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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-10
(45)【発行日】2023-05-18
(54)【発明の名称】配置位置情報の作成方法及び作成装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/00 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
G05D1/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019019189
(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公開番号】P2020126495
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】松本 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】小田原 智己
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-534691(JP,A)
【文献】特開2009-236784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無軌道で走行する搬送車を誘導するための誘導用スポットが設置された床面に対して、一時的に設けられたレールと、
前記レール上を移動する移動台車と、
前記移動台車に設けられ、第一方向に沿った第一基準線に基づき配置された前記誘導用スポットを読み取る読取装置と、
前記読取装置によって読み取られた前記誘導用スポットの配置位置に基づき、当該誘導用スポットの配置位置情報を作成するコントローラと、
を備えた作成装置による配置位置情報の作成方法であって、
前記第一基準線を基準として前記レールを配置するレール配置ステップと、
前記移動台車を前記レール上で移動させることで前記読取装置が読み取った読取結果に基づいて、水平面における前記第一方向に直交する第二方向に対する前記誘導用スポットの配置位置情報を作成する作成ステップとを有する
配置位置情報の作成方法。
【請求項2】
前記レール配置ステップは、前記レールを支持する第一基準部材を、前記第一基準線に対して位置合わせされるように配置した後に、当該第一基準部材に前記レールを設置する、または、前記レールの一部が前記第一基準線に対して位置合わせされるように前記レールを設置する
請求項1に記載の配置位置情報の作成方法。
【請求項3】
前記誘導用スポットは、前記第二方向に沿った第二基準線に基づき配置されており、
前記移動台車は、前記第二基準線に対して位置合わせされる第二基準部材を有し、
前記作成ステップは、前記移動台車を移動させて、前記第二基準部材が前記第二基準線に対して位置合わせされた際に、前記読取装置による読み取りを実行し、読取結果に基づいて、前記第一方向に対する前記誘導用スポットの配置位置情報を作成する
請求項に記載の配置位置情報の作成方法。
【請求項4】
前記誘導用スポットは、前記第一基準線及び前記第二基準線に基づいて配置された第一誘導用スポットと、前記第一方向に沿って前記第一誘導用スポットから所定の間隔をあけて配置された第二誘導用スポットとを有し、
前記作成ステップは、
前記移動台車を移動させて、前記第二基準部材が前記第二基準線に対して位置合わせされた際に、前記読取装置による前記第一誘導用スポットに対する読み取りを実行し、読取結果として得られた前記第一基準線及び前記第二基準線に対する前記第一誘導用スポットのズレ量に基づいて、前記第一誘導用スポットの配置位置情報を作成する第一作成ステップと、
前記第一作成ステップの後に、前記移動台車を移動させて得られた前記読取装置による前記第二誘導用スポットに対する読取結果と、前記移動台車が有する移動距離検出部の、前記第一誘導用スポットを基準とした検出結果とに基づいて、前記第二誘導用スポットの配置位置情報を作成する第二作成ステップと、を含む
請求項3に記載の配置位置情報の作成方法。
【請求項5】
前記作成ステップでは、前記第一基準部材から前記第二基準線までの距離を測定する測定部材の一端を前記第一基準部材に当接させて、当該測定部材の他端を前記移動台車に当接させることで、前記第二基準部材を前記第二基準線に位置合わせする
請求項3または4に記載の配置位置情報の作成方法。
【請求項6】
無軌道で走行する搬送車を誘導するための誘導用スポットが設置された床面に対して、一時的に設けられたレールと、
前記レール上を移動する移動台車と、
前記移動台車に設けられ、第一方向に沿った第一基準線に基づき配置された前記誘導用スポットを読み取る読取装置と、
前記読取装置によって読み取られた前記誘導用スポットの配置位置に基づき、当該誘導用スポットの配置位置情報を作成するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記移動台車を前記レール上で移動させることで前記読取装置が読み取った読取結果に基づいて、水平面における前記第一方向に直交する第二方向に対する前記誘導用スポットの配置位置情報を作成する
配置位置情報の作成装置。
【請求項7】
前記読取装置は、前記搬送車に備わる、前記誘導用スポットを読み取る搬送車用読取装置と同じ高さに設置されている
請求項6に記載の配置位置情報の作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配置位置情報の作成方法及び作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動搬送車を誘導するために、天井面に複数のマークを配置し、当該マークを自動搬送車が画像認識で読み取ることで現在位置、向きなどを把握する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平01-243104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基準となるマーク(誘導用スポット)を床面に設置する場合もあるが、床面の凹凸や、設置作業の困難性などから、マークが基準位置から位置ズレしてしまうおそれがある。具体的には、設置作業は基本的に人手で行うために、床面の凹凸によって、基準位置からマークがズレてしまうおそれがある。このズレには、位置ズレ及び角度ズレが含まれる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、誘導用スポットが基準位置からズレていたとしても、自動搬送車が現在位置を正確に把握可能な配置位置情報の作成方法及び作成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る配置位置情報の作成方法は、無軌道で走行する搬送車を誘導するための誘導用スポットが設置された床面に対して、一時的に設けられたレールと、レール上を移動する移動台車と、移動台車に設けられ、第一方向に沿った第一基準線に基づき配置された誘導用スポットを読み取る読取装置と、読取装置によって読み取られた誘導用スポットの配置位置に基づき、誘導用スポットの配置位置情報を作成するコントローラと、を備えた作成装置による配置位置情報の作成方法であって、第一基準線を基準としてレールを配置するレール配置ステップと、移動台車をレール上で移動させることで読取装置が読み取った読取結果に基づいて、水平面における第一方向に直交する第二方向に対する誘導用スポットの配置位置情報を作成する作成ステップとを有する。
【0007】
これによれば、読取装置を備えた移動台車は、レール上を走行することで読取装置が誘導用スポットを読み取る。レールは、床面の凹凸の影響を受けずに水平面に対して平行に配置されているので、移動台車も移動時に床面の凹凸の影響を受けにくい。このため、読取装置は、正確に誘導用スポットを読み取ることができる。
【0008】
また、誘導用スポットの配置位置情報は、読取装置が読み取った読取結果に基づいて、水平面における第一方向に直交する第二方向に対して作成されている。このため、基準位置から第二方向における誘導用スポットのズレ(位置ズレ及び角度ズレ)を含んだ配置位置情報を作成することができる。この作成された配置位置情報を搬送車に反映させれば、誘導用スポットが基準位置からズレていたとしても、搬送車は現在位置を正確に把握することができる。
【0009】
また、レール配置ステップは、レールを支持する第一基準部材を、第一基準線に対して位置合わせされるように配置した後に、第一基準部材にレールを設置する、または、レールの一部が第一基準線に対して位置合わせされるようにレールを設置する。
【0010】
これによれば、レールを支持する第一基準部材を、第一基準線に対して位置合わせされるように配置した後に、当該第一基準部材にレールを設置する、またはレールの一部が第一基準線に対して位置合わせされるようにレールを設置するので、レールを第一基準線に対して平行に配置することができる。したがって、レールと第一基準線との間隔が一定となるため、第二方向における配置位置情報の作成を簡略化することができる。
【0011】
また、誘導用スポットは、第二方向に沿った第二基準線に基づき配置されており、移動台車は、第二基準線に対して位置合わせされる第二基準部材を有し、作成ステップは、移動台車を移動させて、第二基準部材が第二基準線に対して位置合わせされた際に、読取装置による読み取りを実行し、読取結果に基づいて、第一方向に対する誘導用スポットの配置位置情報を作成する。
【0012】
これによれば、誘導用スポットの配置位置情報は、読取装置が読み取った読取結果に基づいて、第一方向に対して作成されている。このため、基準位置から第一方向における誘導用スポットのズレ(位置ズレ及び角度ズレ)を含んだ配置位置情報を作成することができる。
【0013】
また、誘導用スポットは、第一基準線及び第二基準線に基づいて配置された第一誘導用スポットと、第一方向に沿って第一誘導用スポットから所定の間隔をあけて配置された第二誘導用スポットとを有し、作成ステップは、移動台車を移動させて、第二基準部材が第二基準線に対して位置合わせされた際に、読取装置による第一誘導用スポットに対する読み取りを実行し、読取結果として得られた第一基準線及び第二基準線に対する第一誘導用スポットのズレ量に基づいて、第一誘導用スポットの配置位置情報を作成する第一作成ステップと、第一作成ステップの後に、移動台車を移動させて得られた読取装置による第二誘導用スポットに対する読取結果と、移動台車が有する移動距離検出部の、第一誘導用スポットを基準とした検出結果とに基づいて、第二誘導用スポットの配置位置情報を作成する第二作成ステップと、を含む。
【0014】
第二誘導用スポットに対する配置位置情報は、移動台車を移動させて得られた読取装置による第二誘導用スポットに対する読取結果と、移動台車が有する移動距離検出部の検出結果とに基づいて作成されている。つまり、第二誘導用スポットの配置位置情報の作成時には、第二誘導用スポットの第二基準線に対して第二基準部材を位置合わせしなくてもよい。したがって、自動的に第二誘導用スポットの配置位置情報を取得することができる。
【0015】
また、作成ステップでは、第一基準部材から第二基準線までの距離を測定する測距手段の測距結果に基づいて、第二基準部材を第二基準線に位置合わせする。
【0016】
これによれば、第一基準部材から第二基準線までの距離を測定する測距手段の測距結果に基づいて、第二基準部材を第二基準線に位置合わせするので、当該位置合わせの確実性を高めることができる。
【0017】
本発明の一態様に係る配置位置情報の作成装置は、無軌道で走行する搬送車を誘導するための誘導用スポットが設置された床面に対して、一時的に設けられたレールと、レール上を移動する移動台車と、移動台車に設けられ、第一方向に沿った第一基準線に基づき配置された誘導用スポットを読み取る読取装置と、読取装置によって読み取られた誘導用スポットの配置位置に基づき、誘導用スポットの配置位置情報を作成するコントローラと、を備え、コントローラは、移動台車をレール上で移動させることで読取装置が読み取った読取結果に基づいて、水平面における第一方向に直交する第二方向に対する誘導用スポットの配置位置情報を作成する。
【0018】
これによれば、読取装置を備えた移動台車は、レール上を走行することで読取装置が誘導用スポットを読み取る。レールは、床面の凹凸の影響を受けずに水平面に対して平行に配置されているので、移動台車も移動時に床面の凹凸の影響を受けにくい。このため、読取装置は、正確に誘導用スポットを読み取ることができる。
【0019】
また、誘導用スポットの配置位置情報は、読取装置が読み取った読取結果に基づいて、水平面における第一方向に直交する第二方向に対して作成されている。このため、基準位置から第二方向における誘導用スポットのズレ(位置ズレ及び角度ズレ)を含んだ配置位置情報を作成することができる。この作成された配置位置情報を自動搬送車に反映させれば、誘導用スポットが基準位置からズレていたとしても、自動搬送車は現在位置を正確に把握することができる。
【0020】
また、読取装置は、搬送車に備わる、誘導用スポットを読み取る搬送車用読取装置と同じ高さに設置されている。
【0021】
これによれば、読取装置が搬送車に備わる搬送車用読取装置と同じ高さに設置されているので、搬送車用読取装置が誘導用スポットを読み取る状況を、読取装置でも再現することができる。したがって、搬送車の走行状況に近い形で配置位置情報を作成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、誘導用スポットが基準位置からズレていたとしても、自動搬送車が現在位置を正確に把握可能な配置位置情報作成方法及び配置位置情報作成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施の形態に係る誘導用スポットが設置された床面を示す平面図である。
図2図2は、実施の形態に係る作成装置の概略構成を示す平面図である。
図3図3は、実施の形態に係る作成装置の概略構成を示す斜視図である。
図4図4は、実施の形態に係る作成装置の制御構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施の形態に係るレール配置ステップの一工程を示す平面図である。
図6図6は、実施の形態に係るレール配置ステップの一工程を示す平面図である。
図7図7は、実施の形態に係るレール配置ステップの一工程を示す平面図である。
図8図8は、実施の形態に係る作成ステップの一工程を示す平面図である。
図9図9は、実施の形態に係る読取装置の撮影範囲を示す説明図である。
図10図10は、変形例に係る実施の形態に係る作成装置の制御構成を示すブロック図である。
図11図11は、変形例に係る作成ステップを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の形態に係る配置位置情報の作成方法及び作成装置について、図面を参照しながら説明する。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。以降の説明において、第一方向を水平面におけるX軸方向とし、水平面内において第一方向に直交する第二方向をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向(上下方向)として説明する。
【0025】
また、以下で説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、接続形態、ステップ及びステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0026】
[誘導用スポットの用途例]
まず、実施の形態に係る誘導用スポットの用途例について説明する。図1は、実施の形態に係る誘導用スポットが設置された床面を示す平面図である。図1に示すように、誘導用スポット100は、床面Fに対してマトリクス状に複数配置されている。誘導用スポット100は、例えばAGV(Automated guided vehicle)などの搬送車200を誘導するためのマークである。具体的には、誘導用スポット100は、二次元バーコード、磁気マークなどである。本実施の形態では、誘導用スポット100が二次元バーコードである場合を例示する。搬送車200には、誘導用スポット100を読み取る搬送車用読取装置210が設けられている。搬送車200は、搬送車用読取装置210が誘導用スポット100を読み取ることで、当該搬送車200の現在位置を取得するようになっている。具体的には、搬送車200の制御部(図示省略)は、予め各誘導用スポット100の識別情報、基準位置を記録している。搬送車200の制御部は、搬送車用読取装置210が読み取った誘導用スポット100の識別情報に基づいて、当該識別情報に対応する基準位置を認識することで、搬送車200の現在位置を取得する。
【0027】
[配置位置情報の作成装置]
次に、実施の形態に係る配置位置情報の作成装置10について説明する。作成装置10は、基準位置に対する誘導用スポット100の位置ズレを検出して、当該誘導用スポット100の配置位置情報を作成する装置である。図2は、実施の形態に係る作成装置10の概略構成を示す平面図である。図3は、実施の形態に係る作成装置10の概略構成を示す斜視図である。
【0028】
図2及び図3に示すように、作成装置10は、レール20と、複数の支持ブロック22と、複数のサポートブロック23と、移動台車30と、読取装置40とを備えている。
【0029】
レール20は、その長尺方向が水平面におけるX軸方向に対して平行となるように配置されている。なお、レール20は、全体として一本のレール体であってもよいし、複数のレール体を連結することで形成されたものであってもよい。
【0030】
複数の支持ブロック22は、X軸方向に沿って所定の間隔をあけて配列されている。支持ブロック22は、長尺なブロック体であり、それぞれの長手方向がY軸方向に対して平行となっている。支持ブロック22の上面には、レール20が嵌合する凹部221が形成されている。この凹部221内にレール20が嵌合することで、床面FからZ軸方向で離れた位置でレール20が支持されている。
【0031】
支持ブロック22の長手方向における一端面は、第一基準線y1に位置合わせされて配置されている。第一基準線y1は、1行分の複数の誘導用スポット100のY軸方向における基準位置を示す基準線である。このように、複数の支持ブロック22の一端面が第一基準線y1に位置合わせされているために、レール20も第一基準線y1を基準として配置されている。つまり、支持ブロック22は、レール20を支持する第一基準部材である。なお、第一基準部材は、レール20を支持するとともに、第一基準線y1に対して位置合わせされるのであれば、その形状は如何様でもよい。なお、支持ブロック22とレール20とは一体であってもよい。
【0032】
複数のサポートブロック23は、一対の支持ブロック22の間に配置されるように、X軸方向に沿って所定の間隔をあけて配列されている。サポートブロック23は、長尺なブロック体であり、長手方向がY軸方向に対して平行となっている。サポートブロック23の長手方向における長さは、支持ブロック22の長手方向における長さよりも短い。サポートブロック23の上面には、レール20が嵌合する凹部231が形成されている。この凹部231内にレール20が嵌合することで、床面FからZ軸方向で離れた位置でレール20が支持されている。このようにレール20は、支持ブロック22及びサポートブロック23によって床面Fから離れた位置に設置されているために、床面Fにある凹凸の影響を受けずに、水平面に対して平行に配置されている。
【0033】
移動台車30は、誘導用スポット100を読み取るための装置であり、搬送機能は有していない。移動台車30は、台車部31と、支持部32とを備えている。
【0034】
台車部31は、レール20によって往復直線移動自在な台車である。台車部31は、手動式であっても自動式であってもよいが、ここでは手動式である場合について例示する。台車部31の上面には、支持部32が立設している。支持部32は、柱状であり、その上端部に読取装置40が固定されている。支持部32のX軸方向で対向する一対の側面33は、YZ平面に平行に設けられている。
【0035】
読取装置40は、誘導用スポット100を読み取る読取装置である。具体的には、読取装置40は、二次元バーコードリーダーである。読取装置40は、誘導用スポット100を読み取ることで、当該読取装置40の読取範囲内における配置位置を検出する。読取装置40は、搬送車200に備わる搬送車用読取装置210と同じ高さに設置されている。読取装置40と、搬送車読取装置210とは、別の装置であるが、機能的に同等の装置を採用することができる。
【0036】
図4は、実施の形態に係る作成装置10の制御構成を示すブロック図である。図4に示すように、作成装置10は、読取装置40に対して通信自在なコントローラ50を有している。コントローラ50は、台車部31に対して設置されていてもよいし、読取装置40と無線通信自在であれば移動台車30外に設けられていてもよい。コントローラ50は、例えば、所定のプログラムを実行するプロセッサ、及び、所定のプログラムを記憶しているメモリなどにより構成される。また、コントローラ50は、専用回路により構成されてもよい。
【0037】
コントローラ50は、読取装置40によって読み取られた誘導用スポット100の配置位置に基づき、当該誘導用スポットの配置位置情報を作成する。配置位置情報の作成方法については、後述する。
【0038】
次に、本実施の形態に係る配置位置情報の作成方法について説明する。作成方法は、レール配置ステップと、作成ステップとを含んでいる。レール配置ステップとは、レール20を床面F上に配置するステップである。作成ステップは、誘導用スポットの配置位置情報を作成するステップである。
【0039】
レール配置ステップについて説明する。図5は、実施の形態に係るレール配置ステップの一工程を示す平面図である。まず、作業者は、図5に示すように、複数の誘導用スポット100が設置される床面Fに対して、第一基準線y1及び第二基準線x2を描く。第一基準線y1は、各誘導用スポット100のY軸方向での基準位置を示す線であり、第二基準線x2は、各誘導用スポット100のX軸方向での基準位置を示す線である。このように、第二基準線x2は、第二方向(Y軸方向)に沿った直線である。また、各誘導用スポット100の基準位置は、第一基準線y1と、第二基準線x2との交点である。なお、図5では、第一基準線y1を一行分だけ図示しているが、第一基準線y1は、全ての行に対して描かれていてもよい。作業者は、第一基準線y1及び第二基準線x2を描いた後に、各誘導用スポット100の基準位置に基づいて、各誘導用スポット100を床面Fに対して設置する。
【0040】
図6は、実施の形態に係るレール配置ステップの一工程を示す平面図である。図6に示すように、作業者は、第一基準線y1を基準としてレール20を設置する。具体的には、作業者は、支持ブロック22の長手方向における一端面を、第一基準線y1に位置合わせしながら、各支持ブロック22を床面F上の所定位置に設置する。これにより、各支持ブロック22で支持されるレール20の第一基準線y1に対する位置が定まる。これにより、読取装置40の第一基準線y1に対する位置も定まるために、第一基準線y1に対する誘導用スポット100の位置ズレを測定することが可能となる。
【0041】
また、作業者は、床面F上の所定位置に各サポートブロック23を設置する。各支持ブロック22及び各サポートブロック23の設置が完了すると、作業者は、レール20を各支持ブロック22及び各サポートブロック23の凹部221、231内に嵌合させる。これにより、レール20の長尺方向が第一基準線y1に対して平行となるように配置される。
【0042】
図7は、実施の形態に係るレール配置ステップの一工程を示す平面図である。図7に示すように、作業者は、レール20に対して移動台車30を取り付ける。これにより、移動台車30はレール20に対して往復直線移動をすることが可能となる。また、移動台車30の設置後においては、支持部32の一対の側面33が、第二基準線x2に対して平行に配置されることとなる。つまり、支持部32は、第二基準線x2に対して位置合わせされる第二基準部材である。本実施の形態では、支持部32の一対の側面33を第二基準線x2に位置合わせする部位として例示しているが、これ以外の部位で第二基準線x2に対する位置合わせを行ってもよい。これ以外の部位としては、支持部32上に描かれた位置合わせ用のマークなど挙げられる。このように、第二基準部材は、移動台車30に設けられた状態で、第二基準線x2に対して位置合わせ可能な部材であればよい。
【0043】
次に、作成ステップについて説明する。
【0044】
図8は、実施の形態に係る作成ステップの一工程を示す平面図である。図8に示すように、作成ステップでは、作業者は、移動台車30をレール20上で移動させて、支持部32の一方の側面33を第二基準線x2に対して位置合わせする。具体的には、支持部32の一方の側面33と第二基準線x2とを上面視において一致させる。このとき、作業者は、例えば、支持ブロック22から第二基準線x2までの距離を測定する測定部材(例えばゲージ)を用いて位置合わせをしてもよい。具体的には、作業者は、測定部材の一端を支持ブロック22に当接させて、当該測定部材の他端を台車部31に当接させる。これにより、位置合わせを容易にかつ正確に行うことが可能となる。
【0045】
図9は、実施の形態に係る読取装置40の撮影範囲Aを示す説明図である。読取装置40の撮影前には、支持ブロック22の長手方向における一端面と第一基準線y1との位置合わせ及び支持部32の一方の側面33と第二基準線x2との位置合わせが完了している。これにより、図9に示すように、読取装置40の撮影範囲AにおけるX軸方向に沿う第一辺a1が、第一基準線y1と一致し、読取装置40の撮影範囲AにおけるY軸方向に沿う第二辺a2が、第二基準線x2と一致する。また、位置合わせ後には、読取装置40の撮影範囲A内に誘導用スポット100が配置されている。読取装置40は、誘導用スポット100を撮影する。撮影画像には、撮影範囲A内における誘導用スポット100の配置位置が含まれている。また、撮影時には、読取装置40は、誘導用スポット100を読み取り、当該誘導用スポット100の識別情報を取得する。読取装置40は、識別情報と撮影画像とを紐づけてコントローラ50に出力する。
【0046】
コントローラ50では、読取装置40の読取結果に基づいて、誘導用スポット100の配置位置情報を作成する。具体的には、コントローラ50は、読取装置40の撮影画像に基づいて、第一基準線y1及び第二基準線x2に対する、誘導用スポット100の配置位置情報を作成する。図9に示すように、読取装置40は、撮影した画像に基づいて、誘導用スポット100における2つの頂点p1、p2の第一基準線y1に対するズレ量Yg1、Yg2と、第二基準線x2に対するズレ量Xg1、Xg2とを、誘導用スポット100の配置位置情報を作成する。このズレ量Yg1、Yg2、Xg1、Xg2によって、誘導用スポット100の第一基準線y1に対する位置ズレ量と、第二基準線x2に対する位置ズレ量と、第一基準線y1に対する傾き(回転ズレ)と、第二基準線x2に対する傾き(回転ズレ)とを取得することができる。
【0047】
なお、ここでは、位置合わせ後に、読取装置40の第一辺a1と第一基準線y1とが一致する場合を例示したが、第一辺a1と第一基準線y1とが離れていてもよい。この離間距離を予め把握しておけば、当該離間距離に基づいてコントローラ50が配置位置情報を補正することで、正確な配置位置情報を作成することが可能である。第二辺a2と第二基準線x2とにおいても同様である。
【0048】
作業者は、移動台車30をレール20上で移動させながら、上記の工程を繰り返すことで、一行あたりの全ての誘導用スポット100に対する配置位置情報を作成する。
【0049】
作業者は、他の行の誘導用スポット100に対しても、レール配置ステップと作成ステップとを繰り返すことで、床面F上の全ての誘導用スポット100の配置位置情報を作成する。その後、コントローラ50は、全ての誘導用スポット100の配置位置情報を、搬送車200の制御部に対して送信する。搬送車200の制御部では、予め記憶している全ての誘導用スポット100の基準位置を、受信した全ての誘導用スポット100の配置位置情報に基づいて補正する。これにより、搬送車200の制御部は、搬送車用読取装置210が読み取った誘導用スポット100の識別情報に基づいて、補正された基準位置を認識することで、搬送車200の現在位置を正確に取得することができる。
【0050】
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る配置位置情報の作成方法は、無軌道で走行する搬送車200を誘導するための誘導用スポット100が設置された床面Fに対して、一時的に設けられたレール20と、レール20上を移動する移動台車30と、移動台車30に設けられ、第一方向(X軸方向)に沿った第一基準線y1に基づき配置された誘導用スポット100を読み取る読取装置40と、読取装置40によって読み取られた誘導用スポット100の配置位置に基づき、当該誘導用スポット100の配置位置情報を作成するコントローラ50と、を備えた作成装置10による配置位置情報の作成方法であって、第一基準線y1を基準としてレール20を配置するレール配置ステップと、移動台車30をレール20上で移動させることで読取装置40が読み取った読取結果に基づいて、水平面におけるX軸方向に直交する第二方向(Y軸方向)に対する誘導用スポット100の配置位置情報を作成する作成ステップとを有する。
【0051】
また、本実施の形態に係る配置位置情報の作成装置10は、無軌道で走行する搬送車200を誘導するための誘導用スポット100が設置された床面Fに対して、一時的に設けられたレール20と、レール20上を移動する移動台車30と、移動台車30に設けられ、X軸方向に沿った第一基準線y1に基づき配置された誘導用スポット100を読み取る読取装置40と、読取装置40によって読み取られた誘導用スポット100の配置位置に基づき、当該誘導用スポット100の配置位置情報を作成するコントローラ50と、を備え、コントローラ50は、移動台車30をレール20上で移動させることで読取装置40が読み取った読取結果に基づいて、水平面におけるX軸方向に直交するY軸方向に対する誘導用スポットの配置位置情報を作成する。
【0052】
これによれば、読取装置40を備えた移動台車30は、レール20上を走行することで読取装置40が誘導用スポット100を読み取る。レール20は、床面Fの凹凸の影響を受けずに水平面に対して平行に配置されているので、移動台車30も移動時に床面Fの凹凸の影響を受けにくい。このため、読取装置40は、正確に誘導用スポット100を読み取ることができる。
【0053】
また、誘導用スポット100の配置位置情報は、読取装置40が読み取った読取結果に基づいて、Y軸方向に対して作成されている。このため、基準位置からY軸方向における誘導用スポット100のズレ(位置ズレ及び角度ズレ)を含んだ配置位置情報を作成することができる。この作成された配置位置情報を搬送車200に反映させれば、誘導用スポット100が基準位置からズレていたとしても、搬送車200は現在位置を正確に把握することができる。
【0054】
ここで、レール20と移動台車30とを使用せずに搬送車200によって配置位置情報を作成することも可能である。しかし、床面Fの凹凸の影響により正確な配置位置情報を作成することができない。それに対して、本実施の形態に係る配置位置情報の作成方法では、床面Fの凹凸の影響を受けないため、正確に配置位置情報を作成することが可能である。
【0055】
また、レール配置ステップは、レール20を支持する第一基準部材(支持ブロック22)を、第一基準線y1に対して位置合わせされるように配置した後に、当該支持ブロック22にレール20を設置する。
【0056】
これによれば、レール20を支持する支持ブロック22を、第一基準線y1に対して位置合わせされるように配置した後に、当該支持ブロック22にレール20を設置するので、レール20を第一基準線y1に対して平行に配置することができる。したがって、レール20と第一基準線y1との間隔が一定となるため、Y軸方向における配置位置情報の作成を簡略化することができる。
【0057】
なお、レール配置ステップでは、レール20の一部を第一基準線y1に対して位置合わせされるようにレール20を床面Fに設置してもよい。この場合においても、レール20を第一基準線y1に対して平行に配置することができる。
【0058】
また、誘導用スポット100は、Y軸方向に沿った第二基準線x2に基づき配置されており、移動台車30は、第二基準線x2に対して位置合わせされる第二基準部材(支持部32)を有し、作成ステップは、移動台車30を移動させて、支持部32が第二基準線x2に対して位置合わせされた際に、読取装置40による読み取りを実行し、読取結果に基づいて、X軸方向に対する誘導用スポット100の配置位置情報を作成する。
【0059】
これによれば、誘導用スポット100の配置位置情報は、読取装置40が読み取った読取結果に基づいて、X軸方向に対して作成されている。このため、基準位置からX軸方向における誘導用スポット100のズレ(位置ズレ及び角度ズレ)を含んだ配置位置情報を作成することができる。
【0060】
また、作成ステップでは、支持ブロック22から第二基準線x2までの距離を測定する測距部材の測距結果に基づいて、支持部32を第二基準線x2に位置合わせする。
【0061】
これによれば、支持ブロック22から第二基準線x2までの距離を測定する測距部材の測距結果に基づいて、支持部32を第二基準線x2に位置合わせするので、当該位置合わせの確実性を高めることができる。
【0062】
なお、上記実施の形態では、測距手段としてゲージなどの測距部材を例示したが、レーザー測距装置などの測距センサを測距手段として用いることも可能である。
【0063】
また、読取装置40は、搬送車200に備わる、誘導用スポット100を読み取る搬送車用読取装置210と同じ高さに設置されている。
【0064】
これによれば、読取装置40が搬送車200に備わる搬送車用読取装置210と同じ高さに設置されているので、搬送車用読取装置210が誘導用スポット100を読み取る状況を、読取装置40でも再現することができる。したがって、搬送車200の走行状況に近い形で配置位置情報を作成することができる。具体的には、読取装置40における誘導用スポット100の検出の仕方が、搬送車用読取装置210での誘導用スポット100の検出の仕方に対して、近い状況となるため、例えば外乱の影響も近い状態となり、より正確な配置位置情報を作成することができる。ここで言う外乱とは、床面Fの凹凸とは異なり、例えば周囲の明るさなどの誘導用スポット100の検出を阻害する要因のことである。
【0065】
(変形例)
上記実施の形態では、移動台車30が手動で移動する場合を例示した。この変形例では、移動台車が自動で移動する場合を例示する。なお、以降の説明において、上記実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0066】
図10は、変形例に係る実施の形態に係る作成装置10Aの制御構成を示すブロック図である。図10に示すように、作成装置10Aの移動台車30aには、台車部31に備わる車輪を駆動するための駆動源35と、台車部31の移動距離を検出する移動距離検出部36とを備えている。駆動源35は例えばモータなどである。移動距離検出部36は、例えば車輪の回転量を測定するエンコーダなどである。
【0067】
コントローラ50には、駆動源35及び移動距離検出部36が通信自在に接続されている。コントローラ50は、移動距離検出部36の検出結果に基づいて駆動源35を制御するようになっている。
【0068】
次に、変形例に係る作成ステップについて図11に基づいて説明する。図11は、変形例に係る作成ステップを説明するための説明図である。図11に示すように、誘導用スポット100には、第一基準線y1及び第二基準線x2に基づいて配置された第一誘導用スポット100aと、第一誘導用スポット100aからX軸方向に沿って所定間隔あけて配置された第二誘導用スポット100bとを備えている。第一誘導用スポット100aと第二誘導用スポット100bとは、一つの第一基準線y1に沿って配置されている。
【0069】
変形例に係る作成ステップは、第一誘導用スポット100aの配置位置情報を作成する第一作成ステップと、第二誘導用スポットの配置位置情報を作成する第二作成ステップとを含んでいる。
【0070】
まず、第一作成ステップについて説明する。第一作成ステップでは、作業者は、移動台車30をレール20上で移動させて、支持部32の一方の側面33を第二基準線x2に対して位置合わせする。位置合わせ後には、読取装置40の撮影範囲AにおけるX軸方向に沿う第一辺a1が、第一基準線y1と一致し、読取装置40の撮影範囲AにおけるY軸方向に沿う第二辺a2が、第二基準線x2と一致する。また、位置合わせ後には、読取装置40の撮影範囲A内に第一誘導用スポット100aが配置されている。読取装置40は、第一誘導用スポット100aを撮影する。撮影画像には、撮影範囲A内における第一誘導用スポット100aの配置位置が含まれている。また、撮影時には、読取装置40は、第一誘導用スポット100aを読み取り、当該第一誘導用スポット100aの識別情報を取得する。読取装置40は、識別情報と撮影画像とを紐づけてコントローラ50に出力する。
【0071】
コントローラ50では、読取装置40の読取結果に基づいて、第一誘導用スポット100aの配置位置情報を作成する。具体的には、コントローラ50は、読取装置40の撮影画像に基づいて、第一基準線y1及び第二基準線x2に対する、第一誘導用スポット100aの配置位置情報を作成する。図11に示すように、読取装置40は、撮影した画像に基づいて、第一誘導用スポット100aにおける2つの頂点p11、p12の第一基準線y1に対するズレ量Yg11、Yg12と、第二基準線x2に対するズレ量Xg11、Xg12とを、第一誘導用スポット100aの配置位置情報を作成する。このズレ量Yg11、Yg12、Xg11、Xg12によって、第一誘導用スポット100aの第一基準線y1に対する位置ズレ量と、第二基準線x2に対する位置ズレ量と、第一基準線y1に対する傾き(回転ズレ)と、第二基準線x2に対する傾き(回転ズレ)とを取得することができる。コントローラ50は、第一誘導用スポット100aの配置位置情報を作成した後に、第二作成ステップに移行する。
【0072】
次に、第二作成ステップでは、コントローラ50は、第一誘導用スポット100aを基準とした移動距離検出部36の検出結果に基づいて駆動源35を制御することで、移動台車30を第二誘導用スポット100bまで移動させる。ここで、コントローラ50は、第一誘導用スポット100aから第二誘導用スポット100bまでの基準間隔を予め記憶している。この基準間隔に対して、移動距離検出部36の検出結果が一致すると、コントローラ50は、駆動源35を停止して、移動台車30を停止させる。なお、コントローラ50は、駆動源35を停止しなくてもよい。また、コントローラ50は、基準間隔を記憶していなくてもよい。この場合、コントローラ50は、第二誘導用スポット100bを読み取った位置に対して、第一誘導用スポット100aから第二誘導用スポット100bまでの距離を加算することにより、第二誘導用スポット100bの位置を定める。
【0073】
このとき、読取装置40の撮影範囲Aの第一辺a1は、第一基準線y1と一致したままである。また、読取装置40の撮影範囲Aの第二辺a2は、第二基準線に対応した基準線となる。位置合わせ後には、読取装置40の撮影範囲A内に第二誘導用スポット100bが配置されている。読取装置40は、第二誘導用スポット100bを撮影する。撮影画像には、撮影範囲A内における第二誘導用スポット100bの配置位置が含まれている。また、撮影時には、読取装置40は、第二誘導用スポット100bを読み取り、当該第二誘導用スポット100bの識別情報を取得する。読取装置40は、識別情報と撮影画像とを紐づけてコントローラ50に出力する。
【0074】
コントローラ50では、読取装置40の読取結果に基づいて、第二誘導用スポット100bの配置位置情報を作成する。具体的には、コントローラ50は、読取装置40の撮影画像に基づいて、第一基準線y1及び第二辺a2に対する第二誘導用スポット100bの配置位置情報を作成する。読取装置40は、撮影した画像に基づいて、第二誘導用スポット100bにおける2つの頂点p21、p22の第一基準線y1に対するズレ量Yg21、Yg22と、第二辺a2に対するズレ量Xg21、Xg22とを、第二誘導用スポット100bの配置位置情報を作成する。このズレ量Yg21、Yg22、Xg21、Xg22によって、第二誘導用スポット100bの第一基準線y1に対する位置ズレ量と、第二辺a2に対する位置ズレ量と、第一基準線y1に対する傾き(回転ズレ)と、第二辺a2に対する傾き(回転ズレ)とを取得することができる。コントローラ50は、上記の工程を繰り返すことで、一行あたりの全ての誘導用スポット100に対する配置位置情報を作成する。例えば、上記した第二誘導用スポット100b以降に配置位置情報が作成される誘導用スポット100においては、直前に配置位置情報が作成された誘導用スポット100を基準にして配置位置情報を作成してもよいし、第一誘導用スポット100aの配置位置情報を基準として配置位置情報を作成してもよい。
【0075】
以上のように、誘導用スポット100は、第一基準線y1及び第二基準線x2に基づいて配置された第一誘導用スポット100aと、第一方向に沿って第一誘導用スポット100aから所定の間隔をあけて配置された第二誘導用スポット100bとを有し、作成ステップは、移動台車30aを移動させて、支持部32が第二基準線x2に対して位置合わせされた際に、読取装置40による第一誘導用スポット100aに対する読み取りを実行し、読取結果として得られた第一基準線y1及び第二基準線x2に対する第一誘導用スポット100aのズレ量に基づいて、第一誘導用スポット100aの配置位置情報を作成する第一作成ステップと、第一作成ステップの後に、移動台車30aを移動させて得られた読取装置40による第二誘導用スポット100bに対する読取結果と、移動台車30aが有する移動距離検出部36の、第一誘導用スポット100aを基準とした検出結果とに基づいて、第二誘導用スポット100bの配置位置情報を作成する第二作成ステップと、を含む。
【0076】
これによれば、第二誘導用スポット100bに対する配置位置情報は、移動台車30を移動させて得られた読取装置40による第二誘導用スポット100bに対する読取結果と、移動距離検出部36の、第一誘導用スポット100aを基準とした検出結果とに基づいて作成されている。つまり、第二誘導用スポット100bの配置位置情報の作成時には、第二誘導用スポット100bの第二基準線x2に対して支持部32を位置合わせしなくてもよい。したがって、自動的に第二誘導用スポット100bの配置位置情報を取得することができる。また、第二基準線x2をズレ検出用に用いなくてもよくなる。
【0077】
(その他)
以上、本発明に係る配置位置情報の作成方法及び作成装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0078】
例えば、レールの所定位置と第二基準線とを一致させて配置し、移動台車の第二基準部材がレールの所定位置に一致した際に、移動台車を停止させるストッパを設けてもよい。
【0079】
また、レールの所定位置と第二基準線とを一致させて配置し、当該所定位置を検出するセンサを移動台車に設けてもよい。作業者またはコントローラは、当該センサの検出結果に基づいて、所定位置と第二基準部材とが一致したことを判断することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、誘導用スポットの位置ズレを補正することができる配置位置情報の作成方法などとして有用である。
【符号の説明】
【0081】
10、10A 作成装置
20 レール
22 支持ブロック
23 サポートブロック
30、30a 移動台車
31 台車部
32 支持部
33 側面
35 駆動源
36 移動距離検出部
40 読取装置
50 コントローラ
100 誘導用スポット
100a 第一誘導用スポット
100b 第二誘導用スポット
200 搬送車
210 搬送車用読取装置
221、231 凹部
A 撮影範囲
a1 第一辺
a2 第二辺
F 床面
p1、p2、p11、p12、p21、p22 頂点
x2 第二基準線
y1 第一基準線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11