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特許7275568パネルユニット型間仕切、及び、パネルユニット用パネル体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】パネルユニット型間仕切、及び、パネルユニット用パネル体
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
E04B2/74 561H
E04B2/74 541P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018242788
(22)【出願日】2018-12-26
(65)【公開番号】P2020105727
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】臼本 浩人
(72)【発明者】
【氏名】皆内 章吾
(72)【発明者】
【氏名】高橋 謙介
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206587416(CN,U)
【文献】特開昭49-055140(JP,A)
【文献】特開平10-127364(JP,A)
【文献】特開2018-076689(JP,A)
【文献】特開平07-291391(JP,A)
【文献】特開平10-291400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72 - 2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のパネルが組み合わされることにより自立可能に構成されるとともに、床面に載置されて使用されるパネルユニット型間仕切であって、
組み合わされた複数枚の前記パネルのうち、水平方向の一端側のパネルにおける一端側の側辺と、水平方向の他端側のパネルにおける他端側の側辺と、の間には、前記パネルが設けられない開放部が形成され、
前記パネルのうち少なくとも1枚に、水平方向断面、及び、鉛直方向断面のそれぞれが円の一部で形成された曲面パネルが用いられ、
前記曲面パネルと該曲面パネルに隣接する前記パネルとは、相対角度が所定角度となるように配置した際に、隣り合う側辺同士の間隔が一定となる、パネルユニット型間仕切
【請求項2】
前記曲面パネルの下端部に脚部材が設けられる、請求項1に記載のパネルユニット型間仕切
【請求項3】
前記曲面パネルは、曲面形状のフレーム部材と、前記フレーム部材の両面から挟む内側部材及び外側部材と、で構成される、請求項1又は請求項2に記載のパネルユニット型間仕切
【請求項4】
前記曲面パネルは、前記パネルユニット型間仕切の内側に中心を有する球面の一部を切り取って形成された球面パネルである、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のパネルユニット型間仕切
【請求項5】
前記曲面パネルは、水平方向に対称な形状に形成され、
前記曲面パネルの水平方向における両側辺は、前記曲面パネルを含む曲面を水平方向に対称な2枚の切断面で切断した切断線上に形成され、
前記2枚の切断面は、前記曲面パネルを水平方向に二等分する面上で交わる、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のパネルユニット型間仕切
【請求項6】
前記パネルの全てに前記曲面パネルが用いられる、請求項5に記載のパネルユニット型間仕切
【請求項7】
複数枚のパネルを組み合わせて構成されるパネルユニット型間仕切において、前記パネルのうち少なくとも1枚に用いられる、パネルユニット用パネル体であって、
前記パネルユニット用パネル体は、前記パネルユニットの内側に中心を有する球面の一部を切り取って水平方向に対称な形状に形成され、
前記パネルユニット用パネル体の両側辺は、前記パネルユニット用パネル体を含む曲面を水平方向に対称な2枚の切断面で切断した切断線上に形成され、
前記2枚の切断面は、前記パネルユニット用パネル体を水平方向に二等分する面上で交わる、パネルユニット用パネル体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパネルユニット型間仕切、及び、パネルユニット用パネル体に関し、詳細には、オフィス等で業務を行う際に用いるパネルユニット型間仕切を構成するパネル体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、企業等において、従業員が業務に集中できる環境を確保するために、オフィスにパネルを組み合わせて構成したパネルブースを設ける場合がある。このようなパネルブースを構成する際に、平面視で曲線形状となるように、曲面形状に形成されたパネルを組み合わせて構成されたパネルユニットが用いられる。(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-127364号公報
【文献】米国特許出願公開第2015/0300010号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献に記載のパネルブースによれば、パネルユニットを構成するパネルの鉛直方向断面が直線形状にデザインされているため、使用者に無機質な印象を与えていた。また、パネルの上側から覗き込んだ際にパネルユニットの内部が視認されやすいため、外部空間との遮蔽性を確保するために上下幅を大きくする必要があった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、パネルの鉛直方向断面を曲線形状とすることにより、使用者に有機的な印象を与えるとともに、外部空間との遮蔽性を確保するために上下幅を大きくする必要性を低減することの可能な、パネルユニット型間仕切、及び、パネルユニット用パネル体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下に構成するパネルユニット型間仕切を提供する。
【0007】
(1)複数枚のパネルが組み合わされることにより自立可能に構成されるとともに、床面に載置されて使用されるパネルユニットであって、組み合わされた複数枚の前記パネルのうち、水平方向の一端側のパネルにおける一端側の側辺と、水平方向の他端側のパネルにおける他端側の側辺と、の間には、前記パネルが設けられない開放部が形成され、前記パネルのうち少なくとも1枚に、水平方向断面、及び、鉛直方向断面のそれぞれが円の一部で形成された曲面パネルが用いられ、前記曲面パネルと該曲面パネルに隣接する前記パネルとは、相対角度が所定角度となるように配置した際に、隣り合う側辺同士の間隔が一定となる、パネルユニット型間仕切
【0008】
(2)前記曲面パネルの下端部に脚部材が設けられる、(1)に記載のパネルユニット型間仕切
【0009】
(3)前記曲面パネルは、曲面形状のフレーム部材と、前記フレーム部材の両面から挟む内側部材及び外側部材と、で構成される、(1)又は(2)に記載のパネルユニット型間仕切
【0010】
(4)前記曲面パネルは、前記パネルユニット型間仕切の内側に中心を有する球面の一部を切り取って形成された球面パネルである、(1)から(3)の何れか一に記載のパネルユニット型間仕切
【0011】
(5)前記曲面パネルは、水平方向に対称な形状に形成され、前記曲面パネルの水平方向における両側辺は、前記曲面パネルを含む曲面を水平方向に対称な2枚の切断面で切断した切断線上に形成され、前記2枚の切断面は、前記曲面パネルを水平方向に二等分する面上で交わる、(1)から(4)の何れか一に記載のパネルユニット型間仕切
【0012】
(6)前記パネルの全てに前記曲面パネルが用いられる、(5)に記載のパネルユニット型間仕切
【0013】
また、本発明は、上記課題を解決するために、以下に構成するパネルユニット用パネル体を提供する。
【0014】
(7)複数枚のパネルを組み合わせて構成されるパネルユニット型間仕切において、前記パネルのうち少なくとも1枚に用いられる、パネルユニット用パネル体であって、前記パネルユニット用パネル体は、前記パネルユニットの内側に中心を有する球面の一部を切り取って水平方向に対称な形状に形成され、前記パネルユニット用パネル体の両側辺は、前記パネルユニット用パネル体を含む曲面を水平方向に対称な2枚の切断面で切断した切断線上に形成され、前記2枚の切断面は、前記パネルユニット用パネル体を水平方向に二等分する面上で交わる、パネルユニット用パネル体。
【発明の効果】
【0015】
以上における本発明に係るパネルユニット型間仕切によれば、使用者に有機的な印象を与えるとともに、外部空間との遮蔽性を確保するために上下幅を大きくする必要性を低減することが可能となる。
【0016】
また、以上における本発明に係るパネルユニット用パネル体によれば、使用者に有機的な印象を与えるとともに、外部空間との遮蔽性を確保するために上下幅を大きくする必要性を低減したパネルユニット型間仕切を構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第一実施形態に係るパネルブースを示す斜視図。
図2】第一実施形態に係るパネルブースを示す中央断面図。
図3】第一実施形態に係るパネルブースの分解図。
図4】曲面パネルの分解図。
図5】曲面パネルの連結構成を示した拡大図。
図6】スライド曲面パネルの構成を示した斜視図。
図7】基本パネルユニットを示した斜視図。
図8】(a)、(b)、及び、(c)はそれぞれ、曲面パネルを示した正面図、平面図、及び、側面図。
図9】基本パネルユニットを示した平面図。
図10】(a)は別実施例に係るパネルの連結構成を示した図、(b)はその拡大図。
図11】第二実施形態に係るパネルブースを示す斜視図。
図12】第三実施形態に係るパネルブースを示す斜視図。
図13】第四実施形態に係るパネルブースを示す斜視図。
図14】第五実施形態に係るパネルブースを示す斜視図。
図15】第六実施形態に係るパネルブースを示す斜視図。
図16】第七実施形態に係るパネルブースを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では図1から図9を用いて、本発明の第一実施形態に係るパネルブース1について説明する。本明細書においては、パネルブース1の使用者から見た方向で、パネルブース1の方向を規定する。即ち、図1における紙面左下方向を前方、紙面右上方向を後方とし、同じく紙面左上方向を右側方、紙面右下方向を左側方とする。
【0019】
図1及び図2に示す如く、パネルブース1は、複数枚の曲面パネル10を組み合わせたパネルユニット型間仕切(以下、単に「パネルユニット」と記載する)の内側に、椅子21及びテーブル22を配置して構成される。曲面パネル10は、本発明に係るパネルユニット用パネル体の一実施形態である。パネルユニットの内部に配置される物については限定されるものではなく、図11に示す如く曲面パネル10で天板24を支持する構成や、図12に示す如くテーブル25のみを配置する構成(テーブル25自身で自立する構成)としても良い。即ち、パネルユニットの内部に配置される物は、単体で自立する物でも、曲面パネル10に直接的に組付けられてパネルユニットに支持される物でも良い。また、パネルユニットの内部に照明器具等を配置することも可能である。
【0020】
本実施形態に係るパネルブース1を構成するパネルユニットは四枚の曲面パネル10で構成される。具体的には図1に示す如く、パネルユニットは、使用者の背後に位置する背側曲面パネル10B、同じく右側に位置する右側曲面パネル10R、同じく左側に位置する左側曲面パネル10L、及び、左側曲面パネル10Lの外面(左側面)に対して前後方向にスライド可能に組付けられるスライド曲面パネル10Sで構成されている。本実施形態に係るパネルユニットにおいて、全ての曲面パネル10は同じ形状に形成されている。
【0021】
図1及び図3に示す如く、背側曲面パネル10Bと、右側曲面パネル10R及び左側曲面パネル10Lとは、均一幅に形成された軟質樹脂製の長尺部材である接続部材11で連結されている。背側曲面パネル10Bの背面には、アクリル等の半透明板で形成されたブラインド部材23が固定される。また、全ての曲面パネル10の下端部には、それぞれ二個の脚部材12が設けられている。
【0022】
左側曲面パネル10Lの外面には、スライド曲面パネル10Sが前後方向にスライド可能に組付けられる。具体的には図3に示す如く、左側曲面パネル10Lにおける左側面の前端部に二個の支持ピン13が固定される。一方、スライド曲面パネル10Sの右側面(内面)には水平方向に長手方向を向けたレール部材14が固定される。図6に示す如く、レール部材14に形成された挿入孔14aに支持ピン13が挿入されることにより、スライド曲面パネル10Sが左側曲面パネル10Lに対してスライド可能となる。図6図4中のA-A線で切断した状態を示している。
【0023】
本実施形態において、曲面パネル10は水平方向断面、及び、鉛直方向断面のそれぞれが円の一部で形成される。即ち、曲面パネル10は図8(b)及び(c)に示す如く、平面視及び側面視で曲線形状に形成されている。さらに詳細には、本実施形態に係る曲面パネル10は、パネルユニットの内側に中心を有する球面の一部を切り取って形成される球面パネルとして形成されている。換言すれば、パネルユニットにおいて、曲面パネル10は外側に向かって膨らむように配置されている。なお、曲面パネルを内側に向かって膨らむように配置してパネルユニットを構成することも可能である。
【0024】
図4に示す如く、曲面パネル10は内側部材10a、外側部材10b、及び、フレーム部材10fの三層で構成されている。内側部材10aは曲面パネル10における曲率半径方向の内側に、外側部材10bは曲面パネル10における曲率半径方向の外側に配置される。本実施形態において、内側部材10a及び外側部材10bは不織布が曲面板状に成形されている。
【0025】
フレーム部材10fは、内側部材10aと外側部材10bとで挟まれることにより、曲面パネル10の形状を規定する剛性の高い曲面形状の部材である。フレーム部材10fは、それぞれアルミパイプで形成された外フレームf1、横内フレームf2、縦内フレームf3で構成される。外フレームf1は湾曲した矩形の枠体であり、曲面パネル10の外形形状を規定する。図4に示す如く、曲面パネル10に設けられる脚部材12は外フレームf1に固定される。
【0026】
フレーム部材10fにおいて、湾曲した棒体である複数本(本実施形態においてはそれぞれ二本)の横内フレームf2及び縦内フレームf3が互いに交差することによって、曲面パネル10の曲面形状を規定する。本実施形態に係るパネルブース1において、支持ピン13、レール部材14、及び、ブラインド部材23等については、横内フレームf2、縦内フレームf3、又はこれらの交差する箇所に固定されている。
【0027】
接続部材11で曲面パネル10を連結する際には、図5に示す如く、接続部材11の短手方向の両端辺に形成された挿入部11aを、外フレームf1に形成されたスリットfsに挿入する。これにより、曲面パネル10は互いに連結される。
【0028】
本実施形態に係るパネルブース1においては図7及び図9に示す如く、背側曲面パネル10B、右側曲面パネル10R、及び、左側曲面パネル10Lの三枚の曲面パネル10で、基本パネルユニット(パネルユニットのうち基本的な曲面パネル10のみで構成されるもの)PUが構成される。より詳細には、三枚の曲面パネル10を隣接する曲面パネル10の相対角度が90度となるように配置し、二本の接続部材11で連結することにより、基本パネルユニットPUが構成される。
【0029】
図8(a)に示す如く、曲面パネル10は水平方向に対称な形状に形成される。換言すれば、曲面パネル10は図8(b)に示す如く、中央切断面Cで水平方向に二等分可能に形成される。また、図8(a)及び(b)に示す如く、曲面パネル10の水平方向における左右両側辺SL・SLは、曲面パネル10を含む曲面(球面)を水平方向に対称な2枚の側辺切断面Cp・Cpで切断した切断線上に形成される。そして、2枚の切断面Cp・Cpは中央切断面C上の交線Pで交わる。
【0030】
本実施形態において、交線Pは曲面パネル10を含む球面の半径方向内に位置するため、両側辺SL・SLは左右に膨らむように形成される。なお、交線Pが曲面パネルを含む球面の半径方向外側に位置するように構成した場合、曲面パネルの両側辺は凹むように形成される。この場合、曲面パネルを内側に向かって膨らむように配置して、パネルユニットが構成される。
【0031】
交線Pは上下方向に沿って位置するため、図8(b)では一点として表示される。図8(b)に示す如く、本実施形態において側辺切断面Cp・Cpと中央切断面Cとのなす角θは45度で等しくなるように構成されている。
【0032】
本実施形態に係るパネルブース1を構成するパネルユニットにおいては上記の如く構成することにより、互いに隣接する曲面パネル10は、平面視における相対角度が所定の90度となるように配置した際に、隣り合う側辺SL同士の間隔が一定となる。具体的には図9に示す如く、背側曲面パネル10Bと右側曲面パネル10R、及び、背側曲面パネル10Bと左側曲面パネル10Lは、相対角度が所定の90度となるように配置した際に、隣り合う側辺SL同士の間隔が一定となる。
【0033】
図9に示す如く、背側曲面パネル10Bにおける側辺切断面Cp・Cpと中央切断面Cとの交線を背側交線PB、右側曲面パネル10Rにおける側辺切断面Cp・Cpと中央切断面Cとの交線を右側交線PR、左側曲面パネル10Lにおける側辺切断面Cp・Cpと中央切断面Cとの交線を左側交線PLとする。パネルブース1の基本パネルユニットPUにおいては図9に示す如く、背側交線PB、右側交線PR、左側交線PLが近接するように、背側曲面パネル10B、右側曲面パネル10R、及び、左側曲面パネル10Lを配置しているため、それぞれの曲面パネル10における側辺SL・SLが等距離に向かい合って配置される。このため、それぞれの曲面パネル10は均一幅に形成された長尺部材である接続部材11で連結することが可能となるのである。
【0034】
上記の如く、本実施形態に係るパネルブース1を構成するパネルユニットによれば、パネルユニットを構成する曲面パネル10の鉛直方向断面が円の一部で形成された曲線形状にデザインされているため、使用者に有機的な印象を与えることができる。また、曲面パネル10の上端部が内側に向けて湾曲しているため、曲面パネル10の上側から覗き込んだ際にパネルユニットの内部を視認され難くすることができる。即ち、パネルブース1においては、外部空間との遮蔽性を確保するために上下幅を大きくする必要性を低減することが可能となる。
【0035】
さらに、パネルブース1において、隣接する曲面パネル10同士を相対角度が所定の90度となるように配置した際には、隣り合う側辺SL・SLが等距離に向かい合って配置される。具体的には図9に示す如く、背側曲面パネル10Bと右側曲面パネル10R、及び、背側曲面パネル10Bと左側曲面パネル10Lは、平面視における相対角度が所定の90度となるように配置した際に、隣り合う側辺SL同士の間隔が一定となる。
【0036】
このため、それぞれの曲面パネル10を均一幅の接続部材11で連結することが可能となる。そして、曲面パネル10を連結して構成したパネルユニットにおいて、隣接する曲面パネル10の間に隙間が形成されることがないため、パネルユニットのデザイン性及び内部空間の機密性を確保することが可能となる。
【0037】
なお、曲面パネル10を隣接させた際に側辺SLの間隔が一定となる所定角度は、本実施形態における90度に限定されるものではない。具体的には、側辺切断面Cp・Cpと中央切断面Cとのなす角θを30度として側辺SLを形成した場合、曲面パネル10の所定角度を120度として隣接した際に側辺SLの間隔が一定となる。また、側辺切断面Cp・Cpと中央切断面Cとのなす角θを22.5度として側辺SLを形成した場合、曲面パネル10の所定角度を150度として隣接した際に側辺SLの間隔が一定となる。
【0038】
また、本実施形態に係るパネルブース1を構成するパネルユニットにおいて、曲面パネル10は、パネルブース1の内側に中心を有する球面の一部を切り取って形成された球面パネルが用いられている。曲面パネル10は同一の曲率で形成されているため、スライド曲面パネル10Sと左側曲面パネル10Lの如く、重ね合わせた状態でスライドさせて使用しても隙間やがたつきが生じない。また、一方の曲面パネル10を側辺SLの側に傾けたり、横にしたりした状態で重ね合わせた場合でも、他方の曲面パネル10との間に隙間を生じることがない。
【0039】
また、本実施形態に係るパネルブース1を構成するパネルユニットにおいて、曲面パネル10は図8(a)に示す如く、水平方向に対称な形状に形成されている。そして、図8(b)に示す如く、図曲面パネル10の水平方向における両側辺SL・SLは、曲面パネル10を含む曲面を、水平面に対して直交し、かつ水平方向に対称な2枚の切断面Cp・Cpで切断した切断線上に形成される。さらに、2枚の切断面Cp・Cpは、曲面パネル10を水平方向に二等分する中央切断面C上の交線Pで交わる。これにより、曲面パネル10の左右何れの側辺SLにおいても、他の曲面パネル10を所定角度90度で隣接させた場合に側辺SLの間隔を一定にすることができる。即ち、パネルユニットにおいて曲面パネル10の配置形状の自由度を高めることができる。
【0040】
また、本実施形態に係るパネルブース1においては、パネルの全てに曲面パネル10が用いられてる。これにより、パネルブース1に採用される全ての曲面パネル10を隣接して配置することが可能となる。即ち、何れの曲面パネル10を所定角度で隣接させた場合でも、側辺SLの間隔を一定にすることができる。なお、パネルブースにおいては少なくとも1枚の曲面パネル10を備えていれば良く、全てのパネルを曲面パネル10とする必要はない。
【0041】
次に、図10(a)及び(b)を用いて、接続部材11以外の方法で曲面パネル10を連結する実施例について説明する。図10(a)に示す如く、本実施例に係る曲面パネル10は二個の固定部材15で連結される。図10(b)に示す如く、固定部材15は二枚の曲面パネル10の連結部分の内側に当接する内側固定部材15aと、二枚の曲面パネル10の連結部分の外側に当接する外側固定部材15bとに分割可能に構成される。そして、内側固定部材15aと外側固定部材15bとをボルトBで連結することにより、二枚の曲面パネル10が連結される。このように、曲面パネル10を連結する手法として接続部材11を用いる構成以外の構成を採用することも可能である。
【0042】
次に、図11から図16を用いて、第二実施形態から第七実施形態に係るパネルブース101~106について説明する。以降の実施形態において用いる曲面パネル10等については、第一実施形態に係るパネルブース1と同様に構成されているため、同じ構成については同符号を付して詳細な説明を省略する。
【0043】
図11に示す如く、第二実施形態に係るパネルブース101は、五枚の曲面パネル10を組み合わせたパネルユニットの内部に天板24が設けられて構成される。天板24は、天板24を囲む三枚の曲面パネル10におけるフレーム部材10fに固定されている。天板24の長辺を支持する曲面パネル10の外面には、ブラインド部材23が固定されている。
【0044】
図12に示す如く、第三実施形態に係るパネルブース102は、パネルユニットとして三枚の曲面パネル10を基本パネルユニットPUと同様に構成し、その内部にテーブル25が載置されて構成される。テーブル25の脚の形状は、曲面パネル10の形状に沿った曲線形状に形成されている。三枚の曲面パネル10の上辺には、曲面パネル10に沿って折り曲げて構成された折曲型ブラインド部材26が固定されている。
【0045】
図13に示す如く、第四実施形態に係るパネルブース103は、二枚の曲面パネル10と、三枚並べた第二曲面パネル110とを組み合わせたパネルユニットの内部にコンセント付き天板27が設けられて構成される。コンセント付き天板27にはコンセント27aが固定されている。中央の第二曲面パネル110の外面には、第二曲面パネル110に沿った形状の第二ブラインド部材123が固定されている。
【0046】
図13に示す如く、本実施形態における第二曲面パネル110は水平方向断面が直線形状に形成され、鉛直方向断面が曲線形状に形成される。即ち、第二曲面パネル110は側面視のみが曲線形状に形成されている。そして、曲面パネル10と第二曲面パネル110とは、相対角度が所定の90度となるように配置した際に、隣り合う側辺同士の間隔が一定となる。即ち、曲面パネル10と第二曲面パネル110との互いの側辺が等距離に向かい合って配置されるため、それぞれを均一幅に形成された長尺部材である接続部材で連結することが可能となる。
【0047】
本実施形態においては、曲面パネル10と第二曲面パネル110とを一枚ずつ連結する構成としたが、曲面パネル10の両側に、相対角度を90度として第二曲面パネル110を連結する構成としても良い。また、第二曲面パネル110の両側に、相対角度を90度として曲面パネル10を連結する構成としても良い。
【0048】
図14に示す如く、第五実施形態に係るパネルブース104は、五枚の曲面パネル10と、二枚の平面パネル210とを組み合わせたパネルユニットの内部にコンセント付き天板27が設けられて構成される。平面パネル210は水平方向及び鉛直方向の断面が直線形状となる平板で形成されている。コンセント付き天板27にはコンセント27aが固定されている。本実施形態においては、二枚の曲面パネル10の間に、二枚の平面パネル210を平行に配置し、それぞれの曲面パネル10と平面パネル210との間に曲面パネル10を連結して構成されている。本実施形態においては、コンセント付き天板27の長辺を支持する二枚の曲面パネル10に亘ってブラインド部材23が固定されている。
【0049】
図15に示す如く、第六実施形態に係るパネルブース105は、七枚の曲面パネル10と、三枚の第二曲面パネル110をと組み合わせたパネルユニットの内部にコンセント付きテーブル28が設けられて構成される。具体的には、三枚並べた曲面パネル10と、三枚並べた第二曲面パネル110と、四枚並べた曲面パネル10とにより、一区画のパネルブース105を形成している。コンセント付きテーブル28にはコンセント28aが固定されている。
【0050】
図16に示す如く、第七実施形態に係るパネルブース106は、九枚の曲面パネル10を組み合わせたパネルユニットの内部に三個のソファ29が設けられて構成される。具体的には、四枚並べた曲面パネル10の内側に三個のソファ29を配置し、ソファ29に対向する位置に五枚並べた曲面パネル10を立設するのである。このように、本実施形態に係るパネルブース106は、複数の曲面パネル10を組み合わせることにより、複数の使用者が使用できるように構成されている。
【符号の説明】
【0051】
1 パネルブース(第一実施形態)
10 曲面パネル(パネルユニット用パネル体)
10B 背側曲面パネル 10R 右側曲面パネル
10L 左側曲面パネル 10S スライド曲面パネル
10a 内側部材 10b 外側部材
10f フレーム部材 11 接続部材
11a 挿入部 12 脚部材
13 支持ピン 14 レール部材
14a 挿入孔 15 固定部材
15a 内側固定部材 15b 外側固定部材
21 椅子 22 テーブル
23 ブラインド部材 24 天板
25 テーブル 26 折曲型ブラインド部材
27 コンセント付き天板
27a コンセント
28 コンセント付きテーブル
28a コンセント 29 ソファ
PU 基本パネルユニット
f1 外フレーム f2 横内フレーム
f3 縦内フレーム fs スリット
C 中央切断面 Cp 側辺切断面
SL 側辺 P 交線
PB 背側交線 PR 右側交線
PL 左側交線 B ボルト
101 パネルブース(第二実施形態)
102 パネルブース(第三実施形態)
103 パネルブース(第四実施形態)
104 パネルブース(第五実施形態)
105 パネルブース(第六実施形態)
106 パネルブース(第七実施形態)
110 第二曲面パネル 123 第二ブラインド部材
210 平面パネル
図1
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図16