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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】電流フローの分散に基づくアーク検出
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/12 20200101AFI20230511BHJP
   G01R 31/52 20200101ALI20230511BHJP
【FI】
G01R31/12 A
G01R31/52
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020516440
(86)(22)【出願日】2018-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 US2018055440
(87)【国際公開番号】W WO2019075217
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】62/570,959
(32)【優先日】2017-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519226506
【氏名又は名称】リテルフューズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アイブ、モハメド
(72)【発明者】
【氏名】ブラベッツ、ルドウィグ
(72)【発明者】
【氏名】ジセン、レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】ホーン、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ケルナー、トビアス
(72)【発明者】
【氏名】フォック、カルステン
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-278744(JP,A)
【文献】国際公開第2005/038475(WO,A1)
【文献】特開2007-267592(JP,A)
【文献】特表2005-535130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/12-31/20
G01R 31/50-31/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器であって、
プロセッサと、
メモリであって、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
電流センサから、複数の検知された電流値を受信することであって前記複数の検知された電流値は電源と負荷との間の電流に基づく、受信することと、
前記複数の検知された電流値間の分散を導出することと、
前記分散が閾値よりも大きいかどうかを判定することであって、前記閾値は、予め判定され、監視されている前記負荷に基づいてプログラムされる、判定することと、
前記分散が前記閾値よりも大きいという判定に基づいて、分散間隔を増分することと、
前記分散間隔に基づいて、アーク不良を示す信号を生成することと、を行わせる命令を含む、メモリと、を備える、機器。
【請求項2】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
前記複数の検知された電流値の平均を判定することと、
前記複数の検知された電流値の各々と前記平均との間の距離の二乗を合計することと、
前記合計に基づいて、前記分散を導出することと、を行わせる命令を含む、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、前記複数の検知された電流値から、少なくとも1つの外れ値を除去すること、ハイパスフィルタを用いて前記複数の検知された電流値をフィルタリングすること、又は、前記複数の検知された電流値から、少なくとも1つの外れ値を除去することと、前記ハイパスフィルタを用いて前記複数の検知された電流値をフィルタリングすることと、の両方、を行わせる命令を含む、請求項1または2に記載の機器。
【請求項4】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、前記複数の検知された電流値にわたる標準偏差に基づいて、前記複数の検知された電流値から、前記少なくとも1つの外れ値を除去することを行わせる命令を含む、請求項3に記載の機器。
【請求項5】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、40キロヘルツ(kilo Hertz、kHz)~200kHzの間のカットオフ周波数を有する前記ハイパスフィルタに基づいて、前記複数の検知された電流値をフィルタリングすることを行わせる命令を含む、請求項3に記載の機器。
【請求項6】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、機械学習モデルに基づいて、前記アーク不良を示す前記信号を生成することを行わせる命令を含み、前記機械学習モデルへの入力が、前記分散間隔であり、前記機械学習モデルからの出力が、前記信号である、請求項1から5のいずれか一項に記載の機器。
【請求項7】
前記機械学習モデルが、回帰型ニューラルネットワークを有する、請求項に記載の機器。
【請求項8】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、前記分散が前記閾値以下であるという判定に基づいて、前記分散間隔をリセットすることを行わせる命令を含む、請求項からのいずれか一項に記載の機器。
【請求項9】
システムであって、
電源及び少なくとも1つの負荷に結合するための電流センサと、
ロジックと、
を備え、
記ロジックが、
前記電流センサから、前記電源と前記少なくとも1つの負荷との間の電流に対応する複数の電流値を受信することと、
前記複数の電流値間の分散を導出することと、
前記分散が閾値よりも大きいかどうかを判定することであって、前記閾値は、予め判定され、監視されている前記少なくとも1つの負荷に基づいてプログラムされる、判定することと、
前記分散が前記閾値よりも大きいという判定に基づいて、分散間隔を増分することと、
前記分散間隔に基づいて、アーク不良を示す信号を生成することと、を行、システム。
【請求項10】
前記ロジックが、
前記複数の電流値の平均を判定することと、
前記複数の電流値の各々と前記平均との間の距離の二乗を合計することと、
前記合計に基づいて、前記分散を導出することと、を行わせるためのものである、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ロジックが、前記複数の電流値から、少なくとも1つの外れ値を除去すること、ハイパスフィルタを用いて前記複数の電流値をフィルタリングすること、又は、前記複数の電流値から、少なくとも1つの外れ値を除去することと、前記ハイパスフィルタを用いて前記複数の電流値をフィルタリングすることと、の両方、を行うためのものであり、前記ロジックが、前記複数の電流値にわたる標準偏差に基づいて、前記複数の電流値から、前記少なくとも1つの外れ値を除去することを行うためのものであり、前記ロジックが、40キロヘルツ(kHz)~200kHzの間のカットオフ周波数を有する前記ハイパスフィルタに基づいて、前記複数の電流値をフィルタリングすることを行うためのものである、請求項または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ロジックが、
前記分散が前記閾値以下であるという判定に基づいて、前記分散間隔をリセットすること、を行うためのものである、請求項から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ロジックが、機械学習モデルに基づいて、前記アーク不良を示す前記信号を生成するためのものであり、前記機械学習モデルへの入力が、前記分散間隔であり、前記機械学習モデルからの出力が、前記信号である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記機械学習モデルが、回帰型ニューラルネットワークを有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記電源が、48ボルトの自動車配電システム内の直流電流電源である、請求項から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
方法であって、
電源及び少なくとも1つの負荷に結合された電流センサを介して、複数の検知された電流値を測定することと、
前記複数の電流値間の分散を導出することと、
前記分散が閾値よりも大きいかどうかを判定することであって、前記閾値は、予め判定され、監視されている前記少なくとも1つの負荷に基づいてプログラムされる、判定することと、
前記分散が前記閾値よりも大きいという判定に基づいて、分散間隔を増分することと、
前記分散間隔に基づいて、アーク不良を示す信号を生成することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記複数の電流値の平均を判定することと、
前記複数の電流値の各々と前記平均との間の距離の二乗を合計することと、
前記合計に基づいて、前記分散を導出することと、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の電流値にわたる標準偏差に基づいて、前記複数の電流値から、少なくとも1つの外れ値を除去すること、40キロヘルツ(kHz)~200kHzの間のカットオフ周波数を有するハイパスフィルタに基づいて、前記複数の電流値をフィルタリングすること、又は、前記複数の電流値にわたる標準偏差に基づいて、前記複数の電流値から、少なくとも1つの外れ値を除去することと、40キロヘルツ(kHz)~200kHzの間のカットオフ周波数を有するハイパスフィルタに基づいて、前記複数の電流値をフィルタリングすることと、の両方、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記分散が前記閾値以下であるという判定に基づいて、前記分散間隔をリセットすることと、
機械学習モデルに基づいて、前記アーク不良を示す前記信号を生成することであって、前記機械学習モデルへの入力が、前記分散間隔であり、前記機械学習モデルからの出力が、前記信号である、生成することと、を含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、「Arc Detection Based on Variance of Current Flow」と題する2017年10月11日に出願された米国仮出願第62/570,959号の利益を主張し、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、電流アークを検出することに関し、具体的には、回路内の電流アークを検出することに関する。
【背景技術】
【0003】
配電システムは、多くの施設において見出される。例えば、居住用建物、商業用建物、産業施設、自動車、飛行機、船舶、列車などはすべて、通常、何らかのタイプの配電システムを有する。配電システムにおける様々な不良は、アーク放電の発生に繋がる可能性があり、アーク放電はシステムへの火災及び/又は熱損傷のリスクを伴う。
【0004】
多くの自動車は、現在、12ボルトの配電システムを使用している。この電圧では、アーク放電のリスクは低くなる。そのため、現在の多くの自動車は、アーク検出及び/又はアーク保護デバイスを含んでいない。しかしながら、現代の自動車は、配電システム内の電圧を増加させている。例えば、現代の一部の自動車は、48ボルトの配電システムで設計されている。更に、電気自動車及びハイブリッド自動車は、一般的な12ボルトの自動車配電システムよりもはるかに高い電圧を有する配電システムを有することが多い。これらのより高い電圧では、アーク放電の可能性及びそれに関連するリスクが増加する。したがって、自動車におけるアーク検出の必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】電流分散アーク不良検出器を含む配電システムの第1の例を示す。
【0006】
図2】電流分散アーク不良検出器を含む配電システムの第2の例を示す。
【0007】
図3】電流分散アーク不良検出器の第1の例を示す。
【0008】
図4】電流分散アーク不良検出器の第2の例を示す。
【0009】
図5】電流分散に基づいて、アーク不良を検出するためのロジックフローを示す。
【0010】
図6A】電流分散に基づいて、アーク不良を検出することに関連付けられた測定及び/又は導出されたメトリックの例示的な時間曲線を示す。
図6B】電流分散に基づいて、アーク不良を検出することに関連付けられた測定及び/又は導出されたメトリックの例示的な時間曲線を示す。
図6C】電流分散に基づいて、アーク不良を検出することに関連付けられた測定及び/又は導出されたメトリックの例示的な時間曲線を示す。
図6D】電流分散に基づいて、アーク不良を検出することに関連付けられた測定及び/又は導出されたメトリックの例示的な時間曲線を示す。
【0011】
図7】電流分散からアーク不良を検出するための例示的な機械学習モデルを示す。
【0012】
図8】例示的な一実施形態による記憶媒体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
電流アーク検出器及び電流アークを検出する方法が提供される。本明細書に詳述される実施形態は、自動車配電システムの文脈で説明される。しかしながら、これは、表示の利便性及び明瞭性のために行われ、限定するものではない。本明細書に詳述される電流分散アーク検出器及び関連する方法を提供して、例えば、航空電子機器、航空宇宙空間、住居施設、商業施設、又は配電システム内でアーク検出が所望される他の施設など、自動車以外の他の領域に実装されている配電システム内のアークを検出することができる。
【0014】
一般に、配電システムは、直列アーク又は並列アークのいずれかを生じさせ得る。直列アーク放電では、主電流は、供給された電気負荷を通って流れ続け、したがって、予想される公称電流値を超えて増加しないため、直列アーク放電不良の検出が困難になる。並列アーク放電では、接続された負荷に平行な新たな電流経路が形成される。新たな電流経路のインピーダンスに応じて、アーク放電電流は、短絡電流値に到達することができ、従来の回路保護システムによって検出され得る。しかしながら、測定された電流が定義された閾値に到達しない場合、並列アーク放電は、気付かないままであり得る。したがって、多くの従来のデバイスは、アーク放電電流が閾値を下回るため、及び/又は正常動作状態の電流とは区別することができないため、高インピーダンスシステムにおけるアーク放電を検出することができない。
【0015】
アーク放電は、通常、外乱の生成及び広範な周波数スペクトルの電磁放射を伴う。これらの外乱に関連するアークシグネチャは、アークを検出するために使用される。しかしながら、自動車システム内のアーク検出を複雑にすることは、自動車の動力配電システム内の多くの電気負荷の動作状態が多様な時間電流曲線に繋がるという事実がある。多くの負荷は、異なる過渡的挙動でオン及びオフに切り替えられる。パルス変調された制御負荷又はスイッチングコンバータは、配電システム内に多数の外乱を引き起こす。これらの要因はすべて、明確で一貫性のあるアークシグネチャを判定するのが困難であるため、アーク検出を複雑にする。
【0016】
従来のアーク検出システムとは別の複雑さは、交流(alternating current、AC)回路内のアーク検出でしばしば行われるように、電圧及び電流の周期性に基づいて、直流(direct current、DC)回路内のアーク放電を検出することができないことである。
【0017】
したがって、現代の自動車配電システム及び他のそのような配電システムに好適な電流アーク検出デバイス及び方法が必要とされている。
【0018】
図1は、例示的な一実施形態による配電システム100を示す。配電システム100は、いくつかの負荷120に結合された電池110を含む。一般に、配電システム100は、自動車両に実装され得る。電池110は、単一の電池又はいくつかの電池であってもよい。例えば、電池110は、直列、並列、又は直列及び並列接続の何らかの組み合わせで結合された電池バンクであり得る。電池110は、様々なタイプの電池のうちのいずれであってもよい。例えば、電池110は、鉛酸ベースの電池、ニッケルカドミウム(nickel-cadmium、NiCad)ベースの電池、ニッケル金属水素化物ベースの電池、リチウムイオン(lithium-ion、Li-ion)ベースの電池、リチウムイオンポリマーベースの電池、亜鉛空気ベースの電池、又は溶融塩電池であり得る。例は、この文脈において限定されない。
【0019】
負荷120は、電池110から電力を引き出すように配置された様々な負荷のうちのいずれかであり得る。すなわち、負荷120は、自動車配電システムなどの配電システムにおけるDC負荷であり得る。例えば、負荷120は、任意の数又は組み合わせのモータ、リレー、ポンプ、安全デバイス、娯楽デバイスなどであり得る。例は、この文脈において限定されない。
【0020】
電流分散アーク不良検出器130は、電池110と負荷120との間に結合される。一般に、電流分散アーク不良検出器130は、電池110と負荷120のうちの1つ(又はそれ以上)との間の電流アーク不良を検出するように配置される。加えて、電流分散アーク不良検出器130は、負荷120のうちの1つ(又はそれ以上)と接地との間の電流アーク不良を検出するように配置される。本明細書で使用するとき、電流アーク不良は、電気アークをもたらす空気の抵抗の電気的破壊である。アーク不良は、配電システム100に十分な電圧が存在し、より低い電圧又は接地までの経路が存在する場合に発生し得る。このようなアーク不良の例は、直列アーク不良、並列アーク不良、及び接地アーク不良である。
【0021】
電流分散アーク不良検出器130は、周期的な電流測定の分散に基づいて、配電システム100内のアーク不良を検出するように構成されている。電流分散アーク不良検出器130は、電池110と負荷120との間の電流フローを繰り返し測定し、繰り返し測定された電流フロー値の値間の分散を導出し、電池110と負荷120のうちの1つ(又はそれ以上)との間に、又は負荷120のうちの1つ(又はそれ以上)と導出された分散に基づいた接地との間に、電流アーク不良が存在するかどうかを判定することができる。
【0022】
いくつかの実施例では、電流分散アーク不良検出器130は、電池といくつかの負荷120との間の電流を繰り返し測定して、配電システム100内のいずれか1つの負荷分岐上のアーク不良の存在を判定するように配置され得る。
【0023】
図2は、例示的な一実施形態による配電システム200を示す。配電システム200は、いくつかの負荷220に結合されたソース210を含む。この実施例では、ソース210は、交流(AC)電源である。ソース210は、単相ソース、又は複数(例えば、3つなど)相ソースであり得る。一般に、配電システム200は、例えば、産業、商業、住居、輸送などの様々な施設のうちのいずれかで実装され得る。
【0024】
負荷220は、電源210から電力を引き出すように配置された様々な負荷のいずれかであり得る。一般に、負荷220は、配電システム内のAC負荷であり得る。例えば、負荷220は、任意の数又は組み合わせのモータ、リレー、ポンプ、安全デバイス、娯楽デバイスなどであり得る。例は、この文脈において限定されない。
【0025】
電流分散アーク不良検出器230は、ソース210と負荷220との間に結合される。一般に、電流分散アーク不良検出器230は、ソース210と負荷220のうちの1つ(又はそれ以上)との間の電流アーク不良を検出するように配置される。一実施例として、配電システム200内のアーク不良は、ソース210の位相間、ソース210の位相と接地との間、又はソース210の位相と中性との間で発生し得る。更に、アーク不良は、負荷220間、又は1つ(又はそれ以上)の負荷220と接地との間で発生し得ることに留意されたい。例えば、アーク不良は、負荷220がソース210に結合されているパネル内で生じ得る。電流分散アーク不良検出器230は、いかなるそのようなアーク不良も検出するように配置され得る。
【0026】
電流分散アーク不良検出器230は、周期的な電流測定値の分散に基づいて、配電システム200内のアーク不良を検出するように構成されている。電流分散アーク不良検出器230は、ソース210と負荷220との間の電流フローを繰り返し測定し、繰り返し測定された電流フロー値の値間の分散を導出し、ソース210と負荷220のうちの1つとの間に、又は負荷220のうちの1つと導出された分散に基づいた接地との間に、電流アーク不良が存在するかどうかを判定することができる。
【0027】
いくつかの実施例では、電流分散アーク不良検出器230は、ソース210といくつかの負荷220との間の電流を繰り返し測定して、配電システム200内のいずれか1つの負荷分岐上のアーク不良の存在を判定するように配置され得る。
【0028】
図3図4は、電流分散アーク不良検出器300及び400の例示的実施形態をそれぞれ示す。電流分散アーク不良検出器300及び400は、例えば、電流分散アーク不良検出器130、230などとして、配電システム100及び/又は200に実装され得る。しかしながら、電流分散アーク不良検出器300及び400は、便宜上の目的であり、限定ではないが、図1の配電システム100を参照して説明されることに留意されたい。注目すべきことに、電流分散アーク不良検出器300及び400は、例えば、図2の配電システム200など、図1に示される配電システム100とは異なる配電システム内に実装され得る。そのため、電池、DCソース、又は配電システム100から他のタイプの特徴への言及は、例としてのみ行われ、限定するものではない。
【0029】
より具体的に図3を参照すると、電流分散アーク不良検出器300が示されている。電流分散アーク不良検出器300は、配電システム内のソース及び負荷にそれぞれ結合することができる端子302及び304を含む。例えば、端子302は、電池110に結合することができ、一方、端子304は、図1の配電システム100から1つ(又はそれ以上)の負荷120に結合することができる。電流分散アーク不良検出器300は、端子302と304との間に直列に結合された電流計310を含む。電流計310は、端子302と304との間を流れる電流を測定するように配置される。したがって、例えば、電流計310は、電池110と1つ(又はそれ以上)の負荷120との間を流れる電流などの、配電システム内のソースと負荷との間を流れる電流を測定することができる。いくつかの実施例では、電流計210は、ホール効果センサ、シャント、又はロゴスキーコイルであってもよい。しかしながら、特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、電流を測定するように配置された他の電流センサデバイス及び/又は回路を実装することができる。
【0030】
電流分散アーク検出器300は、プロセッサ320及びメモリ330を更に含む。プロセッサ320は、例えば、マイクロプロセッサ、汎用プロセッサ、特定用途向け集積回路、又はフィールドプログラマブルゲートアレイなどの様々なプロセッサのうちのいずれかとすることができる。メモリ330は、非一時的な方式で、命令332、機械学習モデル334、及び分散閾値336を記憶するように配置された様々なコンピュータ可読媒体のいずれかとすることができる。
【0031】
命令332は、プロセッサ320によって実行されたときに、電流分散アーク不良検出器300に、本明細書に記載されるような様々なアクションのいずれかを実施させる、プロセッサ320によって実行可能な命令を含むことができる。命令332は、本明細書に詳述されるように、電流分散アーク不良検出器300が、アーク不良を検出することができるように配置された電流分散アーク不良検出器300のファームウェアとすることができる。
【0032】
機械学習モデル334は、本明細書に詳述されるように、電流分散アーク不良検出器300にアーク不良を検出させるための、プロセッサ320によって実行可能な機械学習モデルとすることができる。例えば、機械学習モデル334は、ニューラルネットワーク、ファジーロジックモデル、畳み込みネットワーク、又は本明細書に詳述されるように、アーク不良を検出するように訓練された他のそのようなモデルであり得る。
【0033】
動作中、プロセッサ320は、命令332を実行する際に、電流計310に、端子302と304との間を流れる電流を繰り返し測定させることができる。いくつかの実施例では、プロセッサ320は、命令332を実行する際に、電流計310に、端子302と304との間を流れる電流を周期的に測定させることができる。特定の実施例として、プロセッサ320は、命令332を実行する際に、電流計310に、毎秒0.1~5メガサンプル(mega-samples、MS/秒)の間のサンプリング速度で、端子302と304との間を流れる電流を測定させることができる。いくつかの実装形態では、プロセッサ320は、命令332を実行する際に、電流計310に、1MS/秒のサンプリング速度で、端子302と304との間を流れる電流を測定させることができる。プロセッサ320は、命令332を実行する際に、メモリ330に、繰り返し(又は周期的に)測定された電流値をサンプリングされた電流値331として記憶することができる。
【0034】
プロセッサ320は、命令332を実行する際に、サンプリングされた電流値から外れ値を識別及び除去することができる。いくつかの実装形態では、プロセッサ320は、命令332を実行する際に、最近の電流値の範囲(例えば、250~100,000個など)など、サンプリングされた電流値の一部分から外れ値を識別及び除去する。特定の実施例では、プロセッサ320は、命令332を実行する際に、サンプリングされた電流値から直近の1,000個のサンプルを処理することができ、1,000個の直近のサンプルから外れ値を識別及び除去することができる。いくつかの実施形態では、外れ値は、データセット内の標準偏差の2倍の信頼区間(例えば、直近の1,000個のサンプリングされた電流値331など)に基づいて、識別及び除去される。プロセッサ320は、命令332を実行する際に、メモリ330に、処理された電流値333として外れ値が除去された電流値のサブセットを記憶することができる。
【0035】
いくつかの実施例では、プロセッサ320は、命令332を実行する際に、サンプリングされた電流値331を事前にフィルタリングすることができる。プロセッサ320は、命令332を実行する際に、上述のように外れ値を識別及び除去する前及び/又はそれと共に、サンプリングされた電流値331に、ハイパスフィルタリングなどのフィルタリングを適用し得る。特定の実施例では、プロセッサ320は、命令332を実行する際に、40キロヘルツ(kilo Hertz、kHz)~200kHzの間のカットオフ周波数を有するハイパスフィルタをサンプリングされた電流値331に適用し得る。
【0036】
プロセッサ320は、命令332を実行する際に、処理された電流値333の分散を導出し、計算し、又は判定することができ、メモリ330に、導出された分散分散335として記憶することができる。プロセッサ320は、命令332を実行する際に、各値と値の平均との間の二乗距離の合計として分散を導出することができるか、又は、
【数1】
式中、Xは、処理された電流値333の値であり、μは、処理された電流値333の平均であり、Nは、処理された電流値333のセット内の値の数である。プロセッサ320は、命令332を実行する際に、分散335が分散閾値336を超えるかどうかを判定することができる。プロセッサ320は、命令332を実行する際に、分散335が分散閾値336を超えるという判定に基づいて、分散間隔337を増分させる。いくつかの実施例では、分散間隔337は、プロセッサ320が、分散335が分散閾値336を超えると判定する各サイクルで0.001増分する。プロセッサ320は、命令332を実行する際に、分散335が分散閾値336を超えないという判定に基づいて、分散間隔337をゼロにリセットすることができる。いくつかの実施例では、分散閾値336は、アーク放電が存在しない、監視対象の負荷分岐の正常動作中に観測される分散の最大レベルとすることができる。別の言い方をすれば、分散閾値336は予め判定され、アーク放電のために監視されるタイプ及び/又は特定の回路に基づいてプログラムされてもよい。
【0037】
プロセッサ320は、機械学習モデル334を実行する際に、分散間隔337に基づいて、端子302及び304に対応する配電線内にアーク不良が存在するかどうかを判定することができる。例えば、プロセッサ320は、機械学習モデル334を実行する際に、判定された分散間隔337に基づいて、電池110と負荷120のうちの1つとの間(又は負荷(複数可)120と接地との間)のアーク不良を検出することができる。これは、例えば、図5及び図6A図6Dを参照して、以下でより詳細に説明される。
【0038】
より具体的には図4を参照すると、電流分散アーク不良検出器400が示されている。電流分散アーク不良検出器400は、配電システム内のソース及び負荷にそれぞれ結合することができる端子402及び404を含む。例えば、端子402は、電池110に結合することができ、一方、端子404は、図1の配電システム100から1つ(又はそれ以上)の負荷120に結合することができる。電流分散アーク不良検出器400は、端子402と404との間に直列に結合された電流計410を含む。電流計410は、端子402と404との間を流れる電流を測定するように配置される。したがって、電流計410は、電池110と1つ(又はそれ以上)の負荷120との間を流れる電流などの、配電システム内のソースと負荷との間を流れる電流を測定することができる。いくつかの実施例では、電流計410は、ホール効果センサ、シャント、又はロゴスキーコイルであってもよい。
【0039】
電流分散アーク不良検出器400は、蓄電池420と、外れ値除去回路430と、分散導出回路440と、分散間隔回路450と、フィルタ460と、を更に含む。更に、電流分散アーク不良検出器400は、本明細書に記載される値を記憶するように配置されたメモリ(例えば、レジスタ、フラッシュ、ランダムアクセスメモリなど)を含み得る。しかしながら、便宜上の目的で、メモリはこの図内に示されていない。
【0040】
蓄電池420は、サンプリングされた電流値421を蓄積するように配置される。サンプリングされた電流値421は、繰り返し基準で電流計410によって測定された電流値とすることができる。繰り返し基準は、周期的とすることができる。例えば、蓄電池420は、測定された電流値を毎秒0.1~5メガサンプル(MS/秒)の間のサンプリング速度で記憶するように配置することができる。いくつかの実装形態では、蓄電池420は、測定された電流値を1MS/秒のサンプリング速度で記憶するように配置することができる。蓄電池420は、測定された電流値をサンプリングされた電流値421として記憶することができる。いくつかの実施例では、蓄電池420は、例えば、250~100,000個などの指定された数の測定された電流値を記憶するように配置することができる。特定の実施例では、蓄電池420は、1,000個の測定された電流値をサンプリングされた電流値421として記憶することができる。蓄電池420は、測定された電流値を記憶するレジスタ又はバッファと共に配置され得る。例えば、蓄電池420は、電流計410によって測定された直近の(例えば、1,000個など)電流値を記憶するように配置された先入れ先出し方式(first in first out、FIFO)のバッファを含み得る。
【0041】
電流分散アーク不良検出器400は、任意選択的に、電流計410と蓄電池420との間に配置されたハイパスフィルタ470を含み得る。ハイパスフィルタ470は、例えば、40kHz~200kHzの間のカットオフ周波数で配置されたバターワースフィルタ(又は同様のもの)であり得る。ハイパスフィルタ470は、電流計410によって測定された生電流値をフィルタリングし、カットオフ周波数を超える電流値のみを蓄電池420に通過させるように実装し得る。
【0042】
外れ値除去回路430は、サンプリングされた電流値421から外れ値を識別及び除去するように配置される。いくつかの実施形態では、外れ値除去回路430は、データセット内の標準偏差の2倍の信頼区間(例えば、サンプリングされた電流値421)に基づいて外れ値を除去し、サンプリングされた電流値を処理された電流値433として、除去された外れ値と共に(例えば、メモリなど)に記憶する。いくつかの実施例では、外れ値除去回路430は、サンプリングされた電流値を平均し、サンプリングされた電流値のうちの1つを定義された平均の限界外に除去するように配置されたゲート、トランジスタ、及び/又はレジスタからなるロジック回路とすることができる。別の実施例として、外れ値除去回路430は、前出のように、サンプリングされた電流値421から処理された電流値433を生成するように配置されたFPGAとすることができる。
【0043】
分散導出回路440は、処理された電流値433の分散を導出、計算、又は判定することができ、導出された分散分散445として記憶することができる。分散導出回路440は、各値と値の平均との間の二乗距離の合計として分散を導出することができるか、又は、
【数2】
【0044】
式中、Xは、処理された電流値433の値であり、μは、処理された電流値433の平均であり、Nは、処理された電流値433のセット内の値の数である。いくつかの実施例では、分散導出回路440は、処理された電流値間の分散を判定し、導出された分散分散445として、(例えば、メモリなど内に)記憶するように配置されたゲート、トランジスタ、及び/又はレジスタからなるロジック回路とすることができる。別の実施例として、分散導出回路440は、前出のように、処理された電流値433から分散445を生成するように配置されたFPGAとすることができる。
【0045】
分散間隔回路450は、分散445が分散閾値452を超えるという判定に基づいて、分散間隔457を増分させることができる。いくつかの実施例では、分散間隔457は、分散間隔回路450が、分散445が分散閾値452を超えると判定する各サイクルで0.001増分する。加えて、分散間隔回路450は、分散445が分散閾値452を超えないという判定に基づいて、分散間隔457をゼロにリセットすることができる。いくつかの実施例では、分散閾値452は、アーク放電が存在しない、監視対象の負荷分岐の正常動作中に観測される分散の最大レベルとすることができる。別の言い方をすれば、分散閾値452は予め判定され、アーク放電のために監視されるタイプ及び/又は特定の回路に基づいてプログラムされてもよい。
【0046】
フィルタ460は、分散間隔457の入力に基づいて、アーク検出信号469を出力することができる。いくつかの実施例では、フィルタ460は、ローパスフィルタとして動作するように配置された機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク、畳み込みネットワーク、ファジーロジックモデルなど)とすることができる。別の実施例として、フィルタ460は、分散間隔457からアーク検出信号469を出力するように調整されたローパスフィルタとすることができる。
【0047】
図5は、本明細書に記載される、電流分散アーク不良検出器によって実装することができるロジックフロー500を示す。例えば、ロジックフロー500は、電流分散アーク不良検出器130、電流分散アーク不良検出器230、電流分散アーク不良検出器300、及び/又は電流分散アーク不良検出器400によって実装することができる。加えて、ロジックフロー500は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されるものとは異なる電流分散アーク不良検出器によって実装され得る。
【0048】
ロジックフロー500は、電流分散アーク不良検出器330を参照して、更に図6A図6Dを参照して説明される。図6A図6Dは、本開示に従って測定及び/又は判定され得るいくつかの信号の波形又は時間曲線を示す。例えば、図6Aは、測定された負荷電流の時間曲線610を示し、図6Bは、導出された分散の時間曲線620を示し、図6Cは、判定された分散間隔の時間曲線630を示し、図6Dは、アーク検出信号の時間曲線640を示す。
【0049】
ロジックフロー500は、ブロック510で開始し得る。ブロック510「ソースと負荷との間の電流値を周期的に測定する」において、ソースと負荷との間の電流値が周期的に測定される。例えば、プロセッサ320は、命令332を実行する際に、電流計310に、ソース(例えば、電池110)と負荷(例えば、負荷120)との間の電流値を周期的に測定させることができる。これらの周期的に測定された電流値は、サンプリングされた電流値331として記憶することができる。図6Aは、ソースと負荷との間の周期的に測定された電流値611を示す、例示的な時間曲線610を示す。
【0050】
ブロック520「周期的に測定された電流値の分散を導出する」に続き、周期的に測定された電流値の分散が導出され得る。例えば、プロセッサ320は、命令332を実行する際に、サンプリングされた電流値331、又はブロック510で測定された値の分散を導出することができる。図6Bは、ソースと負荷との間の周期的に測定された電流値611の導出された分散621を示す、例示的な時間曲線620を示す。
【0051】
判定ブロック530、「閾値分散よりも大きい分散であるか?」に続き、分散が閾値分散よりも大きいかどうかを判定することができる。例えば、プロセッサ320は、命令332を実行する際に、ブロック520で導出された分散が閾値分散値よりも大きいかどうかを判定することができる。ロジックフロー500は、判定ブロック530からブロック540又はブロック550のいずれかに続けることができる。ブロック540「分散間隔を増分させる」において、プロセッサ320は、命令332を実行する際に、導出された分散が閾値分散よりも大きいという判定に基づいて、分散間隔を増分させることができる。逆に、ブロック550「分散間隔をリセットする」において、プロセッサ320は、命令332を実行する際に、導出された分散が閾値以下であるという判定に基づいて、分散間隔をリセットすることができる。図6Cは、導出された分散が閾値以下である場合にリセットされる、増分した分散間隔621に対応する分散間隔信号631を示す例示的な時間曲線630を示す。図示されるように、分散間隔信号631は、信号の「歯」がアーク放電の存在下でより大きくなり得る「鋸歯」信号の外観を有する。
【0052】
ロジックフロー500は、ブロック540及びブロック550の両方から、ブロック560「分散間隔に基づいて、ソースと負荷との間のアークを検出する」へと続き、アーク不良が、分散間隔に基づいて検出され得る。プロセッサ320は、機械学習モデル334を実行する際に、分散間隔に基づいてアーク不良を検出することができる。図6Dは、分散間隔信号631から生成されたアーク不良信号641を示す例示的な時間曲線640を示す。別の言い方をすれば、時間曲線640は、時間曲線630の分散間隔信号631を機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワークなど)に入力することによって生成された信号に対応して、本明細書に詳述されるように、導出された分散及び増分した分散間隔に基づいて、アーク放電の存在を検出することができる。
【0053】
ロジックフロー500は、検出されたアークを消すためのブロックを更に含んでもよい。例えば、ロジックフロー500は、スイッチ又はアーク保護デバイスを開放させ、それにより、電流フローを切り替えて、検出されたアークを消すためのブロックを含み得る。
【0054】
図7は、本開示による例示的な機械学習モデル700を示す。機械学習モデル700は、機械学習モデル334、フィルタ460などとして実装することができる。すなわち、機械学習モデル700は、分散間隔(例えば、分散間隔337、分散間隔457など)に基づいて、アーク不良を検出するための信号を検出又は出力するように配置することができる。この図に示される機械学習モデル700は、単一の隠れ層を有する回帰型ニューラルネットワークである。機械学習モデル700は、異なるタイプのニューラルネットワークであり得、あるいは異なる数の隠れ層又は異なる数のノードなどの異なる配置を有し得ることに留意されたい。一般に、機械学習モデル700は、入力として分散間隔731を取り、不良信号741を出力する。入力731は、接続部790を介して接続されたノード780で処理される。各接続部790において、接続部への入力は、重み(weight、W)によってスケーリングされ、次いで、ノードでの起動機能によって処理される。複数の起動機能を利用することができるが、ここでは網羅的なリストは提供されない。更に、事前入力の反復は、ループ792によって考慮される。したがって、入力731は、機械学習モデル700に入力される。例えば、Xが時間Tに対する分散間隔Xの時系列を表すとする。分散間隔731Xは、接続部790-11及び790-12によってスケーリングされ、次いでノード780-11及び780-12によって処理される機械学習モデル700に入れることができる。ノード780-11及び780-12はまた、前の時間におけるそれぞれのノードからの出力(例えば、入力Xt-1から得られるノードの出力)を入力として受容する。ノード780-11及び780-12からの出力は、接続部790-12及び790-22によってスケーリングされ、次いでノード780-21によって処理される。ノード780-21からの出力は、不良信号741である。
【0055】
各接続790がスケーリングする重みWは、機械学習モデル700の訓練段階中に学習される。機械学習モデル700は、例えば、既知のアーク不良に対応する分散間隔信号などを含むデータセットから、従来の機械学習訓練技術を使用して訓練されてもよい。別の言い方をすれば、機械学習モデル700は、ノード内の重みが、本明細書に詳述されるように、アーク閃光を検出するために許容可能な解決策に収束するまで、反復することができる。そのため、機械学習モデル700は、本明細書に詳述されるように、電流分散アーク不良検出器の動作中の分散間隔731信号に基づいて、アーク不良の存在を示すように検出するか、(又は不良信号741を出力する)ように「訓練」されてもよい。
【0056】
図8は、記憶媒体800の一実施形態を示す。記憶媒体800は、製造品を含んでもよい。いくつかの実施例では、記憶媒体800は、光学、磁気、又は半導体記憶装置などの任意の非一時的なコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体を含んでもよい。記憶媒体800は、様々なタイプのプロセッサ実行可能命令又は機械学習モデル802を記憶してもよい。例えば、記憶媒体800は、本明細書に記載されるプロセッサ(複数可)(例えば、プロセッサ320など)に結合することができ、一方で、そのようなプロセッサ(複数可)は、命令及び/又は機械学習モデルを実行するように配置することができる。一実施例として、記憶媒体800は、ロジックフロー500を実装するための様々なタイプのコンピュータ実行可能命令を記憶してもよい。別の実施例として、記憶媒体800は、機械学習モデル334を表す説明又は値を記憶してもよい。別の実施例として、記憶媒体800は、フィルタ460を表す説明又は値(例えば、接続重み、ノード、起動機能など)を記憶してもよい。別の実施例として、記憶媒体800は、機械学習モデル700を表す説明又は値を記憶してもよい。加えて、記憶媒体800は、機械学習モデル又はフィルタを実行するためのコンピュータ実行可能命令を記憶してもよい。
【0057】
コンピュータ可読又は機械可読記憶媒体の実施例としては、揮発性メモリ又は不揮発性メモリ、取り外し可能又は取り外し不可能メモリ、消去可能又は消去不可能メモリ、書き込み可能又は再書き込み可能メモリなどを含む、電子データを記憶することができる任意の有形媒体を含んでもよい。コンピュータ実行可能命令の実施例としては、ソースコード、コンパイル済みコード、解釈済みコード、実行可能コード、静的コード、動的コード、オブジェクト指向コード、視覚コードなどの任意の好適なタイプのコードを含んでもよい。例は、この文脈において限定されない。
【0058】
電流分散アーク不良検出器、及び電流分散に基づいてアーク不良を検出する関連する方法が、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、当業者であれば、本出願の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更がされ得、等価物が置換され得ることが理解されるであろう。特許請求の範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を上記で開示された教示に適合させるために、他の修正がなされてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8