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  • 特許-閉塞部材、塗工装置、及び塗工準備方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】閉塞部材、塗工装置、及び塗工準備方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/00 20060101AFI20230511BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20230511BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B05C11/00
B05C11/10
B05C5/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019082161
(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公開番号】P2020179320
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000240341
【氏名又は名称】株式会社ヒラノテクシード
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】榎本 博一
(72)【発明者】
【氏名】上田 和人
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-073951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C5/00- 5/04
7/00-21/00
B05D1/00- 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1本体と、
第1本体に組み合わさる第2本体と、
前記第1本体に設けられた塗工液の液溜め部と、
前記液溜め部から前記第1本体と前記第2本体の間に形成された前記塗工液の液通路と、
前記液通路の先端にあるスリット状の前記塗工液の吐出口と、
前記第1本体に設けられ、前記液溜め部に前記塗工液を供給する供給口と、
前記第2本体に設けられた排出口と、
を有したダイの先端にある前記吐出口を閉塞する閉塞部材であって、
前記吐出口を閉塞する閉塞板と、
前記閉塞板を前記ダイに取り付ける取り付け部材と、
を有し、
前記取り付け部材は、
前記閉塞板を支持する第1支持部と、
前記吐出口とは反対側に位置する前記ダイの背面に配される第2支持部と、
前記第1支持部と前記第2支持部とを連結する連結部と、
を有する閉塞部材。
【請求項2】
前記第2支持部は、前記閉塞板を前記ダイ側へ押圧する押圧部を有する、
請求項記載の閉塞部材。
【請求項3】
前記押圧部は、前記第2支持部に螺合する押圧ボルトであって、その先端が前記ダイの前記背面に当接される、
請求項に記載の閉塞部材。
【請求項4】
前記第1支持部は棒状であり、前記閉塞板に所定間隔毎に固定され、
前記第2支持部は棒状であり、所定間隔毎に配され、
前記連結部は棒状であって、一端に前記第1支持部が固定され、他端に前記第2支持部が固定されている、
請求項に記載の閉塞部材。
【請求項5】
前記閉塞板における前記吐出口と当接する面に、シール部材が設けられている、
請求項1に記載の閉塞部材。
【請求項6】
請求項1に記載の前記ダイと、
請求項1に記載の前記閉塞部材と、
前記ダイの前記吐出口の近傍に設けられ、回転しながらウエブを走行させるバックアップロールと、
前記排出口に接続された開閉弁と、
前記塗工液のタンクと、
前記タンク内の前記塗工液を前記ダイの前記供給口に供給するポンプと、
を有する塗工装置。
【請求項7】
前記開閉弁に排出管が接続され、
前記排出管は、前記タンク、又は、回収容器に接続されている、
請求項に記載の塗工装置。
【請求項8】
請求項1に記載の前記閉塞部材を前記取り付け部材によって前記ダイの前記吐出口に取り付け、
前記吐出口を前記閉塞板で閉塞し、
前記排出口を開状態にし、
前記供給口から前記塗工液を供給し、前記排出口から前記塗工液を排出し、
前記液溜め部と前記液通路から気泡がなくなるまで前記塗工液の供給を続ける、
塗工準備方法。
【請求項9】
請求項1に記載の前記閉塞部材を前記取り付け部材によって前記ダイの前記吐出口に取り付け、
前記吐出口を前記閉塞板で閉塞し、
前記排出口を開状態にし、
前記供給口から前記塗工液を供給し、前記排出口から前記塗工液を排出し、
前記液溜め部と前記液通路内の前記塗工液を循環させる、
塗工準備方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉塞部材、塗工装置、及び塗工準備方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バックアップロールを走行するウエブにダイから塗工を行う場合には、バックアップロールの近傍にダイを配し、ダイ内部の液溜め部にポンプから塗工液を圧送し、この液溜め部に通じるダイの吐出口からウエブに塗工液を塗工する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5593967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようにダイから塗工液をウエブに塗工する場合に、塗工開始時に塗工液に空気(気泡)が混じり、ウエブに形成された塗工部分に気泡が混じることがある。そのため、塗工前の準備作業において、ダイの吐出口を接着テープなどで塞ぎ、ダイに塗工液を供給しつつ、ダイに設けられた空気孔から塗工液を排出し、気泡が混じらなくなるまで塗工液を循環させている。
【0005】
しかし、この準備作業において、ダイの吐出口に接着テープを皺がなく、かつ、塗工液が漏れないように貼る作業は手間であり、また、接着テープの粘着力以上の液圧がかかると、塗工液が接着テープから漏れるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、ダイの吐出口を簡単、かつ、完全に閉塞できる閉塞部材、塗工装置、及び塗工準備方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態1は、第1本体と、第1本体に組み合わさる第2本体と、前記第1本体に設けられた塗工液の液溜め部と、前記液溜め部から前記第1本体と前記第2本体の間に形成された前記塗工液の液通路と、前記液通路の先端にあるスリット状の前記塗工液の吐出口と、前記第1本体に設けられ、前記液溜め部に前記塗工液を供給する供給口と、前記第2本体に設けられた排出口と、を有したダイの先端にある前記吐出口を閉塞する閉塞部材であって、前記吐出口を閉塞する閉塞板と、前記閉塞板を前記ダイに取り付ける取り付け部材と、を有し、前記取り付け部材は、前記閉塞板を支持する第1支持部と、前記吐出口とは反対側に位置する前記ダイの背面に配される第2支持部と、前記第1支持部と前記第2支持部とを連結する連結部と、を有する閉塞部材である。
【0008】
また、本発明の実施形態2は、上記実施形態1に記載の前記ダイと、上記実施形態1に記載の前記閉塞部材と、前記ダイの前記吐出口の近傍に設けられ、回転しながらウエブを走行させるバックアップロールと、前記排出口に接続された開閉弁と、前記塗工液のタンクと、前記タンク内の前記塗工液を前記ダイの前記供給口に供給するポンプと、を有する塗工装置である。
【0009】
上記実施形態1に記載の前記閉塞部材を前記取り付け部材によって前記ダイの前記吐出口に取り付け、前記吐出口を前記閉塞板で閉塞し、前記排出口を開状態にし、前記供給口から前記塗工液を供給し、前記排出口から前記塗工液を排出し、前記液溜め部と前記液通路から気泡がなくなるまで前記塗工液の供給を続ける、塗工準備方法である。
【0010】
上記実施形態1に記載の前記閉塞部材を前記取り付け部材によって前記ダイの前記吐出口に取り付け、前記吐出口を前記閉塞板で閉塞し、前記排出口を開状態にし、前記供給口から前記塗工液を供給し、前記排出口から前記塗工液を排出し、前記液溜め部と前記液通路内の前記塗工液を循環させる、塗工準備方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ダイに取り付け部材を取り付け、閉塞板によってダイの吐出口を閉塞することにより、その吐出口を完全に閉塞できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態を示す塗工装置の側面図である。
図2】閉塞部材を取り付けたダイの斜視図である。
図3】閉塞部材を取り付けたダイの側面図である。
図4】閉塞部材を取り付けた状態のダイの縦断面図である。
図5】閉塞部材を取り付けた状態のダイの前面図である。
図6】閉塞部材を取り付けた状態のダイの背面図である。
図7】閉塞部材を取り付けた状態のダイの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態の塗工装置10と、塗工装置10に用いられる閉塞部材50について図1図7を参照して説明する。
【0014】
(1)塗工装置10
塗工装置10の構成について図1図3図4図7を参照して説明する。塗工装置10は、長尺状のフィルム、布帛、金属箔、紙などのウエブWに塗工液を塗工する。
【0015】
塗工装置10は、図1に示すように、水平方向に配されたダイ12と、ダイ12の横近傍に配されたバックアップロール14とを有し、バックアップロール14の下から上に搬送されるウエブWにダイ12から塗工液を塗工する。この場合に、塗工液は、タンク16に貯留され、定量ポンプよりなるポンプ18によって、ダイ12に単位時間当たり一定の量の塗工液がタンク16から供給される。
【0016】
ダイ12は、図3図4に示すように、第1本体である下ダイ20と下ダイ20の上方に配される上ダイ22とシム40を有している。下ダイ20には、図4図7に示すように液溜め部24が左右方向(ウエブWの幅方向)に設けられ、上ダイ22によって上面が閉塞されている。下ダイ20は、前方に行くほど先細りとなり三角形を成している。また、上ダイ22も前方に行くほど先細りとなり三角形を成している。下ダイ20に上ダイ22を取り付けた場合に、液溜め部24から連通してダイ12の前端部に向かって液通路26が形成されている。この液通路26の前端部は開口し、吐出口28が形成されている。また、この吐出口28は、下ダイ20と上ダイ22の三角形の先端であり、塗工液を塗工するための刃先を構成している。また、シム40が、下ダイ20と上ダイ22の間に挟持され、液溜め部24の左右両側部と後部に位置している。
【0017】
液溜め部24の底面の左右方向における中央には、塗工液を供給するための供給口30が開口している。上ダイ22において、液溜め部24の左右両側部近傍に対応する位置には、左右一対の排出口32,32が開口している。供給口30には、ポンプ18からの供給管34が接続されている。左右一対の排出口32,32には排出管36,36がそれぞれ接続され、塗工液がタンク16に循環するように接続されている。また、左右の排出管36,36の途中には、開閉弁38,38が設けられている。
【0018】
(2)閉塞部材50
次に、ダイ12のスリット状の吐出口28を閉塞する閉塞部材50について図2図7を参照して説明する。閉塞部材50は、閉塞板52と取り付け部材66を有している。
【0019】
閉塞板52は、図2図5に示すように、吐出口28に対応するように左右方向に伸びる長方形である。図3図5に示すように、この閉塞板52の後面の吐出口28と対応する位置には、長方形のシール部材54が設けられている。このシール部材54は、シリコンパッキング、ゴムなど弾性部材であり、吐出口28を密閉できる。
【0020】
取り付け部材66について説明する。図2図5に示すように、閉塞板52の前面には、所定間隔後に縦方向に3本の棒状の第1支持部56が固定されている。3本の第1支持部56の固定位置は、閉塞板52の左右両側部と中央部が好適である。
【0021】
図2図4に示すように、3本の第1支持部56の上端から後方に向かって水平に棒状の連結部58がそれぞれ伸びている。この連結部58の前後方向の長さは、ダイ12の前後方向の長さよりも大きく形成されている。
【0022】
図2図6に示すように、3本の連結部58の後端部は、横連結部60によって一体に連結されている。また、図3図4図6に示すように、連結部58の後端部から下方に向かって棒状の第2支持部62が設けられている。この第2支持部62は、ダイ12の背面よりも後方に位置するようにしておく。
【0023】
図3図4図6に示すように、第2支持部62の下部には、前後方向に貫通する押圧ボルト64が螺合している。
【0024】
取り付け部材66は、以上により3本の第1支持部56、3本の連結部58、1本の横連結部60、3本の第2支持部62によって構成されている。
【0025】
(3)塗工装置10の塗工準備方法
次に、塗工装置10でウエブWに塗工液を塗工する前の準備方法について説明する。準備をする理由は、ダイ12の液溜め部24、液通路26内部には空気が溜まっているため、この空気を抜く必要があるからである。
【0026】
まず、バックアップロール14をダイ12から少し離した状態にする。
【0027】
次に、ダイ12の上方から閉塞部材50を取り付ける。この場合に、閉塞板52のシール部材54を、ダイ12の吐出口28の前に配し、取り付け部材66の第1支持部56、連結部58、第2支持部62とでダイ12を前後方向から挟むようにする。この場合に押圧ボルト64を緩めておく。
【0028】
次に、3本の第2支持部62にあるそれぞれの押圧ボルト64をねじ込み、3本の押圧ボルト64の先端でダイ12の背面を押圧する。これによって、ダイ12を挟む状態となり、閉塞板52のシール部材54が吐出口28を完全に密閉する。
【0029】
次に、左右の開閉弁38を開放する。
【0030】
次に、ポンプ18で塗工液を液溜め部24に供給する。そしてこの供給された塗工液が、液溜め部24を経て排出口32を通り、排出管36からタンク16に循環するようにする。
【0031】
次に、塗工液を例えば10分間循環する。すると、塗工液によって空気(気泡)が排出され、液溜め部24と液通路26内部に空気が混入しない状態となる。このとき、吐出口28は閉塞板52のシール部材54によって完全に密閉されているため、液圧が高くなっても吐出口28から塗工液が漏れない。
【0032】
次に、ポンプ18を停止させる。また、左右の開閉弁38,38を閉状態にする。
【0033】
最後に、3本の押圧ボルト64を緩め、ダイ12から閉塞部材50を取り外す。
【0034】
なお、上記説明では、塗工する前の準備方法であったが、これに加えて、塗工液の塗工をしばらく中断するときに、閉塞部材50で吐出口28を閉塞し、左右の開閉弁38を開放状態にし、塗工液を循環させてもよい。このように塗工液を循環させることにより、塗工液がダイ12の内部で固まったりしない。
【0035】
(4)塗工装置10の塗工状態
次に、塗工装置10によってウエブWに塗工液を塗工する方法について説明する。
【0036】
まず、バックアップロール14の左周面にウエブWを架け渡す。
【0037】
次に、ダイ12をバックアップロール14のウエブWの近傍に配し、ウエブWとダイ12の吐出口28の間隔を塗工厚さに設定する。
【0038】
次に、ポンプ18で塗工厚さに対応した量を定期的に供給し、また、バックアップロール14によってウエブWを下から上に搬送する。
【0039】
これによって、タンク16内の塗工液がポンプ18によってダイ12の液溜め部24に供給され、液通路26を経て吐出口28から所定の厚さでウエブWの表面に塗工される。
【0040】
これによって、空気が混じっていない、すなわち気泡のない塗工液をウエブWの表面に塗工できる。
【0041】
(5)効果
本実施形態によれば、ダイ12の吐出口28に閉塞部材50を簡単に取り付けることができる。
【0042】
閉塞板52のシール部材54は、3本の押圧ボルト64によって押圧されているため、塗工液の液圧が高くなっても吐出口28から漏れたりしない。
【0043】
(6)変更例
上記実施形態では、水平方向に配されたダイ12について説明したが、上下方向に配されたダイであっても閉塞部材50を取り付け、空気抜きを行ってもよい。
【0044】
上記実施形態では、排出口32は左右一対であったが、1箇所、又は3箇所以上設けてもよい。
【0045】
上記実施形態では、タンク16に気泡が混じる塗工液を循環させたが、特別に回収容器を設けてもよい。
【0046】
また、上記準備方法では左右の開閉弁38を同時に開状態にしたが、空気の抜ける状態に合わせて、例えば左側の開閉弁38を開状態にし、その後しばらくして右側の開閉弁38を開状態にすれば、先ず左側の空気が抜け、次に右側の空気も抜けて、空気を完全に抜くことができる。
【0047】
また、上記構成では閉塞部材50をダイ12に取り付ける取り付け部材66は、棒状の第1支持部56、連結部58、横連結部60、第2支持部62より構成されたが、ダイ12に閉塞板52を固定できる構造であれば他の構造であってもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、第1支持部56は、閉塞板52の左右両側部と中央部に設けたが、左右両側部の2箇所、又は4箇所以上設けてもよい。
【0049】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
10・・・塗工装置、12・・・ダイ、14・・・バックアップロール、16・・・タンク、18・・・ポンプ、20・・・下ダイ、22・・・上ダイ、24・・・液溜め部、26・・・液通路、28・・・吐出口、30・・・供給口、排出口・・・32、38・・・開閉弁、50・・・閉塞部材、52・・・閉塞板、54・・・シール部材、56・・・第1支持部、58・・・連結部、60・・・横連結部、62・・・第2支持部、64・・・押圧ボルト、66・・・取り付け部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7