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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】チューブ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/02 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
B65D35/02 M
B65D35/02 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019013150
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020121733
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛史
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-62949(JP,A)
【文献】特開2001-58666(JP,A)
【文献】特開2008-308191(JP,A)
【文献】特開2003-54589(JP,A)
【文献】特開2012-162283(JP,A)
【文献】特開2011-1114(JP,A)
【文献】実開平4-97062(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が閉塞され、内容物を収容することができる筒状の胴部と、
前記胴部の他端に取り付けられた前記胴部の他端を閉塞可能な、開口予定部および前記開口予定部周りの周縁部を有する注出口部とを含むチューブ容器であって、
前記注出口部は、
前記周縁部の端縁と前記胴部の内面とが接するように、前記周縁部の前記チューブ容器外方となる面の全周にわたり前記胴部の前記他端近傍の内周面が接着された第1領域と、
前記チューブ容器内方となる面にガスバリアフィルムが設けられた第2領域と、
前記開口予定部と前記周縁部との間に形成された環状のハーフカットとを備え、
前記胴部は、ガスバリア層を含む積層フィルムを用いて形成され、
前記第1領域と、前記第2領域とが、前記注出口部の前記周縁部の全周にわたる第3領域において、前記第3領域内の各位置における法線方向から見て、前記ガスバリア層と前記ガスバリアフィルムとが互いに重なるように、前記注出口部に接着され取り付けられる、
チューブ容器。
【請求項2】
前記注出口部は、前記ハーフカットの内側から延出する摘み部を備え、
前記摘み部を所定の力で引っ張ることにより前記ハーフカットに沿って前記注出口部の開口予定部を除去して、前記注出口部に開口を形成することができる、
請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記ガスバリアフィルムは、端縁が前記注出口部により覆われている、
請求項1または2に記載のチューブ容器。
【請求項4】
前記摘み部は、前記注出口部と反対側に指を入れることができる環状部を備えるプルリングである、
請求項1から3のいずれかに記載のチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医薬品、化粧品、食品等を充填して包装することができるチューブ容器が知られている。チュ-ブ容器は、一般に、一端が閉塞されかつ他端が開口した筒状の胴部と、胴部の開口他端に溶着等により取り付けられた、胴部の開口から離れるにしたがって外径が小さくなるテーパ形状に形成された注出口部(肩部とも呼ばれる)とを含む。注出口部の胴部と反対側には、内容物を取り出すことができる開口部が設けられ、チューブ容器の使用者は注出口部に取り付けられたキャップを取り外した後、胴部を押し潰すことにより、開口部から内容物を絞り出すことができる。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-199280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなチューブ容器では、最初の開封までの密封性およびガスバリア性を保証するために、少なくとも開口部を閉塞することができるガスバリアフィルムを、インサート成形等により注出口部の内面に沿うように取り付けることがある。この場合、最初の開封では、ガスバリアフィルムをキャップ天面に設けた尖端部等の先が尖った治具により突き破って孔を空け、この孔から内容物を絞り出す。しかしながら、このようなチューブ容器では、注出口部からガスバリアフィルムを完全に取り除くことは困難であり、注出口部の開口部内に残ったガスバリアフィルムにより内容物のスムーズな取り出しが阻害されるという課題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、最初の開封までの密封性およびガスバリア性を保証しながら、開封後におけるスムーズな内容物の取り出しが阻害されることが抑制されるチューブ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の一局面は、一端が閉塞され、内容物を収容することができる筒状の胴部と、胴部の他端に取り付けられた胴部の他端を閉塞可能な、開口予定部および開口予定部周りの周縁部を有する注出口部とを含むチューブ容器であって、注出口部は、周縁部の端縁と胴部の内面とが接するように、周縁部のチューブ容器外方となる面の全周にわたり胴部の他端近傍の内周面が接着された第1領域と、チューブ容器内方となる面にガスバリアフィルムが設けられた第2領域と、開口予定部と周縁部との間に形成された環状のハーフカットとを備え、胴部は、ガスバリア層を含む積層フィルムを用いて形成され、第1領域と、第2領域とが、注出口部の周縁部の全周にわたる第3領域において、第3領域内の各位置における法線方向から見て、ガスバリア層とガスバリアフィルムとが互いに重なるように、注出口部に接着され取り付けられる、チューブ容器である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、最初の開封までの密封性およびガスバリア性を保証しながら、ガスバリアフィルムによって開封後におけるスムーズな内容物の取り出しが阻害されることが抑制されるチューブ容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るチューブ容器の正面図
図2】本発明の一実施形態に係るチューブ容器を開封する際の様子を示す正面図
図3】本発明の変形例に係るチューブ容器の要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係るチューブ容器について、図を参照して説明する。なお、以下の説明では、実施形態および変形例の間で同一または対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0010】
本発明の一実施形態に係るチューブ容器100は、一端が閉塞された胴部10と、胴部10の他端に取り付けられた注出口部20とを含む。図1に、チューブ容器100の正面図を示す。
【0011】
胴部10は、一端に位置する底部11が閉塞された、図示しない内容物を収容することができる、ガスバリア層14を含む積層材で形成された筒状の部材である。胴部10は、一例としてガスバリア層14を含むフィルム(積層フィルム)を筒状にした後、底部11と、胴部10の長手方向(図1の紙面上下方向)に沿った端縁とのそれぞれにおいて対向するフィルムどうしを接着することにより形成することができる。フィルムどうしの接着方法は、特に限定されないが、例えばフィルムにポリエチレンを含んだ接着層を設けて、これらをヒートシールする方法を用いることができる。ガスバリア層14の材質は、ガスバリア性を有するフィルム材であれば、特に限定されないが、例えば、アルミニウム箔やEVOH樹脂等を含んだ樹脂フィルムを用いることができる。
【0012】
注出口部20は、胴部10の他端に位置する頂部12に取り付けられ、胴部10の頂部12を閉塞可能とする部材である。注出口部20は、一例として、胴部10の長手方向に直交する平板状の閉塞部21を備える。図2に示すように、平面視において閉塞部21は、一例として円板形状であるが、形状は限定されず、楕円、長円、多角形等であってもよい。注出口部20の材料は、特に限定されないが、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等の樹脂材料を好適に用いることができる。閉塞部21を平板状に形成した注出口部20は、テーパ形状に形成された従来技術に係る注出口部と比較して、使用する材料を低減することができる。なお、閉塞部21の形状は、後述するハーフカット22と、ガスバリアフィルム25とを形成することができれば、胴部10の長手方向に直交する平板状でなくてもよく、胴部10の頂部12から離れるにしたがって外径が小さくなる肩部を備えるテーパ形状であってもよい。
【0013】
閉塞部21は、略中心部に円環状のハーフカット22と、ハーフカット22の内側から胴部10の底部11とは反対側に向かって延出する摘み部23と、ハーフカット22よりも外方において胴部10の底部11とは反対側に向かって延出する筒状の周壁24と、ガスバリアフィルム25とを備える。
【0014】
摘み部23は、一例として、閉塞部21から延出する支持部23aと、支持部23aの注出口部20と反対側の端部に設けられ、使用者が指を入れることができるように形成されたリング部23bとを含むプルリングである。閉塞部21が、ハーフカット22と摘み部23とを備えることにより、チューブ容器100の使用者は、摘み部23を所定の力で引っ張ることによりハーフカット22に沿って閉塞部21の一部である開口予定部21a(ハーフカット22により囲まれた領域)をガスバリアフィルム25とともに除去することができ、これにより、閉塞部21に内容物を取り出すための開口を形成することができる。このように、チューブ容器100では、胴部10の他端を注出口部20により閉塞し、最初の開封時には、閉塞部21の一部を除去して注出口部20に開口を形成することができるため、最初の開封までの密封性を保証することができる。なお、ガスバリアフィルム25に、ハーフカット22の形状に対応する弱化線を形成して、開口予定部21aの除去を容易にしてもよい。
【0015】
なお、摘み部23の形状は、使用者が引っ張ることにより閉塞部21の一部を除去することができればプルリングに限定されず、例えば閉塞部21から延出する板状の摘み代であってもよい。
【0016】
周壁24は、注出口部20に形成される開口を閉塞するキャップ(不図示)を取り付けるために設けられる。周壁24には、キャップを固定するためのネジ山や係合爪を設けてもよい。
【0017】
ガスバリアフィルム25は、注出口部20の所定の領域にガスバリア性を付与するために、注出口部20のチューブ容器100の内方となる面に設けられるフィルムである。ガスバリアフィルム25の材質は、ガスバリア性を有し、後述するように閉塞部21の一部とともにハーフカット22に沿って除去可能なフィルム材であれば、特に限定されないが、例えば、アルミニウム箔やEVOH樹脂等を用いることができる。ガスバリアフィルム25を注出口部20に設ける方法は、例えば、成形された注出口部20にガスバリアフィルム25をヒートシールしてもよいし、注出口部20にガスバリアフィルム25を一体成形(インサート成形)してもよい。ガスバリアフィルム25の端縁(端面)は露出をしていてもよいが、図1に示すように、閉塞部21に覆われていてもよい。ガスバリアフィルム25の端縁を閉塞部21により覆うことで、露出したガスバリアフィルム25の端縁から層間剥離(デラミネーション)が発生することを抑制できる。
【0018】
図1図3に示すように、胴部10の頂部12近傍の内周面は、閉塞部21の開口予定部21a周りの周縁部21bにおいて、全周にわたって閉塞部21の胴部10の底部11側とは反対側の面に接着されている。胴部10と閉塞部21との接着方法は、特に限定されないが、例えばフィルムの最内層にポリエチレンを含んだ接着層を設けるとともにポリエチレンを含んだ材料で注出口部20を形成して、これらをヒートシールする方法を用いることができる。
【0019】
このとき、周縁部21bの頂部12近傍の内周面が接着された領域を第1領域とし、注出口部20のチューブ容器100内方となる面のガスバリアフィルム25が設けられた領域を第2領域とし、注出口部20の周縁部21bの全周にわたる領域を第3領域とすると、胴部10は次の条件を満たすようにして注出口部20の閉塞部21に接着される。すなわち、胴部10は、第1領域と、第2領域とが、第3領域において、第3領域内の各位置における法線方向から見て、ガスバリア層14とガスバリアフィルム25とが互いに重なるように、注出口部20に接着され取り付けられる。具体的には、チューブ容器100の場合、閉塞部21が胴部10の長手方向に直交する平板状であるため、胴部10は、図1に示すように、平面視においてガスバリア層14とガスバリアフィルム25とが互いに重なるように、注出口部20の閉塞部21に接着され取り付けられる。
【0020】
このようにして、胴部10が注出口部20に取り付けられたチューブ容器100では、閉塞部21の周縁部の各位置における法線方向から見て、ガスバリア層14とガスバリアフィルム25とが互いに重なっているため、ガスバリア性を有さない領域が生じず、高いガスバリア性を実現することができる。したがって、胴部10と注出口部20とにより、最初の開封まで(注出口部20に開口を形成するまで)の密封性およびガスバリア性を保証することができる。
【0021】
図2にハーフカット22に沿って注出口部20の閉塞部21の一部を除去して、閉塞部21に開口を形成した際の断面図を示す。図2に示すように、摘み部23を所定の力で引っ張ることによりハーフカット22に沿って閉塞部21の一部である開口予定部21aをガスバリアフィルム25とともに除去して閉塞部21に開口を形成することができる。これにより、ガスバリアフィルム25が開口内に残ることを防ぐことができるため、ガスバリアフィルム25により内容物のスムーズな取り出しが阻害されることを抑制できる。
【0022】
(変形例)
図3に本発明の変形例に係るチューブ容器101の正面図を示す。チューブ容器101とチューブ容器100との相違点は、チューブ容器101が摘み部23および周壁24を備えない点である。チューブ容器101は摘み部23を備えないため、例えば、開口予定部21aを胴部10の内部に向かって押し込むことにより開口を形成することができる。
【0023】
開口予定部21aを内部に向かって押し込む作業は、指等で行ってもよいし、先端が尖った治具等を用いて行ってもよいし、ストロー等の管状の部材で行って、管状の部材を介して内容物を取り出すことができるようにしてもよい。また、例えば、チューブ容器101を正立させて載置できるリジッドな容器に収納して、ポンプディスペンサー等の吸引装置によって開口予定部21aを内部に向かって押し込むことで内容物を吸引できるようにしてもよい。
【0024】
チューブ容器101でも、ガスバリア層14とガスバリアフィルム25とが互いに重なるように胴部10が接着されているため、最初の開封までの密封性およびガスバリア性を保証することができる。また、ハーフカット22に沿って閉塞部21の一部を除去できるため、ガスバリアフィルム25が開口に残ることを防ぐことができ、ガスバリアフィルム25により内容物のスムーズな取り出しが阻害されることを抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、医薬品、化粧品、食品等を充填できる包装容器に用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
10 胴部
11 底部
12 頂部
20 注出口部
21 閉塞部
21a 開口予定部
21b 周縁部
22 ハーフカット
23 摘み部
24 周壁
100、101 チューブ容器
図1
図2
図3