するために、当該技術分野において既知な任意のモジュールを利用することができる。コントローラは、NEST(登録商標)学習サーモスタットなどの機械学習アルゴリズムを利用することを含んでもよい。
【0033】
カートリッジは、RFIDタグなどの識別タグを含んでもよく、揮発性組成物ディスペンサのハウジングが、RFIDタグリーダーを備えていてもよい。RFIDタグは、カートリッジに収容された揮発性組成物について詳細(例えば香りなど)を、コントローラに伝えるために使用されてもよい。揮発性組成物ディスペンサは、RFIDタグから読み取られた情報を考慮するように調節するプログラムを含んでもよい。
【0034】
揮発性組成物ディスペンサは、カートリッジ存在検出回路の構成要素であるスイッチ60を有し得る。例示的なカートリッジ存在検出回路の更なる説明は、
図7~
図11を参照しつつ以下に提供される。一般に、カートリッジ存在検出回路は、スイッチ60の作動に基づいて、新品のカートリッジ又は再充填されたカートリッジが挿入され、使用済みのカートリッジが取り外されたということを示す信号を揮発性組成物ディスペンサに提供するように構成され得る。
図2Aを参照すると、スイッチ60が第1の状態で示されており、その状態では、リザーバ28がハウジング22に連結され、揮発性組成物ディスペンサ20は動作の準備ができている。連結のタイプは、ハウジング22及びリザーバ28の構成に基づいて様々に異なり得る。例えば、いくつかの構成では、リザーバ28は、摺動動作でハウジング22の一部位に挿入されるようになっている。いくつかの構成では、リザーバ28は、ハウジング22の一部位とスナップ嵌めで接続することができる。いくつかの構成では、リザーバ28はハウジング22の一部にねじ込まれるようになっている。使用される連結のタイプにかかわらず、リザーバ28がハウジング22に連結されると、スイッチ60はリザーバ28によって物理的に作動され得る。
図2Bに示すように、リザーバ28がハウジング22から取り外される(すなわち、連結解除される)とき、スイッチ60は第2の状態に移行する。スイッチ60は、任意の種類の好適なスイッチであり得るが、例えば、比較的小さい力を用いて作動させることができる、例えばマイクロスイッチ又は他のタイプの小型スイッチなどが挙げられる。プリント回路基板(PCB)は、カートリッジ存在検出回路からのこれらの信号を解釈し、揮発性組成物ディスペンサを、プログラムされた命令に従って動作させることができるが、例えば、揮発性組成物が「満杯」である新品のカートリッジ又は再充填されたカートリッジのために、総放出プログラムを再度開始させたりすることができる。
【0035】
送出エンジン38は、
図1、
図2A、及び
図2Bでは芯として示されているが、例えば通気性膜などの他の種類の送出エンジンを使用することができる。
図4及び
図5を参照すると、例えば、カートリッジ176を受容するためのハウジング122を備える、例示的な揮発性組成物ディスペンサ120が示されている。カートリッジ176は、揮発性組成物を収容するための液体リザーバ172(
図5)と、液体リザーバ172を囲む通気性膜の形態の送出エンジン174(例えば米国特許第8,709,337号及び同第8,931,711号に開示されているようなもの)とを含んでもよい。揮発性組成物ディスペンサ120はまた、蒸発支援要素144(あくまで例示のために
図4にはファンの形態で示されている)も含んでいてもよい。揮発性組成物ディスペンサ120はまた、カートリッジ176がハウジング122に挿入されたこと又はハウジング122から取り外されたことに応じて状態を変化させるスイッチ160を含んでもよい。スイッチ160は、以下に説明されるように、カートリッジ存在検出回路の構成要素であり得る。蒸発支援要素144は、電池又は壁のコンセントなどの電源126によって給電され得る。
【0036】
本明細書で使用されるとき、通気性膜は、液体が自由に膜から流れ出るのを防止することで漏出の問題に対処する蒸気透過性膜である。好適な膜としては、米国特許第7,498,369号に記載されるように、任意選択でシリカが充填されているUHMWPEタイプの膜が挙げられるが、これに限定されない。このようなUHMWPE膜としては、Daramic社から入手可能なDaramic(商標)V5、DSM社(Netherlands)から入手可能なSolupor(登録商標)、PPG Industries社から入手可能なTeslin(商標)SP1100HD、及びこれらの組み合わせが挙げられる。他の好適な通気性膜としては、透過性を有するポリマーであって、熱可塑性又は熱硬化性の任意の材料が挙げられ、その例としては、アセタール、アクリル、セルロース、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニル、ポリオレフィン、スチレンなどが挙げられる。それらは、単独で、共押出され、織布若しくは不織布とされ、エラストマー、ゴム、固体、シリカ、又はこれらを組み合わせたものと混合されたもの又は組み合わされたものであり得る。また、Dupont社から入手可能なHytrel(商標)又はArkema社から入手可能なLotryl(商標)も好適である。
図5に示されるような送出エンジン174は、破裂可能基材178も有していてもよく、同基材178は、消費者が揮発性組成物ディスペンサを使用するときに、破裂機構180が係合するまでは、揮発性組成物を液体リザーバ内に封入しておくものである。消費者が揮発性組成物ディスペンサを使用する準備が整った時点で、消費者は、破裂機構180を用いて破裂可能基材178を破裂させることによって、液体リザーバ172内の揮発性組成物を通気性膜と接触させることができる。
【0037】
図6A及び
図6Bは、例示の目的のために様々な構成要素が取り外された、別の例示的な揮発性組成物ディスペンサ220の等角図である。揮発性組成物ディスペンサ220は、ハウジング222内に配置された蒸発支援要素240、242を含む。ハウジング222は、揮発性組成物の1つ以上のリザーバを有するカートリッジ(図示せず)を受容するように構成されている。蒸発支援要素240、242は、時間の経過とともに変化するエネルギーのレベルのシーケンスを提供する総放出プログラムに従って動作するように構成されている。スイッチ260はハウジング222内に配置され、
図6Aに示すように、カートリッジがハウジング222に連結されると、スイッチ260が第1の状態に移行するようになっている。例えば、カートリッジの一部位が、スイッチ260を物理的に作動させ、カートリッジが最終的にユーザによって取り外されるまでスイッチ260をその作動位置に維持することができるようになっている。
図6Bに示すように、カートリッジが最終的にハウジング222から取り外されると、スイッチ260は第2の状態に移行するようになっている。スイッチ260は、以下により詳細に記載される、揮発性組成物ディスペンサ220のカートリッジ存在検出回路の構成要素であり得る。
【0038】
図7は、上述の揮発性組成物ディスペンサ20、120、220などの揮発性組成物ディスペンサの、例示的な制御ユニット300を概略的に示す。制御ユニット300は、ユーザが揮発性組成物ディスペンサを、壁のコンセント又は他の電源に差し込むときに電源投入することができる。制御ユニット300は、関連する揮発性組成物ディスペンサの動作を一般的に制御することができ、様々な入力部及び出力部を有してもよく、その一部は、例示目的のために
図7に概略的に示されている。ユーザ制御部304は、制御ユニット300への入力部の例である。ユーザ制御部304の例としては、例えば、電源スイッチ、放出制御スイッチなどを挙げることができる。制御ユニット300はまた、例えば視覚的又は聴覚的インジケータなどの、1つ以上のインジケータ306に出力を提供することができる。
【0039】
図7に示すように、制御ユニット300は、蒸発支援ユニット308と電気的に連通状態にあり得る。この点に関して、制御ユニット300は、メモリに記憶された総放出プログラムに従って蒸発支援ユニット308の起動を制御することができる。以下に説明されるように、総放出プログラムは、時間の経過とともに変化するエネルギーレベルのシーケンスで蒸発支援ユニット308を操作して、ユーザが揮発性組成物に対して、短期的又は長期的に慣れてしまう可能性を低減することを含み得る。以下に提供されるように、総放出プログラムによって利用される異なるエネルギーレベルのシーケンスは様々に異なるものであり得る。しかし、いくつかの構成では、異なるエネルギーレベルのシーケンスは、様々な個々の放出期間、任意の蒸発支援要素の放出の途絶える空白期間、時間の経過とともに変化するエネルギープロファイル、ランダム化されたエネルギープロファイル、同時放出期間、及びこれらの組み合わせを含むものである。総放出プログラムの実行中、制御ユニット300は、開始された最新の放出シーケンスを示す示度を、メモリ内に記録することができる。この示度は、揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離されたときであっても、メモリによって保持され得る。したがって、このような示度は、揮発性組成物ディスペンサへの電力供給が中断され、その後回復される場合に、シーケンス内の適切なポイントで総放出プログラムを再開するために、制御ユニット300によって利用され得る。
【0040】
制御ユニット300はまた、カートリッジ存在検出回路310と電気的に連通状態にあり得る。カートリッジ存在検出回路310からの信号は、カートリッジ又はリザーバが揮発性組成物ディスペンサに物理的に連結されているかどうかを判定するために、制御ユニット300によって使用され得る。有利なことには、カートリッジ存在検出回路310を使用して、揮発性組成物ディスペンサが電源から切り離されている間に、カートリッジが取り外されて、別のカートリッジが挿入されたかどうかを判定することができる。電源に再度接続されると、カートリッジが挿入されている場合には、制御ユニット300は、電源から引き抜かれている間にカートリッジ交換が起こっていたかどうかを判定する。交換が起こっていた場合、制御ユニット300は、エネルギーレベルのシーケンスの冒頭で、総放出プログラムを再度開始させる。そうでない場合、すなわち、電源から切り離されている間、カートリッジが揮発性組成物ディスペンサに連結されたままであると判定された場合には、制御ユニット300は、電源から切り離される前に実行されていた総放出プログラムを再開することができる。
【0041】
図8は、蒸発支援ユニット408及びカートリッジ存在検出回路410と電気的に連通している、揮発性組成物ディスペンサの制御ユニット400を概略的に示す。制御ユニットは、様々な入力ポート及び出力ポートを有することができ、その一部は
図8に示されている。出力ポート484は、蒸発支援ユニット408を操作するために使用することができる。制御ユニット400は、出力ポート480及び入力ポート482を介して、カートリッジ存在検出回路410と通信することができる。カートリッジ存在検出回路410は、スイッチ460、再充電可能要素414、及び充電制御回路412を含むことができる。スイッチ460は、上述のスイッチ60、160、260と同様であり得るが、カートリッジが揮発性組成物ディスペンサに挿入されるか、又は別の方法で連結されるときに作動され得るものである。作動は、カートリッジが揮発性組成物ディスペンサに適切に連結されたときに、カートリッジがスイッチ460の一部位と物理的に接触することに基づいて起こり得る。スイッチ460に物理的に接触するカートリッジの部位は、カートリッジの構成及びスイッチ460の位置に基づいて様々に異なり得る。例えば、いくつかの実施形態では、カートリッジは、リザーバの頂部に向かって配置されたプラスチック製カラーを備える。スイッチ460は、カートリッジが揮発性組成物ディスペンサに連結されると、カートリッジのプラスチック製カラーがスイッチ460と物理的に接触して押し込むように配置及び配向される。いくつかの実施形態では、カートリッジの他の部位がスイッチ460と接触し得る。いくつかの実施形態では、カートリッジは、スイッチ460を作動させるように特別に構成された物理的形状部を含む。このような物理的形状部は、例えば、スイッチ460を作動させるように配向及びサイズ決めされた突起又は他の構造部であり得る。したがって、このような構成では、特殊な物理的形状部を含まないカートリッジが使用される場合、スイッチ460は起動されない。本開示を考慮すると理解されるように、様々なカートリッジの形成部又は構成のいずれかを利用してスイッチ460を作動させることができる。
【0042】
再充電可能要素414は、充電制御回路412によって制御される充電電圧420の供給を用いて電圧を保存するように構成され得る。制御ユニット400は、出力ポート480を介して充電制御回路412を制御して、再充電可能要素414に充電電圧420を供給するかどうかを制御することができる。
【0043】
制御ユニット400に関連付けられた揮発性組成物ディスペンサにカートリッジが連結され、揮発性組成物ディスペンサが電源に接続される(即ち、壁のコンセントに差し込まれる)と、制御ユニット400は、充電制御回路412を起動させて、再充電可能要素414を充電可能とすることができる。このシナリオにおいては、カートリッジが存在することにより、スイッチ460が第1の状態にある。
【0044】
揮発性組成物ディスペンサが電源から切り離されると、充電電圧420はゼロに低下する。しかしながら、再充電可能要素414は、一定期間にわたって、その電圧を維持する。いくつかの構成では、電圧は、少なくとも2時間、少なくとも5時間、少なくとも10時間、又は12時間を超えて維持され得るが、その後、自然に放電してしまう。ユーザが揮発性組成物ディスペンサからカートリッジを取り外さない場合、スイッチ460は第1の状態に留まることになり、それによって、再充電可能要素414がその電圧を維持することが可能になる。しかしながら、ユーザが揮発性組成物ディスペンサからカートリッジを取り外す場合、スイッチ460は第2の状態(
図2B及び
図6Bに示す状態)に移行する。第2の状態では、再充電可能要素414は、接地に強制放電し、それによって再充電可能要素414の電圧をゼロに低下させる。
【0045】
揮発性組成物ディスペンサを電源に再接続すると、制御ユニット400は最初に充電制御回路412を無効化して、再充電可能要素414の電圧レベル(それはゼロボルトである可能性もある)が維持されていることを確認にする。次いで、制御ユニット400は、入力ポート482に提供されている、再充電可能要素414の電圧レベルを読み取る。制御ユニット400が入力ポート482での電圧レベル又は特定の閾値を上回る電圧レベルを検出した場合、それは電源から切り離されている間にスイッチ460が第2の状態に移行せず、再充電可能要素414が放電を強いられなかったためである。したがって、カートリッジは交換されておらず、制御ユニット400は、電力の切断前に実行されていた総放出プログラムを、プログラムメモリに記憶されたように充電制御回路420が再開することを可能にすることができる。しかしながら、制御ユニット400が、再充電可能要素414によって入力ポート482に電圧が供給されていないことを検出した場合、制御ユニット400は、総放出プログラムをその冒頭で再度開始するように、プログラムメモリをクリアすることができる。制御ユニット400は、スイッチ460の状態に基づいて、カートリッジが装填されて動作準備が整っているかどうかを判定することができる。スイッチ460が第1の状態(
図2A及び
図6Aに示す状態)にある場合には、カートリッジが装填されており、制御ユニット400は、充電制御回路412を有効にし、新たに装填されたカートリッジに対して、総放出プログラムを再度開始させることができる。スイッチ460が第2の状態(
図2B及び
図6Bに示す状態)にある場合には、カートリッジは装填されておらず、制御ユニット400は、蒸発支援ユニット408の動作を開始せずに待機することになる。
【0046】
図9A及び
図9Bは、様々な構成による、例示的な揮発性組成物ディスペンサの簡略化された回路図を示す。
図7及び
図8と同様に、制御ユニット500は、メモリ内に記憶された総放出プログラムに従って操作されることができる蒸発支援ユニット508と電気的に連通状態にあり得る。
図9A及び
図9Bに示される例示的なカートリッジ存在検出回路510はスイッチ560を含み、そのスイッチ560は通常閉じた接点(NC)及び通常開放された接点(NO)を有することができる。
図9Aは、カートリッジが揮発性組成物ディスペンサに連結されているとき(すなわち、「カートリッジ存在」時)のスイッチ560を示す。
図9Bは、揮発性組成物ディスペンサに連結されたカートリッジがないとき(すなわち、「カートリッジが存在しない」時)のスイッチ560を示す。
【0047】
まず
図9Aを参照すると、スイッチ560の状態によって制御ユニット500に示されるように、カートリッジが揮発性組成物ディスペンサに連結されると、制御ユニット500は、出力ポート580を介して、スイッチング素子512を閉じる信号を出力することができる。スイッチング素子512が閉じられると、充電電圧520が再充電可能要素514に供給され得る。この構成では、再充電可能要素514はコンデンサC1として示されている。コンデンサのサイズ及びスタイルは様々に異なり得るが、一例の構成では、コンデンサは100μFの電解コンデンサである。
【0048】
ここで
図9Bを参照すると、スイッチ560は、カートリッジが揮発性組成物ディスペンサから取り外されたことに応じて、通常閉じた接点に移行して示されている。このような移行は、揮発性組成物ディスペンサがユーザによって壁のコンセントから引き抜かれた後に生じ得る。スイッチ560が
図9Bに示される位置にあるとき、接地への経路が再充電可能要素514に提供され、それによって再充電可能要素514を放電させ、その電圧をゼロに低下させる。揮発性組成物ディスペンサが電源に再度接続されると、制御ユニット500は、入力ポート582における電圧が欠如していることを検出することができる。電圧の欠如を検出したことに応答して、制御ユニット500は、総放出プログラムの状態をクリアして、新しいカートリッジがスイッチ560を作動させたときにプログラムが再度開始されるようにすることができる。揮発性組成物ディスペンサが電源に再度接続されたときにスイッチ560が作動される場合、その時点で総放出プログラムが再度開始されることができる。そうでなければ、制御ユニット500は、スイッチ560によって検出可能であるように、ユーザがカートリッジを挿入するのを待機するようになっている。
【0049】
図10は、多くの態様で
図9A及び
図9Bの回路図と同様である、例示的な揮発性組成物ディスペンサの別の簡略回路図を示す。この点に関して、制御ユニット600は、メモリ内に記憶された総放出プログラムに従って動作させることができる蒸発支援ユニット608と、電気的に連通状態にあり得る。カートリッジ存在検出回路610は、スイッチ660と、コンデンサC1として示される再充電可能要素614とを含む。制御ユニット600は、出力ポート680を介して、第1のスイッチング素子612を閉じる信号を出力して、充電電圧620を再充電可能要素614に選択的に供給することができる。しかしながら、この構成では、カートリッジ存在検出回路610はまた、第2のスイッチング素子616も含む。第2のスイッチング素子616は、入力ポート682に、論理的に高い値又は論理的に低い値のいずれかを提供して、制御ユニット600が、再充電可能要素614の電圧を分析するのを一般に支援することができる。再充電可能要素614は、第2のスイッチング素子616の動作を制御して、再充電可能要素614の電圧が閾値を上回る場合、入力ポート682に論理的に高い値が提供されるようにし、蒸気の電圧が閾値を下回る場合には、論理的に低い値が入力ポート682に提供されるようにすることができる。このような手法は、処理能力が低い制御ユニット600を使用しつつも、なお本明細書に記載される機能性を提供することを可能にすることができる。
【0050】
図11は、
図8の制御ユニット400を組み込んだ揮発性組成物ディスペンサの例示的な動作のための例示的なフローチャート700を提供するものである。理解されるように、制御ユニット500及び600は、互いに類似した処理を実行することができる。
図8及び
図11を参照すると、ステップ702にて、揮発性組成物ディスペンサの電源がオンにされる(すなわち、ディスペンサが壁のコンセント又は他の電源に差し込まれる)。ステップ704では、再充電可能要素の充電が、充電制御回路412への適切な信号伝達によって、最初に無効化される。ステップ706において、制御ユニット400は、再充電可能要素414が入力ポート482に電圧を供給しているかどうかを判定する。電圧が検出されない場合、制御ユニット400は、ステップ708で、メモリから総放出プログラムの状態のデータをクリアすることができる。しかしながら、再充電可能要素414が、直接的又は間接的のいずれであれ、入力ポート482に十分な電圧を提供している場合には、制御ユニット400は、ステップ710で、メモリから総放出プログラムの状態を読み出して、そのプログラムのシーケンス内で蒸発支援ユニット408の起動を再開する準備を行うことができる。メモリから読み出された状態は、電源からの切断前に実行されていた総放出プログラムの、最後に記録されたシーケンスを示すことができる。したがって、制御ユニット400は、シーケンスの冒頭で再度開始するのとは対照的に、総放出プログラムを該シーケンス内の以前のポイントから再開させることができる。ステップ712において、制御ユニット400は、カートリッジが存在するかどうかを判定する。このような判定は、例えば、スイッチ460の状態に基づいて行うことができる。カートリッジが存在する場合、制御ユニット400は、ステップ714において、充電制御回路412への信号伝達を介して、再充電可能要素を充電可能とすることができる。ステップ716において、制御ユニット400は、蒸発支援ユニット408への信号伝達を介して、適切な総放出プログラムを実行する。新しいカートリッジが揮発性組成物ディスペンサに装填された場合(すなわち、再充電可能要素414からの電圧が低い)場合には、適切な総放出プログラムは、エネルギーレベルのシーケンスの冒頭で開始される。そうでない場合には、制御ユニット400は、揮発性組成物ディスペンサがコンセントから抜かれた時点(すなわち、再充電可能要素414からの電圧が高いままである)での、シーケンス内のポイントで総放出プログラムを再開する。総放出プログラムの実行は、ステップ718において、スイッチ460の移行状態に基づいて、カートリッジが取り外されたと判定されるまで継続する。その時点で、制御ユニット400は、ステップ720において、メモリからの総放出プログラムの状態のデータをクリアし、処理プロセスの開始までループバックする。
【0051】
本開示による揮発性組成物ディスペンサは、揮発性組成物ディスペンサと、揮発性組成物のリザーバを有する1つ以上のカートリッジとを含むキットの形態で販売することができる。揮発性組成物ディスペンサ及び/又はキットはまた、特定の結果を生じるために使用され得る個々の放出期間についてユーザに指示する使用上の命令、及び/又は揮発性組成物ディスペンサを所与の空間内のどこに配置するかに関する命令を更に含むことができる。例えば、命令は、揮発性組成物ディスペンサを、揮発性組成物ディスペンサが配置される部屋や車両などのサイズに基づいて設定するための命令を含んでもよい。このような命令は、香りにより気づきやすくなるように、ユーザに、香り付き物質の放出どうしの間をより頻繁に変更するように選択させる命令も含み得る。また、命令は、揮発性組成物ディスペンサを他の揮発性組成物ディスペンサに対してどのように動作させるかを指定するために提供されてもよい。命令は、例えば、書面、音声、及び/又は映像などの任意の好適な形態で提供することができる。
【0052】
揮発性組成物ディスペンサは、プラグ又は電池などの電源を含んでもよい。揮発性組成物ディスペンサは、電気コンセントに差し込む必要がないように電池式であってもよい。プラグが電源として電気コンセントに接続される場合、プラグはコードを含んでもよい、又は壁取り付け型プラグであってもよい。揮発性組成物ディスペンサはまた、電源に差し込まれ、電源から電力を供給されるように構成されてもよく、電池式であってもよい。揮発性組成物ディスペンサは、車両内のタバコ用ライターに差し込めるように、アダプタが提供されてもよい。また、揮発性組成物ディスペンサは、ユーザが揮発性組成物ディスペンサに触ることなく揮発性組成物ディスペンサの放出特性のいずれか又は全てを制御できる(放出される揮発性物質の変更が挙げられるが、これに限定されない)ようにする遠隔制御器が設けられてもよい。
【0053】
揮発性組成物ディスペンサは、アナログ回路と比べて構成部品が少なく、ロット毎の回路品質が向上したマイクロプロセッサを備えた制御ユニットを有していてもよい。マイクロプロセッサは、性能を変化させる変調によって、ユーザが温度プロファイルをプログラミングしかつ制御できるようにすることを可能にする。必要に応じて、マイクロプロセッサはユーザインターフェースに接続されてもよい。これは、任意の好適なタイプのユーザインターフェースであることができる。ユーザインターフェースのタイプの例としては、液晶ディスプレイスクリーン及び発光ダイオード、ボタン(押しボタン又は横移動式ボタン)、ダイヤルなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、マイクロプロセッサの構成要素により、複数の揮発性組成物ディスペンサ(例えば、部屋の異なる部位、又は異なる部屋に配置された装置)が相互に通信することができる。例えば、マイクロプロセッサは、遠隔制御により、赤外線を介してデジタル信号を送信して、別の揮発性組成物ディスペンサをオン又はオフにすることができる。
【0054】
ヒータ又はファンなどの蒸発支援要素は、様々な動作条件で動作するようにプログラムされてもよい。以下でより詳細に説明するように、蒸発支援要素は、様々な別個の放出期間、任意の蒸発支援要素の放出間の空白期間、時間の経過とともに変化するエネルギープロファイル、ランダム化されたエネルギープロファイル、同時放出期間、及びこれらの組み合わせを有するように構成されてもよい。これらの動作方法のそれぞれは、単独で又は組み合わせて、揮発性組成物のユーザの認知性を促進する、及び/又は揮発性組成物の短期的又は長期的な慣れの可能性を低減することができる。
【0055】
本明細書で使用されるとき、「別個の放出期間」という用語は、所与の揮発性組成物が放出シーケンスで放出される個々の期間を指す。この期間は、一般に、蒸発支援要素が揮発性組成物の所与の充填のためにオンにされる期間に対応し得るが、蒸発支援要素の動作と揮発性組成物の放出との間にわずかな遅れが存在し得る。本明細書で使用されるとき、「延長放出期間」という用語は、蒸発支援要素がオフである時間である動作の途切れる空白期間によって分離され得る、複数の連続する別個の放出期間を含む。
【0056】
「総放出プログラム」は、エネルギーブーストと延長放出期間とを構成する、全ての別個の放出期間と、放出の途絶える空白期間のためのオフ時間とを含む、カートリッジ内の揮発性組成物が「充填された」状態の開始時から、その「充填された」容量が尽きる終了時までのシーケンス全体を指す。本明細書で使用されるとき、「充填する」又は「充填された」という表現は、リザーバ内の利用可能な容積の全部又は略全部を占めることが意図される揮発性組成物の量を指し、これは、送出エンジンなどのリザーバ内に配置され得る揮発性組成物ディスペンサの任意の他の要素によって占められる任意の容積を除く。リザーバは、典型的には、リザーバの全利用可能容積の少なくとも80%、85%、90%、又は95%まで揮発性組成物によって占有又は充填される。それを受けて、総放出プログラムは、リザーバ内の揮発性組成物の全部又は略全部を蒸発させるように設計される。
【0057】
総放出プログラムは連続的であってもよい。「連続的」という用語は、放出プログラムを指して使用されるときには、いったんプログラムが開始されれば、全期間にわたって計画された放出シーケンスが存在することを意味する。この放出プログラムは、上述したように、放出が途絶える空白期間が存在する期間を含むことができる。必ずしも揮発性組成物の連続的な放出が存在しないが、それでもなおこれは連続的な放出プログラムであると考えられる。しかしながら、所望に応じて、放出プログラムがユーザによって中断可能(例えば、オフにされる)であり得ることを理解されたい。したがって、本方法は、ユーザが、それを用いて放出プログラムを中断することができるユーザインターフェースを提供することができる。放出プログラムは、揮発性組成物の少なくとも1つがカートリッジから実質的に枯渇するまで連続的に、又は略連続的に実行されるように設計されてもよい。放出プログラムは、揮発性組成物の全てが実質的に枯渇するまで連続的に実行され、このため、略同時に行われることが望ましい場合がある。例えば、揮発性組成物が枯渇していること、総放出プログラムが完了したこと、又は総放出プログラムが完了に近づいていることをユーザに示すために、視覚的な示度を提供することができる。
【0058】
総放出プログラムが中断される場合、ディスペンサは、揮発性組成物ディスペンサが電源から切り離されたときに開始された最後の放出シーケンスを記録するためのメモリを備えて構成されてもよい。したがって、時間の経過に沿った総放出プログラムの進行状況が、揮発性組成物ディスペンサによって追跡され、記憶され得る。ひとたび揮発性組成物ディスペンサの動作が再開され、カートリッジが交換されていない場合には、最後に記録されたシーケンスのメモリが呼び出されて、総放出プログラムを正しい放出シーケンスに戻すように復活させる。この点に関して、揮発性組成物ディスペンサは、揮発性組成物ディスペンサがたびたび電源から切り離されたり、電源に再接続されたりしている場合であっても、カートリッジの寿命にわたって延々と続くように設計された長期的総放出プログラムを実行することができる。更に総放出プログラムは、新品の又は再充填されたリザーバ/カートリッジがハウジング内に装着された場合にのみ、プログラムの冒頭で再度開始させてよい。本開示によれば、揮発性組成物ディスペンサが外部電源から切り離されている(すなわち、壁のコンセントに差し込まれていない)ときに、カートリッジがユーザによって交換されたかどうかを、揮発性組成物ディスペンサは判定することができる。その場合、最後に記録されたシーケンスがメモリからクリアされて、総放出プログラムがシーケンスの冒頭から再度開始するようにすることができる。
【0059】
総放出プログラムは、10日間、好ましくは15日間、好ましくは20日間、好ましくは25日間、好ましくは30日間、より好ましくは45日間、より好ましくは60日間、より好ましくは90日間、より好ましくは130日間、より好ましくは150日間、又はより短い若しくはより長い期間、又は30~150日の任意の期間を含み得るが、これらに限定されない。
【0060】
揮発性組成物ディスペンサ内の各蒸発支援要素の別個の放出期間は、2分間~48時間、あるいは5分間~48時間、あるいは10分間~48時間、あるいは15分間~48時間、あるいは20分間~24時間、あるいは30分間~8時間、あるいは45分間~4時間の範囲であり得る。蒸発支援要素によって供給されるエネルギーが大きいほど、例えば、ヒータによって与えられる温度が高いほど、空気中に認知可能な量の揮発性組成物を提供するために必要とされ得る個々の放出期間が短くなる。
【0061】
特定の蒸発支援要素の個々の放出期間中、その蒸発支援要素は、連続的にオンになっている。2つ以上の蒸発支援要素を備える揮発性組成物ディスペンサでは、蒸発支援要素は、交互に起こる個々の放出期間を有し得る。交互式のシステムでは、1つの蒸発支援要素がオンにされる一方、他の蒸発支援要素(単数又は複数)がオフにされてもよい。又は、1つ以上の蒸発支援要素が所与の時間にオンにされてもよい。2つ以上の蒸発支援要素の動作が、一定期間にわたって重複していてもよい。各蒸発支援要素の個々の放出期間が長いほど、周囲空間における揮発性組成物の濃度が高くなり、ユーザの認知性を高める可能性がある。また、全ての蒸発支援要素がオフにされている期間も存在し得る。各蒸発支援要素は、個々の放出期間の長さが同じであるように構成されてもよい、又は蒸発支援要素の一部又は全部が、異なる長さの個々の放出期間を有するように構成されてもよい。
【0062】
蒸発面からの揮発性組成物の蒸発速度は、総放出プログラムにわたって5~200mg/時、好ましくは10~100mg/時、より好ましくは10~80mg/時、より好ましくは15~60mg/時、より好ましくは15~50mg/時、より好ましくは15~35mg/時であり得る。
【0063】
総放出プログラムの終了付近では、揮発性組成物ディスペンサは、プラグが抜かれて新しいカートリッジ又はリザーバが装着されるまでは、最高温度又は最高ファン速度などの最大電力出力又はその付近で動作することができる。
【0064】
総放出プログラムは、揮発性組成物がリザーバから枯渇したときに蒸発支援要素をオフにするように構成されてもよい。例えば、蒸発支援要素は、所定の強度設定で所定の期間稼働した後にオフになってもよい。蒸発支援要素をオフにすることによって、リザーバが再充填される、又は新品の揮発性組成物充填物と交換されるまで、エネルギーが蒸発支援要素から印加されない。
【0065】
総放出プログラムにわたって蒸発面によって印加されるエネルギーを変化させることは、消費者が揮発性組成物を認知する可能性を向上させ、揮発性組成物に対する慣れを防止するのに役立てることができる。揮発性組成物ディスペンサから蒸発した揮発性組成物の認知可能性を高め、揮発性組成物ディスペンサ中の揮発性組成物の寿命にわたって認知可能性が継続的に低下することを防止するため、蒸発速度は、一定、略一定、漸増、又は可変であってもよい。一定、略一定、漸増、又は可変の蒸発速度を実現するために、蒸発支援要素によって蒸発面に印加されるエネルギーを変化させて、総放出プログラムにわたって所望の蒸発プロファイルを達成することができる。例えば、一定、略一定、又は漸増する蒸発速度を提供するため、蒸発支援要素の電力及び/又は蒸発支援要素のオン時間を、時間の経過とともに断続的に増加させることができる。蒸発速度を時間の経過とともに漸増させるために蒸発支援要素によって提供される電力及び/又は蒸発支援要素のオン時間は、一定又は略一定の蒸発速度を維持するようにプログラムされた蒸発支援要素の動作の場合の印加電力及び/又は蒸発支援要素のオン時間よりも大きくする必要があり得る。総放出サイクルにわたってランダム又は可変の蒸発速度を生成するために、蒸発支援要素によって印加される電力及び/又は蒸発支援要素のオン時間は、時間が経過するのに沿って、増加、維持、及び/又は減少させることができる。蒸発面に印加されるエネルギーは、様々な頻度で調節され得る。
【0066】
蒸発支援要素を介して蒸発面に印加されるエネルギーは、熱、発熱反応、空気流などの形態であってもよい。長期間にわたって蒸発支援要素を動作させることは、比較的短期間にわたって蒸発支援要素への電力を増加させるのと同じ、同様、又は追加の効果を揮発性組成物の蒸発に及ぼすことができる。単独で、又は蒸発支援要素の選択と組み合わせて、蒸発面に印加されるエネルギーを増加させるもう1つの方法は、蒸発支援要素に対して露出される蒸発面の表面積の量を調節することを含み得る。例えば、エネルギーブーストは、蒸発支援要素に対してより多くの蒸発面を露出させることを含み得る。同様に、エネルギーの減少も、蒸発面の露出表面積の減少に起因し得る。
【0067】
蒸発面に印加されるエネルギーは、総放出プログラム内の任意の所与のポイントで増加させたり、減少させたり、又は維持させたりすることができる。エネルギーを増加させた(「エネルギーブースト」)延長放出期間、エネルギーを減少させた延長放出期間、及び/又はエネルギーを維持させた延長放出期間の組み合わせを有する総放出プログラムは、揮発性組成物ディスペンサに、市販の揮発性組成物ディスペンサよりも高い消費者の受容度を提供することが判明している。
【0068】
また、消費者はカートリッジの寿命開始時に、最低限の揮発性組成物の認知可能性を期待することが分かっている。寿命開始時のこの期待を満たす揮発性組成物ディスペンサは、寿命の開始時だけでなく総放出プログラム全体にわたって、揮発性組成物ディスペンサに対する消費者の受容度を、実際に向上させることができる。したがって、消費者の最低限の認知可能性要件を満たす又は超えるために、総放出プログラムの冒頭には、比較的高いエネルギーのエネルギーブースト期間が望ましい場合がある。したがって、揮発性組成物ディスペンサの総放出プログラムの最初の24時間の動作中に蒸発面に印加される初期エネルギーによるエネルギーブースト期間は、消費者が所望する最低限の揮発性組成物蒸発速度を満たす又は超えるのに十分な長さであるべきである。
【0069】
総放出プログラムは、一般的には、時間の経過とともに均一な蒸発を達成するように構成され得る。蒸発面に印加されるエネルギーを増加させることで、リザーバ内の揮発性組成物の寿命全体にわたって平均的な蒸発速度がもたらされる。エネルギーは、複数のインターバルにわたって3~500%、好ましくは5~300%、より好ましくは10~200%、より好ましくは15~100%増加させてもよい。インターバルは、1~20日毎、好ましくは1~15日毎、より好ましくは1~10日毎、より好ましくは1~7日毎に、エネルギーブーストを含んでもよい。
【0070】
別の操作方法は、蒸発面に印加されるエネルギーを時間の経過とともに増加させて、規則的に上昇する平均蒸発速度をもたらすことを含む。蒸発速度を上昇させるため、蒸発面に印加されるエネルギーは、規則的なインターバルで3~500%上昇させ得る。規則的なインターバルは、1~20日毎、好ましくは1~15日毎、より好ましくは1~10日毎、より好ましくは1~7日毎にエネルギーを増加させ得る。新たに確立された各蒸発速度は、前の蒸発速度よりも1~500%、より好ましくは前の蒸発速度よりも5~400%、より好ましくは前の蒸発速度より10~300%、より好ましくは前の蒸発速度の10~250%、より好ましくは前の蒸発速度の10~200%速い。
【0071】
別の操作方法は、蒸発面に印加されるエネルギーを規則的又は不規則的なインターバルで3~500%増加又は減少させて、不規則に上昇又は低下するように変化する平均蒸発速度をもたらすことを含む。新たに確立された各蒸発速度は、前の蒸発速度よりも1~500%、より好ましくは前の蒸発速度よりも5~400%、より好ましくは前の蒸発速度よりも10~300%、より好ましくは前の蒸発速度よりも10~250%、より好ましくは前の蒸発速度よりも10~200%速くなるか又は遅くなる。蒸発速度を時間の経過とともに変化させることで、個々の放出期間がいつ開始又は停止するかをユーザが予測できないため、ユーザが揮発性組成物に慣れてしまう可能性を低減することができる。
【0072】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0073】
本明細書全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、全てのより低い数値限定を、かかるより低い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように包含することを理解すべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、それよりも高い全ての数値限定を、かかるより高い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれる、より狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0074】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0075】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。