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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】車両用ドアフレーム
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20230511BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B60J5/04 P
B60J5/00 Q
B60J5/04 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018192128
(22)【出願日】2018-10-10
(65)【公開番号】P2020059405
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 純
(72)【発明者】
【氏名】坂田 哲規
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/176004(WO,A1)
【文献】特開2014-019273(JP,A)
【文献】実開昭55-024413(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第00708014(EP,A1)
【文献】特開昭58-224076(JP,A)
【文献】特開2014-180973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/04
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピラーと、
前記ピラーの下部と接続され車両前後方向に延びた横架部材と、
を備え、
前記ピラーと前記横架部材とが、複数の溶接ビードによって接合され、
前記溶接ビードは、それぞれ、他の溶接ビードおよび当該他の溶接ビードの延長線から外れ、
前記ピラーは、フレームの内周の一部である内周面と、閉断面部と、前記閉断面部に接続され車幅方向に延びる第一壁と、前記第一壁に接続され車両前後方向に延びる第二壁と、を有し、
前記横架部材は、前記内周面に近付くように延びる第一延部と、前記第一延部から前記内周面を超えて延びる第二延部と、を有し、
前記第一延部には、車幅方向における一方向である第一方向に凹む凹部と、前記凹部と隣接して前記第一方向の反対方向である第二方向に突出する凸部と、が設けられ、
前記複数の溶接ビードのうち少なくとも一つは、前記内周面と前記凸部の前記第二方向に向く面とを接合し、
前記第二延部は、前記車幅方向において前記第二壁の前記第二方向に向く面と重なり、
前記複数の溶接ビードのうち少なくとも一つは、前記第二延部前記第二壁の前記第二方向に向く面とを接合した、車両用ドアフレーム。
【請求項2】
前記複数の溶接ビードは、車両前後方向、車幅方向、および上下方向のうち少なくとも一方向に離間した、請求項1に記載の車両用ドアフレーム。
【請求項3】
前記横架部材には、切欠または穴が設けられ、
前記複数の溶接ビードのうちの少なくとも一つは、前記切欠または前記穴の縁と前記ピラーとを接合した、請求項1又は2に記載の車両用ドアフレーム。
【請求項4】
前記横架部材とは分離され車両用ドアを車体とロックするロック機構を取り付けるロックブラケットを備えた、請求項1~のうちいずれか一つに記載の車両用ドアフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドアフレームの下側かつ後側のコーナー部において、ピラーとウエストレインフォースとを溶接する車両用ドアフレームが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-19273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記車両用ドアフレームでは、ピラーとウエストレインフォースとを1箇所で溶接しているため、仕様によっては溶接部分における剛性や強度を確保し難くなる虞があった。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、下側かつ後側のコーナー部の溶接部分における剛性や強度を確保しやすい車両用ドアフレームを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用ドアフレームは、例えば、ピラーと、上記ピラーの下部と接続され車両前後方向に延びた横架部材と、を備え、上記ピラーと上記横架部材とが、複数の溶接ビードによって接合され、上記溶接ビードは、それぞれ、他の溶接ビードおよび当該他の溶接ビードの延長線から外れ、上記ピラーは、フレームの内周の一部である内周面と、閉断面部と、上記閉断面部に接続され車幅方向に延びる第一壁と、上記第一壁に接続され車両前後方向に延びる第二壁と、を有し、上記横架部材は、上記内周面に近付くように延びる第一延部と、上記第一延部から上記内周面を超えて延びる第二延部と、を有し、上記第一延部には、車幅方向における一方向である第一方向に凹む凹部と、上記凹部と隣接して上記第一方向の反対方向である第二方向に突出する凸部と、が設けられ、上記複数の溶接ビードのうち少なくとも一つは、上記内周面と上記凸部の上記第二方向に向く面とを接合し、上記第二延部は、上記車幅方向において上記第二壁の上記第二方向に向く面と重なり、上記複数の溶接ビードのうち少なくとも一つは、上記第二延部と上記第二壁の上記第二方向に向く面ピラーとを接合している。
【0007】
上記車両用ドアフレームでは、例えば、上記複数の溶接ビードは、車両前後方向、車幅方向、および上下方向のうち少なくとも一方向に離間している。
【0011】
上記車両用ドアフレームでは、例えば、上記横架部材には、切欠または穴が設けられ、上記複数の溶接ビードのうちの少なくとも一つは、上記切欠または上記穴の縁と上記ピラーとを接合している。
【0012】
上記車両用ドアフレームは、例えば、上記横架部材とは分離され車両用ドアを車体とロックするロック機構を取り付けるロックブラケットを備えている。
【発明の効果】
【0013】
上記車両用ドアフレームでは、例えば、下側かつ後側のコーナー部の溶接部分における剛性や強度を確保しやすい車両用ドアフレームを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態の車両用ドアの車幅方向内側から見た模式的かつ例示的な側面図である。
図2図2は、第1実施形態の車両用ドアフレームにおいて図1のII部の模式的かつ例示的な斜視図である。
図3図3は、図2のIII-III断面図である。
図4図4は、第2実施形態の車両用ドアフレームにおいて図1のII部の模式的かつ例示的な斜視図である。
図5図5は、図4のV-V断面図である。
図6図6は、第3実施形態の車両用ドアフレームにおいて図1のII部の模式的かつ例示的な斜視図である。
図7図7は、図6のVII-VII断面図である。
図8図8は、図6のVIII-VIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。なお、本明細書において、序数は、部品や、部位、位置、方向等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0016】
以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。各実施形態によれば、同様の構成要素に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成要素については共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0017】
また、各図中には、便宜上、方向が示されている。Xは、車両前後方向における前方、Yは、車幅方向における右方、また、Zは、車両上下方向における上方を示している。車両前後方向、車幅方向、および車両上下方向は、互いに交差(直交)している。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、リヤドア100の車幅方向内側から見た側面図である。図1に示されるように、リヤドア100は、リヤドアフレーム1と、ドアパネル2と、を備えている。
【0019】
リヤドアフレーム1は、アッパフレーム11、フロントピラー12、リヤピラー13、およびウエストレインフォース14を有している。アッパフレーム11は、ウインドウパネル用の開口部の上縁1aを構成し、フロントピラー12は開口部の前縁1bを構成し、リヤピラー13は開口部の後縁1cを構成し、ウエストレインフォース14は開口部の下縁1dを構成している。リヤドアフレーム1は、車両用ドアフレームの一例である。
【0020】
アッパフレーム11、フロントピラー12、リヤピラー13、およびウエストレインフォース14は、例えば、アルミニウム合金や、鉄系材料のような金属材料によって構成されている。リヤピラー13は、例えば、アルミニウム合金の押出成形によって構成されうる。また、ウエストレインフォース14は、例えば、一つまたは複数の金属材料のプレートを屈曲しかつ接合することによって構成されうる。しかしながら、そのような構成には限定されず、アッパフレーム11、フロントピラー12、リヤピラー13、およびウエストレインフォース14は、押出成形部品や、曲げ成形部品、鋳造部品のいずれであってもよい。
【0021】
リヤピラー13の下端とウエストレインフォース14の後端とは、溶接によって接合されている。また、フロントピラー12の下部およびリヤピラー13の下部には固定部12a,13aが設けられている。これら固定部12a,13aは、ドアパネル2に、溶接等によって接合される。固定部12a,13aは、ブラケットとも称されうる。
【0022】
図2は、第1実施形態のリヤドアフレーム1における図1のII部を車幅方向内側から見た斜視図であり、図3は、図2のIII-III断面図である。
【0023】
図2に示されるように、リヤピラー13は、後側かつ下側のコーナー部1eにおいては、上下方向に略沿って延びている。具体的に、リヤピラー13は、下方へ向かうにつれて後方へ向かう方向に延びており上下方向に対して僅かに傾斜している。リヤピラー13は、例えば、アルミニウム合金の押し出し成形によって構成されている。よって、リヤピラー13の長手方向と交差する断面形状は、リヤピラー13の長手方向(方向De)の位置によらず、図3に示されている断面形状と略同様である。リヤピラー13は、ピラーの一例である。
【0024】
図3に示されるように、リヤピラー13は、閉断面部13bと、第一後壁13cと、第一内壁13dと、を備えている。閉断面部13bは、外壁13b1、第二内壁13b2、前壁13b3、および第二後壁13b4を有している。第一後壁13cは、閉断面部13bの第二後壁13b4の車幅方向内側に隣接している。第一後壁13cおよび第二後壁13b4は、略段差無く連なっている。第一後壁13cおよび第二後壁13b4は、車幅方向に略沿って延びている。具体的に第一後壁13cおよび第二後壁13b4は、車幅方向内方へ向かうにつれて後方へ向かう方向に延びており車幅方向に対して僅かに傾斜している。第一内壁13dは、第二内壁13b2から車幅方向内側に離間し、外壁13b1は第二内壁13b2から車幅方向外側に離間している。第一内壁13d、第二内壁13b2、および外壁13b1は、互いに略平行であり、前後方向に略沿って延びている。第一内壁13dは、第一後壁13cの車幅方向内側の端部から前方に延びている。すなわち、第一後壁13cと第一内壁13dとは略L字状の断面形状を構成している。
【0025】
図1に示されるように、ウエストレインフォース14は、上下方向に一定の幅で、前後方向に略沿って延びている。また、図2,3に示されるように、ウエストレインフォース14は、前後方向に略沿って延びる延部14aと、延部14aの後端に設けられた取付部14bと、を有している。取付部14bは、前部14b1と、後部14b2と、接続部14b3と、を有し、クランク状に折り曲げられており、リヤピラー13の下端部の車幅方向内側に略沿って延びている。取付部14bの少なくとも上部において、前部14b1は、リヤピラー13の第二内壁13b2の車幅方向内側に沿って延びており、後部14b2は、リヤピラー13の第一内壁13dの車幅方向内側に略沿って延びている。接続部14b3は、前部14b1の後端と後部14b2の前端とを接続しており、前後方向と交差している。図3からわかるように、延部14aは、フロントピラー12(図1)から後方へ、言い換えるとリヤピラー13の前壁13b3の前面13b31に近付くように延びている。また、取付部14bは、延部14aの後端から前面13b31を超えて後方に延びている。ここで、前面13b31は、ドアフレームの内周面の一部を構成している。すなわち、前面13b31は、内周面の一例である。また、ウエストレインフォース14は、横架部材の一例であり、延部14aは、第一延部の一例であり、取付部14bは、第二延部の一例である。
【0026】
また、図2,3に示されるように、取付部14bには、複数の開口部14c1,14c2が設けられており、各開口部14c1,14c2の縁14d1,14d2とリヤピラー13とが隅肉溶接のような溶接によって接合されている。
【0027】
前側の開口部14c1は、取付部14bの前部14b1に設けられている。前部14b1は、リヤピラー13の第二内壁13b2の車幅方向内側に沿っているため、第二内壁13b2は開口部14c1を介して車幅方向内側に露出している。また、開口部14c1は、方向Deに略沿って延びる細長い四角形状すなわち長方形状の貫通孔(穴)である。このような構成において、開口部14c1の後側の縁14d1とリヤピラー13の第二内壁13b2の内面13b21とが溶接されている。当該溶接による溶接ビード15aは、所定幅で縁14d1に略沿って、言い換えると方向Deに略沿って、延びている。
【0028】
また、後側の開口部14c2は、取付部14bの後部14b2に設けられている。後部14b2は、リヤピラー13の第一内壁13dの車幅方向内側に沿っているため、第一内壁13dは開口部14c2を介して車幅方向内側に露出している。また、開口部14c2は、方向Deに略沿って延びる細長い四角形状すなわち長方形状の貫通孔(穴)である。このような構成において、開口部14c2の前側の縁14d2とリヤピラー13の第一内壁13dの内面13d1とが溶接されている。当該溶接による溶接ビード15bは、所定幅で縁14d2に略沿って、言い換えると方向Deに略沿って、延びている。
【0029】
図2,3から明らかとなるように、複数の溶接ビード15a,15bは、互いに前後方向および車幅方向に離間しているとともに、溶接ビード15a,15bは、それぞれ、他の溶接ビード15b,15aおよび他の延長線e2,e1上から外れて位置されている。すなわち、溶接ビード15aは、他の溶接ビード15bおよび当該他の溶接ビード15bの延長線e2上から外れ、溶接ビード15bは、他の溶接ビード15aおよび当該他の溶接ビード15aの延長線e1上から外れている。
【0030】
以上、説明したように、本実施形態では、リヤピラー13(ピラー)とウエストレインフォース14(横架部材)とが、複数の溶接ビード15a,15bによって接合されており、当該溶接ビード15a,15bは、それぞれ、他の溶接ビード15b,15aおよび当該他の溶接ビード15b,15aの延長線e2,e1上から外れて位置されている。すなわち、溶接ビード15aは、他の溶接ビード15bおよび当該他の溶接ビード15bの延長線e2上から外れ、溶接ビード15bは、他の溶接ビード15aおよび当該他の溶接ビード15aの延長線e1上から外れている。このような構成によれば、例えば、一つの溶接ビードによって接合される場合に比べて、接合部位における剛性や強度が向上されやすい。また、仮に複数の溶接ビード15a,15bの延長線e1,e2が互いに重なった(一致した)場合、言い換えると、複数の溶接ビード15a,15bが略一直線上に重なった場合、当該複数の溶接ビード15a,15b回りの曲げモーメントに対する剛性および強度が弱くなる虞がある。この点、本実施形態では、溶接ビード15a,15bは、それぞれ、他の溶接ビード15b,15aおよび他の延長線e2,e1上から外れているため、曲げモーメントに対する剛性および強度が弱くなるのを抑制することができる。なお、溶接ビード15a,15bの数は、三つ以上であってもよい。
【0031】
また、本実施形態では、複数の溶接ビード15a,15bは、前後方向および車幅方向に離間している。このような構成によれば、複数の溶接ビード15a,15bをより遠くに配置することができる分、曲げモーメントに対する剛性および強度をより高めることができる。
【0032】
また、本実施形態では、溶接ビード15bは、延部14a(第一延部)からリヤピラー13の前面13b31(内周面)を超えて延びた取付部14b(第二延部)とリヤピラー13とを接合している。このような構成によれば、例えば、複数の溶接ビード15a,15bの少なくとも前後方向に離間した配置を、比較的簡素な構成によって実現することができる。
【0033】
また、本実施形態では、溶接ビード15a,15bは、ウエストレインフォース14の取付部14bに設けられた開口部14c1,14c2の縁14d1,14d2とリヤピラー13とを接合している。このような構成によれば、例えば、取付部14bに開口部14c1,14c2を設けることにより、溶接ビード15a,15bによる溶接箇所を比較的容易に確保することができる。また、本実施形態では、開口部14c1,14c2は溶接用に設けられた必要最低限の大きさの細長い穴であるため、取付部14bの剛性を比較的高くすることができる。なお、本実施形態では、一例として、縁14d1は、開口部14c1の後側の縁であり、縁14d2は、開口部14c2の前側の縁であるが、このような構成には限定されず、例えば、縁14d1は、開口部14c1の前側の縁であってもよいし、縁14d2は、開口部14c2の後側の縁であってもよい。
【0034】
また、本実施形態では、図1に示されるように、リヤドア100は、当該リヤドア100(車両用ドア)を車体(不図示)とロックするロック機構(不図示)を取り付けるロックブラケット101を、リヤピラー13とは別に、分離して備えている。仮に、リヤピラー13とロックブラケット101とが一体である場合、リヤピラー13の下端(固定部13a)とロックブラケット101との間に接続部分(架橋部分)が必要となり、その分、例えば、リヤドアフレーム1の重量や厚さが増大するような問題が生じる虞がある。この点、本実施形態によれば、リヤピラー13とロックブラケット101とが分離され、リヤピラー13とロックブラケット101との間の架橋部分が不要となるため、当該接続部分が存在することによる問題が生じるのを回避できる。なお、本実施形態では、複数の溶接ビード15a,15bは、一例として、略平行であったが、これには限定されず、複数の溶接ビード15a,15bは、ねじれの位置にあってもよいし、延長線e1,e2同士が重なってもよい。
【0035】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態のリヤドアフレーム1における図1のII部を車幅方向内側から見た斜視図であり、図5は、図4のV-V断面図である。
【0036】
本実施形態では、取付部14bには、二つの開口部14c1,14c2に替えて一つの開口部14c3が設けられている。開口部14c3は、取付部14bの上縁14eから下方に切り欠かれた切欠である。
【0037】
取付部14bの前部14b1は、リヤピラー13の前壁13b3の前面13b31の前方に隣接しており、当該前部14b1の後端(後縁)、言い換えると開口部14c3の前側の縁14d1は、当該前面13b31に突き当てられている。このような構成において、当該前側の縁14d1と当該前面13b31とが溶接されている。当該溶接による溶接ビード15aは、所定幅で縁14d1に略沿って、言い換えると方向Deに略沿って、延びている。本実施形態では、延部14aおよび前部14b1が、第一延部の一例であり、縁14d1は、端部の一例である。
【0038】
取付部14bの後部14b2は、リヤピラー13の第一内壁13dの車幅方向内側に略沿って延びている。このような構成において、開口部14c3の後側の縁14d2とリヤピラー13の第一内壁13dの内面13d1とが溶接されている。当該溶接による溶接ビード15bは、所定幅で縁14d2に略沿って、言い換えると方向Deに略沿って、延びている。
【0039】
また、取付部14bの接続部14b3は、開口部14c3の下側において、言い換えると取付部14bの下部(下半分)に存在し、前部14b1と後部14b2とを接続している。本実施形態では、接続部14b3および後部14b2が、第二延部の一例である。
【0040】
本実施形態でも、複数の溶接ビード15a,15bは、それぞれ、他の溶接ビード15b,15aおよび他の延長線e2,e1から外れている。
【0041】
以上の本実施形態では、前部14b1(第一延部)の縁14d1(端部)がリヤピラー13の前面13b31(内周面)に突き当たり、溶接ビード15aは、縁14d1と前面13b31とを接合している。このような構成によれば、溶接ビード15aによるリヤピラー13とウエストレインフォース14との接合部位における剛性や強度が向上されやすい。
【0042】
また、本実施形態では、開口部14c3は、第1実施形態の開口部14c1,14c2よりも大きい切欠である。このように、開口部14c3は切欠であってもよい。また、本実施形態の構成は、取付部14bの比較的低い剛性、例えば第1実施形態よりも低い剛性が望まれる場合に、有効である。
【0043】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態のリヤドアフレーム1における図1のII部を車幅方向内側から見た斜視図であり、図7は、図6のVII-VII断面図であり、図8は、図6のVIII-VIII断面図である。
【0044】
本実施形態では、取付部14bには、開口部14c1,14c2,14c3に替えて互いに繋がった二つの開口部14c4,14c5が設けられている。開口部14c4は、取付部14bの上側の隅部が切り欠かれた切欠であり、開口部14c5は、開口部14c4の下縁14c41から下方に切り欠かれたスリット状の切欠である。
【0045】
取付部14bの前部14b1は、第2実施形態と同様、本実施形態でも、リヤピラー13の前壁13b3の前面13b31の前方に隣接しており、当該前部14b1の後端(後縁)、言い換えると開口部14c4の前側の縁14d1は、当該前面13b31に突き当てられている。このような構成において、当該前側の縁14d1と当該前面13b31とが溶接されている。当該溶接による溶接ビード15aは、所定幅で縁14d1に略沿って、言い換えると方向Deに略沿って、延びている。本実施形態では、縁14d1は、端部の一例である。
【0046】
延部14aと前部14b1との境界には、車幅方向外側に凹む凹部14fが設けられている。凹部14fが設けられることにより、縁14d1と前面13b31との溶接時に、溶接トーチTと前部14b1とが干渉するのを抑制することができる。
【0047】
取付部14bの後部14b2は、開口部14c4よりも下側に位置され、リヤピラー13の第一内壁13dの車幅方向内側に略沿って延びている。開口部14c5は、当該後部14b2に設けられている。本実施形態でも、後部14b2は、リヤピラー13の第一内壁13dの車幅方向内側に沿っているため、第一内壁13dは開口部14c5を介して車幅方向内側に露出している。また、開口部14c5は、下縁14c41から方向Deに略沿って下方に延びる細長い四角形状すなわち長方形状の切欠である。このような構成において、開口部14c5の前側の縁14d2とリヤピラー13の第一内壁13dの内面13d1とが溶接されている。当該溶接による溶接ビード15bは、所定幅で縁14d2に略沿って、言い換えると方向Deに略沿って、延びている。なお、開口部14c5は、開口部14c4とは分離された貫通孔(穴)であってもよい。また、縁14d2は、開口部14c5の前側の縁であってもよい。
【0048】
また、取付部14bの接続部14b3は、開口部14c4の下側において、言い換えると取付部14bの中間部から下部にかけて存在し、前部14b1と後部14b2とを接続している。
【0049】
本実施形態では、複数の溶接ビード15a,15bは、互いに前後方向、車幅方向、および上下方向に離間している。そして、本実施形態でも、複数の溶接ビード15a,15bは、それぞれ、他の溶接ビード15b,15aおよび他の延長線e2,e1から外れている。
【0050】
以上の本実施形態によれば、複数の溶接ビード15a,15bは、前後方向、車幅方向、および上下方向に離間している。このような構成によれば、複数の溶接ビード15a,15bをより一層遠くに配置することができる分、曲げモーメントに対する剛性および強度をより一層高めることができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。本発明は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。これら様々な形態や変形された形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、各構成や形状等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…リヤドアフレーム(車両用ドアフレーム)、13…リヤピラー(ピラー)、13b31…前面(内周面)、14…ウエストレインフォース(横架部材)、14a…延部(第一延部)、14b1…前部(第一延部)、14b2…後部(第二延部)、14c1,14c2…開口部(穴)、14c3,14c4,14c5…開口部(切欠)、14d1…縁(端部)、14d2…縁、14f…凹部、15a,15b…溶接ビード、101…ロックブラケット、e1,e2…延長線。
図1
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図8