(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-09
(45)【発行日】2023-05-17
(54)【発明の名称】ジャケット構造体システム
(51)【国際特許分類】
E02D 27/52 20060101AFI20230510BHJP
E02D 27/32 20060101ALI20230510BHJP
E02D 27/14 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
E02D27/52 A
E02D27/32 Z
E02D27/14
(21)【出願番号】P 2022117007
(22)【出願日】2022-07-22
【審査請求日】2022-08-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】加賀美 暢一
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 星太朗
(72)【発明者】
【氏名】舟竹 祥太郎
(72)【発明者】
【氏名】片山 能輔
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 敦郎
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-529584(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0218796(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0023499(KR,A)
【文献】国際公開第2015/071679(WO,A1)
【文献】中国実用新案第215888310(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0086414(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第111350206(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0037384(US,A1)
【文献】特開2016-205163(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2374992(EP,A1)
【文献】特表2020-529515(JP,A)
【文献】特表2021-531436(JP,A)
【文献】特許第7113159(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/52
E02D 27/32
E02D 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースを支持する複数のレグと、
一端が前記トランジションピースに接続され
、内部に第1ケーブルが配置される第1Jチューブと、
一端が前記トランジションピースに接続され、内部に第2ケーブルが配置される第2Jチューブと、
を備えるジャケット構造体
を複数備えたジャケット構造体システムであって、
前記第1ケーブルは、前記トランジションピースが支持する前記洋上風車に接続され、
前記第2ケーブルは、複数の前記ジャケット構造体のうちの1つのジャケット構造体と同一のウインドファームに存在する前記ジャケット構造体のトランジションピースが支持する前記洋上風車の電力を、前記1つのジャケット構造体のトランジションピースが支持する前記洋上風車の設備に供給する、
ことを特徴とするジャケット構造体システム。
【請求項2】
前記一端は、前記トランジションピースの下に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体
システム。
【請求項3】
前記複数のレグのうちの1つ
のレグに設けられ、且つ、前記第1Jチューブを支持する第1支持部、
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載のジャケット構造体
システム。
【請求項4】
前記第1支持部は、前記1つ
のレグに取り付けられる高剛性部を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載のジャケット構造体
システム。
【請求項5】
前記第1支持部は、前記高剛性部に設けられ、且つ、前記第1Jチューブを保持する保持部を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載のジャケット構造体
システム。
【請求項6】
前記保持部は、前記第1Jチューブを、前記第1Jチューブの長手方向に移動可能に保持する、
ことを特徴とする請求項5に記載のジャケット構造体
システム。
【請求項7】
前記保持部は、前記第1Jチューブを、緩衝部材を介し、保持する、
ことを特徴とする請求項5に記載のジャケット構造体
システム。
【請求項8】
前記保持部は、2つの半割管を含み、
前記第1Jチューブは、前記2つの半割管により、前記緩衝部材を介し、クランプされる、
ことを特徴とする請求項7に記載のジャケット構造体
システム。
【請求項9】
前記1つ
のレグと、前記複数のレグのうち、前記1つ
のレグとは異なる1つ
のレグと、を接続する第1斜めブレース、
を更に備え、
前記第1支持部は、前記第1斜めブレースと、前記第1支持部が設けられた前記1つ
のレグと、の格点部を含む第1所定領域には、設けられない、
ことを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1項に記載のジャケット構造体
システム。
【請求項10】
前記1つ
のレグと、前記異なる1つ
のレグと、を接続する第2斜めブレースであって、前記第1斜めブレースより海底地盤に近い第2斜めブレースと、
前記1つ
のレグに設けられ、且つ、前記第1Jチューブを支持する第2支持部と、
を更に備え、
前記第1支持部は、前記第2斜めブレースと、前記第1支持部が設けられた前記1つ
のレグと、の格点部を含む第2所定領域には、設けられない、
ことを特徴とする請求項9に記載のジャケット構造体
システム。
【請求項11】
前記第1Jチューブと前記1つ
のレグとの距離は、前記第1Jチューブと、前記複数のレグのうち、前記1つ
のレグとは異なる1つ
のレグと、の距離より、短い、
ことを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1項に記載のジャケット構造体
システム。
【請求項12】
前記第1Jチューブは、鉛直方向に沿って見て、前記複数のレグに囲まれる、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のジャケット構造体
システム。
【請求項13】
海底地盤に打設された鋼管杭と、
前記鋼管杭と前記1つ
のレグとを接続するスカートスリーブと、
前記複数のレグの下端同士を接続する水平ブレースと、
を更に備え、
前記第1Jチューブは、前記1つ
のレグのうち前記スカートスリーブの上フランジの上方、又は、前記水平ブレースと接続される、
ことを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1項に記載のジャケット構造体
システム。
【請求項14】
海底地盤に打設され、内部に前記1つ
のレグが挿入される鋼管杭と、
前記1つ
のレグの外周面と前記鋼管杭の内周面との間のグラウト充填空間の上方に設けられるフランジと、
を更に備え、
前記第1支持部は、前記1つ
のレグの部分であって前記フランジの上の部分に設けられる、
ことを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1項に記載のジャケット構造体
システム。
【請求項15】
一端が前記トランジションピースに接続される第3Jチューブと、
前記複数のレグのうちの前記1つ
のレグとは異なる1つ
のレグに設けられ、且つ、前記第2Jチューブを支持する第2支持部と、
前記複数のレグのうち、前記第1支持部及び前記第2支持部が設けられていないレグに設けられ、且つ、前記第3Jチューブを支持する第3支持部と、
を更に備えることを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1項に記載のジャケット構造体
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャケット構造体及びジャケット構造体システムに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電に用いられる風車等を洋上に配置(洋上風車)するために、海底等に打ち込まれた基礎杭に基礎構造を接続することがある(ジャケット構造体)。
特許文献1では、風車からの荷重を効果的かつ効率的に支持面に伝達して風や波によって生じる長周期的な荷重に耐える優れた疲労耐性や十分な強度を保持しながら、材料や組み立て、設置に関してコストと時間を最小化する支持構造物(ジャケット構造体)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ジャケット構造体によって支持される設備(例えば、洋上風車)に接続されるケーブルを、ジャケット構造体の下方から配設するために、Jチューブが設けられることがある。前記従来のジャケット構造体には、前記設備と前記ケーブルとの接続性を向上させることに課題がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、ジャケット構造体に支持される設備と、ジャケット構造体の下方に配置されたケーブルとの接続性を向上させたジャケット構造体及びジャケット構造体システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の態様1に係るジャケット構造体は、洋上風車を支持するトランジションピースと、前記トランジションピースを支持する複数のレグと、一端が前記トランジションピースに接続される第1Jチューブと、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、一端がトランジションピースに接続される第1Jチューブを備える。これにより、第1Jチューブの内部にケーブルを配置することができる。また、第1Jチューブの内部に配置したケーブルを、トランジションピースによって支持された洋上風車の接続部に接続しやすくすることができる。したがって、ジャケット構造体に支持される設備と、ジャケット構造体の下方に配置されたケーブルとの接続性を向上させることができる。
【0008】
<2>本発明の態様2に係るジャケット構造体は、態様1に係るジャケット構造体において、前記一端は、前記トランジションピースの下に接続されることを特徴とする。
【0009】
ここで、トランジションピースには、Jチューブの内部に配置されたケーブルを挿通するための受口部が設けられる。この受口部が、例えば、トランジションピースの側面に設けられると、洋上風車からトランジションピースに伝達された荷重をレグに伝達することに影響を及ぼすことがある。これに対し、トランジションピースの下に第1Jチューブの一端を接続する。これにより、受口部をトランジションピースの下に設けることができる。したがって、荷重の伝達経路に影響を及ぼすことを抑えることができる。
【0010】
また、トランジションピースの内部に設けられた各設備に接続するケーブルの一部は、例えば、一部が海底地盤に配置される。これに対し、第1Jチューブの一端は、トランジションピースの下に接続される。これにより、海底地盤から延びるケーブルがトランジションピースの内部に設けられた各設備に接続されるまでの経路を短くすることができる。また、トランジションピースの側面や上面にJチューブが面しないようにすることで、ジャケット構造体の上に配置される洋上風車の構造を検討する際、洋上風車に対してJチューブの位置が影響することを抑えることができる。
【0011】
<3>本発明の態様3に係るジャケット構造体は、態様1又は態様2に係るジャケット構造体において、前記複数のレグのうちの1つに設けられ、且つ、前記第1Jチューブを支持する第1支持部を更に備えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、複数のレグのうちの1つに設けられ、且つ、第1Jチューブを支持する第1支持部を更に備える。つまり、第1Jチューブは、第1支持部によってレグの1つに取り付けられる。これにより、第1支持部による第1Jチューブとレグとの取り付けは、ジャケット構造体を施工現場に運搬する前に、製造工場等で行うことができる。よって、第1Jチューブの施工性及び経済性を担保することができる。
【0013】
また、第1Jチューブ及びレグは、それぞれ海底面付近からトランジションピースに向けて延びる。つまり、第1Jチューブ及びレグは、互いに沿って延びる。したがって、第1Jチューブをレグに取り付けることで、ジャケット構造体を合理的な構造とすることができる。更に、ジャケット構造体の設計検討の段階において、レグにおける第1支持部の取り付け位置を容易に変更することができる。よって、ジャケット構造体の設計検討を容易且つ効率的に行うことができる。
【0014】
<4>本発明の態様4に係るジャケット構造体は、態様3に係るジャケット構造体において、前記第1支持部は、前記1つに取り付けられる高剛性部を含むことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、第1支持部は、レグの1つに取り付けられる高剛性部を含む。例えば、レグには、第1支持部として鋼管が取り付けられる。これにより、例えば、第1支持部としてレグに平板状の部材が取り付けられた場合と比較して、第1支持部をレグに対してより強固に取り付けることができる。
【0016】
<5>本発明の態様5に係るジャケット構造体は、態様4に係るジャケット構造体において、前記第1支持部は、前記高剛性部に設けられ、且つ、前記第1Jチューブを保持する保持部を含むことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、第1支持部は、高剛性部に設けられ、且つ、第1Jチューブを保持する保持部を含む。つまり、第1Jチューブには、第1支持部として保持部が取り付けられる。これにより、高剛性部のみを含む第1支持部によってレグの1つと第1Jチューブとを接続する場合と比較して、第1Jチューブの接続を容易に行うことができる。
【0018】
<6>本発明の態様6に係るジャケット構造体は、態様5に係るジャケット構造体において、前記保持部は、前記第1Jチューブを、前記第1Jチューブの長手方向に移動可能に保持することを特徴とする。
【0019】
ここで、保持部によって、第1Jチューブが、第1Jチューブの長手方向に移動困難の状態で保持されると、レグの1つと第1Jチューブとが、第1Jチューブの長手方向に相対移動困難となる。したがって、例えば、洋上風車からトランジションピースに伝達された荷重によってレグが変形した時、第1Jチューブも変形する。つまり、洋上風車からトランジションピースに伝達された荷重の伝達経路に、第1Jチューブが含まれることになる。これにより、ジャケット構造体の構造計算が複雑になる。
【0020】
これに対し、保持部は、第1Jチューブを、第1Jチューブの長手方向に移動可能に保持する。これにより、例えば、洋上風車からトランジションピースに伝達された荷重によってジャケット構造体が変形した時、第1Jチューブと、第1Jチューブが取り付けられたレグとが相対移動する。つまり、前記荷重によって第1Jチューブが変形することを抑えることができる。
【0021】
したがって、洋上風車からトランジションピースに伝達された荷重の伝達経路に、第1Jチューブが含まれないようにすることができる。これにより、ジャケット構造体の設計検討の段階において、第1Jチューブを構造計算のモデルから除外することができる。よって、ジャケット構造体の構造計算を容易かつ効率的にすることができる。また、第1Jチューブが荷重に対して変形しないようにすることで、第1Jチューブの内部に配置されたケーブル等に影響が及ぶことを抑えることができる。
【0022】
<7>本発明の態様7に係るジャケット構造体は、態様5から態様6のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記保持部は、前記第1Jチューブを、緩衝部材を介し、保持することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、保持部は、第1Jチューブを、緩衝部材を介して保持する。これにより、例えば、第1Jチューブの表面が損傷することを抑えることができる。更に、保持部による第1Jチューブの長手方向における保持力を下げることで、第1Jチューブと保持部とを相対移動しやすくすることができる。したがって、レグと第1Jチューブとを相対移動しやすくすることができる。よって、上述したレグと第1Jチューブとを相対移動させることの作用効果をより顕著にもたらすことができる。なお、保持部が第1Jチューブを緩衝部材を介して保持しても、第1Jチューブの長手方向に直交する方向における保持力は下がらない。したがって、保持部による第1Jチューブの保持力が低下することを抑えることができる。
【0024】
<8>本発明の態様8に係るジャケット構造体は、態様7に係るジャケット構造体において、前記保持部は、2つの半割管を含み、前記第1Jチューブは、前記2つの半割管により、前記緩衝部材を介し、クランプされることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、第1Jチューブは、2つの半割管により、緩衝部材を介してクランプされる。緩衝部材を介することで、第1Jチューブの表面が損傷することを抑えることができる。更に、緩衝部材によって保持部による第1Jチューブの保持力を下げることで、第1Jチューブと保持部とを相対移動しやすくすることができる。また、2つの半割管によって第1Jチューブをクランプすることで、第1Jチューブを保持する作業を容易かつ効率的にすることができる。
【0026】
<9>本発明の態様9に係るジャケット構造体は、態様3から態様8のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記1つと、前記複数のレグのうち、前記1つとは異なる1つと、を接続する第1斜めブレース、を更に備え、前記第1支持部は、前記第1斜めブレースと、前記第1支持部が設けられた前記1つと、の格点部を含む第1所定領域には、設けられないことを特徴とする。
【0027】
ここで、第1支持部が、第1斜めブレースと、第1支持部が設けられたレグの1つとの格点部を含む第1所定領域に設けられると、例えば、洋上風車からトランジションピースに伝達された荷重の伝達経路が複雑になる。よって、ジャケット構造体の構造計算が複雑になる。ジャケット構造体の施工性も低下する。これに対し、第1支持部は、所定領域には設けられない。これにより、ジャケット構造体の構造計算が煩雑となることを抑えることができる。更に、ジャケット構造体の施工性の悪化を抑えることができる。
【0028】
<10>本発明の態様10に係るジャケット構造体は、態様9に係るジャケット構造体において、前記1つと、前記異なる1つと、を接続する第2斜めブレースであって、前記第1斜めブレースより海底地盤に近い第2斜めブレースと、前記1つに設けられ、且つ、前記第1Jチューブを支持する第2支持部と、を更に備え、前記第1支持部は、前記第2斜めブレースと、前記第1支持部が設けられた前記1つと、の格点部を含む第2所定領域には、設けられないことを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、第1支持部は、第2斜めブレースと、第1支持部が設けられた1つと、の格点部を含む第2所定領域には、設けられない。これにより、第1支持部が第1所定領域に設けられないことによる作用効果と同様の効果を享受することができる。すなわち、ジャケット構造体の構造計算が複雑となることを抑えることができる。更に、ジャケット構造体の施工性の悪化を抑えることができる。
【0030】
<11>本発明の態様11に係るジャケット構造体は、態様3から態様10のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1Jチューブと前記1つとの距離は、前記第1Jチューブと、前記複数のレグのうち、前記1つとは異なる1つと、の距離より、短いことを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、第1Jチューブとレグの1つとの距離は、第1Jチューブと、複数のレグのうち、前記レグの1つとは異なるレグの1つと、の距離より、短い。これにより、第1支持部の長さを短くすることができる。したがって、第1支持部が長くなることによって、第1支持部に求められる強度が必要以上に高くなることを抑えることができる。よって、第1支持部の費用が高くなることを抑えることができる。
【0032】
<12>本発明の態様12に係るジャケット構造体は、態様1から態様11のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1Jチューブは、鉛直方向に沿って見て、前記複数のレグに囲まれることを特徴とする。
【0033】
ここで、洋上に配置されたジャケット構造体には、流木等の漂流物や船舶等が衝突することがある。これによる衝撃を第1Jチューブが受けると、第1支持部に衝撃荷重が伝達される。これに対し、第1Jチューブは、鉛直方向に沿って見て、複数のレグに囲まれる。これにより、複数のレグによって第1Jチューブを保護することができる。具体的には、例えば、第1Jチューブに前記漂流物等が衝突することを抑えることができる。よって、第1支持部に伝達される衝撃荷重を少なくすることができる。
【0034】
<13>本発明の態様13に係るジャケット構造体は、態様3から態様11のいずれか1つに係るジャケット構造体において、海底地盤に打設された鋼管杭と、前記鋼管杭と前記1つとを接続するスカートスリーブと、前記複数のレグの下端同士を接続する水平ブレースと、を更に備え、前記第1Jチューブは、前記1つのうち前記スカートスリーブの上フランジの上方、又は、前記水平ブレースと接続されることを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、第1Jチューブは、レグの1つのうちスカートスリーブの上フランジの上方、又は、水平ブレースと接続される。つまり、第1Jチューブとレグとを接続する第1支持部は、スカートスリーブ及びスカートスリーブとレグとの接続部を避けて配置される。これにより、ジャケット構造体の構造計算が複雑となることを抑えることができる。また、ジャケット構造体の施工性の悪化を抑えることができる。
【0036】
<14>本発明の態様14に係るジャケット構造体は、態様3から態様11のいずれか1つに係るジャケット構造体において、海底地盤に打設され、内部に前記1つが挿入される鋼管杭と、前記1つの外周面と前記鋼管杭の内周面との間のグラウト充填空間の上方に設けられるフランジと、を更に備え、前記第1支持部は、前記1つの部分であって前記フランジの上の部分に設けられることを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、内部にレグの1つが挿入される鋼管杭と、レグの1つの外周面と鋼管杭の内周面との間のグラウト充填空間の上方に設けられるフランジと、を備える。これにより、海底地盤に打設された鋼管杭にレグを挿入することで、ジャケット構造体を洋上に施工することができる。また、第1支持部は、レグの1つの部分であってフランジの上の部分に設けられる。つまり、第1支持部は、鋼管杭とレグとの接続部を避けて配置される。これにより、ジャケット構造体の構造計算が複雑となることを抑えることができる。また、ジャケット構造体の施工性の悪化を抑えることができる。
【0038】
<15>本発明の態様15に係るジャケット構造体は、態様3から態様11のいずれか1つに係るジャケット構造体において、一端が前記トランジションピースに接続される第2Jチューブと、一端が前記トランジションピースに接続される第3Jチューブと、前記複数のレグのうちの前記1つとは異なる1つに設けられ、且つ、前記第2Jチューブを支持する第2支持部と、前記複数のレグのうち、前記第1支持部及び前記第2支持部が設けられていないレグに設けられ、且つ、前記第3Jチューブを支持する第3支持部と、を更に備えることを特徴とする。
【0039】
この発明によれば、複数のレグのうち、第1支持部が設けられたレグとは異なるレグの1つに設けられ、且つ、第2Jチューブを支持する第2支持部と、複数のレグのうち、第1支持部及び第2支持部が設けられていないレグに設けられ、且つ、第3Jチューブを支持する第3支持部と、を更に備える。つまり、Jチューブが接続されたレグが複数設けられる。これにより、トランジションピースの内部に設けられた各設備に接続するケーブルの本数を増やすことができる。
【0040】
<16>本発明の態様16に係るジャケット構造体システムは、洋上風車を支持するトランジションピースと、前記トランジションピースを支持する複数のレグと、一端が前記トランジションピースに接続され、内部に第1ケーブルが配置される第1Jチューブと、一端が前記トランジションピースに接続され、内部に第2ケーブルが配置される第2Jチューブと、を備えるジャケット構造体を複数備えたジャケット構造体システムであって、前記第1ケーブルは、前記トランジションピースが支持する前記洋上風車に接続され、前記第2ケーブルは、前記ジャケット構造体の1つと同一のウインドファームに存在する前記ジャケット構造体が支持する前記洋上風車の電力を、前記1つが支持する前記洋上風車の設備に供給することを特徴とする。
【0041】
この発明によれば、第1Jチューブの内部に配置された第1ケーブルは、トランジションピースが支持する洋上風車に接続される。第2Jチューブの内部に配置された第2ケーブルは、ジャケット構造体の1つと同一のウインドファームに存在するジャケット構造体が支持する洋上風車の電力を、ジャケット構造体の1つが支持する洋上風車の設備に供給する。これにより、洋上風車によって発電した電力を、効率的に第1ケーブルに集約することができる。また、ジャケット構造体システム全体のケーブルの長さを短くすることができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、ジャケット構造体に支持される設備と、ジャケット構造体の下方に配置されたケーブルとの接続性を向上させたジャケット構造体及びジャケット構造体システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明に係るジャケット構造体の斜視図である。
【
図2】
図1に示すジャケット構造体の斜視図である。
【
図4】接続部材とレグとの接続部の第1例の側面図である。
【
図5】接続部材とレグとの接続部の第2例の側面図である。
【
図6】接続部材とレグとの接続部の第3例の側面図である。
【
図8】トランジションピースの受口部とJチューブとの接続部の拡大断面図である。
【
図11】
図9に示す保持部を、保持部に支持されたJチューブの軸方向から見た断面図である。
【
図12】支持部と水平ブレースとの取り付け部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(ジャケット構造体100の第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るジャケット構造体100を説明する。
ジャケット構造体100は、例えば、海をはじめとする洋上に配置される。ジャケット構造体100は、例えば、
図1に示すように、洋上において風車(洋上風車WM)を支持するために用いられる。
ジャケット構造体100は、トランジションピース10と、レグ20と、鋼管杭30と、ブレースと、スカートスリーブ70と、Jチューブ80と、支持部90と、を備える。
【0045】
トランジションピース10は、
図1に示すように洋上風車WMを支持する。具体的には、トランジションピース10は、ジャケット構造体100の上端に配置され、洋上風車WMの下端が接続される部位である。
図2に示すように、トランジションピース10は、十字状である。トランジションピース10の十字状の各外端には、レグ20が配置される。本実施形態において、トランジションピース10の下面には、
図8に示すように、後述するJチューブ80が接続されるための受口部10sが設けられる。
【0046】
レグ20は、トランジションピース10を支持する。レグ20は、ジャケット構造体100の鉛直方向に亘って複数設けられる。本実施形態において、鉛直方向とは、洋上風車WMが設置される海面に直交する方向をいう。レグ20には、例えば鋼管が用いられる。本実施形態において、レグ20は4箇所設けられる。レグ20の上端にはトランジションピース10が接続される。レグ20の下端にはスカートスリーブ70が接続される。レグ20の詳細形状は、スカートスリーブ70の構造と併せて後述する。
【0047】
鋼管杭30は、海底地盤に打設される。ジャケット構造体100において、鋼管杭30は複数設けられる。鋼管杭30には、例えば、鋼管が好適に用いられる。鋼管杭30は、スカートスリーブ70を介して複数のレグ20のそれぞれに接続される。レグ20の1つに対して、スカートスリーブ70を介して複数の鋼管杭30が接続される。つまり、本実施形態において、レグ20の1つに対応する鋼管杭30は、複数の鋼管杭30である。鋼管杭30は、例えば、レグ20の1つに対して2箇所設けられる。あるいは、鋼管杭30は、レグ20の1つに対して3箇所以上設けられてもよい。
【0048】
ブレースは、複数のレグ20同士を接続する。ブレースは、第1斜めブレース40と、第2斜めブレース50と、水平ブレース60と、を含む。これらを区別しない場合に、ブレースという。
第1斜めブレース40は、複数のレグ20の1つと、複数のレグ20のうち、前記レグ20の1つとは異なるレグ20の1つと、を接続する。第1斜めブレース40は、トランジションピース10において複数設けられたレグ20のうち、鉛直方向を基準としたジャケット構造体100の周方向に隣り合うレグ20同士の間を接続し、ジャケット構造体100を補強する部材である。第1斜めブレース40には、例えば鋼管が用いられる。本実施形態において、第1斜めブレース40は、レグ20とレグ20との間においてX字状に構成される。
【0049】
第2斜めブレース50は、複数のレグ20の1つと、複数のレグ20のうち、前記レグ20の1つとは異なるレグ20の1つと、を接続する。第2斜めブレース50は、上述の第1斜めブレース40と同様の構成である。第2斜めブレース50は、第1斜めブレース40より海底地盤に近い位置にある点で、第1斜めブレース40と相違する。つまり、
図1及び
図2に示すように、前記X字状はジャケット構造体100の鉛直方向において2段設けられる。これに限らず、水深などの条件に応じて、前記X字状は、1段のみ設けられてもよいし、3段以上設けられてもよい。すなわち、ジャケット構造体100は、第1斜めブレース40及び第2斜めブレース50に加えて、不図示の第3斜めブレースを備えてもよい。
【0050】
水平ブレース60は、複数のレグ20の下端同士を接続する。水平ブレース60は、トランジションピース10において複数設けられたレグ20のうち、鉛直方向を基準としたジャケット構造体100の周方向に隣り合うレグ20同士の間を接続し、ジャケット構造体100を補強する部材である。水平ブレース60には、例えば鋼管が用いられる。水平ブレース60は、軸方向が水平に設けられる。
【0051】
スカートスリーブ70は、鋼管杭30と1つとを接続する。具体的には、スカートスリーブ70は、複数のレグ20のうちの1つと、レグ20の1つに対応する複数の鋼管杭30と、を接続する。本実施形態において、スカートスリーブ70は、上述のように4箇所設けられたレグ20のそれぞれに1つずつ設けられる。つまり、本実施形態において、スカートスリーブ70は4箇所設けられる。
図3に示すように、スカートスリーブ70は、スリーブ71と、上フランジ72と、下フランジ73と、ウェブ74と、リブ75と、を含む。
【0052】
スリーブ71は、筒状の部材である。スリーブ71の上端は、上フランジ72によって支持される。スリーブ71の下端は、下フランジ73によって支持される。上フランジ72及び下フランジ73のそれぞれに設けられたスリーブ71には、鋼管杭30が挿入される。つまり、レグ20の1つに対応する鋼管杭30は、スリーブ71に挿通される。スリーブ71は、例えば、
図3に示すように、レグ20の1つに対して2箇所設けられる。あるいは、スリーブ71は、レグ20の1つに対して3箇所以上設けられてもよい。
【0053】
上フランジ72は、スカートスリーブ70の上部に設けられている。上フランジ72は、板状の部材である。上フランジ72には、スリーブ71の上端が接続される。上フランジ72とスリーブ71との接続部は、例えば、溶接によって固定されることが好ましい。上フランジ72に設けられた穴の内部にスリーブ71が配置された状態で、上フランジ72とスリーブ71とが固定されていてもよい。上フランジ72の下面に、スリーブ71の上端部が突き当てられた状態で、上フランジ72とスリーブ71とが固定されていてもよい。
【0054】
上フランジ72には、レグ20の1つが接続される。上フランジ72は、レグ20の1つと、スリーブ71と、を接続する。
上フランジ72は、水平方向に対して傾斜している。
図4に示すように、上フランジ72は、上第1端部72uよりも上第2端部72dが鉛直方向の下側に位置するよう、傾斜している。上第1端部72uは、鋼管杭30の側の端部である。上第2端部72dは、レグ20の側の端部である。
また、
図6に示すように、上フランジ72は、水平に設けられてもよい。
【0055】
ここで、レグ20には、
図4、
図5及び
図6に示すように屈曲点20Bが設けられている。ジャケット構造体100において、周方向に隣り合う2つのレグ20は、それぞれ上端同士の間隔と下端同士の間隔とが異なる。レグ20の上端同士の間隔は、トランジションピース10の大きさによって決定される。レグ20の下端同士の間隔は、ジャケット構造体100が、入力に対して十分に耐えることができる構造となるように適宜決定される。入力とは、例えば、洋上風車WMからトランジションピース10を介してジャケット構造体100に入力される転倒モーメント等である。レグ20において、屈曲点20Bの曲げ角を調整することで、上端同士の間隔と下端同士の間隔との大きさの差を調整する。
【0056】
本実施形態において、上フランジ72とレグ20の1つとの接続の様式は、上フランジ72と上述の屈曲点20Bとの位置関係によって、以下のように使い分けられる。
すなわち、
図4又は
図6に示すように、接続様式の第1例では、例えば、レグ20の1つは、上フランジ72に設けられた貫通孔72hに挿通される。この様式は、例えば、レグ20の屈曲点20Bがスカートスリーブ70よりも上側に位置し、屈曲点20Bとスカートスリーブ70とが干渉しない場合において特に好適に用いられる。
【0057】
あるいは、
図5に示すように、接続様式の第2例では、レグ20の1つは、上フランジ72によって分断される。つまり、上フランジ72に貫通孔72hを設けず、分断されたレグ20を、それぞれ上フランジ72の上面と下面にそれぞれ配置する。この場合、上フランジ72によってレグ20が分断された部位を、レグ20の屈曲点20Bとする。この様式は、第1例に比べて、屈曲点20Bの位置を低くすることができる。そのため、例えば、ジャケット構造体100の設置場所の条件によって、レグ20の1つの屈曲点20Bを可能な限り低い位置に設定する必要がある場合に特に好適に用いられる。
【0058】
レグ20の1つが上フランジ72によって分断される接続様式である第2例を採用する場合、上フランジ72により分断されるレグ20のそれぞれは、上フランジ72に溶接される。このとき、レグ20と上フランジ72とは、両側溶接されることがより好ましい。
【0059】
レグ20の1つが上フランジ72によって分断される接続様式である第2例を採用する場合、上フランジ72により分断されるレグ20のうちトランジションピース10の側に位置するレグ20の長手方向は、上フランジ72と略垂直に交わるように配置する。ここで、レグ20のバター角、すなわち、鉛直方向を基準としたレグ20の曲げ角度は、15°以下とすることが一般的である。この観点から、本実施形態において、略垂直とは、90°±8°の範囲をいう。これにより、上フランジ72により分断されるレグ20の両方が上述の範囲の最大値又は最小値となった場合でも、上述のバター角を担保する。このような位置関係とすることで、レグ20の1つの端部から上フランジ72に荷重が伝達される際に、荷重がレグ20の1つと上フランジ72との接続部においてせん断方向に作用することを防ぐ。
【0060】
ここで、
図5に示すレグ20の1つの側面視において、上フランジ72の上面と、上フランジ72により分断されるレグ20のうちトランジションピース10の側に位置するレグ20の管軸と、のなす角度を第1角度A1と呼称する。上フランジ72の下面と、上フランジ72により分断されるレグ20のうち海底地盤の側に位置するレグ20の管軸と、のなす角度を第2角度A2と呼称する。
【0061】
このとき、第1角度A1と第2角度A2とが等しい。これにより、上フランジ72によって分断されたレグ20の1つの断面形状について、トランジションピース10の側のレグ20の1つの断面と海底地盤の側のレグ20の1つの断面形状とが合同となるようにする。
また、上フランジ72により分断されるレグ20のうち海底地盤の側に位置するレグ20の長手方向は、鉛直方向と平行となるように配置する。
【0062】
下フランジ73は、スカートスリーブ70の下部に設けられている。下フランジ73は、板状の部材である。下フランジ73には、スリーブ71の下端が接続される。下フランジ73とスリーブ71との接続部は、例えば、溶接によって固定されることが好ましい。スリーブ71の下端は、下フランジ73に設けられた穴の内部に配置される。これにより、スリーブ71の下端の開口から、鋼管杭30を挿入可能とする。
【0063】
下フランジ73には、レグ20の1つが接続される。具体的には、下フランジ73の上面に、レグ20の下端が接続される。下フランジ73は、レグ20の1つと、スリーブ71と、を接続する。レグ20の1つ及びスリーブ71は、上フランジ72と下フランジ73とにより、それぞれ2箇所ずつ支持される。これにより、スカートスリーブ70は、レグ20の1つと、複数の鋼管杭30のうちレグ20の1つに対応する鋼管杭30が挿入されるスリーブ71と、を接続する。
【0064】
図4、
図5及び
図6に示すように、下フランジ73は、水平である。下フランジ73は、水面と平行である。あるいは、下フランジ73は、水面に対して傾斜していてもよい。下フランジ73が傾斜して配置される場合、下フランジ73は、例えば、下第1端部73uよりも下第2端部73dが鉛直方向の上側に位置するよう、傾斜している。あるいは、下第1端部73uよりも下第2端部73dが鉛直方向の下側に位置するよう、傾斜していてもよい。下第1端部73uは、鋼管杭30の側の端部である。下第2端部73dは、レグ20の側の端部である。
【0065】
ウェブ74は、上フランジ72と下フランジ73との間に設けられる板状の部材である。ウェブ74は、鉛直方向に立てられた状態で配置される。
図4、
図5及び
図6に示すようにウェブ74は、例えば、四角形状である。ウェブ74の上側の辺は、上フランジ72の下面に接する。ウェブ74の下側の辺は、下フランジ73の上面に接する。ウェブ74の水平方向における一方の側面は、レグ20の外周面に接する。ウェブ74の水平方向における他方の側面は、スリーブ71の外周面に接する。あるいは、
図3に示すように、ウェブ74の水平方向における両方の側面が、スリーブ71の外周面に接していてもよい。
【0066】
図4、
図5及び
図6に示すように、ウェブ74の上側の辺は、上フランジ72の傾斜に合わせて傾斜している。また、ウェブ74の下側の辺は、下フランジ73に合わせて水平である。あるいは、例えば、下フランジ73が傾斜している場合には、ウェブ74の下側の辺は、下フランジ73の傾斜に合わせて傾斜していてもよい。
【0067】
ウェブ74の上側の辺と上フランジ72の下面、ウェブ74の下側の辺と下フランジ73の上面、及びウェブ74の水平方向の両側面に位置する辺とレグ20の1つ及びスリーブ71の外周面とは、例えば、それぞれ溶接(例えば、両側溶接)により固定されることが好ましい。
【0068】
リブ75は、レグ20の1つと上フランジ72とを接続する板状の部材である。リブ75は、レグ20の1つと上フランジ72との接続を補強し、レグ20の1つから上フランジ72への荷重伝達をスムーズにする役割を有する。リブ75は、例えば、三角形状である。前記三角形状のある一辺は、レグ20の、上フランジ72よりもトランジションピース10の側に位置する外周面に配置される。前記三角形状の他の一辺は、上フランジ72の上面に配置される。リブ75と、レグ20の1つ及び上フランジ72とは、それぞれ溶接により固定されることが好ましい。リブ75は、レグ20の1つと上フランジ72の上面とを接続する。
【0069】
上述のように、レグ20には、上フランジ72の付近に屈曲点20Bが設けられることがある。このとき、スカートスリーブ70とレグ20の1つとを接続するリブ75を、レグ20の1つの屈曲点20Bに干渉させると、構造設計を行う際の条件が複雑となる。このため、リブ75の、レグ20の外周面に接する辺は、屈曲点20Bに干渉しない長さとすることが好ましい。このとき、上述のように上フランジ72が傾斜していることで、上フランジ72と屈曲点20Bとの距離を大きくすることで、リブ75の外周面に接する辺を長くすることが好ましい。
【0070】
Jチューブ80は、
図7に示すように、レグ20に沿って延びる。Jチューブ80は、例えば、内部にケーブル(海底ケーブル)が配置される。これに限らず、ジャケット構造体100の設置後に新たに設置されたジャケット構造体100から延びるケーブルを配置できるように、内部にケーブルが配置されていないJチューブ80をレグ20に設けてもよい。Jチューブ80は、ケーブルを、トランジションピース10まで導くガイドの役割を有する。トランジションピース10まで導かれたケーブルは、例えば、トランジションピース10の内部に配置された洋上風車WMの変圧器や、照明等に接続される。Jチューブ80には、例えば鋼管が用いられる。Jチューブ80とトランジションピース10とは、溶接により固定されてもよいし、固定されなくてもよい。
【0071】
Jチューブ80は、例えば、水平方向に沿って見てJ字状の形状を備える。これに限らず、Jチューブ80の詳細な形状、例えば、直線状の部位の長さや、曲がっている部位の曲率半径などは、設計基準等に則り、適宜決定されることが好ましい。したがって、Jチューブ80は、水平方向に沿って見てJ字状の形状を備えなくてもよい。
Jチューブ80は、第1Jチューブ81と、第2Jチューブ82と、第3Jチューブ83と、を備える。つまり、本実施形態において、ジャケット構造体100の備える4つのレグ20のうち、3つのレグ20にJチューブ80が設けられる。
【0072】
第1Jチューブ81は、複数のレグ20のうちの1つに設けられる。第1Jチューブ81は、一端がトランジションピース10に接続される。具体的には、第1Jチューブ81の一端は、トランジションピース10の下に接続される。
図7及び
図8に示すように、第1Jチューブ81の一端は、トランジションピース10の下面に設けられた受口部10sに差し込まれるようにして接続される。第1Jチューブ81の内部には、例えば、第1ケーブルが配置される。第1ケーブルの機能は後述する。
第1Jチューブ81は、鉛直方向に沿って見て、複数のレグ20に囲まれる。これにより、レグ20によって、第1Jチューブ81がジャケット構造体100の外側に位置しないようにする。
【0073】
第2Jチューブ82は、第1Jチューブ81と同様の構成である。第2Jチューブ82は、複数のレグ20のうち、第1Jチューブ81が設けられた1つとは異なる1つに設けられる点で、第1Jチューブ81と相違する。また、第2Jチューブ82は、内部に第2ケーブルが挿入される点で、第1Jチューブ81と相違する。第2ケーブルの機能は後述する。
【0074】
第3Jチューブ83は、第1Jチューブ81及び第2Jチューブ82と同様の構成である。第3Jチューブ83は、複数のレグ20のうち、第1Jチューブ81及び第2Jチューブ82が設けられていない1つに設けられる点で、第1Jチューブ81及び第2Jチューブ82と相違する。また、第3Jチューブ83は、内部に第3ケーブルが挿入される点で、第1Jチューブ81及び第2Jチューブ82と相違する。第3ケーブルの機能は後述する。
【0075】
支持部90は、Jチューブ80とレグ20とを接続する。これにより、支持部90は、Jチューブ80を支持する。支持部90は、第1支持部91と、第2支持部92と、第3支持部93と、を備える。
第1支持部91は、複数のレグ20のうちの1つに設けられる。第1支持部91は、第1Jチューブ81を支持する。第1支持部91は、高剛性部90aと、保持部90bと、を含む。
【0076】
高剛性部90aは、一方の端部が複数のレグ20のうちの1つに設けられる。レグ20と高剛性部90aとは、例えば、溶接によって固定されることが好ましい。高剛性部90aには、鉛直力や曲げモーメントも伝達可能となるように、より剛性が高くなる断面形状を有することが好ましい。本実施形態において、高剛性部90aには、
図9に示すように、例えば、鋼管が用いられる。高剛性部90aには、角パイプ、溶接箱型断面、H型鋼等が用いられてもよい。高剛性部90aの外径は、例えば、レグ20の外径よりも小さいことが好ましい。
【0077】
保持部90bは、高剛性部90aに設けられる。保持部90bは、第1Jチューブ81を保持する。つまり、保持部90bは、第1Jチューブ81と、レグ20に設けられた高剛性部90aとの間に設けられる。これにより、第1支持部91は、第1Jチューブ81とレグ20の1つとを接続する。
【0078】
保持部90bは、
図9に示すように、2つの半割管90b1を含む。半割管90b1の一方は、高剛性部90aに設けられる。半割管90b1の一方と高剛性部90aとは、例えば、溶接により固定されることが好ましい。半割管90b1の一方と他方とは、例えば、ボルト締結によって固定される。このとき、第1Jチューブ81は、2つの半割管90b1によりクランプされる。2つの半割管90b1は、第1Jチューブ81を、緩衝部材90cを介してクランプすることが好ましい。つまり、2つの半割管90b1と第1Jチューブ81との間には、緩衝部材90cが配置されることが好ましい。この場合の緩衝部材90cには、例えば、ネオプレーンゴム等が好適に用いられるが、その他任意の材質を適用可能である。緩衝部材90cは、例えば、波状に形成されたシート状の部材である。緩衝部材90cは、
図11に示すように、緩衝部材90cの波状が、第1Jチューブ81の周方向に沿うように配置される。
【0079】
保持部90bは、第1Jチューブ81を、第1Jチューブ81の長手方向に移動可能に保持する。具体的には、保持部90bは、第1Jチューブ81が、第1Jチューブ81が固定されたレグ20に対して、相対移動可能となるように保持する。これにより、例えば、洋上風車WMからトランジションピース10に伝達された荷重によるレグ20の変形に、第1Jチューブ81が追従して変形しないようにする。具体的には、第1Jチューブ81は、2つの半割管90b1に対して摺動可能に保持される。これにより、第1Jチューブ81が半割管90b1に対して摺動することで、第1Jチューブ81と、第1Jチューブ81が取り付けられたレグ20とを相対移動可能とする。
【0080】
上述のように、第1Jチューブ81が2つの半割管90b1に対して摺動可能に保持される場合、第1Jチューブ81の重さによっては、第1Jチューブ81を支えきれないことがある。これにより、レグ20が荷重によって変形していない状態において、第1Jチューブ81の位置が設計位置からずれた状態となることがある。これを抑えるために、
図10に示すように、複数設けられた第1支持部91の上に、第1支持部91とは異なる構成である剛結支持部90Rを設けることが好ましい。
【0081】
剛結支持部90Rは、例えば、
図10に示すように、鋼管部材により構成される。剛結支持部90Rは、レグ20の1つと第1Jチューブ81とを接続する。剛結支持部90Rは、第1Jチューブ81の重さを支える機能を有する。第1Jチューブ81の座屈の観点から、第1Jチューブ81の自重によって引張応力が発生するように、剛結支持部90Rは、レグ20の1つの上端付近に設けられることが好ましい。
剛結支持部90Rは、例えば、鋼管部材からなる。剛結支持部90Rと、レグ20及び第1Jチューブ81とは、溶接により固定されることが好ましい。これにより、Jチューブ80の重さを支えることで、第1Jチューブ81の自重によって第1Jチューブ81と2つの半割管90b1との位置がずれることを抑える。
【0082】
次に、レグ20に対する第1支持部91の取り付け位置について説明する。ここで、第1斜めブレース40とレグ20との接続部、すなわち、レグ20における第1斜めブレース40が接続されるレグキャン部分を、第1所定領域S1という。第2斜めブレース50とレグ20との接続部、すなわち、レグ20における第2斜めブレース50が接続されるレグキャン部分を、第2所定領域S2という。
【0083】
本実施形態において、第1支持部91は、レグ20の1つの長手方向に沿って、間隔をあけて複数設けられる。第1支持部91は、第1斜めブレース40と、第1支持部91が設けられたレグ20の1つと、の格点部を含む第1所定領域S1には、設けられない。第1支持部91は、第2斜めブレース50と、第1支持部91が設けられたレグ20の1つと、の格点部を含む第2所定領域S2には、設けられない。
また、第1Jチューブ81は、レグの1つのうちスカートスリーブ70の上フランジ72の上方、又は、
図12に示すように、水平ブレース60と接続される。つまり、第1支持部91は、スカートスリーブ70を避けて接続される。
【0084】
このように、レグ20に対する第1支持部91の取り付け位置は、第1斜めブレース40及び第2斜めブレース50との各点部や、スカートスリーブ70との接続部を避けて設けられる。このことで、第1支持部91が、ジャケット構造体100における洋上風車WMからトランジションピース10に伝達された荷重の伝達経路に影響を及ぼさないようにすることが好ましい。
【0085】
第1支持部91の長さが必要以上に長いと、第1Jチューブ81を保持するために必要な強度が大きくなる。これにより、重量及び費用が増加する原因となる。このため、本実施形態において、第1Jチューブ81と1つとの距離は、第1Jチューブ81と、複数のレグ20のうち、1つとは異なる1つと、の距離より、短い。このようにすることで、第1支持部91の長さを短くすることが好ましい。
【0086】
第2支持部92は、第1支持部91と同様の構成である。第2支持部92は、複数のレグ20のうち、第1支持部91が設けられた1つとは異なる1つに設けられる点で、第1支持部91と相違する。第2支持部92は、第2Jチューブ82を支持する点で、第1支持部91と相違する。
第3支持部93は、第1支持部91及び第2支持部92と同様の構成である。第3支持部93は、複数のレグ20のうち、第1支持部91及び第2支持部92が設けられていないレグ20に設けられる点で、第1支持部91及び第2支持部92と相違する。第3支持部93は、第3Jチューブ83を支持する点で、第1支持部91及び第2支持部92と相違する。
【0087】
以上説明したように、本実施形態に係るジャケット構造体100によれば、一端がトランジションピース10に接続される第1Jチューブ81を備える。これにより、第1Jチューブ81の内部にケーブルを配置することができる。また、第1Jチューブ81の内部に配置したケーブルを、トランジションピース10によって支持された洋上風車WMの接続部に接続しやすくすることができる。したがって、ジャケット構造体100に支持される設備と、ジャケット構造体100の下方に配置されたケーブルとの接続性を向上させることができる。
【0088】
ここで、トランジションピース10には、Jチューブ80の内部に配置されたケーブルを挿通するための受口部10sが設けられる。この受口部10sが、例えば、トランジションピース10の側面に設けられると、洋上風車WMからトランジションピース10に伝達された荷重をレグ20に伝達することに影響を及ぼすことがある。これに対し、トランジションピース10の下に第1Jチューブ81の一端を接続する。これにより、受口部10sをトランジションピース10の下に設けることができる。したがって、荷重の伝達経路に影響を及ぼすことを抑えることができる。
【0089】
また、トランジションピース10の内部に設けられた各設備に接続するケーブルの一部は、例えば、一部が海底地盤に配置される。これに対し、第1Jチューブ81の一端は、トランジションピース10の下に接続される。これにより、海底地盤から延びるケーブルがトランジションピース10の内部に設けられた各設備に接続されるまでの経路を短くすることができる。また、トランジションピース10の側面や上面にJチューブ80が面しないようにすることで、ジャケット構造体100の上に配置される洋上風車WMの構造を検討する際、洋上風車WMに対してJチューブ80の位置が影響することを抑えることができる。
【0090】
また、複数のレグ20のうちの1つに設けられ、且つ、第1Jチューブ81を支持する第1支持部91を更に備える。つまり、第1Jチューブ81は、第1支持部91によってレグ20の1つに取り付けられる。これにより、第1支持部91による第1Jチューブ81とレグ20との取り付けは、ジャケット構造体100を施工現場に運搬する前に、製造工場等で行うことができる。よって、第1Jチューブ81の施工性及び経済性を担保することができる。
【0091】
また、第1Jチューブ81及びレグ20は、それぞれ海底面付近からトランジションピース10に向けて延びる。つまり、第1Jチューブ81及びレグ20は、互いに沿って延びる。したがって、第1Jチューブ81をレグ20に取り付けることで、ジャケット構造体100を合理的な構造とすることができる。更に、ジャケット構造体100の設計検討の段階において、レグ20における第1支持部91の取り付け位置を容易に変更することができる。よって、ジャケット構造体100の設計検討を容易且つ効率的に行うことができる。
【0092】
また、第1支持部91は、レグ20の1つに取り付けられる高剛性部90aを含む。例えば、レグ20には、第1支持部91として鋼管が取り付けられる。これにより、例えば、第1支持部91としてレグ20に平板状の部材が取り付けられた場合と比較して、第1支持部91をレグ20に対してより強固に取り付けることができる。
【0093】
また、第1支持部91は、高剛性部90aに設けられ、且つ、第1Jチューブ81を保持する保持部90bを含む。つまり、第1Jチューブ81には、第1支持部91として保持部90bが取り付けられる。これにより、高剛性部90aのみを含む第1支持部91によってレグ20の1つと第1Jチューブ81とを接続する場合と比較して、第1Jチューブ81の接続を容易に行うことができる。
【0094】
ここで、保持部90bによって、第1Jチューブ81が、第1Jチューブ81の長手方向に移動困難の状態で保持されると、レグ20の1つと第1Jチューブ81とが、第1Jチューブ81の長手方向に相対移動困難となる。したがって、例えば、洋上風車WMからトランジションピース10に伝達された荷重によってレグ20が変形した時、第1Jチューブ81も変形する。つまり、洋上風車WMからトランジションピース10に伝達された荷重の伝達経路に、第1Jチューブ81が含まれることになる。これにより、ジャケット構造体100の構造計算が複雑になる。
【0095】
これに対し、保持部90bは、第1Jチューブ81を、第1Jチューブ81の長手方向に移動可能に保持する。これにより、例えば、洋上風車WMからトランジションピース10に伝達された荷重によってジャケット構造体100が変形した時、第1Jチューブ81と、第1Jチューブ81が取り付けられたレグ20とが相対移動する。つまり、前記荷重によって第1Jチューブ81が変形することを抑えることができる。
【0096】
したがって、洋上風車WMからトランジションピース10に伝達された荷重の伝達経路に、第1Jチューブ81が含まれないようにすることができる。これにより、ジャケット構造体100の設計検討の段階において、第1Jチューブ81を構造計算のモデルから除外することができる。よって、ジャケット構造体100の構造計算を容易かつ効率的にすることができる。また、第1Jチューブ81が荷重に対して変形しないようにすることで、第1Jチューブ81の内部に配置されたケーブル等に影響が及ぶことを抑えることができる。
【0097】
また、保持部90bは、第1Jチューブ81を、緩衝部材90cを介して保持する。これにより、例えば、第1Jチューブ81の表面が損傷することを抑えることができる。更に、保持部90bによる第1Jチューブ81の長手方向における保持力を下げることで、第1Jチューブ81と保持部90bとを相対移動しやすくすることができる。したがって、レグ20と第1Jチューブ81とを相対移動しやすくすることができる。よって、上述したレグ20と第1Jチューブ81とを相対移動させることの作用効果をより顕著にもたらすことができる。なお、保持部90bが第1Jチューブ81を緩衝部材90cを介して保持しても、第1Jチューブ81の長手方向に直交する方向における保持力は下がらない。したがって、保持部90bによる第1Jチューブ81の保持力が低下することを抑えることができる。
【0098】
また、第1Jチューブ81は、2つの半割管90b1により、緩衝部材90cを介してクランプされる。緩衝部材90cを介することで、第1Jチューブ81の表面が損傷することを抑えることができる。更に、緩衝部材90cによって保持部90bによる第1Jチューブ81の保持力を下げることで、第1Jチューブ81と保持部90bとを相対移動しやすくすることができる。また、2つの半割管90b1によって第1Jチューブ81をクランプすることで、第1Jチューブ81を保持する作業を容易かつ効率的にすることができる。
【0099】
ここで、第1支持部91が、第1斜めブレース40と、第1支持部91が設けられたレグ20の1つとの格点部を含む第1所定領域S1に設けられると、例えば、洋上風車WMからトランジションピース10に伝達された荷重の伝達経路が複雑になる。よって、ジャケット構造体100の構造計算が複雑になる。ジャケット構造体100の施工性も低下する。これに対し、第1支持部91は、所定領域には設けられない。これにより、ジャケット構造体100の構造計算が煩雑となることを抑えることができる。更に、ジャケット構造体100の施工性の悪化を抑えることができる。
【0100】
また、第1支持部91は、第2斜めブレース50と、第1支持部91が設けられた1つと、の格点部を含む第2所定領域S2には、設けられない。これにより、第1支持部91が第1所定領域S1に設けられないことによる作用効果と同様の効果を享受することができる。すなわち、ジャケット構造体100の構造計算が複雑となることを抑えることができる。更に、ジャケット構造体100の施工性の悪化を抑えることができる。
【0101】
また、第1Jチューブ81とレグ20の1つとの距離は、第1Jチューブ81と、複数のレグ20のうち、前記レグ20の1つとは異なるレグ20の1つと、の距離より、短い。これにより、第1支持部91の長さを短くすることができる。したがって、第1支持部91が長くなることによって、第1支持部91に求められる強度が必要以上に高くなることを抑えることができる。よって、第1支持部91の費用が高くなることを抑えることができる。
【0102】
ここで、洋上に配置されたジャケット構造体100には、流木等の漂流物や船舶等が衝突することがある。これによる衝撃を第1Jチューブ81が受けると、第1支持部91に衝撃荷重が伝達される。これに対し、第1Jチューブ81は、鉛直方向に沿って見て、複数のレグ20に囲まれる。これにより、複数のレグ20によって第1Jチューブ81を保護することができる。具体的には、例えば、第1Jチューブ81に前記漂流物等が衝突することを抑えることができる。よって、第1支持部91に伝達される衝撃荷重を少なくすることができる。
【0103】
また、第1Jチューブ81は、レグ20の1つのうちスカートスリーブ70の上フランジ72の上方、又は、水平ブレース60と接続される。つまり、第1Jチューブ81とレグ20とを接続する第1支持部91は、スカートスリーブ70及びスカートスリーブ70とレグ20との接続部を避けて配置される。これにより、ジャケット構造体100の構造計算が複雑となることを抑えることができる。また、ジャケット構造体100の施工性の悪化を抑えることができる。
【0104】
また、内部にレグ20の1つが挿入される鋼管杭30と、レグ20の1つの外周面と鋼管杭30の内周面との間のグラウト充填空間の上方に設けられるフランジと、を備える。これにより、海底地盤に打設された鋼管杭30にレグ20を挿入することで、ジャケット構造体100を洋上に施工することができる。また、第1支持部91は、レグ20の1つの部分であってフランジの上の部分に設けられる。つまり、第1支持部91は、鋼管杭30とレグ20との接続部を避けて配置される。これにより、ジャケット構造体100の構造計算が複雑となることを抑えることができる。また、ジャケット構造体100の施工性の悪化を抑えることができる。
【0105】
また、複数のレグ20のうち、第1支持部91が設けられたレグ20とは異なるレグ20の1つに設けられ、且つ、第2Jチューブ82を支持する第2支持部92と、複数のレグ20のうち、第1支持部91及び第2支持部92が設けられていないレグ20に設けられ、且つ、第3Jチューブ83を支持する第3支持部93と、を更に備える。つまり、Jチューブ80が接続されたレグ20が複数設けられる。これにより、トランジションピース10の内部に設けられた各設備に接続するケーブルの本数を増やすことができる。
【0106】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の第2ジャケット構造体200を、
図13を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
第2ジャケット構造体200は、トランジションピース10と、レグ20と、第2鋼管杭230(鋼管杭)と、ブレースと、第2フランジ270(フランジ)と、Jチューブ80と、支持部90と、を備える。
【0107】
第2実施形態において、ブレースは、例えば、第1斜めブレース40と、第2斜めブレース50と、水平ブレース60と、を含む。これに限らず、ブレースは、上述のいずれかのみ設けられてもよい。具体的には、例えば、第2斜めブレース50を備えず、第1斜めブレース40及び水平ブレース60のみ含んでもよい。
第2実施形態に係る第2鋼管杭230は、海底地盤に打設される点で鋼管杭30と同じであるが、内部にレグ20の1つが挿入される点で、鋼管杭30と相違する。
第2実施形態において、第2鋼管杭230に挿入されたレグ20の1つの外周面と、第2鋼管杭230の内周面との間の空間を、グラウト充填空間という。つまり、第2ジャケット構造体200において、レグ20と第2鋼管杭230とは、第2鋼管杭230の内部にレグ20が挿入された後、グラウト充填空間にグラウトを充填することで接続する。この点で、第1実施形態に係るジャケット構造体100と相違する。
【0108】
第2フランジ270は、グラウト充填空間の上方に設けられる。第2フランジ270は、レグ20に溶接等により固定される。第2フランジ270は、レグ20を第2鋼管杭230に挿入した時、第2鋼管杭230に当接する。これにより、第2フランジ270は、レグ20の第2鋼管杭230への挿入量を規制する役割を有する。第2フランジ270は、例えば、円環状である。つまり、第2フランジ270は、外縁が円状であり、中央にレグ20が挿通される孔を有する。これに限らず、第2フランジ270の外縁は、三角形、四角形又はその他の多角形であってもよい。第2フランジ270の外縁は、楕円形であってもよい。
【0109】
第2実施形態において、第1支持部91、第2支持部92、及び第3支持部93は、それぞれ複数のレグ20の1つの部分であって第2フランジ270の上の部分に設けられる。つまり、第1Jチューブ81とレグ20とを接続する第3支持部93は、鋼管杭30とレグ20との接続部を避けて配置される。
【0110】
以上説明したように、第2実施形態に係るジャケット構造体100によれば、内部にレグ20の1つが挿入される鋼管杭30と、レグ20の1つの外周面と鋼管杭30の内周面との間のグラウト充填空間の上方に設けられる第2フランジ270と、を備える。これにより、海底地盤に打設された鋼管杭30にレグ20を挿入することで、ジャケット構造体100を洋上に施工することができる。また、第1支持部91は、レグ20の1つの部分であって第2フランジ270の上の部分に設けられる。つまり、第1支持部91は、鋼管杭30とレグ20との接続部を避けて配置される。これにより、ジャケット構造体100の構造計算が複雑となることを抑えることができる。また、ジャケット構造体100の施工性の悪化を抑えることができる。
【0111】
(ジャケット構造体システム)
次に、本実施形態に係るジャケット構造体システムについて説明する。ジャケット構造体システムは、上述のジャケット構造体100又は第2ジャケット構造体200を複数備える。ジャケット構造体システムは、ジャケット構造体100のみを複数備えてもよい。ジャケット構造体システムは、第2ジャケット構造体200のみを複数備えてもよい。ジャケット構造体システムは、ジャケット構造体100及び第2ジャケット構造体200のそれぞれを複数備えてもよい。また、複数のジャケット構造体100又は第2ジャケット構造体200が設けられるウインドファーム又は海域(例えば、10km四方の海域)は、同じである。
【0112】
ジャケット構造体100又は第2ジャケット構造体200のそれぞれが備える第1ケーブルは、トランジションピース10が支持する洋上風車WMに接続される。ジャケット構造体100又は第2ジャケット構造体200のそれぞれが備える第2ケーブル及び第3ケーブルは、ジャケット構造体システムにおけるジャケット構造体100又は第2ジャケット構造体200の1つと同一のウインドファームに存在するジャケット構造体100又は第2ジャケット構造体200(例えば、ジャケット構造体100又は第2ジャケット構造体200の1つに隣接するジャケット構造体100又は第2ジャケット構造体200)が支持する洋上風車WMの電力を、前記ジャケット構造体100又は第2ジャケット構造体200の1つが支持する洋上風車WMの設備(例えば、スイッチギア)に供給する。洋上風車WMの設備は、例えば、洋上風車WMのタワー内部や、トランジションピース10の内部に配置される。
上記態様により、ジャケット構造体システムは構成される。
【0113】
以上説明したように、本実施形態に係るジャケット構造体システムによれば、第1Jチューブ81の内部に配置された第1ケーブルは、トランジションピース10が支持する洋上風車WMに接続される。第2Jチューブ82の内部に配置された第2ケーブルは、ジャケット構造体100の1つと同一のウインドファームに存在するジャケット構造体100が支持する洋上風車WMの電力を、ジャケット構造体100の1つが支持する洋上風車WMの設備に供給する。これにより、洋上風車WMによって発電した電力を、効率的に第1ケーブルに集約することができる。また、ジャケット構造体システム全体のケーブルの長さを短くすることができる。
【0114】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第1支持部91とレグ20とは、高剛性部90aを溶接することに限らず、例えば、半管状の部材を組み合わせることでクランプすることで接続されてもよい。
ジャケット構造体100の備える4つのレグ20のうち、3つのレグ20にJチューブ80が設けられると説明したが、Jチューブ80は、4つのレグ20のうち1つのみに設けられてもよいし、4つのレグ20のうち2つに設けられてもよいし、4つのレグ20のうち4つすべてに設けられてもよい。
また、ジャケット構造体100は4つのレグ20を備えると説明したが、レグ20は3つ設けられてもよいし、5つ以上設けられてもよい。
【0115】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0116】
10 トランジションピース
20 レグ
30 鋼管杭
40 ブレース
50 ブレース
60 水平ブレース
70 スカートスリーブ
71 スリーブ
72 上フランジ
72h 貫通孔
80 Jチューブ
81 第1Jチューブ
82 第2Jチューブ
83 第3Jチューブ
90 支持部
90a 高剛性部
90b 保持部
90b1 半割管
90c 緩衝部材
91 第1支持部
92 第2支持部
93 第3支持部
100 ジャケット構造体
200 第2ジャケット構造体
230 第2鋼管杭
270 第2フランジ
S1 第1所定領域
S2 第2所定領域
WM 洋上風車
【要約】
【課題】ジャケット構造体に支持される設備と、ジャケット構造体の下方に配置されたケーブルとの接続性を向上させたジャケット構造体及びジャケット構造体システムを提供することを目的とする。
【解決手段】洋上風車WMを支持するトランジションピース10と、トランジションピース10を支持する複数のレグ20と、一端がトランジションピース10に接続される第1Jチューブと、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1