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特許7275605固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子、固体撮像素子用フィルターの製造方法、および、固体撮像素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子、固体撮像素子用フィルターの製造方法、および、固体撮像素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20230511BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20230511BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20230511BHJP
   H04N 25/13 20230101ALI20230511BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G02B5/22
H01L27/146 D
H04N25/13
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019015211
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020122902
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】前田 忠俊
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 愼次
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0115888(KR,A)
【文献】国際公開第2018/163986(WO,A1)
【文献】特開2016-219767(JP,A)
【文献】特開2006-313974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20-5/28
H01L 27/146
H04N 25/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光電変換素子に対し光の入射側に位置する赤色用フィルター、緑色用フィルター、青色用フィルターの三色のカラーフィルターと、
第2光電変換素子に対し光の入射側に位置する赤外パスフィルターと、を備え、
前記赤外パスフィルターは、赤色と青色とを少なくとも含む二色以上のフィルター要素の積層体であり、
各色の前記フィルター要素は、当該フィルター要素と同一色の前記カラーフィルターよりも薄く、かつ、当該カラーフィルターと同一材料から構成され
前記第1光電変換素子、および前記第2光電変換素子に対し光の入射側に位置する共通の赤外カットフィルターであって、700nm以上900nm以下の波長を有した近赤外光を遮断する前記赤外カットフィルターをさらに備える
固体撮像素子用フィルター。
【請求項2】
前記赤外パスフィルターは、さらに緑色のフィルター要素を含み、
前記緑色のフィルター要素は、当該フィルター要素と同一色の前記カラーフィルターよりも薄く、かつ、当該カラーフィルターと同一材料から構成されている
請求項1に記載の固体撮像素子用フィルター。
【請求項3】
前記赤外パスフィルターの厚さは、前記カラーフィルターの厚さ以上である
請求項1又は2に記載の固体撮像素子用フィルター。
【請求項4】
光電変換素子と、
請求項1からのいずれか一項に記載の固体撮像素子用フィルターと、を備える
固体撮像素子。
【請求項5】
第1光電変換素子に対し光の入射側に位置する三色のカラーフィルターと、
第2光電変換素子に対し光の入射側に位置する赤外パスフィルターと、を備えた固体撮像素子用フィルターの製造方法であって、
前記赤外パスフィルターは、赤色と青色とを少なくとも含む二色以上のフィルター要素の積層体であり、
各色の前記フィルター要素は、当該フィルター要素と同一色の前記カラーフィルターよりも薄く、かつ、当該カラーフィルターと同一材料から構成されて、
各色の前記カラーフィルターを別々の工程で形成すると共に、
各色の前記カラーフィルターと、当該カラーフィルターと同一色の前記フィルター要素とを同一の工程で形成し、
前記第1光電変換素子、および前記第2光電変換素子に対し光の入射側に位置する共通の赤外カットフィルターであって、700nm以上900nm以下の波長を有した近赤外光を遮断する前記赤外カットフィルターをさらに形成する
固体撮像素子用フィルターの製造方法。
【請求項6】
光電変換素子を形成する工程と、
請求項に記載の固体撮像素子用フィルターの製造方法を用いて、前記光電変換素子の光の入射側に固体撮像素子用フィルターを形成する工程と、を含む
固体撮像素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子用フィルターを備える固体撮像素子、固体撮像素子用フィルターの製造方法、および、固体撮像素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOSイメージセンサーやCCDイメージセンサーなどの固体撮像素子は、光の強度を電気信号に変換する光電変換素子を備える。固体撮像素子は、複数の光電変換素子の他に、各色用の光電変換素子上に位置するカラーフィルターを備え、さらには赤外線センサー機能を併設搭載した個体撮像素子は赤外用の光電変換素子上に位置する赤外パスフィルターとを備える(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
カラーフィルターは、受光された光の色を、赤色、緑色、青色からなる光の三原色系、あるいは、シアン色、マゼンタ色、イエロー色からなる色の三原色系に変換する。各色用の光電変換素子は、カラーフィルターが変換した各色の光の強度を電気信号に変換する。
【0004】
赤外パスフィルターは、赤外用の光電変換素子が検出し得る可視光を遮蔽して、赤外用の光電変換素子による赤外光の検出精度を高める。赤外パスフィルターの構成材料では、例えば、特許文献1に記載のように、顔料および染料の少なくとも1種から、単独の化合物もしくは複数の化合物の組み合せを用いて、赤外パスフィルター用の着色組成物とする。または、特許文献2に記載のように、ビスベンゾフラノン系顔料、アゾメチン系顔料、ペリレン系顔料、アゾ系染料などの黒色色材を赤外パスフィルター用の着色組成物とする。あるいは、特許文献3に記載のように、黒色色材と、赤、青、緑、黄などの色顔料とを組み合わせたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-130338号公報
【文献】特開2014-130173号公報
【文献】特開2016-177079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カラーフィルターと赤外パスフィルターとを備える固体撮像素子は、可視光検出と赤外光検出とを可能にする一方で、特許文献1から3に記載の製造方法のように、可視光検出と赤外光検出とを別々の構成材料から製造している。各別の構成材料を製造に用いることは、固体撮像素子の製造過程や使用過程を煩雑なものとして、良品率の低下やコストの上昇という課題を招いている。
【0007】
本発明の目的は、良品率の低下やコストの上昇を抑制可能にした固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子、固体撮像素子用フィルターの製造方法、および、固体撮像素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための固体撮像素子用フィルターは、第1光電変換素子に対し光の入射側に位置する赤色用フィルター、緑色用フィルター、青色用フィルターの三色のカラーフィルターと、第2光電変換素子に対し光の入射側に位置する赤外パスフィルターと、を備え、前記赤外パスフィルターは、赤色と青色とを少なくとも含む二色以上のフィルター要素の積層体であり、各色の前記フィルター要素は、当該フィルター要素と同一色の前記カラーフィルターよりも薄く、かつ、当該カラーフィルターと同一材料から構成されている。
【0009】
上記構成によれば、赤外パスフィルターを構成する二色以上のフィルター要素と、それに対応する二色以上のカラーフィルターとが、同一の材料から構成される。そのため、カラーフィルターに適した加工条件と、赤外パスフィルターに適した加工条件との間に、構成材料に依存した差異が生じることが抑制される。また、カラーフィルターに適した使用環境と、赤外パスフィルターに適した使用環境との間にも、構成材料に依存した差異が生じることが抑制される。ひいては、加工条件の差異が生じることや、使用環境の差異が生じることに起因する良品率の低下やコストの上昇を抑制することができる。
【0010】
上記固体撮像素子用フィルターにおいて、前記赤外パスフィルターは、さらに緑色のフィルター要素を含み、前記緑色のフィルター要素は、当該フィルター要素と同一色の前記カラーフィルターよりも薄く、かつ、当該カラーフィルターと同一材料から構成されてもよい。この構成であれば、緑色のフィルター要素を備える固体撮像素子用フィルターにおいても、上述した加工条件の差異が生じること、および、使用環境の差異が生じることを抑制することができる。
【0011】
上記固体撮像素子用フィルターにおいて、前記赤外パスフィルターの厚さは、前記カラーフィルターの厚さ以上であってもよい。この構成であれば、各フィルター要素が受ける薄膜化の制約が軽減可能であるから、赤外パスフィルターにおいて可視光の非透過性が向上可能でもある。
【0012】
上記固体撮像素子用フィルターは、前記第1光電変換素子に対し光の入射側に位置する赤外カットフィルターをさらに備えてもよい。この構成であれば、第1光電変換素子による可視光の検出精度が高められると共に、赤外パスフィルターとカラーフィルターとの間に生じる段差が赤外カットフィルターで軽減可能ともなる。なお、前記第2光電変換素子に対し光の入射側に位置する赤外カットフィルターを備えてもよい。
【0013】
上記固体撮像素子用フィルターにおいて、前記赤外カットフィルターの前記赤外パスフィルターに対応する位置に貫通孔を備えてもよい。この構成であれば、赤外カットフィルターによってカットされる赤外光を第2光電変換素子で検出することが可能である。
【0014】
上記課題を解決するための固体撮像素子は、光電変換素子と、上記固体撮像素子用フィルターとを備える。
上記課題を解決するための固体撮像素子用フィルターの製造方法は、第1光電変換素子に対し光の入射側に位置する三色のカラーフィルターと、第2光電変換素子に対し光の入射側に位置する赤外パスフィルターと、を備えた固体撮像素子用フィルターの製造方法であって、前記赤外パスフィルターは、赤色と青色とを少なくとも含む二色以上のフィルター要素の積層体であり、各色の前記フィルター要素は、当該フィルター要素と同一色の前記カラーフィルターよりも薄く、かつ、当該カラーフィルターと同一材料から構成されて、各色の前記カラーフィルターを別々の工程で形成すると共に、各色の前記カラーフィルターと、当該カラーフィルターと同一色の前記フィルター要素とを同一の工程で形成する。
【0015】
上記方法によれば、赤外パスフィルターを構成する二色以上のフィルター要素と、それに対応する二色以上のカラーフィルターとが、同一の材料から形成される。そのため、カラーフィルターに適した加工条件と、赤外パスフィルターに適した加工条件との間に、構成材料に依存した差異が生じることが抑制される。また、カラーフィルターに適した使用環境と、赤外パスフィルターに適した使用環境との間にも、構成材料に依存した差異が生じることが抑制される。そのうえ、各色のカラーフィルターと、当該カラーフィルターと同一色のフィルター要素とが同一の工程で形成されるため、固体撮像素子用フィルターの生産性が向上可能ともなる。
【0016】
上記課題を解決するための固体撮像素子の製造方法は、光電変換素子を形成する工程と、上記固体撮像素子用フィルターの製造方法を用いて、前記光電変換素子の光の入射側に固体撮像素子用フィルターを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】固体撮像素子の一実施形態における層構造を部分的に示す分解斜視図。
図2図1のII-II線断面図。
図3】赤外パスフィルターの透過スペクトルの一例を示すグラフ。
図4】(a)(b)(c)固体撮像素子の一実施形態における各工程を示す断面図。
図5】固体撮像素子の変更例における層構造を部分的に示す分解斜視図。
図6図5のVI-VI線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、固体撮像素子用フィルター、固体撮像素子、固体撮像素子用フィルターの製造方法、および、固体撮像素子の製造方法の一実施形態を、図1から図4を参照して説明する。図1は、固体撮像素子の一部における各層を分離して示す概略構成図である。
【0019】
図1が示すように、固体撮像素子は、固体撮像素子用フィルター10、および、複数の光電変換素子11を備える。固体撮像素子用フィルター10は、各色用フィルター12R,12G,12B、赤外パスフィルター12P、および、各マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pを備える。
【0020】
各色用フィルター12R,12G,12Bは、三色用の光電変換素子11R,11G,11Bとマイクロレンズ15R,15G,15Bとの間に位置する。赤外パスフィルター12Pは、赤外用光電変換素子11Pとマイクロレンズ15Pとの間に位置する。
【0021】
三色用の光電変換素子11は、第1光電変換素子の一例であり、赤色用光電変換素子11R、緑色用光電変換素子11G、および、青色用光電変換素子11Bから構成される。赤外用光電変換素子11Pは、第2光電変換素子の一例である。固体撮像素子は、複数の赤色用光電変換素子11R、複数の緑色用光電変換素子11G、複数の青色用光電変換素子11B、および、複数の赤外用光電変換素子11Pを備える。図1では、固体撮像素子における光電変換素子11の繰り返し単位を示す。
【0022】
三色用のカラーフィルターは、赤色用フィルター12R、緑色用フィルター12G、および、青色用フィルター12Bから構成される。赤色用フィルター12Rは、赤色用光電変換素子11Rに対し光の入射側に位置する。緑色用フィルター12Gは、緑色用光電変換素子11Gに対し光の入射側に位置する。青色用フィルター12Bは、青色用光電変換素子11Bに対し光の入射側に位置する。
【0023】
赤色用フィルター12R、緑色用フィルター12G、および、青色用フィルター12Bの感光性着色組成物に含有される顔料としては、有機または無機の顔料を、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。顔料は、発色性が高く、かつ耐熱性の高い顔料、特に耐熱分解性の高い顔料が好ましく、有機顔料が用いられる。顔料には、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、ペリレン系、チオインジゴ系、イソインドリン系、キノフタロン系、ジケトピロロピロール系などの有機顔料が挙げられる。
【0024】
以下に、本実施形態の感光性着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
各色用フィルターの青色感光性着色組成物に用いられる青色色素としては、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、81などの顔料が挙げられ、なかでもC.I. Pigment Blue 15:6が好ましい。紫色色素としては、例えばC.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50などの顔料が挙げられ、なかでもC.I. Pigment Violet 23が好ましい。
【0025】
黄色色素としては、C.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214などの顔料が挙げられ、なかでもC.I. Pigment Yellow 13、150、185が好ましい。
【0026】
赤色の感光性着色組成物は、青色色素等の代わりに、例えばC.I. Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、C.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等の赤色顔料、および必要に応じ調色用として、C.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214などを用いて得られる組成物である。
【0027】
また、緑色の感光性着色組成物は、青色色素などの代わりに、例えばC.I. Pigment Green 7、10、367、58などの緑色顔料、および、必要に応じ調色用として上記黄色顔料を用いて得られる組成物である。
【0028】
各色の感光性着色組成物にはさらにバインダー樹脂、光重合開始剤、重合性モノマー、有機溶剤、レベリング剤などが含まれる。バインダー樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノルボルネン系樹脂である。
【0029】
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤などの1種を単独で、または、2種以上を混合して用いられる。
【0030】
重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;N-ビニルピロリドン;スチレンおよびその誘導体、α-メチルスチレン等のスチレン類;(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、アルコキシメチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等のその他のビニル化合物、およびポリメチルメタクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマーなどのマクロモノマー類などが挙げられる。これらのモノマーは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0031】
有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3-トリクロロプロパン、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、o-キシレン、o-クロロトルエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。これらは1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。
【0032】
レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造、または、ポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ-2122、ビックケミー社製BYK-333などが挙げられる。ポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK-310、BYK-370などが挙げられる。ポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、ポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。これらは1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。
【0033】
赤外パスフィルター12Pは、第1パス要素12P1、第3パス要素12P3を少なくとも備える。また、図2が示すように、第2パス要素12P2をさらに備えていてもよい。第1パス要素12P1、第2パス要素12P2、および、第3パス要素12P3は三色のフィルター要素の一例である。以下では、赤外パスフィルター12Pが、第1パス要素12P1、第2パス要素12P2、および、第3パス要素12P3の三色のフィルター要素を備えた場合について説明する。
【0034】
赤外パスフィルター12Pは、三色のフィルター要素の積層体である。各色のフィルター要素は、当該フィルター要素と同一色のカラーフィルターよりも薄く、かつ、当該カラーフィルターと同一材料から構成されている。すなわち、第1パス要素12P1は、赤色用フィルター12Rよりも薄く、かつ、赤色用フィルター12Rと同一材料から構成される。第2パス要素12P2は、緑色用フィルター12Gよりも薄く、かつ、緑色用フィルター12Gと同一材料から構成される。第3パス要素12P3は、青色用フィルター12Bよりも薄く、かつ、青色用フィルター12Bと同一材料から構成される。
【0035】
なお、第1パス要素12P1、第2パス要素12P2、第3パス要素12P3の積層順序は、第1パス要素12P1、第2パス要素12P2、第3パス要素12P3の順でもよいし、第1パス要素12P1、第3パス要素12P3、第2パス要素12P2の順でもよい。また、第1パス要素12P1、第2パス要素12P2、第3パス要素12P3の積層順序は、第2パス要素12P2、第1パス要素12P1、第3パス要素12P3の順でもよいし、第2パス要素12P2、第3パス要素12P3、第1パス要素12P1の順でもよい。また、第1パス要素12P1、第2パス要素12P2、第3パス要素12P3の積層順序は、第3パス要素12P3、第1パス要素12P1、第2パス要素12P2の順でもよいし、第3パス要素12P3、第2パス要素12P2、第1パス要素12P1の順でもよい。
【0036】
赤外パスフィルター12Pは、赤外用光電変換素子11Pが検出し得る可視光を、赤外用光電変換素子11Pに対しカットし、それによって、赤外用光電変換素子11Pによる可視光の検出精度を高める。赤外用光電変換素子11Pが検出し得る可視光は、例えば、450nm以上700nm以下の波長を有した光である。赤外パスフィルター12Pは、赤外用光電変換素子11P上のみに位置する層である。
【0037】
図3が示すように、赤外パスフィルター12Pの透過スペクトルは、例えば、400nm以上700nm以下の範囲で10%以下の透過率を示す。一方、赤外パスフィルター12Pは、例えば、900nm付近をピークとして10%以上の透過率を有し、900nmを超えた範囲では90%以上の透過率を有する。
【0038】
850nmの波長を有した近赤外光、および、940nmの波長を有した近赤外光は、大気中に含まれる水蒸気によって吸収される。すなわち、850nmの波長を有した近赤外光、および、940nmの波長を有した近赤外光は、太陽光によるノイズを大気中の水蒸気によって取り除かれる光である。赤外用光電変換素子11Pは、これら850nmの波長を有した近赤外光、および、940nmの波長を有した近赤外光の少なくとも一方を検出対象とする。
【0039】
マイクロレンズは、赤色用マイクロレンズ15R、緑色用マイクロレンズ15G、青色用マイクロレンズ15B、および、赤外用マイクロレンズ15Pから構成される。赤色用マイクロレンズ15Rは、赤色用フィルター12Rに対し光の入射側に位置する。緑色用マイクロレンズ15Gは、緑色用フィルター12Gに対し光の入射側に位置する。青色用マイクロレンズ15Bは、青色用フィルター12Bに対し光の入射側に位置する。赤外用マイクロレンズ15Pは、赤外パスフィルター12Pに対し光の入射側に位置する。
【0040】
各マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pは、外表面である入射面15Sを備える。各マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pは、入射面15Sに入る光を各光電変換素子11R,11G,11B,11Pに向けて集めるための屈折率差を外気との間で有する。
【0041】
次に、固体撮像素子用フィルターの製造方法、および、固体撮像素子の製造方法について説明する。固体撮像素子の製造方法は、各光電変換素子11を形成する工程と、固体撮像素子用フィルターの製造方法とを含む。
【0042】
固体撮像素子用フィルターの製造方法は、赤色用フィルター12Rと、赤色用フィルター12Rと同一色の第1パス要素12P1とを形成する第1工程を備える。また、固体撮像素子用フィルターの製造方法は、緑色用フィルター12Gと、緑色用フィルター12Gと同一色の第2パス要素12P2とを形成する第2工程を備える。また、固体撮像素子用フィルターの製造方法は、青色用フィルター12Bと、青色用フィルター12Bと同一色の第3パス要素12P3とを形成する第3工程を備える。そして、固体撮像素子用フィルターの製造方法は、各マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pを形成する第4工程を備える。
【0043】
図4(a)が示すように、第1工程では、各光電変換素子11の上に、赤色感光性樹脂を含む塗膜12RDが形成され、フォトリソグラフィー法を用いた塗膜12RDのパターニングによって、赤色用フィルター12R、および、第1パス要素12P1が形成される。
【0044】
例えば、赤色用感光性樹脂を含む塗膜12RDは、赤色用感光性樹脂を含む塗布液の塗布、および、塗膜12RDの乾燥によって形成される。赤色用フィルター12Rは、塗膜12RDに対し、赤色用フィルター12Rの領域に相当する範囲への露光、および、現像を施して形成される。また、第1パス要素12P1は、赤色用フィルター12Rを形成するための露光時にハーフトーンマスク、もしくは、階調マスクが用いられ、第1パス要素12P1の領域に相当する範囲への露光、および、現像を施して形成される。なお、緑色用光電変換素子11G、および、青色用光電変換素子11Bの上に位置する塗膜12RDは、上述した露光、および、現像によって取り除かれる。
【0045】
図4(b)が示すように、第2工程では、赤色用フィルター12R、および、第1パス要素12P1の上、並びに、緑色用光電変換素子11G、および、青色用光電変換素子11Bの上に、緑色感光性樹脂を含む塗膜12GDが形成され、フォトリソグラフィー法を用いた塗膜12GDのパターニングによって、緑色用フィルター12G、および、第2パス要素12P2が形成される。
【0046】
例えば、緑色用感光性樹脂を含む塗膜12GDは、緑色用感光性樹脂を含む塗布液の塗布、および、塗膜12GDの乾燥によって形成される。緑色用フィルター12Gは、塗膜12GDに対し、緑色用フィルター12Gの領域に相当する範囲への露光、および、現像を施して形成される。また、第2パス要素12P2は、緑色用フィルター12Gを形成するための露光時にハーフトーンマスク、もしくは、階調マスクが用いられ、第2パス要素12P2の領域に相当する範囲への露光、および、現像を施して形成される。なお、青色用光電変換素子11B、および、赤色用フィルター12Rの上に位置する塗膜12GDは、上述した露光、および、現像によって取り除かれる。
【0047】
図4(c)が示すように、第3工程では、赤色用フィルター12R、緑色用フィルター12G、および、第2パス要素12P2の上、青色感光性樹脂を含む塗膜12BDが形成され、フォトリソグラフィー法を用いた塗膜12BDのパターニングによって、青色用フィルター12B、および、第3パス要素12P3が形成される。
【0048】
例えば、青色用感光性樹脂を含む塗膜12BDは、青色用感光性樹脂を含む塗布液の塗布、および、塗膜12BDの乾燥によって形成される。青色用フィルター12Bは、塗膜12BDに対し、青色用フィルター12Bの領域に相当する範囲への露光、および、現像を施して形成される。また、第3パス要素12P3は、青色用フィルター12Bを形成するための露光時にハーフトーンマスク、もしくは、階調マスクが用いられ、第3パス要素12P3の領域に相当する範囲への露光、および、現像を施して形成される。なお、赤色用フィルター12R、および、緑色用フィルター12Gの上に位置する塗膜12BDは、上述した露光、および、現像によって取り除かれる。
【0049】
第4工程では、各色用フィルター12R,12G,12B、および、赤外パスフィルター12Pの上に、透明樹脂を含む塗膜が形成される。そして、透明樹脂から構成される塗膜に対し、フォトリソグラフィー法を用いた塗膜のパターニング、および、熱処理によるリフローが施されて、各マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pが形成される。透明樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノルボルネン系樹脂である。
【0050】
なお、赤外パスフィルター12Pによる赤外光の透過機能は、赤外パスフィルター12Pの厚みに応じて変わり得る。そして、各色用フィルター12R,12G,12B上のマイクロレンズ15R,15G,15Bや、赤外パスフィルター12P上のマイクロレンズ15Pは、各色用フィルター12R,12G,12Bと、赤外パスフィルター12Pとの間での段差によって、その加工の精度を低下させ得る。そこで、各マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pの下地での平坦性が高められる観点から、各色用フィルター12R,12G,12Bの厚みと、赤外パスフィルター12Pの厚みとは、相互にほぼ等しいことが好ましい。
【0051】
あるいは、各色用フィルター12R,12G,12B、および、赤外パスフィルター12Pと、マイクロレンズ15Pとの間に、平坦化層を備えた構成とすることも可能である。平坦化層を備える構成であれば、各色用フィルター12R,12G,12B、および、赤外パスフィルター12Pの厚み差を軽減し、それによって、マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pの下地を平坦化できる。
【0052】
さらに、各マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pを形成する際にマイクロレンズ15R,15G,15B,15Pの材料を平坦化層の代わりに利用してもよい。各色用フィルター12R,12G,12B、および、赤外パスフィルター12Pの厚みの違いからなる高低差に対し、マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pの材料を埋めることで平坦化してもよい。
【0053】
以上、上記実施形態によれば以下に列記する効果が得られる。
(1)三色の各パス要素12P1,12P2,12P3と、三色のカラーフィルターとが、同一の材料から構成される。そのため、カラーフィルターに適した加工条件と、赤外パスフィルター12Pに適した加工条件との間に、構成材料に依存した差異が生じることが抑制される。
【0054】
(2)各色用フィルター12R,12G,12Bに適した使用環境と、赤外パスフィルター12Pに適した使用環境との間に、構成材料に依存した差異が生じることが抑制される。
【0055】
(3)各色用フィルター12R,12G,12Bと、当該色用フィルターと同一色のパス要素12P1,12P2,12P3とが同一の工程で形成されるため、赤外線センサー機能を併設搭載した固体撮像素子用フィルターの生産性を低下させることなく製造が可能となる。
【0056】
(4)しかも、各色用フィルター12R,12G,12Bを形成するための塗膜12RD,12GD,12BDと、各パス要素12P1,12P2,12P3を形成するための塗膜12RD,12GD,12BDとが、単一の塗膜として形成される。それゆえに、各色用フィルター12R,12G,12B、および、赤外パスフィルター12Pの形成に要する材料を、より有効的に利用することが可能ともなる。
【0057】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。
[赤外カットフィルター]
・固体撮像素子は、赤外カットフィルター13を別途備えることが可能でもある。赤外カットフィルター13は、各光電変換素子11がノイズとして検出し得る波長帯の赤外光を、光電変換素子11に対しカットする。それによって、光電変換素子11の検出精度を高める。
【0058】
赤外カットフィルター13は、例えば、図5が示すように、赤外パスフィルター12Pに対する光の入射側に貫通孔13Hを備え、赤外パスフィルター12Pに対する光の入射側には位置しない構成としてもよい。赤外カットフィルター13は、赤色用フィルター12R、緑色用フィルター12G、および、青色用フィルター12Bに共通する。
【0059】
各光電変換素子11が検出し得る赤外光は、例えば、700nm以上1200nm以下の波長を有した近赤外光である。赤外カットフィルター13は、赤色用フィルター12R、緑色用フィルター12G、および、青色用フィルター12Bに共通する層である。
【0060】
また、赤外カットフィルター13を赤外パスフィルター12Pに対し光の入射側に位置するように備えてもよい。すなわち、赤外カットフィルター13は貫通孔13Hを備えていなくてもよい。赤外カットフィルター13は例えば、700nm以上900nm以下の波長を有した近赤外光を遮断する。この構成であれば、赤外用光電変換素子11Pにおいても940nmの波長を有した近赤外光を効率的に検出することができる。
【0061】
赤外カットフィルター13の構成材料は、赤外吸収色素を含む透明樹脂である。赤外吸収色素は、例えば、アントラキノン系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ジチオール系色素、ジイモニウム系色素、スクアリリウム系色素、クロコニウム系色素である。透明樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノルボルネン系樹脂である。赤外カットフィルター13は、塗布法などを用いた成膜によって形成される。
【0062】
赤外吸収色素を含む透明樹脂は、感光性を持たせることが可能であって、各着色組成物と同様に、光重合開始剤、重合性モノマー、有機溶剤、レベリング剤などを混合して感光性赤外線吸収透明樹脂組成物とすることができる。パターニング方法はカラーフィルター製造方法と同様の方法で行われる。
【0063】
図6が示すように、赤外パスフィルター12Pは、各色用フィルター12R,12G,12Bよりも厚くてもよい。この構成であれば、各パス要素12P1,12P2,12P3が受ける厚みの制約が軽減可能であるから、赤外パスフィルター12Pにおいて可視光の非透過性が向上可能でもある。
【0064】
なお、マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pは、それが形成される下地での段差によって、その加工の精度を低下させ得る。赤外カットフィルター13を備える構成においては、各マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pの下地での平坦性が高められる観点から、各色用フィルター12R,12G,12Bの厚みと、赤外カットフィルター13の厚みとの合計が、赤外パスフィルター12Pの厚みとほぼ等しいことが好ましい。
【0065】
赤外カットフィルター13の透過スペクトルは、下記[A1]および[A2]の条件を満たすことが好ましい。
[A1]450nm以上650nm以下の範囲で平均透過率が80%以上である。
【0066】
[A2]700nm以上1000nm以下の範囲に最大吸収(λmax)を有し、透過率が20%以下である。
[A1]を満たす構成であれば、可視光が赤外カットフィルター13で吸収されてしまうことが十分に抑制される。[A2]を満たす構成であれば、各色用の光電変換素子11で検出され得る近赤外光が赤外カットフィルター13で十分にカットされ、かつ、可視光までがカットされてしまうことが十分に抑制される。
【0067】
[赤外パスフィルター]
・赤外パスフィルター12Pは、第1パス要素12P1、および、第3パス要素12P3の二色のフィルター要素の積層体で構成されていてもよい。各色のフィルター要素は、当該フィルター要素と同一色のカラーフィルターよりも薄く、かつ、当該カラーフィルターと同一材料から構成されている。すなわち、第1パス要素12P1は、赤色用フィルター12Rよりも薄く、かつ、赤色用フィルター12Rと同一材料から構成される。第3パス要素12P3は、青色用フィルター12Bよりも薄く、かつ、青色用フィルター12Bと同一材料から構成される。なお、第1パス要素12P1、第3パス要素12P3の積層順序は、第1パス要素12P1、第3パス要素12P3の順でもよいし、第3パス要素12P3、第1パス要素12P1の順でもよい。
【0068】
上記変更例によれば、赤外パスフィルター12Pの積層数を少なくしつつ、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
・複数の光電変換素子11と、各色用フィルター12R,12G,12B、および、赤外パスフィルター12Pとの間に、ブラックマトリックス、および、平坦化層を備えた構成とすることも可能である。ブラックマトリックスは、各色用フィルター12R,12G,12Bが選択した各色の光が他の光電変換素子11に入ることを抑制する。平坦化層は、ブラックマトリックスが有する段差を埋めて、各色用フィルター12R,12G,12Bの下地、および、赤外パスフィルター12Pの下地を平坦化し、それによって、マイクロレンズ15R,15G,15B,15Pの下地を平坦化する。
【符号の説明】
【0069】
10…固体撮像素子用フィルター、11…光電変換素子、11R…赤色用光電変換素子、11G…緑色用光電変換素子、11B…青色用光電変換素子、11P…赤外用光電変換素子、12R…赤色用フィルター、12G…緑色用フィルター、12B…青色用フィルター、12P…赤外パスフィルター、12P1…第1パス要素、12P2…第2パス要素、12P3…第3パス要素、13…赤外カットフィルター、15R…赤色用マイクロレンズ、15G…緑色用マイクロレンズ、15B…青色用マイクロレンズ、15P…赤外用マイクロレンズ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6