(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】図面検査システム、図面検査装置、図面検査方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20230511BHJP
G06F 30/12 20200101ALI20230511BHJP
【FI】
G06F30/10
G06F30/12
(21)【出願番号】P 2018234016
(22)【出願日】2018-12-14
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】飯嶋 義之
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-085077(JP,A)
【文献】特開2008-033875(JP,A)
【文献】田中成典 ほか,SXFデータから拡張DMデータへの変換技術の研究開発,知能と情報(日本知能情報ファジィ学会誌),日本,日本知能情報ファジィ学会,2011年08月15日,第23巻, 第4号,第555-571頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/10
G06F 30/12
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面データを受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記図面データの識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定する図面データ判定部と、
前記図面データによって得られる図面の座標系が
第1座標系であるか否かを判定する座標系判定部と、
前記図面に表されている
一又は複数の第1図形
を検出し、検出した一又は複数の前記第1図形の各々に関連付けられている前記
第1図形が示す対象を分類する情報である分類情報が正しいか否かを判定する図形判定部と、
前記図面データ判定部による判定結果と、前記座標系判定部による判定結果と、前記図形判定部による判定結果とに基づいて、前記図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する作成部と
を備え
、
前記座標系判定部は、前記図面の左下の座標と、右上の座標とのいずれか一方又は両方を取得し、取得した左下の前記座標と、右上の前記座標とのいずれか一方又は両方が、100の倍数でない場合には測量座標系であると判定する図面検査システム。
【請求項2】
前記図形判定部は
、検出した一又は複数の
前記第1図形の各々の識別情報と、一又は複数の前記
第1図形の各々に関連付けられている分類情報との組み合わせに基づいて、前記分類情報が正しいか否かを判定する、請求項1に記載の図面検査システム。
【請求項3】
前記図面データによって得られる図面が平面図であるか縦断図であるかを判定する図面判定部
を備え、
前記座標系判定部は、前記図面判定部が平面図であると判定した図面の座標系が
前記第1座標系であるか否かを判定する、請求項1又は請求項2に記載の図面検査システム。
【請求項4】
前記図面に表されている複数の図形のうち、高さを有する対象物に対応する
第2図形を、前記
第2図形が示す対象を分類する情報である分類情報に基づいて抽出し、抽出した前記
第2図形の全てに、三次元の座標が付されているか否かを判定する図形座標判定部
を備え、
前記作成部は、前記図形座標判定部による判定結果に基づいて、前記図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の図面検査システム。
【請求項5】
前記図面に表されている複数の図形のうち、建物に対応する
第3図形を、前記
第3図形が示す対象を分類する情報である分類情報に基づいて抽出し、抽出した前記
第3図形の輪郭が閉じているか否かを判定する図形輪郭判定部
を備え、
前記作成部は、前記図形輪郭判定部による判定結果に基づいて、前記図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の図面検査システム。
【請求項6】
前記図面に表されている複数の図形の各々の線色が、複数の図形の各々に対して予め定義されている線色と一致するか否かを判定する図形色判定部
を備え、
前記作成部は、前記図形色判定部による判定結果に基づいて、前記図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の図面検査システム。
【請求項7】
図面データを受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記図面データの識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定する図面データ判定部と、
前記図面データによって得られる図面の座標系が所定の座標系であるか否かを判定する座標系判定部と、
前記図面に表されている
一又は複数の図形
を検出し、検出した一又は複数の前記図形の各々に関連付けられている前記図形が示す対象を分類する情報である分類情報が正しいか否かを判定する図形判定部と、
前記図面データ判定部による判定結果と、前記座標系判定部による判定結果と、前記図形判定部による判定結果とに基づいて、前記図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する作成部と
を備え
、
前記座標系判定部は、前記図面の左下の座標と、右上の座標とのいずれか一方又は両方を取得し、取得した左下の前記座標と、右上の前記座標とのいずれか一方又は両方が、100の倍数でない場合には測量座標系であると判定する図面検査装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する画像検査方法であって、
図面データを受け付けるステップと、
前記受け付けるステップで受け付けた前記図面データの識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定するステップと、
前記図面データによって得られる図面の座標系が所定の座標系であるか否かを判定するステップと、
前記図面に表されている
一又は複数の図形
を検出し、検出した一又は複数の前記図形の各々に関連付けられている前記図形が示す対象を分類する情報である分類情報が正しいか否かを判定するステップと、
前記識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定するステップによる判定結果と、所定の前記座標系であるか否かを判定するステップによる判定結果と、前記分類情報が正しいか否かを判定するステップによる判定結果とに基づいて、前記図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成するステップと
を有
し、
前記所定の座標系であるか否かを判定するステップでは、前記図面の左下の座標と、右上の座標とのいずれか一方又は両方を取得し、取得した左下の前記座標と、右上の前記座標とのいずれか一方又は両方が、100の倍数でない場合には測量座標系であると判定する図面検査方法。
【請求項9】
コンピュータに、
図面データを受け付けるステップと、
前記受け付けるステップで受け付けた前記図面データの識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定するステップと、
前記図面データによって得られる図面の座標系が所定の座標系であるか否かを判定するステップと、
前記図面に表されている
一又は複数の図形
を検出し、検出した一又は複数の前記図形の各々に関連付けられている前記図形が示す対象を分類する情報である分類情報が正しいか否かを判定するステップと、
前記識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定するステップによる判定結果と、所定の前記座標系であるか否かを判定するステップによる判定結果と、前記分類情報が正しいか否かを判定するステップによる判定結果とに基づいて、前記図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成するステップと
を実行させ、
前記所定の座標系であるか否かを判定するステップでは、前記図面の左下の座標と、右上の座標とのいずれか一方又は両方を取得し、取得した左下の前記座標と、右上の前記座標とのいずれか一方又は両方が、100の倍数でない場合には測量座標系であると判定するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図面検査システム、図面検査装置、図面検査方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
調査、設計、工事などの各業務段階の最終成果の紙による納品から、電子成果品による納品へ移行している。例えば、最終成果が送電線路の平面図と縦断図とである場合には、航空測量によるアナログのトレース図面の紙による納品から、CAD(computer-aided design)などのデジタル図面での納品へと移行している。
航空測量によるアナログのトレース図面が紙によって、納品元から納品先へ納品されていたときには、納品先は、径間長、水平角、注記などを、目視で判定することで検査を行っていた。
電子成果品として、最終成果を納品する場合には、納品元は、送電線路の平面図と縦断図とを、「作業規程の準則」などの標準仕様に規定されている内容に基づいて作成し、作成した送電線路の平面図と縦断図とを納品先が要求するデータ形式に合わせて納品する。納品元が、標準仕様に基づいて送電線路の平面図と縦断図とを作成することによって、納品先は、仕様が統一されたデジタル図面を取得できるため、取得したデジタル図面に属性情報を付加すること、カスタマイズプログラムを開発することなど、デジタル図面を活用できる。
【0003】
送電線路の平面図を取得する技術に関して、一連の画像からなる入力画像から所定プレーンに沿った展開画を作成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、入力画像の所定画面から順次、画面上の所定数の所定抽出基準線に沿った線画像を抽出する抽出ステップと、抽出した線画像を合成する合成ステップとからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
納品元から納品された電子成果品であるデジタル図面を、納品先で検査する場合に、そのデジタル図面の検査項目として、測量系の座標が付与されていること、デジタル図面が三次元データであること、デジタル図面に表されている図形の輪郭が閉じていることなどが挙げられる。
デジタル図面の検査には、長時間を要するため、検査項目の少なくとの一部が行われない場合がある。仮に、送電線路の平面図と縦断図とに、山地と、山地以外の土地(以下「一般地」という)とがあると仮定し、(1)山地と一般地とに1680オブジェクト/kmの検査数があり、(2)山地に530オブジェクトの検査数があり、(3)一般地に1180オブジェクト/kmの検査数があるとする。ここで、オブジェクトとは、線、円、文字、面などの複数の要素をグループ化することで構成される図形であり、CADにおいては、ブロックと表現される。
【0006】
デジタル図面の検査を手動で行う場合に、CADで一つのオブジェクトを確認するのに30秒の検査時間を要すると仮定する。(1)と(2)と(3)とを平均した1130オブジェクト/kmの場合には、565分/kmとなり、検査時間の合計が約9時間となる。また、デジタル図面の検査を手動で行う場合には、CADの熟練した理解、操作などを要する。また、デジタル図面の検査が手動で行われる場合には、検査結果に、検査漏れ、検査ミスなどが含まれることが想定される。このため、仮に、検査結果に、検査漏れ、検査ミスなどが含まれた場合には、検査結果の信頼性に問題が生じる。
本発明は、前述した点に鑑みてなされたものであり、その目的は、図面データが所定の条件に適合するか否かの検査精度を向上できる図面検査システム、図面検査装置、図面検査方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、図面データを受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた前記図面データの識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定する図面データ判定部と、前記図面データによって得られる図面の座標系が第1座標系であるか否かを判定する座標系判定部と、前記図面に表されている一又は複数の第1図形を検出し、検出した一又は複数の前記第1図形の各々に関連付けられている前記第1図形が示す対象を分類する情報である分類情報が正しいか否かを判定する図形判定部と、前記図面データ判定部による判定結果と、前記座標系判定部による判定結果と、前記図形判定部による判定結果とに基づいて、前記図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する作成部とを備え、前記座標系判定部は、前記図面の左下の座標と、右上の座標とのいずれか一方又は両方を取得し、取得した左下の前記座標と、右上の前記座標とのいずれか一方又は両方が、100の倍数でない場合には測量座標系であると判定する図面検査システムである。
本発明の一態様の図面検査システムにおいて、前記図形判定部は、検出した一又は複数の前記第1図形の各々の識別情報と、一又は複数の前記第1図形の各々に関連付けられている分類情報との組み合わせに基づいて、前記分類情報が正しいか否かを判定する。
本発明の一態様の図面検査システムにおいて、前記図面データによって得られる図面が平面図であるか縦断図であるかを判定する図面判定部を備え、前記座標系判定部は、前記図面判定部が平面図であると判定した図面の座標系が前記第1座標系であるか否かを判定する。
本発明の一態様の図面検査システムにおいて、前記図面に表されている複数の図形のうち、高さを有する対象物に対応する第2図形を、前記第2図形が示す対象を分類する情報である分類情報に基づいて抽出し、抽出した前記第2図形の全てに、三次元の座標が付されているか否かを判定する図形座標判定部を備え、前記作成部は、前記図形座標判定部による判定結果に基づいて、前記図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する。
本発明の一態様の図面検査システムにおいて、前記図面に表されている複数の図形のうち、建物に対応する第3図形を、前記第3図形が示す対象を分類する情報である分類情報に基づいて抽出し、抽出した前記第3図形の輪郭が閉じているか否かを判定する図形輪郭判定部を備え、前記作成部は、前記図形輪郭判定部による判定結果に基づいて、前記図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する。
本発明の一態様の図面検査システムにおいて、前記図面に表されている複数の図形の各々の線色が、複数の図形の各々に対して予め定義されている線色と一致するか否かを判定する図形色判定部を備え、前記作成部は、前記図形色判定部による判定結果に基づいて、前記図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する。
【0008】
本発明の一態様は、図面データを受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた前記図面データの識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定する図面データ判定部と、前記図面データによって得られる図面の座標系が所定の座標系であるか否かを判定する座標系判定部と、前記図面に表されている一又は複数の図形を検出し、検出した一又は複数の前記図形の各々に関連付けられている前記図形が示す対象を分類する情報である分類情報が正しいか否かを判定する図形判定部と、前記図面データ判定部による判定結果と、前記座標系判定部による判定結果と、前記図形判定部による判定結果とに基づいて、前記図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する作成部とを備え、前記座標系判定部は、前記図面の左下の座標と、右上の座標とのいずれか一方又は両方を取得し、取得した左下の前記座標と、右上の前記座標とのいずれか一方又は両方が、100の倍数でない場合には測量座標系であると判定する図面検査装置である。
【0009】
本発明の一態様は、コンピュータが実行する画像検査方法であって、図面データを受け付けるステップと、前記受け付けるステップで受け付けた前記図面データの識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定するステップと、前記図面データによって得られる図面の座標系が所定の座標系であるか否かを判定するステップと、前記図面に表されている一又は複数の図形を検出し、検出した一又は複数の前記図形の各々に関連付けられている前記図形が示す対象を分類する情報である分類情報が正しいか否かを判定するステップと、前記識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定するステップによる判定結果と、所定の前記座標系であるか否かを判定するステップによる判定結果と、前記分類情報が正しいか否かを判定するステップによる判定結果とに基づいて、前記図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成するステップとを有し、前記所定の座標系であるか否かを判定するステップでは、前記図面の左下の座標と、右上の座標とのいずれか一方又は両方を取得し、取得した左下の前記座標と、右上の前記座標とのいずれか一方又は両方が、100の倍数でない場合には測量座標系であると判定する図面検査方法である。
【0010】
本発明の一態様は、コンピュータに、図面データを受け付けるステップと、前記受け付けるステップで受け付けた前記図面データの識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定するステップと、前記図面データによって得られる図面の座標系が所定の座標系であるか否かを判定するステップと、前記図面に表されている一又は複数の図形を検出し、検出した一又は複数の前記図形の各々に関連付けられている前記図形が示す対象を分類する情報である分類情報が正しいか否かを判定するステップと、前記識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定するステップによる判定結果と、所定の前記座標系であるか否かを判定するステップによる判定結果と、前記分類情報が正しいか否かを判定するステップによる判定結果とに基づいて、前記図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成するステップとを実行させ、前記所定の座標系であるか否かを判定するステップでは、前記図面の左下の座標と、右上の座標とのいずれか一方又は両方を取得し、取得した左下の前記座標と、右上の前記座標とのいずれか一方又は両方が、100の倍数でない場合には測量座標系であると判定するプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、図面データが所定の条件に適合するか否かの検査精度を向上できる図面検査システム、図面検査装置、図面検査方法、およびプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の図面検査システムの一例を示す模式図である。
【
図2】第1の実施形態の図面検査装置の一例を示すブロック図である。
【
図8】第1の実施形態の図面検査システムの動作の一例を示すシーケンスチャートある。
【
図9】第2の実施形態の図面検査装置の一例を示すブロック図である。
【
図10】第2の実施形態の図面検査システムの動作の一例を示すシーケンスチャートある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本実施形態の図面検査システム、図面検査装置、図面検査方法、およびプログラムを、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0014】
(第1の実施形態)
(図面検査システム)
本発明の実施形態の図面検査システムを、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の図面検査システムの一例を示す模式図である。本実施形態の図面検査システム1は、CADなどのコンピュータによる設計支援ツールによって作成されたデジタル図面の検査を行う。図面検査システム1は、デジタル図面の検査結果を示す情報を作成し、作成したデジタル図面の検査結果を示す情報を出力する。デジタル図面の一例として、送電線路の平面図と縦断図とを適用した場合について説明を続ける。
図面検査システム1は、端末装置10と、図面検査装置100とを含む。これらの装置は、ネットワーク50を介して互いに、接続される。ネットワーク50は、例えば、無線基地局、Wi-Fiアクセスポイント、通信回線、プロバイダ、インターネットなどを含む。なお、ネットワーク50は、一部にローカルなネットワークを含んでもよい。
端末装置10は、ユーザによって使用される装置である。端末装置10は、例えば、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどの装置である。端末装置10は、図面データを含み、図面検査装置100を宛先とする図面検査要求を作成し、作成した図面検査要求を送信する。
【0015】
図面検査装置100は、端末装置10が送信した図面検査要求を受信し、受信した図面検査要求に含まれる図面データを取得し、取得した図面データを受け付ける。図面検査装置100は、受け付けた図面データに基づいて、図面データの識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定する。図面検査装置100は、図面データの識別情報が検査対象の識別情報であると判定した場合に、その図面データによって得られる図面に表されている図形の座標系が測量座標系であるか否かを判定する。図面検査装置100は、図面データによって得られる図面に表されている図形の座標系が測量座標系であると判定した場合に、その図面に表されている一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいか否かを判定する。ここで、分類情報は、図形が示す対象を分類する情報である。図面検査装置100は、図面に表されている一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報の全てが正しいと判定した場合に、その図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する。ここで、所定の条件の一例は、「-公共測量-作業規程の準則」である。
一方、図面検査装置100は、図面データの識別情報が検査対象の識別情報でないと判定した場合と、図面データによって得られる図面の座標系が測量座標系でないと判定した場合と、図面に表されている一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報に誤っているものがあると判定した場合とのいずれかである場合に、その図面が所定の条件に不適合であることを通知する情報を作成する。
図面検査装置100は、図面が所定の条件に適合することを通知する情報と、図面が所定の条件に不適合であることを通知する情報とのいずれかを含み、端末装置10を宛先とする図面検査応答を作成し、作成した図面検査応答を送信する。
端末装置10は、図面検査装置100が送信した図面検査応答を受信し、受信した図面検査応答に含まれる図面が所定の条件に適合することを通知する情報と、図面が所定の条件に不適合であることを通知する情報とのいずれかを表示する。
以下、図面検査システム1に含まれる図面検査装置100について説明する。
【0016】
(図面検査装置100)
図2は、第1の実施形態の図面検査装置の一例を示すブロック図である。図面検査装置100は、パーソナルコンピュータ、サーバー、又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。図面検査装置100は、通信部105と、記憶部110と、操作部120と、情報処理部130と、表示部140と、各構成要素を
図2に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバスなどのバスライン150とを備える。
通信部105は、通信モジュールによって実現される。具体的には、通信部105は、LTE等の無線通信技術で無線通信を行う無線デバイスによって構成される。また、通信部105は、有線通信を行うデバイスによって構成されてもよい。通信部105は、ネットワーク50を介して、端末装置10などの外部の通信装置と通信する。具体的には、通信部105は、端末装置10が送信した図面検査要求を受信し、受信した図面検査要求を、情報処理部130へ出力する。また、通信部105は、情報処理部130が出力した図面検査応答を、端末装置10へ送信する。
【0017】
記憶部110は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置などにより実現される。記憶部110には、情報処理部130により実行されるプログラム111と、アプリ112とが記憶される。さらに、記憶部110は、図形分類コード113が記憶される。
プログラム111は、例えば、オペレーティングシステムであり、ユーザやアプリケーションプログラムとハードウェアの中間に位置し、ユーザやアプリケーションプログラムに対して標準的なインターフェースを提供すると同時に、ハードウェアなどの各リソースに対して効率的な管理を行う。
アプリ112は、図面検査装置100に、端末装置10が送信した図面検査要求を受信させる。アプリ112は、図面検査装置100に、受信させた図面検査要求に含まれる図面データを取得させ、取得させた図面データを受け付けされる。アプリ112は、図面検査装置100に、受け付けさせた図面データに基づいて、図面データの識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定させる。アプリ112は、図面検査装置100に、図面データの識別情報が検査対象の識別情報であると判定させた場合に、その図面データによって得られる図面の座標系が測量座標系であるか否かを判定させる。アプリ112は、図面検査装置100に、図面データによって得られる図面の座標系が測量座標系であると判定させた場合に、その図面に表されている一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいか否かを判定させる。アプリ112は、図面検査装置100に、一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報の全てが正しいと判定させた場合に、図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成させる。
アプリ112は、図面検査装置100に、図面データの識別情報が検査対象の識別情報でないと判定させた場合と、図面データによって得られる図面の座標系が測量座標系でないと判定させた場合と、図面に表されている一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報に誤っているものがあると判定させた場合とのいずれかである場合に、その図面が所定の条件に不適合であることを通知する情報を作成させる。
アプリ112は、図面検査装置100に、図面が所定の条件に適合することを通知する情報と、図面が所定の条件に不適合であることを通知する情報とのいずれかを含み、端末装置10を宛先とする図面検査応答を作成させ、作成させた図面検査応答を送信させる。
【0018】
(図形分類コード)
図形分類コード113は、図形の識別情報と、その図形の識別情報に対して定義された分類コード(定義分類コード)とを関連付けたテーブル形式の情報である。ここで、図形は、図面データによって得られる図面に含まれ、識別情報は、図形を識別するための情報であり、図面検査装置100によって検出される。
図3は、図形分類コードの一例を示す図である。
図3に示される例では、図形分類コード113は、図形の識別情報「****」と、定義分類コード「〇〇〇〇」とを関連付けた情報を記憶する。
図2に戻り、説明を続ける。
表示部140は、図面データによって得られる図面の検査の状況を表示する。
操作部120は、例えば、タッチパネルなどによって構成され、表示部140に表示される画面に対するタッチ操作を検出し、タッチ操作の検出結果を、情報処理部130へ出力する。
【0019】
情報処理部130の全部または一部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが記憶部110に格納されたプログラム111とアプリ112とを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。なお、情報処理部130の全部または一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
情報処理部130は、例えば、受付部131と、図面データ判定部132と、座標系判定部133と、図形判定部134と、作成部135とを備える。
受付部131は、通信部105が出力した図面検査要求を取得し、取得した図面検査要求に含まれる図面データを取得する。
図4と
図5とは、図面の一例を示す図である。
図4には送電線路の平面図が示され、
図5には送電線路の縦断図が示されている。図面データの一例は、DWG形式のファイルである。図面は、図面データを処理することによって得られる。送電線路の平面図には、道路、建物に加え、電線路と鉄塔とが表されている。さらに、鉄塔については、その緯度と経度とが示されている。送電線路の縦断図には、道路、建物の高さに加え、鉄塔の高さと、電線路とが示されている。
図面データは、一又は複数のレイヤーを含んで構成される。一又は複数のレイヤーの各々は、複数のオブジェクト(図形)が表されている。複数のオブジェクトの各々には、一又は複数の要素と、分類情報とが関連付けられている。要素の一例は、タイトル枠、区切り線、罫線、文字列などである。また、一又は複数の要素の各々には、線色が関連付けられている。線色は、背景の色とは異なる色に設定されている。例えば、背景画面が黒の場合には、オブジェクトが主構造物である場合には赤色、オブジェクトが寸法、文字である場合には白色、オブジェクトが図枠などである場合には黄色、オブジェクトがその他の構造物である場合には赤色に設定される。
図2に戻り説明を続ける。
受付部131は、図面検査要求に含まれる図面データを取得する。受付部131が受け付ける図面データに対しては、旗上げ、電通番号などの検査対象外のレイヤーが、非表示に設定されている。非表示に設定されたレイヤーは、検査対象から除かれるため、検査対象外のレイヤーを、除外できる。受付部131は、取得した図面データを受け付け、受け付けた図面データを、図面データ判定部132に出力する。
【0020】
図面データ判定部132は、受付部131が出力した図面データを取得し、取得した図面データのレイヤー名などの識別情報を検査する。具体的には、図面データ判定部132は、図面データのレイヤー名が、予め検査対象として定義されているレイヤー名(以下「定義レイヤー名」という)に含まれるか否かを判定する。ここで、定義レイヤー名には、行政界、道路、道路構造物、鉄道、鉄道構造物、建物、建物の付属構造物、建物記号、公共施設、小物体、河川、河川構造物、構囲・被覆、諸地、場地、植生、等高線、自然地形、基準点、数値地形モデル、ラスターイメージ、マスク、注記、電力、弱電流線などが含まれる。図面データ判定部132は、図面データのレイヤー名が、定義レイヤー名に含まれる場合にはレイヤー名が適合すると判定し、定義レイヤー名に含まれない場合にはレイヤー名が適合しないと判定する。図面データ判定部132は、レイヤー名が適合すると判定した場合に、図面データを、座標系判定部133に出力する。図面データ判定部132は、レイヤー名が適合しないと判定した場合に、レイヤー名が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
【0021】
座標系判定部133は、図面データ判定部132が出力した図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって得られる図面に表される図形の座標系が測量座標系、世界測地系などの予め設定された所定の座標系であるか否かを判定する。本実施形態では、所定の座標系の一例として、測量座標系と適用した場合について説明を続ける。具体的には、座標系判定部133は、図面データによって得られる図面の左下の座標と、右上の座標とのいずれか一方又は両方を取得する。座標系判定部133は、取得した左下の座標と、右上の座標とのいずれか一方又は両方が、100の倍数であるか否かを判定する。座標系判定部133は、左下の座標と、右上の座標とのいずれか一方又は両方が、100の倍数でない場合には座標系が適合すると判定し、100の倍数である場合には座標系が適合しないと判定する。測量座標系である場合には、図面の左下の座標と、右上の座標とが、100の倍数であるなどの切りのいい値であることはほとんどなく、測量座標系以外の座標系では、100の倍数であるなどの切りのいい値となることもあるためである。座標系判定部133は、座標系が適合すると判定した場合に、図面データを、図形判定部134に出力する。座標系判定部133は、座標系が適合しないと判定した場合に、座標系が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
【0022】
図形判定部134は、座標系判定部133が出力した図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって得られる図面に表されている一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいか否かを判定する。具体的には、図形判定部134は、図面に表されている一又は複数の図形を検出し、検出した一又は複数の図形の各々の識別情報と、その一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報とを取得する。図形判定部134は、取得した一又は複数の図形の各々の識別情報と、分類情報との組み合わせが、記憶部110の図形分類コード113の図形の識別情報と、定義分類コードとの組み合わせに含まれるか否かを判定する。さらに、図形判定部134は、一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が、所定のレイヤーに属しているか否かを判定する。
図形判定部134は、取得した一又は複数の図形の識別情報と、分類情報との組み合わせが、記憶部110の図形分類コード113の図形の識別情報と、定義分類コードとの組み合わせに含まれ、且つ分類情報が所定のレイヤーに属していると判定した場合には図形の分類情報が正しく、適合すると判定する。また、図形判定部134は、取得した一又は複数の図形の各々の識別情報と、分類情報との組み合わせに、記憶部110の図形分類コード113の図形の識別情報と、定義分類コードとの組み合わせに含まれないものがあり、又は分類情報が所定のレイヤーに属していないものがある判定した場合には図形の分類情報が誤っていて、適合しないと判定する。また、図形判定部134は、取得した一又は複数の図形の各々の識別情報と、分類情報との組み合わせに、記憶部110の図形分類コード113の図形の識別情報と、定義分類コードとの組み合わせに含まれないものがあり、且つ分類情報が所定のレイヤーに属していないものがあると判定した場合には図形の分類情報が誤っていて、適合しないと判定する。
図形判定部134は、図形の分類情報が適合すると判定した場合に、図形の分類情報が適合していることを示す情報を、作成部135に出力する。図形判定部134は、図形の分類情報が適合しないと判定した場合に、図形の分類情報が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
【0023】
作成部135は、図形判定部134が出力した図形の分類情報が適合していることを示す情報を取得し、取得した図形の分類情報が適合していることを示す情報に基づいて、図面の検査結果を示す報告書である図面チェックリストを作成する。作成部135は、作成した図面チェックリストを含み、端末装置10を宛先とする図面検査応答を作成し、作成した図面検査応答を、通信部105に出力する。
図6は、図面チェックリストの一例を示す図である。図面チェックリストの一例には、チェック日時と、ファイル名と、エラーの内容と、チェック結果とが含まれる。図面チェックリストが、図形の分類情報が適合していることを示す情報に基づいて作成されたものである場合には、エラーの内容として、エラーが無いことが確認できたことを示す情報が記載され、チェック結果として、「適合」が記載される。
また、作成部135は、図面データ判定部132が出力したレイヤー名が適合しないことを示す情報と、座標系判定部133が出力した座標系が適合しないことを示す情報と、図形判定部134が出力した図形の分類情報が適合しないことを示す情報とのいずれかを取得し、取得したレイヤー名が適合しないことを示す情報と、座標系が適合しないことを示す情報と、図形の分類情報が適合しないことを示す情報とのいずれかに基づいて、図面チェックリストを作成する。作成部135は、作成した図面チェックリストを含み、端末装置10を宛先とする図面検査応答を作成し、作成した図面検査応答を、通信部105に出力する。
図7は、図面チェックリストの一例を示す図である。
図7は、作成部135が、レイヤー名が適合しないことを示す情報を取得した場合に、作成部135が作成する図面チェックリストの一例を示す。図面チェックリストの一例には、チェック日時と、ファイル名と、エラーの内容と、チェック結果とが含まれる。
図面チェックリストが、レイヤー名が適合しないことを示す情報に基づいて作成されたものである場合には、エラーの内容として、レイヤー名が違うことを示す情報が記載され、チェック結果として、「不適合」が記載される。
図面チェックリストが、座標系が適合しないことを示す情報に基づいて作成されたものである場合には、エラーの内容として、座標値が測量座標系ではないことを示す情報が記載され、チェック結果として、「不適合」が記載される。
図面チェックリストが、図形の分類情報が適合しないことを示す情報に基づいて作成されたものである場合には、エラーの内容として、図形の識別情報と分類情報との組み合わせが、設定されていないことと、分類情報が規定レイヤーに属していないこととのいずれか一方又は両方を示す情報が記載され、チェック結果として、「不適合」が記載される。
【0024】
(図面検査システムの動作)
図8は、第1の実施形態の図面検査システムの動作の一例を示すシーケンスチャートある。ここでは、図面データが作成され、作成された図面データの検査を、端末装置10から図面検査装置100へ依頼する場合について説明する。
(ステップS1)
ユーザが端末装置10を操作することによって、端末装置10は、図面データを含み、図面検査装置100を宛先とする図面検査要求を作成する。
(ステップS2)
端末装置10は、作成した図面検査要求を送信する。
(ステップS3)
図面検査装置100において、通信部105は、端末装置10が送信した図面検査要求を受信し、受信した図面検査要求を、情報処理部130に出力する。情報処理部130の受付部131は、通信部105が出力した図面検査要求を取得し、取得した図面検査要求に含まれる図面データを取得する。
(ステップS4)
受付部131は、取得した図面データを受け付け、受け付けた図面データを、図面データ判定部132に出力する。
(ステップS5)
図面データ判定部132は、受付部131が出力した図面データを取得し、取得した図面データのレイヤー名を検査する。図面データ判定部132は、図面データのレイヤー名が、定義レイヤー名に含まれる場合にはレイヤー名が適合すると判定し、定義レイヤー名に含まれない場合にはレイヤー名が適合しないと判定する。図面データ判定部132は、レイヤー名が適合すると判定した場合に、図面データを、座標系判定部133に出力する。図面データ判定部132は、レイヤー名が適合しないと判定した場合に、レイヤー名が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
(ステップS6)
座標系判定部133は、図面データ判定部132が出力した図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって得られる図面に表される図形の座標系が測量座標系であるか否かを判定する。座標系判定部133は、図面に表される図形の座標系が適合すると判定した場合に、図面データを、図形判定部134に出力する。座標系判定部133は、図面に表される図形の座標系が適合しないと判定した場合に、座標系が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
【0025】
(ステップS7)
図形判定部134は、座標系判定部133が出力した図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって得られる図面に表されている一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいか否かを判定する。具体的には、図形判定部134は、図面に表されている一又は複数の図形を検出し、検出した一又は複数の図形の各々の識別情報と、その図形に関連付けられている分類情報とを取得し、取得した図形の識別情報と、分類情報との組み合わせが、記憶部110の図形分類コード113の図形の識別情報と、定義分類コードとの組み合わせに含まれるか否かを判定する。さらに、図形判定部134は、一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が、所定のレイヤーに属しているか否かを判定する。図形判定部134は、取得した一又は複数の図形の各々の識別情報と、分類情報との組み合わせが、記憶部110の図形分類コード113の図形の識別情報と、定義分類コードとの組み合わせに含まれ、且つ分類情報が所定のレイヤーに属していると判定した場合には図形の分類情報が正しく、適合すると判定する。また、図形判定部134は、取得した一又は複数の図形の各々の識別情報と、分類情報との組み合わせに、記憶部110の図形分類コード113の図形の識別情報と、定義分類コードとの組み合わせに含まれないものがあり、又は分類情報が所定のレイヤーに属していないと判定した場合には図形の分類情報が誤っていて、適合しないと判定する。また、図形判定部134は、取得した一又は複数の図形の各々の識別情報と、分類情報との組み合わせに、記憶部110の図形分類コード113の図形の識別情報と、定義分類コードとの組み合わせに含まれないものがあり、且つ分類情報が所定のレイヤーに属していないと判定した場合には図形の分類情報が誤っていて、適合しないと判定する。
図形判定部134は、図形の分類情報が適合すると判定した場合に、図形の分類情報が適合していることを示す情報を、作成部135に出力する。図形判定部134は、図形の分類情報が適合しないと判定した場合に、図形の分類情報が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
【0026】
(ステップS8)
作成部135は、図形判定部134が出力した図形の分類情報が適合していることを示す情報を取得し、取得した図形の分類情報が適合していることを示す情報に基づいて、図面チェックリストを作成する。作成部135は、作成した図面チェックリストを含み、端末装置10を宛先とする図面検査応答を作成し、作成した図面検査応答を、通信部105に出力する。
また、作成部135は、図面データ判定部132が出力したレイヤー名が適合しないことを示す情報と、座標系判定部133が出力した座標系が適合しないことを示す情報と、図形判定部134が出力した図形の分類情報が適合しないことを示す情報とのいずれかを取得し、取得したレイヤー名が適合しないことを示す情報と、座標系が適合しないことを示す情報と、図形の分類情報が適合しないことを示す情報とのいずれかに基づいて、図面チェックリストを作成する。作成部135は、作成した図面チェックリストを含み、端末装置10を宛先とする図面検査応答を作成し、作成した図面検査応答を、通信部105に出力する。
(ステップS9)
通信部105は、作成部135が出力した図面検査応答を取得し、取得した検査応答を、端末装置10に送信する。
(ステップS10)
端末装置10は、図面検査装置100が送信した図面検査応答を受信し、受信した図面検査応答に含まれる図面チェックリストを表示する。
【0027】
前述した第1の実施形態では、端末装置10から図面検査装置100に図面検査要求を
送信する場合について説明したが、この限りでない。例えば、ユーザが、図面検査装置100の操作部120を操作することによって、入力装置(図示なし)から、図面データを、図面検査装置100へ直接入力してもよい。この場合、図面検査装置100は、表示部140に、図面チェックリストを表示する。
前述した第1の実施形態では、電子成果品であるデジタル図面の一例として、送電線路の平面図と縦断図とを適用した場合について説明したが、この例に限られない。例えば、公共測量で得られる各種デジタル図面に適用できる。
前述した第1の実施形態では、図面検査装置100が、受け付けた図面データが検査対象のレイヤーであるか否かと、図面データによって得られる図面に表される図形の座標系が測量座標系であるか否かと、図面に含まれる一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいか否かとを判定する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、図面検査装置100は、受け付けた図面データが検査対象のレイヤーであるか否かと、図面データによって示される図面の座標系が測量座標系であるか否かと、図面に含まれる一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいか否かとの少なくとも一つを判定してもよい。この場合、受け付けた図面データが検査対象のレイヤーであるか否かと、図面データによって示される図面の座標系が測量座標系であるか否かと、図面に含まれる一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいか否かとのうち、どれを検査するかをユーザが選択できるようにしてもよい。また、受け付けた図面データが検査対象のレイヤーであるか否かと、図面データによって示される図面の座標系が測量座標系であるか否かと、図面に含まれる一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいか否かとのうち、どの順序で検査するかをユーザが選択できるようにしてもよい。
前述した第1の実施形態において、図面検査装置100は、処理の過程を、表示部140に表示してもよい。具体的には、情報処理部130は、表示部140に、図面データによって得られる図面を表示する。この図面には、一又は複数の図形が表されている。図形判定部134が、図面に表されている一又は複数の図形を検出し、検出した一又は複数の図形の各々の識別情報とその図形に関連付けられている分類情報とを取得し、取得した一又は複数の図形の各々の識別情報と分類情報との組み合わせが、記憶部110の図形分類コード113の図形の識別情報と定義分類コードとの組み合わせに含まれると判定した場合に、情報処理部130は、その図形の輪郭を背景の色とは異なる色で表示する。また、情報処理部130は、その図形の輪郭を背景の色とは異なる色で表示した画像情報を、通信部105から、端末装置10へ送信してもよい。端末装置10は、図面検査装置100が送信した画像情報を受信し、受信した画像情報を表示してもよい。このように構成することによって、処理の進行状況と、検査結果とを分かり易くできる。
前述した第1の実施形態において、検査が終了した後に、図面検査装置100は、適合すると判定した図面に表されている所定の図形の測量座標系による座標から緯度と経度とを導出し、既知の図面から、導出した緯度と経度とによって特定される図形と、その適合すると判定された図面に表された所定の図形とが一致するか否かを判定してもよい。このように構成することによって、図面が適合するか否かを確認できるため、より検査結果の信頼性を向上できる。
【0028】
第1の実施形態の図面検査システムによれば、図面検査装置100は、図面データを受け付け、受け付けた図面データの識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定する。図面検査装置100は、検査対象の識別情報であると判定した場合に、図面データによって得られる図面に表される図形の座標系が測量座標系であるか否かを判定する。図面検査装置100は、図面に表される図形の座標系が測量座標系であると判定した場合に、図面に表されている一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいか否かを判定する。図面検査装置100は、分類情報が正しいと判定した場合に、図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する。このように構成することによって、CADの熟練した理解、操作などを要することなく、図面データが、所定の仕様に基づいて作成されているか否かを判定できる。
仮に、図面データの検査を受注者の責任において納品元で納品前に行わせることによって、納品先は、図面データの検査を不要にできるため、納品先において、検査時間を削減できるとともに、業務の効率化を図ることができる。
さらに、図面データを、納品元にかかわらず統一した基準で検査できるため、検収精度を向上できるとともに、成果品(図面データ)の品質をも向上できる。
さらに、図面データの検査を受注者に義務付けることによって、紙による納品から、デジタル図面での納品へ促すことができる。このため、業務処理の速度を向上できるとともに、デジタルデータを活用する基板を整備できる。
【0029】
(第2の実施形態)
(図面検査システム)
第2の実施形態の図面検査システム1aは、
図1を適用できる。ただし、図面検査装置100の代わりに、図面検査装置100aを備える。
図面検査装置100aは、図面検査装置100の機能に加え、以下の機能を有する。
図面検査装置100aは、図面データによって得られる図面が平面図であるか縦断図であるかを判定する。また、図面検査装置100aは、図面に表されている図形が示す対象が三次元である場合に、図形が三次元の座標を含むか否かを判定する。図面検査装置100aは、図面に表されている図形が示す対象が建物である場合に、その図形の輪郭が閉じているか否かを判定する。図面検査装置100aは、図形を構成する要素に付されている色が、その要素に関連付けられている色定義情報と一致するか否か、つまり正しいか否かを判定する。
【0030】
(図面検査装置100a)
図9は、第2の実施形態の図面検査装置の一例を示すブロック図である。図面検査装置100aは、パーソナルコンピュータ、サーバー、又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。図面検査装置100aは、通信部105と、記憶部110aと、操作部120と、情報処理部130aと、表示部140と、各構成要素を
図9に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバスなどのバスライン150とを備える。
記憶部110aは、例えば、RAM、ROM、HDD、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置などにより実現される。記憶部110aには、情報処理部130aにより実行されるプログラム111と、アプリ112aとが記憶される。さらに、記憶部110aは、図形分類コード113が記憶される。
アプリ112aは、アプリ112が、図面検査装置100に実行させる機能と同様の機能に加え、以下を、図面検査装置100aに実行させる。アプリ112aは、図面検査装置100aに、図面データによって得られる図面が平面図であるか縦断図であるかを判定させる。アプリ112aは、図面検査装置100aに、図面データによって得られる図面が平面図であると判定させた場合に、図面の座標系が測量座標系であるか否かを判定させる。アプリ112aは、図面検査装置100aに、図面に表された一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいと判定させた場合に、一又は複数の図形の各々が示す対象が三次元であるか否かを判定させる。アプリ112aは、図面検査装置100aに、一又は複数の図形の各々が示す情報が三次元であると判定させた場合に、一又は複数の図形の各々が三次元の座標を含むか否かを判定させる。アプリ112aは、図面検査装置100aに、図面に表された一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいと判定させた場合に、一又は複数の図形の各々が示す対象が建物であるか否かを判定させる。アプリ112aは、図面検査装置100aに、一又は複数の図形の各々が示す対象が建物であると判定させた場合に、その一又は複数の図形の各々の輪郭が閉じているか否かを判定させる。アプリ112aは、図面検査装置100aに、図面に含まれる一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいと判定させた場合に、一又は複数の図形の各々に付されている色が、色定義情報と一致するか否かを判定させる。
【0031】
情報処理部130aの全部または一部は、例えば、CPUなどのプロセッサが記憶部110aに格納されたプログラム111とアプリ112aとを実行することにより実現されるソフトウェア機能部である。なお、情報処理部130aの全部または一部は、LSI、ASIC、またはFPGAなどのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
情報処理部130aは、例えば、受付部131と、図面データ判定部132と、座標系判定部133と、図形判定部134と、作成部135と、図面判定部136と、図形座標判定部137と、図形輪郭判定部138と、図形色判定部139とを備える。
図面データ判定部132は、レイヤー名が適合すると判定した場合に、図面データを、図面判定部136に出力する。図面データ判定部132は、レイヤー名が適合しないと判定した場合に、レイヤー名が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
図面判定部136は、図面データ判定部132が出力した図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって得られる図面が平面図であるか、縦断図であるかを判定する。図面判定部136は、図面が平面図であると判定した場合に、図面データを座標系判定部133に出力する。図面判定部136は、図面が縦断図であると判定した場合には、縦断面は任意座標であるため、座標系を判定する必要がないため、図面データを図形判定部134に出力する。
座標系判定部133は、図面判定部136が出力した図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって得られる図面に表される図形の座標系が測量座標系であるか否かを判定する。
【0032】
図形判定部134は、図面判定部136が出力した図面データ(縦断図のデータ)と、座標系判定部133が出力した図面データ(平面図のデータ)とのいずれかを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって示される図面に表されている一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいか否かを判定する。図形判定部134は、一又は複数の図形の各々の分類情報が正しく、適合すると判定した場合に、図面データを、図形座標判定部137に出力する。図形判定部134は、一又は複数の図形のうち、分類情報が誤っているものがあり、適合しないと判定した場合に、図形の分類情報が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
図形座標判定部137は、図形判定部134が出力した図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって得られる図面に表される一又は複数の図形のうち、建物などの高さデータを有する対象物に分類される図形を抽出する。図形座標判定部137は、抽出した高さデータを有する対象物に分類される図形の全てに、三次元の座標が付されているか否かを判定する。
具体的には、図形座標判定部137は、高さデータを有する対象物に分類される図形に3Dポリラインが含まれる場合には、その3Dポリラインである図形の高さを示すZ値が0.0以外であるか否かを判定する。また、図形座標判定部137は、高さデータを有する対象物に分類される図形がポリラインである場合には、そのポリラインである図形のElevationプロパティが0.0以外であるか否かを判定する。また、図形座標判定部137は、高さデータを有する対象物に分類される図形がラインである場合には、そのラインである図形のZ値が0.0以外であるか否かを判定する。
図形座標判定部137は、抽出した高さデータを有する対象物に分類される図形の全てに、三次元の座標が付されていると判定した場合には図形座標が適合すると判定する。また、図形座標判定部137は、抽出した高さデータを有する対象物に分類される図形のいずれかに、三次元の座標が付されていないものがあると判定した場合には図形座標が適合しないと判定する。図形座標判定部137は、図形座標が適合すると判定した場合に、図面データを、図形輪郭判定部138に出力する。図形座標判定部137は、図形座標が適合しないと判定した場合に、図形座標が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
【0033】
図形輪郭判定部138は、図形座標判定部137が出力した図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって得られる図面に表されている一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報から、建物に該当するものを抽出する。図形輪郭判定部138は、抽出した建物に該当する分類情報を付している一又は複数の図形の各々の輪郭の始点の座標と終点の座標とを抽出し、抽出した始点の座標と終点の座標とが一致しているか否かを判定することによって、一又は複数の図形の各々の輪郭が閉じているか否かを判定する。具体的には、図形輪郭判定部138は、抽出した始点の座標と終点の座標とが一致している場合には図形の輪郭が閉じていると判定し、一致していない場合には図形の輪郭が閉じていないと判定する。また、図形輪郭判定部138は、Closedプロパティで、一又は複数の図形の各々の輪郭が閉じているか否かを判定する。
図形輪郭判定部138は、抽出した建物に該当する分類情報を付している一又は複数の図形の全ての輪郭が閉じていると判定した場合に、図形輪郭が適合すると判定する。図形輪郭判定部138は、抽出した建物に該当する分類情報を付している一又は複数の図形のいずれかに、輪郭が閉じていないものがあると判定した場合に、図形輪郭が適合しないと判定する。図形輪郭判定部138は、図形輪郭が適合すると判定した場合に、図面データを、図形色判定部139に出力する。図形輪郭判定部138は、図形輪郭が適合しないと判定した場合に、図形輪郭が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
【0034】
図形色判定部139は、図形輪郭判定部138が出力した図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって得られる図面に表された一又は複数の図形を抽出する。図形色判定部139は、抽出した一又は複数の図形の各々を構成する一又は複数の要素の各々に付されている色が、その要素に関連付けられている色定義情報と一致するか否かを判定する。
図形色判定部139は、抽出した一又は複数の図形の各々を構成する一又は複数の要素の各々に付されている色の全てが色定義情報と一致すると判定した場合に、図形色が適合すると判定する。図形色判定部139は、抽出した一又は複数の図形の各々を構成する一又は複数の要素の各々に付されている色のいずれかに色定義情報と一致しないものがある場合に、図形色が適合しないと判定する。図形色判定部139は、図形色が適合すると判定した場合に、図形色が適合することを示す情報を、作成部135に出力する。図形色判定部139は、図形色が適合しないと判定した場合に、図形色が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
作成部135は、図形色判定部139が出力した図形色が適合していることを示す情報を取得し、取得した図形色が適合していることを示す情報に基づいて、図面チェックリストを作成する。作成部135は、作成した図面チェックリストを含み、端末装置10を宛先とする図面検査応答を作成し、作成した図面検査応答を、通信部105に出力する。
また、作成部135は、図面データ判定部132が出力したレイヤー名が適合しないことを示す情報と、座標系判定部133が出力した座標系が適合しないことを示す情報と、図形判定部134が出力した図形の分類情報が適合しないことを示す情報と、図形座標判定部137が出力した図形座標が適合しないことを示す情報と、図形輪郭判定部138が出力した図形輪郭が適合しないことを示す情報と、図形色判定部139が出力した図形色が適合しないことを示す情報とのいずれかを取得し、取得したレイヤー名が適合しないことを示す情報と、座標系が適合しないことを示す情報と、図形の分類情報が適合しないことを示す情報と、図形座標が適合しないことを示す情報と、図形輪郭が適合しないことを示す情報と、図形色が適合しないことを示す情報とのいずれかに基づいて、図面チェックリストを作成する。作成部135は、作成した図面チェックリストを含み、端末装置10を宛先とする図面検査応答を作成し、作成した図面検査応答を、通信部105に出力する。
図面チェックリストの一例は、
図6と
図7とを適応できる。
ただし、図面チェックリストが、図形座標が適合しないことを示す情報に基づいて作成されたものである場合には、エラーの内容として、3次元データではないことを示す情報が記載され、チェック結果として、「不適合」が記載される。
図面チェックリストが、図形輪郭が適合しないことを示す情報に基づいて作成されたものである場合には、エラーの内容として、図形が閉じていないことを示す情報が記載され、チェック結果として、「不適合」が記載される。
図面チェックリストが、図形色が適合しないことを示す情報に基づいて作成されたものである場合には、エラーの内容として、図形の色番号が違うことを示す情報が記載され、チェック結果として、「不適合」が記載される。
【0035】
(図面検査システムの動作)
図10は、第2の実施形態の図面検査システムの動作の一例を示すシーケンスチャートある。ここでは、図面データが作成され、作成された図面データの検査を、端末装置10から図面検査装置100へ依頼する場合について説明する。
ステップS21~S25は、
図8のステップS1~S5を適用できる。
(ステップS26)
図面判定部136は、図面データ判定部132が出力した図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって示される図面が平面図であるか、縦断図であるかを判定する。
(ステップS27)
座標系判定部133は、図面判定部136が、図面データによって示される図面が平面図であると判定した場合に、図面判定部136が出力した図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって得られる図面に表された図形の座標系が測量座標系であるか否かを判定する。座標系判定部133は、座標系が適合すると判定した場合に、図面データを、図形判定部134に出力する。座標系判定部133は、座標系が適合しないと判定した場合に、座標系が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
【0036】
(ステップS28)
図形判定部134は、座標系判定部133が出力した図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって得られる図面に表された一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいか否かを判定する。図形判定部134は、一又は複数の図形の各々の分類情報が正しく、適合すると判定した場合に、図面データを、図形座標判定部137に出力する。図形判定部134は、一又は複数の図形の各々の分類情報が正しくなく適合しないと判定した場合に、図形の分類情報が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
(ステップS29)
図形座標判定部137は、図形判定部134が出力した図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって得られる図面に表される一又は複数の図形のうち、建物などの高さデータを有する対象物に分類される一又は複数の図形を抽出する。図形座標判定部137は、抽出した高さデータを有する対象物に分類される一又は複数の図形の全てに、三次元の座標が付されているか否かを判定する。
図形座標判定部137は、抽出した高さデータを有する対象物に分類される一又は複数の図形の全てに、三次元の座標が付されていると判定した場合には、図面データを、図形輪郭判定部138に出力する。また、図形座標判定部137は、抽出した高さデータを有する対象物に分類される一又は複数の図形のいずれかに、三次元の座標が付されていないものがあると判定した場合には、図形座標が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
(ステップS30)
図形輪郭判定部138は、図形座標判定部137が出力した図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって得られる図面に表された一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報から、建物に該当するものを抽出する。図形輪郭判定部138は、抽出した建物に該当する分類情報を付している一又は複数の図形の各々の輪郭の始点の座標と終点の座標とが一致しているか否かを判定することによって、図形の輪郭が閉じているか否かを判定する。
図形輪郭判定部138は、抽出した建物に該当する分類情報を付している一又は複数の図形の輪郭の全てが閉じていると判定した場合に、図面データを、図形色判定部139に出力する。図形輪郭判定部138は、抽出した建物に該当する分類情報を付している一又は複数の図形のいずれかに、輪郭が閉じていないものがあると判定した場合に、図形輪郭が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
【0037】
(ステップS31)
図形色判定部139は、図形輪郭判定部138が出力した図面データを取得し、取得した図面データに基づいて、図面データによって得られる図面に表されている一又は複数の図形を抽出する。図形色判定部139は、抽出した一又は複数の図形の各々の一又は複数の要素の各々に付されている色が、その一又は複数の要素の各々と関連付けられている色定義情報と一致するか否かを判定する。
図形色判定部139は、抽出した一又は複数の図形の各々の一又は複数の要素の各々に付されている色の全てが色定義情報と一致すると判定した場合に、図形色が適合することを示す情報を、作成部135に出力する。図形色判定部139は、抽出した一又は複数の図形の各々の一又は複数の要素の各々に付されている色のいずれかに、その一又は複数の要素の各々と関連付けられている色定義情報と一致しないものがある場合に、図形色が適合しないことを示す情報を、作成部135に出力する。
(ステップS32)
作成部135は、図形色判定部139が出力した図面色が適合していることを示す情報を取得し、取得した図面色が適合していることを示す情報に基づいて、図面チェックリストを作成する。作成部135は、作成した図面チェックリストを含み、端末装置10を宛先とする図面検査応答を作成し、作成した図面検査応答を、通信部105に出力する。
また、作成部135は、図面データ判定部132が出力したレイヤー名が適合しないことを示す情報と、座標系判定部133が出力した座標系が適合しないことを示す情報と、図形判定部134が出力した図形の分類情報が適合しないことを示す情報と、図形座標判定部137が出力した図形座標が適合しないことを示す情報と、図形輪郭判定部138が出力した図形輪郭が適合しないことを示す情報と、図形色判定部139が出力した図形色が適合しないことを示す情報とのいずれかを取得し、取得したレイヤー名が適合しないことを示す情報と、座標系が適合しないことを示す情報と、図形の分類情報が適合しないことを示す情報と、図形座標が適合しないことを示す情報と、図形輪郭が適合しないことを示す情報と、図形色が適合しないことを示す情報とのいずれかに基づいて、図面チェックリストを作成する。作成部135は、作成した図面チェックリストを含み、端末装置10を宛先とする図面検査応答を作成し、作成した図面検査応答を、通信部105に出力する。
ステップS33~S34は、
図8のステップS9~S10を適用できる。
図10に示すシーケンスチャートにおいて、ステップS29~ステップS31は、並行して実行されてもよい。
【0038】
前述した第2の実施形態では、端末装置10から図面検査装置100aに図面検査要求を送信する場合について説明したが、この限りでない。例えば、ユーザが、図面検査装置100aの操作部120を操作することによって、入力装置(図示なし)から、図面データを、図面検査装置100aへ直接入力してもよい。この場合、図面検査装置100aは、表示部140に、図面チェックリストを表示する。
前述した第2の実施形態では、電子成果品であるデジタル図面の一例として、送電線路の平面図と縦断図とを適用した場合について説明したが、この例に限られない。例えば、公共測量で得られる各種デジタル図面に適用できる。
前述した第2の実施形態では、図面検査装置100aが、受け付けた図面データが検査対象のレイヤーであるか否かと、図面データによって得られる図面が平面図であるか縦断図であるかと、図面データによって得られる図面の座標系が測量座標系であるか否かと、図面に表されている一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいか否かと、図面データによって得られる図面に表されている一又は複数の図形のうち、高さデータを有する対象物に分類される一又は複数の図形の全てに、三次元の座標が付されているか否かと、建物に該当する分類情報を付している一又は複数の図形の各々の輪郭が閉じているか否かと、一又は複数の図形の各々を構成する一又は複数の要素の各々に付されている色が、その一又は複数の要素の各々に関連付けられている色定義情報と一致するか否かとを判定する場合について説明したが、この例に限られない。
例えば、図面検査装置100は、受け付けた図面データが検査対象のレイヤーであるか否かと、図面データによって得られる図面が平面図であるか縦断図であるかと、図面データによって得られる図面の座標系が測量座標系であるか否かと、図面に表されている一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報が正しいか否かと、図面データによって得られる図面に表されている一又は複数の図形のうち、高さデータを有する対象物に分類される一又は複数の図形の全てに、三次元の座標が付されているか否かと、建物に該当する分類情報を付している一又は複数の図形の各々の輪郭が閉じているか否かと、一又は複数の図形の各々を構成する一又は複数の要素の各々に付されている色が、その一又は複数の要素の各々に関連付けられている色定義情報と一致するか否かとの少なくとも一つを判定してもよい。
前述した第2の実施形態において、図面検査装置100aは、処理の過程を、表示部140に表示してもよい。具体的には、情報処理部130aは、表示部140に、図面データによって得られる図面を表示する。この図面には、一又は複数の図形が表されている。図形判定部134が、図面に表されている一又は複数の図形を検出し、検出した一又は複数の図形の各々の識別情報とその一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報とを取得し、取得した図形の識別情報と分類情報との組み合わせが、記憶部110の図形分類コード113の図形の識別情報と定義分類コードとの組み合わせに含まれると判定した場合に、情報処理部130aは、その図形の輪郭を背景の色とは異なる色で表示する。また、図形座標判定部137が、図面に表される一又は複数の図形のうち、建物などの高さデータを有する対象物に分類される一又は複数の図形を抽出し、抽出した高さデータを有する対象物に分類される一又は複数の図形の各々に、三次元の座標が付されていると判定した場合に、情報処理部130aは、その一又は複数の図形の各々の輪郭を背景の色とは異なる色で表示する。また、図形座標判定部137が、図面に表された一又は複数の図形の各々に関連付けられている分類情報から、建物に該当するものを抽出し、抽出した建物に該当する分類情報を付している図形の輪郭の始点の座標と終点の座標とが一致していると判定した場合に、情報処理部130aは、その図形の輪郭を背景の色とは異なる色で表示する。また、図形色判定部139が、図面に表されている一又は複数の図形を抽出し、抽出した一又は複数の図形の各々の一又は複数の要素の各々に付されている色が、その一又は複数の要素の各々と関連付けられている色定義情報と一致する場合に、その一又は複数の図形の各々の輪郭を背景の色とは異なる色で表示するまた、情報処理部130aは、その図形の輪郭を背景の色とは異なる色で表示した画像情報を、通信部105から、端末装置10へ送信してもよい。端末装置10は、図面検査装置100aが送信した画像情報を受信し、受信した画像情報を表示してもよい。このように構成することによって、処理の進行状況と、検査結果とを分かり易くできる。
前述した第2の実施形態において、検査が終了した後に、図面検査装置100aは、適合すると判定した図面に表されている所定の図形の測量座標系による座標から緯度と経度とを導出し、既知の図面から導出した緯度と経度とによって特定される図形と、その適合すると判定された図面に表された所定の図形とが一致するか否かを判定してもよい。このように構成することによって、図面が適合するか否かを確認できるため、より検査結果の信頼性を向上できる。
【0039】
第2の実施形態の図面検査システムによれば、第1の実施形態の図面検査システムに加えて、図面データによって得られる図面が平面図であるか縦断図であるかと、図面データによって得られる図面に表されている一又は複数の図形のうち、高さデータを有する対象物に分類される一又は複数の図形の全てに、三次元の座標が付されているか否かと、建物に該当する分類情報を付している一又は複数の図形の各々の輪郭が閉じているか否かと、一又は複数の図形の各々の一又は複数の要素の各々に付されている色が、その一又は複数の要素の各々に関連付けられている色定義情報と一致するか否かとを判定する。このように構成することによって、第1の実施形態の図面検査システムと比較して、検査項目が増加しているため、検査精度を向上できる。
【0040】
<構成例>
一構成例として、図面データを受け付ける受付部と、受付部が受け付けた図面データの識別情報が検査対象の識別情報であるか否かを判定する図面データ判定部と、図面データによって得られる図面の座標系が所定の座標系であるか否かを判定する座標系判定部と、図面に表されている図形に関連付けられている図形が示す対象を分類する情報である分類情報が正しいか否かを判定する図形判定部と、図面データ判定部による判定結果と、座標系判定部による判定結果と、図形判定部による判定結果とに基づいて、図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する作成部とを備える図面検査システムである。
一構成例として、前記図形判定部は、前記図面に表されている一又は複数の図形を検出し、検出した一又は複数の図形の各々の識別情報と、一又は複数の前記図形の各々に関連付けられている分類情報との組み合わせに基づいて、前記分類情報が正しいか否かを判定する。
一構成例として、図面データによって得られる図面が平面図であるか縦断図であるかを判定する図面判定部を備え、座標系判定部は、図面判定部が平面図であると判定した図面の座標系が所定の座標系であるか否かを判定する。
一構成例として、図面に表されている複数の図形のうち、高さを有する対象物に対応する図形を、分類情報に基づいて抽出し、抽出した図形の全てに、三次元の座標が付されているか否かを判定する図形座標判定部を備え、作成部は、図形座標判定部による判定結果に基づいて、図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する。
一構成例として、図面に表されている複数の図形のうち、建物に対応する図形を、分類情報に基づいて抽出し、抽出した図形の輪郭が閉じているか否かを判定する図形輪郭判定部を備え、作成部は、図形輪郭判定部による判定結果に基づいて、図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する。
一構成例として、図面に表されている複数の図形の各々の線色が、複数の図形の各々に対して予め定義されている線色と一致するか否かを判定する図形色判定部を備え、作成部は、図形色判定部による判定結果に基づいて、図面が所定の条件に適合することを通知する情報を作成する。
【0041】
以上、実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組合せを行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
なお、上述した端末装置10と、図面検査装置100と、図面検査装置100aとは、コンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、各機能ブロックの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録する。この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、CPUが実行することで実現してもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROMなどの可搬媒体のことをいう。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置を含む。
【0042】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、短時間の間、動的にプログラムを保持するものを含んでいてもよい。短時間の間、動的にプログラムを保持するものは、例えば、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線である。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」には、サーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。また、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、上記プログラムは、プログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。プログラマブルロジックデバイスは、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)である。
【0043】
なお、上述の端末装置10と、図面検査装置100と、図面検査装置100aとは内部にコンピュータを有している。そして、上述した端末装置10と、図面検査装置100と、図面検査装置100aとの各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。
ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどをいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1、1a…図面検査システム、10…端末装置、50…ネットワーク、100、100a…図面検査装置、105…通信部、110、110a…記憶部、111…プログラム、112、112a…アプリ、113…図形分類コード、120…操作部、130、130a…情報処理部、131…受付部、132…図面データ判定部、133…座標系判定部、134…図形判定部、135…作成部、136…図面判定部、137…図形座標判定部、138…図形輪郭判定部、139…図形色判定部、140…表示部